JP2021087397A - ブドウ剪定枝の活用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来廃棄されていた剪定枝を有効活用し、ブドウ栽培に於ける生産者の利益率を向上させる。【解決手段】ブドウの親木における翌年に剪定する予定の結果枝から分枝する各新梢の基部に、保水材を保持させて該基部から発根する根を保水材内で養育し、該結果枝を翌年に剪定した際に、保水材を捲回保持した各新梢の基部及びそこから分枝した新梢を切り分けて、育苗土壌に定植又は鉢上げし新苗とする。これにより、従来廃棄されていた剪定枝を活用して、促成ブドウ苗として販売することが可能となり、ブドウ栽培を行う生産者の利益率を向上させることができる。【選択図】図3
Description
本発明は、ブドウ栽培において発生するブドウ果樹の剪定枝の活用方法に関する。
現在我が国で実施されている一般的なブドウ栽培においては、前年に結果した結果枝を、12〜2月の冬季に短梢剪定又は長梢剪定し(非特許文献5)、残した結果母枝から、翌年結果させる新梢を発生させる作業が行われている(非特許文献2,3参照)。この際、剪定された枝は廃棄され、通常は、焼却処分又は腐朽処分がされている。尚、剪定枝の利用に関する技術としては、特許文献1に、ブドウ剪定枝から樹液を抽出して利用する技術が記載されている。
一方、ブドウの新苗の生産は、品種特性の維持のため、主に接木や挿木による無性繁殖が行われている(非特許文献1参照)。長期栽培のための新苗には、フィロキセラ抵抗性が求められることから、フィロキセラ抵抗性の台木を使用した接木によって新苗の生産を行うのが一般的である(非特許文献4,p.217参照)。一方、挿木で育成した苗は、一般的にフィロキセラ抵抗性が低いため、フィロキセラ(phylloxera:根アブラムシ)による被害を受けやすいという問題がある。
岡本五郎,「ブドウ栽培の基礎知識I 繁殖と育苗,定植」,日本ブドウ・ワイン学会誌, Vol.8,.No. 2,pp.112-118 (1997)
岡本五郎,「ブドウ栽培の基礎知識II 若木の育成,整枝法」,日本ブドウ・ワイン学会誌, Vol.9,.No. 1,pp.28-32 (1998)
岡本五郎,「ブドウ栽培の基礎知識VI 新梢・結果枝管理と着果量調節」,日本ブドウ・ワイン学会誌, Vol.11,.No. 2,pp.80-85 (2000)
日本土壌協会,「有機栽培技術の手引 〔果樹・茶 編〕,V.ブドウの有機栽培技術」,[online],平成24年度生産環境総合対策事業(有機農業標準栽培技術指導書作成事業),財団法人日本土壌協会,インターネット,<URL: http://www.japan-soil.net/report/h24.html>
芦川孝三郎,「ブドウ(NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月)」,NHK出版,2000年11月16日,pp.8−9.
上述の通り、現在のブドウ栽培に於いては、剪定枝は廃棄されている。然し乍ら、冬季に剪定された剪定枝には、既に花芽が発生した状態にあり、これを廃棄するのは無駄がある。現在のところ、剪定枝の活用に関しては、焼却又は腐朽させて肥料として活用するか、樹液を抽出して利用する(特許文献1参照)といった程度である。
そこで、本発明の目的は、従来廃棄されていた剪定枝を有効活用し、ブドウ栽培に於ける生産者の利益率を向上させることを目的とする。
本発明に係るブドウ剪定枝の活用方法は、ブドウの親木における結果母枝から分岐する新梢のうち、翌年に剪定する予定の各新梢の基部に、保水材を保持させて該基部から発根する根を保水材内で養育し、該新梢を翌年に剪定する際に、保水材を保持した各新梢の基部及びそこから分枝した新梢を、育苗土壌に定植又は鉢上げし新苗することを特徴とする。
これにより、従来廃棄処分されていたブドウ剪定枝を新苗として有効活用することができる。生産される新苗には、既に花芽が発生しているので、約半年後に結花し、結実する。従って、挿し木で生産する苗に比べて早く果実の収穫を開始することができる。また、新苗は親木において発根した状態で取木されて定植されるので、定植直後から根からの養分吸収が可能であり、新苗の成長が早い。
ここで、保水材としては、水苔、籾殻、ピートモス、パーミキュライト、園芸培土(市販品)等を使用することができる。
また、本発明に於いて、保水剤を、排水用の小孔が穿孔されたレジ袋等の開口部に持ち手又は結び片が設けられた樹脂製袋体に充填した状態で、前記各新梢の基部に前記樹脂製袋体を結ぶことで保持させるようにすることができる。こような樹脂製袋体を用いることにより、保水材を各新梢の基部に容易に保持させることができる。
また、この場合、樹脂製袋体により保水剤が保持された新梢の基部において、該基部から発根する根を保水材内で養育する期間中に、樹脂製袋体の内部に施肥を行うようにすることができる。施肥は、固形肥料や液肥注入により行うことが出来る。これにより、保水材内で発根した根から養分が吸収され、保水材内での根の発達が促進される。また、果樹の株元よりも果実に近い新梢基部から新梢に対し直接施肥されるため、該新梢に着果する果実の品質向上や大果化が図られる。
以上のように、本発明によれば、従来廃棄処分されていたブドウ剪定枝を新苗として有効活用することができ、ブドウ栽培に於ける生産者の利益率を向上させることができる。果実とは別に新苗を販売できるので、台風、大雨等の天災により十分な数の果実が出荷できない場合でも、ブドウ苗の出荷は可能であるため、農業経営上のリスク分散が可能となる。また、これにより生産される新苗には、定植時には既に花芽が発生しているので、約半年後に結花し、結実する。また、親木において発根した状態で取木されて定植されるので、定植直後から根からの養分吸収が可能であり、新苗の成長が早い。従って、挿し木で生産する苗に比べて早く果実の収穫を開始可能な促成栽培苗として、販売することができる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、一般的なブドウ樹における結果母枝からの結果枝の発達の様子を示す模式図である。一般的に、ブドウ樹は冬季に剪定されるが、図1(a)は短梢剪定後のブドウ樹の結果母枝を表している。短梢剪定では、結果母枝から分岐した枝の基部を、第1芽〜2芽を残し短く剪定する。剪定された剪定残枝の芽は、春〜夏にかけて成長し、図1(b)のように新枝を発達させ、新枝の3節目から花穂が着く。また、新たに伸長した新枝の基部から剪定残枝の部分において、6月末から7月上旬に発根が見られる。この新枝の基部に発根した根は、梅雨時期に生長するが、放置しておけば、梅雨時期を過ぎて夏期の乾燥期に入ると自然に枯死する。
図2は、発根した新枝基部の状態を示した写真である。図2は、11月に撮影したものであるため、新枝基部に発根した根は既に枯死した状態にある。
本発明に係るでは、ブドウ剪定枝の活用方法は、次のような手順により実施する。
(1)春期から梅雨期(5〜7月)に、今年結果させて翌年剪定する予定の結果枝(新梢)のそれぞれの分枝基部に、保水材を保持する。図3は、翌年剪定予定の結果枝の基部に保水材を保持した状態を示した図である。保水材は、保持袋内に充填され、この保持袋の開口部で分枝基部を包み込むようにして、保持袋が結果枝の基部に結びつけられている。
保水材には、水苔、籾殻、ピートモス、パーミキュライト、園芸培土(市販品)等及びこれらを組み合わせて混合したものを使用することができる。保持袋としては、複数の排水孔を穿孔したポリ袋、樹脂製不織布袋、麻袋等を使用することが出来るが、本実施例では、最も身近にあるレジ袋を使用する。レジ袋は、開口部に持ち手及び/又は結び片が本体と一体に成形加工により設けられた樹脂製袋体である。レジ袋の側面には、複数の排水孔(直径1mm程度)を穿孔し、根腐れ防止と通気性確保の為の排水性が確保している。レジ袋の持ち手部分を結果枝の基部に結びつけることで、各新梢の基部に保水材を保持容易に保持させることができる。
(2)6月末から7月上旬に、結果枝の分枝基部から発根するが、保水材が捲回保持されているため、発根した根は枯死することなく成長が維持される。そして、発根した根は、袋体の内部に向かって根が伸長する。
このとき、保持袋の内部の保水材に、固形肥料を混合して施肥を行うこともできる。また、定期的に(又は適度な期間をあけて不定期に)保持袋の内部の保水材に液肥を注入して施肥を行うことも出来る。このように、結果枝の基部に発根した根に直接施肥を行うと、結果枝に対して直接肥料分が行き渡ることとなり、結果枝に着果する果実に対する施肥のコントロールを容易に行うことが出来、その結果、果実の品質向上・大果化が図られる。
(3)11〜12月上旬になると、剪定を予定していた各結果枝を、発根した部分を剪定枝に残すようにして剪定した後、それぞれの分枝基部ごとに切り分けて、育苗土壌に定植又は鉢上げし新苗とする。尚、通常は、12〜2月に剪定が行われるが(非特許文献5参照)、気温があまり下がらない晩秋から初冬の11〜12月上旬の気温があまり下がらない時期に取木することで、取木した新苗は冬でも根が伸びる。従って、冬場の農閑期を利用して育苗することができる。
剪定した時点で剪定枝には既に花芽が発生しているので、取木した新苗は既に花芽が発生した状態にある。また、新苗は既に発根した状態にあるため、培土から十分な養水分の吸収ができ、これにより半年後には結花し結実する。従って、促成ブドウ苗として販売することができる。
以上のように、本発明のブドウ剪定枝の活用方法によると、次のような利点がある。
(1)従来廃棄されていた剪定枝を活用して、促成ブドウ苗として販売することが可能となり、ブドウ栽培を行う生産者の利益率を向上させることができる。
(2)毎年、苗木がとれるので、1〜2年の短期間栽培用の苗として販売することが出来る。栽培初年度から結実するため、短期栽培苗でも果実を収穫できる。但し、フィロキセラ抵抗性が低いため、長期定植栽培用としては不向きである。
(3)台風、大雨等の天災により十分な数の果実が出荷できない場合でも、ブドウ苗の出荷は可能であるため、農業経営上のリスク分散が可能となる。
(1)従来廃棄されていた剪定枝を活用して、促成ブドウ苗として販売することが可能となり、ブドウ栽培を行う生産者の利益率を向上させることができる。
(2)毎年、苗木がとれるので、1〜2年の短期間栽培用の苗として販売することが出来る。栽培初年度から結実するため、短期栽培苗でも果実を収穫できる。但し、フィロキセラ抵抗性が低いため、長期定植栽培用としては不向きである。
(3)台風、大雨等の天災により十分な数の果実が出荷できない場合でも、ブドウ苗の出荷は可能であるため、農業経営上のリスク分散が可能となる。
Claims (3)
- ブドウの親木における結果母枝から分岐する新梢のうち、翌年に剪定する予定の各新梢の基部に、保水材を保持させて該基部から発根する根を保水材内で養育し、該新梢を翌年に剪定した際に、保水材を保持した各新梢の基部及びそこから分枝した新梢を、育苗土壌に定植又は鉢上げし新苗することを特徴とするブドウ剪定枝の活用方法。
- 前記保水剤を、排水用の小孔が穿孔された、開口部に持ち手又は結び片が設けられた樹脂製袋体に充填した状態で、前記各新梢の基部に前記樹脂製袋体を結ぶことで保持させることを特徴とする、請求項1記載のブドウ剪定枝の活用方法。
- 前記樹脂製袋体により前記保水剤が保持された新梢の基部において、該基部から発根する根を前記保水材内で養育する期間中に、前記樹脂製袋体の内部に施肥を行うようにすることを特徴とする、請求項2記載のブドウ剪定枝の活用方法。
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| JP2019220106A JP2021087397A (ja) | 2019-12-05 | 2019-12-05 | ブドウ剪定枝の活用方法 |
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Publications (1)
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN113994844A (zh) * | 2021-11-05 | 2022-02-01 | 南京农业大学 | 葡萄wh垂枝型的整形修剪技术 |
| CN119325855A (zh) * | 2024-12-06 | 2025-01-21 | 福建省农业科学院果树研究所 | 一种巨峰葡萄选留的结果母枝免冬剪的栽培方法 |
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2019
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