JP7272303B2 - 貯湯式給湯機 - Google Patents

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Description

本開示は、貯湯式給湯機に関する。
下記特許文献1には、災害等により断水が生じたときに、貯湯タンクに蓄えられている湯水を取り出すための非常用取水栓をタンクユニットの外装ケースの外側に取り付けた貯湯式給湯機が開示されている。
特開2010-190546号公報
特許文献1に開示されている技術によれば、断水が発生した非常時に、タンクユニットに取り付けられた非常用取水栓から使用者が湯水を取り出すためには、非常用取水栓の取付位置を常日頃から把握するとともに、非常用取水栓から湯水を取り出すための作業手順を給湯機の取扱説明書を見ながら実施する必要がある。しかしながら、非常用取水栓を普段使用することがないため、どこにあるかを使用者が把握していないことが多い。また、給湯機の取扱説明書をどこにしまったかを使用者が忘れてしまい、非常用取水栓の使用方法を使用者が非常時に調べられない可能性もある。それゆえ、非常時に貯湯タンクの湯水を使用者が簡便に利用することが難しいという課題がある。
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、断水時に貯湯タンク内の水を容易に利用することのできる貯湯式給湯機を提供することを目的とする。
本開示に係る貯湯式給湯機は、水を加熱する加熱手段と、加熱手段により加熱された湯を貯留する貯湯タンクと、湯側入口から流入した湯と、水側入口から流入した水とを混合した湯を給湯配管へ流入させる混合弁と、湯水が流れる水回路と、を備える貯湯式給湯機であって、水回路は、貯湯タンクから加熱手段へ向かう水路となる往き配管と、加熱手段から貯湯タンクへ向かう水路となる戻り配管と、往き配管及び戻り配管の水を流れさせる循環ポンプと、流路切替弁と、を備え、流路切替弁の切替状態は、戻り配管を貯湯タンクに連通させる第一切替状態と、戻り配管を貯湯タンクに連通させずに湯側入口または水側入口に連通させる第二切替状態とを含み、水源からの水が貯湯式給湯機へ供給されない断水状態を判定する機能と、貯湯式給湯機の動作を制御する機能とを有する制御部をさらに備え、断水状態のときに、制御部は、流路切替弁を第二切替状態にするものである。
本開示によれば、断水時に貯湯タンク内の水を容易に利用することのできる貯湯式給湯機を提供することが可能となる。
実施の形態1による貯湯式給湯機を示す図である。 図1に示す貯湯式給湯機の貯湯運転のときの湯水の流れを示す図である。 図1に示す貯湯式給湯機の通常給水状態における給湯運転のときの湯水の流れを示す図である。 図1に示す貯湯式給湯機の断水状態における貯湯タンクから蛇口への湯水の流れを示す図である。 実施の形態2による貯湯式給湯機を示す図である。 図5に示す貯湯式給湯機の断水状態における貯湯タンクから蛇口への湯水の流れを示す図である。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、説明を簡略化または省略する。以下の説明において、「水」との記載は、原則として、液体の水を意味し、低温の水から高温の湯までが含まれうるものとする。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による貯湯式給湯機35を示す図である。貯湯式給湯機35は、湯水が流れる水回路を備える。本実施の形態1の貯湯式給湯機35は、タンクユニット33及びHPユニット7を備える。HPユニット7とタンクユニット33との間は、HP往き配管14とHP戻り配管15と図示しない電気配線とを介して接続されている。タンクユニット33には、制御部36が内蔵されている。タンクユニット33及びHPユニット7が備える各種弁類、ポンプ類等の作動は、これらと電気的に接続された制御部36により制御される。制御部36は、例えば、少なくとも一つのメモリと少なくとも一つのプロセッサとを有するマイクロコンピュータを備える。制御部36は、貯湯式給湯機35の運転を制御する制御手段に相当する。制御部36は、日時を管理するタイマー機能を有している。なお、図示のように単一の制御部36により動作が制御される構成に限定されるものではなく、複数の制御装置が連携することで動作を制御する構成にしてもよい。
リモコン44は、運転動作指令及び設定値の変更などに関する使用者の操作を受け付ける機能を有する。リモコン44は、ユーザーインターフェースの例である。制御部36とリモコン44の間は、有線または無線により、双方向にデータ通信可能に接続されている。図示を省略するが、リモコン44には、貯湯式給湯機35の状態等の情報を表示する表示部、使用者が操作するスイッチ等の操作部、スピーカ、マイク等が搭載されている。リモコン44の表示部は、使用者に情報を報知する報知手段としての機能を有する。本実施の形態におけるリモコン44は、表示部を報知手段として備えるが、変形例として、例えば音声案内装置のような他の報知手段を備えてもよい。
本実施の形態において、リモコン44は、例えば台所、リビング、浴室などの壁に設置されたものでもよい。複数のリモコン44が制御部36に対して通信可能でもよい。リモコン44に代えて、またはリモコン44に加えて、例えばスマートフォンあるいはスマートスピーカなどの他のユーザーインターフェースが利用できるように構成してもよい。ユーザーインターフェースと制御部36とが、ホームネットワークあるいはインターネットを介して通信してもよい。
HPユニット7は、水を加熱する加熱手段の例である。HPユニット7は、圧縮機1、水冷媒熱交換器3、膨張弁4、空気熱交換器6を冷媒配管5にて環状に接続した冷媒回路を備える。HPユニット7は、この冷媒回路によりヒートポンプサイクルの運転を行う。水冷媒熱交換器3では、圧縮機1により圧縮された冷媒と、タンクユニット33から導かれた水との間で熱を交換することで、水が加熱される。
本開示における加熱手段は、HPユニット7のようなヒートポンプに限定されない。本開示における加熱手段は、例えば、ガスエンジンあるいは地熱を利用して水を加熱するものでもよい。
タンクユニット33には、以下の各種部品及び配管などが内蔵されている。貯湯タンク8は、湯水を貯留する。貯湯タンク8の内部では、温度による水の密度の差によって、上側が高温で下側が低温になる温度成層を形成することができる。
貯湯タンク8は、上部、中間部、及び下部を備える。貯湯タンク8の中間部は、貯湯タンク8の上部と、貯湯タンク8の下部との間の高さの部分である。なお、貯湯タンク8は、図示のような単一のタンクで構成されるものに限らず、直列に接続された複数のタンクを備えるものでもよい。本開示では、貯湯タンク8の高さ方向すなわち上下方向の位置についての記載に関して、貯湯タンク8が直列に接続された複数のタンクを備えるものである場合には、最上位のタンクから最下位のタンクまでの全体の階層において、上下方向の位置が特定されるものとする。
貯湯タンク8の下部には、タンク下部口8aと、水導出口8bと、水導入口8cとが設けられている。貯湯タンク8の上部には、温水導入出口8dが設けられている。図示の例では、水導入口8cは、タンク下部口8a及び水導出口8bよりも高い位置にある。
タンク下部口8aには、第三給水配管9cが接続されている。水道等の水源から第一給水配管9aを通って供給される水は、減圧弁31で所定圧力に減圧された上で、第三給水配管9cを通って貯湯タンク8内に流入する。貯湯タンク8の表面には、複数の貯湯温度センサ42,43が、互いに異なる高さの位置に取り付けられている。制御部36は、これらの貯湯温度センサ42,43で貯湯タンク8内の湯水の温度分布を検出することにより、貯湯タンク8内の残湯量及び蓄熱量を検出できる。なお、図示の例に限らず、3個以上の貯湯温度センサを貯湯タンク8に設けてもよい。
タンクユニット33には、風呂用熱交換器60及び風呂循環ポンプ29が内蔵されている。風呂用熱交換器60は、一次側流路60a及び二次側流路60bを有する。風呂用熱交換器60は、一次側流路60aを流れる一次流体と二次側流路60bを流れる二次流体との間で熱を交換する熱交換器に相当する。本実施の形態では、風呂の浴槽30から循環する浴水が二次流体として二次側流路60bを流れる例について説明する。この例に代えて、本開示における二次側流体は、浴水以外の流体でもよい。例えば、二次側流体は、暖房用の熱媒体でもよいし、水源から供給される水でもよい。
風呂往き配管27は、二次側流路60bの出口と浴槽30との間を接続している。風呂往き配管27の途中には、風呂用熱交換器60から流出する浴水の温度を検出するための風呂往き温度センサ37が設置されている。風呂戻り配管28は、二次側流路60bの入口と浴槽30との間を接続している。風呂戻り配管28の途中には、浴水を二次側流路60bに循環させるための風呂循環ポンプ29と、浴槽30から出た浴水の温度を検出するための風呂戻り温度センサ38とが設けられている。
タンクユニット33には、三方弁11、循環ポンプ12、四方弁18、給湯用混合弁22、風呂用混合弁23、流路切替弁51がさらに内蔵されている。三方弁11、四方弁18、及び流路切替弁51のそれぞれは、湯水の流路を切り替え可能な流路切替手段に相当する。
三方弁11は、入口となるaポート及びbポートと、出口となるcポートとを有する。三方弁11は、a-c、b-cの2つの経路の間で流路切替可能に構成されている。四方弁18は、入口となるbポート及びcポートと、出口となるaポート及びdポートとを有する。四方弁18は、a-b、a-c、b-d、c-dの4つの経路の間で流路切替可能に構成されている。流路切替弁51は、aポート、bポート、及びcポートを有する。
低温配管10は、水導出口8bと、三方弁11のaポートとの間を接続している。HP往き配管14は、三方弁11のcポートと、水冷媒熱交換器3の入水口との間を接続している。HP往き配管14の途中に循環ポンプ12が接続されている。HP戻り配管15は、水冷媒熱交換器3の出湯口と、四方弁18のcポートとの間を接続している。第一バイパス配管16は、四方弁18のaポートと、水導入口8cとの間を接続している。第二バイパス配管17は、循環ポンプ12と水冷媒熱交換器3との間のHP往き配管14に設けられた分岐部54と、四方弁18のbポートとの間を接続している。送湯配管13は、四方弁18のdポートと、流路切替弁51のaポートとの間を接続している。配管20aは、貯湯タンク8の上部と、一次側流路60aの入口との間を接続している。配管20bは、一次側流路60aの出口と、三方弁11のbポートとの間を接続している。
給湯用混合弁22及び風呂用混合弁23のそれぞれは、湯側入口及び水側入口を備え、湯側入口から流入した湯と水側入口から流入した水とを混合することで給湯温度を調整する。第一給水配管9aの一端は水道等の水源に接続される。第一給水配管9aの他端には減圧弁31を介して第二給水配管9b及び第三給水配管9cが接続される。第二給水配管9bは、給湯用混合弁22及び風呂用混合弁23のそれぞれの水側入口に接続されている。タンク上部配管21の一端は、温水導入出口8dに接続されている。タンク上部配管21の他端は、流路切替弁51のbポートに接続されている。湯側配管50の一端は、給湯用混合弁22及び風呂用混合弁23のそれぞれの湯側入口に連通している。湯側配管50の他端は、流路切替弁51のcポートに接続されている。
給湯用混合弁22は、貯湯タンク8からタンク上部配管21、流路切替弁51及び湯側配管50を通って供給される高温水と、第二給水配管9bから供給される低温水との流量比を調整することにより、使用者がリモコン44にて設定した設定温度の湯を生成し、給湯配管24に流入させる。給湯配管24の下流端は、給湯栓34に接続されている。住宅内に設けられた、例えばシャワー、カラン等の蛇口90と、給湯栓34との間は、貯湯式給湯機35の外部に配設された外部給湯管91により接続されている。蛇口90が開くと、給湯用混合弁22から給湯配管24に流入した湯水が、給湯栓34及び外部給湯管91を通って、蛇口90に供給される。給湯配管24を流れる水の流量を以下「給湯流量」と称する。給湯流量を検出する給湯流量センサ52が給湯配管24に設置されている。
風呂用混合弁23は、貯湯タンク8からタンク上部配管21、流路切替弁51及び湯側配管50を通って供給される高温水と、第二給水配管9bから供給される低温水との流量比を調整することにより、使用者がリモコン44にて設定した設定温度の湯を生成し、風呂配管25に流入させる。風呂用混合弁23から風呂配管25に流入した湯水は、風呂用流量センサ45、風呂用電磁弁26、風呂往き配管27、風呂戻り配管28を経て、浴槽30へ流入する。
タンク上部配管21の途中に、圧力逃し弁55及び負圧作動弁56が接続されている。貯湯運転時に貯湯タンク8内の圧力が上昇すると、圧力逃し弁55が開いて湯が系外へ排出されることで、貯湯タンク8内の圧力上昇が抑制される。負圧作動弁56は、貯湯タンク8内が負圧になった際に開くことで、外部の空気を貯湯タンク8内に流入させる。
流路切替弁51の切替状態は、aポートとbポートとcポートの間が相互に開通する第一切替状態と、aポートとcポートの間が開通してbポートが遮断される第二切替状態とを含む。第一切替状態のときには、送湯配管13とタンク上部配管21と湯側配管50とが相互に連通する。第二切替状態のときには、送湯配管13がタンク上部配管21に連通せず、送湯配管13が湯側配管50を介して給湯用混合弁22の湯側入口に連通する。流路切替弁51の切替状態は、bポートとcポートの間が開通してaポートが遮断される第三切替状態をさらに含んでもよい。
図2は、図1に示す貯湯式給湯機35の貯湯運転のときの湯水の流れを示す図である。貯湯運転は、HPユニット7により加熱された湯すなわち高温水を貯湯タンク8に蓄積する運転である。制御部36は、貯湯タンク8内の残湯量または蓄熱量に応じて、貯湯運転の開始及び停止などを制御する。制御部36は、貯湯運転の動作を以下のように制御する。流路切替弁51は、第一切替状態とされる。三方弁11は、a-cポート間が連通する。四方弁18は、c-dポート間が連通する。HPユニット7及び循環ポンプ12が運転され、貯湯タンク8内の下部の低温水が、水導出口8b、低温配管10、三方弁11、循環ポンプ12及びHP往き配管14を通って水冷媒熱交換器3に流入する。この低温水が水冷媒熱交換器3内で加熱されることで生成した例えば65℃の高温水は、HP戻り配管15、四方弁18、送湯配管13、流路切替弁51、及びタンク上部配管21を通って、温水導入出口8dから貯湯タンク8内に流入する。このように、送湯配管13は、HPユニット7から貯湯タンク8へ向かう水路となる戻り配管の一部を形成する。貯湯運転が実行されると、貯湯タンク8の内の上部から下部へ向かって高温水が貯えられていき、この高温水の層が徐々に厚くなっていく。制御部36は、貯湯温度センサ42,43により検出される貯湯タンク8内の貯湯量または蓄熱量が所定量を超えると、貯湯運転を終了する。
なお、HPユニット7の起動直後は、HPユニット7から流出する湯水の温度が十分に上昇していない。このため、HPユニット7の起動直後には、制御部36は、四方弁18のa-cポート間を連通させ、HPユニット7から流出する湯水を、第一バイパス配管16を通して、貯湯タンク8の下部に流入させてもよい。このように、第一バイパス配管16は、HPユニット7から貯湯タンク8へ向かう水路となる戻り配管の一部を形成する。
以下の説明では、第一給水配管9aへ給水する水源からの水が貯湯式給湯機35へ供給されない状態を「断水状態」と称し、当該水源から第一給水配管9aへ給水される状態を「通常給水状態」と称する。図3は、図1に示す貯湯式給湯機35の通常給水状態における給湯運転のときの湯水の流れを示す図である。制御部36は、この給湯運転の動作を以下のように制御する。流路切替弁51は、第一切替状態とされる。使用者が蛇口90を開くと、水源から第一給水配管9a及び第三給水配管9cを通って貯湯タンク8内に給水される圧力により、貯湯タンク8内の湯は、タンク上部配管21、流路切替弁51、及び湯側配管50を通り、給湯用混合弁22の湯側入口に流入する。また、水源からの水が、第一給水配管9a及び第二給水配管9bを通り、給湯用混合弁22の水側入口に流入する。給湯用混合弁22にて混合された湯水は、給湯配管24、給湯栓34、及び外部給湯管91を通って蛇口90へ供給される。
図4は、図1に示す貯湯式給湯機35の断水状態における貯湯タンク8から蛇口90への湯水の流れを示す図である。制御部36は、断水状態を判定する機能を有する。断水状態のときに、制御部36は、以下のように制御する。流路切替弁51を第二切替状態にする。三方弁11は、a-cポート間が連通する。四方弁18は、b-dポート間が連通する。
断水状態において、貯湯タンク8内の湯水が蛇口90よりも高い位置にあれば、循環ポンプ12を駆動しなくても、水頭差により、貯湯タンク8内の湯水を蛇口90から取水することが可能となる。例として、貯湯タンク8の高さが2.0m、蛇口90の高さが1.0mであり、水頭差が1.0mあるとする。この場合、図4に示すようにして貯湯タンク8内の湯水を蛇口90から取水できる。すなわち、蛇口90が開くと、貯湯タンク8の水導出口8bから流出した水が、低温配管10、三方弁11、HP往き配管14、循環ポンプ12、第二バイパス配管17、四方弁18、送湯配管13、流路切替弁51、湯側配管50、給湯用混合弁22、給湯配管24、給湯栓34、及び外部給湯管91を通り、蛇口90へ供給される。これにより、断水状態のときに貯湯タンク8内の湯水を使用者が宅内の蛇口90から取り出して使用することができる。このとき、使用者は、タンクユニット33の場所へ行く必要がないので、貯湯タンク8内の湯水を容易に利用できる。
断水状態で貯湯タンク8内の湯水が蛇口90へ供給されると、貯湯タンク8内が負圧になり、負圧作動弁56が開いて、外部の空気が貯湯タンク8内へ流入する。上記の例において、水頭差がなくなるまで、すなわち貯湯タンク8内の水面が蛇口90と同じ高さになるまで、循環ポンプ12を駆動することなく、蛇口90から取水できる。
また、断水状態で循環ポンプ12を駆動すれば、蛇口90との水頭差にかかわらず、貯湯タンク8内の湯水の全量を図4の経路で蛇口90から取水できる。
断水状態では水源からの水が給湯用混合弁22に供給されないので、給湯用混合弁22が給湯温度を調整できない。断水状態のとき、制御部36は、給湯用混合弁22の、湯側入口を全開、水側入口を全閉とするように制御してもよい。これにより、蛇口90へ流れる水の流量を増加することが可能となる。
仮に、断水状態において、流路切替弁51を第一切替状態にして循環ポンプ12を駆動したとすると、送湯配管13を流れる湯水が、湯側配管50だけではなく、タンク上部配管21にも流れ、温水導入出口8dから貯湯タンク8内に流入する。このとき、タンク上部配管21から圧力逃し弁55及び負圧作動弁56への流路に湯水が流れるため、負圧作動弁56が負圧作動することができない。その結果、貯湯タンク8内が負圧にもかかわらず、外部の空気を貯湯タンク8内に供給できないため、蛇口90から取水できない。これに対し、本実施の形態であれば、流路切替弁51を第二切替状態にすることで、蛇口90からの取水が可能となる。
本実施の形態であれば、非常時に断水が発生した場合に、使用者は、貯湯タンク8内の湯水を、普段から使用している蛇口90から取水することが可能であるので、優れた利便性が得られる。貯湯運転に用いる循環ポンプ12を断水状態のときの給水ポンプとして利用できるので、ポンプの増設も不要である。
本実施の形態では、第二バイパス配管17を設けたことで、断水状態のときに、HP往き配管14の水を、HPユニット7を経由せずに送湯配管13に流入させることができる。このため、断水状態のときの給水経路の圧力損失が低減し、蛇口90へ流れる水の流量を増加する上で有利になる。ただし、本開示では、第二バイパス配管17を備えず、断水状態のときに、貯湯タンク8からHPユニット7を経由して蛇口90へ給水してもよい。
使用者が、リモコン44その他のユーザーインターフェースにて断水モードを選択すると、制御部36が断水状態と判定してもよい。また、所定のセンサを用いて制御部36が断水状態を判定してもよい。例えば、制御部36は、風呂用電磁弁26を開いたときに風呂用流量センサ45で検出される流量が基準よりも低い場合に、断水状態と判定してもよい。
断水状態において給湯流量センサ52の検出流量が第一基準以上になると、蛇口90が開かれたと判断して、制御部36が循環ポンプ12を起動してもよい。これにより、蛇口90からの取水がさらに容易になる。第一基準の値は、例えば2L/minでもよい。
断水状態において循環ポンプ12を駆動している最中に、給湯流量センサ52の検出流量が第二基準以下になると、蛇口90が閉じられたと判断して、制御部36が循環ポンプ12を停止してもよい。これにより、循環ポンプ12の電力消費を抑制できる。第二基準の値は、例えば2L/minでもよい。
制御部36は、断水状態が検出されると、循環ポンプ12を運転し、所定の時間が経過した後、循環ポンプ12の運転を停止してもよい。
制御部36は、断水状態が解消したと判定した場合には、流路切替弁51を第一切替状態にする。これにより、図2の貯湯運転あるいは図3の給湯運転のような通常運転が可能な流路構成に自動で復帰するので、利便性がさらに向上する。
断水状態において、循環ポンプ12が運転していないときに、給湯流量センサ52の検出流量が第三基準以上になると、制御部36は、断水状態が解消したと判定してもよい。第三基準の値は、第一基準及び第二基準よりも大きい値であり、例えば10L/minでもよい。給湯流量センサ52の検出流量に応じて制御部36が断水状態かどうかを自動で判定することで、非常時の利便性がさらに向上する。
断水状態において蛇口90から取水できる水の量は、貯湯タンク8の容量以下となる。貯湯式給湯機35は、断水状態において給湯配管24を流れた水の総量(以下、「断水時総給水量」と称する)を検出する総量検出手段を備えてもよい。例えば、断水状態のときに、制御部36が給湯流量センサ52の検出流量を積算することで、断水時総給水量を計算できる。断水時総給水量が、貯湯タンク8の容量以下に定められた基準に達すると、制御部36は、循環ポンプ12の運転を禁止してもよい。例えば、貯湯タンク8の容量が370リットルであるときに、上記基準の値を350リットルとしてもよい。以上のようにすることで、断水状態のときに貯湯タンク8内の湯水を有効に活用しつつ、循環ポンプ12の無駄な運転を防止できる。
実施の形態2.
次に、図5及び図6を参照して、実施の形態2について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付して、共通する説明を簡略化または省略する。図5は、実施の形態2による貯湯式給湯機35を示す図である。本実施の形態の貯湯式給湯機35は、実施の形態1における流路切替弁51に代えて流路切替弁53を備える。流路切替弁53は、aポート、bポート、及びcポートを有する。第一バイパス配管16は、四方弁18のaポートと、流路切替弁53のaポートとの間を接続している。タンク下部配管9dは、タンク下部口8aと、流路切替弁53のbポートとの間を接続している。流路切替弁53のcポートは、第三給水配管9cに接続されている。
流路切替弁53の切替状態は、aポートとbポートとcポートの間が相互に開通する第一切替状態と、aポートとcポートの間が開通してbポートが遮断される第二切替状態とを含む。第一切替状態のときには、第一バイパス配管16とタンク下部配管9dと第三給水配管9cとが相互に連通する。第二切替状態のときには、第一バイパス配管16がタンク下部配管9dに連通せず、第一バイパス配管16が第三給水配管9c及び第二給水配管9bを介して給湯用混合弁22の水側入口に連通する。流路切替弁53の切替状態は、bポートとcポートの間が開通してaポートが遮断される第三切替状態をさらに含んでもよい。
通常運転のときには、制御部36は、流路切替弁53を第一切替状態にする。給湯運転のとき、水源から、第一給水配管9a、第三給水配管9c、流路切替弁53、及びタンク下部配管9dを通って貯湯タンク8内に給水される。
図6は、図5に示す貯湯式給湯機35の断水状態における貯湯タンク8から蛇口90への湯水の流れを示す図である。断水状態のときに、制御部36は、以下のように制御する。流路切替弁53を第二切替状態にする。三方弁11は、a-cポート間が連通する。四方弁18は、a-bポート間が連通する。蛇口90が開き、循環ポンプ12が駆動されると、貯湯タンク8の水導出口8bから流出した水が、低温配管10、三方弁11、HP往き配管14、循環ポンプ12、第二バイパス配管17、四方弁18、第一バイパス配管16、流路切替弁53、第三給水配管9c、第二給水配管9b、給湯用混合弁22、給湯配管24、給湯栓34、及び外部給湯管91を通り、蛇口90へ供給される。このとき、第一バイパス配管16を流れる湯水が貯湯タンク8に流入することを流路切替弁53が確実に防止する。
断水状態のとき、制御部36は、給湯用混合弁22の、水側入口を全開、湯側入口を全閉とするように制御してもよい。これにより、蛇口90へ流れる水の流量を増加することが可能となる。
1 圧縮機、 3 水冷媒熱交換器、 4 膨張弁、 5 冷媒配管、 6 空気熱交換器、 7 HPユニット、 8 貯湯タンク、 8a タンク下部口、 8b 水導出口、 8c 水導入口、 8d 温水導入出口、 9a 第一給水配管、 9b 第二給水配管、 9c 第三給水配管、 9d タンク下部配管、 10 低温配管、 11 三方弁、 12 循環ポンプ、 13 送湯配管、 14 HP往き配管、 15 HP戻り配管、 16 第一バイパス配管、 17 第二バイパス配管、 18 四方弁、 20a 配管、 20b 配管、 21 タンク上部配管、 22 給湯用混合弁、 23 風呂用混合弁、 24 給湯配管、 25 風呂配管、 26 風呂用電磁弁、 27 風呂往き配管、 28 風呂戻り配管、 29 風呂循環ポンプ、 30 浴槽、 31 減圧弁、 33 タンクユニット、 34 給湯栓、 35 貯湯式給湯機、 36 制御部、 37 風呂往き温度センサ、 38 風呂戻り温度センサ、 42,43 貯湯温度センサ、 44 リモコン、 45 風呂用流量センサ、 50 湯側配管、 51 流路切替弁、 52 給湯流量センサ、 53 流路切替弁、 54 分岐部、 55 圧力逃し弁、 56 負圧作動弁、 60 風呂用熱交換器、 60a 一次側流路、 60b 二次側流路、 90 蛇口、 91 外部給湯管

Claims (11)

  1. 水を加熱する加熱手段と、
    前記加熱手段により加熱された湯を貯留する貯湯タンクと、
    湯側入口から流入した湯と、水側入口から流入した水とを混合した湯を給湯配管へ流入させる混合弁と、
    湯水が流れる水回路と、
    を備える貯湯式給湯機であって、
    前記水回路は、
    前記貯湯タンクから前記加熱手段へ向かう水路となる往き配管と、
    前記加熱手段から前記貯湯タンクへ向かう水路となる戻り配管と、
    前記往き配管及び前記戻り配管の水を流れさせる循環ポンプと、
    流路切替弁と、
    を備え、
    前記流路切替弁の切替状態は、前記戻り配管を前記貯湯タンクに連通させる第一切替状態と、前記戻り配管を前記貯湯タンクに連通させずに前記湯側入口または前記水側入口に連通させる第二切替状態とを含み、
    水源からの水が前記貯湯式給湯機へ供給されない断水状態を判定する機能と、前記貯湯式給湯機の動作を制御する機能とを有する制御部をさらに備え、
    前記断水状態のときに、前記制御部は、前記流路切替弁を前記第二切替状態にする貯湯式給湯機。
  2. 前記水回路は、前記貯湯タンクの上部に接続されたタンク上部配管を備え、
    前記第一切替状態のときに前記戻り配管と前記タンク上部配管と前記湯側入口とが連通し、前記第二切替状態のときに前記戻り配管が前記タンク上部配管に連通せずに前記湯側入口に連通する請求項1に記載の貯湯式給湯機。
  3. 前記水回路は、前記貯湯タンクの下部に接続されたタンク下部配管を備え、
    前記第一切替状態のときに前記戻り配管と前記タンク下部配管と前記水側入口とが連通し、前記第二切替状態のときに前記戻り配管が前記タンク下部配管に連通せずに前記水側入口に連通する請求項1に記載の貯湯式給湯機。
  4. 前記流路切替弁が前記第二切替状態のときに前記循環ポンプを駆動すると、前記貯湯タンクの水が、前記往き配管、前記循環ポンプ、前記戻り配管、前記流路切替弁、前記混合弁、及び前記給湯配管を通って、前記給湯配管の下流の蛇口へ供給される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の貯湯式給湯機。
  5. 前記水回路は、前記往き配管の水を、前記加熱手段を経由せずに前記戻り配管に流入させることのできるバイパス配管を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の貯湯式給湯機。
  6. 使用者がユーザーインターフェースにて断水モードを選択すると、前記制御部が前記断水状態と判定する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の貯湯式給湯機。
  7. 前記給湯配管を流れる水の流量である給湯流量を検出する給湯流量センサを備え、
    前記断水状態において前記給湯流量が第一基準以上になると、前記制御部が前記循環ポンプを起動する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の貯湯式給湯機。
  8. 前記給湯配管を流れる水の流量である給湯流量を検出する給湯流量センサを備え、
    前記断水状態において前記循環ポンプの駆動中に、前記給湯流量が第二基準以下になると、前記制御部が前記循環ポンプを停止する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の貯湯式給湯機。
  9. 前記給湯配管を流れる水の流量である給湯流量を検出する給湯流量センサを備え、
    前記断水状態において前記循環ポンプが運転していないときに前記給湯流量が第三基準以上になると、前記制御部は、前記断水状態が解消したと判定する請求項から請求項のいずれか一項に記載の貯湯式給湯機。
  10. 前記断水状態が解消すると、前記制御部は、前記流路切替弁を前記第一切替状態にする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の貯湯式給湯機。
  11. 前記断水状態において前記給湯配管を流れた水の総量を検出する総量検出手段を備え、
    前記総量が、前記貯湯タンクの容量以下の基準に達すると、前記制御部は、前記循環ポンプの運転を禁止する請求項から請求項10のいずれか一項に記載の貯湯式給湯機。
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