以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す説明では、各図において共通する部分については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするため、各図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。
図1は、本発明の実施形態に係るシートディスペンサー100を示す図である。図2は、本実施形態に係るシートディスペンサー100の内部を側面側から見た図(図1のA-A線断面図)である。なお、図1、図2に示すシートディスペンサー100においては、一対の側面15、16が対向する方向を左右方向(X方向)とし、正面13と背面14が対向する方向を前後方向(Y方向)とし、天面11と底面12が対向する方向を上下方向(Z方向)とする。
本発明の実施形態に係るシートディスペンサー100は、図1、図2に示すように、複数枚のシートSTが積層されたシート積層体SL(図13参照)を収容する本体部10と、該本体部10に形成されてシートSTが取り出される取出部20とを有する(図13~図14参照)。本体部10は、天面11、底面12、正面13、背面14、側面15および側面16を有する直方体形状の箱体である。
なお、シートディスペンサー100の形状は、直方体形状に限定されず、例えば、立方体形状でもよい。また、シートディスペンサー100の材質は、特に限定されず、例えば、ABS、ポリスチレン、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂、段ボール等の紙、ステンレス等の金属を用いることができる。
本体部10において、天面11は、上下方向(Z方向)の上方に設けられている。底面12は、上下方向(Z方向)の下方に設けられて天面11と上下方向(Z方向)に対向する。正面13は、前後方向(Y方向)の前方に設けられて天面11と底面12に連続する。背面14は、前後方向(Y方向)の後方に設けられて正面13と前後方向(Y方向)に対向し、かつ正面13と底面12に連続する。側面15および側面16(以下、一対の側面15、16という場合がある)は、上下方向(Z方向)と直交しかつ前後方向(Y方向)とも直交する左右方向(X方向)に対向して、天面11、底面12、正面13、および背面14に連続する。
シートディスペンサー100では、本体部10をこのような天面11、底面12、正面13、背面14、側面15、および側面16で構成することにより、本体部10内にシート積層体SLを収容する空間が形成される。
また、取出部20は、本体部10の正面13に形成されている。取出部20は、正面13の底面12寄りに設けられている。取出部20では、シートSTをシートディスペンサー100(本体部10)内から外側にシートSTを取り出すことができる。ここで、正面13の底面12寄りは、正面13の上下方向(Z方向)の中央より下方側を示す(図1、図2参照)。具体的には、図2に示すように、上下方向(Z方向)における底面12との間隔P1が天面11との間隔P2より短い位置に、取出部20が配置されている。
なお、取出部20の寸法は、取り出されるシートSTの寸法に応じて、任意に定めることができる。例えば、左右方向(X方向)におけるシートSTの幅寸法に対する取出部20の長さの差は、好ましくは0~40mmであり、より好ましくは0~10mmである。また、底面12からの距離は、特に限定されないが、取出部20を正面13の底面12寄りに設ける観点から、例えば、取出部20と底面12との間隔が、好ましくは約40~60mm、より好ましくは約45~55mmである。
取出部20の形態は、特に限定されないが、例えば、図1、図2に示すように正面13を貫通する略矩形状の開口で構成することができる。また、取出部20を構成する開口の形状を、取出部20の中央部の幅が両端部の幅に対して大きくなる形状にしてもよい。取出部20の形状をこのような形状にすると、取出部20に手の一部が挿入できるため、シートSTの取出しが容易になる。
また、取出部20の周縁部21は、図1、図2に示すように、正面13から本体部10の外側に向かって突出する形状にしてもよい。取出部20の周縁部21をこのような形状にすることにより、シートSTが引き出される方向にガイドされるため、シートSTの取出しが容易になる。
また、シートディスペンサー100の形態は、特に限定されないが、本体部10の天面11を蓋体にして天面11から本体部10内にシート積層体SLを収納するもの、本体部10の正面13、背面14、側面15及び側面16の全部または一部が開放する扉を設け、該扉から本体部10内にシート積層体SLを収納するもの等が挙げられる。また、シートディスペンサー100の設置態様は、特に限定されないが、例えば、背面14を介して壁に掛けるもの、底面12を介して台の上に置くもの等が挙げられる。
シートディスペンサー100に収容されるシートSTは、複数枚のシートSTが積層されたシート積層体SLで構成されている(図13参照)。シート積層体SLは、シート積層体SLの積層方向SDが、前後方向(Y方向)になるように、シートディスペンサー100の本体部10に収容される。すなわち、シート積層体SLがシートディスペンサー100の本体部10に収容された状態で、複数枚のシートSTは、シートディスペンサー100の前後方向(Y方向)に積層された状態で配置される。
シート積層体SLは、複数枚のシートSTが折り畳まれてポップアップ式引き出せるように積層されている。なお、ポップアップ式とは、シートが1枚ずつ(または1組ずつ)取り出されることを示す。シートST(シート積層体SL)の形態は、複数枚のシートSTが積層されたものであれば、特に限定されないが、1枚(または1組)のシートが相互に折り重ねられて積層されたシート積層体が好ましく、中でもシートを1枚(または1組)引き出すと次の1枚(または1組)のシートが引き出される形態のシート積層体がより好ましい。
シートST(シート積層体SL)の用途は、特に限定されず、ペーパータオル、ワイパー(ウエス)、ティシューペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパー等に用いることができる。また、シートST(シート積層体SL)の用途は、産業用、家庭用に限定されない。
シートSTの材質は、特に限定されないが、例えば、紙、不織布または布等のシートを用いることができ、好ましくは紙シートである。なお、シートSTが紙シートの場合、パルプを主原料とする原紙が用いられる。パルプ組成は、紙シートにおける公知の組成を用いることができる。例えば、パルプの配合割合を50質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%とすることができる。
また、シートST(紙シート)におけるパルプ組成は、例えば、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)やNUKP(針葉樹未晒しパルプ)などの針葉樹パルプと、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)やLUKP(広葉樹未晒しパルプ)などの広葉樹パルプとを任意の比率で使用することができる。特に、広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成であることが好ましい。針葉樹パルプと広葉樹パルプの比は、50:50~80:20であるのが好ましい。なお、シートST(紙シート)のパルプ組成に含まれるパルプには、古紙パルプを用いても良い。
シートSTの坪量は、特に限定されないが、プライ数に応じて、紙の場合は15~80g/m2、不織布の場合は20~100g/m2のものが望ましい。なお、坪量は、JIS P 8124の規定に準拠して測定される。
また、シートST(紙シート)の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、JIS P 8111(1998)の環境下で測定された紙厚を採用することができる。例えば、シートSTを構成する紙シートの紙厚は、1プライあたり、好ましくは50~500μmであり、より好ましくは60~330μm程度である。
なお、紙厚の測定方法は、試験片をJIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて1プライの状態で測定する。具体的には、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリ等がないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、該ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせる。次いで、プランジャーを上げて試料を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと下ろしたときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーは載せるだけとする。プランジャーの端子は金属製で直径10mmの円形の平面が紙平面に対し垂直に当たるようにし、この紙厚測定時の荷重は、約70gfである。なお、紙厚は、測定を10回行って得られる平均値とする。
また、シートSTを構成する紙シートには、エンボス加工が施されていても良い。このようなエンボス加工は、公知のピンエンボス付与方法により、図示しないピンを紙シートに刺して、紙シートの一方の面上にピンエンボスを形成するもの、公知のヒートエンボス付与方法により、図示しない水溶性の接着剤(デンプン等)を加熱融解して、積層された紙シートを接着することでヒートエンボスを形成するもの等がある。
シートSTのプライ数は、特に限定されないが、1プライ以上にすることができ、好ましくは1プライ(シングルタイプ)または2プライ(ダブルタイプまたは2枚重ね)である。なお、2プライ(2枚重ね)以上のシートSTにエンボス加工を行う場合は、紙シートを2プライ(2枚重ね)にした状態で上述のピンエンボスまたはヒートエンボスを付与することができる。
図3は、本実施形態に係るシートディスペンサーの押圧部材を側面側から見た図である。図4は、図3の押圧部材を正面側から見た図である。図5は、図3の押圧部材を背面側から見た図である。本実施形態では、本体部10の正面13側にシート積層体SLを押さえる押圧部材50が、本体部10内に垂れ下がっている。
押圧部材50は、本体部10の背面14側からシート積層体SLに押し当てられて正面13側に該シート積層体SLを押し出す部材である。押圧部材50の材質は、特に限定されず、例えば、ステンレス等の金属、ABS、ポリスチレン、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂、段ボール等の紙を用いることができる。押圧部材50の重さは、特に限定されないが、例えば、100~300gにすることができ、好ましくは130~270g、より好ましくは150~250gである。
具体的には、押圧部材50が本体部10内の上下方向(Z方向)に重力によってぶら下がっている(図1、図2参照)。そして、図2に示すように、押圧部材50は、自由に垂れ下がった状態で正面13に近接する。すなわち、押圧部材50は、正面13の近傍に位置する。なお、押圧部材50が正面13に近接する態様は、押圧部材50が正面13の近傍に位置する場合に限定されず、押圧部材50が正面13に当接している場合も含まれる。
また、本実施形態では、図2に示すように、本体部10内の天面11寄りに、押圧部材50を回転可能に支持する支点30を有する。具体的には、押圧部材50の天面11側の端部E1が、本体部10内の天面11寄りに形成された支点30に係止され、押圧部材50が支点30を軸心として背面14と正面13との間で回転運動(または回動)することができる(図2参照)。
本実施形態では、支点30は、一対の側面15、16に設けられている。すなわち、押圧部材50は、支点30を介して、本体部10の一対の側面15、16に支持されている。具体的には、押圧部材50は、天面11側に端部E1を有し、底面12側に端部E2を有し、押圧部材50の天面11側の端部E1がヒンジ54で構成されている。このヒンジ54が一対の側面15、16に設けられた支点30に回転可能に係止されることで、押圧部材50が一対の側面15、16に支持されている(図1~図5参照)。
また、本実施形態では、図2に示すように、支点30は、一対の側面15、16の正面13寄りに設けられている。具体的には、押圧部材50を回転可能に支持する支点30が、本体部10内の前後方向(Y方向)において正面13との距離D1が背面14との距離D2より短い位置に配置されている(図2参照)。
本実施形態において、押圧部材50の形態は、特に限定されないが、シートの補充性を損なわずに優れたシートの取出性を得る観点から、図1~図5に示す構造にするのが好ましい。具体的には、押圧部材50は、本体部10の正面13側にシート積層体SLを押さえるベース51と、一対の側面15、16側に形成され、ベース51と支点30とを接続する一対のアーム52と、ベース51とアーム52との間に形成され、前後方向(Y方向)の背面14側に向かって凸状に曲がるエルボー53とを有する。
ここで、ベース51は、押圧部材50がシート積層体SLを押圧する際に、シート積層体SLに押し当てられる基部である。また、一対のアーム52は、ベース51の長手方向の一方の端部51aにおいてベース51の幅方向(X方向)の両端BE1、BE2に接続され、該幅方向(X方向)に対向して本体部10の一対の側面15、16に沿って支点30まで延びる2つの接続部である。さらに、エルボー53は、ベース51の幅方向(X方向)の両端BE1、BE2と一対のアーム52の一方の端部52aが接続する部分に構成されて凸状に曲がる屈曲部(または湾曲部)である。
なお、本実施形態では、押圧部材50を構成するベース51の形状が、板状(矩形状の平面(断面形状が直線状))になっているが、この形状に限定されず、例えば、矩形状の湾曲面(断面形状が曲線状)を有するものであってもよい。また、押圧部材50を構成する一対のアーム52の形状は、X方向に見て一対の板状になっているが、この形状に限定されず、例えば、図3~図5に示すように、一対の棒状にしてもよい。
本実施形態では、ベース51とアーム52との間に凸状に曲がるエルボー53を有することで、上下方向(Z方向)における押圧部材50の断面形状が凸状に曲がっている。ここで、エルボー53の角度は、特に限定されないが、好ましくは90度以上170度以下、より好ましくは90度以上140度以下、さらに好ましくは90度以上110度以下である。
なお、押圧部材50では、エルボー53が凸状に曲がる内側の面(表面50a)が正面13に対向し、エルボー53が凸状に曲がる外側の面(裏面50b)が背面14に対向するように、本体部10内に垂れ下がっている。
また、押圧部材50の形態は、特に限定されないが、長手方向におけるベース51の長さL1をアーム52の長さL2より長くするのが好ましい(図3参照)。なお、長手方向におけるベース51の長さL1は、押圧部材50の底面12側の端部E2からエルボー53までの最短距離である。また、長手方向におけるアーム52の長さL2は、支点30からエルボー53までの最短距離である。
本実施形態に係るシートディスペンサー100では、押圧部材50が、ベース51とアーム52との間に形成された一対の側壁55を有する。ここで、一対の側壁55は、押圧部材50の幅方向(本体部10内の左右方向(X方向))に対向して形成され、本体部10の一対の側面15、16に沿って延びる壁を示す。本実施形態では、エルボー53が凸状に曲がる内側の面に、略三角形状の一対の側壁55が形成されている(図2、図3参照)。
また、本実施形態において、押圧部材50に重り60を設けてもよい(図1~図5参照)。ここで、重り60は、押圧部材50の押圧力を増やすために設けられている。なお、重り60は、押圧部材50に対して着脱可能に取付けることができる。
重り60が設けられる位置は、特に限定されないが、押圧部材50にシート積層体SLを正面13側の押圧する押圧力を与える観点から、収容されたシート積層体SLと接触ない位置が好ましい。また、収容されたシート積層体SLと接触せずかつシートディスペンサー100の本体部10に接触しない位置がより好ましい。
なお、収容されたシート積層体SLと接触ない位置としては、例えば、押圧部材50のベース51における背面14側のエルボー53の近傍である。さらに収容されたシート積層体SLと接触せずかつ本体部10に接触しない位置としては、例えば、押圧部材50の一対のアーム52における背面14側のエルボー53の近傍である(図1~図5参照)。
本実施形態では、押圧部材50がシート積層体SLを正面13側に押圧する押圧力は、特に限定されないが、シート積層体SLの重量の20%以上であることが好ましく、より好ましくは30%以上70%以下、さらに好ましくは40%以上60%以下である。なお、重量と力は、いずれも同じ単位(Nまたはkgf)で表される。
図6は、本実施形態に係るシートディスペンサーのストッパーを側面側から見た図である。図4は、図6のストッパーを正面側から見た図である。図7は、図6のストッパーを背面側から見た図である。本実施形態に係るシートディスペンサー100では、本体部10内の底面12の背面14寄りに、押圧部材50を固定するストッパー70が設けられている。
ここで、ストッパー70は、本体部10にシート積層体SLを補充する際に、押圧部材50を係止して、押圧部材50の動きを一時的に止める部材である。また、底面12の背面14寄りとは、底面12の前後方向(Y方向)における背面14との間隔S1が正面13との間隔S2より短い位置にストッパー70が配置されていることを示す。
本実施形態では、本体部10が開放されると、ストッパー70が押圧部材50を固定するように構成されている。また、ストッパー70は、シート積層体SLが本体部10に補充されると、押圧部材50の固定が解除される。ここで、本体部10が開放されるとは、本体部10内にシート積層体SLが補充できる程度に、本体部10の一部が開口することを示す。また、シート積層体SLが本体部10に補充されるとは、本体部10内にシート積層体SLがない状態またはシート積層体SLの残量が少ない場合に、本体部10内にシート積層体SLを補給(または収容)することを示す。
また、本体部10が開放されると押圧部材50が固定されるとは、本体部10を閉じた状態では押圧部材50の固定が解除され、本体部10が開放されたときに押圧部材50が固定されることを示す。また、シート積層体SLが本体部10に補充されると押圧部材50の固定が解除されるとは、シート積層体SLが本体部10に補充された状態で、押圧部材50の固定が解除されることを示す。
本実施形態に係るシートディスペンサー100において、ストッパー70の形態は、特に限定されない。ストッパー70の形態としては、例えば、本体部10の一部(天面11、正面13等)が、押圧部材50を係止する構成、本体部10の一部(底面12等)に別部材を設け、該別部材が押圧部材50を係止する構成等にすることができる。
なお、本実施形態では、本体部10の底面12に設けられた別部材が押圧部材50を係止する構成が採用されている。具体的には、本実施形態に係るシートディスペンサー100のストッパー70が、上下方向(Z方向)に移動可能に底面12に支持される基部71と、基部71に連続して形成され、基部71が上下方向(Z方向)の上方に移動すると、押圧部材50の底面12側の端部E2を係止する係止部72とを有する(図1、図2、図6~図15)。
ここで、基部71は、長手方向に一方の端部71aが底面12に回動可能に支持され、他方の端部が係止部72と連続するように構成されている。具体的には、基部71の一方の端部71aが支持部(ヒンジ)73で構成され、支持部(ヒンジ)73を回転軸として基部71が回転することができる。
また、係止部72は、長手方向の一方の端部72aが基部71の他方の端部71bに連続し、他方の端部72bが押圧部材50の底面12側の端部E2に係止するように構成されている。さらに、係止部72は、基部71が上方に移動した状態で押圧部材50を係止し、基部71が下方に移動した状態で押圧部材50の係止が解除されるように、基部71に対して上方に屈曲する構成を有する(図1、図2、図6~図15)。
本実施形態に係るシートディスペンサー100では、本体部10が、底面12を貫通するに貫通孔12aを有し、ストッパー70の基部71は、貫通孔12aに挿通可能に形成された突起部74を有し、本体部10が開放されると、本体部10の一部(天面11、正面13等)が上下方向(Z方向)の上方に突起部74を押し上げるように構成されている(図1、図2、図6~図10)。
貫通孔12aは、本体部10の底面12に形成され、基部71の突起部74が挿通できる大きさに構成されている。また、突起部74は、本体部10の底面12と対向する基部71の裏面71cに形成され、基部71が下方に移動した状態で貫通孔12a内に位置し、基部71が上方に移動した状態で貫通孔12aの外に位置する。
ここで、本体部10の一部が突起部74を押し上げるとは、本体部10の一部が、底面12の貫通孔12aに挿通され、ストッパー70の突起部74を上方に押し上げることで、基部71が上方に移動することを示す(図1、図2、図6~図10)。
本体部10が開放されたときに押圧部材50が固定される態様は、任意である。例えば、本体部10を、可動部10A(天面11、正面13、側面15、16の一部を一体とする部分)と、固定部10B(底面12、背面14、側面15、16の他の一部を一体とする部分)とに分割する。そして、側面15、16に設けられた回動部10Cで、を固定部10Bに対して回転可能に支持する(図9参照)。
さらに、可動部10Aの下端(正面13の下端)13aには、前後方向(Y方向)に背面14に向かって突出する凸部13bを形成する。そして、固定部10Bに対して可動部10Aを正面13側に回動させると、本体部10の天面11が開放する。可動部10Aをさらに回動させると、可動部10Aの凸部13bが底面12側から貫通孔12aに挿通する(図9~図11参照)。
可動部10Aの凸部13bは、貫通孔12aに挿通すると、底面12側からストッパー70の突起部74に当接し、基部71が上方に移動し、係止部72が押圧部材50を係止する位置に配置される。この状態で、押圧部材50を、正面13側から背面14側に押し込むことで、押圧部材50がストッパー70に係止される(図10、図11参照)。
また、押圧部材50の固定が解除される態様は、任意である。例えば、上述のように、押圧部材50がストッパー70に係止された状態でシート積層体SLが本体部10に補充されると、シート積層体SLの一部がストッパー70の基部71上に載置される。そうすると、載置されたシート積層体SLの一部の重みにより、基部71が下方に移動し、係止部72が押圧部材50を係止する位置から外れた位置に配置される(図11、図12参照)。
これにより、押圧部材50の固定が解除され、押圧部材50がシート積層体SLに押し当てられる。また、基部71が下方に移動すると、突起部74に当接する本体部10(可動部10A)の凸部13bが貫通孔12aの外に押し出される(図12参照)。そして、固定部10Bに対して可動部10Aを天面11側に回動させる(元に戻す)と、本体部10の天面11が元の状態に閉じられる。これにより、シート積層体SLが収容または補充されたシートディスペンサー100からシートSTを取り出せる状態となる(図13参照)。
なお、ストッパー70の基部71が上方および下方に移動する態様は、上記の構成に限定されない。例えば、ストッパー70の基部71の一方の端部71a(ヒンジ73)にコイルばねを装着して、係止部72が押圧部材50を係止する位置に配置されるように基部71が付勢された状態で、ストッパー70を設けてもよい。この場合は、シート積層体SLの一部が基部71上に載置されている(基部71にシート積層体SLの一部の重みがかかっている)ときだけ、基部71が下方に移動し、係止部72が押圧部材50を係止する位置から外れた位置に配置されればよい。
以下、本実施形態から得られる効果について説明する。図9~図15は、本実施形態に係るシートディスペンサーの使用状態を示す図である。ここで、本体部10に収容されたシート積層体SLにおいてシートSTの枚数(量)が多い場合、正面13側に押圧するためには大きな押圧力(押圧する力)が必要である。一方、本体部10に収容されたシート積層体SLの枚数(量)が少ない場合、正面13側に押圧するためには正面13側にシート積層体SLを押圧する力は小さくてすむ。
これに対して、本実施形態では、上述のように、シート積層体SLを正面13側に押圧する押圧部材50が、本体部10内に垂れ下がった状態で、取出部20が設けられた正面13に近接している(図2参照)。このような構成では、押圧部材50が背面14側から正面13側に向かってシート積層体SLを押圧する力(以下、押圧力という)が、シートディスペンサー100の背面14側でより大きくなる。また、シート積層体SLからシートSTが引き出されてシートSTの残量が少なくなるにつれ、押圧部材50による押圧力は小さくなっていく。
具体的には、押圧部材50の背面14側から正面13側に向うモーメント(以下、単にモーメントという)は、正面13側でより小さく、背面14側でより大きくなる。すなわち、押圧部材50が背面14側から正面13側に向かってシート積層体SLを押圧する力(以下、押圧力という)は、シートディスペンサー100の背面14側で最大となり、正面13側で小さくなる。
例えば、図13に示すように、本体部10内にシート積層体SLが収容されてシートSTが引き出される前の状態では、押圧部材50が正面13から離れた背面14側に位置する。このとき、押圧部材50のモーメントは大きくなり、シート積層体SLに対する押圧部材50の押圧力が最大となる。
また、図14に示すように、シート積層体SLからシートSTが引き出されてシート積層体の残量が約半分になった状態では、押圧部材50が背面14と正面13の略中間に位置する。このとき、押圧部材50のモーメントは、背面14側に位置する場合に比べて小さくなり、シート積層体SLに対する押圧部材50の押圧力も小さくなる。
さらに、図15に示すように、シートSTが引き出されてシート積層体SLの残量がわずかになった状態では、押圧部材50が正面13の近傍に達する。このとき、押圧部材50のモーメントはさらに小さくなり、シート積層体SLに対する押圧部材50の押圧力が小さくなる。すなわち、シートSTの残量が少なくなるにつれ、押圧部材50が正面13に近づいていくため、押圧部材50による押圧力は徐々に小さくなっていく。
これにより、本実施形態では、シートディスペンサー100に収容されたシート積層体SLが、積層方向SDに常に(または絶えず)押し付けられるため、シートディスペンサー100の本体部10内にシートSTが落ち込むことを防ぐことができる。また、シート積層体SLはシートSTの残量が少なくなるにつれて、押圧部材50による押圧力が小さくなるため、シート積層体SLが積層方向SDに過度に押し付けられない。
これにより、本実施形態では、シートディスペンサー100内にシートSTが詰まったり、シートSTがまとめて引き出されることを防ぐことができる(図13~図15参照)。そのため、本実施形態によれば、シートSTの取出性に優れるシートディスペンサー100を提供することができる。
また、本実施形態では、押圧部材50が回転可能に支持されるため、押圧部材50が正面13と背面14との間で前後方向(Y方向)に移動し易い。そのため、押圧部材50がシート積層体SLを押さえる方向(Y方向)にスムーズに移動することができる。また、押圧部材50が正面13と背面14との間で移動し易いことで、シートディスペンサー100の本体部10内にシート積層体SLを収納(または収容)する作業(押圧部材50を正面13側から背面14側に押し出す作業)が容易になる。
また、本実施形態では、押圧部材50を回転可能に支持する支点30が本体部10内の天面11寄りに設けられているため、本体部10内で回転する押圧部材50の可動域を大きくすることができる(図1~図5、図13~図15参照)。そのため、押圧部材50の自重をシート積層体SLの押圧力に有効利用することができる。また、このような構成では、押圧部材50の回転軸が本体部10内の天面11寄りに設けられるため、本体部10内に押圧部材50に配置する場合でも、シート積層体SLが収容される空間を確保することができる(図1~図5、図9~図13参照)。
さらに、本実施形態では、押圧部材50を支持する支点30が本体部10内の一対の側面15、16に設けられているため、押圧部材50の支点30を本体部10内の天面11寄りに設ける場合でも、本体部10の天面11側に押圧部材50を回転させる軸を設ける必要がない(図1~図5参照)。そのため、本体部10にシート積層体SLを補充(または収容)する際に、本体部10の天面11から補充することができる(図10~図13参照)。これにより、押圧部材50を本体部10内に配置する場合でも、シートSTの補充性が損なわれない。
また、本実施形態では、上述のように押圧部材50の支点30が前後方向(Y方向)の正面13寄りに設けられているため、垂れ下がった状態で押圧部材50を正面13に近接させることができる(図1、図2、図9、図15参照)。これにより、シートの残量がわずかになっても、押圧部材が正面の近傍に達してシート積層体を押圧することができる。
また、本実施形態では、上述のように、シート積層体SLを押さえるベース51が一対のアーム52を介して支点30に接続され、ベース51と一対のアーム52との間に凸状に曲がるエルボー53が設けられている(図1~図5参照)。このような構成では、押圧部材50の底面12側の端部E2が正面13に近づくように、シート積層体SLを押さえるベース51が傾斜しながら、押圧部材50が背面14側から正面13側に移動することができる(図13~図15参照)。
これにより、押圧部材50によってシート積層体SLの正面13側の端面EF全体が、取出部20が形成された正面13に押し付けられずに、シート積層体SLが押圧部材50とともに背面14側から正面13側に移動することができる。そのため、本実施形態によれば、本体部10内にシートSTが詰まるのを防ぐことができる(図13~図15参照)。
また、本実施形態では、ベース51と支点30を接続する接続部が、一対のアーム52で構成されているため、押圧部材50の基部と支点30を接続する接続部を、本体部10の天面11側に押圧部材50を回転させる軸を持たない構成にすることができる(図1~図5参照)。これにより、本体部10にシート積層体SLを補充する際に、本体部10の天面11からの補充が容易になる。そのため、本実施形態は、押圧部材50を本体部10内に配置する場合でも、シートSTの補充性がより損なわれないものとなる(図9~図13参照)。
また、本実施形態では、上述のように長手方向におけるベース51の長さL1をアーム52の長さL2より長くすることで、シート積層体SLを押さえるベース(基部)51の面積が大きくなる。また、エルボー53を本体部10内の上方側(天面11側)に配置させることができる(図1~図5参照)。これにより、支点30の位置を正面側に配置することができ、取出部20が形成された正面13から背面14に向かって奥行を深くすることができる(図11、図13参照)。
そのため、本実施形態によれば、シートディスペンサー100内にシート積層体SLが収容される空間を大きくすることができ、シート積層体SLを多く収納することができる(図11、図13参照)。また、シートSTの寸法が大きなシート積層体SLが収容された場合でも、シートSTの取出性に優れるシートディスペンサー100が得られる(図13~図15参照)。
また、本実施形態では、上述のように、一対の側壁55をベース51とアーム52との間に形成することにより、押圧部材50のベース51と一対のアーム52との連結部(エルボー53)を補強することができる。また、このような一対の側壁55を設けることにより、シートSTの補充性を損なわずに、押圧部材50の重量(自重)を調整することができる。そのため、本実施形態によれば、シート積層体SLに対する押圧部材50の押圧力を調整することができる(図1~図5参照)。
また、本実施形態では、上述のように押圧部材50に重り60を設けることで、押圧部材50の重量を調整することができる(図1~図5参照)。これにより、本実施形態では、シート積層体SLに対する押圧部材50の押圧力を調整することができる(図13~図15参照)。
また、本実施形態では、上述のように押圧部材50が、シート積層体SLの重量の20%以上の力で背面14側から正面13側に向ってシート積層体SLを押さえている。これにより、本実施形態では、シートSTがシートディスペンサー100内に落ち込んだり、シートディスペンサー100内に詰まったり、まとめて引き出されることを、防ぐことができる(図13~図15参照)。
また、本実施形態では、上述のように正面13の底面12寄りに取出部20が設けられているため、シートSTの寸法が小さい場合でも、引き出されるシートSTが取出部20まで届き、シートディスペンサー100内に落ち込むことを防ぐことができる(図1、図2、図13~図15参照)。そのため、本実施形態によれば、シートSTの寸法が小さなシート積層体SLが収容された場合でも、シートSTの取出性に優れるシートディスペンサー100が得られる。
本実施形態では、上述のように、ストッパー70を本体部10内の底面12の背面14寄りに設けることにより、シート積層体SLの補充時に、押圧部材50を本体部10の背面14寄りに固定(または係止)することができる(図1、図2、図9~図11参照)。これにより、シート積層体SLの補充時に、本体部10内で押圧部材50が邪魔にならず、本体部10内にシート積層体SLが収容される空間を開けることができる(図11参照)。そのため、本実施形態によれば、押圧部材50を本体部10内に配置する場合でも、シートSTの補充性が損なわれない(補充性を維持または向上させることができる)。
本実施形態では、上述のように、本体部10が開放されたときに押圧部材50が固定されることで、シート積層体SLの補充時には、押圧部材50が本体部10内の背面14側に固定され、本体部10内にシート積層体SLが補充できる空間を開けることができる(図9~図11参照)。一方、シート積層体SLが補充された後は、押圧部材50の固定が解除され、シート積層体SLを押圧することができる(図12~図15参照)。これにより、シートSTの補充性を維持しながら、シートSTの取出性を向上させることができる。
また、本実施形態では、上述のように、シート積層体SLが本体部10に補充されたときに、押圧部材50の固定が解除されることで、シート積層体SLが補充された後は、押圧部材50によってシート積層体SLが押圧される(図12~図15参照)。そのため、本実施形態によれば、このようなストッパー70が本体部10内に配置されている場合でも、シートSTの取出性を向上させることができる(図1、図2、図6~図15参照)。
また、本実施形態では、上述のように、ストッパー70がこのような基部71と係止部72を有することで、本体部10が開放されたときに押圧部材50を固定したり、シート積層体SLが本体部10に補充されたときに押圧部材50の固定を解除することが容易になる。そのため、本実施形態によれば、シートSTの補充性を維持しながら、シートSTの取出性を向上させることが容易である(図1、図2、図6~図15参照)。
また、本実施形態では、上述のように、本体部10に貫通孔12aを形成し、ストッパー70の基部71に該貫通孔12aを挿通することができる突起部74を形成し、本体部10が開放されたときに本体部10の一部が突起部74を上方に押し上げることで、本体部10が開放されたときに押圧部材50を固定したり、シート積層体SLが本体部10に補充されたときに押圧部材50の固定を解除することがさらに容易になる。そのため、本実施形態によれば、シートSTの補充性を維持しながら、シートSTの取出性を向上させることがさらに容易である(図1、図2、図6~図15参照)。
さらに、本実施形態では、上述のように、押圧部材50を本体部10の一対の側面15、16に支持することで、本体部10の天面11側に押圧部材50を回転させる軸を設ける必要がない(図1~図5参照)。そのため、本体部10にシート積層体SLを補充する際に、本体部10の天面11から補充することができる(図9~図13参照)。これにより、押圧部材50を本体部10内に配置する場合でも、シートSTの補充性を維持または向上させることができる。
また、本実施形態では、押圧部材50をシートディスペンサー用アタッチメントとして提供してもよい(図1~図5参照)。シートディスペンサー用アタッチメントは、上述のシートディスペンサー100に着脱可能に取り付けられる。そして、シートディスペンサー用アタッチメントは、上述のシートディスペンサー100に設けられた押圧部材50で構成することができる。
ここで、着脱可能に取り付けられるとは、押圧部材50をシートディスペンサー100に取り付けることができ、また、取り付けられた押圧部材50をシートディスペンサー100から取り外すことができることを示す。シートディスペンサー用アタッチメントの形態は、特に限定されないが、例えば、図3~図5に示す押圧部材50(ベース51、アーム52、エルボー53、ヒンジ54を有する押圧部材50)で構成することができる。
押圧部材50を着脱可能に取り付ける態様は、特に限定されない。例えば、押圧部材50のアーム52を、強い力が加わると撓む金属や樹脂で構成することで、押圧部材50のアーム52を対向する内側に撓ませた状態で、ヒンジ54を本体部10の一対の側面15、16に係止したり、該係止を外すことができる。また、押圧部材50の端部E1にヒンジ54を設ける代わりに回動穴を設け、本体部10の一対の側面15、16にヒンジ(図示せず)を設けることで、押圧部材50のアーム52を対向する内側に撓ませた状態で押圧部材50を係止したり、該係止を外しても良い。
このような押圧部材50を構成するシートディスペンサー用アタッチメントは、従来の押圧部材50が設けられていないシートディスペンサーに取り付けることができる。また、このような従来のシートディスペンサーに上述のシートディスペンサー用アタッチメントを着脱可能に取り付けることで、押圧部材50によってシート積層体SLが正面13に押し付けられずに、押圧部材50とともに背面14側から正面13側に移動することができる(図13~図15参照)。
本実施形態に係るシートディスペンサー用アタッチメントを用いることにより、シートSTがディスペンサー内に落ち込んだり、ディスペンサー内に詰まったり、まとめて引き出されることを、確実に防ぐことができる(図13~図15参照)。そのため、シートディスペンサーにおけるシートSTの取出性を向上させることができる。また、このようなシートSTの取出性に優れるシートディスペンサーを、シートSTの形態や種類に拘わらず提供することができる。
また、本実施形態に係るシートディスペンサー用アタッチメントを用いることにより、上述した本実施形態のシートディスペンサー100のような専用品を用いなくても、シートSTの取出性に優れるシートディスペンサーを提供することができる(図3~図5参照)。そのため、本実施形態に係るシートディスペンサー用アタッチメントは、シートディスペンサーの汎用性を高めることができる。
以下、本発明について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。実施例、比較例の評価は、以下の試験により行った。
[シートディスペンサー(試験体)]
試験体として、シートディスペンサー100を用意した。シートディスペンサー100の寸法は、左右方向(X方向)の長さを約233mm、前後方向(Y方向)の長さを約87mm、上下方向(Z方向)の高さを約147mmとした。また、取出部20の寸法は、左右方向(X方向)の長さを約220mm、上下方向(Z方向)の幅を約18mmとした。さらに、取出部20と底面12との間隔P1を約55mmとし、取出部20と天面11との間隔P2を約92mmとした。
[シート積層体]
シートディスペンサー100に1個のシート積層体SLを収容した。シート積層体SLは、200枚のシートST(シングルタイプ)が交互に折り畳まれてポップアップ式に1枚ずつ(または1組ずつ)引き出せるように積層されたシート積層体SLを用いた。また、シート積層体SLは、シート積層体SL(複数枚のシートST)の積層方向SDがシートディスペンサー100の前後方向(Y方向)になるようにシートディスペンサー100の本体部10に収容した。またシート積層体SLを構成するシートSTには、シングルタイプ(硬め)のペーパータオルを用いた。また、ペーパータオルには、寸法が異なる2種類のペーパータオルとして、中判のペーパータオル(商品名「エコドライ(中判)」、大王製紙株式会社製、1プライ、寸法:縦約230mm、横約210mm、坪量33g/m2、紙厚180μm)と、小判のペーパータオル(商品名「エコドライ(小判)」、寸法:縦約170mm、横約210mm、坪量33g/m2、紙厚180μm)を用いた。なお、坪量はJIS P8124に準拠し、紙厚はJIS P81218に準拠している。
[落ち込み性]
シートディスペンサー100の正面13の取出部20からシートSTを1枚ずつ引き出したとき、シートSTが落ち込むか(落ち込み性)を確認した。落ち込み性の確認は、シート積層体SLからシートSTを1枚ずつ、乾いた手で引き出した。評価基準は、以下の○△×とした。また、落ち込み性の確認は、実施例、比較例につき各3回実施し、○を2点、△を1点、×を0点として、3回の合計点から評価した。
○:落ち込みは確認されなかった
△:落ち込みを1~2回確認した
×:落ち込みを3回以上確認した
5~6点:良好
3~4点:やや不良
0~2点:不良
[引出し性]
シートディスペンサー100内に収容されたペーパータオル(シートST)を最後まで1枚ずつ(または1組ずつ)引き出せるか(引出し性)を確認した。引出し性の確認は、シート積層体SLからシートSTを1枚ずつ、乾いた手で引き出した。評価基準は、以下の○△×とした。また、引出し性の確認は、実施例、比較例につき各3回実施し、○を2点、△を1点、×を0点として、3回の合計点から評価した。
〇:最後にまとまって出てこない、または、1~3枚まとまって出てきた
△:最後に4~5枚まとまって出てきた
×:最後に6枚以上まとまって出てきた、または、途中で3枚以上まとまって出てきた。
5~6点:良好
3~4点:やや不良
0~2点:不良
[補充性]
シートディスペンサー100の本体部10内に天面11からシート積層体SLを補充したときの補充のし易さ(補充性)を確認した。評価基準は、以下の○△×とした。
〇:天面から補充できた(良好)
△:天面から補充しにくい(やや不良)
×:天面から補充できない(不良)
以下、実施例及び比較例について、説明する。
[実施例1]
試験体として、本体部10内にシートディスペンサー用アタッチメント(押圧部材50)を配置したシートディスペンサー100を用いた(図1~図5参照)。押圧部材50は、本体部10内に垂れ下がり、正面13側にシート積層体SLを押圧するように構成した。押圧部材50は、ベース51、アーム52、エルボー53、ヒンジ54を有する構成(重さ約200g)にした。シートディスペンサー用アタッチメント(押圧部材50)は、ヒンジ54を一対の側面15、16に設けられた支点30に回転可能に係止した。シート積層体SLには、中判のペーパータオルを用いた。この試験体について、落ち込み性、引出し性、および補充性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
シート積層体SLとして、小判のペーパータオルを用いた以外は、実施例1と同様にシートディスペンサー100を用意し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
取出部20の左右方向(X方向)の長さをペーパータオルの横寸法(シート幅)より長くし、本体部10内にシートディスペンサー用アタッチメント(押圧部材50)を配置しなかった以外は、実施例1と同様にシートディスペンサー100を用意し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
取出部20の左右方向(X方向)の長さをペーパータオルの横寸法(シート幅)より長くし、本体部10内にシートディスペンサー用アタッチメント(押圧部材50)を配置しなかった以外は、実施例2と同様にシートディスペンサー100を用意し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
取出部20の左右方向(X方向)の長さをペーパータオルの横寸法(シート幅)より短くし、本体部10内にシートディスペンサー用アタッチメント(押圧部材50)を配置しなかった以外は、実施例1と同様にシートディスペンサー100を用意し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例4]
取出部20の左右方向(X方向)の長さをペーパータオルの横寸法(シート幅)より短くし、本体部10内にシートディスペンサー用アタッチメント(押圧部材50)を配置しなかった以外は、実施例2と同様にシートディスペンサー100を用意し、評価した。結果を表1に示す。
表1より、本体部10内にシートディスペンサー用アタッチメント(押圧部材50)が一対の側面15、16に支持されたシートディスペンサー100は、落ち込み性、引出し性、補充性がともに良好であった(実施例1~4)。
一方、本体部10内にシートディスペンサー用アタッチメント(押圧部材50)を配置しなかったシートディスペンサー100は、落ち込み性および引出し性の少なくともいずれかが不良またはやや不良であった(比較例1~4)。
これらの結果から、正面側にシート積層体を押圧する押圧部材が本体部内に垂れ下がり、本体部内の天面寄りに押圧部材を回転可能に支持する支点を、本体部内の一対の側面に設けることで、シートの補充性を損なわずに、シートの取出性に優れるシートディスペンサーが得られることが判った。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。