特許法第30条第2項適用 平成30年9月27日,28日山梨県北杜市立の小中学校(須玉小学校、高根東小学校、高根北小学校、長坂小学校、泉小学校、高根中学校、泉中学校、高根清里小学校、明野小学校、武川小学校、白州小学校、小淵沢小学校、高根西小学校、長坂中学校)において、本願に係る「CO2回収装置」について公開
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
図1~図3は、本発明に係る二酸化炭素回収システムの好適な一実施形態を示している。本実施形態は、出発原料として、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムにて行う。簡略化のため、塩化ナトリウムでの場合について記載するが、以降に登場する物質については、ナトリウムの文字や化学式をそのままカリウムに置き換えて構わない。ナトリウムの文字や化学式をそのままカリウムに置き換えることで、塩化カリウムを用いた実施形態や変形例となる。水酸化カリウムの方が、水酸化ナトリウムよりも二酸化炭素の吸収性能が良くなる。
図1~図3に示すように、本実施形態の二酸化炭素回収システムは、水酸化ナトリウム水溶液等を生成し、供給する水酸化ナトリウムステーション1と、その水酸化ナトリウムステーション1から供給された水酸化ナトリウム水溶液等を用いて大気中の二酸化炭素を吸収する等の所定の処理を行うロボット装置本体2を備える。水酸化ナトリウムステーション1は、ロボット装置本体2側で水酸化ナトリウム水溶液内に吸収した二酸化炭素を、当該水酸化ナトリウム水溶液から放出して回収する機能も備える。
水酸化ナトリウムステーション1は、塩化ナトリウム水溶液を電気分解し、反応に必要な水溶液である水酸化ナトリウムを生成する機能を備える。具体的な構成は、以下の通りである。水酸化ナトリウムステーション1は、例えば、テーブル状の架台10の上面に、上下開放した反応用容器11を配置した構成を採る。架台10は、例えば鉄製の細長な鋼材10aを仮想の直方体の各辺に配置し、隣接する各鋼材10aの両端同士を連結して形成される枠体と、その枠体の上面部分に取付けた板材10bとを備えて構成する。これにより、架台10は、下方に所定の作業空間Kを有し、その作業空間Kの周囲が開放した状態となる。
反応用容器11は、例えばペットボトルの底部を切除して開放するとともに天地を逆にしたような形態をとる。本例では、胴部11aは、略角型の筒状態からなり、その胴部11aの下方が徐々に内形状が縮小し、下端が円筒状の排出口11bとなる。反応用容器11の容積は、例えば2リットル程度とすると良い。
反応用容器11内に、矩形状のカゴ部材15を装着する。このカゴ部材15は、例えば図4に示すように、上面が開放し、底面と4つの側面には、金属棒15aを格子状に組み込み金網部15bを配置し、上面の矩形状の周縁の一組の対辺に、外側に突出する引っ掛け部15cを備えた構成を採ると良い。上面の矩形状の外形寸法形状は、例えば反応用容器11の内容寸法形状よりも一回り小さくした形状とすると良く、カゴ部材15を反応用容器11の上方から反応用容器11内に挿入すると、寸法形状の差から反応用容器11内に収納されるとともに、引っ掛け部15cが反応用容器11の上端周縁に接触し、それ以上の進入を抑止する。これにより、カゴ部材15は、反応用容器11の上端周縁に引っかかって吊り下げられた状態で支持される。
このカゴ部材15の内周面側に、半透膜16を配置する。この半透膜16は、例えば、シート状のセロファン膜を用い、カゴ部材15の内周面に沿うように押しつけて全体的にボール状・深い皿状に成型しても良いし、所定形状に加工されたものをカゴ部材15の上からセットするようにしてもよい。この半透膜16により、反応用容器11内の空間が、前後に二分割される。半透膜16に変えて、陽イオン交換膜を用いてもよく、陽イオン交換膜を使用するとさらに高純度の水酸化ナトリウム・水酸化カリウムが得られるのでよい。また、以下の説明では、半透膜16を用いた例について説明するが、半透膜16と記載の部分は、陽イオン交換膜に置き換えても良い。
さらに半透膜16で区分けされた上側の領域には炭素棒17を配置し、半透膜16で区分けされた下側の領域、より具体的にはカゴ部材15の下方に鉄板18を配置する。炭素棒17は、電源線19を介して電源20の正極端子に接続し、陽極を構成する。鉄板18は、電源線19を介して電源20の負極端子に接続し、陰極を構成する。
そして後述するように、使用に際しては、反応用容器11内の2分割された上下の空間内に夫々塩化ナトリウム水溶液である食塩水を充填させ、少なくとも下側の空間に充填した食塩水は半透膜16に接触するようにする。
電源20は、例えば、操作スイッチの操作に基づき、ON/OFFし、電源ONに伴い炭素棒17と鉄板18の電極間に通電がされる。電源20は、直流電源であり、例えば乾電池や、太陽電池等を用いるとよく、特に太陽電池とすると、クリーンエネルギーであるのでより好ましい。電源20の出力電圧は、反応させる水溶液の容量や、処理時間により適宜選択するが、例えば6から12V程度とすると良い。
また、本実施形態では、陽極及び陰極の構成要素として炭素棒17と鉄板18を用いたが、本発明はこれに限るものでは無く、例えば、陽極の極板の材料は炭素棒だけでなく、白金、金等を用いてもよい。また、陰極の極板の材料は鉄だけでなく、例えば炭素棒やマグネシウム、ニッケル、銅、銀、白金、金等を用いても良い。実施形態の炭素棒と17と鉄板18の組み合わせは、比較的容易かつ安価に入手できる材料のため良い。
一方、下端の排出口11bには、連結管13の一端を連結し、連結管13の他端を排水用管部材14の一端を装着する。連結管13は、その途中に開閉バルブ13aを備え、その開閉バルブ13aは操作レバー13bを操作することで、開閉する。
排水用管部材14は、例えばゴム管などの弾力性があって湾曲することができるとともに、反応用容器11から排出される水溶液に対する耐性が良好な材質から形成されるものとすると良い。
架台10の下方空間には、第一容器25を配置する。この第一容器25は、上部が開口した容器であり、使用に際しては、第一容器25内に排水用管部材14の先端部分を配置させる。操作レバー13bを操作して開閉バルブ13aを開くと、反応用容器11の下方の領域に存在する水溶液が、排水用管部材14を経由して外部に排出される。本実施形態では、排水用管部材14の先端を第一容器25内に位置させているので、当該水溶液は第一容器25内に溜まる。
なお本実施形態では、反応用容器11の外形状が、下方部分が先細り状となっており、そのまま起立させるのは不安定であるため、例えば、板材10bの上面の所定位置に、反応用容器11を起立した状態で保持する台座12を設置すると良い。そしてこの台座12に反応用容器11をセットすることで、当該反応用容器11を起立させた姿勢を安定に維持する。
水酸化ナトリウムステーション1は、図2における電気分解ステージを実行する装置である。上述したように、反応用容器11内の半透膜16で区切られる上下の空間に、それぞれ食塩水を充填した状態で両電極間に通電すると、下記のような電気分解を生じ
2NaCl+2H2O→2NaOH+Cl2+H2
下側の空間には水酸化ナトリウム水溶液(2NaOH)が生成される。また上側の空間には電気分解する際に生成される副産物の塩素から、下記の反応が生じて
H2O+Cl2→HCl+HClO
塩酸が生じて溜まる。よって、開閉バルブ13aを開くと、第一容器25内には、下側の空間に生成された水酸化ナトリウム水溶液が排出され、排水用管部材14を介して第一容器25に供給される。
ロボット装置本体2は、第二容器32と、その第二容器32内の水溶液に空気を供給するエアポンプ33を備える。第二容器32は、その上端に第一蓋部材34を着脱自在に装着可能としている。第二容器32内には、水酸化ナトリウムステーション1で生成され第一容器25内に充填供給された水酸化ナトリウム水溶液を充填する。そして第二容器32は、水酸化ナトリウムステーション1において用いた第一容器25と兼用してもよいし、別部材の容器で構成しても良い。兼用する場合、例えば水酸化ナトリウム水溶液が充填された第一容器25を、ロボット装置本体2のそばに移動し、第一蓋部材34を装着する。また、第一容器25と第二容器32を別部材で構成する場合、例えば、水酸化ナトリウム水溶液が充填された第一容器25を、ロボット装置本体2のそばまで持ってきて、第二容器32の第一蓋部材34を開けた状態にして第一容器25内の水酸化ナトリウム水溶液を第二容器32に移し替えた後、第二容器32に第一蓋部材34を装着することで行うと良い。
第一蓋部材34を装着した場合、第一蓋部材34は第二容器32の上端縁に密着した状態で第二容器32を閉塞する。第一蓋部材34は、二カ所に貫通孔34a,34bを有し、一方の貫通孔34aには、エアポンプ33の出力配管に接続する第一管部材35を挿入し、他方の貫通孔34bには第二管部材36を挿入する。図5等に示すように、第二容器32内に挿入した第一管部材35の先端は、第二容器32に充填された水溶液内に進入した状態にし、第二管部材の先端は、当該水溶液の水面と第一蓋部材34の間の空間に位置させて水溶液に接しないようにする。第一管部材35と第二管部材36は、ともに例えばゴム管などの弾力性があって湾曲することができるとともに、反応用容器11から排出される水溶液に対する耐性が良好な材質から形成されるものとすると良い。
このようにすると、エアポンプ33は、大気中の空気を第一管部材35を経由して強制的に第二容器32内の水溶液内に供給する。すると、大気中に含有する二酸化炭素が、水酸化ナトリウムと下記のように反応し、
2NaOH+CO2 →Na2CO3+H2O
Na2CO3+H2O+CO2→2NaHCO3
第二容器32内の水酸化ナトリウム水溶液内に溶け込み、第二容器32内の水溶液は、二酸化炭素を含んだ水溶液となる。またこの水溶液には、炭酸ナトリウムも多く含まれている。
また、エアポンプ33による空気の強制供給に伴い第二容器32内の空気の量が増加するため水溶液の水面と第一蓋部材34の間の空間に存在する空気は、第二管部材36を介して第二容器32の外に排出される。エアポンプ33の運転を継続すると、当該空間に存在する空気は、水酸化ナトリウム水溶液にて二酸化炭素が吸収されるので、二酸化炭素が除去或いは含有率が低減された空気となる。
後述するように、ロボット装置本体2は、移動可能なケース本体50を備え、そのケース本体50内に上述した制御装置31、第二容器32、エアポンプ33等を収納する。係る場合、第二管部材36の第二容器32の外側の先端は、当該ケース本体の外に突出させると良い。ケース本体の外に突出させると、上述した二酸化炭素が除去或いは含有率が低減された空気が、第二管部材36を経由してロボット装置本体2の外に廃棄されることになり、処理前の二酸化炭素を多く含んだ空気が、処理後のものと置換されることになる。よって、上記の処理を繰り返し実行するとで、徐々にCO2削減を図ることができる。なお、ケース本体50は、開閉可能とし、エアポンプ33,第二容器32等は、通常はケース本体50内に収納しておき、使用する際には第二容器32はケース本体50の外に出して行うと良い。
図5に示すように、第一管部材35の先端は、複数の切れ込み35aを入れ、円周方向に複数の短冊状部35bが並んだ形態をとると良い。このようにすると、第一管部材35の先端から放出される空気は、細かい泡の状態となり、より反応が進み、水酸化ナトリウム水溶液内により多くの二酸化炭素が溶け込むので良い。さらに、図示するように、第一管部材35の先端を、第二容器32の内底部に接触させるか、内底部付近に配置すると、先端から放出された空気の泡が、水面に達するまでの移動距離が長くなり、二酸化炭素がより溶け込むので良い。
さらに本実施形態では<第一管部材35の先端側の側面に、内外を貫通する切り込み部35cを設けた。この切り込み部35cを形成する区間は、水酸化ナトリウム水溶液に浸る部分とする。そして、図示するように、切り込み部35cを形成した区間の部位を、例えば第二容器32の内周面に沿って湾曲させるように配置する。すると、切り込み部35cの部分が開きスリット状の隙間が形成され、第一管部材35内を移動する空気の一部は、切り込み部35cから泡となって外部に放出される。係る空気の泡も、水酸化ナトリウム水溶液内を移動しながら上昇し、その移動の際に空気中の二酸化炭素が水酸化ナトリウム水溶液内に溶け込む。よって、より多くの二酸化炭素をより効率よく水酸化ナトリウム水溶液内に溶け込ませて回収できるので良い。上述した第二容器32内部で実行される処理が、CO2吸収ステージとなる。このCO2吸収ステージは、主に、第二容器32とエアポンプ33並びにそれらを結ぶ第一管部材35,第二管部材36等で実現され、さらに、係る処理の制御は、後述するように制御装置31が司る。
上述したようにCO2吸収ステージを実行することで、第二容器32内の水酸化ナトリウム水溶液内には二酸化炭素が溶け込んだ状態となるので、CO2取り出しステージを実行して溶け込んだ二酸化炭素を水酸化ナトリウム水溶液から取り出して回収する。このCO2取り出しステージは、化学反応により溶けた二酸化炭素を気体の二酸化炭素として取り出すステージであり、係るCO2吸収ステージは、水酸化ナトリウムステーション1と、第三容器37等を用いて行う。
この第三容器37は、第二容器32と同様に、上部開放した容器であって、上方開口部位に第二蓋部材38を着脱自在に装着する。第二蓋部材38を装着した場合、第二蓋部材38は第三容器37の上端縁に密着した状態で第三容器37を閉塞する。この第二蓋部材38にも、その天面の所定位置の2箇所に、貫通孔38a,38bを形成する。そして一方の貫通孔38aには、ロート部材39を装着し、他方の貫通孔38bには排気管部材40を挿入する。ロート部材39並びに排気管部材40の各貫通孔38a,38bと接続部分は、例えば接着剤などで気密状態に封止され、固定されるようにすると良い。第二蓋部材38を第三容器37に装着した状態では、ロート部材39並びに排気管部材40以外の部分は密閉される。また、ロート部材39並びに排気管部材40の第三容器37の内側の先端は、第三容器37内の水溶液の水面に接触しないように、突出量を短くすると良い。排気管部材40の先端は、取り出した二酸化炭素の利用空間に接続する。
CO2取り出しステージは、まず、第二容器32に貯留されている二酸化炭素が溶け込んだ水酸化ナトリウム水溶液を、ロート部材39を経由して第三容器37内に移し替える。CO2吸収ステージの実行時において、第二容器32は、水酸化ナトリウム溶液が貯留されており、第一管部材はその前の処理で水酸化ナトリウム溶液内に挿入した状態で空気を導入しているので、少なくとも第一管部材35には、水酸化ナトリウム溶液が付着している。従って、例えば、二酸化炭素が溶け込んだ水酸化ナトリウム水溶液が充填された第二容器32を、第一蓋部材34を取り外すとともに第二蓋部材38を装着してそのまま第三容器37として使用した場合、第一蓋部材34とともに第一管部材35や第二管部材36が第二容器32から完全に外れた状態で室内等に置かれることになると、第一管部材35の表面に付着した水酸化ナトリウム溶液が、例えば床などについたり、人に触れたりすると、アルカリ液でもあるので危険である。そこで、第二容器32と第三容器37は兼用せず、移し替えるようにした。
同様の理由から移し替える際に、例えば第一蓋部材34を完全に第二容器32から取り外すことなく行うようにすると良い。例えば、第一蓋部材34を少しずらした状態で行うと良い。水酸化ナトリウムステーション1と、ロボット装置本体2との設置箇所が離れている場合、例えば少なくとも第一管部材35は、第二容器32内に入れた状態のまま第一蓋部材34とともに水酸化ナトリウムステーション1のそばに移動すると良い。このとき例えば、第一管部材35とエアポンプ33とを簡単に着脱できるようにするとよく、かかる構成を採った場合には、ロボット装置本体2は室内等に置き、第二容器32を第一蓋部材34と各管部材とともに水酸化ナトリウムステーション1のそばに持って行くとよい。それができない場合には、ロボット装置本体2と一緒に移動するとよい。或いは、第三容器37を、ロボット装置本体2のそばに持って行き、ロボット装置本体2付近で第二容器32から第三容器37へ二酸化炭素が溶け込んだ水酸化ナトリウム溶液を移し替えるようにすると良い。
二酸化炭素が溶け込んだ水酸化ナトリウム水溶液を充填した第三容器37の上端に、第二蓋部材38を装着するとともに、水酸化ナトリウムステーション1の排水用管部材14の先端をロート部材39内にセットした状態で、例えば半透膜16に穴を受ける。すると、半透膜16の上側の空間に溜まっていた水溶液が、当該穴を介して反応用容器11の下方の空間に移動し、さらに、排水用管部材14を経由してロート部材39内に排出する。そして、当該水溶液は、ロート部材39により案内され、第三容器37内に充填され、二酸化炭素が溶け込んだ水酸化ナトリウム水溶液と混合される。
すると、半透膜16の上側の領域に止まっていた水溶液は塩酸が含まれているので、第三容器37内では、下記に示す反応が生じ、
Na2CO3+HCl→NaHCO3+NaCl
NaHCO3+HCl→NaCl+H2O+CO2
二酸化炭素(気体)が生成される。このように、本実施形態では、塩酸、すなわち塩化水素の水溶液を使用し、さらに、炭酸水素ナトリウムのみならず、炭酸ナトリウムと中和反応させることで二酸化炭素を取り出す。
そして、生成された二酸化炭素(気体)は、水溶液内を上昇し、水溶液から外に排出され、さらに排気管部材40を経由して第三容器37の外に排出される。よって、排気管部材40の先端から排出される二酸化炭素(気体)を回収し、利用することができる。回収は、例えば、排気管部材40の先端を例えば二酸化炭素貯蔵容器・二酸化炭素ボンベなどの貯留する回収機器等に接続し、当該回収機器等に二酸化炭素を貯めるようにすると良い。このようにすると、二酸化炭素を一時的に貯めることができ、回収機器等を、二酸化炭素を利用する場所に持ち運び有益に利用することができる。
また、利用は、例えば生活に有益なものとして利用するようにするとよく、例えば、図2に示すように二酸化炭素ファーム(CO2Farm)55の空間に供給すると良い。この二酸化炭素ファームは、図7等に示すように、ビニールハウス、建物内の部屋、その他の各種の板材等で区切られた空間内で植物を育成する施設であり、区切られた空間内に、二酸化炭素を供給する。すると、空間内の空気における二酸化炭素の含有率が高くなり、高二酸化炭素濃度の雰囲気で栽培することとなり、植物の育成が良くなる。また、図7に示す例では、排気管部材40の先端を二酸化炭素ファームに接続し、第三容器37から排出される二酸化炭素(気体)を、直接二酸化炭素ファームに供給するようにしたが、上述したように一旦回収機器に回収し、回収機器から二酸化炭素を供給するようにしてもよい。
また利用の別の形態としては、魚をかっている水槽内に入れるようにしてもよい。さらには、触媒等を用いてメタンなどの燃料に変換して利用したり、有機物を合成して食料や栄養源として利用したりすることもできる。この技術を応用し例えば火星探査で火星のCO2大気からCO2を回収し、そのCO2から食料を生産するのに適用すると良い。
また、二酸化炭素(気体)が排出され、第三容器37内に残った水溶液は、NaCl+H2Oとなり、食塩水となる。従って、二酸化炭素を回収し終えて第三容器37に残った水溶液は、例えば、穴を開けていない新しい半透膜16をカゴ部材15内にセットした反応用容器11に充填し、電気分解ステージに利用する。このように、「電気分解ステージ」→「CO2吸収ステージ」→「CO2取り出しステージ」→「電気分解ステージ」→……というように各ステージで処理をして生成される水溶液を次のステージを実行する容器に入れ、当該次のステージに使用するための水溶液に利用でき、エンドレスで処理が行えるので好ましい。
ところで、本実施形態では、エアポンプ33の動作は、制御装置31が管理する。図1に示すように、ロボット装置本体2は、制御装置31,エアポンプ33,第二容器32等に加え、さらに、マイクユニット41,操作スイッチ42,スピーカ43,発光部44,表示パネル45,GPSユニット46,通信インタフェース47,太陽電池48並びに電源回路49等を備える。これらの装置・機器は、図6に示すようなケース本体50の内部或いは外部に実装され、ケース本体50と一体になって移動可能となる。例えばエアポンプ33,第二容器32は、例えばケース本体50の内部空間に配置する。
本実施形態では、ロボット装置本体2は、自走式とすると良く、ケース本体50の底面付近の四隅に、それぞれ、車輪部52を配置する。車輪とその車輪の回転軸を軸受け支持しつつケース本体50の底面に連結するキャスター等を備える。このケース本体50は、例えばスーツケースのような態様とするとよい。スーツケースのような態様とすると、上述したようにケース本体50を開閉可能としたり、底面付近に車輪部52を配置したりする構造を実現できる。
さらに、4つの車輪部52の内、少なくとも2つは駆動車輪部となり、ケース本体50に実装した駆動部からの動力を受けて車輪が正逆回転し、ロボット装置本体2は前後進移動する。また4つの車輪部52の内、少なくとも2つは上下方向の軸周りで所定角度範囲内で正逆回転してその向きを変更する操舵機能を有する。係る機能を備える車輪部は、上述した駆動車輪部と兼用しても良いし、別の車輪部としても良い。このように自走式にすることで、例えば太陽電池48の発電量を監視して太陽の方向を向いたり、室内の適切な位置に移動したりすることで、効率よく発電する機能を備えると良い。また、ユーザの後を追う機能を備え、ユーザから親しみ・愛着を発揮させる効果を有すると良い。
また、実際のスーツケースは大小様々な寸法形状のものがあるが、何れの大きさであっても、例えば、家庭やオフィスの室内においた場合でも、邪魔にならず、設置場所も簡単に移動することができる。よって、本実施形態のケース本体50も、そのようなスーツケース大の大きさとすると良い。さらに、ケース本体50の底面に車輪部を設ける構成を採る場合でも、必ずしも上述したように自走式にする必要は無く、駆動車輪部の無いキャスター等を装着するものとしても良い。このようにすると、自走しなくても人等による持ち運び・移動が容易になり、設置場所を変えるのに容易に対応できる。
太陽電池48は、ケース本体50の外面に、光学的に露出した状態に配置する。光学的に露出とは、太陽電池48が太陽光等を受光可能に配置することをいい、必ずしも直接外部に設置する構成に限らない。本実施形態では、ケース本体50の外装部分に透明部材を用い、その透明部材の裏面側に太陽電池48を配置する構成をとる。このように太陽電池48をケース本体50の内部に配置することで、太陽電池48の破損・損傷を防ぐとともに、太陽電池48をケース本体50の内部空間に置くことで、配線が容易となるので良い。
太陽電池48の出力は、電源回路49に与えられ、所望の電圧値の電圧を生成し、電源電圧として各入出力機器等に電源供給する。また、例えば夜間等においても安定して動作させるため、電源回路49には、充電池並びに充電回路を備え、太陽電池48による発電量が低い場合には充電池から電力供給する機能を備えると良い。
制御装置31は、CPU,ROM,RAM,不揮発性メモリ、I/O等を備えるマイコンであり、上述した入力機器(マイクユニット41、操作スイッチ42、GPSユニット46等)からの入力信号に基づき所定の処理を実行し出力機器(エアポンプ33、スピーカ43、発光部44、表示パネル45等)を動作・制御する。制御装置31、スピーカ43、表示パネル45等の複数の機器は、例えばタブレット端末の機能を用いて一体に実現・構成すると良い。タブレット端末(タブレット)を用いる場合、そのタブレット端末は、ケース本体50の上面に設置すると良い。
制御の一例であるエアポンプ33に対する制御は、例えば、操作スイッチ42の投入を検知した制御装置31が、エアポンプ33の電源をONにして運転を開始する。これに伴い、上述したように、エアポンプ33が動作し、大気中の空気を第二容器32に充填された水酸化ナトリウム水溶液内に供給する。制御装置31は、第二容器32内の水酸化ナトリウム水溶液に溶け込んだ二酸化炭素の量を求める。本実施形態では、予め実験などしてモデルケースにおける空気の供給量に対する二酸化炭素の吸収量(例えば単位時間当たりの吸収量)を求め、 開始からの経過時間に基づき現在の溶け込んだ二酸化炭素の吸収量を算出する。制御装置31は、求めた吸収量が基準値を超えた場合、エアポンプ33の動作を停止する。また、制御装置31は、例えばスピーカ43、発光部44、表示パネル45等の出力機器を用いて当該基準値を超えCO2吸収ステージが終了したこと報知する機能を備えると良い。
本実施形態では、太陽電池48を電源として動作させているため、エアポンプ33の動力が一定にならず、モデルケースで吸収が行われない可能性がある。そこで、二酸化炭素の溶け込んだ量、水酸化ナトリウム水溶液中の含有率を求めるセンサを用意し、当該センサを第二容器32の水酸化ナトリウム水溶液に浸した状態にし、制御装置31は、そのセンサ出力に基づき現在の二酸化炭素の吸収量を算出し、算出結果に基づいてエアポンプ33の動作を制御すると良い。センサは、例えば、PHセンサを用いると簡易な構成で測定できるので良い。例えば水酸化ナトリウム水溶液はアルカリ性であり、二酸化炭素を吸収するとアルカリ性の濃度が低くなるので、PHセンサでPH度から二酸化炭素の吸収量を求めると良い。
また、制御装置31は、例えば会話の人工機能を備え、例えばマイクユニット41で検出したユーザの音声に対し、音声認識処理をして意味内容を理解し、それに対する応答をスピーカ43から出力すると良い。例えば、ユーザが「今日は二酸化炭素をどれくらい吸収した」と聞くと、それをマイクユニット41が拾い、制御装置31は吸収量を計算して求め、求めた値をスピーカから音声で回答する。吸収量の計算は、例えば動作時間×単位時間当たりの吸収量(モデルケース)により簡易的に行う。また、センサ出力の履歴情報等に基づいて実測値を求め、それを報知するようにするとより正確に行えるので良い。また、例えばマイクユニット41で音声を拾い、音声認識をしている際に、制御装置31は発光部44を点滅させる。これにより、ユーザの問い合わせを認識して処理していることを知らせることができるので良い。
通信インタフェース47は、例えばインターネットに接続し、情報の送受を行うインタフェースである。制御装置31は、この通信インタフェース47を用いてインターネットに接続し、外部のサーバにアクセスする機能を備える。制御装置31は、例えば、本日の二酸化炭素の吸収量などの動作状況をサーバに送る。また、制御装置31は、二酸化炭素の吸収量を送るに際し、GPSユニット46で求めた現在位置情報も合わせて送ると良い。
このようにすると、本実施形態の二酸化炭素回収システムを多数設け、全国に配置する。そして、その多数の二酸化炭素回収システムで吸収・回収した二酸化炭素の量が、サーバに集約される。サーバは、例えば集約された情報にもとづき特設サイトで二酸化炭素の回収状況を公開する。例えば、サーバは、日本地図や世界地図等の地図情報を表示するともに、取得した各二酸化炭素回収システムが設置された位置情報に基づき、表示する地図情報の対応する場所にアイコン等を表示し、夫々の二酸化炭素回収システム毎に吸収・回収量がわかるように表示する。このようにすると、各個人が、みんなで二酸化炭素を回収しているという意識を持たせ、一体感を持たせ、温暖化対策についての意識付けをすることができるので良い。
上述したように、本実施形態の二酸化炭素回収システムは、電気分解を行う水酸化ナトリウムステーション1と、電気系統を含む各処理装置を実装するロボット装置本体2とは別体の装置として構成し、両者は離して配置が可能としている。水酸化ナトリウムステーション1は、水を使うのでロボット装置本体2の電気系統に当該水がかかり故障等するのを防止できるので良い。また、水酸化ナトリウムステーション1では、電気分解により塩酸や水素が発生するので、屋外で行った方が良く、室内に配置するのが好ましいロボット装置本体2と別構成にすることで電気分解ステージを屋外でできる点でも好ましい。よって、電気分解ステージ、CO2吸収ステージ、CO2取り出しステージの各ステージを実施する装置を一体に構成しても良いが、上述した理由から、本実施形態のように少なくとも水酸化ナトリウムステーション1(電気分解ステージとCO2取り出しステージを実施)と、ロボット装置本体2(CO2吸収ステージを実施)を別の外値として構成するのがより好ましい。
上述した実施形態では、半透膜16にセロファン膜を用い、CO2取り出しステージの実施に際して半透膜16を破って塩酸を排出して第三容器37に供給するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、半透膜の一部にバルブを設け、バルブを開閉して塩酸を排出するようにしてもよい。また例えば、反応用容器11のサイズを大きくし、カゴ部材15の部分を傾けて、半透膜16の上端縁側から塩酸を排出できるように構成しても良い。これらの構成を採ると、半透膜16を破ることがないので、繰り返し使用できるので良い。一方、半透膜16を破るようにした本実施形態では、構成が簡単となるので良い。
上述した実施形態では、エアポンプを用いて空気を水酸化ナトリウム水溶液内に供給するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、エアコンプレッサーなどを用いてより強く強制的に空気を水酸化ナトリウム水溶液内に供給すると良い。また、これらのように電動で強制的に空気を供給するものに限ることはなく、例えば、自転車用の空気入れ等を利用し、手動で空気を水酸化ナトリウム水溶液内に供給し、二酸化炭素を低減・除去した空気を第二管部材36を介して第二容器32の外に排出するようにしてもよい。このようにすると、より簡易・安価な二酸化炭素回収システムを構成できる。
ロボット装置本体2に、二酸化炭素濃度を計測するCO2濃度センサを搭載すると良い。このCO2濃度センサは、本形態では、空気中に含まれる二酸化炭素の量をppm単位で計測し、表示する。このようにすると、例えば、CO2の濃度を常時監視し、ロボット装置本体2は部屋の中を適当に自走して巡回し、一通り巡ったところでCO2濃度が最も濃かった場所を把握し、その場所に移動し、そこでCO2回収ステージを実行するとよい。これにより、回収効率を高めることができるのでよい。例えば、外気のCO2濃度は400ppm程度であるが、部屋の中では場所によっては1000ppmを優に超える場所もある。従って、かかるケースでは、単純計算で三倍もの回収効率のアップを図ることができるので好ましい。
さらにまた、制御装置31は、例えばGPSユニット46から取得した現在位置情報と、通信インタフェース47を介して接続したインターネットから取得した天気予報情報等とを照合し、晴れている時は窓際に自走して充電し、天気の悪い時や夜間は上述したCO2センサにより検出したCO2濃度が最も濃い場所でCO2回収を行う機能を備えると良い。また、ロボット装置本体に光センサ等を取り付けると、太陽光などをロボット装置が認識し、モーターにより例えば建物の窓際などに移動し自ら充電を行うことができるので良い。
上述した実施形態では、エアポンプ33の動作制御は、制御装置31が行い、所定量の二酸化炭素が吸収できたら自動的にエアポンプ33を停止するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、制御に装置を用いることなく、例えばタイマーなどにより設定した時間が経過したらエアポンプ33が停止するようにしても良く、さらには、エアポンプ33用のスイッチを設け、そのスイッチに対するユーザの手動による操作に基づいてエアポンプ33の動作開始・停止が行われるようにしてもよい。後者の手動を用いた場合、構成がより簡易になる点で好ましいが、上述した実施形態のように二酸化炭素の吸収量に基づき制御装置31が制御する方が、過不足なく二酸化炭素を吸収した時点で動作を停止でき、無駄にエアポンプを動作させ続けてしまうこともないのでより好ましい。
上述した実施形態では、塩化ナトリウム水溶液として一般の家庭で簡単に用意できる食塩水を用いた例を説明したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば海水、尿、汗など等の塩分を含む水溶液であれば良いが、食塩水が各家庭において必要な量を簡単に入手できるので好ましい。また、例えば海辺の近く等、海水を簡単に入手できる環境下においても、海水を利用すると良い。
上述した実施形態では、各ステージが夫々一つの容器を用い、1個のステージを代表して記載、説明したが、所定のステージを複数設けても良い。例えば、1~2日程度と比較的処理時間がかかるCO2吸収ステージは、複数連結等して並列処理するようにすると良い。
上述した実施形態では、第二容器32をロボット装置本体2のケース本体50の外に出した状態で空気を供給し、水酸化ナトリウム水溶液中に二酸化炭素を溶け込ますようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、第二容器32をケース本体50内に収納した状態のまま空気を供給するようにしてもよい。特に、上述した変形例のように、ロボット装置本体2が自走して日中と夜間等で異なる場所で作業するような場合、収納した状態にすると連続して動作できるので好ましい。第二容器32をケース本体50内に収納する場合、ケース本体50が倒れたり、内部で移動して貯留する水酸化ナトリウム水溶液がこぼれたりしないように、当該第二容器32を固定する機構を設けると良い。第二容器32を固定する機構は、例えば、ゴム紐を用い、そのゴム紐を第二容器32に締め付ける状態で装着するとともに、ゴム紐の一部をケース本体50に取付けると、簡易な構成で実現できる。
電気分解について、1mol/Lの食塩水(約5%の食塩水)で実験を行ったところ、9Vの電源を用いた場合、容量が1Lの場合には、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を得るまでには20時間ほどかかった。
また、電気分解を行う際、水溶液のpHが4以上であれば塩素は全く発生せず、水溶液のpHが4を下回ると、急激に塩素が発生することが確認できた。この現象は、塩素ガスは水溶液中で(1)単体の塩素ガス(Cl2)(pHは4以下の時)、(2)分子状次亜塩素酸(HOCl)(pHは3~6程度)、(3)次亜塩素酸イオン(OCLl-)(pH6以上)と、pHによって形を変えることに起因すると推測できる。
そこで、例えば、上述した実施形態における水酸化ナトリウムステーション1にpHメーターを取り付け、pHメーターによりpHを計測し、pHが4を下回る前に電気分解を自動的或いは手動で停止する機能を備えると良い。このようにすると、塩素ガスは一切発生しないので、安全となる。一方、生成する水酸化ナトリウム水溶液は薄くなるので、最終的に回収できるCO2の吸収量への影響を生じるので、停止する基準を適宜設定すると良い。
さらに、上述したように「塩素ガスを一切発生させない」ことと「濃度の濃い水酸化ナトリウム水溶液を生成させる」ことは相反する課題であるが、以下に示す実施形態にすることで、両方の課題を同時に解決する(塩素ガスを発生せず、かつ濃いNaOHaq.を製造する)ことができる。
すなわち、電気分解処理部である水酸化ナトリウムステーション1は、例えば上述したpHメーターを備え電気分解中の水溶液のpHを管理する機能を備えた実施形態を前提とし、例えばpHが4を下回る前に電気分解を自動的或いは手動で停止することで、塩素ガスを発生させることなく濃度の薄い水酸化ナトリウム水溶液を生成する。そして、この生成した水酸化ナトリウム水溶液の水分を蒸発させて水酸化ナトリウム水溶液の濃度を濃縮させる工程を実行する。この濃縮させる工程は、例えば、加熱その他の所定の処理を実行して蒸発を加速させるようにしてもよいが、本形態では、所定期間放置し、自然蒸発する工程を用いることとした。このようにすることで、特別な処理を行うことで新たなpower消費に伴うCO2の排出の問題も生じないので良い。また、実験・検証を行ったところ、水酸化ナトリウムステーション1の稼働開始から2日後には、400mLの水溶液が100mLになり1/4に減少することが確認できた。蒸発した300mLは水分であり、その分水酸化ナトリウム水溶液の濃度が濃縮される。
そして、係る処理(ここでは、放置処理)を実行して生成された濃縮された水酸化ナトリウム水溶液に対し、水酸化ナトリウムステーション1でpHを管理ししつつ新たに生成した水酸化ナトリウム水溶液をつぎ足す。係る放置処理と継ぎ足し処理を所定回数繰り返すことで、塩素ガスを発生することなく、高濃度の水酸化ナトリウム水溶液を生成することができる。このようにして生成した高濃度の水酸化ナトリウム水溶液を用いて、次工程以降を順次実行することで、CO2の吸収量を十分高くすることができる。
濃縮するための所定の処理を行い、次に継ぎ足すための新たな水酸化ナトリウム水溶液を生成するための処理の開始タイミングは、例えば、所定の処理(ここでは放置処理)をしている既に生成した水酸化ナトリウムの容量が適当量減少したことを目視により確認し、ユーザが決定しても良いが、当該容量を監視したり、放置時間を計測したりして、開始タイミング担ったことを放置する機能を設けると良い。
上述した実施形態では、第二容器32の内部には、第一管部材35を挿入し、その先端を第二容器32の底部付近に配置し、先端等から放出される空気が泡となって第二容器32に充填された水酸化ナトリウム水溶液の内部を上昇移動し、その上昇移動する間に空気中のCO2が水溶液に溶け込むように構成した。そして、第一管部材35から放出された空気中のCO2が、水溶液に溶け込む量を増やすために、水溶液中における泡の滞在時間を長くするように構成すると良い。
水溶液中における泡の滞在時間を長くする構成としては、例えば図8に示すように、第二容器32の水溶液中に、上方に移動する泡の進路を遮る仕切部材55を配置すると良い。仕切部材55は、本実施形態では、円形の平板の円弧部分の一部を切除した形状としている(図8(b)等参照)。これにより上昇移動する泡は、上方に位置する仕切部材55に接触すると、そのまま上方へ移動することが抑止され、仕切部材55を迂回するように移動するため、泡の滞在時間が長くなる。また、図8(a)に示すように仕切部材55を複数枚設置する場合、上下方向に重なるように配置し、切除した部分を交互に逆側に位置するように配置すると良い。このようにすると、第一管部材35から放出された空気の泡は、例えば図8(c)中の矢印で示すように蛇行しながら上昇移動するので、より長時間にわたって水溶液中に滞在させることができるので良い。この仕切部材55の設置個数は任意であり、1個でも良いが多く設けた方が滞在時間を長くできるので好ましい。
また、滞在時間を長くする構成としては、例えば図9に示すように、第二容器32内の所定位置にメッシュ状の円板56を配置すると良い。この円板56の設置数も任意である。メッシュの編み目の寸法は、泡のサイズより少し小さい寸法形状とすると良い。このようにすると、泡がメッシュの間を通り抜けるのに時間がかかり、二酸化炭素回収量が増えるので良い。
上述した実施形態のロボット装置本体2は、制御装置31に人工知能を組み込み、家庭用ロボットとして使用できるようにすると良い。かかる家庭用ロボットとして使用する場合、表示パネル45に顔を模した図柄を表示すると、親しみ・愛着がわくので好ましい。また、表示パネル45は、電力消費が大きいため、常時は非表示にしたり、設けない構成を採ったりしても良いが、かかる場合、顔を描いたボード・お面等を適宜位置に配置すると良い。このようにすると、親しみがわくのでよく、表示部を備えない構成とするとさらに低価格な人工知能を利用したコミュニケーションロボットとなるのでより好ましい。
上述した各実施形態並びに変形例は、その一部の構成を適宜組み合わせて構成すると良い。また、本発明にかかる二酸化炭素回収システムは、簡易でコンパクトな構成となり、例えば、各家庭やオフィスに配置し、個々の家庭単位やオフィス単位で二酸化炭素の回収を行ったり、教育現場において化学や情報科の教材その他に利用したりすると良い。
例えば、各家庭において例えば自宅の室内の空気中の二酸化炭素を回収する処理を行う。すると当該各家庭の住人等は、本システムの運転状況を目の前で見ることができ、二酸化炭素の削減といった温暖化対策の必要性を感じることができる。さらに、この回収システムに限らず、温暖化対策を行う契機付けをすることも期待できる。
また、例えばオフィスの各室内等に設置し、その室内の空気中の二酸化炭素を回収する処理を行うと、当該オフィスの室内等で業務を行っている人や、当該室内に訪れた人が、本システムの運転状況を目の前で見ることができ、二酸化炭素の削減といった温暖化対策の必要性を感じることができる。さらに、この回収システムに限らず、温暖化対策を行う契機付けをすることも期待できる。また、オフィスに設置する場合、その設置したオフィスの企業・事業者は、温暖化対策に積極的に取り込んでいることをアピールできるという副次的効果も奏するので良い。
さらに、例えば家庭とオフィスの両方に設置されている場合は、より好ましい環境と言えるが、仮に一方に設置されている場合でも、その設置された場所に関係する人は、他方の場所に行っても温暖化対策の必要性を感じ、対策を行うことが期待できるので良い。
また、教育現場に設置した場合、空気中の二酸化炭素を回収する原理を教えつつ、温暖化対策の必要性を感じさせることができる。
例えばオフィスの一例である会議室など狭く密閉された空間において長時間人が居続けると、室内の二酸化炭素濃度が上昇し、眠気・頭痛などの健康上の問題が起こってしまうが、本装置を稼働させることにより、それを軽減することができる。また、本装置は空気供給装置を本体内部に格納しているため静音性に優れ、音により人の活動を妨げることがない。
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。