JP6027389B2 - 既設構造物の躯体を利用して構築された基礎構造 - Google Patents
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Description
異なる対案として、地上の道路上に大型重機を設置して夜間作業を行う施工も検討されるが、作業工程上の遅延の一因ともなる。このように工程や工費が増加する問題があり、建築主の予算と折り合わず、工事規模の縮小や工事を断念する事例も起こり得る。
とりわけ外壁のプレキャストコンクリート板の付け替えや、屋上の設備機器を入れ替えするような大規模改修工事を行う場合には、大きな引き抜き反力を要する大型クレーン設置を必要とするが、この場合、下階の供用や営業に支障が生ずることは、建築主にとって厳禁であり、避けねばならない。
そうした機械基礎の構築に関する従来技術として、例えば下記の特許文献1に開示された発明「屋根上又は床上の設置物固定装置」は、建物の屋根上、又はベランダ等の床上に、バルコニー用手摺り、受変電用のキュウビクル、エアコンの室外機、階段等を設置する際に実施する技術である。床版と梁材で床が構成され、床版の上面に防水シートによる防水層が形成されている場合に、同床版の要所に、梁材の上側フランジの上面へ達する凹所を切り欠き、前記切り欠き部(凹所)を通じて支柱の下部フランジ(固定フランジ)を差し入れ、梁材の上側フランジの上面へ接触させる。そして、同支柱の下部フランジと梁材の上側フランジの双方へ貫通させたボルトへナットを締結して当該支柱を固定し直立させた上で、同支柱の上端部へ手摺り支柱を立てる構成が開示されているに過ぎない。
つまり、梁材の上側フランジにボルト孔を所要数貫通させて設ける構成であり、その孔開け作業の期間中は、同梁材より下方の下階部分の安全性を確保するため作業空間を用意する必要がある。のみならず、支柱の下部フランジと梁材の上側フランジとをボルト、ナットで締結する際にも、それなりの作業空間が必要になる。その結果、工事期間中は梁材より下方の下階部分の供用や営業に支障を来すことは必定である。
また、床版の上面は防水層で被覆されているが、同床版に、梁材の上側フランジの上面へ達する切り欠き部(凹所)を設けるから、その後の防水処理として、前記防水層に繋がる防水シールを支柱の外周へ施して密封すると説明されている。しかし、梁材の上面へ到達する切り欠き部が空洞として残存する構成と認められる。また、梁材の上側フランジに貫通させたボルト孔も、バルコニー用手摺り等が実用に供されるかぎり、シール材等で隙間を埋めた程度の防水処理では疵が残ることに変わりがなく、防水効果と機能及び寿命に悪影響を及ぼすと考えられる。
その他、引っ張り反力を小さく構成したクレーンの基礎構造を採用するケースもあるが、この場合には架台スパンを大きく構成したクレーン基礎が納まらないケースも多く、コスト高になる問題点が指摘されている。
要するに、特許文献1、2は出願人が同一であるため、技術思的想が多く共通する発明を開示している。したがって、上記特許文献1の発明について説明した内容と全く同様な欠点、問題点が認められる。
したがって、上記の特許文献1、2に開示された発明と同様に、梁の上側フランジにボルト孔を貫通させる加工が必要であり、貫通させたボルト孔が後々の防水処理の疵として残る問題点を避けられない。そして、同梁の下方部分にボルト、ナットの締結作業に必要な作業空間を確保しなければならないから、工事期間中は梁より下方の下階部分の供用や営業に支障を来す問題点が認められる。
屋上床スラブ11を上下方向に貫通するボルト孔を設けて、同ボルト孔へ長いアンカーボルト13を通し、同アンカーボルト13の下端部へ、前記SRC造梁10の下面を支持するアングル又は溝形鋼状の押さえ金物14がダブルナット15で取り付けられている。
前記屋上床スラブ11の上に敷設したコンクリート造のベース40の上に、所謂ゲタと呼ばれる鋼構造の支持台16を設置し、その上にクレーン架台12が設置されている。前記コンクリート造のベース40の敷設に際して予め埋設したスタッドボルト17により、鋼構造の支持台16における下側フランジが固定されている。なお、前記スタッドボルト17は、支持台16の位置決め用として仮に設けられたもので、クレーン架台12から浮き上がり荷重(引っ張り力)を受けた場合に、同荷重を負担できる構成ではない。
上記鋼構造の支持台16の上側フランジと、クレーン架台12における下側フランジとが、双方のフランジへ貫通させたボルト18と、これに締結したナット19とで固定されている。更に、上記したように屋上床スラブ11を上向き方向へ貫通させた長いアンカーボルト13は、クレーン架台12の下側フランジから上側フランジへ貫通させた上で、同クレーン架台12の上方へ突出させ、その上端部へ押さえ金物20を当てがい、ダブルナット21を締結して固定した構成とされている。
図6に例示した基礎構造の場合も、屋上床スラブ11を上下方向に貫通するボルト孔を設ける孔開け作業、および前記ボルト孔へSRC造梁10の下方から長いアンカーボルト13を上向きに貫通させ、その下端部に押さえ金物14をダブルナット15で取り付ける作業の必要上、SRC造梁10より下方の下階部分に作業空間の確保が不可欠である。従って、同下階部分の供用や営業に支障を来す問題点を解決できない。また、屋上床スラブ11を上下方向に貫通させたボルト孔は、アンカーボルト13を通した上で防水処理を行うとしても、屋上床スラブ11の防水層に孔を開けていることに変わりがなく、防水処理の疵として残ることが問題である。
しかし、その手段としては、例えば図6のように、床コンクリート11を上下方向に貫通するボルト孔を設け、同ボルト孔へ通したアンカーボルト13でクレーンの引き抜き反力に耐える構成とされる。そのため床コンクリート11にボルト孔を設けてアンカーボルト11を通し、クレーン架台12を設置する作業工程の必要上、当該床コンクリート11より下方に作業用スペースを確保することが必須となる。その結果、下階部分の供用や営業に支障を来すという問題が発生するので、是非とも解決するべき問題点とされる。
a)既設構造物の鉄骨造躯体10の鉄骨上面を覆う床コンクリート11が一定の広さ範囲 まで破砕され剥ぎ取られて鉄骨造躯体10の鉄骨上面が剥き出され、
b)前記鉄骨造躯体10の鉄骨上面へ、望ましい配置で1本又は複数本のスタッドボルト 3が垂直に立てて前記床コンクリート11の上面よりも高く固定され、
c)前記鉄骨造躯体10を覆う床コンクリート11を破砕して剥ぎ取った凹部4へ、コン クリート5を一定レベルまで埋め戻して防水層22の修復が行われ、その上に防水層押 え用のコンクリート6が埋め戻されて鉄骨造躯体10の上面を覆う床コンクリート11の 修復が行なわれ、
d)前記床コンクリート11の上面よりも高く突き出された前記スタッドボルト3を利用 して、前記床コンクリート11上へ目的とする機械類12を据え付け可能に構築されて いることを特徴とする。
A)既設構造物の鉄骨造躯体10の鉄骨上面を覆う床コンクリート11が一定の広さ範囲 まで破砕され剥ぎ取られて同鉄骨1の上面を剥き出す凹部4が形成され、
B)剥き出された前記鉄骨1の上面に、望ましい配置で1本又は複数本のスタッドボルト 3が垂直に立てて固定され、
C)前記スタッドボルト3は、前記凹部4を埋め戻したコンクリート5によって修復され た前記床コンクリート11の上面よりも一定の高さ立ち上がらせた防水ベース部31の 上端面よりも一定の長さ突き出す構成とされ、
D)前記防水ベース部31の側壁外周面の上方部位に水返し板32が設置され、
E)前記床コンクリート11の上面に施工された被覆型の防水層22’と一連に接合した 修復用防水層22”が前記防水ベース部31の側壁外周面に沿って立ち上げられ、その 上端部が前記水返し板32の遮水辺32aの下面近傍位置にまで配置され、シーリング 材33で止め付けて防水層の修復が行われており、
F)前記の防水ベース部31の上端面から突き出されたスタッドボルト3を利用して、目 的とする機械類12を防水ベース部31の上端面へ据え付け可能に構成されていること を特徴とする。
よって、当該鉄骨造躯体、例えば鉄骨大梁1より下方の下階構造部分の供用や営業は、基礎構造の構築作業や、それを利用した改修工事等による悪影響を一切受けないで済む。
しかも鉄骨造躯体を構成する鉄骨大梁1のフランジにはボルト孔を一切設けない(貫通させない)構成であるから、防水性能に疵を生じさせたり、疵を残さない構成である。
よって、この意味でも鉄骨大梁1の下方部(下階部分)の供用や営業に支障を来さない。 要するに改修工事等の期間中のいずれの時点でも、鉄骨大梁1より下方の下階部分の供用や営業行為には一切の支障を及ぼさないで済む。
したがって、必要が認められている既設建物の改修や改築工事、或いは建物屋上の設備機器類などの改修工事を不安なく促進する技術として期待できる。
その上、鉄骨造躯体、例えば鉄骨大梁1のフランジ1aを貫通するボルト孔等は一切開けないので、この観点からも防水性能に疵を生じさせない実施ができるのである。
図1〜図4は、本発明による、既設構造物の躯体を利用して構築した基礎構造の実施例1を示している。更に具体的に言えば、既設構造物の鉄骨造躯体はSRC造梁10で成り、その鉄骨大梁1を利用する実施例を示している。
なお、具体的に図示することを省略したが、本発明による既設構造物の躯体を利用する基礎構造を実施する場合、工事現場は通例既設建物の屋上部分であるから、雨水を避け、或いは雨水が施工部位へ浸入することを防止するために、施工現場の上空を覆う仮設屋根を構築して養生を行う。しかし、仮設屋根の構築は、この種の工事に必至の養生として当業者に周知であるから、その図示は省略した。
本発明によれば、SRC造梁10の上面を覆う床コンクリート11は一定の広さ範囲までを破砕して剥ぎ取り、鉄骨大梁1の上側フランジ1aの上面を剥き出しにする凹部4の形成が行われる(図1、図2の符号4を参照)。そして、前記凹部4を利用して鉄骨大梁1の上側フランジ1aの上面へ必要本数のスタッドボルト3を望ましい配置で垂直に立てて固定した段階を、図1の左側部位に示している。
上記凹部4の形成は、図1及び図2の左側部分に例示したとおり、樹立するスタッドボルト3の本数と配置を中心にして、左右対称なすり鉢形状を基本形として形成する。更に具体的に言えば、凹部4内には、床コンクリート11の中間層に埋設施工されている防水層22(以下、これを埋設型防水層と呼ぶ場合がある。)の埋設位置と同じレベルの位置(中間位置)に、一定広さの平坦面部4aを形成する。この平坦面部4aは、後の埋設形防水層の修復作業を容易にする基準面として利用することになる。そのためこの平坦面部4aを境に凹部4の形態は深さ方向の上下に二分した構成(2段階の構成=図1〜図3を参照)とされる。
また、前記中間の平坦面4aより上方の凹部(上半部)は、平坦面4aにおいて防水層22を修復する作業に必要十分な広さ、形状を確保し、平坦面4aの外周縁位置から、上方に向かって拡大する傾斜面により左右対称なすり鉢形状に形成されている。
因みに、上記平坦面4aとして必要十分な広さを確保するとは、後述するように平坦面4aの面上に修復用の防水材を敷設して既設の防水層22を修復する際に、新・旧の防水層22が端々まで密接に馴染んで切れ目等の傷を生ずることなく一元化でき、しかも続いて充填する防水層押さえ用のコンクリート6できっちりと一様に押さえ付けることができ、防水層22の修復状態を完全にする上で必要十分な広さであることを意味する。
もっとも、鉄骨大梁1の上面を覆ったコンクリートを破砕して剥ぎ取り、鉄骨大梁1の上側フランジ1aの上面を剥き出しにする凹部4の平面形状と広さ、或いは周側面の傾斜角度及び平坦面4aの位置などは、当該基礎構造の用途、或いは施工の容易さなどを考慮して適宜に決定すればよいことで、上記した形状、構成には限らない。
図示例の場合でいえば、後述する束材16の取り付け固定を前提にして、同束材16の下側フランジ16aに予め設けられたボルト孔の配置及び個数と一致させることを意味している。つまり、スタッドボルト3で固定するべき相手(設置する機械類12)によって異なる。図示した実施例1の場合、スタッドボルト3の配置と本数は、図2に平面図を示したとおり、合計8本である。使用するスタッドボルト3の仕様に関して言えば、図示例の場合、外径がφ24で、長さ35cm程度であるが、一般的に外径φ16〜φ36程度のボルトが使用される。
但し、アークスタッド溶接に限定する意味ではない。更に優れた、又は実用的な溶接法等が開発されたときは、そうした技術を実施するのが良い。
因みに、上記のアークスタッド溶接は、JASS6付則4「スタッド溶接工技術検定試験」により、工事に対応した技量を有すると認定された者が行う。しかし、更に念のために、スタッドボルト3のアークスタッド溶接が終了した後に、使用時の安全性を予め確認する目的で、各スタッドボルト3の引っ張り試験を厳格に実施し、各ボルトの引っ張り強度が、安全設計の数値を満たしているか否かを確認することが好ましい。
その手順としては、先ず前記床コンクリート11を破砕し剥ぎ取って形成した凹部4のうち、床コンクリート11の中間部位に埋設された防水層22の設置レベルに等しく形成した前記平坦面4aの位置までをコンクリート5で埋め戻す。
凹部4へ埋め戻し用のコンクリート5を防水層22の埋設レベルまで平坦に埋めて均しきっちりと埋め戻した後に、中間の防水層22を修復する工程を行う。その手法としては、既述の平坦面4a及び充填したコンクリート5の上面へ、所定のアスファルトを浸透させ含浸被覆させた有機天然繊維製のフェルトやルーフィングを溶融アスファルトにより下地へ接着させ積層して防水層22を形成し、既存の防水層22との接合を一元的に綿密に行う。特に前記防水層22の上へ溶融アスファルトを流し込む工程の際には、既に立っている各スタッドボルト3のねじ山と谷部を同一レベルまで完全に埋め尽くすように、丁寧に防水層22の修復を行い、防水層22に断裂や疵が残らない修復処理を行う。
上記のアスファルトが硬化した後の工程としては、更に、防水層押さえ用のコンクリート6を凹部4内へ埋め戻し、躯体上面を覆う床コンクリート11の表面(上面)と均一レベル状態に均す修復工程を行って、実質的に床コンクリート11の修復を行う。
上記各スタッドボルト3を利用して、目的とする機械類12を据え付ける工程を行う要領及び手法として、最も単純な利用例は、上記スタッドボルト3を利用して、使用目的である機械類12を直接床コンクリート11へ据え付け設置して使用することができる。
即ち、床コンクリート11の表面へ突き出た上記の各スタッドボルト3を通すボルト孔を用意した機械類12の取付座を、上方から各スタッドボルト3へボルト孔を通す要領で下降させ、床コンクリート11の上面へ直置きして据え付け使用することが可能である。
その対策法として、上述し図示した実施例1では、目的とする機械類の一例であるクレーン架台12は、床コンクリート11の上面へ嵩上げして支持させるに相当な背の高さを有する束材16を使用する実施態様を示している。
即ち、躯体の上面を覆う床コンクリート11の修復を行った後の工程として、前記床コンクリート11の表面から突き出た各スタッドボルト3と一致する配置で下側フランジ16aへボルト孔を設けた束材16を使用する。即ち、上方から下側フランジ16aの各ボルト孔の位置を合わせて下ろし、各スタッドボルト3を下側フランジ16aのボルト孔へ通して床コンクリート11の上面へ載置する。そして、各スタッドボルト3へナット7をねじ込み締結して束材16の固定を行う。
なお、束材16の下側フランジ16aの水平レベル出しを正確に行う手段として、下側フランジ16aの下面位置を決めてレベル出しを行うナット30を、予め各スタッドボルト3へねじ込んで高さ位置のレベル出しを行っておく。その上で、前記レベル出し用ナット30の上へ束材16の下側フランジ16aを載せて設置する手法の実施が有効的である。
その後、前記束材16の上側フランジ16bの上へ目的のクレーン架台12を載置し、双方のフランジへ貫通させたボルト18へナット19を締結し固定して設置が行われている。
もとより、上記構成の基礎構造を利用して設置する機械類12の構造如何によっては、更に異なる使用例、使用構造が実施される。例えば下記の実施例2も有力な実施態様である。
この実施例2の場合も、上記床コンクリート11の表面に露出状態に施工された防水層22’及び床コンクリート11を破砕し剥ぎ取って鉄骨大梁1の上側フランジ1aの上面を剥き出す凹部4を形成する工程までは、上記実施例1とほぼ共通する。
しかし、その凹部4を充填したコンクリート5で埋め戻し、露出型防水層22’で修復する工程及び構成に相違点がある。
本実施例2の場合は、上記凹部4の中へ充填したコンクリート5を床コンクリート11の上面まで埋め戻すだけでなく、図示することを省略した床コンクリート11の表面に防水効果に好適な一定の高さまで立ち上がらせた縦型枠を予め床コンクリート11の上面へ設備しておいて、別途、立ち上がり用のコンクリートを、同縦型枠内へ打ち込んで防水ベース部31を一体的に形成する。もとよりこの防水ベース部31の上端面から前記スタッドボルト3が一定長さ突き出す構成とする。そして、前記防水ベース部31の側壁外周面の上方部に水返し板32が設置される。
一方、前記床コンクリート11の上面に施工した露出型の防水層22’と一連の防水層を形成するように接合した修復用の防水層22”を施工し、該修復用防水層22”の中央部は、前記防水ベース部31の側壁外周面に沿って立ち上がらせる。そして、防水ベース部31の側壁外周面の上方部位に設置された前記水返し板32の遮水辺32aの下面近傍の位置まで修復用防水層22”の上端を配置し、その上端部をシーリング材33できっちり止め付けて、防水層22’の修復が行われる。
こうして前記防水ベース部31のコンクリートが強度を発現した後に、束材16の下側フランジ16aの各ボルト孔の位置を合わせて下降させ、防水ベース部31の上面へ載置して、各スタッドボルト3へナット7をねじ込み締結して固定する。
そして、前記束材16の上側フランジ16bの上に、目的とする機械類12を据え付け設置して使用する構成は、上記実施例1と同様である。
そのため当該鉄骨大梁1(SRC造梁10)より下方の下階構造部分の供用や営業には一切の支障を及ぼさない。したがって、鉄骨大梁1より下方の下階構造部分の供用、営業を、工事期間中を通して自由に安全に支障なく行うことが可能である。よって、既存構造物に必要とされる改修、改築工事などを積極的に実施する気運の向上に寄与できる。
また、鉄骨大梁1の上面を覆う床コンクリート11について、一旦は鉄骨大梁1の上側フランジの上面へ必要本数のスタッドボルト3を望ましい配置で垂直に立てて固定する工程の必要上、同床コンクリート11に施工された埋設型又は露出型の防水層22、22’を一定の広さ範囲まで破砕して剥ぎ取るけれども、スタッドボルト3の設置後には、再び完全に修復するので疵跡を残さない。
しかも、鉄骨大梁1の上側フランジ1aへボルト孔を貫通させる加工は一切必要ないから、この意味でも爾後に防水機能を損なう疵跡を生じさせない、という大きな利点を発揮する。
同じ鉄骨造躯体の異なる例として、鉄骨造柱の柱頭部上端を塞ぐ「塞ぎ板」を鉄骨大梁のフランジと全く同様に利用して同様に実施することができる。
しかし、「塞ぎ板」を利用する実施例については、上記実施例1、2に比して実施上の差異点は格別見当たらない。そこで、上記実施例1、2の説明を援用することとし、実施例を図示して説明したことは省略した。
そして、本発明は、以上に図示した実施例1、2に基づいて説明したが、もとより本発明は各実施例の構成に限定されない。いわゆる当業者が必要に応じて行うであろう設計変更その他の応用、改変の範囲まで含むことは当然である。
1a 上側フランジ
3 スタッドボルト
4 凹部
10 SRC造梁(鉄骨造躯体)
11 床コンクリート
5 充填したコンクリート
22 防水層(埋設型)
22’ 防水層(露出型)
22” 修復用防水層
6 防水層押さえ用のコンクリート
16 束材
16a 束材の下側フランジ
16b 束材の上側フランジ
7 ナット
12 設置目的の機械類(クレーンその他の機械類、建築用設備類、構造物)
31 防水ベース部
32 水返し板
32a 水返し板の遮水辺
33 シーリング材
Claims (2)
- a)既設構造物の鉄骨造躯体の鉄骨上面を覆う床コンクリートが一定の広さ範囲まで破砕 され剥ぎ取られて鉄骨造躯体の鉄骨上面が剥き出され、
b)前記鉄骨造躯体の鉄骨上面へ、望ましい配置で1本又は複数本のスタッドボルトが垂 直に立てて前記床コンクリートの上面よりも高く固定され、
c)前記鉄骨造躯体を覆う床コンクリートを破砕して剥ぎ取った凹部へ、コンクリートを 一定レベルまで埋め戻して防水層の修復が行われ、その上に防水層押え用のコンクリー トが埋め戻されて鉄骨造躯体の上面を覆う床コンクリートの修復が行なわれ、
d)前記床コンクリートの上面よりも高く突き出された前記スタッドボルトを利用して、 前記床コンクリート上へ目的とする機械類を据え付け可能に構築されていることを特徴とする、既設構造物の躯体を利用して構築された基礎構造。 - A)既設構造物の鉄骨造躯体の鉄骨上面を覆う床コンクリートが一定の広さ範囲まで破砕 され剥ぎ取られて同鉄骨1の上面を剥き出す凹部4が形成され、
B)剥き出された前記鉄骨1の上面に、望ましい配置で1本又は複数本のスタッドボルト が垂直に立てて固定され、
C)前記スタッドボルトは、前記凹部を埋め戻したコンクリートによって修復された前記 床コンクリートの上面よりも一定の高さ立ち上がらせた防水ベース部の上端面よりも一 定の長さ突き出す構成とされ、
D)前記防水ベース部の側壁外周面の上方部位に水返し板が設置され、
E)前記床コンクリートの上面に施工された被覆型の防水層と一連に接合した修復用防水 層が前記防水ベース部の側壁外周面に沿って立ち上げられ、その上端部が前記水返し板 の遮水辺32aの下面近傍位置にまで配置され、シーリング材で止め付けて防水層の修 復が行われており、
F)前記の防水ベース部の上端面から突き出されたスタッドボルトを利用して、目的とす る機械類を防水ベース部の上端面へ据え付け可能に構成されていることを特徴とする、 既設構造物の躯体を利用して構築された基礎構造。
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