JP7274246B1 - ポリアミドフィルム積層体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、耐熱性、柔軟性、金属層とポリアミドフィルムとの密着性および伝送特性に、より十分に優れ、熱処理(例えばリフロー処理)後においても、反りがより十分に低減されたポリアミドフィルム積層体を提供する。本発明は、炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)からなる単位と、炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)からなる単位と、炭素数12以下の芳香族ジカルボン酸(C)からなる単位と、炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)からなる単位とを含むポリアミド(E)を含有し、融点が240℃以上、結晶融解エンタルピーが15J/g以上、ヒステリシス試験における伸長回復率が30%以上、引張弾性率が2500MPa以下であるポリアミドフィルム(F)上に、金属層を有する、ポリアミドフィルム積層体に関する。

Description

本発明はポリアミドフィルム積層体に関する。
ポリアミドフィルムは、耐熱性や機械的特性に優れることから、電気電子部品に広く用いられている。例えば、フレキシブルプリント基板の用途においては、回路形成の際に、250℃以上という高温でリフローハンダ処理されることが多いため、融点が300℃を超えるような高い耐熱性を有する半芳香族ポリアミドフィルムが用いられている(例えば、特許文献1、2)。しかしながら、半芳香族ポリアミドフィルムは、剛性が高く、柔軟性が十分ではなかった。
例えば、耐熱性が高く柔軟性を有するポリアミドフィルムとしては、特許文献3に、テレフタル酸と1,10-デカンジアミンとダイマー酸とダイマージアミンとからなるポリアミドからなるフィルムが開示されている。また例えば、フィルム材料として、液晶ポリマー、低誘電ポリイミドおよびポリアリーレンエーテルケトンなどの低誘電材料が知られている(特許文献4および5)。
特許2013-127062号公報 特開2000-186141号公報 国際公開2021/106541号パンフレット 国際公開2018/225409号パンフレット 国際公開2021/256349号パンフレット
本発明の発明者等は、従来の技術では、以下の問題が生じることを見出した。
例えば、近年、電子機器の高性能、高速化に伴い、フレキシブルプリント回路基板においても高速信号伝送への対応が必要となり、このようなデバイスに用いるには、伝送損失の低減が求められている。しかしながら、特許文献3のフィルムでは、伝送損失を十分に低減できないことがあった。
信号伝達の損失には、主に誘電体に由来する損失、導体(銅箔)に由来する損失があり、周波数に依存して損失は大きくなる。誘電体に由来する損失は、フィルム基材や接着剤の誘電特性(比誘電率、誘電正接)に依存するため、高周波領域での損失を抑制するためには誘電特性に優れた材料が必要となる。しかしながら、誘電特性に優れた低誘電材料は一般的に導体(例えば、銅箔)との密着性が低いため、導体表面の凹凸を利用したアンカー効果で導体との密着性を確保している。導体に由来する損失は導体の抵抗成分に起因するが、周波数に依存して電流分布は導体表面に集中するため(表皮効果)、高周波領域では導体の表面粗さの影響が大きくなる。高周波領域での損失を抑制するためには、表面粗さの小さい導体が必要となる。
フレキシブルプリント基板用の銅張積層板は、絶縁フィルムと銅箔とを積層させている。このような銅張積層板の積層方法としては、絶縁フィルムが例えばポリイミドの場合、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの接着剤で張り合わせる方法、ワニスを銅箔上に塗布して熱処理して得る方法がある。密着力を得るために粗面化した銅箔が用いられているが、高周波領域での伝送損失を抑制するためには、表面粗さの小さい銅箔を使用すること、基材フィルムに低誘電材料を使用すること、接着剤を使用せずに積層することが望ましい。しかしながら、液晶ポリマーや低誘電ポリイミドなどの低誘電材料は、銅箔と接着し難いため、銅箔との接着力を高める方法が必要である(特許文献4)。
その他の低誘電材料として、ポリアリーレンエーテルケトンも知られているが、加工寸法安定性が悪く、金属層を積層させると、積層体がカールしたり変形したりする問題がある。加工寸法安定性を向上させるにはフッ素樹脂やマイカを添加する必要があるため、柔軟性は大きく低下する。また、熱融着だけで金属層を形成可能だが、345℃という高い加熱温度が必要である(特許文献5)。
本発明は、前記の問題点を解決しようとするものであり、耐熱性、柔軟性、金属層とポリアミドフィルムとの密着性および伝送特性に、より十分に優れ、熱処理(例えばリフロー処理)後においても、反りがより十分に低減されたポリアミドフィルム積層体を提供することを目的とする。
本発明の要旨は以下の通りである。
<1> 炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)からなる単位と、炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)からなる単位と、炭素数12以下の芳香族ジカルボン酸(C)からなる単位と、炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)からなる単位とを含むポリアミド(E)を含有し、融点が240℃以上、結晶融解エンタルピーが15J/g以上、ヒステリシス試験における伸長回復率が30%以上、引張弾性率が2500MPa以下であるポリアミドフィルム(F)上に、金属層を有する、ポリアミドフィルム積層体。
<2> 前記ポリアミドフィルム(F)のヒステリシス試験における伸長回復率が50%以上である、<1>に記載のポリアミドフィルム積層体。
<3> 前記炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)がダイマー酸、前記炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)がダイマージアミン、前記炭素数12以下の芳香族ジカルボン酸(C)がテレフタル酸、前記炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)が1,10-デカンジアミンである、<1>または<2>に記載のポリアミドフィルム積層体。
<4> 前記炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)からなる単位と、前記炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)からなる単位の合計の含有量が、前記ポリアミド(E)を構成する全モノマー成分に対して、10~90質量%である、<1>~<3>のいずれかに記載のポリアミドフィルム積層体。
<5> 前記ポリアミドフィルム(F)と前記金属層との剥離強度が0.1[N/mm]以上である、<1>~<4>のいずれかに記載のポリアミドフィルム積層体。
<6> 前記ポリアミドフィルム積層体から作製した、特性インピーダンスが50Ωのマイクロストリップラインの伝送損失の絶対値が、5GHzで1.80[dB/100mm]以下である、<1>~<5>のいずれかに記載のポリアミドフィルム積層体。
<7> 前記金属層が前記ポリアミドフィルム(F)と直接的に接している、<1>~<6>のいずれかに記載のポリアミドフィルム積層体。
<8> 前記金属層が銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、スズ、金、銀、合金鋼、合金メッキからなる群から選択される金属から構成されている、<1>~<7>のいずれかに記載のポリアミドフィルム積層体。
<9> 前記ポリアミドフィルム積層体は前記金属層を前記ポリアミドフィルム(F)の片面または両面に有しており、前記金属層の上に樹脂層をさらに有する、<1>~<8>のいずれかに記載のポリアミドフィルム積層体。
<10> 前記炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)からなる単位の含有量が、前記ポリアミドを構成する全モノマー成分に対して、3~45質量%であり、
前記炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)からなる単位の含有量が、前記ポリアミドを構成する全モノマー成分に対して、3~45質量%であり、
前記炭素数12以下の芳香族ジカルボン酸(C)からなる単位の含有量が、前記ポリアミドを構成する全モノマー成分に対して、3~45質量%であり、
前記炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)からなる単位の含有量が、前記ポリアミドを構成する全モノマー成分に対して、3~52質量%である、<1>~<9>のいずれかに記載のポリアミドフィルム積層体。
<11> 前記ポリアミドフィルム(F)の結晶融解エンタルピーが25J/g以上である、<1>~<10>のいずれかに記載のポリアミドフィルム積層体。
<12> 前記炭素数12以下の芳香族ジカルボン酸(C)からなる単位の含有量が、前記ポリアミドを構成する全モノマー成分に対して、8~35質量%である、<1>~<11>のいずれかに記載のポリアミドフィルム積層体。
<13> 前記ポリアミドフィルム(F)は1μm~2mmの厚みを有し、
前記金属層は1~500μmの厚みを有する、<1>~<12>のいずれかに記載のポリアミドフィルム積層体。
<14> <1>~<13>のいずれかに記載のポリアミドフィルム積層体を製造する方法であって、
前記ポリアミドフィルム(F)と前記金属層とを、加熱および加圧によって張り合わせる、ポリアミドフィルム積層体の製造方法。
<15> 前記ポリアミドフィルム(F)と前記金属層とを、「ポリアミドフィルム(F)の融点-100℃」~「ポリアミドフィルム(F)の融点-5℃」での加熱および加圧によって張り合わせる、<14>に記載のポリアミドフィルム積層体の製造方法。
<16> <1>~<13>のいずれかに記載のポリアミドフィルム積層体を製造する方法であって、
前記ポリアミドフィルム(F)に、メッキ法、インクジェット法、物理蒸着法、化学蒸着法からなる群から選択される方法よって前記金属層を設ける、ポリアミドフィルム積層体の製造方法。
<17> 前記炭素数12以下の芳香族ジカルボン酸(C)と前記炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)とを、前記炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)および前記炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)とは別に反応させて、前記ポリアミド(E)を得る、<14>~<16>のいずれかに記載のポリアミドフィルム積層体の製造方法。
<18> <1>~<13>のいずれかに記載のポリアミドフィルム積層体を含む基板であって、
前記基板はフレキシブルプリント回路基板またはフレキシブルアンテナ基板である、基板。
本発明によれば、耐熱性、柔軟性、金属層とポリアミドフィルムとの密着性および伝送特性に、より十分に優れ、耐熱処理(例えばリフロー処理)後においても、反りがより十分に低減されたポリアミドフィルム積層体を提供することができる。
本発明のポリアミドフィルム積層体は、導体(銅箔)と張り合わせた場合、積層体の変形、表面の凹凸およびフィルムの染み出しに関する外観が良好であり、耐熱処理(例えばリフロー処理)後においても良好である。
本発明のポリアミドフィルム積層体は、例えば、フレキシブルプリント回路基板やフレキシブルアンテナ基板に好適に用いることができる。
ヒステリシスロス率の算出方法を説明するためのヒステリシス曲線を示す模式図である。
本発明のポリアミドフィルム積層体は、炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)(以下、成分(A)ということがある。)からなる単位と、炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)(以下、成分(B)ということがある。)からなる単位と、炭素数12以下の芳香族ジカルボン酸(C)(以下、成分(C)ということがある。)からなる単位と、炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)(以下、成分(D)ということがある。)からなる単位を含むポリアミド(E)を含有するポリアミドフィルム(F)上に金属層を設けてなる。
成分(A)~(D)は、ポリアミド中、モノマー成分(またはモノマー残基)として含有されている。従って、「炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)からなる単位」は単に「炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)モノマー」またはその残基と表現されてもよい。「炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)からなる単位」は単に「炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)モノマー」またはその残基と表現されてもよい。「炭素数12以下の芳香族ジカルボン酸(C)からなる単位」は単に「炭素数12以下の芳香族ジカルボン酸(C)モノマー」またはその残基と表現されてもよい。「炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)からなる単位」は単に「炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)モノマー」またはその残基と表現されてもよい。
本発明のフィルム積層体に用いるポリアミド(E)を構成する炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)としては、カルボキシル基以外は全て炭化水素からなる脂肪族ジカルボン酸が好ましく、例えば、ヘキサデカンジカルボン酸(炭素数18)、オクタデカンジカルボン酸(炭素数20)、ダイマー酸(炭素数36)が挙げられる。中でも、柔軟性が高くなることから炭素数20以上の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、ダイマー酸がより好ましい。ダイマー酸は、例えばオレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸から選択される2つの分子を付加反応させたものであってもよい。当該2つの分子は同種の分子であってもよいし、または相互に異種の分子であってもよい。ダイマー酸は、不飽和結合を有するジカルボン酸であってもよいが、着色しにくいことから、水添してすべての結合が飽和結合であるジカルボン酸が好ましい。成分(A)は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、または2種以上を併用してもよい。
成分(A)の炭素数は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、好ましくは20~40、より好ましくは30~40、さらに好ましくは34~38である。
本明細書中、耐熱性は、フィルムおよびその金属層との積層体に関する耐熱性のことであり、詳しくは、フィルムの融点がより十分に高く、かつ、熱処理後においても、フィルム積層体の反りがより十分に低減され得る特性である。耐熱性は、好ましくは、熱処理後においても、フィルム積層体の外観が十分に良好な特性も包含する。
柔軟性は、フィルムおよびその金属層との積層体に関する柔軟性のことであり、詳しくは、フィルムの伸長回復率がより十分に高く、かつフィルムの引張弾性率がより十分に低い特性である。
密着性は、フィルムと金属層との積層体に関する密着性のことであり、詳しくは、フィルムと金属層との剥離強度がより十分に高い特性である。
伝送特性は、フィルムと金属層との積層体に関する伝送特性のことであり、詳しくは、当該積層体を電子部品の基板として用いたときの伝送損失がより十分に低減され得る特性である。
ゴム弾性は、フィルムに関するゴム弾性のことであり、詳しくは、フィルムの結晶融解エンタルピーがより十分に高い特性である。ゴム弾性は、好ましくは、フィルムのヒステリシスロスがより十分に低い特性も包含する。本発明のポリアミドフィルム積層体を構成するポリアミドフィルムが良好なゴム弾性を有することにより、当該フィルムおよびその金属層との積層体の柔軟性をさらに向上させることができる。
成分(A)の含有量は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、3~45質量%であることが好ましく、5~45質量%であることがより好ましく、10~45質量%であることがさらに好ましく、10~40質量%であることが特に好ましく、13~40質量%であることが十分に好ましく、13~33質量%であることがより十分に好ましい。当該含有量は、成分(A)の残基の含有量であって、ポリアミドを構成する全モノマー成分(またはそれらの残基の全量)に対する割合である。ポリアミドが2種以上の成分(A)を含む場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
本発明のフィルム積層体に用いるポリアミド(E)を構成する炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)としては、アミノ基以外は全て炭化水素からなる脂肪族ジカルボン酸が好ましく、例えば、オクタデカンジアミン(炭素数18)、エイコサンジアミン(炭素数20)、ダイマージアミン(炭素数36)が挙げられる。中でも、ダイマージアミンが好ましい。ダイマージアミンを用いることにより、他のモノマーより比較的少ない樹脂組成でもポリマー全体の柔軟性を効果的に向上させることができる。通常、ダイマージアミンは、ダイマー酸をアンモニアと反応させたのち、脱水し、ニトリル化し、還元することにより製造される。ダイマージアミンは、不飽和結合を有するジアミンであってもよいが、着色しにくいことから、水添してすべての結合が飽和結合であるジアミンが好ましい。成分(B)は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、または2種以上を併用してもよい。
成分(B)の炭素数は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、好ましくは20~40、より好ましくは30~40、さらに好ましくは34~38である。
成分(B)の含有量は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、3~45質量%であることが好ましく、5~45質量%であることがより好ましく、10~45質量%であることがさらに好ましく、10~40質量%であることが特に好ましく、12~27.3質量%であることが十分に好ましい。当該含有量は、成分(B)の残基の含有量であって、ポリアミドを構成する全モノマー成分(またはそれらの残基の全量)に対する割合である。ポリアミドが2種以上の成分(B)を含む場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
本発明のフィルム積層体に用いるポリアミド(E)を構成する炭素数12以下の芳香族ジカルボン酸(C)としては、例えば、テレフタル酸(炭素数8)、イソフタル酸(炭素数8)、オルトフタル酸(炭素数8)が挙げられる。中でも、耐熱性、柔軟性、ゴム弾性をさらに向上させやすいことから、炭素数8以上の芳香族ジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。成分(C)は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、または2種以上を併用してもよい。
成分(C)の炭素数は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、好ましくは4~12、より好ましくは6~12、さらに好ましくは6~10である。
成分(C)の含有量は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、3~45質量%であることが好ましく、5~45質量%であることがより好ましく、5~40質量%であることがさらに好ましく、8~35質量%であることが特に好ましく、8~33質量%であることが十分に好ましく、15~33質量%であることがより十分に好ましい。当該含有量は、成分(C)の残基の含有量であって、ポリアミドを構成する全モノマー成分(またはそれらの残基の全量)に対する割合である。ポリアミドが2種以上の成分(C)を含む場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
本発明のフィルム積層体に用いるポリアミド(E)を構成する炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)としては、例えば、1,12-ドデカンジアミン(炭素数12)、1,10-デカンジアミン(炭素数10)、1,9-ノナンジアミン(炭素数9)、1,8-オクタンジアミン(炭素数8)、1,6-ヘキサンジアミン(炭素数6)が挙げられる。中でも、耐熱性、柔軟性、ゴム弾性をさらに向上させやすいことから、炭素数6以上のジアミンが好ましく、炭素数8以上のジアミンがより好ましく、1,10-デカンジアミンがさらに好ましい。(D)は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、または2種以上を併用してもよい。
成分(D)の炭素数は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、好ましくは4~12、より好ましくは6~12、さらに好ましくは8~12である。
成分(D)の含有量は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、3~52質量%であることが好ましく、5~50質量%であることがより好ましく、5~40質量%であることがさらに好ましく、10~40質量%であることが特に好ましく、20~40質量%であることが十分に好ましく、25~40質量%であることがより十分に好ましい。当該含有量は、成分(D)の残基の含有量であって、ポリアミドを構成する全モノマー成分(またはそれらの残基の全量)に対する割合である。ポリアミドが2種以上の成分(D)を含む場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
本発明において、ポリアミド(E)は、成分(A)~(D)がランダムに配列および重合されたランダム型ポリアミドであってもよいし、成分(C)と(D)からなるハードセグメントおよび成分(A)と(B)からなるソフトセグメントを含むブロック型ポリアミドであってもよい。ポリアミド(E)は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、ブロック型ポリアミドであることが好ましい。ブロック型ポリアミドが好ましいものと位置付けられるメカニズムの詳細は明らかではないが、以下の現象に基づくものと考えられる。ブロック型構造においてはハードセグメントとソフトセグメントの相分離構造が形成され、ハードセグメントがゴムの架橋点の役割を果たし、ソフトセグメントが自由に伸縮できるようになる。このため、ポリアミド(E)がより十分に優れた耐熱性を有しながらも、より十分に優れた柔軟性(およびゴム弾性)を有することができる。この結果として、フィルムおよび積層体において耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減が達成されるものと考えられる。成分(C)と(D)の組み合わせとしては、例えば、テレフタル酸とブタンジアミン、テレフタル酸と1,9-ノナンジアミン、テレフタル酸と1,10-デカンジアミン、テレフタル酸と1,12-ドデカンジアミンが挙げられ、中でも、テレフタル酸と1,10-デカンジアミンが好ましい。テレフタル酸と1,10-デカンジアミンを用いることにより、ハードセグメントが高結晶性のセグメントになりやすいため、ハードセグメントとソフトセグメントの相分離構造の形成が促進され、より十分に優れた柔軟性やゴム弾性を発現する。「ゴム」は、外力によって局所的に変形するが、除力すると元の形状へと戻る特性を示す物質の概念で用いている。
本発明に用いるポリアミド(E)中の炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)からなる単位と、炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)からなる単位の合計の含有量(例えば成分(A)と成分(B)との合計含有量)は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、10~90質量%であることが好ましく、15~80質量%であることがより好ましく、20~80質量%であることがさらに好ましく、30~75質量%であることが特に好ましく、30~60質量%であることが十分に好ましい。当該合計含有量は、成分(A)の残基と、成分(B)の残基の合計の含有量であって、ポリアミド(E)を構成する全モノマー成分(またはそれらの残基の全量)に対する割合である。ポリアミド(E)が後述するように2種以上のポリアミドを含む場合、全ポリアミド(E)における成分(A)と成分(B)との合計含有量が上記範囲内であればよい。この場合、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、各ポリアミド(E)において成分(A)と成分(B)との合計含有量が上記範囲内であることが好ましく、このとき、各ポリアミド(E)において成分(A)の含有量および成分(B)の含有量が前記した範囲内であることがより好ましい。
本発明に用いるポリアミド(E)には、重合時に分解しやすいポリエーテル成分やポリエステル成分を用いないことが好ましい。そのようなポリエーテル成分としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコールが挙げられる。ポリエステル成分としては、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリエチレンセバケートが挙げられる。ポリエーテル成分やポリエステル成分を用いた場合、重合温度が高いと、分解が生じる場合がある。
ポリエーテル成分およびポリエステル成分の合計含有量は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。当該合計含有量範囲の下限値は通常、0質量%である。当該合計含有量は、ポリエーテル成分およびポリエステル成分の残基の含有量であって、ポリアミド(E)を構成する全モノマー成分(またはそれらの残基の全量)に対する割合である。ポリエーテル成分およびポリエステル成分は、ポリアミドとの共有結合によりポリアミドの一部を構成する成分であり、ポリアミドに単にブレンドされるものではない。
本発明に用いるポリアミド(E)には、重合度調整や、製品の分解抑制や着色抑制等のため、末端封鎖剤を含有してもよい。末端封鎖剤としては、例えば、酢酸、ラウリル酸、安息香酸、ステアリン酸等のモノカルボン酸、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ステアリルアミン等のモノアミンが挙げられる。末端封鎖剤は上記のうち1種を単独で用いてもよいし、または2種以上を併用してもよい。末端封鎖剤の含有量は、特に限定されないが、通常、ジカルボン酸とジアミンの総モル量に対して0~10モル%である。
本発明に用いるポリアミド(E)の製造方法は特に限定されず、例えば、炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)と炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)と炭素数12以下の芳香族ジカルボン酸(C)と炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)とをまとめて反応させる方法(以下、「一括重合法」または「一工程法」ということがある)、または成分(C)と成分(D)とを、成分(A)および成分(B)とは別に反応させる方法(以下、「分割重合法」または「二工程法」ということがある)により得ることができる。本発明に用いるポリアミド(E)は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、分割重合方法により製造されることが好ましい。ポリアミドを分割重合法により製造することにより、当該ポリアミドはより好ましい結晶融解エンタルピー(特に25J/g以上)を有するようになり、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減が達成されるためである。
一括重合法においては、所定の全成分を混合し、重合を行う。重合方法は特に限定されないが、例えば、得られるポリアミドの融点以下の温度に加熱し、縮合水を系外に除去しながら、窒素気流下、当該温度を維持することにより重合する方法が挙げられる。一括重合法により重合したポリアミドは、全成分がランダムに配列される観点から、「ランダム型ポリアミド」と称することができる。「得られるポリアミドの融点」とは「目的とするポリアミドの融点」のことであり、例えば、後述する分割重合法において説明される「ハードセグメントポリマーの融点」であってもよい。
従って、一括重合法によりポリアミドを製造するに際しては、例えば、まず、後述する分割重合法において説明される製造方法によりハードセグメントポリマーを得る。次いで、得られたハードセグメントポリマーの融点を測定する。融点の測定方法は特に限定されず、例えば、示差走査型熱量計により測定することができる。その後、モノマー(またはプレポリマー)を含む混合物を、当該「融点」以下の温度(特に当該融点未満の温度)で重合反応に供することにより、ポリアミドを製造することができる。例えば、成分(A)~(D)それぞれとしてダイマー酸、ダイマージアミン、テレフタル酸および1,10-デカンジアミンを用いる場合、「目的とするポリアミド」の融点(例えば「ハードセグメントポリマーの融点」)は315℃であり、一括重合法における重合温度は220~300℃(特に240~280℃)であってもよい。この場合、一括重合法における重合時間は、十分な重合が行われる限り特に限定されず、例えば、1~10時間(特に3~7時間)であってもよい。
分割重合法においては、成分(C)と成分(D)とを、成分(A)および成分(B)とは別に反応させて重合を行う。例えば、成分(C)と成分(D)とを反応させ反応生成物を得たのち、当該反応生成物を、成分(A)および成分(B)と、さらに反応させて重合する。詳しくは、
成分(A)と、
成分(B)と、
成分(C)と成分(D)との反応生成物と、
を反応させて重合する。
このような分割重合法において、成分(A)および成分(B)は、相互に反応していない状態で使用されてもよいし、または相互に反応した状態(すなわち、それらの反応生成物の形態)で使用されてもよい。例えば、本発明に用いるポリアミド(E)は、成分(A)と成分(B)を予め反応させたのち、得られた成分(A)と成分(B)との反応生成物と、成分(C)と成分(D)との反応生成物を反応させて重合することにより得てもよい。詳しくは、本発明に用いるポリアミド(E)は、成分(A)と成分(B)との反応生成物と、成分(C)と成分(D)との反応生成物と、を反応させて重合することにより得てもよい。成分(A)および成分(B)は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、相互に反応した状態(すなわち、それらの反応生成物の形態)で使用されることが好ましい。
分割重合法により重合したポリアミドは、一括重合法により重合したポリアミドとは異なり、成分(C)と(D)からなるハードセグメントおよび成分(A)と(B)からなるソフトセグメントから構成されるポリアミドとして得られる。従って、一括重合法により重合したポリアミドが「ランダム型ポリアミド」であることに対して、分割重合法により重合したポリアミドは、ハードセグメントおよびソフトセグメントの含有の観点から、「ブロック型ポリアミド」と称することができる。
分割重合法においては、用いる炭素数12以下の芳香族ジカルボン酸(C)と炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)のモノマー比率[(C)/(D)]を調整することにより、得られる反応生成物の連鎖長を制御することができ、その結果、得られるポリアミドの柔軟性やゴム弾性を制御することができる。柔軟性やゴム弾性がより十分に向上することから、モル比[(C)/(D)]は、45/55~60/40とすることが好ましく、45/55~55/45とすることがより好ましい。
分割重合法において、炭素数12以下の芳香族ジカルボン酸(C)と炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)を含有する反応生成物の製造方法(以下、単に「反応生成物の製造方法X」ということがある)は特に限定されないが、例えば、成分(D)の融点以上、かつ成分(C)の融点以下の温度に加熱し、成分(C)の粉末の状態を保つように、成分(D)を添加する方法が挙げられる。例えば、成分(C)および(D)それぞれとしてテレフタル酸および1,10-デカンジアミンを用いる場合、加熱温度は100~240℃(特に140~200℃)であってもよい。成分(D)の添加は連続的に行うことが好ましく、例えば、1~10時間(特に1~5時間)かけて行うことが好ましい。
成分(C)と成分(D)との反応生成物は、成分(C)と成分(D)との塩の形態を有していてもよいし、それらの縮合物(またはオリゴマーもしくはプレポリマー)の形態を有していてもよいし、またはこれらの複合形態を有していてもよい。
成分(A)と成分(B)を予め反応させる場合、炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)と炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)とを反応させる方法は特に限定されないが、例えば、80~150℃(特に100~150℃)の温度で0.5~3時間反応させる方法が挙げられる。
成分(A)と成分(B)との反応生成物もまた、成分(C)と成分(D)との反応生成物と同様に、塩の形態を有していてもよいし、それらの縮合物(またはオリゴマーもしくはプレポリマー)の形態を有していてもよいし、またはこれらの複合形態を有していてもよい。
分割重合法において、重合方法は特に限定されないが、例えば、ハードセグメントポリマー(例えばハードセグメントを構成する成分(C)および(D)のみから構成されるポリアミド)の融点以下の温度(好ましくは当該融点未満の温度)で重合する方法が挙げられる。詳しくは、ハードセグメントポリマー(例えばハードセグメントを構成する成分(C)および(D)のみから構成されるポリアミド)の融点以下の温度に加熱し、縮合水を系外に除去しながら、窒素気流下、当該温度を維持することにより重合する。このように重合することにより、ハードセグメントは溶融することなく、ソフトセグメントだけが溶融した状態で重合することができる。ハードセグメントポリマーの融点以下の温度で重合する方法は、重合温度が高くなり分解しやすい280℃以上の高融点のポリアミドの重合において、特に効果的である。
「ハードセグメントポリマーの融点」とは、ハードセグメントを構成する成分(C)および(D)のみをモノマー成分として十分に重合させてなるポリアミドの融点のことである。「ハードセグメントポリマーの融点」は、例えば、国際公開2013/042541号パンフレットに記載の方法により、成分(C)および(D)のみをモノマー成分として十分に重合させてなるポリアミドの融点であってもよい。詳しくは、「ハードセグメントポリマーの融点」は、成分(C)および(D)から反応生成物を得る工程(i)および得られた反応生成物を重合する工程(ii)を含む方法により得られたポリアミド(ハードセグメントポリマー)の融点である。ハードセグメントポリマーの製造過程において、工程(i)では、成分(C)および(D)を、成分(D)の融点以上、かつ成分(C)の融点以下の温度に加熱し、成分(C)の粉末の状態を保つように、成分(D)を添加することにより反応生成物を得ることができる。工程(i)では、例えば、成分(C)および(D)それぞれとしてテレフタル酸および1,10-デカンジアミンを用いる場合、加熱温度は100~240℃(好ましくは140~200℃、特に170℃)であってもよい。成分(D)の添加は連続的に行うことが好ましく、例えば、1~10時間(好ましくは1~5時間、特に2.5時間)かけて行うことが好ましい。ハードセグメントポリマーの製造過程において、工程(ii)では、工程(i)で得られた固相状態の反応生成物を、当該固相状態を保つように、十分に加熱して、重合(すなわち固相重合)を行う。工程(ii)では、例えば、成分(C)および(D)それぞれとしてテレフタル酸および1,10-デカンジアミンを用いる場合、加熱温度(すなわち重合温度)は220~300℃(好ましくは240~280℃、特に260℃)であってもよく、加熱時間(すなわち重合時間)は1~10時間(好ましくは3~7時間、特に5時間)であってもよい。工程(i)および(ii)は窒素不活性ガス等の気流中で行うことが好ましい。例えば、成分(C)および(D)それぞれとしてテレフタル酸および1,10-デカンジアミンを用いる場合、「ハードセグメントポリマーの融点」の融点は通常315℃である。
従って、分割重合法によりポリアミドを製造するに際しては、例えば、以下の方法を採用することができる。まず、当該ポリアミドを構成する成分(C)および(D)のみを用いて上記した工程(i)および(ii)により十分に重合を行い、ポリアミド(すなわちハードセグメントポリマー)を得る。次いで、得られたポリアミドの融点を測定する。融点の測定方法は一括重合法においてと同様である。その後、前記した反応生成物の製造方法Xにより、成分(C)と成分(D)とを反応させ反応生成物を得たのち、当該反応生成物を、「ハードセグメントポリマーの融点」以下の温度で、成分(A)および成分(B)と、さらに反応させて重合することにより、ポリアミドを製造することができる。成分(A)~(D)それぞれとしてダイマー酸、ダイマージアミン、テレフタル酸および1,10-デカンジアミンを用いる場合、分割重合法における重合温度は220~300℃(好ましくは240~280℃、特に260℃)であってもよい。この場合、分割重合法における重合時間は、十分な重合が行われる限り特に限定されず、例えば、1~10時間(好ましくは3~7時間、特に5時間)であってもよい。
一括重合法および分割重合法(以下、単に「本発明に用いるポリアミド(E)の製造方法」ということがある)においては、必要に応じて、触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸またはそれらの塩が挙げられる。触媒の含有量は、特に限定されないが、通常、ジカルボン酸とジアミンの総モル量に対して0~2モル%である。
本発明に用いるポリアミド(E)の製造方法においては、必要に応じて、有機溶媒や水を加えてもよい。
本発明に用いるポリアミド(E)の製造方法においては、重合は、密閉系でおこなってもよいし、常圧でおこなってもよい。密閉系でおこなう場合、モノマーの揮発や縮合水の発生等で圧力が上昇することがあるため、適宜圧力を制御することが好ましい。一方、用いるモノマーの沸点が高く、加圧しなくてもモノマーが系外に流出しない場合、常圧で重合することができる。例えば、ダイマー酸、ダイマージアミン、テレフタル酸、デカンジアミンの組み合わせの場合、常圧で重合することができる。
本発明に用いるポリアミド(E)の製造方法においては、酸化劣化を防ぐため、窒素雰囲気下または真空下で重合をおこなうことが好ましい。
重合したポリアミドは、ストランド状に押出しペレットとしてもよいし、ホットカット、アンダーウォーターカットしてペレットとしてもよい。
本発明に用いるポリアミド(E)の製造方法においては、重合後、さらに高分子量化するために、固相重合をおこなってもよい。固相重合は、重合時の粘度が高粘度で操業が困難になる場合等に、特に効果的である。固相重合は、不活性ガス流通下または減圧下で、樹脂組成物の融点未満の温度で30分以上加熱することによりおこなうことが好ましく、1時間以上加熱することによりおこなうことがより好ましい。樹脂組成物の融点は、上記した「ハードセグメントポリマーの融点」と同様の温度であってもよい。
ポリアミド(E)は、モノマー組成(種類)、モノマー配列、および/または分子量(特に融点)の異なる2種以上のポリアミドを含んでもよい。2種以上のポリアミドは、上記したポリアミド(E)の範囲内から選択される2種以上のポリアミドであってもよい。モノマー配列の異なる2種以上のポリアミドとは、上記したランダム型ポリアミドおよび上記したブロック型ポリアミドのことである。ポリアミド(E)は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、ブロック型ポリアミドの含有量がより多いことが好ましい。ブロック型ポリアミドの含有量は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、ポリアミド(E)全量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上、特に好ましくは70質量%以上、十分に好ましくは80質量%以上、より十分に好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%である。ポリアミド(E)が2種以上のポリアミドを含む場合、本明細書中に記載の成分(A)~(D)の含有量は、全ポリアミド(E)における成分(A)~(D)の含有量であってよい。
ポリアミド(E)が2種以上のポリアミドを含む場合、ポリアミド(E)は、当該2種以上のポリアミドのうち一部または全部のポリアミドを予め溶融混合して使用されてもよいし、各ポリアミド(ペレット)をドライブレンドして使用されてもよいし、またはこれらの複合形態で使用されてもよい。
例えば、本発明に用いるポリアミド(E)がランダム型ポリアミドおよびブロック型ポリアミドの2種類のポリアミドを含む場合、当該ポリアミド(E)の製造方法においては、一括重合法および分割重合法で得られたポリアミドを2種以上、任意の組み合わせで溶融混合をおこなって製造してもよい。例えば、2種類の場合、ランダム型ポリアミドとランダム型ポリアミドとの組み合わせ、ランダム型ポリアミドとブロック型ポリアミドとの組み合わせ、またはブロック型ポリアミドとブロック型ポリアミドとの組み合わせで溶融混合をおこなうことができる。耐熱性、柔軟性、金属層との密着性の観点から、ブロック型ポリアミドとブロック型ポリアミドとの組み合わせまたはランダム型ポリアミドとブロック型ポリアミドとの組み合わせが好ましく、ブロック型ポリアミドとブロック型ポリアミドとの組み合わせがより好ましい。
本発明に用いるポリアミド(E)を溶融混合して得る場合、溶融混合は、溶融混合に用いるポリアミドの融点以上の温度でおこなうことが好ましい。溶融混合に用いるポリアミドの融点がそれぞれ異なる場合、融点の最も高いポリアミドの融点以上の温度で溶融混合をおこなうことが好ましい。
ポリアミド(E)が2種以上のポリアミドを含む場合、各ポリアミドのモノマー組成(例えば、成分(A)、(B)、(C)および(D)の含有量)は、相互に、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
ポリアミド(E)が2種以上のポリアミドを含む場合、モノマー組成の異なるポリアミドを2種以上用いれば、それぞれのポリアミドの混合比率を調整することで、前記した成分(A)と成分(B)との合計含有量を任意に調整することができる。
本発明に用いるポリアミドフィルム(F)は、上記ポリアミド(E)を240~340℃で3~15分間溶融混合した後、Tダイを通じてシート状に押出し、この押し出された物を、-10~80℃に温度調節されたドラム上に密着させて冷却することにより未延伸フィルムを製造することができる。ポリアミドフィルム(F)は、ポリアミド(E)以外に他のポリマーをさらに含んでもよい。他のポリマーは、通常、フィルム全量に対して、50質量%以下であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは0質量%である。
ポリアミドフィルム(F)は、未延伸の状態であってもよいし、または延伸された状態であってもよい。耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点、特に熱処理後においても、フィルム積層体の反りをより十分に低減し、さらにフィルム積層体の外観をより十分に良好にする観点から、ポリアミドフィルム(F)は延伸された状態であることが好ましい。
ポリアミドフィルム(F)が延伸された状態で使用される場合、延伸は一軸方向または二軸方向の延伸であることが好ましく、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、二軸延伸方向の延伸であることがより好ましい。延伸方法としては、同時延伸法や逐次延伸法が挙げられる。延伸方法は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、同時延伸法であることが好ましい。
同時二軸延伸法の一例としては、未延伸フィルムを同時二軸延伸し、続いて熱固定処理を施す方法が挙げられる。延伸は、30~150℃で、幅方向(以下、「TD」と略称することがある。)、長手方向(以下、「MD」と略称することがある。)ともに例えば1.2~8倍にて行うことが好ましい。延伸倍率は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、TD方向およびMD方向ともに、好ましくは1.3~5倍であり、より好ましくは1.4~4倍であり、さらに好ましくは1.8~2.5倍であり、特に好ましくは2~2.5倍である。熱固定処理は、TDのリラックス処理を数%にて、150~300℃で数秒間おこなうことが好ましい。同時二軸する前に、フィルムに1を超えて1.2倍以下程度の予備縦延伸を施しておいてもよい。
逐次二軸延伸法の一例としては、未延伸フィルムにロール加熱、赤外線加熱等の加熱処理を施したうえで、縦方向に延伸し、続いて連続的に、横延伸、熱固定処理を施す方法が挙げられる。縦延伸(MD方向)は、30~150℃で、同時二軸延伸法におけるMD方向の延伸倍率と同様の範囲内の延伸倍率にて行うことが好ましい。横延伸(TD方向)は、縦延伸の場合と同じ30~150℃で、同時二軸延伸法におけるTD方向の延伸倍率と同様の範囲内の延伸倍率にて行うことが好ましい。熱固定処理は、TDのリラックスを数%として150~300℃で数秒間おこなうことが好ましい。
フィルムの製造装置においては、シリンダー、バレルの溶融部、計量部、単管、フィルター、Tダイ等の表面に対して、樹脂の滞留を防ぐため、その表面の粗さを小さくする処理が施されていることが好ましい。表面の粗さを小さくする方法としては、例えば、極性の低い物質で改質する方法が挙げられる。または、その表面に窒化珪素やダイヤモンドライクカーボンを蒸着させる方法が挙げられる。
フィルムを延伸する方法としては、例えば、フラット式逐次二軸延伸法、フラット式同時二軸延伸法、チューブラ法を挙げることができる。中でも、フィルムの厚み精度を向上させ、フィルムのMDの物性を均一とすることができる観点から、フラット式同時二軸延伸法を採用することが好ましい。
フラット式同時二軸延伸法を採用するための延伸装置としては、例えば、スクリュー式テンター、パンタグラフ式テンター、リニアモーター駆動クリップ式テンターが挙げられる。
延伸後の熱処理方法としては、例えば、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法等の公知の方法が挙げられる。中でも、均一に精度良く加熱できることから、熱風を吹き付ける方法が好ましい。
本発明に用いるフィルムには、製膜時の熱安定性を高め、フィルムの強度や伸度の劣化を防ぎ、使用時の酸化や分解等に起因するフィルムの劣化を防止するために、熱安定剤を含有させることが好ましい。熱安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系熱安定剤、ヒンダードアミン系熱安定剤、リン系熱安定剤、イオウ系熱安定剤、二官能型熱安定剤が挙げられる。
ヒンダードフェノール系熱安定剤としては、例えば、Irganox1010(登録商標)(BASFジャパン社製、ペンタエリスリトール テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート])、Irganox1076(登録商標)(BASFジャパン社製、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、Cyanox1790(登録商標)(ソルベイ社製、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌル酸)、Irganox1098(登録商標)(BASFジャパン社製、N,N’-(ヘキサン-1,6-ジイル)ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、SumilizerGA-80(登録商標)(住友化学社製、3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)が挙げられる。
ヒンダードアミン系熱安定剤としては、例えば、Nylostab S-EED(登録商標)(クラリアントジャパン社製、N、N’-ビス-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル-1,3-ベンゼンジカルボキシアミド)が挙げられる。
リン系熱安定剤としては、例えば、Irgafos168(登録商標)(BASFジャパン社製、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト)、Irgafos12(登録商標)(BASFジャパン社製、6,6’,6”-[ニトリロトリス(エチレンオキシ)]トリス(2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン))、Irgafos38(登録商標)(BASFジャパン社製、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル)-6-メチルフェニル)エチルホスフィット)、ADKSTAB329K(登録商標)(ADEKA社製、トリス(モノ-ジノニルフェニル)ホスフィット)、ADKSTAB PEP36(登録商標)(ADEKA社製、ビス(2,6-ジ―tert―ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジ-ホスファイト)、Hostanox P-EPQ(登録商標)(クラリアント社製、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニルジホスホナイト)、GSY-P101(登録商標)(堺化学工業社製、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト)、スミライザーGP(登録商標)(住友化学社製、6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]-ジオキサホスフェピン)が挙げられる。
イオウ系熱安定剤としては、例えば、DSTP「ヨシトミ」(登録商標)(三菱ケミカル社製、化学式名:ジステアリルチオジプロピオネート)、Seenox 412S(登録商標)(シプロ化成社製、ペンタエリスリトール テトラキス-(3-ドデシルチオプロピオネート))が挙げられる。
二官能型熱安定剤としては、例えば、スミライザーGM(登録商標)、(住友化学社製、2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート)、スミライザーGS(登録商標)(住友化学社製、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート)が挙げられる。
フィルム強度の劣化を防止する観点からは、ヒンダードフェノール系熱安定剤が好ましい。ヒンダードフェノール系熱安定剤の熱分解温度は、320℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましい。熱分解温度が320℃以上のヒンダードフェノール系熱安定剤としては、スミライザーGA-80が挙げられる。また、ヒンダードフェノール系熱安定剤は、アミド結合を有していれば、フィルム強度の劣化を防止することができる。アミド結合を有しているヒンダードフェノール系熱安定剤としては、例えば、イルガノックス1098が挙げられる。また、ヒンダードフェノール系熱安定剤に二官能型熱安定剤を併用することにより、フィルム強度の劣化をさらに低減することができる。
これらの熱安定剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、ヒンダードフェノール系熱安定剤とリン系熱安定剤を併用すれば、フィルムの製膜時における原料濾過用フィルターの昇圧を防止することができるとともに、フィルム強度の劣化を防止することができる。また、ヒンダードフェノール系熱安定剤とリン系熱安定剤と二官能型熱安定剤を併用すれば、フィルムの製膜時における原料濾過用フィルターの昇圧を防止することができるとともに、フィルム強度の劣化をさらに低減することができる。
ヒンダードフェノール系熱安定剤とリン系熱安定剤の組み合わせとしては、スミライザーGA-80またはイルガノックス1098と、Hostanox P-EPQまたはGSY-P101との組み合わせが好ましい。ヒンダードフェノール系熱安定剤とリン系熱安定剤と二官能型熱安定剤の組み合わせとしては、スミライザーGA-80またはイルガノックス1098と、HostanoxP-EPQまたはGSY-P101と、スミライザーGSの組み合わせが好ましく、スミライザーGA-80と、GSY-P101とスミライザーGSとの組み合わせがより好ましい。
本発明に用いるポリアミドフィルム(F)における上記熱安定剤の含有量としては、ポリアミド(A)100質量部に対して、0.01~2質量部とすることが好ましく、0.04~1質量部とすることがより好ましい。熱安定剤の含有量が0.01~2質量部とすることにより、熱分解をより効率的に抑制することができる。なお、熱安定剤を2種以上併用する場合は、各々の熱安定剤の個別の含有量、および熱安定剤の合計の含有量のいずれもが、上記の範囲に入っていることが好ましい。
本発明に用いるポリアミドフィルム(F)には、滑り性を良好にするため、滑剤粒子が含有されていてもよい。滑剤粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム等の無機粒子や、アクリル系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等の有機系微粒子が挙げられる。
本発明に用いるポリアミドフィルム(F)には、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、各種の添加剤が含有されていてもよい。添加剤としては、例えば、顔料・染料等の着色剤、着色防止剤、上記熱安定剤とは異なる酸化防止剤、耐候性改良剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、強化剤、改質剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、防曇剤、各種ポリマーが挙げられる。顔料としては、酸化チタン等が挙げられる。耐候性改良剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。難燃剤としては、臭素系難燃剤やリン系難燃剤等が挙げられる。強化剤としては、タルク等が挙げられる。なお、上記各種の添加剤は、フィルムを製造する際の任意の段階でこれを添加すればよい。
ポリアミドフィルム(F)が添加剤を含む場合、当該添加剤はそれぞれ独立して、ポリアミド(E)と予め混練されてもよいし、またはシート状に押出す際の溶融混合直前に添加されてもよい。
本発明に用いるポリアミドフィルム(F)に、熱安定剤、滑剤粒子、各種の添加剤を含有させる場合、ポリアミド(E)と当該添加剤とを予め混練しておくことが好ましい。ポリアミド(E)との混練に用いられる混練機は、特に限定されないが、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール等、公知の溶融混練機が挙げられる。溶融混練温度は、通常、ポリアミド(E)の融点以上である。
本発明に用いるポリアミドフィルム(F)には、必要に応じて、その表面の密着性を向上させるための処理を施すことができる。密着性を向上させる方法としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、酸処理、火炎処理が挙げられる。
本発明に用いるポリアミドフィルム(F)の表面には、易接着性、帯電防止性、離型性、ガスバリア性等の機能を付与するため、各種のコーティング剤が塗布されていてもよい。
本発明に用いるポリアミドフィルム(F)の厚みは通常、1μm~2mmであり、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、好ましくは10μm~500μm、より好ましくは25~100μmである。ポリアミドフィルム(F)が延伸されている場合、延伸されたポリアミドフィルム(F)が上記厚みを有している。
本発明に用いるポリアミドフィルム(F)は、耐熱性に優れるものであり、耐熱性の指標となる融点が、240℃以上であることが必要であり、250℃以上であることが好ましく、270℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることがさらに好ましい。融点が低すぎると、耐熱性が低下する。
ポリアミドフィルム(F)の融点は、ポリアミド(E)の分子量、芳香族ジカルボン酸(C)と炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)からなる反応生成物(ハードセグメントポリマー)の含有量、(C)/(D)含有比から選択される1つ以上の因子を調整することにより、制御することができる。例えば、ポリアミド(E)の分子量を増大させると、当該融点は高くなる。また例えば、ポリアミド(E)の分子量を低減させると、当該融点は低くなる。
さらに例えば、芳香族ジカルボン酸(C)と炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)からなる反応生成物の含有量を増大させると、当該融点は高くなる傾向がある。
本明細書中、融点は、示差走査熱量計により昇温速度20℃/分にて昇温した時の吸熱ピークに基づく温度を用いている。
本発明に用いるポリアミドフィルム(F)は、柔軟性に優れるものであり、柔軟性の1つの指標となる伸長回復率が通常、30%以上であり、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、55%以上であることがさらに好ましい。伸長回復率が低すぎると、柔軟性が低下する。当該伸長回復率は通常、100%以下(特に90%以下)である。本発明においては、ポリアミドフィルム(F)を構成するポリアミド(E)がブロック型構造を有することにより、50%以上(特に55%以上)の伸長回復率を達成することができる。
ポリアミドフィルム(F)の伸長回復率は、ポリアミド(E)の高分子構造、延伸倍率、炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)と炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)の含有量から選択される1つ以上の因子を調整することにより、制御することができる。
例えば、ポリアミド(E)の高分子構造をランダム型構造からブロック型構造に調整すると、伸長回復率は増大する傾向がある。
また例えば、延伸倍率を増大させると、当該伸長回復率は低減する。他方、延伸倍率を低減させると、当該伸長回復率は増大する。
さらに例えば、炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)と炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)の含有量を増大させたり、(B)の含有量を増大させたりすると、当該伸長回復率は増大する傾向がある。
本明細書中、伸長回復率は、23℃環境下、チャック間距離70mmおよび引張試験速度5mm/minの条件で引張り試験したときの値を用いている。
本発明に用いるポリアミドフィルム(F)の柔軟性の1つの指標となる引張弾性率(MD)は通常、2500MPa以下であり、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、2000MPa以下であることが好ましく、1500MPa以下であることがより好ましく、1000MPa以下であることがさらに好ましく、500MPa以下であることが特に好ましく、310MPa以下であることが十分に好ましい。引張弾性率が高すぎると、柔軟性が低下する。当該引張弾性率は通常、10MPa以上である。
ポリアミドフィルム(F)の引張弾性率は、ポリアミド(E)の高分子構造、延伸倍率、炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)と炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)の含有量から選択される1つ以上の因子を調整することにより、制御することができる。
例えば、ポリアミド(E)の高分子構造をランダム型構造からブロック型構造に調整すると、引張弾性率は低減する傾向がある。
また例えば、延伸倍率を増大させると、当該引張弾性率は増大する。他方、延伸倍率を低減させると、当該引張弾性率は低減する。
さらに例えば、炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)と炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)の含有量を増大さると当該弾性率は低減する傾向があり、(B)の含有量を増大させたりすると、当該弾性率は増大する傾向がある。
本明細書中、引張弾性率は、JIS K 7127に従って、温度20℃、湿度65%の環境下で測定された値を用いている。
本発明に用いるポリアミドフィルム(F)の結晶融解エンタルピーは通常、15J/g以上であり、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、18J/g以上であることが好ましく、20J/g以上であることがより好ましく、23J/g以上であることがさらに好ましく、25J/g以上であることが特に好ましく、30J/g以上であることが十分に好ましく、40J/g以上であることがより十分に好ましく、50J/g以上であることが最も好ましい。ハードセグメントの結晶性が高いほど、ハードセグメントとソフトセグメントの相分離構造の形成が促進され、柔軟性やゴム弾性が向上する。当該結晶融解エンタルピーが低すぎると、柔軟性および/またはゴム弾性が低下する。当該結晶融解エンタルピーは通常、120J/g以下(特に90J/g以下)である。本発明においては、ポリアミドフィルム(F)を構成するポリアミド(E)がブロック型構造を有することにより、23J/g以上(特に25J/g以上、好ましくは40J/g以上)の結晶融解エンタルピーを達成することができる。
ポリアミドフィルム(F)の結晶融解エンタルピーは、ポリアミド(E)の高分子構造、芳香族ジカルボン酸(C)と炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)からなる反応生成物(ハードセグメントポリマー)の含有量から選択される1つ以上の因子を調整することにより、制御することができる。
例えば、ポリアミド(E)の高分子構造をランダム型構造からブロック型構造に調整すると、結晶融解エンタルピーは増大する傾向がある。
また例えば、芳香族ジカルボン酸(C)と炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)からなる反応生成物の含有量を増大させると、結晶融解エンタルピー増大する。
本明細書中、結晶融解エンタルピーは、融点と同様の方法で測定された吸熱ピークの熱量の値を用いている。
本発明に用いるポリアミドフィルム(F)において、ヒステリシスロス率は、小さければ小さいほどゴム弾性が高いことを示す。本発明に用いるポリアミドフィルム(F)において、ヒステリシスロス率は、(耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、90%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましく、80%以下であることがさらに好ましい。当該ヒステリシスロス率は通常、10%以上(特に30%以上)である。
ポリアミドフィルム(F)のヒステリシスロス率は、ポリアミド(E)の高分子構造、延伸倍率、炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)と炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)の含有量から選択される1つ以上の因子を調整することにより、制御することができる。
例えば、ポリアミド(E)の高分子構造をランダム型構造からブロック型構造に調整すると、ヒステリシスロス率は低減する傾向がある。
また例えば、延伸倍率を増大させると、当該ヒステリシスロス率は増大する。他方、延伸倍率を低減させると、当該ヒステリシスロス率は低減する。
さらに例えば、炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)と炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)の含有量を増大させたり、(B)の含有量を増大させたりすると、当該ヒステリシスロス率は低減する傾向がある。
本明細書中、ヒステリシスロス率は、伸長回復率と同様の方法で引張り試験したときの値を用いている。
本発明に用いるポリアミドフィルム(F)は、誘電正接や比誘電率がより十分に低く誘電特性に優れており、さらに絶縁特性にも優れている。
本発明に用いるポリアミドフィルム(F)は、熱収縮率および吸水率がより十分に低減されている。
得られたフィルムは、枚葉とされてもよいし、巻き取りロールに巻き取られることによりフィルムロールの形態とされてもよい。各種用途への利用に際しての生産性の観点から、フィルムロールの形態とすることが好ましい。フィルムロールとされた場合は、所望の巾にスリットされていてもよい。
本発明のポリアミドフィルム積層体は、上記ポリアミドフィルム(F)上に、金属層を設けることが必要である。金属層を構成する金属としては、例えば、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、スズ、金、銀、合金鋼(例えばステンレス)、合金メッキが挙げられる。金属層は、ポリアミドフィルム(F)の少なくとも片面に設けられ、例えば、片面のみに設けられてもよいし、または両面に設けられてもよい。また、金属層は、ポリアミドフィルム(F)片面または両面において、全面に設けられてもよいし、または部分的に設けられてもよい。金属層の厚みは、積層体(特にフィルム)の柔軟性が阻害されない限り、特に限定されず、例えば、1~500μmであってもよく、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、1~105μmであることが好ましく、9~35μmであることがより好ましい。
本発明の積層体には、さらに樹脂層を設けてもよい。金属層がポリアミドフィルム(F)の片面に設けられる場合、樹脂層は、金属層の上に設けられてもよいし、またはポリアミドフィルム(F)における金属層が設けられていない面(反対面)に設けられてもよい。樹脂層は通常、金属層の上に設けられる。金属層がポリアミドフィルム(F)の両面に設けられる場合、樹脂層は、一方の金属層の上に設けられてもよいし、または両方の金属層の上に設けられてもよい。樹脂層を構成する樹脂は、特に限定されず、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリアリーレンスルフィド、フルオロカーボンポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/α-オレフィン共重合体、エチレン/アクリル酸エステル共重合体、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、アイオノマーからなる群から選択されてもよい。樹脂層を構成する樹脂がポリアミドの場合、当該ポリアミドは、ポリアミド(E)であってもよいし、またはそれ以外のポリアミドであってもよい。金属層がポリアミドフィルム(F)の両面に設けられる場合、一方の面に設けられる金属層は他方の面に設けられる金属層と同種の金属から構成されていてもよいし、または異種の金属から構成されていてもよい。
本発明のポリアミドフィルム積層体において、金属層は接着層等の第3部材を介してポリアミドフィルム(F)上に設けられてもよいが、第3部材を介在させることなく、ポリアミドフィルム(F)と直接的に接して設けられていることが好ましい。金属層とポリアミドフィルム(F)との間に接着層等の第3部材が介在しないことにより、伝送損失をより十分に低減できるためである。
本発明に用いるポリアミド積層体の作製方法としては、例えば、(1)フィルムと金属とを、加熱および加圧によって張り合わせる方法、(2)メッキ処理;インクジェット法;真空蒸着やスパッタリング処理等の物理蒸着(PVD)法;または熱、プラズマ、光をエネルギー形態とする化学蒸着(CVD)法により金属層を形成する方法、(3)メッキ処理、インクジェット法、PVD法またはCVD法によりシード層を形成した後にメッキ処理により金属層を形成する方法が挙げられる。中でも、フィルムと金属とを加熱および加圧によって張り合わせる方法が、生産性および伝送損失のさらなる低減の観点から好ましい。
フィルムと金属とを加熱および加圧によって張り合わせる方法としては、例えば、フィルムに接着剤を塗布した後に金属を重ね合わせ加熱および加圧によって張り合わせる方法や、フィルムと金属との間に接着シートを挟み加熱および加圧によって張り合わせる方法や、フィルムと金属とを直接重ね合わせ加熱および加圧によって張り合わせる方法が挙げられる。
加熱および加圧の方法としては、例えば、真空プレス装置を用いる方法や、ロール式ラミネート機を用いる方法が挙げられる。真空プレス装置を用いる場合、加熱温度は、「フィルムの融点(℃)-100℃」~「フィルムの融点(℃)-5℃」、圧力は10MPa以下、処理時間は2時間以内とすることが好ましい。加熱温度は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、好ましくは「フィルムの融点(℃)-100℃」~「フィルムの融点(℃)-50℃」、より好ましくは「フィルムの融点(℃)-90℃」~「フィルムの融点(℃)-50℃」である。圧力は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、好ましくは0.1~5MPa、より好ましくは0.5~2MPaである。処理時間は、耐熱性、柔軟性、密着性、伝送特性およびゴム弾性のさらなる向上ならびに反りのさらなる低減の観点から、好ましくは1~60分間であり、より好ましくは1~10分間である。
フィルムに接着剤を塗布した後に金属を重ね合わせて加および加圧によって張り合わせる方法としては、接着成分を分散させた溶液をフィルム表面にコートし、乾燥させて接着層を形成した後、金属を重ね合わせて、加熱および加圧によって張り合わせる方法が挙げられる。コート後の乾燥温度は100℃以下とすることが好ましい。
フィルムと金属との間に接着シートを挟み加熱および加圧によって張り合わせる方法としては、例えば、フィルムに接着シートを重ね合わせ、金属を加熱および加圧によって張り合わせる方法が挙げられる。
本発明のポリアミドフィルム積層体のポリアミドフィルムと金属層との剥離強度は、0.1[N/mm]以上であることが好ましく、0.3[N/mm]以上であることがより好ましく、0.5[N/mm]以上であることがさらに好ましい。当該剥離強度は通常、2[N/mm]以下である。
本明細書中、剥離強度は、JIS C 6471(方法A)に従って測定された値を用いている。
本発明のポリアミド積層体から作製した、特性インピーダンスが50Ωのマイクロストリップラインにおける、伝送損失の絶対値が、5GHzで1.80[dB/100mm]以下あることが好ましく、1.70以下であることがより好ましく、1.65以下であることがさらに好ましい。伝送損失の絶対値は通常、5GHzで1[dB/100mm]以上である。
本明細書中、伝送損失は、ポリアミドフィルム積層体から、特性インピーダンスが50Ωとなるように作製されたマイクロストリップラインの5GHzでの値を用いている。
本発明のポリアミドフィルム積層体は、耐熱性、柔軟性に優れ、金属や樹脂との密着性が良く、積層体としたときの反りが低減されている。本発明のポリアミドフィルム積層体は、熱処理(例えばリフロー処理)後においても、外観が良好であり、さらには、反りが低減されている。本発明のポリアミドフィルム積層体は、フレキシブルプリント回路基板としたときの伝送損失も低減されている。
本発明のポリアミドフィルム積層体は、例えば、フレキシブルプリント回路基板、高速通信用のフレキシブルプリント回路基板、高速通信用のアンテナ基板、カバーレイ、フレキシブルアンテナ基板、ボンディングシート、電磁波シールド材料等に好適に用いることができる。
本発明のポリアミドフィルム積層体をフレキシブルプリント回路基板に用いる場合、ポリアミドフィルム積層体の金属層をエッチングし、金属配線を形成することにより、本発明のポリアミドフィルム積層体を用いることができる。別法として、ポリアミドフィルム(F)に、メッキ法、インクジェット法、物理蒸着法、化学蒸着法からなる群から選択される方法よって、金属配線としての金属層を形成することにより、本発明のポリアミドフィルム積層体をフレキシブルプリント回路基板として用いることもできる。
本発明のポリアミドフィルム積層体をフレキシブルアンテナ基板に用いる場合、ポリアミドフィルム積層体の金属層をエッチングし、金属配線を形成することにより用いることができる。別法として、ポリアミドフィルム(F)に、メッキ法、インクジェット法、物理蒸着法、化学蒸着法からなる群から選択される方法よって、金属配線としての金属層を形成することにより、本発明のポリアミドフィルム積層体をフレキシブルアンテナ基板として用いることもできる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
A.評価方法
ポリアミドフィルムおよびポリアミドフィルム積層体の物性測定は、以下の方法によっておこなった。
(1)フィルムの樹脂組成
得られたフィルムから数mg採り、高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製ECA-500NMR)を用いて、H-NMR分析することにより、それぞれの共重合成分のピーク強度から求めた(分解能:500MHz、溶媒:重水素化トリフルオロ酢酸と重水素化クロロホルムとの容量比が4/5の混合溶媒、温度:23℃)。表1において、樹脂組成を最終組成として質量比で示した。
(2)フィルムの融点、結晶融解エンタルピー
得られたフィルムから数mg採り、示差走査熱量計DSC-7型(パーキンエルマー社製)用いて、昇温速度20℃/分で350℃まで昇温した後、350℃で5分間保持し、降温速度20℃/分で25℃まで降温し、さらに25℃で5分間保持後、昇温速度20℃/分で再昇温した。
再昇温時の吸熱ピークのトップを融点とし、吸熱ピークの熱量を結晶融解エンタルピーとした。結晶融解エンタルピーは、融解開始から終了までの温度範囲のピーク面積から求められる。なお、融点および結晶融解エンタルピーは、任意の10箇所で測定された値の平均値を用いた。
融点を以下の基準に従って評価した。
◎:300℃以上(優良);
○:270℃以上300℃未満(良);
△:240℃以上270℃未満(実用上問題なし);
×:240℃未満(実用上問題あり)。
(3)フィルムの伸長回復率(柔軟性)、ヒステリシスロス率(ゴム弾性率)
得られたフィルムから、JIS K6251 3号の形状の試験片を作製し、INTESCO社製2020型試験機を用いて伸長回復率およびヒステリシスロス率の測定をおこなった。23℃環境下、チャック間距離70mm、引張試験速度5mm/minの条件で、14mm引張り、直ちに同じ速度で元に戻し、応力がゼロになった時の残留歪A(mm)を求めた。なお、伸長回復率およびヒステリシスロス率は、フィルムの任意の10箇所で得られた10個の試験片を用いて測定された値の平均値を用いた。
伸長回復率は、残留歪Aを用いて下記式により算出した。
伸長回復率(%)=(14-A)/14×100
さらに、得られたヒステリシス曲線から、下記式により算出した。
ヒステリシスロス率(%)=面積(Oabcd)/面積(OabeO)×100
例えば、図1において、面積(Oabcd)は破線(縦破線)により示される領域の面積のことであり、面積(OabeO)は実線(横実線)により示される領域の面積のことである。図1は、ヒステリシスロス率の算出方法を説明するためのヒステリシス曲線を示す模式図である。
(4)フィルムの引張破断強度、引張破断伸度および引張弾性率(柔軟性)
JIS K 7127に従って、温度20℃、湿度65%の環境下で測定した。試料の大きさは10mm×150mm、チャック間の初期距離は100mm、引張速度は500mm/分とした。
フィルムの引張破断強度、引張破断伸度および引張弾性率はMD方向の物性を測定した。
なお、フィルムの引張破断強度、引張破断伸度および引張弾性率は、フィルムの任意の10箇所で得られた10個の試料を用いて測定された値の平均値を用いた。
(5)フィルムの熱収縮率
JIS K 7133に従って、200℃で15分間熱処理をした際のフィルムの収縮率を測定した。
(6)フィルムの吸水率
50℃で24時間の真空乾燥をおこなって質量を測定し、23℃の純水に浸漬した。24時間後、表面の水分をふき取って質量を測定し、浸漬前後の質量変化から吸水率を求めた。
(7)フィルムの誘電特性
空洞共振器摂動法により、5.8GHzにおける比誘電率および誘電正接を測定した。試料の大きさは2mm×50mmとした。
(8)フィルム積層体の密着力
JIS C 6471(方法A)に従って、実施例、比較例で得られたポリアミドフィルム積層体から一方の面の金属層を引きはがす際の剥離強度を測定し、密着力とした。剥離強度を以下の基準に従って評価した。なお、剥離強度は、10回の測定で得られた値の平均値を用いた。
◎:剥離強度が0.5[N/mm]以上であった(優良);
○:剥離強度が0.3[N/mm]以上0.5[N/mm]未満であった(良);
△:剥離強度が0.1[N/mm]以上0.3[N/mm]未満であった(実用上問題なし);
×:剥離強度が0.1[N/mm]未満であった(実用上問題あり)。
(9)フィルム積層体の外観
実施例、比較例で得られたポリアミドフィルム積層体について、以下の基準に従って評価した。
◎◎:積層体の変形、表面の凹凸、フィルムの染み出しのいずれもなかった(最良);
◎:積層体の変形や表面の凹凸はないが、フィルムの一部が染み出しており、その染み出し量が2mm以未満であった(優良);
○:積層体の変形や表面の凹凸はないが、フィルムの一部が染み出しており、その染み出し量が2mm以上4mm未満であった(良);
△:表面の凹凸はないが、フィルムの一部が染み出しており、その染み出し量が2mm未満であり、積層体周辺部に変形があった(実用上問題なし);
×:積層体の変形および表面の凹凸があった(実用上問題あり)。
積層体の変形とは、積層体の周辺部の表面にシワが発生したり、周辺部が波打つように変形したりする状態であり、結晶融解エンタルピー、伸長回復率、引張弾性率に起因して生じる現象である。
表面の凹凸とは、空気抜け不良で積層体表面が変形する状態であり、結晶融解エンタルピー、伸長回復率、引張弾性率に起因して生じる現象である。
フィルムの染み出しとは、積層体の隙間からフィルムがはみ出す状態であり、積層体作製時の加熱温度および圧力、フィルムの融点、結晶融解エンタルピー、伸長回復率、引張弾性率に起因して生じる現象である。
(10)フィルム積層体の反り
実施例、比較例で得られたポリアミドフィルム積層体から10cm×10cmを切り出し、片面に保護層を設けてエッチング処理を行い、保護層を設けなかった側の金属層を除去し、片面のみに金属層を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
なお、実施例35~46および比較例13~15については、銅箔層側ではない層に保護層を設けてエッチング処理をおこなった。
フィルム側を下面にして23℃、相対湿度50%、24時間調湿した後、4角の浮き上がり量を測定した。反りが凸形状の場合は、上下反転させて測定した。反りが凹形状の場合をプラス、凸形状の場合をマイナスとした。4角の測定値の平均値(絶対値)Xについて、以下の基準に従って評価した。平均値Xが0mm以上5mm未満の場合を「◎◎(最良)」、5mm以上10mm未満の場合を「◎(優良)」、10mm以上20mm未満の場合を「○(良)」、20mm以上25mm未満を「△(実用上問題なし)」、25mm以上の場合を「×(実用上問題あり)」とした。
(11)耐熱性試験後のフィルム積層体の外観・反り
(10)で得られた片面のみに金属層を有するポリアミドフィルム積層体を、250℃で60秒の処理をおこなった。その後、「(9)フィルム積層体の外観」および「(10)フィルム積層体の反り」と同様の方法により、評価を行い、以下の基準に従ってランク付けした。
◎◎:フィルムの外観に変化なく、反り平均値Xが0mm以上5mm未満であった(最良);
◎:フィルムの外観に変化なく、フィルムの外観に変化なく、反り平均値Xが5mm以上10mm未満であった(優良);
○:フィルムの外観に変化なく、反り平均値Xが10mm以上20mm未満であった(良);
△:フィルムの外観に変化なく、反り平均値Xが20mm以上25mm未満であった(実用上問題なし);
×:フィルムの外観が悪化したか、またはフィルムの外観に変化がなかったとしても、反り平均値Xが25mm以上であった(実用上問題あり)。
(12)フィルム積層体の伝送特性
実施例、比較例で得られた両面に金属層を有したポリアミドフィルム積層体から、特性インピーダンスが50Ωとなるようにマイクロストリップラインを作製し、ネットワークアナライザーを用いて、10MHz~40GHzの伝送損失の絶対値)を測定し、以下の基準に従って評価した。なお、伝送損失は、10回の測定で得られた値の平均値を用いた。
◎:絶対値Yが1.65[dB/100mm]以下であった(優良);
○:絶対値Yが1.65[dB/100mm]超1.75[dB/100mm]以下であった(良);
△:絶対値Yが1.75[dB/100mm]超1.80[dB/100mm]以下あった(実用上問題なし);
×:絶対値Yが1.80[dB/100mm]超であった(実用上問題あり)。
(13)耐熱性
上記した「(2)フィルムの融点、結晶融解エンタルピー」におけるフィルムの融点の評価結果および「(11)耐熱性試験後のフィルム積層体の外観・反り」の評価結果のうち、低い方の評価結果を耐熱性の評価結果として用いた。
(14)フィルムの柔軟性
上記したフィルムの伸長回復率および引張弾性率について以下の基準に従って評価した。それらの評価結果のうち、低い方の評価結果を柔軟性の評価結果として用いた。
・伸長回復率
◎:50%以上(優良);
○:40%以上50%未満(良);
△:30%以上40%未満(実用上問題なし);
×:30%未満(実用上問題あり)。
・引張弾性率(MD)
◎:1500MPa以下(優良)
○:1500MPa超2000MPa以下(良);
△:2000MPa超2500MPa以下(実用上問題なし);
×:2500MPa超(実用上問題なし)。
(15)総合評価
上記した項目(8)~(14)の評価結果を総合的に評価した。詳しくは、これらの評価結果のうち、最低の評価結果を総合評価の結果として用いた。
B.原料
原料は、以下のものを用いた。
・ダイマー酸:クローダ社製 プリポール1009
・テレフタル酸:
・ダイマージアミン:クローダ社製 プリアミン1075
・デカンジアミン:
・次亜リン酸ナトリウム:
・熱安定剤:住友化学社製 Sumilizer GA-80
実施例1
・ポリアミドP1
リボンブレンダー式の反応装置にテレフタル酸23.5質量部、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.1質量部を投入し、窒素密閉下、回転数30rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を30rpmに保ったまま、液注装置を用いて、100℃に加温した1,10-デカンジアミン24.4質量部を、2.5時間かけて連続的(連続液注方式)に添加し反応生成物を得た。なお、原料モノマーのモル比は、テレフタル酸:1,10-デカンジアミン=50.0:50.0であった。
加熱機構、撹拌機構を備えた反応容器にダイマー酸26.7質量部、ダイマージアミン25.3質量部を投入した。100℃で1時間撹拌した後に上記反応生成物を47.9質量部撹拌しながら投入した。
その後260℃まで撹拌しながら加熱し、縮合水を系外に除去しながら、窒素気流下、常圧、260℃で、5時間重合をおこなった。重合中、系は懸濁溶液の状態であった。
重合終了後、払い出し、これを切断し、乾燥してペレット形態のポリアミドP1を得た。
・同時二軸延伸ポリアミドフィルムの作製
得られたペレット 100質量部とスミライザーGA-80 0.4質量部とをドライブレンドし、シリンダー温度を330℃に加熱したスクリュー径が26mmである二軸押出機に投入し、溶融混練して、ストランド状に押出した。その後、冷却、切断して、ペレットを得た。
得られたペレットを、シリンダー温度330℃に加熱した単軸押出機(スクリュー径50mm)に投入し溶融して、溶融ポリマーを得た。該溶融ポリマーを金属繊維焼結フィルター(日本精線社製、「NF-13」、公称濾過径:60μm)を用いて濾過した。その後、330℃にしたTダイより溶融ポリマーをフィルム状に押出し、フィルム状の溶融物とした。該溶融物を0℃に設定した冷却ロール上に静電印加法により密着させて冷却し、実質的に無配向の未延伸ポリアミドフィルムM1を得た。
得られた未延伸ポリアミドフィルムM1のポリアミド成分の樹脂組成を求めたところ、用いたポリアミドの樹脂組成と同一であった。
得られたポリアミド未延伸フィルムM1の両端をクリップで把持しながら、フラット式同時二軸延伸機にて、二軸延伸をおこなった。延伸条件は、予熱部の温度が80℃、延伸部の温度が80℃、MDの延伸歪み速度が2400%/分、TDの延伸歪み速度が2400%/分、MDの延伸倍率が2.3倍、TDの延伸倍率が2.3倍であった。延伸後連続して、二軸延伸機の同じテンター内で270℃にて熱固定をおこない、フィルムの幅方向に6%のリラックス処理を施し、同時二軸延伸ポリアミドフィルムS1を得た。
・ポリアミドフィルム積層体の作製
得られた同時二軸延伸ポリアミドフィルムS1の両面に、厚さ18μmの電解銅箔(表面粗さRz=1.2μm)が接するように重ね合わせ、真空プレス装置にセットして、230℃、1MPa、5分間加熱および加圧処理して、両面に銅箔層を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
実施例2~9
反応容器に投入するモノマーの量を表1のように変更する以外は、実施例1と同様の操作をおこない、ポリアミドP2~P9を得た。また、得られたペレットを用いて、実施例1と同様の操作をおこなって、溶融混練、未延伸フィルムM2~M9の作製、同時二軸延伸をおこない、同時二軸延伸ポリアミドフィルムS2~S9を得た。加熱加圧条件を表2のように変更する以外は、実施例1と同様の操作をおこない、両面に銅箔層を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
得られた未延伸ポリアミドフィルムのポリアミド成分の樹脂組成を求めたところ、用いたポリアミドの樹脂組成と同一であった。
実施例10
加熱機構、撹拌機構を備えた反応容器に、ダイマー酸26.7質量部、ダイマージアミン25.3質量部、テレフタル酸23.5質量部、1,10-デカンジアミン24.4質量部、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.1質量部を投入した。
その後、撹拌しながら260℃まで加熱し、縮合水を系外に除去しながら、窒素気流下、常圧、260℃で、5時間重合をおこなった。重合中、系は懸濁状態であった。
重合終了後、払い出し、これを切断し、乾燥してペレット形態のポリアミドP10を得た。
また、得られたペレットを用いて、実施例1と同様の操作をおこなって、溶融混練、未延伸フィルムM10の作製、同時二軸延伸をおこない、同時二軸延伸ポリアミドフィルムS10を得た。
得られた未延伸ポリアミドフィルムM10のポリアミド成分の樹脂組成を求めたところ、用いたポリアミドの樹脂組成と同一であった。
得られた同時二軸延伸ポリアミドフィルムS10を用いて、実施例1と同様の操作をおこなって、両面に銅箔層を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
実施例11、12
ダイマー酸、ダイマージアミン、テレフタル酸、1,10-デカンジアミンの投入量を表1の投入量に変更する以外は、実施例10と同様の操作をおこない、ポリアミドP11、12を得た。また、得られたペレットを用いて、実施例1と同様の操作をおこなって、溶融混練、未延伸フィルムM11、M12の作製、同時二軸延伸をおこない、同時二軸延伸ポリアミドフィルムS11、S12を得た。加熱加圧条件を表2のように変更する以外は、実施例1と同様の操作をおこない、両面に銅箔層を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
得られた未延伸フィルムのポリアミド成分の樹脂組成を求めたところ、用いたポリアミドの樹脂組成と同一であった。
比較例1
加熱機構、撹拌機構を備えた反応容器に、ダイマー酸44.0質量部、ダイマージアミン41.7質量部、テレフタル酸6.9質量部、1,10-デカンジアミン7.3質量部、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.1質量部を投入した。
その後、撹拌しながら260℃まで加熱し、縮合水を系外に除去しながら、窒素気流下、常圧、260℃で、5時間重合をおこなった。重合中、系は懸濁状態であった。
重合終了後、払い出し、これを切断し、乾燥してペレット形態のポリアミドP13を得た。
また、得られたペレットを用いて、実施例1と同様の操作をおこなって、溶融混練、未延伸フィルムM13の作製、同時二軸延伸をおこない、同時二軸延伸ポリアミドフィルムS13を得た。
得られた同時二軸延伸ポリアミドフィルムS13を用いて、実施例1と同様の操作をおこなって、両面に銅箔層を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
比較例2
ダイマー酸、ダイマージアミン、テレフタル酸、1,10-デカンジアミンの投入量を表1の投入量に変更する以外は、実施例10と同様の操作をおこない、ポリアミドP14を得た。また、得られたペレットを用いて、実施例1と同様の操作をおこなって、溶融混練、未延伸フィルムM14の作製、同時二軸延伸をおこない、同時二軸延伸ポリアミドフィルムS14を得た。加熱加圧条件を表2のように変更する以外は、実施例1と同様の操作をおこない、両面に銅箔層を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
得られた未延伸フィルムのポリアミド成分の樹脂組成を求めたところ、用いたポリアミドの樹脂組成と同一であった。
比較例3
加熱機構を備えた粉末撹拌装置に、テレフタル酸49.0質量部、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.1質量部を投入した。170℃加熱下、撹拌しながら、1,10-デカンジアミン50.9質量部を3時間かけて少量ずつ加え、反応生成物を得た。その後、攪拌しながら前記反応生成物を250℃まで加熱し、縮合水を系外に除去しながら、窒素気流下、常圧、250℃で7時間重合をおこなった。重合中、系は粉末の状態であった。
重合終了後、払い出し、粉末形態のポリアミドP15を得た。
また、得られた粉末を用いて、実施例1と同様の操作をおこなって、溶融混練、未延伸フィルムM15の作製、同時二軸延伸をおこない、同時二軸延伸ポリアミドフィルムS15を得た。
得られた同時二軸延伸ポリアミドフィルムを用いて、実施例1と同様の操作をおこなって、両面に銅箔層を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
比較例4
加熱機構、撹拌機構を備えた反応容器に、ダイマー酸51.3質量部、ダイマージアミン48.6質量部、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.1質量部を投入した。
その後、撹拌しながら、260℃まで加熱し、縮合水を系外に除去しながら、窒素気流下、常圧、260℃で、5時間重合をおこなった。重合中、系は均一な溶融状態であった。
重合終了後、払い出し、これを切断し、乾燥して、ペレット形態のポリアミドP16を得た。
また、得られたペレットを用いて、実施例1と同様の操作をおこなって、溶融混練、未延伸フィルムM16の作製、同時二軸延伸をおこなったが、延伸フィルムを得ることができなかった。
比較例5
加熱機構、撹拌機構を備えた反応容器に、両末端の水酸基に代えてアミノ基を有する数平均分子量1000のポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG1000)51.0質量部、テレフタル酸28.3質量部、1,10-デカンジアミン20.6質量部、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.1質量部を投入した。
その後、撹拌しながら250℃まで加熱し、縮合水を系外に除去しながら、窒素気流下、常圧、250℃で、5時間重合をおこなった。重合中、系は懸濁溶液の状態であった。
重合終了後、払い出し、これを切断し、乾燥して、ペレット形態のポリアミドP17を得たが、脆く、実用には適さないものであった。
実施例13
・ポリアミドP18
実施例8で得られたポリアミドP8のペレット 50質量部、実施例9で得られたポリアミドP9のペレット 50質量部、スミライザーGA-80 0.4質量部とをドライブレンドし、シリンダー温度を330℃に加熱したスクリュー径が26mmである二軸押出機に投入し、溶融混練して、ストランド状に押出した。その後、冷却、切断して、ペレット形態のポリアミドP18を得た。
・同時二軸延伸ポリアミドフィルムの作製
得られたペレットを、シリンダー温度330℃に加熱した単軸押出機(スクリュー径50mm)に投入し溶融して、溶融ポリマーを得た。該溶融ポリマーを金属繊維焼結フィルター(日本精線社製、「NF-13」、公称濾過径:60μm)を用いて濾過した。その後、330℃にしたTダイより溶融ポリマーをフィルム状に押出し、フィルム状の溶融物とした。該溶融物を0℃に設定した冷却ロール上に静電印加法により密着させて冷却し、実質的に無配向の未延伸ポリアミドフィルムM18を得た。
得られたポリアミド未延伸フィルムM18の両端をクリップで把持しながら、フラット式同時二軸延伸機にて、二軸延伸をおこなった。延伸条件は、予熱部の温度が80℃、延伸部の温度が80℃、MDの延伸歪み速度が2400%/分、TDの延伸歪み速度が2400%/分、MDの延伸倍率が2.3倍、TDの延伸倍率が2.3倍であった。延伸後連続して、二軸延伸機の同じテンター内で270℃にて熱固定をおこない、フィルムの幅方向に6%のリラックス処理を施し、同時二軸延伸ポリアミドフィルムS18を得た。
・ポリアミドフィルム積層体の作製
得られた同時二軸延伸ポリアミドフィルムS18の両面に、厚さ18μmの電解銅箔(表面粗さRz=1.2μm)が接するように重ね合わせ、真空プレス装置にセットして、230℃、1MPa、5分間加熱および加圧処理して、両面に銅箔層を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
実施例14~22
用いるポリアミドの種類とドライブレンドする量を表3のように変更する以外は、実施例13と同様の操作をおこない、ポリアミドP19~P27を得た。また、得られたペレットを用いて、実施例13と同様の操作をおこなって、未延伸フィルムM19~M27の作製、同時二軸延伸をおこない、同時二軸延伸ポリアミドフィルムS19~S27を得た。加熱加圧条件を表4のように変更する以外は、実施例13と同様の操作をおこない、両面に銅箔層を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
比較例6
用いるポリアミドの種類とドライブレンドする量を表3のように変更する以外は、実施例13と同様の操作をおこない、ポリアミドP28を得た。また、得られたペレットを用いて、実施例13と同様の操作をおこなって、未延伸フィルムM28の作製、同時二軸延伸をおこなったが、延伸フィルムを得ることができなかった。
実施例23、24
実施例1で得られた、実質的に無配向の未延伸ポリアミドフィルムM1を270℃にて熱処理をおこなった。
得られた熱処理したポリアミドフィルムを用いて、加熱加圧条件を表5のように変更する以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、両面に銅箔層を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
実施例25、26および29~34
未延伸ポリアミドフィルム、延伸条件、加熱加圧条件を表5のように変更する以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、両面に銅箔層を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
実施例27
・逐次二軸延伸ポリアミドフィルムの作製
実施例1で得られた、実質的に無配向の未延伸ポリアミドフィルムM1を、フラット式逐次軸延伸機によって二軸延伸をおこなった。まず、未延伸ポリアミドフィルムM1をロール加熱や赤外線加熱等によって80℃に加熱し、MDに延伸歪み速度2400%/分で4.0倍延伸して、縦延伸フィルムを得た。続いて連続的に、フィルムの幅方向の両端を横延伸機のクリップに把持させ、横延伸をおこなった。TD延伸の予熱部の温度は85℃、延伸部の温度は85℃、延伸歪み速度は2400%/分、TDの延伸倍率が4.0倍であった。そして、横延伸機の同じテンター内で、270℃で熱固定をおこない、フィルムの幅方向に6%のリラックス処理を施し、逐次二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
得られた逐次二軸延伸ポリアミドフィルムを用いて、加熱加圧条件を表5のように変更する以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、両面に銅箔層を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
実施例28
実施例3で得られた、実質的に無配向の未延伸ポリアミドフィルムM3を、270℃にて熱処理をおこなった。
得られた熱処理したフィルムを用いて、加熱加圧条件を表5のように変更する以外は、実施例3と同様の操作をおこなって、両面に銅箔層を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
比較例7~9
未延伸ポリアミドフィルム、延伸条件、加熱加圧条件を表5のように変更する以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、両面に銅箔層を有するポリアミドフィルム積層体を得た。なお、比較例7においては、延伸は行うことなく、実質的に無配向の未延伸ポリアミドフィルムM15を270℃にて熱処理をおこなった熱処理フィルムを用いた。
実施例35
実施例1で得られた同時二軸延伸ポリアミドフィルムS1の片面に、市販の電解銅箔(Rz=1.2μm、18μm)が接するように重ね、ポリアミドフィルムS1の反対面に市販のアルミニウム箔(25μm)が接するように重ね合わせ、真空プレス装置にセットして、230℃、1MPa、5分加熱加圧処理して、一方の片面に銅箔層、他方の片面にアルミニウム箔層を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
実施例36および37
積層体の相手材を表6のように変更する以外は、実施例35と同様の操作をおこなって、一方の片面に銅箔層、他方の片面にポリイミド層またはポリアミドフィルムS15を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
実施例38、41、44
実施例10、13、16で得られた同時二軸延伸ポリアミドフィルムS10、18、21の一方の片面に、市販の電解銅箔(Rz=1.2μm、18μm)を接するように重ね、他方の反対面に市販のアルミニウム箔(25μm)が接するように重ね合わせ、真空プレス装置にセットして、230℃、1MPa、5分加熱加圧処理して、片面に銅箔層、片面にアルミニウム箔層を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
実施例39、40、42、43、45、46
積層体の相手材を表6のように変更する以外は、実施例35と同様の操作をおこなって、一方の片面に銅箔層、他方の片面にポリイミド層またはポリアミドフィルムS15を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
比較例10
比較例3で得られた同時二軸延伸ポリアミドフィルムS15の一方の片面に、市販の電解銅箔(Rz=1.2μm、18μm)を接するように重ね、他方の片面に市販のアルミニウム箔(25μm)を接するように重ね合わせ、真空プレス装置にセットして、300℃、1MPa、5分加熱加圧処理して、片面に銅箔層、片面にアルミニウム箔層を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
比較例11および12
積層体の相手材を表6のように変更する以外は、実施例35と同様の操作をおこなって、一方の片面に銅箔層、他方の片面にポリイミド層またはポリアミドフィルムS15を有するポリアミドフィルム積層体を得た。
実施例1~12、比較例1~5で得られたポリアミドの製造条件およびその評価を表1に示す。
Figure 0007274246000001
表1中の略号は以下の通りである。
A=炭素18以上の脂肪酸ジカルボン酸(A)(ダイマー酸)
C=炭素数が12以下の芳香族ジカルボン酸(C)(テレフタル酸)
B=炭素数が18以上の脂肪族ジアミン(B)(ダイマージアミン)
D=炭素数が12以下の脂肪族ジアミン(D)(デカンジアミン)
E=両末端にアミノ基を有するPTMG1000
F=次亜リン酸Na一水和物
実施例1~12において、融点は通常、240℃以上であり、好ましくは270℃以上、より好ましくは300℃以上である。
実施例1~12、比較例1~5で得られたポリアミドフィルムに用いたポリアミド、延伸条件、その評価および得られたポリアミドフィルム積層体の加熱加圧条件、評価を表2に示す。
Figure 0007274246000002
実施例13~22および比較例6で得られたポリアミドの製造条件およびその評価を表3に示す
Figure 0007274246000003
表1中の略号は以下の通りである。
A=炭素18以上の脂肪酸ジカルボン酸(A)(ダイマー酸)
C=炭素数が12以下の芳香族ジカルボン酸(C)(テレフタル酸)
B=炭素数が18以上の脂肪族ジアミン(B)(ダイマージアミン)
D=炭素数が12以下の脂肪族ジアミン(D)(デカンジアミン)
実施例13~22において、融点は通常、240℃以上であり、好ましくは270℃以上、より好ましくは300℃以上である。
実施例13~22および比較例6で得られたポリアミドフィルムに用いたポリアミド、延伸条件、その評価および得られたポリアミドフィルム積層体の加熱加圧条件、評価を表4に示す。
Figure 0007274246000004
実施例23~34および比較例7~9で得られたポリアミドフィルムに用いた未延伸フィルム、延伸条件、厚み、および、得られたポリアミド積層体の加圧加熱条件、評価を表5に示す。
表5中の略号は下記のとおりである。
Cu箔:電解銅箔
Figure 0007274246000005
実施例35~46および比較例10~12で得られたポリアミドフィルムに用いた延伸フィルム、厚み、および、得られたポリアミド積層体の加圧加熱条件、評価を表6に示す。
表6中の略号は下記のとおりである。
Cu箔:電解銅箔
Al:アルミニウム箔
PI:ポリイミドフィルム
Figure 0007274246000006
実施例1~22のポリアミドフィルム積層体は、用いるポリアミドフィルムが、いずれも、耐熱性の指標である融点が240℃以上で、柔軟性の指標であるヒステリシス試験における伸長回復率が30%以上で、耐熱性および柔軟性に優れていた。また、実施例1~22のフィルム積層体は、用いるポリアミドフィルムが、結晶性の指標である結晶融解エンタルピーが15J/g以上であったため、ゴム弾性に優れていた。その結果、実施例1~22のフィルム積層体は、いずれも、密着性に優れ、外観が良好で、反りが小さく、耐熱性試験後の外観が良好であった。
実施例1~9のポリアミドフィルム積層体は、ハードセグメントの反応生成物を作製したのち、ソフトセグメントの反応生成物に添加して重合する分割重合法により得られたポリアミドからなるポリアミドフィルムを用いた。
実施例10~12のポリアミドフィルム積層体は、原料をまとめて投入し重合する一括重合法で得られたポリアミドからなるポリアミドフィルムを用いた。
前者のポリアミドフィルムは、後者のポリアミドフィルムよりも、伸長回復率および結晶融解エンタルピーが大きく、柔軟性やゴム弾性が高かった。その結果、実施例1~9のポリアミドフィルム積層体は、実施例10~12のポリアミドフィルム積層体よりも、柔軟性および密着性に優れ、外観が良好で、反りが小さく、耐熱性試験後の外観も良好であった。
実施例13~15のポリアミドフィルム積層体は、分割重合法により得られた2種類のポリアミドからなるポリアミドフィルムを用いた。
実施例16~18のポリアミドフィルム積層体は、分割重合法により得られた1種類のポリアミドと一括重合法により得られた1種類のポリアミドからなるポリアミドフィルムを用いた。
実施例19~22のポリアミドフィルム積層体は、一括重合法により得られた2種類のポリアミドからなるポリアミドフィルムを用いた。
相互に同じモノマー組成の実施例13、16および19を対比すること、相互に同じモノマー組成の実施例14、18および20を対比すること、および相互に同じモノマー組成の実施例15、17および21を対比することにより、以下の事項が明らかとなった:
・分割重合法で得られたポリアミドをより多く含むポリアミドフィルムは、分割重合法で得られたポリアミドをより少なく含むポリアミドフィルムより、伸長回復率および結晶融解エンタルピーがより大きく、かつ引張弾性率がより小さく、柔軟性やゴム弾性がより高かった。
・その結果、実施例13~15のポリアミドフィルム積層体は、実施例16~21のポリアミドフィルム積層体よりも、柔軟性および密着性に優れ、外観が良好で、反りが小さく、耐熱性試験後の外観も良好であった。実施例16~18のポリアミドフィルム積層体は、実施例19~21のポリアミドフィルム積層体よりも、柔軟性および密着性に優れ、外観が良好で、反りが小さく、耐熱性試験後の外観も良好であった。
実施例23と24のポリアミドフィルム積層体を対比することにより、積層体作製時の加熱温度を「融点-100℃」~「融点-5℃」に調整することにより、積層体作製時の外観がより良好とすることができたり、反りをより小さくできたりすることがわかる。
実施例35~37のポリアミドフィルム積層体は、フィルムに貼り合わせる相手材の一方が異種材料であったが、ハードセグメントの反応生成物を作製したのち、ソフトセグメントの反応生成物に添加して重合する分割重合法により得られたポリアミドからなるポリアミドフィルムを用いたため、いずれも、密着性に優れ、外観が良好で、反りが小さく、耐熱性試験後の外観が良好であった。
実施例41~43および44~46のポリアミドフィルム積層体は、フィルムに貼り合わせる相手材の一方が異種材料であったが、分割重合法により得られたポリアミドを含むポリアミドフィルムを用いたため、いずれも、密着性に優れ、外観が良好で、反りが小さく、耐熱性試験後の外観が良好であった。
比較例1のポリアミドフィルム積層体は、ソフトセグメントを形成する成分(A)と(B)を含まないポリアミドからなり、伸長回復率が低いポリアミドフィルムを用いたため、密着力が低く、外観が不良であった。
比較例8、9のポリアミドフィルム積層体は、ソフトセグメントを形成する成分(A)と(B)を含まないポリアミドからなり、伸長回復率が低いポリアミドフィルムを用いたため、積層体作製時の加熱温度を(融点-5℃)まで上げたが、密着力はわずかに上昇するだけで、外観が不良であった。
本発明のポリアミドフィルム積層体は、耐熱性、柔軟性、金属や樹脂との密着性、外観特性、耐反り特性および伝送損失低減特性に、より十分に優れているため、これらの特性のうち、少なくとも1つの特性が要求される用途(好ましくはこれらの全ての特性が要求される用途)に有用である。例えば、本発明のポリアミドフィルム積層体は、フレキシブルプリント回路基板、高速通信用のフレキシブルプリント回路基板、高速通信用のアンテナ基板、カバーレイ、フレキシブルアンテナ基板、ボンディングシート、電磁波シールド材料等に好適に用いることができる。

Claims (15)

  1. 炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)からなる単位と、炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)からなる単位と、炭素数12以下の芳香族ジカルボン酸(C)からなる単位と、炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)からなる単位とを含むポリアミド(E)を含有し、融点が240℃以上、結晶融解エンタルピーが23J/g以上、ヒステリシス試験における伸長回復率が50%以上、引張弾性率が2500MPa以下であるポリアミドフィルム(F)上に、金属層を有する、ポリアミドフィルム積層体。
  2. 前記引張弾性率が2000MPa以下である、請求項1に記載のポリアミドフィルム積層体。
  3. 前記炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)がダイマー酸、前記炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)がダイマージアミン、前記炭素数12以下の芳香族ジカルボン酸(C)がテレフタル酸、前記炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)が1,10-デカンジアミンである、請求項1に記載のポリアミドフィルム積層体。
  4. 前記炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)からなる単位と、前記炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)からなる単位の合計の含有量が、前記ポリアミド(E)を構成する全モノマー成分に対して、10~90質量%である、請求項1に記載のポリアミドフィルム積層体。
  5. 前記ポリアミドフィルム(F)と前記金属層との剥離強度が0.1[N/mm]以上である、請求項1に記載のポリアミドフィルム積層体。
  6. 前記ポリアミドフィルム積層体から作製した、特性インピーダンスが50Ωのマイクロストリップラインの伝送損失の絶対値が、5GHzで1.80[dB/100mm]以下である、請求項1に記載のポリアミドフィルム積層体。
  7. 前記金属層が前記ポリアミドフィルム(F)と直接的に接している、請求項1に記載のポリアミドフィルム積層体。
  8. 前記金属層が銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、スズ、金、銀、合金鋼、合金メッキからなる群から選択される金属から構成されている、請求項1に記載のポリアミドフィルム積層体。
  9. 前記ポリアミドフィルム積層体は前記金属層を前記ポリアミドフィルム(F)の片面または両面に有しており、前記金属層の上に樹脂層をさらに有する、請求項1に記載のポリアミドフィルム積層体。
  10. 前記炭素数18以上の脂肪族ジカルボン酸(A)からなる単位の含有量が、前記ポリアミドを構成する全モノマー成分に対して、3~45質量%であり、
    前記炭素数18以上の脂肪族ジアミン(B)からなる単位の含有量が、前記ポリアミドを構成する全モノマー成分に対して、3~45質量%であり、
    前記炭素数12以下の芳香族ジカルボン酸(C)からなる単位の含有量が、前記ポリアミドを構成する全モノマー成分に対して、3~45質量%であり、
    前記炭素数12以下の脂肪族ジアミン(D)からなる単位の含有量が、前記ポリアミドを構成する全モノマー成分に対して、3~52質量%である、請求項1に記載のポリアミドフィルム積層体。
  11. 前記ポリアミドフィルム(F)の結晶融解エンタルピーが25J/g以上である、請求項1に記載のポリアミドフィルム積層体。
  12. 前記炭素数12以下の芳香族ジカルボン酸(C)からなる単位の含有量が、前記ポリアミドを構成する全モノマー成分に対して、8~35質量%である、請求項1に記載のポリアミドフィルム積層体。
  13. 前記ポリアミドフィルム(F)は1μm~2mmの厚みを有し、
    前記金属層は1~500μmの厚みを有する、請求項1に記載のポリアミドフィルム積層体。
  14. 請求項1~13のいずれかに記載のポリアミドフィルム積層体を製造する方法であって、
    前記ポリアミドフィルム(F)と前記金属層とを、加熱および加圧によって張り合わせる、ポリアミドフィルム積層体の製造方法。
  15. 請求項1~13のいずれかに記載のポリアミドフィルム積層体を含む基板であって、
    前記基板はフレキシブルプリント回路基板またはフレキシブルアンテナ基板である、基板。
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