JP7268300B2 - 紙製容器および紙製容器の製造方法 - Google Patents

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本発明は、紙製容器、より詳しくは、電子レンジで内容物を加熱可能な紙製容器およびこの紙製容器の製造方法に関する。
冷凍食品の包装容器として、特許文献1に記載の紙製容器が知られている。この紙製容器は、一枚の紙製ブランクを折り曲げ、所定の面を接着することにより形成される。
特許第3687396号公報
特許文献1に記載の紙製容器は、例えばアイスクリーム等のように、加熱せずに飲食する食品の容器として優れているが、電子レンジで加熱して飲食に供する食品の容器としては、いまだ改善の余地がある。
例えば、特許文献1には、防水性を高めるために、容器の内面となるブランクの一方の面にポリエチレンの層を設けることが記載されているが、これを電子レンジで加熱すると、ポリエチレン層が発泡してピンホールを生じ、食品の成分がポリエチレン層を通過して紙に染み込む可能性がある。
さらに、詳細は後述するが、この問題への対策として、単に融点の高い樹脂で内層を形成するだけでは、紙製容器の製造効率が著しく低下するという問題がある。
上記事情を踏まえ、本発明は、電子レンジ加熱にも好適に対応し、効率よく製造できる紙製容器およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様は、シート状材料からなるブランクを折り曲げて形成された容器本体を備える紙製容器である。
シート状材料は、紙製の基材と、基材上に形成されたアンカー層と、アンカー層上に形成された厚さ20μm以上60μm未満のシーラント層とを有する。アンカー層は、酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体で形成され、かつ前記酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体に含まれるポリプロピレンの融点が120℃以上150℃以下である。シーラント層は、ホモポリマー型ポリプロピレンで形成され、かつ前記ホモポリマー型ポリプロピレンの融点が135℃以上である。
本発明の第二の態様は、シート状材料からなるブランクを折り曲げて形成された、底面部とその周囲に設けられた側面部とを含む容器本体を備える紙製容器を製造するための紙製容器の製造方法である。
シート状材料は、紙製の基材と、基材上に形成されたアンカー層と、アンカー層上に形成された厚さ20μm以上60μm未満のシーラント層とを有する。
アンカー層は、酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体で形成され、かつ酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体に含まれるポリプロピレンの融点が120℃以上150℃以下である。
シーラント層は、ホモポリマー型ポリプロピレンで形成され、かつホモポリマー型ポリプロピレンの融点が135℃以上である。
この方法は、ブランクをメス型の上方に配置する工程Aと、噴出口を有する熱風供給ユニットをブランクの四隅に設けられた、側面部を形成するための接合部に配置する工程Bと、熱風供給ユニットの一部をカバーで覆い、噴出口の周囲に閉空間を形成する工程Cと、閉空間内に熱風を供給して接合部の前記シーラント層を溶融させる工程Dと、ブランクをメス型に向かって押圧し、ブランクを折り曲げつつ、シーラント層の一部を対向させて接合する工程Eとを備える。
本発明によれば、電子レンジ加熱にも好適に対応し、効率よく製造できる紙製容器およびその製造方法を提供できる。
本発明の一実施形態に係る紙製容器のブランクを示す図である。 同ブランクの模式断面図である。 同紙製容器の製造の一過程を示す図である。 同紙製容器の製造の一過程を示す図である。 同紙製容器の製造の一過程を示す図である。 同紙製容器の製造の一過程を示す図である。 同紙製容器の容器本体を示す図である。 蓋材が接合された同容器本体を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、図1から図8を参照しながら説明する。
本実施形態の紙製容器は、シート状材料を打ち抜いて形成されたブランクを折り曲げつつ熱融着することにより形成される容器本体と、容器本体に取り付けられる蓋材とで構成されている。シート状材料は、紙を主材料としている。
図1に、本実施形態におけるブランク1の形状を示す。ブランク1は略長方形であり、エンボス加工等により複数の折り曲げ線が形成されている。折り曲げ線の一部を四辺として、中央部に紙製容器の底面を構成する四角形の底面部10を有する。底面部10の周囲には、4つの四角形の側面部11、12、13、14が、それぞれ底面部10と四辺の一つを共有して設けられている。隣接する側面部の間には、それぞれ熱融着により接合される接合部21、22、23、24が設けられている。各接合部は、線対称である2つの略三角形状で構成されている。
各側面部11、12、13、14の、底面部10と反対側の辺には、それぞれ略一定幅のフランジ部31、32、33、34が設けられている。各接合部の三角形状の一方には、フランジ部と同一幅の補助フランジ21a、22a、23a、24aが形成されている。
図2に、ブランク1の層構成を示す。ブランク1は、紙製の基材2と、基材2の第一面2a上に形成されたアンカー層3と、アンカー層3上に形成されたシーラント層4とを備えている。ブランク1の層構成は、シート状材料の層構成と同一である。
蓋材は、ブランク1と異なる材料で形成してもよいが、ブランク1と同一の材料で形成すると、紙製容器全体を使用後に可燃ごみとして廃棄でき、分別が不要である。
基材2としては、コートボール、コートマニラ、アイボリー等の各種板紙を使用できる。基材2の一方または両方の面に、意匠性の向上や情報掲載等を目的として各種印刷が施されてもよい。
シーラント層4は、ホモポリマー型のポリプロピレンを主成分として構成されている。このポリプロピレンは、後述する製造工程において作用する熱に十分耐えられるよう、少なくとも135℃以上の融点を有する。融点は150℃以上が好ましい。
シーラント層4の厚さは、20μm以上60μm未満である。
アンカー層3は、酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体を主成分として構成されており、基材2とシーラント層4との密着性を高める。アンカー層3に含まれるポリプロピレンは、後述する製造工程において作用する熱に十分耐えられるよう、少なくとも120℃以上の融点を有する。融点は150℃以上が好ましい。
ブランク1および蓋材においては、第一面2aと反対側の第二面に樹脂層が形成されてもよい。樹脂層の材質は、紙製容器の用途等を考慮して適宜設定でき、シーラント層4と同一であってもよい。
上記のように構成されたブランク1の材料となるシート状材料は、基材2の第一面2aに酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体を塗工等してアンカー層3を形成し、その後シーラント層となる溶融樹脂を押し出しラミネートによりアンカー層3上に積層することで製造できる。このシート状材料を所定の形状に打ち抜くと、ブランク1が完成する。
ブランク1を用いた本実施形態の紙製容器の製造方法について説明する。
まず、ブランク1が、シーラント層4が形成された面を上側にして、紙製容器の外形に対応した形状のメス型上に配置される(工程A)。配置は、バキュームパッドやチャック等により行える。
次に、図3に示すように、熱風供給ユニット101がブランク1の四隅に配置され(工程B)、ブランク1の四隅が熱風供給ユニット101により支持される。熱風供給ユニット101により、製函前にブランク1が反ることが防止される。メス型は、ブランク1の下方にあるため、図示していない。
各熱風供給ユニット101は、図示しない噴出孔を有する。噴出口からは、数百℃の熱風を供給できる。噴出口は、工程Bにおいてブランク1の四隅部にある各接合部21、22、23、24に向けられる。
次に、図4に示すように、各熱風供給ユニット101の一部がカバー102で覆われる(工程C)。各熱風供給ユニット101において、カバー102により、噴出口の周囲が密閉され、熱風が流れ込む閉空間が、各接合部の少なくとも一部を覆うように形成される。
次に、噴出口から熱風が噴出する。熱風によって、各接合部21、22、23、24において少なくとも一部のシーラント層4が溶融し、熱融着可能な状態になる。(工程D)本実施形態では、さらに補助フランジ21a、22a、23a、24aのシーラント層4も溶融し、熱融着可能な状態になる。
熱風は、概ねカバー102により形成された閉空間内にとどまり、閉空間外に漏れた熱風は拡散とともに急速に温度が低下するため、接合部以外のシーラント層4は溶融しない。
次に、カバー102が退避し、紙製容器の内形に対応した形状のオス型が、ブランク1の上方からブランク1に接近する。オス型は、ブランク1に接触し、メス型に向かってブランク1を押圧する。(工程E)。
押圧されたブランク1は、図5に示すように、折り曲げ線に沿って折れ曲がる。このとき、各接合部21、22、23、24は二つの略三角形状の間の折り曲げ線に沿って折り曲げられる。その結果、二つの略三角形状のシーラント層4同士が接近し、接合される。さらに、接合された各接合部21、22、23、24は、折り曲げにより底面部から立ち上がった側面部の一つに沿うように折り曲げられる。この動きに伴って、各補助フランジ21a、22a、23a、24aの溶融したシーラント層4は、接合部が沿った側面部に設けられたフランジ部の裏側に接近し、補助フランジとフランジ部とが接合される。
工程Eの終了後、オス型および熱風供給ユニット101が退避する。ここまでの手順により、容器本体の第一製函が終了し、図6に示すように、容器本体の基本形状50Aが形成される。
その後、別のオス型等により、各フランジ部が底面部と略平行に折り曲げられると、図7に示すように、容器本体50が完成する。
完成した容器本体50は、次工程に運ばれ、内部空間に内容物が充填される。最後に、図8に示すように、容器本体50の上部開口を蓋材60で多い、蓋材60の周縁部と容器本体50のフランジ部とを全周にわたり接合すると、内容物が充填された包装体が完成する。内容物の充填後、適宜のタイミングで、内容物に対し冷凍や乾燥等の所定の処理が行われてもよい。
紙製容器において、ブランクに形成したシーラント層の一部は、紙製容器の最内面を構成する。シーラント層がポリエチレンで形成される場合、耐熱性が劣るため、電子レンジで加熱すると発泡し、ピンホールを生じやすい。ピンホールが生じると、食品の調味成分や油分等が基材に染み込み、外観を大きく損なう。
ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系の樹脂、及びポリメチルペンテン(PMP)等の融点が高い樹脂材料でシーラント層を形成すると、ピンホール発生の可能性を低減することはできる。しかし、これらの材料で形成したシーラント層は、融点が高すぎるために上述した工程Dにおいて熱風を当てても十分に溶けない場合があり、製造効率が著しく低下する。確実に溶融させるために熱風の温度を上げると、基材に焦げを生じることもある。さらに、溶融した場合も、樹脂材料が高温であるために流れてしまい、接合部以外の領域に移動して外観が損なわれるとともに、安定したシール強度が得られない事象が生じた。
シーラント層を形成する樹脂として、他にポリプロピレン(PP)が知られているが、PPは、紙製の基材に対する密着性が低く、積層後、ブランク形成時の打ち抜き加工においてシーラント層が基材から剥離してしまう場合がある。密着性は、高温の雰囲気下でさらに低下するため、電子レンジ加熱によりシーラント層が自然に基材から剥離してしまう場合もある。
PPと基材との密着性を高めるアンカー剤もいくつか知られているが、有機溶剤にしか溶解しないものが多い。これらのアンカー剤を紙製容器に適用すると有機溶剤臭が強くなるため、内容物が飲食物の場合には適用が難しい。
発明者らは、上記事情のもと様々に検討を重ねた。その結果、シーラント層を所定値以上の融点を有するホモポリマー型のポリプロピレンで形成して所定値以上の厚さとするともに、酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体を主成分とするアンカー剤を用い、さらにこのアンカー剤に含まれるポリプロピレンの融点を所定値以上とすることで、製函時および電子レンジ加熱時におけるピンホール発生の可能性を低減しつつ、上述した製造工程においてシーラント層を確実に溶融させて効率よく製造できる構成を確立した。本実施形態に係る紙製容器においては、紙製基材とシーラント層との密着性も高く、ブランク形成時や電子レンジの加熱時におけるシーラント層の剥離可能性が著しく低減されている。
以下、本発明の各構成の効果を示す検討データのいくつかについて示す。
(検討1:PP製シーラント層の厚みとピンホールの発生に関する検討)
以下の材料を用いて検討用のシート材料を形成した。
基材:紙カップ用原紙、(坪量320g/m
シーラント層材料:ホモポリマー型PP(融点160℃、MFR20、密度0.9g/cm
基材の一方の面に、シーラント層材料を押し出しラミネートにより積層して、シーラント層の厚みが異なる複数種類のシート状材料を得た。シーラント層の厚みは、14μm、17μm、20μm、および50μmの4種類とした。各シート状材料を打ち抜いたブランクを用いて、上述した製造手順(熱風温度520℃、風量430ml/分、製函速度50個/分)で検討用の紙製容器を作製した。
なお、アンカー剤の有無はピンホールの発生にほとんど影響しないことが分かっているため、検討1では基材上に直接シーラント層を形成して検討した。
各紙製容器に内容物として五目炒飯(300g)を入れ、冷凍した。その後、電子レンジで加熱した(500W、6分間、加熱後内容物温度 92~95℃)
各紙製容器において、製函完了時および電子レンジ加熱後におけるシーラント層のピンホールの有無を確認した。
検討1の結果を表1に示す。以降の表記載における、〇、×、△は、それぞれ、良い(good)、悪い(bad)、用途等によっては許容できる(fair)を示す。
Figure 0007268300000001
表1に示すように、厚さ14μmのシーラント層では、製函時およびレンジ加熱時の両方でピンホールを生じた。厚さ17μmのシーラント層では、製函時にピンホールは生じなかったが、レンジ加熱時にピンホールを生じた。シーラント層の厚さを20μm以上とすることで、製函時およびレンジ加熱時の両方でピンホール発生を抑制できた。表には示さないが、60μm以上の厚さのシーラント層もピンホールを抑制できたものの、折り曲げ加工性が低下し、製函速度が若干低下した。また、押し出しラミネートによる積層加工やブランク作製時の打ち抜き加工の効率も低下した。
(検討2:PP製シーラント層と紙基材との密着性に対するアンカー剤の影響の検討)
以下の材料を用いて検討用のシート材料を形成した。
基材:紙カップ用原紙、(坪量320g/m
アンカー層材料:以下の3パターンとした。
A1:アンカー層無し
A2:ポリエチレンイミン系アンカー剤
A3:酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体(ポリプロピレン融点150℃)
シーラント層材料:ホモポリマー型PP(融点160℃、MFR20、密度0.9g/cm
基材の一方の面に上記A1~A3のいずれかに従ってアンカー層を形成した。A2およびA3の場合、塗布量は固形分換算で0.5g/mとした。アンカー層上にシーラント層材料を押し出しラミネートにより積層して3種類のシート状材料を得た。シーラント層の厚みは40μmとした。
各シート状材料を用いて試験片を作製し、基材層とシーラント層とを把持して180°剥離を行い、密着の度合いを確認した。剥離条件は、以下の2パターンとした。
・室温(25℃)
・加熱(100℃ 60分)直後
検討2の結果を表2に示す。
Figure 0007268300000002
表2における「紙剥け」とは、紙基材の一部がシーラント層と密着したまま紙基材の残部からはがれる現象を意味する。すなわち、紙剥けが生じたシート状材料においては、PP製シーラント層と紙基材との密着性が高いと言える。
A1およびA2のシート状材料では、紙剥けせずにシーラント層のみが基材から剥離されたのに対し、A3のシート状材料においては、いずれの剥離条件においても、紙剥けを生じた。
以上より、酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体でアンカー層を構成することにより、紙基材とPP製シーラント層との密着性を高めることができ、その密着性は高温環境でも維持されることが示された。
(検討3:酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体に含まれるPP融点の検討1)
酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体に含まれるPP融点が基材とシーラント層との密着性に与える影響について、検討3ではシート状材料を用いて検討した。
以下の材料を用いて検討用のシート材料を形成した。
基材:紙カップ用原紙、(坪量320g/m
アンカー層材料:酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体を用い、以下の4パターン準備した。
B1:含有PPの融点 70℃
B2:含有PPの融点 90℃
B3:含有PPの融点 120℃
B4:含有PPの融点 150℃
シーラント層材料:ホモポリマー型PP(融点160℃、MFR20、密度0.9g/cm
基材の一方の面に上記B1~B4のいずれかに従ってアンカー層を形成した。いずれの場合も、塗布量は固形分換算で0.5g/mとした。アンカー層上にシーラント層材料を押し出しラミネートにより積層して4種類のシート状材料を得た。シーラント層の厚みは40μmとした。
各シート状材料を用いて試験片を作製し、基材層とシーラント層とを把持して180°剥離を行い、剥離強度を測定するとともに、密着の度合いを確認した。剥離条件は、以下の3パターンとした。
・室温(25℃)
・90℃雰囲気下
・110℃雰囲気下
検討3の結果を表3に示す。
Figure 0007268300000003
いずれのシート状材料も室温下では十分な密着強度を有し、紙剥けを生じた。高温の雰囲気下においては、いずれのシート状材料も室温下に比して密着強度が低下した。ただし、B1およびB2のシート状材料では、アンカー層が凝集破壊してシーラント層が基材から完全に剥離したのに対し、B3およびB4のシート状材料では、剥離操作によりシーラント層が伸びたものの、基材から剥離はしなかった。表3には、シーラント層が伸びたときの測定値を示している。
B3およびB4のシート状材料では、シーラント層が伸びたが、これは機械的に力を加えたためである。紙製容器の実際の使用時には、シーラント層にこのような力が加わることはほとんどないため、B3およびB4のシート状材料では、高温雰囲気下でも紙基材とPP製シーラント層との密着状態が好適に保たれると考えられる。
(検討4:酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体に含まれるPP融点の検討2)
酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体に含まれるPP融点が基材とシーラント層との密着性に与える影響について、検討4では紙製容器を用いて検討した。
検討3で作製した各シート状材料を用いて、検討1と同一の条件で紙製容器を作製した。さらに、検討1と同一条件で、内容物を充填し、電子レンジで加熱した。
製函直後の紙製容器と電子レンジ加熱後の紙製容器を用いて試験片を作製し、基材層とシーラント層とを把持して180°剥離を行い、密着の度合いを確認した。
検討4の結果を表4に示す。
Figure 0007268300000004
B1およびB2のシート状材料からなる紙製容器では、製函直後および電子レンジ加熱後のいずれにおいても紙剥けを生じず、密着強度が十分でなかった。B3およびB4のシート状材料からなる紙製容器では、製函直後および電子レンジ加熱後のいずれにおいても紙剥けを生じ、密着強度が十分であった。
B3では、製函工程における熱風によってシーラント層に発泡を生じた。製函時の熱風や電子レンジによる加熱で基材の温度が上昇すると、基材に含まれる水分が水蒸気となる。基材とシーラント層との密着力が弱い場合は、この水蒸気が剥離を生じさせるが、基材とシーラント層とが十分に密着している場合、剥離には至らず、発泡となると考えられる。アンカー層に含まれるPPの融点がより高いB4では、高温環境下でも基材とシーラント層との密着力が低下せず、発生した水蒸気を抑え込んだ結果、発泡を生じなかったと考えられた。B4の構成では、電子レンジ加熱で内容物がさらに高温になっても、発泡の発生を好適に抑制することが期待できる。
以上、本実施形態の紙製容器の各構成に係る効果について説明した。本発明の紙製容器において、蓋材をブランクと同一のシート状材料で形成する場合は、シート状材料のシーラント層にも同様の現象が生じることが推測される。すなわち、蓋材を容器本体と同一のシート状材料で形成することにより、電子レンジ加熱後の開封時に、蓋材において基材とシーラント層とが剥離することも好適に防止することができる。
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。
1 ブランク
2 基材
3 アンカー層
4 シーラント層
101 熱風供給ユニット
102 カバー

Claims (3)

  1. シート状材料からなるブランクを折り曲げて形成された容器本体を備える紙製容器であって、
    前記シート状材料は、
    紙製の基材と、
    前記基材上に形成されたアンカー層と、
    前記アンカー層上に形成された厚さ20μm以上60μm未満のシーラント層と、を有し、
    前記アンカー層は、酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体で形成され、かつ前記酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体に含まれるポリプロピレンの融点が120℃以上150℃以下であり、
    前記シーラント層は、ホモポリマー型ポリプロピレンで形成され、かつ前記ホモポリマー型ポリプロピレンの融点が135℃以上である、
    紙製容器。
  2. 前記シート状材料で形成され、前記容器本体に接合された蓋材をさらに備える、
    請求項1に記載の紙製容器。
  3. シート状材料からなるブランクを折り曲げて形成された、底面部とその周囲に設けられた側面部とを含む容器本体を備える紙製容器の製造方法であって、
    前記シート状材料は、
    紙製の基材と、
    前記基材上に形成されたアンカー層と、
    前記アンカー層上に形成された厚さ20μm以上60μm未満のシーラント層と、を有し、
    前記アンカー層は、酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体で形成され、かつ前記酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体に含まれるポリプロピレンの融点が120℃以上150℃以下であり、
    前記シーラント層は、ホモポリマー型ポリプロピレンで形成され、かつ前記ホモポリマー型ポリプロピレンの融点が135℃以上であり、
    前記ブランクをメス型の上方に配置する工程Aと、
    噴出口を有する熱風供給ユニットを前記ブランクの四隅に設けられた、前記側面部を形成するための接合部に配置する工程Bと、
    前記熱風供給ユニットの一部をカバーで覆い、前記噴出口の周囲に閉空間を形成する工程Cと、
    前記閉空間内に熱風を供給して前記接合部の前記シーラント層を溶融させる工程Dと、
    前記ブランクを前記メス型に向かって押圧し、前記ブランクを折り曲げつつ、前記シーラント層の一部を対向させて接合する工程Eと、
    を備える、
    紙製容器の製造方法。
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