以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
図1に、本発明の実施例の電子部品装着機10を示す。電子部品装着機10は、キャリアへの電気部品の装着作業を実行するための装置である。電子部品装着機10は、搬送保持装置20と、移動装置(図8参照)22と、装着ヘッド24と、供給装置26と、パーツカメラ28と、マークカメラ(図8参照)30と、カバー載置台34と、制御装置(図8参照)36とを備えている。
搬送保持装置20は、後に詳しく説明するキャリア40を搬送・保持するための装置であり、ベース46のY軸方向での略中央部において、X軸方向に延びるように配設されている。搬送保持装置20は、図2乃至図5に示すように、コンベア装置50と、保持装置52とを有している。図2は、搬送保持装置20を斜め上方からの視点において示す図であり、図3は、搬送保持装置20を上方からの視点において示す図である。また、図4は、図3のAA線からの視点において示す図であり、図5は、図3のBB線からの視点において示す図である。
コンベア装置50は、1対のガイドレール60,62と、各ガイドレール60,62に設けられたコンベアベルト66を有している。1対のガイドレール60,62は、互いに平行に配設されており、各ガイドレール60,62は、1対の支持脚70を介して支持プレート72の上面において支持されている。なお、ガイドレール60,62はX軸方向に延びるように配設されている。
また、各ガイドレール60,62の側面には2個のプーリ74,76がY軸方向を軸心として配設されている。それら2個のプーリ74,76は、各ガイドレール60,62の両端部に配設されている。なお、ガイドレール60とガイドレール62とは、互いのプーリ74,76の配設面が対向する状態で配設されている。そして、コンベアベルト66が、各ガイドレール60,62のプーリ74,76に巻き掛けられており、コンベアベルト66は、電磁モータ(図8参照)78の駆動により周回する。
なお、コンベアベルト66の周回方向は、図4での時計回りの方向とされている。これにより、コンベアベルト66の上にキャリア40を載置することで、キャリア40は、プーリ74が配設されている側からプーリ76が配設されている側に向かって、コンベアベルト66によって搬送される。
また、保持装置52は、昇降テーブル80と、複数の突上ピン82と、テーブル昇降機構86と、クランプ装置88とを有している。昇降テーブル80は、概して矩形をなし、各ガイドレール60,62の1対の支持脚70の間に延びだすように、ガイドレール60,62の下方に配置されている。また、昇降テーブル80の上面には、複数の突上ピン82が立設されている。各突上ピン82は、図5に示すように、概して円柱状の本体90と、本体90の上端面から上方に向って延び出すピン92とにより構成されている。そして、ピン92は、段付き形状とされており、本体90の上端面から延び出す大径ピン94と、その大径ピン94の上端面から延び出す小径ピン96とにより構成されている。また、昇降テーブル80は、テーブル昇降機構86を介して、支持プレート72の上面に配設されており、テーブル昇降機構86は、電磁モータ(図8参照)98の駆動により昇降テーブル80を昇降させる。
また、クランプ装置88は、1対のクランプバー100と、1対のクランププレート102とを有している。クランプバー100は、概して板状をなし、クランプバー100の長さ寸法が、昇降テーブル80のX軸方向における長さ寸法より長くされている。そして、1対のクランプバー100の各々は、各クランプバー100の両端の間に昇降テーブル80が位置するように、ガイドレール60,62の上面に固定されている。つまり、クランプバー100の下方に昇降テーブル80が延び出すように、クランプバー100がガイドレール60,62の上面に固定されている。なお、クランプバー100は、ガイドレール60,62に配設されているコンベアベルト66の上方に延びだすように、ガイドレール60,62の上面に固定されている。
また、クランププレート102は、概して矩形の板状をなし、クランププレート102の長手方向における長さ寸法が、クランプバー100の長さ寸法と略同じとされている。クランププレート102は、コンベアベルト66の上方に延びだすクランプバー100の下方において、クランプバー100と同じ方向に延び出しており、立設した状態で、ガイドレール60,62により上下方向にスライド可能に保持されている。つまり、ガイドレール60,62のコンベアベルト66が配設された側の側面に、保持具108が配設されている。そして、そのガイドレール60,62の側面と、クランププレート102の側面とが対向した状態で、クランプバー100の下方において、クランププレート102が保持具108により上下方向にスライド可能に保持されている。
なお、ガイドレール60,62により上下方向にスライド可能に保持されたクランププレート102が、最も下方にスライドした際に、図5に示すように、クランププレート102の上端は、コンベアベルト66の上面より下方に位置しており、クランププレート102の下端は、上昇していない状態での昇降テーブル80の上面より上方に位置している。
このような構造により、搬送保持装置20では、コンベア装置50により搬送されたキャリア40が保持装置52により保持される。また、搬送保持装置20は、吸引装置110を有している。吸引装置110は、クランププレート102の側面に固定されており、吸引装置110の上端及び下端は、クランププレート102の上端及び下端と同じ高さとされている。そして、吸引装置110は、保持装置52により保持されたキャリア40の下面側から、キャリア40に載置された電気部品を吸引する。
詳しくは、キャリア40は、図6に示すように、概して矩形の平板形状とされており、キャリア40には、電気部品(図14参照)112を載置するための部品載置部116が複数個、形成されている。また、それら複数の部品載置部116の各々に上下方向に貫通する複数の貫通孔118が形成されている。そして、後に詳しく説明するように、昇降テーブル80が上昇することで、吸引装置110も上昇し、吸引装置110の上面がキャリア40の下面に密着する。この際、キャリア40が保持装置52により保持された位置において、キャリア40の複数の貫通孔118の各々に、キャリア40の下面側から、吸引装置110が連通する。これにより、キャリア40に載置された電気部品112が、キャリア40の下面側から吸引装置110により吸引される。
また、キャリア40の上面には、複数の部品載置部116の各々を挟むように、複数の磁石120が埋設されている。これにより、後に詳しく説明する部品カバー(図1参照)122がキャリア40に磁石120により着脱可能に固着する。さらに、キャリア40には、複数の挿入穴126が形成されている。複数の挿入穴126は、保持装置52の昇降テーブル80の上に載置されている突上ピン82に対応して配設されており、挿入穴126の内径は、突上ピン82の大径ピン94の外径より大きくされている。これにより、キャリア40の挿入穴126に、突上ピン82の大径ピン94を挿入することが可能とされている。
また、移動装置22は、装着ヘッド24が取り付けられるスライダ(図示省略)と、X軸方向スライド機構(図示省略)と、Y軸方向スライド機構(図示省略)とを有している。X軸方向スライド機構は、電磁モータ(図8参照)130の作動によりスライダをX軸方向に移動させ、Y軸方向スライド機構は、電磁モータ(図8参照)132の作動によりスライダをY軸方向に移動させる。これにより、装着ヘッド24は、移動装置22によってベース46上の任意の位置に移動する。
装着ヘッド24は、電気部品112を装着するものであり、下端面に設けられた吸着ノズル140を有している。吸着ノズル140は、本出願人が本願より先に出願した特願2016―552779に記載されているため簡単に説明すると、図7に示すように、概して円筒状のハウジング142の下端部において、吸着パッド144が上下方向に移動可能に保持されている。その吸着パッド144は、弾性変形可能な素材により形成されており、その吸着パッド144の下端はラッパ状とされている。また、吸着パッド144の内部は空洞とされており、その吸着パッド144の空洞とされた内部がエア通路146を介して、正負圧供給装置(図8参照)148に通じている。そして、正負圧供給装置148によりエア通路146に負圧が供給されることで、吸着パッド144によって電気部品112が吸着保持される。また、エア通路146への負圧の供給により吸着パッド144が上方に向かって移動する。この際、吸着パッド144の外縁部が、ハウジング142に下端部においてサポートされる。これにより、電気部品112を吸着保持する際の吸着パッド144の弾性変形が抑制され、吸着パッド144による電気部品112の吸着保持が担保される。そして、正負圧供給装置148によりエア通路146に僅かな正圧が供給されることで、吸着パッド144による保持が解除され、電気部品112が離脱する。また、装着ヘッド24は、吸着ノズル140を昇降させるノズル昇降装置(図8参照)150を有しており、ノズル昇降装置150によって、装着ヘッド24は、保持する電気部品112の上下方向の位置を変更する。なお、吸着ノズル140は、装着ヘッド24にワンタッチで着脱可能とされており、異なる種類の吸着ノズルに交換することが可能とされている。なお、ワンタッチで着脱とは、作業者が工具を用いることなく、吸着ノズルを着脱することである。
また、供給装置26は、図1に示すように、電子部品装着機10のY軸方向の端部に配設されており、トレイ156に載置された状態の電気部品112を電子部品装着機10に供給する装置である。供給装置26は、トレイ収納庫(図示省略)と、トレイ移動装置158とを有している。トレイ収納庫には、複数のトレイ156が収納されている。そして、トレイ収納庫に収納されているトレイ156がトレイ移動装置158の作動により、部品供給位置(図1でのトレイ156が図示されている位置)まで引き出され、その部品供給位置においてトレイ156から部品が装着ヘッド24に供給される。
パーツカメラ28は、ベース46に上を向いた状態で供給装置26の隣に配設されている。これにより、装着ヘッド24をパーツカメラ28の上方に移動させることで、パーツカメラ28は、吸着ノズル140に保持された電気部品112を撮像することが可能である。また、マークカメラ30は、移動装置22の装着ヘッド24が取り付けられるスライダに下を向いた状態で固定されており、移動装置22の作動により任意の位置に移動する。これにより、マークカメラ30は、ベース46上の任意の位置を撮像することが可能である。
カバー載置台34は、搬送保持装置20を挟んで、供給装置26と対向するように配設されている。カバー載置台34は、平板形状とされており、その上面は、3枚分の部品カバー122を重ねることなく載置することが可能なスペースとされている。
また、制御装置36は、図8に示すように、コントローラ160と、複数の駆動回路162を備えている。複数の駆動回路162は、上記電磁モータ78,98,130,132、吸引装置110、正負圧供給装置148、ノズル昇降装置150、トレイ移動装置158に接続されている。コントローラ160は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路162に接続されている。これにより、搬送保持装置20、移動装置22等の作動が、コントローラ160によって制御される。また、コントローラ160は、画像処理装置166にも接続されている。画像処理装置166は、パーツカメラ28およびマークカメラ30により撮像された撮像データを処理するための装置である。これにより、コントローラ160は、撮像データから各種情報を取得する。
電子部品装着機10では、上述した構成によって、コンベア装置50で電気部品112が装着されていないキャリア40が部品カバー122を載せた状態で搬入される。そして、電子部品装着機10において、装着ヘッド24の吸着ノズル140によって部品カバー122がキャリア40から取り外され、その部品カバー122が取り外されたキャリア40の上に、装着ヘッド24の吸着ノズル140によって電気部品112が装着される。その後に、電気部品112の装着作業が完了すると、電気部品112が装着されたキャリア40の上に、再度、装着ヘッド24の吸着ノズル140によって部品カバー122が載せられ、そのキャリア40がコンベア装置50で搬出される。
具体的には、図1に示すように、部品カバー122は、概して正方形の平板とされており、部品カバー122の1辺の長さ寸法が、キャリア40の短辺の長さ寸法より僅かに短くされている。また、キャリア40の長辺の長さ寸法は、部品カバー122の1辺の長さ寸法の3倍より僅かに長くされている。これにより、キャリア40の上面に、キャリア40の長手方向に並んで、3枚の部品カバー122を載せることができる。また、部品カバー122には、2×2の配列で4個の正方形の露出孔170が形成されている。露出孔170は、キャリア40への装着予定の電気部品112より僅かに小さくされている。そして、電気部品112が装着されていないキャリア40の上に、露出孔170を介して、部品載置部116が露出するように、3枚の部品カバー122が載せられている。
また、部品カバー122には、キャリア40の上に載せられた状態においてキャリア40に形成されている複数の挿入穴126と対応する位置に、複数の位置決め穴172も形成されている。このため、図5に示すように、キャリア40の挿入穴126と、部品カバー122の位置決め穴172とが上下方向に連通するように、部品カバー122がキャリア40の上に位置決めして載せられる。なお、位置決め穴172の内径は、突上ピン82の小径ピン96の外径より大きいが、突上ピン82の大径ピン94より小さい。また、部品カバー122は、鉄などの磁性体により成形されており、キャリア40の上面に埋設された磁石120により固着されている。
このように、電気部品112が装着されていないキャリア40の上に3枚の部品カバー122が載せられており、その状態のキャリア40が、電子部品装着機10に搬入される。なお、図1に示すキャリア40には、部品載置部116が12個形成されており、3枚の部品カバー122を載せることが可能とされている。一方、図6に示すキャリア40には、部品載置部116が8個形成されており、2枚の部品カバー122を載せることが可能とされている。そこで、8個の部品載置部116が形成されたキャリア40に、2枚の部品カバー122を載置した状態のキャリア40を、図9に示す。そして、キャリア40が電子部品装着機10に搬入されると、コントローラ160の指令により、キャリア40がコンベア装置50によって作業位置まで搬送され、その位置において、保持装置52によって固定的に保持される。
詳しくは、キャリア40が電子部品装着機10に搬入され、コンベア装置50により所定の作業位置まで搬送される。なお、キャリア40が作業位置まで搬送されると、コンベア装置50のコンベアベルト66の上に載置されるキャリア40の両縁が、図10に示すように、上下方向においてクランプバー100とクランププレート102との間に位置する。また、キャリア40がコンベア装置50により搬送される際に、昇降テーブル80は下降しているため、昇降テーブル80の上に載置されている突上ピン82も下降している。このため、コンベア装置50により搬送されるキャリア40の下面より下方に、突上ピン82の上端が位置することで、キャリア40の搬送が担保される。
次に、キャリア40が作業位置まで搬送されると、テーブル昇降機構86の作動により、昇降テーブル80が上昇する。なお、昇降テーブル80の上面には、キャリア40に形成された挿入穴126と上下方向において重なるように、突上ピン82が配設されている。また、キャリア40の上には、その挿入穴126と上下方向において位置決め穴172が連通するように、部品カバー122が載せられている。このため、昇降テーブル80の上昇に伴って、図11に示すように、突上ピン82の大径ピン94が、キャリア40の挿入穴126に挿入するとともに、突上ピン82の小径ピン96が、部品カバー122の位置決め穴172に挿入する。この際、位置決め穴172の内径は、突上ピン82の大径ピン94の外径より小さいため、部品カバー122が突上ピン82の大径ピン94によって、上方に向って突き上げられる。これにより、キャリア40の上に磁石120の磁力によって固着されていた部品カバー122が、図12に示すように、キャリア40の上面から上方に向って離間する。なお、昇降テーブル80の上面には、複数の突上ピン82が配設されており、昇降テーブル80の上昇に伴って、それら複数の突上ピン82の大径ピン94が、同時に、キャリア40の複数の挿入穴126に挿入し、突上ピン82の大径ピン94が、同時に、部品カバー122を突き上げる。このため、部品カバー122は、キャリア40の上面から、キャリア40と平行な状態で上方に向って離間する。
また、昇降テーブル80の上昇に伴って、昇降テーブル80の上面にクランププレート102の下端及び、吸引装置110の下端が接触し、クランププレート102及び、吸引装置110も上昇する。そして、クランププレート102及び、吸引装置110の上昇に伴って、クランププレート102の上端及び、吸引装置110の上端が、コンベアベルト66により支持されているキャリア40の下面に接触する。そして、昇降テーブル80が更に上昇することで、コンベアベルト66により支持されていたキャリア40が、図13に示すように、クランププレート102及び、吸引装置110によりコンベアベルト66から持ち上げられ、上昇する。この際、図13に示すように、キャリア40の上面がクランプバー100の下面に接触する位置まで、昇降テーブル80が上昇し、キャリア40が、クランププレート102及び、吸引装置110により持ち上げられる。これにより、キャリア40が、両縁において、クランプバー100とクランププレート102とによって挟持される。この際、吸引装置110は、キャリア40の下面に密着し、上述したように、キャリア40の複数の貫通孔118に連通する。つまり、保持装置52では、昇降テーブル80の上昇に伴って、キャリア40の上面に磁力により固着している部品カバー122が突上ピン82により突き上げられて、キャリア40から離間し、部品カバー122の磁力による固着が解除されたキャリア40が、クランプバー100とクランププレート102とによってクランプされる。
また、上記説明では、図12に示すように、突上ピン82の大径ピン94により部品カバー122が突き上げられることで、部品カバー122がキャリア40の上面から離間した。しかし、キャリア40に埋設されている磁石120の磁力が強い場合には、図14に示すように、突上ピン82の大径ピン94により部品カバー122が突き上げられても、部品カバー122がキャリア40から離間せずに、部品カバー122とキャリア40とが磁力により固着した状態で、突上ピン82により上方に向って持ち上げられる場合がある。このような場合であっても、磁力により固着した状態の部品カバー122とキャリア40とが持ち上げられることで、図14に示すように、キャリア40の上面がクランプバー100に接触する。そして、キャリア40の上面がクランプバー100に接触した状態で、昇降テーブル80が上昇することで、部品カバー122が突上ピン82の大径ピン94により突き上げられる。この際、キャリア40の上昇は、クランプバー100により規制されるため、部品カバー122のみが突上ピン82により持ち上げられ、図13に示すように、部品カバー122が、キャリア40の上面から離間する。なお、キャリア40の上面がクランプバー100に接触した状態で、昇降テーブル80が上昇することで、クランププレート102も上昇し、部品カバー122の磁力による固着が解除されたキャリア40が、クランプバー100とクランププレート102とによってクランプされる。
このように、部品カバー122の磁力による固着が解除されたキャリア40が、クランプバー100とクランププレート102とによってクランプされると、キャリア40に形成されている貫通孔118と吸引装置110とが連通し、吸引装置110の作動により貫通孔118からエアが吸引される。また、装着ヘッド24が、コントローラ160の指令により、キャリア40の上方に移動し、キャリア40の上面から離間している部品カバー122が、吸着ノズル140によって吸着保持される。そして、吸着ノズル140により保持された部品カバー122が、移動装置22の作動により、キャリア40の上方からカバー載置台34の上に移載される。つまり、部品カバー122が装着ヘッド24により持ち上げられ、キャリア40の上方からカバー載置台34の上に搬送される。
続いて、キャリア40の上から3枚の部品カバー122がカバー載置台34の上に順次移載されると、マークカメラ30が、コントローラ160の指令により、部品カバー122の取り除かれたキャリア40の上方に移動し、キャリア40を撮像する。これにより、コントローラ160において撮像データが分析され、キャリア40の保持位置等に関する情報が得られる。また、供給装置26では、コントローラ160の指令により、電気部品112が載置されたトレイ156が、トレイ移動装置158の作動により、部品供給位置に引き出される。
そして、装着ヘッド24が、コントローラ160の指令により、部品供給位置であるトレイ156の上方に移動し、吸着ノズル140によって電気部品112を吸着保持する。なお、吸着ノズル140によって部品カバー122が保持され、キャリア40の上からカバー載置台34の上に移載された後に、装着ヘッド24に装着されている吸着ノズル140は交換されることなく、電気部品112を保持する。つまり、装着ヘッド24に装着された同一の吸着ノズル140によって、電気部品112と部品カバー122との各々が保持される。
続いて、装着ヘッド24は、コントローラ160の指令により、パーツカメラ28の上方に移動し、パーツカメラ28によって、吸着ノズル140に保持された電気部品112が撮像される。これにより、コントローラ160において撮像データが分析され、部品の保持姿勢や保持位置等に関する情報が得られる。そして、装着ヘッド24が、コントローラ160の指令により、キャリア40の上方に移動し、保持している電気部品112を、キャリア40の保持位置,電気部品112の保持姿勢等を補正し、図15に示すように、キャリア40の部品載置部116に装着する。この際、部品載置部116では、貫通孔118からエアが吸引されているため、部品載置部116に装着された電気部品112がエアの吸引により固定され、位置ズレが防止される。
そして、キャリア40への電気部品112の装着作業が完了すると、カバー載置台34の上に移載された部品カバー122がキャリア40の上に戻される。つまり、装着ヘッド24が、コントローラ160の指令により、カバー載置台34の上方に移動し、カバー載置台34の上に載せられている部品カバー122が、吸着ノズル140によって吸着保持される。続いて、吸着ノズル140により保持された部品カバー122が、移動装置22の作動により、カバー載置台34の上からキャリア40の上に順次移載される。この際、部品カバー122の位置決め穴172に、キャリア40の挿入穴126から上方に向って突出している突上ピン82の小径ピン96が挿入されるように、部品カバー122がキャリア40の上に載置される。なお、キャリア40がクランプバー100とクランププレート102とによりクランプされている状態では、図13に示すように、突上ピン82の大径ピン94は、キャリア40の上面より上方に位置しているため、部品カバー122は、キャリア40の上面から上方に離間した状態で、キャリア40の上方に載置される。これにより、部品カバー122は、キャリア40の上方において、突上ピン82の小径ピン96により位置決めされる。
そして、3枚の部品カバー122がキャリア40の上方において突上ピン82によって位置決めされると、テーブル昇降機構86の作動により昇降テーブル80が下降する。この際、クランプバー100が下降し、クランプバー100とクランププレート102とによるキャリア40のクランプが解除される。また、突上ピン82も下降するため、突上ピン82の下降に伴って、部品カバー122も下降し、部品カバー122がキャリア40の上面に載せられる。
この際、電気部品112が装着されたキャリア40の上に、外周の一部が覆われるものの、露出孔170を介して、電気部品112が露出するように、部品カバー122が載せられる(図16参照)。これにより、部品カバー122が磁石120によりキャリア40に固着され、キャリア40に装着された電気部品112の外縁部が部品カバー122の露出孔170を区画する縁部により押えられる。つまり、昇降テーブル80の下降に伴って、キャリア40の上に載置された電気部品112が、磁石120の磁力によりキャリア40と部品カバー122とに挟持され、位置ズレが防止される。このため、昇降テーブル80の下降に伴って、吸引装置110による電気部品112の吸引が解除される。
このように、電子部品装着機10では、部品カバー122が、キャリア40の上から、一端、取り外された後に、キャリア40の上に電気部品112が装着され、再度、キャリア40の上に部品カバー122が装着される。つまり、部品カバー122は、装着ヘッド24によってキャリア40に対して着脱され、電気部品112は、キャリア40に対して装着される。そして、昇降テーブル80が更に下降することで、図10に示すように、キャリア40がコンベアベルト66の上に載置される。これにより、コンベアベルト66が作動することで、電気部品112と部品カバー122が載置されたキャリア40が電子部品装着機10から搬出される。
なお、電子部品装着機10から搬出されたキャリア40は、例えば、電子部品装着機10の下流側にある異なる電子部品装着機に搬入され、キャリア40の上に載せられている部品カバー122の露出孔170を介して、図16に示すように、電気部品112の上に、別の種類の電気部品180が装着される。これにより、電気部品112を含む製品が製造される。
ちなみに、部品カバー122は、キャリア40の搬送時における電気部品112の位置ズレ、あるいは電気部品112に別の電気部品180を装着する際にかかる力によって発生する電気部品112のズレを防止するものであり、キャリア40と導通する場合はあるものの、電気回路を構成するものでない。このため、電気部品112を含む電気回路を構成する製品の製造が完了した後に、部品カバー122は、キャリア40の上から取り除かれる。また、キャリア40は、電気回路を構成する製品を製造する上で、電気部品112を搬送するために用いられるものであり、電気部品112を含む製品が製造されると、その製品はキャリア40から取り外される。このため、電気部品112は、単体、若しくは、電気部品112に装着される別の電気部品180とともに電気回路を構成する。
このように、電子部品装着機10では、キャリア40が保持装置52によりクランプされる際に、部品カバー122が突上ピン82により突き上げられることで、キャリア40の上面から離間する。このため、電気部品112を保持するための吸着ノズル140であっても、部品カバー122を適切に保持し、部品カバー122の保持作業と、電気部品112の保持作業とを、吸着ノズル140により実行することができる。
詳しくは、従来の電子部品装着機では、磁石120の磁力によりキャリア40の上面に固着している部品カバー122が、吸着ノズルにより保持され、キャリア40の上面から取り外されていた。しかしながら、磁石120の磁力に抗して部品カバー122をキャリア40の上面から取り外すためには、吸引力の高い吸着ノズルを用いる必要があったり、吸引力を高くするための特殊な機構が必要であった。このため、その特殊な機構によるコストの増加,構造の複雑化を招くデメリットがあった。また、部品カバー122の保持作業を、吸引力の高い吸着ノズルを用いて実行し、電気部品112の保持作業を、通常の吸引力の吸着ノズルを用いて実行する場合には、吸着ノズルの交換作業が必要となり、サイクルタイムが長くなる。また、吸着ノズルを用いて部品カバー122の保持作業を行わない場合には、部品カバー122の保持作業を行うための専用の機構が必要となり、この場合においても、コストの増加,構造の複雑化を招くデメリットがあった。一方で、電子部品装着機10では、部品カバー122が突上ピン82により突き上げられることで、キャリア40の上面から離間し、キャリア40から離間した状態の部品カバー122が吸着ノズル140により保持される。このため、吸引力を高くするための特殊な機構を用いることなく、電気部品112を保持するための吸着ノズル140により、部品カバー122を適切に保持することが可能となる。これにより、特殊な機構によるコストの増加,構造の複雑化を防止するとともに、吸着ノズルの交換によるサイクルタイムの冗長をも防止することができる。また、部品カバー122の保持作業を行うための専用の機構も不要であるため、その専用の機構によるコストの増加,構造の複雑化をも防止することができる。
また、部品カバー122は、昇降テーブル80の上昇に伴って、突上ピン82により突き上げられる。昇降テーブル80は、キャリア40がクランプされる際に上昇されるが、その昇降テーブル80の上昇を利用して、部品カバー122が突上ピン82により突き上げられる。つまり、部品カバー122を突き上げるための駆動源は、キャリア40をクランプするための駆動源が利用されている。これにより、部品カバー122を突き上げるために新たな駆動源の搭載を防止し、新たな駆動源によるコストの増加,構造の複雑化を防止することができる。
さらに言えば、部品カバー122は、複数の突上ピン82により突き上げられるため、キャリア40と平行な状態で、キャリア40の上面から上方に離間する。これにより、部品カバー122を吸着ノズル140により適切に保持することが可能となる。また、キャリア40の上面から部品カバー122が離間する際に、部品カバー122が複数の突上ピン82により突き上げられるため、部品カバー122にかかる負荷が複数箇所に分散される。これにより、キャリア40から部品カバー122を安定的に着脱することが可能となる。
ちなみに、上記実施例において、電子部品装着機10は、作業機の一例である。搬送保持装置20は、搬送装置の一例である。装着ヘッド24は、作業ヘッドの一例である。キャリア40は、板状部材の一例である。突上ピン82は、突上部材の一例である。電気部品112は、電気回路を構成する部品の一例である。部品カバー122は、電気回路を構成しない部品の一例である。吸着ノズル140は、吸着ノズルの一例である。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、キャリア40の挿入穴126を介して、部品カバー122が突上ピン82により突き上げられているが、挿入穴126を介さずに、部品カバー122が突上ピン82により突き上げられてもよい。このような場合には、例えば、部品カバー122の縁部がキャリア40の縁からはみ出ており、その部品カバー122の縁部が突上ピン82により突き上げられてもよい。
また、上記実施例では、キャリア40の真下から部品カバー122が突上ピン82により突き上げられているが、例えば、キャリア40の斜め下方から部品カバー122が突上ピン82により突上げられてもよい。つまり、部品カバー122は、キャリア40の下方、言い換えれば、キャリア40の下面より下の位置から上方に向って、突上ピン82により突き上げられれば良い。
また、上記実施例では、部品カバー122の全体が、突上ピン82の突き上げによって、キャリア40から離間しているが、磁石120の磁力の影響が弱まる程度に、部品カバー122の一部のみがキャリア40から離間してもよい。つまり、突上ピン82の突き上げによって、部品カバー122の全体がキャリア40から浮き上がっていなくても、部品カバー122の少なくとも一部がキャリア40から浮き上がっていればよい。また、突上ピン82の形状は拘らない。キャリア40から部品カバー122を突上げ可能な部材であればよい。
また、上記実施例では、部品カバー122が電気部品112の一部を覆うようにキャリア40に載置されることで、電気部品112の位置ズレが防止されているが、部品カバー122等の部材を電気部品112に重なるように載置さえすれば、電気部品112の位置ズレを防止することができる。例えば、板状の質量の小さい部材を、電気部品112の全体を覆うように載置してもよく、塊状の質量の大きい部材を、電気部品112の上面の一部に載置してもよい。また、キャリア40への部品カバー122の固定は、磁性体や磁石に限定されるものではなく、例えば、粘性物質を利用したものや、部品カバー122の材質をラバーなどの軟質材にしたものでもよい。また、電気部品112に対して、比重が重い材料を用いて部品カバー122を形成してもよい。
また、上記実施例では、装着ヘッド24に装着された同一の吸着ノズル140により、電気部品112の装着作業と部品カバー122の着脱作業とが選択的に実行されているが、異なる種類の吸着ノズルにより、電気部品112の装着作業と部品カバー122の着脱作業とが選択的に実行されてもよい。つまり、例えば、装着ヘッド24に装着されたノズル径の大きな吸着ノズルにより部品カバー122が保持され、ノズルステーションに具備された複数種類の保持具のうちから装着ヘッド24が自動で交換した別の種類であるノズル径の小さな吸着ノズルにより電気部品112が保持されてもよい。なお、それら吸着ノズル140は、通常の実装機において、回路基板に電気部品を実装する場合に使用される金属性の部品吸着ノズルであっても良い。
また、上記実施例では、1台の電子部品装着機10が1台の装着ヘッド24を備えており、その1台の装着ヘッド24により、電気部品112と部品カバー122とが保持されているが、1台の電子部品装着機が2台以上の装着ヘッドを備え、2台以上の装着ヘッドのうちの1台の装着ヘッドにより、電気部品112と部品カバー122とが保持されてもよい。また、2台以上の装着ヘッドにより、電気部品112と部品カバー122とが個別に保持されてもよい。また、2台以上の各々の装着ヘッドにより、電気部品112と部品カバー122とが保持される場合には、2台以上の装着ヘッドに同じ種類の吸着ノズルを装着し、それら同じ種類の吸着ノズルにより、電気部品112と部品カバー122とが保持されてもよい。一方、2台以上の装着ヘッドに異なる種類の吸着ノズルを装着し、それら異なる種類の吸着ノズルにより、電気部品112と部品カバー122とが保持されてもよい。また、電気部品112と部品カバー122とを2台以上の装着ヘッドで同時に保持して作業を行ってもよい。複数の装着ヘッドを用いることで、さまざまな種類の電気部品と部品カバーとを保持して作業を行うことが出来、延いてはサイクルタイムの短縮に繋がる。また、2台以上の各々の装着ヘッドは、ひとつの移動装置に取り付けられ同時に移動するものであっても良いし、1台の電子部品装着機に複数の移動装置を設けて、それぞれの装着ヘッドを個別に移動させるものであってもよい。
また、上記実施例では、キャリア40に電気部品112が装着されているが、回路基板などに電気部品112が装着されてもよい。このように、回路基板などに電気部品112が装着され、回路基板と電気部品112とが電気的に導通する場合は、回路基板と電気部品112とによって電気回路が構成される。つまり、部品カバー122が載置される部材は、電気回路を構成しない部品であっても、電気回路を構成する部品であってもよい。
また、例えば、上記実施例では、吸着ノズル140により、電気部品112の保持作業と部品カバー122の保持作業とが選択的に実行されているが、2以上の爪部材により部品を把持する保持具、所謂、チャックにより、電気部品112の保持作業と部品カバー122の保持作業とが選択的に実行されてもよい。このような場合には、部品カバー122などに、チャックにより把持される突起部等を形成すれば保持が容易である。
また、ひとつの装着ヘッドが備える複数の保持装置(たとえば吸着ノズル)によって、複数枚の部品カバー122を同時に移載しても良い。
また、搬送保持装置が回路基板を搬送・保持してその回路基板に電気部品を装着する場合には、昇降テーブル80に、回路基板の下面を保持するための複数のバックアップピンが自動的に装着される。
また、上記実施例において用いられる電気部品112と別の電気部品180とは、異なる種類の電気部品であっても良いし、同じ種類の電気部品であっても良い。
また、上記実施例では、キャリア40がクランプ装置88によりクランプされていない状態で、キャリア40に上に載置されている部品カバー122が、突上ピン82により突き上げられているが、キャリア40がクランプ装置88によりクランプして位置決めされた状態で、キャリア40に上に載置されている部品カバー122が、突上ピン82により突き上げられてもよい。