JP7278284B2 - 放射線捕捉デバイス用の構造化表面部品、そのような部品を製造する方法及びx線検出器 - Google Patents

放射線捕捉デバイス用の構造化表面部品、そのような部品を製造する方法及びx線検出器 Download PDF

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Description

本発明は、セキュリティ用途又は医学的用途における放射線捕捉デバイス(例えばX線デバイス又はCTスキャナ)において使用することができる構造化表面部品に関する。本発明は更に、上記構造化表面部品を製造する関連方法及び上記構造化表面部品を含むX線検出器に関する。
X線デバイスやCTスキャナといった放射線捕捉デバイスでは、構造化表面部品に幾つかの用途がある。例えばX線デバイスは、通常、X線が照射されて放射X線を可視光に変換するシンチレータを有する。可視光はその後フォトダイオードによって電荷に変換される。しかし、例えば平行なX線のみを通過させることによってX線のストリームを変調するために例えばコリメータが使用される用途もある。更なる用途として、X線スペクトルの一部を除去するフィルタをビーム経路に配置することができる。これらの従来の構造化表面部品は、それらが機械加工(例えばダイシング及び研削)によって製造される点で共通している。例えばシンチレータの場合、比較的硬い材料に対してダイシング及び研削を行わなければならないという欠点があり、これにより、生産が比較的遅くなり、これに応じて生産コストが高くなる。しかし、シンチレーション材料を型に流し込む等の代替の製造プロセスも、例えば達成可能な表面構造の精度に関して欠点がある。
米国特許出願公開第2007/0138409A1号には、X線変換スクリーンを形成する方法が開示されている。この方法は、型を使用して、シンチレーション材料層に空洞を含むシンチレーション材料層を成形する。成形を繰り返すことにより、蛍光体層が形成される。空洞は、ピクセルセル分離材料で満たされるか又はスパッタリングされた金属といった反射材料でコーティングされて、各ピクセルを光学的に分離することができる。
国際特許公開WO2015/118533A1には、3次元シンチレータ材料を製造するプロセスが開示されている。表面領域上に、シンチレータ配合物のパターンが形成される。配合物は、ポリマーに重合可能な少なくとも1つのプレポリマーと少なくとも1つの光開始剤とを含む。次に、上記パターンを形成する上記少なくとも1つのプレポリマーが重合される。次に、重合したパターン上に更なるパターンが形成される。これらのステップを繰り返して、3次元構造がもたらされる。
米国特許出願公開第2009/0039562A1号には、基体の2つの両面間に延在する放射線タイプの1次放射線用の透過チャネル又はスリットを有する規定可能な形状の少なくとも1つの基体から形成される、放射線タイプ用の散乱防止グリッド又はコリメータを製造する方法が開示されている。基体は、射出成形法を使用するか、ステレオリソグラフィを使用して、放射線タイプを強く吸収する構造材料から形成される。
したがって、本発明は、上述の欠点を克服し、理想的には少ない労力で製造することができる、放射線捕捉デバイスに適用可能な改良された表面部品を提供することを目的とする。
本発明の目的は、添付の独立請求項の主題によって解決され、更なる実施形態は従属請求項に組み込まれる。
第1の態様によれば、放射線捕捉デバイスに適用可能である構造化表面部品が提供される。具体的には、そのような放射線捕捉デバイス(例えばX線デバイス又はCTスキャナ)内で照射される構造化表面部品が提供される。
この説明では、「構造化表面部品」とは、例えばグリッド状表面、ピクセル化された表面等を有する部品として具体的に理解することができる。構造化表面部品はまた、放射線スペクトルフィルタリング特性又は放射線遮蔽特性を有してもよい。
構造化表面部品は、
構造化表面部品の少なくとも1つの表面領域を画定する配置領域と、
配置領域、好適には、表面領域に配置される複数の突起とを含む。この説明では、配置領域は、仮想領域であっても、物理的領域であってもよく、また、平面であっても、湾曲していてもよい。突起は、放射線関連特性を有する粒子、結合剤及び硬化感光性成分を少なくとも含有する感光性材料混合物を含む。
この説明では、「放射線関連特性」を有する粒子は、放射線によって励起され、それに応じて反応するか、又は、放射線を遮蔽若しくは吸収することができる粒子として具体的に理解することができる。以下では、このような粒子は、放射線関連粒子と呼ばれる。
これらの粒子及び/又は硬化感光性成分は、最初は、即ち、構造化表面部品の製造前又は製造開始時は、結合剤中に分散され、結合剤内粒子(particle-in-binder)構造が形成され、理想的には、少なくとも大部分が現在の構造化表面部品内に残る。
突起は、グリッド状に配置される。突起は、互いに接続することができるか、又は、例えばピクセルのアレイを形成してもよい。突起は、好適には互いに等距離で個別に配置される。突起の高さ寸法は、用途に応じて異なってよく、例えばシンチレータ用途では、0.1から10mm、好適には0.1から5mm、より好適には0.1から2mmの高さが特に有利であることが分かっている。例えば放射線遮蔽用途では、高さ寸法は、放射線のタイプに適合させることができ、0.5から100mmの高さが有利である。
更に、表面領域から、例えばある角度に向けられて離れる方向において、又は、表面領域に垂直な方向において、突起はまた、上下に重なる幾つかの層からなる。これらの層のすべて又は少なくとも大部分は、硬化感光性成分の少なくとも一部を含む。
個々の層は一致することが理想的ではあるが、個々の層は、他の層よりも領域がわずかに小さくても大きくてもよい。
構造化表面部品は、屈曲可能である及び/又は可撓性がある。例えばこれは、非重合性材料を重合性材料に加えることにより達成することができる。これらの材料の組み合わせを結合剤中に分散しているか、又は、これらの材料の組み合わせが結合剤を形成する。或いは又は更に、配置領域は、構造化表面部品が屈曲可能及び/又は可撓性であることを可能にする材料特性を有してもよい。屈曲は選択的に行うことができる。即ち、構造化表面部品は、様々な屈曲角度で前後に屈曲することができ、また、構造化表面部品を様々な撮像タスクに適合させるために何度も繰り返すことができる。したがって、屈曲性又は可撓性の下で、構造化表面部品の形状は、それぞれの撮像タスクに応じて、数回変更することができることが理解できる。
この表面部品の有利な効果は、セキュリティ用途又は医学的用途のための放射線捕捉デバイスにおいて構造化表面部品をすぐに使用することを可能にする、3Dプリンティング(例えばステレオリソグラフィ)といった積層造形プロセスを使用することができる点である。具体的には、粒子が結合剤内粒子構造で存在することができ、また、感光性成分を使用して突起の層状配置を形成することにより、放射線関連粒子の塗布後に結合材料を除去したり、これらの粒子の出発特性を復元若しくは向上させたりするために以前の機械的製造プロセスにおいて必要であった例えば焼結といった更なる熱処理や高温サイクルが不要になる。したがって、結合剤内粒子構造にある粒子の放射線関連特性は、構造の形成中に変化しない。放射線関連特性は、後続の熱処理が適用されたならば変化してしまう。したがって、上記欠点の少なくとも1つは克服することができる。更に、出発材料混合物の特性は、表面部品の製造プロセス自体の前に、特定の照射用途毎に調整及びカスタマイズすることができる。更に、個々に配置された突起の場合も、以前の鋳造プロセスとは対照的に、個々の突起間の間隙を特に小さくすることができる。これは、構造化表面部品をシンチレータとして使用する場合に特に有利であり、したがって、シンチレータは特に高い効率を有する。したがって、例えば個々の突起間に0.04から0.4mmの比較的小さい間隙を達成することができる。
一実施形態では、感光性成分は、アクリレートモノマー、オリゴマー及び変性アクリレートから選択又は組み合わされる。
これらの出発材料は、ステレオリソグラフィとも呼ばれる光重合に特に適している。この成分は、出発材料混合物又はその一部の中に分散することができ、また、その硬化特性により、マイクロプロセッサ又は他の計算ユニットによって制御される光源としての例えばUVレーザービームの光により容易に硬化するのに適している。
任意選択的に、結合剤は有機結合剤であり、具体的にはアクリレート、エポキシ、ポリウレタン及びシリコーンから選択又は組み合わせることができる。
材料混合物の少なくとも幾つかの成分は、最初は粉末形態で、次に、結合剤中に分散させるか又は結合剤と混合して、これにより、例えば光重合可能なペースト、懸濁液等の形態の有機-無機系が形成される。具体的には放射線関連粒子は、最初に結合剤中に分散され、更に、構造化表面部品の使用時に、結合剤内粒子構造内に残されてよい。
一実施形態では、結合剤材料と感光性成分材料とは同じである。
これは、出発材料混合物の調製及び提供を単純化する。この場合、結合剤材料は、光重合特性を有し、また、放射線関連粒子を有する結合剤内粒子構造を依然として構築することができる。任意選択的に、感光性材料混合物は、最初の状態では、結合剤及び/又は上記の好適には有機の結合剤材料中に分散されるか又は混合される、好適には粉末形態の少なくとも1つのシンチレーション材料を含有する。
出発シンチレーション材料は、適切な条件下で既に焼きなまし、焼結又は処理されていてもよい。材料の分散により、突起もまた、分散したシンチレーション材料によってもたらされるシンチレーション特性を有する。この場合、構造化表面部品は、放射線が照射されると発光する構造化シンチレータとしてX線デバイスに適用することができる。更に、出発シンチレータ材料の特性は、構造表面要素の製造プロセスの前に、特定のイメージング用途毎に調整及びカスタマイズすることができる。これは、例えば高い変調伝達関数(MTF)及び特に低い残光効果を有する大面積シンチレータを提供するのに有利であり、これにより、高速シンチレータが提供される。
例えばGdO:Pr等を使用して良好な結果を得ることができた。
高光出力が望まれる他の用途では、GdO:Tbを使用することができる。
一実施形態では、それぞれの突起の第1の層は、第1のシンチレーション材料を含み、同じ突起の第2の層は、第1の材料とは異なる組成を有することで、異なる特性を有する第2のシンチレーション材料を含む。
可能な結果として、異なるシンチレーション特性を有する第1の層及び第2の層は、やはり異なる特性を有する第1の放射線及び第2の放射線を生成することができる。したがって、放射線がシンチレータの上部又は下部で生成されたかどうかで区別することができる。
任意選択的に、構造化表面部品は、シンチレータアレイであり、突起は、それぞれがシンチレーション特性を有する個々のピクセルである。
個別に配置されたピクセルは、好適には、特に配置領域によって画定された同じ表面領域内で、等間隔で離間することができる。
これにより、個々のピクセル間に特に小さい間隙を有するピクセル化されたシンチレータアレイが提供され、これは、高効率及び高光感度をもたらす。ピクセル化された構造によって、例えばシンチレータ又はX線デバイスの空間分解能を向上することができる。
更に、任意選択的に、基板が、構造化表面部品の配置領域及び少なくとも1つの表面領域を物理的に画定する。
基板は、例えば均質材料であってよく、例えばホイル又はシートとして提供されるプラスチック(例えばカーボン、ポリイミド)、例えばホイル又はシート提供される金属(例えばアルミニウム)又は紙である。基板は、構造化部品が可撓性である及び/又は屈曲可能であることを可能にする機械的特性を有する。
一実施形態では、単独の突起が、少なくとも部分的に、理想的には完全に反射体によって覆われる。
反射体は、少なくとも放射線の部分反射を可能にする特性を有する。したがって、反射体を塗布することにより、例えば構造化表面部品の放射線吸収を向上させることができる。更に、シンチレータとして使用されるこのような構造化表面部品の相対光出力を、反射体がないか又は空白のままにされている突起と比べて向上させることができる。また、MTFも空白の突起と比べて最適化することができる。
任意選択的に、反射体は、それぞれのピクセルの少なくとも最外層上に、又は、それぞれのピクセルの複数の外層として配置され、基板又はその表面領域から離れて面する少なくとも1つの最上部反射体層を含む。
最上部反射体層は、最上部層の方向への放射線の漏れを防ぐ。有利なことに、これにより、シンチレータが取り付けられる感光性アレイから離れて突出する任意の生成された光が、感光性アレイの方に反射して戻される。最上部反射体層の塗布は、基板上に幾つかの層を塗布した後に行うことができ、したがって最上層を形成する。しかし、最上部反射体層は、その反射特性において、突起の他の層の感光性材料混合物とは異なる。
一実施形態では、反射体は、2つの個々のピクセル間の間隙に配置された少なくとも1つのピクセル間反射体層を含む。
ピクセル間反射体は、ピクセル間の放射線を好適な方向に向けて、光の束をピクセルに向けることによって、効率を更に向上させることができる。これにより、光出力がより一層向上され、MTFが最適化される。
つまり、反射体は、好適には、ピクセルの上部にある反射体に加えて、個々の突起又はピクセル間に配置することができる。これにより、表面部品の光出力を更に向上させることができる。
任意選択的に、反射体は、好適には有機結合剤中の反射性粒子として提供される。
これらの反射性粒子は、エポキシ又はシリコーン樹脂といった有機結合剤材料中に分散、混合又は溶解されたTiO2、ZrO2、Al2O3等から選択又は組み合わせることができる。したがって、反射体の特性は、特定のイメージング用途毎に調整及びカスタマイズすることができる。更に、反射体は、突起又はピクセルと同じ製造方法によって塗布することができる。
或いは、反射体部材は、反射性薄膜又は反射性シートである。反射性シートを使用することにより、光吸収層を塗布してMTFを更に最適化することができる。例えば適切な反射性シートは、3M社から提供されるいわゆるVicuityテープとして入手可能である。
構造化表面部品を実際に使用するために、反射体は、前述したように、ピクセル上に塗布することができる。次に、最上部反射体の反対側にある、ピクセルが塗布された上記基板が取り除かれる。これは、例えば研削によって行われる。
或いは、上記基板は、例えば白い紙又はアルミニウムを使用することによって、反射特性を有するように選択されている。したがって、基板自体が、特に連続的に反射体を形成することができ、これにより、突起又はシンチレータピクセルの上面が形成される。より詳細には、突起又はシンチレータピクセルは、白い紙又はアルミニウム基板上に直接形成されてもよく、具体的には3D印刷され、基板は同時に反射体を形成する。
任意選択的に、反射体は、10000N/mm又は10GPa未満、好適には3000N/mm又は3GPa未満の弾性係数を有する。
これは、有利には、構造化表面部品を、機械的限界内でより柔軟にする又は屈曲可能にする。したがって、構造化表面部品は、例えば歯科等といった医療や又はセキュリティX線デバイスにおける用途のための可撓性シンチレータとして使用することができる。
構造化表面部品をシンチレータとして使用する代わりに、感光性材料混合物は、材料混合物、即ち、感光性成分及び/又は結合剤中に分散又は混合された放射線遮蔽材料を含有することができ、放射線遮蔽材料は、例えばX線又はガンマ線を遮蔽する。
したがって、構造化表面部品はまた、放射線遮蔽用途にも使用することができる。この場合、突起は、放射線遮蔽特性を有し、上記離間配置ではなく、互いに接続することができる。例えばこのような構造化表面部品は、コリメータ又はグリッドといった例えばX線遮蔽用途において使用することができる。放射線遮蔽材料は、Mo、Pb、Ta又はWといった金属粒子として塗布することができる。
第2の態様によれば、上記実施形態のうちの1つ以上の実施形態による構造化表面部品を含むX線検出器が提供される。X線検出器は、
基板上に個別に配置された複数のピクセルを有する、例えばピクセル化されたシンチレータアレイである構造化表面部品と、
構造化表面部品と光学的に連結する光検出器とを含む。基板は、例えばプラスチック(例えばカーボン、ポリイミド)、金属(例えばアルミニウム)又は紙といった均質材料である。或いは、上記最上部反射体が同時に基板を形成する。基板は、可撓性及び/又は屈曲可能な構造化表面部品を可能にする材料特性を有することができる。光検出器は、光検出器の形状を構造化表面部品及び様々な撮像タスクに適合させることができるように、可撓性及び/又は屈曲可能にすることを可能にする構造及び/又は材料特性を有することができる。
更に、基板の表面領域から離れる方向又は基板の表面領域に垂直な方向において、単独のピクセルは、上下に重なる幾つかの層からなる。
更に、単独のピクセルは、シンチレーション材料、結合剤及び硬化感光性成分を少なくとも含有する感光性材料混合物を含む。
好適には粒子中に存在するシンチレーション材料は、理想的には結合剤内粒子構造を有するので、X線デバイスはほとんど労力なしで製造することができる。特に、以前の製造方法とは対照的に、結合剤を除去する必要がない。より正確には、シンチレータの製造工程の終わりにおいて、例えば焼結である熱処理を省略することができる。したがって、シンチレーション材料のシンチレーション特性は、熱処理によって変化せず、したがって、出発シンチレータ粒子のシンチレーション特性が維持される。これにより、X線吸収、相対光出力及びMTFが向上される。
本発明の第3の態様によれば、構造化表面部品を製造する方法が提示される。方法は、
表面領域を画定する基板を提供するステップと、
放射線関連特性を有する粒子、結合剤及び硬化感光性成分を少なくとも含有する感光性材料混合物を提供するステップと、
上下に重なる幾つかの層からなる突起が形成されるように、表面領域に感光性材料混合物を層毎に塗布するステップとを含み、基板は、屈曲可能及び/又は可撓性である。
更に、それぞれの層の塗布間に、光源によって、感光性材料が硬化される。
更に、結合剤及び/又は感光性成分は、構造化表面部品の使用時にも依然としてあるように突起内に残される。
好適には粒子中に存在するシンチレーション材料は、理想的には結合剤内粒子構造を有するので、結合剤は、突起の形成後に、例えば焼結といった熱処理によって除去される必要がない。この結果、放射線関連特性が熱処理によって変化せず、これにより、構造化表面部品のより優れた性能を達成することができる。
一実施形態では、感光性材料混合物の層毎の塗布は、白い紙又はアルミニウムといった反射性であるように選択された基板上で行うことができる。したがって、基板自体が突起上に連続的な反射体を形成することができる。これは、反射体がその上に配置されたピクセル(即ち、突起)を有する特に効率的なピクセル化シンチレータを提供する。
或いは、反射体を層状に形成された突起(即ち、シンチレータピクセル)上に塗布し、ピクセルがその上に形成された基板を、例えば研削によって除去することもできる。
本発明の好適な実施形態は、従属請求項とそれぞれの独立請求項との任意の組み合わせであることもできることを理解されたい。本発明のこれら及び他の態様は、以下に説明する実施形態から明らかになり、当該実施形態を参照して説明する。
本発明の例示的な実施形態について、以下の図面において説明する。
図1は、第1の態様による構造化表面部品を含む、第2の態様によるX線検出器の一実施形態を概略的且つ例示的に示す。 図2Aは、第1の態様による第3の構造化表面部品の一実施形態の側面図を概略的且つ例示的に示す。 図2Bは、第1の態様による第4の構造化表面部品の一実施形態の側面図を概略的且つ例示的な側面図を示す。 図3は、第1の態様による構造化表面部品の更なる実施形態の一部を概略的且つ例示的に示す。 図4は、第1の態様による構造化表面部品を製造する、第3の態様による製造方法の一実施形態を例示的に示すフローチャートを示す。
図1は、放射線捕捉デバイス又は物体撮像デバイスの一例としてのX線検出器100の一実施形態を概略的且つ例示的に示す。X線検出器100は、放射X線を生成することができる放射X線源110と、放射線源110に隣接して配置され、特に放射線ビーム130、具体的には放射線源110によって生成されたX線ビームの空間範囲を狭めるコリメータ120とを含む。このために、コリメータ120は、以下でより詳細に説明する第1の構造化表面部品140を含む。この実施形態では、放射線ビーム130によって放出されたX線スペクトルを変更することができるフィルタの形の第2の構造化表面部品150が、ビーム経路に配置される。この第2の構造化表面部品150についても、以下でより詳細に説明する。
ここで、放射線ビーム130は、検査される物体160に焦点が合わせられる。放射線源110が起動されると、この物体160を放射線ビーム130が横断する。
物体160の放射線源110と反対側には、X線検出器100の検出デバイス170が配置される。検出デバイス170は、第3の構造化表面部品180、具体的には、放射線ビーム130のビーム経路に配置され、下流の構成要素のために放射線ビーム130の散乱放射線を低減する散乱防止グリッドを含む。これは、以下でより詳細に説明する。
この実施形態の検出デバイス170は更に、ビーム経路の方向において、第3の構造化表面部品180の下流に配置される第4の構造化表面部品190を含む。第4の構造化表面部品190は、入射放射X線ビーム130を可視光に変換することができるシンチレータであるため、その機能は、上記構造化表面部品140、150及び180の機能とは異なる。第4の構造化表面部品190についてもまた、以下でより詳細に説明する。
検出デバイス170は更に、第4の構造化表面部品190、即ち、シンチレータと光学的に連結して配置され、第4の構造化表面部品190の可視光を電荷に変換することができるフォトダイオードアレイの形態の光検出器200を含む。電子変換器210(例えばA/D変換器)が、物体160の対応する画像がモニタ220に表示されるように電荷を変換する。
以下に、4つの構造化表面部品140、150、180及び190をより詳細に説明する。したがって、これらは、それぞれが、それぞれの構造化表面部品140、150、180及び190の2次元表面領域を画定する配置領域141、151、181、191(幾つかの実施形態では、仮想のもののみ)を有する点で共通する。それぞれの表面領域上又はそれぞれの配置領域141、151、181、191内に、それぞれの複数の突起142、152、182、192が配置され、それらの配置及び向きは、X線検出器100内の上記用途のどの用途に対してそれぞれの表面部品140、150、180、190が設けられているのかに依存する。更に、構造化表面部品140、150、180及び190は、それらの複数の突起142、152、182、192がそれぞれ、それぞれの目的に適している放射線関連特性を有する特定の粒子を少なくとも含有する感光性材料混合物から層状に形成される点で共通する。特定の粒子は、結合剤及び硬化感光性成分と結合される。結合剤は、アクリレート、エポキシ、ポリウレタン又はシリコーンといった有機結合剤である。感光性成分は、例えばアクリレートモノマー、オリゴマー及び変性アクリレートで作られ、以下でより詳細に例示的に説明するように、光重合によって硬化する。なお、特定の粒子は、結合剤内粒子(particle-in-binder)構造で存在することに留意されたい。
更に、繰り返しを避けるために、4つの構造化表面部品140、150、180、190の2つの例示的な実施形態のみについて、即ち、第3の構造化表面部品180、つまり、粒子が放射線遮蔽特性を有する散乱防止グリッドと、第4の構造化表面部品190、つまり、粒子がシンチレーション特性を有するようにされているシンチレータについて以下に説明することに留意されたい。
したがって、図2Aを参照して、検出デバイス170の第3の構造化表面部品180、つまり、散乱防止グリッドを、ここで例示的に更に詳細に説明する。この実施形態では、第3の構造化表面部品180の配置領域181は、第1の構造化表面部品140の表面領域を画定する2次元表面を有する物理的基板である。基板の表面上又は表面領域内で、複数の突起182がグリッド状に配置され、その下流に配置されている第4の構造化表面部品190、つまり、シンチレータに放射線ビーム130の放射X線が到達すべき角度(図示せず)に沿って向けられる。突起182は、散乱防止グリッドの目的に適している放射線関連特性、即ち、放射線ビーム130の放射X線を部分的に遮蔽するための放射線関連特性を有する金属粒子を少なくとも含有する上記感光性材料混合物から形成される。この実施形態では、放射線遮蔽目的のためにPb粒子が使用されるが、Mo、Ta又はWといった放射線遮蔽特性を有する他の金属粒子もまた適している。金属粒子は、上記結合剤及び硬化感光性成分と組み合わされる。結合剤は、アクリレート、エポキシ、ポリウレタン又はシリコーンといった有機結合剤である。感光性成分は、例えばアクリレートモノマー、オリゴマー及び変性アクリレートで作られ、以下でより詳細に説明するように、光重合によって硬化する。すでに上述したように、第3の構造化表面部品180では、金属粒子、即ち、ここではPb粒子は、結合剤内粒子構造で存在する。図2Aの左端の突起182に概略的に示すように、突起182は、それぞれ、上下に重なる複数の層183からなる。突起182の遮蔽特性により、突起182と適切に整合している放射線ビーム130の一部の放射線のみが、第3の構造化表面部品180を通過することができる。
図2Bを参照して、ここで、検出デバイス170の第4の構造化表面部品190を例示的に更に詳細に説明する。第4の構造化表面部品190は、放射線を遮蔽するのではなく、シンチレータとして機能する。したがって、第4の構造化表面部品190の配置領域191は、表面領域を画定する2次元表面を有する、プラスチック(例えばカーボン、ポリイミド)といった均質基板である。以下でより詳細に説明するように、基板は、幾つかの実施形態では、除去することができる。基板の表面上に複数の突起192がアレイ状に配置され、各突起192は、シンチレータの目的に適している放射線関連特性、即ち、シンチレーション特性を有する放射線関連特性を有する粒子を少なくとも含有する上記感光性材料混合物から形成される。この実施形態では、GdOS:Pr又はGdO:Pr粒子が使用されるが、X線デバイス100の正確な用途に応じて、GdO:Tb等もこの目的に適している。シンチレータとしての使用により、第4の構造化表面部品190の突起192は、ピクセル化シンチレータアレイを形成するピクセルと呼ばれる。
シンチレーション粒子は、上記結合剤及び硬化感光性成分と組み合わされる。結合剤は、アクリレート、エポキシ、ポリウレタン又はシリコーンといった有機結合剤である。感光性成分は、例えばアクリレートモノマー、オリゴマー及び変性アクリレートで作られ、以下でより詳細に説明するように、光重合によって硬化する。なお、シンチレーション粒子は、結合剤内粒子構造を形成することに留意されたい。これは、結合剤及び硬化感光性成分が実際に突起192内に存在する理由である。図2Bの左端の突起192に概略的に示すように、突起192は、それぞれ、上下に重なる複数の層193からなる。
更に、図2Bから分かるように、ピクセル又は突起192は、間に間隙を置いて配置される。通常、個々のピクセル又は突起192間の距離D又は間隙は、0.04mmから0.4mmである。突起192の高さHは、好適には0.1mmから10mm、より好適には0.1mmから1mmである。幅W及び/又は長さLは、0.4mmから4mmである。
なお、(シンチレーション)結合剤内粒子構造と感光性成分の光重合の製造方法との上記組み合わせにより、ピクセル又は突起192間に比較的小さい間隙が可能であることに留意されたい。
更に、突起192は、各突起192の層193の最上層に配置された連続的な最上部反射体194によって覆われている。また、ピクセル間反射体195が、個別に配置されたピクセル又は突起192間に配置されている。これに関して、図2Bの反射体194、195は、より良い説明のために、ピクセル又は突起192のそれぞれの表面からのみ間隔を置いて配置されている。実際には、それぞれの反射体194、195は、それぞれの外面と直接接触している。
この実施形態では、最上部反射体194及びピクセル間反射体195の両方は、それぞれの突起192を覆う層又はその最外層として形成される。これらは、例示的に、有機結合剤中のTiO又はZrO又はAlといった反射性粒子として提供される。ここで、反射体194、195には、10000N/mm未満、好適には3000N/mm未満の弾性係数が提供され、この結果、例えば歯科用X線検出器用に可能である可撓性の第4の構造化表面部品190が得られる。
他の図示しない実施形態は、反射性薄膜又は反射性シートとして提供される最上部反射体を有する。更なる実施形態は、アルミニウムや(白い)紙といった反射性材料から形成される基板を有し、これは同時に、最上部反射体、特に最上部反射体194として機能する。
図3は、異なる組成のシンチレーション材料、即ち、感光性材料混合物中に分散された第1のシンチレーション材料及び第2のシンチレーション材料をそれぞれ有する第1の層196及び第2の層197を少なくとも含む第4の構造化表面部品190、即ち、シンチレータのピクセル又は突起192の更なる実施形態の一部を示す。両方の層196、197は、上記結合剤内粒子構造を有する点で共通する。
異なる層196、197は、X線が照射されると、異なる波長を有する第1の放射線198及び第2の放射線199をそれぞれ生成する。光検出器200は、第1の放射線196に応じて第1の検出値を生成する第1の検出ユニット201と、第2の放射線199に応じて第2の検出値を生成する第2の検出ユニット202とを含み、この実施形態では、第1の検出ユニット201及び第2の検出ユニット202は上下に重なり、上の検出ユニットは、第1の放射線198の第1の波長範囲に敏感であり、第2の放射線199の第2の波長範囲は透過し、下の検出ユニットは、第2の波長範囲に敏感である。
完全を期すために、第1及び第2の構造化表面部品140、150の基本原理は、第3及び第4の構造化表面部品180、190の基本原理と同一であるため、第1及び第2の構造化表面部品140、150の突起142、152もまた、幾つかの層143、153を含むことに留意されたい。
フローチャートを示す図4を参照して、第4の構造化表面部品190を製造する製造方法の一実施形態を以下に例示的に説明する。当然ながら、この方法はまた、少なくとも実質的に、第1、第2及び第3の構造化表面部品140、150及び180を製造するために適用されてもよい。
ステップS1において、配置領域191を表し、例えばプラスチック(例えばカーボン、ポリイミド)で作られる均質基板が提供される。基板は、表面領域を画定する2次元表面を有する。
ステップS2において、シンチレーション特性を有する粒子、結合剤及び硬化感光性成分を少なくとも含有する感光性材料混合物が提供される。
ステップS3において、上下に重なる幾つかの層からなるピクセル又は突起192が形成され、個別に配置されるように表面領域への感光性材料混合物の層状塗布が行われる。単独の層を塗布する際に、感光性成分は、層塗布間に毎回に硬化され、このとき、UVレーザービーム(図示せず)といった光源が使用される。
ステップS4において、構造化表面部品190の使用時に依然としてあるように、結合剤及び/又は感光性成分は突起192内に残される。この結果、シンチレーション特性を有する粒子は、焼結といった後続の熱処理を必要としない結合剤内粒子構造で存在する。したがって、製造工程全体を省略することができ、粒子のシンチレーション特性が不利に変化しない。
しかし、幾つかの他の構造化表面部品については、例えば研削によって基板を除去するオプションの更なるステップS5(図示せず)が行われる。
なお、本発明の実施形態は、様々な主題を参照して説明されている。具体的には、方法タイプのクレームを参照して説明される実施形態もあれば、デバイスタイプのクレームを参照して説明される実施形態もある。しかし、当業者であれば、上記及び下記の説明から、特に明記されない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、様々な主題に関連する特徴の任意の組み合わせも、本願に開示されていると見なされると理解できるであろう。
すべての特徴は、特徴の単なる足し合わせ以上の相乗効果を提供するように組み合わされることが可能である。
本発明は、図面及び上記説明において詳細に例示され、説明されたが、当該例示及び説明は、例示的に見なされるべきであり、限定的に見なされるべきではない。本発明は、開示される実施形態に限定されない。
開示された実施形態の他の変形態様は、図面、開示内容及び従属請求項の検討から、請求項に係る発明を実施する当業者によって理解され、実施される。
請求項において、「含む」との用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、また、単数形は、複数形を排除するものではない。単一のユニットが、請求項に引用される幾つかのアイテムの機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されることだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。請求項における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
100 X線検出器
110 放射X線源
120 コリメータ
130 放射線ビーム
140 第1の構造化表面部品(例えばコリメータ)
141 配置領域(例えば基板)
142 複数の突起
143 複数の層
150 第2の構造化表面部品(例えばフィルタ)
151 配置領域(例えば基板)
152 複数の突起
153 複数の層
160 物体
170 検出デバイス
180 第3の構造化表面部品(例えば散乱防止グリッド)
181 配置領域(例えば基板)
182 複数の突起
183 複数の層
190 第4の構造化表面部品(例えばシンチレータアレイ)
191 配置領域(例えば基板)
192 突起/ピクセル
193 複数の層
194 最上部反射体
195 ピクセル間反射体
196 第1の層
197 第2の層
198 第1の放射線
199 第2の放射線
200 光検出器
201 第1の検出ユニット
202 第2の検出ユニット
210 電子変換器
220 モニタ
D 距離
H 高さ
W 幅
S1 方法のステップ1
S2 方法のステップ2
S3 方法のステップ3
S4 方法のステップ4
S5 方法のステップ5

Claims (15)

  1. 放射線捕捉デバイス用の照射される構造化表面部品であって、
    前記構造化表面部品の表面領域を画定する配置領域と、
    前記配置領域に配置された複数の突起と、
    を含み、
    前記複数の突起は、放射線関連特性を有する粒子、結合剤、非重合性材料及び硬化感光性成分を少なくとも含有する感光性材料混合物を含み、
    前記表面領域から離れる方向又は前記表面領域に垂直な方向において、前記複数の突起の前記感光性材料混合物は、上下に重なる幾つかの層からなり、
    前記構造化表面部品は、屈曲可能であり、
    前記非重合性材料を前記硬化感光性成分に加えることによって、屈曲特性が調整される、構造化表面部品。
  2. 放射線関連特性を有する前記粒子は、前記硬化感光性成分及び/若しくは前記結合剤中に分散される又は混合される少なくとも1つのシンチレーション材料を含む、請求項1に記載の構造化表面部品。
  3. それぞれの突起の第1の層が、第1のシンチレーション材料を含み、同じ突起の第2の層が、第2のシンチレーション材料を含む、請求項2に記載の構造化表面部品。
  4. 基板が、前記構造化表面部品の前記配置領域又は前記表面領域を画定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の構造化表面部品。
  5. 前記構造化表面部品は、シンチレータアレイであり、
    前記複数の突起は、それぞれがシンチレーション特性を有する個別のピクセルであり、
    前記ピクセルは、反射体によって少なくとも部分的に覆われている、請求項1から4のいずれか一項に記載の構造化表面部品。
  6. 前記反射体は、それぞれのピクセルの少なくとも最外層に配置され、基板から離れて面する少なくとも1つの最上部反射体層を含む、請求項5に記載の構造化表面部品。
  7. 前記反射体は、2つの個別のピクセル間の間隙に配置される少なくとも1つのピクセル間反射体層を含む、請求項5又は6に記載の構造化表面部品。
  8. 前記反射体は、有機結合剤中に反射粒子を含有する、請求項5から7のいずれか一項に記載の構造化表面部品。
  9. 前記反射体は、反射性薄膜又は反射性シートである、請求項5から7のいずれか一項に記載の構造化表面部品。
  10. 前記反射体は、反射特性を有する材料で作られる基板によって形成される、請求項5に記載の構造化表面部品。
  11. 前記反射体は、屈曲可能である、請求項5から10のいずれか一項に記載の構造化表面部品。
  12. 前記反射体は、10000N/mm2未満、好適には3000N/mm2未満の弾性係数を有する、請求項5から11のいずれか一項に記載の構造化表面部品。
  13. 放射線関連特性を有する前記粒子は、X線若しくはガンマ線又はそれらのそれぞれのスペクトルの少なくとも一部を部分的又は完全に吸収する粒子を含有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の構造化表面部品。
  14. 請求項1から13のいずれか一項に記載の構造化表面部品と、
    前記構造化表面部品と光学的に連結する光検出器と、
    を含む、X線検出器。
  15. 表面領域を画定する基板を提供するステップと、
    放射線関連特性を有する粒子、結合剤、非重合性材料及び硬化感光性成分を少なくとも含有する感光性材料混合物を提供するステップと、
    上下に重なる幾つかの層からなる突起が形成されるように、前記表面領域に前記感光性材料混合物を層状に塗布するステップと、
    を含み、
    それぞれの層の塗布間に、光源によって、前記硬化感光性成分が硬化され、
    前記結合剤及び/又は前記硬化感光性成分は、構造化表面部品の使用時に依然としてあるように前記突起内に残され、
    前記構造化表面部品は、屈曲可能なように提供され、
    前記非重合性材料を前記硬化感光性成分に加えることによって、屈曲特性が調整される、放射線捕捉デバイス用の照射される構造化表面部品を製造する方法。
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