以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る内燃機関の冷却装置(以下、「実施装置」と称呼する。)について説明する。実施装置は、図1及び図2に示した内燃機関10(以下、単に「機関10」と称呼する。)に適用される。機関10は、多気筒(本例においては、直列4気筒)・4サイクル・ピストン往復動型・ディーゼル機関である。しかしながら、機関10は、ガソリン機関であってもよい。
図1に示したように、機関10は、機関本体11、吸気システム20、排気システム30及びEGRシステム40を含んでいる。
機関本体11は、シリンダヘッド14、シリンダブロック15(図2を参照。)、クランクケース等を含んでいる。機関本体11には、4つの気筒(燃焼室)12a乃至12dが形成されている。各気筒12a乃至12d(以下、「各気筒12」と称呼する。)の上部には、燃料噴射弁(インジェクタ)13が配設されている。燃料噴射弁13は、後述するECU(電子制御ユニット)90の指示に応答して開弁し、各気筒12内に燃料を直接噴射するようになっている。
吸気システム20は、インテークマニホールド21、吸気管22、エアクリーナ23、過給機24のコンプレッサ24a、インタークーラー25、スロットル弁26及びスロットル弁アクチュエータ27を含んでいる。
インテークマニホールド21は「各気筒12に接続された枝部」及び「枝部が集合した集合部」を含んでいる。吸気管22は、インテークマニホールド21の集合部に接続されている。インテークマニホールド21及び吸気管22は、吸気通路を構成している。吸気管22には、吸入空気の流れの上流から下流に向け、エアクリーナ23、コンプレッサ24a、インタークーラー25及びスロットル弁26が順に配設されている。スロットル弁アクチュエータ27は、ECU90の指示に応じてスロットル弁26の開度を変更するようになっている。
排気システム30は、エキゾーストマニホールド31、排気管32及び過給機24のタービン24bを含んでいる。
エキゾーストマニホールド31は「各気筒12に接続された枝部」及び「枝部が集合した集合部」を含んでいる。排気管32は、エキゾーストマニホールド31の集合部に接続されている。エキゾーストマニホールド31及び排気管32は、排気通路を構成している。タービン24bは、排気管32に配設されている。
EGRシステム40は、排気還流管41、EGR制御弁42及びEGRクーラ43を含んでいる。
排気還流管41は、タービン24bの上流位置の排気通路(エキゾーストマニホールド31)と、スロットル弁26の下流位置の吸気通路(インテークマニホールド21)と、を連通している。排気還流管41はEGRガス通路を構成している。
EGR制御弁42は、排気還流管41に配設されている。EGR制御弁42は、ECU90からの指示に応じてEGRガス通路の通路断面積を変更することにより、排気通路から吸気通路へと再循環される排ガス(EGRガス)の量を変更し得る。
EGRクーラ43は、排気還流管41に配設され、排気還流管41を通過するEGRガスの温度を後述する冷却水によって低下させる。従って、EGRクーラ43は、冷却水とEGRガスとの間で熱交換を行う熱交換器であり、主に、EGRガスから冷却水に熱を与える熱交換器である。
図2に示したように、シリンダヘッド14には、シリンダヘッド14を冷却するための冷却水を流すための水路51(以下、「ヘッド水路51」と称呼する。)が周知のように形成されている。ヘッド水路51は、実施装置の構成要素の1つである。以下の説明において、「水路」は、総て、冷却水を流すための通路である。
シリンダブロック15には、シリンダブロック15を冷却するための冷却水を流すための水路52(以下、「ブロック水路52」と称呼する。)が周知のように形成されている。特に、ブロック水路52は、各気筒12を画成するシリンダボアを冷却できるようにシリンダヘッド14に近い箇所からシリンダボアに沿ってシリンダヘッド14から離れた箇所まで形成されている。ブロック水路52は、実施装置の構成要素の1つである。
実施装置は、ポンプ70を含む。ポンプ70は、内燃機関10の図示しないクランクシャフトの回転によって作動される。
ポンプ70は、「冷却水をポンプ70内に取り込むための取込口70in(以下、「ポンプ取込口70in」と称呼する。)」及び「取り込んだ冷却水をポンプ70から吐出するための吐出口70out(以下、「ポンプ吐出口70out」と称呼する。)」を有する。
冷却水管53Pは、水路53を画成する。冷却水管53Pの第1端部53Aは、ポンプ吐出口70outに接続されている。従って、ポンプ吐出口70outから吐出された冷却水は、水路53に流入する。
冷却水管54Pは、水路54を画成し、冷却水管55Pは、水路55を画成する。冷却水管54Pの第1端部54A及び冷却水管55Pの第1端部55Aは、冷却水管53Pの第2端部53Bに接続されている。
冷却水管54Pの第2端部54Bは、水路54がヘッド水路51の第1端部51Aと連通するようにシリンダヘッド14に取り付けられている。冷却水管55Pの第2端部55Bは、水路55がブロック水路52の第1端部52Aと連通するようにシリンダブロック15に取り付けられている。
冷却水管56Pは、水路56を画成する。冷却水管56Pの第1端部56Aは、水路56がヘッド水路51の第2端部51Bと連通するようにシリンダヘッド14に取り付けられている。
冷却水管57Pは、水路57を画成する。冷却水管57Pの第1端部57Aは、水路57がブロック水路52の第2端部52Bと連通するようにシリンダブロック15に取り付けられている。
冷却水管58Pは、水路58を画成する。冷却水管58Pの第1端部58Aは、「冷却水管56Pの第2端部56B」及び「冷却水管57Pの第2端部57B」に接続されている。冷却水管58Pの第2端部58Bは、ポンプ取込口70inに接続されている。冷却水管58Pは、ラジエータ71を通るように配設される。以下、水路58を「ラジエータ水路58」と称呼する。
ラジエータ71は、そこを通る冷却水と外気との間で熱交換を行わせることにより、冷却水の温度を低下させる。
冷却水管58Pの第1端部58Aとラジエータ71との間において、冷却水管58Pには、遮断弁75が配設されている。遮断弁75は、開弁位置に設定されている場合、ラジエータ水路58内の冷却水の流通を許容し、閉弁位置に設定されている場合、ラジエータ水路58内の冷却水の流通を遮断する。
冷却水管60Pは、水路60を画成する。冷却水管60Pの第1端部60Aは、冷却水管58Pの第1端部58Aと遮断弁75との間の冷却水管58Pの部分58Pa(以下、「第1部分58Pa」と称呼する。)に接続されている。冷却水管60Pは、熱デバイス72を通るように配設される。以下、水路60を「熱デバイス水路60」と称呼し、冷却水管58Pの第1端部58Aと冷却水管60Pの第1部分58Paとの間のラジエータ水路58の部分581を「ラジエータ水路58の第1部分581」と称呼する。
熱デバイス72は、EGRクーラ43及び図示しないヒータコアを含む。ヒータコアは、そこを通る冷却水の温度がヒータコアの温度よりも高い場合、その冷却水によって暖められ、熱を蓄積する。従って、ヒータコアは、冷却水との間で熱交換を行う熱交換器であり、主に、冷却水から熱を奪う熱交換器である。ヒータコアに蓄積された熱は、機関10が搭載された車両の室内を暖房するために利用される。
熱デバイス72と冷却水管60Pの第1端部60Aとの間において、冷却水管60Pには、遮断弁77が配設されている。遮断弁77は、開弁位置に設定されている場合、熱デバイス水路60内の冷却水の流通を許容し、閉弁位置に設定されている場合、熱デバイス水路60内の冷却水の流通を遮断する。
冷却水管60Pの第2端部60Bは、ラジエータ71とポンプ取込口70inとの間の冷却水管58Pの部分58Pb(以下、「第2部分58Pb」と称呼する。)に接続されている。
冷却水管62Pは、水路62を画成する。冷却水管62Pの第1端部62Aは、冷却水管55Pに配設された切替弁78に接続されている。冷却水管62Pの第2端部62Bは、冷却水管58Pの第2部分58Pbとポンプ取込口70inとの間の冷却水管58Pの部分58Pc(以下、「第3部分58Pc」と称呼する。)に接続されている。
以下、切替弁78と冷却水管55Pの第1端部55Aとの間の水路55の部分551を「水路55の第1部分551」と称呼し、切替弁78と冷却水管55Pの第2端部55Bとの間の水路55の部分552を「水路55の第2部分552」と称呼する。更に、冷却水管58Pの第2部分58Pbと冷却水管58Pの第3部分58Pcとの間のラジエータ水路58の部分582を「ラジエータ水路58の第2部分582」と称呼し、冷却水管58Pの第3部分58Pcとポンプ取込口70inとの間のラジエータ水路58の部分583を「ラジエータ水路58の第3部分583」と称呼する。
切替弁78は、第1の位置(以下、「順流位置」と称呼する。)に設定されている場合、水路55の第1部分551と水路55の第2部分552との間の冷却水の流通を許容する一方、「第1部分551と水路62との間の冷却水の流通」及び「第2部分552と水路62との間の冷却水の流通」を遮断する。
更に、切替弁78が順流位置に設定されている場合、実施装置は、切替弁78の開度を変更することにより、水路55の第1部分551から切替弁78を通過して水路55の第2部分552に流れる冷却水の流量を制御することができる。この場合、ポンプ70の吐出流量が一定である状況下において、切替弁78の開度が大きいほど、切替弁78を通過して流れる冷却水の流量が大きくなる。
一方、切替弁78は、第2の位置(以下、「逆流位置」と称呼する。)に設定されている場合、水路55の第2部分552と水路62との間の冷却水の流通を許容する一方、「水路55の第1部分551と水路62との間の冷却水の流通」及び「第1部分551と第2部分552との間の冷却水の流通」を遮断する。
更に、切替弁78が逆流位置に設定されている場合、実施装置は、切替弁78の開度を変更することにより、水路55の第2部分552から切替弁78を通過して水路62に流れる冷却水の流量を制御することができる。この場合、ポンプ70の吐出流量が一定である状況下において、切替弁78の開度が大きいほど、切替弁78を通過して流れる冷却水の流量が大きくなる。
更に、切替弁78は、第3の位置(以下、「遮断位置」と称呼する。)に設定されている場合、「水路55の第1部分551と第2部分552との間の冷却水の流通」、「水路55の第1部分551と水路62との間の冷却水の流通」及び「水路55の第2部分552と水路62との間の冷却水の流通」を遮断する。
以上説明したように、実施装置において、ヘッド水路51は、シリンダヘッド14に形成された第1水路であり、ブロック水路52は、シリンダブロック15に形成された第2水路である。水路53及び水路54は、ヘッド水路51(第1水路)の一方の端部である第1端部51Aをポンプ吐出口70outに接続する第3水路を構成している。
水路53、水路55、水路62、ラジエータ水路58の第3部分583及び切替弁78は、ブロック水路52(第2水路)の一方の端部である第1端部52Aとポンプ70との接続であるポンプ接続を、ブロック水路52の第1端部52Aをポンプ吐出口70outに接続する順流接続と、ブロック水路52の第1端部52Aをポンプ取込口70inに接続する逆流接続と、の間で切り替える接続切替機構を構成している。
水路56及び水路57は、ヘッド水路51(第1水路)の他方の端部である第2端部51Bとブロック水路52(第2水路)の他方の端部である第2端部52Bとを接続する第4水路を構成している。
ラジエータ水路58は、水路56及び水路57(第4水路)をポンプ取込口70inに接続する第5水路であり、遮断弁75は、ラジエータ水路58(第5水路)を遮断したり開放したりする遮断弁である。
熱デバイス水路60は、水路56及び水路57(第4水路)をポンプ取込口70inに接続する第6水路であり、遮断弁77は、熱デバイス水路60(第6水路)を遮断したり開放したりする遮断弁である。
更に、水路53及び水路55は、ブロック水路52(第2水路)の第1端部52Aをポンプ吐出口70outに接続する順流接続水路を構成しており、水路55の第2部分552、水路62及びラジエータ水路58の第3部分583は、ブロック水路52(第2水路)の第1端部52Aをポンプ取込口70inに接続する逆流接続水路を構成している。
切替弁78は、ブロック水路52(第2水路)の第1端部52Aを水路53及び水路55(順流接続水路)を介してポンプ吐出口70outに接続させる順流位置と、ブロック水路52(第2水路)の第1端部52Aを水路55の第2部分552、水路62及びラジエータ水路58の第3部分583(逆流接続水路)を介してポンプ取込口70inに接続させる逆流位置と、の何れか一方に選択的に設定される切替え部である。
別の言い方をすると、切替弁78は、ブロック水路52(第2水路)の第1端部52Aをポンプ吐出口70outに接続する水路53及び水路55(順流接続水路)及びブロック水路52(第2水路)の第1端部52Aをポンプ取込口70inに接続する水路55の第2部分552、水路62及びラジエータ水路58の第3部分583(逆流接続水路)の何れかを冷却水が選択的に流れるように水路切替えを行う切替え部である。
実施装置は、ECU90を備える。ECUは、エレクトリックコントロールユニットの略称であり、ECU90は、CPU、ROM、RAM及びインターフェース等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより後述する各種機能を実現する。
図1及び図2に示したように、ECU90は、エアフローメータ81、クランク角度センサ82、水温センサ83乃至86、外気温センサ87、ヒータスイッチ88、イグニッションスイッチ89、アクセル操作量センサ101及び車速センサ102と接続されている。
エアフローメータ81は、コンプレッサ24aよりも吸気上流位置において吸気管22に配設されている。エアフローメータ81は、そこを通過する空気の質量流量Gaを測定し、その質量流量Ga(以下、「吸入空気量Ga」と称呼する。)を表す信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号に基づいて吸入空気量Gaを取得する。更に、ECU90は、後述するイグニッションスイッチ89がオン位置に設定された後に気筒12a乃至12dに吸入された空気の量ΣGa(以下、「始動後積算空気量ΣGa」と称呼する。)を吸入空気量Gaに基づいて取得する。
クランク角度センサ82は、機関10の図示しないクランクシャフトに近接して機関本体11に配設されている。クランク角度センサ82は、クランクシャフトが一定の角度(本例において、10°)だけ回転する毎にパルス信号を出力するようになっている。ECU90は、このパルス信号及び図示しないカムポジションセンサからの信号に基づいて所定の気筒の圧縮上死点を基準とした機関10のクランク角度(絶対クランク角度)を取得する。更に、ECU90は、クランク角度センサ82からのパルス信号に基づいて機関回転速度NEを取得する。
水温センサ83は、ヘッド水路51内の冷却水の温度TWhdを検出できるようにシリンダヘッド14に配設されている。水温センサ83は、検出した冷却水の温度TWhd(以下、「ヘッド水温TWhd」と称呼する。)を表す信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号に基づいてヘッド水温TWhdを取得する。
水温センサ84は、ブロック水路52内の領域であってシリンダヘッド14に近い領域の冷却水の温度TWbr_upを検出できるようにシリンダブロック15に配設されている。水温センサ84は、検出した冷却水の温度TWbr_up(以下、「上部ブロック水温TWbr_up」と称呼する。)を表す信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号に基づいて上部ブロック水温TWbr_upを取得する。
水温センサ85は、ブロック水路52内の領域であってシリンダヘッド14から離れた領域の冷却水の温度TWbr_lowを検出できるようにシリンダブロック15に配設されている。水温センサ85は、検出した冷却水の温度TWbr_low(以下、「下部ブロック水温TWbr_low」と称呼する。)を表す信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号に基づいて下部ブロック水温TWbr_lowを取得する。更に、ECU90は、上部ブロック水温TWbr_upに対する下部ブロック水温TWbr_lowの差ΔTWbr(=TWbr_up−TWbr_low)を取得する。
水温センサ86は、ラジエータ水路58の第1部分581を画成する冷却水管58Pの部分に配設されている。水温センサ86は、ラジエータ水路58の第1部分581内の冷却水の温度TWengを検出し、その温度TWeng(以下、「機関水温TWeng」と称呼する。)を表す信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号に基づいて機関水温TWengを取得する。
外気温センサ87は、外気の温度Taを検出し、その温度Ta(以下、「外気温Ta」と称呼する。)を表す信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号に基づいて外気温Taを取得する。
ヒータスイッチ88は、機関10が搭載された車両の運転者によって操作される。ECU90は、ヒータスイッチ88が運転者によりオン位置に設定されると、ヒータコアの熱を車両の室内に放出する。一方、ECU90は、ヒータスイッチ88が運転者によりオフ位置に設定されると、ヒータコアから車両の室内への熱の放出を停止する。
イグニッションスイッチ89は、車両の運転者により操作される。イグニッションスイッチ89をオン位置に設定する操作(以下、「イグニッションオン操作」と称呼する。)が運転者により行われた場合、機関10の始動が許可される。一方、イグニッションスイッチ89をオフ位置に設定する操作(イグニッションオフ操作)が運転者により行われた場合、機関10の運転(以下、「機関運転」と称呼する。)が停止される。
アクセル操作量センサ101は、図示しないアクセルペダルの操作量APを検出し、その操作量AP(以下、「アクセルペダル操作量AP」と称呼する。)を表す信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号に基づいてアクセルペダル操作量APを取得する。
車速センサ102は、機関10が搭載された車両の速度Vを検出し、その速度V(以下、「車速V」と称呼する。)を表す信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号に基づいて車速Vを取得する。
更に、ECU90は、スロットル弁アクチュエータ27、ECU制御弁42、ポンプ70、遮断弁75、遮断弁77及び切替弁78に接続されている。
ECU90は、機関負荷KL及び機関回転速度NEにより定まる機関運転状態に応じてスロットル弁26の開度の目標値を設定し、スロットル弁26の開度が目標値と一致するようにスロットル弁アクチュエータ27の作動を制御する。
ECU90は、機関運転状態に応じてEGR制御弁42の開度の目標値EGRtgt(以下、「目標EGR制御弁開度EGRtgt」と称呼する。)を設定し、EGR制御弁42の開度が目標EGR制御弁開度EGRtgtと一致するようにEGR制御弁42の作動を制御する。
ECU90は、図3に示したマップを記憶している。ECU90は、機関運転状態が図3に示したEGR停止領域Ra又はRc内にある場合、目標EGR制御弁開度EGRtgtを「0」に設定する。この場合、各気筒12には、EGRガスは供給されない。
一方、機関運転状態が図3に示したEGR実行領域Rb内にある場合、ECU90は、機関運転状態に応じて目標EGR制御弁開度EGRtgtを「0」よりも大きい値に設定する。この場合、各気筒12にEGRガスが供給される。
更に、ECU90は、後述するように、機関10の温度Teng(以下、「機関温度Teng」と称呼する。)に応じてポンプ70、遮断弁75、遮断弁77及び切替弁78の作動を制御する。
<実施装置の作動の概要>
次に、実施装置の作動の概要について説明する。実施装置は、機関10の暖機状態(以下、単に「暖機状態」と称呼する。)並びに後述するEGRクーラ通水要求(熱デバイス通水要求)及びヒータコア通水要求(熱デバイス通水要求)の有無に応じて後述する作動制御A乃至Fの何れかを行う。
まず、暖機状態の判定について説明する。実施装置は、機関10の始動後の機関サイクル数Cig(以下、「始動後サイクル数Cig」と称呼する。)が所定の始動後サイクル数Cig_th以下である場合、以下に述べるように、「機関温度Tengに相関する機関水温TWeng」に基づいて暖機状態が「冷間状態、半暖機状態及び暖機完了状態(以下、これら状態をまとめて「冷間状態等」と称呼する。)の何れの状態」にあるかを判定する。本例において、所定の始動後サイクル数Cig_thは、機関10における膨張行程の実施回数が8〜12回に相当する2〜3サイクルである。
冷間状態は、機関温度Tengが所定の閾値温度Teng1(以下、「第1機関温度Teng1」と称呼する。)よりも低い範囲内の温度であると推定される状態である。
半暖機状態は、機関温度Tengが第1機関温度Teng1以上であり且つ所定の閾値温度Teng2(以下、「第2機関温度Teng2」と称呼する。)よりも低い範囲内の温度であると推定される状態である。第2機関温度Teng2は、第1機関温度Teng1よりも高い温度に設定される。
暖機完了状態は、機関温度Tengが第2機関温度Teng2以上の範囲内の温度であると推定される状態である。
実施装置は、機関水温TWengが所定の閾値水温TWeng1(本例において、40℃であり、以下、「第1機関水温TWeng1」と称呼する。)よりも低い場合、暖機状態が冷間状態にあると判定する。
一方、機関水温TWengが第1機関水温TWeng1以上であり且つ所定の閾値水温TWeng2(本例において、60℃であり、以下、「第2機関水温TWeng2」と称呼する。)よりも低い場合、実施装置は、暖機状態が半暖機状態にあると判定する。第2機関水温TWeng2は、第1機関水温TWeng1よりも高い温度に設定される。
加えて、機関水温TWengが第2機関水温TWeng2以上である場合、実施装置は、暖機状態が暖機完了状態にあると判定する。
一方、始動後サイクル数Cigが上記所定の始動後サイクル数Cig_thよりも多くなった場合、以下に述べるように、実施装置は、「機関温度Tengに相関する上部ブロック水温TWbr_up、ヘッド水温TWhd、ブロック水温差ΔTWbr、始動後積算空気量ΣGa及び機関水温TWeng」のうち、少なくとも4つに基づいて、暖機状態が冷間状態等の何れの状態にあるかを判定する。
<冷間条件>
より具体的に述べると、実施装置は、以下に述べる条件C1乃至条件C4の少なくとも1つが成立している場合、暖機状態が冷間状態にあると判定する。
条件C1は、上部ブロック水温TWbr_upが所定の閾値水温TWbr_up1(以下、「第1上部ブロック水温TWbr_up1」と称呼する。)以下であることである。上部ブロック水温TWbr_upは、機関温度Tengに相関するパラメータである。従って、第1上部ブロック水温TWbr_up1及び後述する閾値水温を適切に設定することにより、上部ブロック水温TWbr_upに基づいて暖機状態が冷間状態等の何れの状態にあるかを判定することができる。
条件C2は、ヘッド水温TWhdが所定の閾値水温TWhd1(以下、「第1ヘッド水温TWhd1」と称呼する。)以下であることである。ヘッド水温TWhdも、機関温度Tengに相関するパラメータである。従って、第1ヘッド水温TWhd1及び後述する閾値水温を適切に設定することにより、ヘッド水温TWhdに基づいて暖機状態が冷間状態等の何れの状態にあるかを判定することができる。
条件C3は、始動後積算空気量ΣGaが所定の閾値空気量ΣGa1(以下、「第1空気量ΣGa1」と称呼する。)以下であることである。先に述べたように、始動後積算空気量ΣGaは、イグニッションスイッチ89がオン位置に設定された後に気筒12a乃至気筒12dに吸入された空気の量である。気筒12a乃至気筒12dに吸入された空気のトータルの量が多くなると、気筒12a乃至気筒12dに燃料噴射弁13から供給された燃料のトータルの量も多くなり、その結果、気筒12a乃至気筒12dにて発生したトータルの熱量も多くなる。このため、始動後積算空気量ΣGaが或る一定の量に達するまでは、始動後積算空気量ΣGaが多いほど、機関温度Tengが高くなる。故に、始動後積算空気量ΣGaは、機関温度Tengに相関するパラメータである。従って、第1空気量ΣGa1及び後述する閾値空気量を適切に設定することにより、始動後積算空気量ΣGaに基づいて暖機状態が冷間状態等の何れの状態にあるかを判定することができる。
条件C4は、機関水温TWengが所定の閾値水温TWeng4(以下、「第4機関水温TWeng4」と称呼する。)以下であることである。機関水温TWengは、機関温度Tengに相関するパラメータである。従って、第4機関水温TWeng4及び後述する閾値水温を適切に設定することにより、機関水温TWengに基づいて暖機状態が冷間状態等の何れの状態にあるかを判定することができる。
尚、実施装置は、上記条件C1乃至条件C4の少なくとも2つ又は3つ又は総てが成立している場合に暖機状態が冷間状態にあると判定するようにも構成され得る。
<半暖機条件>
実施装置は、以下に述べる条件C5乃至条件C9の少なくとも1つが成立している場合、暖機状態が半暖機状態にあると判定する。
条件C5は、上部ブロック水温TWbr_upが第1上部ブロック水温TWbr_up1よりも高く且つ所定の閾値水温TWbr_up2(以下、「第2上部ブロック水温TWbr_up2」と称呼する。)以下であることである。第2上部ブロック水温TWbr_up2は、第1上部ブロック水温TWbr_up1よりも高い温度に設定される。
条件C6は、ヘッド水温TWhdが第1ヘッド水温TWhd1よりも高く且つ所定の閾値水温TWhd2(以下、「第2ヘッド水温TWhd2」と称呼する。)以下であることである。第2ヘッド水温TWhd2は、第1ヘッド水温TWhd1よりも高い温度に設定される。
条件C7は、上部ブロック水温TWbr_upと下部ブロック水温TWbr_lowとの差であるブロック水温差ΔTWbr(=TWbr_up−TWbr_low)が所定閾値ΔTWbrthよりも大きいことである。イグニッションオン操作により機関10が始動した直後の冷間状態においては、ブロック水温差ΔTWbrはあまり大きくないが、機関温度Tengが上昇してゆく過程において、暖機状態が第1半暖機状態になると、ブロック水温差ΔTWbrが一時的に大きくなり、更に、暖機状態が第2半暖機状態になると、ブロック水温差ΔTWbrが小さくなる。このため、ブロック水温差ΔTWbrは、機関温度Tengに相関するパラメータであり、特に、暖機状態が半暖機状態にあるときの機関温度Tengに相関するパラメータである。従って、所定閾値ΔTWbrthを適切に設定することにより、ブロック水温差ΔTWbrに基づいて暖機状態が半暖機状態にあるか否かを判定することができる。
条件C8は、始動後積算空気量ΣGaが第1空気量ΣGa1よりも多く且つ所定の閾値空気量ΣGa2(以下、「第2空気量ΣGa2」と称呼する。)以下であることである。第2空気量ΣGa2は、第1空気量ΣGa1よりも大きい値に設定される。
条件C9は、機関水温TWengが第4機関水温TWeng4よりも高く且つ所定の閾値水温TWeng5(以下、「第5機関水温TWeng5」と称呼する。)以下であることである。第5機関水温TWeng5は、第4機関水温TWeng4よりも高い温度に設定される。
尚、実施装置は、上記条件C5乃至条件C9の少なくとも2つ又は3つ又は4つ又は総てが成立している場合に暖機状態が半暖機状態にあると判定するようにも構成され得る。
<暖機完了条件>
実施装置は、以下に述べる条件C14乃至条件C17の少なくとも1つが成立している場合、暖機状態が暖機完了状態にあると判定する。
条件C14は、上部ブロック水温TWbr_upが第2上部ブロック水温TWbr_up2よりも高いことである。
条件C15は、ヘッド水温TWhdが第2ヘッド水温TWhd2よりも高いことである。
条件C16は、始動後積算空気量ΣGaが第2空気量ΣGa2よりも多いことである。
条件C17は、機関水温TWengが第6機関水温TWeng6よりも高いことである。
尚、実施装置は、上記条件C14乃至条件C17の少なくとも2つ又は3つ又は総てが成立している場合に暖機状態が暖機完了状態にあると判定するようにも構成され得る。
<EGRクーラ通水要求>
先に述べたように、機関運転状態が図3に示したEGR実行領域Rb内にある場合、EGRガスが各気筒12に供給される。各気筒12にEGRガスが供給される場合、冷却水を熱デバイス水路60に供給し、その冷却水によりEGRクーラ43においてEGRガスを冷却することが好ましい。
ところが、EGRクーラ43を通る冷却水の温度が低すぎると、その冷却水によってEGRガスが冷却されたときにEGRガス中の水分が排気還流管41内で凝縮して凝縮水が発生する可能性がある。この凝縮水は、排気還流管41を腐食させてしまう原因となり得る。従って、冷却水の温度が低い場合、冷却水を熱デバイス水路60に供給することは好ましくない。
そこで、実施装置は、機関運転状態がEGR実行領域Rb内にあるときに機関水温TWengが所定の閾値水温TWeng7(本例においては、60℃であり、以下、「第7機関水温TWeng7」と称呼する。)よりも高い場合、熱デバイス水路60に冷却水を供給する要求(以下、「EGRクーラ通水要求」と称呼する。)があると判定する。
更に、機関水温TWengが第7機関水温TWeng7以下であっても、機関負荷KLが比較的大きければ、機関温度Tengが直ぐに高くなり、その結果、機関水温TWengが直ぐに第7機関水温TWeng7よりも高くなることが期待できる。従って、熱デバイス水路60に冷却水を供給しても、発生する凝縮水の量は少なく、排気還流管41が腐食する可能性も低いと考えられる。
そこで、実施装置は、機関運転状態がEGR実行領域Rb内にあるときに機関水温TWengが第7機関水温TWeng7以下であっても、機関負荷KLが所定の閾値負荷KLth以上であれば、EGRクーラ通水要求があると判定する。従って、実施装置は、機関運転状態がEGR実行領域Rb内にあるときに機関水温TWengが第7機関水温TWeng7以下であり且つ機関負荷KLが上記閾値負荷KLthよりも小さい場合、EGRクーラ通水要求がないと判定する。
一方、機関運転状態が図3に示したEGR停止領域Ra又はRc内にある場合、EGRガスが各気筒12に供給されないので、熱デバイス水路60に冷却水を供給する必要はない。そこで、実施装置は、機関運転状態が図3に示したEGR停止領域Ra又はRc内にある場合、EGRクーラ通水要求がないと判定する。
<ヒータコア通水要求>
熱デバイス水路60に冷却水を流すと、冷却水の熱がヒータコアに奪われて冷却水の温度が低くなり、その結果、機関10の暖機完了が遅れる。一方、外気温Taが比較的低い場合、車両の室内の温度も比較的低いことから、運転者を含む車両の搭乗者(以下、「運転者等」と称呼する。)により室内の暖房が要請される可能性が高い。従って、外気温Taが比較的低いときには、機関10の暖機完了が遅れるとしても、室内の暖房が要請された場合に備えて、熱デバイス水路60に冷却水を流してヒータコアが蓄積する熱量を増大させておくことが望まれる。
そこで、実施装置は、外気温Taが比較的低いときには、機関温度Tengが比較的低い場合でも、ヒータスイッチ88の設定状態の如何にかかわらず、熱デバイス水路60に冷却水を供給する要求(以下、「ヒータコア通水要求」と称呼する。)があると判定する。しかしながら、機関温度Tengが非常に低いときには、外気温Taが比較的低い場合でも、実施装置は、ヒータコア通水要求がないと判定する。
より具体的に述べると、実施装置は、外気温Taが所定の閾値温度Tath(以下、「閾値温度Tath」と称呼する。)以下である場合、機関水温TWengが所定の閾値水温TWeng8(本例において、10℃であり、以下、「第8機関水温TWeng8」と称呼する。)よりも高ければ、ヒータコア通水要求があると判定する。
一方、外気温Taが閾値温度Tath以下であるときに機関水温TWengが第8機関水温TWeng8以下である場合には、実施装置は、ヒータコア通水要求がないと判定する。
更に、外気温Taが比較的高い場合、室内の温度も比較的高いことから、運転者等により室内の暖房が要請される可能性が低い。従って、外気温Taが比較的高いときには、機関温度Tengが比較的高く且つヒータスイッチ88がオン位置に設定された場合に限り、熱デバイス水路60に冷却水を流してヒータコアを暖めておけば十分である。
そこで、実施装置は、外気温Taが比較的高いときには、機関温度Tengが比較的高く且つヒータスイッチ88がオン位置に設定されている場合、ヒータコア通水要求があると判定する。一方、外気温Taが比較的高いときに、機関温度Tengが比較的低い場合、或いは、ヒータスイッチ88がオフ位置に設定されている場合、実施装置は、ヒータコア通水要求がないと判定する。
より具体的に述べると、実施装置は、外気温Taが閾値温度Tathよりも高いときにヒータスイッチ88がオン位置に設定されており且つ機関水温TWengが所定の閾値水温TWeng9(本例において、30℃であり、以下、「第9機関水温TWeng9」と称呼する。)よりも高い場合、ヒータコア通水要求があると判定する。第9機関水温TWeng9は、第8機関水温TWeng8よりも高い温度に設定される。
一方、外気温Taが閾値温度Tathよりも高いときでも、ヒータスイッチ88がオフ位置に設定されている場合、或いは、機関水温TWengが第9機関水温TWeng9以下である場合、ヒータコア通水要求がないと判定する。
次に、実施装置が行う「ポンプ70、遮断弁75、遮断弁77及び切替弁78(以下、これらをまとめて「ポンプ70等」と称呼する。)」の作動制御について説明する。実施装置は、暖機状態が冷間状態等の何れの状態にあるか、EGRクーラ通水要求(熱デバイス通水要求)の有無、及び、ヒータコア通水要求(熱デバイス通水要求)の有無に応じて、図4に示したように作動制御A乃至Fの何れかを行う。
<冷間制御>
まず、暖機状態が冷間状態にあると判定された場合における「ポンプ70等」の作動制御(冷間制御)について説明する。
<作動制御A>
暖機状態が冷間状態にある場合、ヘッド温度Thd及びブロック温度Tbrを大きい上昇率で上昇させる要求がある。このときにEGRクーラ通水要求もヒータコア通水要求もない場合、ポンプ70を作動させずにヘッド水路51にもブロック水路52にも冷却水を供給しなければ、ヘッド温度Thd及びブロック温度Tbrを大きい上昇率で上昇させることができる。従って、ヘッド温度Thd及びブロック温度Tbrを大きい上昇率で上昇させる要求にのみ応えるならば、実施装置は、ポンプ70を作動させなければよい。
しかしながら、実施装置がポンプ70を作動させない場合、ヘッド水路51及びブロック水路52内の冷却水が流れずに滞留し、その結果、ヘッド水路51及びブロック水路52内の冷却水の温度が部分的に非常に高くなる可能性がある。このため、ヘッド水路51及びブロック水路52内で冷却水の沸騰が生じる可能性がある。
そこで、実施装置は、暖機状態が冷間状態にあるときにEGRクーラ通水要求及びヒータコア通水要求の何れもない場合、ポンプ70を作動し、図5に矢印で示したように冷却水が循環するように、遮断弁75及び遮断弁77をそれぞれ閉弁位置に設定し、切替弁78を逆流位置に設定する作動制御Aを冷間制御として行う。
この作動制御Aによれば、ポンプ吐出口70outから水路53に吐出された冷却水は、水路54を介してヘッド水路51に流入する。その冷却水は、ヘッド水路51を流れた後、水路56及び水路57を介してブロック水路52に流入する。その冷却水は、ブロック水路52を流れた後、順に、水路55の第2部分552、水路62及びラジエータ水路58の第3部分583を流れ、ポンプ取込口70inからポンプ70に取り込まれる。
これにより、ヘッド水路51を流れて温度の高くなった冷却水がラジエータ71及び熱デバイス72(以下、これらをまとめて「ラジエータ71等」と称呼する。)の何れも通ることなくブロック水路52に直接供給される。このため、ラジエータ71等の何れかを通った冷却水がブロック水路52に供給される場合に比べ、ブロック温度Tbrを大きい上昇率で上昇させることができる。
更に、ヘッド水路51にも、ラジエータ71等の何れも通っていない冷却水が供給されるので、ラジエータ71等の何れかを通った冷却水がヘッド水路51に供給される場合に比べ、ヘッド温度Thdを大きい上昇率で上昇させることができる。
加えて、冷却水がヘッド水路51及びブロック水路52を流れるので、ヘッド水路51及びブロック水路52において冷却水の温度が部分的に非常に高くなることを防止することができる。その結果、ヘッド水路51及びブロック水路52内での冷却水の沸騰を防止することができる。
ところで、ヘッド水路51及びブロック水路52に冷却水が流れると、シリンダヘッド14及びシリンダブロック15は少なからず冷却される。このため、ヘッド温度Thd及びブロック温度Tbrの上昇率は低下し、その上昇率の低下量は、ヘッド水路51及びブロック水路52を流れる冷却水の流量が大きいほど大きい。一方、暖機状態が第1半暖機状態にある場合、機関10の暖機を早く完了させるために、ヘッド温度Thd及びブロック温度Tbrを大きい上昇率で上昇させることが望まれる。
そこで、実施装置は、冷間制御として作動制御Aを行う場合、ヘッド水路51及びブロック水路52を流れる冷却水の流量がヘッド水路51及びブロック水路52内での冷却水の沸騰を防止することができる最小限の流量(以下、「最小流量」と称呼する。)となるように切替弁78の開度を制御する。これにより、ヘッド水路51及びブロック水路52を流れる冷却水の流量が最小流量となる。このため、ヘッド温度Thd及びブロック温度Tbrの上昇率が大きい上昇率に維持される。
従って、冷間制御として行われる作動制御Aによれば、ヘッド水路51及びブロック水路52内での冷却水の沸騰を防止しつつ、ヘッド温度Thd及びブロック温度Tbrを大きい上昇率で上昇させることができる。
尚、実施装置は、上記最小流量よりも大きい適切な流量を所定流量として予め設定し、冷間制御として作動制御Aを行う場合、ヘッド水路51及びブロック水路52を流れる冷却水の流量が上記所定流量よりも小さい流量となるように切替弁78の開度を制御するようにも構成され得る。
更に、ポンプ70が吐出する冷却水の流量を調整可能な電動式のポンプである場合、ヘッド水路51及びブロック水路52を流れる冷却水の流量が上記最小流量又は上記所定流量よりも小さい流量となるようにポンプ70から吐出される冷却水の流量(以下、「ポンプ吐出流量」と称呼する。)及び切替弁78の開度を制御するようにも構成され得る。
<作動制御B>
一方、暖機状態が冷間状態にあるときにEGRクーラ通水要求及びヒータコア通水要求の何れかがある場合、実施装置は、ポンプ70を作動し、図6に矢印で示したように冷却水が循環するように、遮断弁75を閉弁位置に設定し、遮断弁77を開弁位置に設定し、切替弁78を逆流位置に設定する作動制御Bを行う。
この作動制御Bによれば、ポンプ吐出口70outから水路53に吐出された冷却水は、水路54を介してヘッド水路51に流入する。
ヘッド水路51に流入した冷却水の一部は、ヘッド水路51を流れた後、水路56及び水路57を介してブロック水路52に流入する。その冷却水は、ブロック水路52を流れた後、順に、水路55の第2部分552、水路62及びラジエータ水路58の第3部分583を流れ、ポンプ取込口70inからポンプ70に取り込まれる。
一方、ヘッド水路51に流入した冷却水の残りは、水路56及びラジエータ水路58の第1部分581を介して熱デバイス水路60に流入する。その冷却水は、熱デバイス72を通った後、順に、熱デバイス水路60並びにラジエータ水路58の第2部分582及び第3部分583を流れ、ポンプ取込口70inからポンプ70に取り込まれる。
これによれば、作動制御Aに関連して説明した効果に加えて、EGRクーラ通水要求及び/又はヒータコア通水要求に応えることができる。
<半暖機制御>
次に、暖機状態が半暖機状態にあると判定された場合における「ポンプ70等」の作動制御(半暖機制御)について説明する。
<作動制御C>
暖機状態が半暖機状態にある場合、ブロック温度Tbrを大きい上昇率で上昇させる要求がある。このときにEGRクーラ通水要求もヒータコア通水要求もない場合、ブロック温度Tbrを大きい上昇率で上昇させる要求にのみ応えるならば、実施装置は、暖機状態が冷間状態にある場合と同様に、作動制御Aを行えばよい。
しかしながら、暖機状態が半暖機状態にある場合、ヘッド温度Thd及びブロック温度Tbrは、暖機状態が冷間状態にある場合に比べて高くなっている。従って、実施装置が作動制御Aを行うと、ヘッド水路51及びブロック水路52内の冷却水の温度が部分的に非常に高くなる可能性がある。このため、ヘッド水路51及びブロック水路52において冷却水の沸騰が生じる可能性がある。
更に、実施装置が作動制御Aを行った場合、ヘッド水路51に供給される冷却水の流量(以下、「ヘッド冷却水量」と称呼する。)がブロック水路52に供給される冷却水の流量(以下、「ブロック冷却水量」と称呼する。)と等しくなる。
ヘッド水路51及びブロック水路52に冷却水が供給されると、シリンダヘッド14もシリンダブロック15も冷却される。しかしながら、シリンダブロック15が気筒12a乃至12dでの燃焼から受ける熱量(以下、「ブロック受熱量」と称呼する。)よりも、シリンダヘッド14が気筒12a乃至12dでの燃焼から受ける熱量(以下、「ヘッド受熱量」と称呼する。)のほうが大きい。このため、ブロック温度Tbrよりも、ヘッド温度Thdのほうが早く上昇する。
従って、ヘッド冷却水量がブロック冷却水量と等しいときに、ブロック温度Tbrを大きい上昇率で上昇させようとしてブロック冷却水量が少なくなるようにポンプ70からの冷却水の吐出量(以下、「ポンプ吐出量」と称呼する。)を少なくすると、ヘッド冷却水量も少なくなる。このため、ヘッド温度Thdが更に大きい上昇率で上昇して過剰に高くなり、その結果、ヘッド水路51内で冷却水の沸騰が生じる可能性がある。
一方、ヘッド水路51内での冷却水の沸騰を防止しようとしてヘッド冷却水量が多くなるようにポンプ吐出量を多くすると、ブロック冷却水量も多くなる。このため、ブロック温度Tbrの上昇率が小さくなってしまう。
そこで、実施装置は、暖機状態が半暖機状態にあるときにEGRクーラ通水要求及びヒータコア通水要求の何れもない場合、ポンプ70を作動し、図7に矢印で示したように冷却水が循環するように、遮断弁77を閉弁位置に設定し、遮断弁75を開弁位置に設定し、切替弁78を逆流位置に設定する作動制御Cを行う。このとき、ポンプ吐出量は、ヘッド水路51内での冷却水の沸騰を防止することができる流量に設定される。
この作動制御Cによれば、ポンプ吐出口70outから水路53に吐出された冷却水は、水路54を介してヘッド水路51に流入する。
ヘッド水路51に流入した冷却水の一部は、ヘッド水路51を流れた後、水路56及び水路57を介してブロック水路52に流入する。その冷却水は、ブロック水路52を流れた後、順に、水路55の第2部分552、水路62及びラジエータ水路58の第3部分583を流れ、ポンプ取込口70inからポンプ70に取り込まれる。
一方、ヘッド水路51に流入した冷却水の残りは、水路56及びラジエータ水路58を介してラジエータ71に流入する。その冷却水は、ラジエータ71を通った後、ラジエータ水路58を流れ、ポンプ取込口70inからポンプ70に取り込まれる。
これにより、ヘッド水路51を通った冷却水の一部がラジエータ71を通って流れ、残りの冷却水がブロック水路52に流入する。従って、ブロック冷却水量は、ヘッド冷却水量よりも小さい。このため、ポンプ吐出量を、ヘッド水路51内での冷却水の沸騰を防止することができる流量に設定した場合でも、ブロック温度を十分に大きい上昇率で上昇させることができる。
更に、ヘッド水路51を流れて温度の高くなった冷却水がラジエータ71を通らずにブロック水路52に直接供給される。このため、ラジエータ71を通った冷却水がブロック水路52に供給される場合に比べ、ブロック温度Tbrを大きい上昇率で上昇させることができる。
更に、ヘッド水路51には、ヘッド水路51内での冷却水の沸騰を防止することができる流量の冷却水が供給され、ヘッド水路51に供給される冷却水の一部は、ラジエータ71を通った冷却水であるので、ヘッド水路51内での冷却水の沸騰を防止することができる。
ところで、ブロック15の温度は、ヘッド14の温度よりも上昇しづらい。従って、ヘッド水温TWhdに対する上部ブロック水温TWbr_upの差である水温差ΔTW(=TWhd−TWbr_up)が大きい場合、ブロック15の温度がヘッド14の温度よりも大幅に低い可能性が高い。この場合において、冷却水の温度に基づいて暖機状態が半暖機状態から暖機完了状態に移行したと判定してしまうと、ヘッド14の暖機は完了しているが、ブロック15の暖機は完了していない可能性がある。
そこで、実施装置は、作動制御Cにおいて、水温差ΔTWが大きい場合、水温差ΔTWが小さい場合に比べ、逆流位置に設定されている切替弁78の開度を小さくする。特に、本例においては、作動制御Cにおいて、水温差ΔTWが大きいほど、切替弁78の開度を小さくする。
これによれば、作動制御Cにおいて、水温差ΔTWが大きい場合、水温差ΔTWが小さい場合に比べ、ブロック水路52を流れる冷却水の流量が小さくされる。従って、ブロック15の温度が上昇しやすくなる。このため、冷却水の温度に基づいて暖機状態が半暖機状態から暖機完了状態に移行したと判定したときにブロック15の暖機が完了していない可能性を小さくすることができる。
<作動制御D>
一方、暖機状態が半暖機状態にあるときにEGRクーラ通水要求及びヒータコア通水要求の何れかがある場合、実施装置は、ポンプ70を作動し、図8に矢印で示したように冷却水が循環するように、遮断弁75及び遮断弁77を開弁位置に設定すると共に、切替弁78を逆流位置に設定する作動制御Dを行う。このとき、ポンプ吐出量は、ヘッド水路51内での冷却水の沸騰を防止することができる流量に設定される。
この作動制御Dによれば、ポンプ吐出口70outから水路53に吐出された冷却水は、水路54を介してヘッド水路51に流入する。
ヘッド水路51に流入した冷却水の一部は、ヘッド水路51を流れた後、水路56及び水路57を介してブロック水路52に流入する。その冷却水は、ブロック水路52を流れた後、順に、水路55の第2部分552、水路62及びラジエータ水路58の第3部分583を流れ、ポンプ取込口70inからポンプ70に取り込まれる。
一方、ヘッド水路51に流入した冷却水の残りは、水路56を介してラジエータ水路58に流入する。ラジエータ水路58に流入した冷却水の一部は、そのままラジエータ水路58を流れてラジエータ71に流入する。その冷却水は、ラジエータ71を通った後、ラジエータ水路58を流れ、ポンプ取込口70inからポンプ70に取り込まれる。
ラジエータ水路58に流入した冷却水の残りは、ラジエータ水路58の第1部分581を介して熱デバイス水路60に流入する。熱デバイス水路60に流入した冷却水は、熱デバイス72を通った後、順に、熱デバイス水路60及びラジエータ水路58の第2部分582及び第3部分583を流れ、ポンプ取込口70inからポンプ70に取り込まれる。
これによれば、作動制御Cに関連して説明した効果に加えて、EGRクーラ通水要求及び/又はヒータコア通水要求に応えることができる。
尚、実施装置は、作動制御Cと同様に、作動制御Dにおいても、水温差ΔTWが大きい場合、水温差ΔTWが小さい場合に比べ、逆流位置に設定されている切替弁78の開度を小さくする。特に、本例においては、作動制御Dにおいて、水温差ΔTWが大きいほど、切替弁78の開度を小さくする。
<暖機完了後制御>
次に、暖機状態が暖機完了状態にあると判定された場合におけるポンプ70等の作動制御(暖機完了後制御)について説明する。
暖機状態が暖機完了状態にある場合、シリンダヘッド14及びシリンダブロック15の両方を冷却する必要がある。そこで、実施装置は、暖機状態が暖機完了状態にある場合、ラジエータ71によって冷却された冷却水を利用してシリンダヘッド14及びシリンダブロック15を冷却する。
<作動制御E>
より具体的に述べると、実施装置は、暖機状態が暖機完了状態にあるときにEGRクーラ通水要求及びヒータコア通水要求の何れもない場合、ポンプ70を作動し、図9に矢印で示したように冷却水が循環するように、遮断弁77を閉弁位置に設定し、遮断弁75を開弁位置に設定し、切替弁78を順流位置に設定する作動制御Eを行う。このとき、ポンプ吐出量は、シリンダヘッド14及びシリンダブロック15を十分に冷却することができる流量に設定される。
この作動制御Eによれば、ポンプ吐出口70outから水路53に吐出された冷却水の一部は、水路54を介してヘッド水路51に流入する。一方、水路53に吐出された冷却水の残りは、水路55を介してブロック水路52に流入する。
ヘッド水路51に流入した冷却水は、ヘッド水路51を流れた後、水路56を介してラジエータ水路58に流入する。一方、ブロック水路52に流入した冷却水は、ブロック水路52を流れた後、水路57を介してラジエータ水路58に流入する。ラジエータ水路58に流入した冷却水は、ラジエータ71を通った後、ポンプ取込口70inからポンプ70に取り込まれる。
これにより、ヘッド水路51及びブロック水路52には、ラジエータ71を通った冷却水が供給されるので、温度の低くなった冷却水によってシリンダヘッド14及びシリンダブロック15を冷却することができる。
<作動制御F>
一方、暖機状態が暖機完了状態にあるときにEGRクーラ通水要求及びヒータコア通水要求の何れかがある場合、実施装置は、ポンプ70を作動し、図10に矢印で示したように冷却水が循環するように、遮断弁75及び遮断弁77をそれぞれ開弁位置に設定すると共に、切替弁78を順流位置に設定する作動制御Fを行う。このとき、ポンプ吐出量は、シリンダヘッド14及びシリンダブロック15を十分に冷却することができる流量に設定される。
この作動制御Fによれば、ポンプ吐出口70outから水路53に吐出された冷却水の一部は、水路54を介してヘッド水路51に流入する。一方、水路53に吐出された冷却水の残りは、水路55を介してブロック水路52に流入する。
ヘッド水路51に流入した冷却水は、ヘッド水路51を流れた後、水路56を介してラジエータ水路58に流入する。一方、ブロック水路52に流入した冷却水は、ブロック水路52を流れた後、水路57を介してラジエータ水路58に流入する。
ラジエータ水路58に流入した冷却水の一部は、そのまま、ラジエータ水路58を流れ、ラジエータ71を通った後、ポンプ取込口70inからポンプ70に取り込まれる。
一方、ラジエータ水路58に流入した冷却水の残りは、熱デバイス水路60に流入する。その冷却水は、熱デバイス72を通った後、順に「水路60」並びに「ラジエータ水路58の第2部分582及び第3部分583」を流れ、ポンプ取込口70inからポンプ70に取り込まれる。
これによれば、作動制御Eに関連して説明した効果に加えて、EGRクーラ通水要求及び/又はヒータコア通水要求に応えることができる。
以上説明したように、実施装置によれば、作動制御A乃至Fの何れが行われた場合においても、ヘッド水路51にもブロック水路52にも冷却水が供給される。従って、冷却水の温度は、ヘッド14の温度のみならず、ブロック15の温度も反映している。このため、例えば、冷却水の温度に基づいて作動制御を作動制御Cから作動制御Eに切り替えたときにブロック15の暖機が完了していない可能性を小さくすることができる。加えて、作動制御Cを行っている間にブロック水路52内の冷却水の温度が過剰に高くなることを防止することができる。
<実施装置の具体的な作動>
次に、実施装置の具体的な作動について説明する。実施装置のECUのCPUは、図11にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図11のステップ1100から処理を開始してステップ1105に進み、機関10の始動後のサイクル数(始動後サイクル数)Cigが所定の始動後サイクル数Cig_th以下であるか否かを判定する。始動後サイクル数Cigが所定の始動後サイクル数Cig_thよりも大きい場合、CPUは、ステップ1105にて「No」と判定してステップ1195に進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、始動後サイクル数Cigが所定の始動後サイクル数Cig_th以下である場合、CPUは、ステップ1105にて「Yes」と判定してステップ1110に進み、機関水温TWengが第1機関水温TWeng1よりも低いか否かを判定する。
機関水温TWengが第1機関水温TWeng1よりも低い場合、CPUは、ステップ1110にて「Yes」と判定してステップ1115に進み、図12にフローチャートにより示した冷間制御ルーチンを実行する。
従って、CPUは、ステップ1115に進むと、図12のステップ1200から処理を開始してステップ1210に進み、後述する図16のルーチンにて設定されるEGRクーラ通水要求フラグXegrの値が「0」であり且つ後述する図17のルーチンにて設定されるヒータコア通水要求フラグXhtの値が「0」であるか否か、即ち、EGRクーラ通水要求及びヒータコア通水要求の何れもないか否かを判定する。
EGRクーラ通水要求フラグXegr及びヒータコア通水要求フラグXhtの値が共に「0」である場合、CPUは、ステップ1210にて「Yes」と判定してステップ1220に進み、上述した作動制御A(図5を参照。)を実行してポンプ70等の作動状態を制御する。その後、CPUは、ステップ1295を経由して図11のステップ1195に進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、CPUがステップ1210の処理を実行する時点においてEGRクーラ通水要求フラグXegr及びヒータコア通水要求フラグXhtの何れかの値が「1」である場合、CPUは、ステップ1210にて「No」と判定してステップ1230に進み、上述した作動制御B(図6を参照。)を実行してポンプ70等の作動状態を制御する。その後、CPUは、ステップ1295を経由して図11のステップ1195に進み、本ルーチンを一旦終了する。
CPUが図11のステップ1110の処理を実行する時点において機関水温TWengが第1機関水温TWeng1以上である場合、CPUは、ステップ1110にて「No」と判定してステップ1120に進み、機関水温TWengが第2機関水温TWeng2よりも低いか否かを判定する。
機関水温TWengが第2機関水温TWeng2よりも低い場合、CPUは、ステップ1120にて「Yes」と判定してステップ1125に進み、図13にフローチャートにより示した半暖機制御ルーチンを実行する。
従って、CPUは、ステップ1125に進むと、図13のステップ1300から処理を開始してステップ1310に進み、EGRクーラ通水要求フラグXegr及びヒータコア通水要求フラグXhtの値が共に「0」であるか否か、即ち、EGRクーラ通水要求及びヒータコア通水要求の何れもないか否かを判定する。
EGRクーラ通水要求フラグXegr及びヒータコア通水要求フラグXhtの値が共に「0」である場合、CPUは、ステップ1310にて「Yes」と判定してステップ1320に進み、上述した作動制御C(図7を参照。)を実行してポンプ70等の作動状態を制御する。その後、CPUは、ステップ1395を経由して図11のステップ1195に進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、CPUがステップ1310の処理を実行する時点においてEGRクーラ通水要求フラグXegr及びヒータコア通水要求フラグXhtの何れかの値が「1」である場合、CPUは、ステップ1310にて「No」と判定してステップ1330に進み、上述した作動制御D(図8を参照。)を実行してポンプ70等の作動状態を制御する。その後、CPUは、ステップ1395を経由して図11のステップ1195に進み、本ルーチンを一旦終了する。
CPUが図11のステップ1120の処理を実行する時点において機関水温TWengが第2機関水温TWeng2以上である場合、CPUは、ステップ1120にて「No」と判定してステップ1130に進み、図24にフローチャートにより示した暖機完了後制御ルーチンを実行する。
従って、CPUは、ステップ1130に進むと、図14のステップ1400から処理を開始してステップ1410に進み、EGRクーラ通水要求フラグXegr及びヒータコア通水要求フラグXhtの値が共に「0」であるか否か、即ち、EGRクーラ通水要求及びヒータコア通水要求の何れもないか否かを判定する。
EGRクーラ通水要求フラグXegr及びヒータコア通水要求フラグXhtの値が共に「0」である場合、CPUは、ステップ1410にて「Yes」と判定してステップ1420に進み、上述した作動制御E(図9を参照。)を実行してポンプ70等の作動状態を制御する。その後、CPUは、ステップ1495を経由して図11のステップ1195に進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、CPUがステップ1410の処理を実行する時点においてEGRクーラ通水要求フラグXegr及びヒータコア通水要求フラグXhtの何れかの値が「1」である場合、CPUは、ステップ1410にて「No」と判定してステップ1430に進み、上述した作動制御F(図10を参照。)を実行してポンプ70等の作動状態を制御する。その後、CPUは、ステップ1495を経由して図11のステップ1195に進み、本ルーチンを一旦終了する。
更に、CPUは、図15にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、図15のステップ1500から処理を開始してステップ1505に進み、イグニッションオン操作による機関10の始動後のサイクル数(始動後サイクル数)Cigが所定の始動後サイクル数Cig_thよりも大きいか否かを判定する。
始動後サイクル数Cigが所定の始動後サイクル数Cig_th以下である場合、CPUは、ステップ1505にて「No」と判定してステップ1595に進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、始動後サイクル数Cigが所定の始動後サイクル数Cig_thよりも大きい場合、CPUは、ステップ1505にて「Yes」と判定してステップ1510に進み、上述した冷間条件が成立しているか否かを判定する。冷間条件が成立している場合、CPUは、ステップ1510にて「Yes」と判定してステップ1515に進み、上述した図12に示した冷間制御ルーチンを実行し、その後、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、CPUがステップ1510の処理を実行する時点において冷間条件が成立していない場合、CPUは、ステップ1510にて「No」と判定してステップ1520に進み、上述した半暖機条件が成立しているか否かを判定する。半暖機条件が成立している場合、CPUは、ステップ1520にて「Yes」と判定してステップ1525に進み、上述した図13に示した半暖機制御ルーチンを実行し、その後、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、CPUがステップ1520の処理を実行する時点において半暖機条件が成立していない場合、CPUは、ステップ1520にて「No」と判定してステップ1530に進み、上述した図14に示した暖機完了後制御ルーチンを実行し、その後、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
更に、CPUは、図16にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、図16のステップ1600から処理を開始してステップ1605に進み、機関運転状態がEGR実行領域Rb内にあるか否かを判定する。
機関運転状態がEGR実行領域Rb内にある場合、CPUは、ステップ1605にて「Yes」と判定してステップ1610に進み、機関水温TWengが第7機関水温TWeng7よりも高いか否かを判定する。
機関水温TWengが第7機関水温TWeng7よりも高い場合、CPUは、ステップ1610にて「Yes」と判定してステップ1615に進み、EGRクーラ通水要求フラグXegrの値を「1」に設定する。その後、CPUは、ステップ1695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、機関水温TWengが第7機関水温TWeng7以下である場合、CPUは、ステップ1610にて「No」と判定してステップ1620に進み、機関負荷KLが閾値負荷KLthよりも小さいか否かを判定する。
機関負荷KLが閾値負荷KLthよりも小さい場合、CPUは、ステップ1620にて「Yes」と判定してステップ1625に進み、EGRクーラ通水要求フラグXegrの値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ1695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、機関負荷KLが閾値負荷KLth以上である場合、CPUは、ステップ1620にて「No」と判定してステップ1615に進み、EGRクーラ通水要求フラグXegrの値を「1」に設定する。その後、CPUは、ステップ1695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、CPUがステップ1605の処理を実行する時点において機関運転状態がEGR実行領域Rbにない場合、CPUは、ステップ1605にて「No」と判定してステップ1630に進み、EGRクーラ通水要求フラグXegrの値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ1695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
更に、CPUは、図17にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、図17のステップ1700から処理を開始してステップ1705に進み、外気温Taが閾値温度Tathよりも高いか否かを判定する。
外気温Taが閾値温度Tathよりも高い場合、CPUは、ステップ1705にて「Yes」と判定してステップ1710に進み、ヒータスイッチ88がオン位置に設定されているか否かを判定する。
ヒータスイッチ88がオン位置に設定されている場合、CPUは、ステップ1710にて「Yes」と判定してステップ1715に進み、機関水温TWengが第9機関水温TWeng9よりも高いか否かを判定する。
機関水温TWengが第9機関水温TWeng9よりも高い場合、CPUは、ステップ1715にて「Yes」と判定してステップ1720に進み、ヒータコア通水要求フラグXhtの値を「1」に設定する。その後、CPUは、ステップ1795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、機関水温TWengが第9機関水温TWeng9以下である場合、CPUは、ステップ1715にて「No」と判定してステップ1725に進み、ヒータコア通水要求フラグXhtの値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ1795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、CPUがステップ1710の処理を実行する時点においてヒータスイッチ88がオフ位置に設定されている場合、CPUは、ステップ1710にて「No」と判定してステップ1725に進み、ヒータコア通水要求フラグXhtの値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ1795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
CPUがステップ1705の処理を実行する時点において外気温Taが閾値温度Tath以下である場合、CPUは、ステップ1705にて「No」と判定してステップ1730に進み、機関水温TWengが第8機関水温TWeng8よりも高いか否かを判定する。
機関水温TWengが第8機関水温TWeng8よりも高い場合、CPUは、ステップ1730にて「Yes」と判定してステップ1735に進み、ヒータコア通水要求フラグXhtの値を「1」に設定する。その後、CPUは、ステップ1795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、機関水温TWengが第8機関水温TWeng8以下である場合、CPUは、ステップ1730にて「No」と判定してステップ1740に進み、ヒータコア通水要求フラグXhtの値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ1795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上が実施装置の具体的な作動であり、これによれば、何れの作動制御が行われる場合においても、ヘッド水路51にもブロック水路52にも冷却水が流れるので、冷却水の温度は、ヘッド14の温度のみならず、ブロック15の温度も反映している。従って、ブロック15の暖機状態を正確に判定することができる。このため、ブロック15の暖機が完了する前に作動制御E又は作動制御Fが行われる可能性を小さくすることができる。加えて、ブロック15の暖機が完了しているにもかかわらず、作動制御E又は作動制御Fが行われない可能性を小さくすることができる。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
例えば、上記作動制御Aにおいては、ヘッド水路51を流れた冷却水の総てがブロック水路52に直接供給される。しかしながら、上記実施装置は、作動制御Aにおいて、ヘッド水路51を流れた冷却水の一部がラジエータ71を通った後、ヘッド水路51に流入するように構成され得る。但し、この場合、ラジエータ71を通る冷却水の流量は、作動制御Cにおいてラジエータ71を通る冷却水の流量よりも小さい流量に制御される。
同様に、上記実施装置は、作動制御Bにおいて、ヘッド水路51を流れた冷却水の一部がラジエータ71を通った後、ヘッド水路51に流入するように構成され得る。この場合、ラジエータ71を通る冷却水の流量は、作動制御Dにおいてラジエータ71を通る冷却水の流量よりも小さい流量に制御される。
更に、上記実施装置は、始動後積算空気量ΣGaの代わりに或いはそれに加えて、イグニッションスイッチ89がオン位置に設定された後に気筒12a乃至気筒12dに燃料噴射弁13から供給された燃料のトータルの量である始動後積算燃料量ΣQを用いるように構成され得る。
この場合、上記実施装置は、始動後積算燃料量ΣQが第1閾値燃料量ΣQ1以下である場合、暖機状態が冷間状態にあると判定し、始動後積算燃料量ΣQが第1閾値燃料量ΣQ1よりも多く且つ第2閾値燃料量ΣQ2以下である場合、暖機状態が第1半暖機状態にあると判定する。更に、上記実施装置及び変形装置は、始動後積算燃料量ΣQが第2閾値燃料量ΣQ2よりも多く且つ第3閾値燃料量ΣQ3以下である場合、暖機状態が第2半暖機状態にあると判定し、始動後積算燃料量ΣQが第3閾値燃料量ΣQ3よりも多い場合、暖機状態が暖機完了状態にあると判定する。
更に、上記実施装置は、機関水温TWengが第7機関水温TWeng7以上である場合、機関運転状態が図3に示したEGR停止領域Ra又はRc内にあっても、EGRクーラ通水要求があると判定するように構成され得る。この場合、図16のステップ1605及びステップ1630の処理が省略される。これによれば、機関運転状態がEGR停止領域Ra又はRcからEGR実行領域Rbに移行した時点で既に冷却水が熱デバイス水路60に供給されている。このため、各気筒12へのEGRガスの供給の開始と同時にEGRガスを冷却することができる。
更に、上記実施装置は、外気温Taが閾値温度Tathよりも高いときに機関水温TWengが第9機関水温TWeng9よりも高ければ、ヒータスイッチ88の設定位置の如何にかかわらず、ヒータコア通水要求があると判定するように構成され得る。この場合、図17のステップ1710の処理が省略される。
更に、本発明は、上記実施装置において、「水路60及び遮断弁77を備えていない冷却装置」にも適用可能である。
更に、水温センサ83は、水路56を流れる冷却水の温度を検出するように冷却水管58Pに配設され得る。更に、水温センサ84は、水路55の第2部分552を流れる冷却水の温度を検出するように冷却水管55Pに配設され得る。
更に、上記実施装置は、図18の(A)に示したように構成され得る。図18の(A)に示した構成においては、冷却水管55Pの第2端部55Bは、ヘッド14に設けられたブロック接続水路521を介してブロック水路52に接続されている。
更に、上記実施装置は、図18の(B)に示したように構成され得る。図18の(B)に示した構成においては、冷却水管54Pの第2端部55Bは、ブロック15に設けられたヘッド接続水路511を介してヘッド水路51に接続されている。
更に、上記実施装置は、図19の(A)に示したように構成され得る。図19の(A)に示した構成においては、ブロック水路52は、ヘッド14に設けられたブロック接続水路522を介して冷却水管57Pの第1端部57Aに接続されている。
更に、上記実施装置は、図19の(B)に示したように構成され得る。図19の(B)に示した構成においては、ヘッド水路51は、ブロック15に設けられたヘッド接続水路512を介して冷却水管56Pの第1端部56Aに接続されている。
更に、上記実施装置は、図20の(A)に示したように構成され得る。図20の(A)に示した構成においては、共通接続水路142及びブロック接続水路522がヘッド14に設けられている。ヘッド水路51は、共通接続水路142を介して冷却水管58Pの第1端部58Aに接続されている。一方、ブロック水路52は、順に、ブロック接続水路522及び共通接続水路142を介して冷却水管58Pの第1端部58Aに接続されている。
更に、上記実施装置は、図20の(B)に示したように構成され得る。図20の(B)に示した構成においては、共通接続水路152及びヘッド接続水路512がブロック15に設けられている。ヘッド水路51は、順に、ヘッド接続水路512及び共通接続水路152を介して冷却水管58Pの第1端部58Aに接続されている。一方、ブロック水路52は、共通接続水路152を介して冷却水管58Pの第1端部58Aに接続されている。