JP7267544B2 - 標示具 - Google Patents

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Description

本願発明は、道路等に設置される標示具に関する。
夜間の道路においては、交通事故が発生しやすい。視界が狭まる又は/及び道路上の標示具が見づらい等がその原因となることが多い。標示具は、遠くからでも見やすく、死角範囲が小さく、長時間輝度を保つなどの機能を有することが求められる。そのような機能を有する技術として、下記の先行する特許文献がある。
特開昭61-137904
この夜光標示装置は、光が直接あたった時にそれを反射して標示情報を明瞭に知らせる反射部材(従来周知の種々の材料を使用)と、光を蓄えて光があたっていない時にそれを残光として発して標示装置の存在を知らせる蓄光材料(蓄光顔料として販売されている種々の材料を使用)蓄光顔料として販売されている種々の材料を使用蓄光顔料として販売されている種々の材料を使用と、を組み合せたベース層が、平凸レンズ機能を有する透光性の保護層(紫外線を吸収して蓄光材料の劣化を防止するアクリル樹脂層と、このアクリル樹脂層をおおってその損傷、破壊を防止するエポキシ樹脂層とから構成)によって被膜されて成る夜光標示装置である、としている。
しかしながら、平凸レンズ機能を有する保護層が紫外線を吸収するアクリル樹脂から構成されていることから、吸収された紫外線は架橋結合を切断するので、長時間使用するとアクリル樹脂の透光性の劣化につながる、という課題がある。
本願発明は、上記課題に着目して成されたものであり、道路等に設置されることから高い耐久性や耐候性に加えて、紫外線による劣化にも耐性がある夜光の標示具を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、本願発明の内、第一の発明は、円錐台状の金属材料からなるベースと、ベースの円錐台の側面に配置される反射材と、ベースの円錐台の頂面に配置されるシリコーンゲルフィルムと、ベースの円錐台の頂面に配置されるシリコーンゲルフィルム上に、その端縁をベースの円錐台の頂面の端縁にそって配置されるシリコーン材料からなる平凸レンズと、からなる標示具を提供する。
また、第二の発明は、上記第一の発明を基礎として、シリコーンゲルフィルムは、円形をしたフィルムで最外周縁は、ベースの円錐台頂面の最外周近辺にそうように配置されている標示具を提供する。
また、第三の発明は、上記第一又は第二の発明を基礎として、ベースのシリコーンゲルフィルムの下層に平面反射材、平面蓄光部材、平面自家発光部材のいずれか一以上を備えた標示具を提供する。
また、第四の発明は、上記第三の発明を基礎として、ベースのシリコーンゲルフィルムの下層に平面蓄光部材を備える場合には、平面蓄光部材は、シリコーン樹脂又は弾性を有するシリコーンゴムを母材とする蓄光材料からなる標示具を提供する。
また、第五の発明は、上記第三又は第四の発明を基礎として、ベースのシリコーンゲルフィルムの下層に平面蓄光部材を備える場合には、平面蓄光部材の下層にさらに反射層を有する標示具を提供する。
また、第六の発明は、上記第三の発明を基礎として、ベースのシリコーンゲルフィルムの下層に平面反射材を備える場合には、平面反射材は、シリコーン樹脂のコーティング層であるシリコーン樹脂コーティング層を有する標示具を提供する。
また、第七の発明は、上記第一から第六の発明を基礎として、少なくとも平凸レンズの全体と、平凸レンズとその下層構造部との境界はガラス材料からなるガラスコーティング層にておおわれている標示具を提供する。
また、第八の発明は、上記第一から第七の発明を基礎として、前記シリコーンゲルフィルムは両面ゲルフィルムである標示具を提供する。
また、第九の発明は、上記第一から第八の発明を基礎として、ベースの頂面は、その周縁に円周状壁部を有し、前記平凸レンズはその端縁が、円周状壁部の内壁側に沿って配置される標示具を提供する。
また、第十の発明は、上記第九の発明を基礎として、前記平凸レンズの端縁は平凸レンズの光軸に平行な円周面部を有し、前記円周面部の高さは前記円周状壁の内壁高さ以下である標示具を提供する。
本願発明に係る標示具によれば、道路等に設置されることから高い耐久性や耐候性に加えて、紫外線による劣化にも耐性がある夜光の標示具を提供することができる。
実施形態1の標示具の構成の概要を説明するために構成部品を分離した斜視図 平凸レンズの端縁は平凸レンズの光軸に平行な円周面部を有し、ベースの円錐台の頂面の円周状壁部内壁に沿って配置されること、及び円周面部の高さは円周状壁部内壁の高さ以下であることを説明するための概念図 平凸レンズによって入射光が広角となることを説明するための概念図 平行な入射光が反射層によって乱反射されるとともに、平凸レンズによって照射光が広角となることを説明するための概念図 シリコーンゲルフィルムとその下層の一例の断面図 シリコーンゲルフィルムとその下層の平面蓄光部材とさらにその下層に反射層を有する一例の断面図 ガラスコーティング層に覆われた平凸レンズと下層構造部を示す斜視図 両面ゲルフィルムの断面図 平凸レンズの端縁がベースの頂面の円周状壁部内壁に沿って配置された断面図 平凸レンズの端縁がベースの頂面の円周状壁部内壁に沿って配置されることを示すベース頂面及び平凸レンズの平面図
以下に、図を用いて本願発明の実施の形態を説明する。なお、本願発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
実施形態1は、主に請求項1について説明する。
実施形態2は、主に請求項2について説明する。
実施形態3は、主に請求項3について説明する。
実施形態4は、主に請求項4について説明する。
実施形態5は、主に請求項5について説明する。
実施形態6は、主に請求項6について説明する。
実施形態7は、主に請求項7について説明する。
実施形態8は、主に請求項8について説明する。
実施形態9は、主に請求項9について説明する。
実施形態10は、主に請求項10について説明する。
本願発明に係る標示具の形状や大きさは、配置箇所の上面幅に応じて形状や大きさを適切に決定する。
例えば、歩道及び車道の境界ブロックとしてひろく用いられる略直方体の縁石(縦約15cm×横約60cm×高さ約20cm)上に円錐台形状の標示具のベースを配置する場合には、歩行者の通行の妨げになるのを回避するべく、上面の直径が8~10cm、下面の直径が9~11cm、高さが1.8~2.2cmとすることが望ましく、この際、上面の直径が約8.6cm、下面の直径が約10.0cm、高さが約2cmとすることがより望ましい。
<実施形態1>
<実施形態1 概要>
本実施形態の標示具は、略円錐台のベース部分上にシリコーン樹脂又は弾性を有するシリコーンゴムでできた透明平凸レンズをシリコーンゲルフィルムで接着した標示具であり、紫外線などに対する耐候性に優れている。
<実施形態1 構成>
図1は、実施形態1の標示具の構成の概要を説明するための図であって、構成部品を分離した斜視図の状態で示したものである。本図に示すように、本実施形態の標示具は、ベース(0101)と、反射材(0102)と、シリコーンゲルフィルム(0103)と、平凸レンズ(0104)とを有する。
<実施形態1 構成の説明>
<実施形態1 構成の説明:ベース>
ベースは、円錐台状の金属材料からなる。道路等に設置されるため、歩行者などの踏みつけによって容易に変形しない強固な素材であるだけでなく、季節や昼夜の温度差に耐えるとともに、雨水や排気ガスに含まれる酸性物質などによる腐食にも強くなければならない。また、人(子供)や犬や猫などのペットにも身近なものなので毒性の発生しないことが求められる。その他にも、コスト、メンテナンス性、加工性、装飾性、比強度、電磁波や熱の反射などの特性などを勘案して、例えば、ステンレス、アルミ、アルミ合金、銅、銅合金などが好適である。
ベースの頂面(図1:0105)は、平凸レンズの台座となる面であることから、水平な平坦面である。また、平凸レンズをシリコーンゲルフィルムによって接着することから、その面はざらつきの無い滑らかな面でなければならない。
また、円錐台状であることにより、底に近いほど広くなっていることから安定した固設が期待できるとともに、例えば、自動車のヘッドライトからの入射光が標示具のやや斜め上方から入射されることが予想され、入射光の入射角度はベースの側面と直角に近くなるのでドライバーの視覚に入る後述の反射材による再帰性反射による反射光の輝度を高める効果がある。また、側面において特定の方向への偏りがないことから、標示具の設置の方向に関する制約が無い。
<実施形態1 構成の説明:反射材>
ベースの円錐台の側面に配置される反射材による反射は、夜間における光源である自動車又は自転車のヘッドライトから照射された光を、光源方向に平行且つ逆方向に反射させる再帰性反射でなければならない。これによって、自動車又は自転車のドライバーは、自分の発した光の反射光を無駄なく自らに戻してとらえることができる。再帰性反射は、非常に小さい(例えば、直径数十~100μm程度)高屈折率のガラスビーズ球を樹脂又は塗料の中に多数均一に混入配置させ、その下側近傍を反射層(例えば、アルミ蒸着層など)で囲むことによってできる。すなわち、入射光は高屈折率のガラスビーズ球のレンズ効果によって透明のガラスビーズ球の下半分の近傍に焦点を結ぶ焦点層ができる。ここで焦点層を囲む反射層によって、入射光は反射され、その反射光は再度焦点層を通過し、ガラスビーズ球に再入射して屈折進行した結果、最終的に光源からの入射光とほぼ平行且つ逆方向で光源方向に向かうことになる。このようなガラスビーズ型の反射材は、球状レンズが露出した露出レンズ型、球状レンズの上部に樹脂を被せる封入レンズ型、球状レンズと樹脂膜の間に空気の層を設けるカプセルレンズ型がある。なお、通常、入射光は車のヘッドライト等の白色光であるが、ガラスビーズ球の表面を覆うフィルムや焦点層に着色剤を配することによって、反射光はその着色剤の分光透過率特性に応じた色光となる。
また、直角三角錐などの形状のプリズムを用い、さまざまな角度から光が入射しても高い反射性能を持つプリズムレンズ型の再帰性反射材(軟質又は硬質)もある。なお、現在主流となっているのは、高輝度でありながら高耐久性という優れた性質を持っているカプセルプリズム型の反射材である。これは、フルキューブコーナー反射素子を用い、反射に寄与する部分のみを集積して配置した反射材であり、標示具の反射材として用いることが好ましい。例えば、3M社製のガラスビーズ型の高輝度反射シートは、従来のカプセルレンズ型反射シートの約2倍の反射輝度を有し、大幅に表面強度を増して引っかきに強く、広角特性にも優れているため、斜め方向からでもはっきりと視認できるうえ、最初の反射性能を長期間維持する耐久性を有するとされる。またガラスは紫外線に対して劣化を起こさないものであるために本願発明が採用する再帰反射シートの材料としては適切である。あるいは耐候性がよい、透明エポキシ材料などを利用した再帰反射シートであってもよい。
なお、このような再帰性反射材の耐久性に関するJIS規格(JIS Z9117:2011)は、屋外で南面に10年曝露しても輝度初期値の80%を維持し、色相は所定の色度座標枠内に収まるもの、としている。
<実施形態1 構成の説明:シリコーンゲルフィルム>
シリコーンゲルフィルムは、シリコーン特有の耐候性、耐熱・耐寒性、耐腐食性、電気絶縁性、透明性などの性質に加え、硬化後はゲルになる特性として、粘着性、密着性に優れている。シリコーン材料からなる平凸レンズの底部とベースの円錐台の頂面の間に、シリコーンゲルフィルムを配置して貼着する。平凸レンズとシリコーンゲルフィルムが共通の素材であることから、親和性が高く、平凸レンズの熱膨張や熱収縮にもシリコーンゲルフィルムは柔軟に追随し、貼着部分の剥離を回避できる。
<実施形態1 構成の説明:平凸レンズ>
「平凸レンズ」は、底面が平面の凸レンズを言う。底面が平面であると、円錐台状のベースの頂面を平面にすることによって安定的に平凸レンズを保持することが容易となる。形状としては平面以外の形状で凸レンズを保持することも考えられるが設計が難しく、また製造も難しいので平面を利用して平凸レンズを保持するのが最も効率的である。
図2に示すように、平凸レンズ(0202)は、凸レンズの底部が平面であり、その周辺部に平凸レンズの光軸(0201)に平行な円周面部(0204)を有するように構成してもよい。ベースの円錐台の頂面に配置されているシリコーンゲルフィルム(0207)上に、平凸レンズの円周面部をなす端縁(0203)がベースの円錐台の頂面の円周状壁部内壁(0206)にそって配置されるように構成することが好ましい。例えば円錐台の頂面に発光部材や蓄光部材が全面にわたって(壁面部は除いて)配置されている場合には、その全面から発せられる光がまんべんなく平凸レンズに収容されることが好ましい。その場合にこの端縁がない構造とした場合には発光部材や蓄光部材の最外周部の光がわずかしか平凸レンズに収容されず、効率があまり良くない。そこでその部分には端縁を設けることで厚みを持たせ、平凸レンズの最外周で光を取りこぼす量を少なくするように構成する。さらにこの平凸レンズが柔軟性のある例えばシリコーンゴムなどで構成されている場合には最外周が薄くなりすぎると強度が弱まり外力によって損傷を受けやすくなるので、一定の厚みを有している方が有利である。さらにこの平凸レンズの最外周の端縁をベースの上面最外周に設けられた壁面で保護する場合にはさらに保護効果が高まり好ましい。
また、平凸レンズの素材をシリコーン材料とすることにより、前述のシリコーン特有の耐候性、耐熱・耐寒性、耐腐食性、電気絶縁性、透明性などのレンズとしての優れた性質を有することに加えて、紫外線などによる白濁などの劣化が少なく耐久性に優れる。
図3に示すように、平凸レンズ(0303)を使う場合は、外部からの入射光(0301)の入射角:S(0302)が、平凸レンズを使わない場合の外部からの入射光(0304)の入射角:S(0305)に比べて広角となることから、後述する入射光を蓄光する上で有利である。また、図4に示すように、平凸レンズ(0403)を使う場合は、外部への反射光(0401)の反射角:T(0402)が、平凸レンズを使わない場合の外部からの反射光(0404)の反射角:T(0405)に比べて広角となることから、外部への光の照射角が広角となり、標示具に求められる死角範囲の縮小に効果がある。
<実施形態1の効果の簡単な説明>
本実施形態により、ベースと透明平凸レンズの接着性に優れた一体型の標示具が提供できる。また、シリコーン樹脂又は弾性を有するシリコーンゴムの透明平凸レンズは紫外線などで劣化し難いという優位な特性を有することができる。
<実施形態2>
<実施形態2 概要>
本実施形態の標示具は、上記実施形態1を基礎として、さらに、前記シリコーンゲルフィルムがベースの頂面に広く配置されていること、を特徴とする。
<実施形態2 構成>
本実施形態の標示具におけるシリコーンゲルフィルムは、円形をしたフィルムで最外周縁は、ベースの円錐台頂面の最外周近辺にそうように配置されている。
<実施形態2 構成の説明>
<実施形態2 構成の説明:フィルムの配置>
本来、シリコーンゲルフィルムは、ベースとシリコーン材料からなる平凸レンズを貼着するためのものであり、その目的に適うだけであれば、ベースの円錐台頂面の一部に一又は二以上の区分にして配置するだけで十分である。しかしながら、シリコーンゲルフィルムを円形とし、その最外周縁は、ベースの円錐台頂面の最外周近辺にそうように配置することにより、平凸レンズの底辺にシリコーンゲルフィルムが均一に接する。それにより、平凸レンズの底辺とベースの円錐台頂面の間に、空気や水分などの介在する部分がなくなり、反射効果を高める効果に加えて、ベースの円錐台頂面及び平凸レンズの底辺の劣化を防止する。
<実施形態2の効果の簡単な説明>
本実施形態の標示具により、劣化を防止する耐久性に優れた標示具とすることができる。
<実施形態3>
<実施形態3 概要>
本実施形態の標示具は、上記実施形態1又は実施形態2を基礎として、さらに、ベースのシリコーンゲルフィルムの下層に平面反射材、平面蓄光部材、平面自家発光部材のいずれか一以上を備えたこと、を特徴とする。
<実施形態3 構成>
図5に示すように、本実施形態の標示具におけるベースのシリコーンゲルフィルム(0501)の下層(0502)には、平面反射材、平面蓄光部材、平面自家発光部材のいずれか一以上を備えている。
<実施形態3 構成の説明>
<実施形態3 構成の説明:平面反射材>
平面反射材は、シリコーンゲルフィルムの下層にあり、ベースの円錐台の頂面に、例えば、酸化チタンの吹き付けや酸化チタンフィルムの貼り付けによって、平面状に配置される。平面反射材による反射は、前述のベースの円錐台の側面に配置される反射材と同様に、夜間における光源である自動車又は自転車のヘッドライトから照射された光を、光源方向に平行且つ逆方向に反射させる再帰性反射でなければならない。シリコーンゲルフィルムの上に貼着されている平凸レンズによって、広角に光は拡散されて外部に照射される。これによって、自動車又は自転車のヘッドライトから照射された光の反射光は、光源に平行且つ逆方向に戻るだけでなく、その輝度の一部を周辺部にもたらすことで、標示具に求められる死角範囲の縮小の効果がある。なお、平面反射材の色は、高い反射効率から白色が好ましい。
<実施形態3 構成の説明:平面蓄光部材>
平面蓄光部材は、シリコーンゲルフィルムの下層にあり、ベースの円錐台の頂面に平面状に配置される。蓄光部材は、外部から照射された光エネルギーを蓄えて、その内の一定量のエネルギーを発光として外部に放射する。差分のエネルギーは蓄光部材の内に蓄えられて、外部からの光照射を止めても発光する物性を有する。一般的に、蓄光部材はその輝度や残光時間に課題があるが、シリコーンゲルフィルムの上に貼着されている平凸レンズによって、広角に光は集光されることから、蓄光機能に有利である。また逆に、平凸レンズによって、広角に光は照射されることから、その輝度を周辺部にもたらすことで、標示具の存在を広く知らせる効果がある。
<実施形態3 構成の説明:平面自家発光部材>
平面自家発光部材は、シリコーンゲルフィルムの下層にあり、ベースの円錐台の頂面に平面状にユニット埋め込み式に配置される。発光が片面のみである片面発光部材と発光が両面である両面発光部材があり、片面発光部材の方が両面発光部材より発光面の輝度は高い。平面自家発光部材は、例えば、夜間に自動点灯させるLED又は有機ELなどであり、外部からの電力が必要ではあるが、その必要電力は僅少であり、耐久性にも優れることから、長時間輝度を保持したい標示具において利用される。シリコーンゲルフィルムの上に貼着されている平凸レンズによって、広角に光は拡散されて外部に照射される。これによって、自動車又は自転車のヘッドライトから照射された光の反射光は、光源に平行且つ逆方向に戻るだけでなく、その輝度の一部を周辺部にもたらすことで、標示具に求められる死角範囲の縮小の効果がある。
<実施形態3 構成の説明:平面自家発光部材と平面蓄光部材と平面反射材の組合せ>
上記平面反射材、半透明平面蓄光部材、不透明平面蓄光部材、透明平面自家発光部材、半透明自家発光部材のいずれか二以上を組合せることによって、種々の効果を得ることができる。ここにおいて、平面反射材は最下層にのみ使え、上層となる場合の平面蓄光部材又は/及び平面自家発光部材は光の透光性(透明、半透明)の性質を有するものとする。なお、上記の平面反射材を含む部材のいずれか二以上の組合せにおいて、相互の部材の間にはシリコーンゲルフィルムやシリコーンゲルを介して貼着し、貼着部分の剥離を回避するとともに、輝度劣化の原因となる空気を押し出してその混入を防止する。
≪上層が透明両面自家発光部材で下層が不透明蓄光部材さらにその下に平面反射材の組合せ≫
昼間は上層が透明両面自家発光部材であり、太陽光を透過するので太陽光の光はその下層の不透明蓄光部材に効率よく吸収され、夜間に蓄光による発光がなされる。透明両面自家発光部材が夜間に発光すると、この層の上面からの光は平凸レンズを介して道路等に照射され、この層の下面からの光は不透明蓄光部材に吸収され、上層の透明両面自家発光部材の発光を中断した場合でも、それ以前に透明両面自家発光部材の発光によって蓄積された蓄光によって発光が行われる。従って、透明両面自家発光部材が夜間中発光していなくとも、間欠的に発光するのみで夜通し明るい道路標示具などとして利用可能である。
≪上層が透明両面自家発光部材で下層が半透明両面蓄光部材さらに下層が平面反射材の組合せ≫
上層の透明両面自家発光部材は上方に向けた発光は平凸レンズから外部に放出され、下方に向けられた光は一部が蓄光部材に蓄積されるとともに、他の一部は蓄光部材を透過して平面反射材に反射して再び蓄光部材の蓄光に寄与するか、あるいは蓄光部材を透過し、さらに透明平面自家発光部材を透過して平凸レンズから放出される。つまり、光エネルギーの無駄が比較的少なく、また前述の例と同じように夜通し透明両面自家発光部材の電気供給が不要なので消費エネルギーも少なくできる。
≪上層が半透明平面蓄光部材で下層が透明両面平面自家発光部材でさらに下層が反射材の組合せ≫
上層が半透明平面蓄光部材であるので昼間に太陽光のエネルギー、特に平凸レンズからの太陽エネルギーを効率的に受け取ることができ、さらに夜間においては下層の透明両面平面自家発光部材の光照射を受けて蓄光するとともに、その自家発光の一部を半透明な蓄光層を介して平凸レンズから外部に放射できるので単に蓄光部材で夜間に光照射している場合よりもその輝度を向上させることができる。
≪上層が半透明平面蓄光部材で下層が透明両面平面自家発光部材でさらに下層が不透明片面発光蓄光部材の組合せ≫
上記の例にさらに下層の反射部材に代えて片面発光蓄光部材を配置したものである。上記の例の反射材は最下層にあってもよい。上記の例と異なる点は反射材のある位置に片面発光蓄光部材が配置された点である。単に反射すことに代えて蓄光部材に光エネルギーを蓄積するようにしたものである。最上層の半透明の蓄光部材のエネルギー蓄積効率に加えて下層にもエネルギーの蓄積をするようにしたので、単層でエネルギーの蓄積をする場合に比較してエネルギー蓄積効率を上げることができる。
<実施形態3の効果の簡単な説明>
シリコーンゲルフィルムの下層に平面反射材、平面蓄光部材、平面自家発光部材のいずれか一以上を備えることで、標示具の輝度を向上できる。
<実施形態4>
<実施形態4 概要>
本実施形態の標示具は、上記実施形態3を基礎として、ベースのシリコーンゲルフィルムの下層にシリコーン樹脂又は弾性を有するシリコーンゴムを母材とする蓄光材料からなる平面蓄光部材を備える、ことにより、シリコーンゲルフィルムと平面蓄光部材が共通の素材であることから、熱膨張や熱収縮による境界面での貼着部分の剥離を回避できる。
<実施形態4 構成>
本実施形態の構成は、上記実施形態3におけるシリコーンゲルフィルムの下層に平面蓄光部材を備えた場合と基本的に同様である。相違点は、平面蓄光部材は、シリコーン樹脂又は弾性を有するシリコーンゴムを母材とする蓄光材料からなる、ことを特徴とする。
<実施形態4 構成の説明>
<実施形態4 構成の説明:シリコーン樹脂又は弾性を有するシリコーンゴムを母材とする蓄光部材>
シリコーン樹脂又は弾性を有するシリコーンゴムを母材とする蓄光部材は、透明シリコーン樹脂又は弾性を有するシリコーンゴム内に粒状の蓄光材料を混合して成る蓄光部材であり、シリコーンの優れた耐候性から劣化を予防できる。また、シリコーンゲルフィルムと共通のシリコーン素材であることから、熱膨張や熱収縮による境界面での貼着部分の剥離を回避できる。なお、蓄光材料として、例えば、アルミン酸塩などがある。
<実施形態4の効果の簡単な説明>
シリコーンゲルフィルムと平面蓄光部材が共通の素材であることから、熱膨張や熱収縮による境界面での貼着部分の剥離を回避できるとともに、シリコーンの優れた耐候性から劣化を予防できる。
<実施形態5>
<実施形態5 概要>
本実施形態の標示具は、上記実施形態3又は実施形態4を基礎として、平面蓄光部材の下層に反射層を有し、平面蓄光部材を透過した光を反射することで、蓄光機能を向上させる。
<実施形態5 構成>
図6に示すように、本実施形態の標示具におけるベースのシリコーンゲルフィルム(0601)の下層(0602)に平面蓄光部材を備え、さらにその下層(0603)に反射層を有している。
<実施形態5 構成の説明>
<実施形態5 構成の説明:反射層>
反射層は、平面蓄光部材を透過した光(電磁波)を反射して、その反射光を再び平面蓄光部材に放射することで、蓄光機能を向上させるものである。なお、反射層として、例えば、アルミ蒸着層や酸化チタン層などがある。
<実施形態5の効果の簡単な説明>
平面蓄光部材の蓄光機能を向上させることができる。
<実施形態6>
<実施形態6 概要>
本実施形態の標示具は、上記実施形態3を基礎として、ベースのシリコーンゲルフィルムの下層に平面反射材を備える場合には、シリコーン樹脂のコーティング層を有する、これにより、平面反射材とシリコーンゲルフィルムとの密着性を良くする。
<実施形態6 構成>
本実施形態の構成は、上記実施形態3におけるシリコーンゲルフィルムの下層に平面反射材を備えた場合と基本的に同様である。相違点は、シリコーン樹脂コーティング層は、シリコーン樹脂のコーティング層を有する、ことを特徴とする。
<実施形態6 構成の説明>
<実施形態6 構成の説明:シリコーン樹脂コーティング層>
シリコーン樹脂コーティング層は、平面反射材の形状にあわせて薄く且つ均一なシリコーン層を形成できる。これにより、シリコーン樹脂コーティング層を有する平面反射材とシリコーンゲルフィルムとの密着性を良くする。
<実施形態6の効果の簡単な説明>
平面反射材とシリコーンゲルフィルムとの密着性を良くする。
<実施形態7>
<実施形態7 概要>
本実施形態の標示具は、上記実施形態1から実施形態6を基礎として、少なくとも平凸レンズの全体と、平凸レンズとその下層構造部との境界をガラスコーティング層にておおうことにより、標示具の劣化を長期間抑制できる。
<実施形態7 構成>
本実施形態の構成は、上記実施形態1から実施形態6の構成と基本的に同様である。相違点は、平凸レンズの全体と、平凸レンズとその下層構造部との境界はガラス材料からなるガラスコーティング層にておおわれている、ことを特徴とする。
図7は、本実施形態の標示具における平凸レンズ(0701)の全体と、平凸レンズとその下層構造部(0702)との境界はガラス材料からなるガラスコーティング層(0703)にておおわれている、ことを示す斜視図である。
<実施形態7 構成の説明>
<実施形態7 構成の説明:ガラスコーティング層>
ガラスコーティング層は、それが覆う表面を保護することにより、耐候性及び防汚性を向上させる効果がある。ガラスとシリコーンの素材の親和性もあって、その効果は長期間持続する。ガラスコーティングは、平凸レンズの全体と、平凸レンズとその下層構造部との境界を傷、水濡れや埃から守るために、その全部又は一部の表面をガラスからなる層状の部材で被覆する構成である。
ガラスコーティングの方法としては、例えば、常温ガラスコーティングが用いられる。常温ガラスコーティングは、主剤・硬化剤・希釈剤を配合することで、常温でガラス被膜が形成されるため、従来のガラス製造に必要不可欠であった高温での加熱処理工程が不要であり、塗装し乾燥させるだけで耐候性、防汚性、超撥水、超高耐磨耗性を持ち、ガラスのように割れることはないなど、各種耐久性に優れたガラス膜を形成するコーティング技術である。さらに、ガラスコーティング層は、完全な無機質なので人や犬や猫などのペットにも無害であり、塗替えなどが不要なのでコストパフォーマンスが良いなど、道路上に設置する標示具としての優れた特性を有する。
<実施形態7の効果の簡単な説明>
標示具の劣化を長期間抑制できる。
<実施形態8>
<実施形態8 概要>
本実施形態の標示具は、上記実施形態1から実施形態7を基礎として、前記シリコーンゲルフィルムは両面ゲルフィルムである。
<実施形態8 構成>
本実施形態の構成は、上記実施形態1から実施形態7の構成と基本的に同様である。相違点は、シリコーンゲルフィルムは両面ゲルフィルムである、ことを特徴とする。
<実施形態8 構成の説明>
<実施形態8 構成の説明:両面ゲルフィルム>
シリコーンゲルフィルムは、シリコーンゲルを両面に備えた両面シリコーンフィルムであり、シリコーン特有の耐候性、耐熱・耐寒性、耐腐食性、電気絶縁性、透明性などの性質に加え、ゲルの特性として、粘着性、密着性に優れている。先ず、シリコーン材料からなる平凸レンズの底部に,片面のセパレータを剥がしてシリコーンゲルを露出させたシリコーンゲルフィルムを貼着させ、しっかりと空気を抜く。次に、反対側のセパレータを剥がしてシリコーンゲルを露出させて、空気が入らないようにして、ベースの円錐台の頂面に配置して貼着する。平凸レンズとシリコーンゲルフィルムが共通の素材であることから、親和性が高く、平凸レンズの熱膨張や熱収縮にもシリコーンゲルフィルムは柔軟に追随し、貼着部分の剥離を回避できる。
なお、両面ゲルフィルムは、薄い膜ではあるが、図8のような5層構造を有している。すなわち、硬めのシリコーンの中間層(0803)と、中間層にゲル状態で貼り付けられた粘着性の上層と下層(0802)と、最上層と最下層(0801)はセパレータである。この図は、上側のセパレータを少しめくって、その下の粘着性の上層を露出させた状態を表す。
<実施形態8の効果の簡単な説明>
平凸レンズとの貼着が簡便に行うことができる。
<実施形態9>
<実施形態9 概要>
本実施形態の標示具は、上記実施形態1から実施形態8を基礎として、ベースの頂面は、その周縁に円周状壁部を有し、前記平凸レンズはその端縁が、円周状壁部の内壁側に沿って配置される。
<実施形態9 構成>
図9に示すように、ベース(0901)の頂面(0902)は、その周縁(0903)に円周状壁部(0904)を有し、平凸レンズ(0905)の端縁(0906)が、円周状壁部の内壁側に沿って配置される。図10はベースと平凸レンズの平面図である。図10に示すように、ベース(1001)の頂面(1002)は、その周縁(1003)に円周状壁部(1004)を有し、平凸レンズ(1005)の端縁(1006)が、円周状壁部の内壁側に沿って配置できる。
<実施形態9 構成の説明>
<実施形態9 構成の説明:平凸レンズの配置>
平凸レンズは、ベースの頂面にシリコーンゲルフィルムによって貼着して配置されるが、ベースの頂面の周縁に円周状壁部を構成し、平凸レンズの端縁がその円周状壁部の内壁側に沿って配置されることで、標示具に横からの強い力が加わっても、ベースの頂面の周縁の円周状壁部が平凸レンズの端縁を支えることから、平凸レンズがベースの円錐台頂面から剥離することを防止できる。
<実施形態9の効果の簡単な説明>
平凸レンズとベースの剥離を防止できる。
<実施形態10>
<実施形態10 概要>
本実施形態の標示具は、上記実施形態9を基礎として、前記平凸レンズの端縁は平凸レンズの光軸に平行な円周面部を有し、前記円周面部の高さは前記円周状壁の内壁高さ以下である。
<実施形態10 構成>
図2に示すように、ベース(0205)の頂面(0207)の周縁(0208)における円周状壁部内壁(0206)の高さをhとすると、平凸レンズ(0202)の端縁(0203)が、平凸レンズの光軸(0201)に平行な円周面部(0204)を有し、その円周面部の高さをhとする。ここにおいて、hはh以下であるように構成する。
<実施形態10 構成の説明>
<実施形態10 構成の説明:平凸レンズの光軸>
平凸レンズの光軸は、平凸レンズの凸部に垂直でその中心を通る直線であり、平凸レンズの凸部の回転対称軸と一致する。このことにより、光軸に平行な円周面部は同一の高さを有する。
<実施形態10の効果の簡単な説明>
光軸に平行な円周面部は同一の高さを有する。
0101 ベース
0102 反射材
0103 シリコーンゲルフィルム
0104 平凸レンズ
0105 ベースの頂面

Claims (10)

  1. 円錐台状の金属材料からなるベースと、
    ベースの円錐台の側面に配置される反射材と、
    ベースの円錐台の頂面に配置されるシリコーンゲルフィルムと、
    ベースの円錐台の頂面に配置されるシリコーンゲルフィルム上に、その端縁をベースの円錐台の頂面の端縁にそって配置されるシリコーン材料からなる平凸レンズと、
    からなる標示具。
  2. シリコーンゲルフィルムは、円形をしたフィルムで最外周縁は、ベースの円錐台頂面の最外周近辺にそうように配置されている請求項1に記載の標示具。
  3. ベースのシリコーンゲルフィルムの下層に平面反射材、平面蓄光部材、平面自家発光部材のいずれか一以上を備えた請求項1又は請求項2に記載の標示具。
  4. ベースのシリコーンゲルフィルムの下層に平面蓄光部材を備える場合には、平面蓄光部材は、シリコーン樹脂又は弾性を有するシリコーンゴムを母材とする蓄光材料からなる請求項3に記載の標示具。
  5. ベースのシリコーンゲルフィルムの下層に平面蓄光部材を備える場合には、平面蓄光部材の下層にさらに反射層を有する請求項3又は請求項4に記載の標示具。
  6. ベースのシリコーンゲルフィルムの下層に平面反射材を備える場合には、平面反射材は、シリコーン樹脂のコーティング層であるシリコーン樹脂コーティング層を有する請求項3に記載の標示具。
  7. 少なくとも平凸レンズの全体と、平凸レンズとその下層構造部との境界はガラス材料からなるガラスコーティング層にておおわれている請求項1から請求項6のいずれか一に記載の標示具。
  8. 前記シリコーンゲルフィルムは両面ゲルフィルムである請求項1から請求項7のいずれか一に記載の標示具。
  9. ベースの頂面は、その周縁に円周状壁部を有し、前記平凸レンズはその端縁が、円周状壁部の内壁側に沿って配置される請求項1から請求項8のいずれか一に記載の標示具。
  10. 前記平凸レンズの端縁は平凸レンズの光軸に平行な円周面部を有し、前記円周面部の高さは前記円周状壁の内壁高さ以下である請求項9に記載の標示具。

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