以下、添付図面を参照しながら本発明に係る保持部材及び建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である保持部材を適用した建具の要部を示したものである。ここで例示する建具は、枠体10に対して室内側の内障子20及び室外側の外障子30をスライド可能に配設した引き違い窓と称されるものである。枠体10は、図には明示していないが、上枠、下枠(建材)11及び左右の縦枠12を四周枠組みすることによって構成したものである。内障子20及び外障子30は、それぞれ矩形状を成すガラス等の面材21,31の四周にそれぞれ上框、下框22,32及び左右の縦框を装着することによって構成したものである。枠体10の枠及び障子の框は、いずれもアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、それぞれが長手に沿った全長にわたってほぼ一様な断面形状を有するように構成してある。
この引き違い窓には、下枠11に2つのレール部41,42が設けてある。2つのレール部41,42は、それぞれ鉛直方向に沿って延在する平板状を成し、個々の上縁部が室内側に向けて凸となるように厚板状となったもので、互いに平行となるように見込み方向に並設してある。室内側の内レール部41は、戸車23を介して内障子20をスライド可能に支持するものであり、室外側の外レール部(押圧受部)42は、戸車33を介して外障子30をスライド可能に支持するものである。
ここで、見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。つまり、図1においては紙面に沿った左右方向が見込み方向となる。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。また、この実施の形態では見付け方向という用語も用いる。見付け方向は、下枠11等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠12等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
図1及び図2からも明らかなように、内レール部41は、外レール部42よりも突出高さが大きくなるように構成してあり、外レール部42との間が湾曲凹状の連結壁部43によって連結してある。連結壁部43は、内レール部41に沿って上下に延在する垂直延在部43aと、垂直延在部43aの下端から室外に向けて漸次下方となるように傾斜した傾斜延在部43bと、傾斜延在部43bの下端から室外に向けてほぼ水平に延在した水平延在部43cとを有したものである。水平延在部43cの延在縁部は、外レール部42の下端に連結している。また、内レール部41の下縁部には、気密材保持壁部(押圧受部)44が設けてある。気密材保持壁部44は、内レール部41の室外に臨む見付け面41aから室外に向けてほぼ水平に延在した後、下方に向けてほぼ直角に屈曲したもので、室外に臨む部分に装着溝44aが形成してある。装着溝44aは、外障子30の室内に臨む見付け面30aに当接するための気密材50が装着されるものである。この連結壁部43には、上方に位置する表面(取付表面)43dに熱膨張性部材60が配設してあるとともに、熱膨張性部材60の表面複数箇所に保持部材70が配設してある。
熱膨張性部材60は、熱により膨張する不燃性または難燃性の耐火部材である。この種の熱膨張性部材60としては、例えば熱膨張性を有した黒鉛含有の発泡材を適用することができる。本実施の形態では、図3に示すように、幅方向の寸法に対して板厚の薄い断面形状を有した長尺状の熱膨張性部材60を適用し、下枠11の適宜箇所に配設してある。図には明示していないが、熱膨張性部材60は、下枠11の全長に配設しても良いし、下枠11の一部分にのみ配設しても良い。熱膨張性部材60には、連結壁部43の垂直延在部43a、傾斜延在部43b及び水平延在部43cのそれぞれに対して隙間なく配設することができるように、長手に沿った2つの折り曲げ線61が設けてある。すなわち、熱膨張性部材60には、2つの折り曲げ線61を設けることにより、垂直延在部43aに対応して配設される第1平面膨張部60aと、傾斜延在部43bに対応して配設される第2平面膨張部60bと、水平延在部43cに対応して配設される第3平面膨張部60cとが設けてある。図には明示していないが、熱膨張性部材60の3つの平面膨張部60a,60b,60cと連結壁部43の表面43dとの間には、それぞれ両面テープ等の接着手段が設けてある。
保持部材70は、ステンレス鋼等の比較的弾性に富んだ金属の薄板によって成形したものである。本実施の形態では、図2~図4に示すように、基板部71と、基板部71の両側端部に設けた2つの押圧片部72,73とを一体に成形した保持部材70を適用している。この保持部材70は、熱膨張性部材60が外部に露出するように配設することが好ましい。また保持部材70を設ける数は、熱膨張性部材60の長さによって適宜選択すれば、1つであっても複数でも良い。
基板部71は、熱膨張性部材60の表面に当接するもので、垂直当接部71a、傾斜当接部71b、水平当接部71cを有している。垂直当接部71aは、連結壁部43の垂直延在部43aとの間に熱膨張性部材60の第1平面膨張部60aを挟持するものである。同様に、傾斜当接部71bは、連結壁部43の傾斜延在部43bとの間に熱膨張性部材60の第2平面膨張部60bを挟持するもので、水平当接部71cは、連結壁部43の水平延在部43cとの間に熱膨張性部材60の第3平面膨張部60cを挟持するものである。これら垂直当接部71a、傾斜当接部71b、水平当接部71cは、下枠11の長手に沿う方向の寸法(以下、保持部材70においては幅方向と称する)が互いに同一となるように形成してある。図2(b)からも明らかなように、垂直当接部71aと傾斜当接部71bとの間は、外力が加えられていない場合(以下、常態にある場合という)、互いの屈曲角度が連結壁部43における垂直延在部43aと傾斜延在部43bとの屈曲角度よりもわずかに大きくなるように成形してある。傾斜当接部71bと水平当接部71cとの間においても、常態にある場合、互いの屈曲角度が連結壁部43における傾斜延在部43bと水平延在部43cとの屈曲角度よりもわずかに大きくなるように成形してある。
第1の押圧片部72は、水平当接部71cの端部から一方の表面側に屈曲するように延在したもので、幅方向の寸法が水平当接部71cとほぼ同一である。第1の押圧片部72と水平当接部71cとの間の互いの屈曲角度は、常態にある場合、水平延在部43cと外レール部42との挟角(90°)よりも大きくなるように鈍角に構成してある。水平当接部71cからの第1の押圧片部72の突出寸法は、外レール部42において水平延在部43cから厚板となる部分までの距離よりも短くなるように構成してある。常態にある場合には、垂直当接部71aから第1の押圧片部72の延在縁部までの見込み方向に沿った寸法が、垂直延在部43aから外レール部42までの距離よりも大きい。
第2の押圧片部73は、垂直当接部71aの端部から第1の押圧片部72と同じ表面側に屈曲するように延在したもので、垂直当接部71aの両側から突出するように、幅方向の寸法が垂直当接部71aよりも大きく構成してある。第2の押圧片部73と垂直当接部71aとの間の互いの屈曲角度は、常態にある場合、垂直延在部43aと気密材保持壁部44との挟角とほぼ同じ90°である。垂直当接部71aからの第2の押圧片部73の突出寸法は、垂直延在部43aからの気密材保持壁部44の突出寸法よりも短くなるように構成してある。この第2の押圧片部73には、逃げ部(位置決め手段:切欠)73aが設けてあるとともに、垂直当接部71aから突出した部分にそれぞれ係止片部73bが一体に設けてある。逃げ部73aは、第2の押圧片部73の先端縁部において幅方向のほぼ中央となる部分に形成した湾曲凹状の切欠である。係止片部73bは、第2の押圧片部73において垂直当接部71aが延在する基端縁部から突出したもので、突出寸法及び幅方向の寸法がいずれも垂直当接部71aより短く構成してある。常態にある場合には、第2の押圧片部73から水平当接部71cの延在縁部までの距離が、気密材保持壁部44から水平延在部43cまでの距離よりも大きい。
なお、保持部材70における基板部71、押圧片部72,73の連結部や基板部71における垂直当接部71a、傾斜当接部71b、水平当接部71cの連結部は、折り目が付くように屈曲しても良いし、R曲げ等のように湾曲状に構成しても良い。
一方、上述した熱膨張性部材60には、保持部材70を設けるべき位置に位置決め用目印62及び係止切欠部63が設けてある。位置決め用目印62は、熱膨張性部材60の第3平面膨張部60cを一部切り欠くことによって構成してある。本実施の形態では、熱膨張性部材60の端部に端部位置決め用目印62Aが設けてあり、熱膨張性部材60の中間部に中間部位置決め用目印62Bが設けてある。端部位置決め用目印62Aは、第3平面膨張部60cの端部を矩形状に切り欠くことによって形成してある。この端部位置決め用目印62Aは、基板部71によって覆われず、かつ下枠11の短手に沿った切欠縁部62aに対して保持部材70における基板部71の縁部が合致されている場合に、熱膨張性部材60に対して所望の位置に保持部材70が位置決め配置されていることを示すものである。中間部位置決め用目印62Bは、第3平面膨張部60cの縁部を半円状に切り欠くことによって形成してある。半円の直径は、基板部71の幅方向に沿った寸法よりも小さい。この中間部位置決め用目印62Bは、基板部71によってすべてが覆い隠された場合に、熱膨張性部材60に対して所望の位置に保持部材70が位置決め配置されていることを示すものである。
係止切欠部63は、熱膨張性部材60の第1平面膨張部60aを一部切り欠くことによって構成したもので、保持部材70の係止片部73bを収容することのできる大きさの矩形状に形成してある。この係止切欠部63は、保持部材70の係止片部73bが配置された状態で熱膨張性部材60に対して保持部材70が移動した場合に係止片部73bに係合することで相対移動を制限するように機能する。上述したように、保持部材70には、2つの係止片部73bが設けてあるが、係止切欠部63はそれぞれの保持部材70に対して一つだけ設けるようにしている。すなわち、図示の例のように、熱膨張性部材60の端部においては、保持部材70が位置決め配置された場合、一方の係止片部73bが係止切欠部63に配置される一方、もう一方の係止片部73bが熱膨張性部材60の外部に配置されるようにそれぞれの寸法が設定してある。熱膨張性部材60の中間部においては、第2平面膨張部60bからの第1平面膨張部60aの延在寸法を短縮することで一方の係止片部73bのみが係止切欠部63に収容されるように構成してある。
上記のように構成した保持部材70は、連結壁部43の表面43dに熱膨張性部材60が貼り付けられた後に気密材保持壁部44と外レール部42との間に装着されることになる。上述したように、常態においては、保持部材70の基板部71を構成する垂直当接部71a、傾斜当接部71b、水平当接部71cの相互屈曲角度や押圧片部72,73との屈曲角度が、連結壁部43を構成する垂直延在部43a、傾斜延在部43b、水平延在部43cの相互屈曲角度や外レール部42、気密材保持壁部44との屈曲角度よりも大きいため、撓んだ状態で気密材保持壁部44及び外レール部42の間に装着されることになる。
これにより、気密材保持壁部44と外レール部42との間に装着した後においては、保持部材70が自己の弾性復元力によって下枠11に装着された状態が維持されることになる。すなわち、第2の押圧片部73が気密材保持壁部44の下面に押圧されるとともに、第1の押圧片部72が外レール部42において室内側の表面に押圧されることで下枠11からの脱落が阻止され、さらには基板部71によって熱膨張性部材60が連結壁部43の表面43dに押圧された状態となる。従って、仮に、経年劣化によって連結壁部43と熱膨張性部材60との間に設けた両面テープの接着性が弱くなったり、外部から熱膨張性部材60に外力が加えられたとしても、下枠11から熱膨張性部材60が脱落する事態は、保持部材70によって阻止されることになり、長期にわたって建具に高い防火性能を確保することが可能となる。しかも、保持部材70の弾性復元力によって保持部材70を下枠11に保持させるとともに、熱膨張性部材60の剥がれを防止するようにしているため、ネジ等の部品が別に必要になることがない。このため、下枠11に対してネジ孔を設ける等の加工を施す必要がなく、製造作業を容易化することができるとともに、製造コストの削減を図ることも可能となる。
加えて、熱膨張性部材60に位置決め用目印62を設けるようにしているため、所望となる位置に保持部材70を正確に装着することができるばかりでなく、保持部材70の装着忘れを認識できるようになり、熱膨張性部材60が下枠11から脱落する事態をより確実に防止することができる。さらに、位置決めされた保持部材70は、係止片部73bが熱膨張性部材60の係止切欠部63に収容された状態となるため、熱膨張性部材60に対して保持部材70が位置ずれする事態を招来するおそれもない。しかも、建具を外部から視認した場合に、気密材保持壁部44によって覆われる熱膨張性部材60の第1平面膨張部60aに係止切欠部63を設けるようにしているため、係止片部73bや係止切欠部63が外部に露出することがなく、建具の外観品質が損なわれる事態を招来することがない。逆に、覗き込むことで外部から容易に視認可能となる熱膨張性部材60の第3平面膨張部60cに位置決め用目印62を設けるようにしているため、保持部材70を正確な位置に装着する作業を容易に実施可能である。
さらに、保持部材70の第2の押圧片部73に逃げ部73aが設けてある。従って、図5に示すように、気密材保持壁部44において逃げ部73aに対応する部分にネジ(位置決め手段:突部)74を螺合することによって突部を形成すれば、下枠11に対する保持部材70の位置決めを行うことが可能となる。このネジ74は、位置決めのためだけに下枠11に設けても良いし、下枠11に部品を取り付けるためのものを兼用することも可能である。なお、下枠11に設ける突部は必ずしもネジである必要はなく、下枠11に設けた孔に嵌合する部材であっても良いし、下枠11に一体に設けるようにしても構わない。
なお、上述した実施の形態では、引き違い窓の下枠11を例示しているが、必ずしも下枠11である必要はなく、枠体の上枠や縦枠12、あるいは障子を構成する框でも良いし、これらの枠や框を補強するための補強材等々、その他の建材に熱膨張性部材を設ける場合にも適用することが可能である。また、保持部材70についても実施の形態のものに限らず、弾性復元力によって建材に装着された状態を維持し、かつ弾性復元力によって熱膨張性部材を建材に押圧することのできるものであれば、その他の形状のものでも良い。この場合、保持部材としては必ずしも金属によって成形する必要はなく、樹脂によって成形することも可能である。
図6~図10は、様々な保持部材の変形例を適用した建具を示したものである。図6(a)及び図7(a)は枠体の上枠(建材)100,300を示すものであり、図6(b)、図7(b)、図8は枠体の下枠(建材)200,400,500を示すものである。図9は、障子の框(建材)600を示すもので、図10は、引き違い窓の召し合わせに配置される縦框(建材)700を示すものである。
図6(a)の上枠100に示す変形例1は、上下に延在する第1上ヒレ部101の室内に臨む見付け面101aを取付表面として配設された熱膨張性部材60を保持部材110によって押圧するものである。すなわち、変形例1の保持部材110は、第1上ヒレ部101と、第1上ヒレ部101に対向して上下に延在する第2上ヒレ部(押圧受部)102との間に装着されるもので、平板状を成す基板部111と、基板部111の両側端部から延在した2つの平板状を成す押圧片部112,113とが金属薄板によって一体に成形してある。図中の2点鎖線で示すように、常態においては、保持部材110の2つの押圧片部112,113が漸次離反するように基板部111に対して傾斜している。常態における2つの押圧片部112,113の最大寸法は、第1上ヒレ部101と第2上ヒレ部102との相互間隔よりも大きい。上枠100に保持部材110が装着された状態においては、一方の押圧片部112が熱膨張性部材60を介して第1上ヒレ部101に押圧され、他方の押圧片部113が第2上ヒレ部102に押圧される。つまり、保持部材110は、弾性復元力によって上枠100に装着した状態が維持され、かつ弾性復元力によって熱膨張性部材60を第1上ヒレ部101に押圧した状態となる。
図6(b)の下枠200に示す変形例2は、上下に延在する第1下ヒレ部201の室内に臨む見付け面201aを取付表面として配設された熱膨張性部材60を保持部材210によって押圧するものである。保持部材210は、第1下ヒレ部201と、第1下ヒレ部201に対向して上下に延在する第2下ヒレ部(押圧受部)202との間に装着されるもので、平板状を成す基板部211と、基板部211の両側端部から延在した2つの平板状を成す2つの押圧片部212,213とが金属薄板によって一体に成形してある。図中の2点鎖線で示すように、常態においては、保持部材210の2つの押圧片部212,213が漸次離反するように基板部211に対して傾斜している。常態における2つの押圧片部212,213の最大寸法は、第1下ヒレ部201と第2下ヒレ部202との相互間隔よりも大きい。下枠200に保持部材210が装着された状態においては、一方の押圧片部212が熱膨張性部材60を介して第1下ヒレ部201に押圧され、他方の押圧片部213が第2下ヒレ部202に押圧される。つまり、保持部材210は、弾性復元力によって下枠200に装着した状態が維持され、かつ弾性復元力によって熱膨張性部材60を第1下ヒレ部201に押圧した状態となる。
図6(b)の下枠200に示す変形例3は、上下に延在する第4下ヒレ部204の室外に臨む見付け面204aを取付表面として配設された熱膨張性部材60を保持部材220によって押圧するものである。保持部材220は、第4下ヒレ部204と、第4下ヒレ部204に対向して上下に延在する第3下ヒレ部(押圧受部)203との間に装着されるもので、平板状を成す基板部221と、基板部221の両側端部から延在した平板状を成す2つの押圧片部222,223とが金属薄板によって一体に成形してある。この変形例3においては、第3下ヒレ部203と、第4下ヒレ部204とが中空部を構成している。図中の2点鎖線で示すように、常態においては、保持部材220の2つの押圧片部222,223が漸次離反するように基板部221に対して傾斜している。常態における2つの押圧片部222,223の最大寸法は、第3下ヒレ部203と第4下ヒレ部204との相互間隔よりも大きい。下枠200に対しては、中空部の開口端から熱膨張性部材60の両端部にのみ装着すれば良い。下枠200に保持部材220が装着された状態においては、一方の押圧片部222が第3下ヒレ部203に押圧され、他方の押圧片部223が熱膨張性部材60を介して第4下ヒレ部204に押圧される。つまり、保持部材220は、弾性復元力によって下枠200に装着した状態が維持され、かつ弾性復元力によって熱膨張性部材60を第4下ヒレ部204に押圧した状態となる。
図6(b)の下枠200に示す変形例4は、実施の形態と同様のものである。すなわち、上下に沿って延在する第7下ヒレ部207の室内に臨む見付け面207aを取付表面として配設された熱膨張性部材60を保持部材230によって押圧するものである。保持部材230は、第7下ヒレ部207の上下両端部から見込み方向に延在した第5下ヒレ部205及び第6下ヒレ部206をそれぞれ押圧受部として互いの間に装着されるもので、平板状を成す基板部231と、基板部231の両側端部から延在した平板状を成す2つの押圧片部232,233とが金属薄板によって一体に成形してある。図中の2点鎖線で示すように、常態においては、保持部材230の2つの押圧片部232,233が漸次離反するように基板部231に対して傾斜している。常態における2つの押圧片部232,233の最大寸法は、第5下ヒレ部205と第6下ヒレ部206との相互間隔よりも大きい。第5下ヒレ部205は、ほぼ水平となるように延在している一方、第6下ヒレ部206は、室外に向けて漸次下方となるように傾斜している。下枠200に保持部材230が装着された状態においては、一方の押圧片部232が第5下ヒレ部205に押圧され、他方の押圧片部233が第6下ヒレ部206に押圧される。つまり、保持部材230は、弾性復元力によって下枠200に装着した状態が維持され、弾性復元力によって基板部231を介して熱膨張性部材60を第7下ヒレ部207に押圧した状態となる。
図6(b)の下枠200に示す変形例5は、第2下ヒレ部202の室内に臨む見付け面202aを取付表面として配設された熱膨張性部材60を保持部材240によって押圧するものである。保持部材240は、第2下ヒレ部202と、第2下ヒレ部202と同じ方向に突出した第8下ヒレ部(押圧受部)208との間に装着されるもので、基端縁部が互いに連結された押圧片部241,242が金属薄板によって一体に成形してある。図中の2点鎖線で示すように、常態においては、保持部材240の2つの押圧片部241,242の相互屈曲角度が第2下ヒレ部202と第9下ヒレ部209との挟角(90°)よりも大きくなるように鈍角に構成してある。常態における押圧片部241の端面から押圧片部242までの最大寸法は、第2下ヒレ部202と第8下ヒレ部208との相互間隔よりも大きい。第8下ヒレ部208については、第2下ヒレ部202に対向するように延在している必要はなく、一方の押圧片部241の端面が当接可能となるものであれば、第2下ヒレ部202と同一方向にわずかに突出していれば十分である。第8下ヒレ部208の突出方向が第2下ヒレ部202と平行である必要もない。下枠200に保持部材240が装着された状態においては、一方の押圧片部241の端面が第8下ヒレ部208に当接し、かつ他方の押圧片部242が第2下ヒレ部202に押圧される。つまり、保持部材240は、弾性復元力によって下枠200に装着した状態が維持され、かつ弾性復元力によって熱膨張性部材60を第2下ヒレ部202に押圧した状態となる。
図7(a)の上枠300に示す変形例6は、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在する第1上ヒレ部301の下面301aを取付表面として配設された熱膨張性部材60を保持部材310によって押圧するものである。変形例6の保持部材310は、第1上ヒレ部301と、第1上ヒレ部301の下面301aに対向するように設けられた2つの対向リブ(押圧受部)302a,303aとの間に装着されるもので、平板状を成す基板部311と、基板部311の両側端部から同じ方向に向けて延在した2つの平板状を成す押圧片部312とが金属薄板によって一体に成形してある。図中の2点鎖線で示すように、常態においては、保持部材310の2つの押圧片部312がそれぞれ基板部311に対してほぼ直角となるように延在している。上枠300の対向リブ302a,303aは、第1上ヒレ部301の室外側となる縁部及び室内側となる縁部からそれぞれ下方に向けてほぼ直角に延在した第2上ヒレ部302及び第3上ヒレ部303の下端縁部から互いに対向する向きに突出したものである。第1上ヒレ部301の下面301aと対向リブ302a,303aとの相互間隔は、保持部材310に設けた押圧片部312の延在長さよりもわずかに短く設定してある。対向リブ302a,303aの相互間隔は、基板部311よりもわずかに大きい。この保持部材310は、基板部311が下方に向けて凸となるように湾曲させ、この状態から押圧片部312の延在縁部をそれぞれ対向リブ302a,303aの上面に当接させることによって上枠300に装着されることになる。上枠300に保持部材310が装着された状態においては、2つの押圧片部312がそれぞれ第1上ヒレ部301及び対向リブ302a,303aに押圧される。つまり、保持部材310は、弾性復元力によって上枠300に装着した状態が維持され、かつ弾性復元力によって熱膨張性部材60を第1上ヒレ部301に押圧した状態となる。
図7(a)の上枠300に示す変形例7は、上下に延在する第4上ヒレ部304の室外に臨む見付け面304aを取付表面として配設された熱膨張性部材60を保持部材320によって押圧するものである。変形例7の保持部材320は、第4上ヒレ部304と、第4上ヒレ部304に対向して上下に延在する第5上ヒレ部(押圧受部)305との間に装着されるもので、平板状を成す基板部321と、基板部321の両側端部から延在した2つの平板状を成す2つの押圧片部322,323とが金属薄板によって一体に成形してある。図中の2点鎖線で示すように、常態においては、保持部材320の2つの押圧片部322,323が漸次離反するように基板部321に対して傾斜している。常態における2つの押圧片部322,323の最大寸法は、第4上ヒレ部304と第5上ヒレ部305との相互間隔よりも大きい。上枠300に保持部材320が装着された状態においては、一方の押圧片部323が熱膨張性部材60を介して第4上ヒレ部304に押圧され、他方の押圧片部322が第5上ヒレ部305に押圧される。つまり、保持部材320は、弾性復元力によって上枠300に装着した状態が維持され、かつ弾性復元力によって熱膨張性部材60を第4上ヒレ部304に押圧した状態となる。
図7(b)の下枠400に示す変形例8は、変形例4とほぼ同様である。すなわち、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在する第1下ヒレ部401の上面401aを取付表面として配設された熱膨張性部材60を保持部材410によって押圧するものである。保持部材410は、第1下ヒレ部401の室外側となる縁部及び室内側となる縁部から上方に向けて延在した第2下ヒレ部402及び第3下ヒレ部403をそれぞれ押圧受部として互いの間に装着されるもので、平板状を成す基板部411と、基板部411の両側端部から延在した平板状を成す2つの押圧片部412,413とが金属薄板によって一体に成形してある。図中の2点鎖線で示すように、常態においては、保持部材410の2つの押圧片部412,413が漸次離反するように基板部411に対して傾斜している。常態における2つの押圧片部412,413の最大寸法は、第2下ヒレ部402と第3下ヒレ部403との相互間隔よりも大きい。下枠400に保持部材410が装着された状態においては、一方の押圧片部412が第2下ヒレ部402に押圧され、他方の押圧片部413が第3下ヒレ部403に押圧される。つまり、保持部材410は、弾性復元力によって下枠400に装着した状態が維持され、弾性復元力によって基板部411を介して熱膨張性部材60を第1下ヒレ部401に押圧した状態となる。
図7(b)の下枠400に示す変形例9は、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在する気密材保持壁部404と外障子を支持する外レール部405との間に湾曲状に延在する連結壁部406を有し、連結壁部406の表面406dを取付表面として配設された熱膨張性部材60を保持部材420によって押圧するものである。気密材保持壁部404には、連結壁部406の垂直延在部406aに対向するように見付け面404aが設けてある。保持部材420は、気密材保持壁部404の室内に臨む見付け面404aを押圧受部として装着されるもので、平板状を成す基板部421と、基板部421の両側端部から延在した平板状を成す2つの押圧片部422,423とが金属薄板によって一体に成形してある。図中の2点鎖線で示すように、常態においては、保持部材420の2つの押圧片部422,423が漸次離反するように基板部421に対して傾斜している。常態における2つの押圧片部422,423の最大寸法は、気密材保持壁部404の見付け面404aと連結壁部406の垂直延在部406aとの相互間隔よりも大きい。下枠400に保持部材420が装着された状態においては、一方の押圧片部422が気密材保持壁部404の見付け面404aに押圧され、他方の押圧片部423が連結壁部406の垂直延在部406aに押圧される。つまり、保持部材420は、弾性復元力によって下枠400に装着した状態が維持され、弾性復元力によって熱膨張性部材60を連結壁部406の垂直延在部406aに押圧した状態となる。
図8(a)の下枠500に示す変形例10は、実施の形態と同様のものである。すなわち、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在する気密材保持壁部(押圧受部)504と外障子を支持する外レール部505との間に湾曲状に延在する連結壁部506を有し、連結壁部506の表面506aを取付表面として配設された熱膨張性部材60を保持部材430によって押圧するものである。保持部材430としては、実施の形態のものと同様、基板部431と、基板部431の両側端部に設けた2つの押圧片部432,433とを金属薄板によって一体に成形したものを適用している。但し、この変形例10では、外レール部505に障子ストッパ510と称される機能部品が取り付けてある。障子ストッパ510は、外レール部505を収容する切欠511が設けられた板状を成すもので、外レール部505よりも室内側となる部分に押圧受部512が構成してある。この変形例10では、連結壁部506の表面506dに熱膨張性部材60が貼り付けられた後、外レール部505に取り付けた障子ストッパ510と気密材保持壁部504との間に保持部材430が撓んだ状態で装着される。保持部材430が下枠500に装着された後においては、自己の弾性復元力によって保持部材430が下枠500に装着された状態が維持され、さらには基板部431によって熱膨張性部材60が連結壁部506の表面506dに押圧された状態となる。この変形例10によれば、下枠500に保持部材430を押圧するための構成が一体に設けられていない場合にも、障子ストッパ510によって押圧受部512を構成することができ、保持部材430の装着が可能となる利点がある。
図8(a)及び図8(b)の下枠500に示す変形例11は、上方に向けて延在した
第2下ヒレ部502及び第3下ヒレ部503の互いに対向する表面502a,503aを取付表面としてそれぞれに配設された熱膨張性部材60を保持部材440によって押圧するものである。保持部材440は、熱膨張性部材60が配設された表面502a,503aを押圧受部として第2下ヒレ部502及び第3下ヒレ部503の間に装着されるもので、平板状を成す基板部441と、基板部441の両側端部から延在した2つの押圧片部442,443とが金属薄板によって一体に成形してある。図中の2点鎖線で示すように、常態においては、保持部材440の2つの押圧片部442,443が漸次離反するように基板部441に対して傾斜している。押圧片部442,443の延在縁部は、互いに近接するように屈曲している。常態における2つの押圧片部442,443の最大寸法は、第2下ヒレ部502と第3下ヒレ部503との相互間隔よりも大きい。図8(b)からも明らかなように、変形例11では、押圧片部442,443が水平に延在する姿勢で保持部材440を第2下ヒレ部502と第3下ヒレ部503との間に装着している。下枠500に保持部材440が装着された状態においては、一方の押圧片部442が熱膨張性部材60を介して第2下ヒレ部502に押圧され、他方の押圧片部443が熱膨張性部材60を介して第3下ヒレ部503に押圧される。つまり、保持部材440は、弾性復元力によって下枠500に装着した状態が維持され、弾性復元力によって熱膨張性部材60,60を第2下ヒレ部502の表面502a及び第3下ヒレ部503の表面503aに押圧した状態となる。
図9の框600に示す変形例12は、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在する第1上ヒレ部601の外周面601aを取付表面として配設された熱膨張性部材60を保持部材450によって押圧するものである。変形例12の保持部材450は、第1上ヒレ部601と、第1上ヒレ部601の外周面601aに対向するように設けられた2つの対向リブ(押圧受部)602a,603aとの間に装着されるもので、平板状を成す基板部451と、基板部451の両側端部から同じ方向に向けて延在した2つの平板状を成す押圧片部452とが金属薄板によって一体に成形してある。図中の2点鎖線で示すように、常態においては、保持部材450の2つの押圧片部452がそれぞれ漸次離反するように基板部451に対して傾斜するように延在している。框600の対向リブ602a,603aは、見込み方向において互いに離隔した位置からそれぞれ外周側に向けてほぼ直角に延在した第2上ヒレ部602及び第3上ヒレ部603の延在縁部から互いに対向する向きに突出したものである。第1上ヒレ部601の外周面601aと対向リブ602a,603aとの相互間隔は、基板部451からの押圧片部452の突出寸法と熱膨張性部材60の板厚との合計よりもわずかに短く設定してある。対向リブ602a,603aの相互間隔は、押圧片部452の延在縁部間の距離よりも小さい。この保持部材450は、基板部451が外周側に向けて凸となるように湾曲させ、この状態から押圧片部452の延在縁部をそれぞれ対向リブ602a,603aに当接させることによって框600に装着されることになる。框600に保持部材450が装着された状態においては、2つの押圧片部452がそれぞれ熱膨張性部材60及び対向リブ602a,603aに押圧される。つまり、保持部材450は、弾性復元力によって框600に装着した状態が維持され、かつ弾性復元力によって熱膨張性部材60を第1上ヒレ部601に押圧した状態となる。
図10の縦框700に示す変形例13は、室内側に向けて突出する煙返し701の内壁面701aを取付表面として配設された熱膨張性部材60を保持部材470によって押圧するものである。煙返し701は、縦框700の室内に臨む見付け面700aにおいて外周側となる縁部から室内に向けて突出した後、内周側に向けてほぼ直角に屈曲したもので、見込み方向に沿った部分の内壁面701aに熱膨張性部材60が配設してある。変形例12の保持部材470は、煙返し701の内壁面701aと縦框700の見付け面700aに設けた縦溝702の見込み方向に沿った内壁面(押圧受部)702aとの間に装着されるもので、平板状を成す基板部471と、基板部471の基板部471の両側端部から互いに離反し、かつ相互に平行となるように延在した2つの平板状を成す押圧片部472,473とが金属薄板によって一体に成形してある。図中の2点鎖線で示すように、常態においては、一方の押圧片部472の延在縁部472aから他方の押圧片部473の延在縁部473aまでの距離が煙返し701の内壁面701aから縦溝702の内壁面702aまでの距離よりも長くなるように形成してある。この保持部材470は、一方の押圧片部472の延在縁部472aを熱膨張性部材60の表面に当接させた後、基板部471に対する押圧片部472,473の屈曲角度がそれぞれ小さくなるように保持部材470を変形させると、一方の押圧片部472の延在縁部472aから他方の押圧片部473の延在縁部473aまでの距離が短くなる。従って、この状態から、他方の押圧片部473を縦溝702の内部に挿入させれば、保持部材470が縦框700に装着されることになる。縦框700に保持部材470が装着された状態においては、一方の押圧片部472が熱膨張性部材60を介して煙返し701の内壁面701aに押圧され、他方の押圧片部473が縦溝702の内壁面702aに押圧される。つまり、保持部材470は、弾性復元力によって縦框700に装着した状態が維持され、かつ弾性復元力によって熱膨張性部材60を煙返し701の内壁面701aに押圧した状態となる。
また、上述した実施の形態及び変形例1~変形例13では、保持部材として熱膨張性部材を押圧する機能のみを有したものを例示しているが、例えば、図11に示す変形例14のように、保持部材800の表面に防虫用のモヘア801を設ければ、別に付属部品を設けることなく、下枠11において室内に虫が侵入する事態を防止することが可能となる。なお、変形例14において実施の形態と同様の構成については同一の符号が付してある。また、保持部材の表面に設ける付属部品としてはモヘア801に限らず、例えばスポンジ状を成す防虫用付属部品や、気密性や水密性を確保するための付属部品、さらには隙間を隠すための付属部品等、その他のものであっても良い。
以上のように本発明に係る保持部材は、弾性材料によって成形され、弾性復元力によって建材に装着された状態を維持するとともに、弾性復元力によって前記建材の取付表面に熱膨張性部材を押圧することを特徴としている。
この発明によれば、保持部材の弾性復元力によって保持部材が建材に装着された状態を維持するとともに、熱膨張性部材が建材に押圧された状態となるため、ネジ等々、保持部材を建材に保持させるための部品が別に必要になることがなく、建材にネジ孔等の加工を施す必要もない。従って、製造作業を容易化することができるとともに、製造コストの削減を図ることが可能となる。
また本発明に係る建具は、建材の取付表面に熱膨張性部材が設けられる建具であって、弾性復元力によって前記建材に装着された状態を維持するとともに、弾性復元力によって前記建材の取付表面に前記熱膨張性部材を押圧する保持部材を備えたことを特徴としている。
この発明によれば、保持部材の弾性復元力によって保持部材が建材に装着された状態を維持するとともに、熱膨張性部材が建材に押圧された状態となるため、ネジ等々、保持部材を建材に保持させるための部品が別に必要になることがなく、建材にネジ孔等の加工を施す必要もない。従って、製造作業を容易化することができるとともに、製造コストの削減を図ることが可能となる。
また本発明は、上述した建具において、前記保持部材には、互いに異なる方向に延在する2つの押圧片部が設けられ、前記建材には、前記取付表面の互いに異なる位置から突出するように2つの押圧受部が設けられ、前記押圧片部が前記押圧受部のそれぞれに押圧されていることを特徴としている。
この発明によれば、保持部材の押圧片部をそれぞれ建材の押圧受部に押圧させることにより、保持部材が建材に装着された状態を維持し、かつ熱膨張性部材が建材に押圧された状態となる。
また本発明は、上述した建具において、前記保持部材には、互いに異なる方向に延在する2つの押圧片部が設けられ、前記建材には、前記取付表面に対向するように押圧受部が設けられ、前記押圧片部の一方が前記熱膨張性部材を介して前記取付表面に押圧されているとともに、前記押圧片部の他方が前記押圧受部に押圧されていることを特徴としている。
この発明によれば、一方の押圧片部が熱膨張性部材を介して取付表面を押圧し、かつ他方の押圧片部が建材の押圧受部を押圧するように保持部材を建材に設ければ、保持部材が建材に装着された状態を維持し、かつ熱膨張性部材が建材に押圧された状態となる。
また本発明は、上述した建具において、前記保持部材は、前記取付表面に対向する基板部を有し、前記基板部の両側端部から前記2つの押圧片部がそれぞれ屈曲して延在していることを特徴としている。
この発明によれば、2つの押圧片部が建材を押圧するように保持部材を建材に設ければ、基板部を介して熱膨張性部材が建材に押圧された状態となる。
また本発明は、上述した建具において、前記保持部材には、互いに異なる方向に延在する2つの押圧片部が設けられ、かつ前記2つの押圧片部の基端部が互いに連結されており、前記建材には、前記取付表面の互いに異なる位置から突出するように2つの押圧受部が設けられ、前記押圧片部の一方が端面を介して前記押圧受部の一方に当接し、かつ前記押圧片部の他方が前記押圧受部の他方に押圧されていることを特徴としている。
この発明によれば、保持部材としてL字状に屈曲した単純な形状を成すものを適用すれば良いため、製造コストの更なる低減を図ることも可能となる。
また本発明は、上述した建具において、前記保持部材には、一方の縁部と他方の縁部との間に弾性変形部が設けられ、前記建材には、前記取付表面との相互間隔が前記保持部材の一方の縁部から他方の縁部までの長さよりも短い押圧受部が設けられ、前記保持部材の一方の縁部が前記熱膨張性部材を介して前記取付表面に押圧され、前記保持部材の他方の縁部が前記押圧受部に押圧されていることを特徴としている。
この発明によれば、保持部材が薄板状に構成されるため、装着するスペースが狭幅となった箇所においても熱膨張性部材を押圧することが可能となる。
また本発明は、上述した建具において、前記建材には、機能部品が取り付けられており、前記保持部材の押圧片部は、前記機能部品に設けられた押圧受部に押圧されていることを特徴としている。
この発明によれば、建材に押圧受部が設けられていない部分についても、機能部品を設けることで保持部材を装着することが可能となる。
また本発明は、上述した建具において、前記保持部材と前記熱膨張性部材との間には、相対移動を規制する移動規制手段が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、移動規制手段によって熱膨張性部材に対する保持部材の位置ずれが抑えられるため、建具の使用が長期にわたった場合にも熱膨張性部材が脱落する事態をより確実に防止することが可能となる。
また本発明は、上述した建具において、前記移動規制手段は、前記熱膨張性部材に設けた係止切欠部と、前記保持部材に設けた係止片部とを有したものであり、前記保持部材は、前記係止片部を前記熱膨張性部材の係止切欠部に配置した状態で前記建材に装着されていることを特徴としている。
この発明によれば、係止片部を係止切欠部に配置すれば熱膨張性部材に対する保持部材の位置ずれが抑えられるため、製造作業が煩雑化する事態を招来するおそれがない。しかも、予め熱膨張性部材に設けられた係止切欠部に係止片部を配置しさえすれば良いため、正確な位置に保持部材を配置する作業を容易に実施することが可能となる。
また本発明は、上述した建具において、前記保持部材と前記建材との間には、前記建材に対して前記保持部材が設けられる位置を規定するための位置決め手段が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、建材に対して保持部材を所望の位置に正確に配置することが可能となる。
また本発明は、上述した建具において、前記位置決め手段は、前記建材に設けられた突部と、前記保持部材に設けられた切欠とを有していることを特徴としている。
この発明によれば、位置決め手段として保持部材に切欠を設けるようにしているため、建材に部品を取り付けるために設けられたネジや部材を突部に兼用して位置決めを行うことが可能となる。
また本発明は、上述した建具において、前記熱膨張性部材には、前記保持部材が設けられる位置に位置決め用目印が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、位置決め用目印によって保持部材が正確に配置されているか否かを容易に認識することができる。しかも、係止片部を係止切欠部に配置するものにおいては、係止片部及び係止切欠部を外部から視認できる位置に設ける必要がない。従って、保持部材の装着後に係止片部や係止切欠部が外部に露出される事態を防止することができ、外観品質の点で有利となる。