JP7274681B2 - 海底海中構造物、及び、その製造方法 - Google Patents

海底海中構造物、及び、その製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、海底海中構造物、及び、その製造方法に関する。特に、海中及び海底の探査を行う海中探査機の通信基点や補給基点になる多目的の海底海中構造物、及び、その製造方法に関するものである
以下の特許文献1には、海中探査機の通信基点や補給基点になる海底探査ステーション(海底海中構造物)が開示されている。この海底探査ステーションでは、海中探査機の運用効率を高めるために、海中探査機に実装されているバッテリに対する充電機能を有しており、バッテリ容量が少ない海中探査機を自ステーションまでナビゲーションして、その海中探査機とドッキングし、ドッキング後にバッテリの充電や交換を行う。また、海底探査ステーションと海中探査機との間で探査データの授受をレーザー送受信により行う。なお、海底探査ステーションは、陸上のステーションや海上の母船等とケーブルで連結されており、設置位置が固定されている。
特開平5-286487号公報
上記特許文献1に開示されているような海底探査ステーションは、海底探査を効率的に行う上で必要不可欠な構造物であるが、上記特許文献1においては、当該ステーションの具体的構造に関しては概念的な開示がされているのみであり、具体的な構造については詳細に開示されておらず、海底探査ステーションの構造としてどのような構造が好ましいのか全く不明である。
また、例えば、深度5000mを超える超深海層に海底探査ステーションを設置するような場合には、当該海底探査ステーションに対して、極めて高い水圧に長期間にわたって耐える構造であることが要求されるが、このような要求に応える海底海中構造物については未だ開発段階であるのが実情である。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、例えば、深度5000mを超える超深海層に長期間安定して設置可能な海底探査ステーションとして使用することができる海底海中構造物、及び、当該海底海中構造物を簡便に製造することができる方法の提供を目的とする。
本発明の上記目的は、海底海中構造物であって、内部空間を形作る壁体を備えており、前記壁体は、前記内部空間側に配置され、前記内部空間を画定可能な中空状の金属製の内殻体と、前記内殻体に対して所定間隔離間した状態で、かつ、前記内殻体を取り囲んで前記内殻体との間に密閉空間を形成する中空状の金属製の外殻体と、前記内殻体及び前記外殻体との間に形成される前記密閉空間内に充填されるセメントベースの建設材料とを備えることを特徴とする海底海中構造物により達成される。
また、この海底海中構造物において、前記内殻体と前記外殻体との間に設置され、前記内殻体と前記外殻体とを互いに連結する連結部材を備えていることが好ましい。
また、前記連結部材は、長尺状に形成されており、その一方端が、前記外殻体に形成された貫通孔に挿入された状態で固定されることが好ましい。
また、本発明の上記目的は、海底海中構造物の製造方法であって、内部空間を有する中空状の金属製の内殻体を製造する内殻体形成ステップと、前記内殻体に対して所定間隔離間した状態で、かつ、前記内殻体を取り囲んで前記内殻体との間に隙間部を形成可能な中空状の金属製の外殻体を構成する分割構造の複数の外殻体パーツを形成する外殻体パーツ形成ステップと、前記内殻体の外表面との間に所定間隔の隙間部を設けた状態で、前記複数の外殻体パーツを前記内殻体の外側に接続して、前記内殻体を内側に配置する外殻体を形成する外殻体接続ステップと、前記内殻体及び前記外殻体の間の前記隙間部にセメントベースの建設材料を充填するセメントベース建設材料充填ステップと、を備えることを特徴とする海底海中構造物の製造方法により達成される。
この海底海中構造物の製造方法において、外殻体接続ステップは、前記内殻体と前記外殻体パーツとを連結部材によって互いに接続する外殻体パーツ連結ステップを備えていることが好ましい。
本発明によれば、例えば、深度5000mを超える超深海層に長期間安定して設置可能な海底探査ステーションとして使用することができる海底海中構造物、及び、当該海底海中構造物を簡便に製造することができる方法を提供することができる。
(a)は、本発明に係る海底海中構造物の正面図であり、図1(b)は、図1(a)の矢視A方向から見た平面図、図1(c)は、図1(b)の矢視B方向から見た底面図である。 図1(a)におけるC-C断面を示す概略構成断面図である。 図2におけるD-D断面を示す概略構成断面図である。 本発明に係る海底海中構造物が有する連結部材を説明するための説明図である。 本発明に係る海底海中構造物の製造方法に関するブロック図である。 本発明に係る海底海中構造物の製造方法が備える内殻体形成ステップを説明するための説明図である。 本発明に係る海底海中構造物の製造方法が備える外殻体パーツ形成ステップ、及び、外殻体接続ステップを説明するための説明図である。 本発明に係る海底海中構造物の変形例を説明するための説明図である。
以下、本発明の実施形態に係る海底海中構造物の基本構造について、添付図面を参照して説明する。なお、各図は、構成の理解を容易ならしめるために部分的に拡大・縮小している。図1(a)は、本発明に係る海底海中構造物1の正面図であり、図1(b)は、図1(a)の矢視A方向から見た平面図、図1(c)は、図1(b)の矢視B方向から見た底面図である。この図1に示す海底海中構造物1は、海底に設置されて使用されるものであり、具体的には、海中及び海底の探査を行う海中探査機の通信基点や動力源となる電力の補給基点になる多目的の構造物であり、図1に示すように、平面視円形の底部1aと、当該底部1aの周囲から上方に立設する円筒状の周壁部1bと、周壁部1bの上部開口を閉塞する天井部1cとを備えている。天井部1cは、略ドーム状の形状を有している。周壁部1bの一部には、内部空間Zと外部とを連通する開口部1dが形成されている。この開口部1dを介して、内部空間Z内に、海中探査機との間で探査データの授受を行う装置や、海中探査機に対して電力を供給するバッテリ等、海底探査に必要は各種装置Yが収納設置される。なお、開口部1dは、別途図示しない閉塞部材によって密閉される。閉塞部材は、開閉可能なハッチ構造として構成することが好ましい。
海底海中構造物1が備えるこれら底部1a、周壁部1b、及び天井部1cは、一体的に形成されており、内部空間Zを形作る壁体としての機能を発揮する。当該壁体は、図2や図3に示すように、内部空間Z側に配置され、該内部空間Zを画定可能な中空状の金属製の内殻体2と、内殻体2に対して所定間隔離間した状態で、かつ、内殻体2を取り囲んで内殻体2との間に密閉空間(隙間空間)を形成する中空状の金属製の外殻体3と、内殻体2と外殻体3との間に形成される密閉空間内(隙間空間内)に充填されるセメントベースの建設材料とを備えるように構成されている。つまり、セメントベースの建設材料部4を内殻体2と外殻体3とで挟み込む、いわゆるサンドイッチ構造として、壁体は構成されている。セメントベースの建設材料部4は、内殻体2と外殻体3とで形成される密閉空間内に気密な状態で配設されている。なお、図2は、図1(a)におけるC-C断面を示す概略構成断面図である。図3は、図2におけるD-D断面を示す概略構成断面図である。
内殻体2及び外殻体3のそれぞれは、所定厚みの金属板を組み合わせ、接合部分を溶接等することにより、所望の形状に形作ることができる。内殻体2は、平面視円形の内殻底部2aと、当該内殻底部2aの周囲から上方に立設する円筒状の内殻周壁部2bと、内殻周壁部2bの上部開口を閉塞するドーム状の内殻天井部2cとを備えており、中空状として構成されている。内殻周壁部2bの一部には、上記開口部1dに対応する内殻開口部2dが形成されている。同様に、外殻体3は、平面視円形の外殻底部3aと、当該外殻底部3aの周囲から上方に立設する円筒状の外殻周壁部3bと、外殻周壁部3bの上部開口を閉塞するドーム状の外殻天井部3cとを備えており、中空状として構成されている。外殻周壁部3bの一部には、上記開口部1dに対応する外殻開口部3dが形成されている。なお、図2や図3の断面図においては、内殻底部2aと内殻周壁部2bとの接続箇所における角度が90度となっているが、応力集中を回避すべく、内殻底部2aと内殻周壁部2bとの境界部分(接合部分)は、適宜、R加工等を施し、滑らかに両者が連接するように構成することが好ましい。外殻底部3aと外殻周壁部3bとに関しても同様である。
外殻体3は、上述のように、内殻体2を取り囲んでその内部に収容できる大きさに構成されており、内殻体2を内側に収容した状態で、当該内殻体2との間で所定の密閉空間を形成されるように構成されている。内殻体2を内側に収容した状態において、内殻体2の外側表面と、外殻体3の内側表面との間隔は、製造される海底海中構造物1の大きさによって変更されるものではあるが、例えば、海底海中構造物1の内部空間Zの大きさが、高さが160cm程度で、幅(内殻周壁部2bの内径に相当)が100cm程度である場合、8cm~15cmの範囲に設定することが好ましい。
ここで、内殻体2と外殻体3との間には、内殻体2と外殻体3とを互いに連結する連結部材5が設けられている。本実施形態においては、複数の連結部材5を所定間隔離間した状態で配置している。この連結部材5は、内殻体2の外側表面と外殻体3の内側表面との間隔寸法に対応する長さを有する長尺状の部材であり、例えば、図4(a)の斜視図に示すような円柱状の棒状体として構成することができる。この連結部材5は、その一方端が、内殻体2の外表面上に溶接等により固定されており、その他方端が、外殻体3に形成される貫通孔に挿入された状態で固定されている。外殻体3に形成された貫通孔に他方端が挿入された連結部材5は、溶接によって外殻体3に固定されている。
また、内殻周壁部2bに形成される内殻開口部2dの周縁と、外殻周壁部3bに形成される外殻開口部3dの周縁とは、図4(b)の斜視図に示すような、筒状の連結部材6により互いに連結されている。つまり、内殻開口部2dの周縁部に、筒状の連結部材6の一方における開口周縁を重ねた状態で溶接等により筒状の連結部材6が固定されており、かつ、外殻開口部3dの周縁部に、筒状の連結部材6の他方における開口周縁を重ねた状態で、溶接等により筒状の連結部材6が固定されている。なお、筒状の連結部材6の両端における各開口周縁の形状は、内殻開口部2dの周縁部の形状、外殻開口部3dの周縁部の形状に即した形状に形成されている。海底海中構造物1の内外を連通する構造(開口部1d)を形成する場合には、このような筒状の連結部材6を内殻体2と外殻体3との間に介在させることにより、内殻体2と外殻体3との間で形成される空間を密閉状態に形成することができる。
内殻体2及び外殻体3を構成する金属材料としては、特に限定されるものではないが、鉄鋼材料やチタン合金材料を用いることが好ましい。鉄鋼材料としては、例えば、炭素鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、ステンレス鋼等が挙げられる。また、チタン合金材料としては、アルミニウムやクロム、鉄などを添加した各種チタン合金を例示することができる。
また、内殻体2及び外殻体3の厚みについては、製造される海底海中構造物1の大きさによって変更されるものではあるが、例えば、海底海中構造物1の内部空間Zの大きさが、高さが160cm程度で、幅(内殻周壁部2bの内径に相当)が100cm程度である場合、2.5cm~5cmの範囲に設定することが好ましい。
本発明においては、上記内殻体2と外殻体3との間に形成される密閉空間内にセメントベースの建設材料が充填されてセメントベースの建設材料部4が構成され、当該セメントベースの建設材料部4を内殻体2と外殻体3とで挟み込む、いわゆるサンドイッチ構造として、壁体が構成されている。セメントベースの建設材料としては、例えば、セメントに砂と砂利を混ぜ水で練って形成されるコンクリートや、セメントに砂を混ぜ水で練って形成されるモルタル、セメント単体(セメントのみを水で練って形成されるノロ)等を挙げることができる。これら、コンクリートやモルタル、ノロといったセメントベースの建設材料は、内殻体2及び外殻体3との間に形成される密閉状空間に充填される際には、流動性を有するものであるが、充填後乾燥させることにより固体化し、メントベースの建設材料を内殻体2と外殻体3とで挟み込んだサンドイッチ構造の構造物となる。
次に、本発明に係る海底海中構造物1の製造方法の一例について詳細に説明する。この海底海中構造物1の製造方法は、図5のブロック図に示すように、内殻体形成ステップS1と、外殻体パーツ形成ステップS2と、外殻体接続ステップS3と、セメントベース建設材料充填ステップS4とを備えており、内殻体2及び外殻体3を型枠として、セメントベースの建設材料を打設してセメントベースの建設材料構造物を制作することを特徴の一つとする。
内殻体形成ステップS1は、内部空間Zを有する中空状の金属製の内殻体2を製造する工程であり、当該内殻体2を製造工程については特に限定されない。例えば、所定厚さの金属板から平面視円形の内殻底部2aを切り出し、当該内殻底部2aの周囲に、平面視矩形状の金属板を筒状に曲げながら立設させることにより内殻周壁部2bを構成し、当該内殻周壁部2bと内殻底部2aとを溶接により互いに連結し、円筒状に形成される周壁部1bの上部開口を閉塞するドーム状に形成された内殻天井部2cを載置しながら、両者を溶接することにより互いに固定して製造してもよい。或いは、図6(a)に示すように、内殻体2における内殻周壁部2bの軸線を含む平面に関して互いに対称形となる内殻体パーツ21を2つ製作し、図6(b)に示すように、両者を互いに溶接にて接合するようにして形成してもよい。なお、内殻周壁部2bに形成される内殻開口部2dは、内殻体2を形成した後、内殻周壁部2bの所定の一部を切断することにより形成してもよく、或いは、内殻体2を形成する前段階において予め形成しておいてもよい。
外殻体パーツ形成ステップS2は、中空状の金属製の外殻体3を構成する分割構造の複数の外殻体パーツ31を形成する工程である。なお、外殻体3は、内殻体2に対して所定間隔離間した状態で、かつ、内殻体2を取り囲んで当該内殻体2との間に隙間部を形成しつつ、内殻体2をその内部に収容するようにして配置されるため、複数の外殻体パーツ31は、内殻体2の表面に対して所定間隔、離隔させた状態で配置させて組み合わせ、互いに溶接等によって固定されるものである。
この外殻体パーツ形成ステップS2において形成される分割構造の複数の外殻体パーツ31は、その大きさや形状、数量に関しては、特に限定されず、適宜選択することができるが、作業性やコスト面を考慮すると、例えば、図7(a)の概略構成断面図に示すように、外殻底部3aを構成する平面視円形の外殻底部パーツ31a、内殻天井部2cを構成するドーム状の外殻天井パーツ31c、円筒状の外殻周壁部3bを構成する外殻周壁パーツ31bを形成するように、外殻体パーツ形成ステップS2を構成することが好ましい。なお、外殻周壁部3bを形成する外殻周壁パーツ31bの個数は、2~5の範囲に設定することが好ましい。
外殻体接続ステップS3は、外殻体パーツ形成ステップS2において形成した複数の外殻体パーツ31(例えば、外殻底部パーツ31a、複数の外殻周壁パーツ31b、外殻天井パーツ31c)を、図7(a)に示すように、内殻体2の外側に接続して、内殻体2を内側に配置する外殻体3を形成する工程である。この工程においては、内殻体2の外表面との間に所定間隔の隙間部を設けた状態で、複数の外殻体パーツ31を内殻体2の外側に接続する。各外殻体パーツ31は、その境界を溶接により接続される。また、当該外殻体接続ステップS3を経て構成される内殻体2と外殻体3との構造体においては、図7(b)に示すように、当該内殻体2と外殻体3とによって閉じた空間(密閉空間K)が内殻体2と外殻体3との間で形成される。
ここで、複数の外殻体パーツ31を内殻体2の外側に接続に接続する前段階において、図7(a)の概略構成断面図に示すように、棒状体として構成される長尺状の連結部材5、及び、筒状の連結部材6が、内殻体2の表面の所定個所に、溶接等によって接続固定される。より具体的には、長尺状の連結部材5は、その一方端が、内殻体2の外表面上に溶接等により固定されて、該連結部材5が、内殻体2の外表面上に立設するように構成される。また、筒状の連結部材6は、内殻開口部2dの周縁部に、該筒状の連結部材6の一方における開口周縁を重ねた状態で、溶接等により接続固定する。
各外殻体パーツ31には、長尺状の連結部材5の他方端が挿入される貫通孔31eが形成されており、当該貫通孔31eに、内殻体2の表面に設けられた長尺状の連結部材5を挿入することにより、各外殻体パーツ31は、内殻体2との間で所定の間隔を設けた状態で取り付けられる(外殻体パーツ連結ステップ)。外殻体パーツ31に形成される貫通孔31eと、長尺状の連結部材5とは、互いに溶接等によって接続固定される。また、外殻体パーツ31の内、外殻開口部3dが形成された外殻周壁パーツ31bに関しては、外殻開口部3dの周縁部に、筒状の連結部材6の他方における開口周縁を重ねた状態で、溶接等により当該筒状の連結部材6が接続固定される。これら長尺状の連結部材5や筒状の連結部材6は、内殻体2と外殻体3との隙間寸法を規定するスペーサ―としての機能、及び、一体的に形成される内殻体2と外殻体3との構造体の強度を高める機能を発揮することになる。
上記のように、内殻体2の外表面との間に所定間隔の隙間部を設けた状態で、複数の外殻体パーツ31を内殻体2の外側に接続して、内殻体2を内側に配置する外殻体3を形成した後、セメントベース建設材料充填ステップS4が実施される。このセメントベース建設材料充填ステップS4は、内殻体2及び外殻体3の間の隙間部(密閉空間K)にセメントベースの建設材料を充填する工程であり、具体的には、例えば、外殻体3の外殻天井部1cの頂部近傍に形成された貫通孔(図示せず)を介して流動可能状態のセメントベースの建設材料を流し込む工程である。なお、流動可能状態のセメントベースの建設材料が、内殻体2及び外殻体3で形成される隙間部の隅々までいきわたるように、例えば、外殻底部3aや外殻周壁部3bの下方位置に、隙間部内を流下してきた流動可能状態のセメントベースの建設材料や空気を抜くための貫通孔を設けるようにしてもよい。
流動可能状態のセメントベースの建設材料が、内殻体2及び外殻体3で形成される隙間部の隅々にまでいきわたり、隙間部内に充填された段階で、セメントベースの建設材料打設用の貫通孔を図示しない閉塞部材によって閉じ、流動可能状態のセメントベースの建設材料の供給を停止する。その後、流動可能状態のセメントベースの建設材料が乾燥し、セメントベースの建設材料が固化することによりセメントベースの建設材料部4が形成され、海底海中構造物1は完成する。なお、流動可能状態のセメントベースの建設材料を投入するための貫通孔や、空気等を抜くために形成される貫通孔に関しては、最終的に、溶接等によって完全に塞ぎ、固化したセメントベースの建設材料部4の周囲が、内殻体2と外殻体3とで完全に覆われ、外部や内部空間Zに露出する箇所が無いように構成される。なお、海底海中構造物1における周壁に形成される開口部1dは、図示しない閉塞部材によって密閉される。閉塞部材は、開閉可能なハッチ構造として構成することが好ましい。
本発明に係る海底海中構造物1の壁体は、上述のように、セメントベースの建設材料(コンクリート、モルタル、ノロ等)を内殻体2と外殻体3とで挟み込む、いわゆるサンドイッチ構造を備えているため、例えば、深度5000mを超える超深海層に設置された場合であっても、コンクリート特有の圧縮崩壊が生じることを効果的に抑制することができる。また、海底海中構造物1の壁体を、このようなサンドイッチ構造とすることにより、海底にて海底海中構造物1に付加される応力状態を3軸応力状態とすることができるため、深海の高圧化であっても、内殻体2と外殻体3との間に介在するコンクリート等のセメントベースの建設材料にクラック等が発生しにくくなる。このような効果を得ることができる結果、本発明に係る海底海中構造物1は、例えば、深度5000mを超える超深海層に長期間安定して設置可能な海底探査ステーションとして使用することができる。
また、本発明のように、海底海中構造物1の壁体を、セメントベースの建設材料部4を内殻体2と外殻体3とで挟み込むサンドイッチ構造とすることにより、例えば、コンクリートのみによって壁体を形成する場合よりも、壁体の厚みを大きくできるため、座屈によって壁体(海底海中構造物1)が崩壊することを効果的に抑制することが可能となる。
また、金属製の外殻体3を備えることにより、当該外殻体3と内殻体2の隙間部分に存在する固化したセメントベースの建設材料(例えば、コンクリートやモルタル等)から、カルシウム成分が海水中に流出することを防止できるため、海底海中構造物1の劣化を極めて効果的に防止することが可能となる。
また、本発明に係る海底海中構造物1の製造方法は、上述のように、中空状の金属製の内殻体2の外表面に、所定間隔の隙間部を設けた状態で、外殻体3を形成する複数の外殻体パーツ31を内殻体2の外側に接続して、内殻体2を内側に配置する外殻体3を形成した後、内殻体2と外殻体3との間の隙間部にセメントベースの建設材料(例えば、コンクリートやモルタル等)を充填して、海底海中構造物1の壁体をセメントベースの建設材料部4を内殻体2と外殻体3で挟み込むサンドイッチ構造となるように構成している。このような手法においては、内殻体2及び外殻体3が、セメントベースの建設材料を打設する際の枠体として利用することができ、極めて簡便に、高い強度を有する本発明に係る海底海中構造物1を製造することが可能となる。また、内殻体2と外殻体3との間の隙間部に、流動可能状態のセメントベースの建設材料を流し込むようにして海底海中構造物1を製造するため、内殻体2と外殻体3との間に均一なセメントベースの建設材料(コンクリート等)の打設が可能となり、その結果、製造される海底海中構造物1の強度の均質化を図ることが可能となり、圧縮崩壊が生じやすい部分が存在するといった欠陥が発生することを確実に防止することができる。
以上、本発明の一実施形態に係る海底海中構造物1について説明したが、海底海中構造物1の具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態においては、海底海中構造物1の形態として、図1や図2等に示すように、平面視円形の底部1aと、当該底部1aの周囲から上方に立設する円筒状の周壁部1bと、周壁部1bの上部開口を閉塞するドーム状の天井部1cとを備えるような形態を有しているが、このような形態に限定されず、例えば、図8(a)の概略構成断面図に示すように、内部空間Zを有する球体として構成し、当該球体における壁体の構造として、セメントベースの建設材料部4を、内部空間Zを有する球体状の内殻体2と、球体状の外殻体3とで挟み込むサンドイッチ構造とし、内殻体2と外殻体3とで挟み込まれるセメントベースの建設材料部4が、海底海中構造物1の内部空間Zや、外部に露出する箇所が無いように構成することもできる。また、球体の他、図8(b)に示すようなカプセル状等、各種形態として海底海中構造物1を構成することもできる。
また、海中探査機との間で探査データの授受を行う場合には、海底海中構造物1の内部空間Z内に設置される通信手段との間で、例えば、音響送受信やレーザー送受信によるデータ授受が行われるが、このような通信手段は、従来から知られている水中通信システムを利用すればよい。なお、音響送受信やレーザー送受信の通信システムを利用する場合、例えば、海底海中構造物1の周壁部1bに形成される開口部1dを密閉するために使用される閉塞部材(図示せず)に、音波送受信用の送受信部や、レーザー送受信用の送受信部を設ければよい。また、海底海中構造物1側から海中探査機に対して電力を供給する場合、開口部1dを密閉するために使用される前記閉塞部材に、電力供給用端子部を設け、当該端子部を介して、海底海中構造物1の内部空間Z内に配置されるバッテリから、海中探査機に電力を給電できるようにすればよい。
また、上記実施形態においては、海底に設置されて使用される構造物としての海底海中構造物について説明したが、例えば、周壁部1bの周囲に浮力装置を取り付けることにより、海中を浮遊する構造物として構成することもできる。
また、海底海中構造物1の製造方法に関して、上記実施形態においては、所定厚み・所定形状の金属板を組み合わせ、接合部分を溶接等することにより、所望の形状の内殻体2及び外殻体3を形作りつつ、内殻体2と外殻体3とで構成される内部に隙間部を有する連結体を形成しているが、このような手法によって内殻体2及び外殻体3の連結体を形成する代わりに、例えば、金属用3次元プリンター技術を用いて、内殻体2及び外殻体3で構成される連結体を形成してもよい。
また、海中探査機から受信した探査データは、海底海中構造物1の内部空間Z内に設置される装置に蓄積されていくが、この蓄積された探査データは、適宜、海上の母船に送信される。母船に対して探査データを送信する手法としては、例えば、海底海中構造物1の内部空間Z内に設置される装置と母船とを電気的に接続するデータ送信用のケーブルを介して、海底海中構造物1側から母船側に向けて探査データを送信することにより行うことができる。また、音響送受信の通信システムを利用することにより行うこともできる。
また、海底海中構造物1側から海中探査機に対する電力の供給を継続していくと、海底海中構造物1の内部空間Z内に配置されるバッテリに蓄電される電力量が減少していくことになるが、当該バッテリーにおける蓄電量を維持するため、海上の母船から電力を供給するように構成することが好ましい。母船からの電力供給の手法としては、海底海中構造物1の内部空間Z内に設置されるバッテリと母船とを電気的に接続する電力供給用のケーブルを介して、母船側から電力を供給することにより行うことができる。また、電磁界共振結合方式のワイヤレス給電システムを利用することによって内部空間Z内に設置されるバッテリの充電を行うこともできる。
また、上記実施形態においては特に記載していないが、本海底海中構造物1を海底に設置する場合、海上の母船等からワイヤー等の部材を介して海中に吊り下げられる場合がある。このような場合には、海底海中構造物1の頂部(天井部1c)に、吊り下げワイヤー固定用の固定具(例えば、アイボルト等)を埋め込めばよい。
1 海底海中構造物
1a 底部
1b 周壁部
1c 天井部
1d 開口部
2 内殻体
2a 内殻底部
2b 内殻周壁部
2c 内殻天井部
2d 内殻開口部
21 内殻体パーツ
3 外殻体
3a 外殻底部
3b 外殻周壁部
3c 外殻天井部
3d 外殻開口部
31 外殻体パーツ
4 セメントベースの建設材料部
5 連結部材(棒状の連結部材)
6 筒状の連結部材
Z 内部空間
K 密閉空間

Claims (2)

  1. 海底海中構造物であって、
    内部空間を形作る壁体を備えており、
    前記壁体は、前記内部空間側に配置され、前記内部空間を画定可能な中空状の金属製の内殻体と、
    前記内殻体に対して所定間隔離間した状態で、かつ、前記内殻体を取り囲んで前記内殻体との間に密閉空間を形成する中空状の金属製の外殻体と、
    前記内殻体及び前記外殻体との間に形成される前記密閉空間内に充填されるセメントベースの建設材料と
    前記内殻体と前記外殻体との間に設置され、前記内殻体と前記外殻体とを互いに連結する連結部材とを備え、
    前記連結部材は、長尺状に形成されており、その一方端が、前記外殻体の内外を連通するように形成された貫通孔に挿入された状態で固定されることを特徴とする海底海中構造物。
  2. 海底海中構造物の製造方法であって、
    内部空間を有する中空状の金属製の内殻体を製造する内殻体形成ステップと、
    前記内殻体に対して所定間隔離間した状態で、かつ、前記内殻体を取り囲んで前記内殻体との間に隙間部を形成可能な中空状の金属製の外殻体を構成する分割構造の複数の外殻体パーツを形成する外殻体パーツ形成ステップと、
    前記内殻体の外表面との間に所定間隔の隙間部を設けた状態で、前記複数の外殻体パーツを前記内殻体の外側に接続して、前記内殻体を内側に配置する外殻体を形成する外殻体接続ステップと、
    前記内殻体及び前記外殻体の間の前記隙間部にセメントベースの建設材料を充填するセメントベース建設材料充填ステップと、を備えており、
    外殻体接続ステップは、前記内殻体と前記外殻体パーツとを連結部材によって互いに接続する外殻体パーツ連結ステップを備え、
    前記外殻体パーツ連結ステップは、長尺状に形成される前記連結部材の一方端が、前記外殻体の内外を連通するように形成された貫通孔に挿入された状態で固定される工程を備えることを特徴とする海底海中構造物の製造方法。

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