JP7275738B2 - 組成物、電荷輸送膜及び有機電界発光素子 - Google Patents

組成物、電荷輸送膜及び有機電界発光素子 Download PDF

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Description

本発明は組成物、電荷輸送膜、及び有機電界発光素子に関する。詳しくは、低電圧、高
耐久性の電荷輸送膜、該電荷輸送膜を用いた有機電界発光素子を得ることができる、優れ
た組成物に関する。
近年、電界発光(electroluminescence:EL)素子としては、ZnS等の無機材料に
代わり、有機材料を用いた電界発光素子(有機電界発光素子)の開発が行われている。有
機電界発光素子において、その発光効率の高さは重要な要素の1つであるが、発光効率に
ついては、芳香族アミン化合物を含む正孔輸送層と、8-ヒドロキシキノリンのアルミニ
ウム錯体からなる発光層とを設けた有機電界発光素子により、大幅に改善された。
有機電界発光素子における有機層の形成方法としては、真空蒸着法と湿式成膜法が挙げ
られる。真空蒸着法は積層化が容易であるため、陽極及び/又は陰極からの電荷注入の改
善、励起子の発光層封じ込めが容易であるという利点を有する。一方で、湿式成膜法は真
空プロセスが要らず、大面積化が容易で、様々な機能をもった複数の材料を混合した塗布
液を用いることにより、容易に様々な機能をもった複数の材料を含有する層を形成できる
等の利点がある。
しかしながら、湿式成膜法は積層化が困難であるため、真空蒸着法による素子に比べて
駆動安定性に劣り、一部を除いて実用レベルに至っていないのが現状である。
そこで、湿式成膜法による積層化を行うために、架橋性基を有する電荷輸送性高分子化
合物が所望され、またその開発が行われている。例えば、特許文献1~4には、特定の繰
り返し単位を有する高分子化合物を含有し、湿式成膜法によって、積層化された有機電界
発光素子が開示されている。
国際公開第2009/123269号 国際公開第2013/191088号 特開2013-045986号公報 国際公開第2010/097156号 特開2010-171189号公報 特開2010-215886号公報
しかしながら、上記特許文献に記載の高分子化合物、その架橋基、該高分子化合物を含
む組成物等には、下記のような問題があることを本発明者は見出した。
特許文献1-2には、高分子化合物の架橋基として、ベンゾシクロブテン、スチレン架
橋基が提案されている。しかしながら、ベンゾシクロブテン架橋基は、架橋時の副反応に
より、電荷移動を阻害する。このため、ベンゾシクロブテン架橋基を有する高分子化合物
を用いた有機電界発光素子の駆動電圧は、高いという課題がある。
スチレン架橋基は、高分子化合物合成時のPd触媒を用いた反応中に、副反応としてH
ECK反応が進行する。そのため、高分子化合物の収率が低く、その製造が高コストとな
る課題がある。
また、特許文献2-3に記載のスチレン架橋基、オキセタン(環状エーテル)架橋基を
有する高分子化合物は、架橋基の反応性が高いため保存安定性が低下する、特に、イオン
性化合物と混合して保管した場合、保存安定性がより低下するという欠点がある。
特許文献4には、メチルスチレン架橋基を有する高分子化合物が提案されている。これ
らの架橋基は、高分子化合物側鎖の電荷を授受する置換基と高分子化合物主鎖の共役が切
れた構造や、正電荷を運びにくいアントラセン等の縮合環を用いているため、これを用い
た有機電界発光素子の駆動電圧が高電圧化するという欠点がある。
特許文献5には、発光層に用いられるアリールアミン高分子化合物であって、側鎖にス
チルベン構造(ベンゼン環が置換したスチレン構造)を有する高分子化合物の開示がある
が、正孔注入輸送層としては用いられておらず、スチルベンが架橋性であることも記載さ
れていない。
特許文献6には、一つの高分子化合物中に二重結合系架橋基とベンゾシクロブテン系架
橋基の両方を有する高分子化合物の開示がある。しかしながら、素子のさらなる長寿命化
が必要であった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたもので、その目的は、低電圧で駆動可能な有機
電界発光素子を提供することができるものである。また、高効率で長寿命駆動可能な有機
電界発光素子を提供することができるものある。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の構造を有する電子受容性化合物及び電荷輸送性
化合物を含む組成物を用いることにより、上記課題を効果的に解決できることを見出した

本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 下記式(1)で表される構造単位を有する電子受容性化合物Aと、
下記式(5)、式(6)又は式(7)で表される構造単位を有する電荷輸送性化合物Aと
を含む、組成物。
Figure 0007275738000001
[式(1)中、
*は結合部位を表し、
1は、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基、置換もしくは無
置換のアミノアリーレン基、カルコゲン原子、カルボニル基、または置換もしくは無置換
の炭素数1以上20以下のアルキレン基を表す。
11は、置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置換
の環形成原子数3以上60以下の芳香環基、または置換もしくは無置換のアリールアミノ
基を表す。
12は、置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置換
の環形成原子数3以上60以下の芳香環基を表す。
11の置換基とR12は結合して環を形成していてもよい。
kは1以上10以下の整数であり、kが2以上の場合のY1は同一でも異なっていてもよ
い。
mは1又は2であり、mが2の場合のR12は同一でも異なっていてもよい。
nは0又は1である。]
Figure 0007275738000002
[式(5)中、
*は結合部位を表し、
1、E2及びE3はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1以上20
以下のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基、フッ
素原子又は置換されたカルボニル基を表す。
ただし、E2及びE3は同時に水素原子ではない。]
Figure 0007275738000003
[式(6)中、
*は結合部位を表し、
31は置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置換の
炭素数1以上20以下のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以
下の芳香環基、置換もしくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキルオキシ基、フッ素
原子又は置換されたカルボニル基を表し、
jは0以上5以下の整数を表し、jが2以上の場合のR31は同一でも異なっていてもよい
。]
Figure 0007275738000004
[式(7)中、
*は結合部位を表し、
41は置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置換の
炭素数1以上20以下のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以
下の芳香環基、フッ素原子又は置換されたカルボニル基を表し、
yは0以上5以下の整数を表し、yが2以上の場合のR41は同一でも異なっていてもよい
。]
[2]前記電子受容性化合物Aが、下記式(2)で表される、[1]に記載の組成物。
Figure 0007275738000005
[式(2)中、
-はアニオン、Z+はカチオンを表し、Y-とZ+の一対で化合物を表す。
1は、単結合、カルコゲン原子、カルボニル基、置換もしくは無置換の炭素数1以上2
0以下のアルキレン基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環
基を表し、
1はY-またはZ+に結合しており、
2は前記式(1)で表される基であり、
d及びeは、それぞれ独立に、1以上5以下の整数であり、dが2以上の場合、L1は同
一でも異なっていてもよく、eが2以上の場合、L2は同一でも異なっていてもよく、
fは、1以上4以下の整数であり、fが2以上の場合、式(4)中のL1、L2、d及びe
は同一でも異なっていてもよく、fが2以上の場合、eは1以上5以下の整数であり、か
つ、少なくとも1つのeは1以上である。]
[3]前記電子受容性化合物Aの[Y-+]が、下記式(101)で表される、[2]に記
載の組成物。
Figure 0007275738000006
[式(101)中、
-はホウ素イオンであり、
Ar100は各々独立に置換基を有していてもよい芳香環基またはフッ素置換されたアルキ
ル基であり、
-が式(1)で表される構造を有する場合はAr100に結合しており、
4はフッ素原子が4個置換していることを表し、
(5-g)はフッ素原子が5-g個置換していることを表し、
pは各々独立に0~5の整数を表し、
gは各々独立に0~5の整数を表し、
p+q≧1であり、
+は対カチオンを表す。]
[4]前記電荷輸送性化合物Aが、下記式(8)で表される構造単位を含む高分子化合物で
ある、[1]~[3]のいずれか1項に記載の組成物。
Figure 0007275738000007
[式(8)中、
Qは高分子化合物の主鎖を構成する任意の構造であり、
3は任意の連結基または直接結合であり、
Xは前記式(5)~式(7)のいずれかで表される架橋基を表す。]
[5]前記式(8)のWが、アミンを形成する窒素原子を含む構造、置換基を有していても
よい芳香族炭化水素又は置換基を有していてもよい芳香族複素環である、[4]に記載の組
成物。
[6]前記式(8)で表される構造単位が、下記式(11)で表される構造単位である、[
4]に記載の組成物。
Figure 0007275738000008
[式(11)中、
3及びXは前記式(8)におけるL3及びXと同じであり、
Ar10は、置換又は無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基を表し、
n1は1以上5以下である。]
[7]前記電荷輸送性化合物Aが、さらに下記式(9)で表される構造単位を含む、[1]~
[6]のいずれか1に記載の組成物。
Figure 0007275738000009
[式(9)中、
Ar21及びAr22は、各々独立に、置換又は無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香
環基を表す。
21は置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキレン基、又は置換もしくは無
置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基を表す。
aは、1以上5以下の整数であり、R21が2以上の場合のAr21は同一でも異なっていて
もよい。
bは、0以上5以下の整数であり、bが2以上の場合のR21は同一でも異なっていてもよ
い。]
[8]さらに溶媒を含有する、[1]~[7]のいずれか1に記載の組成物。
[9] [1]~[8]のいずれか1に記載の組成物を含む、電荷輸送膜。
[10] [1]~[8]のいずれか1に記載の組成物を用いて形成された、電荷輸送膜。
[11] [8]に記載の組成物を湿式成膜するものである、電荷輸送膜の形成方法。
[12] [9]又は[10]に記載の電荷輸送膜が、有機電界発光素子の正孔注入層又は正孔
輸送層である、電荷輸送膜。
[13] [12]に記載の電荷輸送膜の形成工程を含む、有機電界発光素子の製造方法。
[14] 基板上に[8]に記載の組成物を湿式成膜して形成された電荷輸送膜を含む、有機
電界発光素子。
[15] [14]に記載の有機電界発光素子を含む、有機ELデバイス。
[16] [14]に記載の有機電界発光素子を含む、有機EL表示装置。
[17][14]に記載の有機電界発光素子を含む、有機EL照明。
本発明によれば、特定の構造を有する電子受容性化合物及び電荷輸送性化合物を含む組
成物は、保存性に優れ、該組成物を用いて得られた塗布膜は安定性に優れる。本発明の組
成物又は本発明の組成物を用いて形成された電荷輸送膜を用いることにより、低電圧で駆
動可能な有機電界発光素子を提供することができる。
Fig.1a~Fig.1cは、本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子の構成の例を模式的に示す断面図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本
発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内
容に特定されない。
なお、本明細書において、「質量」は「重量」と同義である。
また、式中の丸で囲まれたプラス(+)記号は正電荷を表し、明細書中では「+」で示
し、同様に式中の丸で囲まれたマイナス(-)記号は負電荷を表し、明細書中では「-」
で示す。
また、置換基を有していてもよいとは、置換基を少なくとも1つ以上有していればよい
ことを意味する。
[組成物]
本発明の組成物は、下記式(1)で表される構造単位を有する電子受容性化合物Aと、
下記式(5)、式(6)又は式(7)で表される構造単位を有する電荷輸送性化合物Aと
を含む組成物である。
本発明の電子受容性化合物Aは、下記式(1)で表される構造単位を有する。
Figure 0007275738000010
式(1)中、
*は結合部位を表し、
1は、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基、置換もしくは無
置換のアミノアリーレン基、カルコゲン原子、カルボニル基、又は置換もしくは無置換の
炭素数1以上20以下のアルキレン基を表す。
11は、置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置換
の環形成原子数3以上60以下の芳香環基、又は置換もしくは無置換のアリールアミノ基
を表す。
12は、置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置換
の環形成原子数3以上60以下の芳香環基を表す。
11の置換基とR12は結合して環を形成していてもよい。
kは1以上10以下の整数であり、kが2以上の場合のY1は同一でも異なっていてもよ
い。
mは1又は2であり、mが2の場合のR12は同一でも異なっていてもよい。
nは0又は1である。
本発明の電荷輸送性化合物Aは、下記式(5)、式(6)又は式(7)で表される構造
単位を有する化合物である。
Figure 0007275738000011
式(5)中、
*は結合部位を表し、
1、E2及びE3はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1以上20
以下のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基、フッ
素原子又は置換されたカルボニル基を表す。
ただし、E2及びE3は同時に水素原子ではない。
Figure 0007275738000012
式(6)中、
*は結合部位を表し、
31は置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置換の
炭素数1以上20以下のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以
下の芳香環基、置換もしくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキルオキシ基、フッ素
原子又は置換されたカルボニル基を表し、
jは0以上5以下の整数を表し、jが2以上の場合のR31は同一でも異なっていてもよい
Figure 0007275738000013
式(7)中、
*は結合部位を表し、
41は置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置換の
炭素数1以上20以下のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以
下の芳香環基、フッ素原子又は置換されたカルボニル基を表し、
yは0以上5以下の整数を表し、yが2以上の場合のR41は同一でも異なっていてもよい
本発明の組成物は保存性に優れ、該組成物を用いて得られた塗布膜は安定性に優れる。
また、該組成物を用いて得られた有機電界発光素子は、低電圧で駆動が可能となる。これ
らの効果が得られる理由は以下が考えられる。
電子受容性化合物とは、ある化合物から電子を引き抜いてその化合物を酸化し、自身は
還元される化合物のことを言う。本発明の式(5)、式(6)又は式(7)で表される構
造単位を有する電荷輸送性化合物Aは、主鎖に窒素原子を有するアミン系高分子化合物で
ある場合、化合物Aが電子受容性化合物であることで、この効果がより顕著に表れること
が期待できる。
電子受容性化合物Aは、式(1)で表される構造単位を有するものであれば特に限定さ
れず、公知の電子受容性化合物を用いることもできる。電子受容性化合物の母骨格として
は特に制限は無いが、有機電界発光素子の耐久性、低電圧化の理由により、好ましくはイ
オン化合物であり、さらに好ましくは対アニオンを有するイオン化合物であり、特に好ま
しくは非配位性アニオンとカチオンからなるイオン化合物である。
式(1)で表される架橋基は、架橋反応部位としてC=C型2重結合(ビニル基構造)
を有している。該2重結合が直接結合しているY1がベンゼン環の場合は、置換基として
11、R12を有するスチレン配置である。このように、ビニル基の両端又は末端に置換基
を有しているため、置換基の立体障害により、常温における架橋基どうしの反応が抑制さ
れ、保存安定性に優れると考えられる。これは、重合開始剤存在下においても立体障害の
ため、常温においては架橋基どうしの反応が抑制され、保存安定性に優れると考えられる
。一方で高温時においては架橋反応性を有する。
また、式(1)で表される架橋基は、前述のとおり立体障害を有するため、式(5)~
(7)で表される架橋基を有する電荷輸送性化合物Aとの共存下においても、常温におい
ては架橋反応が抑制される。
式(5)で表される架橋基は、式(1)で表される架橋基同様、架橋部位がC=C型2
重結合(ビニル基構造)であり、かつ、その末端に相当するE2、E3は同時に水素原子で
はなく、少なくとも一つの水素原子以外の置換基を有するため、常温では架橋反応が抑制
され、安定である。重合開始剤存在下においても同様に安定である。そして、加熱時には
式(1)で表される架橋基どうし、式(5)で表される架橋基どうし、及び、式(5)で
表される架橋基と式(1)で表される架橋基が架橋反応する。
式(6)、(7)で表される架橋基の架橋メカニズムについて、それぞれ結合手と置換
基を除いた構造である式(6α)、式(7α)を用いて説明する。式(6α)、式(7α
)は、加熱によりそれぞれ、式(6β)、式(7β)の様なジエン構造を経て架橋反応が
起こる。この時、式(6β)、式(7β)は反応性が高いため、電子受容性化合物が有す
る式(2)で表される架橋基とも架橋反応する。さらに、式(6β)、式(7β)はジエ
ン構造で反応性が高いため、式(2)の架橋基同士の反応よりも、式(2)の架橋基と、
式(6)の架橋基又は式(7)の架橋基との反応の方が優勢となる。
以上の理由により、本発明の組成物は、式(2)で表される架橋基を有する電子受容性
化合物Aと、式(6)又は式(7)である架橋基を有する電荷輸送性化合物Aとを含むこ
とが、組成物の架橋反応がより促進されるため、より好ましい。
Figure 0007275738000014
式(1)で表される架橋基を有する電子受容性化合物Aは、後述の通り分子量が低い。
そのため、成膜して架橋するために加熱した際、膜内を拡散して、式(1)で表される架
橋基を有する電子受容性化合物A同士、又は電荷輸送性化合物Aの架橋基である式(5)
乃至(7)と架橋反応する。
電荷輸送性化合物Aが式(6)又は式(7)で表される架橋基を有する場合に、特に電
子受容性化合物Aが架橋基(1)を有することが好ましい理由は次の通りであると考えら
れる。電荷輸送性化合物Aが、式(6)又は式(7)で表される架橋基を有する場合、電
子受容性化合物Aの架橋基が式(1)であることにより、電子受容性化合物Aどうしの架
橋反応よりも、式(6)又は式(7)で表される架橋基を有する電荷輸送性化合物Aとの
架橋反応の方が優勢である。したがって、多数の電子受容性化合物Aどうしが結合するこ
となく、電子受容性化合物Aの多くが電荷輸送性化合物Aの窒素原子近傍で架橋結合する
と考えられ、電子受容性化合物Aは電荷輸送性化合物Aを効率よく酸化することができ、
電荷輸送性化合物Aはカチオン状態となり、電荷輸送性化合物Aの電荷輸送性、すなわち
正孔輸送性を向上させることができると考えられる。
[電子受容性化合物A]
本発明の電子受容性化合物Aは、下記式(1)で表される構造単位を有する。
Figure 0007275738000015
[式(1)中、
*は結合部位を表わす。
1は、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基、置換もしくは無
置換のアミノアリーレン基、カルコゲン原子、カルボニル基、又は置換もしくは無置換の
炭素数1以上20以下のアルキレン基を表す。
11は、置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置換
の環形成原子数3以上60以下の芳香環基、又は置換もしくは無置換のアリールアミノ基
を表す。
12は、置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置換
の環形成原子数3以上60以下の芳香環基を表す。
11の置換基とR12は結合して環を形成していてもよい。
kは1以上10以下の整数であり、kが2以上の場合のY1は同一でも異なっていてもよ
い。
mは1又は2であり、mが2の場合のR12は同一でも異なっていてもよい。
nは0又は1である。]
<Y1
1は、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基、置換もしくは
無置換のアミノアリーレン基、カルコゲン原子、カルボニル基、又は置換もしくは無置換
のアルキレン基を表す。
置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基としては、芳香族炭化水
素環基及び芳香族複素環基、又はこれら芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が連結して
なる置換基を表す。
1は、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基、置換もしくは
無置換のアミノアリーレン基、カルコゲン原子、又は置換もしくは無置換のアルキレン基
が好ましく、これらの中でも、2重結合の安定性の増加の理由により、置換もしくは無置
換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基が好ましく、置換もしくは無置換の環形成原
子数3以上60以下の芳香族炭化水素環基がより好ましい。
(Y1の置換基)
1の、環形成原子数3以上60以下の芳香環基、アミノアリーレン基及びアルキレン
基が置換基を有する場合、特に制限はないが、該置換基としては、後述する置換基群Wが
挙げられる。
(置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基)
上記置換もしくは無置換の芳香環基の環形成原子数は、3以上であり、好ましくは5以
上であり、より好ましくは6以上である。また、環形成原子数は、60以下であり、好ま
しくは45以下あり、より好ましくは30以下である。これらの範囲であることで、化合
物安定性の効果が得られる傾向にある。
上記芳香環基としては、単環、2~6縮合環又はこれらの芳香族環が2つ以上連結した
基が好ましい。具体的には、以下のものが挙げられる。
ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラ
セン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、
フルオランテン環もしくはフルオレン環等の芳香族炭化水素環由来の2価の基;
フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾー
ル環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイ
ミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオ
フェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環
、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジ
ン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キノ
キサリン環、フェナントリジン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環もしく
はアズレン環等の複素芳香族炭化水素環由来の2価の基;
ビフェニル、ターフェニル、クアテルフェニル等の芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基
が連結してなる化合物由来の2価の基。
中でも、電荷を効率良く非局在化すること、安定性及び耐熱性に優れることから、ベン
ゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、カルバゾール環由来の2価の基及びビフェニル由
来の2価の基からなる群より選択される環又は基がより好ましい。さら好ましくは、ベン
ゼン環、フルオレン環、カルバゾール環又はビフェニル由来の2価の基である。特に好ま
しくは、ベンゼン環、フルオレン環又はビフェニル由来の2価の基である。
(置換もしくは無置換のアミノアリーレン基)
上記置換もしくは無置換のアミノアリーレン基としては、トリフェニルアミン、ジフェ
ニルアミノビフェニル、ビス(ビフェニル)アニリン、トリス(ビフェニル)アミン、テ
トラフェニルベンジジン、ジフェニルピリジルアミンから誘導される2価の基等が挙げら
れる。
これらの中でもトリフェニルアミン、ジフェニルアミノビフェニル、ビス(ビフェニル
)アニリン、トリス(ビフェニル)アミン、テトラフェニルベンジジンから誘導される2
価の基が化合物の安定性の理由で好ましい。さらに、強固な安定性の面から、トリフェニ
ルアミン、ジフェニルアミノビフェニル、ビス(ビフェニル)アニリン、トリス(ビフェ
ニル)アミンから誘導される2価の基が特に好ましい。
また、アミノアリーレン基の炭素数も特に限定されないが、好ましくは15以上であり
、より好ましくは18以上である。また、好ましくは72以下であり、より好ましくは5
0以下である。これらの範囲であることで低電圧での駆動が得られる傾向にある。
(カルコゲン原子)
上記カルコゲン原子としては、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子等が挙げ
られる。これらの中でも酸素原子、硫黄原子が化合物の安定性の理由で好ましい。
(置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキレン基)
上記置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキレン基は、特に限定されない
が、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン、オクチレン等が挙
げられ、これらは直鎖でも分岐鎖でも環状鎖でも良い。
アルキレン基の炭素数は好ましくは1以上である。また、炭素数は好ましくは20以下
であり、より好ましくは10以下である。これらの範囲であることで化合物の安定化の効
果が得られる傾向にある。
<k>
kは1以上10以下の整数である。好ましくは1以上であり、また、好ましくは8以下
であり、より好ましくは5以下である。これらの範囲であることで化合物の安定性の効果
が得られる傾向がある。
なお、kが2以上の場合のY1は同一でも異なっていてもよい。
12が芳香族炭化水素であり、かつ、C=C型2重結合に直接結合するY1がベンゼン
環の場合、kは2以上が好ましい。その理由は、架橋基反応するC=C型2重結合の両側
に芳香族炭化水素(ベンゼン環を含む)が存在すると、芳香族炭化水素構造は剛直である
ため架橋時に高分子主鎖のひずみが生じやすいが、kが2以上で高分子主鎖から架橋部位
が離れているとひずみが緩和されやすいためであると考えられる。
kが2以上の場合、複数のY1の組み合わせは特に限定されないが、例えば、芳香環基
と芳香環基、芳香族炭化水素環基とカルボニル基、アルキレン基とカルボニル基等の組み
合わせが挙げられる。
<R11
11は、置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置
換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基、又は置換もしくは無置換のアリールアミノ
基を表す。
これらの中でも置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基が化合物の安
定性が向上する傾向にあるため好ましい。
(R11の置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基)
11の置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基の炭素数は特に限定さ
れないが、1以上であり、また、20以下であり、より好ましくは10以下である。これ
らの範囲であることで化合物の安定性の効果が得られる傾向がある。
置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基の具体例としては、メチル基
、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等が挙
げられ、これらは分岐状でも良い。
該アルキル基は置換基を有していてもよく、例えば、後述する置換基群Wが挙げられる
(R11の置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基)
11の置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基としては、Y1
挙げた置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環由来の1価の基であり
、有していてもよい置換基、好ましい範囲、好ましい形態、好ましい理由等も同義である
(R11の置換もしくは無置換のアリールアミノ基)
11の置換もしくは無置換のアリールアミノ基の炭素数は特に限定されないが、好まし
くは15以上であり、より好ましくは18以上である。また、好ましくは72以下であり
、より好ましくは50以下である。これらの範囲であることで低電圧での駆動ができる傾
向にある。
置換もしくは無置換のアリールアミノ基は特に限定されないが、例えば、トリフェニル
アミン、ジフェニルアミノビフェニル、ビス(ビフェニル)アニリン、トリス(ビフェニ
ル)アミン、テトラフェニルベンジジン、ジフェニルピリジルアミンから誘導される1価
の基等が挙げられる。これらの中でもトリフェニルアミン、ジフェニルアミノビフェニル
、ビス(ビフェニル)アニリン、トリス(ビフェニル)アミン、テトラフェニルベンジジ
ンから誘導される1価の基が化合物の安定性の理由で好ましい。また、強固な安定性の面
から、トリフェニルアミン、ジフェニルアミノビフェニル、ビス(ビフェニル)アニリン
、トリス(ビフェニル)アミンから誘導される1価の基が特に好ましい。
アリールアミノ基が置換基を有する場合、その置換基は特に限定されないが、例えば後
述する置換基群Wが挙げられる。
<n>
nは0又は1である。架橋反応性が向上する傾向にあるため、好ましくは0である。
<R12
12は、置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換もしくは
無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基を表す。これらの中でも、架橋反応性が
向上する傾向にあるため、置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又
は芳香族炭化水素環由来の1価の基が好ましく、無置換の炭素数1以上20以下のアルキ
ル基が特に好ましい。この理由は、R12がアルキル基であると柔軟であるため、本発明の
組成物を用いて形成された膜において、膜中のひずみが緩和されて膜が安定であるためで
ある。さらに、この膜を電荷輸送膜として用いる場合、電荷輸送性が向上する効果が期待
される。また、柔軟であるため、加熱時により架橋しやすいと考えられる。
12の置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、及び置換もしくは無
置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基は、R11で挙げた置換もしくは無置換の炭
素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の
芳香環基とそれぞれ同義であり、有していてもよい置換基、好ましい範囲、好ましい形態
、好ましい理由等も同義である。
なお、R11の置換基とR12が結合して環を形成する場合、該環としては、シクロヘキセ
ン等が挙げられる。
<m>
mは1又は2である。mは、架橋反応性が向上する傾向にあるため好ましくは1である

なお、mが2の場合のR12は同一でも異なっていてもよい。mが2の場合、複数のR12
の組み合わせは特に限定されないが、例えば、アルキル基とアルキル基の組み合わせ、ア
ルキル基と芳香環基の組み合わせ等が挙げられる。
<n>
nは0又は1である。nが0であるとは、nが1、かつR11が水素原子であることと同
義である。架橋部位である2重結合の立体障害が低減するため、nは0であることが好ま
しい。
<Y1、R11及びR12の組み合わせ>
1、R11及びR12の組み合わせは特に限定されないが、Y1が芳香族炭化水素環基、n
=0でR11が水素原子、R12がアルキル基の組み合わせ、Y1がベンゼン環由来の2価の
基とアルキレン基、n=0でR11が水素原子、R12がアルキル基の組み合わせ等が好まし
い。これらの組み合わせであることで、架橋時の反応性の向上効果が得られる傾向にある
<置換基群W>
置換基群Wとしては、以下が挙げられる。
メチル基、エチル基等の、炭素数が1以上、10以下、好ましくは8以下のアルキル基
;ビニル基等の、炭素数が2以上、11以下、好ましくは5以下のアルケニル基;エチニ
ル基等の、炭素数が2以上、11以下、好ましくは5以下のアルキニル基;メトキシ基、
エトキシ基等の、炭素数が1以上、10以下、好ましくは6以下のアルコキシ基;フェノ
キシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基等の、炭素数が4以上、好ましくは5以上、2
5以下、好ましくは14以下のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカル
ボニル基等の、炭素数が2以上、11以下、好ましくは7以下のアルコキシカルボニル基
;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の、炭素数が2以上、20以下、好ましくは1
2以下のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N-カルバゾリ
ル基等の、炭素数が通常10以上、好ましくは12以上、30以下、好ましくは22以下
のジアリールアミノ基;フェニルメチルアミノ基等の、炭素数が6以上、好ましくは7以
上、25以下、好ましくは17以下のアリールアルキルアミノ基;アセチル基、ベンゾイ
ル基等の、炭素数が2以上、10以下、好ましくは7以下のアシル基;フッ素原子、塩素
原子等のハロゲン原子;トリフルオロメチル基等の、炭素数が1以上、8以下、好ましく
は4以下のハロアルキル基;メチルチオ基、エチルチオ基等の、炭素数が1以上、10以
下、好ましくは6以下のアルキルチオ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチ
オ基等の、炭素数が4以上、好ましくは5以上、25以下、好ましくは14以下のアリー
ルチオ基;トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の、炭素数が2以上、好ましく
は3以上、33以下、好ましくは26以下のシリル基;トリメチルシロキシ基、トリフェ
ニルシロキシ基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上、通常33以下、好ましく
は26以下のシロキシ基;シアノ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素数が6以上、通
常30以下、好ましくは18以下の芳香族炭化水素基;チエニル基、ピリジル基等の、炭
素数が3以上、好ましくは4以上、28以下、好ましくは17以下の芳香族複素環基が挙
げられる。また、これらが2つ、3つ結合されてなる置換基であってもよい。
該置換基の分子量としては、特に制限はないが、通常400以下、中でも250以下程
度が好ましい。
本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されないが、好ましくは、アルキル基、
芳香族炭化水素基及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1つであること
が好ましい。
<式(1)の例>
式(1)で表される構造の例としては、次の構造が挙げられる。
Figure 0007275738000016
<電子受容性化合物Aの好ましい構造>
電子受容性化合物Aは、下記式(2)で表される電子受容性イオン化合物であることが
有機電界発光素子の耐久性、低電圧化の理由で好ましい。
Figure 0007275738000017
[式(2)中、
-はアニオン、Z+はカチオンを表し、Y-とZ+の一対で化合物を表し、
1は、単結合、カルコゲン原子、カルボニル基、置換もしくは無置換の炭素数1以上2
0以下のアルキレン基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環
基を表し、
1はY-又はZ+に結合しており、
2は前記式(1)で表される架橋基であり、
d及びeは、それぞれ独立に、1以上5以下の整数であり、dが2以上の場合、L1は同
一でも異なっていてもよく、eが2以上の場合、L2は同一でも異なっていてもよく、
fは、0以上4以下の整数であり、fが2以上の場合、式(4)中のL1、L2、d及びe
は同一でも異なっていてもよく、
fが2以上の場合、eは1以上5以下の整数であり、かつ、少なくとも1つのeは1以上
である。]
<Y-
-はアニオンを表す。
アニオンとは、ハロゲン化物イオン、置換スルフォナート、金属原子とフッ素原子から
なるアニオン、オキソアニオン、置換アミド、有機ホウ素アニオンを表す。好ましくは、
置換スルフォネート、金属原子とフッ素原子からなるアニオン、置換アミド、有機ホウ素
アニオンであり、特に好ましくは、有機ホウ素アニオンである。これらであることで低電
圧での駆動ができる傾向にある。
ハロゲン化物イオンとして具体的には、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン
が挙げられ、臭化物イオンが好ましい。
置換スルフォネートとして具体的には、トリフルオロメタンスルフォナート、ノナフル
オロブタンスルホナートが挙げられ、トリフルオロメタンスルフォナートが好ましい。
金属原子とフッ素原子からなるアニオンとして具体的には、ヘキサフルオロホスファー
ト、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロアルセナートと表し、ヘキサフルオロホス
ファート、テトラフルオロボラートが挙げられる。
オキソアニオンとしては具体的に過塩素酸イオン、モリブデン酸イオンが挙げられ、モ
リブデン酸イオンが好ましい。
置換アミドとして具体的には、ビス(パーフルオロメタンスルフォニル)イミド、ビス
(パーフルオロブタンスルフォニル)イミド、ビス(パーフルオロヘキサンスルフォニル
)イミド等が挙げられ、ビス(パーフルオロブタンスルフォニル)イミドが好ましい。
有機ホウ素アニオンとして具体的には、テトラフェニルボレート、テトラキス(パーフ
ルオロフェニル)ボレート、トリス(2,3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオ
ロメチルフェニル)(パーフルオロビフェニル-4-イル)ボレート、テトラキス(2,
3,5,6-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス
(パーフルオロビフェニル-4-イル)ボレート等が挙げられ、トリス(2,3,5,6
-テトラフルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル)(パーフルオロビフェニル-4-
イル)ボレート、テトラキス(パーフルオロビフェニル-4-イル)ボレートが好ましい
<Z+
+はカチオンを表す。
カチオンとは、ヨードニウムカチオン、スルホニウムカチオン、カルボカチオン、オキ
ソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリ
エニルカチオン又は遷移金属原子を有するフェロセニウムカチオンを表し、ヨードニウム
カチオンが好ましい。
ヨードニウムカチオンとして具体的には、ジフェニルヨードニウムカチオン、ビス(4
-t-ブチルフェニル)ヨードニウムカチオン、4-t-ブトキシフェニルフェニルヨー
ドニウムカチオン、4-メトキシフェニルフェニルヨードニウムカチオン、4-イソプロ
ピルフェニル-4-メチルフェニルヨードニウムカチオン等が挙げられる。
スルホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルスルホニウムカチオン、4-ヒ
ドロキシフェニルジフェニルスルホニウムカチオン、4-シクロヘキシルフェニルジフェ
ニルスルホニウムカチオン、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムカチ
オン、(4-t-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムカチオン、ビス(4-t-
ブトキシフェニル)フェニルスルホニウムカチオン、4-シクロヘキシルスルホニルフェ
ニルジフェニルスルホニウムカチオン等が挙げられる。
カルボカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボカチオン、トリ(メチルフェニ
ル)カルボカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボカチオンなどの三置換カルボカチ
オンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリ
エチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニ
ウムカチオン、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウ
ムカチオン;N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,6-ペンタメチ
ルアニリニウムカチオンなどのN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロ
ピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキル
アンモニウムカチオンなどが挙げられる。
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、テトラフェニルホスホニウムカチオン、
テトラキス(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、テトラキス(ジメチルフェニル)
ホスホニウムカチオンなどのテトラアリールホスホニウムカチオン;テトラブチルホスホ
ニウムカチオン、テトラプロピルホスホニウムカチオンなどのテトラアルキルホスホニウ
ムカチオン;などが挙げられる。これらの中では、化合物の膜での安定性の点でヨードニ
ウムカチオン、カルボカチオン、スルホニウムカチオンが好ましく、ヨードニウムカチオ
ンがより好ましい。
<Y-とZ+の組み合わせ>
-とZ+は一対で化合物を表す。Y-とZ+の組み合わせは特に限定されないが、ヨード
ニウムカチオンと有機ホウ素アニオン、スルホニウムカチオンと有機ホウ素アニオンの組
み合わせであることが、膜特性が向上する理由により好ましい。特に、ヨードニウムカチ
オンと有機ホウ素アニオンの組み合わせが好ましい
<L1
1は、単結合、カルコゲン原子、カルボニル基、置換もしくは無置換の炭素数1以上
20以下のアルキレン基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香
環基を表す。これらのなかでも、L1は、置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下の
アルキレン基又は置換もしくは無置換の環形成原子数3~60の芳香環基であることが、
化合物の安定性が向上する点で好ましい。
置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキレン基、及び置換もしくは無置換
の環形成原子数3以上60以下の芳香環基としては、式(2)のY1の置換もしくは無置
換の炭素数1以20以上のアルキレン基、及び置換もしくは無置換の環形成原子数3以上
60以下の芳香環基それぞれ同義であり、有していてもよい置換基、好ましい範囲、好ま
しい形態、好ましい理由等も同義である。
なお、Y-又はZ+の水素原子又はフッ素原子の代わりにL1が置換されていてもよい。
<d>
dは、1以上5以下の整数である。好ましくは1以上であり、好ましくは2以下である
。これらの範囲であることで電圧低減の効果が得られる傾向がある。
なお、dが2以上の場合のL1は同一でも異なっていてもよい。dが2以上の場合、
複数のL1の組み合わせは特に限定されないが、例えば、置換されていても良いアルキレ
ン基と置換されていても良い芳香環基等の組み合わせが挙げられる。
<L2
2は前述の式(1)で表される架橋基である。L2が式(1)で表される架橋基である
ことで、膜の安定性が得られ、収率も向上する傾向にある。
式(1)で表される構造単位の好ましい構造は前記の通りである。
<e>
eは、1以上5以下の整数である。好ましくは1以上であり、好ましくは3以下である
。これらの範囲であることで電圧の低減効果が得られる傾向があるである。
なお、eが2以上の場合のL2は同一でも異なっていてもよい。L2が2以上の場合、複
数のL2の組み合わせは特に限定されないが、架橋反応後の構造が同じであると架橋後し
た電荷輸送膜の電荷輸送性が優れることが期待されるため、同一であることが好ましい。
後述のfが2以上の場合、少なくとも1つのeが1以上5以下の整数であり、0である
eが存在してもよい。
<f>
fは、1以上4以下の整数である。fが2以上の場合、式(4)中のL1、L2、d、及
びeは同一でも異なっていてもよい。
<電子受容性化合物Aのさらに好ましい構造>
本発明の電子受容性化合物Aの[Y-+]は、下記式(101)で表されることがさ
らに好ましい。便宜上、下記式(101)で表される電子受容性化合物Aを、電子受容性
化合物ACと表わすことがある。
Figure 0007275738000018
[式(101)中、B-はホウ素イオンであり、
Ar100は各々独立に置換基を有していてもよい芳香環基、フッ素置換されたアルキル基
、又は前記式(1)で表される架橋基であり、
-が式(1)で表される構造を有する場合はAr100に結合しており、かつ、Ar100
少なくとも一つが前記式(1)で表される架橋基であり、
4はフッ素原子が4個置換していることを表し、
(5-g)はフッ素原子が5-g個置換していることを表し、
pは各々独立に0~5の整数を表し、
gは各々独立に0~5の整数を表し、
p+q≧1であり、
+は対カチオンを表す。]
(対アニオン)
前記式(101)で表される電子受容性化合物ACの対アニオン構造を下記式(106
)に記す。
Figure 0007275738000019
[式(106)中のAr100、F4、F(5-g)、p及びgの定義は、前記式(101)と同
一である。]
Ar100における芳香環基とは、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基又はこれら芳
香族炭化水素環基、芳香族複素環基が連結してなる置換基を表す。芳香環基としては炭素
数30以下のものが電圧や寿命が良好になるため好ましい。
上記芳香環基としては、単環、2~6縮合環又はこれらの芳香族環が2つ以上連結した
基が好ましい。芳香環基の好ましい具体例としては、
ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラ
セン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、
フルオランテン環、フルオレン環、ビフェニル環、ターフェニル環、クアテルフェニル環
等の芳香族炭化水素環由来の1価の基;
フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾ
ール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロ
イミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチ
オフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール
環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダ
ジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キ
ノキサリン環、フェナントリジン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、ア
ズレン環等の芳香族複素環由来の1価の基;
が挙げられる。
中でも負電荷を効率良く非局在化すること、安定性、耐熱性に優れることから、ベンゼ
ン環、ナフタレン環、フルオレン環、ビフェニル環、ピリジン環もしくはカルバゾール環
由来の1価の基がより好ましい。特に好ましくはベンゼン環(フェニル基)又はビフェニ
ル環(ビフェニル基)である。
Ar100は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、更に別の置換基によって置換され
ていてもよい。Ar100が有してもよい置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、1~5の芳
香環からなる芳香環基、脂肪族炭化水素環基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基
、アラルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、アルキルケトン基又はアリールケトン基である。これらの置換基は、隣り合う置換基
同士が結合して環を形成していてもよい。
ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子などが挙げら
れ、フッ素原子が化合物の安定性から好ましい。化合物の安定性の面からフッ素原子が4
つ以上置換されていることが特に好ましい。
1~5の芳香環からなる芳香環基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル
基、クアテルフェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、トリフェニレン基、ナフチ
ルフェニル基等が挙げられ、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基又はクアテルフ
ェニル基が化合物の安定性から好ましい。
脂肪族炭化水素環基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、分岐又は直鎖のプロピル基、ブチル基
、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
アルケニル基の例としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基等が挙げられる。
アルキニル基の例としては、アセチル基、プロピニル基、ブチニル基等が挙げられる。
アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルヘキシル基等が
挙げられる。
アルキルオキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシル
オキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
アルキルチオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシル
チオ基等が挙げられる。
アリールチオ基の例としては、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
アルキルケトン基の例としては、アセチル基、エチルカルボニル基、ブチルカルボニル
基、オクチルカルボニル基等が挙げられる。
アリールケトン基の例としては、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基等が挙げられる

隣り合う置換基同士が結合して環を形成している場合、形成される環の例としては、シ
クロブテン環、シクロペンテン環等が挙げられる。
又、これらの置換基にさらに置換基が置換されていてもよく、その置換基の例としては
、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基が挙げられる。
これらの置換基の中でも、ハロゲン原子又はアリール基が化合物の安定性の点で好まし
い。最も好ましくはハロゲン原子である。
Ar100におけるフッ素置換されたアルキル基としては、炭素数1~12の直鎖又は分
岐のアルキル基であってフッ素原子が置換している基が好ましく、パーフルオロアルキル
基がさらに好ましく、炭素数1~5の直鎖又は分岐のパーフルオロアルキル基がより好ま
しく、炭素数1~3の直鎖又は分岐のパーフルオロアルキル基が特に好ましく、パーフル
オロメチル基が最も好ましい。この理由は、当該電子受容性化合物ACを用いた塗布膜や
、その上層に積層される塗布膜が安定になるためである。
式(101)のAr100が複数存在する場合、少なくとも一つのAr100は、化合物の安
定性の面からフッ素原子が4つ以上置換されていることが好ましい。
前記式(106)で表される対アニオンとしてより好ましい対アニオン構造は下記式(
109)で表される。
Figure 0007275738000020
[式(109)中、Ar101~Ar104は、各々独立に置換基を有していてもよい芳香環基
であり、前記式(106)のAr100と同様である。]
以下のAr100に関する記載についても同様にAr101~Ar104に適用可能である。A
101~Ar104は、炭素数30以下の芳香環基であることが好ましい。
式(109)は、式(106)において、p=0、且つg=1である場合を表している

また、Ar100の少なくとも一つが下記式(103)で表されることも好ましい。より
好ましくは、Ar100が全て下記式(103)で表されるものである。
Figure 0007275738000021
[式(103)中、Ar107は置換基であり、F4はフッ素原子が4個置換していることを
表す。]
Ar107は前述のAr100が有してもよい置換基として好ましい基と同じである。また、
4はフッ素原子が4個置換していることを表す。
これらの中でも、Ar107が下記式(104)で表されることがより好ましい。]
Figure 0007275738000022
これら式(107)、式(108)で表される構造は架橋性を有しており、電子受容性
化合物AC又はその分解物が他の層に拡散しないと予想される為、素子効率の向上が期待
される。
電子受容性化合物ACの上記対アニオンの分子量は、通常700以上、好ましくは90
0以上、更に好ましくは1100以上、また、通常6000以下、好ましくは4000以
下、更に好ましくは3000以下の範囲である。対アニオンの分子量が小さすぎると、負
電荷の非局在化が不十分なため、カチオンとの相互作用が強く、電荷輸送能が低下するお
それがあり、対アニオンの分子量が大きすぎると、対アニオン自体が電荷輸送の妨げとな
る場合がある。
(対カチオン)
前記式(101)中、A+は電子受容性化合物ACの対カチオンである。
対カチオンとしては、ヨードニウムカチオン、スルホニウムカチオン、カルボカチオン
、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチ
ルトリエニルカチオン又は遷移金属を有するフェロセニウムカチオンが好ましく、ヨード
ニウムカチオン、スルホニウムカチオン、カルボカチオン、アンモニウムカチオンがより
好ましく、ヨードニウムカチオンが特に好ましい。
ヨードニウムカチオンとしては、下記式(102)で表されるカチオンが好ましい。
Figure 0007275738000023
[式(102)中、Ar105及びAr106は、各々独立に置換基を有していてもよい芳香環
基を表す。式(102)で表されるカチオンが式(1)で表される架橋基を有する場合、
式(1)で表される構造がAr105及び/又はAr106の置換基であるか、Ar105及び/又
はAr106が式(1)で表される構造を含む。]
Ar105及びAr106の芳香環基は前述の式(106)のAr100における芳香環基と同
じである。芳香環基として好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ク
アテルフェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、トリフェニレン基、ナフチルフェ
ニル基等が挙げられ、フェニル基が化合物の安定性から最も好ましい。
Ar105及びAr106として例示した芳香環基は、更に別の置換基によって置換されてい
てもよい。該置換基の種類は特に制限されず、任意の置換基が適用可能である。
Ar105及びAr106が有してもよい置換基として好ましい基は、ハロゲン原子、1~5
の芳香環からなる芳香環基、脂肪族炭化水素環基、アルキル基、アラルキル基、アルキル
オキシ基、アリールオキシ基及びヒドロキシ基であり、中でもアルキル基が、溶剤に対す
る溶解性を向上させる為特に好ましい。
ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子などが挙げら
れる。
1~5の芳香環からなる芳香環基の例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェ
ニル基、クアテルフェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、トリフェニレン基、ナ
フチルフェニル基等が挙げられ、フェニル基が化合物の安定性から好ましい。
脂肪族炭化水素環基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、分岐又は直鎖のプロピル基、ブチル基
、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルヘキシル基等が
挙げられる。
アルキルオキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシル
オキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
又、これらの置換基にさらに置換基が置換されていてもよく、その置換基の例としては
、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基が挙げられる。
これらの置換基の中でも、アルキル基が膜安定性の点で好ましい。
前記式(102)で表される対カチオンは、特に下記式(105)で表されることが好
ましい。
Figure 0007275738000024
[式(105)中、Ar108及びAr109は、前述の式(102)におけるAr105及びA
106が有していてもよい置換基と同様である。式(105)で表されるカチオンが式(
1)で表される架橋基を有する場合、式(1)で表される構造がAr108及び/又はAr1
09の置換基であるか、式(105)のヨウ素原子に結合するフェニレンとAr108及び/
又はフェニレンとAr109が式(1)で表される構造であることを含む。]
<分子量>
電子受容性化合物Aの分子量は、通常900以上、好ましくは1000以上、更に好ま
しくは1200以上、また、通常10000以下、好ましくは5000以下、更に好まし
くは3000以下の範囲である。電子受容性化合物Aの分子量が小さすぎると、正電荷及
び負電荷の非局在化が不十分なため、電子受容能が低下するおそれがあり、電子受容性化
合物Aの分子量が大きすぎると、電子受容性化合物A自体が電荷輸送の妨げとなるおそれ
がある。
<電子受容性化合物Aの架橋基の位置と数>
電子受容性化合物Aが電子受容性イオン化合物である場合、架橋基である式(1)は、
電子受容性化合物Aの対アニオンに結合していることが好ましい。その理由は次の通りで
ある。
即ち、組成物中に電子受容性イオン化合物と電荷輸送性化合物Aが存在する場合、特に
は、電荷輸送性化合物Aが正孔輸送性化合物である場合、電子受容性イオン化合物は、正
孔輸送性化合物から電子を引き抜き、その結果、電子受容性イオン化合物の対アニオンと
正孔輸送性化合物のカチオンラジカルが生成され、電子受容性イオン化合物の対アニオン
と正孔輸送性化合物のカチオンラジカルとがイオン対を形成する。これは後述する電荷輸
送性イオン化合物に相当する。電子受容性イオン化合物が架橋基を有する場合、その対ア
ニオンが、架橋基を有する正孔輸送性化合物と、さらに架橋基によって結合していること
により、電荷輸送性イオン化合物が安定化し、耐久性が向上し、有機電界発光素子の駆動
寿命が向上すると考えられる。さらに、正孔輸送性化合物と結合している電子受容性イオ
ン化合物の対アニオンは遊離しないため、電子受容性イオン化合物の対アニオンの発光層
への拡散が抑制されて発光効率が向上すると考えられる。また、電子受容性イオン化合物
の対アニオン同士が架橋結合した場合であっても、結合することによって分子量が増大し
、拡散しにくくなるため好ましい。
また、複数の電子受容性イオン化合物の対アニオン同士が架橋結合した場合であっても
、少なくとも1つの架橋基が正孔輸送性化合物の架橋基と架橋結合する確率は高く、複数
の電子受容性イオン化合物の対アニオン同士が架橋したクラスターが正孔輸送性化合物と
架橋することによって拡散しなくなり、好ましい。
電子受容性化合物Aが有する式(1)で表される架橋基の数は、1分子中に4個以下で
あることが好ましい。この範囲であれば、架橋反応せずに残存する架橋基が少なく、電子
受容性化合物Aを用いて作製した有機電界発光素子が安定であるためである。架橋反応せ
ずに残存する架橋基がさらに少ないことから、さらに好ましくは、1分子中に3個以下で
ある。また、架橋によって他の化合物どうしを連結する効果を持たせるため、好ましくは
1分子中に2個以上である。網目構造を形成するためには、3個以上であることが好まし
い。
また、電子受容性化合物Aが有する架橋基は式(1)で表される架橋基のみであること
が好ましい。その理由は、本発明の組成物を含む電荷輸送膜又は本発明の組成物を用いて
形成された電荷輸送膜において、式(1)以外の架橋基による副反応が抑制されるため、
電荷輸送膜の電荷輸送性が向上すると考えられ、また、電荷輸送時の耐久性が向上すると
考えられるためである。
<電子受容性化合物Aの具体例>
Figure 0007275738000025
Figure 0007275738000026
Figure 0007275738000027
Figure 0007275738000028
Figure 0007275738000029
Figure 0007275738000030
Figure 0007275738000031
[電荷輸送性化合物A]
本発明の電荷輸送性化合物Aは、下記式(5)、式(6)又は式(7)で表される構造
単位を有する。
Figure 0007275738000032
[式(5)中、
*は結合部位を表し、
1、E2及びE3はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1以上20
以下のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基、フッ
素原子又は置換されたカルボニル基を表す。
ただし、E2及びE3は同時に水素原子ではない。]
Figure 0007275738000033
[式(6)中、
*は結合部位を表し、
31は置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置換の
炭素数1以上20以下のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以
下の芳香環基、置換もしくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキルオキシ基、フッ素
原子又は置換されたカルボニル基を表し、
jは0以上5以下の整数を表し、jが2以上の場合のR31は同一でも異なっていてもよい
。]
Figure 0007275738000034
[式(7)中、
*は結合部位を表し、
41は置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置換の
炭素数1以上20以下のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以
下の芳香環基、フッ素原子又は置換されたカルボニル基を表し、
yは0以上5以下の整数を表し、yが2以上の場合のR41は同一でも異なっていてもよい
。]
前記式(5)、式(6)又は式(7)で表される構造単位は架橋基である。本発明の電
荷輸送性化合物Aは、架橋基としては前記式(5)、式(6)又は式(7)で表される構
造単位から選ばれる基のみを有する。
<式(5)>
(E1、E2及びE3
1、E2及びE3はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1以上2
0以下のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基、フ
ッ素原子又は置換されたカルボニル基を表す。これらの中でも、水素原子又は無置換の炭
素数1以上20以下のアルキル基であることが、化合物の安定性が向上する傾向にあるた
め好ましい。
なお、E1、E2、E3が置換基を有する場合、該置換基としては、前記電子受容性化合
物Aに用いることができる前記置換基群Wから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
(置換もしくは無置換の炭素数1以20以上のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成
原子数3~60の芳香環基)
本発明の電荷輸送性化合物Aにおいて、置換もしくは無置換の炭素数1以20以上のア
ルキル基及び置換もしくは無置換の環形成原子数3~60の芳香環基としては、特に断り
のない限り、前記式(1)のR11の置換もしくは無置換の炭素数1以20以上のアルキル
基及び置換もしくは無置換の環形成原子数3~60の芳香環基と同義であり、価数は結合
の数に応じて、1価又は2価である。有していてもよい置換基、好ましい範囲、好ましい
形態、好ましい理由等も同義である。
(置換されたカルボニル基)
置換されたカルボニル基としては、例えばメチルオキシカルボニル、エチルオキシカル
ボニル、ブチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、ノニルオキシカルボニル
等のアルキルオキシカルボニル基が挙げられる。
これらの中でも、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニルが膜の安定性が向
上する理由でこのましい。
1、E2及びE3の組み合わせはそれぞれ独立であり、特に限定されないが、E2及びE
3は同時に水素原子ではないことが、化合物の安定性が向上する傾向にあるため好ましい
<式(6)>
式(6)の*は結合部位結を表し、以下の(6-a)~(6-d)のように括弧内に含
まれるいずれかの原子に結合している事を表す。
Figure 0007275738000035
(R31
31は置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置換
の炭素数1以上20以下のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60
以下の芳香環基、置換もしくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキルオキシ基、フッ
素原子又は置換されたカルボニル基を表す。またこれらは隣接する置換基同士で結合して
環を形成してもよい。
これらの中でも、置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もし
くは無置換の炭素数1以上10以下のアルキルオキシ基が、化合物の安定性が高いため好
ましい。特に好ましくは、置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基であ
る。
置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置換の環形
成原子数3以上60以下の芳香環基、フッ素原子又は置換されたカルボニル基は、式(5
)のE1、E2及びE3の各基とそれぞれ同義であり、有していてもよい置換基、好ましい
範囲、好ましい形態、好ましい理由等も同義である。
置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルケニル基の炭素数は特に限定されな
いが、1以上であり、また、20以下であり、より好ましくは10以下である。これらの
範囲であることで化合物の安定性の効果が得られる傾向がある。
置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルケニル基の具体例としては、ビニル
基、プロペニル基、ブテニル基等が挙げられる。
アルケニル基は置換基を有していてもよく、その置換基としては例えば、置換基群Wが
挙げられる。
31が有していてもよい置換基は、前記置換基群Wであることが好ましく、好ましい置
換基も前記置換基群Wに記載の通りである。
(j)
jは、0以上5以下の整数である。好ましくは3以下である。これらの範囲であること
で化合物の安定性が高い効果が得られる傾向がある。
なお、jが2以上の場合のR31は同一でも異なっていてもよい。
<式(7)>
式(7)の *は結合部位結を表し、以下の(7-a)~(7-d)のように括弧内に
含まれるいずれかの原子に結合している事を表す。
Figure 0007275738000036
<R41
41は、置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置
換の炭素数1以上20以下のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上6
0以下の芳香環基、置換もしくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキルオキシ基、フ
ッ素原子又は置換されたカルボニル基を表す。またこれらは隣接する置換基同士で結合し
て環を形成してもよい。
41の各基は、R31の各基と同義であり、有していてもよい置換基、好ましい範囲、好
ましい形態、好ましい理由等も同義である。
41が有していてもよい置換基は、前記置換基群Wであることが好ましく、好ましい置
換基も前記置換基群Wに記載の通りである。
<y>
yは0以上5以下の整数である。好ましくは3以下である。これらの範囲であることで
化合物の安定性が高い効果が得られる傾向がある。
なお、yが2以上の場合のR41は同一でも異なっていてもよい。
前記式(5)、式(6)又は式(7)は電荷輸送性を有する主骨格に結合する。電荷輸
送性を有する主骨格は正孔輸送性を有する構造であることが好ましい。その理由は、電子
受容性化合物Aにより酸化されてカチオン状態となり、電荷輸送性すなわち正孔輸送性が
向上するためである。電荷輸送性を有する主骨格は、低分子であっても高分子であっても
よいが、高分子である方が好ましい。その理由は、高分子を架橋不溶化するためには少な
い架橋基で十分なためである。より少ない架橋基によって本発明の組成物を用いた膜を容
易に不溶化できるため、本発明の組成物を用いて形成された電荷輸送膜、及び該電荷輸送
膜を用いた素子の電荷輸送性や電荷輸送時の安定性が向上するため好ましい。架橋基の数
が適当な範囲であることで、電荷輸送性が向上し、電荷輸送時の安定性向上を得られる傾
向にある。
電荷輸送性を有する主骨格が高分子である場合、電荷輸送性化合物Aは、下記式(8)
で表される構造単位を含む高分子化合物であることが好ましい。
Figure 0007275738000037
[式(8)中、
Qは高分子化合物の主鎖を構成する任意の構造であり、
3は任意の連結基又は直接結合であり、
Xは前記式(5)~式(7)のいずれかで表される架橋基を表す。]
電荷輸送性化合物AのQは、アミンを形成する窒素原子を含む構造、置換基を有してい
てもよい芳香族炭化水素、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環であることが、電
荷輸送性が高いことから好ましい。電荷輸送性化合物Aにおいて、Qがアミンを形成する
窒素原子を含む構造である場合、前記式(8)で表される構造単位は、下記式(11)で
表される構造単位であることが好ましい。
Figure 0007275738000038
[式(11)中、
3及びXは前記式(8)におけるL3及びXと同じであり、
Ar10は、置換又は無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基を表し、
n1は1以上5以下である。]
電荷輸送性化合物Aにおいて、Qが置換基を有していてもよい芳香族炭化水素、又は置
換基を有していてもよい芳香族複素環である場合、置換基を有していてもよい芳香族炭化
水素又は置換基を有していてもよい芳香族複素環は、置換又は無置換の環形成原子数3以
上60以下の芳香環が好ましい。
3は、置換又は無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環であることが好ましい

また、電荷輸送性化合物AのXが架橋基であることから、その主鎖であるQは電荷輸送
への寄与が小さい構造であることも好ましく、具体的には、Q-L3で表される構造が、
後述の式(10)で表される構造であることが好ましい。この場合、架橋基XはR8また
はR9に結合する。
電荷輸送性化合物Aは、さらに下記式(9)で表される構造単位を含むことが、正孔輸
送性が向上することから好ましい。
Figure 0007275738000039
[式(9)中、
Ar21及びAr22は、各々独立に、置換又は無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香
環基を表す。
21は置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキレン基、又は置換もしくは無
置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基を表す。
aは、1以上5以下の整数であり、R21が2以上の場合のAr21は同一でも異なっていて
もよい。
bは、0以上5以下の整数であり、bが2以上の場合のR21は同一でも異なっていてもよ
い。]
また、下記式(10)で表される基を有することも好ましい。
Figure 0007275738000040
pは1~3の整数を表し、
8及びR9は、各々独立して、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基、芳香
族炭化水素基、又は芳香族複素環基を表す。
8及びR9が複数個存在する場合、同じであっても異なっていてもよい。
8及び/又はR9に前記式(5)~式(7)のいずれかで表される架橋基が結合している
ことも好ましい。
また、本発明の電荷輸送性化合物Aが高分子化合物である場合、さらにその他の構造を
主鎖に有していてもよい。有していてもよい好ましい構造は、電荷輸送性が高いことから
、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素、置換基を有していてもよい芳香族複素環で
ある。
本発明の電荷輸送性化合物Aを構成する各構造単位を構成する各構造が有していてもよ
い置換基は、前記置換基群Wであることが好ましく、好ましい置換基も前記置換基群Wに
記載の通りである。
<電荷輸送性化合物の分子量等>
本発明の電荷輸送性化合物Aは低分子であっても高分子であってもよく、本発明の効果
を著しく損なわない限り用途に応じて任意に選択される。本発明の電荷輸送性化合物Aが
低分子である場合、その分子量は通常5,000以下、好ましくは4,000以下、より
好ましくは3,000以下、更に好ましくは2,000以下、また、通常400以上、好
ましくは500以上、より好ましくは600以上、更に好ましくは700以上の範囲であ
る。また、本発明の電荷輸送性化合物Aが高分子である場合、その重量平均分子量は通常
1,000,000以下、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,00
0以下、また、通常5、000以上、好ましくは8,000以上、より好ましくは10,
000以上の範囲である。好ましくは高分子である。
なお、ここで、高分子電荷輸送性化合物の重量平均分子量とは、ゲルパーミエーション
クロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算の値である。
また、本発明の電荷輸送性化合物Aが前記式(8)で表される構造単位と前記式(9)
で表される構造単位とを含む場合、式(8)で表される構造単位と、式(9)で表される
構造単位の比率は、式(8)の構造単位1に対して式(9)で表される構造単位が0.5
~1000であることが好ましく、特に好ましくは5~100である。この範囲であると
、架橋によって不溶化しやすい、電荷輸送性が向上しやすい、電荷輸送時の耐久性が向上
しやすい、素子性能が向上しやすいなどの効果が期待される。
また、本発明の電荷輸送性化合物Aが高分子化合物である場合、電荷輸送性に優れ、か
つ電荷輸送時の安定性が高いことから、電荷輸送を担う主たる構造である、前記式(8)
で表される構造単位の配合比と前記式(9)で表される構造単位の配合比の合計が、前記
式(8)で表される構造単位の配合比をn8、前記式(9)で表される構造単位の配合比
をn9、前記式(11)で表される構造単位の配合比をn11、その他の構造の配合比をnX
とし、n8+n9+n11+nX=1である場合、n8+n9が0.6以上であることが好まし
く、0.7以上であることがさらに好ましく、0.8以上であることがより好ましく、0
.9以上であることが最も好ましい。また、1.0以下であることが好ましい。
<本発明の電荷輸送性化合物Aの例>
本発明の電荷輸送性化合物Aとしては特に限定されず、公知の化合物を用いることがで
きる。具体的には、下記特許文献に記載の高分子化合物であって、本発明の式(5)、式
(6)又は式(7)のいずれかの架橋基を有する高分子化合物を用いることが好ましい。
国際公開第2009/102027号、国際公開第2009/123269号、国際公
開第2010/018813号、国際公開第2013/191137号、国際公開第20
15/050232号、国際公開第2015/133437号、特開2016-0843
70、国際公開第2016/136847号、特開2017-002287。
[組成物]
本発明の組成物は、溶媒、重合開始剤、添加剤を含んでいてもよい。
<溶媒>
本発明の組成物は、電子受容性化合物Aと電荷輸送性化合物Aに加え、さらに溶媒を含
むことが好ましい。特に、本発明の組成物を用いて、湿式成膜法により電荷輸送膜を形成
する場合には、溶媒を用いて前述の電子受容性化合物A及び電荷輸送性化合物Aを溶解さ
せた状態とすることが好ましい。
ここで、本発明の電子受容性化合物Aと、本発明の電荷輸送性化合物Aとを混合するこ
とによって、電荷輸送性イオン化合物Aが生成する。すなわち、電荷輸送性イオン化合物
Aは、本発明の電子受容性化合物Aと本発明の電荷輸送性化合物Aとに由来する化合物で
ある。本発明の電荷輸送性イオン化合物Aを含有する組成物は必要に応じてその他の成分
を含んでいてもよく、湿式成膜法により電荷輸送膜を形成する場合には、溶媒を用いて本
発明の電荷輸送性イオン化合物Aを溶解させた状態とすることが好ましい。
本発明の組成物に含まれる溶媒としては、前述の化合物A及び電荷輸送性化合物をとも
に溶解することが可能な溶媒であれば、その種類は特に限定されない。ここで、電子受容
性化合物A及び電荷輸送性化合物Aを溶解する溶媒とは、電荷輸送性化合物Aを好ましく
は0.005質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以
上溶解する溶媒である。また、電子受容性化合物Aを好ましくは0.001質量%以上、
より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上溶解する溶媒である
好ましい溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒及びエステル
系溶媒が挙げられる。具体的には、芳香族炭化水素系溶媒としては、トルエン、キシレン
、メシチレン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼンが挙げられる。エーテル系溶媒とし
ては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエー
テル、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂
肪族エーテル;1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、アニソール
、フェネトール、2-メトキシトルエン、3-メトキシトルエン、4-メトキシトルエン
、2,3-ジメチルアニソール、2,4-ジメチルアニソール等の芳香族エーテル等が挙
げられる。エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、乳酸エチル
、乳酸n-ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸
メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n-ブチル等の芳香族エステル等
が挙げられる。これらは何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ
及び比率で用いてもよい。
上述のエーテル系溶媒及びエステル系溶媒以外に使用可能な溶媒としては、例えば、N
,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、ジメチ
ルスルホキシド等が挙げられる。これらは何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を
任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。また、これらの溶媒のうち一種又は二種以上
を、上述のエーテル系溶媒及びエステル系溶媒のうちの一種又は二種以上と組み合わせて
用いてもよい。特に、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒は、電子
受容性化合物、フリーキャリア(カチオンラジカル)を溶解する能力が低いため、エーテ
ル系溶媒及びエステル系溶媒と混合して用いることが好ましい。
溶媒を使用する場合、本発明の組成物に対する溶媒の濃度は、好ましくは10質量%以
上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50%質量以上である。また、組
成物に対する溶媒の濃度は、好ましくは99.999質量%以下、より好ましくは99.
99質量%以下、更に好ましくは99.9質量%以下の範囲である。なお、二種以上の溶
媒を混合して用いる場合には、これらの溶媒の合計がこの範囲を満たすようにする。
なお、本発明の組成物を有機電界発光素子に用いる場合、有機電界発光素子は多数の有
機化合物からなる層を積層して形成するため、各層がいずれも均一な層であることが要求
される。湿式成膜法で層形成する場合、薄膜形成用の溶液(組成物)に水分が存在すると
、塗膜に水分が混入して膜の均一性が損なわれるため、溶液中の水分含有量はできるだけ
少ない方が好ましい。また、一般に有機電界発光素子は、陰極等の水分により著しく劣化
する材料が多く使用されているため、素子の劣化の観点からも水分の存在は好ましくない
具体的に、本発明の組成物に含まれる水分量は、好ましくは1質量%以下、中でも0.
1質量%以下、更には0.05質量%以下に抑えることが好ましい。
組成物中の水分量を低減する方法としては、例えば、窒素ガスシール、乾燥剤の使用、
溶媒を予め脱水する、水の溶解度が低い溶媒を使用する等が挙げられる。中でも、塗布工
程中に溶液塗膜が大気中の水分を吸収して白化する現象を防ぐという観点からは、水の溶
解度が低い溶媒を使用することが好ましい。
湿式成膜法により成膜する用途に用いる場合、本発明の組成物は、水の溶解度が低い溶
媒、具体的には、例えば25℃における水の溶解度が1質量%以下、好ましくは0.1質
量%以下である溶媒を、組成物全体に対して好ましくは10質量%以上、中でも30質量
%以上、特に50質量%以上の濃度で含有することが好ましい。
<組成物中の含有量>
本発明の組成物において、電子受容性化合物Aと電荷輸送性化合物Aの含有量は、電子
受容性化合物Aと電荷輸送性化合物Aの合計量に対して、電荷輸送性化合物Aの含有量は
、99質量%以下であることが好ましく、97質量%以下であることがより好ましく、9
5質量%以下であることがさらに好ましい。また、50質量%以上であることが好ましく
、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好まし
い。これらの範囲であることで、本発明の組成物を用いて形成された膜が十分架橋して不
溶化し、本発明の組成物を用いて形成された膜に直接湿式塗布成膜することが可能であり
、かつ、本発明の組成物を用いて形成された膜を電荷輸送膜として用いた場合、電荷輸送
性に優れ、電荷輸送時の安定性が向上し、本発明の組成物を用いて形成された膜を含む素
子の耐久性が向上すると考えられる。
本発明の組成物において、電荷輸送性化合物Aの含有量は特に限定されない。電荷輸送
性化合物A、電子受容性化合物A及び電荷輸送性化合物A以外の電荷輸送性化合物の合計
量に対して、電荷輸送性化合物Aの含有量は、99.9質量%以下であることが好ましく
、99質量%以下であることがより好ましく、95質量%以下であることがさらに好まし
い。また、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ま
しい。これらの範囲であることで、駆動電圧を抑制し、塗布膜の安定性の向上効果が得ら
れる傾向にある。なお、上記の本発明の組成物が、電荷輸送性化合物A以外の電荷輸送性
化合物を含まない場合は、上記の含有量の割合は、電荷輸送性化合物A及び電子受容性化
合物Aに対する電荷輸送性化合物Aの含有量を表す。
<電荷輸送膜用組成物>
電子受容性化合物Aが前述の電子受容性イオン化合物である場合、該電子受容性イオン
化合物と電荷輸送性化合物Aとを含有する組成物(以下、適宜「電荷輸送膜用組成物(A
)」という。)、又は、後述の電荷輸送性化合物Aのカチオンラジカルと該電子受容性イ
オン化合物の一部である対アニオンからなる電荷輸送性イオン化合物を含有する組成物(
以下、適宜「電荷輸送膜用組成物(B)」という。)として用いることが好ましい。ここ
で、便宜上、電荷輸送膜用組成物(A)と電荷輸送膜用組成物(B)に分けて説明するが
、電荷輸送膜用組成物は、前述の電子受容性イオン化合物、後述の電荷輸送性化合物及び
、後述の電荷輸送性化合物のカチオンラジカルと前述の電子受容性イオン化合物の一部で
ある対アニオンからなる電荷輸送性イオン化合物とを含む組成物も含む。
なお、前記電荷輸送膜用組成物(A)及び(B)は、電荷輸送材料の用途に広く用いる
ことが可能な組成物(電荷輸送材料用組成物)である。但し、通常はこれを成膜し、電荷
輸送材料膜、即ち「電荷輸送膜」として用いるため、本明細書では特に「電荷輸送膜用組
成物」と呼ぶことにする。
本発明において、電荷輸送性化合物Aは通常、正孔輸送性化合物である。よって、以下
の説明において、特に断らない限り正孔輸送性化合物は電荷輸送性化合物Aと読み替える
ことができるものとする。
<正孔輸送性化合物>
次に、電荷輸送膜用組成物に含まれる電荷輸送性化合物Aとしての正孔輸送性化合物(
以下、適宜「本発明の正孔輸送性化合物A」と略称する。)について説明する。
正孔輸送性化合物Aは、架橋基を有することが好ましい。これは、膜形成後に正孔輸送
性化合物Aを架橋させることにより、膜を不溶化することができ、膜上にさらに別の層を
塗布成膜することが可能となるためである。好ましい架橋基は、前記架橋基群Zで挙げた
架橋基であり、これらのうちの好ましい構造も前記架橋基群Zと同様である。
正孔輸送性化合物Aが架橋基を有する場合は、好ましくは電子受容性化合物Aの架橋基
と架橋反応可能な架橋基であり、さらに好ましくは、架橋反応する部位が電子受容性化合
物Aの架橋基の架橋反応部位と同一構造である架橋基である。
正孔輸送性化合物Aと電子受容性化合物Aがそれぞれ架橋基を有し、正孔輸送性化合物
Aの架橋基と電子受容性化合物Aの架橋基とが互いに架橋反応可能であることで、正孔輸
送性化合物Aに電子受容性化合物Aが固定され、電子受容性化合物Aが他の層へ拡散する
ことが抑制され、好ましい。特に、電子受容性化合物Aの発光層への拡散が抑制されるこ
とにより、発光層内での励起子の消光を抑制し、発光効率が向上し、好ましい。
正孔輸送性化合物Aとしては、4.5eV~5.5eVのイオン化ポテンシャルを有す
る化合物が正孔輸送能の点で好ましい。例としては、芳香族アミン化合物、フタロシアニ
ン誘導体又はポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体等が挙げられる。中でも非晶
質性、溶媒への溶解度、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好ましい。
芳香族アミン化合物の中でも、本発明では特に、芳香族三級アミン化合物が好ましい。
なお、本発明でいう芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物
であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果の点から、重量
平均分子量が1,000以上、1,000,000以下の高分子化合物である芳香族三級
アミン高分子化合物が更に好ましい。芳香族三級アミン化合物としては、前述の式(8)
で表される構造単位において、Wがアミンを形成する窒素原子を含むものが好ましい。
なお、これらの正孔輸送性化合物Aの分子量は、上述した特定の繰り返し単位を有する
高分子化合物の場合を除いて、通常5000以下、好ましくは3000以下、より好まし
くは2000以下、更に好ましくは1700以下、特に好ましくは1400以下、また、
通常200以上、好ましくは400以上、より好ましくは600以上の範囲である。正孔
輸送性化合物の分子量が高過ぎると合成及び精製が困難であり好ましくない一方で、分子
量が低過ぎると耐熱性が低くなる虞がありやはり好ましくない。
電荷輸送膜用組成物(A)は、上述の正孔輸送性化合物Aのうち何れか一種を単独で含
有していてもよく、二種以上を含有していてもよい。二種以上の正孔輸送性化合物Aを含
有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物の一種又は
二種以上と、その他の正孔輸送性化合物Aの一種又は二種以上とを併用するのが好ましい
。前述の高分子化合物と併用する正孔輸送性化合物Aの種類としては、芳香族アミン化合
物が好ましい。
<電荷輸送膜用組成物(A)>
電荷輸送膜用組成物(A)は、少なくとも、電子受容性化合物Aと、正孔輸送性化合物
Aとを混合することで調製される。前記電子受容性化合物Aは一種を単独で含有していて
もよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で含有していてもよい。正孔輸送性化合物
Aについても同様である。
電荷輸送膜用組成物(A)における電子受容性化合物Aの含有量は、正孔輸送性化合物
Aに対する値で、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常100質
量%以下、好ましくは40質量%以下である。電子受容性化合物の含有量が上記下限以上
であれば、フリーキャリア(正孔輸送性化合物のカチオンラジカル)が十分に生成でき好
ましく、上記上限以下であれば、十分な電荷輸送能が確保でき好ましい。二種以上の電子
受容性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにす
る。正孔輸送性化合物についても同様である。
<電荷輸送膜用組成物(B)>
電荷輸送膜用組成物(B)は、前述の通り、前述の正孔輸送性化合物Aのカチオンラジ
カルと前述の電子受容性イオン化合物の対アニオンからなる電荷輸送性イオン化合物を含
有する組成物である。
電荷輸送性イオン化合物のカチオンである電荷輸送性化合物Aのカチオンラジカルは、
前述の正孔輸送性化合物Aに示す電気的に中性の化合物から、一電子取り除いた化学種で
ある。ただし、正孔輸送性化合物Aが高分子化合物である場合には、高分子構造中に、電
気的に中性の部分構造から一電子取り除いた部分構造を含む化学種である。
特に、正孔輸送性化合物Aのカチオンラジカルが下記式(110)で表される部分構造
を有する芳香族三級アミン化合物であることが、適度な酸化還元電位を有する点、安定な
電荷輸送性イオン化合物が得られる点から好ましい。
Figure 0007275738000041
[上記式(110)中、
qは1~5の整数を表し、
Ar81~Ar84は各々独立に、置換基を有してもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素基
又は置換基を有してもよい単素数3~30の芳香族複素環基を表し、
81~R84は各々独立に置換基を表す。]
Ar81~Ar84は好ましくは芳香族炭化水素基であり、その具体例、好ましい基、有し
ていてもよい置換基の例及び好ましい置換基の例は、前述の式(106)におけるAr10
0と同様であり、特に好ましくは置換基を有していてもよい炭素数6~14の芳香族炭化
水素基である。
好ましい置換基及び好ましいR81~R84は、前述の置換基群Wから選ばれる基であり、
好ましくは、無置換であるか、置換基群Wのアルキル基、芳香族炭化水素基である。
qは、式(110)で表される部分構造がカチオンラジカルになりやすい観点から、好
ましくは3以下であり、さらに好ましくは2以下であり、1であることが特に好ましい。
式(110)で表される部分構造を有する芳香族三級アミン化合物は、芳香族三級アミ
ン構造として式(110)で表される部分構造を1つのみ又は複数有する低分子化合物で
あってもよい。
また、式(110)で表される部分構造を有する芳香族三級アミン化合物は、式(11
0)で表される部分構造を複数有する高分子化合物であってもよい。
式(110)で表される部分構造を有する芳香族三級アミン化合物が高分子化合物であ
る場合は、Ar81もしくはAr82のいずれか一方、または、Ar83もしくはAr84のいず
れか一方で高分子構造に結合していてもよいし、Ar81もしくはAr82のいずれか一方、
及び、Ar83もしくはAr84のいずれか一方の両方で高分子化合物の主鎖に連結していて
もよい。
式(110)で表される部分構造を有する芳香族三級アミン化合物が高分子化合物であ
る場合は、Ar81もしくはAr82のいずれか一方、及び、Ar83もしくはAr84のいずれ
か一方の両方で高分子化合物の主鎖に連結した高分子化合物であることが好ましい。
また、正孔輸送性化合物Aのカチオンラジカルが、重量平均分子量1000以上、10
00000以下の芳香族三級アミン高分子化合物の繰り返し単位から一電子取り除いた構
造の化学種であることが、耐熱性の点、成膜性の点から好ましい。芳香族三級アミン高分
子化合物の繰り返し単位から一電子取り除くとは、芳香族三級アミン高分子化合物に含ま
れる複数の繰り返し単位の一部又は全てから一電子取り除くことである。芳香族三級アミ
ン高分子化合物に含まれる複数の繰り返し単位の一部から一電子取り除くことが、芳香族
三級アミン高分子化合物が安定であり好ましい。該芳香族三級アミン高分子化合物として
は、前述の正孔輸送性化合物Aに記載のものが挙げられる。その好ましい例も、前述の記
載と同様である。
<電荷輸送性イオン化合物>
電荷輸送性イオン化合物は、前述の電荷輸送性化合物Aのカチオンラジカルと、電子受
容性イオン化合物の一部である対アニオンとがイオン結合した化合物である。
電荷輸送性イオン化合物は、電子受容性イオン化合物と、正孔輸送性化合物Aとを混合
することによって得ることができ、種々の溶媒に容易に溶解する。
電荷輸送性イオン化合物の分子量は、カチオンラジカルが高分子化合物である場合を除
いて、通常1000以上、好ましくは1200以上、更に好ましくは1400以上、また
、通常9000以下、好ましくは5000以下、更に好ましくは4000以下の範囲であ
る。
<電荷輸送膜用組成物(B)の調製方法>
電荷輸送性イオン化合物(B)は、電子受容性イオン化合物と、正孔輸送性化合物Aと
を溶媒に溶解して混合して調製することが好ましい。この溶液中で、電子受容性イオン化
合物によって正孔輸送性化合物Aが酸化されてカチオンラジカル化し、電子受容性イオン
化合物の対アニオンと、正孔輸送性化合物Aのカチオンラジカルとのイオン化合物である
、電荷輸送性イオン化合物が生成する。
このとき、正孔輸送性化合物Aは芳香族三級アミン化合物であることが好ましい。溶液
中で混合することにより、芳香族三級アミン化合物の酸化されやすい部位であるアミン構
造近傍に電子受容性イオン化合物が存在する確率が高くなり、電子受容性イオン化合物に
よって芳香族三級アミン化合物が酸化されてカチオンラジカル化し、電子受容性イオン化
合物の対アニオンと、芳香族三級アミン化合物のカチオンラジカルとのイオン化合物が生
成しやすいためである。このとき、溶液を加熱することが、前記反応を促進する観点で好
ましい。
また、電子受容性イオン化合物と、正孔輸送性化合物Aとの混合物を加熱して調製する
ことも好ましい。この混合物は、電子受容性イオン化合物と、正孔輸送性化合物Aとの混
合物を溶媒に溶解した溶液を塗布して成膜した膜であることが好ましい。混合物を加熱す
ることにより、混合物中で電子受容性イオン化合物と正孔輸送性化合物Aとが互いに拡散
し、芳香族三級アミン化合物の酸化されやすい部位であるアミン構造近傍に電子受容性化
合物が存在する確率が高くなり、電子受容性イオン化合物の対アニオンと、芳香族三級ア
ミン化合物のカチオンラジカルとのイオン化合物が生成しやすいためである。この時の加
熱温度は、組成物の架橋基が架橋反応しない温度である。
電荷輸送膜用組成物(B)は、前述した電荷輸送性イオン化合物一種を単独で含有して
いてもよく、二種以上を含有していてもよい。電荷輸送性イオン化合物は一種又は二種含
有することが好ましく、一種を単独で含有することがより好ましい。電荷輸送性イオン化
合物のイオン化ポテンシャルのばらつきが少なく、正孔輸送性が優れるためである。
電荷輸送性イオン化合物一種を単独で、又は二種含有する組成物とは、電子受容性イオ
ン化合物と正孔輸送性化合物Aを合計で二種のみ又は三種のみ用いて調製された組成物で
あって、少なくとも一つの電子受容性イオン化合物と少なくとも一つの正孔輸送性化合物
Aとを用いて調製された組成物である。
電荷輸送膜用組成物(B)には、電荷輸送性イオン化合物の他に、正孔輸送性化合物A
を含有することも好ましい。電荷輸送膜用組成物(B)における正孔輸送性化合物Aの含
有量は、電荷輸送性イオン化合物に対する値で、好ましくは10質量%以上、更に好まし
くは20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、また、10000質
量%以下であることが好ましく、1000質量%以下であることがさらに好ましい。
電荷輸送膜用組成物(B)から形成される電荷輸送膜は、電荷輸送性イオン化合物から
近傍の中性の正孔輸送性化合物に正電荷が移動することにより、高い正孔注入・輸送能を
発揮することから、電荷輸送性イオン化合物と中性の正孔輸送性化合物Aとが、質量比で
1:100~100:1程度であることが好ましく、1:20~20:1程度の割合であ
ることが更に好ましい。
<電荷輸送膜用組成物(A)と(B)の関係>
電荷輸送膜用組成物(A)により形成される電荷輸送膜は、耐熱性に優れるとともに、
高い正孔注入・輸送能を有する。この様な優れた特性が得られる理由を以下に説明する。
電荷輸送膜用組成物(A)は、前述した電子受容性化合物と正孔輸送性化合物とを含有
している。電子受容性イオン化合物中のカチオンは、超原子価の中心原子を有し、その正
電荷が広く非局在化しているため、高い電子受容性を有している。これによって、正孔輸
送性化合物から電子受容性イオン化合物のカチオンへと電子移動が起こり、正孔輸送性化
合物のカチオンラジカルと対アニオンとからなる電荷輸送性イオン化合物が生成する。こ
の正孔輸送性化合物のカチオンラジカルが電荷のキャリアとなるため、電荷輸送膜の電気
伝導度を高めることができる。すなわち、電荷輸送膜用組成物(A)を調製すると、少な
くとも一部は正孔輸送性化合物のカチオンラジカルと電子受容性イオン化合物の対アニオ
ンとからなる電荷輸送性イオン化合物が生成すると考えられる。
例えば、下記の式(18)で表される正孔輸送性化合物から式(17)で表される電子
受容性化合物へ電子移動が起きる場合、式(18’)で表される、正孔輸送性化合物のカ
チオンラジカルと対アニオンJ-からなる電荷輸送性イオン化合物が生成する。
Figure 0007275738000042
<組成物を用いた成膜方法>
本発明の組成物を用いて膜を形成する場合、本発明の組成物は溶媒を含む溶液であるこ
とが好ましく、本発明の組成物を湿式成膜することが好ましい。
湿式成膜法とは、基板上に溶媒を含む組成物を塗布し、溶媒を乾燥除去して膜を形成す
る方法をいう。塗布方法としては、特に限定はされないが、例えばスピンコート法、ディ
ップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプ
レーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア
印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。
溶媒を乾燥除去する方法としては、通常、加熱乾燥を行う。加熱工程において使用する
加熱手段の例としては、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線加熱が挙げられる。
赤外線加熱としては、ハロゲンヒーターやセラミックコートしたハロゲンヒーター、セラ
ミックヒーター等が使用できる。
赤外線による加熱は基板あるいは膜に直接熱エネルギーを与えるため、オーブンやホッ
トプレートを用いた加熱と比べて短時間での乾燥が可能となる。そのため加熱雰囲気のガ
ス(水分や酸素)の影響や、微小なごみの影響を最小限に抑えることができ、生産性が向
上し、好ましい。
加熱温度は、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上
である。また、加熱温度は、通常300℃以下、好ましくは、280℃以下、より好まし
くは、260℃以下である。
加熱時間は、通常10秒以上、好ましくは60秒以上、より好ましくは90秒以上であ
り、通常120分以下、好ましくは60分以下、より好ましくは30分以下である。
また、加熱乾燥の前に真空乾燥を行うことも好ましい。
本発明の組成物を湿式成膜法にて成膜した有機層の膜厚は、通常5nm以上、好ましく
は10nm以上、さらに好ましくは20nm以上である。また、膜厚は、通常1000n
m以下、好ましくは500nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。
[好適な発光層形成材料]
本発明の発光層は、発光材料と電荷輸送材料を含む。発光材料は燐光発光材料でもよい
し、蛍光発光材料でもよい。本発明の電子受容性化合物Aは、前記式(1)で表される構
造単位を架橋基として有するため、前記式(5)、式(6)又は式(7)で表される構造
単位を有する電荷輸送性化合物Aと架橋されるとともに、電荷輸送性化合物Aのカチオン
を効率よく生成する。そのため、電子受容性化合物Aと電荷輸送性化合物Aとを用いて形
成された電荷輸送膜は電荷輸送性に優れ、他の層への電子受容性化合物Aの拡散が抑制さ
れるため、発光層の効率が向上しやすい。特に、発光材料のエキシトンのエネルギーの高
い燐光発光層、青蛍光発光層を用いる場合に、より好ましい。さらに好ましくは、赤発光
材料と緑発光材料は燐光発光材料であり、青発光材料は蛍光発光材料である。
<燐光発光材料>
燐光発光材料とは、励起三重項状態から発光を示す材料をいう。例えば、Ir、Pt、
Euなどを有する金属錯体化合物がその代表例であり、材料の構造として、金属錯体を含
むものが好ましい。
金属錯体の中でも、三重項状態を経由して発光する燐光発光性有機金属錯体として、長
周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期
表を指すものとする。)第7~11族から選ばれる金属を中心金属として含むウェルナー
型錯体又は有機金属錯体化合物が挙げられる。このような燐光発光材料としては、例えば
、国際公開第2014/024889号、国際公開第2015-087961号、国際公
開第2016/194784、特開2014-074000号に記載の燐光発光材料が挙
げられる。好ましくは、下記式(201)で表される化合物、又は下記式(205)で表
される化合物が好ましく、より好ましくは下記式(201)で表される化合物である。
Figure 0007275738000043
式(201)において、環A1は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環構造又は
置換基を有していてもよい芳香族複素環構造を表す。
環A2は置換基を有していてもよい芳香族複素環構造を表す。
201、R202は各々独立に式(202)で表される構造であり、“*”は環A1又は環A
2と結合すること表す。R201、R202は同じであっても異なっていてもよく、R201、R2
02がそれぞれ複数存在する場合、それらは同じであっても異なっていてもよい。
Ar201、Ar203は各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環構造、又
は置換基を有していてもよい芳香族複素環構造を表す。
Ar202は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環構造、置換基を有していても
よい芳香族複素環構造、又は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素構造を表す。
環A1に結合する置換基同士、環A2に結合する置換基同士、又は環A1に結合する置
換基と環A2に結合する置換基同士は、互いに結合して環を形成してもよい。
201-L200-B202は、アニオン性の2座配位子を表す。B201及びB202は、それぞ
れ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子で
あってもよい。L200は、単結合、又は、B201及びB202とともに2座配位子を構成する
原子団を表す。B201-L200-B202が複数存在する場合、それらは同一でも異なってい
てもよい。
なお、式(201)、(202)において、
i1、i2はそれぞれ独立に、0以上12以下の整数を表し、
i3は、Ar202に置換可能な数を上限とする0以上の整数を表し、
i4は、Ar201に置換可能な数を上限とする0以上の整数を表し、
k1及びk2はそれぞれ独立に、環A1、環A2に置換可能な数を上限とする0以上の整
数を表し、
zは1~3の整数を表す。
(置換基)
特に断りのない場合、置換基としては、次の置換基群Sから選ばれる基が好ましい。
<置換基群S>
・アルキル基、好ましくは炭素数1~20のアルキル基、より好ましくは炭素数1~12
のアルキル基、さらに好ましくは炭素数1~8のアルキル基、特に好ましくは炭素数1~
6のアルキル基。
・アルコキシ基、好ましくは炭素数1~20のアルコキシ基、より好ましくは炭素数1~
12のアルコキシ基、さらに好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基。
・アリールオキシ基、好ましくは炭素数6~20のアリールオキシ基、より好ましくは炭
素数6~14のアリールオキシ基、さらに好ましくは炭素数6~12のアリールオキシ基
、特に好ましくは炭素数6のアリールオキシ基。
・ヘテロアリールオキシ基、好ましくは炭素数3~20のヘテロアリールオキシ基、より
好ましくは炭素数3~12のヘテロアリールオキシ基。
・アルキルアミノ基、好ましくは炭素数1~20のアルキルアミノ基、より好ましくは炭
素数1~12のアルキルアミノ基。
・アリールアミノ基、好ましくは炭素数6~36のアリールアミノ基、より好ましくは炭
素数6~24のアリールアミノ基。
・アラルキル基、好ましくは炭素数7~40のアラルキル基、より好ましくは炭素数7~
18のアラルキル基、さらに好ましくは炭素数7~12のアラルキル基。
・ヘテロアラルキル基、好ましくは炭素数7~40のヘテロアラルキル基、より好ましく
は炭素数7~18のヘテロアラルキル基。
・アルケニル基、好ましくは炭素数2~20のアルケニル基、より好ましくは炭素数2~
12のアルケニル基、さらに好ましくは炭素数2~8のアルケニル基、特に好ましくは炭
素数2~6のアルケニル基。
・アルキニル基、好ましくは炭素数2~20のアルキニル基、より好ましくは炭素数2~
12のアルキニル基。
・アリール基、好ましくは炭素数6~30のアリール基、より好ましくは炭素数6~24
のアリール基、さらに好ましくは炭素数6~18のアリール基、特に好ましくは炭素数6
~14のアリール基。
・ヘテロアリール基、好ましくは炭素数3~30のヘテロアリール基、より好ましくは炭
素数3~24のヘテロアリール基、さらに好ましくは炭素数3~18のヘテロアリール基
、特に好ましくは炭素数3~14のヘテロアリール基。
・アルキルシリル基、好ましくはアルキル基の炭素数が1~20であるアルキルシリル基
、より好ましくはアルキル基の炭素数が1~12であるアルキルシリル基。
・アリールシリル基、好ましくはアリール基の炭素数が6~20であるアリールシリル基
、より好ましくはアリール基の炭素数が6~14であるアリールシリル基。
・アルキルカルボニル基、好ましくは炭素数2~20のアルキルカルボニル基。
・アリールカルボニル基、好ましくは炭素数7~20のアリールカルボニル基。
以上の基は一つ以上の水素原子がフッ素原子で置き換えられているか、若しくは1つ以
上の水素原子が重水素原子で置き換えらえられていてもよい。
特に断りのない限り、アリールは芳香族炭化水素環であり、ヘテロアリールは芳香族複
素環である。
・水素原子、重水素原子、フッ素原子、シアノ基、又は、-SF5。
上記置換基群Sのうち、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、
アリールアミノ基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アル
キルシリル基、アリールシリル基、及びこれらの基の一つ以上の水素原子がフッ素原子で
置き換えられている基、フッ素原子、シアノ基、又は-SF5であり、
より好ましくはアルキル基、アリールアミノ基、アラルキル基、アルケニル基、アリー
ル基、ヘテロアリール基であり、及びこれらの基の一つ以上の水素原子がフッ素原子で置
き換えられている基、フッ素原子、シアノ基、又は-SF5であり、
さらに好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアミノ基
、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基、ア
リールシリル基であり、
特に好ましくはアルキル基、アリールアミノ基、アラルキル基、アルケニル基、アリー
ル基、ヘテロアリール基であり、
最も好ましくはアルキル基、アリールアミノ基、アラルキル基、アリール基、ヘテロア
リール基である。
これら置換基群Sにはさらに置換基群Sから選ばれる置換基を置換基として有していて
もよい。有していてもよい置換基の好ましい基、より好ましい基、さらに好ましい基、特
に好ましい基、最も好ましい基は置換基群Sの中の好ましい基と同様である。
(環A1)
環A1は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環構造又は置換基を有していてもよ
い芳香族複素環構造を表す。
芳香族炭化水素環としては、好ましくは炭素数6~30の芳香族炭化水素環である。具
体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、トリフェニリル環、アセナフテ
ン環、フルオランテン環、フルオレン環が好ましい。
芳香族複素環としては、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子のいずれ
かを含む、炭素数3~30の芳香族複素環が好ましい。さらに好ましくは、フラン環、ベ
ンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環である。
環A1としてより好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環であり、特に
好ましくはベンゼン環又はフルオレン環であり、最も好ましくはベンゼン環である。
(環A2)
環A2は置換基を有していてもよい芳香族複素環構造を表す。
芳香族複素環としては、好ましくはヘテロ原子として窒素原子、酸素原子、又は硫黄原
子のいずれかを含む、炭素数3~30の芳香族複素環である。具体的には、ピリジン環、
ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾー
ル環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイミダゾール環、キノリン環
、イソキノリン環、キノキサリン環、キナゾリン環、ナフチリジン環、フェナントリジン
環が挙げられ、好ましくは、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、
ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリ
ン環、キナゾリン環であり、より好ましくは、ピリジン環、イミダゾール環、ベンゾチア
ゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、キナゾリン環であり、最も好
ましくは、ピリジン環、イミダゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、キノキサリ
ン環、キナゾリン環である。
(環A1と環A2との組み合わせ)
環A1と環A2の好ましい組み合せとしては、(環A1-環A2)と表記すると、(ベ
ンゼン環-ピリジン環)、(ベンゼン環-キノリン環)、(ベンゼン環-キノキサリン環
)、(ベンゼン環-キナゾリン環)、(ベンゼン環-ベンゾチアゾール環)、(ベンゼン
環-イミダゾール環)、(ベンゼン環-ピロール環)、(ベンゼン環-ジアゾール環)、
及び(ベンゼン環-チオフェン環)である。
(環A1、環A2の置換基)
環A1、環A2が有していてもよい置換基は任意に選択できるが、好ましくは前記置換
基群Sから選ばれる1種又は複数種の置換基である。
(Ar201、Ar202、Ar203
Ar201、Ar203は、各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環構造、
又は置換基を有していてもよい芳香族複素環構造を表す。
Ar202は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環構造、置換基を有していても
よい芳香族複素環構造、又は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素構造を表す。
Ar201、Ar202、Ar203のいずれかが置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環
構造である場合、該芳香族炭化水素環構造としては、好ましくは炭素数6~30の芳香族
炭化水素環である。具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、トリフェ
ニリル環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環が好ましく、より好ましく
はベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環が好ましく、最も好ましくはベンゼン環であ
る。
Ar201、Ar202のいずれかが置換基を有していてもよいベンゼン環である場合、少な
くとも一つのベンゼン環がオルト位又はメタ位で隣接する構造と結合していることが好ま
しく、少なくとも一つのベンゼン環がメタ位で隣接する構造と結合していることがより好
ましい。
Ar201、Ar202、Ar203のいずれかが置換基を有していてもよいフルオレン環であ
る場合、フルオレン環の9位及び9’位は、置換基を有するか又は隣接する構造と結合し
ていることが好ましい。
Ar201、Ar202、Ar203のいずれかが置換基を有していてもよい芳香族複素環構造
である場合、芳香族複素環構造としては、好ましくはヘテロ原子として窒素原子、酸素原
子、又は硫黄原子のいずれかを含む、炭素数3~30の芳香族複素環であり、具体的には
、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、オキサゾー
ル環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイミダゾール
環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、キナゾリン環、ナフチリジン環、フ
ェナントリジン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環が挙げら
れ、好ましくは、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、カルバゾール環、ジベンゾ
フラン環、ジベンゾチオフェン環である。
Ar201、Ar202、Ar203のいずれかが置換基を有していてもよいカルバゾール環で
ある場合、カルバゾール環のN位は、置換基を有するか又は隣接する構造と結合している
ことが好ましい。
Ar202が置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素構造である場合、直鎖、分岐鎖、
又は環状構造を有する脂肪族炭化水素構造であり、好ましくは炭素数が1以上24以下で
あり、さらに好ましくは炭素数が1以上12以下であり、より好ましくは炭素数が1以上
8以下である。
(i1、i2、i3、i4、k1、k2)
i1、i2はそれぞれ独立に、0~12の整数を表し、好ましくは1~12、さらに好
ましくは1~8、より好ましくは1~6である。この範囲であることにより、溶解性向上
や電荷輸送性向上が見込まれる。
i3は好ましくは0~5の整数を表し、さらに好ましくは0~2、より好ましくは0又
は1である。
i4は好ましくは0~2の整数を表し、さらに好ましくは0又は1である。
k1、k2はそれぞれ独立に、好ましくは0~3の整数を表し、さらに好ましくは1~
3であり、より好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
(Ar201、Ar202、Ar203の好ましい置換基)
Ar201、Ar202、Ar203が有していてもよい置換基は任意に選択できるが、好まし
くは前記置換基群Sから選ばれる1種又は複数種の置換基であり、好ましい基も前記置換
基群Sの通りであるが、より好ましくは無置換(水素原子)、アルキル基、アリール基で
あり、特に好ましくは無置換(水素原子)、アルキル基であり、最も好ましくは無置換(
水素原子)である。
(式(201)で表される化合物の好ましい態様)
前記式(201)で表される化合物は、下記(I)~(IV)のうちのいずれか1以上を
満たす化合物であることが好ましい。
(I)フェニレン連結式
式(202)で表される構造はベンゼン環が連結した基を有する構造、すなわち、ベン
ゼン環構造、i1が1~6で、少なくとも一つの前記ベンゼン環がオルト位又はメタ位で
隣接する構造と結合していることが好ましい。
このような構造であることによって、溶解性が向上し、かつ電荷輸送性が向上すること
が期待される。
(II)(フェニレン)-アラルキル(アルキル)
環A1又は環A2に、アルキル基若しくはアラルキル基が結合した芳香族炭化水素基若
しくは芳香族複素環基を有する構造、すなわち、Ar201が芳香族炭化水素構造又は芳香
族複素環構造、i1が1~6、Ar202が脂肪族炭化水素構造、i2が1~12、好まし
くは3~8、Ar203がベンゼン環構造、i3が0又は1である構造、好ましくは、Ar2
01は前記芳香族炭化水素構造であり、さらに好ましくはベンゼン環が1~5連結した構造
であり、より好ましくはベンゼン環1つである。
このような構造であることによって、溶解性が向上し、かつ電荷輸送性が向上すること
が期待される。
(III)デンドロン
環A1又は環A2に、デンドロンが結合した構造、例えば、Ar201、Ar202がベンゼ
ン環構造、Ar203がビフェニル又はターフェニル構造、i1、i2が1~6、i3が2
、jが2である。
このような構造であることによって、溶解性が向上し、かつ電荷輸送性が向上すること
が期待される。
(IV)B201-L200-B202
201-L200-B202で表される構造は下記式(203)又は下記式(204)で表さ
れる構造であることが好ましい。
Figure 0007275738000044
式(203)中、R211、R212、R213はそれぞれ独立に置換基を表す。
式(204)中、環B3は、置換基を有していてもよい、窒素原子を含む芳香族複素環
構造を表す。環B3は好ましくはピリジン環である。
(好ましい燐光発光材料)
前記式(201)で表される燐光発光材料としては特に限定はされないが、好ましいも
のとして以下のものが挙げられる。
Figure 0007275738000045
Figure 0007275738000046
Figure 0007275738000047
また、下記式(205)で表される燐光発光材料も好ましい。
Figure 0007275738000048
[式(205)中、M2は金属を表し、Tは炭素原子又は窒素原子を表す。R92~R95は、
それぞれ独立に置換基を表す。但し、Tが窒素原子の場合は、R94及びR95は無い。]
式(205)中、M2の具体例としては、周期表第7~11族から選ばれる金属が挙げ
られる。中でも好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミ
ウム、イリジウム、白金又は金が挙げられ、特に好ましくは、白金、パラジウム等の2価
の金属が挙げられる。
また、式(205)において、R92及びR93は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン
原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アル
コキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルア
ミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素
環基を表す。
更に、Tが炭素原子の場合、R94及びR95は、それぞれ独立に、R92及びR93と同様の
例示物で表される置換基を表す。また、Tが窒素原子の場合は該Tに直接結合するR94
はR95は存在しない。また、R92~R95は、更に置換基を有していてもよい。置換基とし
ては、前記の置換基とすることができる。更に、R92~R95のうち任意の2つ以上の基が
互いに連結して環を形成してもよい。
(分子量)
燐光発光材料の分子量は、好ましくは5000以下、更に好ましくは4000以下、特
に好ましくは3000以下である。また、燐光発光材料の分子量は、通常800以上、好
ましくは1000以上、更に好ましくは1200以上である。この分子量範囲であること
によって、燐光発光材料同士が凝集せず電荷輸送材料と均一に混合し、発光効率の高い発
光層を得ることができると考えられる。
燐光発光材料の分子量は、Tgや融点、分解温度等が高く、燐光発光材料及び形成され
た発光層の耐熱性に優れる点、及び、ガス発生、再結晶化及び分子のマイグレーション等
に起因する膜質の低下や材料の熱分解に伴う不純物濃度の上昇等が起こり難い点では大き
いことが好ましい。一方、燐光発光材料の分子量は、有機化合物の精製が容易である点で
は小さいことが好ましい。
<電荷輸送材料>
発光層の電荷輸送材料は、電荷輸送性に優れる骨格を有する材料であり、電子輸送性材
料、正孔輸送性材料及び電子と正孔の両方を輸送可能な両極性材料から選ばれることが好
ましい。
電荷輸送性に優れる骨格としては、具体的には、芳香族構造、芳香族アミン構造、トリ
アリールアミン構造、ジベンゾフラン構造、ナフタレン構造、フェナントレン構造、フタ
ロシアニン構造、ポルフィリン構造、チオフェン構造、ベンジルフェニル構造、フルオレ
ン構造、キナクリドン構造、トリフェニレン構造、カルバゾール構造、ピレン構造、アン
トラセン構造、フェナントロリン構造、キノリン構造、ピリジン構造、ピリミジン構造、
トリアジン構造、オキサジアゾール構造又はイミダゾール構造等が挙げられる。
電子輸送性材料としては、電子輸送性に優れ構造が比較的安定な材料である観点から、
ピリジン構造、ピリミジン構造、トリアジン構造を有する化合物がより好ましく、ピリミ
ジン構造、トリアジン構造を有する化合物であることがさらに好ましい。
正孔輸送性材料は、正孔輸送性に優れた構造を有する化合物であり、前記電荷輸送性に
優れた中心骨格の中でも、カルバゾール構造、ジベンゾフラン構造、トリアリールアミン
構造、ナフタレン構造、フェナントレン構造又はピレン構造が正孔輸送性に優れた構造と
して好ましく、カルバゾール構造、ジベンゾフラン構造又はトリアリールアミン構造がさ
らに好ましい。
発光層に用いる電荷輸送材料は、3環以上の縮合環構造を有することが好ましく、3環
以上の縮合環構造を2以上有する化合物又は5環以上の縮合環を少なくとも1つ有する化
合物であることがさらに好ましい。これらの化合物であることで、分子の剛直性が増し、
熱に応答する分子運動の程度を抑制する効果が得られ易くなる。さらに、3環以上の縮合
環及び5環以上の縮合環は、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を有することが電荷輸送
性及び材料の耐久性の点で好ましい。
3環以上の縮合環構造としては、具体的には、アントラセン構造、フェナントレン構造
、ピレン構造、クリセン構造、ナフタセン構造、トリフェニレン構造、フルオレン構造、
ベンゾフルオレン構造、インデノフルオレン構造、インドロフルオレン構造、カルバゾー
ル構造、インデノカルバゾール構造、インドロカルバゾール構造、ジベンゾフラン構造、
ジベンゾチオフェン構造等が挙げられる。電荷輸送性ならびに溶解性の観点から、フェナ
ントレン構造、フルオレン構造、インデノフルオレン構造、カルバゾール構造、インデノ
カルバゾール構造、インドロカルバゾール構造、ジベンゾフラン構造及びジベンゾチオフ
ェン構造からなる群より選択される少なくとも1つが好ましく、電荷に対する耐久性の観
点からカルバゾール構造又はインドロカルバゾール構造がさらに好ましい。
本発明においては、有機電界発光素子の電荷に対する耐久性の観点から、発光層の電荷
輸送材料の内、少なくとも一つはピリミジン骨格又はトリアジン骨格を有する材料である
ことが好ましい。
発光層の電荷輸送材料は、可撓性に優れる観点では高分子材料であることが好ましい。
可撓性に優れる材料を用いて形成された発光層は、フレキシブル基板上に形成された有機
電界発光素子の発光層として好ましい。発光層に含まれる電荷輸送材料が高分子材料であ
る場合、分子量は、好ましくは5,000以上1,000,000以下、より好ましくは
10,000以上、500,000以下、さらに好ましくは10,000以上100,0
00以下である。
また、発光層の電荷輸送材料は、合成及び精製のしやすさ、電子輸送性能及び正孔輸送
性能の設計のしやすさ、溶媒に溶解した時の粘度調整のしやすさの観点からは、低分子で
あることが好ましい。発光層に含まれる電荷輸送材料が低分子材料である場合、分子量は
、5,000以下が好ましく、さらに好ましくは4,000以下であり、特に好ましくは
3,000以下であり、最も好ましくは2,000以下であり、通常300以上、好まし
くは350以上、より好ましくは400以上である。
<青蛍光発光材料>
青蛍光発光材料としては特に限定されないが、下記式(211)で表される化合物が好
ましい。
Figure 0007275738000049
上記式(211)において、Ar241は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素縮合
環構造を表し、Ar242、Ar243は各々独立に置換基を有していてもよいアルキル基、芳
香族炭化水素基又はこれらが結合した基を表す。n41は1~4の整数である。
Ar241は好ましくは炭素数10~30の芳香族炭化水素縮合環構造を表し、具体的な
環構造としては、ナフタレン、アセナフテン、フルオレン、アントラセン、フェナトレン
、フルオランテン、ピレン、テトラセン、クリセン、ペリレン等が挙げられる。
Ar241はより好ましくは炭素数12~20の芳香族炭化水素縮合環構造であり、具体
的な環構造としては、アセナフテン、フルオレン、アントラセン、フェナトレン、フルオ
ランテン、ピレン、テトラセン、クリセン、ペリレンが挙げられる。
Ar241はさらに好ましくは炭素数16~18の芳香族炭化水素縮合環構造であり、具
体的な環構造としては、フルオランテン、ピレン、クリセンが挙げられる。
n41は1~4であり、好ましくは1~3、さらに好ましくは1~2、最も好ましくは
2である。
Ar242、Ar243のアルキル基としては、炭素数1~12のアルキル基が好ましく、よ
り好ましくは炭素数1~6のアルキル基である。
Ar242、Ar243の芳香族炭化水素基としては、炭素数6~30の芳香族炭化水素基が
好ましく、より好ましくは炭素数6~24の芳香族炭化水素基であり、最も好ましくはフ
ェニル基、ナフチル基である。
Ar241、Ar242、Ar243が有していてもよい置換基は、前記置換基群Sから選ばれ
る基が好ましく、より好ましくは置換基群Sに含まれる、炭化水素基であり、さらに好ま
しくは置換基群Sとして好ましい基の中の炭化水素基である。
上記青蛍光発光材料と共に用いる電荷輸送材料としては特に限定されないが、下記式(
212)で表されるものが好ましい。
Figure 0007275738000050
上記式(212)において、R251、R252はそれぞれ独立に式(213)で表される構
造であり、R253は置換基を表し、R253が複数ある場合、同一であっても異なっていても
よく、n43は0~8の整数である。
Figure 0007275738000051
上記式(213)において、*は式(212)のアントラセン環との結合手を表し、
Ar254、Ar255はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素構造、又
は置換基を有していてもよい複素芳香環構造を表し、
Ar254、Ar255はそれぞれ複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよく、
n44は1~5の整数、
n45は0~5の整数である。
Ar254は好ましくは、置換基を有していてもよい、炭素数6~30の単環又は縮合環
である芳香族炭化水素構造であり、より好ましくは、置換基を有していてもよい、炭素数
6~12の単環又は縮合環である芳香族炭化水素構造である。
Ar255は好ましくは、置換基を有していてもよい、炭素数6~30の単環もしくは縮
合環である芳香族炭化水素構造、又は置換基を有していてもよい炭素数6~30の縮合環
である芳香族複素環構造である。より好ましくは、置換基を有していてもよい、炭素数6
~12の単環もしくは縮合環である芳香族炭化水素構造、又は置換基を有していてもよい
炭素数12の縮合環である芳香族複素環構造である。
n44は好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは1又は2であり、
n45は好ましくは0~3の整数であり、より好ましくは0~2である。
置換基であるR253、Ar254及びAr255が有していてもよい置換基は、前記置換基群
Sから選ばれる基が好ましい。より好ましくは置換基群Sに含まれる炭化水素基であり、
さらに好ましくは置換基群Sとして好ましい基の中の炭化水素基である。
青蛍光発光材料及び電荷輸送材料の分子量は5,000以下が好ましく、さらに好まし
くは4,000以下であり、特に好ましくは3,000以下であり、最も好ましくは2,
000以下である。また、好ましくは300以上であり、より好ましくは350以上、さ
らに好ましくは400以上である。
[有機電界発光素子]
本発明の組成物を用いた膜及び本発明の組成物を用いて形成された膜は、電荷輸送膜と
して好適に用いることができる。この電荷輸送膜は、特に好ましくは、有機電界発光素子
の電荷輸送膜として用いられる。
本発明の有機電界発光素子について、Fig.1a~Fig.1cを参照しながら説明
する。なお、Fig.1a~Fig.1cは何れも、本発明の一実施形態に係る有機電界
発光素子の構成の例を模式的に示す断面図である。
Fig.1aに示された有機電界発光素子100aは、基板101と、基板101上に
順次積層された陽極102と、正孔注入層103と、発光層105と、陰極107とを有
する。
(基板)
基板101は、有機電界発光素子100aの支持体である。基板101を形成する材料
としては、石英板、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム及びプラスチック
シート等が挙げられる。これらの中でも、ガラス板、ポリエステル、ポリメタクリレート
、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明なプラスチックシートが好ましい。なお、基
板101にプラスチックを用いる場合には、基板101の片面又は両面に緻密なシリコン
酸化膜等を設けてガスバリア性を高めることが好ましい。
(陽極)
陽極102は、基板101上に設けられ、正孔注入層103への正孔注入の役割を果た
すものである。陽極102の材料としては、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウ
ム、白金等の金属;インジウム及び/又はスズの酸化物等の導電性の金属酸化物;ヨウ化
銅等のハロゲン化金属;カーボンブラック;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリピロー
ル、ポリアニリン等の導電性高分子等が挙げられる。陽極102の形成方法としては、通
常、基板101上へのスパッタリング、真空蒸着等;銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微
粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子又は導電性高分子微粉末等を適当な
バインダー樹脂溶液中に分散させて基板101上に塗布する方法;電解重合により基板1
01上に直接導電性重合薄膜を形成する方法;基板101上に導電性高分子溶液を塗布す
る方法等が挙げられる。陽極102は、可視光の透過率が通常60%以上、特に80%以
上であることが好ましい。陽極102の厚さは、通常1000nm以下、好ましくは50
0nm以下であり、通常5nm以上、好ましくは10nm以上である。
(正孔注入層)
正孔注入層103は、陽極102の上に設けられ、陽極102と発光層105との間に
設けられる。正孔注入層103は、陽極102の上に直接接して設けてもよいし、陽極1
02と正孔注入層103の間に正孔を輸送する別の層を設けてもよい。好ましくは、正孔
注入層103は陽極102の上に直接接して設けられるが、正孔注入層103と発光層1
05との間に別の層である後述の正孔輸送層104が設けられる。
正孔注入層103は、電子受容性化合物と、正孔輸送性化合物とを含む層であることが
好ましい。電子受容性化合物と、正孔輸送性化合物は、通常よく用いられる各化合物を適
用することができる。電子受容性化合物とは、ある化合物から電子を引き抜いてその化合
物を酸化し、自身は還元される化合物のことを言う。電子受容性化合物としてはイオン化
合物が好ましい。以降では、イオン化合物である電子受容性化合物を、「電子受容性イオ
ン化合物」と表す。電子受容性イオン化合物としては、国際公開第2005/08902
4号、国際公開2017-164268号に記載の化合物が挙げられる。
正孔注入層103の形成方法は特に制限されず、真空蒸着法、湿式成膜法等が挙げられ
る。
湿式成膜法による層形成の場合は、本発明の組成物を調製し、スピンコート法やディッ
プコート法等の湿式成膜法により陽極102上に塗布し、乾燥して、正孔注入層103を
形成させる。
特に好ましくは、本発明の電子受容性化合物Aと本発明の電荷輸送性化合物Aとを含む
組成物を用いること、及び本発明の電子受容性化合物Aと本発明の電荷輸送性化合物Aと
を含む組成物を用いて形成された膜を用いることである。
このようにして形成される正孔注入層103の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは1
0nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
(発光層)
正孔注入層103上には、Fig.1aに示すように直接発光層105を形成してもよ
い。
発光層105は、正孔注入層103上に設けられ、電界を与えられた電極間において陰
極107から注入された電子と正孔注入層103から輸送された正孔を効率よく再結合し
、かつ、再結合により効率よく発光する材料から形成される。発光層105を形成する材
料としては、従来公知の材料を適宜用いればよいが、8-ヒドロキシキノリンのアルミニ
ウム錯体等の金属錯体、10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、ビススチリ
ルベンゼン誘導体、ビススチリルアリーレン誘導体、(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾ
チアゾールの金属錯体、シロール誘導体等の低分子発光材料;ポリ(p-フェニレンビニ
レン)、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレン
ビニレン]、ポリ(3-アルキルチオフェン)、ポリビニルカルバゾール等の高分子化合
物に発光材料と電子移動材料を混合した系等が挙げられる。
また、例えば、8-ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体等の金属錯体をホスト材料
として、ルブレン等のナフタセン誘導体、キナクリドン誘導体、ペリレン等の縮合多環芳
香族環等を、ホスト材料に対して通常0.1質量%以上、10質量%以下の範囲の量とな
るようにドープすることにより、有機電界発光素子の発光特性、特に駆動安定性を大きく
向上させることができる。
なお、発光層105の形成に好適な材料については前述のとおりである。
発光層形成材料は、正孔注入層103上に、真空蒸着法又は湿式成膜法により正孔注入
層103上に塗布して薄膜形成される。このようにして形成される発光層105の膜厚は
、通常10nm以上、好ましくは30nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは
100nm以下である。
(陰極)
陰極107は、発光層105に電子を注入する役割を果たす。陰極107として用いら
れる材料は、仕事関数の低い金属が好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム
、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が用いられる。具体例
としては、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、アルミニウム-リチ
ウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。陰極107の膜厚は通常、陽極102と
同様の範囲である。低仕事関数金属から成る陰極107を保護する目的で、この上に更に
、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは素子の安定性を増す上で有
効である。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の
金属が使われる。更に、陰極107と発光層105との界面にLiF、MgF2、Li2
等の極薄絶縁膜(膜厚0.1~5nm)を挿入し、陰極とすることにより、有機電界発光
素子の効率を向上させることができる。
(正孔輸送層)
Fig.1bに示された有機電界発光素子100bは、有機電界発光素子の発光特性を
向上させるために、正孔注入層103と発光層105との間に正孔輸送層104、電子輸
送層106が設けられ、その他の層は、Fig.1aに示した有機電界発光素子100a
と同様な構成を有する。
正孔輸送層104の材料としては、正孔注入層103からの正孔注入効率が高く、かつ
、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが必要である。そのた
めには、適度なイオン化ポテンシャルを有し、しかも正孔移動度が大きく、更に安定性に
優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。また、
発光層105と直接接する層であるために、発光を消光する物質が含まれていないことが
望ましい。
正孔輸送層104を形成するために用いられる材料としては特に制限は無く、正孔輸送
性を有する化合物を用いることができる。また本発明の電荷輸送性化合物A、及び本発明
の組成物を用いてもよい。
正孔輸送層104は、これらを湿式成膜法により正孔注入層103上に積層することに
より形成される。このようにして形成される正孔輸送層104の膜厚は、通常10nm以
上、好ましくは30nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の
範囲である。
(電子輸送層)
電子輸送層106に用いられる化合物には、陰極107からの電子注入が容易で、電子
の輸送能力が更に大きいことが要求される。このような電子輸送性材料としては、例えば
、8-ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体、オキサジアゾール誘導体又はそれらをポ
リメタクリル酸メチル(PMMA)等の樹脂に分散した系、フェナントロリン誘導体、2
-t-ブチル-9,10-N,N’-ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶
質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛等が挙げられる。電子輸送層106の
膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、通常200nm以下、好ましくは1
00nm以下である。
(正孔阻止層)
Fig.1cに示された有機電界発光素子100cは、発光層105と電子輸送層10
6との間に正孔阻止層108が設けられ、その他の層は、Fig.1bに示した有機電界
発光素子100bと同様の構成を有する。
正孔阻止層108は、発光層105と電子輸送層106との間に設けられる。正孔阻止
層108は、陽極102から移動してくる正孔が陰極107に到達するのを阻止する役割
と、陰極107から注入された電子を効率よく発光層105に輸送する役割とを有する。
正孔阻止層108を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動
度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重
項準位(T1)が高いことが挙げられる。このような条件を満たす正孔阻止層108の材
料としては、例えば、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(フェノラト)アルミニウ
ム、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等
の混合配位子錯体、ビス(2-メチル-8-キノラト)アルミニウム-μ-オキソ-ビス
-(2-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリ
ルビフェニル誘導体等のスチリル化合物、3-(4-ビフェニルイル)-4-フェニル-
5(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール等のトリアゾール誘導
体、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体などが挙げられる。更に、2,4,6位
が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層108の材料とし
て好ましい。正孔阻止層108の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であ
るが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上であり、また、通常100nm以
下、好ましくは50nm以下である。
なお、Fig.1a~Fig.1cに示した有機電界発光素子100a~100cは、
図示のものに限定されるものではない。例えば、Fig.1a~Fig.1cに示したも
のとは逆の構造、即ち、基板101上に陰極107、発光層105、正孔注入層103、
陽極102の順に積層することも可能である。また、本発明の趣旨に反しない限りにおい
て、Fig.1a~Fig.1cに示した各層の間に更に別の任意の層を設けたり、任意
の二以上の層を一体に設けたりすることも可能である。更に、少なくとも一方が透明性の
高い2枚の基板の間に有機電界発光素子を設けることも可能である。
〔有機電界発光デバイス〕
本発明の有機電界発光デバイスは、互いに異なる色に発光する有機電界発光素子を2つ
以上有する有機電界発光デバイスであって、そのうちの少なくとも1つが本発明の有機電
界発光素子であることを特徴とするものである。また、この有機電界発光デバイスにおい
て、すべての有機電界発光素子が本発明の有機電界発光素子であることが好ましい。その
理由は有機電界発光デバイスの駆動電圧が下がり、省電力化になることによる。本発明の
有機電界発光デバイスとしては、有機EL表示装置及び有機EL照明などが挙げられる。
〔有機EL表示装置〕
本発明の有機EL表示装置は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いた表示装置であ
る。本発明の有機EL表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電
界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士
、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機EL表示装置
を形成することができる。
〔有機EL照明〕
本発明の有機EL照明は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いた照明である。本発
明の有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を
用いて常法に従って組み立てることができる。
<実施例>
[実施例1]
本発明の電子受容性化合物Aおよび電荷輸送性化合物Aおよび溶媒からなる組成物を用
いて、膜を以下の方法で作製した。
ガラス基板を、界面活性剤水溶液による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による
超音波洗浄、超純水による水洗の順で洗浄後、圧縮空気で乾燥させ、最後に紫外線オゾン
洗浄を行った。
電荷輸送性化合物Aとして、下記式(P1)の繰り返し構造を有する正孔輸送性高分子
化合物100重量部と、電子受容性化合物A(HI―1)10重量部を秤量し、安息香酸
エチルに溶解させ3.0wt%の組成物を調整した。
Figure 0007275738000052
この溶液を、大気中で上記基板上にスピンコートし、大気中ホットプレート230℃、
60分で乾燥させ、膜厚40nmの均一な薄膜を形成し、正孔注入層とした。
次に、下記の構造式(HT-1)を有する電荷輸送性高分子化合物100質量部を、シ
クロヘキシルベンゼンに溶解させ、3.0wt%の溶液を調製した。
Figure 0007275738000053
この溶液を、上記正孔注入層を塗布成膜した基板上に窒素グローブボックス中でスピン
コートし、窒素グローブボックス中のホットプレートで230℃、30分間乾燥させ、膜
厚20nmの均一な薄膜を形成し、正孔輸送層とした。
引続き発光層として、下記の構造式(H-1)を100質量部、および下記構造式(D
-1)を10重量部秤量し、シクロヘキシルベンゼンに溶解させ3.3wt%の溶液を調
製した。
この溶液を、上記正孔輸送層を塗布成膜した基板上に窒素グローブボックス中でスピン
コートし、窒素グローブボックス中のホットプレートで130℃、20分間乾燥させ、膜
厚30nmの均一な薄膜を形成した。
Figure 0007275738000054
[比較例1]
電子受容性化合物Aを、HI-1からHI-2に変更したこと以外は、実施例1と同様
にして積層膜を形成した。
Figure 0007275738000055
[積層膜の評価]
以下の測定機器を用いてToF-SIMS測定による深さ方向分析を行い、膜中のフッ
素原子のシグナル強度を測定することで、発光層膜中へ拡散した電子受容性化合物Aの拡
散度合いを測定することが可能となる。表1に、実施例1と比較例1の発光層における相
対F強度を示す。なお、相対F強度は、比較例1の発光層におけるフッ素原子強度を1とし
た時の相対的なフッ素原子強度である。
ToF-SIMS(time-of-flight secondary mass
spectrometry, 飛行時間型二次イオン質量分析)による深さ方向分析は以
下の条件で実施した。
装置:ION-TOF社製 TOF-SIMS IV、IONOPTIKA社製 GC
IB-10S
一次イオン:Bi 2+、加速電圧25kV、照射電流約0.1pA、走査範囲200
μm角
二次イオン:負イオン収集
スパッタリングイオン:Ar3000 、加速電圧10kV、走査範囲3mm角
Flood Gun使用
Figure 0007275738000056
本特許の組成を用いた塗布膜においては、正孔注入層から発光層膜中への電子受容性化
合物Aの拡散が抑制されており、高効率で長寿命な素子を作成することが可能となる。
100a,100b,100c 有機電界発光素子
101 基板
102 陽極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 電子輸送層
107 陰極
108 正孔阻止層

Claims (15)

  1. 下記式(101)で表される電子受容性化合物Aと、
    下記式(5)、式(6)又は式(7)で表される構造単位を有する電荷輸送性化合物A
    とを含む、組成物。
    Figure 0007275738000057
    [式(101)中、
    はホウ素イオンであり、
    Ar 100 は各々独立に置換基を有していてもよい芳香環基またはフッ素置換されたアル
    キルであって、Ar 100 の少なくとも一つは下記式(1)で表される構造を有し、
    はフッ素原子が4個置換していることを表し、
    (5-g) はフッ素原子が5-g個置換していることを表し、
    pは各々独立に0~5の整数を表し、
    gは各々独立に1~5の整数を表し、
    + は対カチオンを表す。]
    Figure 0007275738000058
    [式(1)中、
    *は結合部位を表し、
    は、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基を表す。
    11は、置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。
    12は、置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、または置換もしく
    は無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基を表す。
    11の置換基とR12は結合して環を形成していてもよい。
    kは1以上10以下の整数であり、kが2以上の場合のYは同一でも異なっていてもよ
    い。
    mは1又は2であり、mが2の場合のR12は同一でも異なっていてもよい。
    nは0又は1である。]
    Figure 0007275738000059
    [式(5)中、
    *は結合部位を表し、
    、E及びEはそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1以上2
    0以下のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基、フ
    ッ素原子又は置換されたカルボニル基を表す。
    ただし、E及びEは同時に水素原子ではない。]
    Figure 0007275738000060
    [式(6)中、
    *は結合部位を表し、
    31は置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置換
    の炭素数1以上20以下のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60
    以下の芳香環基、置換もしくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキルオキシ基、フッ
    素原子又は置換されたカルボニル基を表し、
    jは0以上5以下の整数を表し、jが2以上の場合のR31は同一でも異なっていてもよ
    い。]
    Figure 0007275738000061
    [式(7)中、
    *は結合部位を表し、
    41は置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換もしくは無置換
    の炭素数1以上20以下のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3以上60
    以下の芳香環基、フッ素原子又は置換されたカルボニル基を表し、
    yは0以上5以下の整数を表し、yが2以上の場合のR41は同一でも異なっていてもよ
    い。]
  2. 前記電荷輸送性化合物Aが、下記式(8)で表される構造単位を含む高分子化合物であ
    る、請求項1に記載の組成物。
    Figure 0007275738000062
    [式(8)中、
    Qは高分子化合物の主鎖を構成する任意の構造であり、
    は任意の連結基または直接結合であり、
    Xは前記式(5)~式(7)のいずれかで表される架橋基を表す。]
  3. 前記式(8)のが、アミンを形成する窒素原子を含む構造、置換基を有していてもよ
    い芳香族炭化水素又は置換基を有していてもよい芳香族複素環である、請求項に記載の
    組成物。
  4. 前記式(8)で表される構造単位が、下記式(11)で表される構造単位である、請求
    に記載の組成物。
    Figure 0007275738000063
    [式(11)中、
    及びXは前記式(8)におけるL及びXと同じであり、
    Ar10は、置換又は無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基を表し、
    n1は1以上5以下である。]
  5. 前記電荷輸送性化合物Aが、さらに下記式(9)で表される構造単位を含む、請求項1
    のいずれか1項に記載の組成物。
    Figure 0007275738000064
    [式(9)中、
    Ar21及びAr22は、各々独立に、置換又は無置換の環形成原子数3以上60以下の
    芳香環基を表す。
    21は置換もしくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキレン基、又は置換もしくは
    無置換の環形成原子数3以上60以下の芳香環基を表す。
    aは、1以上5以下の整数であり、R21が2以上の場合のAr21は同一でも異なって
    いてもよい。
    bは、0以上5以下の整数であり、bが2以上の場合のR21は同一でも異なっていても
    よい。]
  6. さらに溶媒を含有する、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載の組成物を含む、電荷輸送膜。
  8. 請求項1~のいずれか1項に記載の組成物を用いて形成された、電荷輸送膜。
  9. 請求項に記載の組成物を湿式成膜するものである、電荷輸送膜の形成方法。
  10. 請求項又はに記載の電荷輸送膜が、有機電界発光素子の正孔注入層又は正孔輸送層
    である、電荷輸送膜。
  11. 請求項に記載の電荷輸送膜の形成工程を含む、有機電界発光素子の製造方法。
  12. 基板上に請求項に記載の組成物を湿式成膜して形成された電荷輸送膜を含む、有機電
    界発光素子。
  13. 請求項12に記載の有機電界発光素子を含む、有機ELデバイス。
  14. 請求項12に記載の有機電界発光素子を含む、有機EL表示装置。
  15. 請求項12に記載の有機電界発光素子を含む、有機EL照明。
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