次に、本発明の粉粒体供給装置について一実施形態を取り上げて説明を行う。なお、以下の説明における上下方向は、図1および図2に示した状態における上下方向である。
本実施形態の粉粒体供給装置1における供給物である粉粒体Pは、集合した状態で不定形の物体であって、例えば、粉状や顆粒状の物体である。特に、粉状や顆粒状の薬品である散剤である。なお、本説明では粉粒体Pを、基本的に集合した状態として説明する。
本実施形態の粉粒体供給装置1は、図1に示すように、粉粒体Pを所定量(粉粒体Pが散剤である場合は、処方に対応した量)ごとに、包装シート等により包装する粉粒体包装装置2(具体的構成は図示しないが、図1において二点鎖線で示した部分に位置する)の上方に配置されている。粉粒体供給装置1により供給された粉粒体Pを粉粒体包装装置2で包装できる。なお、粉粒体包装装置2が有する機構としては種々のものを採用できる。粉粒体供給装置1により供給された粉粒体Pは、まず供給対象物である受け容器4に供給され、粉粒体Pの入った受け容器4が粉粒体包装装置2の上方に運ばれる。複数の粉粒体供給装置1…1と粉粒体包装装置2とは筐体内に納められ、一体化した粉粒体取扱装置3とされている。複数(本実施形態では3台)の粉粒体供給装置1…1は、図示のように上下方向に積層されている。以下、各粉粒体供給装置1について説明する。
本実施形態の粉粒体供給装置1における装置本体1aは、図2に示すように上下二段のユニットで構成されている。装置本体1aのユニット上段には、縦軸まわりに回転する移動台11を備えている。移動台11の回転は間欠的になされる。本実施形態では、移動台11の回転軌跡が真円状とされている。しかし、これに限定されず、例えば楕円状であってもよい。移動台11には、周方向に配置された複数の容器保持部111…111を備える。各容器保持部111は貯留容器12を保持する。各容器保持部111は、上下方向および径外方向に開口していて、内周部で貯留容器12を支持する。なお、取出位置にある貯留容器12に接続される後述の駆動出力軸112が通る貫通部が各容器保持部111に設けられている。移動台11の回転に伴い、容器保持部111は、貯留容器12から粉粒体Pの取り出しがなされる取出位置P1と、取出位置P1から退避した退避位置とに位置するように貯留容器12を移動させる。取出位置P1は、後述する秤量部13の上方位置である。図2に示された貯留容器12は取出位置P1にある。取出位置P1にある貯留容器12から、秤量部13に載置された受け容器4に粉粒体Pが供給される。粉粒体Pの供給は、上段にある貯留容器12が有する取出口1221,1222(図5参照)から、下段にある受け容器4へと粉粒体Pが落下することでなされる。
受け容器4は、例えば図8に示す形状であって、供給された粉粒体Pを保持するカップ部41、カップ部41に連通してカップ部41の径外方向に延びており、カップ部41にある粉粒体Pを取り出す際の通路となる突出部42、突出部42において、粉粒体Pの通路の空間を開閉するように移動するゲート部43を備える。カップ部41と突出部42とは樹脂製で一体に形成されている。なお、樹脂製に限定されず、紙製であってもよい。カップ部41の側面には、受け容器4の内容物である粉粒体Pの種類等を表示できる表示部44が設けられている。この表示部には電子ペーパーが用いられている。
受け容器4は複数用いられ、粉粒体供給装置1を含む粉粒体取扱装置3の内部において移動させられる。この移動と共に、受け容器4の内容物である粉粒体Pを粉粒体取扱装置3の内部において移動させることができる。粉粒体Pが供給された受け容器4は、粉粒体取扱装置3の内部であって、粉粒体包装装置2の上方に位置する、回転円盤を用いた公知の切出機構(これは一例であって、一定量の粉粒体Pを粉粒体包装装置2に供給する種々の機構であってよい)の更に上方に位置する振動フィーダ5に移動させられ、図9に示すように振動フィーダ5上に載置される。受け容器4を秤量部13から振動フィーダ5に移動させる移動手段としては、可動アーム、昇降台、ベルトコンベア等の種々の手段を、単独または組み合わせて採用できる。なお、切出機構を設けることなく、振動フィーダ5から一定量の粉粒体Pを粉粒体包装装置2に供給するようにしてもよい。
本実施形態の振動フィーダ5は、図9に示すように載置された受け容器4を下方から振動させることで、ゲート部43が開かれた状態で、受け容器4のカップ部41から突出部42を通って、突出部42の先端から粉粒体Pを落下させることができる。このように、受け容器4は振動フィーダ5に取り付けられることで、振動フィーダ5のトラフとして機能する。落下した粉粒体Pは、例えば前記切出機構の回転円盤上に載せられる。後述のように、本実施形態の粉粒体供給装置1では、受け容器4に供給される粉粒体Pに対して除電を行う。この、除電された粉粒体Pを受けた受け容器4を振動フィーダ5に取り付けることで、そのまま次工程に対して粉粒体Pを供給できる。なお、粉粒体Pを落下させ終わり空になった受け容器4は、粉粒体取扱装置3の内部における待機位置(粉粒体包装装置2中で、図1に示されたように複数の受け容器4…4が上下方向に並んだ位置)に移動させられる。その際、受け容器4に付着している粉粒体Pは、エアーコンプレッサやブラシ等の清掃手段によって受け容器4から除去される。その後、待機位置にある受け容器4は、必要に応じて再び秤量部13に載置される。このように、受け容器4は繰り返し使用される。
粉粒体供給装置1は、粉粒体Pを内部に貯留する貯留容器12を備える。貯留容器12は移動台11の容器保持部111に、図2に示すように取り付けることができる。貯留容器12は、複数の容器保持部111のうち、図2において正面側に位置する容器保持部111に対し、粉粒体供給装置1における背面方向(移動台11における径内方向)に差し込まれて取り付けられる。なお、図2では貯留容器12を移動台11に1個だけ配置した状態を示しているが、移動台11上には、周方向に貯留容器12を10個配置できる。このように配置された複数の貯留容器12には、通常では、粉粒体Pが種類別に収容されている。即ち、1つの貯留容器12に1種類の粉粒体Pが収容されている。ただし、例えば使用量の多い粉粒体Pに関しては、1種類の粉粒体Pを2個以上の貯留容器12…12に分けて収容することもできる。
図2に示すように、粉粒体供給装置1のユニット下段には秤量部13が設けられている。本実施形態の秤量部13は電子天秤から構成されている。秤量部13は、図示のように受け容器4を載置した状態で貯留容器12から受け容器4に供給された粉粒体Pの重量を検出する。秤量部13において検出された重量値は、例えば、粉粒体包装装置2に対して一定量の粉粒体Pを供給する制御のために用いることができる。
次に、各貯留容器12について説明する。図3~図5に示すように、貯留容器12は、粉粒体Pを貯留する部分としての貯留部12aを備える。つまり、貯留部12aは貯留容器12の一部分として構成されている。本実施形態の貯留部12aは、筒状の胴部121と、該胴部121の一端(下端)である底部に設けられた底部部材122と、胴部121の他端(上端)に設けられ、開閉可能な蓋部123とを有する。底部部材122は底部内側部材122a(図5参照)と底部外側部材122bとから構成されている。貯留部12aは、胴部121および底部部材122によって粉粒体Pを収容する空間を画定し、蓋部123で胴部121の他端を閉じることで、収容された粉粒体Pを貯留部12a内に格納する。本実施形態の貯留部12aは、胴部121の軸方向が鉛直方向と略一致し、水平面上に起立するように配置されている。
胴部121は、略円筒状に形成されている。本実施形態の胴部121は、例えば透明材料で形成されている。そのため、胴部121内に収容された粉粒体Pは、胴部121の外側から視認可能となっている。これにより、貯留部12a内の粉粒体Pの量を外部から把握することができる。透明材料は、胴部121の全体を占めていてもよいし、視認窓とする一部だけを占めていてもよい。また、胴部121の背面側には、ケースに収納された状態でRFIDタグ124が設けられている。このRFIDタグ124には、例えば、粉粒体Pを取り出すために必要な情報が書き込まれている。
底部部材122には、粉粒体Pを落下させることにより、貯留部12aに貯留されていた粉粒体Pを外部に取り出すための取出口が形成されている。この取出口は外部に開放されており、ここから落下させた粉粒体Pを、秤量部13に載置され、上端が開口されている受け容器4に対して供給できる。この取出口は、図5に示すように底部内側部材122aに形成され、貯留部12aの底部において別々に開口した第1取出口1221と第2取出口1222とを有している。本実施形態では、第1取出口1221が周方向に隣り合う2個の開口部(小開口部1221A、大開口部1221B)から構成されている。各取出口1221,1222が分かれて存在することにより、粉粒体Pを受け容器4に対して分散して落下させられる。底部外側部材122bにおいて、第1取出口1221と第2取出口1222の更に下方には、1つの通路である底部通路1223が形成されている。このため、粉粒体Pが落下時に飛び散る可能性を低減して、受け容器4に対して安定した粉粒体Pの供給が可能である。図4に示すように、この底部通路1223は貯留部12aの底面に開口している。
第1取出口1221は後述する仕切体128の外周孔1281に連通しており、この外周孔1281から粉粒体Pを落下させられるよう開口している。第1取出口1221は外周孔1281の下に位置している。本実施形態の第1取出口1221は外周孔1281の直下に位置している。このため、貯留部12aに貯留された粉粒体Pは直接的に落下する。
第2取出口1222は、後述する仕切体128の内周孔1282と周方向にずれた位置に設けられている。本実施形態では約180°ずれている。また、第2取出口1222は、第1取出口1221とは周方向にずれた位置であり、かつ、径方向に重なる位置に設けられている。第2取出口1222を第1取出口1221とは周方向にずれた位置(重なり合わない位置)とすることで、径方向に重ねた分、第2取出口1222の開口面積を拡大できる。このため、後述する下側移送体129の各移送片1291間の移送領域129aに対し、第2取出口1222の径方向外縁部を径方向外方に離すことができる。この第2取出口1222は、仕切体128の内周孔1282から落下し、その上で下側移送体129により移送された(本実施形態では略180°分移送された)粉粒体Pを落下させる。第1取出口1221と第2取出口1222の両方、または、第2取出口1222のみ(この際第1取出口1221は閉鎖される)から粉粒体Pを落下させることで、受け容器4に対して粉粒体Pが供給される。
第1取出口1221と第2取出口1222とは、貯留部12aの底部において近接した位置に設けられている。具体的には、第1取出口1221と第2取出口1222とは、周方向に隣接して設けられている。この位置関係により、各取出口1221,1222から落下する粉粒体Pの流れが一部重なり合うか、少なくとも隣り合うようにできる。このため、各取出口1221,1222から粉粒体Pが落下する位置を近くできる。
貯留容器12は、貯留部12aの内部に設けられる移動部12bであって、貯留部12aに貯留される粉粒体Pを取出口1221、1222に移動する移動部12bを備える。本実施形態の移動部12bは、撹拌体125、上側移送体127、および下側移送体129を有し、貯留部12aの内部において回転する。底部外側部材122bには、後述する駆動部による駆動力を移動部12bに伝達するための回転軸12B、および、駆動入力軸12C、また、開閉体12Aを移動させるための機構等が設けられている。本実施形態では、回転軸12Bおよび駆動入力軸12Cにより駆動力伝達部の一部が構成されている。駆動力伝達部は、駆動部からの駆動力を伝達して移動部12bを駆動させる。これにより、必要に応じて粉粒体Pを受け容器4に取り出すことができる。駆動力伝達部は導電性材料で形成されている。具体的には、金属で形成されている。
図5に示すように、貯留部12aの内部のうち下方には、上から順に、撹拌体125、遮蔽体126、上側移送体127、仕切体128、下側移送体129、開閉体12Aが配置されている。駆動力伝達部により駆動力が伝達されることにより、撹拌体125、上側移送体127、下側移送体129は同軸で一体に回転する。この回転は、貯留部12aの底部に交差する中心軸(本実施形態では鉛直軸)まわりの回転である。また、下側移送体129による散剤の移送が間欠的になされるようにするため、前記回転は間欠的な回転となる場合がある。
撹拌体125は、径方向に延びる水平ブレード1251を有する。水平ブレード1251は、遮蔽体126の上方に存在する粉粒体Pを移動させることができる。よって、水平ブレード1251が回転することにより、遮蔽体126の上方に粉粒体Pが残留しないようにすることができる。
遮蔽体126は、貯留部12a内部に固定され、外周孔遮蔽体1261、内周孔遮蔽体1262、連結輪1263を一体に備えている。外周孔遮蔽体1261は仕切体128の外周孔1281の上方に位置し、外周孔1281を上方から遮蔽する。本実施形態において前記「遮蔽」とは、上側移送体127の回転による外周孔1281への粉粒体Pの移動を阻害しない程度に、上側移送体127の上方において外周孔1281を覆うことを意味している。この外周孔遮蔽体1261により、貯留部12aに貯留された粉粒体Pの圧力が、上側移送体127により外周孔1281に移送された粉粒体Pにかからないようにできる。同じく、内周孔遮蔽体1262は仕切体128の内周孔1282の上方に位置しており、当該内周孔1282を上方から遮蔽する。この内周孔遮蔽体1262により、貯留部12aに貯留された粉粒体Pの圧力が下側移送体129に移送された粉粒体Pにかからないようにできる。連結輪1263は、外周孔遮蔽体1261と内周孔遮蔽体1262とを連結する。
上側移送体127には、径外方向に延びる複数の移送片1271が周方向に均等な間隔をあけて配されている。本実施形態の移送片1271は径方向に対して周方向にずれるように延びた形状であるが、移送片1271の形状は特に限定されない。上側移送体127は、回転することにより各移送片1271間の移送領域127aに位置する粉粒体Pを、回転方向に移送する。これにより、上側移送体127は、仕切体128に載置される粉粒体Pを移送することができる。上側移送体127の外縁(移送片1271の径方向端縁)は、仕切体128の外周孔1281および内周孔1282よりも径方向外方を回転する。このため、移送される粉粒体Pは、外周孔1281と内周孔1282とから落下する。また、複数の移送片1271が周方向に均等な間隔をあけて配されているため、各移送片1271間の移送領域127aに位置する粉粒体Pがほぼ同量となり、上側移送体127の単位回転量あたりの粉粒体Pの移送量が均一となる。これにより、外周孔1281を介して第1取出口1221から流出する粉粒体Pの流量が安定する。また、内周孔1282から落下する粉粒体Pの流量も安定する。
仕切体128は、貯留部12a内を上下に仕切る。この仕切体128は、上下に貫通した外周孔1281および内周孔1282を備える。外周孔1281と内周孔1282とは仕切体128の中心を挟み略対向して位置している。外周孔1281は径方向の外側に位置し、内周孔1282は径方向の内側に位置している。
下側移送体129は上側移送体127よりも小径に形成されている。下側移送体129の移送領域129aは、上側移送体127の移送領域127aよりも内径側に位置されている。この下側移送体129には、径外方向に延びる複数の移送片1291が周方向に均等な間隔をあけて配されている。各移送片1291間には、例えば半円形状の移送領域129aが形成される。移送領域129aは複数の移送片1291により形成され、径外方向が開放された領域であることが望ましい。下側移送体129は、回転することにより各移送片1291間の移送領域129aに位置する粉粒体Pを、回転方向に移送する。これにより、下側移送体129は、上側移送体127によって仕切体128の内周孔1282から落下した粉粒体Pを移送することができる。図5に示すように、下側移送体129の移送領域129aは、上側移送体127の移送領域127aよりも、移送できる粉粒体Pの体積が小さくなるよう構成されている。このため上側移送体127に比べ、下側移送体129では粉粒体Pの相対的に少量な供給が可能である。また、複数の移送片1291が周方向に均等な間隔をあけて配されているため、各移送片1291間の移送領域129aに位置する粉粒体Pがほぼ同量となり、上側移送体127の単位回転量あたりの粉粒体Pの移送量が均一となる。これにより、第2取出口1222から流出する粉粒体Pの流量が安定する。
開閉体12Aは、周方向に開放された開口部12A1と、開口部12A1に周方向で隣り合う閉鎖部12A2とを有する。この開閉体12Aは回転により、貯留部12aの底部における第1取出口1221と第2取出口1222とを共に開放した第1開放状態とできる。また開閉体12Aは、第1取出口1221を閉鎖して第2取出口1222のみを開放した第2開放状態とできる。また開閉体12Aは、第1取出口1221と第2取出口1222とを共に閉鎖した全閉状態とできる。
本実施形態において撹拌体125、上側移送体127、下側移送体129から構成される移動部12bは、貯留部12aにおける取出口1221,1222の属する面(本実施形態では水平方向の面)に対して交差する中心軸(本実施形態では垂直方向に延びる仮想軸)周りに回転することにより、貯留されている粉粒体Pを撹拌すると共に、取出口1221,1222に向かうように移送する。この移動部12bは導電性材料で形成されている。具体的には、金属で形成されている。用いる金属は、移動部12bが触れる粉粒体Pに変質等の影響を及ぼさないものであれば、適宜選択できる。
装置本体1aにおいて、移動台の径内位置にはモータ等の駆動部(図示しない)が設けられる。駆動部による駆動力は、駆動力伝達部によって移動部12bに伝達される。駆動力伝達部は、駆動部側伝達部と移動部側伝達部とを有し、駆動部側伝達部と移動部側伝達部とが連結されることで、駆動部による駆動力を移動部12bに伝達可能となる。装置本体1aにおいて、取出位置P1にある貯留容器12の背面側(移動台11の径内側)に対向する部分には、駆動部側伝達部としての駆動出力軸112が設けられている(図7に二点鎖線で表示)。駆動出力軸112は、装置本体1aにおける移動台11の径内位置に設けられた駆動部で生じた駆動力を回転力として出力し、移動部側伝達部の一部としての駆動入力軸12Cに伝達する。駆動出力軸112は、移動台11の径方向に沿って延びており、駆動入力軸12Cに対して進退可能とされている。
移動部側伝達部の一部としての回転軸12Bは、駆動入力軸12Cから、回転のための駆動力が伝達される。図4および図7に示すように、駆動入力軸12Cは背面側端部に、駆動力受容部としての入力嵌合部12C1を備えている。入力嵌合部12C1は、移動台11における取出位置P1に相当する位置に設けられた駆動出力軸112に凹凸嵌合できる形状を有している。入力嵌合部12C1(駆動力受容部)は、貯留容器12が取出位置P1にある場合に、駆動出力軸112の先端に位置する駆動力出力軸端部1121に連結される。前記凹凸嵌合により、駆動出力軸112の回転がずれずに駆動入力軸12Cに駆動力が伝達される。これにより、駆動部側伝達部(駆動出力軸112)と移動部側伝達部(回転軸12Bおよび駆動入力軸12C)が連結し、駆動部による駆動力が駆動力伝達部から移動部12bに伝達される。
移動部側伝達部の移動部12bとは反対側の端部は容器側電気接点6とされている。前述のように、移動部側伝達部(回転軸12Bおよび駆動入力軸12C)は導電性材料で形成されている。そして、移動部12bは回転軸12Bに対して物理的に接続されていると共に電気的にも接続されている。また、駆動入力軸12Cにおける駆動力受容部としての入力嵌合部12C1は容器側電気接点6を有する。これに対応し、装置本体1aには、容器側電気接点6に対して接続および離反可能に設けられた本体側電気接点を備える。この本体側電気接点は、駆動部側伝達部(駆動出力軸112)の駆動部とは反対側の端部における駆動力出力軸端部1121が有している。そして、駆動力出力軸112は、駆動力出力軸112のシャフトおよび装置本体1aを介して、粉粒体供給装置1の外部に電気的に接地される。これにより、移動部12bは、回転軸12B、駆動入力軸12C、駆動出力軸112を介して、粉粒体供給装置1の外部に電気的に接地される。
移動部12bと回転軸12Bとの電気的な接続は、直接接触することでなされてもよいし、別体である導通部材を介してなされてもよい。本実施形態では、下側移送体129は回転軸12Bに直接接触している。このため、下側移送体129は回転軸12Bに対して直接、電気的に接続されている。また、撹拌体125および上側移送体127は、下側移送体129と同様に回転軸12Bに直接接触している。このため、撹拌体125および上側移送体127は、回転軸12Bに対して電気的に接続されている。これにより、移動部12bの粉粒体に触れる部分が電気的に接地される。
このように、移動部12bが電気的に接地されることにより、貯留部12aの内部の粉粒体Pに生じた静電気を、逃がすことができる。また、移動部12bを駆動させる駆動力伝達部を、静電気を貯留部12aの外部に逃がすためにも用いることができる。また、移動部側伝達部が容器側電気接点を有することで、駆動力の伝達のための連結がなされると同時に、駆動部側伝達部に対して導通がなされることになる。
更に、取出口1221,1222のうち、粉粒体Pに触れる部分は導電性材料で形成されている。本実施形態では、底部内側部材122aの全体が導電性材料である金属から形成されている。用いる金属は、底部内側部材122aが触れる粉粒体Pに変質等の影響を及ぼさないものであれば、適宜選択できる。このため、移動部12b(具体的には、撹拌体125、上側移送体127、下側移送体129)は底部内側部材122aに取り囲まれている。この位置関係により、移動部12bにより粉粒体Pに生じた静電気を内側の移動部12bと外側の底部内側部材122aの両方で拾うことができるので、静電気を逃がしやすい。なお、本実施形態では、底部内側部材122aのほか、撹拌体125、上側移送体127、下側移送体129に接し、貯留部12aに対して固定的に設けられた遮蔽体126、仕切体128も導電性材料である金属から形成されている。
底部内側部材122aは回転軸12Bに対して電気的に接続されている。すなわち、取出口1221,1222において粉粒体Pに触れる部分が電気的に接地されている。底部内側部材122aと、底部内側部材122aに対して回転する回転軸12Bとの電気的な接続は、直接接触することでなされてもよいし、別体である導通部材を介してなされてもよい。
このような構成により、移動部12bの回転に伴い粉粒体Pに生じる静電気が、逃がされることに加え、特に取出口1221,1222において静電気を逃がすことができ、取出口1221,1222と粉粒体Pとの接触により、取出口1221,1222から取り出される粉粒体Pに静電気の影響がおよび、粉粒体Pが、供給の観点で望ましくない挙動をすることを抑制できる。
前述のように、貯留容器12は、取出位置P1にある場合に、駆動出力軸112の先端部である駆動力出力軸端部1121に連結される。駆動出力軸112も導電性材料である金属から形成されていて、図示しないが、粉粒体取扱装置3の外部に電気的に接地される。このため、容器側電気接点6は、貯留容器12が取出位置P1にある場合は、駆動力出力軸端部1121が有する本体側電気接点に接続されることにより導通することが可能になる。一方、貯留容器12が取出位置P1でない位置(退避位置)にある場合は、導通が解除される。このように本実施形態では、取出位置P1に位置する貯留容器12から粉粒体Pを取り出す場合に、確実に、移動部12bが電気的に接地される。
本実施形態の粉粒体供給装置1は、静電気対策のため、除電装置7も備えている。この除電装置7は、除電媒体を貯留容器12から受け容器4に至る粉粒体Pの取り出し経路の空間(具体的には、取出位置P1にある貯留容器12における底部通路1223の下方に位置する空間)に対して供給することで、粉粒体Pを除電する。前記「除電媒体」とは、帯電した粉粒体Pの静電気を電気的に中和させる媒体であって、本実施形態ではイオン、つまり、原子または分子が帯電した帯電粒子である。除電装置7は、複数(多数)のイオンを連続的に発生させて、対象物に向けて照射する。このように、イオンを供給する除電装置7は、一般に「イオナイザー」と呼ばれる装置であって、公知の構成を有するイオン発生装置を利用できる。特に本実施形態では、イオナイザーのうち、気流が生じない「無風イオナイザー」が用いられている。これにより、粉粒体Pが気流を受けて飛び散る等の悪影響が生じにくい。粉粒体供給装置1が除電装置7も備えたことにより、粉粒体Pの取り出し経路の空間を通る粉粒体Pに及ぶ静電気を取り除くことで、静電気の影響を抑制できる。また、除電媒体としてイオンを用いることにより、一般的に入手可能なイオン発生装置で除電を行うことができ、コスト面で有利である。
本実施形態の除電装置7は、移動台11の径外位置であって、図6に示すように、取出位置P1の近くに設けられている。除電装置7からのイオン照射方向は斜め下方であって、上方が開口された受け容器4(具体的にはカップ部41)の内部、具体的には内面を向いている。除電装置7から照射されるイオンは、コロナ放電により発生し、対象物に作用する。このため、イオンを受け容器4の内部に向けて供給することができ、容器4に供給された粉粒体Pの全体に向けて供給することができる。よって、貯留容器12から受け容器4に落下する粉粒体Pに対して確実にイオンを照射できるとともに、受け容器4に供給された粉粒体Pに対して確実にイオンを照射できるので、受け容器4の内部に入る粉粒体Pに対して有効に除電できる。また、受け容器4の内面に対してイオンを照射して除電することにより、受け容器4自体も除電される。このため、受け容器4が振動フィーダ5に取り付けられた状態で、粉粒体Pが受け容器4の突出部42から落下する際に、静電気の悪影響が粉粒体Pに生じないようにできる。
また、受け容器4は繰り返し使用される。この繰り返し使用の途中で、例えば、振動フィーダ5の振動に伴う受け容器4の内面と粉粒体Pとの擦れ、粉粒体Pを除去する際にブラシ等が触れることにより受け容器4が帯電する。帯電した受け容器4は、待機後に秤量部13に載置され、貯留容器12から別の粉粒体Pが供給されることになる。本実施形態では、除電装置7により帯電した受け容器4自体を粉粒体Pが供給される前に除電できるので、除電された受け容器4に粉粒体Pを供給でき、供給される粉粒体Pに静電気の悪影響が生じないようにできる。
また、本実施形態の除電装置7では、動作、つまり、除電装置7によるイオンの供給が、貯留容器12から受け容器4への粉粒体Pの取り出しがなされるよりも前に開始される。イオンの供給タイミングは、図示しない制御部により制御される。この制御により、除電装置7が動作してイオンが供給されている状況で粉粒体Pの取り出しを行うため、粉粒体Pに対する除電を確実に行える。
以上、本実施形態の粉粒体供給装置では、静電気が粉粒体Pに及ぼす問題(例えば、貯留部12a内部への粉粒体Pの付着による非落下、粉粒体Pの落下が不安定になること、秤量部13に静電気による引張力が働くことにより秤量が正確にできないこと)を有効に抑制できる。特に、粉粒体Pとして散薬を用いる場合には、貯留容器12から粉粒体包装装置2に至る経路でのクロスコンタミネーションへの対策が非常に重要である。本実施形態の粉粒体供給装置1では、接地、除電装置7の各々の作用、また、両者の作用が重なることによって、クロスコンタミネーションを有効に抑制できる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
例えば、前記実施形態では、貯留容器12の取出口1221,1222は容器下部に設けられていて、粉粒体Pが落下することで、貯留容器12の外部に取り出されるように構成されていた。しかし、粉粒体Pの取り出しのための構成はこれに限定されず、種々に変更できる。例えば、貯留容器12の取出口を容器側部に設けると共に、貯留容器12の内部に、側方(例えば水平方向)に延びるスクリュー軸を設けることができる。この構成では、スクリュー軸を回転させることで粉粒体Pを側方に送って取出口から取り出すことができる。この構成における静電気対策(粉粒体Pの帯電対策)は、スクリュー軸のうち少なくとも粉粒体Pに触れる部分を導電性材料で形成することにより実現できる。また、容器側部の取出口のうち、少なくとも粉粒体が通過する空間を取り巻く部分は導電性材料を形成することができる。
また、移動部12bが回転軸12Bおよび駆動入力軸12Cを介して電気的に接地されるよう構成することもできる。その他に、移動部12bが回転軸12Bのみを介して電気的に接地されるよう構成することもできる。更にその他に、移動部12bが直接電気的に接地されるよう構成することもできる。
また、前記実施形態では、除電装置7からイオンを照射したものであったが、これに限定されない。貯留容器12から受け容器4に落下する粉粒体Pに向かうように、除電装置7からイオンを照射してもよい。
また、除電装置7を用いる場合、対策すべき帯電がプラス帯電かマイナス帯電かに合わせて、除電媒体の内容を変更させることもできる。例えば、除電装置7から照射されるイオンの、プラスイオン、マイナスイオンの割合を変更する制御を行うことが考えられる。