JP7274906B2 - 自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた耐食性を有する自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板に関する。
自動車排気系部品用ステンレス鋼板としては、439に代表されるフェライト系ステンレス鋼が使用される。しかし、屋外に曝されたステンレス鋼板は、自動車の販売に至るまでの期間に飛来した鉄粉(以下、「飛来鉄粉」という。)に起因するもらいさびなどの初期さびにより、外観が劣化する場合がある。
このような初期さびを、ステンレス鋼板の美麗な外観を損ねることなく防止する方法としては、一般にステンレス鋼板の表面にクリア塗装を施すことが知られている。
クリア塗装が施されたステンレス鋼板(以下、「クリア塗装ステンレス鋼板」という。)の耐食性を向上させる方法としては、クリア塗料に防錆顔料を添加する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。防錆顔料を用いる方法は、一般的な塗料に対しては有効な方法である。しかしながら、防錆顔料自体の透明性が低いため、クリア塗料に防錆顔料を添加すると、得られるクリア塗膜が濁った外観もしくは曇ったような外観となる。その結果、ステンレス鋼板の表面の外観を活かした高意匠という特性が損なわれる。また、飛来鉄粉に起因するもらいさびに関しては、防錆顔料の有無に関わらず、クリア塗膜上の鉄粉がさびることにより、ステンレス鋼板の表面の外観が損なわれる。
飛来鉄粉の付着を防止した塗装ステンレス鋼板としては、指紋や汚れが付き難い塗装を施したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、特許文献2の塗装ステンレス鋼板は、クリア塗膜の表面における水との接触角が60°未満であるため、水に濡れ易かった。そのため、特許文献2の塗装ステンレス鋼板は、塗膜上に水が滞留して、塗膜内に水が浸透し、耐食性が低下する懸念があった。さらに、自動車排気系部品では、パイプ内面に、自動車排ガスの結露による硫酸イオン(SO 2-)や、塩化物イオン(Cl)を含む凝縮水が生じる。この凝縮水を含む環境は、厳しい腐食環境であるため、パイプの腐食によりパイプ内面に穴が空くことが懸念される。
特許第4027848号公報 特開平11-10795号公報
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、自動車排気系部品用途における耐初期さび性に優れる自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]ステンレス鋼板と、該ステンレス鋼板の少なくとも一方の面に形成され、平均膜厚が2.00μm以上10.00μm以下のクリア塗装皮膜と、を有し、前記クリア塗装皮膜の表面は凹凸面であり、該凹凸面において隣り合う2つの凸部の間隔が50μm以上500μm以下であり、前記凹凸面において隣り合う凸部と凹部の高低差が2.00μm以下であり、前記クリア塗装皮膜の表面における、液滴量が1.8μLである水または海水との接触角が90°以上である自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板。
[2]前記クリア塗装皮膜が有機物粒子を含む[1]に記載の自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板。
本発明によれば、自動車排気系部品用途における耐初期さび性に優れる自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板を提供することができる。
本発明の自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板の一実施形態の概略構成を示す断面図である。 本発明の自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板の一実施形態における、クリア塗装皮膜の表面の走査型電子顕微鏡像である。
以下、本発明の自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板の実施の形態について説明する。
[自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板]
図1は、本実施形態の自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板の概略構成を示す断面図である。なお、以下の説明において、「自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板」を、「クリア塗装ステンレス鋼板」と略すこともある。
図1に示すように、本実施形態のクリア塗装ステンレス鋼板10は、ステンレス鋼板20と、ステンレス鋼板20の一方の面(上面)20aに形成されたクリア塗装皮膜30と、を有する。
「ステンレス鋼板」
ステンレス鋼板20の種類は、特に限定されず、例えば、SUS430、SUS430LX、SUS304、SUS316、SUS317J、SUS445J1、SUS445J2、SUS447J1などからなる鋼板が挙げられる。これらの中でも、屋外での使用においては、耐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼SUS304、SUS316、SUS317Jや、耐食性に優れた二相ステンレス鋼、オーステナイト系と比較して熱膨張性が少ないため、近年、大型屋根に多く採用されている、高Cr、高Mo添加フェライト系ステンレス鋼SUS445J1、SUS445J2、SUS447J1などからなる鋼板が好ましい。
ステンレス鋼板20の表面仕上げ、すなわち、ステンレス鋼板20の一方の面20aおよび他方の面(下面)20bの表面仕上げは、特に限定されず、例えば、2B、2D、HLなどである。
ステンレス鋼板20の厚み(板厚)は、特に限定されないが、例えば、自動車排気系部品用途では、0.1mm以上10.0mm以下であることが好ましい。
「クリア塗装皮膜」
クリア塗装皮膜30の平均膜厚は、2.00μm以上10.00μm以下である。
クリア塗装皮膜30の平均膜厚が2.00μm未満の場合、自動車排気ガスの熱により、クリア塗装皮膜30が変質し、クリア塗装皮膜30による撥水効果が発揮されない。一方、クリア塗装皮膜30の平均膜厚が10.00μmを超える場合、自動車排気ガスの熱により、クリア塗装皮膜30の色調が不均一となり、外観が損なわれる。
図1に示すように、クリア塗装皮膜30の表面(ステンレス鋼板20と接する面とは反対側の面、上面)30aは、凹凸面である。すなわち、クリア塗装皮膜30の表面30aは、複数の凸部31と凹部32を有する凹凸面である。
クリア塗装皮膜30の平均膜厚は、クリア塗装ステンレス鋼板10の厚さ方向の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより測定される。クリア塗装皮膜30において、凹部32の最も深い点32aからステンレス鋼板20の一方の面20aまでの距離t1を3点測定し、その3点の平均値をクリア塗装皮膜30の平均膜厚とする。
クリア塗装皮膜30の表面30aの凹凸面において、隣り合う2つの凸部31の間隔d1、すなわち、隣り合う2つの凸部31の頂点(凸部31における最も高い点)31aの間隔d1が、50μm以上500μm以下であることが好ましい。
隣り合う2つの凸部31の間隔d1が前記の範囲内であれば、後述する塩の析出によるクリア塗装皮膜30の劣化を防止することができる。また、隣り合う2つの凸部31の間隔d1が500μmを超えると、クリア塗装皮膜30の表面の色調が不均一となり、外観が損なわれる。
ここで、クリア塗装皮膜30の表面30aの走査型電子顕微鏡像を図2に示す。
クリア塗装皮膜30の表面30aにおいて、隣り合う2つの凸部31の間隔d1は、マイクロスコープを用いて、クリア塗装皮膜30の表面30aを観察することにより測定される。
上記の凹凸面において、隣り合う凸部31と凹部32の高低差h1、すなわち、凸部31の頂点31aと凹部32の最も深い点32aの高低差h1が2.00μm以下であることが好ましい。
隣り合う凸部31と凹部32の高低差h1が前記の範囲内であれば、後述する塩の析出によるクリア塗装皮膜30の劣化を防止することができる。また、隣り合う凸部31と凹部32の高低差h1が2.00μmを超えると、クリア塗装皮膜30の表面の色調が不均一となり、外観が損なわれる。
クリア塗装皮膜30の表面30aにおいて、隣り合う凸部31と凹部32の高低差h1は、レーザー顕微鏡を用いて、クリア塗装皮膜30の表面30aを観察することにより測定される。
クリア塗装皮膜30の表面30aにおける、純水、ハロゲン化物水溶液または海水との接触角が90°以上であることが好ましい。
クリア塗装皮膜30の表面30aにおける、純水、ハロゲン化物水溶液または海水との接触角が90°以上であれば、クリア塗装皮膜30の表面30aに純水、ハロゲン化物水溶液または海水などの液滴が滞留することがなく、後述する塩の析出によるクリア塗装皮膜30の劣化を防止することができる。
クリア塗装皮膜30の表面30aにおける、純水、ハロゲン化物水溶液または海水との接触角は、接触角計を用いて、25℃で測定される。クリア塗装皮膜30の表面30aにおいて、接触角を10点測定し、その平均値をクリア塗装皮膜30の表面30aの接触角とする。
次に、上記の凹凸における、隣り合う2つの凸部31の間隔d1、および、隣り合う凸部31と凹部32の高低差h1の限定理由を説明する。
一般にクリア塗装皮膜は、疎水性を有し、塗装表面は水や水溶液に対し撥水する。さらに、クリア塗装皮膜は、塗装表面の凹凸が大きい程、すなわち、塗装表面の粗さが大きくなる程、撥水性が向上する。本実施形態のクリア塗装ステンレス鋼板10では、隣り合う凸部31と凹部32の高低差h1が大きい程、撥水性が向上する。本実施形態において重要な耐初期さび性と撥水性については、撥水性が高い程、ステンレス鋼板20への水溶液の付着頻度が抑制され、クリア塗装皮膜30の劣化が抑制される。クリア塗装皮膜30の劣化は、ステンレス鋼板20への水溶液の到達を容易にし、ステンレス鋼板20の腐食を促進する。そのため、クリア塗装皮膜30の撥水性の向上は、耐初期さび性の向上に有効である。また、飛来鉄粉等に起因するもらいさびについても撥水性が高い程、洗い流し効果により鉄粉の付着を抑制できるため、もらいさびに起因する初期さびについても、撥水性の向上が有効である。また、本発明者らは、上記撥水性の臨界は、クリア塗装皮膜30の表面30aにおける、純水、ハロゲン化物水溶液または海水との接触角が90°以上であることを見出した。
一方、クリア塗装ステンレス鋼板の耐食性を向上する観点においては、海水や凝縮水のような塩化物イオンを含む水溶液が最も厳しい腐食環境と考えられる。海水は乾燥時に塩化ナトリウム(NaCl)などの塩を生成し、この塩がクリア塗装皮膜の表面の凹凸に入り込み、クリア塗装皮膜の劣化を促進する。
そこで、本実施形態のクリア塗装ステンレス鋼板10では、塩の析出によるクリア塗装皮膜30の劣化を防止するために、隣り合う2つの凸部31の間隔d1、および、隣り合う凸部31と凹部32の高低差h1を上記の範囲に規定する。
クリア塗装皮膜30の樹脂成分としては、特に限定されないが、フッ素、ウレタン、シリコーン、シリコーンポリエステル、アクリルなど、広く外装建材用に用いられる透明塗料に含まれる樹脂を使用することができる。クリア塗装皮膜30の形成に用いる塗料は、水性系または有機溶剤系のいずれであってもよい。
クリア塗装皮膜30は、有機物粒子を含んでいてもよい。言い換えれば、クリア塗装皮膜30内には、有機物粒子が分散していてもよい。
有機物粒子の大きさ、含有量、種類は、クリア塗装皮膜30の透明性を著しく阻害するものでなければ、特に限定されない。
本実施形態において使用することが好ましい有機物粒子としては、潤滑剤として利用されているワックス類や金属石鹸が挙げられる。
ワックス類としては、例えば、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス、テフロン(登録商標)ワックスなどが挙げられる。
金属石鹸としては、例えば、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、ラウリン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩などが挙げられる。
上記のワックス類や金属石鹸以外の有機物粒子も、使用できる。
また、有機物粒子は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
クリア塗装皮膜30における有機物粒子の含有量は、特に限定されず、クリア塗装皮膜30の樹脂成分などに応じて、適宜調整する。
クリア塗装皮膜30が上記の有機物粒子を含むことにより、クリア塗装皮膜30の耐食性が向上する。
クリア塗装皮膜30は、有機物粒子に加えて、意匠性を付与する目的でシリカやチタニアなどの顔料を含んでいてもよい。これらの顔料がクリア塗装皮膜30に過剰に含まれると、ステンレス鋼板特有の外観が損なわれることがある。また、外観を損なわない程度に、クリア塗装皮膜30に微量の顔料が含まれていても、使用時にチョーキングといわれる白化により外観が劣化する可能性がある。そこで、クリア塗装皮膜30における顔料の含有量は、チョーキングを生じない範囲とする。
「自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板の製造方法」
本実施形態の自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板の製造方法は、例えば、樹脂液 (クリア塗装皮膜30の樹脂成分を含む溶液もしくはエマルジョン)を含む塗料を調製する工程と、前記の塗料を、ダル仕上げされたステンレス鋼板20の一方の面20aに塗装して塗膜を形成する工程と、前記の塗膜を乾燥し、硬化して、ステンレス鋼板20の一方の面20aにクリア塗装皮膜30を形成する工程と、を有する。この自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板の製造方法により、自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板が製造される。
上記の塗料は、上記の有機物粒子を含んでいてもよい。
塗料に含まれる樹脂固形分に対する有機物粒子の含有量を調整することにより、クリア塗装皮膜30を構成する樹脂に対する有機物粒子の含有量を調整することができる。
塗料が上記の有機物粒子を含む場合、ステンレス鋼板20の一方の面20aに塗料を塗装する前に、適当な攪拌手段によって、塗料に有機物粒子を十分に分散させることが好ましい。
ステンレス鋼板20の一方の面20aへの塗料の塗装方法は、特に限定されない。塗装方法としては、例えば、ロールコーター、バーコーター、スプレー、カーテンフローコーター、刷毛などを用い、所定の膜厚が得られる方法が挙げられる。これらの塗装方法により、ステンレス鋼板20の一方の面20aへ塗料を塗布した後、常温乾燥やオーブン、加熱炉などで乾燥し、クリア塗装皮膜30を形成する。必要に応じて、焼付けを行ってもよい。クリア塗装皮膜30の表面30aの凹凸面の形状を精密に制御する場合には、ロールコーターやバーコーター等を使用することが有効である。
図1に示すように、本実施形態の自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板10では、外面に向けられるステンレス鋼板20の一方の面20aのみにクリア塗装皮膜30が形成されている場合を例示したが、本実施形態の自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板10はこれに限定されない。本実施形態の自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板10は、ステンレス鋼板20の一方の面20aおよび他方の面20bの両面に、クリア塗装皮膜30が形成されていてもよい。ステンレス鋼板20の一方の面20aのみにクリア塗装皮膜30が形成される場合、ステンレス鋼板20の他方の面20bには皮膜が形成されていなくてもよく、あるいは、クリア塗装皮膜以外の適当な皮膜、例えば、有機物粒子を含有しない透明樹脂皮膜または着色顔料を含有する着色樹脂皮膜が形成されていてもよい。
ステンレス鋼板の下地処理は必須ではないが、下地処理により耐食性と塗膜との密着性を改善することができるため、金属板の塗装では一般に下地処理が採用されている。本実施形態の自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板10では、ステンレス鋼板20の一方の面20aや他方の面20bに、クロメート処理またはクロムフリーの下地処理を施すことにより、ステンレス鋼板20の耐食性を向上するとともに、ステンレス鋼板20とクリア塗装皮膜30の密着性を向上することが可能である。
本実施形態の自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板によれば、自動車排気系部品用途における耐初期さび性を向上することができる。
本発明の効果を詳細に確認するため、以下の実験を行った。なお、本実施例は、本発明の一実施例を示すものであり、本発明は以下の構成に限定されるものではない。
[実験例]
ステンレス鋼板としては、板厚1.0mmのSUS304の2B製品を用いた。
ステンレス鋼板の一方の面に、市販のアクリル系塗料(商品名:アクリルクラッカーECO透明クリヤー、サンデーペイント社製)を塗布した。
アクリル系塗料の塗布には、バーコーターとロールコーターを用いて、表1に示すクリア塗装皮膜の平均膜厚(μm)、隣り合う2つの凸部の間隔(μm)、凸部と凹部の高低差(μm)になるように塗膜を形成した。
その後、120℃で60秒の焼付けを行って、クリア塗装皮膜を有するステンレス鋼板(クリア塗装ステンレス鋼板)を作製した。
なお、表1において、実験例1~実験例5は、クリア塗装皮膜の平均膜厚が2.00μm以上10.00μm以下、クリア塗装皮膜の凹凸面において隣り合う2つの凸部の間隔が50μm以上500μm以下、クリア塗装皮膜の凹凸面において隣り合う凸部と凹部の高低差が2.00μm以下、および、クリア塗装皮膜の表面における純水との接触角が90°以上であることを全て満たす、本発明の実施例のクリア塗装ステンレス鋼板を示す。
また、表1において、実験例6~実験例21は、クリア塗装皮膜の平均膜厚が2.00μm以上10.00μm以下、クリア塗装皮膜の凹凸面において隣り合う2つの凸部の間隔が50μm以上500μm以下、クリア塗装皮膜の凹凸面において隣り合う凸部と凹部の高低差が2.00μm以下、および、クリア塗装皮膜の表面における純水との接触角が90°以上であることの少なくとも1つを満たさない、本発明の比較例のクリア塗装ステンレス鋼板を示す。
バーコーターとロールコーターを用いてアクリル系塗料を塗布する際に、塗布速度を変えることにより、隣り合う2つの凸部の間隔や、隣り合う凸部と凹部の高低差を調整する。塗布速度を上げると、隣り合う2つの凸部の間隔を広くし、隣り合う凸部と凹部の高低差を大きくすることができる。さらに、アクリル系塗料を重ね塗りすることによっても、隣り合う2つの凸部の間隔や、隣り合う凸部と凹部の高低差を調整することができる。
[評価]
実験例1~実験例21で得られたクリア塗装ステンレス鋼板について、「クリア塗装皮膜の平均膜厚」、「隣り合う2つの凸部の間隔」、「隣り合う凸部と凹部の高低差」、「接触角(撥水性)」、および、「耐食性」を評価した。
(クリア塗装皮膜の平均膜厚)
クリア塗装皮膜の平均膜厚を、クリア塗装ステンレス鋼板の厚さ方向の断面を、走査型電子顕微鏡(商品名:JSM-6490A、日本電子社製)で観察することにより測定した。クリア塗装皮膜において、凹部の最も深い点からステンレス鋼板の一方の面までの距離を3点測定し、その平均値をクリア塗装皮膜の平均膜厚とした。
平均膜厚が2.00μm未満の場合、自動車排気ガスの熱の影響により、クリア塗装皮膜が変質し、クリア塗装皮膜の撥水性が劣化するため、不合格とした。また、平均膜厚が10.00μmを超える場合、後述する熱処理後のクリア塗装皮膜の色調が不均一となり、クリア塗装ステンレス鋼板の外観が損なわれるため、不合格とした。結果を表1に示す。
(隣り合う2つの凸部の間隔)
クリア塗装皮膜の表面において、隣り合う2つの凸部の間隔を、マイクロスコープ(商品名:VHX-5000、キーエンス社製)を用いて、クリア塗装皮膜の表面を観察することにより測定した。
隣り合う2つの凸部の間隔が50μm未満の場合、塩化物水溶液中のNaClが析出し、クリア塗装皮膜が破壊され、クリア塗装皮膜が劣化し、耐食性が劣化するため、不合格とした。また、隣り合う2つの凸部の間隔が500μmを超える場合、後述する熱処理後のクリア塗装皮膜の色調が不均一となり、クリア塗装ステンレス鋼板の外観が損なわれるため、不合格とした。結果を表1に示す。
(隣り合う凸部と凹部の高低差)
クリア塗装皮膜の表面において、隣り合う凸部と凹部の高低差を、レーザー顕微鏡(商品名:VK-8500、キーエンス社製)を用いて、クリア塗装皮膜の表面を観察することにより測定した。
隣り合う凸部と凹部の高低差が2μmを超えると、後述する熱処理後のクリア塗装皮膜の色調が不均一となり、クリア塗装ステンレス鋼板の外観が損なわれるため、不合格とした。結果を表1に示す。
(接触角)
クリア塗装皮膜の表面に1.8μLの純水を滴下し、接触角計(商品名:DMs-401、協和界面化学社製)を用いて、25℃で、クリア塗装皮膜の表面における純水の接触角を測定した。クリア塗装皮膜の表面において、接触角を10点測定し、その平均値をクリア塗装皮膜の表面の接触角とした。
接触角が90°未満の場合、クリア塗装皮膜の表面に純水の液滴が滞留し、クリア塗装皮膜の劣化を早め、クリア塗装ステンレス鋼板の耐食性が劣化するため、不合格とした。結果を表1に示す。
(熱処理)
実験例1~実験例21で得られたクリア塗装ステンレス鋼板を、自動車の排気ガスによる熱の影響を模擬するために、大気中において400℃で8時間、熱処理した。
(耐食性)
実験例1~実験例21で得られたクリア塗装ステンレス鋼板の耐食性を評価した。
熱処理後の塗装ステンレス鋼板について、JASO-M609に準拠した乾湿繰り返し試験を50サイクル行い、試験後のクリア塗装ステンレス鋼板の外観を目視により観察した。ここで、さび部と健全部(腐食していない部分)を二値化し、画像処理によって、さび部の面積率を判定した。クリア塗装ステンレス鋼板の表面において、さび部の面積率が5%未満を合格「○」、5%以上を不合格「×」とした。結果を表1に示す。
Figure 0007274906000001
クリア塗装ステンレス鋼板の長手方向および幅方向のそれぞれにおいて、外観均一性を目視にて観察し、両方向ともに発色ムラが確認されなったものを、外観均一性(色調の均一性)が良好であり、合格とした。クリア塗装ステンレス鋼板の長手方向および幅方向のそれぞれにおいて、外観均一性を目視にて観察し、長手方向および幅方向の少なくとも一方において、発色ムラが確認されたものは、外観均一性(色調の均一性)が不良であり、不合格とした。
また、表1において、耐食性と外観均一性の両方が合格の場合に、総合判定を「○」、耐食性および外観均一性の少なくとも一方が不合格の場合に、総合判定を「×」とした。
表1の結果から、実験例1~実験例5のクリア塗装ステンレス鋼板は、耐食性および外観均一性に優れることが分かった。
一方、実験例6~実験例21のクリア塗装ステンレス鋼板は、耐食性および外観均一性の少なくとも一方が劣ることが分かった。
本発明の自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板は、耐食性および外観均一性に優れるため、自動車排気系部品用途に好適である。
10 自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板(クリア塗装ステンレス鋼板)
20 ステンレス鋼板
30 クリア塗装皮膜

Claims (2)

  1. ステンレス鋼板と、該ステンレス鋼板の少なくとも一方の面に形成され、平均膜厚が2.00μm以上10.00μm以下のクリア塗装皮膜と、を有し、
    前記クリア塗装皮膜の表面は凹凸面であり、該凹凸面において隣り合う2つの凸部の間隔が50μm以上500μm以下であり、
    前記凹凸面において隣り合う凸部と凹部の高低差が2.00μm以下であり、
    前記クリア塗装皮膜の表面における、液滴量が1.8μLである水または海水との接触角が90°以上であることを特徴とする自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板。
  2. 前記クリア塗装皮膜が有機物粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の自動車排気系部品用クリア塗装ステンレス鋼板。
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