JP7278132B2 - プリプレグ、及び繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents

プリプレグ、及び繊維強化複合材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、プリプレグ、及びこのプリプレグを用いる繊維強化複合材料の製造方法に関する。特に、単位面積当たりの質量が大きい強化繊維基材を使用し、幅広い成形条件を採用できるプリプレグ及びこれを用いる繊維強化複合材料の製造方法に関する。
繊維強化複合材料(以下、「FRP」という。)は、軽量かつ高強度、高剛性であるため、釣り竿やゴルフシャフト等のスポーツ・レジャー用途、自動車や航空機等の産業用途等の幅広い分野で用いられている。FRPの製造には、強化繊維等の長繊維からなる繊維補強材に樹脂を含浸した中間材料であるプリプレグを使用する方法が好適に用いられる。プリプレグを所望の形状に切断した後に賦形し、加熱加圧硬化させることによりFRPからなる成形品を得ることができる。
近年では、FRPの製造コスト低減の観点から、FRPの中間材料として、数千~数万本の強化繊維のフィラメントが一方向に配列した強化繊維束に、マトリックス樹脂組成物を含浸させたトウプレグや、短繊維を強化材料として用いたシート状の材料にマトリックス樹脂組成物を含浸させたSMC(シートモールディングコンパウンド)や、単位面積当たりの質量が大きい織物、多積層織物にマトリックス樹脂組成物を含浸させた織物プリプレグが使用されている。
しかし、従来のプリプレグ製造に使用されているホットメルト法では、マトリックス樹脂組成物の粘度が高く、含浸し難いため、上記の様なプリプレグを製造することが困難である。
また、従来、SMCのマトリクス樹脂として低粘度の不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂が広く用いられているが、強化繊維への樹脂含浸性は良好であるが、これらの樹脂組成物には課題が幾つか存在する。
例えば、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂は硬化収縮が大きいことである。硬化収縮は成形品のそり、ひけ、クラックなどの発生の原因となる。硬化収縮を低減するために低収縮剤を添加するケースなどがあるが、低収縮剤の添加により耐熱性低下や強度低下等が起こる。
また、樹脂の粘度制御が難しい課題もある。一般に、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂を用いたプリプレグの製造方法では、強化繊維へ含浸した樹脂組成物の粘度を酸化マグネシウムやイソシアネート等の増粘剤を用いて目標とする粘度に上げることでタックを抑制している。しかし、水分や温度、増粘剤の添加量の影響で増粘後の粘度が大きくばらつき、安定したタックの制御が難しくなることがある。
更に、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂には反応性希釈剤としてスチレンを含むことが一般的である。未硬化の樹脂組成物を扱う成形作業場では、揮発したスチレンにより作業環境が悪化する課題があり、エポキシ樹脂をベース樹脂とするFRPの中間材料の開発が望まれている。
エポキシ樹脂組成物としては、例えば以下のものが提案されている。
エポキシ樹脂、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン,1,3-ビス-(アミノメチル)-シクロヘキサン,イソホロンジアミン等のアミノ化合物、ジシアンアミド、及びイミダゾール化合物を含有するエポキシ樹脂組成物(特許文献1)。
特定の脂肪族エポキシ化合物からなる反応性希釈剤と、特定構造の脂環式ジアミンを用い、Bステージ化のポットライフが長いエポキシ樹脂組成物、成形材料および繊維強化複合材料(特許文献2)。
特許文献1~2に記載のプリプレグに用いられる樹脂は、低粘度であり、繊維強化基材への含浸性は良好であるが、含浸後のBステージ化の粘度制御が難しく、Bステージ状態が大幅に変化する。従って、Bステージ状態が安定しない為、Bステージ化したFRPの中間材料を短時間成形が可能なプレス成形した場合、樹脂フローしすぎたり、あるいは、流動性が少なく、成形後のFRPに外観不良を生じる。
また、特許文献3~5には、常温時におけるプリプレグの取扱性を改善し、Tg及び硬化速度を低下させることなく、樹脂フローを抑制したハイサイクルプレス成形用のプリプレグが記載されている。特許文献3~5に記載のプリプレグに用いられる樹脂は、液状エポキシ樹脂に熱可塑樹脂を溶解させ、樹脂粘度を上昇させたものである。しかし、樹脂の粘度が高いため、トウプレグや、SMCや多積層織物プリプレグ製造時に、強化繊維基材層内への樹脂の含浸性が低下し、成形後のFRPにボイドを生じる場合がある。
特許文献6には、増粘粒子を配合することにより、幅広い成形条件を採用できるエポキシ樹脂組成物やプリプレグが開示されている。しかし、強化繊維基材に対するエポキシ樹脂組成物の含浸性が十分ではない場合や、プリプレグの成形条件が十分に広いとはいえない場合があった。
また、特許文献1~6に開示されるような樹脂組成物では、得られたFRPの耐吸水性も十分満足できるものではなかった。
特開平6-166742号 国際公開第2017/150521号 特開2009-292976号 特開2009-292977号 特開2010-248379号 国際公開第2016/159147号
繊維強化基材に、繊維強化束や、短繊維を強化材料として用いたシート状の材料や、単位面積当たりの質量が大きい織物、多積層織物をしたプリプレグにおいては、従来のプリプレグ製造に使用されているホットメルト法では、マトリックス樹脂組成物の粘度が高く、プリプレグを含浸することが困難であった。また、トウプレグや、SMCや多積層織物プリプレグを使用したFRPの成形時においては、加熱によって粘度が低下した樹脂組成物が加圧されることにより、該樹脂組成物がプリプレグの内部や表面で激しく流動する。そのため、プリプレグ内から該樹脂組成物が流出し、得られるFRPの内部や表面に樹脂組成物の未含浸部分(樹脂枯れ)が形成される。また、該樹脂組成物の流動に起因して、強化繊維基材の配列が乱れる。その結果、得られるFRPの外観や物性が低下する。さらに、耐熱、耐衝撃特性等の高い力学特性有する樹脂組成物を用いる場合、得られるFRPの性能にばらつきが生じやすく、本来の高い力学特性を安定して得ることができない。さらに、得られるFRPの耐吸水性が悪く、吸水後の力学特性が低下し、安定した高い力学特性を得ることができない。
本発明の課題は、単位面積当たりの質量が大きい強化繊維基材層内に樹脂組成物を十分に含浸することができ、常温における取扱性が高いプリプレグを提供することである。即ち、炭素繊維基材に樹脂組成物が十分に含浸しており、且つ成形時における樹脂フローを抑制することのできる樹脂組成物を提供することである。また、樹脂含浸時又は成形時において、温度変化に対する粘度変化が小さい樹脂組成物を提供することである。さらには、高い耐熱性、衝撃特性、及び耐吸水性を有するFRPを安定して製造することができる樹脂組成物を提供することである。また、これらの樹脂組成物を強化繊維基材層内に含浸させてなるプリプレグ、及び該プリプレグを用いるFRPの製造方法を提供することである。
本発明者は、プリプレグを構成するエポキシ樹脂組成物に、所定のエポキシ樹脂と、該エポキシ樹脂と低温で反応する硬化剤又は増粘粒子と、該エポキシ樹脂と高温で反応する硬化剤と、を配合して、エポキシ樹脂組成物の粘度を制御することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は、以下に記載のものである。
〔1〕 炭素繊維基材と、
前記炭素繊維基材内に含浸するエポキシ樹脂組成物と、
から成り、
前記エポキシ樹脂組成物が、少なくとも以下の[A]成分~[D]成分
[A]成分:少なくともグリシジルアミン型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂
[B]成分:[A]成分と硬化反応する下記式(1)
Figure 0007278132000001
(但し、アミノ基に対するオルト位に少なくとも1つの水素以外の置換基を有する。また、化学式(1)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6の脂肪族置換基、芳香族置換基、ハロゲン原子のいずれかであり、かつ少なくとも1つの置換基は炭素数1~6の脂肪族置換基である。Xは-CH-、-CH(CH)-、-C(CH-、-S-、-O-、-CO-、-CONH-、-C(=O)-のいずれかである。)
で表される芳香族アミンからなる第1の硬化剤、
[C]成分:増粘粒子及び/又は[A]成分と40℃以下の温度で硬化反応する第2の硬化剤、
[D]成分:粒子径が1000nm以下の有機粒子
を含み、
[A]成分内で[C]成分の少なくとも一部が膨潤している、及び/又は少なくとも一部の[A]成分と[C]成分とが硬化反応していることにより増粘状態にあることを特徴とするプリプレグ。
上記〔1〕に記載の発明は、[A]~[D]成分を含んで成るエポキシ樹脂組成物が炭素繊維基材内に含浸して成るプリプレグである。このエポキシ樹脂組成物は炭素繊維基材内に含浸した後、増粘した状態にある。即ち、[C]成分として増粘粒子が用いられる場合、[A]成分内で[C]成分の一部が膨潤して増粘している。[C]成分として第2の硬化剤が用いられる場合、少なくとも一部の[A]成分と[C]成分とが硬化反応して増粘している。[C]成分として増粘粒子と第2の硬化剤の両方が用いられる場合、主に、[A]成分と[C]成分の第2の硬化剤とが硬化反応して増粘している。
を含み、
〔2〕 前記[A]成分が、グリシジルアミン型エポキシ樹脂を、エポキシ樹脂の総量に対して50質量%以上含むエポキシ樹脂である〔1〕に記載のプリプレグ。
〔3〕 前記第2の硬化剤がアミン系硬化剤であり、その含有量がエポキシ基の総量あたり、活性水素当量が0.1~0.35当量となる量である〔1〕または〔2〕に記載のプリプレグ。
〔4〕 前記[D]成分がコアシェルゴムである〔1〕~〔3〕の何れかに記載のプリプレグ。
〔5〕 さらに[E]成分:ジシアンジアミドとウレア系促進剤からなる第3の硬化剤を含む〔1〕~〔4〕の何れかに記載のプリプレグ。
〔6〕 前記増粘粒子が、メタクリル酸エステル系化合物、アクリル酸エステル系化合物及びビニル系化合物から成る群から選択される1種又は2種以上の重合単位を有する重合体から成る増粘粒子を含む〔1〕~〔5〕の何れかに記載のプリプレグ。
〔7〕 前記エポキシ樹脂組成物が、増粘前における粘度(30℃)が5~100Pa・sであり、増粘後における粘度(30℃)が5,000~100,000Pa・sであるエポキシ樹脂組成物である〔1〕~〔6〕の何れかに記載のプリプレグ。
〔8〕 前記炭素繊維基材が炭素繊維ストランドである〔1〕~〔7〕の何れかに記載のプリプレグ。
〔9〕 前記炭素繊維基材が多積層織物である〔1〕~〔7〕の何れかに記載のプリプレグ。
〔10〕 前記多積層織物が、各層間に存在する熱可塑樹脂製の不織布を介して一体化された多積層織物である〔9〕に記載のプリプレグ。
〔11〕 前記炭素繊維基材が平均繊維長5~100mmの短繊維で形成されたマットである〔1〕~〔7〕の何れかに記載のプリプレグ。
〔12〕 〔1〕~〔11〕の何れかに記載のプリプレグを、温度130~180℃、圧力0.2~10MPaで10~120分間加熱加圧する炭素繊維強化複合材料の製造方法。
本発明のプリプレグに含浸されているエポキシ樹脂組成物は、[A]成分及び[B]成分が未反応であり、且つ[A]成分と[C]成分とによる増粘が生じていない状態においては低粘度である。そのため、強化繊維基材への含浸性が極めて優れており、未含浸部が極めて少ないプリプレグを製造することができる。強化繊維基材に含浸されたエポキシ樹脂組成物は所定条件で加熱処理することにより、[A]成分と[C]成分とが膨潤及び/又は反応して粘度が上昇している。そのため、室温でのべとつきが無く、プリプレグの取り扱い性が良好となる。また、温度変化に対する粘度変化が小さい温度帯を有している。この粘度変化が小さい温度帯で成形を行うことにより、成形時の温度条件や圧力条件を精密に制御しなくても、FRPの品質を安定させることができる。また、本発明のプリプレグは、加熱加圧成形時における樹脂の過剰な流動が生じ難い。その結果、得られるFRPの外観不良、性能不良、及び金型の動作不良等が抑制される。また、エポキシ性樹脂組成物の有する高い耐熱性及び高い衝撃特性が反映された高性能のFRPを安定して製造することができる。
本発明のプリプレグは、炭素繊維基材と、
前記炭素繊維基材内に含浸するエポキシ樹脂組成物と、
から成り、
前記エポキシ樹脂組成物が、少なくとも以下の[A]成分~[D]成分
[A]成分:少なくともグリシジルアミン型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂、
[B]成分:[A]成分と硬化反応する下記式(1)
Figure 0007278132000002
(但し、アミノ基に対するオルト位に少なくとも1つの水素以外の置換基を有する。また、化学式(1)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6の脂肪族置換基、芳香族置換基、ハロゲン原子のいずれかであり、かつ少なくとも1つの置換基は炭素数1~6の脂肪族置換基である。Xは-CH-、-CH(CH)-、-C(CH-、-S-、-O-、-CO-、-CONH-、-C(=O)-のいずれかである。)
で表される芳香族アミンからなる第1の硬化剤、
[C]成分:増粘粒子及び/又は[A]成分と40℃以下の温度で硬化反応する第2の硬化剤、
[D]成分:粒子径が1000nm以下の有機粒子
を含み、
[A]成分内で[C]成分の少なくとも一部が膨潤している、及び/又は少なくとも一部の[A]成分と[C]成分とが硬化反応していることにより増粘状態にある。
本発明で用いるエポキシ樹脂組成物は[A]成分~[D]成分を必須成分とし、以下の[E]成分
[E]成分:ジシアンジアミドとウレア系促進剤からなる第3の硬化剤
を任意成分として含む。
なお、特に断りのない限り、本明細書における粘度は、2℃/分の速度で温度を上げた粘度をいう。また、特に断りのない限り、本明細書における粒子径はレーザー回折法による平均粒子径をいう。
このエポキシ樹脂組成物の増粘前における粘度(30℃)は5~100Pa・sであることが好ましく、5~50Pa・sであることがより好ましい。この粘度範囲であれば、エポキシ樹脂組成物を炭素繊維基材内に十分に含浸することができる。粘度が高過ぎる場合、炭素繊維基材内への含浸性が低下し易い。
このエポキシ樹脂組成物の増粘後における粘度(30℃)は5,000~100,000Pa・sであることが好ましく、8,000~80,000Pa・sであることがより好ましい。粘度が低すぎる場合、プリプレグがべとつき、カットや積層作業が困難であり、また、後述のプリプレグをプレス成形する際にエポキシ樹脂組成物がプリプレグの外部に流出し易くなる。粘度が高過ぎる場合、プレス成形が困難となる場合がある。
増粘後の粘度は、増粘前の粘度の300~50,000倍であることが好ましく、500~40,000倍であることがより好ましい。
本発明のプリプレグは、炭素繊維基材と上記のエポキシ樹脂組成物とから成り、エポキシ樹脂組成物は炭素繊維基材内に一部又は全部が含浸して、炭素繊維基材と一体化している。本発明のプリプレグの形状は、強化繊維がストランド状に形成されたトウプレグであっても良く、強化繊維が繊維長5~100mmの短繊維で形成されたSMCであっても良く、強化繊維が、織物、又は多積層織物で形成された織物プリプレグであっても良い。
トウプリプレグとは、数千~数万本の強化繊維のフィラメントが一方向に配列した強化繊維束に、マトリックス樹脂組成物を含浸させた後、これを紙管等のボビンに巻き取ることにより得られる細幅の中間基材である。なお、本発明において、このようにボビンに巻き取られたもの、或いは巻き取られた後に解舒されたものを「トウプリプレグ」と称す。
本発明のプリプレグは、本来の粘度が低い樹脂組成物を用いているため、炭素繊維基材内への樹脂含浸が容易である。そして、炭素繊維基材内にエポキシ樹脂を含浸した後、40℃以下で8時間以上加熱する。これにより、[A]成分内で[C]成分を膨潤させる、及び/又は少なくとも一部の[A]成分と[C]成分とを硬化反応させることにより、エポキシ樹脂組成物の粘度を増加させる。そのため、エポキシ樹脂組成物は、粘度変化が緩やかになる温度帯を有し、該温度帯において成形することにより、プリプレグ内からの樹脂フローを抑制できる。その結果、本発明のプリプレグを用いて作製されるFRPは樹脂枯れ等の成形不良が生じ難い。
エポキシ樹脂組成物の含有率(RC)は、プリプレグの全質量を基準として、25~70質量%であることが好ましく、30~70質量%であることがより好ましく、35~65質量%であることが特に好ましい。含有率が25質量%未満である場合は、得られるFRPに空隙などが発生し、機械特性等を低下させる場合がある。含有率が70質量%を超える場合は、強化繊維による補強効果が不十分となり、得られるFRPの機械特性等を低下させる場合がある。
エポキシ樹脂組成物の含有率(RC)は、プリプレグを硫酸に浸漬して、プリプレグ内に含浸している樹脂組成物を溶出させることにより求められる。具体的には以下の方法により求められる。
先ず、プリプレグを100mm×100mmに切り出して試験片を作製し、その質量を測定する。次いで、このプリプレグの試験片を硫酸中に浸漬して必要により煮沸する。これにより、プリプレグ内に含浸している樹脂組成物を分解して硫酸中に溶出させる。その後、残った繊維をろ別して硫酸で洗浄後、乾燥させて繊維の質量を測定する。硫酸による分解操作の前後の質量変化から樹脂組成物の含有率を算出する。
(1) 炭素繊維基材
炭素繊維基材としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などいずれであって良いが、繊維強度の高いPAN系炭素繊維が好ましい。これらの強化繊維の中でも、比強度、比弾性率が良好で、軽量かつ高強度のFRPが得られる点で、PAN系炭素繊維が特に好ましい。
強化繊維にPAN系炭素繊維を用いる場合、その引張弾性率は、100~600GPaであることが好ましく、200~500GPaであることがより好ましく、230~450GPaであることが特に好ましい。また、引張強度は2000~10000MPa、好ましくは3000~8000MPaである。炭素繊維の直径は4~20μmが好ましく、5~10μmがより好ましい。このような炭素繊維を用いることにより、得られるFRPの機械特性を向上できる。
強化繊維基材としては、例えば、強化繊維束を経糸及び/又は緯糸として使用した平織物、綾織物、朱子織物や、平行に引き揃えた強化繊維束の集合からなる一方向織物、二方向織物、多軸織物等を挙げることができる。あるいは、強化繊維からなる不織布、ニット、組み紐、繊維長5~100mmの短繊維で形成されたマットなどであっても良い。
短繊維で形成されたマットの繊維長は、5~50mmが好ましく、10~50mmがより好ましい。短繊維で形成されたマットは、マトリックス樹脂組成物を含浸させたSMC(シートモールディングコンパウンド)として使用される。
多軸織物とは、一方向に引き揃えた繊維強化材の束をシート状にして角度を変えて積層し、ナイロン糸、ポリエステル糸、ガラス繊維糸等のステッチ糸で、この積層体を厚さ方向に貫通して、積層体の表面と裏面の間を表面方向に沿って往復しステッチした織物をいう。好ましい多軸織物の例としては、〔+45/-45〕、〔-45/+45〕、〔0/90〕、〔0/+45/-45〕、〔0/-45/+45〕、〔0/+45/90/-45〕等を挙げることができる。0、±45、90は、多軸織物を構成する各層の積層角度を表し、それぞれ一方向に引き揃えた強化繊維の繊維軸方向が、織物の長さ方向に対して0°、±45°、90°であることを示している。積層角度はこれらの角度に限定されず、任意の角度とすることができる。
本発明のプリプレグに用いる強化繊維基材は、多軸織物を構成する繊維強化材シートの各層間に、熱可塑樹脂製の不織布を挿入し、ステッチした織物が好ましい。各層間に熱可塑樹脂製の不織布を挿入した多軸織物の例としては、〔+45/V/-45/V〕、〔-45/V/+45/V〕、〔0/V/90/V〕、〔90/V/0/V〕、〔0/V/+45/V/90/V/-45/V〕等を挙げることができる。ここでは、Vは熱可塑樹脂製の不織布を示す。各層間に熱可塑樹脂製の不織布を挿入した多軸織物は、得られる繊維強化複合材料の耐衝撃特性が特に優れるため、高い力学特性が必要な用途で好ましく使われる。各層間に挿入する熱可塑性樹脂製の不織布は、3~15g/mであるものが好ましく、3~10g/mであるものがさらに好ましい。3g/m未満では、繊維強化複合材料の耐衝撃特性の向上が不十分である。15g/mを超えると、繊維強化複合材料の繊維含有率が低下し、繊維強化複合材料の力学特性が低下する傾向にある。
本発明のプリプレグに用いる強化繊維基材は、単位面積あたりの強化繊維量が300~1500g/mであるものが好ましく、300~1200g/mであるものがより好ましい。プリプレグの強化繊維量が、300g/m未満では、繊維強化複合材料に成形する際、所定の厚みを得るために積層枚数を多くする必要があり、作業が繁雑となることがある。1500g/mを超えるとプリプレグのドレープ性が低下する傾向にある。
(2) [A]成分
[A]成分としては、グリシジルアミン型エポキシ樹脂が用いられる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、N,N,N’,N’-テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,O-トリグリシジル-p-アミノフェノール、N,N,O-トリグリシジル-m-アミノフェノール、N,N,O-トリグリシジル-3-メチル-4-アミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾールの各種異性体が例示される。
これらのエポキシ樹脂は、必要に応じて、芳香族環構造などに非反応性置換基を有していても良い。非反応性置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基;フェニルなどの芳香族基;アルコキシル基;アラルキル基;塩素や臭素などのハロゲン基が例示される。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、住友化学(株)製のスミエポキシELM434、スミエポキシELM120、スミエポキシELM100(商品名);ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製のアラルダイトMY720、アラルダイトMY721、アラルダイトMY9512、アラルダイトMY9612、アラルダイトMY9634、アラルダイトMY9663(商品名);三菱化学(株)製のjER604、jER630(商品名);Bakelite AG社製のBakelite EPR494、Bakelite EPR495、Bakelite EPR496、Bakelite EPR497(商品名);ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製のアラルダイトMY0500、アラルダイトMY0510、アラルダイトMY0600(商品名)などが挙げられる。
これらのグリシジルアミン型エポキシ樹脂は、適宜選択して1種又は2種以上を混合して用いることができる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂の配合量は、[A]成分(エポキシ樹脂の総量)に対して、50~100質量%が好ましく、55~90質量%がより好ましい。グリシジルアミン型エポキシ樹脂の配合量が50質量%未満である場合、十分な耐熱性が得られない場合がある。また、樹脂の耐熱性を低下させない観点から、主に反応性希釈剤として作用する脂肪族エポキシ樹脂は使用しないことが好ましい。脂肪族エポキシ樹脂は、25℃における粘度が低く、強化繊維基材への含浸を促進するために使用されるが、樹脂硬化物の耐熱性を低下させる課題がある。従って、[A]成分としては、脂肪族エポキシ樹脂を含まないことが好ましい。
(3) [B]成分
[B]成分は、下記式(1)
Figure 0007278132000003
(但し、アミノ基に対するオルト位に少なくとも1つの水素以外の置換基を有する。また、化学式(1)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6の脂肪族置換基、芳香族置換基、ハロゲン原子のいずれかであり、かつ少なくとも1つの置換基は炭素数1~6の脂肪族置換基である。Xは-CH-、-CH(CH)-、-C(CH-、-S-、-O-、-CO-、-CONH-、-C(=O)-のいずれかである。)
で表される芳香族アミンからなる第1の硬化剤である。
具体的には、下式(2)~(5)で表される化合物が例示できる。
Figure 0007278132000004
Figure 0007278132000005
Figure 0007278132000006
Figure 0007278132000007
エポキシ樹脂組成物における[B]成分の配合量は、[A]成分100質量部に対して10~60質量部であることが好ましい。[B]成分の配合量が10質量部以上であれば、硬化後の硬化体の耐吸水性を高くすることができる。[B]成分の配合量が60質量部以下であれば、[B]成分が過剰に存在することによる硬化樹脂の機械物性の低下等の不具合を抑制することができる。
[A]成分と[B]成分との反応開始温度は100~160℃であることが好ましく、100~150℃であることがより好ましい。
(4) [C]成分
[C]成分は、増粘粒子及び/又は[A]成分と40℃以下の温度で硬化反応する第2の硬化剤である。第2の硬化剤としては、[A]成分と40℃以下の温度で硬化反応をさせる化合物であれば特に制限なく用いられる。本発明において、[C]成分としては、アミン及び/又は酸無水物であることが好ましく、また、25℃で液状の化合物であることが好ましい。アミンとしては、例えば、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン系硬化剤の各種異性体が挙げられる。
脂肪族アミンとして具体的には、例えば炭素数2~6のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)、ポリアルキレン(炭素数2~6)ポリアミン(ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等)、これらのアルキル又はヒドロキシアルキル置換体(ジアルキルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等)、脂環式又は複素環式含有脂肪族ポリアミン、例えば、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等、例えばキシリレンジアミン、テトラクロル-p-キシリレンジアミン等が挙げられる。
脂環式アミンとしては、例えば1,3-ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’-メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)、ビス(4-アミノ-3-メチルジシクロヘキシル)メタン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、例えば、ジアミノジフェニルメタン、m-フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、トリメチレンビス(4-アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾエート等が挙げられる。
複素環式アミンとしては、例えばピペラジン、1-アミノエチルピペラジン、1,4-ジアミノエチルピペラジン、3-アミノピロリジン、2-(2-アミノエチル)ピロリジン、4,4’-ビピペラジン、4,4’-エチレンジピペリジン、4,4’-トリメチレンジピペリジン、4-(アミノメチル)ピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン等が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
[C]成分としては、25℃における粘度が10~500mPa・sである脂環式ジアミン及び/又は芳香族ジアミンを用いることが好ましく、該粘度は20~400mPa・sであることがより好ましい。このような粘度の[C]成分を用いることにより、強化繊維基材内への含浸性を高くすることができる。
[C]成分として、アミン及び/又は酸無水物を用いる場合、エポキシ樹脂組成物に含まれる[C]成分の量は、エポキシ樹脂組成物に配合されている[A]成分のエポキシ基の総量あたり、活性水素又は酸無水物当量が0.1~0.35当量であることが好ましい。[C]成分の量は、0.15~0.30当量であることがより好ましい。この範囲の量で[C]成分を配合することにより、エポキシ樹脂組成物を適度に増粘させることができる。0.1当量未満の場合、プリプレグ中でエポキシ樹脂組成物が十分に増粘しないため、プレス成形時において後述の増粘粒子が膨潤を開始する前に粘度が大幅に低下して樹脂フローを生じたり、増粘粒子がプリプレグ中で偏在したりする場合がある。0.35当量を超える場合、[A]成分との硬化反応が進行し過ぎてプリプレグが固くなりすぎ、プレス成形が困難になる場合がある。
[A]成分と[C]成分との25℃での可使時間は30~360分であることが好ましく、60~300分であることが好ましい。尚、[A]成分と[C]成分との可使時間とは、[A]成分と[C]成分を混合し、100gを25℃で放置し、樹脂粘度が初期の2倍に到達した時間である。
25℃での可使時間が30分未満の場合、硬化反応が早過ぎ、樹脂の粘度が上昇し、強化繊維基材内への樹脂含浸が不十分となる場合がある。25℃での可使時間が360分を超える場合、プリプレグ中でエポキシ樹脂組成物が十分に増粘しないため、プレス成形時において後述の増粘粒子が膨潤を開始する前に粘度が大幅に低下して樹脂フローを生じたり、増粘粒子がプリプレグ中で偏在したりする場合がある。
増粘粒子としては、[A]成分を60℃以上の温度で増粘させる化合物が用いられる。本発明において増粘粒子とは、[A]成分との硬化反応を伴わずに増粘させる粒子であり、かつ、[A]成分と増粘粒子との混合物を60℃以上の温度帯に加熱することで、その粒子が膨潤し混合物を増粘させる粒子を意味する。即ち、エポキシ樹脂の硬化剤や後述する熱可塑性樹脂や[D]成分は本発明の増粘粒子ではない。増粘粒子は、[A]成分100質量部に対して3~20質量部の配合量で混合物を増粘させる粒子であることが好ましい。増粘粒子としては、単独又は複数の不飽和化合物と架橋性モノマーとを共重合して得られる粒子が例示される。特に限定されないが、アクリル酸エステル系化合物、メタクリル酸エステル系化合物、ビニル化合物の少なくとも1種を単量体単位とする樹脂を含むことが望ましい。
増粘粒子に用いるアクリル酸エステル系化合物とは、アクリル酸エステル構造を有する化合物とその誘導体をいい、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートが挙げられる。
増粘粒子に用いるメタクリル酸エステル化合物とは、メタクリル酸エステル構造を有する化合物とその誘導体をいい、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートが挙げられる。
増粘粒子に用いるビニル化合物とは、重合可能なビニル構造を有する化合物をいい、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン及びこれらの芳香環がアルキル基やハロゲン原子等の種々の官能基で置換された化合物が挙げられる。
また、増粘粒子は、メタクリル酸エステル系化合物、アクリル酸エステル系化合物、ビニル系化合物の1種又は2種以上の重合単位からなる重合体であってもよく、構造の異なる2種以上の樹脂を混合した樹脂であってもよい。さらに、
(i)アクリル酸エステル系化合物又はメタクリル酸エステル系化合物、ジエン系化合物の少なくとも1種からなる重合体と、
(ii)アクリル酸エステル系化合物又はメタクリル酸エステル系化合物とラジカル重合性不飽和カルボン酸とからなる重合体と、に、
(iii)金属イオンを添加することでイオン架橋させた複合樹脂であってもよい。
増粘粒子としては、メタクリル酸エステル系化合物、アクリル酸エステル系化合物及びビニル系化合物から成る群から選択される1種又は2種以上の重合単位からなる重合体が好ましく、メタクリル酸アルキル重合体がより好ましい。
増粘粒子としては、平均重合度が4,000~40,000であることが好ましい。
増粘粒子としては、ゼフィアックF325やゼフィアックF320(いずれもアイカ工業(株))のような、メタクリル酸アルキル重合体からなる市販品を用いることも好ましい。
増粘粒子の粒子径等については特に限定されないが、平均粒子径が0.3~10μmであることが好ましく、0.5~8μmであることがより好ましい。増粘粒子の含有量は、[A]成分100質量部に対して3~20質量部であることが好ましく、4~18質量部であることがより好ましく、5~15質量部であることが特に好ましい。
[A]成分内に分散する増粘粒子は、加熱によりエポキシ樹脂組成物内で膨潤する。該増粘粒子の膨潤は、温度及び時間とともに進行し、増粘粒子の膨潤に伴ってエポキシ樹脂組成物の粘度は急激に上昇する。
具体的にはエポキシ樹脂組成物を2℃/分で昇温する場合において、増粘粒子が60℃以上で膨潤を開始することが好ましく、80~110℃で膨潤を開始することがより好ましく、85~105℃で膨潤を開始することが特に好ましい。
エポキシ樹脂組成物は、増粘粒子の膨潤前、又は[A]成分と第2の硬化剤との硬化反応前においては、粘度が低いため、強化繊維基材層内への含浸性が優れる。増粘粒子が膨潤する、又は[A]成分と第2の硬化剤との硬化反応によって、エポキシ樹脂組成物の粘度が強化繊維基材層内で上昇すると、成形時における樹脂フローが抑制される。その結果、樹脂含浸性と、樹脂フローの抑制と、を高い次元で両立できる。
(5) [D]成分
[D]成分は、粒子径が体積平均粒子径で1000nm以下の有機粒子である。有機粒子は平均粒子径が体積平均粒子径で1~500nmであることが好ましく、10~300nmであることが更に好ましい。この範囲内であれば、本発明のエポキシ樹脂組成物を炭素繊維あるいは炭素繊維を主成分とする織物に含浸させるときに、炭素繊維あるいは織物に含まれるその他の繊維により粒子が濾別され難いため、繊維層の内部にまで粒子を含侵させることができる。ここで、有機粒子の粒子径は、プリプレグ内における粒子径を意味するが、プリプレグ内に含まれている有機粒子の粒子径を測定することは困難である。そのため、炭素繊維あるいは炭素繊維を主成分とする織物に含浸させる前における有機粒子の粒子径が1000nm以下であれば、プリプレグ内における有機粒子の粒子径も1000nm以下であると看做す。ただし、有機粒子が前述の[A]~[C]成分又は後述の[E]成分に溶解して粒子形状が消失する物質である場合は、本発明の[D]成分から除外される。即ち、本発明における[D]成分は、プリプレグに加工する前の原料段階における粒子径が1000nm以下であり、且つプリプレグに加工した後も粒子としてプリプレグ内に残存する有機粒子を意味する。また、前述の[A]~[C]成分又は後述の[E]成分に該当し、かつ粒子径が体積平均粒子径で1000nm以下である物質も本発明の[D]成分から除外される。
有機粒子としては、特に制限はないが、熱可塑樹脂粒子、ブロック共重合体の粒子、コアシェルゴム粒子が好ましい。特に、エポキシ樹脂組成物により高い開口モードの靱性(KIc)を付与させる観点から、コアシェルゴム粒子が好ましい。
コアシェルゴムとは、架橋されたゴム状ポリマーまたはエラストマーを主成分とする粒子状コア成分の表面にコア成分とは異種のシェル成分ポリマーをグラフト重合することで粒子状コア成分の表面の一部あるいは全体をシェル成分で被覆したものである。
コアシェルゴムを構成するコア成分としては、共役ジエン系モノマー、アクリル酸および/またはメタクリル酸エステル系モノマーより選ばれる1種または複数種から重合されたポリマーまたはシリコーン樹脂などがあるが、特に共役ジエン系モノマーであるブタジエンを重合した架橋ポリブタジエンをコア成分として適用したものが、極低温下における破壊靭性の向上に優れているため好適に用いることができる。
コアシェルゴムを構成するシェル成分は、前記したコア成分にグラフト重合されており、コア成分を構成するポリマーと化学結合していることが好ましい。かかるシェル成分としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物等から選ばれた1種または複数種から重合された重合体である。
また、該シェル成分には分散状態を安定化させるために、本発明のエポキシ樹脂組成物を構成する成分と反応する官能基が導入されていることが好ましい。かかる官能基としては、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物に適用できるコアシェルゴムとしては特に制限はなく、周知の方法で製造されたものを使用できる。また、液状エポキシ樹脂にコアシェルゴム粒子が分散して成るマスターバッチを用いることもできる。このようなコアシェルゴムが分散したマスターバッチとしては、株式会社カネカ社から市販されている“カネエース”(登録商標)を好適に使用できる。
コアシェルゴムは平均粒子径が体積平均粒子径で1~500nmの範囲であることが好ましく10~300nmであることが更に好ましい。この範囲内であれば、本発明のエポキシ樹脂組成物を炭素繊維あるいは炭素繊維を主成分とする織物に含浸させるときに、炭素繊維あるいは織物に含まれるその他の繊維によりコアシェルゴム粒子が濾別され難いため、含浸後においてもコアシェルゴム粒子の分散状態が変化しない。
[D]成分の含有量は、[A]成分100質量部に対して3~15質量部であることが好ましく、3~10質量部であることがより好ましい。コアシェルゴムの含有量は、[A]成分100質量部に対して3質量部未満では、繊維強化複合材料の耐衝撃特性が不十分である。15質量部を超えると樹脂の粘度が上昇し、繊維強化材への樹脂含浸が困難になる。
(6) [E]成分
[E]成分は、ジシアンジアミドとウレア系促進剤からなる第3の硬化剤である。
ジシアンジアミド(DICY)の具体例としては、三菱化学(株)製のjERキュアーDICY7、DICY15(商品名)等が挙げられる。
DICYは、ウレア系硬化促進剤と併用する。DICYはエポキシ樹脂への溶解性がそれほど高くないため、十分に溶解させるためには160℃以上の高温に加熱する必要がある。しかし、ウレア系の硬化促進剤と併用することにより溶解温度を下げることができる。
ウレア系の硬化促進剤としては、例えば、フェニルジメチルウレア(PDMU)、トルエンビスジメチルウレア(TBDMU)等が挙げられる。
ジシアンジアミドとウレア系硬化促進剤とを併用する場合、それらの配合量は、エポキシ樹脂[A]100質量部に対して、ジシアンジアミドが2~5質量部、ウレア系硬化促進剤が2~7質量部であることが好ましい。ただし、ジシアンジアミドとウレア系硬化剤の合計量は4~12質量部である。ジシアンジアミドとウレア系硬化促進剤の合計量が4質量部以上であれば、架橋密度が十分になり、また十分な硬化速度が得られる。ジシアンジアミドとウレア系硬化促進剤の合計量が12質量部以下であれば、硬化剤が過剰に存在することによる硬化体の機械物性の低下や硬化体の濁り等の不具合を抑制することができる。
(7) 熱可塑性樹脂
本発明のエポキシ樹脂組成物には、上記の[A]~[E]成分の他に熱可塑性樹脂を含有していてもよい。熱可塑性樹脂としては、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリアラミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルスルホンポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリビニルホルマールのようなエンジニアリングプラスチックに属する熱可塑性樹脂の一群がより好ましく用いられる。耐熱性や靭性、取り扱い性に優れることから、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリビニルホルマールなどが特に好ましく使用される。
熱可塑性樹脂の配合形態としては、任意の形態を取ることができる。例えば、粉体状の熱可塑性樹脂をエポキシ樹脂中にニーダーなどを用いて混錬、分散させても良いし、エポキシ樹脂中で加熱するなどして、エポキシ樹脂中に熱可塑性樹脂を溶解させても良い。本発明のエポキシ樹脂組成物は、一部の熱可塑性樹脂をエポキシ樹脂に溶解させ、残部の熱可塑性樹脂をエポキシ樹脂に分散させて使用することが好ましい。
粉体状の熱可塑性樹脂の粒子径としては、0.2~100μmであることが好ましく、0.5~80μmであることがより好ましい。
熱可塑性樹脂の配合量としては、エポキシ樹脂100質量部に対して5~30質量部であることが好ましく、5~20質量部であることがより好ましい。
(8) その他の添加剤
本発明のエポキシ樹脂組成物には、難燃剤や無機系充填剤、内部離型剤が配合されてもよい。
難燃剤としては、リン系難燃剤が例示される。リン系難燃剤としては、分子中にリン原子を含むものであれば特に限定されず、例えば、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物、有機ホスフィン酸金属塩などの有機リン化合物や赤リンが挙げられる。耐熱性の観点から特に、有機ホスフィン酸金属塩が好ましく使用される。
有機ホスフィン酸金属塩はリン含有量が高いため、難燃性の発現が良好である。しかも、分解温度が高いため、加工時の圧力や熱などによるブリードアウト現象が起こりにくい。また、エポキシ樹脂に不溶の難燃剤であるため、これを配合したエポキシ樹脂組成物は、通常用いられるような150℃以下に軟化点や融点を持つ固形の難燃剤や液状の難燃剤を配合したエポキシ樹脂組成物と比較すると、例えばプレス成形をした際の樹脂フローが少なくなる。
有機ホスフィン酸金属塩としては、例えばトリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、ビスジフェニルホスフィン酸チタニルなどが挙げられる。これらの中でも、高い難燃性や耐湿性を有するエポキシ樹脂組成物が得られる点で、トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウムが好ましい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機ホスフィン酸金属塩やその複合体の市販品としては、例えばExolit OP930、OP935、OP1230(以上、クラリアントジャパン株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
有機ホスフィン酸金属塩の平均粒子径は50μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。平均粒子径が50μm以下であれば、十分な難燃性がより発現しやすくなる。
無機系充填材としては、例えば、ホウ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、グラファイト、硫酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸塩鉱物が挙げられる。特に、ケイ酸塩鉱物を用いることが好ましい。ケイ酸塩鉱物の市販品としては、THIXOTROPIC AGENT DT 5039(ハンツマン・ジャパン株式会社 製)が挙げられる。
内部離型剤としては、例えば、金属石鹸類、ポリエチレンワックスやカルバナワックス等の植物ワックス、脂肪酸エステル系離型剤、シリコンオイル、動物ワックス、フッ素系非イオン界面活性剤を挙げることができる。これら内部離型剤の配合量は、前記エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1~5質量部であることが好ましく、0.2~2質量部であることがさらに好ましい。この範囲内においては、金型からの離型効果が好適に発揮される。
内部離型剤の市販品としては、“MOLD WIZ(登録商標)” INT1846(AXEL PLASTICS RESEARCH LABORATORIES INC.製)、Licowax S、Licowax P、Licowax OP、Licowax PE190、Licowax PED(クラリアントジャパン社製)、ステアリルステアレート(SL-900A;理研ビタミン(株)製が挙げられる。
(9) エポキシ樹脂組成物の製造方法
エポキシ樹脂組成物は、[A]~[D]成分、及び必要に応じて[E]成分を混合することにより製造できる。エポキシ樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のいずれの方法を用いてもよい。例えば、各成分を同時に混合して調製してもよく、あらかじめ[A]成分に[B]成分を加熱溶解した後、[C]成分の増粘粒子、[D]成分を各々適宜分散させたマスターバッチを調製し、これを用いて調製してもよい。強化繊維基材層内への含浸性の観点から、[A]成分、[B]成分、[C]成分の増粘粒子、[D]成分を予め分散させたマスターバッチを調製し、炭素繊維基材への含浸前に、25℃で[C]成分の第2の硬化剤、を混合することが好ましい。マスターバッチ樹脂と[C]成分の第2の硬化剤を混合後、180分以内に強化繊維基材への含浸することが好ましく、120分以内がより好ましい。
混合機械装置としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な例としては、ロールミル、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクストルーダー、バンバリーミキサー、攪拌翼を備えた混合容器、横型混合槽などが挙げられる。各成分の混合は、大気中又は不活性ガス雰囲気下で行うことができる。大気中で混合が行われる場合は、温度、湿度が管理された雰囲気が好ましい。特に限定されるものではないが、例えば、30℃以下の一定温度に管理された温度や、相対湿度50%RH以下の低湿度雰囲気で混合することが好ましい。
(10) プリプレグの製造方法
本発明のプリプレグの製造方法は、ホットメルト法により強化繊維基材内にエポキシ樹脂組成物を含浸させた後、所定の加熱処理を行うことにより作製することができる。
ホットメルト法は、離型紙の上に、樹脂組成物を薄いフィルム状に塗布して樹脂組成物フィルムを形成し、強化繊維基材に該樹脂組成物フィルムを積層して加圧下で加熱することにより樹脂組成物を強化繊維基材層内に含浸させる方法である。
樹脂組成物を樹脂組成物フィルムにする方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知のいずれの方法を用いることもできる。具体的には、ダイ押し出し、アプリケーター、リバースロールコーター、コンマコーターなどを用いて、離型紙やフィルムなどの支持体上に樹脂組成物を流延、キャストをすることにより樹脂組成物フィルムを得ることができる。フィルムを製造する際の樹脂温度は、樹脂組成物の組成や粘度に応じて適宜決定する。具体的には、前述のエポキシ樹脂組成物の製造方法における混合温度と同じ温度条件が好適に用いられる。樹脂組成物の強化繊維基材層内への含浸は1回で行っても良いし、複数回に分けて行っても良い。
<トウプリプレグの製造方法>
本発明のトウプリプレグは、上記エポキシ樹脂組成物を調製し、これを強化繊維束に含浸させ、さらに紙管などのボビンに巻き取ることにより製造することができる。エポキシ樹脂組成物を含浸させる強化繊維束は、樹脂組成物との接触面積が広くなるため、拡幅され扁平形状であることが好ましい。
強化繊維束を拡幅する方法としては、円筒バーに擦過させる方法;振動を加える方法;押しつぶす方法などが挙げられる。
<SMCの製造方法>
本発明のSMCは、上述したエポキシ樹脂組成物を均一に塗布したフィルムを一対製造し、片方のフィルムの樹脂組成物塗布面に強化繊維束を無秩序に撒き、もう一方のフィルムの樹脂組成物塗布面と貼り合わせ、シート状にしたものを圧着含浸し、その後、当該エポキシ樹脂組成物に含まれる増粘粒子の膨潤、及び/又は[A]成分と[C]成分の硬化反応で室温又は加温下で増粘することにより製造することができる。
<多積層織物プリプレグの製造方法>
本発明の多積層織物プリプレグは、上述したエポキシ樹脂組成物を均一に塗布したフィルムを一対製造し、片方のフィルムの樹脂組成物塗布面に多積層織物を置き、もう一方のフィルムの樹脂組成物塗布面と貼り合わせ、シート状にしたものを圧着含浸し、その後、当該エポキシ樹脂組成物に含まれる増粘粒子の膨潤、及び/又は[A]成分と[C]成分の硬化反応で室温又は加温下で増粘することにより製造することができる。
エポキシ樹脂組成物フィルムをホットメルト法で強化繊維基材層内に含浸させる場合の含浸温度は、60~120℃の範囲が好ましい。含浸温度が60℃未満の場合、エポキシ樹脂の粘度が高く、強化繊維基材層内へ十分に含浸しない場合がある。また、[C]成分の増粘粒子を膨潤させる場合、含浸温度が60℃未満では、膨潤が不十分となる。含浸温度が120℃を超える場合、エポキシ樹脂組成物の硬化反応が進行し、得られるプリプレグの保存安定性が低下したり、ドレープ性が低下したりする場合がある。含浸温度は、70~110℃がより好ましい。また、含浸時間は、1~5分が好ましく、0.5~3分がより好ましい。
エポキシ樹脂組成物フィルムをホットメルト法で強化繊維基材層内に含浸させる際の含浸圧力は、その樹脂組成物の粘度・樹脂フローなどを勘案し、適宜決定する。
[C]成分として増粘粒子を用いる場合、増粘粒子の膨潤による増粘は、強化繊維基材層内への樹脂含侵と同時に行うことが好ましい。一方[C]成分として、[A]成分と40℃以下の温度で硬化反応する第2の硬化剤を用いる場合、強化繊維基材内にエポキシ樹脂組成物を含浸させた後、40℃以下の温度で8時間以上加熱処理することにより、本発明のプリプレグが得られる。この加熱は[A]成分と[C]成分とを反応させてエポキシ樹脂組成物の粘度を増加させるために行う。加熱温度は20~40℃であることが好ましく、25~40℃であることがより好ましい。加熱時間は8~100時間であることが好ましく、12~80時間であることが好ましく、24~72時間であることがより好ましい。
(11) 炭素繊維強化複合材料(CFRP)
本発明のプリプレグを加熱加圧して硬化させることにより、本発明のCFRPを得ることができる。
本発明のCFRPは、吸水率が低いことを特徴とする。ここで吸水率とは、121℃、100%RHの条件下で24時間保管した後の質量増加率をいう。吸水率は1.5質量%以下であることが好ましく、1.3質量%以下であることがより好ましく、1.2質量%以下であることがさらに好ましい。1.5質量%を超える場合、圧縮強度が低下しやすい。
本発明のプリプレグを用いて、CFRPを製造する方法としては、オートクレーブ成形、プレス成形、内圧成形及び真空アシスト圧空加圧成形等が挙げられる。
(11-1)オートクレーブ成形法
本発明のCFRPの製造方法としては、オートクレーブ成形法が好ましく用いられる。オートクレーブ成形法は、金型の下型にプリプレグ及びフィルムバッグを順次敷設し、該プリプレグを下型とフィルムバッグとの間に密封し、下型とフィルムバッグとにより形成される空間を真空にするとともに、オートクレーブ成形装置で、加熱と加圧をする成形方法である。成形時の条件は、昇温速度を1~10℃/分とし、0.2~0.7MPa、130~180℃で20~120分間、加熱及び加圧することが好ましい。
(11-2)プレス成形法
本発明のCFRPの製造方法としては、プリプレグを構成するエポキシ樹脂組成物の特徴を活かして、生産性が高く、良質なCFRPが得られるという観点から、プレス成形法が好ましい。プレス成形法によるCFRPの製造は、本発明のプリプレグ又は本発明のプリプレグを積層して形成したプリフォームを、金型を用いて加熱加圧することにより行う。金型は、予め硬化温度に加熱しておくことが好ましい。
プレス成形時の金型の温度は、130~180℃が好ましい。成形温度が130℃以上であれば、十分に硬化反応を起こすことができ、高い生産性でCFRPを得ることができる。また、成形温度が180℃以下であれば、樹脂粘度が低くなり過ぎることがなく、金型内における樹脂の過剰な流動を抑えることができる。その結果、金型からの樹脂の流出や繊維の蛇行を抑制できるため、高品質のCFRPが得られる。
成形時の圧力は、0.2~10MPaである。圧力が0.2MPa以上であれば、樹脂の適度な流動が得られ、外観不良やボイドの発生を防ぐことができる。また、プリプレグが十分に金型に密着するため、良好な外観のCFRPを製造することができる。圧力が10MPa以下であれば、樹脂を必要以上に流動させることがないため、得られるCFRPの外観不良が生じ難い。また、金型に必要以上の負荷をかけることがないため、金型の変形等が生じ難い。
(11-3)内圧成形法
本発明のCFRPの製造方法としては、内圧成形法も好ましく採用される。内圧成形法とは、袋状の内圧バッグの外側にプリプレグを敷設して、内部に内圧バッグを有するプリプレグ積層体を得、このプリプレグ積層体を金型内に配置して型締し、該金型内で前記内圧バッグを膨張させることにより、プリプレグを該金型の内壁に内接させ、この状態で加熱硬化させる成形方法である。
内圧成形法でCFRPを製造する方法について説明する。先ず、本発明のプリプレグを金型の上型及び下型にそれぞれ敷設する。次に、プリプレグが敷設されている上型と下型との間に内圧バッグを挟み込んで上型と下型とを型締する。これにより、内部に内圧バッグを有するプリプレグ積層体が得られる。その後、金型内の内圧バッグを膨張させることにより、金型内のプリプレグを金型の内壁に内接させるとともに、この状態で金型を加熱することによりプリプレグを加熱硬化させる。所定時間経過後、金型から成形体を取り出し、内圧バッグを除去してCFRPが得られる。
生産性の観点から、プリプレグを敷設する前に、金型を硬化温度に予熱しておくことが好ましい。
内圧バッグの材質は、ナイロンやシリコンゴムのような、可撓性があり且つ耐熱性に優れた材質であることが好ましい。
内圧成形時の金型内の温度は、130~180℃が好ましい。成形温度が130℃以上であれば、十分に硬化反応を起こすことができ、高い生産性でCFRPを得ることができる。また、成形温度が180℃以下であれば、樹脂粘度が低くなり過ぎることがなく、金型内における樹脂の過剰な流動を抑えることができる。その結果、金型からの樹脂の流出や繊維の蛇行を抑制し、高品質のCFRPが得られる。
成形時の圧力は、0.2~2MPaである。圧力が0.2MPa以上であれば、樹脂の適度な流動が得られ、外観不良やボイドの発生を防ぐことができる。また、プリプレグが十分に金型に密着するため良好な外観のCFRPを得ることができる。圧力が2MPa以下であれば、ナイロンやシリコンゴムのような、可撓性がある内圧バッグが破壊され難い。
(11-4)真空アシスト圧空加圧成形法
本発明のCFRPの製造方法としては、真空アシスト圧空加圧成形法も好ましく用いられる。真空アシスト圧空加圧成形法とは、金型の下型にプリプレグ及びフィルムバッグを順次敷設し、該プリプレグを下型とフィルムバッグとの間に密封し、下型とフィルムバッグとにより形成される空間を真空にするとともに、上型と下型とを型締めして形成される金型のキャビティ内を空気加圧してプリプレグを加熱硬化させる成形方法である。
真空アシスト圧空加圧成形法でCFRPを製造する方法について説明する。先ず、本発明のプリプレグを金型の下型に敷設する。次に、該プリプレグの上にフィルムバッグを積重し、下型とフィルムバッグとの間に該プリプレグを密封する。その後、下型とフィルムバッグとにより形成される空間を真空にすることにより該プリプレグを下型に当接させる。さらに、金型を型締して形成される金型のキャビティ内を空気加圧して該プリプレグを下型にさらに密着させる。この状態で加熱することにより該プリプレグを加熱硬化させる。所定時間経過後、金型から成形体を取り出し、フィルムバッグを除去してCFRPが得られる。
生産性の観点から、下型は急速に加熱できるような加熱機構を有していることが好ましい。
フィルムバッグの材質は、ナイロンやシリコンゴムのような、可撓性があり且つ耐熱性に優れた材質であることが好ましい。
金型の温度は、20~50℃でプリプレグ及びフィルムバッグを積重して真空状態とし、その後、昇温速度2~100℃/分で130~180℃まで加熱することが好ましい。成形温度が130℃以上であれば、十分に硬化反応を起こすことができ、高い生産性でCFRPを得ることができる。また、成形温度が180℃以下であれば、樹脂粘度が低くなり過ぎることがなく、金型内における樹脂の過剰な流動を抑えることができ、金型からの樹脂の流出や繊維の蛇行を抑制できるため、高品質のCFRPが得られる。
成形時の圧力は、0.2~2MPaである。圧力が0.2MPa以上であれば、樹脂の適度な流動が得られ、外観不良やボイドの発生を防ぐことができる。また、プリプレグが十分に金型に密着するため、良好な外観のCFRPを得ることができる。圧力が2MPa以下であれば、ナイロンやシリコンゴムのような、可撓性があるフィルムバッグが破壊され難い。
本発明の製造方法における硬化時間は10~120分間であり、優れた品質のCFRPを製造することができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本実施例、比較例において使用する成分や試験方法を以下に説明する。
(炭素繊維)
・“テナックス(登録商標)”STS40-24K:(引張強度4.2GPa、引張弾性率240GPa、帝人(株)製)
・“テナックス(登録商標)”IMS655-24K:(引張強度5.9GPa、引張弾性率290GPa、帝人(株)製)
[A]成分
(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)
・“Araldite(登録商標) MY721”:テトラグリシジル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ハンツマン社製、グリシジルエーテル個数/芳香環個数=0、以下「MY721」と略記する)
・“Araldite(登録商標) MY0510”: 4-グリシジルオキシ-N,N-ジグリシジルアニリン、ハンツマン社製、以下「MY0510」と略記する)
・”3,4’-TGDDE”:
この3,4’-TGDDEエポキシ樹脂の合成方法は以下の通りである。
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で3,4’-ジアミノジフェニルエーテル1000g(5.0mol)、トルエン2500g、蒸留水250gを仕込んだ。これにエピクロロヒドリン5545g(60mol)を加え、80℃で24時間撹拌して付加反応を完結させ、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル)-3,4’-ジアミノジフェニルエーテルを得た。続いて、フラスコ内温度を30℃に下げてから硫酸水素テトラブチルアンモニウム50.9g(150mmol)を加え、これに48%NaOH水溶液2497g(30mol)を60分かけて滴下し、更に4時間撹拌した。得られた反応液へ蒸留水3000mLを加え、有機層を分取した。得られた有機層を0.5%食塩水で1回、蒸留水で1回洗浄を行い、有機層を硫酸ナトリウムで脱水した後に濾過し、濾液を濃縮することで赤褐色の粘性液体を得た。
(グリシジルアミン型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂)
・“jER(登録商標)”828:液状ビスフェニールA型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製
[B]成分
・キュアハードMED:上記化学式(2)の構造を有する(クミアイ化学工業(株)製)。
・M-MIPA:上記化学式(4)の構造を有する(ロンザ社製)。
・M-CDEA:上記化学式(5)の構造を有する(ロンザ社製)。
[C]成分
“IPDA:(イソフォロンジアミン、ピイ・ティ・アイ・ジャパン(株)製)
“PACM:(ビスパラアミノシクロヘキシルメタン、ピイ・ティ・アイ・ジャパン(株)製)
“ゼフィアック(登録商標)”F320:(メタクリル酸アルキル重合体)、平均重合度30,000、アイカ工業(株)製)
“ゼフィアック(登録商標)”F325:(メタクリル酸アルキル重合体)、平均重合度4,000、アイカ工業(株)製)
[D]成分
カネエース(登録商標)”MX-416”: グリシジルアミン型エポキシ樹脂であるテトラグリシジル-4,4’-ジアミノジフェニルメタンにコアシェルゴム粒子を25質量%分散させた液状マスターバッチ、コアシェルゴム粒子径:100nm(カタログ値)
[E]成分
Dicy7:(ジシアンジアミド、三菱化学(株)製)
“オミキュア(登録商標)”24:(2,4’-トルエンビス(3,3-ジメチルウレア)、ピイ・ティ・アイ・ジャパン(株)製)
2P4MHZ-PW:(2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、四国化成工業(株)製)
(熱可塑樹脂)
・PES 5003P:ポリエーテルスルホン(エポキシ樹脂に可溶な熱可塑性樹脂)(以下、PES)、住友化学工業株式会社製、平均粒子径20μm
(B以外の硬化剤)
・4,4’-DDS:4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化社製の芳香族アミン系硬化剤)
(実施例1~10、比較例1、2)
(1) エポキシ樹脂組成物の調合
エポキシ樹脂組[A]、[B]成分、[C]成分の増粘粒子、[D]成分、[E]成分等を表1~4に記載する割合で計量し、三本ロールで混練した。この混合樹脂に、[C]成分の第2の硬化剤を表1に記載する割合で混合し、エポキシ樹脂混合物を得た。
(2) プリプレグの作製
(2-1) 多軸織物プリプレグの作製
多軸織物プリプレグは、次のように作製した。リバースロールコーターを用いて、離型紙上に、上記で得られたエポキシ樹脂組成物を塗布して205g/m目付の樹脂フィルムを作製した。次に、炭素繊維「IMS650-24K」からなる炭素繊維多軸織物〈1〉(+45/90/-45/0の角度で4枚積層しステッチしたもの、織物基材の炭素繊維総目付760g/m)、および、炭素繊維多軸織物〈2〉(-45/90/+45/0の角度で4枚積層しステッチしたもの、織物基材の炭素繊維総目付760g/m)を使用し、この炭素繊維多軸織物の両面に上記樹脂フィルムを積重し、温度80℃、圧力0.2MPaの条件で加熱加圧した。その後、多軸織物プリプレグを40℃で48時間加熱処理して多軸織物プリプレグを作製した。この多軸織物プリプレグの炭素繊維含有率は65質量%であった。
(3) エポキシ樹脂組成物の粘度評価
エポキシ樹脂組成物の増粘前の粘度は、調整後1時間以内のエポキシ樹脂組成物を、レオメトリクス社製レオメーターARES-RDAを用いて測定した。
また、エポキシ樹脂組成物の増粘後の粘度は、40℃で48時間放置した後のエポキシ樹脂組成物を、レオメトリクス社製レオメーターARES-RDAを用いて測定した。
粘度評価は、直径25mmのパラレルプレート間の樹脂の厚さを0.5mmとし、角速度10ラジアン/秒の条件で昇温速度2℃/分で150℃まで粘度測定を行った。
(4) ガラス転移温度
上記で得られた多軸織物プリプレグ〈1〉を2積層、多積層織物プリプレグ〈2〉を2積層、合計4積層した積層物をバッグ内に入れ、これをオートクレーブ内で2℃/分で昇温し、180℃にて120分間加熱し、硬化させて成形板(炭素繊維強化複合材料)を作製した。この間、オートクレーブ内を0.7MPaに加圧し、バッグ内を真空に保った。CFRP硬化物を ASTM D7028法に准じて、炭素繊維強化複合材料のガラス転移温度を測定した。上記成形板を長さ(繊維方向)55mm×幅6mmの試験片に加工し、ユービーエム社製Rheogel-E4000を用い、測定周波数1Hz、昇温速度5℃/分、条件で、30℃からゴム弾性領域まで貯蔵弾性率E’を測定した。logE’を温度に対してプロットし、logE’の平坦領域の近似直線と、E’が転移する領域の近似直線との交点から求められる温度をガラス転移温度(Tg)として記録した。
(5) 吸水率の測定
上記、ガラス転移温度測定で成形した成形版を50mm×50mmの試験片に加工し、プレッシャークッカーPC-422R8((株)平山製作所製)を用い、121℃、100%RH、2気圧の条件で24時間湿熱処理を行い、処理前後の重量を比較することにより吸水率の評価とした。
(6) 有孔圧縮強度の測定
上記、ガラス転移温度測定で成形した方法で、成形板を作製し、ASTM D 6484法に准じて、試験速度1.27mm/minで炭素繊維強化複合材料の有孔圧縮強度を測定した。サンプル数は5個とし、その平均値を用いた。
(実施例11、12)
(2-2) 熱可塑樹脂製の不織布入り多軸織物プリプレグの作製
熱可塑樹脂製の不織布入り多軸織物プリプレグは、次のように作製した。一方向に引き揃えた炭素繊維「IMS650-24K」を1層あたり190g/mのシート状にして、ポリアミド樹脂製の不織布(1枚当たりの目付:g/m)を片面に配置し、炭素繊維多軸織物〈3〉(+45/V/90/V/-45/V/0/Vの角度で4枚積層しステッチしたもの、織物基材の炭素繊維総目付760g/m)、および、炭素繊維多軸織物〈4〉(-45/V/90/V/+45/V/0/Vの角度で4枚積層しステッチしたもの、織物基材の炭素繊維総目付760g/m)を準備した。ここでは、Vはポリアミド樹脂製の不織布を示す。
リバースロールコーターを用いて、離型紙上に、上記で得られたエポキシ樹脂組成物を塗布して、多軸織物プリプレグの炭素繊維含有率が65質量%になるようにした以外は、実施例1と同様な方法でプリプレグを作製した。
(7) 衝撃後圧縮強度の測定
上記で得られた多軸織物プリプレグ〈3〉を3積層、多積層織物プリプレグ〈4〉を3積層、合計6積層した積層物をバッグ内に入れ、これをオートクレーブ内で2℃/分で昇温し、180℃にて120分間加熱し、硬化させて成形板(炭素繊維強化複合材料)を作製した。この間、オートクレーブ内を0.7MPaに加圧し、バッグ内を真空に保った。CFRPの厚みは4.7mmtであった。CFRP硬化物を ASTM D 7137法に准じて、30.5Jの衝撃を加えた後、圧縮強度を測定した。結果は表2に示した。
(実施例13、14)
(2-3) SMCの作製
SMCは次のように作製した。ポリエチレンフィルムの片面上に、目付量が600g/mとなるように上記で得られたエポキシ樹脂組成物を均一に塗布して第一の樹脂シートを作成した。次いで、前記第一の樹脂シートの面上に、炭素繊維「STS40-24K」を長さ約25mmに切断して、繊維の目付量が1200g/mとなるように二次元ランダムに堆積させて強化繊維束のシート状物を作成した。更に、第二の支持体となるポリエチレンフィルムの片面上に、第一の樹脂シートと同じ目付量の樹脂を塗布して第二の樹脂シートを作成し、前記強化繊維シートの繊維に向けて第二の樹脂シートを貼付した。これを温度80℃、圧力0.5MPaの条件で加熱加圧し、SMC前駆体を得た。その後、このSMC前駆体を40℃で48時間加熱処理してSMCを作製した。このSMCの炭素繊維含有率は50質量%であった。
(8) SMC材料を用いた繊維強化複合材料の製造
上記で得られたSMCを2ply積層し、成形用金型にチャージ率(金型面積に対するSMCの面積の割合)65%でチャージして、金型温度160℃、圧力5MPaの条件で20分間加熱圧縮し、エポキシ樹脂組成物を硬化させ、厚さ約2mm、300mm角の平板状の繊維強化複合材料を得た。
(9) SMC材料を用いた繊維強化複合材料の曲げ特性の評価
上記で得られた2mm厚の炭素繊維複合材料に関して、試験片(長さ100mm×幅25mm)に加工し、ASTM D790法に准じて、温度23℃、湿度50%RHの環境下、3点曲げ治具で曲げ試験を行い、曲げ強度、曲げ弾性率および曲げ伸度を算出した。結果は表3に示した。
尚、曲げ試験のサポート間距離は、厚み×16倍の32mmとした。
(実施例15、16)
(2-4) トウプレグの作製
強化繊維束として、フィラメント数24,000本の炭素繊維「STS40-24K」を用いてトウプリプレグを作製した。
具体的な作製方法を以下に示す。クリールから幅10mmの強化繊維束を送り出し、開繊バーを通し、幅15mmに拡幅させた。拡幅された強化繊維束を、40℃程度に加温されたエポキシ樹脂組成物が塗布されたタッチロールに接触させ、強化繊維束にエポキシ樹脂組成物を付着させた。エポキシ樹脂組成物が付着した強化繊維束を、80℃程度に加温された含浸ロールを通過させることにより、エポキシ樹脂組成物を強化繊維束内部まで含浸させた後、ワインダーにて紙管に巻き取った。その後、40℃で48時間加熱処理してトウプリプレグを作製した。
なお、ドクターブレードとタッチロール間のクリアランスを調整することによって、強化繊維束に対する樹脂の付着量を調整した。トウプレグの炭素繊維含有率は65質量%であった。トウプレグの幅は、約8.5mmであった。
(10) トウプレグを用いた繊維強化複合材料の製造
上記で得られたトウプレグを8.5mm間隔で平板上に配置し、[45°/0°/-45°/90°]2s の合計16層に積層してなる350mm×300mmのプリフォームを得た。得られたプリフォームをバッグ内に入れ、これをオートクレーブ内で2℃/分で昇温し、180℃にて120分間加熱し、硬化させて成形板(炭素繊維強化複合材料)を作製した。この間、オートクレーブ内を0.7MPaに加圧し、バッグ内を真空に保った。結果は表4に示した。
Figure 0007278132000008
Figure 0007278132000009
Figure 0007278132000010
Figure 0007278132000011

Claims (14)

  1. 炭素繊維基材と、
    前記炭素繊維基材内に含浸するエポキシ樹脂組成物と、
    から成るプリプレグであって
    前記エポキシ樹脂組成物が、少なくとも以下の[A]成分~[D]成分
    [A]成分:少なくともグリシジルアミン型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂、
    [B]成分:[A]成分と硬化反応する下記式(1)
    Figure 0007278132000012
    (但し、アミノ基に対するオルト位に少なくとも1つの水素以外の置換基を有する。また、化学式(1)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6の脂肪族置換基、芳香族置換基、ハロゲン原子のいずれかであり、かつ少なくとも1つの置換基は炭素数1~6の脂肪族置換基である。Xは-CH-、-CH(CH)-、-C(CH-、-S-、-O-、-CO-、-CONH-、-C(=O)-のいずれかである。)
    で表される芳香族アミンからなる第1の硬化剤、
    [C]成分:[A]成分と40℃以下の温度で硬化反応する第2の硬化剤、
    [D]成分:粒子径が1000nm以下の有機粒子
    を含み、
    前記エポキシ樹脂組成物が、増粘前における粘度(30℃)が5~100Pa・sであり、増粘後における粘度(30℃)が5,000~100,000Pa・sであり、
    前記プリプレグにおいて、前記エポキシ樹脂組成物が、前記増粘後における粘度に増粘していることを特徴とするプリプレグ。
  2. 前記[A]成分が、グリシジルアミン型エポキシ樹脂を、エポキシ樹脂の総量に対して50質量%以上含むエポキシ樹脂である請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 前記第2の硬化剤がアミン系硬化剤であり、その含有量がエポキシ基の総量あたり、活性水素当量が0.1~0.35当量となる量である請求項1項又は2に記載のプリプレグ。
  4. 前記アミン系硬化剤が、1,3-ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’-メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)、ビス(4-アミノ-3-メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジフェニルメタン、m-フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、トリメチレンビス(4-アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾエートの何れかである請求項3に記載のプリプレグ。
  5. 前記アミン系硬化剤が、1,3-ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’-メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)、ビス(4-アミノ-3-メチルジシクロヘキシル)メタンの何れかである請求項3に記載のプリプレグ。
  6. 前記アミン系硬化剤が、イソホロンジアミン、又はビス(4-アミノ-3-メチルジシクロヘキシル)メタンである請求項3に記載のプリプレグ。
  7. 前記[D]成分が、コアシェルゴムである請求項1乃至6の何れか1項に記載のプリプレグ。
  8. さらに[E]成分:ジシアンジアミドとウレア系促進剤からなる第3の硬化剤を含む請求項1乃至7の何れか1項に記載のプリプレグ。
  9. 前記[C]成分が、メタクリル酸エステル系化合物、アクリル酸エステル系化合物及びビニル系化合物から成る群から選択される1種又は2種以上の重合単位を有する重合体から成る増粘粒子をさらに含み、[A]成分内で前記増粘粒子の少なくとも一部が膨潤している請求項1乃至8の何れか1項に記載のプリプレグ。
  10. 前記炭素繊維基材が炭素繊維ストランドである請求項1乃至9の何れか1項に記載のプリプレグ。
  11. 前記炭素繊維基材が多積層織物である請求項1乃至9の何れか1項に記載のプリプレグ。
  12. 前記多積層織物が、各層間に存在する熱可塑樹脂製の不織布を介して一体化された多積層織物である請求項11に記載のプリプレグ。
  13. 前記炭素繊維基材が平均繊維長5~100mmの短繊維で形成されたマットである請求項1乃至9の何れか1項に記載のプリプレグ。
  14. 請求項1乃至13の何れか1項に記載のプリプレグを、温度130~180℃、圧力0.2~10MPaで10~120分間加熱加圧する炭素繊維強化複合材料の製造方法。
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