図1~図24を参照して医療情報共有システムである周産期ネットワークシステムの一実施形態について説明する。
(周産期ネットワークシステムの概要)
図1に示すように、周産期ネットワークシステム10は、高次医療機関である基幹病院11を中心とした周産期ネットワークを構成する。周産期ネットワークは、基幹病院11を中心として、基幹病院11と連携する地域医療機関である連携クリニック12、妊婦さんである患者13、および、代行入力者14によって構成される。周産期ネットワークシステム10は、これら基幹病院11、連携クリニック12、および、患者13の間で患者13に関する医療情報を共有する医療情報共有システムである。共有される医療情報は、患者13が妊娠診断を受けた医療機関から配布される冊子状の共通診療ノートの記載内容を示す共通診療情報と公的機関への妊娠届出時に交付される母子健康手帳の記載内容を示す母子手帳情報とである。
周産期ネットワークシステム10は、サーバー15を中心に構成される。基幹病院11には、サーバー15との間でネットワークを介して相互通信可能に構成された基幹病院端末16が設置されている。連携クリニック12には、サーバー15との間でネットワークを介して相互通信可能に構成された連携クリニック端末17が設置されている。患者13が所有する患者端末18は、患者13の患者端末18による周産期ネットワークの利用を可能にする患者用医療情報共有プログラムがインストールされることによりサーバー15との間でネットワークを介して相互通信可能に構成される。代行入力者14には、サーバー15との間でネットワークを介して相互通信可能に構成された代行入力端末19が設置されている。
サーバー15、基幹病院端末16、連携クリニック端末17、および、代行入力端末19は、デスクトップコンピューターやノート型コンピューターなどの情報処理装置であって、コンピューター本体と、モニタなどの表示部と、キーボード、マウスなどの操作部などで構成されている。コンピューター本体は、ROM、RAM、CPU、HDD、SDD、通信IFなどを備え、インストールされたアプリケーションプログラムに従って所定の処理を実行する。また、患者端末18は、デスクトップコンピューターやノート型コンピューターなどの情報処理装置やスマートフォンといった携帯型の情報処理端末である。
周産期ネットワークシステム10において、サーバー15は、共通診療情報および母子手帳情報を患者13ごとに保持している。サーバー15には、基幹病院11あるいは連携クリニック12における患者13の診療結果に基づく共通診療情報および母子手帳情報が登録される。これにより、基幹病院11、連携クリニック12、および、患者13の間で最新の共通診療情報および母子手帳情報の共有化が図られる。なお、代行入力者14は、患者端末18を通じて患者13が送信した情報に基づいて代行入力端末19を通じて共通診療情報および母子手帳情報の登録などを代行して行う。こうした周産期ネットワークシステム10の運用フローの一例について図2~図9を参照して説明する。
(周産期ネットワークの導入時)
図2~図4を参照して、周産期ネットワーク導入時における運用フローの一例について説明する。
図2に示すように、周産期ネットワークシステム10は、システム管理者によって全体管理とネットワークIDの管理とが行われる。システム管理者は、周産期ネットワークシステム10のシステム共通設定を行うための情報を管理者端末から入力し(ステップS10)、サーバー15は、周産期ネットワークのネットワークIDを発行し、登録する(ステップS11)。
(ネットワークIDの登録)
ネットワークIDの登録において、システム管理者は、図示されない管理者端末からサーバー15にアクセスし、新規の周産期ネットワークに対する基幹病院11のログイン情報を周産期データベースに登録する。具体的には、管理者端末のモニタなどの表示部には、図3に示すログイン情報登録画面20が表示される。システム管理者は、ログイン情報登録画面20において基幹病院11のログイン情報をサーバー15の周産期データベースに登録する。登録されたログイン情報は、システム管理者から基幹病院11へ通知される。
図3に示すように、ログイン情報登録画面20において、システム管理者は、管理者端末のマウスなどの操作装置を用いて新規ボタン20aを操作して必要な情報を入力・選択し、登録ボタン20bを操作する。これにより、基幹病院11を中心とした新規の周産期ネットワークが登録されるとともに当該周産期ネットワークに対するログイン情報が周産期データベースに登録される。ログイン情報登録画面20には、ネットワークコード、ネットワーク名称、基幹病院名称、ログインID、パスワード、管理者名、電話番号、メールアドレス、郵便番号、所在地などの入力項目が設けられている。また、ログイン情報登録画面20には、使用区分、スマートフォン機能、妊婦(患者)の登録者、画面からの入力などの選択項目が設けられている。登録されたログイン情報は、ネットワークIDとネットワーク名称とが並記された状態でネットワーク一覧20cに表示される。使用区分は、基幹病院11が周産期ネットワークを使用するか否かを選択する項目である。スマートフォン機能は、患者13が患者端末18を通じて妊婦情報(詳しくは後述)を参照可能とする機能を使用するか否か選択する項目である。妊婦(患者)の登録者は、周産期ネットワークに妊婦情報を登録する登録者を基幹病院11あるいは代行入力者14に選択する項目である。画面からの入力は、サーバー15が保持している共通診療情報の登録を基幹病院11に許可するか否かを選択する項目である。
(連携クリニックIDの登録)
図2に示すように、ログイン情報が通知された基幹病院11の基幹病院端末16では、ネットワークIDに対して連携クリニック12のIDをサーバー15の周産期データベースに登録するマスター登録が行われる(ステップS12)。マスター登録がなされた連携クリニック12は、マスター登録時に登録されるログイン情報に基づいて周産期ネットワークへのログインが可能となる。
マスター登録において、基幹病院11の管理者は、基幹病院端末16からサーバー15にアクセスし、ログイン情報に基づいて周産期ネットワークにログインする。基幹病院11の管理者は、基幹病院端末16の表示部に表示された図4に示すマスター登録画面21において連携クリニック12のログイン情報をサーバー15の周産期データベースに登録する。登録されたログイン情報は、基幹病院11から連携クリニック12へ通知され、連携クリニック12によって受領される(ステップS13)。
図4に示すように、マスター登録画面21において、基幹病院11の管理者は、基幹病院端末16のマウスなどの操作部を用いて新規ボタン21aを操作して必要な情報を入力・選択したのち、登録ボタン21bを操作することにより連携クリニック12のマスター登録を行う。マスター登録画面21には、クリニックコード、クリニック名称、パスワード、管理者、電話番号、メールアドレス、郵便番号、所在地などの入力項目が設けられている。クリニックコードは、ネットワークIDに対して登録された基幹病院11のログインIDとの重複が禁止されている。また、マスター登録画面21には、使用区分、画面からの入力などの選択項目が設けられている。登録されたログイン情報は、クリニックコードとクリニック名称とが並記された状態で連携クリニック一覧21cに表示される。使用区分は、登録される連携クリニック12が周産期ネットワークを使用するか否かを選択する項目である。画面からの入力は、サーバー15が保持している共通診療情報の登録を連携クリニック12に許可するか否かを選択する項目である。
このように、周産期ネットワークシステム10においては、1つのネットワークIDに対して1つの基幹病院11が関連付けられているとともに、その基幹病院11に対して1以上の連携クリニック12が関連付けられている。基幹病院11は、基幹病院端末16からサーバー15にアクセスし、ログインIDおよびパスワードを用いて周産期ネットワークにログインする。また、連携クリニック12は、連携クリニック端末17からサーバー15にアクセスし、ログインIDおよびパスワードを用いて周産期ネットワークにログインする。
(初診時)
図5~図8を参照して、初診時における周産期ネットワークの運用フローの一例について、患者が基幹病院11において妊娠診断を受けた場合を例に説明する。ここでいう「初診」は、初産における妊娠診断を受けた診察のことをいう。また、図3に示したログイン情報登録画面20、および、図4に示したマスター登録画面21においては、画面からの入力について不許可が選択されている。そのため、ここでは、共通診療情報および母子手帳情報の登録が代行入力者14によって行われる場合を例に初診時における運用フローについて説明する。
図5に示すように、例えば基幹病院11において患者13が妊娠診断を受けると(初診:ステップS20)、基幹病院11では、患者13に関連付けられたカルテ番号と該カルテ番号に関連付けられた共通診療ノートとが発行される(ステップS21)。
(登録者が基幹病院11である場合)
図3に示したログイン情報登録画面において選択された妊婦(患者)の登録者が基幹病院11である場合、ステップS21において周産期ネットワークに対する妊婦登録が行われる。基幹病院11の管理者は、基幹病院端末16からサーバー15にアクセスし、図6に示す妊婦情報登録画面22において新規の妊婦登録を行う。
図6に示すように、妊婦情報登録画面22において、基幹病院11の管理者は、操作装置を用いて新規ボタン22aを操作して妊婦情報を入力したのち、登録ボタン22bを操作することにより妊婦(患者)登録を行う。妊婦登録では、妊婦情報として、カルテ番号、患者名、患者名(カナ)などが入力されるとともに使用区分の使用可否などが選択される。妊婦登録が完了すると、カルテ番号で識別されるアカウントが周産期ネットワークの周産期データベースに作成される。作成されたアカウントは、カルテ番号と患者名とが並記された状態で患者一覧22cに表示される。
また、妊婦情報登録画面22は、検索ボタン22dの操作によって、コードボタン22eにより選択された項目(カルテ番号、患者名、患者名(カナ))について、入力欄22fに入力された文字列の部分一致(カルテ番号については完全一致)を条件とした妊婦情報の検索が可能に構成されている。検索結果は、患者一覧22cにカルテ番号順にカルテ番号と患者名とが並記された状態で表示される。
(患者用医療情報共有プログラムの登録)
図5に示すように、基幹病院11で発行された冊子状の共通診療ノートは、その表紙に対してカルテ番号や患者名、出産予定日などが記入されたうえで患者13に配布される(ステップS22)。その際、患者13に対し、口頭やパンプレットなどによって妊娠や出産、育児の記録などを一括で管理することのできる患者用医療情報共有プログラムについての説明がなされる。また、患者用医療情報共有プログラムの利用が推奨される。患者用医療情報共有プログラムは、患者13の患者端末18による周産期ネットワークの利用を可能にするクライアントアプリケーションである。
患者13は、共通診療ノートを受領したのち(ステップS23)、所有する患者端末18に患者用医療情報共有プログラムのインストールを行う(ステップS24)。インストールが終了すると、患者13は、患者端末18で患者用医療情報共有プログラムを起動し、図7に示すホーム画面23から周産期ネットワークに対するアカウント登録を行う(ステップS25)。なお、患者13は、周産期ネットワークに対するアカウント登録前に公共機関から母子健康手帳の交付を受けていることが望ましい。
(周産期ネットワークに対するアカウント登録)
図7に示すように、患者端末18の表示部に表示される患者用医療情報共有プログラムのホーム画面23において、患者13は、メニューボタンを操作してメニュー画面23aを表示させる。患者13は、メニューのユーザー情報ボタン23bを操作し、ユーザー情報画面24を表示させる。患者13は、周産期ネットワーク利用の「>」ボタン24aを操作して利用規約画面25を表示させる。患者13は、利用規約を確認したのち、利用規約画面25の「同意する」ボタン25aを操作する。
なお、利用規約の表示および同意は、周産期ネットワークに対するアカウント登録時のみである。また、図7においては、周産期ネットワークに対するアカウント登録後のユーザー情報画面24を示している。そのため、「周産期ネットワーク利用」が「利用中」と表示されている。
利用規約画面25において「同意する」ボタン25aが操作されると、妊婦(患者)の登録者が基幹病院11である場合、周産期ネットワーク設定画面26が表示される。一方、妊婦(患者)の登録者が代行入力者14である場合、周産期ネットワーク設定画面27が表示される。
周産期ネットワーク設定画面26において、患者13は、周産期ネットワークを利用するか否かを選択するとともに、共通診療ノートの表紙に記載されているネットワーク名およびカルテ番号を入力する。このとき、患者13は、今後受診する連携クリニック12を受診クリニックに入力してもよい。そして、登録ボタン26aが操作されると、サーバー15は、患者13が入力したカルテ番号と周産期ネットワークにおける患者13のアカウント(カルテ番号)との照合が行われ、カルテ番号が一致すると周産期ネットワークに対するアカウント登録が完了する。これにより、周産期ネットワークに対して患者13のユーザーIDが登録されるとともに患者13のユーザーIDがカルテ番号に対して関連付けられる。患者13のユーザーIDがカルテ番号に関連付けられると、患者端末18からサーバー15にアクセスして自身の共通診療情報および母子手帳情報の閲覧などが可能になる。
周産期ネットワーク設定画面27において、患者13は、周産期ネットワークを利用するか否かを選択するとともに、妊婦情報記入欄27aに、共通診療ノートの表紙に記載されているネットワーク名およびカルテ番号のほか、氏名、カナ(氏名)を入力する。このとき、患者13は、今後受診する連携クリニック12を受診クリニックに入力してもよい。また患者13は、登録画像27bに対して共通診療ノートの表紙を撮像した画像データを添付する。そして、登録ボタン27cを操作することにより、周産期ネットワークに対する妊婦登録の代行依頼が完了する。代行入力者14は、代行入力端末19からサーバー15にアクセスし、図8に示す代行入力依頼管理画面28において新規の妊婦登録を行う。なお、ユーザー情報画面24における「周産期ネットワーク利用」については、代行入力が終了するまで「登録待ち」となる。また、「周産期ネットワーク利用」が変化したときには、メニュー画面23aのユーザー情報ボタン23bの隣にバッチマーク23cが付加され、ユーザー情報画面24の周産期ネットワーク利用の状態表示欄24bにバッチマーク24cが付加される。
図8に示すように、代行入力依頼管理画面28において、代行入力者14は、登録画像27bの画像データを添付欄28aに添付するとともに登録画像27bに基づいて妊婦情報入力欄28bに妊婦情報を入力して登録ボタン28cを操作する。これにより、患者13のアカウントが周産期ネットワークの周産期データベースに作成される。代行入力者14によって代行入力が終了すると、患者用医療情報共有プログラムを通じて患者13のユーザーIDがカルテ番号に関連付けられる。
図5に示すように、カルテ番号にユーザーIDが関連付けられると(ステップS26)、患者13は、初診時に共通診療ノートに医師が記入した内容、および、母子健康手帳に自身が記入した内容の周産期ネットワークへの代行入力を代行入力者14に依頼する(ステップS27)。母子健康手帳への患者13の記入事項は、妊婦の健康状態に関する事項(図20参照)、妊婦の職業と環境に関する事項(図22参照)、および、妊婦自身の記録に関する事項(図23参照)などである。ステップS27における代行入力の依頼において、患者13は、例えば、共通診療ノートや母子健康手帳を撮像した画像データを代行入力情報として患者端末18から代行入力端末19に送信する。代行入力情報を受信した代行入力者14は、代行入力端末19からサーバー15にアクセスして代行入力を実施する(ステップS28)。これにより、患者13の初産について、妊婦情報に関連付けられた共通診療情報および母子手帳情報がサーバー15の周産期データベースに登録される。代行入力者14は、代行入力が完了すると代行入力端末19を通じて患者13の患者端末18に対して完了通知を行う。完了通知を受信した患者13は、患者用医療情報共有プログラムを通じて、代行入力を依頼した箇所について確認する(ステップS29)。
(二回目以降の受診時)
図9を参照して、二回目以降の受診時における運用フローの一例について説明する。なお、ここでも、共通診療情報および母子手帳情報の登録が代行入力端末19によって行われる場合を例に二回目以降の受診時における運用フローについて説明する。
図9に示すように、患者13が基幹病院11(あるいは連携クリニック12)で受診すると(ステップS30)、医師は、基幹病院端末16(あるいは連携クリニック端末17)からサーバー15にアクセスして周産期ネットワークにログインし、患者13の共通診療情報および母子手帳情報を参照しながら診療を行う(ステップS31)。診療結果は、医師によって共通診療ノートおよび母子健康手帳に記入される(ステップS32)。共通診療ノートへの医師の記入事項は、受診日や胎位、推定体重、羊水量などである(詳しくは図13を参照のこと)。母子健康手帳への医師の記入事項は、妊娠中の経過に関する事項(図17参照)、検査の記録に関する事項(図19参照)などの妊娠中の情報である。また、母子健康手帳への医師の記入事項は、出産の状態に関する事項(図12参照)などの出産後の情報である。
診療が終了した患者13は、患者用医療情報共有プログラムを通じて、診療結果の周産期ネットワークへの代行入力を代行入力者14に依頼する(ステップS33)。代行入力の依頼において、患者13は、例えば、診療結果が記入されたページを撮像した画像データを患者端末18から代行入力端末19に送信する。
代行入力者14は、代行入力端末19からサーバー15にアクセスし、患者13の共通診療情報および母子手帳情報に対する診療結果の代行入力を実施する(ステップS34)。これにより、今回の診療内容についての共通診療情報および母子手帳情報が周産期データベースに登録される。代行入力者14は、代行入力が完了すると患者13に対して完了通知を行う。完了通知を受信した患者13は、患者用医療情報共有プログラムを通じて、代行入力を依頼した箇所について確認する(ステップS35)。
なお、共通診療情報および母子手帳情報の登録は、患者13自身の患者端末18によっても行うことが可能である。また、共通診療情報の登録は、「画面からの入力」において「許可」が選択されている場合は基幹病院11の基幹病院端末16や連携クリニック12の連携クリニック端末17によって行うことも可能である。また、共通診療情報の登録は、基幹病院11、連携クリニック12、患者13、代行入力者14の順に優先される。これにより、例えば、基幹病院11が登録した情報は連携クリニック12、患者13、および、代行入力者14による編集が禁止される。連携クリニック12が登録した情報は基幹病院11による編集が許可され、患者13および代行入力者14による編集が禁止される。また、連携クリニック12においては、他の連携クリニック12が登録した共通診療情報および母子手帳情報の編集が禁止される。患者13が登録した情報は、基幹病院11および連携クリニック12による編集が許可され、代行入力者14による編集が禁止される。代行入力者14が登録した情報は、基幹病院11、連携クリニック12、および、患者13による編集が許可される。
(周産期ネットワークの利用)
上述した周産期ネットワークシステム10においては、基幹病院11の基幹病院端末16、連携クリニック12の連携クリニック端末17、患者13の患者端末18、代行入力者14の代行入力端末19に対して、図10に示すクライアントアプリケーション100がインストールされる。各種端末16~19においては、クライアントアプリケーション100が有する各種機能部が選択的に機能する。また、患者端末18にインストールされる患者用医療情報共有プログラムは、ここでいうクライアントアプリケーション100の1つである。このクライアントアプリケーション100およびサーバー15の構成について図10を参照して説明する。
なお、これら各種端末16~19およびサーバー15は、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、コンピュータープログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、或いは、それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含んでいる。
図10に示すように、クライアントアプリケーション100とサーバー15とは、ネットワーク60を介して相互通信可能に構成されている。クライアントアプリケーション100は、プログラムの実行により機能する機能部として、送信手段101、診察データ入力手段102、検査記録データ入力手段103、健康状態データ入力手段104、個人情報データ入力手段105、および、関連付け手段106を有している。また、クライアントアプリケーション100は、プログラムの実行により機能する機能部として、共通診療ノート表示手段107、妊娠中の経過表示手段108、検査記録表示手段109、健康状態表示手段110、および、個人情報表示手段111を有している。
基幹病院端末16および連携クリニック端末17において機能する機能部は、送信手段101、共通診療ノート表示手段107、妊娠中の経過表示手段108、検査記録表示手段109、健康状態表示手段110、および、個人情報表示手段111である。患者端末18において機能する機能部は、上述した全ての機能部である。代行入力端末19において機能する機能部は、診察データ入力手段102、検査記録データ入力手段103、健康状態データ入力手段104、個人情報データ入力手段105、および、関連付け手段106である。
送信手段101は、患者13の診療結果を示す電子カルテ情報などのほか、各種情報にカルテ番号を関連付けてサーバー15に送信する。電子カルテ情報は、共通診療ノートの記載内容を示す共通診療情報のほか、患者13の病歴情報、感染症や障害などに関するその他の情報を含んでいる。診察データ入力手段102は、妊娠中の経過に関する情報である診察記録情報を入力し、その入力した診察記録情報を送信手段を通じてサーバー15に送信する。検査記録データ入力手段103は、妊娠中における検査の記録を示す検査記録情報を入力し、その入力した検査記録情報を送信手段を通じてサーバー15に送信する。健康状態データ入力手段104は、妊娠の健康状態を示す健康状態情報を入力し、その入力した健康状態情報を送信手段を通じてサーバー15に送信する。個人情報データ入力手段105は、妊婦の個人情報を入力し、その入力した個人情報を送信手段を通じてサーバー15に送信する。個人情報は、保護者に関する情報および出生届出済証明に関する情報である保護者出生届出済証明情報、妊婦の職業や環境に関する情報である妊婦の職業や環境情報、妊婦自身の記録に関する情報である記録情報で構成される。これら診察記録情報、検査記録情報、健康状態情報、および、個人情報は、母子手帳情報を構成するとともに送信手段101によってカルテ番号が関連付けられる。また、これらの入力手段102~105は、母子手帳情報を入力する母子手帳情報入力手段を構成する。関連付け手段106は、カルテ番号と患者用医療情報共有プログラムのユーザーIDとを関連付けるとともに、それら関連付けたカルテ番号とユーザーIDとを示す関連付け情報を送信手段101を通じてサーバー15に送信する。これにより、母子手帳情報とカルテ番号とが関連付けられる。
サーバー15は、アプリケーションサーバーである周産期サーバー200とデータベースサーバーである周産期データベース300とを有している。周産期サーバー200は、プログラムの実行により機能する機能部として、抽出・記憶手段201、診察データ記憶手段202、検査記録データ記憶手段203、健康状態データ記憶手段204、個人情報データ記憶手段205、関連付け記憶手段206、および、周産期データ要求応答手段207を有している。
診察データ記憶手段202は、クライアントアプリケーション100から送信された診察記録情報を受信し、その受信した診察記録情報を周産期データベース300の所定領域に記憶する。検査記録データ記憶手段203は、クライアントアプリケーション100から送信された検査記録情報を受信し、その受信した検査記録情報を周産期データベース300に記憶する。健康状態データ記憶手段204は、クライアントアプリケーション100から送信された健康状態情報を受信し、その受信した健康状態情報を周産期データベース300に記憶する。個人情報データ記憶手段205は、クライアントアプリケーション100から送信された個人情報を受信し、その受信した個人情報を周産期データベース300に記憶する。関連付け記憶手段206は、クライアントアプリケーション100から送信された関連付け情報を受信し、その受信した関連付け情報を周産期データベース300に記憶する。
周産期データ要求応答手段207は、クライアントアプリケーション100からの要求に応じて周産期データベース300に記憶されている各種情報を検索し、その検索した各種情報をクライアントアプリケーション100に送信する。
周産期データベース300は、共通診療ノートデータ301、母子手帳データ302、および、関連付けデータ307を記憶している。なお、周産期データベースは、クラウドに構築されてもよい。
共通診療ノートデータ301は、抽出・記憶手段201が抽出した共通診療情報であって、カルテ番号に関連付けられた共通診療情報の記憶領域である。
母子手帳データ302は、診察データ303、検査記録データ304、健康状態データ305、および、個人情報データ306で構成されている。診察データ303は、診察データ記憶手段202によって記憶される妊娠中の経過情報の記憶領域である。検査記録データ304は、検査記録データ記憶手段203によって記憶される検査記録情報の記憶領域である。健康状態データ305は、健康状態データ記憶手段204によって記憶される健康状態情報の記憶領域である。個人情報データ306は、個人情報データ記憶手段205によって記憶される個人情報の記憶領域である。関連付けデータ307は、関連付け手段106によって記憶される関連付け情報の記憶領域である。周産期データベース300は、患者13の妊娠回数が複数である場合、1つのカルテ番号に対して複数の共通診療情報と複数の母子手帳情報とを関連付けて管理している。
(周産期ネットワークの利用)
図11~図22を参照して、周産期ネットワークの利用方法の一例について、患者13の共通診療情報および母子手帳情報が診療時に参照される場合を例に説明する。診療時に医師が周産期ネットワークシステム10にログインすると、基幹病院端末16あるいは連携クリニック端末17の表示部には、図11に示すホーム画面30が表示される。
図11に示すように、ホーム画面30の左上方には、カルテ番号が入力可能なカルテ番号入力欄30xが設けられている。ホーム画面30は、カルテ番号入力欄30xにカルテ番号を入力して検索ボタン30yを操作することにより、妊婦情報の検索(完全一致)が実行可能に構成されている。また、カルテ番号入力欄30xの右下には、患者13の氏名が入力可能な氏名入力欄30aが設けられている。ホーム画面30は、氏名入力欄30aに患者13の氏名を入力して検索ボタン30bを操作することにより、妊婦情報の検索(部分一致)が実行可能に構成されている。妊婦情報の検索は、基幹病院11では当該基幹病院11を中心とした周産期ネットワークを利用している患者13を対象として行われ、連携クリニック12では当該連携クリニック12を受診クリニックに設定している患者13を対象として行われる。検索実行後、検索結果画面30cのダイアログボックスに表示された氏名から患者13の氏名を選択することにより、患者13の共通診療情報および母子手帳情報などが表示ウィンドウ31に表示可能に構成されている。
なお、患者13に対して複数の子供に関する情報が関連付けられている場合、表示ウィンドウ31には、最新の子供に関する情報が初期表示として表示される。表示ウィンドウ31の左側には、何人目の子供に関する情報を表示するかを選択する選択ボタン30dが表示される。また、これら選択ボタン30dの下方には、出産の状態ボタン30eが設けられている。出産の状態ボタン30eが操作されることにより、図12に示す過去の出産の状態を示す出産の状態画面32のダイアログボックスが表示される。図12に示すように、過去の出産の状態画面32には、妊娠期間、娩出日時、分娩経過、分娩方法、分娩所要時間、出血量、輸血の有無、出産時の児の状態が表示される。
氏名入力欄30aの右上方には、各種メニューボタンが設けられている。ホームボタン30fは、ホーム画面30を表示するメニューボタンである。ホームボタン30fは、共通診療情報、妊娠中の経過に関する情報、検査の記録に関する情報、妊婦の健康状態に関する情報を表示ウィンドウ31に表示可能とするメニューボタンである。個人情報ボタン30gは、保護者・出生届出済証明に関する情報、妊婦の職業と環境に関する情報、妊婦自身の記録に関する情報などの個人情報を表示ウィンドウ31に表示可能とするメニューボタンである。設定/その他ボタン30hは、基幹病院11が連携クリニック12のマスター登録や妊婦(患者)情報の登録を行う際に操作されるメニューボタンである。マニュアルボタン30iは、周産期ネットワークシステム10のマニュアルを表示するメニューボタンである。
ホーム画面30には、表示ウィンドウ31に表示するドキュメントを選択するタブとして、共通診療ノートタブ33、妊娠中の経過タブ34、検査の記録タブ35、妊婦の健康状態タブ36が表示される。
共通診療ノートタブ33が操作されると、クライアントアプリケーション100の共通診療ノート表示手段107は、サーバー15に対して共通診療情報を要求する。サーバー15の周産期データ要求応答手段207は、共通診療情報の要求に応答して周産期データベース300にアクセスし、共通診療ノートデータ301から患者13のカルテ番号が関連付けられている共通診療情報を検索する。周産期データ要求応答手段207は、検索した共通診療情報をクライアントアプリケーション100に送信する。クライアントアプリケーション100の共通診療ノート表示手段107は、送信された共通診療情報を取得し、その取得した共通診療情報に基づいて図13に示す共通診療情報画面37を表示ウィンドウ31に表示する。
図13に示すように、共通診療情報画面37には、受診日ごとの診療項目が表示される。診療項目は、胎位、推定体重、羊水量、性器出血、子宮収縮、心音、その他、妊娠健診診査受診表、次回予約、実施機関、登録状況などである。なお、多胎児である場合、推定体重については各々の胎児の推定体重が登録される。
共通診療情報画面37には、診療項目の情報に共通診療表ボタン37aが設けられている。共通診療表ボタン37aが操作されることにより、図14に示す共通診療表38のダイアログボックスが表示される。図14に示すように、共通診療表38には、検診、経過、自覚、生活について、書類、妊婦健康診査の内容など、妊娠週数ごとの診療内容が記載されている。
共通診療情報画面37には、推定体重に隣接する位置にグラフボタン37bが設けられている。このグラフボタン37bが操作されることにより、図15に示す胎児の理想体重を示す理想体重グラフ画面39のダイアログボックスが表示される。
また、ログイン者についての「画面からの入力」が「許可」に設定されている場合、クライアントアプリケーション100の共通診療ノート表示手段107は、各受診日に隣接する位置に鉛筆ボタン37cを表示するとともに表示ウィンドウ31の右上端部の位置に追加登録ボタン37dを表示する。鉛筆ボタン37cあるいは追加登録ボタン37dが操作されると、共通診療ノート表示手段107は、診療項目の診療結果を入力可能な入力画面40(図16参照)のダイアログボックスを表示する。
図16に示すように、入力画面40には、各種診療結果を入力する入力欄が設けられている。鉛筆ボタン37cは、受診日当日の診療結果についての登録・削除が可能に構成されている。また、追加登録ボタン37dの操作により、入力欄が全て空白の入力画面40が表示され、各受診日に対して診察結果の追加登録が可能に構成されている。入力欄に入力された診療結果は、登録ボタン40aの操作により、送信手段101によって今回の出産に関する情報を含む電子カルテ情報の一部としてサーバー15へ送信される。共通診療情報を受信したサーバー15では、抽出・記憶手段201が、電子カルテ情報から共通診療情報を抽出し、その抽出した共通診療情報にカルテ番号を関連付けて周産期データベース300の共通診療ノートデータ301に記憶する。抽出・記憶手段201は、例えば、電子カルテ情報から産科に関する事項を抽出したり、キーワードに基づく事項を抽出したりすることにより共通診療情報を抽出する。
妊娠中の経過タブ34が操作されると、クライアントアプリケーション100の妊娠中の経過表示手段108は、サーバー15に対して妊娠中の経過に関する情報である診察記録情報を要求する。診察記録情報は、母子手帳情報を構成する。サーバー15の周産期データ要求応答手段207は、診察記録情報の要求に応答して周産期データベース300にアクセスし、母子手帳データ302の診察データ303から患者13のカルテ番号が関連付けられた診察記録情報を検索する。この際、周産期データ要求応答手段207は、ユーザーIDによって診察記録情報が要求された場合、関連付けデータ307に記憶されている関連付け情報に基づいて診察記録情報を検索する。周産期データ要求応答手段207は、検索した診察記録情報をクライアントアプリケーション100に送信する。クライアントアプリケーション100の妊娠中の経過表示手段108は、送信された診察記録情報を取得し、その取得した診察記録情報に基づいて図17に示す妊娠中の経過画面41を表示ウィンドウ31に表示する。
図17に示すように、妊娠中の経過画面41には、診察月日ごとの診察結果として、妊娠週数、子宮底長、腹囲、体重、血圧、浮腫、尿蛋白、尿糖、その他の検査、特記事項、施設名、担当者などが表示される。なお、施設名は、ログイン者が基幹病院である場合にのみ表示される。
妊娠中の経過画面41には、「体重」に隣接する位置にグラフボタン41aが設けられ、「血圧」に隣接する位置にグラフボタン41bが設けられている。グラフボタン41a,41bが操作されることにより、図18に示すような通常時のふだんの体重に対する体重の推移を示すグラフのほか、標準血圧に対する血圧の推移を示すグラフなどの推移グラフ画面42のダイアログボックスが表示されるように構成されている。
検査の記録タブ35が操作されると、クライアントアプリケーション100の検査記録表示手段109は、サーバー15に対して妊娠中における検査の記録を示す検査記録情報を要求する。検査記録情報は、母子手帳情報を構成する。サーバー15の周産期データ要求応答手段207は、検査記録情報の要求に応答して周産期データベース300にアクセスし、母子手帳データ302の検査記録データ304から患者13のカルテ番号が関連付けられた検査記録情報を検索する。この際、周産期データ要求応答手段207は、ユーザーIDによって検査記録情報が要求された場合、関連付けデータ307に記憶されている関連付け情報に基づいて検査記録情報を検索する。周産期データ要求応答手段207は、検索した検査記録情報をクライアントアプリケーション100に送信する。検査記録表示手段109は、送信された検査記録情報を取得し、その取得した検査記録情報に基づいて図19に示す検査の記録画面43を表示ウィンドウ31に表示する。
図19に示すように、検査の記録画面43には、各種検査項目について、検査結果や検査年月日、検査場所、診察種類、費用、検査内容・投薬情報などが表示される。なお、検査場所は、ログイン者が基幹病院である場合にのみ表示される。
妊婦の健康状態タブ36が操作されると、クライアントアプリケーション100の健康状態表示手段110がサーバー15に対して妊娠の健康状態を示す健康状態情報を要求する。この健康状態情報は、母子手帳情報を構成する。サーバー15の周産期データ要求応答手段207は、健康状態情報の要求に応答して周産期データベース300にアクセスし、母子手帳データ302の健康状態データ305から患者13のカルテ番号が関連付けられた健康状態情報を検索する。この際、周産期データ要求応答手段207は、ユーザーIDによって健康状態情報が要求された場合、関連付けデータ307に記憶されている関連付け情報に基づいて健康状態情報を検索する。周産期データ要求応答手段207は、検索した健康状態情報をクライアントアプリケーション100に送信する。健康状態表示手段110は、送信された健康状態情報を取得し、その取得した健康状態情報に基づいて図20に示す健康状態画面44を表示ウィンドウ31に表示する。
図20に示すように、健康状態画面44には、身長、ふだんの体重、結婚年齢、BMI、各種既往歴に関する情報、手術歴、服薬、各種ストレスに関する情報、各種喫煙に関する情報、飲酒に関する情報、夫の健康状態、過去の出産に関する情報などが表示される。
(個人情報画面)
図21に示すように、メニューボタンの個人情報ボタン30gが操作されると個人情報画面に遷移する。個人情報画面には、表示ウィンドウ31に表示するドキュメントを選択するタブとして、保護者・出生届出済証明タブ45、妊婦の職業と環境タブ46、妊婦自身の記録タブ47が表示される。
保護者・出生届出済証明タブ45が操作されると、クライアントアプリケーション100の個人情報表示手段111は、サーバー15に対して保護者・出生届出済証明に関する情報である保護者出生届出済証明情報を要求する。サーバー15の周産期データ要求応答手段207は、保護者出生届出済証明情報の要求に応答して周産期データベース300にアクセスし、関連付けデータ307に基づいて母子手帳データ302の個人情報データ306から患者13のカルテ番号が関連付けられた保護者出生届出済証明情報を検索する。周産期データ要求応答手段207は、その検索した保護者出生届出済証明情報をクライアントアプリケーション100に送信する。クライアントアプリケーション100の個人情報表示手段111は、送信された保護者出生届出済証明情報を受信し、その受信した保護者出生届出済証明情報に基づいて保護者出生届出済証明情報画面45Aを表示ウィンドウ31に表示する。保護者出生届出済証明情報画面45Aには、保護者情報として、保護者の続柄や氏名、生年月日、職業、居住地、電話番号などが表示される。また、保護者出生届出済証明情報画面45Aには、証明情報として、過去の出産に関して公的機関に出生届を届出済みである子供についての氏名、生年月日、出生の場所などが表示される。
妊婦の職業と環境タブ46が操作されると、クライアントアプリケーション100の個人情報表示手段111は、サーバー15に対して妊婦さんの職業や環境に関する情報である妊婦の職業や環境情報などを要求する。サーバー15の周産期データ要求応答手段207は、妊婦の職業や環境情報の要求に応答して周産期データベース300にアクセスし、関連付けデータ307に基づいて母子手帳データ302の個人情報データ306から患者13のカルテ番号が関連付けられた妊婦の職業や環境情報を検索する。周産期データ要求応答手段207は、その検索した妊婦の職業や環境情報をクライアントアプリケーション100に送信する。個人情報表示手段111は、送信された妊婦の職業や環境情報を取得し、その取得した妊婦の職業や環境情報に基づいて妊婦の職業や環境画面48を表示ウィンドウ31に表示する。図22に示すように、妊婦の職業や環境画面48には、妊娠に気づいたときの状況や妊娠してからの変更点、休業、住居の種類、騒音、日当たり、同居人などが表示される。
妊婦自身の記録タブ47が操作されると、クライアントアプリケーション100の個人情報表示手段111は、サーバー15に対して妊婦自身の記録に関する情報である記録情報を要求する。サーバー15は、記録情報の要求に応答して母子手帳データ302にアクセスし、関連付けデータ307に基づいて母子手帳データ302から患者13のカルテ番号が関連付けられた記録情報を検索する。サーバー15は、その検索した記録情報をクライアントアプリケーション100に送信する。クライアントアプリケーション100の個人情報表示手段111は、送信された記録情報を取得し、その取得した記録情報に基づいて図23に示す妊婦自身の記録画面49を表示ウィンドウ31に表示する。
図23に示すように、妊婦自身の記録画面49には、最終月経開始日、妊娠初診日、胎動を感じた日、分娩予定日、出産前後の居住地の住所や電話番号、分娩施設、分娩施設へのアクセス方法、分娩施設への所要時間、出産前後に家事や育児を手伝ってくれる人、妊娠・分娩に係る緊急連絡先などが表示される。
(患者13による周産期ネットワークシステムの利用の一例)
図24を参照して、患者用医療情報共有プログラムを通じた周産期ネットワークシステムの利用の一例として、患者13が共通診療情報を登録する登録方法について説明する。患者13が患者用医療情報共有プログラムを起動し、メニュー画面の共通診療ノート入力を選択すると、図24に示す共通診療ノート入力画面50が表示される。
図24に示すように、共通診療ノート入力画面50には、受診日で示される過去の共通診療情報を選択するボタン50a,50b,50cとともに共通診療ノートを追加ボタン50dが表示される。共通診療ノートを追加ボタン50dが操作されると、新規の共通診療ノート入力画面51が表示される。
新規の共通診療ノート入力画面51は、受診日や胎位、推定体重、羊水量などを入力・選択可能に構成されている。胎位については、画像選択ボタン51aを操作することにより、システムにおいて登録されている選択画像を示す胎位選択画面52が表示される。患者13は、胎位選択画面52から該当する画像を選択し、登録ボタン52aを操作することにより胎位を選択する。また患者13は、各種入力項目の入力および選択項目の選択を行ったのち、登録ボタン51bを操作することにより、共通診療情報の登録が行われる。なお、この際、患者13に先立って受診病院によって共通診療情報の登録が行われている場合には、登録することができないことを患者13に通知する登録不可画面53が表示される。
このように周産期ネットワークにおいては、共通診療情報および母子手帳情報は、最新の状態が保持されるように構成されている。基幹病院11あるいは連携クリニック12においては、サーバー15の周産期データベース300に記憶された共通診療情報および母子手帳情報を参照しながらの診療が行われる。そのため、基幹病院11および連携クリニック12における診療を効率的かつ適切に行うことができる。
また、基幹病院11あるいは連携クリニック12において二回目以降の妊娠判断が行われると、ステップS21において同一のカルテ番号を関連付けた共通診療ノートが発行される。患者13は、患者用医療情報共有プログラムのインストール(ステップS24)、新規会員登録(ステップS25)を行うことなく、今回の出産に関する代行入力を依頼する(ステップS27)。代行入力者14は、代行入力端末19から患者13の二回目以降の出産について代行入力を実施する(ステップS28)。これにより、患者13の二回目以降の出産について、妊婦情報に関連付けられた共通診療情報および母子手帳情報がサーバー15に登録される。二回目以降の出産についての共通診療情報および母子手帳情報が登録されると、ホーム画面30には、図11に示すように今回の出産と過去の出産とを選択可能な選択ボタン30dと、過去の出産の状態を確認可能な出産の状態ボタン30eとが表示される。その結果、過去の出産の母子手帳情報を参照しながら今回の出産についての診療を行うことができる。
本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)二回目以降の妊娠判断においては、同一のカルテ番号に対して妊娠判断ごとの共通診療情報および母子手帳情報が登録される。そのため、二回目以降の出産においては、過去の出産の共通診療情報および母子手帳情報を参照しながら診療を行うことができる。これにより、過去の出産についての正確な情報を医師が把握可能であるため、診療を効率的かつ適切に行うことができる。
(2)サーバー15に送信された電子カルテ情報は、周産期サーバー200の抽出・記憶手段201によって共通診療情報が抽出される。抽出された共通診療情報は、カルテ番号が関連付けられたうえで周産期データベース300の共通診療ノートデータ301に登録される。これにより、電子カルテ情報に含まれる情報のうち、共通診療情報のみがサーバー15に登録される。こうした構成の周産期ネットワークシステム10によれば、基幹病院11には公開している感染症や障害などに関するその他の情報を連携クリニック12に知られたくないという一部の患者13の要望に応えることができる。
(3)周産期ネットワークシステム10は、二回目以降の妊娠時に過去の出産の状態を確認可能に構成されている。また、こうした出産の状態の要求をホーム画面30から行うことができる。こうした構成によれば、患者13に対する診療をさらに効率的かつ適切に行うことができる。
(4)周産期ネットワークシステム10においては、基幹病院11、連携クリニック12、患者13による共通診療情報および母子手帳情報の登録が条件付きで許可されている。これにより、代行入力者15以外であっても共通診療情報および母子手帳情報の登録を行うことができる。
(5)周産期ネットワークシステム10においては、共通診療情報および母子手帳情報の登録に優先順位が設けられている。こうした構成によれば、例えば、基幹病院11によって登録された情報を患者13が修正することが禁止されるため、共通診療情報および母子手帳情報の信頼度を高めることができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・共通診療情報および母子手帳情報の登録に優先順位が設けられてなくともよい。すなわち、基幹病院11、連携クリニック12、患者13、および、代行入力者14の各々が共通診療情報および母子手帳情報の登録を実行可能であってもよい。
・母子手帳情報に含まれる出産の状態については、出産の状態ボタン30eからではなく選択ボタン30dの操作を通じて表示される構成であってもよい。
・周産期ネットワークシステム10は、母子手帳情報が共有されるシステムであればよく、共通診療情報が別のシステムにおいて共有される構成であってもよい。
・周産期ネットワークシステム10においては、各種端末にインストールされたクライアントアプリケーション100によって周産期ネットワークが構成されている。これに限らず、周産期ネットワークは、クライアントアプリケーション100に代えて、端末がサーバー15にアクセスすることにより実行されるWebアプリケーションによって構成されてもよい。
(周産期ネットワークシステムの他の構成例)
図25を参照して、周産期ネットワークシステムの他の構成例について説明する。なお、以下で説明する周産期ネットワークシステムは、上記実施形態の周産期ネットワークシステムと主要な構成が同じである。そのため、以下では、上記実施形態の周産期ネットワークシステムと異なる部分について詳細に説明し、同様の部分については同様の符号を付すことによりその詳細な説明は省略する。
図25は、周産期ネットワークシステムの他の構成例の概略構成を示す機能ブロック図である。
図25に示すように、第2実施形態の周産期ネットワークシステムにおいては、周産期サーバー200は、相互通信可能に構成された第1サーバー500と第2サーバー800とで構成されている。周産期データベース300は、第1サーバー500がアクセスする第1データベース600と、第2サーバー800がアクセスする第2データベース900とで構成されている。
第1サーバー500は、基幹病院端末16および連携クリニック端末17がアクセスするサーバーであり、基幹病院端末16および連携クリニック端末17との間でネットワークを介して相互通信可能に構成されている。
第1サーバー500は、基幹病院端末16や連携クリニック端末17がアクセスすると、基幹病院端末16や連携クリニック端末17に対してWebアプリケーション400を提供する。Webアプリケーション400は、プログラムの実行により機能する機能部として、送信手段101、病院マスター入力手段401、共通診療ノート表示手段107、妊娠中の経過表示手段108、検査記録表示手段109、健康状態表示手段110、個人情報表示手段111、および、第1共通診療ノート入力手段402を有している。
病院マスター入力手段401は、基幹病院端末16に提供される。病院マスター入力手段401は、基幹病院端末16において連携クリニック12のマスター登録に必要な情報(図4参照)を入力し、その入力した情報を第1サーバー500に送信する。
第1共通診療ノート入力手段402は、共通診療ノートの記載内容を示す共通診療情報を入力し、その入力した共通診療情報を送信手段101を通じて第1サーバー500に送信する。
第1サーバー500は、プログラムの実行により機能する機能部として、抽出・記憶手段201、病院マスター記憶手段501、第1周産期データ要求応答手段502、第1共通診療ノート記憶手段503を有している。また、第1データベース600は、関連付けデータ307および病院マスターデータ601を記憶している。病院マスターデータ601は、病院マスター記憶手段501によって記憶される情報の記憶領域であって、マスター登録された連携クリニック12に関する情報の記憶領域である。
病院マスター記憶手段501は、基幹病院端末16から送信されたマスター登録に必要な情報を受信し、その受信した情報を第1データベース600の所定領域に記憶する。
第1周産期データ要求応答手段502は、基幹病院端末16および連携クリニック端末17からの要求に応じた各種処理を実行する。
第1周産期データ要求応答手段502は、基幹病院端末16および連携クリニック端末17からの要求に応答して、その要求に応じたカルテ番号の情報の提供を第2サーバー800に要求する。第1周産期データ要求応答手段502は、その要求に応じて第2サーバー800から送信された情報を受信し、その受信した情報を各種表示手段107~111を通じて端末の表示ウィンドウ31に表示する。
第1周産期データ要求応答手段502は、第2サーバー800からの要求に応答して、第1データベース600に記憶されている関連付けデータ307から、ユーザーIDに関連付けられているカルテ番号を検索し、その検索したカルテ番号を第2サーバー800に送信する。
第1共通診療ノート記憶手段503は、第1共通診療ノート入力手段402が送信した共通診療情報を受信し、その受信した共通診療情報をカルテ番号とともに第2サーバー800に送信する。
第2サーバー800は、患者端末18がアクセスするサーバーであり、患者端末18との間でネットワークを介して相互通信可能に構成されている。患者端末18には、患者用医療情報共有プログラムがクライアントアプリケーション700としてインストールされている。
クライアントアプリケーション700は、プログラムの実行により機能する機能部として、第2共通診療ノート入力手段701、診察データ入力手段102、検査記録データ入力手段103、健康状態データ入力手段104、および、個人情報データ入力手段105を有している。
第2共通診療ノート入力手段701は、共通診療ノートの記載内容を示す共通診療情報を入力し、その入力した共通診療情報をユーザーIDとともに第2サーバー800に送信する。各種入力手段102~105は、各種情報をユーザーIDとともに第2サーバー800に送信する。
第2サーバー800は、プログラムの実行により機能する機能部として、第2周産期データ要求応答手段801、第2共通診療ノート記憶手段802、診察データ記憶手段202、検査記録データ記憶手段203、健康状態データ記憶手段204、および、個人情報データ記憶手段205を有している。また、第2データベース900は、共通診療ノートデータ301および母子手帳データ302を記憶している。
第2周産期データ要求応答手段801は、クライアントアプリケーション700から各種情報が入力されると第1サーバー500に対してユーザーIDに対応するカルテ番号を要求する。第2周産期データ要求応答手段801は、第1サーバー500が送信したユーザーIDに対応するカルテ番号を受信する。
第2周産期データ要求応答手段801は、第1周産期データ要求応答手段502から要求された情報の提供に応答して、その要求に対応するカルテ番号の情報を第2データベース900から検索し、その検索した情報を第1周産期データ要求応答手段502に送信する。
第2共通診療ノート記憶手段802は、第1共通診療ノート記憶手段503が送信した共通診療情報を受信し、その受信した共通診療情報を第2データベース900の所定領域に記憶する。なお、第1共通診療ノート記憶手段503が送信する共通診療情報にはカルテ番号が関連付けられている。
第2共通診療ノート記憶手段802は、第2共通診療ノート入力手段701が送信した共通診療情報を受信し、その受信した共通診療情報に対して、第2周産期データ要求応答手段801が受信したカルテ番号を関連付けて第2データベース900の所定領域に記憶する。
各種記憶手段202~205は、クライアントアプリケーション700から送信された各種情報を受信し、その受信した情報に対して、第2周産期データ要求応答手段801が受信したカルテ番号を関連付けて第2データベース900の所定領域に記憶する。
こうした構成であっても、基幹病院端末16および連携クリニック端末17による共通診療情報の入力・閲覧、母子手帳情報の閲覧が可能である。また、患者端末18による共通診療情報の入力・閲覧、母子手帳情報の入力・閲覧が可能である。また、代行入力端末19による共通診療情報および母子手帳情報の入力が可能である。