本発明に係る設備架台構造及びこれを備える建物の一実施形態について、以下、図面を参照しつつ説明する。ただし、以下はあくまで本発明の一実施形態を例示的に示すものであり、本発明の範囲は以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本実施形態に係る設備架台構造1は、図1から図4に示すように、梁2と梁2によって支持される床材3とを有する屋外床に設備機器Eを設置するための構造となっており、略平行な2列の直線上に並ぶように設けられて、それぞれ基端部が梁2に固定されて上端部が床材3よりも上方に突出して設けられる複数の支柱4と、一方の直線上に並ぶ複数の支柱2の上端部の間に掛け渡される第1水平材5と、他方の直線上に並ぶ複数の支柱2の上端部の間に掛け渡される第2水平材6と、第1水平材5と第2水平材6との間に上面が水平になるように掛け渡されて設備機器Eが載置される複数の支持材7と、設備機器Eを隠すための目隠し具8と、を備える。第1水平材5は、複数の支持材7が取り付けられる支持材取付部51と、目隠し具8が取り付けられる目隠し取付部52とを有し、目隠し取付部52は、支持材取付部51よりも所定の距離を隔てて上方に位置するようになっている。設備架台構造1によって設置された設備機器Eの荷重は、設備機器Eが載置される支持材7を介して、支持材7が取り付けられた第1水平材5及び第2水平材6にそれぞれ伝わり、第1水平材5及び第2水平材6を支持する複数の支柱4から、各支柱4が固定される屋外床の梁2に伝わるようになっている。このように、設備架台構造1によると、屋外床の床材3には設備機器Eの荷重がかからないため、床材3を傷めることなく設備機器Eを設置することができる。さらに、第1水平材5は、目隠し取付部52を有しており、目隠し具8は目隠し取付部52に取り付けられるので、目隠し具8の荷重は、第1水平材5から第1水平材5を支持する複数の支柱4を介して梁2に伝わるようになっている。このように、設備架台構造1によると、床材3に目隠し具8の荷重が掛からないため、床材3を傷めることなく設備機器Eの目隠しを設置することができる。以下では、設備架台構造1の各構成についてさらに説明する。
本実施形態における屋外床は、建物の屋上の床となっている。梁2は、水平方向に掛け渡される構造部材で、屋外床の骨組みを構成している。図1及び図2に示すように、梁2には、上フランジと、上フランジから下方に間隔を空けて上フランジに略平行に設けられる下フランジと、上フランジ及び下フランジの中央部を接続するウェブとからなる断面略H字状のH形鋼が用いられて、複数の梁2が間隔を隔てて互いに略平行に設けられている。床材3は、梁2によって支持されて、屋上の床面を形成している。本実施形態では、床材3は、複数の床パネル31と、断熱材32と、防水層33とを備えている。床パネル31は、軽量気泡コンクリート板(ALC)や押出成形セメント板等が略矩形平板状に成形されたパネルとなっている。各床パネル31は、対向する端辺部がそれぞれ略平行な2つの梁2の上フランジに載置されるようにして梁2に取り付けられる。複数の床パネル31が床の骨組みを構成する梁2に敷き詰められ、敷き詰められた床パネル31の上に、太陽熱や寒冷な外気から室内を保温するための断熱材32が設けられ、断熱材32の上に、雨水が室内に浸入することを防止するための防水層33が設けられて、屋外床が形成されている。本実施形態では、防水層33は、防水シートが敷かれることによって形成されている。
支柱4は、基端部が梁2に固定されて上端部が床材3よりも上方に突出して設けられる。本実施形態では、図1及び図2に示すように、支柱4は、支柱本体41と、梁固定プレート42と、水平材取付部43とを備える。支柱本体41は、第1水平材5や第2水平材6からの荷重を梁2に伝える長手状部材で、本実施形態では、断面略正方形の筒状の角鋼管が用いられている。梁固定プレート42は、支柱4を梁2に取り付けるための部材となっており、本実施形態では、略矩形の平板状の部材で、中央部に支柱本体41の軸方向の一端が固定され、固定された支柱本体41の周囲の4か所にボルトを挿通可能なボルト孔が設けられている。これらの梁固定プレート42のボルト孔の位置は、梁2の上フランジに設けられたボルトを挿通可能なボルト孔の位置と対応するように設けられており、梁固定プレート42のボルト孔と梁2の上フランジのボルト孔との位置を合わせて、梁固定プレート42及び梁2の上フランジにボルトを挿通してナットに締結することで、支柱4が梁2に固定される。水平材取付部43は、第1水平材5または第2水平材6を支柱4に取り付けるための部材で、支柱本体41の軸方向の他端に固定される。梁固定プレート42側が支柱4の基端部側で、水平材取付部43側が支柱4の上端部側となっている。
本実施形態では、図1に示すように、水平材取付部43は、閉塞プレート431と、水平材取付プレート432と、スペーサー433とを備える。閉塞プレート431は、角鋼管である支柱本体4の上端の開口を塞ぐ大きさに形成された略正方形の平板状の部材となっており、支柱本体4の上端に固定される。水平材取付プレート432は、略矩形の平板状の部材となっており、4つのボルトを挿通可能なボルト孔が設けられている。後述のように第1水平材5及び第2水平材6にもボルトを挿通可能なボルト孔が設けられており、水平材取付プレート432のボルト孔の位置は、第1水平材5及び第2水平材6のボルト孔の位置と対応するようになっている。第1水平材5または第2水平材6のボルト孔と水平材取付プレート432のボルト孔との位置を合わせて、第1水平材5または第2水平材6と水平材取付プレート432とにボルトを挿通してナットに締結することで、第1水平材5または第2水平材6が支柱4に取り付けられる。スペーサー433は、閉塞プレート431と水平材取付プレート432とを接続する部材となっている。スペーサー433は、水平材取付プレート432のボルト孔に干渉しないように設けられて、水平材取付プレート432のボルト孔にボルトを挿通するときに、ボルトが支柱本体4に干渉しないような長さとなっている。水平材取付プレート432のボルト孔が、支柱本体4に干渉せずにボルトの挿通や締結が可能となるように設けられている場合には、スペーサー433及び閉塞プレート431は設けずに、支柱本体41の上端部を水平材取付プレート432に直接固定するようにしてもよい。
複数の支柱4が、略平行な2列の直線上に並ぶように設けられる。本実施形態では、略平行に設けられた2つの梁2に、それぞれ複数の支柱4が設けられることで、複数の支柱4が略平行な2列の直線上に並ぶようになっている。各直線上に並ぶ複数の支柱4ごとに、支柱4の上端の水平材取付部43の上面の高さが略等しくなるように揃えられており、本実施形態では、2列の直線上に並ぶ全ての支柱4の上端の水平材取付部43の上面の高さが略等しく揃えられている。梁2の上には床パネル31が敷き詰められるので、梁2の支柱4が固定される位置に設置される床パネル31には、支柱4の梁固定プレート42に対応した大きさの切欠きが設けられており、支柱4を床パネル31に干渉されずに梁2に固定できるようになっている。床パネル31は、通常互いに等しい寸法に形成されているものが用いられる。本実施形態では、図2に示すように、互いに等しい寸法に形成された複数の床パネル31が、梁2の上に並べられており、4つの床パネル31の角部が集合する箇所が梁2の長手方向に等間隔に並んだようになっている。支柱4は、梁2の長手方向に沿って、この4つの床パネル31の角部が集合する箇所の2か所ごとに設置されて、支柱4が設置される箇所の4つの床パネル31の角部には略矩形のそれぞれ等しい大きさの切欠きが設けられている。このように、支柱4を、床パネル31の角部に位置するように設けるようにして、床パネル31に設ける切欠きの位置や大きさを揃えることで、支柱4のための切欠きが設けられた床パネル31の種類を減らして、管理や製造にかかるコストを削減できる。
支柱4は、上端部の水平材取付部43が床材3よりも上方に位置するように設けられて、支柱本体4が床材3の上面よりも突出するようになっている。従って、床パネル31の上に設けられる断熱材32及び防水層33には、支柱本体4を挿通できるような切欠きが設けられている。支柱本体4の床材3の上面よりも突出している部分には、図1に示すように、防水シートが巻かれて支柱防水層34が形成されている。支柱防水層34は、防水層33に設けられた支柱本体4を挿通するための切欠きをカバーするように設けられて、防水シートの継ぎ目や境目等にはシーリング加工が施されて、防水層33と支柱防水層34とは一体となって水密が保たれるようになっている。図1では、支柱防水層34によって支柱本体4の上端まで覆った様子を示しているが、支柱本体4の上端を水平材取付プレート432に直接固定するような場合には、支柱本体4の上端部の外面の周囲に凹部を設けて、該凹部より上部まで防水シートで覆って該凹部でシーリング加工を行うことによって支柱防止層34を形成してもよい。支柱本体4の床材3から突出する長さは、支柱本体4にかかる荷重等を考慮して適宜設計されればよいが、防水層33や支柱防水層34は、日光や雨風に晒される環境にあり、年月に伴って自然に劣化していくことから、一定期間毎に改修される必要があるため、支持材7に設備機器Eが設置されたままで防水層33及び支柱防水層34の改修を行うことができるように、支持材7の下端と、床材3の上面との間に防水層の改修のためのスペースが確保できるような長さとなっていることが好ましい。
第1水平材5は、2列の直線上に並ぶ複数の支柱4のうち、一方の直線上に並ぶ複数の支柱4の上端の水平材取付部43に掛け渡される長手状の部材となっている。第2水平材6は、2列の直線上に並ぶ複数の支柱4のうち、他方の直線上に並ぶ複数の支柱4の上端の水平材取付部43に掛け渡される長手状の部材となっている。第1水平材5は、支持材7を取り付けるための支持材取付部51と、目隠し具8を取り付けるための目隠し取付部52とを備え、目隠し取付部52は、支持材取付部51よりも所定の距離を隔てて上方に位置するようになっている。設備機器Eが載置される支持材7は、第1水平材5の支持材取付部51と、第2水平材6との間に掛け渡される。
本実施形態では、図1に示すように、第1水平材5には、上フランジと、上フランジから下方に間隔を空けて上フランジと略平行に設けられる下フランジと、上フランジ及び下フランジの中央部を接続するウェブとからなる断面略H字形のH形鋼が用いられ、下フランジが支持材取付部51で、上フランジが目隠し取付部52となっており、下フランジと上フランジとを接続するウェブの長さが、支持材取付部51と目隠し取付部52とを隔てる距離となっている。第1水平材5の支持材取付部51である下フランジには、第1水平材5が掛け渡される複数の支柱4の水平材取付部43のボルト孔に対応した位置に、ボルトを挿通可能なボルト孔が設けられている。第1水平材5の支持材取付部51のボルト孔と各支柱4の水平材取付部43のボルト孔との位置を合わせて、第1水平材5の支持材取付部51と各支柱4の水平材取付部43とをボルト及びナットで締結することで、第1水平材5が複数の支柱4に取り付けられる。また、本実施形態では、第2水平材6には、第1水平材5と同様のH形鋼が用いられ、その下フランジに、第2水平材6が掛け渡される複数の支柱4の水平材取付部43のボルト孔に対応した位置に、ボルトを挿通可能なボルト孔が設けられており、第2水平材6の下フランジと各支柱4の水平材取付部43とがボルト及びナットで締結されることで、第2水平材6が複数の支柱4に取り付けられる。第1水平材5を支持する支柱4の上端の高さと、第2水平材6を支持する支柱4の上端の高さとが略等しく揃えられており、第1水平材5と第2水平材6とは同様のH形鋼が用いられているので、第1水平材5の支持材取付部51である下フランジと、第2水平材6の下フランジとは上面が同じ高さとなっており、第2水平材6では、第2水平材6の下フランジに支持材7が取り付けられる。
本実施形態では、第1水平材5にH形鋼を用いたが、他に、上フランジと、上フランジから下方に間隔を空けて略平行に設けられる下フランジと、上フランジの側辺部と下フランジの側辺部とを接続するウェブとからなる断面略コ字形の溝形鋼を用いてもよい。第1水平材5に溝形鋼を用いる場合についても、H形鋼の場合と同様に、下フランジが支持材取付部51で、上フランジが目隠し取付部52となるようにして、支持材7を下フランジに取り付けられるように、ウェブが第2水平材6と反対側に位置するように複数の支柱4に対して第1水平材5を取り付けるようにすればよい。
また、本実施形態では、第2水平材6に第1水平材5と同様のH形鋼を用いたが、第2水平材6は、第1水平材5の支持材取付部51との間で支持材7を掛け渡した時に、支持材7の上面が水平になるように支持材7の端部を取り付けることのできる、複数の支柱4の間に掛け渡される長手状部材となっていればよい。例えば、第1水平材5に用いたH形鋼の下フランジと同様の板厚の帯板状の部材を第2水平材6として用いると、第1水平材5の支持材取付部51である下フランジの上面と、帯板状の第2水平材6の上面との高さが略等しくなるので、支持材7を第1水平材5と第2水平材6との間に水平に掛け渡すことが出来る。ただ、本実施形態のように、第2水平材6に第1水平材5と同様の部材を用いることで、支柱4に第1水平材5と第2水平材6とを設置する際の取り違え等を無くしたり、別部材を管理する手間やコストを低減することができる。
支持材7は、上面が水平になるように、第1水平材5の支持材取付部51と第2水平材6との間に掛け渡される。本実施形態では、図1及び図3に示すように、支持材7には、上フランジと、上フランジから下方に間隔を空けて上フランジに略平行に設けられる下フランジと、上フランジの側辺部と下フランジの側辺部とを接続するウェブとからなる断面略コ字状の溝形鋼が用いられている。支持材7の下フランジの長手方向の両端部に、それぞれボルトを挿通可能なボルト孔が設けられており、支持材7の長手方向の一端部のボルト孔を第1水平材5の支持材取付部51に設けられたボルトを挿通可能なボルト孔の位置に合わせて、支持材7の長手方向一端部を第1水平材5にボルト及びナットで締結し、支持材7の長手方向の他端部のボルト孔を第2水平材6に設けられたボルトを挿通可能なボルト孔の位置に合わせて、支持材7の長手方向の他端部を第2水平材6にボルト及びナットで締結することで、支持材7が第1水平材5と第2水平材6との間に掛け渡される。支持材7は、第1水平材5と第2水平材6との間に複数設けられて、支持材7の上に設備機器Eが設置される。
本実施形態では、第1水平材5及び第2水平材6が取り付けられる複数の支柱4の水平材取付部43の上面の高さは略等しくなっており、第1水平材5と第2水平材とには同様のH形鋼が用いられて、第1水平材5の支持材取付部51である下フランジと、第2水平材の支持材7が取り付けられる下フランジとの上面は水平で高さが略等しくなっている。そのため、第1水平材5及び第2水平材6に溝形鋼である支持材7が取り付けられると、支持材7の上面は水平となり、第1水平材5及び第2水平材6に取り付けられた複数の支持材7の上面は、略同一の水平面上に位置するため、設備機器Eを複数の支持材7の上に水平に設置することができる。支持材7が設けられる数や支持材7同士の間隔は、設備機器Eの大きさに合わせて適宜設けられればよいが、設備機器Eを安定して設置するために、設備機器Eの底面の対向する端辺部にそれぞれ支持材7が配置されるようになっていることが好ましい。また、本実施形態では、図3及び図4に示すように、支持材7の長手方向は、第1水平材5及び第2水平材6の長手方向に略垂直になるようなっているが、支持材7の長手方向が第1水平材5及び第2水平材6に対して斜めになるように支持材7を設けてもよい。また、設備機器Eを設置しやすいように支持材7の上面と略面一となるように隣り合う支持材7の間にさらに支持部材を掛け渡してもよいし、設備機器Eを設置するための台を支持材7の上に設けてその台の上に設備機器Eを設置してもよい。
目隠し具8は、第1水平材5の目隠し取付部52に取り付けられて、第1水平材5の支持材取付部51と第2水平材6との間に掛け渡された支持材7の上に載置された設備機器Eを外部の視線から隠す。従って、目隠し具8によって視線を遮りたい外部側に、第1水平材5が設けられて、第2水平材6は内部側に設けられることになる。本実施形態では、図1及び図4に示すように、目隠し具8は、目隠し取付部52に垂直に立設される少なくとも2つの柱部81と、柱部81の間に水平に掛け渡されて上下方向に互いに間隔を空けて複数設けられる横材85とを備える。
柱部81は、柱部本体82と、柱部固定プレート83と、横材取付部84とを備える。柱部本体82は、上下方向に複数設けられる横材85の荷重を支持できるような部材で、断面略矩形の筒状の角鋼管が用いられている。柱部固定プレート83は、柱部81を目隠し取付部52に固定するための部材で、略矩形の平板状の部材に、柱部本体82の軸方向の一端が固定されて、固定された柱部本体82の周囲にボルトを挿通可能なボルト孔が複数設けられている。柱部固定プレート83の複数のボルト孔は、それぞれ目隠し取付部52に設けられているボルトを挿通可能なボルト孔に対応する位置に設けられており、柱部固定プレート83のボルト孔と目隠し取付部52のボルト孔との位置を合わせて柱部固定プレート83と目隠し取付部52とをボルト及びナットで締結することによって、柱部81が目隠し取付部52に取り付けられる。横材取付部84は、柱部本体82に固定されて、横材85が取り付けられる部材となっており、柱部本体82に当接する面841と、横材85に当接する面842とからなる断面略L字形で、柱部本体82の軸方向に沿って延びる長手状の部材となっている。
柱部本体82は、断面略矩形で4つの側面を有しており、柱部81が目隠し取付部52に取り付けられた時に、柱部本体82の対向する2組の側面がそれぞれ第1水平材5の長手方向に平行または垂直となるようにして、柱部本体82の軸方向が目隠し取付部52に略垂直になるようになっている。横材取付部84は、柱部本体82に当接する面841を、柱部本体82の第1水平材5の長手方向に垂直な1組の側面の一方に当接させるようにして、柱部本体82に固定される。横材取付部84と柱部本体82とは、面841と柱部本体82の側面との対応する位置にボルト孔を設けてボルト及びナットの締結によって固定されてよい。本実施形態では、図4に示すように、横材取付部84が柱部本体82に固定された時に、横材取付部84の柱部本体82に当接する面841と略垂直な面842が、柱部本体82の第1水平材5の長手方向に平行な1組の側面のうちの第2水平材6と反対側に面する側面と、略面一となるようになっている。横材取付部84は、柱部本体82の第1水平材5の長手方向に垂直な1組の側面の一方または両方に対して設けられる。このような柱部81が、目隠し取付部52の上に等間隔に複数設けられており、それぞれの柱部81の柱部本体82の第2水平材6と反対側の側面と横材取付部84の面842とは、略同一の鉛直面上に位置するようになっている。
横材85には、断面略矩形の長手状部材である角材が用いられ、横材85の長手方向の長さは、隣り合う柱部81の柱部本体82の中心間の距離と略等しくなっている。横材85の長手方向の両端部を、それぞれ隣り合う柱部81の柱部本体82の向かい合う側面に取り付けられた横材取付部84の面842に当接させて、面842に設けられた貫通孔を介してビス等で固定することによって、横材85が隣り合う柱部81の間に水平に掛け渡される。横材取付部84は、柱部本体82の軸方向に沿って延びる長手状部材で、面842は、柱部本体82の軸方向である上下方向に渡って設けられており、隣り合う柱部81の間には、複数の横材85が、上下方向に互いに間隔を空けて等間隔に設けられている。等間隔に設けられた複数の柱部81の隣り合う柱部81の間のそれぞれに、上下方向に等間隔に複数の横材85が設けられており、横材85の上下方向の位置は、隣り合う柱部81間で略等しくなっている。横材85の長手方向の長さは、隣り合う柱部81の柱部本体82の中心間の距離と略等しく、柱部81の柱部本体82の第2水平材6と反対側の側面と横材取付部84の面842とは略面一となっているので、各横材85の長手方向の端部は、柱部本体82の第2水平材6と反対側の側面の略中央部に位置するように設けられている。従って、目隠し具8の外部側から見た外観は、目隠し取付部52に設けられた複数の柱部81の最端の2つの柱部81の間に水平に掛け渡された長尺の横材が上下方向に等間隔に整列したように見える横方向のラインが強調された意匠性を有する外観となっている。複数の柱部81の最端の2つの柱部81の間の中間に設けられている柱部81の柱部本体82及び横材取付部84は、横材85よりも内側に位置するので、外側からは目立たない。複数の柱部81の最端の2つの柱部81の間の中間に設けられている柱部81には、柱部本体82の第1水平材5の長手方向に垂直な1組の側面の両方に横材取付部84が設けられて、最端の2つの柱部81には、柱部本体82の第1水平材5の長手方向に垂直な1組の側面の一方の隣り合う柱部81が存在している側に横材取付部84が設けられる。
目隠し取付部52に立設される柱部81の高さは、設備機器Eを外部の視線から隠せるように、支持材7に設置される設備機器Eの大きさによって適宜設計されればよい。第1水平材5において目隠し具8が取り付けられる目隠し取付部52は、支持材7が取り付けられる支持材取付部51よりも所定の距離を隔てて上方に位置するようになっているため、設備機器Eの設置面である支持材7の上面よりも、目隠し具8の設置面である目隠し取付部52の方が上方に位置しており、その分、目隠し具8の柱部81の高さを短くでき、横材85の上下方向に設ける数も減らすことができるので、目隠しのためのコストを低減できる。
本実施形態の目隠し具8は、横材85に断面略矩形の長手状部材である角材を用いて、複数の横材85が上下方向に等間隔に並ぶようになっているので、水平方向からの視線は横材85の間の隙間から通るようになっているが、設備架台構造1は、屋上の屋外床に設けられているので、設備架台構造1が設けられている建物に訪れる来客等による外部からの視線は、基本的には、斜め下方向から設備架台構造1を見上げるような角度となって、横材85の間の隙間の方向と、外部からの視線の方向とは平行にならないので、目隠し具8によって、目隠し具8より内部に位置している設備機器Eを隠すことができる。目隠し具8には、本実施形態のように横材85が上下方向に等間隔に並んだようなものだけではなく、縦材が左右方向に並んだものや格子状のものを用いたり、縦材や横材を回動可能に設けて縦材や横材の角度を変更できるように構成してもよいし、隙間や開口の無い平板状のものを用いるようにしてもよい。ただ、目隠し具8は屋外に設けられるため、風から受ける力を低減できるように隙間や開口を設けておく方が好ましい。
本実施形態では、設備架台構造1への外部からの視線は、第1水平材5側からのものを想定したものとなっていたが、第2水平材6側からも外部からの視線が存在する場合には、第2水平材6に代えて第1水平材5及び目隠し具8を取り付けるようにしてもよい。
以上のような本実施形態に係る設備架台構造1によると、屋外床の骨組みを構成する梁2に基端部が固定されて、梁2で支持されて屋外床の床を形成している床材3の上面よりも上方に突出して上端部が位置する複数の支柱4が、2列の直線上に並ぶように設けられており、一方の直線上に並ぶ複数の支柱4の上端の間に掛け渡される第1水平材5と、他方の直線上に並ぶ複数の支柱4の上端の間に掛け渡される第2水平材6との間に、複数の支持材7が上面が水平になるように掛け渡されて、支持材7の上に設備機器Eが設置されるので、設備機器Eの荷重は、支持材7から第1水平材5及び第2水平材6に伝わり、それぞれを支持する支柱4から梁2に伝わるため、床材3に設備機器Eや設備架台構造1の荷重が掛からないようになっている。そのため、床材3の断熱材32や防水層33を傷めることなく、設備機器Eを設置することができる。
また、設備架台構造1は、支柱4の上端が床材3の上面よりも上方に突出して設けられていることから、支柱4の上に設けられる第1水平材5及び第2水平材6の間に掛け渡されて設備機器Eが設置される支持材7と床材3との間には一定の距離が存在しているので、防水層33及び支柱防水層34を改修する際に、設備機器Eを支持材7に設置した状態のまま、改修を行うことができる。従来のように屋上の屋外床の上に直に設備機器Eが設置されるか、または、屋外床の上に設備機器Eの固定用ブロックを設けてその固定用ブロックの上に設備機器Eが設置されるような場合は、防水層を改修する際に、一旦、設備機器Eを屋上から移動させて、防水層の改修を行い、その後再び設備機器Eを屋上に移動させて設置する、というような非常に手間とコストのかかる作業が必要であったが、設備架台構造1では、防水層の改修に伴う設備機器Eの移動の手間とコストを削減できる。
また、設備架台構造1の略平行に設けられている第1水平材5と第2水平材6との間に掛け渡される支持材7の位置や数は、設置される設備機器Eの大きさに合わせて任意に変更することができるので、様々な大きさの設備機器Eに対応することができ、また複数の設備機器Eを設置することができる。例えば、エアコンの室外機とTV用アンテナ等の異なる種類や大きさの設備機器Eをそれぞれの設置幅に合わせて支持材7を設けることで同時に設置することもできるし、また、設備機器Eが故障して交換するような場合に、元の設置していた設備機器Eとは大きさが違っていても支持材7の取り付け位置を変更することで対応することができる。
また、設備架台構造1の第1水平材5は、支持材7が取り付けられる支持材取付部51と、支持材取付部51より所定の距離を隔てて上方に位置する目隠し取付部52を備え、目隠し取付部52に、支持材7の上に設置される設備機器Eを外部の視線から隠すための目隠し具8が取り付けられるので、目隠し具8のために新たに架台等を設けることなく、設備機器Eを隠すための目隠しを設置することができる。また、目隠し具8の荷重は、第1水平材5から第1水平材5を支持する支柱4を介して梁2に伝わるため、床材3に目隠し具8の荷重が掛からず、床材3の断熱材32や防水層33を傷めることなく、目隠し具8を設置することができる。
また、設備架台構造1の第1水平材5において、支持材7が取り付けられる支持材取付部51より上方に、目隠し具8が取り付けられる目隠し取付部52が設けられており、設備機器Eの設置面よりも、目隠し具8の設置面の高さを高くできるので、設備機器Eを隠すために必要な目隠し具8の上下方向の長さを短くして目隠し具8のためのコストを削減することができる。
次に、本実施形態に係る建物について説明する。本実施形態に係る建物は、梁2と、梁2によって支持される床材3とを有する屋外床を備えており、この屋外床に上述のような設備架台構造1が設けられている。本実施形態に係る建物は、商業施設や宿泊施設等の来客用の施設として用いられることが好ましく、略水平な陸屋根を有し、この陸屋根が設備架台構造1を設けるための屋外床として用いられることが好ましい。そして、設備架台構造1の目隠し具8が設置される第1水平材5側を、建物に設けられた来客が出入りするエントランス側に向けて設けるようにする。このような本実施形態に係る建物によると、設備機器Eを建物の陸屋根部分に設備架台構造1を介して設置できるので、建物内部に設備機器Eを配置するためのスペースを設ける必要が無く、建物内部のスペースを有効に活用できる。また、設備架台構造1によって、建物の陸屋根に設けられた防水層を傷めることなく、様々な大きさや複数の設備機器Eを設置することができ、設備機器Eを設備架台構造1に設置したまま、建物の陸屋根の防水層の改修を行うこともできる。また、設備架台構造1が建物の陸屋根部分に設けられ、建物のエントランス側に目隠し具8側が向くように設備架台構造1が設けられているので、建物へ訪れる来客からは目隠し具8によって目隠し具8の奥に設置される設備機器Eが見えないように隠すことができる。そして、来客からの目隠し具8への視線は見上げる方向となるため、本実施形態に係る目隠し具8のように複数の横材85が風通しのため上下方向に互いに間隔を空けて並べられているような目隠し具を用いた場合でも、目隠し具の奥に設置される設備機器Eへの視線を遮りやすくなっている。