JP7272077B2 - エンジンの排気ガス還流装置 - Google Patents

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Description

本発明は、EGRガス通路に水冷式のEGRクーラが付設されたエンジンの排気ガス還流装置に関する。
内燃機関のエンジンでは、燃焼温度の制御等を目的として、吸気通路へ排気ガスの一部であるEGRガスを還流させる外部EGRが汎用されている。一般に、EGRガスを流通させるEGR通路には、当該EGRガスを冷却するEGRクーラが付設される。EGRクーラとして水冷式のものを採用した場合、冷媒としての冷却水がEGRガスとの熱交換によって加熱され、沸騰することがある。この沸騰に伴う圧力上昇は、EGRクーラや冷却水通路の破損を誘発し得る。この問題への対策として、特許文献1には、EGRクーラ内での冷却水の沸騰に起因する音をAEセンサが検出すると、EGRガスの還流を制限する構成が開示されている。
特開2004-360545号公報
しかしながら、特許文献1の装置では、冷却水が現にEGRクーラ内で沸騰した後にEGRガス還流を制限するものであって、処置が事後的である。また、冷却水の沸騰は、EGRクーラ内における冷却水の流通状態だけに起因するものではなく、冷却水を循環させる冷却水通路における冷却水の流通状態にも起因する。従って、EGRクーラにおいて沸騰音をモニターしても的確に冷却水の沸騰を防止することができない。
本発明は、EGRガス通路に水冷式のEGRクーラが付設されたエンジンの排気ガス還流装置において、冷却水の沸騰を的確に抑止することを目的とする。
本発明の一局面に係るエンジンの排気ガス還流装置は、吸気通路に排気ガスの一部であるEGRガスを還流させるためのEGR通路と、前記EGR通路に付設され、前記EGRガスを冷却する水冷式のEGRクーラと、前記EGRクーラを通して冷却水を循環させる冷却水通路と、エンジン出力軸の回転に連動して動作するポンプであって、前記冷却水の循環のために前記冷却水通路へ冷却水を圧送するウォーターポンプと、前記冷却水通路内の冷却水の圧力を検出する圧力センサと、前記EGR通路を通して前記吸気通路に還流させる前記EGRガスの量を制御するEGR制御機構と、前記冷却水通路を流れる冷却水の流量を調整する流量制御弁と、当該流量制御弁を制御する流量制御部と、を備え、前記冷却水通路は、前記ウォーターポンプから、エンジン本体、冷却水の保有熱を放熱させるラジエータ、及び、冷却水の温度が所定の設定温度に達したときに開となるサーモスタットバルブを順次経由して前記ウォーターポンプに戻る第1冷却水通路と、前記ウォーターポンプから、前記エンジン本体、前記EGRクーラ、及び、前記流量制御弁を順次経由して前記ウォーターポンプに戻る第2冷却水通路と、を含み、前記EGRクーラと前記流量制御弁との間において前記第2冷却水通路には、上方に向けて凸となる凸通路部が含まれ、前記EGR制御機構は、エンジン回転数が予め設定された低回転数の運転領域に属する運転時に、前記冷却水の圧力が所定の閾値を超過する圧力上昇を前記圧力センサが検出した場合に、前記吸気通路へ還流させる前記EGRガスの量を制限し、前記流量制御部は、前記圧力センサが前記圧力上昇を検出していない状態では、前記エンジン本体の温度に応じて前記流量制御弁の開度を調整する一方、前記圧力上昇を検出すると、前記EGRクーラで局所的に高温化した冷却水が、空気溜まりが形成された前記凸通路部を通して前記第2冷却水通路の下流側に流出するよう、前記流量制御弁を全開とすることを特徴とする。
この排気ガス還流装置によれば、前記ウォーターポンプは、エンジン出力軸の回転に連動するので、エンジンの低回転運転時には圧送力が低下することになる。このため、圧送力不足によって冷却水通路において冷却水の流通が滞り、冷却水の一部がEGRガスと過剰に熱交換して高温化することがある。しかし、上記構成によれば、前記圧力センサが冷却水通路内の冷却水の圧力をモニターし、所定の圧力上昇が検出されるとEGRガスの還流量を制限するので、冷却水とEGRガスとの過剰な熱交換が抑止される。従って、冷却水の沸騰を的確に抑止することができる。
上記のエンジンの排気ガス還流装置において、前記EGR制御機構は、前記EGR通路を流れるEGRガスの流量を調整するEGR弁と、当該EGR弁の開度を制御するEGR制御部と、を含み、前記EGR制御部は、前記圧力上昇が検出された際に前記EGR弁の開度を絞ることが望ましい。
この排気ガス還流装置によれば、前記圧力上昇においてEGRガスの還流量を制限する構成を、EGR弁の閉弁を含めた開度調整によって簡易に実現することができる。
上記のエンジンの排気ガス還流装置において、前記冷却水通路を流れる冷却水の流量を調整する流量制御弁と、当該流量制御弁を制御する流量制御部と、をさらに備え、前記流量制御部は、前記圧力上昇が検出された際に、前記流量制御弁の開度を大きくすることが望ましい。
この排気ガス還流装置によれば、前記流量制御弁の開度を大きくすることによって、前記冷却水通路を流れる冷却水の流量を増加させることができる。これにより、冷却水の滞留を打開し、当該冷却水を良好に循環させることができる。
上記のエンジンの排気ガス還流装置において、前記冷却水通路は、前記ウォーターポンプから、エンジン本体、冷却水の保有熱を放熱させるラジエータ、及び、冷却水の温度が所定の設定温度に達したときに開となるサーモスタットバルブを順次経由して前記ウォーターポンプに戻る第1冷却水通路と、前記ウォーターポンプから、前記エンジン本体、前記EGRクーラ、及び、前記流量制御弁を順次経由して前記ウォーターポンプに戻る第2冷却水通路と、を含み、前記流量制御部は、前記圧力センサが前記圧力上昇を検出していない状態では、前記エンジン本体の温度に応じて前記流量制御弁の開度を調整する一方、前記圧力上昇を検出すると前記流量制御弁を全開とすることが望ましい。
この排気ガス還流装置によれば、冷却水の圧力上昇が検出されると、前記流量制御弁の通常の開度調整よりも優先して当該流量制御弁が全開とされ、冷却水の循環が促進される。上記のEGRガスの還流量の制限に加え、この冷却水の循環に伴い、当該冷却水は放熱よって冷却される。従って、冷却水の状態を速やかに定常状態に戻すことができる。
上記のエンジンの排気ガス還流装置は、前記EGRクーラよりも下流側において前記冷却水通路に、上方に向けて凸となる通路が含まれている場合に特に有効である。冷却水が高温化すると気泡が発生し得るが、凸の通路部分が存在すると、前記気泡に基づく空気が当該凸の通路部分に滞留して空気溜まりを形成し得る。前記ウォーターポンプの圧送力が低下するエンジンの低回転運転時には、前記空気溜まりを冷却水の流動で押し出すことができないことに起因して、冷却水の流通が滞ることがある。従って、前記空気溜まりが生じ得るような前記冷却水通路を含む場合において、所定の圧力上昇が検出されるとEGRガスの還流量を制限する上記の排気ガス還流装置は特に有用となる。
本発明によれば、EGRガス通路に水冷式のEGRクーラが付設されたエンジンの排気ガス還流装置において、冷却水の沸騰を的確に抑止することができる。
図1は、本発明に係る排気ガス還流装置が適用されるエンジンのシステム図である。 図2は、図1に示されたエンジンの冷却装置についての回路図である。 図3は、エンジン本体の要部の概略断面図である。 図4は、エンジン本体及びEGR装置を示す斜視図である。 図5は、図4とは斜視方向を異ならせた、エンジン本体及びEGR装置を示す斜視図である。 図6は、冷却水通路の湾曲凸部の概略断面図であって、当該部分における冷却水の流動を説明するための図である。 図7は、エンジンの制御系統を示すブロック図である。 図8は、冷却水沸騰の診断処理を示すフローチャートである。 図9は、冷却水沸騰診断の実行条件を示すタイムチャートである。 図10(A)~(C)は、外部EGRのカット処理を説明するためのタイムチャートである。
[エンジンの全体構成]
以下、図面に基づいて、本発明に係るエンジンの排気ガス還流装置の実施形態を詳細に説明する。まず、図1を参照して、本実施形態に係る排気ガス還流装置が適用されるエンジンシステムについて説明する。図1に示されるエンジンシステムは、走行用の動力源として車両に搭載される4サイクルのガソリン直噴エンジンからなるエンジン本体1と、エンジン本体1に導入される吸気が流通する吸気通路30と、エンジン本体1から排出される排気ガスが流通する排気通路40と、排気通路40を流通する排気ガスの一部を吸気通路30に還流する外部EGR装置50(排気ガス還流装置)と、を備えている。
エンジン本体1は、気筒2が内部に形成されたシリンダブロック3と、気筒2を上から閉塞するようにシリンダブロック3の上面に取り付けられたシリンダヘッド4と、気筒2に往復摺動可能に挿入されたピストン5とを有している。エンジン本体1は、典型的には複数の(例えば4つの)気筒を有する多気筒型のものであるが、図1では簡略化のため、1つの気筒2のみが示されている。
ピストン5の上方には燃焼室6が区画されている。燃焼室6には、ガソリンを主成分とする燃料が、後述するインジェクタ15からの噴射によって供給される。供給された燃料が燃焼室6で空気と混合されつつ燃焼し、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン5が上下方向に往復運動する。
ピストン5の下方には、エンジン本体1の出力軸であるクランク軸7が設けられている。クランク軸7は、ピストン5とコネクティングロッド8を介して連結され、ピストン5の往復運動(上下運動)に応じて中心軸回りに回転駆動される。クランク軸7は、トルクコンバータ等を介して図外の自動変速機と連結されている。
シリンダブロック3には、クランク角センサSN1及び水温センサSN5が組付けられている。クランク角センサSN1は、クランク軸7の回転角度(クランク角)及びクランク軸7の回転数(エンジン回転数)を検出する。水温センサSN5は、シリンダブロック3及びシリンダヘッド4の内部を流通する冷却水の温度(エンジン水温)を検出する。
シリンダヘッド4には、吸気通路30から供給される空気を燃焼室6に導入するための吸気ポート9と、燃焼室6で生成された排気ガスを排気通路40に導出するための排気ポート10と、吸気ポート9の燃焼室6側の開口を開閉する吸気弁11と、排気ポート10の燃焼室6側の開口を開閉する排気弁12とが設けられている。
吸気弁11及び排気弁12は、シリンダヘッド4に配設された一対のカム軸等を含む動弁機構により、クランク軸7の回転に連動して開閉駆動される。吸気弁11用の動弁機構には、吸気弁11の開閉時期を変更可能な吸気VVT13が内蔵されている。同様に、排気弁12用の動弁機構には、排気弁12の開閉時期を変更可能な排気VVT14が内蔵されている。吸気VVT13(排気VVT14)は、いわゆる位相式の可変機構であり、電動モータの作動により吸気弁11(排気弁12)の開弁時期および閉弁時期を同時にかつ同量だけ変更する。
シリンダヘッド4には、燃焼室6に燃料(ガソリン)を噴射するインジェクタ15と、インジェクタ15から燃焼室6に噴射された燃料と吸入空気とが混合された混合気に点火する点火プラグ16とが設けられている。
吸気通路30は、吸気ポート9と連通するようにシリンダヘッド4の一側面に接続されている。吸気通路30の上流端から取り込まれた空気(新気)は、吸気通路30および吸気ポート9を通じて燃焼室6に導入される。
吸気通路30には、その上流側から順に、吸気中の異物を除去するエアクリーナ31と、吸気の流量を調整する開閉可能なスロットル弁32と、吸気を圧縮しつつ送り出す過給機33と、過給機33により圧縮された吸気を冷却するインタークーラ35と、サージタンク36とが設けられている。
吸気通路30の各部には、吸気の流量を検出するエアフローセンサSN2と、吸気の温度を検出する吸気温センサSN3と、吸気の圧力を検出する吸気圧センサSN4とが設けられている。エアフローセンサSN2及び吸気温センサSN3は、吸気通路30におけるエアクリーナ31とスロットル弁32との間の部位に設けられ、当該部位を通過する吸気の流量および温度を検出する。吸気圧センサSN4は、サージタンク36に設けられ、当該サージタンク36内の吸気の圧力を検出する。
過給機33は、エンジン本体1と機械的に連係された機械式の過給機(スーパーチャージャ)である。過給機33の具体的な形式は特に問わないが、例えばリショルム式、ルーツ式、または遠心式といった公知の過給機のいずれかを過給機33として用いることができる。過給機33とエンジン本体1との間には、両者の締結及びその解放とを電気的に切り替えることが可能な電磁クラッチ34が介設されている。
吸気通路30には、過給機33をバイパスするためのバイパス通路38が設けられている。バイパス通路38は、サージタンク36と後述するEGR通路51とを互いに接続している。バイパス通路38には開閉可能なバイパス弁39が設けられている。
排気通路40は、排気ポート10と連通するようにシリンダヘッド4の他側面に接続されている。燃焼室6で生成された既燃ガスは、排気ポート10および排気通路40を通じて外部に排出される。排気通路40には触媒コンバータ41が設けられている。触媒コンバータ41には、排気通路40を流通する排気ガス中に含まれる有害成分(HC、CO、NOx)を浄化するための三元触媒41aと、排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を捕集するためのGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルタ)41bとが内蔵されている。
外部EGR装置50は、排気通路40と吸気通路30とを接続するEGR通路51と、EGR通路51に設けられたEGRクーラ52及びEGR弁53とを有している。EGR通路51は、排気通路40から吸気通路30に排気ガスの一部であるEGRガスを還流させるための通路である。EGR通路51は、排気通路40における触媒コンバータ41よりも下流側の部位と、吸気通路30におけるスロットル弁32と過給機33との間の部位とを互いに接続している。
EGRクーラ52は、EGR通路51に付設され、EGR通路51を通して排気通路40から吸気通路30に還流されるEGRガスを熱交換により冷却する。本実施形態のEGRクーラ52は、冷媒として水を用いる水冷式のクーラである。EGR弁53は、開閉式の弁体であって、EGRクーラ52よりも下流側(吸気通路30に近い側)のEGR通路51に配置され、EGR通路51を流れるEGRガスの流量を調整する。
EGR通路51には、還流されるEGRガスの温度を検出するEGR温度センサSN6と、前記EGRガスの流量を検出するEGR流量センサSN7とが設けられている。EGR温度センサSN6は、EGR通路51におけるEGRクーラ52の直上流側の位置に配置されている。EGR流量センサSN7は、EGR弁53の近傍に配置されている。
[冷却装置の全体構成]
続いて、図1のエンジンシステムの冷却装置について説明する。図2は、前記冷却装置の全体構成を示す回路図である。冷却装置60は、ウォーターポンプ(W/P)61と、冷却水を循環させるための第1冷却水通路62、第2冷却水通路63及び第3冷却水通路64と、連絡通路65と、バルブ用通路66とを備えている。本実施形態では、第2冷却水通路63が、EGRクーラ52を通して冷却水を循環させる冷却水通路である。
ウォーターポンプ61は、クランク軸7(エンジン出力軸)の回転に連動して動作する遠心ポンプであって、シリンダブロック3の一側面に組付けられている。ウォーターポンプ61にはプーリーが付設され、クランク軸7の回転力が補機駆動ベルトを通して伝達される。ウォーターポンプ61は、前記冷却水の循環のために、第1~第3冷却水通路62へ冷却水を圧送する。
第1冷却水通路62は、ウォーターポンプ61から吐出される冷却水を、エンジン本体1のシリンダブロック3及びシリンダヘッド4と、冷却水の保有熱を放熱させるラジエータ71と、第1サーモスタットバルブ(T/S)72を順次経由して、ウォーターポンプ61に戻すように循環させる通路である。図2中の実線矢印は、エンジン本体1の温間時の、第1冷却水通路62における冷却水の流れを示している。
図3は、エンジン本体1の要部概略断面図であって、シリンダブロック3及びシリンダヘッド4の内部の冷却水通路を示す図である。第1冷却水通路62の一部として、シリンダブロック3内にはブロック側ジャケット62aが、シリンダヘッド4内には燃焼室側ジャケット62bが、各々備えられている。ブロック側ジャケット62aは、複数の気筒2が一列に並ぶ気筒群の周囲を取り囲むように、シリンダブロック3内に形成された冷却水通路である。燃焼室側ジャケット62bは、吸気ポート9及び排気ポート10の燃焼室6への各開口端付近を通過するように、シリンダヘッド4内に形成された冷却水通路である。
第1サーモスタットバルブ72は、ラジエータ71とウォーターポンプ61との間の適所に配置され、冷却水の温度が所定の設定温度(例えば116℃)に達したときに開弁する。第1サーモスタットバルブ72は、設定温度の切り替えが可能な可変サーモスタットバルブであり、例えば異なる運転領域に各々適した温度にて開弁するように切り替え制御される。
第2冷却水通路63は、第1冷却水通路62のうち、ラジエータ71及び第1サーモスタットバルブ72が配置されている一部通路をバイパスする通路である。第2冷却水通路63は、エンジン本体1中の第1冷却水通路62から冷却水の一部を分流させ、EGRクーラ(EGR/C)52、ヒータ74及び流量制御弁(CSV)75を順次経由させて、ウォーターポンプ61に戻す通路である。図2中の一点鎖線矢印は、温間時の第2冷却水通路63における冷却水の流れを示している。なお、ヒータ74は、車室内の空調(暖房)用のヒータであり、熱を保有した冷却水を熱源として用いる機器である。
第2冷却水通路63の一部として、シリンダヘッド4内には排気ポート側ジャケット63aが備えられている。排気ポート側ジャケット63aは、図3に示すように、燃焼室側ジャケット62bよりも下流側(排気ガスの流動方向における下流側)の位置において、排気ポート10の周囲に形成された冷却水通路である。
流量制御弁75は、ヒータ74とウォーターポンプ61との間の適所に介設され、第2冷却水通路63を流れる冷却水の水量を調整する。流量制御弁75としては、例えばソレノイドバルブを用いることができる。第2冷却水通路63は、ヒータ74と流量制御弁75との間の位置で、連絡通路65を介して第1冷却水通路62に接続されている。
第2冷却水通路63において、ヒータ74と流量制御弁75との間には、圧力センサSN9が配設されている。圧力センサSN9は、第2冷却水通路63内の冷却水の圧力を検出する。なお、第1~第3冷却水通路62~64は閉じた循環系通路であるので、圧力センサSN9はこれら冷却水通路62~64内の冷却水の圧力を検出することになる。本実施形態では圧力センサSN9の検出値は、EGRクーラ52内において冷却水の沸騰若しくはその前駆現象が生じているか否かの診断に用いられる。
第3冷却水通路64は、第2冷却水通路63とは別に、第1冷却水通路62の一部通路をバイパスする通路である。第3冷却水通路64は、第1冷却水通路62から冷却水の一部を分流させ、詳しくはブロック側ジャケット62aから冷却水の一部を分流させ、当該冷却水を、第2サーモスタットバルブ(T/S)78、ATFウォーマ(ATF/W)76及びオイルクーラ(O/C)77を順次経由させてウォーターポンプ61に戻す通路である。図2中の破線矢印は、温間時の第2冷却水通路63における冷却水の流れを示している。ATFウォーマ76は、図外の変速機の作動油を加温する機器、オイルクーラ77はエンジンオイルを冷却する機器である。
第2サーモスタットバルブ78は、第3冷却水通路64のうち、ATFウォーマ76と第1冷却水通路62(ブロック側ジャケット62a)との接続部分との間の適所に配置されている。第2サーモスタットバルブ78は、設定温度が固定されたサーモスタットバルブである。第2サーモスタットバルブ78の設定温度は、第1サーモスタットバルブ72の設定温度(例えば116℃)よりも低い温度(例えば60℃)に設定されている。
バルブ用通路66は、第1冷却水通路62から冷却水の一部を分流させ、詳しくは燃焼室側ジャケット62bから冷却水の一部を分流させ、当該冷却水を、第2冷却水通路63に合流させる通路である。バルブ用通路66には、前述のスロットル弁(ETB)32及びバイパス弁(ABV)39が配置されている。バルブ用通路66は、温感時の冷却水の熱を利用してスロットル弁32及びバイパス弁39を暖機するための通路である。
[冷却装置の動作]
以上の通り構成された冷却装置60における、基本的な冷却水の流通状態について概略的に説明する。冷間状態においてエンジンが始動された直後は、冷却装置60内の冷却水の水温は常温である。すなわち、冷却水の水温は、第1、第2のサーモスタットバルブ72、78の設定温度(116℃、60℃)に達しておらず、これらバルブ72、78は閉弁状態である。流量制御弁75も、冷間状態では閉弁状態とされる。従って、第1、第2、第3冷却水通路62、63、64のいずれについても冷却水が流通しない状態とされる。このため、エンジン始動の直後は、冷却装置60において冷却水の循環が規制され、エンジン本体1の暖気(昇温)が促進される。
なお、既述の通りウォーターポンプ61は、クランク軸7の回転に連動して動作する遠心ポンプである。従って、ウォーターポンプ61は、エンジンの始動と共に作動はするものの、第1、第2のサーモスタットバルブ72、78及び流量制御弁75が閉じられた状態では冷却水を圧送できない。このため、第1~第3冷却水通路62~64において、実質的に冷却水の流れは停止した状態が維持される。
エンジン本体1の暖気が進み、冷却水の水温が第2サーモスタットバルブ78の設定温度(60°C)以上になると、第2サーモスタットバルブ78が開く。従って、ウォーターポンプ61を起点として、第3冷却水通路64のみを通じて冷却水の循環が開始される。この時点では冷却水は、第1冷却水通路62に配置されたラジエータ71を経由していない。よって、エンジン本体1の暖気が促進される。
そして、冷却水の水温が第1サーモスタットバルブ72の設定温度(116°C)以上になると、第1サーモスタットバルブ72が開弁する。また、流量制御弁75も開弁される。これにより、第1~第3冷却水通路62~64の全てを通して、冷却水の循環が開始される(図2中の実線矢印、一点鎖線矢印、破線矢印参照)。
[冷却水通路の配管態様]
続いて、冷却水通路の配管態様、特にEGRクーラ52が配設された第2冷却水通路63の配管態様について説明する。図4及び図5は、エンジン本体1及び外部EGR装置50を示す斜視図である。これらの図では、説明の便宜のため、上下・前後・左右の方向表示を付されている。
EGRクーラ52は、エンジン本体1の左側面上部付近において、シリンダヘッド4に添設されるように配置されている。ヒータ74は、EGRクーラ52に対して後方側であって、やや上方に位置している。ラジエータ71はエンジン本体1の前方側に配置されている。図3及び図4には、ラジエータ71を経由する第1冷却水通路62、並びに、EGRクーラ52及びヒータ74が配設される第2冷却水通路63が示されている。図2も参照して、第2冷却水通路63は、第1配管631、第2配管632及び第3配管633を含む。
第1配管631は、エンジン本体1中の第1冷却水通路62とEGRクーラ52とを接続する配管である。第1配管631は、シリンダブロック3の後側面から左斜め上方に延び出している。第2配管632は、EGRクーラ52の下流側の冷却水通路であって、当該EGRクーラ52とヒータ74とを接続する配管である。第2配管632は、上方に向けて凸となる形状を有する通路である。すなわち、図5に示されているように第2配管632は、EGRクーラ52の上端面から斜め上方に延び出し、第1配管631を跨いだ後に斜め下方に向かう湾曲凸部63Aと、この湾曲凸部63Aからヒータ74に繋がる部分とを有している。第3配管633は、ヒータ74とシリンダヘッド4内の排気ポート側ジャケット63aとを接続する配管である。
上記の通り、第2配管632が上方に凸の湾曲凸部63Aを有するのは、エンジン周辺機器のレイアウト等を考慮したものであって、専らコンパクト化の達成を目的としたものである。しかし、EGRクーラ52の直ぐ下流側に上記のような湾曲凸部63Aが存在している場合、冷却水の流通が滞り、冷却水が沸騰する現象が生じ得る。
図6は、第2配管632における湾曲凸部63Aの部分を模式的な断面で示した図であって、当該部分における冷却水Wの流動を説明するための図である。冷却水Wは、加熱されることによって気泡を発生することがある。また、何らかの要因で、第1~第3冷却水通路62~64内に空気が抱き込まれてしまうことがある。この場合、湾曲凸部63Aのように位置が相対的に高い配管領域が存在すると、当該領域に空気が溜まるようになり、空気溜まりARが形成されてしまうことがある。このような空気溜まりARは、冷却水Wの流通を阻害する。
EGRクーラ52は、高温の排気ガスと熱交換することから、熱負荷が極めて高い部品である。従って、EGRクーラ52には、多量の冷却水Wを流す必要がある。しかし、EGRクーラ52の下流側の冷却水通路内に空気溜まりARが存在すると、冷却水Wの流通が滞ることがある。とりわけ、ウォーターポンプ61の圧送力が低下するエンジンの低回転領域では、冷却水Wの流通が滞り易い。すなわち、低回転領域では冷却水Wの流動水量が低下するため、湾曲凸部63Aに滞留する空気溜まりARを第2配管632の下流側へ押し出す(拡散させる)ことができず、結果としてEGRクーラ52内において冷却水Wの流動が確保できない現象が生じ得る。この場合、過剰な熱交換によってEGRクーラ52内において冷却水Wが沸騰し、第2配管632やEGRクーラ52の破損を招来することがある。本実施形態では、この問題が生じないよう、後記で詳述するEGRガスの流量制御を行う。
[制御系統]
図7は、エンジンの制御系統を示すブロック図である。本図に示されるPCM100は、エンジン等を統括的に制御するためのマイクロプロセッサであり、周知のCPU、ROM、RAM等から構成されている。
PCM100には各種センサによる検出信号が入力される。PCM100は、上述したクランク角センサSN1、エアフローセンサSN2、吸気温センサSN3、吸気圧センサSN4、水温センサSN5、EGR温度センサSN6及びEGR流量センサSN7と電気的に接続されており、これらのセンサによって検出された情報(つまりクランク角、エンジン回転数、吸気流量、吸気温、吸気圧、エンジン水温、EGRガス温度及びEGRガス流量)は、PCM100に逐次入力される。
車両には、当該車両を運転するドライバーにより操作されるアクセルペダルの開度を検出するアクセルセンサSN8が設けられている。また、図2に示したように、冷却装置60には、冷却水の圧力を検出する圧力センサSN9が備えられている。これらのセンサSN8、SN9による検出信号もPCM100に逐次入力される。
PCM100は、上記各センサからの入力情報に基づいて種々の判定や演算等を実行しつつエンジンの各部を制御する。すなわち、PCM100は、吸気VVT13、排気VVT14、インジェクタ15、点火プラグ16、スロットル弁32、電磁クラッチ34、バイパス弁39、EGR弁53、ウォーターポンプ61、第1サーモスタットバルブ72及び流量制御弁75等と電気的に接続されており、上記演算等の結果に基づいてこれらの機器にそれぞれ制御用の信号を出力する。
PCM100は、所定のプログラムが実行されることによって、演算部101、燃焼制御部102、EGR制御部103及び冷却水制御部104(流量制御部)を機能的に具備するように動作する。なお、本実施形態では、EGR弁53とEGR制御部103とが、EGR通路51を通して吸気通路30に還流させるEGRガスの量を制御するEGR制御機構として機能する。
燃焼制御部102は、燃焼室6での混合気の燃焼を制御する制御モジュールであり、エンジンの出力トルク等がドライバーの要求に応じた適切な値となるようにエンジンの各部(吸・排気VVT13,14、インジェクタ15、点火プラグ16等)を制御する。
EGR制御部103は、EGR弁53の開度を制御することによって、EGR通路51内のEGRガスの流量、つまり吸気通路30へのEGRガスの供給量を制御する。冷却装置60との関係においてEGR制御部103は、エンジン回転数及び圧力センサSN9の検出値に応じて、EGR弁53の開度を調整する。具体的には、EGR制御部103は、エンジン回転数が予め設定された低回転数の運転領域に属する運転時に、冷却装置60内の冷却水の圧力が所定の閾値を超過する圧力上昇を圧力センサSN9が検出した場合に、EGR弁53の開度を絞って、吸気通路30へ還流させるEGRガスの量を制限する。ここで、EGRガスの量を制限するとは、EGR弁53を閉状態に近づけてEGRガスの流量を減らすほか、EGR弁53を閉弁させてEGRガスの流量をゼロにする(外部EGRをカットする)ことを含む。
既述の通り、ウォーターポンプ61は、エンジン出力軸の回転に連動するので、エンジン本体1が低回転数の運転領域で運転されているときには圧送力が低下することになる。このため、圧送力不足によって冷却水通路62、63、64において冷却水の流通が滞りがちとなる。とりわけ、図6に基づき説明したように、EGRクーラ52の下流側の冷却水通路に湾曲凸部63Aが存在していると、空気溜まりARによって冷却水Wの流通が停止状態となり得る。冷却水Wの流通停止が生じると、EGRガスとの熱交換によって冷却水Wは高温化する。この場合、圧力センサSN9が圧力上昇を検出する。EGR制御部103は、低回転数の運転領域であって前記圧力上昇が検出されたとき、EGR弁53の開度を絞ってEGRガスの還流量を制限する。これにより、以降は冷却水WとEGRガスとの熱交換が抑制され、冷却水Wの沸騰が防止される。
冷却水制御部104は、冷却装置60を制御する制御モジュールであり、エンジンの運転状態に応じて、エンジン各部に対して適量の冷却水が循環するようにウォーターポンプ61、第1サーモスタットバルブ72及び流量制御弁75を制御する。流量制御弁75の制御に関し、冷却水制御部104は、低回転数の運転領域であって圧力センサSN9が前記圧力上昇を検出した際、流量制御弁75の開度を大きくする。これにより、ウォーターポンプ61の圧送力が弱い状態でも、冷却水が第2冷却水通路63を流通し易くし、冷却水の流量を増加させることができる。これにより、冷却水の循環を促進させることができる。
冷却水制御部104による流量制御弁75の好ましい制御例を説明する。冷却水制御部104は、エンジン本体1の冷間~暖機時には流量制御弁75を閉弁し、暖機を促進させる。暖機後については、冷却水制御部104は、エンジン本体1の温度(つまり、冷却水の温度)に応じて流量制御弁75の開度を調整し、冷却水の温度が上昇し過ぎてエンジン本体1を高温化させないよう、若しくは、冷却水の温度が下降し過ぎて冷損を発生させないようにする。一方、低回転数の運転領域であって圧力センサSN9が前記圧力上昇を検出した際には、流量制御弁75を全開又は全開に近い状態とする。これにより、EGRクーラ52内で高温化した冷却水を速やかに循環させる。
演算部101は、上述の燃焼制御部102、EGR制御部103及び冷却水制御部104による制御目標値の決定演算や、エンジンの運転状態の判定演算等の各種演算を実行する制御モジュールである。
[冷却水の沸騰診断処理]
続いて、PCM100により実行される冷却装置60の冷却水の沸騰診断処理を、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。PCM100は、図7に示す各センサSN1~SN9や他のセンサ(筒内圧センサ等)から、エンジン負荷やエンジン回転数等の車両の運転状態に関する情報を取得する(ステップS1)。圧力センサSN9の検出値も取得される。
次いで、PCM100は、現状の運転状態が冷却水の沸騰診断を実行すべき条件を満足しているか否かを判定する(ステップS2)。図9は、冷却水沸騰診断の実行条件を示すタイムチャートである。沸騰診断の実行条件の判断要素は、EGRガスの還流の有無、エンジン回転数及び充填効率である。
まず、EGRガスが吸気通路30へ還流されていること、つまり外部EGRが実行されていることが要件となる。外部EGRが実行されていない場合、EGRクーラ52において冷却水は熱交換しない。従って、PCM100は、EGR弁53が「開」の状態であるか否かを確認する。次に、エンジン回転数が予め設定された低回転数の運転領域に属することが要件となる。これは、ウォーターポンプ61の圧送力が低下する状況に相当する。PCM100は、エンジン回転数が所定の閾値回転数Th1以下の回転数であるか否かを確認する。閾値回転数Th1は例えば2000rpmである。
さらに、必須ではないが、エンジン負荷が高いことを要件とすることができる。これは、高負荷の場合に、冷却水の沸騰が生じ易いからであって、回転数だけに依存して誤判定することを防止することも目的としている。PCM100は、エンジン負荷状態の判定のため、吸気の充填効率が所定の閾値充填効率Th2以上であるか否かを確認する。図9の例では、EGR弁53が「開」、エンジン回転数<Th1、充填効率>Th2との条件が揃う時刻t1以降が、冷却水沸騰診断の実行条件を満足する状態である。
冷却水沸騰の診断条件を満足しない場合(ステップS2でNO)、処理はステップS1に戻る。一方、診断条件を満足する場合(ステップS2でYES)、PCM100の演算部101は、ステップS1で取得された圧力センサSN9の計測データをフィルタリングする処理を行う(ステップS3)。これは、圧力センサSN9の計測データに散発的に現れるノイズデータを除去する処理である。続いて、演算部101は、ノイズ除去後の計測データに対し、所定期間(例えば2sec)における移動平均を求める処理を行う(ステップS4)。これにより、現状における冷却水の圧力値(冷却水の水圧値)を求めることができる。
次に、演算部101は、ステップS4で求められた水圧値が、所定の閾値を超過する高圧であるか否かを判定する処理を実行する(ステップS5)。前記水圧値が所定の閾値以下である場合(ステップS5でNO)、演算部101は「正常」と判定する(ステップS6)。ここでの「正常」とは、冷却装置60の冷却水に沸騰乃至はその前駆現象(近々に沸騰が生じるような状態)が発生していない状況である。
一方、前記水圧値が所定の閾値を超過する場合(ステップS5でYES)、演算部101は「異常」と判定する(ステップS7)。この場合、冷却水の沸騰による水圧上昇によって、EGRクーラ52や第2冷却水通路63に破損の危険が生じる状況である。このため、PCM100の燃焼制御部102、EGR制御部103及び冷却水制御部104は、各々次の制御を実行する(ステップS8)。
EGR制御部103は、EGR弁53が全閉となるように制御する(EGRカット)。これにより、外部EGRが強制的に停止され、以降はEGRガスから冷却水への熱の授受が抑制される。図10(A)~(C)は、EGRカット処理を説明するためのタイムチャートである。ある時刻t0では、図10(A)に示すように、冷却水の水圧値が閾値Th3以下の値であり、図10(C)に示すように、外部EGRが実行され、所定量のEGRガスがEGR通路51を流れているものとする。
そして、図10(B)に示すように、時刻t2の手前からEGRクーラ52の温度が、例えば上記の空気溜まりAR(図6)によって冷却水が滞留したことに起因して急上昇を始めたとする。図10(A)では、EGRクーラ52の温度上昇に伴って水圧値も上昇し、時刻t2で閾値Th3を超過したことを例示している。この時刻t2の時点で、EGR制御部103はEGR弁53を閉止する。従って、図10(C)に示すように、時刻t2を経過して間もなく、EGRガス流量はゼロとなる。EGRガスの流通停止により、冷却水の水圧値及びEGRクーラ52の温度は、徐々に低下してゆく。
冷却水制御部104は、流量制御弁75を全開となるように制御する(CSV全開)。これにより、第2冷却水通路63における冷却水の流通がスムースとなり、EGRクーラ52内で局所的に高温化した冷却水を、下流側へ流出させ易くする、つまり循環させ易くすることができる。
燃焼制御部102は、インジェクタ15から噴射される燃料の量を減らし、エンジン出力を低下させる(エンジン出力制限)。これにより、冷却水の水温(エンジン水温)を早急に低下させることができる。この場合、冷却水制御部104に第1サーモスタットバルブ72の設定温度を低下(例えば116℃から90℃へ低下)させ、ラジエータ71を経由する第1冷却水通路62を用いた冷却水の循環が低温領域まで行われるようにすることが好ましい。
[作用効果]
以上説明した本実施形態によれば、次の作用効果を奏する。ウォーターポンプ61は、クランク軸7の回転に連動するので、エンジンの低回転運転時には圧送力が低下する。このため、第2冷却水通路に図6に示したような湾曲凸部63Aが存在すると、空気溜まりARによって冷却水の流通が阻害され、EGRクーラ52内において冷却水の一部がEGRガスと過剰に熱交換して高温化することがある。しかし、本実施形態によれば、圧力センサSN9によって冷却水通路62~64内の冷却水の圧力をモニターし、所定の圧力上昇が検出されるとEGR制御部103がEGRガスの還流量を制限(停止)する。従って、冷却水とEGRガスとの過剰な熱交換が抑止され、冷却水の沸騰を的確に抑止することができる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形実施形態を採ることができる。例えば、上記実施形態では、圧力センサSN9がヒータ74と流量制御弁75との間に配設される例を示した。圧力センサSN9は、第1~第3冷却水通路62~64の他の部位に配置しても良く、例えばEGRクーラ52とヒータ74とを接続する第2配管632に配置しても良い。
また、上記実施形態では、冷却水通路内の冷却水の水圧値が所定の閾値を超過すると、異常が発生したと見なしてEGRカットを行う等の制御を行う例を示した(図8のステップS5、S7、S8)。これに代えて、ある一定期間、水圧値が所定の閾値を超過し続けたときに、異常が発生したと扱うようにしても良い。また、ステップS8において、EGRカットだけを行い、流量制御弁75の全開制御及びエンジン出力制限制御のいずれか一方、若しくは双方を省くようにしても良い。
1 エンジン本体(圧縮着火エンジン)
7 クランク軸(エンジン出力軸)
30 吸気通路
40 排気通路
50 外部EGR装置(排気ガス還流装置)
51 EGR通路
52 EGRクーラ
53 EGR弁(EGR制御機構)
60 冷却装置
61 ウォーターポンプ
62 第1冷却水通路
63 第2冷却水通路(冷却水通路)
63A 湾曲凸部(上に向けて凸となる通路)
64 第3冷却水通路
71 ラジエータ
75 流量制御弁
103 EGR制御部(EGR制御機構)
104 冷却水制御部(流量制御部)
W 冷却水
SN9 圧力センサ

Claims (2)

  1. 吸気通路に排気ガスの一部であるEGRガスを還流させるためのEGR通路と、
    前記EGR通路に付設され、前記EGRガスを冷却する水冷式のEGRクーラと、
    前記EGRクーラを通して冷却水を循環させる冷却水通路と、
    エンジン出力軸の回転に連動して動作するポンプであって、前記冷却水の循環のために前記冷却水通路へ冷却水を圧送するウォーターポンプと、
    前記冷却水通路内の冷却水の圧力を検出する圧力センサと、
    前記EGR通路を通して前記吸気通路に還流させる前記EGRガスの量を制御するEGR制御機構と、
    前記冷却水通路を流れる冷却水の流量を調整する流量制御弁と、当該流量制御弁を制御する流量制御部と、を備え、
    前記冷却水通路は、
    前記ウォーターポンプから、エンジン本体、冷却水の保有熱を放熱させるラジエータ、及び、冷却水の温度が所定の設定温度に達したときに開となるサーモスタットバルブを順次経由して前記ウォーターポンプに戻る第1冷却水通路と、
    前記ウォーターポンプから、前記エンジン本体、前記EGRクーラ、及び、前記流量制御弁を順次経由して前記ウォーターポンプに戻る第2冷却水通路と、を含み、
    前記EGRクーラと前記流量制御弁との間において前記第2冷却水通路には、上方に向けて凸となる凸通路部が含まれ、
    前記EGR制御機構は、エンジン回転数が予め設定された低回転数の運転領域に属する運転時に、前記冷却水の圧力が所定の閾値を超過する圧力上昇を前記圧力センサが検出した場合に、前記吸気通路へ還流させる前記EGRガスの量を制限し、
    前記流量制御部は、前記圧力センサが前記圧力上昇を検出していない状態では、前記エンジン本体の温度に応じて前記流量制御弁の開度を調整する一方、前記圧力上昇を検出すると、前記EGRクーラで局所的に高温化した冷却水が、空気溜まりが形成された前記凸通路部を通して前記第2冷却水通路の下流側に流出するよう、前記流量制御弁を全開とすることを特徴とするエンジンの排気ガス還流装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンの排気ガス還流装置において、
    前記EGR制御機構は、前記EGR通路を流れるEGRガスの流量を調整するEGR弁と、当該EGR弁の開度を制御するEGR制御部と、を含み、
    前記EGR制御部は、前記圧力上昇が検出された際に前記EGR弁の開度を絞る、エンジンの排気ガス還流装置。
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