JP6619389B2 - Cu−Ni−Si系銅合金 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばコネクタ、端子、リレ−、スイッチ等の導電性ばね材に好適なCu−Ni−Si系銅合金に関する。
近年、電気・電子部品の小型化が進み、これら部品に使用される銅合金には高い強度、導電率及び曲げ加工性が要求されている。この要求に応じ、従来のりん青銅や黄銅といった固溶強化型銅合金に替わり、高い強度及び導電率を有するコルソン合金等の析出強化型銅合金の需要が増加している。コルソン合金は、Cuマトリックス中にNi−Si、Co−Si、Ni−Co−Si等の金属間化合物を析出させた合金であり、高強度、高い導電率、良好な曲げ加工性を兼ね備えている。
例えば、コネクタはメス端子及びオス端子から構成され、両端子を嵌合することにより電気的接続が得られる。電気接点では、メス端子がそのばね力によりオス端子を保持し、所望の接触力を得ている。ところが、メス端子の強度が低いと、オス端子を挿入した際にメス端子に永久変形(へたり)が発生する。へたりが生じると、電気接点部での接触力が低下し、電気抵抗が増大する。
へたりは、0.2%耐力が低いほど、又ヤング率が高いほど生じやすい。0.2%耐力を500MPa以上としばね限界値を向上させたCu−Ni−Si系銅合金が開発されている(特許文献1)。又、0.2%耐力を500MPa以上とし、圧延方向の曲げたわみ係数(ヤング率)を105GPa以下とすることで、コネクタのばね変位を大きくしたCu−Ni−Si系銅合金が開発されている(特許文献2)。又、圧延平行方向の耐力が1000MPa以上である、オートフォーカスカメラモジュール用のCu−Ni−Si系銅合金も開発されている(特許文献3)
特開2004−131829号公報 国際公開第WO2011/068134号 特開2017−43789号公報
しかしながら、特許文献2記載の技術の場合、繰り返し応力を与えた場合のへたり特性が十分とはいえなかった。そして、銅合金材料のへたり特性を向上させるためには、耐力を高くし、ヤング率を低下させることが有効である。ところが、ヤング率を低下させると、銅合金材料を端子にしたときの電気接点部での接触力が低下する。また、耐力を向上させると曲げ加工性が低下する。
特に特許文献3記載の技術の場合、時効処理に続く仕上冷間圧延後に、低温焼鈍を行って銅合金を製造するが、仕上冷間圧延後に低温焼鈍しながら強度を向上させるためには、仕上冷間圧延を強圧延で実施する必要があるため、曲げ加工性が低下するおそれがある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、強度及びヤング率を向上させ、曲げ加工性を確保しつつ、へたり(残留歪)の発生を抑制したCu−Ni−Si系銅合金の提供を目的とする。
本発明者は、Cu−Ni−Si系銅合金のへたり特性を向上させるに当たり、接圧の低下を抑制する観点から、ヤング率を低下させずに耐力を向上させることを検討した。又、耐力を向上させる手法としては加工度の向上が挙げられるが、強度の上昇にともない曲げ加工性が低下する。
そこで、曲げ加工性を確保しつつ耐力を向上させる手法として、強圧延以外の方法を検討し、歪取焼鈍における低温焼鈍硬化に着目した。低温焼鈍硬化とは時効後の冷間圧延によって組織中に圧延ひずみを導入すると、その後の歪取焼鈍で固溶元素がひずみに固着し、転位を妨げることで強化される現象である。この低温焼鈍硬化は材料の強度を高め、かつ伸びを低下させる。
低温焼鈍硬化は歪取焼鈍直前の時効後冷間圧延の加工度と、その冷間圧延時の固溶元素の析出の度合によって硬化の程度が変化する。上述のように時効後冷間圧延の加工度を上昇させると曲げ加工性が悪化するため、歪取焼鈍直前の固溶元素の析出の度合に着目し、歪取焼鈍前に低温で熱処理を施し、製造時の加工度と析出の度合(導電率EC)との関係を規定することで、0.2%耐力を1000MPa以上に向上させることに成功した。
上記の目的を達成するために、本発明のCu−Ni−Si系銅合金は、質量%で、Niを3.0〜5.0%、Si:0.6〜1.1%含有するか、またはNiとCoを共に含み、これらを総量で3.0〜5.0%、Si:0.6〜1.1%含有し、残部がCu及び不可避不純物からなり、圧延平行方向の0.2%耐力が1000MPa以上、かつ圧延直角方向のヤング率が115GPa以上であり、板幅0.2mmで板厚t(mm)のときの圧延直角方向の曲げ加工性Badwayを表すMBR/tが2.5以下である。
本発明のCu−Ni−Si系銅合金は、更にMg、Mn、Sn、Zn及びCrの群から選ばれる少なくとも1種以上を総量で0.005〜1.0質量%含有することが好ましい。
本発明のCu−Ni−Si系銅合金は、更にP、B、Ti、Zr、Al、Fe及びAgの群から選ばれる少なくとも1種以上を総量で0.005〜1.0質量%含有することが好ましい。
本発明によれば、強度及びヤング率を向上させ、曲げ加工性を確保しつつ、へたり(残留歪)の発生を抑制したCu−Ni−Si系銅合金が得られる。
歪取焼鈍前の導電率と、時効後冷間圧延の加工率REとの相関を示す図である。 へたり特性の測定方法を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係るCu−Ni−Si系銅合金について説明する。なお、本発明において%とは、特に断らない限り、質量%を示すものとする。
(組成)
[Ni、Co及びSi]
銅合金中のNiとCoの群から選ばれる少なくとも1種以上を総量で3.0〜5.0%、Si:0.6〜1.1%含有する。Ni、Co及びSiは、適当な熱処理を施すことにより金属間化合物を形成し,導電率を劣化させずに強度を向上させる。
Ni、Co及びSiの含有量が上記範囲未満であると、強度の向上効果が得られず、上記範囲を超えると導電性が低下すると共に熱間加工性が低下する。
また、上述の低温焼鈍硬化を発現するためには多量の固溶元素が必要であるため、本発明ではNi(Co)およびSiの含有量を多くしている
[他の添加元素]
合金中に、更にMg、Mn、Sn、Zn及びCrの群から選ばれる少なくとも1種以上を総量で0.005〜1.0質量%含有してもよい。
Mgは強度と耐応力緩和特性を向上させる。Mnは強度と熱間加工性を向上させる。Snは強度を向上させる。Znは半田接合部の耐熱性を向上させる。Crは、Niと同様にSiと化合物を形成するため、析出硬化により導電率を劣化させずに強度を向上させる。
又、合金中に、更にP、B、Ti、Zr、Al、Fe及びAgの群から選ばれる少なくとも1種以上を総量で0.005〜1.0質量%含有してもよい。これら元素を含有すると、導電率、強度、応力緩和特性、めっき性等の製品特性が改善される。
なお、上記した各元素の総量が上記範囲未満であると上記した効果が得られず、上記範囲を超えると導電率の低下を招く場合がある。
[0.2%耐力]
Cu−Ni−Si系銅合金の圧延平行方向及び圧延直角方向の0.2%耐力YSが1000MPa以上である。YSが1000MPa以上であると、へたり特性、特に繰り返し応力を与えた場合のへたり特性が向上する。YSの上限は、例えば1300MPaである。
なお、YSは、JIS−Z2241に従い引張試験して求める。
[曲げ加工性]
曲げ加工性として、板幅0.2mmのとき、曲げ軸が圧延方向と平行になるようにW曲げ試験を行ったとき(圧延直角方向の曲げ加工性Badway)、割れの発生しない最小曲げ半径(MBR(mm))と板厚(t(mm))との比(MBR/t)が2.5以下である。(MBR/t)が2.5以下であると良好な曲げ性を確保できる。(MBR/t)の下限は制限されないが、例えば1.0である。
(MBR/t)は、JIS−H3130に従って、Badway(圧延直角方向)のW曲げ試験を行い、板厚(t)に対して割れの発生しない最小半径(MBR)を測定する。試験片は幅0.2mm×長さ30mmの短冊状とした。
[ヤング率]
Cu−Ni−Si系銅合金の圧延直角方向のヤング率が115GPa以上である。ヤング率が115GPa以上であると、接圧が向上する。ヤング率の上限は制限されないが、例えば140GPaである。
ヤング率は、日本伸銅協会(JACBA)技術標準「銅及び銅合金板条の片持ち梁による曲げたわみ係数測定方法 JCBA T312:2002」に準じて測定する。但し、上記技術標準の適用範囲の板厚と異なる場合も、上記技術標準を用いる。
試料は、板厚t(mm)、幅w(=10mm)、長さ100mmの短冊形状とし、試料の長手方向を圧延直角方向とする。この試料の片端を固定し、固定端からL(=100t)の位置にP(=0.15N)の荷重を加え、このときのたわみdから、次式を用いヤング率Eを求める。
E=4×P×(L/t)/(w×d)
<製造方法>
本発明のCu−Ni−Si系銅合金は、通常、インゴットを熱間圧延、冷間圧延、溶体化処理、時効処理、低温熱処理、時効後冷間圧延、歪取焼鈍の順で行って製造することができる。溶体化処理前の冷間圧延や再結晶焼鈍は必須ではなく、必要に応じて実施してもよい。
<時効後冷間圧延>
Cu−Ni−Si系銅合金の強度(0.2%耐力)を向上させるためには、最終焼鈍である歪取焼鈍での強度の向上が重要である。そして、そのためには歪取焼鈍の直前の時効後冷間圧延の加工率をなるべく高くし、歪取焼鈍直前の固溶元素(Ni(Co)およびSi)の量を増やす必要がある。これは、時効後冷間圧延によって組織中に圧延歪を導入すると、その後の歪取焼鈍で、固溶元素がこの歪に固着し、転位障害となって強化される機構(低温焼鈍硬化)を生じさせるためである。
上記の低温焼鈍硬化を発現するには、時効後冷間圧延の加工率REを70%以上90%未満とし、時効後冷間圧延の加工率REが式(1):Re≧−0.3074(EC)2+15.06EC−86.549を満たすと好ましい。なお、EC(%IACS)は、歪取焼鈍前(時効後冷間圧延後)の導電率である。
加工率REが70%未満であると、低温焼鈍硬化が不十分となって0.2%耐力が1000MPa未満となる。加工率REが90%以上だと曲げ加工性が低下する。
なお、加工率REは、時効後冷間圧延の前後での合金の板厚の変化の割合(%)である。
又、時効後冷間圧延時の合金の析出強化(固溶)の度合によっても必要とする最低限の加工率は変化するので、固溶の度合に応じて加工率を設定する必要がある。そして、この固溶の度合として、時効後冷間圧延後で歪取焼鈍前の圧延直角方向の導電率EC(%IACS)を指標とし、上記導電率から算出される式(1)で必要な加工率を規定することで、合金の強度を安定して向上させることができる。
ここで、上記導電率EC(%IACS)を30%以上40%未満とすることで、時効処理と歪取焼鈍の条件が共に適切となり、いずれの処理においても強度が上昇し、結果として高い強度が得られる。導電率ECが40%以上になると時効処理で強度は上昇するが、固溶量が少なくなるので、加工率REを高くしても歪取焼鈍で強度が十分に上昇せず、所望の強度が得られない場合がある。一方、導電率ECが30%未満であると歪取焼鈍で強度は上昇するが、時効処理で強度が上昇せず、所望の強度が得られない場合がある。
なお、歪取焼鈍後の最終製品の導電率EC(%IACS)は、30〜40%程度である。
そして、歪取焼鈍前の導電率ECが低いほど時効処理による強度の増加が少ないので、加工率REをより高くして圧延歪をより多数導入しないと、必要な強度の向上が図れない。そこで、式(1):Re≧−0.3074×(EC)+15.06×EC−86.549を満たすように加工率REを設定すると好ましい。この式(1)は、事前実験から表1及び図1に示すようにして求めたものである。
この事前実験は、表1に示す組成のインゴットを熱間圧延、冷間圧延、溶体化処理、時効処理、低温熱処理、時効後冷間圧延、歪取焼鈍の順で行って板厚0.05mmの試料を製造し、その特性を評価した。熱間圧延は1000℃で3時間行い、溶体化処理を800〜1000℃で行った。時効処理は400℃〜550℃で1〜15時間の範囲で実施した。
なお、低温熱処理は550〜650℃の範囲で行い、後述するΔECが2.0%となるように加熱時間を1〜250秒の範囲で調整した。そして、歪取焼鈍前の導電率EC、及び時効後冷間圧延の加工率REを表1に示すように変化させてそれぞれ事前実験1〜7を行った。
Figure 0006619389
次に、表1に示す加工率REと導電率ECとの関係を図1にプロットし、0.2%耐力YSが1000MPa以上である実験1〜3につき、最小二乗法により、各プロットを通る二次曲線を求めて式(1)を得た。
一方、実験6,7は0.2%耐力YSが1000MPa未満となり、式(1)よりもREが低い領域に存在していた。また実験5,8は式(1)上又は式(1) よりもREが高い領域にあるが、実験5は加工率RE が70%未満で、0.2%耐力YSが1000MPa未満となり、実験8は加工率RE が90%以上となり曲げ加工性が悪化した。
なお、実験4は、実験1と加工率RE をほぼ同一(70%)とし、導電率EC を多くしたものであり、0.2%耐力YSが1000MPa以上であった。実験4は、式(1) よりもREが高い領域が本発明の好適な範囲であることを示すためのデータである。
以上の結果から、0.2%耐力および曲げ加工性の目標を達成するために、時効後冷間圧延の加工率REを70%以上90%未満かつ式(1)を満たす条件にする必要がある。
加工率REが式(1)を満たさない場合には、時効処理後の強度に対して加工率REが小さ過ぎ、必要な強度の向上が図れない場合がある。
<低温熱処理>
又、歪取焼鈍直前の固溶元素量を増やすため、低温熱処理を行う。低温熱処理は、最初の溶体化温度未満で、かつ時効温度以上の温度で実施する。低温熱処理は、時効処理で析出した固溶元素を、再びマトリクス中に固溶させるので、歪取焼鈍直前の固溶元素量が増加する。
そして、歪取焼鈍直前の固溶元素の量を表す指標として、時効処理後(つまり、低温熱処理前)と、低温熱処理後の導電率の変化量ΔECを用いる。ΔEC=(時効処理後の導電率)−(低温熱処理後の導電率)で表される。ΔEC=2〜4%(IACS)となるように低温熱処理を550〜800℃で1〜250秒で行う。
歪取焼鈍直前の低温熱処理により、時効処理後に比べて固溶元素の量が増えれば、導電率が低下する。
ΔECが2%IACS未満の場合、低温熱処理後(歪取焼鈍前)の材料の固溶元素の量が少ないことを示す。歪取焼鈍時に固溶元素の量が少ないと、歪取焼鈍で転位に固着する固溶元素の量が減り、低温焼鈍硬化での硬化の度合いが低減し、又は硬化しなくなる。
ΔECが4%IACSを超える場合は、低温熱処理後(歪取焼鈍前)に材料の固溶元素の量が多すぎることを示す。このため、歪取焼鈍時の低温焼鈍硬化での硬化の度合いが増加しすぎると共に、強度に寄与しない固溶元素が増えることで歪取焼鈍後の材料の0.2%耐力が低下する。
又、歪取焼鈍前の導電率EC(%IACS)を30%以上〜40%未満とする。この理由は既に述べた通りである。
<歪取焼鈍>
その後、歪取焼鈍を200〜500℃で1〜1000秒間行う。歪取焼鈍の温度又は焼鈍時間が上記範囲未満であると、歪取焼鈍が不十分となり、上述の低温焼鈍硬化による強度の向上、及び歪取焼鈍後の加熱による軟化が不十分となり、0.2%耐力を1000MPa以上にすることが困難である。
歪取焼鈍の温度又は焼鈍時間が上記範囲を超えると、歪取焼鈍による上述の低温焼鈍硬化が過度となって合金が軟化し、強度(0.2%耐力)の向上が図れない。
大気溶解炉中にて電気銅を溶解し、必要に応じて表2に示す添加元素を所定量投入し、溶湯を攪拌した。その後、鋳込み温度1200℃にて鋳型に出湯し、表2に示す組成の銅合金インゴットを得た。インゴットは熱間圧延し、板厚を10mmとした。その後、面削、冷間圧延、溶体化処理、時効処理、低温熱処理、時効後冷間圧延の順に行い、板厚0.05〜0.4mmの試料を得た。時効後冷間圧延の後に歪取焼鈍を行った。
なお、熱間圧延は1000℃で3時間行い、溶体化処理を800〜1000℃で行った。時効処理は400℃〜550℃で1〜15時間の範囲、低温熱処理は650℃で行い、歪取焼鈍は200〜500℃で1〜1000秒間の範囲で行った。時効処理および歪取焼鈍はそれぞれの処理後の引張強さが最大となる温度及び時間で行った。
<評価>
得られた試料について以下の項目を評価した。
[導電率]
時効処理後、及び低温熱処理後の圧延平行方向の試料、及び歪取焼鈍後の最終製品の圧延平行方向の試料について、JISH0505に準拠し、ダブルブリッジ装置を用いた四端子法により求めた体積抵抗率から導電率(%IACS)を算出した。
[強度]
歪取焼鈍後の最終製品につき、引張方向が圧延方向と平行になるように、プレス機を用いてJIS13B号試験片を作製した。JIS−Z2241に従ってこの試験片の引張試験を行ない、0.2%耐力YSを測定した。
引張試験の条件は、試験片幅12.7mm、室温(15〜35℃)、引張速度5mm/min、ゲージ長さL=50mmで、銅箔の圧延方向に引張試験した。
[曲げ加工性]
板幅0.2mmの試験材につき、上述の方法で(MBR/t)を測定した。
[ヤング率]
上述の方法で測定した。
[へたり特性]
図2に示すように、幅12.7mmの短冊形状の試料の片端を固定し、水平な片持ち梁とした。この固定端から距離L=5mmの位置に、先端をナイフエッジに加工したポンチを押し当て、下方へたわみd(mm)を与えた後、ポンチを初期の位置に戻し除荷した。ポンチの移動速度は1mm/分とした。除荷後に鉛直方向に永久変形した、へたりδを求めた。0.2%耐力が1000MPa以上であれば、へたり量は0.025mm未満となる。へたり特性は圧延平行方向および圧延直角方向に測定し、へたり量が多い方の値を採用した。
なお、たわみd(mm)は、たわみ(mm)/板厚(mm)=100となるように行う。
得られた結果を表2、表3に示す。表2の「0.5Zn」は、Znを0.5質量%含むことを意味する。
Figure 0006619389
Figure 0006619389
表2、表3から明らかなように、YSが1000MPa以上、ヤング率が115GPa以上である各実施例の場合、曲げ加工性及びへたり特性に優れていた。
一方、ΔECが2%IACS未満の比較例1の場合、圧延平行方向の0.2%耐力が1000MPa未満、ヤング率が115GPa未満となり、へたり特性が劣った。これは、低温焼鈍硬化が不十分なためと考えられる。
低温熱処理を過度に行い、ΔECが4%IACSを超えた比較例2の場合も、圧延平行方向の0.2%耐力が1000MPa未満、ヤング率が115GPa未満であり、へたり特性が劣った。
歪取焼鈍前の導電率が40%を超えた比較例3の場合、低温焼鈍硬化が発現せず、圧延平行方向の0.2%耐力が1000MPa未満、ヤング率が115GPa未満であったため、へたり特性が劣った。
加工率REが式(1)を満たさない比較例4の場合も、低温焼鈍硬化が発現せず、圧延平行方向の0.2%耐力が1000MPa未満、ヤング率が115GPa未満であったため、へたり特性が劣った。
一方、歪取焼鈍前の加工率REが90%以上である比較例5の場合、へたり特性は良好であったが、曲げ性が劣った。
ΔECが4%を超え、歪取焼鈍前の導電率が30%未満かつ加工率REが式(1)を満たさない比較例6の場合も、低温焼鈍硬化による十分な強度上昇が得られず、へたり特性が劣った。
ΔECが2%未満であり、歪取焼鈍前の導電率が40%を超える比較例7、及びΔECが2%未満であり加工率REが70%未満の比較例8の場合、いずれも低温焼鈍硬が不十分で強度が向上せず、へたり特性が劣った。
歪取焼鈍前の導電率が40%を超え、加工率REが70%未満の比較例9の場合も、低温焼鈍硬が不十分で強度が向上せず、へたり特性が劣った。
Mg、Mn、Sn、Zn及びCrを総量で1.0%を超えて含有した比較例10の場合、熱間圧延で割れが発生し、合金を製造できなかった。


NiおよびCoの合計含有量が3.0%未満である比較例11の場合、析出強化の程度が小さく、これら元素による析出強化が不十分となり、十分な強度が得られず、へたり特性が劣った。
参考例1は特許文献3の実施例(1)を模擬し、鋳片加熱1030℃×3h、熱間圧延、冷間圧延を実施した後、固溶化処理(溶体化処理)を1000℃×1h、時効処理の前駆処理を700℃×20sec、時効処理を375℃×7h(ECage/ECmax:0.68)、時効後冷間圧延を90%かつ低温焼鈍を375℃×120secで実施して作製した。
参考例1の低温焼鈍は、本発明の実施形態とは、低温熱処理及び時効後冷間圧延の範囲が異なり、時効後冷間圧延の加工度が90%以上に高くなったことから、0.2%耐力は1000MPa以上、ヤング率が115GPa以上となったが、曲げ性が劣った。

Claims (3)

  1. 質量%で、Niを3.0〜5.0%、Si:0.6〜1.1%含有するか、またはNiとCoを共に含み、これらを総量で3.0〜5.0%、Si:0.6〜1.1%含有し、残部がCu及び不可避不純物からなり、
    圧延平行方向の0.2%耐力が1000MPa以上、かつ圧延直角方向のヤング率が115GPa以上であり、板幅0.2mmで板厚t(mm)のときの圧延直角方向の曲げ加工性Badwayを表すMBR/tが2.5以下であるCu−Ni−Si系銅合金。
  2. 更にMg、Mn、Sn、Zn及びCrの群から選ばれる少なくとも1種以上を総量で0.005〜1.0質量%含有する請求項1に記載のCu−Ni−Si系銅合金。
  3. 更にP、B、Ti、Zr、Al、Fe及びAgの群から選ばれる少なくとも1種以上を総量で0.005〜1.0質量%含有する請求項1又は2に記載のCu−Ni−Si系銅合金。
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