JP7275718B2 - 異常交通流検出装置、異常交通流検出方法、及び異常交通流検出プログラム - Google Patents
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この点、特許文献1に開示されている技術も、車両検知器を道路区間ごとに設置したものである。このため、特許文献1に開示されている技術も、道路において渋滞が発生した際に、その渋滞がどの道路区間で発生したか特定可能である。しかしながら、その渋滞が自然渋滞か事故等による異常渋滞(異常交通流)なのかまでは、判定することができない。
(構成の説明)
図1は、本発明の実施形態である異常交通流検出システムの構成図である。
異常交通流検出システムSは、道路上に設置された複数のプローブデータ収集器1と、管制センタ内の異常交通流検出装置100とを備え、ネットワークを介して通信可能に接続されている。道路は、片側複数車線の高速道路を想定し、道路上には、電子料金収受システムETC(Electronic Toll Collection System)2.0に対応した車載器を搭載した車両Vが走行するものとする。ETC2.0用車載器は、例えば、時刻、GPS(global positioning system)測位位置(緯度・経度)、時刻及び測位位置から演算した車速とを含む走行履歴データ等を逐次格納し、プローブデータ収集器1に一括送信するように構成されている。プローブデータ収集器1は、車載器から走行履歴データ等をプローブデータとして収集するものである。なお、プローブデータ収集器1は、例えば、8km毎に設置されている。
プローブデータは、行方向に「日時」、「路線コード」、「方向」、「平均速度」、基点からの「距離」の項目が列挙されたものである。例えば、プローブデータ200は、日時「2018/4/29 15:29」、路線コード「1234」、方向「1」(上り又は下りを示す。)において、起点からの距離「53.4」kmの地点に平均速度「74」kmで走行している車両と、起点からの距離「53.5」kmの地点に平均速度「84」kmで走行している車両と、起点からの距離「53.6」kmの地点に平均速度「70」kmで走行している車両とが列方向に記録されている。
図3の速度分布は、自然渋滞が起点から距離482km付近で時刻10時30分~13時に発生しており、事故が距離477km付近で時刻9時30分に発生し、その交通異常渋滞が距離477km付近で時刻9時30分~10時20分に発生していることを示している。なお、この事故は、距離477km付近で時刻7時40分~9時30分まで発生した自然渋滞が原因であると考えられる。なお、イベントデータには、時刻9時18分~10時3分まで距離477km~477.80kmにかけて車線規制(追越車線)が記録されている。
イベントデータは、行方向に、「日時」、「路線コード」、「方向」、「事象コード」、「始点キロポスト」、「終点キロポスト」の項目を列挙するものである。イベントデータ210は、例えば、路線コード「1234」、方向「1」、始点キロポスト「53.0」km、終点キロポスト「52.6」kmの地点において、日時「2018/4/29 14:48」、「2018/4/29 14:50」、「2018/4/29 14:51」に、事象コード「100」の事象が発生したことが、行方向に記録されたものである。なお、始点キロポスト「53.0」km、終点キロポスト「52.6」kmは、路線の起点から「53.0」km、路線の起点から「52.6」kmの地点を意味する。
まず、速度回復距離算出部3は、プローブデータをプローブデータ記憶部21から取得する(S1)。
S1の後、速度回復距離算出部3は、取得したプローブデータについて、起点からの各々の距離及び各時刻について、予め設定した範囲の速度推移(例えば、上流500m、下流500m)のデータを抽出する(S2)。
速度回復距離テーブルは、行方向に、「日時」、「路線コード」、「方向」、起点からの「距離」、「速度回復距離」の項目が列挙されたものである。
速度回復距離リスト220は、例えば、路線コード「1234」、方向「1」(上り又は下りを示す。)、起点からの距離「62.3」kmの地点において、日時「2018/4/29 17:29」の速度回復距離「0.425」km、日時「2018/4/29 17:30」の速度回復距離「0.496」km、日時「2018/4/29 17:31」の速度回復距離「0.404」kmが列方向に格納されている。なお、速度回復距離テーブル220は、速度回復距離記憶部4(図1)に格納されている。
まず、パラメータ学習部5(図1)は、プローブデータ記憶部21から、予め設定した学習期間(例えば、前日1日)、かつ、対象の路線のプローブデータをプローブデータ記憶部21から取得し、イベントデータをイベントデータ記憶部22から取得し、速度回復距離を速度回復距離記憶部4から取得する(S11)。
p(D)=1/(Γ(a)ba)×Da-1×exp(-D/b)
p(D):確率
D:速度回復距離
Γ(a):ガンマ関数
a,b:分布パラメータ
なお、分布パラメータaは、分布形状を規定し、分布パラメータbは、スケールを規定する。
分布形状は、左右対称な正規分布(不図示)に比較して、確率pの最大値pMAXを示す速度回復距離から左側の方が右側よりも狭くなっている。このような左右非対称な分布は、前記したガンマ分布に限らず、下記の式で表現される対数正規分布やワイブル分布でも構わない。
p(D)=1/((√2π)bD)×exp(-((ln(D)-a)2)/(2b2))
p(D)=a/b×(D/b)a-1×exp(-(D/b)a)
また、図10には、速度回復距離Dの発生確率pの閾値として、正規分布の3σに相当する確率p=0.135%を破線の直線で示している。
分布パラメータテーブル230は、行方向に項目「路線コード」、分布パラメータ「a」、分布パラメータ「b」が列挙されたテーブルである。分布パラメータテーブル230は、例えば、路線コード「1234」の分布パラメータがa=「4.022」,b=「0.974」であることを示している。なお、分布パラメータテーブル230は、分布パラメータ記憶部52に記憶されている。
このルーチンは、事故発生を認識したときに実行される。なお、プローブデータは、予め設定した周期(例えば、1分周期)で取得されている。
以上説明したように、本実施形態の異常交通流検出システムS(図1)のプローブデータ収集器1は、各車両Vに搭載した車載器(例えば、ETC2.0用車載器)から、その車両Vの走行履歴データ(時刻、GPSの測位位置、車速)を収集し、異常交通流検出装置100のプローブデータ記憶部21に格納している。
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような種々の変形が可能である。
2 走行履歴情報取得部
3 速度回復距離算出部
4 速度回復距離記憶部
5 パラメータ学習部
6 閾値演算部
7 判定部
71 異常交通流判定部
72 突発事象発生位置特定部
100 異常交通流検出装置
200 プローブデータ(走行履歴情報)
Claims (11)
- 道路を走行する車両から走行履歴情報を取得する走行履歴情報取得部と、
前記走行履歴情報に基づいて、前記車両の速度が所定の渋滞流速度以下となる地点を検出し、当該車両の速度が当該渋滞流速度よりも速い所定の自由流速度に回復するまでの速度回復距離を求める速度回復距離算出部と、
前記速度回復距離が所定の閾値以下である場合、異常交通流と判定する判定部と
を有することを特徴とする異常交通流検出装置。 - 道路を走行する車両から走行履歴情報を取得する走行履歴情報取得部と、
前記走行履歴情報に基づいて、前記車両の速度が所定の渋滞流速度以下となる地点を検出し、当該車両の速度が当該渋滞流速度よりも速い所定の自由流速度に回復するまでの速度回復距離を求める速度回復距離算出部と、
渋滞の先頭位置での前記速度回復距離が自然渋滞の前記速度回復距離よりも短い場合、異常交通流と判定する判定部と
を有することを特徴とする異常交通流検出装置。 - 道路を走行する車両から走行履歴情報を取得する走行履歴情報取得部と、
渋滞流速度と自由流速度との中間速度を混雑流速度と定義したとき、前記走行履歴情報に基づいて、前記車両の速度が前記渋滞流速度と前記混雑流速度の境界速度以下となる地点を検出し、当該車両の速度が前記混雑流速度と前記自由流速度との境界速度に回復するまでの速度回復距離を求める速度回復距離算出部と、
前記速度回復距離が所定の閾値以下である場合、異常交通流と判定する判定部と
を有することを特徴とする異常交通流検出装置。 - 請求項1に記載の異常交通流検出装置であって、
前記速度回復距離算出部が検出する車両の速度は、所定時間での平均値である
ことを特徴とする異常交通流検出装置。 - 請求項1に記載の異常交通流検出装置であって、
前記走行履歴情報から前記速度回復距離の発生確率を示す確率分布の分布パラメータを道路の路線毎に学習するパラメータ学習部と、
学習した分布パラメータと予め設定された設定確率とを用いて、速度回復距離を逆演算することにより、前記所定の閾値を求める閾値演算部と
をさらに備えることを特徴とする異常交通流検出装置。 - 請求項5に記載の異常交通流検出装置であって、
前記確率分布は、下記の式で表現されるガンマ分布である
ことを特徴とする異常交通流検出装置。
p(D)=1/(Γ(a)ba)×Da-1×exp(-D/b)
p(D):確率
D:速度回復距離
Γ(a):ガンマ関数
a,b:分布パラメータ - 請求項5に記載の異常交通流検出装置であって、
前記設定確率は、0.1%~0.2%である
ことを特徴とする異常交通流検出装置。 - 請求項6又は請求項7に記載の異常交通流検出装置であって、
前記パラメータ学習部で学習する速度回復距離は、突発事象による前記走行履歴情報が除かれていることを特徴とする異常交通流検出装置。 - 請求項6又は請求項7に記載の異常交通流検出装置であって、
前記判定部は判定対象の車両の位置を渋滞の先頭位置とすることを特徴とする異常交通流検出装置。 - 制御部が実行する異常交通流検出方法であって、
道路を走行する車両から走行履歴情報を取得する走行履歴情報ステップと、
前記走行履歴情報に基づいて、前記車両の速度が所定の渋滞流速度以下となる地点を検出し、当該車両の速度が当該渋滞流速度よりも速い所定の混雑流速度に回復するまでの速度回復距離を求める速度回復距離ステップと、
前記速度回復距離が所定の閾値以下である場合、異常交通流と判定する判定ステップと
を実行することを特徴とする異常交通流検出方法。 - 道路を走行する車両から走行履歴情報を取得する走行履歴情報取得部と、
前記走行履歴情報に基づいて、前記車両の速度が所定の渋滞流速度以下となる地点を検出し、当該車両の速度が当該渋滞流速度よりも速い所定の自由流速度に回復するまでの速度回復距離を求める速度回復距離算出部と、
前記速度回復距離が所定の閾値以下である場合、異常交通流と判定する判定部と
の機能を制御部に実現させることを特徴とする異常交通流検出プログラム。
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