JP7277903B2 - 電磁ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載された電磁ブレーキ装置は、停電等により電源供給が断たれた場合であっても制動用ばねのバネ力によってブレーキが作動する。このため、例えばモータを動力としたクレーンによって運搬物を吊り上げている最中にモータ、電磁ブレーキ装置等への電源供給が断たれたとしても、クレーンに連結されている電磁ブレーキ装置において自動的にブレーキが作動し回転部(モータシャフト、車輪等)の動きを制動するので、運搬物の落下を防ぐことができる。
特許文献2に記載の電磁ブレーキ装置900は、図9に示すように、被制動対象の回転部の動きを制動する電磁ブレーキ装置であって、回転軸AXの側から該回転軸に垂直な径方向に突出したフランジ部を有し、被制動対象の回転部に接続されるハブ916と、被制動対象の固定部に固定されるステータ(図示なし)と、回転軸AXを含む平面で切断した面を視るようにして断面視したときに、ハブ916とステータとの間に配置され、ハブ916とステータとの間を回転軸AXと平行な方向に沿って移動可能に構成されたアーマチュア930と、を備える。また、特許文献2に記載の電磁ブレーキ装置900は、励磁コイル922と、断面視したときに励磁コイル922を取り囲むような略Cの字形をなし一端961及び他端962がアーマチュア930に面するようにして配置されたステータ磁路部材960と、を含む。また、ステータ磁路部材960の略Cの字型の内側には永久磁石933が配置されている。さらに、アーマチュア930は、第1フランジ部931及び第2フランジ部932を有するロビン型となっている。
特許文献2に記載された電磁ブレーキ装置900によれば、制動用ばねを必要とせず、また、ブレーキの作動状態及び非作動状態の間で状態を変えるときのみ電力を消費するため比較的省電力なものとなっている。
(a)ブレーキの作動/非作動の状態切替に資する磁気回路上の場所(磁束が通過し吸引力を得ようとする場所。「力点」とも言える。)であるステータ磁路部材960の一端961及び他端962付近の第2フランジ部932と、ハブ916への押し付けを行い回転部の制動に資する場所(「作用点」とも言える)である第1フランジ部931のブレーキ当接面931aと、が物理的に離れている。したがって、特許文献2に記載された電磁ブレーキ装置900によれば必ずしも強い制動力を得ることができない。
(b)また、アーマチュア930がロビン型であるため、第1フランジ部931及び第2フランジ部932が互いに動きを規制するという宿命を負っている。このため、第1フランジ部931側で、ブレーキ当接面931aを摩擦材913に当接してブレーキ作動状態としたときには、第2フランジ部932側では、第2フランジ部932の他方側の面932bとステータ磁路部材960の他端962との間には必ずエアギャップ9bを確保する必要がある。また、第2フランジ部932を挟んだ反対側にもエアギャップ9aが存在している。このため、エアギャップ9a,9bにより磁気回路上の磁気抵抗が大きくなり、これに伴い通過する磁束が小さくなり、その結果必ずしも十分な吸引力を得ることができない。よって、必ずしも強い制動力を得ることができない。
(c)また、摩擦材913が摩耗するとエアギャップ9bが減少し最終的には0(ゼロ)となる可能性がある。そうすると、ハブ916に対する押し付けの力が弱くなり、十分な制動力を得ることができなくなる。
(d)さらに、アーマチュア930は回転軸AXと平行な方向に沿って移動させる必要があるため、永久磁石933と第2フランジ部932の端部(図示を省略)との間にクリアランス9cを確保する必要がある。なお、永久磁石933の両隣に図示されている符号934はスペーサでありヨークとして機能していない。永久磁石933からみてヨークとして機能しているのはステータ磁路部材960及び第2フランジ部932である。このようにクリアランス9cが必要となるため磁気回路上の磁気抵抗が大きくなり、これに伴い通過する磁束が小さくなり、その結果必ずしも十分な吸引力を得ることができない。よって、必ずしも強い制動力を得ることができない。
さらに、ハブ、アーマチュア及びステータ(ステータ磁路部材)との接触に関しては次の通りとなっている。すなわち、ハブは、フランジ部において、アーマチュアに対向する位置に第1当接面を有している。アーマチュアは、第1当接面と対向する位置に内周ヨーク及び外周ヨークのそれぞれの一端側の端面によって構成された第2当接面を有しており、且つ、ステータ磁路部材と対向する位置に内周ヨーク及び外周ヨークのそれぞれの他端側の端面によって構成された第3当接面を有している。ステータ磁路部材は、第3当接面と対向する位置にステータ磁路部材の一端の端面及び他端の端面によって構成された第4当接面を有している。
本発明の電磁ブレーキ装置はこのような構成を採っているため、永久磁石を起点として永久磁石のN極、外周ヨーク、外周ヨークによる第2当接面、ハブの第1当接面、ハブ、ハブの第1当接面、内周ヨークによる第2当接面、内周ヨーク及び永久磁石のS極の経路で「第1の磁気回路」を構成している。
同様に、永久磁石のN極、外周ヨーク、外周ヨークによる第3当接面、ステータ磁路部材の一端の端面による第4当接面、ステータ磁路部材、ステータ磁路部材の他端の端面による第4当接面、内周ヨークによる第3当接面、内周ヨーク及び永久磁石のS極の経路で「第2の磁気回路」を構成している。なお、ここでは永久磁石において外周側にN極を内周側にS極を配置する場合を想定した説明としている。
このため、一旦、ハブの第1当接面及びアーマチュアの第2当接面が互いに当接する状態となるか、又は、アーマチュアの第3当接面及びステータ磁路部材の第4当接面が互いに当接する状態となったならば、仮に励磁コイルへの通電を切ったとしても、永久磁石を起磁力とする吸引力が、第1の磁気回路を通じて第1当接面及び第2当接面を介してアーマチュアからハブに働き続ける、又は、第2の磁気回路を通じて第3当接面及び第4当接面を介してアーマチュアからステータ磁路部材に働き続けることとなる。つまり、一旦、アーマチュアがハブ側に引き寄せられる、又は、アーマチュアがステータ磁路部材側に引き寄せられると、仮に励磁コイルへの通電を切ったとしてもその状態を維持することができる。
したがって、本発明によれば自己保持型の省電力な電磁ブレーキ装置を得ることができる。
したがって、本発明の電磁ブレーキ装置によれば、吸引力を生じる界面と制動のために押し付けが行われる界面とが同じ界面であるため、吸引力を押し付ける力として直に変換することができ、その結果、強い制動力を得ることができる。
換言すると、本発明の電磁ブレーキ装置におけるアーマチュアの可動範囲においては、特段、アーマチュアの動きを規制するものは無い。このため、制動のために押し付けられる面が多少摩耗したとしても、特許文献2に記載された電磁ブレーキ装置のように押し付けの力が弱くなることはなく、依然として強い制動力を得ることができる。
これにより、全体としてハブとアーマチュアとの間の吸引力、アーマチュアとステータ磁路部材との間の吸引力を最大とすることができる。また、永久磁石の径方向の外側と内側とで制動に資する当接面における摩擦の偏りが少なくなり、強い制動力を維持することができる。
1.実施形態1に係る電磁ブレーキ装置1の構成
図1は、実施形態1に係る電磁ブレーキ装置1の斜視図である。図1(a)は電磁ブレーキ装置1の外観を示す図であり、図1(b)は電磁ブレーキ装置1を回転軸AXに沿って分解したときの図である。図1においてリード線226(後述)の表示は省略している。
実施形態1に係る電磁ブレーキ装置1は、図示しない被制動対象(モータ,各種の車等)の回転部(モータシャフト,車輪等)の動きを制動する電磁ブレーキ装置であって、電磁石となる励磁コイル220に流す電流の方向を瞬時に切り替えて流すだけで、ブレーキの作動・非作動を切り替えて自己保持することができるブレーキ装置である。
図1(a)に示すように、電磁ブレーキ装置1は、ハブ120、ステータ200及びアーマチュア300を備えている。なお、シャフト110は必ずしも電磁ブレーキ装置1の必須構成要素ではないが(勿論構成要素に含めてもよい)、理解容易とするため他の構成要素と併せて図示している。
ハブ120は、何等かの形で被制動対象の回転部に接続される。ステータ200は、何等かの形で被制動対象の固定部に固定される。ここでの接続・固定は、直接的に行う接続・固定であっても、別部品を介して間接的に行う接続・固定であっても構わない。
電磁ブレーキ装置1を使用する際には、被制動対象の固定部とステータ200とを互いに固定する。その上で、被制動対象の回転部をハブ120に接続する。被制動対象の回転部とハブ120との接続は、例えば、被制動対象の一部であるシャフト(例えばモータシャフト等)をハブ120の空洞(後述する)に挿入し、ねじ穴123を通じてボルトねじ(図示を省略)で固定することによって行ってもよい。また、図1(a)のように電磁ブレーキ装置1に予めシャフト110がハブ120に嵌装されている場合には、カップリング等で被制動対象の回転部と当該シャフト110とを連結してもよい。上記のように被制動対象に接続・固定した上で、外部からリード線226を通じて励磁コイル220に所定の電流を通電することによりアーマチュア300を動かし、これにより回転部の制動/非制動の切り替えを行うことができる。
図1(b)に示すように、ハブ120は、回転軸AXの側から該回転軸AXに垂直な径方向RDに突出したフランジ部124を有している。ハブ120の具体的な構成例としては、回転軸AXに沿って空洞が形成された略筒状の筒状胴部122を形成し、この筒状胴部122の外周付近より径方向RDに向けて突出するフランジ部124を設けることによってハブ120を構成してもよい。
ハブ120のうち少なくともフランジ部124は、軟磁性体からなっている。
筒状胴部122の空洞側の内壁121は、図示したような円弧の形状を有する内周壁であってもよいが、角を有する形状の壁であってもよい。筒状胴部122にはねじ穴123が形成されている。
シャフト110は、筒状胴部122の空洞側に嵌装されており、ねじ穴123を通じてボルトねじ等によりハブ120に固定されている。シャフト110は、回転軸AXを中心に回転が可能となっており、被制動対象の回転部とハブ120との間の回転力・制動力を伝達する。
ステータ200は、図2に示すように、大まかに捉えると励磁コイル220及びステータ磁路部材260を含んでいる。
励磁コイル220は、外部からリード線226によって所定の電流を供給し通電することにより、磁気回路を形成する部材(ステータ磁路部材260、内周ヨーク310、外周ヨーク320、ハブ120、ガイド部材230等。詳細は後述する。)を励磁する。
励磁コイル220は、コイルホルダ222を用いて当該コイルホルダ222のレールに沿って電線を、回転軸AXを中心に巻回することによって得てもよい。コイルホルダ222は外観が扁平したボビン形状をなした絶縁材からなる《符号222は図2(c)及び図2(d)を参照》。
ステータ磁路部材260は、ステータ200側の磁気回路(「第2の磁気回路」、詳細は後述する)の一部を構成する部材である。ここでは、図2のようにケース240とステータ基体210とを併せてステータ磁路部材260を構成する。なお、ステータ基体210及びケース240は軟磁性体からなる。ケース240は、磁路部材として機能すると共に、電磁ブレーキ装置1の一部を覆ってケーシングとしても機能する。
ステータ磁路部材260は、例えば図2のように回転軸AXを含む平面で切断した面を視るようにして断面視したとき、励磁コイル220を取り囲むような略Uの字形をなしている。ステータ磁路部材260は、その一端の端面260a及び他端の端面260bがアーマチュア300に面するようにして配置されている《各符号は図2(c)を参照》。
ここで、ステータ磁路部材260の断面形状が「略Uの字形」というのは、一端の端面260a及び他端の端面260bがアーマチュア300に面しており、且つ、一端の端面260aと他端の端面260bの間を結ぶ磁路部材の部分(図面では右側の方)は特段のエアギャップもなく閉じて連続しているという意味での「略Uの字形」であり、この限りにおいては略Cの字形や略くの字形に近いものもここでいう「略Uの字形」に含まれる。
実施形態1に係る電磁ブレーキ装置1は、ステータ磁路部材260と一体となったガイド部材230を更に備えている。つまり、実施形態1に係る電磁ブレーキ装置1においては、ステータ200(固定体)に属する形でガイド部材230が設けられている。
ガイド部材230は、アーマチュア300に設けられた被ガイド部314(詳細は後述)と係合して、アーマチュア300の移動を案内する。
ガイド部材230は、ボス状のもの、ガイドレール状のもの等で構成することができる。ここでは、ピン232を用いてボス状のガイド部材230を構成している。ピン232は、その一端側がステータ基体210に設けられたピン固定穴214に圧入されており、ステータ基体210に固定されている。ピン232の他端側の残余はステータ基体210のアーマチュア300側の面から突出しており、かかる突出した部分によって「ボス」を構成している。このガイド部材230としてのボスは、その長手方向が回転軸AXと平行となるようにして配置されている《各符号は主に図2(d)を参照》。
このボス状のピン232はステータ基体210に複数本配置されていることが好ましく、さらには3本配置されていることがより好ましい。配置数が3本であることにより、3本より多い場合のようにピン232と被ガイド部314の間の摩擦やガタの影響を受けることも少なく、また、2本以下の場合のように励磁による吸引力が偏ってアーマチュア300に伝達することもなく、円滑且つ満遍なくアーマチュア300を案内することができる《図1(b)参照》。
なお、ガイド部材230は軟磁性体であっても、そうでなくても、どちらでも構わない。
アーマチュア300は電磁力の影響を受けて動く可動部分をいう。アーマチュア300は、ハブ120とステータ200との間に配置され、ハブ120とステータ200との間を回転軸AXと平行な方向に沿って移動可能に構成されている。
なお、本明細書では、アーマチュア300におけるハブ120と対向する側を「一端側」と定義し、ステータ磁路部材260と対向する側を「他端側」と定義する。
これにより、ガイド部材230及び被ガイド部314が係合して互いに案内をすることにより、アーマチュア300がハブ120とステータ200との間を回転軸AXと平行な方向に沿って移動可能となっている。
外周ヨーク320は、内周ヨーク310よりも径の大きな環状をなした軟磁性体からなる。外周ヨーク320の外周面は、ハブ120の外周面及びステータ磁路部材260の外周面と同一面を形成するような位置に配置されているが、ハブ120の外周面及びステータ磁路部材260の外周面よりも内側(回転軸AXに近い側)の位置に配置してもよい。
永久磁石330としては、連続的な円環状のもので、例えば外周側をN極、内周側をS極となるように着磁したいわゆる内外周単極のものを採用することができる。
ただ、円環を複数分割した形状の個別の永久磁石を複数組み合わせて「永久磁石330」として構成することが好ましい。連続的な円環状の永久磁石を製造するよりも、個別の永久磁石を製造する方が成形、着磁等の点で容易だからである。例えば、一周360°の円環を8分割した形状であって中心角にして45°の円弧状の個別の永久磁石を、8個連結して「永久磁石330」を構成してもよい。
また、図2に示すように、永久磁石330の厚みをアーマチュア300の厚みよりも小さくしてもよい。この場合、永久磁石330のアーマチュア300における位置(回転軸に沿ってみたときの位置)は、ステータ磁路部材260の側に偏在させることが好ましい。
なお、永久磁石330で埋めきれない空間は非磁性材料からなるスペーサ340で埋めてもよい。
アーマチュア300は、ハブ120とステータ200(ステータ磁路部材260)との間を行き来しながら、それらのいずれかと当接して、当接の際の押し当ての力により得られる当接面同士の摩擦抵抗により回転体の制動をする。以下に、かかる当接面について説明をする。
本明細書においては、ハブ120におけるアーマチュア300側の当接面を「第1当接面」、アーマチュア300におけるハブ120側の当接面を「第2当接面」及びステータ磁路部材260側の当接面を「第3当接面」、並びに、ステータ磁路部材260におけるアーマチュア300側の当接面を「第4当接面」と定義する。
図2(c)及び図2(d)に示すように、ハブ120は、フランジ部124において、アーマチュア300に対向する位置に第1当接面130を有している。アーマチュア300は、第1当接面130と対向する位置に内周ヨーク310及び外周ヨーク320のそれぞれの一端側の端面310a,320aによって構成された第2当接面350を有しており、且つ、ステータ磁路部材260と対向する位置に内周ヨーク310及び外周ヨーク320のそれぞれの他端側の端面310b,320bによって構成された第3当接面360を有している。ステータ磁路部材260は、第3当接面360と対向する位置にステータ磁路部材260の一端の端面260a及び他端の端面260bによって構成された第4当接面270を有している。
これら第1当接面130、第2当接面350、第3当接面360及び第4当接面270は、回転軸AXに対し垂直の関係になっている。別言すると、これらの当接面は、内周ヨーク、永久磁石及び外周ヨークの積層方向と平行の関係になっている。なおここでの「垂直」「平行」とは、厳密な意味での「垂直」「平行」の他に、実用的な範囲で電磁ブレーキ装置1が作用・効果を奏する程度に概略垂直・概略平行な場合もこれに含まれる。
また、第2当接面350は、内周ヨーク310及び外周ヨーク320のそれぞれの一端側の端面310a,320aが同一平面(いわば面一)として形成されていることを想定して説明しているが、端面310a,320aの間に若干の段差があっても構わない。これは、第3当接面360及び第4当接面270においても同様である。
ブレーキ非作動状態(回転部の開放)のときには、一方で第1当接面130及び第2当接面350の間でエアギャップAGFが生じてハブ120の回転が解放され、他方で第3当接面360及び第4当接面270が互いに当接する状態となっている《図2(b)参照》。
なお、図2等では説明のためにデフォルメしてエアギャップを比較的大きく描いているが、これらのエアギャップにも磁束が通過するものとして以下も説明を続ける。
図3は、実施形態1に係る電磁ブレーキ装置1を、図2(b)の破線で囲まれた領域Cについて拡大した要部拡大断面図である。
電磁ブレーキ装置1は、図3に示すように、回転部の制動に資する第1当接面130又は第4当接面270(実施形態1に係る電磁ブレーキ装置1では第1当接面130)の径方向の寸法の中心と、永久磁石330の径方向の厚みの中心と、が図3のDで示される同一の位置となるように構成されている。
同様に視たときの、回転部の制動に資する、第1当接面130及び第2当接面350の間の非制動時のエアギャップの距離をAGFとするとAGF<STP(又は、第3当接面360’及び第4当接面270’の間の非制動時のエアギャップの距離をAG’FとするとAG’F<STP)の関係となるように構成されている(但し、括弧内は後述する実施形態2に係る電磁ブレーキ装置2の場合)。
(1)等価な磁気回路
図4は、実施形態1に係る電磁ブレーキ装置1に等価な磁気回路(但し、非励磁状態)を示す図である。
電磁ブレーキ装置1はこれまで述べたような構成を採っているため、起磁力源である永久磁石330を起点として永久磁石330のN極、外周ヨーク320、外周ヨークによる第2当接面350、ハブ120の第1当接面130、ハブ120、ハブ120の第1当接面130、内周ヨーク310による第2当接面350、内周ヨーク310及び永久磁石330のS極の経路で「第1の磁気回路」を構成している。なお、永久磁石330の起磁力をFmgとし、第1の磁気回路の磁気抵抗をRrとし、第1の磁気回路を通過する磁束をΦrとする(図2~図4を参照)。
同様に、起磁力源である永久磁石330を起点として永久磁石330のN極、外周ヨーク320、外周ヨーク320による第3当接面360、ステータ磁路部材260の一端の端面260aによる第4当接面270、ステータ磁路部材260、ステータ磁路部材260の他端の端面260bによる第4当接面270、内周ヨーク310による第3当接面360、内周ヨーク310及び永久磁石330のS極の経路で「第2の磁気回路」を構成している。なお、永久磁石330の起磁力をFmgとし、第2の磁気回路の磁気抵抗をRsとし、第2の磁気回路を通過する磁束をΦsとする(図2~図4を参照)。
またなお、ここでは永久磁石330において外周側にN極を内周側にS極を配置する場合を想定した説明としている。
上記した磁気回路を念頭に、以下、電磁ブレーキ装置1の動作について説明する。
図5は、実施形態1に係る電磁ブレーキ装置1の動作を説明するために示す図である。図5(a)、図5(c)、図5(e)及び図5(g)は第1フェーズ~第4フェーズにそれぞれ対応した要部拡大断面図である。リード線226の表示は省略している。励磁コイル220を構成する各電線は、電流を通電していない状態は白抜きの丸の表示とし、紙面手前側から紙面裏側の方向に電流(紙面裏側への電流)を通電している状態は丸の中にXを書き入れた表示とし、紙面裏側から紙面手前側の方向に電流(紙面手前側への電流)を通電している状態は丸の中に点を書き入れた表示としている。また、図5(b)、図5(d)、図5(f)及び図5(h)は、第1フェーズ~第4フェーズにそれぞれ対応した磁気回路の図である。これらの各図において、磁力線(磁束)の一部を実線及び点線で模式的に示しており、また、点線については励磁コイル220による磁力線(磁束)の増加分を示している。
(a)第1フェーズ《図5(a)及び図5(b)参照》
第1フェーズは、安定的にブレーキ作動状態を維持しているモード(ブレーキ作動モード)である。
一般に、磁気回路においてエアギャップが小さいほどアーマチュアに働く吸引力も大きいことが知られている。エアギャップが小さいと磁気抵抗が小さくなり、これに伴いエアギャップ付近を通過する磁束が大きくなって吸引力が増すからである。
第1フェーズにおいて、ハブ120(第1当接面)~アーマチュア300(第2当接面)間のエアギャップは0(ゼロ)である。一方、アーマチュア300(第3当接面)~ステータ磁路部材260(第4当接面)間のエアギャップはAGBである。
このときの第1の磁気回路の磁気抵抗RrBと第2の磁気回路の磁気抵抗RsBとの関係は、RrB<<RsBとなる。このため、永久磁石330から発した磁束の殆どが第1の磁気回路を通過する。このときの第1の磁気回路を通過する磁束をΦ1とする。一方で、第2の磁気回路を通過する磁束は0(ゼロ)である。なお、厳密にみれば第2の磁気回路を通過する磁束は完全に0(ゼロ)とまで言えないが、ここでは便宜上0(ゼロ)として扱いながら図5を図示し以下の説明を続ける。また第1の磁気回路の磁束が0(ゼロ)の場合も同様とする。
このようにして、第1フェーズにおいては、アーマチュア300~ステータ磁路部材260間の吸引力はほぼ0(ゼロ)である一方、ハブ120~アーマチュア300間には強い吸引力が生じている。このため、励磁コイル220に電流を通電しなくとも、安定的にハブ120(第1当接面)~アーマチュア300(第2当接面)間の当接状態は保持され、回転体を制動し、ブレーキ作動状態を維持することができる。
ブレーキ作動モードにある電磁ブレーキ装置1に対して、励磁コイル220に紙面裏側への所定量の電流を通電すると、励磁コイル220は電磁石となり起磁力Fcを発生する。このため、かかる起磁力Fcにより第1の磁気回路及び第2の磁気回路には追加的な磁束Φ3が生じる。
|Φ3|≒|Φ1|の関係となるように励磁コイル220に通電する電流を設定すると、第1の磁気回路を通過する磁束Φr(例えば第1当接面130及び第2当接面350を通過する磁束Φr)は、永久磁石330による磁束Φ1と励磁コイル220による磁束Φ3とによって相殺されて、実質的に0(ゼロ)となる。
そうすると、実質的には、永久磁石330から発した磁束の殆どが第2の磁気回路を通過することとなる。このため、アーマチュア300(第3当接面)~ステータ磁路部材260(第4当接面)間のエアギャップAGBを通過する磁束は相対的に大きなものとなり、アーマチュア300(第3当接面)~ステータ磁路部材260(第4当接面)間で吸引力を生じる。このようにして、アーマチュア300がステータ磁路部材260側に移動することとなる(第3フェーズへの移行)。
第2フェーズによって励磁された電磁ブレーキ装置1は、アーマチュア300の両側における吸引力のバランスが変わり、アーマチュア300がステータ磁路部材260側に移動する。すると、図5(e)及び図5(f)に示すように、アーマチュア300(第3当接面)~ステータ磁路部材260(第4当接面)間のエアギャップは0(ゼロ)となり、ハブ120(第1当接面)~アーマチュア300(第2当接面)間のエアギャップはAGFとなる。
このときの第1の磁気回路の磁気抵抗RrFと第2の磁気回路の磁気抵抗RsFとの関係は、RrF>>RsFとなる。このため、永久磁石330から発した磁束の殆どが第2の磁気回路を通過する。このときの第2の磁気回路を通過する磁束をΦ2とする。一方で、第1の磁気回路を通過する磁束は0(ゼロ)である。
このようにして、第3フェーズにおいては、ハブ120~アーマチュア300間の吸引力はほぼ0(ゼロ)である一方、アーマチュア300~ステータ磁路部材260間には強い吸引力が生じている。このため、励磁コイル220に電流を通電しなくとも、安定的にアーマチュア300(第3当接面)~ステータ磁路部材260(第4当接面)間の当接状態は保持され、回転体を開放し、ブレーキ非作動状態を維持することができる。
ブレーキ非作動モードからブレーキ作動モードへ切り替える場合は、上記(2-1)と逆の動作をする。
(a)第3フェーズ《図5(e)及び図5(f)参照》
上記(2-1)(c)で行った説明と同様のため詳しい説明は省略するが、第3フェーズにおいては安定的にブレーキ非作動状態を維持している。
ブレーキ非作動モードにある電磁ブレーキ装置1に対して、励磁コイル220に紙面手前側への所定量の電流を通電すると、励磁コイル220は電磁石となり起磁力Fc’を発生する。このため、かかる起磁力Fc’により第1の磁気回路及び第2の磁気回路には追加的な磁束Φ4が生じる。
|Φ4|≒|Φ2|の関係となるように励磁コイル220に通電する電流を設定すると、第2の磁気回路を通過する磁束Φs(例えば第3当接面360及び第4当接面270を通過する磁束Φs)は、永久磁石330による磁束Φ2と励磁コイル220による磁束Φ4とによって相殺されて、実質的に0(ゼロ)となる。
そうすると、実質的には、永久磁石330から発した磁束の殆どが第1の磁気回路を通過することとなる。このため、ハブ120(第1当接面)~アーマチュア300(第2当接面)間のエアギャップAGFを通過する磁束は相対的に大きなものとなり、ハブ120(第1当接面)~アーマチュア300(第2当接面)間で吸引力を生じる。このようにして、アーマチュア300がハブ120側に移動することとなる(第1フェーズへの移行)。
第4フェーズによって励磁された電磁ブレーキ装置1は、アーマチュア300の両側における吸引力のバランスが変わり、アーマチュア300がハブ120側に移動する。すると、図5(a)及び図5(b)に示すように、ハブ120(第1当接面)~アーマチュア300(第2当接面)間のエアギャップは0(ゼロ)となり、アーマチュア300(第3当接面)~ステータ磁路部材260(第4当接面)間のエアギャップはAGBとなる。
このようにして、第1フェーズにおいては安定的にブレーキ作動状態を維持することができる《詳しい説明は上記(2-1)(a)を援用する。》。
(1)実施形態1に係る電磁ブレーキ装置1は、電磁石となる励磁コイル220に流す電流の方向を瞬時に切り替えて流すだけで、ブレーキの作動・非作動を切り替えて自己保持することができる。
実施形態1の電磁ブレーキ装置1において、アーマチュア300は、ハブ120とステータ200との間に配置され、ハブ120とステータ200との間を回転軸AXと平行な方向に沿って移動可能に構成されている。また、アーマチュア300自体は、回転軸AXの側から径方向RDに向かって互いに隣接しながら内周ヨーク310、永久磁石330及び外周ヨーク320の順番で積層するようにして構成されている。ここでの永久磁石330は、磁軸が上記積層方向と一致するようにして配置されている。
さらに、ハブ120、アーマチュア300及びステータ200(ステータ磁路部材260)との接触に関しては、上記した第1当接面130、第2当接面350、第3当接面360及び第4当接面270を有している。電磁ブレーキ装置1はこのような構成を採っているため、永久磁石330を起点とした上記「第1の磁気回路」及び上記「第2の磁気回路」を構成している。
このため、一旦、ハブ120の第1当接面130及びアーマチュア300の第2当接面350が互いに当接する状態となるか、又は、アーマチュア300の第3当接面360及びステータ磁路部材260の第4当接面270が互いに当接する状態となったならば、仮に励磁コイル220への通電を切ったとしても、永久磁石330を起磁力(Fmg)とする吸引力が、第1の磁気回路を通じて第1当接面130及び第2当接面350を介してアーマチュア300からハブ120に働き続ける、又は、第2の磁気回路を通じて第3当接面360及び第4当接面270を介してアーマチュア300からステータ磁路部材260に働き続けることとなる。つまり、一旦、アーマチュア300がハブ120側に引き寄せられる、又は、アーマチュア300がステータ磁路部材260側に引き寄せられると、仮に励磁コイル220への通電を切ったとしてもその状態を維持することができる。
したがって、本発明によれば自己保持型の省電力な電磁ブレーキ装置を得ることができる。
したがって、電磁ブレーキ装置1によれば、吸引力を生じる界面と制動のために押し付けが行われる界面とが同じ界面であるため、吸引力を押し付ける力として直に変換することができ、その結果、強い制動力を得ることができる。
換言すると、電磁ブレーキ装置1におけるアーマチュア300の可動範囲においては、特段、アーマチュア300の動きを規制するものは無い。このため、制動のために押し付けられる面が多少摩耗したとしても、従来の電磁ブレーキ装置のように押し付けの力が弱くなることはなく、依然として強い制動力を得ることができる。
このような構成とすることにより、アーマチュア300をガイド部材230に沿って円滑に移動させることができる。また、このような構成とすることにより、アーマチュア300はステータに属することとなり、逆に回転体側(いわゆるロータ側)を軽量化することができるため、比較的弱いトルクでも制動でき、効率よく制動することができる。
したがって、永久磁石330のN極から発生した磁力線と、S極に戻る磁力線とが、ほぼ均等の本数で最も近いところを通ることとなる。逆の言い方をすると、N極の側のみ磁力線が極端に多くS極の側は磁力線が少ないといった偏りが少なくなる。
これにより、全体としてハブ120とアーマチュア300との間の吸引力、アーマチュア300とステータ磁路部材260との間の吸引力を最大とすることができる。また、永久磁石330の径方向RDの外側と内側とで制動に資する当接面における摩擦の偏りが少なくなり、強い制動力を維持することができる。
このように構成することにより、大きな制動トルクを得ることができ、強い制動力を得ることができる。
このように、非制動時のエアギャップAGFを小さくして磁気回路上の磁気抵抗を低減し強い吸引力を持たせることと、底上げ部の上面と他の部分との高さの差であるSTPを大きくして将来の摩耗に対するマージンを大きく確保することの両立を図ることができる。
図6は、実施形態2に係る電磁ブレーキ装置2を説明するための図である。図6(a)はブレーキ作動状態(回転部の制動)の様子を示し、図6(b)はブレーキ非作動状態(回転部の開放)の様子を示しており、それぞれの図は実施形態1を説明した図2(a)及び図2(b)に対応している。図6において、実施形態1と同じ構成要素については、実施形態1と同じ符号を付し、説明を省略する。
図6の例では、ピン232’を用いてボス状のガイド部材230’を構成している。ピン232’は、その一端側がハブ120’に設けられたピン固定穴(符号なし)に圧入されており、ハブ120’に固定されている。ピン232’の他端側の残余はハブ120’のアーマチュア300’側の面から突出しており、かかる突出した部分によって「ボス」を構成している。このガイド部材230’としてのボスは、その長手方向が回転軸AXと平行となるようにして配置されている。
一方、内周ヨーク310’又は外周ヨーク320’(図においては内周ヨーク310’)において被ガイド部314’(ボス孔等)が設けられている。
また、ガイド部材230’及び被ガイド部314’が係合して互いに案内をすることにより、アーマチュア300’がハブ120’とステータ200’との間を回転軸AXと平行な方向に沿って移動可能となっている。第3当接面360’及び第4当接面270’が当接することで回転部を制動するよう構成されている、
実験による評価の結果、省電力ながら強い制動力を得ることができる自己保持型の電磁ブレーキ装置となったことを確認したので、以下説明する。
特許文献1に記載された電磁ブレーキ装置と同様の原理による制御用ばねを用いた無励磁作動型の電磁ブレーキ装置(市販品)を「比較例に係る電磁ブレーキ装置」とした。
一方、実施形態1に係る電磁ブレーキ装置1と同様の構成による自己保持型の電磁ブレーキ装置を試作し、これを「実施例に係る電磁ブレーキ装置」とした。
図7は、比較例に係る電磁ブレーキ装置と実施例に係る電磁ブレーキ装置とを表を用いて比較説明するために示す図である。
図7に示すように、外形寸法は概ね同様の大きさながら、回転部の動きを開放する状態(フリー状態)を得るための電力については「比較例に係る電磁ブレーキ装置」では、状態を保持している間は連続的に6.5Wの電力を必要とするのに対し、「実施例に係る電磁ブレーキ装置」は、回転部の動きを制動する状態から解放する状態(フリー状態)に移行するときのみ瞬間的に6.3Wを必要とするだけであった。
また、ブレーキが作動している状態で得られる制動トルクは、「実施例に係る電磁ブレーキ装置」によれば「比較例に係る電磁ブレーキ装置」と同等の0.5N・mであり、十分に強い制動力が得られることが確認された。
したがって、本発明による電磁ブレーキ装置によれば、省電力ながら強い制動力を得ることができる自己保持型の電磁ブレーキ装置となることが確認された。
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
各実施形態ではフランジ部124又はステータ磁路部材260’に、他の部分よりも高い底上げ部126(段差)を有しており、底上げ部126の上面126aをもって、第1当接面130又は第4当接面270’をなす構成を説明した。図1、図2及び図6では底上げ部126の段差が1段のメサ状の構成を例示した。しかしながら本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図8(a)に示すように、複数の階段状の段差を有する階段部127が形成されたフランジ部124aとしてもよい。また、図8(b)に示すように、径方向RDの外側から回転軸AXに向かうにつれてアーマチュア300(図示を省略)から遠ざかるテーパー部128が形成されたフランジ部124bとしてもよい。このように構成することにより、摩耗の程度に応じて連続的に当接面を確保することができる。
形成されていてもよい。
Claims (7)
- 被制動対象の回転部の動きを制動する電磁ブレーキ装置であって、
回転軸の側から該回転軸に垂直な径方向に突出したフランジ部を有し、前記被制動対象の前記回転部に接続されるハブと、
前記被制動対象の固定部に固定されるステータと、
前記ハブと前記ステータとの間に配置され、前記ハブと前記ステータとの間を前記回転軸と平行な方向に沿って移動可能に構成されたアーマチュアと、を備え、
前記ステータは、励磁コイルと、前記回転軸を含む平面で切断した面を視るようにして断面視したときに前記励磁コイルを取り囲むような略Uの字形をなし一端及び他端が前記アーマチュアに面するようにして配置されたステータ磁路部材と、を含み、
前記アーマチュアは、内周ヨーク、永久磁石及び外周ヨークを含み、前記回転軸の側から前記径方向に向かって互いに隣接しながら前記内周ヨーク、前記永久磁石及び前記外周ヨークの順番で積層するようにして構成されており、
前記永久磁石は、該永久磁石が有する正の磁極及び負の磁極を互いに結ぶ磁軸が、前記内周ヨーク、前記永久磁石及び前記外周ヨークの積層方向と一致するようにして配置されており、
前記ハブは、前記フランジ部において、前記アーマチュアに対向する位置に第1当接面を有しており、
前記アーマチュアは、前記第1当接面と対向する位置に前記内周ヨーク及び前記外周ヨークのそれぞれの一端側の端面によって構成された第2当接面を有しており、且つ、前記ステータ磁路部材と対向する位置に前記内周ヨーク及び前記外周ヨークのそれぞれの他端側の端面によって構成された第3当接面を有しており、
前記ステータ磁路部材は、前記第3当接面と対向する位置に前記ステータ磁路部材の前記一端の端面及び前記他端の端面によって構成された第4当接面を有しており、
前記励磁コイルに所定方向の電流を通電することにより、前記アーマチュアが所定の移動方向に移動して、前記第1当接面及び前記第2当接面が互いに当接する状態となり、かつ、前記励磁コイルに前記所定方向とは逆方向の電流を通電することにより、前記アーマチュアが前記所定の移動方向とは逆の移動方向に移動して、前記第3当接面及び前記第4当接面が互いに当接する状態となり、
前記永久磁石、前記外周ヨーク、前記第2当接面、前記第1当接面、前記ハブ及び前記内周ヨークを含んで構成された第1の磁気回路を通過する磁束によって前記第1当接面と前記第2当接面との間に生じる吸引力で、前記第1当接面及び前記第2当接面が互いに当接する状態が保持され、前記永久磁石、前記外周ヨーク、前記第3当接面、前記第4当接面、前記ステータ磁路部材及び前記内周ヨークを含んで構成された第2の磁気回路を通過する磁束によって前記第3当接面と前記第4当接面との間に生じる吸引力で、前記第3当接面及び前記第4当接面が互いに当接する状態が保持されるように構成されている、
ことを特徴とする自己保持型の電磁ブレーキ装置。 - 請求項1に記載の電磁ブレーキ装置において、
前記ステータ磁路部材と一体となったガイド部材を更に備え、
前記内周ヨーク又は前記外周ヨークにおいて被ガイド部が設けられ、
前記ガイド部材及び前記被ガイド部が係合して互いに案内をすることにより、前記アーマチュアが前記ハブと前記ステータとの間を前記回転軸と平行な方向に沿って移動可能となっており、
前記第1当接面及び前記第2当接面が当接することで前記回転部を制動するよう構成されている、
ことを特徴とする電磁ブレーキ装置。 - 請求項1に記載の電磁ブレーキ装置において、
前記ハブと一体となったガイド部材を更に備え、
前記内周ヨーク又は前記外周ヨークにおいて被ガイド部が設けられ、
前記ガイド部材及び前記被ガイド部が係合して互いに案内をすることにより、前記アーマチュアが前記ハブと前記ステータとの間を前記回転軸と平行な方向に沿って移動可能となっており、
前記第3当接面及び前記第4当接面が当接することで前記回転部を制動するよう構成されている、
ことを特徴とする電磁ブレーキ装置。 - 請求項1又は2に記載の電磁ブレーキ装置において、
前記回転部の制動に資する前記第1当接面の前記径方向の寸法の中心と、前記永久磁石の前記径方向の厚みの中心と、が同一の位置となるように構成されている、
ことを特徴とする電磁ブレーキ装置。
- 請求項1~4のいずれかに記載の電磁ブレーキ装置において、
前記回転部の制動に資する前記第1当接面又は前記第4当接面は、前記ハブ又は前記ステータ磁路部材が占有する領域のうち前記回転軸から遠い領域に設けられている、
ことを特徴とする電磁ブレーキ装置。 - 請求項1~5のいずれかに記載の電磁ブレーキ装置において、
前記フランジ部又は前記ステータ磁路部材には、前記回転軸と平行な方向に沿って視たときに、他の部分よりも高い底上げ部を有しており、
前記底上げ部の上面をもって、前記第1当接面又は前記第4当接面をなしている、
ことを特徴とする電磁ブレーキ装置。 - 請求項6に記載の電磁ブレーキ装置において、
前記フランジ部又は前記ステータ磁路部材における前記底上げ部の前記上面と前記他の部分との高さの差をSTPとし、前記回転部の制動に資する、前記第1当接面及び前記第2当接面の間の非制動時のエアギャップの距離をAGF、又は、前記第3当接面及び前記第4当接面の間の非制動時のエアギャップの距離をAG’Fとすると、
AGF<STP 又は AG’F<STP の関係となるように構成されている、
ことを特徴とする電磁ブレーキ装置。
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