JP7281922B2 - タイヤインナーライナー用またはタイヤチューブ用ゴム組成物、タイヤインナーライナー、タイヤチューブおよび空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
たとえば、特許文献1は、インナーライナー用ゴム組成物に板状無機充填剤を配合することにより、ガスバリア性を向上させる技術を開示している。
本発明は、耐寒性、低発熱性およびガスバリア性をバランスよく兼ね備え持つタイヤインナーライナー用またはタイヤチューブ用ゴム組成物を提供することを課題とする。
本発明は、また、前記ゴム組成物を含むタイヤインナーライナーまたはタイヤチューブである。
本発明は、また、前記タイヤインナーライナーまたはタイヤチューブを含む空気入りタイヤである。
[1]ブチルゴムまたはハロゲン化ブチルゴムを含むゴム成分(A)100質量部およびエチレン単位とビニルアルコール単位を含む共重合体(B)1~100質量部を含むタイヤインナーライナー用またはタイヤチューブ用ゴム組成物。
[2]ゴム成分(A)がさらにジエン系ゴムを含むことを特徴とする[1]に記載のゴム組成物。
[3]ゴム成分(A)100質量部が40質量部以上100質量部未満のブチルゴムまたはハロゲン化ブチルゴムおよび0質量部超過60質量部以下のジエン系ゴムを含むことを特徴とする[2]に記載のゴム組成物。
[4]エチレン単位とビニルアルコール単位を含む共重合体(B)が脂肪族ポリエステルで変性されたエチレン-ビニルアルコール共重合体であることを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載のゴム組成物。
[5]ジエン系ゴムが、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン共重合体、3,4-ポリイソプレン、シス-1,4-ポリイソプレン、天然ゴムおよびスチレン-イソプレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であること特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載のゴム組成物。
[6]ゴム組成物が、さらに、板状無機充填剤(C)を、ゴム成分100質量部を基準として、0.5~70質量部含むことを特徴とする[1]~[5]のいずれかに記載のゴム組成物。
[7]板状無機充填剤(C)の粒子径が1~10μm、アスペクト比Arが3~7であることを特徴とする[6]に記載のゴム組成物。
[8]ゴム組成物が、さらに、窒素吸着比表面積が10~80m2/gであるカーボンブラック(D)を、ゴム成分100質量部を基準として、5~80質量部含むことを特徴とする[1]~[7]のいずれかに記載のゴム組成物。
[9]板状無機充填剤(C)とカーボンブラック(D)の合計量が、ゴム成分100質量部を基準として、5.5~100質量部であることを特徴とする[8]に記載のゴム組成物。
[10][1]~[9]のいずれかに記載のゴム組成物を含むタイヤインナーライナーまたはタイヤチューブ。
[11][10]に記載のタイヤインナーライナーまたはタイヤチューブを含む空気入りタイヤ。
ブチルゴムとは、イソブチレン-イソプレン共重合体をいう。ブチルゴムは、イソブチレンと少量のイソプレンをフリーデルクラフト触媒を用い、塩化メチル溶媒中で-95℃前後の低温で共重合させることによって製造することができる。
ハロゲン化ブチルゴムとは、ブチルゴムにハロゲンを導入したものをいう。ハロゲン化ブチルゴムは、ブチルゴムのヘキサに溶液中で塩素ガスを付加反応させることによって製造することができる。付加反応では、ブチルゴム中のイソプレン単位に約1原子のハロゲンが結合し、1分子のハロゲン化水素が発生する。ハロゲン化ブチルゴムとしては、塩素化ブチルゴムおよび臭素化ブチルゴムが挙げられる。
ブチルゴムおよびハロゲン化ブチルゴムは市販されており、本発明において市販品を使用することができる。
ブチルゴムとハロゲン化ブチルゴムを併用してもよい。
脂肪族ポリエステル変性エチレン-ビニルアルコール共重合体の幹を形成するEVOH単位の含有量と、この幹にグラフトされた脂肪族ポリエステル単位の含有量の比率(EVOH単位の含有量/脂肪族ポリエステル単位の含有量)は、質量比で、通常40/60~99/1、好ましくは60/40~95/5、特に好ましくは80/20~90/10である。EVOH単位の含有量が低すぎると、ガスバリア性が低下する傾向がある。なお、EVOH単位の含有量と脂肪族ポリエステル単位の含有量の比率は、グラフト反応時のEVOHと脂肪族ポリエステルの仕込み比でコントロールすることができる。
これらのラクトン類は、2種以上組み合わせて使用することができる。
溶融混練の時間および温度は、特に限定されず、両物質が溶融する温度、およびグラフト化が完了する時間を適宜選べばよいが、通常50~250℃で10秒~24時間、特に150~230℃で5分~10時間の範囲が好ましく用いられる。
本発明において、板状無機充填剤の粒子径とは、レーザー回折法により測定したメディアン径(Dl:粒子径累積分布で50%のものの粒子径)をいう。
Ar=(Ds-Dl)/Ds (2)
(式中、Arはアスペクト比、Dsは遠心沈降法で測定された累積分布により求められた50%粒子径、Dlはコヒーレント光のレーザー回折法で測定された累積分布により求められた50%粒子径を表す。)
遠心沈降法で測定された50%粒子径Dsは、たとえばマイクロメリテックス計器社製セディグラグ5100粒子径測定装置を使用して測定することができる。また、コヒーレント光のレーザー回折法で測定された50%粒子径Dlは、マルバーン社製レーザー・マルバーン・マスターサイザー2000回折式粒子分布測定装置を使用して測定することができる。
板状無機充填剤は、市販されているものを使用することができ、たとえばImerys社製HARtalc(粒子径:5.7μm、アスペクト比Ar:4.7)を例示することができる。
本発明においては、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)はJIS K6217-2に準拠して測定する。
本発明は、また、前記ゴム組成物を含むタイヤインナーライナーまたはタイヤチューブである。
本発明のタイヤインナーライナーは、前記ゴム組成物を、一般的なゴムのシート加工設備を用いて、シート状に圧延や押出することにより製造することができる。
本発明のタイヤチューブは、前記ゴム組成物を、中空円筒状に押し出し、タイヤ1本分の長さに切断した後、その両端をジョイント成型することにより、未加硫ゴム組成物をチューブ状に成形し、これを加硫することにより製造することができる。
本発明は、また、前記タイヤインナーライナーまたはタイヤチューブを含む空気入りタイヤである。
本発明のタイヤインナーライナーを含む空気入りタイヤは、常法により製造することができる。たとえば、本発明のタイヤインナーライナーを、タイヤ成形用ドラムの上に置き、その上に未加硫ゴムからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常のタイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、成形後、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとし、次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、タイヤインナーライナーを含む空気入りタイヤを製造することができる。
本発明のタイヤチューブを含む空気入りタイヤは、常法により製造することができる。たとえば、タイヤ成形用ドラムの上に未加硫ゴムからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常のタイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、成形後、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとし、次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫し、最後にタイヤチューブを挿入することにより、タイヤチューブを含む空気入りタイヤを製造することができる。なお、タイヤチューブを含む空気入りタイヤは、カーカスが最内層になってもよいし、インナーライナーを最内層に配置してもよい。タイヤチューブを含む空気入りタイヤにおいて、空気漏れを抑制する機能は基本的にタイヤチューブが担うため、必ずしもインナーライナーを配置しなくてもよいが、カーカスを最内層にするとカーカスコード上のゴム厚みが薄くなり、タイヤ転動時の変形によりタイヤ最内面にクラックが発生しやすくなるため、インナーライナーを配置することによりカーカスコードからタイヤ内面までのゴムを厚くすることでクラックを抑制できる利点がある。
以下の実施例および比較例において使用した原材料は次のとおりである。
Br-IIR: エクソンモービル・ケミカル社製臭素化ブチルゴム「BROMOBUTYL」2255
天然ゴム: TSR20
変性EVOH(1): 日本合成化学工業株式会社製「ソアノール」(登録商標)SG931(脂肪族ポリエステルで変性されたエチレン-ビニルアルコール共重合体、融点:95℃、ガラス転移温度:21℃、23℃における弾性率:150MPa)
変性EVOH(2): 日本合成化学工業株式会社製「ソアノール」(登録商標)SG743(脂肪族ポリエステルで変性されたエチレン-ビニルアルコール共重合体、融点:110℃、ガラス転移温度:26℃、23℃における弾性率:350MPa)
低融点EVOH: 日本合成化学工業株式会社製エチレン-ビニルアルコール共重合体「ソアノール」(登録商標)H4815B 100質量部にトリアセチン5質量部を添加し180℃で溶融混練したもの(融点:148℃、ガラス転移温度:32℃、23℃における弾性率:1300MPa)
板状タルク: Imerys社製「HARtalc」(粒子径:5.7μm、アスペクト比Ar:4.7)
カーボンブラック: 新日化カーボン株式会社製「ニテロン」(登録商標)#GN、GPF級、窒素吸着比表面積(N2SA):33m2/g
酸化亜鉛: 正同化学工業株式会社製 酸化亜鉛3種
ステアリン酸: 日油株式会社製 ステアリン酸YR
硫黄: 細井化学工業株式会社製 油処理イオウ
加硫促進剤: 三新化学工業株式会社製「サンセラー」(登録商標)DM-PO
表1~表4に示す配合で、硫黄および加硫促進剤を除く成分を、1.8Lの密閉型ミキサーで160℃、5分間混練し、放出し、マスターバッチとした。得られたマスターバッチに、硫黄および加硫促進剤を加えて、オープンロールで混練することにより、ゴム組成物を調製した。
(2)で調製したゴム組成物(未加硫)を、金型(15cm×15cm×0.2cm)中、160℃で20分間プレス加硫して、加硫ゴムシートを作製した。
(2)で作製した加硫ゴムシートを用いて、JIS K6261「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-低温特性の求め方」の低温衝撃ぜい化試験に準拠して、脆化温度を測定した。
表1では比較例1の脆化温度を100とした指数で、表2では比較例5の脆化温度を100とした指数で、表3では比較例8の脆化温度を100とした指数で、表4では比較例11の脆化温度を100とした指数で示し、90未満を「不可」、90以上100未満を「可」、100以上を「良」と判定した。「可」および「良」は実用上問題ない水準である。評価結果を表1~表4に示す。指数については、基準となるそれぞれの比較例の脆化温度をTaとし、それ以外の比較例、実施例の脆化温度をTbとし、
Tb/Ta×100
で算出した。指数が小さいほど、基準に対して脆化温度が高いことを意味する。
(2)で作製した加硫ゴムシートを、JIS3号ダンベル型に打ち抜き、-35℃にて動歪40%の低温定歪試験を行った。
表1では比較例1の破断回数を100とした指数で、表2では比較例5の破断回数を100とした指数で、表3では比較例8の破断回数を100とした指数で、表4では比較例11の破断回数を100とした指数で示し、100超を「良」、90以上100以下を「可」、90未満を「不可」と判定した。「可」および「良」は実用上問題ない水準である。評価結果を表1~表4に示す。
(2)で作製した加硫ゴムシートについて、JIS K6394:2007に準拠して、粘弾性スペクトロメーター(株式会社東洋精機製作所製)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度60℃の条件で、tanδを測定した。
表1では比較例1のtanδ(60℃)を100とした指数で、表2では比較例5のtanδ(60℃)を100とした指数で、表3では比較例8のtanδ(60℃)を100とした指数で、表4では比較例11のtanδ(60℃)を100とした指数で示し、110以上を「不可」、100以上110未満を「可」、100未満を「良」と判定した。「可」および「良」は実用上問題ない水準である。評価結果を表1~表4に示す。
(2)で作製した加硫ゴムシートについて、JIS K 7126に準拠して、21℃、0%RHにおける酸素透過係数を測定した。
表1では比較例1の酸素透過係数を100とした指数で、表2では比較例5の酸素透過係数を100とした指数で、表3では比較例8の酸素透過係数を100とした指数で、表4では比較例11の酸素透過係数を100とした指数で示し、100超を「不可」、98以上105以下を「可」、98未満を「良」と判定した。「可」は実用上問題ない水準であり、「良」はガスバリア性向上の効果があると見なせる水準である。評価結果を表1~表4に示す。
Claims (8)
- 臭素化ブチルゴムを含むゴム成分(A)100質量部、脂肪族ポリエステルで変性されたエチレン-ビニルアルコール共重合体(B)3~80質量部、板状タルク(C)1~70質量部およびカーボンブラック(D)15~70質量部を含むタイヤインナーライナー用またはタイヤチューブ用ゴム組成物。
- ゴム成分(A)がさらにジエン系ゴムを含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
- ゴム成分(A)100質量部が40質量部以上100質量部未満の臭素化ブチルゴムおよび0質量部超過60質量部以下のジエン系ゴムを含むことを特徴とする請求項2に記載のゴム組成物。
- ジエン系ゴムが、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン共重合体、3,4-ポリイソプレン、シス-1,4-ポリイソプレン、天然ゴムおよびスチレン-イソプレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であること特徴とする請求項2または3に記載のゴム組成物。
- 板状タルク(C)の粒子径が1~10μm、アスペクト比Arが3.0~7.0であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- カーボンブラック(D)の窒素吸着比表面積が10~80m2/gであることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載のゴム組成物を含むタイヤインナーライナーまたはタイヤチューブ。
- 請求項7に記載のタイヤインナーライナーまたはタイヤチューブを含む空気入りタイヤ。
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