JP7282583B2 - 電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性に優れた電解コンデンサを製造する方法に関するものである。
導電性高分子は、その高い導電性により、例えば、アルミニウム電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサなどの電解質(固体電解質)として用いられている。
この用途における導電性高分子としては、例えば、ピロールやその誘導体、チオフェンやその誘導体などを化学酸化重合または電解酸化重合することによって得られたものが用いられている。
導電性高分子を有する電解コンデンサにおいては、高温環境下に置かれる用途への適用が広がっており、それを受けて、耐熱性を高めるための種々の改良が行われている。例えば、特許文献1~4には、コンデンサ素子の表面に導電性高分子の層を形成した後に、ヒドロキシル基を有する特定の化合物や、カルボキシル基を有する特定の化合物、特定のジエステルなどを含む溶液で処理して、電解コンデンサを製造する技術が提案されている。
また、特許文献5には、ヒドロキシル基を有する特定の化合物と沸点が150℃以上の高沸点溶媒とを含む溶液にコンデンサ素子を含浸した後に、導電性高分子の分散液を用いて導電性高分子の層を形成して、電解コンデンサを製造する技術が提案されている。
特許文献1~5に開示の技術は、コンデンサ素子に導電性高分子の層を形成する前、またはコンデンサ素子に導電性高分子の層を形成した後に、特定の化合物を含む溶液を用いて処理を施す技術である。他方、このような技術以外にも、例えば特許文献6には、特定のスルホン酸化合物およびカルボン酸化合物をアニオンとする遷移金属錯体を酸化剤として化学酸化重合することでコンデンサ素子上に導電性高分子を形成して、電解コンデンサを製造する技術が提案されている。
特開2013-214674号公報 特開2013-219208号公報 特開2016-21453号公報 国際公開第2013/094462号 特開2014-239911号公報 特開2012-12426号公報
上記の各技術も電解コンデンサの耐熱性向上には一定の効果を奏し得るものであるが、電解コンデンサには要求される耐熱性は今後より高まるものと予想され、それに対応可能な技術の開発も求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐熱性に優れた電解コンデンサを製造する方法を提供することにある。
本発明の電解コンデンサの製造方法は、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選択される少なくとも1種の弁金属の多孔体と、上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層とを有するコンデンサ素子に、電解コンデンサ製造用前処理液を含浸させ、乾燥させる工程(A)と、上記工程(A)を経たコンデンサ素子に、芳香族スルホン酸第二鉄を酸化剤兼ドーパントとしてチオフェンまたはその誘導体を化学酸化重合して導電性高分子の層を形成する工程(B)とを有し、上記工程(A)で使用する上記電解コンデンサ製造用前処理液が、下記(a)および(b)を含有し、かつ(a)の含有量が3~25質量%であることを特徴とする。
(a)ベンゼン環およびナフタレン環のうちのいずれか一方の芳香環と、少なくとも1つのカルボキシル基とを有し、かつ上記芳香環の構成炭素に結合するヒドロキシル基を有するかまたは有しておらず、上記カルボキシル基と上記ヒドロキシル基との合計2つ以上である化合物。
(b)沸点が150℃未満の有機溶媒。
本発明によれば、耐熱性に優れた電解コンデンサを製造する方法を提供することができる。
本発明の製造方法は、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選択される少なくとも1種の弁金属の多孔体と、上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層とを有するコンデンサ素子に、電解コンデンサ製造用前処理液を含浸させ、乾燥させる工程(A)と、上記工程(A)を経たコンデンサ素子に、チオフェンまたはその誘導体を化学酸化重合して導電性高分子の層を形成する工程(B)とを有している。すなわち、本発明の製造方法においては、コンデンサ素子上に化学酸化重合によって導電性高分子の層を形成するに先立って、上記コンデンサ素子を、電解コンデンサ製造用前処理液を用いて処理する。
電解コンデンサ製造用前処理液は、(a)ベンゼン環およびナフタレン環のうちのいずれか一方の芳香環と、少なくとも1つのカルボキシル基とを有し、かつ上記芳香環の構成炭素に結合するヒドロキシル基を有するかまたは有しておらず、上記カルボキシル基と上記ヒドロキシル基との合計2つ以上である化合物と、(b)沸点が150℃未満の有機溶媒とを含有している。(a)成分である上記化合物において、カルボキシル基は、芳香環に直接結合していてもよく、芳香環に結合した基(アルキル基など)を介して結合していてもよい。
カルボキシル基とヒドロキシル基との合計が1つの芳香族化合物の場合、電解コンデンサ製造時に気化するため、高温環境下での電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)の変化量が大きくなるが、カルボキシル基とヒドロキシル基とを合計で2つ以上含有する上記(a)成分の場合は気化し難いため、高温環境下での電解コンデンサのESRの変化量が小さくなると考えられる。(a)成分および(b)成分による上記の作用によって、本発明の製造方法で得られる電解コンデンサは、耐熱性に優れたものとなる。
以下に、本発明の製造方法の詳細を説明する。
工程(A):
工程(A)においては、コンデンサ素子に電解コンデンサ製造用前処理液を含浸させる。
本発明の製造方法で使用するコンデンサ素子は、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選択される少なくとも1種の弁金属の多孔体と、上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層とを有するものである。
本発明の製造方法によって得られる電解コンデンサには、アルミニウム電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサがあり、そのアルミニウム電解コンデンサの中にも、巻回型アルミニウム電解コンデンサと積層型もしくは平板型アルミニウム電解コンデンサとがある。
例えば、巻回型アルミニウム電解コンデンサのコンデンサ素子としては、アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理して誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回して作製したものを使用することが好ましい。
また、巻回型アルミニウム電解コンデンサ以外の電解コンデンサ、例えば、積層型もしくは平板型アルミニウム電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサなどの製造に使用するコンデンサ素子としては、アルミニウム、タンタル、ニオブといった弁金属の多孔体からなる陽極と、それらの弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有するものが挙げられる。
工程(A)では、このようなコンデンサ素子に電解コンデンサ製造用前処理液を含浸させる。
電解コンデンサ製造用前処理液における(a)成分は、ベンゼン環およびナフタレン環のうちのいずれか一方の芳香環と、少なくとも1つのカルボキシル基とを有し、かつ上記芳香環の構成炭素に結合するヒドロキシル基を有するかまたは有しておらず、上記カルボキシル基と上記ヒドロキシル基との合計が2つ以上の化合物である。(a)成分である上記化合物は、芳香環の構成炭素に結合するヒドロキシル基を有している場合は、そのヒドロキシル基とカルボキシル基との合計が2以上であればよく、上記ヒドロキシル基を有していない場合には、カルボキシル基の総数が2以上であればよい。以下、本明細書において、(a)成分に該当する化合物に関して、特に説明することなく「ヒドロキシル基」と記載した場合は、芳香環の構成炭素に結合するヒドロキシル基を意味している。
(a)成分である化合物の具体例としては、ベンゼンジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸)、ベンゼントリカルボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ヒドロキシベンゼンカルボン酸(ヒドロキシ安息香酸)、ジヒドロキシベンゼンカルボン酸、トリヒドロキシベンゼンカルボン酸、ヒドロキシベンゼンジカルボン酸、ジヒドロキシベンゼンジカルボン酸、アミノヒドロキシベンゼンカルボン酸、ヒドロキシトルエンカルボン酸、アミノヒドロキシベンゼンカルボン酸、ヒドロキシトルエンカルボン酸、ヒドロキシニトロベンゼンカルボン酸(ヒドロキシニトロ安息香酸)、ジヒドロキシニトロベンゼンカルボン酸(ジヒドロキシニトロ安息香酸)、スルホイソフタル酸、スルホサリチル酸、ニトロベンゼンジカルボン酸、ジニトロベンゼンジカルボン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸(ヒドロキシナフトエ酸)、ジヒドロキシナフタレンカルボン酸、トリヒドロキシナフタレンカルボン酸、ヒドロキシナフタレンジカルボン酸、ジヒドロキシナフタレンジカルボン酸、アセチルアミノヒドロキシナフタレンカルボン酸などが挙げられる。(a)成分である化合物には、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電解コンデンサ製造用前処理液における(b)成分である沸点が150℃未満の有機溶媒としてはアルコール類が好ましく、より具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、などの低級アルコール(炭素数が1~4のアルコール)などが挙げられる。(b)成分である有機溶媒には、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。電解コンデンサ製造用前処理液が、溶媒として低沸点の(b)成分を含有していることで、(A)工程での乾燥時に良好に揮発除去でき、コンデンサ素子に前処理液の溶媒成分が残留し難いため、製造される電解コンデンサの特性が良好となる。
また、電解コンデンサ製造用前処理液には、本発明の効果を損なわない範囲で、シランカップリング剤、ニトロ基含有化合物などの添加剤を添加することもできる。
電解コンデンサ製造用前処理液における(a)成分の含有量は、その使用による効果(電解コンデンサの耐熱性向上効果)を良好に確保する観点から、3質量%以上であり、5質量%以上であることが好ましい。ただし、電解コンデンサ製造用前処理液における(a)成分の含有量が多すぎると、却って電解コンデンサの耐熱性が低下する虞があり、また、電解コンデンサの特性自体が低下する虞もある。よって、電解コンデンサの特性を高く維持しつつ良好な耐熱性を確保する観点から、電解コンデンサ製造用前処理液における(a)成分の含有量は、25質量%以下であり、15質量%以下であることが好ましい。
電解コンデンサ製造用前処理液をコンデンサ素子に含浸させる方法については、特に制限はなく、例えば、電解コンデンサ製造用前処理液を満たした浴中にコンデンサ素子を浸漬して引き上げる方法や、コンデンサ素子に電解コンデンサ製造用前処理液をスプレー塗布する方法などが採用できる。
電解コンデンサ製造用前処理液をコンデンサ素子に含浸させた後には、乾燥を行う。乾燥方法については、コンデンサ素子に含浸させた電解コンデンサ製造用前処理液の含有成分〔特に(a)成分〕が分解などしない方法であれば特に制限はなく、公知の各種乾燥方法(風乾、温風乾燥など)を採用することができる。
工程(B):
工程(B)では、工程(A)を経たコンデンサ素子に、芳香族スルホン酸第二鉄を酸化剤兼ドーパントとしてチオフェンまたはその誘導体を化学酸化重合して導電性高分子の層を形成する。
導電性高分子の層は、例えば、工程(A)を経たコンデンサ素子を、酸化剤兼ドーパントである芳香族スルホン酸第二鉄を含む溶液(以下、「酸化剤兼ドーパント溶液」という)中に浸漬して引き上げた後に乾燥させ、これをモノマーであるチオフェンまたはその誘導体を含む液(以下、「モノマー液」という)中に浸漬して引き上げた後に、室温または加熱下でモノマーを重合させる方法;工程(A)を経たコンデンサ素子をモノマー液中に浸漬して引き上げた後に必要に応じて乾燥させ、これを酸化剤兼ドーパント溶液に浸漬して引き上げた後に、室温または加熱下でモノマーを重合させる方法;などによって形成することができる。また、コンデンサ素子をモノマー液や酸化剤兼ドーパント溶液に浸漬する方法に代えて、モノマー液や酸化剤兼ドーパント溶液をコンデンサ素子にスプレー塗布してもよい。
本発明法においては、モノマーとしてチオフェンまたはその誘導体を使用するが、チオフェンの誘導体としては、例えば、3,4-エチレンジオキシチオフェン、3-アルキルチオフェン、3-アルコキシチオフェン、3-アルキル-4-アルコキシチオフェン、3,4-アルキルチオフェン、3,4-アルコキシチオフェンや、上記の3,4-エチレンジオキシチオフェンをアルキル基で修飾したアルキル化エチレンジオキシチオフェンなどが挙げられ、そのアルキル基やアルコキシ基の炭素数としては、1以上であることが好ましく、また、16以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、4以下であることがさらに好ましい。
上記の3,4-エチレンジオキシチオフェンをアルキル基で修飾したアルキル化エチレンジオキシチオフェンについて詳しく説明すると、上記3,4-エチレンジオキシチオフェンやアルキル化エチレンジオキシチオフェンは、下記の一般式(1)で表される化合物に該当する。
一般式(1):
Figure 0007282583000001
一般式(1)中、Rは水素または炭素数1~10のアルキル基である。
そして、上記一般式(1)中のRが水素の化合物が3,4-エチレンジオキシチオフェンであり、これをIUPAC名称で表示すると、「2,3-ジヒドロ-チエノ〔3,4-b〕〔1,4〕ジオキシン(2,3-Dihydro-thieno〔3,4-b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、この化合物は、IUPAC名称で表示されるよりも、一般名称の「3,4-エチレンジオキシチオフェン」で表示されることが多いので、本明細書では、この「2,3-ジヒドロ-チエノ〔3,4-b〕〔1,4〕ジオキシン」を「3,4-エチレンジオキシチオフェン」と表示している。そして、上記一般式(1)中のRがアルキル基の場合、このアルキル基としては、炭素数が1~10のものが好ましく、特に炭素数が1~4のものが好ましい。つまり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が特に好ましく、それらを具体的に例示すると、一般式(1)中のRがメチル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2-メチル-2,3-ジヒドロ-チエノ〔3,4-b〕〔1,4〕ジオキシン(2-Methyl-2,3-dihydro-thieno〔3,4-b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、本明細書では、以下、これを簡略化して「メチル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。一般式(1)の中のRがエチル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2-エチル-2,3-ジヒドロ-チエノ〔3,4-b〕〔1,4〕ジオキシン(2-Ethyl-2,3-dihydro-thieno〔3,4-b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、本明細書では、これを簡略化して「エチル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。
一般式(1)の中のRがプロピル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2-プロピル-2,3-ジヒドロ-チエノ〔3,4-b〕〔1,4〕ジオキシン(2-Propyl-2,3-dihydro-thieno〔3,4-b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、本明細書では、これを簡略化して「プロピル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。そして、一般式(1)の中のRがブチル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2-ブチル-2,3-ジヒドロ-チエノ〔3,4-b〕〔1,4〕ジオキシン(2-Butyl-2,3-dihydro-thieno〔3,4-b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、本明細書では、これを簡略化して「ブチル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。また、「2-アルキル-2,3-ジヒドロ-チエノ〔3,4-b〕〔1,4〕ジオキシン」を、本明細書では、簡略化して「アルキル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。そして、それらのアルキル化エチレンジオキシチオフェンの中でも、メチル化エチレンジオキシチオフェン、エチル化エチレンジオキシチオフェン、プロピル化エチレンジオキシチオフェン、ブチル化エチレンジオキシチオフェンが好ましい。
そして、3,4-エチレンジオキシチオフェン(すなわち、2,3-ジヒドロ-チエノ〔3,4-b〕〔1,4〕ジオキシン)とアルキル化エチレンジオキシチオフェン(すなわち、2-アルキル-2,3-ジヒドロ-チエノ〔3,4-b〕〔1,4〕ジオキシン)とは混合して用いることが好ましく、その混合比は、モル比で0.05:1~1:0.1であることが好ましく、0.1:1~1:0.1であることがより好ましく、0.2:1~1:0.2であることがさらに好ましく、0.3:1~1:0.3であることが特に好ましい。
モノマーとなるチオフェンやその誘導体は、常温で液状なので、重合にあたって、そのままモノマー液として用いることができ、また、重合反応をよりスムーズに進行させるために、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、アセトニトリルなどの有機溶剤でモノマーを希釈した有機溶剤溶液をモノマー液として用いてもよい。モノマーの有機溶剤溶液をモノマー液として使用する場合、モノマー溶液中のモノマーの濃度は、通常、15~50質量%である。
導電性高分子の層形成のための化学酸化重合の際に酸化剤兼ドーパントとして使用する芳香族スルホン酸第二鉄としては、例えば、ベンゼンスルホン酸またはその誘導体、ナフタレンスルホン酸またはその誘導体、アントラキノンスルホン酸またはその誘導体などの芳香族スルホン酸の第二鉄塩が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。これらの芳香族スルホン酸第二鉄のなかでも、パラトルエンスルホン酸鉄またはナフタレンスルホン酸鉄を使用することが好ましい。
上記の酸化剤兼ドーパントは、通常、有機溶媒溶液(酸化剤兼ドーパント溶液)の形で導電性高分子の層の形成に使用する。酸化剤兼ドーパント溶液の溶媒には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの、炭素数が1~4の炭化水素基を有する1価の低級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール;などが挙げられ、これらの中でも、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの1価の低級アルコールがより好ましい。
酸化剤兼ドーパント溶液における芳香族スルホン酸第二鉄の濃度は、通常、30~70質量%である。
導電性高分子の層の形成時(モノマーの化学酸化重合時)における酸化剤兼ドーパント溶液とモノマー液との使用比率は、酸化剤兼ドーパントとなる芳香族カルボン酸第二鉄の量とモノマーの量との比率が、質量比で2:1~8:1であることが好ましい。また、モノマーの化学酸化重合は、例えば、10~300℃で、1~180分間で行われる。
また、コンデンサ素子上に化学酸化重合によって導電性高分子を形成した後、その導電性高分子上にπ共役系導電性高分子の分散液を用いて層を形成して、その両者で導電性高分子の層を構成してもよい。
上記のπ共役系導電性高分子としては、ポリマーアニオンをドーパントとして用いたπ共役系導電性高分子が用いられる。このポリマーアニオンは、主として高分子スルホン酸で構成されるが、その具体例としては、例えば、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化ポリエステル、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂、スチレンスルホン酸と非スルホン酸系モノマー(メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物など)との共重合体などが挙げられる。
上記のようにしてコンデンサ素子上に導電性高分子の層を形成した後に外装を施して電解コンデンサを得ることができる。なお、積層型もしくは平板型アルミニウム電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサなどの製造に使用するコンデンサ素子の場合には、例えば、カーボンペースト、銀ペーストを付け、乾燥した後に、外装を施して電解コンデンサとする。
また、コンデンサ素子上に形成した導電性高分子の層には、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤とヒドロキシル基またはカルボキシル基を少なくとも1つ有する芳香族系化合物とを含む導電性補助液を含ませてもよい。
上記導電性補助液に使用可能な沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤としては、例えば、γ-ブチロラクトン(沸点:203℃)、ブタンジオール(沸点:230℃)、ジメチルスルホキシド(沸点:189℃)、スルホラン(沸点:285℃)、N-メチルピロリドン(沸点:202℃)、ジメチルスルホラン(沸点:233℃)、エチレングリコール(沸点:198℃)、ジエチレングリコール(沸点:244℃)、リン酸トリエチル(沸点:215℃)、リン酸トリブチル(289℃)、リン酸トリエチルヘキシル〔215℃(4 mmHg)〕、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
また、上記の、ヒドロキシル基(芳香環の構成炭素に結合するヒドロキシル基をいい、カルボキシル基中などの-OH部分を意味するものではない)またはカルボキシル基を少なくとも1つ有する芳香族系化合物としては、ベンゼン系のもの、ナフタレン系のもの、アントラセン系のもののいずれも用いることができ、その具体例としては、例えば、ヒドロキシベンゼンカルボン酸、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール、アミノニトロフェノール、ヒドロキシアニソール、ヒドロキシジニトロベンゼン、ジヒドロキシジニトロベンゼン、アルキルヒドロキシアニソール、ヒドロキシニトロアニソール、ヒドロキシニトロベンゼンカルボン酸(つまり、ヒドロキシニトロ安息香酸)、ジヒドロキシニトロベンゼンカルボン酸(つまり、ジヒドロキシニトロ安息香酸)、フェノール、ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシベンゼンカルボン酸、トリヒドロキシベンゼンカルボン酸、ヒドロキシベンゼンジカルボン酸、ジヒドロキシベンゼンジカルボン酸、ヒドロキシトルエンカルボン酸、ニトロナフトール、アミノナフトール、ジニトロナフトール、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、ジヒドロキシナフタレンカルボン酸、トリヒドロキシナフタレンカルボン酸、ヒドロキシナフタレンジカルボン酸、ジヒドロキシナフタレンジカルボン酸、ヒドロキシアントラセン、ジヒドロキシアントラセン、トリヒドロキシアントラセン、テトラヒドロキシアントラセン、ヒドロキシアントラセンカルボン酸、ヒドロキシアントラセンジカルボン酸、ジヒドロキシアントラセンジカルボン酸、テトラヒドロキシアントラセンジオン、ベンゼンカルボン酸、ベンゼンジカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
また、上記沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または導電性補助液にエポキシ化合物またはその加水分解物、シラン化合物またはその加水分解物およびポリアルコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種の結合剤を含有させることもできる。
本発明法によって製造される電解コンデンサは、耐熱性に優れていることから、このような特性が要求される用途(例えば、車載用途)に好適に用い得るほか、従来から電解コンデンサが用いられている用途と同じ用途にも適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
表面をエッチング処理したアルミニウム箔を12質量%濃度のアジピン酸アンモニウム水溶液中に浸漬し、この状態でアルミニウム箔に40Vの電圧を印加してアルミニウム箔の表面に誘電体層を形成して陽極とし、この陽極にリード体を取り付けた。また、アルミニウム箔からなる陰極にリード体を取り付けた。これらの陽極と陰極とを、セパレータを介して重ね合わせて巻回して、巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ用のコンデンサ素子を作製した。
上記のコンデンサ素子を、フタル酸〔(a)成分、カルボキシル基が2つ〕を3質量%の濃度でエタノール〔(b)成分、沸点:78℃〕に溶解させて調製した電解コンデンサ製造用前処理液中に浸漬してから引き出し、50℃15分乾燥させて前処理を施した。
3,4-エチレンジオキシチオフェン:20mLにメタノール:80mLを添加して調製したモノマー溶液に、前処理後の上記コンデンサ素子を浸漬し、引き上げた後、50℃で10分間乾燥した。その後、50質量%濃度のパラトルエンスルホン酸鉄エタノール溶液〔酸化剤兼ドーパント溶液〕に上記コンデンサ素子を浸漬し、引き上げた後、70℃で2時間加熱し、更に180℃で1時間加熱することで、3,4-エチレンジオキシチオフェンを重合させて、3,4-エチレンジオキシチオフェンの重合体をポリマー骨格とする導電性高分子からなる固体電解質層を、上記コンデンサ素子の表面に形成した。このコンデンサ素子を外装体で外装して、設定静電容量が100μF以上で、設定ESRが20mΩ以下の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
実施例2
電解コンデンサ製造用前処理液におけるフタル酸の濃度を5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
実施例3
電解コンデンサ製造用前処理液におけるフタル酸の濃度を10質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
実施例4
電解コンデンサ製造用前処理液におけるフタル酸の濃度を25質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
実施例5
電解コンデンサ製造用前処理液を、スルホイソフタル酸〔(a)成分、カルボキシル基が2つ〕を5質量%の濃度でメタノール〔(b)成分、沸点:65℃〕に溶解させて調製した溶液に変更し、酸化剤兼ドーパント溶液を、30質量%濃度のナフタレンスルホン酸鉄エタノール溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
実施例6
電解コンデンサ製造用前処理液に使用する(a)成分をベンゼントリカルボン酸(カルボキシル基が3つ)に変更した以外は、実施例5と同様にして巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
実施例7
電解コンデンサ製造用前処理液を、ベンゼンテトラカルボン酸〔(a)成分、カルボキシル基が4つ〕を5質量%の濃度でブタノール〔(b)成分、沸点:117℃〕に溶解させて調製した溶液に変更した以外は、実施例5と同様にして巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
実施例8
電解コンデンサ製造用前処理液を、ヒドロキシ安息香酸〔(a)成分、カルボキシル基とヒドロキシル基との合計が2つ〕を5質量%の濃度でブタノールに溶解させて調製した溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
実施例9
電解コンデンサ製造用前処理液を、スルホサリチル酸〔(a)成分、カルボキシル基とヒドロキシル基との合計が2つ〕を5質量%の濃度でエタノールに溶解させて調製した溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
実施例10
電解コンデンサ製造用前処理液を、ヒドロキシナフトエ酸〔(a)成分、カルボキシル基が2つ〕を5質量%の濃度でエタノールに溶解させて調製した溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
比較例1
電解コンデンサ製造用前処理液による前処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
比較例2
フェノール(ヒドロキシル基が1つで、カルボキシル基なし)を5質量%の濃度でエタノールに溶解させて溶液を調製し、この溶液を電解コンデンサ製造用前処理液に代えて使用した以外は、実施例5と同様にして巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
比較例3
安息香酸(カルボキシル基が1つ)を5質量%の濃度でエタノールに溶解させて溶液を調製し、この溶液を電解コンデンサ製造用前処理液に代えて使用した以外は、実施例5と同様にして巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
比較例4
電解コンデンサ製造用前処理液におけるフタル酸の濃度を1質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
比較例5
電解コンデンサ製造用前処理液におけるフタル酸の濃度を30質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
比較例6
フタル酸を5質量%の濃度でポリエチレングリコール(沸点:150℃以上)に溶解させて溶液を調製し、この溶液を電解コンデンサ製造用前処理液に代えて使用した以外は、実施例1と同様にして巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
比較例7
電解コンデンサ製造用前処理液による前処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてコンデンサ素子の誘電体層上に導電性高分子の層を形成した。導電性高分子の層形成後のコンデンサ素子を、フタル酸を5質量%の濃度でエタノールに溶解させて調製した溶液中に浸漬してから引き出し、50℃で15分乾燥させて後処理を行った。そして、上記後処理後のコンデンサ素子を用いた以外は、実施例1と同様にして巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
比較例8
実施例1で電解コンデンサ製造用前処理液に使用した(a)成分であるフタル酸を、実施例1で使用したものと同じ酸化剤兼ドーパント溶液に、5質量%の濃度となるように添加した以外は、比較例1と同様にして巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
比較例9
ポリスチレンスルホン酸(アルファエイサー社製、分子量75,000)の3%水溶液:200gを内容積1Lの容器に入れ、酸化剤として過硫酸アンモニウムを2g添加した後、攪拌機で攪拌して溶解した。次いで、硫酸第二鉄の40%水溶液を0.4g添加し、攪拌しながら、その中に3,4-エチレンジオキシチオフェン3mLをゆっくり滴下し、24時間かけて、3,4-エチレンジオキシチオフェンの重合を行った。その後、水で4倍に希釈した後、超音波ホモジナイザー〔日本精機社製、US-T300(商品名)〕で30分間分散処理を行った。その後、オルガノ社のカチオン交換樹脂アンバーライト120B(商品名)を100g添加して、1時間攪拌機で攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中のカチオン成分をすべて除去した。上記処理後の液を孔径が1μmのフィルターに通し、その通過液を限外濾過装置〔ザルトリウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万〕で処理して、液中の遊離の低分子成分を除去した。この処理後の液を水で希釈して濃度を3%に調整し、その3%液40gに対し、高沸点溶剤としてジメチルスルホキシドを4g添加し、攪拌して、導電性高分子の分散液を得た。
実施例1と同様にして前処理を施したコンデンサ素子を、上記導電性高分子の分散液中に15分間浸漬して引き出し、150℃で30分間乾燥させて、コンデンサ素子の誘電体層上に厚みが10μmの導電性高分子層を形成し、これを用いた以外は実施例1と同様にして巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
実施例1~10および比較例1~9での巻回型アルミニウム固体電解コンデンサの作製時における電解コンデンサ製造前処理剤の使用の有無(表1では「前処理液の使用の有無」と記載する)と、その際に使用した電解コンデンサ製造用前処理液における(a)成分の構成とを表1に示し、電解液コンデンサ製造用前処理液における(b)成分の構成と、導電性高分子の合成に使用した酸化剤兼ドーパントとを表2に示す。なお、表1では、比較例2、3、6に関しては、電解コンデンサ製造用前処理液における(a)成分や(b)成分の欄に、これらに代えて使用した材料を示し、比較例7に関しては、導電性高分子の層を形成した後のコンデンサ素子の後処理に使用した溶液の構成を示し、比較例8に関しては、鉄塩(すなわち、酸化剤兼ドーパント溶液)に添加した成分の構成を示す。
Figure 0007282583000002
Figure 0007282583000003
〔巻回型アルミニウム固体電解コンデンサの初期特性評価〕
実施例1~10および比較例1~9で作製した巻回型アルミニウム固体電解コンデンサについて、初期特性として、静電容量およびESRを、それぞれ下記の方法で測定した。
(静電容量)
HEWLETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を用い、25℃の条件下で、120Hzで測定した。
(ESR)
HEWLETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を用い、25℃の条件下で、100kHzで測定した。
上記の測定は、各試料とも10個ずつについて行った。これらの測定結果を表3に示す。表3では、静電容量およびESRに関しては、10個の測定値の小数点第1位で四捨五入した平均値を示している。
Figure 0007282583000004
表3に示す通り、実施例1~10の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサは、静電容量およびESRの初期特性が、例えば導電性高分子の層の形成前に前処理を行っていない比較例1の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサと同等程度であった。
一方、(a)成分の含有量が多すぎる電解コンデンサ製造用前処理液を使用した比較例5の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ、(b)成分に代えて沸点が150℃以上の溶媒を用いた電解コンデンサ製造用前処理液を使用した比較例6の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ、および導電性高分子の重合によって導電性高分子層を誘電体層上に形成するのではなく、導電性高分子の分散液を用いて形成したコンデンサ素子を使用した比較例9の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサは、静電容量、ESRのいずれもが、実施例の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサに比べて劣っていた。
〔巻回型アルミニウム固体電解コンデンサの耐熱性評価〕
実施例1~10および比較例1~9で作製した巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ各10個を125℃で2000時間貯蔵した後、前記と同じ方法で、静電容量およびESRを測定した。これらの結果を表4に示す。なお、表4には、静電容量については、下記式によって求めた静電容量の初期特性評価時の測定値からの変化率(%)を、ESRについては、この耐熱性評価時の測定値を初期特性評価時の測定値で除して求めた変化率(倍)を、それぞれ記載する。
静電容量の耐熱性評価測定値の初期特性評価測定値からの変化率(%):
変化率(%) = 100 × (耐熱性評価測定値-初期特性評価測定値)
÷ 初期特性評価測定値
Figure 0007282583000005
表4に示す通り、実施例1~10の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサは、高温貯蔵後の静電容量の低下およびESRの上昇が抑えられており、良好な耐熱性を有していた。
これに対し、導電性高分子の層の形成前のコンデンサ素子に前処理を施さなかった比較例1の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ、(a)成分に代えてカルボキシル基を含有しない化合物かまたはカルボキシル基とヒドロキシル基との合計が少ない化合物を使用した比較例2、3の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ、(a)成分の含有量が少なすぎるか多すぎる電解コンデンサ製造用前処理液を使用した比較例4、5の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ、(b)成分に代えて沸点が150℃以上の溶媒を用いた電解コンデンサ製造用前処理液を使用した比較例6の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ、導電性高分子の層の形成前のコンデンサ素子に前処理を施さず、導電性高分子の層の形成後のコンデンサ素子に(a)成分と(b)成分とを含有する溶液を用いて後処理を施した比較例7の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ、前処理を施さずに(a)成分〔および(b)成分〕を含有する酸化剤兼ドーパント溶液を用いて導電性高分子の層を形成した比較例8の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサ、並びに導電性高分子の分散液を用いて導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子を使用した比較例9の巻回型アルミニウム固体電解コンデンサは、高温貯蔵後において、静電容量の低下が大きいか、または静電容量、ERSの双方の低下が大きく、耐熱性が劣っていた。

Claims (3)

  1. アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選択される少なくとも1種の弁金属の多孔体と、上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層とを有するコンデンサ素子に、電解コンデンサ製造用前処理液を含浸させ、乾燥させる工程(A)と、
    上記工程(A)を経たコンデンサ素子に、芳香族スルホン酸第二鉄を酸化剤兼ドーパントとしてチオフェンまたはその誘導体を化学酸化重合して導電性高分子の層を形成する工程(B)とを有し、
    上記工程(A)で使用する上記電解コンデンサ製造用前処理液が、下記(a)および(b)を含有し、かつ(a)の含有量が3~25質量%であることを特徴とする電解コンデンサの製造方法。
    (a)ベンゼン環およびナフタレン環のうちのいずれか一方の芳香環と、少なくとも1つのカルボキシル基とを有し、かつ上記芳香環の構成炭素に結合するヒドロキシル基を有するかまたは有しておらず、上記カルボキシル基と上記ヒドロキシル基との合計が2つ以上である化合物。
    (b)沸点が150℃未満の有機溶媒。
  2. 芳香族スルホン酸第二鉄が、パラトルエンスルホン酸鉄およびナフタレンスルホン酸鉄のうちの少なくとも一方である請求項1に記載の電解コンデンサの製造方法。
  3. 電解コンデンサ製造用前処理液が含有する(b)は、アルコール類である請求項1または2に記載の電解コンデンサの製造方法。
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