JP7278019B1 - 玄米ジュレの製造方法 - Google Patents

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【課題】栄養補助食品などとしても利用可能な、なめらかな食感の玄米ジュレの製造方法を提供する。【解決手段】玄米ジュレの製造方法は、玄米粉を電解水素水に浸して灰汁抜きする灰汁抜き工程(1)と、灰汁抜きした玄米粉に炭酸溶液を加えて加熱する加熱工程(2)と、加熱処理物を型に入れて成型する成型工程(3)とを有し、加熱工程(2)は、灰汁抜きした玄米粉にさらに調味料を添加する工程であり、調味料は、柑橘果汁または味噌と糖類とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、玄米粉を原料とした玄米ジュレの製造方法に関する。
日本において、米は、古くから主食として食されており、我々日本人にとって最も馴染みのある食材である。また、米の自給率は、ほぼ100%であることから、我が国において高い安全性が確保された食材であるといえる。一方、小麦粉などの多くを輸入にたよる穀類は、世界情勢も影響し、安定供給や品質・安全性の確保が懸念されるところである。そのため、米の利用について再注目されているといえる。
中でも玄米は、白米よりも栄養価に優れ、また繊維質含有量も豊富であることから、健康食材として用いられている。近年では、玄米を利用した加工食品が市販されており、例えば「玄米餅」、「玄米味噌」、「玄米のあられ」、「玄米のおこし」などが挙げられる。
例えば、特許文献1では、玄米を加圧加熱乾燥した成形体からなるインスタント食品が提案されている。当該加工食品は、簡便にそのまま食することも可能であり、さらには、牛乳、ジュースなどの飲料に分散させることでさらに食し易く、玄米本来の栄養価を吸収し易い状態で保持しているとされている。
特開2019-126305号公報
ところで、玄米は、その高い栄養価から手軽に摂取可能な栄養補助食品としての利用も考えられる。例えば、栄養補助食品として、なめらかな食感のジュレ(ゲル状)とすることで、嚥下困難者にとっても手軽に栄養補給を行うことができると考えられる。
本発明は、栄養補助食品などとしても利用可能な、なめらかな食感の玄米ジュレの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の玄米ジュレの製造方法は、玄米粉を電解水素水に浸して灰汁抜きする灰汁抜き工程と、灰汁抜きした玄米粉に炭酸溶液を加えて加熱する加熱工程と、加熱処理物を型に入れて成型する成型工程とを有することを特徴とする。本発明において、「ジュレ」とは液体をゲル状に固めたものを指し、所謂ゼリーも包括する概念である。また、「炭酸溶液」とは炭酸ガスが水に溶解した水溶液を指し、炭酸水と呼ばれる甘味が全くないもののほか、甘味料などが追加され嗜好性の高い炭酸飲料(サイダーなど)も包含される。
上記加熱工程は、灰汁抜きした玄米粉にさらに調味料を添加する工程であり、上記調味料は、柑橘果汁または味噌と糖類とを含むことを特徴とする。
上記灰汁抜き工程は、常温常圧下で上記玄米粉を上記電解水素水に10分~2時間浸した後、灰汁とともに該電解水素水を除去するという操作を複数回行うことを特徴とする。
上記加熱工程は、ゲル化剤を添加せずに、上記玄米粉全体に対して3倍~10倍の体積量の水分存在下で加熱を開始し、煮詰める工程であることを特徴とする。
本発明の玄米ジュレの製造方法は、玄米粉を電解水素水に浸して灰汁抜きする工程と、灰汁抜きした玄米粉に炭酸溶液を加えて加熱する工程と、加熱処理物を型に入れて成型する工程とを有しており、特に、灰汁抜き工程において電解水素水を用いることで玄米粉の粒子内部への浸透率を向上させ灰汁抜きの効率化を図ることができ、さらに、加熱工程において炭酸溶液を用いることで炭酸ガスの作用によってαでんぷん化(糊化)を促し、結果としてなめらかな食感の玄米ジュレが得られる。
上記加熱工程において、灰汁抜きした玄米粉にさらに調味料(柑橘果汁(特にゆず果汁)または味噌(特に西京味噌)と糖類とを含む)を添加するので、玄米に調和した味にすることができ、美味しい玄米ジュレが得られる。
上記灰汁抜き工程は、常温常圧下で玄米粉を電解水素水に10分~2時間浸した後、灰汁とともに該電解水素水を除去するという操作を複数回行うので、簡便な操作で、かつ、灰汁をより確実に除去することができる。
上記加熱工程は、ゲル化剤を添加せずに、玄米粉全体に対して3倍~10倍の体積量の水分存在下で加熱を開始し煮詰める工程であり、玄米由来の成分(でんぷんなど)によってゲル化させることで、工程管理が容易で、かつ、より安全・安心な玄米ジュレが得られる。
玄米ジュレの製造工程を示すフローチャートである。 電解水素水を用いた灰汁抜きの様子を示す写真である。 炭酸溶液を用いて加熱工程を行った状態の様子などを示す写真である。
本発明者は、小麦粉の安定供給や品質・安全性の確保が懸念されている現在、本来日本人が主食とする「米」で何かしら特化した食材をと考え、栄養価が高く繊維質も多い「玄米」に焦点を当てた。特に、誰でも手軽に栄養補給ができるようにという強い想いのもと、玄米ジュレの開発を試みた。多くの試行錯誤の結果、玄米ジュレの製造方法において「電解水素水」および「炭酸溶液」を用いることで、なめらかな食感の玄米ジュレが得られることを見い出した。本発明は、このような想い・知見に基づくものである。
以下、本発明の玄米ジュレの製造方法について、図1を参照しながら説明する。図1に示すように、本発明の製造方法は、(1)灰汁抜き工程と、(2)加熱工程と、(3)成型工程とを有する。
原料には玄米粉を用いる。玄米粉は、玄米を粉状に粉砕して得られた粒子であれば特に限定されず、例えば、石臼やミルなどの粉砕機を用いて粉状にしたものを用いることができる。また、玄米粉として市販品を用いてもよく、例えば、玄米をそのまま粉末にした生玄米粉や、玄米を一度焙煎してから粉末にした焙煎玄米粉、玄米をお湯に浸漬して発芽させてから粉末にした発芽玄米粉などを用いてもよい。
(1)灰汁抜き工程
この工程は、玄米粉を電解水素水に浸して灰汁抜きする工程である。電解水素水は、水を電気分解することにより陰極側に生成される水を指し、アルカリイオン水とも呼ばれる。電解水素水はアルカリ性を示し、例えばpHは8~10である。電解水素水は、還元性を有し、生体内の酸化的状態から引き起こされる種々の異常などに作用し得ることが期待されており、胃腸症状の改善効果などが認められている。電解水素水は、例えば公知の電解水生成装置によって水道水などから生成することができる。電解水生成装置は、例えば、隔膜により分離された陰極室と陽極室とを備えた電解槽が設けられており、この電解槽で水を電気分解することにより、陰極室から電解水素水が得られるように構成されている。
後述の実施例に示すように、電解水素水は玄米粉への浸透性に優れており、玄米粉を電解水素水に浸すと灰汁が短時間で上層部に溜まる。この溜まった灰汁を、電解水素水とともに除去する。例えば、容器を傾けることで灰汁と電解水素水を排出する。必要に応じて、この操作を複数回行う。
例えば、25℃程度の常温、常圧下(大気圧下)で、玄米粉が十分に浸る量の電解水素水を入れて、しばらくの間(10分間~2時間程度)、静置浸漬した後、灰汁とともに電解水素水を除去する。そして、ある程度水切りした玄米粉に、新たな電解水素水を入れる。このような操作を複数回行うことで、灰汁をより確実に抜くことができる。なお、灰汁がある程度抜けると、灰汁が上層部に溜まらなくなることから目視によって確認できる。浸漬1回当たりの電解水素水の使用量は、特に限定されないが、玄米粉の使用量(体積)に対して、例えば3倍~10倍量用いる。
灰汁抜き工程において、電解水素水に浸している間、必要に応じて容器内を撹拌してもよい。また、電解水素水に浸した容器内を加熱して、例えば35℃~50℃下で灰汁抜きを行ってもよい。
玄米粉の灰汁抜きに電解水素水を用いることで、水や温水を用いた場合に比べて、玄米粉特有の灰汁を効率的に除去することができる。また、電解水素水は玄米粉への浸透性に優れることから、後続の加熱工程において粒子を微細化しやすく、最終的ななめらかな食感にも好影響を与える。
なお、灰汁抜きに重曹(炭酸水素ナトリウム)を用いることも考えられるが、重曹を用いた場合、最終製品から重曹を取り除くことは難しくなる。そのため、当該製品の摂取が塩分過多となる可能性があり、健康増進をより図る目的のため、本発明では灰汁抜きに重曹を用いていない。
(2)加熱工程
この工程は、灰汁抜きした玄米粉に炭酸溶液を加えて加熱する工程である。炭酸溶液は、炭酸ガスが水に溶解した水溶液であり、弱酸性を示す。この場合、水と炭酸溶液をそれぞれ加熱容器に添加してもよく、予め混合調整などした炭酸溶液を加熱容器に添加してもよい。また、後述する調味料を炭酸溶液に予め混合させてもよい。炭酸溶液に含まれる炭酸ガスの作用によって、膨潤した粒子を崩壊させ糊状にさせやすくなることから、最終的になめらかな食感に繋がる。
炭酸溶液としては、所謂炭酸水(甘味が含まれていない)を用いてもよく、嗜好性の高い炭酸飲料(サイダーやコーラなど)を用いてもよい。なお、例えば炭酸飲料を用いる場合、当該炭酸飲料に含まれている成分の一部を後述する調味料とみなしてもよい。最終的な玄米ジュレの味の調整を行いやすいことから、炭酸溶液として炭酸水を用いることが好ましい。例えば、炭酸水としては市販品を用いてもよく、炭酸ガス圧の高い強炭酸タイプのものを用いてもよい。また、炭酸水製造機を用いて水道水などから製造したものを用いてもよい。
本発明に用いる炭酸溶液のガス内圧力は特に制限されないが、例えば0.10MPa以上であり、0.29MPa以上であってもよい。上限は、例えば0.50MPaである。当該ガス内圧力は、炭酸飲料の日本農林規格で定められる測定方法によって測定される。
図1に示すように、炭酸溶液とともに調味料を添加して、混合溶解させたものを加熱することが好ましい。調味料には、一般的な調味料を用いることができ、例えば、糖類、糖類以外の甘味料、塩、胡椒、醤油、味噌、酢、だし、みりん、酒、酒粕、抽出エキス、果汁、珈琲、牛乳、豆乳などが挙げられる。これらの調味料は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記調味料には、特に玄米の味にあった調味料を用いることが好ましい。具体的には、糖類とともに、果汁または味噌を加えることが好ましい。
糖類は、食品分野において用いられるものであれば用いることができ、例えば、ショ糖(砂糖)、ブドウ糖、果糖、乳糖、水飴、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖などを用いることができる。これらの糖類は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、入手性や甘味性に優れることから砂糖を用いることが好ましい。
果汁を加えることでスッキリした味わいとなる。果汁は、特に限定されないが、例えば、ユズ、オレンジ、レモン、ライム、ミカン、シークワーサーなどの柑橘果汁や、ブドウ、リンゴ、イチゴ、ピーチ、マンゴー、パイナップルなどの果実の果汁を用いることができる。これらの果汁は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、柑橘果汁を用いることが好ましい。なお、果汁には、ストレート果汁、濃縮果汁などの各種果汁のほか、果実ピューレ、これらの希釈液、混合液などを用いることができる。また、グレープフルーツは薬物相互作用の観点から含まないことが好ましい。
味噌は、栄養成分が豊富で様々な健康効果が知られている。また、味噌は我々日本人にとって馴染みのある食材であり、これを玄米と組み合わせることで豊かな風味が得られる。味噌は、その原料の違いによって、米味噌(大豆と米を発酵・熟成させたもの)、麦味噌(大豆と麦を発酵・熟成させたもの)、豆味噌(大豆を発酵・熟成させたもの)、および、これらを混合した調合味噌に分けられ、これらを用いることができる。これらの味噌は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に玄米との味の調和という点で、米味噌(例えば西京味噌)が好ましい。また、味噌を用いる場合、豆乳と組み合わせることで、まったりとした食感と塩甘い口どけでプリンに似た食感で、和のテイストを実現することができる。
加熱工程における加熱時間は、例えば10分~30分である。例えば、玄米粉全体に対して3倍~10倍(好ましくは5倍~10倍)の体積量の水分存在下で加熱を開始し煮詰めていく。なお、ここでいう水分は、加熱容器内に添加される液体分(例えば、水、炭酸溶液、豆乳など)の合計量である。撹拌しながら加熱し、粘性が出てきたら加熱を止める。なお、この工程では、ゲル化剤を添加せずに行うことが好ましい。
一般にはジュレ(ゲル状)の作製にはゲル化剤を用いるが、本発明では、玄米由来のでんぷんなどによってゲル化させることが可能である。なお、ゲル化剤としては、ゼラチン、寒天、ペクチン、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガムなどが挙げられる。
(3)成型工程
この工程は、加熱処理物を型に入れて成型する工程である。型は特に限定されず、所望の形状をしたプラスチック容器などを用いることができる。加熱処理物を型に入れた後、品温を例えば30℃以下になるまで冷却することで、凝固し、玄米ジュレが得られる。冷却手法は特に限定されず、空冷、水冷、冷蔵庫などによって行うことができる。
上述した製造方法では、必要に応じて、上記調味料のほか、香料、pH調整剤などを加えてもよい。
本発明の製造方法によって得られた玄米ジュレについて、その水分量は、例えば100g当たり60g~85g(好ましくは70g~85g)である。水分が多く含まれることから、口当たりが非常になめらかである。この水分量は減圧加熱乾燥法によって測定される。また、エネルギーは、例えば100g当たり50kcal~100kcal(好ましくは70kcal~100kcal)である。その他、ミネラル分も豊富であり、例えばカルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガンなどを含む。
上記玄米ジュレは、なめらかな食感でツブツブ感が抑えられていることから、嚥下困難者にとっても手軽に摂取することができる。なお、ツブツブ感とは、舌に粒状が残る感じをいう。上記玄米ジュレは、例えば、栄養補助食品、さらには、消化吸収率を求められる病院食や障害のある子供達の主食として、また、老健施設などの入所者への提供食として、幅広い場面や対象者が摂取することができる。なお、摂取する際には、玄米ジュレに、黒糖やシロップなどの甘味料をかけてもよい。黒糖は、ミネラルや種々の栄養素を含んでおり、健康増進の面でも好ましい。
上記玄米ジュレは、アレルギー成分を除去した製品とすることもできる。例えば、アレルギー表示の対象として、特定原材料7品目(小麦、そば、卵、乳、落花生、えび、かに)と特定原材料に準ずるもの21品目(アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン)が定められており、原材料にこれらを含まないようにすることができる。例えば、実施例1に示すゆず風味の玄米ジュレは、アレルギー表示対象品目の原材料を含んでおらず、特に食物アレルギーを持つ人でも安心に食することができる。
試験例1:灰汁抜き工程の検討
原料には、石臼引きによって粉末化した玄米粉を用いた。その玄米粉を用いて、下記の表1に示す4つの手法で灰汁抜きを試みた。結果を表1に示す。
Figure 0007278019000002
上記表1に示すように、水や温水を用いた灰汁抜きでは、取り換え回数も多くなり、また灰汁の匂いが戻ってしまった(試験例1-1および1-3)。また、重曹の使用は、塩分過多のおそれがあることから、本発明には適さないと判断した(試験例1-2)。これらに対して、電解水素水を用いて灰汁抜きを行った場合には、灰汁が短時間で抽出され、短い浸漬時間および少ない交換回数で灰汁抜きを完了できた。
図2には、電解水素水を用いた灰汁抜きの様子(1回目~3回目)の写真を示す。各写真は、玄米粉の使用量(体積)に対して5倍程度の電解水素水で1時間程度、浸漬した様子を示している。灰汁抜きの回数を重ねるごとに上層部に溜まる灰汁が減少していき、3回目にはほとんど灰汁は見られなかった。また、灰汁抜きに伴って玄米粉が白味を帯びていった。
試験例2:玄米に合った味の検討
灰汁抜きした玄米粉を加熱容器に入れ、下記の表2に示す4種類の調味料の組み合わせと水とを添加した後、弱火で撹拌しながら加熱して、その後、成型した。得られた玄米粉ジュレを食して味の評価を行った。なお、ここでは舌触りの評価は行っていない。結果を表2に示す。
Figure 0007278019000003
上記表2に示すように、砂糖とともに、ゆずの果汁または西京味噌を添加した場合、玄米に調和した味わいとなった(試験例2-1および2-2)。一方、味噌として、麦味噌や八丁味噌(豆味噌の一つ)を用いた場合は、味噌の風味が強めの結果となった(試験例2-3)。また、珈琲を用いた場合、味わいは良好であったが、市販のカフェオレゼリーとの差別化が難しい印象であった(試験例2-4)。
試験例3:加熱工程の検討
灰汁抜きした玄米粉を加熱容器に入れ、水、電解水素水、強炭酸水を、表3に示すように添加して、弱火で撹拌しながら所定時間加熱した。水分の合計量は、玄米粉全体に対して3倍~10倍の体積量の範囲内で行い、試験間で同じとした。試験例3-5では、水にゆず果汁を添加した。試験例3-7~3-9では、水と強炭酸水をそれぞれ添加し、水と強炭酸水の混合液(100体積%)に対して、強炭酸水を50体積%~30体積%添加した。結果を表3に示す。
Figure 0007278019000004
上記表3に示すように、単に水で加熱した場合には、加熱時間を延ばしても、玄米ジュレにおいてツブツブ感が残る結果となった(試験例3-1~3-4)。また、ゆず果汁を添加した場合や電解水素水を用いた場合は、多少なめらかにはなったものの、ツブツブ感は依然として残る結果となった(試験例3-5~3-6)。これらに対して、炭酸水を用いた場合は、加熱容器内の炭酸ガスの濃度に限らず、なめらかな食感を得ることができた。この場合、玄米ジュレにおいて粒状が口に残らなかった。玄米粉を用いた場合であっても、限りなくα化させることができた。
図3には、加熱工程において炭酸溶液を使用した場合と使用していない場合との写真をそれぞれ示す。各写真は、加熱後、加熱処理物が凝固する前の様子を示している。図3に示すように、炭酸溶液を使用した場合は、全体が糊状になり粒状はほとんど見られないのに対して、炭酸溶液を使用していない場合は、粒状が散見された(図中の矢印)。このような状態の違いが、結果としてなめらかな食感に影響を与えていると考えられる。
[実施例1]
材料には、玄米粉、砂糖、ゆず果汁、ゆず皮、電解水素水、強炭酸水、水を用いた。加熱工程で添加する調味料としては、砂糖およびゆず果汁のみを用いた。電解水素水は電解水生成装置を用いて水道水より生成した。
(1)玄米粉を電解水素水に浸してしばらく静置した後、灰汁とともに電解水素水を除去した。水切りした玄米粉に、新たな電解水素水を入れて同様の操作を行った。このように上澄みを2~3回取りながら灰汁抜きを行った(計4~5時間)。
(2)上澄みを除去した後、ゆず果汁、水、砂糖、市販の強炭酸を加えた。加熱開始時の水と強炭酸の合計量は、玄米粉全体に対して5倍~10倍の体積量であった。なお、強炭酸は、水との混合液に対して50体積%加えた。鍋でかき混ぜながら、約15分加熱した。粘性が出てきたら、ゆず皮を入れて火を止めた。
(3)加熱後、加熱処理物を型に入れて冷やして成型し、ゆず風味の玄米ジュレを得た。
[実施例2]
材料には、玄米粉、砂糖、西京味噌、豆乳、電解水素水、強炭酸水、水を用いた。加熱工程で添加する調味料としては、砂糖、西京味噌および豆乳のみを用いた。電解水素水は電解水生成装置を用いて水道水より生成した。
(1)玄米粉を電解水素水に浸してしばらく静置した後、灰汁とともに電解水素水を除去した。水切りした玄米粉に、新たな電解水素水を入れて同様の操作を行った。このように上澄みを2~3回取りながら灰汁抜きを行った(計4~5時間)。
(2)上澄みを除去した後、西京味噌、砂糖、豆乳、強炭酸を加えた。加熱開始時の豆乳と強炭酸の合計量は、玄米粉全体に対して5倍~10倍の体積量であった。鍋でかき混ぜながら、約15分加熱した。粘性が出てきたら、火を止めた。
(3)加熱後、加熱処理物を型に入れて冷やして成型し、西京味噌風味の玄米ジュレを得た。
上記実施例1のゆず風味の玄米ジュレの成分分析などを行ったところ、減圧加熱乾燥法によって測定される水分量は、玄米ジュレ100g当たり80gであり、エネルギーは、玄米ジュレ100g当たり80kcalであった。また、食塩相当量は、玄米ジュレ100g当たり0.01g未満であった。その他、ICP発光分光法によって、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、およびマンガンが含まれることを確認した。
上記実施例1~2に示すように、所定の工程を得ることで、風味も良くなめらかな食感の玄米ジュレを得ることができた。この製造方法は、全工程が安全で、また内容物が全て安心、安全である。また、食品添加物を極力排除しており、アレルギーに関しても、実施例2の大豆以外は導入可能である。このように、玄米ジュレは高い安全性が確保された加工食品になり得、健康増進や栄養補給などを目的とした加工食品として有用である。
本発明者は、昨今の加工食品は、食べやすさや、見た目、食品ロス率の低下などを求めるあまり、食材のクオリティーまでも低下したものも少なくないと考える。美味しさを追求することで到達した「日本人の白米」であるが、原点回帰という点でも今一度「玄米」の良さを生かした万能食を追求するべく、検討を行い、今回見い出した玄米ジュレはそのような位置付けとして広く活用できるものと考える。
本発明の製造方法によれば、栄養補助食品などとしても利用可能な、なめらかな食感の玄米ジュレを製造できるので、幅広い分野で広く活用できる。また、洋菓子でもなく和菓子でもない新感覚の甘味としても食することができる。

Claims (4)

  1. 玄米ジュレの製造方法であって、
    玄米粉を電解水素水に浸して灰汁抜きする灰汁抜き工程と、灰汁抜きした玄米粉に炭酸溶液を加えて加熱する加熱工程と、加熱処理物を型に入れて成型する成型工程とを有することを特徴とする玄米ジュレの製造方法。
  2. 前記加熱工程は、灰汁抜きした玄米粉にさらに調味料を添加する工程であり、前記調味料は、柑橘果汁または味噌と糖類とを含むことを特徴とする請求項1記載の玄米ジュレの製造方法。
  3. 前記灰汁抜き工程は、常温常圧下で前記玄米粉を前記電解水素水に10分~2時間浸した後、灰汁とともに該電解水素水を除去するという操作を複数回行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の玄米ジュレの製造方法。
  4. 前記加熱工程は、ゲル化剤を添加せずに、前記玄米粉全体に対して3倍~10倍の体積量の水分存在下で加熱を開始し、煮詰める工程であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の玄米ジュレの製造方法。
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