JP7270578B2 - 抗菌性ハードコート、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
(C2)アセトフェノン系光重合開始剤 80~20質量%からなり、ここで上記成分(C1)と上記成分(C2)との和は100質量%である第4の発明に記載のハードコートである。
(1)フィルム基材の少なくとも一方の面の上に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物のウェット塗膜を形成する工程;
(2)上記工程(1)で得たウェット塗膜を予備乾燥し、乾燥塗膜にする工程;
(3)上記工程(2)で得た乾燥塗膜の面の上に、活性エネルギー線透過性フィルムを重ね、仮貼りする工程;及び、
(4)上記工程(3)で得た積層体に活性エネルギー線を照射し、上記乾燥塗膜を硬化させる工程;
を含む、
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなり、
黄色ぶどう球菌について、JIS Z2801:2010に従い、温度23℃において測定した抗菌活性値が2以上であるハードコートの製造方法である。
上記成分(A)は、1分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートであり、1分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するため、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により重合・硬化して、ハードコートを形成する働きをする。
上記成分(B)は、有機窒素硫黄系抗菌剤であり、1分子中に1以上の窒素原子と1以上の硫黄原子を有する有機化合物である。上記成分(B)の好ましい典型例としては、ヘテロ原子として1以上の窒素原子を含むヘテロ環化合物であって、1分子中に1以上の硫黄原子を有するものであってよい。
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、活性エネルギー線による硬化性を良好にする観点から、上記成分(C)光重合開始剤を更に含ませることが好ましい。
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、ハードコートの耐候性を良好にする観点から、上記成分(D)紫外線吸収剤を更に含ませることが好ましい。
(2)上記工程(1)で得たウェット塗膜を予備乾燥し、乾燥塗膜にする工程;
(3)上記工程(2)で得た乾燥塗膜の面の上に、活性エネルギー線透過性フィルムを重ね、仮貼りする工程;及び、
(4)上記工程(3)で得た積層体に活性エネルギー線を照射し、上記乾燥塗膜を硬化させる工程;
を含む方法により得ることができる。
(1’)活性エネルギー線透過性フィルムの少なくとも一方の面の上に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物のウェット塗膜を形成する工程;
(2’)上記工程(1’)で得たウェット塗膜を予備乾燥し、乾燥塗膜にする工程;
(3’)上記工程(2’)で得た乾燥塗膜の面の上に、フィルム基材を重ね、仮貼りする工程;及び、
(4’)上記工程(3’)で得た積層体に活性エネルギー線を照射し、上記乾燥塗膜を硬化させる工程;
を含む方法により得ることができる。
後述の方法は、前述の方法と比較して、耐溶剤性の低いフィルム基材にも適用できるという利点を有する。前述の方法は、後述の方法と比較して、フィルム基材が化粧シートの構成層の1つである場合に、フィルム基材とハードコートとの密着性を高めることが容易であるという利点を有する。
(イ)抗菌性1:
JIS Z2801:2010に従い、黄色ぶどう球菌(Staphylococcus aureus 、NBRC12732)を用い、温度23℃、試験菌液の生菌数1.4×104/mL、及び接種量0.4mLの条件で、化粧シートから採取した縦50mm、横50mmの大きさの試験片のハードコート面について測定した。ブランクは、化粧シートのフィルム基材(下記(α-1))から採取した縦50mm、横50mmの大きさのもののハードコート形成面とした。カバーフィルムには縦40mm、横40mm、厚み0.09mmのポリエチレンフィルムを用いた。また清浄化は、試験片の全面を、純度99%以上のエタノールを吸収させた局方ガーゼで軽く拭いた後、十分に乾燥させることにより行った。
メチシリン耐性黄色ぶどう球菌(Methicillin resistant Staphylococcus aureus 、IID1677)を用い、試験菌液の生菌数を1.0×104/mLとしたこと以外は、上記(イ)抗菌性1と同様に測定した。
化粧シートをそのハードコート面が表面になるようにJIS L0849:2013の学振形試験機(摩擦試験機2形)に置いた。続いて、学振形試験機の摩擦端子に#0000のスチールウールを取り付けた後、500g荷重を載せ、試験片の表面を10往復擦った。当該摩擦箇所を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:傷がない
○:1~5本の傷がある
△:6~10本の傷がある
×:11本以上の傷がある
化粧シートのハードコート面を株式会社パイロットの赤色の万年筆用ボトルインク「INK-30(商品名)」によりスポット汚染した後、汚染部分を時計皿で被覆し、室温で24時間放置した。次いで、汚染部分を、蒸留水を十分含ませた日本製紙クレシア株式会社の紙ワイパー「キムワイプ(商品名)」を用いて、紙ワイパーに新たな汚れが付かなくなるまで拭いて洗浄した後、上記部分を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:汚染無し
○:汚染が僅かに残っている
△:汚染がかなり残っている
×:汚染が著しく残っている
JIS Z 8722:2009に従い、コニタミノルタジャパン株式会社の分光測色計「CM600d」を使用し、幾何条件c、鏡面反射となる成分含む条件で、XYZ座標を測定し、これをL*a*b*座標に換算することにより、下記フィルム基材(α-1)のハードコート形成面側から光を入射したときの色を測定した。同様に化粧シートのハードコート面側から光を入射したときの色を測定した。両者のCIELAB色差をJIS Z8781-4:2013の4.3色差に準拠して算出した。CIELAB色差は好ましくは1.6以下、より好ましくは1.2以下、更に好ましくは0.8以下であってよい。
JIS-K6902:2007の曲げ成形性(B法)を参考とし、温度23℃±2℃、相対湿度50±5%にて24時間状態調節した試験片について、曲げ温度23℃±2℃、折り曲げ線は化粧シートのマシン方向と直角となる方向とし、化粧シートのハードコートが外側となるように折り曲げて曲面が形成されるようにして行った。クラックが発生しなかった成形ジグのうち正面部分の半径の最も小さいものの正面部分の半径を最小曲げ半径とした。この「正面部分」は、JIS K6902:2007の18.2項に規定されたB法における成形ジグに関する同用語を意味する。最小曲げ半径は好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm以下、更に好ましくは35mm以下であってよい。
化粧シートのハードコート面を、蛍光灯の光の入射角をいろいろと変えて当てながら、蛍光管の映り込みや表面凹凸や曇感を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:表面にうねりや傷がない。曇感がなく、蛍光管の映り込みは鮮明である。
○:僅かにうねりがある。蛍光管の映り込みは鮮明である。
△:蛍光管の映り込みが少し不鮮明となる。
×:表面に凹凸多数あり、蛍光灯の蛍光管は不鮮明となる。
(A)多官能(メタ)アクリレート:
(A-1)日本化薬株式会社のジペンタエリスリトールヘキサアクリレート。
(A-2)特開2013-064098号公報の段落0055に従い合成した1分子中に4のアクリロイル基を有するエタノールアミン変性ポリエーテルアクリレート。
(B-1)有効成分として、溶剤中に2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンを2.5質量%、1,2‐ベンゾイソチアゾリン‐3‐オンを2.5質量%、及び1‐ヒドロキシピリジン‐2(1H)‐チオンを4.0質量%含む抗菌剤。従って、上記成分(B-1)を1質量部配合したとは、上記(B)抗菌剤を0.09質量部配合したことを意味する。
(C-1)BASF社のアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(2,4,6‐トリメチルベンゾイル‐ジフェニル‐フォスフィンオキサイド)「IRGACURE TPO(商品名)」。
(C-2)BASF社のアセトフェノン系光重合開始剤(1‐ヒドロキシ‐シクロヘキシル‐フェニルケトン)「IRGACURE184(商品名)」。
(C-3)BASF社のアセトフェノン系光重合開始剤(2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン‐1‐オン)「IRGACURE1173(商品名)」。
(D-1)BASF社のシアノアクリレート系紫外線吸収剤「ユビナール3039(商品名)」。(2‐エチルヘキシル)‐2‐シアノ‐3,3‐ジフェニルアクリレート。
(E-1)東ソー株式会社の1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物「コロネートHX(商品名)」。
(E-2)メチルエチルケトン。
(α-1)リケンテクノス株式会社の白色ポリエステル系樹脂フィルム「HR(WHT)(商品名)」。厚み250μm。
(β-1)厚み50μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム。活性エネルギー線透過率82%。
(1)上記成分(A-1)50質量部、上記成分(A-2)50質量部、上記成分(B-1)2質量部、上記成分(C-1)2質量部、上記成分(C-2)3質量部、上記成分(D-1)3質量部、上記成分(E-1)2質量部、及び上記成分(E-2)150質量部を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、上記フィルム基材(α-1)の片方の面の上に、フィルムメイヤーバー方式の塗工装置を使用し、硬化後の厚みが10μmとなるように、ウェット塗膜を形成した。
(2)次に温度90℃に設定された乾燥炉内を、入口から出口までパスするのに要する時間が1分となるようなライン速度でパスさせ、上記ウェット塗膜を予備乾燥し、乾燥塗膜にした。
(3)次に図1に概念図を示す装置を使用し、上記フィルム基材(α-1)と上記乾燥塗膜との積層体1を、温度30℃に予熱された回転する加熱ドラム3の上に、上記積層体1の上記乾燥塗膜とは反対側の面が加熱ドラム3側となるようにのせ、更に上記活性エネルギー線透過性フィルム(β-1)2を、上記乾燥塗膜の面の上にのせ、圧着ロール4により圧着することにより、上記乾燥塗膜の面の上に、上記活性エネルギー線透過性フィルム(β-1)を重ね、仮貼りした。次に上記フィルム基材(α-1)、上記乾燥塗膜、及び上記活性エネルギー線透過性フィルム(β-1)をこの順に有する積層体6を、ガイドロール5により加熱ドラム3からリリースした。
(4)次に高圧水銀灯タイプの紫外線照射装置を使用し、積層体6の上記活性エネルギー線透過性フィルム(β-1)面側から、積算光量240mJ/cm2の条件で活性エネルギー線を照射し、上記乾燥塗膜を硬化させ、ハードコートを形成した。
(5)続いて、上記活性エネルギー線透過性フィルム(β-1)を剥離除去し、上記フィルム基材(α-1)の片方の面の上にハードコートを有する化粧シートを得た。上記試験(イ)~(ト)を行った。結果を表1に示す。
用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の配合を表1又は2に示すように変更したこと以外は、例1と同様に行った。結果を表1又は2に示す。
上記成分(A-1)50質量部、上記成分(A-2)50質量部、上記成分(B-1)2質量部、上記成分(C-1)2質量部、上記成分(C-2)3質量部、上記成分(D-1)3質量部、上記成分(E-1)2質量部、及び上記成分(E-2)150質量部を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、上記フィルム基材(α-1)の片方の面の上に、フィルムメイヤーバー方式の塗工装置を使用し、硬化後の厚みが10μmとなるように、ウェット塗膜を形成した。次に温度90℃に設定された乾燥炉内を、入口から出口までパスするのに要する時間が1分となるようなライン速度でパスさせ、上記ウェット塗膜を予備乾燥し、乾燥塗膜にした。次に高圧水銀灯タイプの紫外線照射装置を使用し、上記乾燥塗膜に積算光量240mJ/cm2の条件で活性エネルギー線を照射することにより、上記乾燥塗膜を硬化させ、ハードコートを形成した。こうして上記フィルム基材(α-1)の片方の面の上にハードコートを有する化粧シートを得た。上記試験(イ)~(ト)を行った。結果を表2に示す。
用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の配合を表2に示すように変更したこと以外は、例11と同様に行った。結果を表2に示す。
2:活性エネルギー線透過性フィルム
3:加熱ドラム
4:圧着ロール
5:ガイドロール
6:フィルム基材、予備乾燥塗膜、及び活性エネルギー線透過性フィルムをこの順に有する積層体
Claims (9)
- ハードコートの製造方法であって、
(1)フィルム基材の少なくとも一方の面の上に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物のウェット塗膜を形成する工程;
(2)上記工程(1)で得たウェット塗膜を予備乾燥し、乾燥塗膜にする工程;
(3)上記工程(2)で得た乾燥塗膜の面の上に、活性エネルギー線透過性フィルムを重ね、仮貼りする工程;及び、
(4)上記工程(3)で得た上記フィルム基材の少なくとも一方の面の上に、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜を有し、該乾燥塗膜の面の上に更に上記活性エネルギー線透過性フィルムが重ね仮貼りされた積層体に活性エネルギー線を照射し、上記乾燥塗膜を硬化して、ハードコートを形成させる工程;
を含み、
ここで、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は(A)多官能(メタ)アクリレート;及び、(B)有機窒素硫黄系抗菌剤;を含み;
上記ハードコートは、黄色ぶどう球菌について、JIS Z2801:2010に従い、温度23℃において測定した抗菌活性値が2以上である;
上記ハードコートの製造方法。
- ハードコートの製造方法であって、
(1’)活性エネルギー線透過性フィルムの少なくとも一方の面の上に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物のウェット塗膜を形成する工程;
(2’)上記工程(1’)で得たウェット塗膜を予備乾燥し、乾燥塗膜にする工程;
(3’)上記工程(2’)で得た乾燥塗膜の面の上に、フィルム基材を重ね、仮貼りする工程;及び、
(4’)上記工程(3’)で得た上記活性エネルギー線透過性フィルムの少なくとも一方の面の上に、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜を有し、該乾燥塗膜の面の上に更に上記フィルム基材が重ね仮貼りされた積層体に活性エネルギー線を照射し、上記乾燥塗膜を硬化して、ハードコートを形成させる工程;
を含み、
ここで、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は(A)多官能(メタ)アクリレート;及び、(B)有機窒素硫黄系抗菌剤;を含み;
上記ハードコートは、黄色ぶどう球菌について、JIS Z2801:2010に従い、温度23℃において測定した抗菌活性値が2以上である;
上記ハードコートの製造方法。
- 上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、
(A)多官能(メタ)アクリレート;
(B)有機窒素硫黄系抗菌剤;及び、
(C)光重合開始剤;
を含む請求項1又は2に記載のハードコートの製造方法。
- 上記成分(C)が(C1)アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤を含む請求項3に記載のハードコートの製造方法。
- 上記成分(C)が、
(C1)アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤 20~60質量%と
(C2)アセトフェノン系光重合開始剤 80~20質量%からなり、
ここで上記成分(C1)と上記成分(C2)との和は100質量%である
請求項3又は4に記載のハードコートの製造方法。
- 上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、更に紫外線吸収剤を含む請求項1~5の何れか1項に記載のハードコートの製造方法。
- 上記紫外線吸収剤がシアノアクリレート系紫外線吸収剤を含む請求項6に記載のハードコートの製造方法。
- 上記成分(B)有機窒素硫黄系抗菌剤が、2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン、1,2‐ベンゾイソチアゾリン‐3‐オン、5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン、2‐n‐オクチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン、及び1‐ヒドロキシピリジン‐2(1H)‐チオンからなる群から選択される1種以上を含む請求項1~7の何れか1項に記載のハードコートの製造方法。
- 請求項1~8の何れか1項に記載のハードコートの製造方法を使用してハードコートを形成させる工程を含む、化粧シートの製造方法。
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