以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
[1]第1実施形態
図1は、第1実施形態における電力変換装置1の構成を概略的に示す図である。
図1に示すように、電力変換装置1は、3相交流系統100の交流系統ラインLu,Lv,Lwに接続される電流型変換器1U,1W,1W、およびこれら電流型変換器1U,1V,1Wのスイッチングを制御する制御部10を含み、交流系統ラインLu,Lv,Lwの各相の交流電力を直流電力に変換しそれを直流ラインLa,Lbを介して電流源Eに供給する電流型コンバータとして機能する。
なお、電流型変換器1U,1V,1Wは、直流ラインLa,Lbの直流電力を3相交流電力に変換して交流系統ラインLu,Lv,Lwに供給する電流型インバータとして機能させることも可能である。
電流型変換器1Uは、交流系統ラインLuに接続される交流端子201、直流ラインLaに接続される正側端子202、直流ラインLbに接続される負側端子203、その交流端子201と正側端子202との間に接続された上流側スイッチ回路(上アーム)Su、交流端子201と負側端子203との間に接続された下流側スイッチ回路(下アーム)Sxを備える。
電流型変換器1Vは、交流系統ラインLvに接続される交流端子201、直流ラインLaに接続される正側端子202、直流ラインLbに接続される負側端子203、その交流端子201と正側端子202との間に接続された上流側スイッチ回路(上アーム)Sv、交流端子201と負側端子203との間に接続された下流側スイッチ回路(下アーム)Syを備える。
電流型変換器1Wは、交流系統ラインLwに接続される交流端子201、直流ラインLaに接続される正側端子202、直流ラインLbに接続される負側端子203、その交流端子201と正側端子202との間に接続された上流側スイッチ回路(上アーム)Sw、交流端子201と負側端子203との間に接続された下流側スイッチ回路(下アーム)Szを備える。
電流型変換器1U,1V,1Wは、互いに同一の構成を有する。このため、以下では、電流型変換器1Uについてのみ説明し、電流型変換器1V,1Wについての説明は省略する。
電流型変換器1Uの具体的な構成を図2に示す。
(上流側スイッチ回路Suの構成)
交流端子201と正側端子202との間の上流側スイッチ回路Suは、電流の流れ方向(通流方向)が互いに異なる上流側スイッチ回路(第1上流側スイッチ回路)Su1と上流側スイッチ回路(第2上流側スイッチ回路)Su2との直列接続、いわゆる逆方向接続により、交流端子201から正側端子202に向かう電流の経路と正側端子202から交流端子201に向かう電流の経路とを選択的に形成する双方向性スイッチとして機能する。
上流側スイッチ回路Su1は、複数のスイッチ素子11u~13uの直列接続により構成され、これらスイッチ素子11u~13uのオンにより破線矢印で示すように上流側スイッチ回路Su2との相互接続点Tuから正側端子202に向かう電流の経路を形成する。
スイッチ素子11uの一端が、上流側スイッチ回路Su1と上流側スイッチ回路Su2との相互接続点Tuに接続されている。このスイッチ素子11uの他端にスイッチ素子12uの一端が接続され、このスイッチ素子12uの他端にスイッチ素子13uの一端が接続され、このスイッチ素子13uの他端が正側端子202に接続されている。スイッチ素子11u~13uは、スイッチ素子本体に逆並列接続された寄生ダイオードDを含み、オン時に一端(ドレイン)から他端(ソース)へと電流を流し、オフ時にその電流を遮断する半導体スイッチ素子、例えばMOSFET(半導体電界効果トランジスタ:metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)である。
スイッチ素子11u~13uは、制御部10のスイッチング制御により、上流側スイッチ回路Su1のオン期間において、所定の順序で1つずつターンオンされ、すべてのターンオンが終了した後、所定の順序で1つずつターンオフされる。3つのスイッチ素子11u~13uを用いているが、このスイッチ素子の個数については、2つ以上であればよく、例えば4つや5つでもよい。
これらスイッチ素子11u~13uのオンに際し、交流端子201から相互接続点Tuに向かう電流の経路は、上流側スイッチ回路Su2における後述のスイッチ素子21u~23uの寄生ダイオードDの順方向の通流によって形成される。
上流側スイッチ回路Su2は、複数のスイッチ素子21u~23uの直列接続により構成され、これらスイッチ素子21u~23uのオンにより破線矢印で示すように相互接続点Tuから交流端子201に向かう電流の経路を形成する。
スイッチ素子21uの一端が、上記相互接続点Tuに接続されている。このスイッチ素子21uの他端にスイッチ素子22uの一端が接続され、このスイッチ素子22uの他端にスイッチ素子23uの一端が接続され、このスイッチ素子23uの他端が交流端子201に接続されている。これらスイッチ素子21u~23uも、スイッチ素子11u~13uと同じく、スイッチ素子本体に逆並列接続された寄生ダイオードDを含み、オン時に一端(ドレイン)から他端(ソース)へと電流を流し、オフ時にその電流を遮断する半導体スイッチ素子たとえばMOSFETである。
スイッチ素子21u~23uは、制御部10のスイッチング制御により、上流側スイッチ回路Su2のオン期間において、所定の順序で1つずつターンオンされ、かつ所定の順序で1つずつターンオフされる。3つのスイッチ素子21u~23uを用いているが、このスイッチ素子の個数については、2つ以上であればよく、例えば4つや5つでもよい。
スイッチ素子21u~23uのオンに際し、正側端子202から相互接続点Tuに向かう電流の経路は、第1上流側スイッチ回路Su1におけるスイッチ素子11u~13uの寄生ダイオードDによって形成される。
スイッチ素子11uの一端(ドレイン)はダイオード11udのアノード側に接続され、このダイオード11udのカソード側にコンデンサ11ucの一端が接続され、またスイッチ素子11uの他端(ソース)はコンデンサ11ucの他端に接続されている。ダイオード11udおよびコンデンサ11ucは、スイッチ素子11uのターンオフ時に生じる高電圧を吸収する保護回路(上流側保護回路)いわゆるスナバ回路を構成している。このスナバ回路におけるコンデンサ11ucの一端が抵抗器31urおよび順方向のダイオード31udを介して回収用コンデンサ(上流側回収用コンデンサ)50uの一端に接続され、その回収用コンデンサ50uの他端が相互接続点Tuに接続されている。抵抗器31urおよびダイオード31udは、コンデンサ11ucに蓄えられた電圧を回収用コンデンサ50uに回収するエネルギー回収回路として機能する。
スイッチ素子12uの一端(ドレイン)はダイオード12udのアノード側に接続され、このダイオード12udのカソード側にコンデンサ12ucの一端が接続され、またスイッチ素子12uの他端(ソース)はコンデンサ12ucの他端に接続されている。ダイオード12udおよびコンデンサ12ucは、スイッチ素子12uのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路(上流側保護回路)を構成している。このスナバ回路におけるコンデンサ12ucの一端が抵抗器32urおよび順方向のダイオード32udを介して上記回収用コンデンサ50uの一端に接続されている。抵抗器32urおよびダイオード32udは、コンデンサ12ucに蓄えられた電圧を回収用コンデンサ50uに回収するエネルギー回収回路として機能する。
スイッチ素子13uの一端(ドレイン)はダイオード13udのアノード側に接続され、このダイオード13udのカソード側にコンデンサ13ucの一端が接続され、またスイッチ素子13uの他端(ソース)はコンデンサ13ucの他端に接続されている。ダイオード13udおよびコンデンサ13ucは、スイッチ素子13uのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路(上流側保護回路)を構成している。このスナバ回路におけるコンデンサ13ucの一端が抵抗器33urおよび順方向のダイオード33udを介して上記回収用コンデンサ50uの一端に接続されている。抵抗器33urおよびダイオード33udは、コンデンサ13ucに蓄えられた電圧を回収用コンデンサ50uに回収するエネルギー回収回路として機能する。
スイッチ素子21uの一端(ドレイン)はダイオード21udのアノード側に接続され、このダイオード21udのカソード側にコンデンサ21ucの一端が接続され、またスイッチ素子21uの他端(ソース)はコンデンサ21ucの他端に接続されている。ダイオード21udおよびコンデンサ21ucは、スイッチ素子21uのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路(上流側保護回路)を構成している。このスナバ回路におけるコンデンサ21ucの一端が抵抗器41urおよび順方向のダイオード41udを介して上記回収用コンデンサ50uの一端に接続されている。抵抗器41urおよびダイオード41udは、コンデンサ21ucに蓄えられた電圧を回収用コンデンサ50uに回収するエネルギー回収回路として機能する。
スイッチ素子22uの一端(ドレイン)はダイオード22udのアノード側に接続され、このダイオード22udのカソード側にコンデンサ22ucの一端が接続され、またスイッチ素子22uの他端(ソース)はコンデンサ22ucの他端に接続されている。ダイオード22udおよびコンデンサ22ucは、スイッチ素子22uのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路(上流側保護回路)を構成している。このスナバ回路におけるコンデンサ22ucの一端が抵抗器42urおよび順方向のダイオード42udを介して上記回収用コンデンサ50uの一端に接続されている。抵抗器42urおよびダイオード42udは、コンデンサ22ucに蓄えられた電圧を回収用コンデンサ50uに回収するエネルギー回収回路として機能する。
スイッチ素子23uの一端(ドレイン)はダイオード23udのアノード側に接続され、このダイオード23udのカソード側にコンデンサ23ucの一端が接続され、またスイッチ素子23uの他端(ソース)はコンデンサ23ucの他端に接続されている。ダイオード23udおよびコンデンサ23ucは、スイッチ素子23uのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路(上流側保護回路)を構成している。このスナバ回路におけるコンデンサ23ucの一端が抵抗器43urおよび順方向のダイオード43udを介して上記回収用コンデンサ50uの一端に接続されている。抵抗器43urおよびダイオード43udは、コンデンサ23ucに蓄えられた電圧を回収用コンデンサ50uに回収するエネルギー回収回路として機能する。
回収用コンデンサ50uの両端にエネルギー回収用の直流電源である例えばコンバータ51uが接続されている。コンバータ51uは、回収用コンデンサ50uの電圧を当該U相電流型変換器1Uの外部の動作用電圧(制御部10や他の負荷の動作用電圧)に変換し出力する。
各スナバ回路のダイオード11ud~13ud,21ud~23udは、リカバリ損失が低いファストリカバリ特性を備えることが望ましく、例えば、リカバリ特性のよいショットキーバリア回収整流回路(SBD)やワイドバンドギャップ半導体(SiC、GaNなど)を利用した素子を使用することが望ましい。
(下流側スイッチ回路Sxの構成)
交流端子201と負側端子203との間の下流側スイッチ回路Sxは、電流の流れ方向(通流方向)が互いに異なる下流側スイッチ回路(第1下流側スイッチ回路)Sx1と下流側スイッチ回路(第2下流側スイッチ回路)Sx2との直列接続いわゆる逆方向接続により、交流端子201から負側端子203に向かう電流の経路と負側端子203から交流端子201に向かう電流の経路とを選択的に形成する双方向性スイッチとして機能する。
下流側スイッチ回路Sx1は、複数のスイッチ素子11x~13xの直列接続により構成され、これらスイッチ素子11x~13xのオンにより破線矢印で示すように下流側スイッチ回路Sx2との相互接続点Txから負側端子203に向かう電流の経路を形成する。
スイッチ素子11xの一端が、上記相互接続点Tuに接続されている。このスイッチ素子11xの他端にスイッチ素子12xの一端が接続され、このスイッチ素子12xの他端にスイッチ素子13xの一端が接続され、このスイッチ素子13xの他端が交流端子201に接続されている。これらスイッチ素子11x~13xも、スイッチ素子本体に逆並列接続された寄生ダイオードDを含み、オン時に一端(ドレイン)から他端(ソース)へと電流を流し、オフ時にその電流を遮断する半導体スイッチ素子たとえばMOSFETである。
スイッチ素子11x~13xは、制御部10のスイッチング制御により、下流側スイッチ回路Sx1のオン期間において、所定の順序で1つずつターンオンされ、かつ所定の順序で1つずつターンオフされる。3つのスイッチ素子11x~13xを用いているが、このスイッチ素子の個数については、2つ以上であればよく、例えば4つや5つでもよい。
スイッチ素子11x~13xのオンに際し、交流端子203から相互接続点Txに向かう電流の経路は、下流側スイッチ回路Sx2における後述のスイッチ素子21x~23xの寄生ダイオードDの順方向の通流によって形成される。
下流側スイッチ回路Sx2は、複数のスイッチ素子21x~23xの直列接続により構成され、これらスイッチ素子21x~23xのオンにより破線矢印で示すように相互接続点Txから交流端子201に向かう電流の経路を形成する。
スイッチ素子21xの一端が、上記相互接続点Txに接続されている。このスイッチ素子21xの他端にスイッチ素子22xの一端が接続され、このスイッチ素子22xの他端にスイッチ素子23xの一端が接続され、このスイッチ素子23xの他端が交流端子201に接続されている。これらスイッチ素子21x~23xも、スイッチ素子本体に逆並列接続された寄生ダイオードDを含み、オン時に一端(ドレイン)から他端(ソース)へと電流を流し、オフ時にその電流を遮断する半導体スイッチ素子たとえばMOSFETである。
スイッチ素子21x~23xは、制御部10のスイッチング制御により、下流側スイッチ回路Sx2のオン期間において、所定の順序で1つずつターンオンされ、かつ所定の順序で1つずつターンオフされる。3つのスイッチ素子21x~23xを用いているが、このスイッチ素子の個数については、2つ以上であればよく、例えば4つや5つでもよい。
スイッチ素子21x~23xのオンに際し、負側端子203から相互接続点Txに向かう電流の経路は、下流側スイッチ回路Sx1におけるスイッチ素子11x~13xの寄生ダイオードDの順方向の通流によって形成される。
スイッチ素子11xの一端(ドレイン)はダイオード11xdのアノード側に接続され、このダイオード11xdのカソード側にコンデンサ11xcの一端が接続され、またスイッチ素子11xの他端(ソース)はコンデンサ11xcの他端に接続されている。ダイオード11xdおよびコンデンサ11xcは、スイッチ素子11xのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路(下流側保護回路)を構成している。このスナバ回路におけるコンデンサ11xcの一端が抵抗器31xrおよび順方向のダイオード31xdを介して回収用コンデンサ(下流側回収用コンデンサ)50xの一端に接続され、その回収用コンデンサ50xの他端が相互接続点Txに接続されている。抵抗器31xrおよびダイオード31xdは、コンデンサ11xcに蓄えられたエネルギーを回収用コンデンサ50xに回収するエネルギー回収回路として機能する。
スイッチ素子12xの一端(ドレイン)はダイオード12xdのアノード側に接続され、このダイオード12xdのカソード側にコンデンサ12xcの一端が接続され、またスイッチ素子12xの他端(ソース)はコンデンサ12xcの他端に接続されている。ダイオード12xdおよびコンデンサ12xcは、スイッチ素子12xのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路(下流側保護回路)を構成している。このスナバ回路におけるコンデンサ12xcの一端が抵抗器32xrおよび順方向のダイオード32xdを介して上記回収用コンデンサ50xの一端に接続されている。抵抗器32xrおよびダイオード32xdは、コンデンサ12xcに蓄えられたエネルギーを回収用コンデンサ50xに回収するエネルギー回収回路として機能する。
スイッチ素子13xの一端(ドレイン)はダイオード13xdのアノード側に接続され、このダイオード13xdのカソード側にコンデンサ13xcの一端が接続され、またスイッチ素子13xの他端(ソース)はコンデンサ13xcの他端に接続されている。ダイオード13xdおよびコンデンサ13xcは、スイッチ素子13xのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路(下流側保護回路)を構成している。このスナバ回路におけるコンデンサ13xcの一端が抵抗器33xrおよび順方向のダイオード33xdを介して上記回収用コンデンサ50xの一端に接続されている。抵抗器33xrおよびダイオード33xdは、コンデンサ13xcに蓄えられたエネルギーを回収用コンデンサ50xに回収するエネルギー回収回路として機能する。
スイッチ素子21xの一端(ドレイン)はダイオード21xdのアノード側に接続され、このダイオード21xdのカソード側にコンデンサ21xcの一端が接続され、またスイッチ素子21xの他端(ソース)はコンデンサ21xcの他端に接続されている。ダイオード21xdおよびコンデンサ21xcは、スイッチ素子21xのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路(下流側保護回路)を構成している。このスナバ回路におけるコンデンサ21xcの一端が抵抗器41xrおよび順方向のダイオード41xdを介して上記回収用コンデンサ50xの一端に接続されている。抵抗器41xrおよびダイオード41xdは、コンデンサ21xcに蓄えられたエネルギーを回収用コンデンサ50xに回収するエネルギー回収回路として機能する。
スイッチ素子22xの一端(ドレイン)はダイオード22xdのアノード側に接続され、このダイオード22xdのカソード側にコンデンサ22xcの一端が接続され、またスイッチ素子22xの他端(ソース)はコンデンサ22xcの他端に接続されている。ダイオード22xdおよびコンデンサ22xcは、スイッチ素子22xのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路(下流側保護回路)を構成している。このスナバ回路におけるコンデンサ22xcの一端が抵抗器42xrおよび順方向のダイオード42xdを介して上記回収用コンデンサ50xの一端に接続されている。抵抗器42xrおよびダイオード42xdは、コンデンサ22xcに蓄えられたエネルギーを回収用コンデンサ50xに回収するエネルギー回収回路として機能する。
スイッチ素子23xの一端(ドレイン)はダイオード23xdのアノード側に接続され、このダイオード23xdのカソード側にコンデンサ23xcの一端が接続され、またスイッチ素子23xの他端(ソース)はコンデンサ23xcの他端に接続されている。ダイオード23xdおよびコンデンサ23xcは、スイッチ素子23xのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路(下流側保護回路)を構成している。このスナバ回路におけるコンデンサ23xcの一端が抵抗器43xrおよび順方向のダイオード43xdを介して上記回収用コンデンサ50xの一端に接続されている。抵抗器43xrおよびダイオード43xdは、コンデンサ23xcに蓄えられたエネルギーを回収用コンデンサ50xに回収するエネルギー回収回路として機能する。
回収用コンデンサ50xの両端にエネルギー回収用の直流電源である例えばコンバータ51xが接続されている。コンバータ51xは、回収用コンデンサ50xの電圧を当該電流型変換器1Uの外部の動作用電圧(制御部10や他の負荷の動作用電圧)に変換し出力する。
各スナバ回路のダイオード11xd~13xd,21xd~23xdは、リカバリ損失が低いファストリカバリ特性を備えることが望ましく、例えば、リカバリ特性のよいショットキーバリア回収整流回路(SBD)やワイドバンドギャップ半導体(SiC、GaNなど)を利用した素子を使用することが望ましい。
なお、電流型変換器1Vは、電流型変換器1Uの上流側スイッチ回路Su(スイッチ素子11u~13u,21u~23u)、下流側スイッチ回路Sx(スイッチ素子11x~13x,21x~23x)、および周辺回路(各スナバ回路,回収用コンデンサ50u,コンバータ51u等)に対応する構成として、図示していないが、上流側スイッチ回路Sv(スイッチ素子11v~13v,21v~23v)、下流側スイッチ回路Sy(スイッチ素子11y~13y,21y~23y)、および周辺回路(各スナバ回路,回収用コンデンサ50v,コンバータ51v等)を備える。
同様に、電流型変換器1Wは、電流型変換器1Uの上流側スイッチ回路Su(スイッチ素子11u~13u,21u~23u)、下流側スイッチ回路Sx(スイッチ素子11x~13x,21x~23x)、および周辺回路(各スナバ回路,回収用コンデンサ50u,コンバータ51u等)に対応する構成として、図示していないが、上流側スイッチ回路Sw(スイッチ素子11w~13w,21w~23w)、下流側スイッチ回路Sz(スイッチ素子11z~13z,21z~23z)、およびその周辺回路(各スナバ回路,回収用コンデンサ50w,コンバータ51w等)を備える。
(制御部10の制御)
制御部10は、U相交流電流の正レベル期間において、上流側スイッチ回路Su2のスイッチ素子21u,22u,23uをオフした状態で、上流側スイッチ回路Su1のスイッチ素子11u,12u,13uを所定の順序で1つずつターンオンし、続いてスイッチ素子11u,12u,13uを所定の順序で1つずつターンオフする。例えば、最初にスイッチ素子11uをターンオンし、2番目にスイッチ素子12uをターンオンし、3番目にスイッチ素子13uをターンオンし、続いてスイッチ素子13uをターンオフし、次にスイッチ素子12uをターンオフし、最後にスイッチ素子11uをターンオフする。ターンオンの順序およびターンオフの順序について、限定はなく、要は1つずつのターンオンおよび1つずつのターンオフであればよい。
最初のスイッチ素子11uがターンオンすると、交流端子201からスイッチ素子21u,22u,23uのそれぞれ寄生ダイオードDを通る経路で相互接続点Tuに向け電流が流れ、その相互接続点Tuを経た電流がオン状態のスイッチ素子11uのドレイン・ソース間を通して流れる。このスイッチ素子11uを経た電流は、スイッチ素子12uに並列接続されているダイオード12udおよびコンデンサ12ucのスナバ回路を通り、さらにスイッチ素子13uに並列接続されているダイオード13udおよびコンデンサ13ucのスナバ回路を通り、正側端子202へと流れる。
2番目のスイッチ素子12uがターンオンすると、スイッチ素子11uを経た電流がオン状態のスイッチ素子12uのドレイン・ソース間を通して流れる。このスイッチ素子12uを経た電流は、スイッチ素子13uに並列接続されているダイオード13udおよびコンデンサ13ucのスナバ回路を通り、正側端子202へ流れる。
3番目のスイッチ素子13uがターンオンすると、スイッチ素子11u,12uを経た電流が、スイッチ素子13uのドレイン・ソース間を通って正側端子202へ流れる。
続いて、スイッチ素子13uがターンオフすると、スイッチ素子11u,12uを経た電流が、スイッチ素子13uに並列接続されているダイオード13udおよびコンデンサ13ucのスナバ回路を通り、正側端子202へ流れる。
次にスイッチ素子12uがターンオフすると、スイッチ素子11uを経た電流が、スイッチ素子12uに並列接続されているダイオード12udおよびコンデンサ12ucのスナバ回路を通り、さらにスイッチ素子13uに並列接続されているダイオード13udおよびコンデンサ13ucのスナバ回路を通り、正側端子202へ流れる。
最後にスイッチ素子11uがターンオフすると、相互接続点Tuを経た電流が、スイッチ素子11uに並列接続されているダイオード11udおよびコンデンサ11ucのスナバ回路を通り、さらにスイッチ素子12uに並列接続されているダイオード12udおよびコンデンサ12ucのスナバ回路を通り、さらにスイッチ素子13uに並列接続されているスナバ回路のダイオード13udおよびコンデンサ13ucを通り、正側端子202へ流れる。
上流側スイッチ回路Su1のスイッチ素子11uがターンオンしたとき、コンデンサ11ucの電圧が回収用コンデンサ50uの電圧より高ければ、コンデンサ11ucから抵抗器31urおよびダイオード41udを通して回収用コンデンサ50uに電流が流れ、回収用コンデンサ50uが充電される(コンデンサ11udに蓄えられたエネルギーが回収用コンデンサ50uに回収される)。上流側スイッチ回路Su1のスイッチ素子12uがターンオンしたとき、コンデンサ12ucの電圧が回収用コンデンサ50uの電圧より高ければ、コンデンサ12ucから抵抗器32urおよびダイオード42udを通して回収用コンデンサ50uに電流が流れ、回収用コンデンサ50uが充電される(コンデンサ12udに蓄えられたエネルギーが回収用コンデンサ50uに回収される)。上流側スイッチ回路Su1のスイッチ素子13uがターンオンしたとき、コンデンサ13ucの電圧が回収用コンデンサ50uの電圧より高ければ、コンデンサ13ucから抵抗器33urおよびダイオード43udを通して回収用コンデンサ50uに電流が流れ、回収用コンデンサ50uが充電される(コンデンサ13udに蓄えられたエネルギーが回収用コンデンサ50uに回収される)。回収用コンデンサ50uの電圧は、コンバータ51uにより、外部の動作用電圧に変換される。
また、制御部10は、U相交流電流の正レベル期間において、電流型変換器1U,1V,1Wにおける下流側スイッチ回路Sx1,Sy1,Sz1の各スイッチ素子をオフした状態で、下流側スイッチ回路Sx2,Sy2,Sz2のいずれか1つまたは2つにおける各スイッチ素子を所定の順序で1つずつターンオンし続いて所定の順序で1つずつターンオフする。
制御部10は、上記と同様のスイッチング制御を、電流型変換器1V,1Wに対しても実行する。
なお、U相交流電流の正レベル期間において、上流側スイッチ回路Su2のスイッチ素子21u,22u,23uをオフした状態で上流側スイッチ回路Su1のスイッチ素子11u,12u,13uを1つずつターンオンしかつ1つずつターンオフする制御について述べたが、MOSFETのようなユニポーラ素子は同期整流も可能であることを考慮すれば、その同期整流を行うために次の制御を採用してもよい。
すなわち、U相交流電流の正レベル期間において、上流側スイッチ回路Su1のスイッチ素子11u,12u,13uのターンオンが始まって上流側スイッチ回路Su2のスイッチ素子21u,22u,23uの各寄生ダイオードDに電流が流れ始めたところで上流側スイッチ回路Su2のスイッチ素子21u,22u,23uをターンオンし、上流側スイッチ回路Su1のスイッチ素子11u,12u,13uのターンオフが終わったところで上流側スイッチ回路Su2のスイッチ素子21u,22u,23uをターンオフする。上流側スイッチ回路Su1の各スイッチ素子と上流側スイッチ回路Su2の各スイッチ素子のどちらを先にオン/オフさせるかは、電流の流れ方向や他相との交流端子201の電圧の関係に応じて決まる。
(効果)
(1)交流端子201と正側端子202との間の上流側スイッチ回路Suに加わる電圧は、その上流側スイッチ回路Suの構成要素である上流側スイッチ回路Su1(スイッチ素子11u~13u)と上流側スイッチ回路Su2(スイッチ素子21u~23u)とに分圧される。電流型コンバータである電力変換装置1が1相変調または2相変調している場合、この分圧により、交流端子201から正側端子202に向かう電流の流れを制御する上流側スイッチ回路Su1(スイッチ素子11u~13u)の耐圧を上流側の上流側スイッチ回路Su2(スイッチ素子21u~23u)の耐圧よりも下げることができる。
上流側スイッチ回路Su1(スイッチ素子11u~13u)の耐圧を上流側スイッチ回路Su2(スイッチ素子21u~23u)の耐圧よりも下げることができるので、上流側スイッチ回路Su1のスイッチ素子11u~13uとして、上流側スイッチ回路Su2のスイッチ素子21u~23uよりも耐圧特性の低いものを採用することができる。これにより、コストの低減が図れる。
上流側スイッチ回路Su1(スイッチ素子11u~13u)の耐圧を第2上流側スイッチ回路Su2(スイッチ素子21u~23u)の耐圧よりも下げることができるので、上流側スイッチ回路Su1における各スイッチ素子の個数を上流側スイッチ回路Su2における各スイッチ素子の個数よりも少なくすることが可能である。これは、コストの低減および効率の向上につながる。
1相変調または2相変調している場合の電力変換装置1の動作条件として、次の2つがある。1つは各電流型変換器のうち相電圧が最も低い交流系統ラインに接続されている電力変換器の上流側スイッチ回路が必ずオフの状態であり、もう1つは各電流型変換器のうち相電圧が最も高い交流系統ラインに接続されている電力変換器の下流側スイッチ回路が必ずオフの状態である。
(2)上流側スイッチ回路Su1に加わる電圧がスイッチ素子11u~13uに分圧され、そのスイッチ素子11u~13uが1つずつ順にターンオンおよびターンオフするので、スイッチ素子11u~13uのターンオン時の損失(ターンオン損失)およびターンオフ時の損失(ターンオフ損失)を低減することができる。
(3)従来型の電流型コンバータのように、電流型変換器1Uの上流側スイッチ回路Suおよび下流側スイッチ回路Sxとしてそれぞれ1つのスイッチ素子を設け、電流型変換器1Vの上流側スイッチ回路Svおよび下流側スイッチ回路Syとしてそれぞれ1つのスイッチ素子を設け、電流型変換器1Wの上流側スイッチ回路Swおよび下流側スイッチ回路Szとしてそれぞれ1つのスイッチ素子を設ける構成の場合、次の不具合に対処する必要がある。
すなわち、電流型変換器1Uの上流側スイッチ回路Suがターンオフした際に電流型変換器1V,1Wの上流側スイッチ回路Sv,Swがオフしていると、電流の通流経路がなくなるため直流ラインLaの電位が大きく上昇して電流型変換器1U,1V,1Wの各スイッチ素子に過大な電圧が加わり、各スイッチ素子が破壊に至る可能性がある。
電流型変換器1Vの上流側スイッチ回路Svがターンオフした際に電流型変換器1U,1Wの上流側スイッチ回路Su,Swがオフしていると、電流の通流経路がなくなるため直流ラインLaの電位が大きく上昇して電流型変換器1U,1V,1Wの各スイッチ素子に過大な電圧が加わり、各スイッチ素子が破壊に至る可能性がある。
電流型変換器1Wの上流側スイッチ回路Swがターンオフした際に電流型変換器1U,1Vの上流側スイッチ回路Su,Svがオフしていると、電流の通流経路がなくなるため直流ラインLaの電位が大きく上昇して電流型変換器1U,1V,1Wの各スイッチ素子に過大な電圧が加わり、各スイッチ素子が破壊に至る可能性がある。
このような不具合を解消するめには、図3に示すように、電流型変換器1Uの上流側スイッチ回路Suがターンオフした際に電流型変換器1Vの上流側スイッチ回路Svがすでにオンの状態にあって電流の通流経路が確保され、電流型変換器1Vの上流側スイッチ回路Svがターンオフした際に電流型変換器1Wの上流側スイッチ回路Swがすでにオンの状態にあって電流の通流経路が確保され、電流型変換器1Wの上流側スイッチ回路Swがターンオフした際に電流型変換器1Uの上流側スイッチ回路Suがすでにオンの状態にあって電流の通流経路が確保されるよう、上流側スイッチ回路Su,Sv,Swのオン状態が互いに重なるオーバーラップ期間tをスイッチング制御において確保する必要がある。
電流型変換器1Uの下流側スイッチ回路Sxがターンオフした際に電流型変換器1Vの下流側スイッチ回路Syがすでにオンの状態にあって電流の通流経路が確保され、電流型変換器1Vの下流側スイッチ回路Syがターンオフした際に電流型変換器1Wの下流側スイッチ回路Szがすでにオンの状態にあって電流の通流経路が確保され、電流型変換器1Wの下流側スイッチ回路Szがターンオフした際に電流型変換器1Uの下流側スイッチ回路Sxがすでにオンの状態にあって電流の通流経路が確保されるよう、下流側スイッチ回路Sx,Sy,Szのオン状態が互いに重なるオーバーラップ期間tをスイッチング制御において確保する必要がある。
ただし、スイッチング制御がオーバーラップ期間tの確保に失敗した場合、各スイッチ素子の破壊を避けられない事態となる。
これに対し、本実施形態では、電流型変換器1Uにおける上流側スイッチ回路Suのスイッチ素子11u~13uのすべてのターンオフが終了した際に、スイッチ素子11u~13uと並列の各スナバ回路を通して電流の通流経路が確保される。したがって、上流側スイッチ回路Suのスイッチ素子11u~13uのすべてのターンオフが終了した際に電流型変換器1V,1Wにおける上流側スイッチ回路Sv,Swの各スイッチ素子がオフしていても、直流ラインLaの電位が大きく上昇することはない。
電流型変換器1Vにおける上流側スイッチ回路Svのスイッチ素子11v~13vのすべてのターンオフが終了した際に、スイッチ素子11v~13vと並列の各スナバ回路を通して電流の通流経路が確保される。したがって、上流側スイッチ回路Svのスイッチ素子11v~13vのすべてのターンオフが終了した際に電流型変換器1U,1Wにおける上流側スイッチ回路Su,Swの各スイッチ素子がオフしていても、直流ラインLaの電位が大きく上昇することはない。
電流型変換器1Wにおける上流側スイッチ回路Swのスイッチ素子11w~13wのすべてのターンオフが終了した際に、スイッチ素子11w~13wと並列の各スナバ回路を通して電流の通流経路が確保される。したがって、上流側スイッチ回路Swのスイッチ素子11w~13wのすべてのターンオフが終了した際に電流型変換器1U,1Vにおける上流側スイッチ回路Su,Svの各スイッチ素子がオフしていても、直流ラインLaの電位が大きく上昇することはない。
直流ラインLaの電位が大きく上昇しないので、電流型変換器1U,1V,1Wの各スイッチ素子に過大な電圧が加わることはなく、各スイッチ素子が破壊を回避することができる。
したがって、従来型の電流型コンバータのように、上流側スイッチ回路Su,Sv,Swのオン状態が互いに重なるオーバーラップ期間tを確保したり、下流側スイッチ回路Sx,Sy,Szのオン状態が互いに重なるオーバーラップ期間tを確保したりする必要がない。
すなわち、制御部10は、図4に示すように、上流側スイッチ回路Su,Sv,Swのそれぞれオン期間のオーバーラップ期間tを確保することなく移行し、かつ上流側スイッチ回路Sx,Sy,Szのそれぞれオン期間のオーバーラップ期間tを確保することなく移行することができる。これにより、制御部10の制御にかかる負担を軽減することができ、ひいては電力変換装置1としての信頼性の向上およびコストの低減につながる。
(4)上記のように、各スナバ回路を通して電流の通流経路を確保することでオーバーラップ期間tを確保する制御が不要になるが、各スナバ回路を通した電流の流れが継続することで、効率の低下を招く心配が生じる。
しかしながら、本実施形態では、電流型変換器1Uの各スナバ回路を通して流れる電流のエネルギーは、回収用コンデンサ50u,50xに回収される。回収されたエネルギーは、コンバータ51u,51xを介して各種動作用電圧として有効に利用される。同様に、電流型変換器1V,1Wの各スナバ回路を通して流れる電流のエネルギーは、回収用コンデンサ50v,50y,50w,50zおよびコンバータ51v,51y,51w,51zを介して各種動作用電圧として有効に利用される。
これら回収エネルギーの有効利用により、各スナバ回路を通して電流が流れ続けることによる効率の低下はほぼ生じない。
(5)本実施形態では、電流型変換器1Uにおける上流側スイッチ回路Suの3つのスイッチ素子11u~13uが1つずつ順次にターンオンする。スイッチ素子11u~13uの最初の1つがターンオンしたとき、電流型変換器1V,1Wの各スイッチ素子の寄生ダイオードDに加わる電圧は、上流側スイッチ回路Suのスイッチ素子11u~13uに加わっている電圧の1/3(=スイッチ素子11u~13uの個数分の1)と小さい。
同様に、電流型変換器1V,1Wにおける上流側スイッチ回路Su,Svの各スイッチ素子も1つずつ順次にターンオンするので、最初の1つのスイッチ素子がターンオンしたときに他の電流型変換器の各スイッチ素子の寄生ダイオードDに加わる電圧も小さい。
したがって、電流型変換器1U,1V,1Wにおける各スイッチ素子の寄生ダイオードDにおけるリカバリ損失を低減することができる。
[2]第2実施形態
第2実施形態における電力変換装置1の構成を図5に示す。この第2実施形態において、第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
電流型変換器1Uは、交流端子201、正側端子202、負側端子203、上流側スイッチ回路Su、下流側スイッチ回路Sxのほかに、エネルギー回収用の直流ラインLcに接続されるエネルギー回収端子204a,204b,204c、直流ラインLdに接続されるエネルギー回収端子205a,205b,205cを備える。
電流型変換器1Vは、交流端子201、正側端子202、負側端子203、上流側スイッチ回路Sv、下流側スイッチ回路Syのほかに、直流ラインLcに接続されるエネルギー回収端子204a,204b,204c、エネルギー回収用の直流ラインLdに接続されるエネルギー回収端子205a,205b,205cを備える。
電流型変換器1Wは、交流端子201、正側端子202、負側端子203、上流側スイッチ回路Sw、下流側スイッチ回路Szのほかに、直流ラインLcに接続されるエネルギー回収端子204a,204b,204c、直流ラインLdに接続されるエネルギー回収端子205a,205b,205cを備える。
電流型変換器1U,1V,1Wのそれぞれ正側端子202に回収用コンデンサ61の一端が接続され、その回収用コンデンサ61の他端が直流ラインLcに接続されている。回収用コンデンサ61は、第1実施形態における電流型変換器1U,1V,1Wの回収用コンデンサ50u,50v,50wの機能を1つで担う。
直流ラインLa,Lc間にエネルギー回収用の直流電源たとえばコンバータ63が接続されている。コンバータ63は、第1実施形態における電流型変換器1U,1V,1Wのコンバータ51u,51v,51wに相当するもので、回収用コンデンサ61の電圧を外部の動作用電圧(制御部10や他の負荷の動作用電圧)に変換し出力する。
電流型変換器1U,1V,1Wのそれぞれ負側端子203に回収用コンデンサ62の一端が接続され、その回収用コンデンサ62の他端が直流ラインLdに接続されている。コンバータ64は、第1実施形態における電流型変換器1U,1V,1Wのコンバータ51x,51y,51zに相当するもので、回収用コンデンサ62の電圧を外部の動作用電圧(制御部10や他の負荷の動作用電圧)に変換し出力する。
電流型変換器1U,1V,1Wは、互いに同一の構成を有する。このため、以下、電流型変換器1Uについてのみ説明し、電流型変換器1V,1Wについての説明は省略する。
電流型変換器1Uの具体的な構成を図6に示す。
(上流側スイッチ回路Suの構成)
交流端子201と正側端子202との間の上流側スイッチ回路Suは、上流側スイッチ回路Su1(スイッチ素子11u~13u)と、上流側スイッチ回路Su2に代わるダイオード65uとの直列接続により、交流端子201から正側端子202に向かう電流の経路を形成する単方向性スイッチとして機能する。ダイオード65uは、アノードが交流端子201に接続され、カソードがスイッチ素子11uの一端に接続されている。
スイッチ素子11uの一端(ドレイン)はコンデンサ11ucの一端に接続され、このコンデンサ11ucの他端にダイオード11udのアノード側が接続され、またスイッチ素子11uの他端(ソース)はダイオード11udのカソード側に接続されている。コンデンサ11ucおよびダイオード11udは、スイッチ素子11uのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路を構成している。そして、コンデンサ11ucおよびダイオード11udの相互接続点に抵抗器31urを介してダイオード31udのカソードが接続され、そのダイオード31udのアノードがエネルギー回収端子204aに接続されている。
スイッチ素子12uの一端(ドレイン)はコンデンサ12ucの一端に接続され、このコンデンサ12ucの他端にダイオード12udのアノード側が接続され、またスイッチ素子12uの他端(ソース)はダイオード12udのカソード側に接続されている。コンデンサ12ucおよびダイオード12udは、スイッチ素子12uのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路(保護回路)を構成している。そして、コンデンサ12ucおよびダイオード12udの相互接続点に抵抗器32urを介してダイオード32udのカソードが接続され、そのダイオード32udのアノードがエネルギー回収端子204bに接続されている。
スイッチ素子13uの一端(ドレイン)はコンデンサ13ucの一端に接続され、このコンデンサ13ucの他端にダイオード13udのアノード側が接続され、またスイッチ素子13uの他端(ソース)はダイオード13udのカソード側に接続されている。ダイオード13udおよびコンデンサ13ucは、スイッチ素子13uのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路を構成している。そして、コンデンサ13ucおよびダイオード13udの相互接続点に抵抗器33urを介してダイオード33udのカソードが接続され、そのダイオード33udのアノードがエネルギー回収端子204cに接続されている。
(下流側スイッチ回路Sxの構成)
負側端子203と交流端子201との間の下流側スイッチ回路Sxは、下流側スイッチ回路Sx2(スイッチ素子21x~23x)と、下流側スイッチ回路Sx1に代わるダイオード65xとの直列接続により、負側端子203から交流端子201に向かう電流の経路を形成する単方向性スイッチとして機能する。ダイオード65xは、アノードがスイッチ素子23xの他端に接続され、カソードが交流端子201に接続されている。
スイッチ素子21xの一端(ドレイン)はダイオード21xdのアノード側に接続され、このダイオード21xdのカソード側にコンデンサ21xcの一端が接続され、またスイッチ素子21xの他端(ソース)はコンデンサ21xcの他端に接続されている。ダイオード21xdおよびコンデンサ21xcは、スイッチ素子21xのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路を構成している。そして、コンデンサ21xcの一端が抵抗器21xrおよび順方向のダイオード21xdを介してエネルギー回収端子205cに接続されている。
スイッチ素子22xの一端(ドレイン)はダイオード22xdのアノード側に接続され、このダイオード22xdのカソード側にコンデンサ22xcの一端が接続され、またスイッチ素子22xの他端(ソース)はコンデンサ22xcの他端に接続されている。ダイオード22xdおよびコンデンサ22ucは、スイッチ素子22xのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路を構成している。そして、コンデンサ22xcの一端が抵抗器22xrおよび順方向のダイオード22xdを介してエネルギー回収端子205bに接続されている。
スイッチ素子23xの一端(ドレイン)はダイオード23xdのアノードに接続され、このダイオード23xdを介してコンデンサ23xcの一端が接続され、またスイッチ素子23xの他端(ソース)はコンデンサ23xcの他端に接続されている。ダイオード23xdおよびコンデンサ23xcは、スイッチ素子23xのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路を構成している。そして、コンデンサ23xcの一端が抵抗器23xrおよび順方向のダイオード23xdを介してエネルギー回収端子205aに接続されている。
第1実施形態の場合、上流側スイッチ回路Su2におけるスイッチ素子21u~23uの寄生ダイオードDが交流端子201から正側端子202に向け電流が流れる経路の構成要素となるのに対し、第2実施形態では、1つのダイオード65uが交流端子201から正側端子202に向け電流が流れる経路の構成要素となる。第1実施形態のスイッチ素子21u~23uが1つのダイオード65uに置き換わるので、その分、コストの低減が図れる。
また、第1実施形態の場合、下流側スイッチ回路Sx1におけるスイッチ素子11x~13xの寄生ダイオードDが負側端子203から交流端子201に向け電流が流れる経路の構成要素となるのに対し、第2実施形態では、1つのダイオード65xが負側端子203から交流端子201に向け電流が流れる経路の構成要素となる。スイッチ素子11x~13xが1つのダイオード65xに置き換わるので、その分、コストの低減が図れる。
第1実施形態の場合、電流型変換器1U,1V,1Wが回収用コンデンサ50u,50v,50w,50x,50y,50zを有する構成であったが、この第2実施形態では、回収用コンデンサ50u,50v,50w,50x,50y,50zの機能を2つの回収用コンデンサ61,62で担うので、コンデンサの個数が少なくなる分、コストの低減が図れる。
また、第1実施形態の場合、電流型変換器1U,1V,1Wがエネルギー回収用のコンバータ51u,51v,51w,51x,51y,51zを有する構成であったが、この第2実施形態では、コンバータ51u,51v,51w,51x,51y,51zの機能を2つのコンバータ63,64で担うので、コンバータの個数が少なくなる分、コストの低減が図れる。
他の構成および効果は第1実施形態と同じである。
[3]第3実施形態
上記第2実施形態における電流源Eの電流方向が図5に示す方向と反対となった場合の構成を第3実施形態として説明する。
電流源Eの電流方向が図5に示す方向と反対の場合、直流ラインLaが負側、直流ラインLbが正側、電流型変換器1U,1V,1Wのそれぞれ正側端子202が負側端子、電流型変換器1U,1V,1Wのそれぞれ負側端子203が正側端子として用いられる。
電流型変換器1Uの具体的な構成を図7に示す。
(上流側スイッチ回路Suの構成)
正側端子202と交流端子201との間の上流側スイッチ回路Suは、上流側スイッチ回路Su2(スイッチ素子21u~23u)と、上流側スイッチ回路Su1に代わるダイオード66uとの直列接続により、正側端子202から交流端子201に向かう電流の経路を形成する単方向性スイッチとして機能する。ダイオード66uは、アノードがスイッチ素子23uの他端(ソース)に接続され、カソードが交流端子201に接続されている。
スイッチ素子21uの一端(ドレイン)はダイオード21udのアノード側に接続され、このダイオード21udのカソード側にコンデンサ21ucの一端が接続され、またスイッチ素子21uの他端(ソース)はコンデンサ21ucの他端に接続されている。ダイオード21udおよびコンデンサ21ucは、スイッチ素子21uのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路を構成している。そして、コンデンサ21ucの一端が抵抗器41urおよび順方向のダイオード41udを介してエネルギー回収端子204cに接続されている。
スイッチ素子22uの一端(ドレイン)はダイオード22udのアノード側に接続され、このダイオード22udのカソード側にコンデンサ22ucの一端が接続され、またスイッチ素子22uの他端(ソース)はコンデンサ22ucの他端に接続されている。ダイオード22udおよびコンデンサ22ucは、スイッチ素子22uのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路を構成している。そして、コンデンサ22ucの一端が抵抗器42urおよび順方向のダイオード42udを介してエネルギー回収端子204bに接続されている。
スイッチ素子23uの一端(ドレイン)はダイオード23udのアノード側に接続され、このダイオード23udのカソード側にコンデンサ23ucの一端が接続され、またスイッチ素子23uの他端(ソース)はコンデンサ23ucの他端に接続されている。ダイオード23udおよびコンデンサ23ucは、スイッチ素子23uのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路を構成している。そして、コンデンサ23ucの一端が抵抗器43urおよび順方向のダイオード43udを介してエネルギー回収端子204aに接続されている。
(下流側スイッチ回路Sxの構成)
交流端子201と負側端子203との間の下流側スイッチ回路Sxは、下流側スイッチ回路Sx1(スイッチ素子11x~13x)と、下流側スイッチ回路Sx2に代わるダイオード66xとの直列接続により、交流端子201から負側端子203に向かう電流の経路を形成する単方向性スイッチとして機能する。ダイオード66xは、アノードが交流端子201に接続され、カソードがスイッチ素子21xの一端に接続されている。
スイッチ素子11xの一端(ドレイン)はコンデンサ11ucの一端に接続され、このコンデンサ11ucの他端にダイオード11udのアノード側が接続され、またスイッチ素子11uの他端(ソース)はダイオード11udのカソード側に接続されている。コンデンサ11xcおよびダイオード11xdは、スイッチ素子11xのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路を構成している。そして、コンデンサ11xcおよびダイオード11xdの相互接続点に抵抗器31xrを介してダイオード31xdのカソードが接続され、そのダイオード31xdのアノードがエネルギー回収端子205aに接続されている。
スイッチ素子12xの一端(ドレイン)はコンデンサ12ucの一端に接続され、このコンデンサ12ucの他端にダイオード12udのアノード側が接続され、またスイッチ素子12uの他端(ソース)はダイオード12udのカソード側に接続されている。コンデンサ12xcおよびダイオード12xdは、スイッチ素子12xのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路を構成している。そして、コンデンサ12xcおよびダイオード12xdの相互接続点に抵抗器32xrを介してダイオード32xdのカソードが接続され、そのダイオード32xdのアノードがエネルギー回収端子205bに接続されている。
スイッチ素子13xの一端(ドレイン)はコンデンサ13ucの一端に接続され、このコンデンサ13ucの他端にダイオード13udのアノード側が接続され、またスイッチ素子13uの他端(ソース)はダイオード13udのカソード側に接続されている。コンデンサ13xcおよびダイオード13xdは、スイッチ素子13xのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路を構成している。そして、コンデンサ13xcおよびダイオード13xdの相互接続点に抵抗器33xrを介してダイオード33xdのカソードが接続され、そのダイオード33xdのアノードがエネルギー回収端子205cに接続されている。
この第3実施形態では、1つのダイオード66uが正側端子202から交流端子201に向け電流が流れる経路の構成要素になるとともに、1つのダイオード66xが交流端子201から負側端子203に向け電流が流れる経路の構成要素となる。
他の構成および効果は、第2実施形態と同じである。
[4]第4実施形態
第4実施形態の構成を図8に示す。この第4実施形態において、第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図8に示すように、電流型変換器1U,1V,1Wの出力が供給される直流ラインLa,Lbの相互間に、第1実施形態の電流源Eに代えて電圧型インバータ2U,2V,2Wが接続されている。制御部10は、電流型変換器1U,1V,1Wのスイッチングおよび電圧型インバータ2U,2V,2Wのスイッチングを制御する。
電流型変換器1U,1V,1Wの構成は、第1実施形態と同じである。
電力変換装置1は、電流型変換器1U,1V,1Wに、電圧型インバータ2U,2V,2Wを組み合わせたいわゆるインダイレクトマトリックスコンバータである。
電圧型インバータ2U,2V,2Wは、電流型変換器1U,1V,1Wから直流ラインLa,Lbに供給される直流電力をU相,V相,W相の交流電力にそれぞれ変換しそれをモータ等の負荷300に供給する。
電圧型インバータ2Uは、負荷300に接続される交流端子211、直流ラインLaに接続される正側端子212、直流ラインLbに接続される負側端子213、その正側端子212と交流端子211との間に接続された上流側スイッチ回路(上アーム)Qu、交流端子211と負側端子213との間に接続された下流側スイッチ回路(下アーム)Qxを備える。
電圧型コンバータ2Vは、負荷300に接続される交流端子211、直流ラインLaに接続される正側端子212、直流ラインLbに接続される負側端子213、その正側端子212と交流端子211との間に接続された上流側スイッチ回路(上アーム)Qv、交流端子201と負側端子213との間に接続された下流側スイッチ回路(下アーム)Qyを備える。
電圧型コンバータ2Wは、負荷300に接続される交流端子211、直流ラインLaに接続される正側端子212、直流ラインLbに接続される負側端子213、その正側端子212と交流端子211との間に接続された上流側スイッチ回路(上アーム)Qw、交流端子211と負側端子213との間に接続された下流側スイッチ回路(下アーム)Qzを備える。
電圧型インバータ2U,2V,2Wは、互いに同一の構成を有する。このため、以下、電圧型インバータ2Uについてのみ説明し、電圧型インバータ2V,2Wについての説明は省略する。
電圧型インバータ2Uの具体的な構成を図9に示す。
(上流側スイッチ回路Quの構成)
正側端子212と交流端子211との間の上流側スイッチ回路Quは、複数のスイッチ素子71u,72u,73uの直列接続により構成され、これらスイッチ素子71u~73uのオンにより破線矢印で示すように正側端子212から交流端子211に向かう電流の経路を形成する。
スイッチ素子71u~73uは、スイッチ素子本体に逆並列接続された寄生ダイオードDを含み、オン時に一端(ドレイン)から他端(ソース)へと電流を流し、オフ時にその電流を遮断する半導体スイッチ素子たとえばMOSFETである。上流側スイッチ回路Quにおける各スイッチ素子の個数は、少なくとも2つ以上であればよい。
スイッチ素子71uの一端(ドレイン)はコンデンサ71ucの一端に接続され、このコンデンサ71ucの他端にダイオード71udのアノード側が接続され、またスイッチ素子71uの他端(ソース)はダイオード71udのカソード側に接続されている。コンデンサ71ucおよびダイオード71udは、スイッチ素子71uのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路を構成している。このスナバ回路におけるコンデンサ71ucの他端が抵抗器81urを介してダイオード81udのカソードに接続され、そのダイオード81udのアノードが後述する回収用コンデンサ(フローティングコンデンサともいう)80uxの一端に接続されている。
スイッチ素子72uの一端(ドレイン)はコンデンサ72ucの一端に接続され、このコンデンサ72ucの他端にダイオード72udのアノード側が接続され、またスイッチ素子72uの他端(ソース)はダイオード72udのカソード側に接続されている。コンデンサ72ucおよびダイオード72udは、スイッチ素子72uのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路を構成している。このスナバ回路におけるコンデンサ72ucの他端が抵抗器82urを介してダイオード82udのカソードに接続され、そのダイオード82udのアノードが回収用コンデンサ80uxの一端に接続されている。
スイッチ素子73uの一端(ドレイン)は回収用コンデンサ80uxの他端に接続され、スイッチ素子73uの他端(ソース)は交流端子211に接続されている。
(下流側スイッチ回路Qxの構成)
交流端子211と正側端子212との間の下流側スイッチ回路Qxは、複数のスイッチ素子71x,72x,73xの直列接続により構成され、これらスイッチ素子71x~73xのオンにより破線矢印で示すように交流端子211から負側端子213に向かう電流の経路を形成する。
スイッチ素子71x~73xも、スイッチ素子本体に逆並列接続された寄生ダイオードDを含み、オン時に一端(ドレイン)から他端(ソース)へと電流を流し、オフ時にその電流を遮断する半導体スイッチ素子たとえばMOSFETである。下流側スイッチ回路Qxにおける各スイッチ素子の個数は、少なくとも2つ以上であればよい。
スイッチ素子71xの一端(ドレイン)は交流端子211に接続され、スイッチ素子71xの他端(ソース)は回収用コンデンサ80uxの一端に接続されている。
スイッチ素子72xの一端(ドレイン)はダイオード72xdのアノード側に接続され、このダイオード72xdのカソード側にコンデンサ72xcの一端が接続され、またスイッチ素子72xの他端(ソース)はコンデンサ72xcの他端に接続されている。コンデンサ72xcおよびダイオード72xdは、スイッチ素子72xのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路を構成している。このスナバ回路におけるコンデンサ72xcの一端が抵抗器82xrおよび順方向のダイオード82xdを介して回収用コンデンサ80uxの他端に接続されている。
スイッチ素子73xの一端(ドレイン)はダイオード73xdのアノード側に接続され、このダイオード73xdのカソード側にコンデンサ73xcの一端が接続され、またスイッチ素子73xの他端(ソース)はコンデンサ73xcの他端に接続されている。コンデンサ73xcおよびダイオード73xdは、スイッチ素子73xのターンオフ時に生じる高電圧を吸収するスナバ回路を構成している。このスナバ回路におけるコンデンサ73xcの一端が抵抗器83xrおよび順方向のダイオード83xdを介して回収用コンデンサ80uxの他端に接続されている。
回収用コンデンサ80uxは、各スナバ回路のコンデンサに蓄えられたエネルギーを蓄え、それをスイッチ素子73u,71xのオンに伴い放電する。
なお、電圧型インバータ2Vは、電流型変換器1Uの上流側スイッチ回路Qu(スイッチ素子71u~73u)、下流側スイッチ回路Qx(スイッチ素子71x~73x)、および周辺回路(各スナバ回路,回収用コンデンサ80ux等)に対応する構成として、図示していないが、上流側スイッチ回路Qv(スイッチ素子71v~73v)、下流側スイッチ回路Qy(スイッチ素子71y~73y)、および周辺回路(各スナバ回路,回収用コンデンサ80vy等)を備える。
同様に、電流型変換器2Wは、電流型変換器1Uの上流側スイッチ回路Qu(スイッチ素子71u~73u)、下流側スイッチ回路Qx(スイッチ素子71x~73x)、および周辺回路(各スナバ回路,回収用コンデンサ80ux等)に対応する構成として、図示していないが、上流側スイッチ回路Qw(スイッチ素子71w~73w)、下流側スイッチ回路Qz(スイッチ素子71z~73z)、および周辺回路(各スナバ回路,回収用コンデンサ80wz等)を備える。
制御部10は、上流側スイッチ回路Quのオン期間において、スイッチ素子71u~73uを所定の順序で1つずつターンオンし、続いてスイッチ素子71u~73uを所定の順序で1つずつターンオフする。ターンオンの順序およびターンオフの順序について、限定はない。さらに、制御部10は、下流側スイッチ回路Qxのオン期間において、スイッチ素子71x~73xを所定の順序で1つずつターンオンし、続いてスイッチ素子71x~73xを所定の順序で1つずつターンオフする。ターンオンの順序およびターンオフの順序について、限定はない。
制御部10は、負荷300から回生エネルギーを取込むいわゆる回生モードに際し、電流型変換器1Uの上流側スイッチ回路Suおよび下流側スイッチ回路Sxを共にオンして直流ラインLa,Lbに電流が流出しないゼロ電流出力(電流型変換器1Vの上流側スイッチ回路Sv,Syおよび電流型変換器1Wの上流側スイッチ回路Sw,Szはオフの状態)の状態を設定し、このゼロ電流出力中に電圧型インバータ21U,2V,2Wをスイッチング(いわゆるゼロ電圧スイッチング)する。
ゼロ電流出力中は、直流ラインLa,Lbを介して電圧型インバータ21U,2V,2Wに加わる直流電圧がゼロ(零)となる。電圧型インバータ21U,2V,2Wに加わる直流電圧がゼロの状態で電圧型インバータ21U,2V,2Wの各スイッチ素子がオン,オフするのであれば、そのオン,オフに際しての短絡電流防止用のデッドタイムを省略できる。
つまり、電圧型インバータ21U,2V,2Wに加わる直流電圧がゼロの状態であれば、電圧型インバータ21U,2V,2Wにおける上流側スイッチ回路Qu,Qv,Qwのいずれか1つの相のスイッチ素子がオンした際に、電圧型インバータ21U,2V,2Wにおける下流側スイッチ回路Qx,Qy,Qzのいずれか1つの相のスイッチ素子がオンしても、その両スイッチ素子を通して短絡電流が流れることはない。短絡電流が流れないので、短絡電流防止用のデッドタイムを省略できる。
短絡電流防止用のデッドタイムを省略できるので、その分だけ制御部10の制御の負担を軽減することができる。制御の負担を軽減できるので、制御部10の簡略化およびその簡略化に伴うコスト低減が図れる。
他の構成および効果は第1実施形態と同じである。
[5]第5実施形態
上記第4実施形態における電圧型インバータ2U,2V,2Wの構成の変形例を第5実施形態として図10に示す。
電圧型インバータ2Uは、図10に示すように、交流端子211、正側端子212、負側端子213、上流側スイッチ回路Qu(スイッチ素子71u~73u)、および下流側スイッチ回路Qx(スイッチ素子71x~73x)を備えるだけで、各スナバ回路や回収用コンデンサは備えていない。電圧型インバータ2V,2Wも、電圧型インバータ2Uと同一の構成を有している。
制御部10は、第4実施形態の制御と同じく、負荷300から回生エネルギーを取込む際に、電流型変換器1Uの上流側スイッチ回路Suおよび下流側スイッチ回路Sxを共にオンして直流ラインLa,Lbに電流が流出しないゼロ電流出力(電流型変換器1Vの上流側スイッチ回路Sv,Syおよび電流型変換器1Wの上流側スイッチ回路Sw,Szはオフの状態)の状態を設定し、このゼロ電流出力中に電圧型インバータ21U,2V,2Wをスイッチング(いわゆるゼロ電圧スイッチング)する。
ゼロ電流出力中は、直流ラインLa,Lbを介して電圧型インバータ21U,2V,2Wに加わる直流電圧がゼロ(零)となる。電圧型インバータ21U,2V,2Wに加わる直流電圧がゼロの状態で電圧型インバータ21U,2V,2Wの各スイッチ素子がオン,オフするのであれば、各スイッチ素子に過電圧が印加されることはない。各スイッチ素子に過電圧が印加されないので、保護用の各スナバ回路や回収用コンデンサが不要である。保護用の各スナバ回路や回収用コンデンサが不要となる分、構成の簡略化およびコスト低減が図れる。
[6]第6実施形態
第6実施形態の構成を図11に示す。この第6実施形態において、第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図11に示すように、電流型変換器1U,1V,1Wの出力が供給される直流ラインLa,Lbの相互間に、第1実施形態の電流源Eに代えてマルチレベル変換器(MMC;Modular Multilevel Converter)3U,3V,3Wが接続されている。制御部10は、電流型変換器1U,1V,1Wのスイッチングおよびマルチレベル変換器3U,3V,3Wのスイッチングを制御する。
マルチレベル変換器3U,3V,3Wは、電流型変換器1U,1V,1Wから供給される直流電力により動作して所定周波数の3相交流電圧を生成し、それをモータ等の負荷300に供給する。
マルチレベル変換器3Uは、負荷300に接続される交流端子221、直流ラインLaに接続される正側端子222、直流ラインLbに接続される負側端子223、交流端子221と正側端子222との間にリアクトル90uを介して直列接続(カスケード接続)された複数の単位変換器(チョッパーセルともいう)91u,92u,93u、交流端子221と負側端子223との間にリアクトル90xを介して直列接続された複数の単位変換器91x,92x,93xを備える。単位変換器91u~93u,91x~93xは、それぞれが複数レベル(マルチレベル)の直流電圧を選択的に出力する。これら単位変換器の出力電圧を足し合わせることにより、交流電圧を生成し出力する。
単位変換器91uは、図12に示すように、一対の出力端子401,402、複数のスイッチ素子403,404、これらスイッチ素子403,404を介して各出力端子に接続されるコンデンサ405を含み、スイッチ素子403,404のオン,オフによる複数レベルの直流電圧を出力端子401,402間に出力する。他の単位変換器92u,93u,91x~93xも、この単位変換器91uと同じ構成である。
マルチレベル変換器3Vは、交流端子221、正側端子222、負側端子223、交流端子221と正側端子222との間にリアクトル90vを介して直列接続された複数の単位変換器91v,92v,93v、交流端子221と負側端子223との間にリアクトル90yを介して直列接続された複数の単位変換器91y,92y,93yを備える。単位変換器91v~93v,91y~93yは、それぞれが複数レベルの直流電圧を選択的に出力する。これら単位変換器の出力電圧を足し合わせることにより、交流電圧を生成し出力する。これら単位変換器の構成は単位変換器91uの構成と同じである。
マルチレベル変換器3Wは、交流端子221、正側端子222、負側端子223、交流端子221と正側端子222との間にリアクトル90wを介して直列接続された複数の単位変換器91w,92w,93w、交流端子221と負側端子223との間にリアクトル90zを介して直列接続された複数の単位変換器91z,92z,93zを備える。単位変換器91w~93w,91z~93zは、それぞれが複数レベルの直流電圧を選択的に出力する。これら単位変換器の出力電圧を足し合わせることにより、交流電圧を生成し出力する。これら単位変換器の構成は単位変換器91uの構成と同じである。
他の構成および効果は、第1実施形態と同じである。
[7]第7実施形態
第7実施形態の構成を図13に示す。この第4実施形態において、第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
電流型変換器1U,1V,1Wの出力が供給される直流ラインLa,Lbの相互間に、第1実施形態の電流源Eに代わる電流型インバータ4U,4V,4Wがリアクトル501,502を介して接続されている。制御部10は、電流型変換器1U,1V,1Wのスイッチングおよび電流型インバータ4U,4V,4Wのスイッチングを制御する。
電流型変換器1U,1V,1Wの構成は、第1実施形態と同じである。
電流型インバータ4U,4V,4Wは、電流型変換器1U,1V,1Wと同じ構成のものを電流型インバータとして用いている。
他の構成および効果は第1実施形態と同じである。
以上、第1~第7実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。