JP6584866B2 - 交通情報提供装置、コンピュータプログラム及び交通情報提供方法 - Google Patents

交通情報提供装置、コンピュータプログラム及び交通情報提供方法 Download PDF

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Description

本発明は、道路の所定区間での交通情報を提供する交通情報提供装置、該交通情報提供装置を実現するためのコンピュータプログラム及び交通情報提供方法に関する。
従来、高速道路等においては、インターチェンジ間(IC間)の旅行時間又は渋滞情報などの交通情報を提供している。例えば、道路に設置された車両検知器で得られた感知データを用いて車両の平均速度を算出して交通情報を提供している。渋滞の発生頻度が比較的高い大都市圏の重交通量路線では、例えば、500m間隔(都市内高速道路)から2km間隔(都市間高速道路)で車両感知器が設置されている。このような大都市圏の重交通量路線では、インターチェンジ間の空間的な平均速度を精度よく求めることができ、正確な旅行時間又は渋滞情報などの交通情報が、情報板、ハイウェイラジオ、VICS(登録商標)など様々情報提供媒体を介して運転者へ提供されている。
一方、渋滞の発生頻度が比較的低い大都市圏以外の高速道路では、車両感知器の設置数は少ない。例えば、15km程度のインターチェンジ区間に1箇所しか設置されていない。このため、このような高速道路で渋滞が発生した場合には、正確な旅行時間又は渋滞情報を提供することが困難であった。
このような問題を解決するため、車両感知器を用いる代わりに、車載装置が送信した車両の位置、識別情報及び識別情報の受信時刻などのプローブ情報を利用して、旅行時間を算出する旅行時間算出装置が開示されている(特許文献1参照)。
特許第4283089号公報
しかし、プローブ情報を路側装置で受信する場合、プローブ車両が路側装置まで到達しないとプローブ情報を得ることができない。このため、交通情報を提供する対象区間を通過してからプローブ情報が得られるまでの時間が比較的長い場合には、提供される交通情報が過去の情報となるため、正確な交通情報を提供することができない場合がある。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、時間遅れのない最新の交通情報を提供することができる交通情報提供装置、該交通情報提供装置を実現するためのコンピュータプログラム及び交通情報提供方法を提供することを目的とする。
本発明の実施の形態に係る交通情報提供装置は、道路に設けられた2つの車両感知器で画定される区間での交通情報を提供する交通情報提供装置であって、前記区間を走行した車両のプローブ情報を前記車両が前記区間を通過した通過時点よりも後の時点であって、前記区間より下流側で取得する取得部と、該取得部で取得したプローブ情報に基づいて、前記車両が前記区間の上流地点を通過した時点から前記区間の下流地点から下流側に向かって離隔した所定地点に到達するまでの上流通過時間及び前記下流地点を通過した時点から前記所定地点に到達するまでの下流通過時間を特定する通過時間特定部と、各車両感知器で得られた感知データに基づいて、前記上流通過時間の間の前記上流地点での上流累積交通量及び前記下流通過時間の間の前記下流地点での下流累積交通量を算出する累積交通量算出部と、該累積交通量算出部で算出した上流累積交通量及び下流累積交通量に基づいて前記区間内に存在する車両の区間台数を算出する区間台数算出部とを備える。
本発明の実施の形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、道路に設けられた2つの車両感知器で画定される区間での交通情報を提供させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、前記区間を走行した車両のプローブ情報を前記車両が前記区間を通過した通過時点よりも後の時点であって、前記区間より下流側で取得する取得部と、該取得部で取得したプローブ情報に基づいて、前記車両が前記区間の上流地点を通過した時点から前記区間の下流地点から下流側に向かって離隔した所定地点に到達するまでの上流通過時間及び前記下流地点を通過した時点から前記所定地点に到達するまでの下流通過時間を特定する通過時間特定部と、各車両感知器で得られた感知データに基づいて、前記上流通過時間の間の前記上流地点での上流累積交通量及び前記下流通過時間の間の前記下流地点での下流累積交通量を算出する累積交通量算出部と、該累積交通量算出部で算出した上流累積交通量及び下流累積交通量に基づいて前記区間内に存在する車両の区間台数を算出する区間台数算出部として機能させる。
本発明の実施の形態に係る交通情報提供方法は、道路に設けられた2つの車両感知器で画定される区間での交通情報を提供する交通情報提供方法であって、前記区間を走行した車両のプローブ情報を前記車両が前記区間を通過した通過時点よりも後の時点であって、前記区間より下流側で取得部が取得するステップと、取得されたプローブ情報に基づいて、前記車両が前記区間の上流地点を通過した時点から前記区間の下流地点から下流側に向かって離隔した所定地点に到達するまでの上流通過時間及び前記下流地点を通過した時点から前記所定地点に到達するまでの下流通過時間を通過時間特定部が特定するステップと、各車両感知器で得られた感知データに基づいて、前記上流通過時間の間の前記上流地点での上流累積交通量及び前記下流通過時間の間の前記下流地点での下流累積交通量を累積交通量算出部が算出するステップと、算出された上流累積交通量及び下流累積交通量に基づいて前記区間内に存在する車両の区間台数を区間台数算出部が算出するステップとを含む。
本発明によれば、時間遅れのない最新の交通情報を提供することができる。
本実施の形態の交通情報提供装置が交通情報を提供する対象となる道路の区間の一例を示す模式図である。 本実施の形態の交通情報提供装置の構成の一例を示すブロック図である。 上流地点及び下流地点を走行した車両のプローブデータの一例を示す模式図である。 上流地点及び下流地点の交通量(地点交通量)の一例を示す模式図である。 累積交通量の一例を示す模式図である。 本実施の形態の交通情報提供装置によるプローブ情報を取得した場合の渋滞区間の位置の算出方法の一例を示す模式図である。 渋滞区間の末尾が区間内にある場合の渋滞台数の算出方法の一例を示す模式図である。 渋滞区間の先頭が区間内にある場合の渋滞台数の算出方法の一例を示す模式図である。 渋滞区間の先頭及び末尾が区間内にある場合の渋滞台数の算出方法の一例を示す模式図である。 区間における渋滞パターンの例を示す模式図である。 渋滞パターンの遷移の例を示す説明図である。 本実施の形態の交通情報提供装置の処理手順を示すフローチャートである。
[本願発明の実施形態の説明]
本発明の実施の形態に係る交通情報提供装置は、道路に設けられた2つの車両感知器で画定される区間での交通情報を提供する交通情報提供装置であって、前記区間を走行した車両のプローブ情報を前記区間より下流側で取得する取得部と、該取得部で取得したプローブ情報に基づいて、前記車両が前記区間の上流地点を通過した時点から前記区間より下流側の所定地点に到達するまでの上流通過時間及び前記区間の下流地点を通過した時点から前記所定地点に到達するまでの下流通過時間を特定する通過時間特定部と、各車両感知器で得られた感知データに基づいて、前記上流通過時間の間の前記上流地点での上流累積交通量及び前記下流通過時間の間の前記下流地点での下流累積交通量を算出する累積交通量算出部と、該累積交通量算出部で算出した上流累積交通量及び下流累積交通量に基づいて前記区間内に存在する車両の区間台数を算出する区間台数算出部とを備える。
本発明の実施の形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、道路に設けられた2つの車両感知器で画定される区間での交通情報を提供させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、前記区間を走行した車両のプローブ情報を前記区間より下流側で取得する取得部と、該取得部で取得したプローブ情報に基づいて、前記車両が前記区間の上流地点を通過した時点から前記区間より下流側の所定地点に到達するまでの上流通過時間及び前記区間の下流地点を通過した時点から前記所定地点に到達するまでの下流通過時間を特定する通過時間特定部と、各車両感知器で得られた感知データに基づいて、前記上流通過時間の間の前記上流地点での上流累積交通量及び前記下流通過時間の間の前記下流地点での下流累積交通量を算出する累積交通量算出部と、該累積交通量算出部で算出した上流累積交通量及び下流累積交通量に基づいて前記区間内に存在する車両の区間台数を算出する区間台数算出部として機能させる。
本発明の実施の形態に係る交通情報提供方法は、道路に設けられた2つの車両感知器で画定される区間での交通情報を提供する交通情報提供方法であって、前記区間を走行した車両のプローブ情報を前記区間より下流側で取得部が取得するステップと、取得されたプローブ情報に基づいて、前記車両が前記区間の上流地点を通過した時点から前記区間より下流側の所定地点に到達するまでの上流通過時間及び前記区間の下流地点を通過した時点から前記所定地点に到達するまでの下流通過時間を通過時間特定部が特定するステップと、各車両感知器で得られた感知データに基づいて、前記上流通過時間の間の前記上流地点での上流累積交通量及び前記下流通過時間の間の前記下流地点での下流累積交通量を累積交通量算出部が算出するステップと、算出された上流累積交通量及び下流累積交通量に基づいて前記区間内に存在する車両の区間台数を区間台数算出部が算出するステップとを含む。
取得部は、道路に設けられた2つの車両感知器で画定される区間を走行した車両のプローブ情報を当該区間より下流側で取得する。プローブ情報を取得する地点は、当該区間から比較的長い距離離隔していてもよく、区間を通過する時点とプローブ情報を取得する取得時点とは時間遅れがある。
通過時間特定部は、取得部で取得したプローブ情報に基づいて、車両が区間の上流地点を通過した時点から区間より下流側の所定地点に到達するまでの上流通過時間及び区間の下流地点を通過した時点から所定地点に到達するまでの下流通過時間を特定する。例えば、上流地点をP1、下流地点をP2、車両が上流地点を通過した時点をt1、下流地点を通過した時点をt2、所定地点に到達した時点をtとすると、上流通過時間は(t−t1)、下流通過時間は(t−t2)となる。上流通過時間及び下流通過時間は、相当程度の時間遅れがある時間とすることができる。なお、所定地点に到達した時点tとプローブ情報を取得した取得時点との時間差は、上流通過時間及び下流通過時間に比べて無視することができる程度の時間である。
累積交通量算出部は、各車両感知器で得られた感知データに基づいて、上流通過時間の間の上流地点での上流累積交通量及び下流通過時間の間の下流地点での下流累積交通量を算出する。上流地点P1の地点交通量をQ1(t)で表し、下流地点P2の地点交通量をQ2(t)で表すとする。上流累積交通量は、上流通過時間(t−t1)の間の地点交通量Q1(t)を累積したものであり、下流累積交通量は、下流通過時間(t−t2)の間の地点交通量Q2(t)を累積したものとなる。
区間台数算出部は、累積交通量算出部で算出した上流累積交通量及び下流累積交通量に基づいて区間内に存在する車両の区間台数を算出する。上流累積交通量は、上流通過時間(t−t1)の間の地点交通量Q1(t)を累積したものなので、上流地点P1と所定地点との間に存在する車両の台数となる。また、下流累積交通量は、下流通過時間(t−t2)の間の地点交通量Q2(t)を累積したものなので、下流地点P2と所定地点との間に存在する車両の台数となる。従って、区間台数算出部は、上流累積交通量から下流累積交通量を減算することにより求めることができる。これにより、プローブ情報を取得した時点又は当該時点に近い時点での区間台数を算出することができ、時間遅れのない最新の交通情報を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る交通情報提供装置は、前記区間台数算出部で算出した区間台数に基づいて、前記プローブ情報を取得した取得時点と異なる任意の時点での前記区間内に存在する車両の区間台数を推定する区間台数推定部を備える。
区間台数推定部は、区間台数算出部で算出した区間台数に基づいて、プローブ情報を取得した取得時点と異なる任意の時点での区間内に存在する車両の区間台数を推定する。例えば、区間台数推定部で推定した任意の時点での区間台数を、カルマン状態方程式として、E(t)=E(t−Δt)+u(t)+ξ(t)と表し、区間台数算出部で算出したプローブ情報の取得時点での区間台数を、観測方程式として、y(t)=E(t)+η(t)と表してカルマン方程式を構成することにより、時刻tの状態変数E(t)の最適推定値EE(t)を求めることができる。なお、E(t)は時刻tの区間台数の真値(未知)であり、y(t)はプローブ情報の取得時点での区間台数であり、u(t)は時刻tでの区間への流入出台数の差分であり、ξ(t)は状態方程式の誤差であり、η(t)は観測方程式の誤差である。これにより、プローブ情報を取得することができない時点であっても、精度よく区間台数を推定することができる。
本発明の実施の形態に係る交通情報提供装置は、前記下流地点又は前記上流地点の前記任意の時点での地点交通量を取得する第1交通量取得部と、該第1交通量取得部で取得した地点交通量及び前記区間台数推定部で推定した区間台数に基づいて前記区間の前記任意の時点での旅行時間を推定する旅行時間推定部とを備える。
第1交通量取得部は、下流地点又は上流地点の任意の時点での地点交通量を取得する。例えば、下流地点P2での地点交通量をQ2(t)とし、上流地点P1での地点交通量をQ1(t)とする。
旅行時間推定部は、第1交通量取得部で取得した地点交通量及び区間台数推定部で推定した区間台数に基づいて区間の任意の時点での旅行時間を推定する。区間台数推定部で推定した区間台数E(t)とすると、任意の時点での旅行時間は、区間台数E(t)が区間の下流地点での地点交通量で捌ける時間から推定することができる。これにより、渋滞発生時の交通情報(旅行時間)を精度よく推定することができる。
本発明の実施の形態に係る交通情報提供装置は、前記取得部で取得したプローブ情報に基づいて、前記プローブ情報を取得した取得時点での前記区間内の渋滞区間の位置を算出する渋滞位置算出部と、各車両感知器で得られた感知データに基づいて、前記上流地点及び下流地点での車両の地点速度を算出する地点速度算出部と、前記下流地点又は前記上流地点の前記取得時点での地点交通量を取得する第2交通量取得部と、該第2交通量取得部で取得した地点交通量、前記地点速度算出部で算出した地点速度、前記渋滞位置算出部で算出した渋滞区間の位置、及び前記区間台数算出部で算出した区間台数に基づいて、前記取得時点での前記渋滞区間に存在する車両の渋滞台数を算出する渋滞台数算出部とを備える。
渋滞位置算出部は、取得部で取得したプローブ情報に基づいて、プローブ情報を取得した取得時点での区間内の渋滞区間の位置を算出する。例えば、区間の上流地点P1から下流地点P2に向かってプローブ情報を探索し、車両の時刻と位置とにより速度Vを求めることができる。速度Vが、所定距離LT1を超えて連続で閾値速度VT1を下回った場合、所定距離LT1の位置を渋滞の末尾位置とすることができる。また、さらに区間の下流地点P2に向かって探索し、速度Vが、所定距離LT2を超えて連続で閾値速度VT2を上回った場合、所定距離LT2の位置を渋滞の先頭位置とすることができる。渋滞長は、先頭位置と末尾位置との間の距離とすることができる。
なお、区間と渋滞区間との関係を示す渋滞パターンは、例えば、区間全体が渋滞区間である場合(パターンA)、渋滞区間がない場合(パターンB)、区間に渋滞区間の末尾のみ存在する場合(パターンC)、区間に渋滞区間の先頭のみ存在する場合(パターンD)、区間に渋滞区間の先頭及び末尾が存在する場合(パターンE)に分けることができる。
地点速度算出部は、各車両感知器で得られた感知データに基づいて、上流地点及び下流地点での車両の地点速度を算出する。上流地点P1での車両の速度(地点速度)をV1(t)とし、下流地点P2での車両の速度(地点速度)をV2(t)とする。第2交通量取得部は、下流地点又は上流地点のプローブ情報の取得時点での地点交通量を取得する。
渋滞台数算出部は、第2交通量取得部で取得した地点交通量、地点速度算出部で算出した地点速度、渋滞位置算出部で算出した渋滞区間の位置、及び区間台数算出部で算出した区間台数に基づいて、プローブ情報の取得時点での渋滞区間に存在する車両の渋滞台数を算出する。
前述の渋滞区間のパターンが、パターンAの場合は、渋滞台数Ec(t)は、区間台数E(t)に等しい。パターンBの場合は、渋滞台数Ec(t)は0である。パターンCの場合は、下流地点P2の交通量をQ2(t)及び車両の速度をV2(t)とすると、渋滞台数Ec(t)は、l(t)×Q2(t)/V2(t)と算出することができる。l(t)は渋滞長である。パターンDの場合は、上流地点P1の交通量をQ1(t)及び車両の速度をV1(t)とすると、渋滞台数Ec(t)は、l(t)×Q1(t)/V1(t)と算出することができる。パターンEの場合は、上流地点P1から渋滞末尾までの距離をle(t)、渋滞先頭から下流地点P2までの距離をls(t)とすると、渋滞台数Ec(t)は、E(t)−ls(t)×Q2(t)/V2(t)−le(t)×Q1(t)/V1(t)と推定することができる。これにより、プローブ情報を取得した時点での渋滞区間内の渋滞台数を精度よく算出することができる。
本発明の実施の形態に係る交通情報提供装置は、前記地点速度算出部で算出した地点速度、所定の地点速度閾値、前記渋滞位置算出部で算出した渋滞区間の位置、前記渋滞台数算出部で算出した渋滞台数、及び前記区間台数算出部で算出した区間台数に基づいて、前記取得時点と異なる任意の時点での前記区間内の渋滞区間の位置を推定する渋滞位置推定部を備える。
渋滞位置推定部は、地点速度算出部で算出した地点速度、所定の地点速度閾値、渋滞位置算出部で算出した渋滞区間の位置、渋滞台数算出部で算出した渋滞台数、及び区間台数算出部で算出した区間台数に基づいて、プローブ情報の取得時点と異なる任意の時点での区間内の渋滞区間の位置を推定する。
例えば、上流地点P1の地点速度V1(t)が地点速度閾値VTより小さい場合には、上流地点P1は渋滞区間内にあると考えることができる。一方、上流地点P1の地点速度V1(t)が地点速度閾値VTより大きい場合には、車両がスムーズに走行しており、上流地点P1は渋滞区間内にないと考えることができる。同様に、下流地点P2の地点速度V2(t)が地点速度閾値VTより小さい場合には、下流地点P2は渋滞区間内にあると考えることができる。一方、下流地点P2の地点速度V2(t)が地点速度閾値VTより大きい場合には、車両がスムーズに走行しており、下流地点P2は渋滞区間内にないと考えることができる。
従って、上流地点P1又は下流地点P2の地点速度が地点速度閾値より小さくなったか、あるいは大きくなった場合には、前述の渋滞区間のパターンA〜EがどのパターンA〜Eに変化したかを判定することができる。また、地点速度と地点速度閾値との大小関係に変化がない場合には、渋滞パターンに変化がないと判定することができる。これにより、プローブ情報を取得することができない任意の時点でも、渋滞区間の位置を精度よく推定することができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、本発明に係る交通情報提供装置、該交通情報提供装置を実現するためのコンピュータプログラム及び交通情報提供方法の実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態の交通情報提供装置が交通情報を提供する対象となる道路の区間の一例を示す模式図である。道路は、例えば、高速道路、有料道路などである。図1に示すように、道路の区間の地点P1(上流地点ともいう)及び地点P2(下流地点ともいう)には車両感知器1が設置されている。また、下流地点P2より下流側には、地点P3、地点P4、地点P5が存在する。地点P5又は地点P5の近傍には、路側装置2が設置されている。路側装置2は、道路を走行する車両(プローブ車両)が路側装置2を通過するタイミングでプローブ情報を受信することができる。なお、本実施の形態では、車両が下流地点P2を通過してから地点P5を通過するまでの時間に比べて、車両が地点P5を通過する時点と路側装置2がプローブ情報を受信する時点との時間差は無視することができる程度の時間とすることができる。
図2は本実施の形態の交通情報提供装置100の構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態の交通情報提供装置100は、装置全体を制御する制御部10、通信部11、通過時点特定部12、地点交通量取得部13、累積交通量算出部14、区間台数算出部15、区間台数推定部16、旅行時間推定部17、渋滞位置算出部18、地点速度算出部19、渋滞台数算出部20、渋滞位置推定部21、所定の情報及び演算結果などを記憶する記憶部22などを備える。
通信部11は、取得部としての機能を有し、路側装置2との間の通信機能を有する。通信部11は、車両(プローブ車両)が路側装置2へ送信したプローブ情報を、路側装置2から取得する。すなわち、通信部11は、道路に設けられた2つの車両感知器1で画定される区間を走行した車両のプローブ情報を当該区間より下流側(図1の例では、地点P5の近傍)で取得する。プローブ情報を取得する地点は、当該区間から比較的長い距離離隔していてもよく、区間を通過する時点とプローブ情報を取得する取得時点とは時間遅れがある。プローブ情報は、プローブデータ、フローティングカーデータ又はプローブカーデータとも称し、例えば、車両の位置を含む情報を所定の周期(例えば、0.1秒、1秒など)で記録したものである。プローブ情報には、車両の位置情報の他に、車両を識別する識別番号(車両ID)、速度情報、時刻情報、方位情報などの情報を含めることができる。
図3は上流地点P1及び下流地点P2を走行した車両のプローブデータの一例を示す模式図である。図3において、横軸は位置を示し、縦軸は時間を示す。図3の例では、地点P1、P2、P3、P4、P5を通過した時刻は、それぞれt1、t2、t3、t4、t5である。時刻t5又は時刻t5の近傍が、プローブデータ(プローブ情報)の取得時点である。
また、上流地点P1から下流地点P2までの区間の旅行時間は、(t2−t1)で算出することができる。他の区間の旅行時間も同様にして算出することができる。
通過時点特定部12は、通信部11で取得したプローブ情報に基づいて、車両が区間の上流地点を通過した時点から区間より下流側の所定地点に到達するまでの上流通過時間及び区間の下流地点を通過した時点から所定地点に到達するまでの下流通過時間を特定する。例えば、上流地点をP1、下流地点をP2、車両が上流地点を通過した時点をt1、下流地点を通過した時点をt2、所定地点(図1の例では、地点P5)に到達した時点をt5とすると、上流通過時間は(t5−t1)、下流通過時間は(t5−t2)となる。上流通過時間及び下流通過時間は、相当程度の時間遅れがある時間とすることができる。なお、所定地点に到達した時点t5とプローブ情報を取得した取得時点との時間差は、上流通過時間及び下流通過時間に比べて無視することができる程度の時間である。
地点交通量取得部13は、車両感知器1で得られた感知データに基づいて、車両感知器1が設置された上流地点P1の交通量(地点交通量)Q1(t)及び下流地点P2の交通量(地点交通量)Q2(t)を算出する。
図4は上流地点P1及び下流地点P2の交通量(地点交通量)の一例を示す模式図である。図4に示すように、下流地点P2での地点交通量をQ2(t)とし、上流地点P1での地点交通量をQ1(t)とする。地点交通量取得部13は、第1交通量取得部としての機能を有し、下流地点P2又は上流地点P2の任意の時点での地点交通量を取得する。また、地点交通量取得部13は、第2交通量取得部としての機能を有し、下流地点P2又は上流地点P2のプローブ情報の取得時点での地点交通量を取得する。
累積交通量算出部14は、各車両感知器1で得られた感知データに基づいて、上流通過時間の間の上流地点での上流累積交通量及び下流通過時間の間の下流地点での下流累積交通量を算出する。
図5は累積交通量の一例を示す模式図である。図5には、上流地点P1、下流地点P2の累積交通量を図示している。上流地点P1の地点交通量をQ1(t)で表し、下流地点P2の地点交通量をQ2(t)で表すとする。図5に示すように、上流累積交通量は、上流通過時間(t5−t1)の間の地点交通量Q1(t)を累積したものであり、下流累積交通量は、下流通過時間(t5−t2)の間の地点交通量Q2(t)を累積したものとなる。
区間台数算出部15は、累積交通量算出部14で算出した上流累積交通量及び下流累積交通量に基づいて区間内に存在する車両の区間台数を算出する。上流累積交通量は、上流通過時間(t5−t1)の間の地点交通量Q1(t)を累積したものなので、上流地点P1と所定地点(地点P5)との間に存在する車両の台数となる。すなわち、上流累積交通量は、車両が時刻t1に上流地点P1を通過してから、所定地点(地点P5)を通過するまでの時刻t5の間に上流地点P1から流入する交通量であるから、上流地点P1と所定地点(地点P5)との間に存在する車両の台数となる。
また、下流累積交通量は、下流通過時間(t5−t2)の間の地点交通量Q2(t)を累積したものなので、下流地点P2と所定地点(地点P5)との間に存在する車両の台数となる。すなわち、下流累積交通量は、車両が時刻t1に下流地点P2を通過してから、所定地点(地点P5)を通過するまでの時刻t5の間に下流地点P2から流入する交通量であるから、下流地点P2と所定地点(地点P5)との間に存在する車両の台数となる。
時刻をt5でなく、一般化してtとすると、プローブ情報を取得した取得時点t又は車両が所定地点を通過した通過時点tにおいて、上流地点P1と下流地点P2とで画定される区間内に存在する車両の台数E(t)は、式(1)で表すことができる。
Figure 0006584866
従って、区間台数算出部15は、上流累積交通量から下流累積交通量を減算することにより上流地点P1と下流地点P2とで画定される区間内に存在する車両の台数を求めることができる。プローブ情報を取得した時点又は当該時点に近い時点での区間台数を算出することができ、時間遅れのない最新の交通情報を提供することができる。
次に、プローブ情報が取得することができない時点(任意の時点)での上流地点P1と下流地点P2とで画定される区間内に存在する車両の台数を推定する方法について説明する。
区間台数推定部16は、区間台数算出部15で算出した区間台数に基づいて、プローブ情報を取得した取得時点と異なる任意の時点での区間内に存在する車両の区間台数を推定する。例えば、区間台数推定部16で推定した任意の時点での区間台数を、カルマン状態方程式として、E(t)=E(t−Δt)+u(t)+ξ(t)と表し、区間台数算出部15で算出したプローブ情報の取得時点での区間台数を、観測方程式として、y(t)=E(t)+η(t)と表してカルマン方程式を構成することにより、時刻tの状態変数E(t)の最適推定値EE(t)を求めることができる。なお、E(t)は時刻tの区間台数の真値(未知)であり、y(t)はプローブ情報の取得時点での区間台数であり、u(t)は時刻tでの区間への流入出台数の差分であり、ξ(t)は状態方程式の誤差であり、η(t)は観測方程式の誤差である。これにより、プローブ情報を取得することができない時点であっても、精度よく区間台数を推定することができる。
より具体的には、式(2)を状態方程式とし、式(3)を観測方程式としてカルマン方程式を構成する。
Figure 0006584866
式(2)、式(3)において、E(t)は時刻t(任意の時点)での区間台数(推定したい変数)の真値(未知)であり、y(t)は時刻t(プローブ情報取得時点)に算出した区間台数であり、u(t)は時刻tでの区間への流入出台数の差分であり、ξ(t)は時刻tの状態方程式の誤差(未知)であり、η(t)は時刻tの観測方程式の誤差(未知)である。
この場合、誤差ξ(t)、η(t)の特性を後述のように仮定すると、時刻tの状態変数E(t)の最適推定値EE(t)とその誤差(分散)Σ(t)は、それぞれ式(4)、式(6)で求めることができる。式(4)はフィルタ方程式であり、式(6)は最適推定値の分散である。また、式(4)において、K(t)は式(5)で表され、カルマンゲインである。なお、最適推定値の初期値EE(0)は、式(7)であるとし、誤差分散の初期値Σ(t)は、式(8)であるとする。
また、誤差の特性は、以下のように仮定することができる。平均α、分散Bの正規分布をN(α、B)で表すと、推定値の初期値E(0)は、N(α、B)であり、ξ(t)はN(0、M(t))と表すことができ、η(t)はN(0、N(t))と表すことができる。
上述のように、区間台数推定部16で推定した区間台数を、カルマン状態方程式として、E(t)=E(t−Δt)+u(t)+ξ(t)と表し、区間台数算出部15で算出した区間台数を、観測方程式として、y(t)=E(t)+η(t)と表してカルマン方程式を構成することにより、任意の時刻tの状態変数E(t)の最適推定値EE(t)を求めることができる。これにより、プローブ情報を取得することができない時点の区間台数を精度よく推定することができる。
次に、上流地点P1と下流地点P2とで画定される区間の渋滞情報の求め方について説明する。渋滞情報は、例えば、渋滞位置(渋滞の先頭位置、末尾位置、渋滞長)、渋滞区間の台数(渋滞台数)などを含む。まず、プローブ情報を取得した時点での渋滞情報の算出方法について説明する。
渋滞位置算出部18は、通信部11で取得したプローブ情報に基づいて、プローブ情報を取得した取得時点での区間内の渋滞区間の位置を算出する。
図6は本実施の形態の交通情報提供装置100によるプローブ情報を取得した場合の渋滞区間の位置の算出方法の一例を示す模式図である。例えば、時刻t−ΔTから時刻tまでの間にn個のプローブデータ列P(t)を取得したとする。プローブデータ列P(t)は、n個のプローブデータp(xi、yi、ti)を時系列的に並べたものである。ここで、xiは経度、yiは緯度、tiは時刻を表し、iは1からnまでの数値である。
制御部10は、取得したプローブデータに基づいて車両の速度を算出する。車両の速度は、区間を走行した車両のプローブデータを時系列に並べ(プローブデータ列)、例えば、隣り合う2点間の距離と、当該2点間の時刻差により求めることができる。これにより、区間内の複数の地点での車両の速度のデータ列Vi(i=1〜n)を求める。なお、図6Bでは、車両の速度を実線で示している。
渋滞位置算出部18は、制御部10で算出した速度及び所定の閾値速度に基づいて、プローブデータ取得時点での区間内の渋滞区間の位置を算出する。
例えば、図6Bに示すように、区間の上流地点P1から下流地点P2に向かって速度のデータ列Vi(i=1〜n)を探索し、速度Viが、所定距離LT1を超えて所定の回数N1連続で閾値速度VT1を下回った場合、所定距離LT1の位置を渋滞の末尾位置と算出する(図6C)。また、さらに区間の下流地点P2に向かって速度のデータ列を探索し、速度Viが、所定距離LT2を超えて所定の回数N2(回数N1とは同じ回数である必要はない)連続で閾値速度VT2を上回った場合、所定距離LT2の位置を渋滞の先頭位置と算出する(図6C)。渋滞長は、先頭位置と末尾位置との間の距離とすることができる。
なお、区間と渋滞区間との関係を示す渋滞パターンは、例えば、区間全体が渋滞区間である場合(パターンA)、渋滞区間がない場合(パターンB)、区間に渋滞区間の末尾のみ存在する場合(パターンC)、区間に渋滞区間の先頭のみ存在する場合(パターンD)、区間に渋滞区間の先頭及び末尾が存在する場合(パターンE)に分けることができる。
次に、プローブ情報を取得した時点での渋滞区間内に存在する車両の渋滞台数を算出する方法について説明する。図7は渋滞区間の末尾が区間内にある場合の渋滞台数の算出方法の一例を示す模式図である。図7の例は、図6に例示した方法により渋滞区間の位置を算出した場合に、渋滞区間の末尾は区間内に存在するが渋滞区間の先頭は区間内になく、区間の下流地点P2の下流側まで渋滞区間が繋がっている場合を示す。また、上流地点P1の交通量をQ1(t)とし、上流地点P1の地点速度をV1(t)とする。また、下流地点P2の交通量をQ2(t)とし、下流地点P2の地点速度をV2(t)とする。
地点速度算出部19は、車両感知器1で得られた感知データに基づいて、上流地点P1の車両の地点速度V1(t)及び下流地点P2での車両の地点速度V2(t)を算出する。
渋滞台数算出部20は、地点交通量取得部13で取得した地点交通量、地点速度算出部19で算出した地点速度、渋滞位置算出部18で算出した渋滞区間の位置、及び区間台数算出部15で算出した区間台数に基づいて、プローブ情報の取得時点での渋滞区間に存在する車両の渋滞台数を算出する。
例えば、図7の例では、下流地点P2での車両の密度は、Q2(t)/V2(t)で表すことができ、渋滞区間(渋滞長はl(t))での車両の密度(単位距離当たりに存在する車両の台数)は、下流地点P2における車両の密度と同じであると考えることができるので、時刻tでの渋滞台数Ec(t)は、式(9)で求めることができる。
Figure 0006584866
図8は渋滞区間の先頭が区間内にある場合の渋滞台数の算出方法の一例を示す模式図である。図8の例は、図6に例示した方法により渋滞区間の位置を算出した場合に、渋滞区間の先頭は区間内に存在するが渋滞区間の末尾は区間内になく、区間の上流地点P1の上流側まで渋滞区間が繋がっている場合を示す。図8の例では、上流地点P1での車両の密度は、Q1(t)/V1(t)で表すことができ、渋滞区間(渋滞長はl(t))での車両の密度(単位距離当たりに存在する車両の台数)は、上流地点P1における車両の密度と同じであると考えることができるので、時刻tでの渋滞台数Ec(t)は、式(10)で求めることができる。
図9は渋滞区間の先頭及び末尾が区間内にある場合の渋滞台数の算出方法の一例を示す模式図である。図9の例は、図6に例示した方法により渋滞区間の位置を算出した場合に、渋滞区間の先頭及び末尾が区間内に存在する場合を示す。また、予め区間の上流地点P1、下流地点P2の位置は分かっているので、渋滞区間の先頭位置及び末尾位置が分かれば、上流地点P1と渋滞の末尾位置との間の距離le(t)、及び下流地点P2と渋滞の先頭位置との間の距離ls(t)も求めることができる。
図9の例では、上流地点P1での車両の密度は、Q1(t)/V1(t)で表すことができ、非渋滞区間(渋滞長はle(t))での車両の密度(単位距離当たりに存在する車両の台数)は、上流地点P1における車両の密度と同じであると考えることができる。同様に、下流地点P2での車両の密度は、Q2(t)/V2(t)で表すことができ、非渋滞区間(渋滞長はls(t))での車両の密度(単位距離当たりに存在する車両の台数)は、下流地点P2における車両の密度と同じであると考えることができる。したがって、時刻tでの渋滞台数Ec(t)は、式(11)で求めることができる。
なお、区間全体が渋滞区間である場合、渋滞台数は区間台数に等しいので、時刻tでの渋滞台数Ec(t)は、Ec(t)=E(t)で求めることができる。また、渋滞区間内の車両密度ρc(t)は、式(12)で求めることができる。
図10は区間における渋滞パターンの例を示す模式図である。図10に示すように、区間と渋滞区間との関係を示す渋滞パターンは、区間全体が渋滞区間である場合(パターンA)、渋滞区間がない場合(パターンB)、区間に渋滞区間の末尾のみ存在する場合(パターンC)、区間に渋滞区間の先頭のみ存在する場合(パターンD)、区間に渋滞区間の先頭及び末尾が存在する場合(パターンE)に分けることができる。図10に示す各パターンは、図6に例示した方法により求めることができる。
すなわち、前述の渋滞区間のパターンが、パターンAの場合は、渋滞台数Ec(t)は、区間台数E(t)に等しい。パターンBの場合は、渋滞台数Ec(t)は0である。パターンCの場合は、下流地点P2の交通量をQ2(t)及び車両の速度をV2(t)とすると、渋滞台数Ec(t)は、l(t)×Q2(t)/V2(t)と算出することができる。l(t)は渋滞長である。パターンDの場合は、上流地点P1の交通量をQ1(t)及び車両の速度をV1(t)とすると、渋滞台数Ec(t)は、l(t)×Q1(t)/V1(t)と算出することができる。パターンEの場合は、上流地点P1から渋滞末尾までの距離をle(t)、渋滞先頭から下流地点P2までの距離をls(t)とすると、渋滞台数Ec(t)は、E(t)−ls(t)×Q4(t)/V4(t)−le(t)×Q1(t)/V1(t)と推定することができる。これにより、プローブ情報を取得した時点での渋滞区間内の渋滞台数を精度よく算出することができる。
次に、プローブデータ(プローブ情報)を取得することができない時点、時間帯、周期において渋滞区間の位置を推定する方法について説明する。
プローブデータを取得することができない場合の渋滞区間の位置の推定は、区間の上流地点P1及び下流地点P2での地点速度V1、V2が所定の地点速度閾値VTを境にして増加したか、あるいは減少したかに応じて、プローブデータの取得時点での渋滞パターンがどのように変化したかを判定することにより行うことができる。
図11は渋滞パターンの遷移の例を示す説明図である。図11において、左欄に示すパターンはプローブデータ(プローブ情報)取得時点Tpにおける渋滞パターンA〜Eを示す。プローブデータ取得時点Tpにおける各渋滞パターンは、プローブデータに基づく時系列の位置及び時刻のデータ列により求めることはでき、地点速度V1、V2は使用しない。また、上欄に示すパターンはプローブデータを取得することができない周期、すなわち任意の時点(Tp+ΔT)における渋滞パターンA〜Eを示す。任意の時点(Tp+ΔT)における各渋滞パターンは、プローブデータ取得時点Tpにおける渋滞パターン、任意の時点(Tp+ΔT)における地点速度V1、V2、及び地点速度閾値VTの組み合わせに応じて求めることができる。また、各欄のV1、V2は、上流地点P1及び下流地点P2での任意の時点(Tp+ΔT)における地点速度であり、VTは所定の地点速度閾値である。
図11に示すように、プローブデータ取得時点Tpの渋滞パターンがAであり、任意の時点(Tp+ΔT)における地点速度V1が、V1<VTであり、任意の時点(Tp+ΔT)における地点速度V2が、V2<VTである場合、任意の時点(Tp+ΔT)における渋滞パターンはAのままである。
また、プローブデータ取得時点Tpの渋滞パターンがAであり、任意の時点(Tp+ΔT)における地点速度V1が、V1>VTであり、任意の時点(Tp+ΔT)における地点速度V2が、V2<VTである場合、任意の時点(Tp+ΔT)における渋滞パターンはCとなる。
また、プローブデータ取得時点Tpの渋滞パターンがAであり、任意の時点(Tp+ΔT)における地点速度V1が、V1<VTであり、任意の時点(Tp+ΔT)における地点速度V2が、V2>VTである場合、任意の時点(Tp+ΔT)における渋滞パターンはDとなる。
また、プローブデータ取得時点Tpの渋滞パターンがAであり、任意の時点(Tp+ΔT)における地点速度V1が、V1>VTであり、任意の時点(Tp+ΔT)における地点速度V2が、V2>VTである場合、任意の時点(Tp+ΔT)における渋滞パターンはEとなる。
図11に示すように、プローブデータ取得時点Tpの渋滞パターンがB〜Eの場合も、パターンAの場合と同様に、任意の時点(Tp+ΔT)における渋滞パターンを求めることができる。
さらに、図11には例示していないが、任意の時点(Tp+2ΔT)における各渋滞パターンは、一周期前の時点(Tp+ΔT)における渋滞パターン、任意の時点(Tp+2ΔT)における地点速度V1、V2、及び地点速度閾値VTの組み合わせに応じて求めることができる。
例えば、一周期前の時点(Tp+ΔT)の渋滞パターンがAであり、任意の時点(Tp+2ΔT)における地点速度V1が、V1<VTであり、任意の時点(Tp+2ΔT)における地点速度V2が、V2<VTである場合、任意の時点(Tp+2ΔT)における渋滞パターンはAのままである。
また、一周期前の時点(Tp+ΔT)の渋滞パターンがAであり、任意の時点(Tp+2ΔT)における地点速度V1が、V1>VTであり、任意の時点(Tp+2ΔT)における地点速度V2が、V2<VTである場合、任意の時点(Tp+2ΔT)における渋滞パターンはCとなる。
また、一周期前の時点(Tp+ΔT)の渋滞パターンがAであり、任意の時点(Tp+2ΔT)における地点速度V1が、V1<VTであり、任意の時点(Tp+2ΔT)における地点速度V2が、V2>VTである場合、任意の時点(Tp+2ΔT)における渋滞パターンはDとなる。
また、一周期前の時点(Tp+ΔT)の渋滞パターンがAであり、任意の時点(Tp+2ΔT)における地点速度V1が、V1>VTであり、任意の時点(Tp+2ΔT)における地点速度V2が、V2>VTである場合、任意の時点(Tp+2ΔT)における渋滞パターンはEとなる。
一周期前の時点(Tp+ΔT)の渋滞パターンがB〜Eの場合も、パターンAの場合と同様に、任意の時点(Tp+2ΔT)における渋滞パターンを求めることができる。このようにして、プローブデータ取得時点Tpの渋滞パターンが求まると、当該取得時点以降の任意の時点(Tp+ΔT)、(Tp+2ΔT)、(Tp+3ΔT)、(Tp+4ΔT)…での渋滞パターンを求めることが可能となる。これにより、プローブデータを取得することができない場合でも、渋滞区間の位置を精度よく推定することができる。
渋滞位置推定部21は、地点速度算出部19で算出した地点速度、所定の地点速度閾値、渋滞位置算出部18で算出した渋滞区間の位置、渋滞台数算出部20で算出した渋滞台数、及び区間台数算出部15で算出した区間台数に基づいて、プローブ情報の取得時点と異なる任意の時点での区間内の渋滞区間の位置を推定する。
例えば、上流地点P1の地点速度V1(t)が地点速度閾値VTより小さい場合には、上流地点P1は渋滞区間内にあると考えることができる。一方、上流地点P1の地点速度V1(t)が地点速度閾値VTより大きい場合には、車両がスムーズに走行しており、上流地点P1は渋滞区間内にないと考えることができる。同様に、下流地点P2の地点速度V2(t)が地点速度閾値VTより小さい場合には、下流地点P2は渋滞区間内にあると考えることができる。一方、下流地点P2の地点速度V2(t)が地点速度閾値VTより大きい場合には、車両がスムーズに走行しており、下流地点P2は渋滞区間内にないと考えることができる。
従って、図11で例示したように、上流地点P1又は下流地点P2の地点速度が地点速度閾値より小さくなったか、あるいは大きくなった場合には、前述の渋滞区間のパターンA〜EがどのパターンA〜Eに変化したかを判定することができる。また、地点速度と地点速度閾値との大小関係に変化がない場合には、渋滞パターンに変化がないと判定することができる。これにより、プローブ情報を取得することができない任意の時点でも、渋滞区間の位置を精度よく推定することができる。また、渋滞区間の位置(渋滞先頭位置、渋滞末尾位置)を推定することにより、渋滞長も推定することができる。
また、区間内に渋滞区間が存在するとし、時刻(t−Δt)における渋滞区間内に存在する渋滞台数をEc(t−Δt)とし、時刻tにおける渋滞区間内に存在する渋滞台数をEc(t)とする。時間Δtの間に区間台数が増減した場合、区間台数の増減は渋滞台数の増減と考えることができる。時刻tにおける渋滞台数の増減dEc(t)は、Ec(t)−Ec(t−Δt)=E(t)−E(t−Δt)となり、dEc(t)に応じて渋滞区間の先頭位置又は末尾位置を変化させることにより渋滞区間の位置を推定することができる。なお、渋滞台数に、渋滞時の車頭間距離及び車長の合計値を乗算することにより渋滞長を求めることができる。
次に、上流地点P1と下流地点P2とで画定される区間の旅行時間の求め方について説明する。旅行時間推定部17は、地点交通量取得部13で取得した地点交通量及び区間台数推定部16で推定した区間台数に基づいて区間の任意の時点での旅行時間を推定する。区間台数推定部16で推定した区間台数E(t)とすると、任意の時点での旅行時間は、区間下流から捌ける交通量に基づいて推定することができる。
例えば、時刻tにおいて区間の存在台数E(t)が推定され、交通量Q2(t)が得られている場合には、時刻tに区間の上流地点P1を出発する車両の出発旅行時間Tは、式(13)により求めることができる。
Figure 0006584866
すなわち、区間台数E(t)が推定された場合、旅行時間は、区間内の渋滞区間の有無に関わらず、区間で捌ける交通量から推定することができる。例えば、時刻tに上流地点P1を出発する車両が下流地点P2に到着するまでの旅行時間(出発旅行時間)をTとすると、時刻tにおける区間台数E(t)から、時刻tから時刻t+Tまでの間に下流地点P2から捌ける交通量Q2(t)を減算した値が0に等しくなる。
すなわち、式(13)が成立するTを求めることにより、旅行時間Tを推定することができる。これにより、渋滞に関する交通情報(旅行時間)を精度よく推定することができる。なお、下流地点の交通量Q2(t)を用いる代わりに上流地点の交通量Q1(t)を用いて、到着旅行時間Tを算出してもよい。
次に、本実施の形態の交通情報提供装置100の動作について説明する。図12は本実施の形態の交通情報提供装置100の処理手順を示すフローチャートである。なお、以下では便宜上、処理の主体を制御部10として説明する。制御部10は、区間の上流地点及び下流地点に設置された車両感知器から感知データを取得し(S11)、プローブデータを取得したか否かを判定する(S12)。プローブデータを取得した場合(S12でYES)、制御部10は、上流通過時間及び下流通過時間を特定する(S13)。
制御部10は、上流累積交通量及び下流累積交通量を算出し(S14)、区間台数を算出し(S15)、後述のステップS17の処理を行う。プローブデータを取得しなかった場合(S12でNO)、制御部10は、区間台数を推定し(S16)、後述のステップS17の処理を行う。
制御部10は、処理を終了するか否かを判定し(S17)、処理を終了しない場合(S17でNO)、ステップS11以降の処理を繰り返す。処理を終了する場合(S17でYES)、制御部10は、処理を終了する。
本実施の形態の交通情報提供装置100は、CPU、RAMなどを備えた汎用コンピュータを用いて実現することもできる。すなわち、図12に示すような、各処理手順を定めたコンピュータプログラムをCD、DVD、USBメモリ等のコンピュータプログラム記録媒体に記録しておき、当該コンピュータプログラムをコンピュータに備えられたRAMにロードし、コンピュータプログラムをCPUで実行することにより、コンピュータ上で交通情報提供装置100を実現することができる。
上述の実施の形態において、地点P2と地点P5との間にインターチェンジが存在して、オンランプ及びオフランプが存在し、オンランプ及びオフランプで流入する交通量及び流出する交通量(リアルタイムの値又は過去の統計値など)を取得することができない場合でも、本実施の形態の交通情報提供装置100によれば、上流累積交通量から下流累積交通量を減算するので、オンランプ及びオフランプで流入する交通量及び流出する交通量は相殺されるので、オンランプ及びオフランプの存在の有無に関わらず、時間遅れのない交通情報を提供することができる。
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 制御部
11 通信部
12 通過時点特定部
13 地点交通量取得部
14 累積交通量算出部
15 区間台数算出部
16 区間台数推定部
17 旅行時間推定部
18 渋滞位置算出部
19 地点速度算出部
20 渋滞台数算出部
21 渋滞位置推定部
22 記憶部

Claims (7)

  1. 道路に設けられた2つの車両感知器で画定される区間での交通情報を提供する交通情報提供装置であって、
    前記区間を走行した車両のプローブ情報を前記車両が前記区間を通過した通過時点よりも後の時点であって、前記区間より下流側で取得する取得部と、
    該取得部で取得したプローブ情報に基づいて、前記車両が前記区間の上流地点を通過した時点から前記区間の下流地点から下流側に向かって離隔した所定地点に到達するまでの上流通過時間及び前記下流地点を通過した時点から前記所定地点に到達するまでの下流通過時間を特定する通過時間特定部と、
    各車両感知器で得られた感知データに基づいて、前記上流通過時間の間の前記上流地点での上流累積交通量及び前記下流通過時間の間の前記下流地点での下流累積交通量を算出する累積交通量算出部と、
    該累積交通量算出部で算出した上流累積交通量及び下流累積交通量に基づいて前記区間内に存在する車両の区間台数を算出する区間台数算出部と
    を備える交通情報提供装置。
  2. 前記区間台数算出部で算出した区間台数に基づいて、前記プローブ情報を取得した取得時点と異なる任意の時点での前記区間内に存在する車両の区間台数を推定する区間台数推定部を備える請求項1に記載の交通情報提供装置。
  3. 前記下流地点又は前記上流地点の前記任意の時点での地点交通量を取得する第1交通量取得部と、
    該第1交通量取得部で取得した地点交通量及び前記区間台数推定部で推定した区間台数に基づいて前記区間の前記任意の時点での旅行時間を推定する旅行時間推定部と
    を備える請求項2に記載の交通情報提供装置。
  4. 前記取得部で取得したプローブ情報に基づいて、前記プローブ情報を取得した取得時点での前記区間内の渋滞区間の位置を算出する渋滞位置算出部と、
    各車両感知器で得られた感知データに基づいて、前記上流地点及び下流地点での車両の地点速度を算出する地点速度算出部と、
    前記下流地点又は前記上流地点の前記取得時点での地点交通量を取得する第2交通量取得部と、
    該第2交通量取得部で取得した地点交通量、前記地点速度算出部で算出した地点速度、前記渋滞位置算出部で算出した渋滞区間の位置、及び前記区間台数算出部で算出した区間台数に基づいて、前記取得時点での前記渋滞区間に存在する車両の渋滞台数を算出する渋滞台数算出部と
    を備える請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の交通情報提供装置。
  5. 前記地点速度算出部で算出した地点速度、所定の地点速度閾値、前記渋滞位置算出部で算出した渋滞区間の位置、前記渋滞台数算出部で算出した渋滞台数、及び前記区間台数算出部で算出した区間台数に基づいて、前記取得時点と異なる任意の時点での前記区間内の渋滞区間の位置を推定する渋滞位置推定部を備える請求項4に記載の交通情報提供装置。
  6. コンピュータに、道路に設けられた2つの車両感知器で画定される区間での交通情報を提供させるためのコンピュータプログラムであって、
    コンピュータを、
    前記区間を走行した車両のプローブ情報を前記車両が前記区間を通過した通過時点よりも後の時点であって、前記区間より下流側で取得する取得部と、
    該取得部で取得したプローブ情報に基づいて、前記車両が前記区間の上流地点を通過した時点から前記区間の下流地点から下流側に向かって離隔した所定地点に到達するまでの上流通過時間及び前記下流地点を通過した時点から前記所定地点に到達するまでの下流通過時間を特定する通過時間特定部と、
    各車両感知器で得られた感知データに基づいて、前記上流通過時間の間の前記上流地点での上流累積交通量及び前記下流通過時間の間の前記下流地点での下流累積交通量を算出する累積交通量算出部と、
    該累積交通量算出部で算出した上流累積交通量及び下流累積交通量に基づいて前記区間内に存在する車両の区間台数を算出する区間台数算出部と
    して機能させるコンピュータプログラム。
  7. 道路に設けられた2つの車両感知器で画定される区間での交通情報を提供する交通情報提供方法であって、
    前記区間を走行した車両のプローブ情報を前記車両が前記区間を通過した通過時点よりも後の時点であって、前記区間より下流側で取得部が取得するステップと、
    取得されたプローブ情報に基づいて、前記車両が前記区間の上流地点を通過した時点から前記区間の下流地点から下流側に向かって離隔した所定地点に到達するまでの上流通過時間及び前記下流地点を通過した時点から前記所定地点に到達するまでの下流通過時間を通過時間特定部が特定するステップと、
    各車両感知器で得られた感知データに基づいて、前記上流通過時間の間の前記上流地点での上流累積交通量及び前記下流通過時間の間の前記下流地点での下流累積交通量を累積交通量算出部が算出するステップと、
    算出された上流累積交通量及び下流累積交通量に基づいて前記区間内に存在する車両の区間台数を区間台数算出部が算出するステップと
    を含む交通情報提供方法。
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