JP7266540B2 - 接続端子 - Google Patents

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Description

本開示は、接続端子に関する。
従来一般に、自動車内等で電気接続に用いられる接続端子を構成する基材として、銅および銅合金が用いられてきた。中でも、固溶強化型銅合金である黄銅やリン青銅が、広く用いられてきた。
近年、自動車の軽量化や電子制御の高度化に伴い、接続端子の小型化が進められている。接続端子を小型化した際に、十分な通電特性を維持するためには、接点部を構成するバネ部が、高い耐力を有している必要がある。また、そのように高い耐力を有する材料を小型の接続端子に成形するためには、材料が、高い曲げ加工性を有している必要がある。さらに、自動車のエンジンルーム付近等、高温になる環境で接続端子が使用される場合には、応力緩和現象によって接点部を構成するバネ部の弾性力が低下してしまうのを避けるために、接続端子の構成材料が高い耐応力緩和特性を有していることが求められる。
上記の黄銅やリン青銅は、接続端子の小型化に適した十分に高い耐力、曲げ加工性、また耐応力緩和特性を有していない。そこで、耐力、曲げ加工性、耐応力緩和特性に優れた銅合金として、析出強化型合金であるコルソン合金(Cu-Ni-Si系合金)が、接続端子を構成するのに用いられる場合がある。例えば、特許文献1に、自動車用コネクタ等の電気・電子部品に使用されるコルソン合金が開示されている。このコルソン合金は、強度異方性が小さく、曲げ加工性に優れているとされている。
特開2011-162848号公報 国際公開第2015/046470号 国際公開第2015/046421号 特開2013-213237号公報 特開2009-185341号公報 R.Labusch,"A Statistical Theory of Solid Solution Hardening"、Physica Status Solidi,1970年,41巻,659-669頁
上記のように、接続端子の基材としてコルソン合金を用いれば、接続端子の小型化に伴って要求される高い耐力、曲げ加工性、耐応力緩和特性を利用することができる。しかし、コルソン合金をはじめとする析出強化型合金は、特許文献1にも記載されるように、製造時に、溶体化処理や時効処理等の処理工程を必要とする。そのため、析出強化型合金は、固溶強化型合金に比べて高価となる。よって、接続端子の基材としてコルソン合金を用いると、接続端子の材料コストが高くなってしまう。
そこで、耐力、曲げ加工性、耐応力緩和特性に優れ、安価に製造することができる銅合金を基材とする接続端子を提供することを、課題とする。
本開示の接続端子は、質量%で、21%≦Zn≦27%、0.6%≦Sn≦0.9%、2.5%≦Ni≦3.7%、0.01%≦P≦0.03%を含有し、残部がCuおよび不可避的不純物よりなり、620MPa以上、700MPa以下の0.2%耐力と、15%IACS以上、20%IACS以下の導電率と、を有する銅合金を基材としてなる。
本開示にかかる接続端子を構成する基材は、上記のように、所定の成分組成を有するとともに、所定範囲の0.2%耐力を有している。その結果、基材は、耐力、曲げ加工性、耐応力緩和特性に優れたものとなっている。また、これらの銅合金は、固溶強化型合金であり、溶体化や時効硬化のように、材料コストを上昇させる処理工程を含まずに製造することができる。さらに、これらの銅合金は、比較的安価な元素であるZnを多く含有し、CuやSn、Niの含有量を少なく抑えたものとなっている。そのため、基材を安価に製造することができる。
図1は、本開示の一実施形態にかかる接続端子として、メス型端子の構成を示す断面図である。 図2は、図1の接続端子において、弾性接触片の折り曲げ部を拡大して示す斜視図である。 図3Aは、実施例における各試料について、固溶強化指数τと0.2%耐力および導電率との関係を示す図である。 図3Bは、図3Aの一部を拡大して表示する図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態を列挙して説明する。
本開示の一実施形態にかかる接続端子は、質量%で、21%≦Zn≦27%、0.6%≦Sn≦0.9%、2.5%≦Ni≦3.7%、0.01%≦P≦0.03%を含有し、残部がCuおよび不可避的不純物よりなり、620MPa以上、700MPa以下の0.2%耐力と、15%IACS以上、20%IACS以下の導電率と、を有する銅合金を基材としてなる。
上記実施形態にかかる接続端子を構成する基材は、Zn、Sn、Ni、Pをそれぞれ所定量含有する銅合金よりなっている。そのような成分組成を有する銅合金は、高耐力、高い曲げ加工性、優れた耐応力緩和特性を発揮しやすい。特に、銅合金が、620MPa以上の0.2%耐力を有することで、小型の接続端子において必要となる十分なバネ性を発揮する。一方、基材の0.2%耐力が700MPa以下に抑えられていることにより、接続端子の成形に必要な曲げ加工性が確保される。
また、基材を構成する銅合金は、比較的安価な元素であるZnを21%以上含有しており、その分、相対的に高価な元素であるCuやSn、Niの含有量が少なく抑えられている。そのため、基材の材料コストが抑えられる。さらに、この銅合金は、固溶強化型合金であるため、コルソン合金のような析出強化型合金とは異なり、溶体化や時効硬化のように、加工コストを上昇させる処理工程を含まずに製造することができる。結果として、基材の製造コストが抑制され、接続端子が安価に製造できる。
さらに、接続端子を構成する基材が、15%IACS以上の導電率を有していることにより、小型の接続端子においても、抵抗発熱が抑えられ、耐熱性が高くなる。一方、導電率が20%IACS以下に抑えられていることにより、銅合金中のZnの濃度を高めることができ、基材の製造コストが効果的に抑制される。
上記実施形態にかかる接続端子において、固溶強化指数τが、60≦τ≦75を満たしていることが好ましい。そのことにより、基材が、小型の接続端子において求められる十分な耐力を有するとともに、接続端子の成形に必要な曲げ加工性を有するものとなりやすい。
さらに、上記実施形態にかかる接続端子は、以下のような構成を有しているとよい。まず、前記銅合金の平均結晶粒径が、2.0μm以上、5.0μm以下であるとよい。その場合には、基材が、耐力および延性と、耐応力緩和特性とを、バランスよく有するものとなる。
また、前記銅合金はさらに、0.02質量%以下のFeを含有するとよい。Feは、銅合金中で、固溶強化等の効果を示す。
前記銅合金はさらに、Co、Cr、Zr、Ti、Mn、Vより選択される少なくとも1種を、合計で0.1質量%以下含有するとよい。それらの元素は、銅合金の強度および耐応力緩和特性を向上させる効果を発揮する。
前記銅合金は、圧延方向と垂直な方向に、620MPa以上、700MPa以下の0.2%耐力を有するとよい。銅合金を圧延して基材を製造する際に、圧延方向と垂直な方向においては、圧延条件により、0.2%耐力を調整しやすい。よって、基材の製造条件の調整により、圧延方向と垂直な方向に、所定範囲の0.2%耐力を有するものとしやすい。
前記接続端子は、相手方の電気接点と電気的に接触する接点部を含む領域に、前記銅合金の板材を圧延方向に垂直な方向に曲げてなるバネ部を有するとよい。銅合金の圧延により、圧延方向と垂直な方向における耐力が高められるため、バネ部が、接点部において高い接圧を与えるものとなりやすい。バネ部によって発揮される高い接圧により、バネ部に設けられた接点部と、相手方の電気接点との間に、安定な電気接続が形成される。
前記接続端子は、メス型端子であるとよい。メス型端子は、バネ部等、接圧を発生する構造を備えることで、相手方のオス型端子に接圧を印加して、端子間の電気接続を維持するものである。よって、メス型端子の基材を、高い0.2%耐力を有する上記銅合金より構成することで、安定な電気的接続を確保できるメス型端子となる。また、メス型端子は、オス型端子に比べて複雑な形状を有するが、上記銅合金が高い曲げ加工性を有することで、製造を行いやすい。
前記接続端子がメス型端子である場合に、嵌合可能な相手方のオス型端子のタブの幅として規定され、前記接続端子がオス型端子である場合に、該オス型端子のタブの幅として規定されるタブ幅が、0.5mm以下であるとよい。そのような小さなタブ幅を有する小型の接続端子においても、高い耐力を有する銅合金より基材を構成することで、接点部において、相手方の電気接点との間に、安定な通電特性が確保されやすくなる。
前記銅合金が、板厚0.20mm以下の板材として、前記接続端子を構成しているとよい。そのような板厚の薄い基材より構成される小型の接続端子においても、高い耐力を有する上記銅合金より基材を構成することで、安定な通電特性が確保されやすくなる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、図面を用いて本開示の実施形態にかかる接続端子について、詳細に説明する。本開示の実施形態にかかる接続端子は、所定の成分組成と物理的特性を有する銅合金を基材としてなるものである。
以下、本明細書において、合金組成における各元素の含有量の単位は、質量%とする。各物性値は、特記しない限り、室温、大気中にて測定される値を指す。また平行、垂直等、部材の形状や配置を表す概念には、幾何的に厳密な概念のみならず、接続端子として許容される範囲のずれを含むものとする。
<接続端子の構造>
まず、本開示の実施形態にかかる接続端子の構造の概略について説明する。本開示の実施形態にかかる接続端子は、具体的な形状や用途を特に限定されるものではないが、一例として、嵌合型のメス型端子10について、以下で簡単に構造を説明する。
図1に、メス型端子10の構造の概略を示す。メス型端子10は、公知の嵌合型のメス型端子と同様の形状を有する。すなわち、前方が開口した角筒状に挟圧部13が形成され、挟圧部13の底面13aの内側に、バネ部として、内側後方へ折り返された形状の弾性接触片11を有する。メス型端子10の挟圧部13の内部に、相手方の電気接続部材として、オス型端子30の平板型のタブが挿入されると、メス型端子10の弾性接触片11は、挟圧部13の内側へ膨出したエンボス部11aにおいて、オス型端子30と接触し、オス型端子30に上向きの力を加える。弾性接触片11と相対する挟圧部13の天井部の面が内部対向接触面12とされ、オス型端子30が弾性接触片11によって内部対向接触面12に押し付けられることにより、オス型端子30が挟圧部13の内部で挟圧保持される。
メス型端子10は、後に説明する第一の形態または第二の形態にかかる銅合金を基材として形成されている。基材の表面には、適宜、酸化等、基材の変性を防止するため、また通電特性や摩擦特性等の表面特性を向上させるための被覆層が形成されていてもよい。被覆層は、基材より厚さの小さい層であれば、その構成を特に限定されるものではないが、基材と異なる組成の金属を含む層や、有機化合物を含む層を例示することができる。被覆層は、基材の表面に、1層のみ形成されていても、複数種が積層されていてもよい。被覆層としては、スズめっき層等の金属層や、潤滑剤層を例示することができる。
メス型端子10を構成する基材の方向は、特に限定されるものではないが、基材の圧延方向Drに垂直な方向が、弾性接触片11の曲げ方向D1となっていることが好ましい。つまり、図2に拡大図を示すとおり、挟圧部13の底面13aから弾性接触片11が折り曲げられている方向である曲げ方向D1が、基材の圧延方向Drに垂直になっている。基材の圧延方向Drは、圧延目と呼ばれる圧延ロールの表面性状が転写され圧延方向に延びた線状の模様により、判別することができる。
メス型端子10の大きさは、特に限定されるものではないが、後に説明する基材の特性を有効に活用する観点から、小型のものであることが好ましい。例えば、タブ幅が0.5mm以下であることが好ましい。ここで、メス型端子10のタブ幅とは、メス型端子10と嵌合可能な相手方オス型端子30のタブの幅を指す。また、メス型端子10を構成する銅合金基材の板厚が、0.20mm以下であることが好ましい。
本開示の実施形態にかかる接続端子は、上記のような嵌合型のメス型端子10に限られず、オス型端子30等、いかなる形態のものであってもよく、以下に説明する銅合金を基材として、各種端子を構成することができる。しかし、耐力や曲げ加工性の高さ等、後述する基材の特性を有効に利用する観点から、接続端子は、上記のメス型端子10の弾性接触片11のように、接点部(上記ではエンボス部11a)を含む領域に、バネ部、つまり、基材が有する弾性によって、接点部に接圧を印加することができる構造を有するものであることが好ましい。
さらには、接続端子に含まれるバネ部の曲げ方向D1が、銅合金基材の圧延方向Drに垂直になっていることが好ましい。接続端子がバネ部を有さない場合でも、接続端子が、180°曲げを加えられる部位を有する場合に、その曲げの方向が、基材の圧延方向Drと垂直になっていることが好ましい。ここで、180°曲げとは、折り返された基材の板面が相互に平行に対向した状態となる曲げを指す。上記メス型端子10の弾性接触片11は、挟圧部13の底面13aから、180°曲げによって後方へと折り返されている。
さらに、本開示の実施形態にかかる接続端子は、メス型端子10以外の形状を有する場合でも、銅合金が、板厚0.20mm以下の板材として、接続端子を構成していることが好ましい。また、接続端子が嵌合型のオス型端子30である場合に、メス型端子10である場合と同様に、タブ幅(そのオス型端子30が有するタブの幅)が、0.5mm以下であることが好ましい。接続端子が嵌合型のメス型端子10やオス型端子30以外の形状を有する場合でも、接点部を含む板状の部位の横幅が、0.5mm以下であることが好ましい。
<基材を構成する銅合金>
次に、本開示の実施形態にかかる接続端子の基材となる銅合金について説明する。
[1]第一の実施形態にかかる銅合金
本開示の実施形態にかかる接続端子を構成する、第一の形態にかかる銅合金は、以下の各添加元素を含有し、残部がCuおよび不可避的不純物よりなっている。
・21%≦Zn≦27%
・0.6%≦Sn≦0.9%
・2.5%≦Ni≦3.7%
・0.01%≦P≦0.03%
そして、本形態にかかる銅合金は、620MPa以上、700MPa以下の0.2%耐力と、15%IACS以上、20%IACS以下の導電率とを有している。以下、本銅合金の成分組成および特性について、詳細に説明する。
(成分組成)
第一の形態にかかる銅合金は、Zn、Sn、Ni、Pを必須の添加元素として含有し、残部がCuおよび不可避的不純物よりなっている。以下、各添加元素の含有量および含有による効果等について説明する。
(1)21%≦Zn≦27%
Znは、銅母相に固溶することで、固溶強化を起こす。銅合金に添加したZnの多くは、銅母相内に固溶することができる。また、Znは、Cuに比べて安価であり、Cu合金にZnを多く添加した銅合金においては、原材料費が低く抑えられる。
Znの含有量を21%以上としておくことで、固溶強化量が大きくなり、接続端子に求められる高い強度が得られやすくなる。また、結晶粒が微細化されやすくなり、高い曲げ加工性が得られる。Zn添加による原材料費低減の効果も大きくなる。それらの効果をより高める観点から、Znの含有量は、22%以上であると、さらに好ましい。
一方、Znの含有量を多くしすぎると、銅合金中にβ相が生成されるようになり、延性および耐応力腐食割れ性が著しく低下する。また、Znの含有量が増えすぎると、銅合金のヤング率が低下するとともに、積層欠陥エネルギーも低下する。すると、耐応力腐食割れ性も低くなってしまう。また、Znは拡散速度が大きいため耐応力緩和特性も低下する。そこで、Znの含有量を27%以下としておくことで、それらの事態を回避し、延性、耐応力腐食割れ性、導電率のバランスに優れた銅合金が得られる。延性および耐応力腐食割れ性を特に高く維持する観点から、Znの含有量は、26%以下であると、さらに好ましい。
(2)0.6%≦Sn≦0.9%
Snは、Znと同様に、銅母相中に固溶することで、固溶強化を起こす元素であり、Snの添加により、銅合金の強度、耐応力緩和特性、耐応力腐食割れ性を向上させることができる。また、Snの添加により、結晶粒を微細化することができ、結晶粒の微細化によって、銅合金の強度と曲げ加工性を向上させることができる。
Snの含有量を0.6%以上とすることで、Snの添加による上記の各効果を有効に得ることができる。それらの効果をさらに顕著に得る観点から、Snの含有量は、0.7%以上であると、さらに好ましい。
一方、Snを銅合金に多量に含有させすぎると、銅合金の導電率およびヤング率が急激に悪化する。また、過剰量のSnの含有により、材料費が上昇するとともに、熱間加工性が低下することにより、基材の製造コストの上昇を招く。Snの含有量を0.9%以下、好ましくは0.8%以下としておくことで、高い導電率を維持するとともに、基材の製造コストを低く抑えることができる。
(3)2.5%≦Ni≦3.7%
Niは、銅母相に固溶することで、わずかではあるが、固溶強化を起こす。また、上記のように、ZnおよびSnを銅合金に添加することで、ヤング率および積層欠陥エネルギーが低下する傾向があるが、銅合金にNiを添加することで、ヤング率と積層欠陥エネルギーの低下を抑制することができる。その結果、接続端子の基材として必要なバネ性を確保するとともに、耐応力腐食割れ性の低下を抑制することができる。また、Niは拡散速度が小さいため耐応力緩和特性を向上させることができる。さらに、NiがPとともに銅合金に含有されることで、Ni-P系析出物が生成し、分散・析出強化による強度の向上と、結晶粒界のピン止めによる結晶粒微細化の効果が得られる。また、Niは、銅合金に固溶したPとの親和力の高さから、コットレル雰囲気を形成し、耐応力緩和特性を顕著に向上させる効果を有する。Niの含有量を2.5%以上、好ましくは2.6%以上とすることで、Niの添加による上記各効果を有効に得ることができる。
一方、Niは、高価な元素であり、多量に添加しすぎると、材料コストの上昇を招く。また、Niを多量に添加しすぎても、応力緩和特性の向上等、Niの添加による効果が飽和してしまう。そこで、Niの含有量を3.7%以下としておくことで、材料コストを抑制することができる。Niの含有量は、3.6%以下であると、さらに好ましい。
(4)0.01%≦P≦0.03%
上記のように、Pが、Niとともに銅合金に含有されることで、Ni-P系析出物を生成し、分散・析出強化と結晶粒微細化の効果が得られる。また、Pは、固溶したNiとの親和性の高さにより、耐応力緩和特性を向上させることができる。Pの含有量を0.01%以上とすることで、それらの効果を有効に得ることができる。
一方、Pの固溶量が増加すると、銅合金の導電率が著しく低下する。また、粗大なNi-P系析出物が生成し、曲げ加工性も低下する。Pの含有量を0.03%以下とすることで、銅合金の導電率および曲げ加工性を確保することができる。
本銅合金は、上述した必須元素であるZn、Sn、Ni、Pに加えて、さらに、以下の元素から選択される1種または2種以上の元素を任意に含有していてもよい。以下、各任意添加元素の含有量、および含有による効果等について説明する。
(5)Fe≦0.02%
Feは、銅合金中で、固溶強化を起こすとともに、鋳造時の脱酸の促進、および鋳造組織の微細化に効果を有する。また、Ni-Fe-P系析出物を形成することで、分散・析出強化の効果を発揮するとともに、銅合金の再結晶時に、ピン止め現象によって、結晶粒を微細化させる効果を有する。Feは、銅合金にごく少量添加するだけでも、それらの効果を大きく発揮するので、含有量の下限は特に設けられないが、例えば、0.001%以上とできる。
一方、Feの含有量を多くしすぎると、粗大なNi-Fe-P析出物が形成され、銅合金の曲げ加工性を低下させる。曲げ加工性を確保する観点から、Feの含有量は、0.02%以下とされる。
(6)Co,Cr,Zr,Ti,Mn,V≦0.1%
Co、Cr、Zr、Ti、Mn、Vの少なくとも1種を銅合金に添加することで、銅合金の強度および耐応力緩和特性を向上させる効果が得られる。それらの元素は、銅合金にごく少量添加するだけでも、それらの効果を大きく発揮するので、含有量の下限は特に設けられないが、例えば、0.001%以上とできる。
一方、それらの元素(M)の含有量を多くしすぎると、Ni-M-P系析出物やM-P系析出物が形成され、銅合金の曲げ加工性を低下させる。曲げ加工性を確保する観点から、それらの元素の含有量は、合計で、0.1%以下とされる。
(7)不可避的不純物
本銅合金は、必須添加元素として、上記所定量のZn、Sn、Ni、Pを含有し、さらに上記任意添加元素を必要に応じて含有して、残部が、Cuと不可避的不純物よりなる。ここで、不可避的不純物としては、O,H,C,Sなどを挙げることができる。O,H,C,Sなどにより構成される不可避的不純物としては、より具体的には、HOなどを挙げることができる。
(8)Zn、Sn、Niの含有量の関係
本銅合金において、Zn、Sn、Niは、それぞれ、上記の含有量の範囲を満たしているとともに、それぞれの含有量が、以下に説明する関係を満たしていることが好ましい。
銅合金においては、加工度を大きくすることで、銅合金の0.2%耐力を高くめることができる。一方で、加工度を大きくすると、銅合金の曲げ加工性が低下してしまう。よって、十分な0.2%耐力と曲げ加工性を両立するためには、銅合金中で固溶強化を起こす添加元素であるZn、Sn、Niの固溶による強化量を、十分に大きくしておく必要がある。
固溶原子による強化量については、非特許文献1に示されるように、基礎的な研究が行われており、以下のτで表現されることが知られている。
Figure 0007266540000001
ここで、Fは、固溶原子と転位の相互作用力、wは固溶原子との間に転位の相互作用が働く範囲を示すパラメータ、bはバーガースベクトル、cは固溶原子濃度、μは剛性率である。式(1)は、固溶原子による強化量が、固溶原子の濃度の2/3乗に比例することを示している。
本銅合金においては、上記のように、Zn、Sn、Niの3種の元素が、固溶強化に寄与する。上記Labuschの理論を参考に、発明者らが実験結果に基づく検討を行ったところ、それら3種の元素による固溶強化量は、それぞれの固溶原子濃度の2/3乗の加算則で整理でき、銅合金の固溶強化量の指標として、下記の式で表現される固溶強化指数τを適用できることを見出した。
Figure 0007266540000002
ここで、[Zn]、[Sn]、[Ni]は、それぞれ、銅合金におけるZn、Sn、Niの、質量%を単位とした含有量である。
本銅合金においては、上記の固溶強化指数τが、60≦τ≦75の範囲にあることが好ましい。固溶強化指数τを60以上としておくことで、本銅合金において、後述するように、620MPa以上の0.2%耐力が得られるように加工度を設定しても、基材を接続端子の形状に成形できる程度の曲げ加工性を確保することができる。曲げ加工性をさらに高める観点から、固溶強化指数τは、62以上、また65以上であると、さらに好ましい。
一方、固溶強化指数τを大きくしすぎると、銅合金の導電率を15%IACS以上に維持するのが困難になる。また、耐応力緩和特性が低下しやすくなる。そこで、固溶強化指数τを75以下としておくことで、銅合金の導電率および耐応力緩和特性を高く維持しやすくなる。それらの効果をさらに高める観点から、固溶強化指数τは、70以下であると、さらに好ましい。
本形態にかかる銅合金は、上記のような必須元素を含有することにより、さらに、必要に応じて任意添加元素を含有し、また所定の範囲の固溶強化指数τを有することにより、耐力、曲げ加工性、耐応力緩和特性、導電性に優れた銅合金となっている。さらに、この銅合金は、耐応力腐食割れ性にも優れたものとなっている。それら銅合金が有する各種特性については、後に詳細に説明する。
また、本形態にかかる銅合金は、Zn、Sn、Niという固溶強化を起こす添加元素を含有する固溶強化型合金であるため、析出強化型合金とは異なり、製造工程において、溶体化処理や時効処理等、強化のための処理工程を必要としない。よって、基材を製造する際の加工に要するコストを抑制することができる。加えて、本銅合金は、安価な元素であるZnを、21%以上と多量に含有している。Znの含有量が多い分、高価な元素であるCuやSn、Niの含有量が低く抑えられ、材料コストが低くなる。このように、加工コストと材料コストを抑制することで、接続端子を構成する基材を、安価に製造することができる。
(結晶組織)
本形態にかかる銅合金においては、平均結晶粒径が、5.0μm以下であることが好ましく、4.5μm以下であることがより好ましい。結晶粒を微細化することで、銅合金の耐力と延性を向上させることができる。一方で、結晶粒を微細化しすぎると、粒界拡散の影響が大きくなり、耐応力緩和特性が低くなってしまう。そこで、耐応力緩和特性を確保する観点から、平均結晶粒径は、2.0μm以上、さらには2.5μm以上であることが好ましい。平均結晶粒径が、2.0μm以上、5.0μm以下の範囲にあれば、耐力、延性、耐応力緩和特性を、バランスよく有する銅合金となる。
銅合金中の平均結晶粒径は、銅合金の成分組成によって制御することができる。例えば、Zn、Sn、Ni、Pの含有量を、上記所定の範囲の中で多くすること、また、任意元素であるFe、Co、Cr、Zr、Ti、Mn、Vのいずれか少なくとも1種を添加することで、結晶粒を微細化できる。また、平均結晶粒径は、銅合金の製造条件にも依存し、例えば、銅合金の圧延時に、圧延率を高くすることでも、結晶粒を微細化することができる。
銅合金における平均結晶粒径は、例えば、走査電子顕微鏡(SEM)を用いた組織観察によって、評価することができる。結晶粒の円相当径の平均値を、平均結晶粒径とすればよい。
(銅合金の特性)
本形態にかかる銅合金は、以下のような特性を有している。
(1)0.2%耐力
0.2%耐力は、金属材料の強度の指標となる量であり、本銅合金は、620MPa以上かつ700MPa以下の0.2%耐力を有している。接続端子において、基材の0.2%耐力が大きいほど、相手方電気接点と電気的に接触する接点部に、大きな接圧を印加しやすくなる。例えば、上で説明したメス型端子10の場合、基材の0.2%耐力が大きいほど、バネ部として構成される弾性接触片11のバネ性が大きくなり、オス型端子30と電気的に接触する接点部であるエンボス部11aに、高い接圧が印加される。接続端子の接点部において、高い接圧が印加されるほど、接触抵抗の低い状態を安定に維持することができる。その結果、抵抗発熱を低く抑えることができ、抵抗発熱による基材の軟化や溶損を回避しやすくなる。接続端子が、耐熱性に優れたものとなる。
特に、小型の接続端子においては、バネ部等、接点部が形成される領域の幅(嵌合型のメス型端子10およびオス型端子30の場合にはタブ幅)が、小さくなるとともに、基材の板厚が小さくなるので、基材の幅や厚さの寄与によって、十分な大きさのバネ荷重を確保することが難しい。よって、基材を構成する銅合金の材料物性自体として、大きな弾性力を確保しておく必要があり、基材の0.2%耐力を高めておくことが重要となる。本銅合金において、0.2%耐力を620MPa以上としておけば、接続端子において、接圧の確保に十分なバネ荷重を確保することができる。接続端子を小型化し、接点部が形成される領域の幅(タブ幅)を0.5mm以下にする場合や、基材の板厚を0.20mm以下とする場合にも、接続端子として十分な接圧を確保しやすい。接圧を高める観点から、0.2%耐力は、640MPa以上であれば、さらに好ましい。さらに、接続端子の接圧に直接的に影響する量はヤング率であり、本銅合金は、100GPa以上のヤング率を有していることが好ましい。
一方、銅合金の0.2%耐力が大きくなりすぎると、成形が困難になる。特に、曲げ加工性が低下しやすくなる。しかし、上記範囲の成分組成を有する本銅合金において、0.2%耐力を700MPa以下としておけば、加工硬化が大きくなりすぎることにより、接続端子の成形に必要な曲げ加工性を確保できなくなる事態を、回避することができる。曲げ加工性を高める観点から、0.2%耐力は、680MPa以下であれば、さらに好ましい。
このように、銅合金が、620MPa以上かつ700MPa以下の0.2%耐力を有することで、メス型端子10をはじめとする接続端子において、高い接圧と、端子加工に必要な曲げ加工性とを両立することができる。0.2%耐力は、銅合金の成分組成によって調整することができる。例えば、Zn、Sn、Niの添加量を、上記範囲の中で多くすることで、0.2%耐力を向上させることができる。さらに、Zn、Sn、Niの含有量の比を調整し、固溶強化指数τの値を制御することでも、0.2%耐力を調整することができる。後の実施例で、図3A、3Bを参照しながら説明するように、固溶強化指数τが大きくなると、0.2%耐力が高くなる。60≦τ≦75を満たすようにしておくことで、620MPa以上かつ700MPa以下の0.2%耐力を確保しやすくなる。
0.2%耐力は、銅合金の製造時の条件によっても、調整することができる。例えば、仕上圧延の圧延量を大きくするほど、結晶粒径は小さくなるとともに、加工硬化も大きくなり0.2%耐力を向上させることができる。特に高い0.2%耐力を得るためには、仕上圧延の圧延率を10%以上とすることが好ましく、さらには15%以上とすることが好ましい。一方、加工硬化量を大きくしすぎると延性が低下し、曲げ加工性の確保が困難となる。そのため、固溶強化指数τを60≦τ≦75を満足させつつ、0.2%耐力が700MPa以下になるように、仕上圧延の圧延量を調整することが好ましい。特に圧延率が50%を超えると急激に延性が低下するため、仕上圧延の圧延率は40%以下とすることが好ましい。
銅合金は、620MPa以上、好ましくは640MPa以上、また700MPa以下、好ましくは680MPa以下の0.2%耐力を、圧延方向Drに垂直な方向に有していることが好ましい。つまり、圧延方向Drに垂直な方向に沿って引張試験を行って計測される0.2%耐力が、上記のような値を有することが好ましい。圧延方向Drに垂直な方向においては、圧延により、0.2%耐力を制御しやすいからである。また、上記のように、接続端子において、メス型端子10の弾性接触片11のようなバネ部の曲げ方向D1を、圧延方向Drに垂直に取った場合に、銅合金が、620MPa以上の0.2%耐力を、圧延方向Drに垂直な方向に有していることにより、バネ部におけるバネ荷重を大きくし、接点部に大きな接圧を印加しやすくなる。一方で、圧延方向Drに垂直な方向の0.2%耐力が700MPa以下となっていることにより、当該方向への曲げ加工性の高さを利用して、曲げ加工によるバネ部の形成を行いやすい。銅合金の0.2%耐力は、例えば、JIS Z 2241に準拠した引張試験によって、評価することができる。
(2)導電率
本形態にかかる銅合金は、15%IACS以上、かつ20%IACS以下の導電率を有している。銅合金が高い導電率を有しているほど、接続端子の接点部において、抵抗発熱が小さくなり、抵抗発熱による基材の軟化や接続端子の溶損が起こりにくくなる。本銅合金は、620MPa以上の0.2%耐力を有しており、接続端子の接点部において、大きな接圧を確保できるため、15%IACS以上の導電率を有していれば、十分に抵抗発熱を抑制し、基材の軟化や接続端子の溶損を回避することができる。同じ量の電流を流した際の抵抗発熱は、接続端子が小型であるほど大きくなるが、接点部が形成される領域の幅(タブ幅)を0.5mm以下のように小さくした場合でも、そのように小型の接続端子は、信号系に使用され、微量の電流しか流されないので、基材が15%IACS以上の導電率を有していれば、抵抗発熱を十分に抑制することができる。抵抗発熱抑制の効果を高める観点から、導電率は、16%IACS以上であると、さらに好ましい。
一方、銅合金において、Znの含有量を多くすると、導電率が低下してしまう。つまり、導電率を上げるためには、Znの含有量を少なくする必要がある。しかし、導電率を20%IACS以下に抑えておくことで、固溶強化量を十分に大きくし、また原材料費低減の効果を十分に発揮できるだけの十分な量のZnを、銅合金に含有させることができる。
このように、銅合金が、15%IACS以上、20%IACS以下の導電率を有していることで、接続端子の接点部における抵抗発熱の抑制と、十分な量のZnの含有の許容とを、両立することができる。導電率は、主に、銅合金の成分組成によって調整することができる。Znの含有量を比較的少なく抑えることのほか、SnやPの含有量を少なく抑えることにより、導電率が高くなる。また、後の実施例で、図3A、3Bを参照しながら説明するように、固溶強化指数τが小さくなると、導電率が高くなる。60≦τ≦75を満たすようにしておくことで、15%IACS以上かつ20%IACS以下の導電率を確保しやすくなる。銅合金の導電率は、例えば、四端子法にて計測することができる。
(3)耐応力緩和特性
本形態にかかる銅合金は、NiとPを複合添加されており、Ni-P系析出物を含有していることにより、高い耐応力緩和特性を有する。固溶強化指数τが75以下に抑えられていることも、耐応力緩和特性の向上に効果を有する。銅合金が高い耐応力緩和特性を有していることにより、銅合金が、例えば120℃以上のような高温環境にさらされても、応力緩和を起こしにくく、大きな弾性力を維持することができる。例えば、接続端子を、自動車のエンジンルーム近傍等、高温になる環境で使用したとしても、メス型端子10の弾性接触片11等、バネ部のバネ荷重が高い状態が維持され、接点部において、大きな接圧による高い通電特性を長期にわたって維持することができる。
(4)耐応力腐食割れ性
本形態にかかる銅合金は、Znの含有量が27%以下に抑制されていることにより、また、SnおよびNiの添加の効果により、高い耐応力腐食割れ性を有する。よって、オス型端子30と嵌合させた状態のメス型端子10の弾性接触片11のように、接続端子を相手方の電気接続部材と接続して、バネ部を弾性変形させ、応力を印加した状態で、接続端子が腐食環境に晒された場合でも、応力腐食割れが発生しにくい。
[2]第二の形態にかかる銅合金
ここまで説明した第一の形態にかかる銅合金は、所定の範囲の含有量のZn、Sn、Ni、Pを含有し、残部がCuおよび不可避的不純物よりなるという成分組成を有し、かつ、所定範囲の0.2%耐力および導電率を有するものであった。第一の形態においては、銅合金が、所定量のZn、Sn、Ni、Pを含有することで、耐力、曲げ加工性、耐応力緩和特性に優れたものとなっている。
しかし、Zn、Sn、Ni、Pを含有し、残部がCuおよび不可避的不純物よりなる銅合金において、必ずしも、Zn、Sn、Ni、Pのそれぞれが、上記第一の形態において規定される特定の範囲の含有量を満たしていなくても、それらの添加元素の含有量が所定の関係性を満たしていれば、耐力、曲げ加工性、耐応力緩和特性に優れた銅合金とすることができる。そのように、添加元素の含有量の関係性により、優れた耐力、曲げ加工性、耐応力緩和特性を示す銅合金として、第二の形態にかかる銅合金を用いて、本開示の実施形態にかかる接続端子を構成することができる。以下、第二の形態にかかる銅合金について、簡単に説明する。
第二の形態にかかる銅合金は、Zn、Sn、Ni、Pを含有し、残部がCuおよび不可避的不純物よりなり、固溶強化指数τが、62≦τ≦75を満たしている。そして、620MPa以上、700MPa以下の0.2%耐力と、15%IACS以上、20%IACS以下の導電率とを有している。ここで、固溶強化指数τは、式(2)によって定義される。
Figure 0007266540000003
[Zn]、[Sn]、[Ni]は、それぞれ、銅合金におけるZn、Sn、Niの、質量%を単位とした含有量である。
式(2)によって算出される固溶強化指数τは、上記第一の形態にかかる銅合金について、Zn、Sn、Niの含有量が満たすことが好ましい関係を定義するのに用いたのと同じものである。第二の形態にかかる銅合金においても、十分に大きな0.2%耐力と曲げ加工性を両立し、かつ高い導電率および耐応力緩和特性を有する銅合金とするための指標として、固溶強化指数τを利用することができる。
固溶強化指数τを62以上としておくことで、銅合金において、620MPa以上の0.2%耐力が得られるように加工度を設定しても、基材を接続端子の形状に成形できる程度の曲げ加工性を確保することができる。曲げ加工性をさらに高める観点から、固溶強化指数τは、65以上であると、さらに好ましい。なお、上記第一の形態にかかる銅合金について、好ましい範囲として挙げた固溶強化指数τの下限値は、60であったが、本第二の形態にかかる銅合金においては、固溶強化指数τの下限値を62とすることで、Zn、Sn、Niの個別の含有量を厳しく限定しなくても、0.2%耐力と曲げ加工性を両立することが可能となっている。
一方、固溶強化指数τを大きくしすぎると、銅合金の導電率を15%IACS以上に維持するのが困難になる。また、耐応力緩和特性が低下しやすくなる。そこで、固溶強化指数τを75以下としておくことで、銅合金の導電率および耐応力緩和特性を高く維持しやすくなる。それらの効果をさらに高める観点から、固溶強化指数τは、70以下であると、さらに好ましい。
このように、銅合金の固溶強化指数τが、62≦τ≦75を満たすことで、接続端子において、接点部で十分に安定な通電特性を達成するために必要な0.2%耐力と、接続端子を成形するために必要な曲げ加工性とを両立することができる。また、接続端子が、抵抗発熱を抑制できる高い導電率と、高温環境下での使用に耐えることができる高い耐応力緩和特性を有するものとなる。
第二の形態にかかる銅合金において、Pの含有量については、他の成分元素の含有量との関係性が規定されていない。しかし、Pの含有量は、0.01%以上、0.03%以下であることが好ましい。
詳細な説明は省略するが、本第二の形態にかかる銅合金においても、各必須元素や任意添加元素の含有量、また有する特性に関する好ましい構成として、上記第一の形態にかかる銅合金ついて挙げたのと同様の構成を適用することができる。そして、それらの構成を適用することで、上記第一の形態にかかる銅合金ついて説明したのと同様の効果を得ることができる。固溶強化指数τのみで、Zn、Sn、Niの3種の添加元素の含有量を規定するのが困難な場合等には、例えば、Znの含有量を、21%以上、27%以下としておけばよい。
<接続端子の製造方法>
次に、本開示の実施形態にかかる接続端子の製造方法について説明する。
(銅合金の製造)
まず、接続端子の基材となる銅合金の板材を製造する。銅合金は、例えば、以下の(1)~(8)の工程を、記載した順に実施することで、製造することができる。工程(4)の焼鈍および工程(5)の冷間圧延のサイクルは、複数回実施してもよい。処理温度や処理時間、加工率等、各工程を実施する際の具体的な条件は、特に限定されるものではないが、下記では、それら処理条件の例を示している。また、括弧内に、銅合金材を順次加工する際の寸法変化の一例を示している。wは銅合金材の幅、tは厚さ、Lは長さを示している。
(1)溶解鋳造 (100mm w×30mm t×200mm L)
(2)熱間圧延 800~900℃×1時間 (6mm t)
(3)冷間圧延 (1.0mm t)
(4)焼鈍 500~600℃×1時間
(5)冷間圧延
(6)焼鈍 400~500℃×1時間 (結晶粒径2.0~5.0μm)
(7)冷間圧延 加工率10~40% (0.2mm t)
(8)歪取焼鈍 200~300℃×1時間
(接続端子の製造)
次に、上記のようにして製造した銅合金の板材を基材として、接続端子を製造する。接続端子への加工に先立ち、適宜、基材の表面に、スズめっき層等の被覆層を形成しておけばよい。そして、板材に対して、プレス打ち抜き成形や、曲げ加工等による端子形状への成形を行って、メス型端子10等、接続端子を製造することができる。
基材に対してプレス打ち抜き成形や曲げ加工を行う際に、接続端子のバネ部が、基材の圧延方向Drに垂直な方向に基材を曲げて形成されるように、基材の方向に対して、端子形状の方向を設定しておくとよい。上記のメス型端子10の場合、プレス打ち抜き成形を行う際に、挟圧部13の底面13aとなる部位から、弾性接触片11となる部位が延びる方向が、圧延方向Drに垂直になるように、基材の方向に対して、端子形状を打ち抜く方向を設定すればよい。そして、曲げ加工を行う際に、圧延方向Drに垂直に、弾性接触片11となる部位を、挟圧部13の底面13aとなる部位に対して折り曲げればよい。このように、バネ部の曲げ方向D1が、基材の圧延方向Drに垂直になるように、接続端子を製造することで、バネ部において、高いバネ荷重が得られるとともに、曲げ加工性を確保しやすくなる。
以下に実施例を示す。なお、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。以下で、各評価は、特記しないかぎり、室温、大気中にて行った。
[試験方法]
(1)試料の作製
表1に示した各成分元素を含有し、残部がCuおよび不可避的不純物よりなる銅合金を、厚さ0.2mmの板材として作製し、試料1~12および試料101~111とした。銅合金の製造は、(1)溶解鋳造、(2)熱間圧延、(3)冷間圧延、(4)焼鈍、(5)冷間圧延、(6)焼鈍、(7)冷間圧延、(8)歪取焼鈍をこの順に経て行った。各試料においては、成分組成と、製造工程における圧延条件、熱処理条件の調整によって、結晶粒径および機械的特性を調整した。
(2)機械的特性および導電率の評価
各銅合金に対して、室温、大気中にて、JIS Z 2241に準拠した引張試験を行い、応力-ひずみ曲線から、0.2%耐力を評価した。引張試験は、JIS 13B号試験片を用いて、銅合金の圧延方向に垂直な方向に対して行った。さらに、四端子法により、導電率を測定した。
(3)結晶粒径の評価
各銅合金に対して、走査電子顕微鏡(SEM)によって、断面を圧延方向から観察した。そして、結晶粒の円相当径の平均値として、平均結晶粒径を見積もった。
(4)接続端子に対する評価
各試料の銅合金を用いて、タブ幅0.5mmのメス型端子を作製した。銅合金を端子形状に成形するためのプレス打ち抜き成形および曲げ加工に際し、銅合金の圧延方向に垂直な方向を、メス型端子の弾性接触片の曲げ方向とした。作製した接続端子を用いて、下記の各特性を評価した。
・曲げ加工性
接続端子において、挟圧部の角筒形状の底面から弾性接触片が折り返されている部位の180°曲げ、および挟圧部の角筒形状の壁面における90°曲げの箇所を、高分解能X線断層撮影(CT)によって観察した。いずれの箇所においても、割れが形成されていない場合を、曲げ加工性が高い(A)と評価した。一方、いずれか少なくとも一方の箇所で割れが形成されている場合を、曲げ加工性が不十分である(B)と評価した。
・導電性
接続端子に電線を接続して通電を行い、通電中の接続端子の温度上昇を、端子の圧着部に接触させて固定した熱電対によって測定した。定格の電流値を通電し安定した時の温度上昇が、30℃の範囲を超えなかった場合には、導電性が高い(A)と評価した。一方、温度上昇が上記範囲を超えた場合には、導電性が不十分である(B)と評価した。
・バネ荷重
接続端子において、接点部に印加される弾性接触片の荷重を、万能試験機を使いロードセルによって測定した。設計時に設定された荷重が得られている場合には、バネ荷重が十分である(A)と評価した。一方、設計時に設定された荷重よりも測定値が小さくなっている場合には、バネ荷重が不十分である(B)と評価した。
・耐応力緩和特性
接続端子に成形する前の銅合金板を、両端支持型の治具で支持し、0.2%耐力の80%の大きさの応力を印加しながら、120℃で保持した。試験後の試験片の寸法変化量を測定することで、保持中に除荷された応力を測定した。印加した応力に対して、20%未満しか除荷されていない場合を、耐応力緩和特性が高い(A)と評価した。印加した応力が20%以上除荷されている場合を、耐応力緩和特性が不十分である(B)と評価した。
・耐応力腐食割れ性
作製したメス型端子にオス型端子を嵌合させた状態で、濃度10質量%のアンモニア水を底に入れた容器内に密閉した。容器内では、嵌合させた端子対がアンモニア水に直接触れないように、端子対を、アンモニア水の液面よりも高い位置で保持した。120時間後に端子対を容器から取り出し、メス型端子を目視にて観察した。割れが発生していなかった場合には、耐応力腐食割れ性が特に高い(A+)と評価した。割れが発生していても、接触荷重が初期の値の80%以上であった場合には、耐応力腐食割れ性が高い(A)と評価した。割れが発生し、かつ接触荷重が初期の値の80%未満となっていた場合には、耐応力腐食割れ性が不十分である(B)と評価した。
[試験結果]
表1に、試料1~12および試料101~111にかかる銅合金について、成分組成および上記式(2)に基づいて算出した固溶強化指数τ、平均結晶粒径、0.2%耐力および導電率の測定結果、各種評価の結果を示す。また、図3Aに、固溶強化指数と0.2%耐力および導電率との関係を図示する。図3Bは、図3Aの一部を拡大して示している。
Figure 0007266540000004
(1)成分組成と特性の関係
表1によると、試料1~12は、いずれも、21%≦Zn≦27%、0.6%≦Sn≦0.9%、2.5%≦Ni≦3.7%、0.01%≦P≦0.03%を含有する銅合金よりなっている。さらに、銅合金は、物理的特性として、620MPa以上、700MPa以下の0.2%耐力と、15%IACS以上、20%IACS以下の導電率を有している。
上記のような成分組成と物理的特性を有することに対応して、試料1~12にかかる銅合金を用いて作製した接続端子は、いずれも、曲げ加工性、導電性、バネ荷重、耐応力緩和特性、耐応力腐食割れ性に優れたものとなっている。なお、試料9の耐応力腐食割れ性が、他の試料ほど高くなっていないのは、Znの含有量が多く、Niの含有量が少ないため、積層欠陥エネルギーが他の試料より低く、応力集中しやすいことによると考えられる。また、試料1~12では、いずれも、2.0μm以上、5.0μm以下の平均結晶粒径が得られている。
一方、試料101~111においては、いずれも、成分組成、0.2%耐力、導電率の少なくとも1つが、上記所定の範囲を満たしていない。そのことと対応して、試料101~111では、曲げ加工性、導電性、バネ荷重、耐応力緩和特性、耐応力腐食割れ性の少なくとも1つについて、接続端子として十分に高い評価結果が得られていない。
試料101~104は、いずれも、Zn、Sn、Niの3種の添加元素のうち、1種類しか含んでいない。試料101は黄銅に相当し、試料102、104はリン青銅に相当するものである。試料101~104は、上記添加元素を1種類しか含有していないことと対応して、接続端子として十分に高い評価結果が得られていない。試料101、103では、SnおよびNiを含有していないことに対応して、過剰に高い導電率が得られている一方で、0.2%耐力を620MPa以上に向上させることができず、接続端子のバネ荷重も不十分となっている。試料102、104は、上記3種の添加元素のうち、Snしか含有していないが、Snの含有量が、試料1~12と比べてかなり多くなっている。そのことと対応して、高い0.2%耐力が得られ、接続端子のバネ荷重も大きくなっているが、導電率が15%IACSに達しておらず、接続端子の導電性も不十分となっている。試料101~104の全てにおいて、耐応力緩和特性および耐応力腐食割れ性も、不十分となっている。
試料105~108は、Zn、Sn、Niの3種の添加元素およびPを含有しているが、それらの添加元素のうち少なくとも1種の含有量が、上記所定の範囲に入っていない。これらの試料のうち、試料105は、Zn、Sn、Niの含有量が、いずれも、上記試料1~12の範囲よりも大幅に少なくなっていることと対応して、0.2%耐力を620MPa以上に向上させることができず、接続端子のバネ荷重も不十分となっている。耐応力緩和特性も不十分である。試料106、108は、ZnおよびSnは十分に含有しているが、Niの含有量が少なくなっている。そのことと対応して、少なくとも、十分な曲げ加工性およびバネ荷重が得られていない。曲げ加工性が低いことにより、曲げを加えた基材に割れが発生していることが、バネ荷重の低下につながっている。なお、試料106と試料108は、類似した成分組成を有しているが試料108の方が仕上圧延(上記工程(7)の冷間圧延)の圧延率が大きいため、0.2%耐力が大きくなっている。試料107は、Znを過剰に含有するものとなっている。そのことと対応して、導電率が比較的低く、接続端子の導電性が不十分となっている。耐応力緩和特性および耐応力腐食割れ性も低くなっている。
試料109~111は、いずれも、各成分元素を、上記所定の範囲内の含有量だけ含有しているが、0.2%耐力が700MPaを超えている。0.2%耐力が高いのは、仕上圧延の圧延率を50%以上としているためである。圧延率が高く加工硬化が大きすぎることにより、いずれの試料でも、曲げ加工性が不十分となっている。さらに、曲げを行う際に基材に割れが発生していることと対応して、十分なバネ荷重が得られていない。
以上より、上記所定量のZn、Sn、Ni、Pを含有し、残部がCuおよび不可避的不純物よりなるとともに、所定範囲の0.2%耐力および導電率を有する銅合金を基材として接続端子を構成することで、曲げ加工性、導電性、バネ荷重、耐応力緩和特性、耐応力腐食割れ性の各特性に優れた接続端子となることが、示されている。
(2)固溶強化指数τと0.2%耐力および導電率との関係
図3Aは、試料1~12および試料101~111に対して得られた表1の結果をもとに、各試料における固溶強化指数τと0.2%耐力および導電率との関係を示している。図3Aでは、成分組成より計算される固溶強化指数τを横軸に示している。そして、0.2%耐力を、左の縦軸に示している。表1に結果を示した曲げ加工性の評価試験において、高い曲げ加工性が得られた試料(A)については、黒丸(●)で表示し、不十分な曲げ加工性しか得られなかった試料(B)については、三角形(▲)で表示している。一方、導電率は、白丸(○)によって、右の縦軸に表示している。図3Bは、図3Aの0.2%耐力を、固溶強化指数τが60~75の範囲で拡大して表示している。
図3Aおよび図3Bによると、まず、導電率については、固溶強化指数τが小さいほど、高くなる傾向が見られている。一方、0.2%耐力については、おおむね、固溶強化指数τが大きくなるほど、大きくなる傾向が見られている。また、固溶強化指数τが同程度であっても、0.2%耐力が700MPa以下であれば、高い曲げ加工性が得られているのに対し、0.2%耐力が700MPaを超えていると、十分な曲げ加工性が得られていない。各成分元素の含有量が、所定の範囲にある場合には、図3Bに示されるように、0.2%耐力を620MPa以上、かつ700MPa以下としつつ、固溶強化指数τを60≦τ≦75の範囲に収めておけば、高い曲げ加工性を、十分なバネ荷重を与える0.2%耐力と両立することができる。
図3Bによると、τ=60.2およびτ=61.4の位置に、0.2%耐力が620MPa以上かつ700MPa以下の領域にあるのに、十分な曲げ加工性が得られていないデータ点が存在している。これらのデータ点は、表1の試料106および試料108に対応するものである。銅合金において、各成分元素の含有量を個別に規定しない場合でも、固溶強化指数τを、62≦τ≦75の範囲に規定しておくことで、このように、620MPa以上かつ700MPa以下の所定範囲の0.2%耐力を有するにもかかわらず、十分な曲げ加工性を得ることができない銅合金から、上記所定範囲の0.2%耐力および導電率とともに十分な曲げ加工性を兼ね備えた銅合金を弁別し、接続端子を構成することができる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
10 メス型端子
11 弾性接触片(バネ部)
11a エンボス部(接点部)
12 内部対向接触面
13 挟圧部
13a 挟圧部の底面
30 オス型端子
D1 折り曲げ方向
Dr 圧延方向

Claims (9)

  1. 質量%で、
    21%≦Zn≦27%、
    0.6%≦Sn≦0.9%、
    2.5%≦Ni≦3.7%、
    0.01%≦P≦0.03%を含有し、
    残部がCuおよび不可避的不純物よりなり、
    圧延方向と垂直な方向に、620MPa以上、700MPa以下の0.2%耐力を有するとともに、
    15%IACS以上、20%IACS以下の導電率を有する銅合金を基材としてなる、接続端子。
  2. 前記基材におけるZn、Sn、Niの含有量を、それぞれ、質量%を単位として、[Zn]、[Sn]、[Ni]とし、
    以下の式で算出される固溶強化指数τが、60≦τ≦75を満たす、請求項1に記載の接続端子。
    τ=(164[Zn]2/3+858[Sn]2/3+45.6[Ni]2/3)/(190-0.1[Zn]-0.9[Sn]+0.1[Ni])2/3
  3. 前記銅合金の平均結晶粒径が、2.0μm以上、5.0μm以下である、請求項1または請求項2に記載の接続端子。
  4. 前記銅合金はさらに、0.02質量%以下のFeを含有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の接続端子。
  5. 前記銅合金はさらに、Co、Cr、Zr、Ti、Mn、Vより選択される少なくとも1種を、合計で0.1質量%以下含有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の接続端子。
  6. 相手方の電気接点と電気的に接触する接点部を含む領域に、前記銅合金の板材を圧延方向に垂直な方向に曲げてなるバネ部を有する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の接続端子。
  7. メス型端子である、請求項に記載の接続端子。
  8. 前記接続端子がメス型端子である場合に、嵌合可能な相手方のオス型端子のタブの幅として規定され、前記接続端子がオス型端子である場合に、該オス型端子のタブの幅として規定されるタブ幅が、0.5mm以下である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の接続端子。
  9. 前記銅合金が、板厚0.20mm以下の板材として、前記接続端子を構成している、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の接続端子。
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