JP7271863B2 - 育苗方法 - Google Patents

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Description

本発明は、根茎の発達の良い苗木の育苗方法に関する。
産業活動に用いる木材の生産や、地盤の安定化・水資源の確保等の森林保全を目的として、対象となる山間地や公園等に樹木を移植することは従来から行われており、通常は、苗畑に播種をして、ある程度の大きさの苗木を育て、得られた苗木を対象地域まで移送して植林している。
また、苗木の育苗方法としては、肥料と培土が敷き詰められた育苗用の容器に播種又は、別途に発芽させた芽を移植し、容器内で十分な根鉢が形成されるまで適切な環境下で苗木を育成する方法(特許文献1等参照)や、バーミュキュライトを主体とする土壌に苗木を高密度で植付けることによって苗木を低コストで大量生産する育成方法(特許文献2参照)等が従来公知である。
特許第4757084号公報 特開2015-146743号公報
上記文献1の育苗方法では、根鉢が形成された植林用の苗木を容易に育成することができるが、特に、苗木が1年生の場合には、苗木の樹高や根鉢の発達が不十分で苗木が所定の規格を満たす割合を示す得苗率が低くなり、苗木を2年生とした場合には、得苗率は向上する一方で苗木の育成に時間とコストが掛かるという課題があり、上記文献2の育苗方法では、植林用の苗木を効率良く大量に育成することができるものであるが、得られた苗木の移植後の定着率が十分でない場合があるという課題があった。
本発明は、植林後の定着率及び成長の良い十分に発達した地上部(茎及び枝)と根鉢が形成された苗木を効率良く低コストで育成することのできる育苗方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するため根鉢形成用の容器内で苗木を育成する育苗方法において、前記容器内に培土とともに投入する肥料として肥効調整型肥料を用い、前記肥効調整型肥料は、肥料が溶出される肥効期間が容器内での育苗期間よりも短いものを用いることにより、育苗期間の後半に肥料が欠乏する期間を設け、前記培土は、ココピート又はココピートオールドと、パーライトと、鹿沼土との比率が、3~7:1~4:1~4となるように混合したものを用い、前記容器内には、培土と水と肥効調整型肥料とを撹拌したものを敷き詰めたことを特徴としている。
記肥効調整型肥料は、肥効期間が160~200日程度のものと、肥効期間が80~120日程度のものを混ぜて用いたものとしてもよい
本の苗木が育成される容器内に、150~300ccの培土と、窒素量が0.2~0.8g、リンが0.18~0.65g、カリウムが0.3~0.9g含むように構成された前記肥効調整型肥料とを投入し、容器内に投入する肥料を、育苗開始時に投入される前記肥効調整型肥料のみとして追肥を行わないことものとしてもよい
前記容器に、播種又は、別途に発芽させた苗を移植することにより1年生の苗木を育成することものとしてもよい
前記容器に、苗畑で育成した1年生の幼苗を移植することにより2年生の苗木を育成するものとしてもよい
上記育苗方法によれば、容器内に培土とともに投入される肥料として肥効調整型肥料を用いることにより、苗木に肥料が多量に供給されない期間を設けることによって、根鉢が十分に発達して植林後の定着率と成長が良好な苗木を簡易且つ低コスト育苗することができることを見出した。
本発明に基づく苗木の育成から流通までを示したフロー図を示すである。 育苗用容器の一部を示した要部側断面図である。 苗木の地上部規格、根鉢規格の一例を示す。 (A)乃至(C)は、苗木の植栽後の成長過程で計測された苗木の樹高を元肥として培土に混合した肥効調整型肥料の肥効期間毎に比較したグラフである。 (A)は、地上部規格本数率を示したグラフであり、(B)は、根鉢規格本数率を示したグラフであり、(C)は、得苗率を示したグラフである。 (A)は、肥効期間が160~200日の肥効調整型肥料を用いた場合の期間溶出率と累積溶出率を示したグラフであり、(B)は、肥効期間が160~200日と、80~120日の肥効調整型肥料とを組み合わせた肥料を用いた場合の期間溶出率と累積溶出率を示したグラフである。
本願発明者らは、鋭意検討の結果、育苗用容器(容器)2で苗木を育苗するにあたり、育苗用容器に投入する肥料として所定期間に亘って肥料が少しずつ溶出し続ける肥効調整型肥料(遅効性肥料)3を使用し、該肥効調整型肥料3から肥料の溶出が継続する肥効期間を育苗用容器2内での苗木の育苗期間よりも短くして、苗木の育苗期間の後半に肥料が減少する期間を設けたことによって、樹高を徒長させずに根鉢が通常よりも伸長・発達することを見出した。これにより、樹高及び根鉢が最適且つ十分に発達した1年生の苗木を高確率で育成できる。
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明に基づく苗木の育成から流通までを示したフロー図を示すであり、図2は、育苗用容器の一部を示した要部側断面図である。図示されるように、本発明の育苗方法は、苗木1の育成を行う育苗用容器2内に、培土4と、前記肥効調整型肥料3とを混合したものを敷詰め、該培土4に播種又は、別途に発芽させた芽を移植する準備工程と、該育苗用容器2を用いて苗木1を育苗する育成工程と、育成された苗木を出荷する出荷工程とを有している。
前記準備工程は、前記育苗用容器2への培土4及び肥効調整型肥料3の混合物の敷詰めや、播種等の作業を通常9月~3月(芽が出る前)までの期間に行い、苗木の育苗期間に備える。
前記育苗用容器2は、本実施例では、マルチキャビティと呼ばれるコンテナ容器が用いられており、該コンテナ容器は、育苗用容器2として機能するキャビティが複数(通常は40個程度)凹設されている。該キャビティ2は、周面側には、根巻き防止用のスリット(図示しない)が深さ方向に形成され、底面側には、根がキャビティ底面より下に伸びた場合に根切りするための孔2aが形成されている(図2参照)。
なお、該育苗用容器2は、ポリエチレン等の樹脂や、生分解性不織布を使用して鉢状に成形された育苗用ポットであっても良い。
前記培土4は、基質としてココピート、ココピートオールド、ピートモス、ブラックピートモスゼオライト、バーミキュライト、鹿沼土、赤玉土、竹パウダー、竹チップ、木材チップ、廃菌床等を用いるが、これらに限られない。
また、適宜選択された培土4として、ゼオライト、バーミキュライト、鹿沼土、赤玉土、竹パウダー、竹チップ、木材チップ、廃菌床等を1~50%程度混合し、保肥性・通気性・排水性を向上させたものを用いても良い。具体的には、本発明では、ココピート(或いはココピートオールド)と、パーライトと、鹿沼土を3~7:1~4:1~4の比率、さらに好ましくは、6:2:2の比率で混合したものを用いることによって、根幹の形成と根元直径の成長が良くなることを見出した。
前記肥効調整型肥料3は、肥料原体を樹脂等で被覆することによって、樹脂内の肥料が長期間に亘って徐々に溶出するように構成されている。具体的に説明すると、肥料原体を覆う樹脂製の被膜は、培土中の水分が通過する微細な孔が形成されており、該孔を通じて被膜内に侵入した水分によって被膜内部の肥料原体の一部が溶解し、溶解した肥料成分が被膜の孔から少しずつ滲み出るように構成されている。これにより、該肥効調整型肥料3は、追肥をしなくても被膜の厚さや孔の数・大きさ等によって予め設定された肥効期間の間、培土4内に肥料を溶出させ続けることができる。
特に、本発明の育苗方法では、前記肥効調整型肥料3の肥効期間が、育苗期間(通常3月~11月、9月~翌年11月の場合もある)よりも短いものを選択した。具体的に説明すると、前記肥効調整型肥料3は、肥効期間が160~200日程度(さらに好ましくは180日前後)の肥効調整型肥料3を用いることによって、育苗期間の後半(8月~11月頃)では、育苗用容器2内で肥料が減少あるいは欠乏する期間が設けられるように構成した。
また、該肥効調整型肥料3は、単一の容量が150~300ccのキャビティ内(1本の苗木あたり)の施肥量を適切に設定することによって、苗木1の地上部分(樹高)と根鉢部分とが出荷基準となる規格を満たす苗木の取得率(以下、得苗率)をさらに向上させることができる。具体的には、単一のキャビティ内(1本の苗木あたり)で窒素量を0.2~0.7g(さらに好ましくは0.3g)に設定することにより、得苗率が特に高くなることを見出した。なお、上記の窒素量に、リンを0.18~0.65g、カリウムを0.3~0.9g加えることにより、育苗に適した肥効調整型肥料3を得ることができる。詳しくは後述する。
さらに、該肥効調整型肥料3は、単位時間あたりの肥料の溶出量は概ね一定になるように調整されているため、肥料の累積溶出量は直線型となるが、異なる肥効期間の肥効調整型肥料3を組み合わせることによって、肥料の溶出量を所定期間内に集中させる等の調整を行うことができる。詳しくは後述する。
ちなみに、前記準備工程では、前記育苗用容器2に敷詰めた培土4に、播種又は、別途に発芽させた芽を移植して実生苗を育成するが、これに代えて培土4に挿し穂を植えることによって、挿木苗を育成しても良い。
この場合、前記挿し穂は、3月~4月上旬に挿し穂となる枝を採取し、該枝を長さが5~35cm程度になるように切断して穂づくりを行う。挿し穂の切り口は鋭利な刃物で作成し、該切り口はオキシベロン液剤を薄めた液に一晩浸ける。また、切り口よりも3~4cm程度上部に傷をつけて発根させ易くする。これにより作成された挿し穂は、前記育苗用容器2内の培土4に空けた穴に植えられる。なお、上記挿し穂は、発根させてから育苗用容器2内に植付ける構成であっても良い。
前記育成工程は、準備工程で準備した苗(芽)を、環境が管理されたハウスや露地等でその年の11月頃まで育苗することにより、移植可能な根鉢が形成された1年生の苗木を生産することができる。また、該育苗用容器2を用いた苗木1の育苗は、室温等を適宜調整することによって、時期を問わず行うことも可能であって、例えば、秋に播種して春までに1年生の苗木を育成することもできる。
また、該育成工程では、苗木を育苗する育苗期間内(4月~11月頃)に、スプリンクラー等の散水設備を用いて灌水作業を適宜行う一方で、育苗用容器2内への追肥は一切行わず、肥料は準備工程で投入した肥効調整型肥料3のみで苗木の育成が行われる。
前記出荷工程では、十分に育成された根鉢付きの苗木を、手動又は専用の機械(図示しない)を用いて前記育苗用容器2から根鉢ごと抜き取った後、対象地域に植林するまでに苗木が乾燥したり根鉢が崩れたりしないように根鉢をラップ等で包んで梱包し、植林する各地域に向けて出荷する。
出荷された根鉢付きの苗木は、専用の器具(図示しない)を用いて植林することにより、普通苗を植林する場合と比較して、時期を問わず短時間で且つスムーズに植林作業を行うことができるとともに、苗木の根鉢が十分に発達していることから植林後の苗木の定着率も良好なものになる。
ちなみに、該出荷工程では、育成工程によって得られた苗木が、植林した際にスムーズに定着する程度まで成長したか否か(出荷可能な大きさまで成長したか否か)を、苗木の地上部分の長さ(苗長、樹高)と、根元の径の大きさとが所定の規格よりも大きくなっているか否かで画一的に判断する。すなわち、苗木が、地上部規格と、根鉢規格の両方の条件を満たした場合、出荷可能な大きさまで成長したものと判断される。
図3に、苗木の地上部規格、根鉢規格の一例を示す。図3では、スギ、ヒノキ、アカマツ、クロマツの苗木の地上部規格、根鉢規格の例が示されているが状況に応じて調整できる。また、その他の樹木の苗木の場合も、おおよそ同程度に設定される。
上述した本発明の苗木の育苗方法によれば、前記育苗用容器2を用いて苗木を育苗するにあたり、該育苗用容器2に投入される肥効調整型肥料3として、肥効期間が育苗期間よりも短いものを使用して育苗期間の後半に肥料が減少あるいは欠乏するように構成したことによって、育苗期間の後半にも多量に肥料が溶出するように肥効期間の長い肥効調整型肥料を用いた場合や、育苗期間内に追肥をした場合と比較して、苗木の樹高及び根鉢をより成長・発達させることができる。また、育苗期間の後に肥料が欠乏しているため、徒長を抑えることができる。
該構成によれば、通常は、育苗用容器に播種、芽生えの移植、挿し木をしてその年の11月頃まで育苗した1年生の苗木は、樹高及び根鉢の発達が十分でない場合が多く、植林可能な苗木を出荷するためには1年生以上育成した2年生の苗木を育成する必要があったところ、本発明の育苗方法によれば、育成期間が概ね1年未満の1年生の苗木であっても80%以上の高い得苗率を得ることができる。
すなわち、上述の育苗方法によれば、植林する際の定着率がより高く、樹高が徒長することなく根鉢が十分に発達した苗木を、少ない肥料で且つ、追肥をする手間もなく低コストで育成することができる。
なお、育成の対象となる苗木は、主に造林樹種であって、針葉樹林のスギ、ヒノキ、コウヨウザン、アカマツ、クロマツ、カラマツ、エゾマツ、トドマツ、メタセコイア、テーダマツ等と、広葉樹林のケヤキ、ヤマザクラ、クリ、ミズナラ、コナラ、クヌギ、センダン、オニグルミ、シラカンバ、タモ、ケンポナシ、チャンチンモドキ、チャンチン、ヤナギ、ユーカリ等であるが、これらに限られない。
ちなみに、上述の例では、前記育苗用容器に2~3月までに播種又は、発芽した芽生え(毛苗)を移植することにより、その年の11月頃に1年生の苗木を育成したが、前記育苗用容器に、1年生幼苗を移植することにより、同様の育苗方法によって、2年生の苗木を育苗しても良い。
さらに、上述の育苗方法によって得られた1年生又は2年生の苗木の育成期間をもう1年間延長し、樹高を70~100cm程度の大型の苗木となるまで育苗してから出荷しても良い。これにより、植林された苗木が鹿やウサギ等に食べられ難くなる。
この場合、具体的には、育苗を開始して1成長期を経過した後、肥効期間が100~180日程度の肥効調整型肥料を苗木1本あたりの窒素量が0.05~0.2gとなるように追肥した。これにより、大型の苗木を育成することもできる。
次に、本発明の苗木の育苗方法の優位性を確認する目的で比較実験を行ったので、その実験内容及び結果について説明する。図4(A)(B)(C)は、苗木の植栽後の成長過程で計測された苗木の樹高を培土に混合した肥効調整型肥料の肥効期間毎に比較したグラフである。
(実験1)
本発明の苗木の育苗方法を用いてスギの実生苗を育苗した。具体的にはまず、前記育苗用容器2としてコンテナ容器を使用し、培土として用いたココピートオールド(商品名:トップココピートオールド、トップ社製)と、前記肥効調整型肥料3と、水とを撹拌機(図示しない)で攪拌し、得られた混合物をコンテナ容器の各キャビティ内にしっかり敷詰め、2015年3月までに、コンテナ容器に敷詰めた混合物にスギの種を植えて発芽させた(準備工程)。その後、発芽したスギの芽を、追肥をすることなくその年の11月頃まで(約8~9カ月)育苗をすることにより、1年生のスギの苗木(実生苗)を製造した(育成工程)。その後、翌年の2016年4月に、この1年生の苗木を林地に植栽した。
このとき、前記肥効調整型肥料3としては、肥効期間が180日と、360日、700日(何れも25℃での肥効期間)となるコーティング肥料(商品名:ハイコントロール,ジェイカムアグリ社製)を用いて、それぞれ別区画で苗木の育成を行い、それぞれ植栽後の各成長段階で苗木の樹高を計測・比較した。これにより、肥効調整型肥料3として肥効期間が180日程度のものを用いた場合には、植栽前の育苗期間の後半(2015年の8月~11月頃)に肥料が欠乏した状態となり、肥効期間が360,700日程度のものを用いた場合には、育苗期間内から植栽後しばらくの間は根鉢側の肥効調整型肥料3から肥料が供給され続けるように構成されている。
この実験結果によれば、図4(A)(B)(C)に示されるように、苗木の植栽直後となる4月では、苗木の樹高は、何れも40cmを超えた程度で大きな差はなかった(調査日:2016年4月)。その一方で、その年の11月頃(植栽後、春から秋までの1成長期経過時)には、苗木の樹高は、肥効調整型肥料3として肥効期間が短い180日タイプを用いた苗木の樹高が最も高くなり、肥効期間が360日タイプ、700日タイプの順番に、苗木の樹高が低くなった(調査日:2016年11月)。また、苗木の植栽後から2シーズンが経過した際の苗木の樹高も、肥効調整型肥料3として肥効期間が短い180日タイプを用いた苗木の樹高が最も高くなった(調査日:2017年11月)。
すなわち、スギの苗木を4月~11月頃まで育苗するにあたり、肥効調整型肥料3として肥効期間が180日程度のものを用いて、育苗期間の後半(8月~11月)に肥料が減少・欠乏する期間を設けたことにより、植栽後にも根鉢に肥料が供給され続けるものと比較して、根茎がより広範囲に発達して樹高が高くなることが確認できた。
また、肥効期間が360日タイプ、又は700日タイプの肥効調整型肥料を用いた場合、地上部分の出荷可能な程度の樹高まで成長していても、根鉢の形成が不十分となって植林用に出荷できない苗木の割合も多くなった。
次に、図5に基づき、根鉢付きの苗木1本を苗育するにあたりに適した施肥量について検討する。図5(A)は、地上部規格本数率を示したグラフであり、図5(B)は、根鉢規格本数率を示したグラフであり、図5(C)は、得苗率を示したグラフである。
(実験2)
前記育苗用容器に培土とともに投入される肥効調整型肥料3として、肥効期間が160~200日のものを使用し、上述の実験と同様に、12~3月の間にコンテナ容器の各キャビティ内に敷詰めた培土4にスギの種を植えて発芽させ、その後、発芽したスギの芽を、追肥をすることなくその年の11月頃まで(約8~9カ月)ハウス内あるいは露地で育苗をすることにより、1年生のスギの苗木(実生苗)を製造した。
このとき、キャビティ毎(苗木1本あたり)に投入される前記肥効調整型肥料3の施肥量(窒素量)を0~1.4gの間で変えたものを別区画(別のコンテナ容器毎)でそれぞれ育苗し、育成された複数の苗木から出荷基準となる地上部規格と、根鉢規格の両方を満たす苗木が得られた割合(得苗率)を比較・検討した。
なお、本実験では、1年生のスギの実生苗の場合、地上部規格は、苗長が30cm以上のものとし、根鉢規格は、根本径が3.5mm以上のものとした(図3参照)。また、地上部規格と根鉢規格の両方を満たしたものを出荷可能な苗木と定義し、出荷可能な苗木が取得される割合を示した得苗率を上記の施肥量毎に比較した。
この実験結果によれば、図5(A)乃至(C)に示されるように、地上部規格を満たした苗木の本数と、根鉢規格を満たした苗木の本数とは、施肥量に対して異なる傾向を示している。
具体的に説明すると、地上部規格を満たした地上部規格本数率は、苗木1本あたりの窒素量が0.2~0.8g(ピークは0.3g)の場合には、80%以上の高い割合となった(図5(A)参照)。その一方で、根鉢規格を満たした根鉢規格本数率は、苗木1本あたりの窒素量が0.1~0.3gの場合には、80%以上の高い割合となったが、施肥量が多くなるにつれて規格を満たす本数が徐々に低下する傾向が確認された(図5(B)参照)。
すなわち、苗木1本あたりの施肥量(窒素量)が0.2~0.7g(ピークは概ね0.3g)の場合には、80%以上の高い得苗率を得ることができることが確認できた(図5(C)参照)。なお、使用する肥効調整型肥料としては、この窒素量0.2~0.7gに対し、0.18~0.65gのリンと、0.3~0.9gのカリウムを加えたものを使用することが望ましい。
ちなみに、上述と同様の方法で、2年生のスギの挿木苗を育成する場合には、1本あたりの施肥量(窒素量)が0.15~0.3gの場合に、80%以上の高い得苗率を得ることができた。
次に、図6に基づき、異なる肥効期間の肥効調整型肥料を組み合わせた場合の施肥効果を確認した実験結果について説明する。図6(A)は、肥効期間が160~200日の肥効調整型肥料を用いた場合の期間溶出率と累積溶出率を示したグラフであり、図6(B)は、肥効期間が160~200日と、80~120日の肥効調整型肥料とを組み合わせた肥料を用いた場合の期間溶出率と累積溶出率を示したグラフである。
(実験3)
図6に示されるように、上述の育苗方法に使用する肥効調整型肥料3として、肥効期間が160~200日の肥効調整型肥料と、肥効期間が160~200日の肥効調整型肥料とを混ぜたものを使用することにより、育苗期間の初期から中期に肥料の溶出量を増やして、育苗期間の後期により肥料の溶出を抑えることができる。
該構成によれば、育苗期間の中期に苗木の地上部の形成をより促進させ、育苗期間の後期に肥料を欠乏させて根鉢の形成をより促進することができるため、上述の得苗率もより向上する。また、使用される肥効調整型肥料3は、肥効期間が160~200日のものに、より肥効期間の短い80~120日のものを混合することで、使用する肥効調整型肥料3のコストも低く抑えることができる。
なお、異なる肥効期間の肥効調整型肥料3は、肥効期間80~120日:肥効期間160~200日の割合を、3:7~7:3の比率で混合することが好ましい。
2 育苗用容器(容器)
3 肥効調整型肥料

Claims (4)

  1. 根鉢形成用の容器内で苗木を育成する育苗方法において、
    前記容器内に培土とともに投入する肥料として肥効調整型肥料を用い、
    前記肥効調整型肥料は、肥料が溶出される肥効期間が容器内での育苗期間よりも短いものを用いることにより、育苗期間の後半に肥料が欠乏する期間を設け、
    前記培土は、ココピート又はココピートオールドと、パーライトと、鹿沼土との比率が、3~7:1~4:1~4となるように混合したものを用い、
    前記容器内には、培土と水と肥効調整型肥料とを撹拌したものを敷き詰め
    1本の苗木が育成される容器内に、150~300ccの培土と、窒素量が0.2~0.8g、リンが0.18~0.65g、カリウムが0.3~0.9g含むように構成された前記肥効調整型肥料とを投入し、
    容器内に投入する肥料を、育苗開始時に投入される前記肥効調整型肥料のみとして追肥を行わない
    ことを特徴とする育苗方法。
  2. 根鉢形成用の容器内で苗木を育成する育苗方法において、
    前記容器内に培土とともに投入する肥料として肥効調整型肥料を用い、
    前記肥効調整型肥料は、肥料が溶出される肥効期間が容器内での育苗期間よりも短いものを用いることにより、育苗期間の後半に肥料が欠乏する期間を設け、
    前記培土は、ココピート又はココピートオールドと、パーライトと、鹿沼土との比率が、3~7:1~4:1~4となるように混合したものを用い、
    前記容器内には、培土と水と肥効調整型肥料とを撹拌したものを敷き詰め、
    前記肥効調整型肥料は、肥効期間が160~200日程度のものと、肥効期間が80~120日程度のものを混ぜて用いた
    ことを特徴とする育苗方法。
  3. 前記容器に、播種又は、別途に発芽させた苗を移植することにより1年生の苗木を育成する
    請求項1又は2の何れかに記載の育苗方法。
  4. 前記容器に、苗畑で育成した1年生の幼苗を移植することにより2年生の苗木を育成する
    請求項1又は2の何れかに記載の育苗方法。
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