JP7263879B2 - 感光性樹脂組成物、配線層及び半導体装置 - Google Patents

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Description

本開示は、感光性樹脂組成物、配線層及び半導体装置に関する。
次世代移動通信システム又はサーバーに要求される高速伝送の観点から、使用される電気信号は高周波化し、配線は高密度化する傾向にある。複数のチップを高密度で実装するための形態として、高密度配線を有する有機基板を用いたパッケージ技術(有機インターポーザ)、スルーモールドビア(TMV:Through Mold Via)を有するファンアウト型のパッケージ技術(FO-WLP:Fan Out-Wafer Level Package)、シリコン又はガラスインターポーザを用いたパッケージ技術、シリコン貫通電極(TSV:Through Silicon Via)を用いたパッケージ技術、基板に埋め込まれたチップをチップ間伝送に用いるパッケージ技術等が提案されている。
特に有機インターポーザ及びFO-WLPにおいて半導体チップ同士を搭載する場合、当該半導体チップ同士を高密度で導通させるための微細な配線層が必要となる(例えば、特許文献1参照)。
高周波領域での使用の際に伝送損失を抑制するために適用される有機材料としては、誘電正接が低い材料が望まれている。従来、低い誘電正接を有する材料として熱硬化性の材料が開発されている(例えば、特許文献2~4参照)。
さらに、高密度な配線を形成するために微細なビア加工が可能な材料が望まれており、小径ビアが形成できる有機材料として感光性の材料が開発されている(例えば、特許文献5参照)。
米国特許出願公開第2011/0221071号明細書 特開2007-87982号公報 特開2009-280758号公報 特開2005-39247号公報 特開2016-188985号公報
開口を有する絶縁部と、開口の内部に配置された配線と、を備える配線層を備える半導体装置(有機インターポーザ、FO-WLP等)において、高周波電気信号を用いて複数のチップを高密度に接続するためには、絶縁部を形成するための材料として、高周波電気信号領域における電気特性と、微細加工性とに優れる材料が必要である。しかしながら、電気特性に優れる材料である従来の熱硬化性の材料を用いる場合、ビア加工に使用するレーザー径は例えば20μmが限界である。一方、微細なビア加工が可能な従来の感光性の材料は、電気特性に乏しい傾向がある。
本開示は、高周波電気信号領域における電気特性、微細加工性及び絶縁信頼性に優れた感光性樹脂組成物、これを用いた配線層及び半導体装置を提供することを目的とする。
本開示に係る感光性樹脂組成物は、開口を有する絶縁部と、開口の内部に配置された配線と、を備える配線層における絶縁部を形成するための感光性樹脂組成物であって、2つ以上の炭素-炭素二重結合を有する化合物と、2つ以上のアミノ基を有する化合物と、光重合開始剤とを含有する。
本開示に係る感光性樹脂組成物はまた、2つ以上の炭素-炭素二重結合を有する化合物と2つ以上のアミノ基を有する化合物との反応物であるプレポリマーと、光重合開始剤とを含有する。
本開示に係る配線層は、開口を有する絶縁部と、開口の内部に配置された配線とを備え、絶縁部が上述の感光性樹脂組成物又はその硬化物を含む。本開示に係る半導体装置は、上述の配線層を備える。
本発明によれば、高周波電気信号領域における電気特性、微細加工性及び絶縁信頼性に優れた感光性樹脂組成物、これを用いた配線層及び半導体装置を提供することができる。
本半導体パッケージの一実施形態を示す模式断面図である。 図1の半導体パッケージが有する配線層積層体を示す模式断面図である。
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「層」及び「膜」は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本実施形態に係る配線層は、開口を有する絶縁部、及び、開口の内部に配置された配線を備える第1の層と、当該第1の層の上部及び/又は下部に配置された絶縁部を備える第2の層とを有する態様であってよい。第2の層の絶縁部は、本実施形態に係る感光性樹脂組成物又はその硬化物を含んでいてよい。第2の層の絶縁部が第1の層の下部に配置されている場合、第1の層及び第2の層の積層体には、有底の凹部(例えば溝部)が形成されていてよい。
本実施形態に係る半導体装置は、本実施形態に係る配線層を備える。半導体装置としては、有機インターポーザ、FO-WLP等が挙げられる。本実施形態に係る半導体パッケージは、本実施形態に係る半導体装置と、半導体装置上に搭載された半導体チップと、を備えている。
本実施形態に係る配線層の製造方法は、本実施形態に係る感光性樹脂組成物又はその硬化物を含む絶縁部の開口に配線を形成して配線層を得る配線層形成工程を備える。本実施形態に係る配線層の製造方法は、配線層形成工程の前に、開口を有する絶縁部を形成する絶縁部形成工程を備えていてよい。絶縁部形成工程では、例えば、本実施形態に係る感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層に露光・現像を施すことにより、感光性樹脂組成物の硬化物を含むと共に開口を有する絶縁部を得る。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、開口を有する絶縁部と、開口の内部に配置された配線とを備える配線層における絶縁部を形成するための感光性樹脂組成物である。本実施形態の第1の態様に係る感光性樹脂組成物は、2つ以上の炭素-炭素二重結合を有する化合物(以下、「(A)成分」という場合がある。)と、2つ以上のアミノ基を有する化合物(以下、「(B)成分」という場合がある。)と、光重合開始剤(以下、「(D)成分」という場合がある。)と、を含有する。
本実施形態の第2の態様に係る感光性樹脂組成物は、2つ以上の炭素-炭素二重結合を有する化合物と2つ以上のアミノ基を有する化合物との反応物であるプレポリマー(以下、「(C)成分」という場合がある。)と、光重合開始剤((D)成分)とを含有する。
((A)成分)
(A)成分は、2つ以上の炭素-炭素二重結合を有する化合物である。当該炭素-炭素二重結合は反応性を有しており、芳香環を構成する炭素-炭素二重結合とは異なる。(A)成分は、ビスマレイミド化合物、(メタ)アクリロイル化合物、アリル化合物及びポリブタジエン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでよい。
ビスマレイミド化合物は特に限定されない。ビスマレイミド化合物として、例えば、o-、m-又はp-ビスマレイミドベンゼン、4-ビス(p-マレイミドクミル)ベンゼン、1,4-ビス(m-マレイミドクミル)ベンゼン、4,4-ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4-ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4-ビスマレイミド-3,3’-ジメチル-ジフェニルメタン、4,4-ビスマレイミドジフェニルスルホン、4,4-ビスマレイミドジフェニルスルフィド、4,4-ビスマレイミドジフェニルケトン、2’-ビス(4-マレイミドフェニル)プロパン、4-ビスマレイミドジフェニルフルオロメタン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-ビス(4-マレイミドフェニル)プロパン、下記式(VIII)で表される化合物、及び下記式(IX)で表される化合物が挙げられる。マレイミド化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
Figure 0007263879000001

Figure 0007263879000002
式中、Z、Z及びZは、それぞれ独立に2価の炭化水素基を示し、Rは4価の有機基を示し、nは1~10の整数である。nが2以上である場合、複数のZは、互いに同一であっても異なってもよい。
で表される4価の有機基は、例えば、取り扱い性の観点から、炭化水素基であってよい。当該炭化水素基の炭素数は、例えば、1~100、2~50又は4~30であってよい。
当該炭化水素基は、置換されていてもよく、例えば、置換又は非置換のシロキサン基を含んでいてもよい。シロキサン基としては、例えば、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサン等に由来する基が挙げられる。
置換基は、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、アルコキシ基、メルカプト基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、ヘテロ環基、置換ヘテロ環基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミノ基、アミド基、-C(O)H、-C(O)-、-S-、-S(O)-、-OC(O)-O-、-C(O)-NR、-NRC(O)-N(R、-OC(O)-N(R、アシル基、オキシアシル基、カルボキシル基、カルバメート基、スルホニル基、スルホンアミド基、スルフリル基等であってもよい。ここで、Rは、水素原子又はアルキル基を表す。これらの置換基は、目的、用途等に合わせて、1種又は2種以上を選択できる。
で表される4価の有機基は、例えば、1分子中に2個以上の無水物環を有する酸無水物の4価の残基、すなわち、酸無水物から酸無水物基(-CO(=O)OC(=O)-)を2個除いた4価の基であってもよい。Rで表される有機基は、高周波特性に優れる観点から、好ましくは4価の芳香族基、より好ましくは、無水ピロメリット酸から2つの酸無水物基を取り除いた残基である。
マレイミド化合物は、例えば市販品を購入して使用可能である。式(VIII)で表されるマレイミド化合物の市販品としては、例えば、BMI-TMH、BMI-1000、BMI-1000H、BMI-1100、BMI-1100H、BMI-2000、BMI-2300、BMI-3000、BMI-3000H、BMI-4000、BMI-5100、BMI-7000及びBMI-7000H(大和化成工業株式会社製の商品名)、BMI、BMI-70及びBMI-80(ケイ・アイ化成株式会社製の商品名)が挙げられる。式(IX)で表されるマレイミド化合物の市販品としては、例えば、SFR2300(日立化成株式会社製の商品名)、BMI-1500、BMI-1700、BMI-3000、BMI-5000及びBMI-9000(Designer Molecules Inc.製の商品名)が挙げられる。
誘電特性(比誘電率及び誘電正接)に優れる点で、BMI-TMH、BMI-1000、BMI-3000、BMI-4000、BMI-5100、BMI、BMI-80、SFR2300又はBMI-3000が好ましい。耐熱性の点で、BMI-1000、BMI-4000、BMI-5100、BMI又はBMI-80が好ましい。伸び性に優れる点で、SFR2300又はBMI-3000が好ましい。これらのビスマレイミド化合物を併用することで誘電特性に優れ、耐熱性及び伸び性を兼ね備えた感光性樹脂組成物を提供することができる。
マレイミド基は熱によって生成してもよい。熱によりマレイミド構造を生じる構造としては、例えば、以下の構造が挙げられる。
Figure 0007263879000003
(メタ)アクリロイル化合物としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールA(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリロイル基を有するシルセスキオキサン誘導体が挙げられる。(メタ)アクリロイル化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」又は「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」又は「メタクリロイル」を意味する。
(メタ)アクリロイル化合物は、耐熱性に優れる観点から、好ましくは、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールA(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリロイル基を有するシルセスキオキサン誘導体であり、マレイミド化合物との相溶性に優れる観点から、より好ましくは、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートである。
アリル化合物としては、例えば、アリルイソシアヌネート化合物、アリルエステル化合物及びビスアリルナジイミド化合物が挙げられる。アリル化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
アリルイソシアヌネート化合物としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、及びモノアリルジメチルイソシアヌレートが挙げられる。
アリルエステル化合物としては、例えば、脂肪族カルボン酸アリルエステル、脂環族カルボン酸アリルエステル及び芳香族カルボン酸アリルエステルが挙げられる。
脂環族カルボン酸アリルエステルとしては、例えば、シクロブタンジカルボン酸ジアリル、シクロペンタンジカルボン酸ジアリル、シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル(ヘキサヒドロフタル酸ジアリル)、ノルボルナンジカルボン酸ジアリル、シクロブテンジカルボン酸ジアリル、シクロペンタンジカルボン酸ジアリル、シクロヘキセンジカルボン酸ジアリル(テトラヒドロフタル酸ジアリル)及びノルボルネンジカルボン酸ジアリルが挙げられる。中でも、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル又はノルボルナンジカルボン酸ジアリルが好ましい。
ビスアリルナジイミド化合物としては、下記式(10)で表されるビスアリルナジイミドが挙げられる。
Figure 0007263879000004
式(10)中、Rは芳香環を含む2価の有機基、又は、直鎖、分岐若しくは環状の脂肪族炭化水素を含む2価の有機基を示す。式(10)中のRとしては、フェニレン基(ベンゼン残基)、トリレン基(トルエン残基)、キシリレン基(キシレン残基)、ナフチレン基(ナフタレン残基)、直鎖、分岐若しくは環状アルキレン基、又は、これらの混合基が好ましく、下記式(11-1)~(11-25)で表される2価の有機基がより好ましい。式(11-1)中のeは1~10の整数を示す。
Figure 0007263879000005
Figure 0007263879000006
Figure 0007263879000007
Figure 0007263879000008
Figure 0007263879000009
Figure 0007263879000010
ポリブタジエン化合物とは、ポリブタジエン骨格を有するポリマーであり、ブタジエンポリマー又はブタジエンを主としたポリマーであれば、その変性物であってもよい。ポリブタジエン化合物として、例えば、ブタジエンホモポリマー、ブタジエンポリマーの水素添加物、ブタジエンポリマーのアクリル変性化物、ブタジエンポリマーの水酸化物及びブタジエンポリマーのカルボン酸化物が挙げられる。ポリブタジエン化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
ポリブタジエン化合物の数平均分子量(Mn)は特に限定されないが、Mnは、良好な屈曲性(柔軟性)の点から1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、Mnは、感光性樹脂組成物の流動性が低下するのを防止して良好な塗工性を得る点から8000以下が好ましく、4000以下がより好ましい。
ポリブタジエン化合物としては、例えば、α,ω-ポリブタジエンホモポリマー(NISSO-PB B-1000、NISSO-PB B-2000及びNISSO-PB B-3000(日本曹達株式会社製の商品名)が挙げられる。ポリブタジエンの変性物としては、例えば、上記α,ω-ポリブタジエンホモポリマーの水素添加物(NISSO-PB GI-1000、NISSO-PB GI-2000、NISSO-PB GI-3000、NISSO-PB CI-1000、NISSO-PB BI-1000、NISSO-PB BI-2000、NISSO-PB BI-3000(日本曹達株式会社製の商品名))、ブタジエンポリマーの水酸化物であるα,ω-ポリブタジエングリコール(NISSO-PB G-1000、NISSO-PB G-2000、NISSO-PB G-3000(日本曹達株式会社製の商品名))、ブタジエンポリマーのカルボン酸化物であるα,ω-ポリブタジエンカルボン酸(NISSO-PB C-1000(日本曹達株式会社製の商品名))、ブタジエンポリマーの末端アクリル変性化物(NISSO-PB TEA-1000、NISSO-PB TE-2000、NISSO-PB TEAI-1000(日本曹達株式会社製の商品名))等が挙げられる。
ポリブタジエン化合物は、無水マレイン酸変性されていてもよい。無水マレイン酸変性されたポリブタジエン化合物の市販品としては、例えば、エボニック社製の商品名「POLYVEST(登録商標)MA75」、「POLYVEST EP MA120」、クレイバレー社製の商品名「Ricon(登録商標)130MA8」、「Ricon131MA5」、「Ricon184MA6」等が挙げられる。
((B)成分)
(B)成分は、2つ以上のアミノ基を有する化合物である。(B)成分として、例えば、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン及びジアミン変性シリコーン化合物が挙げられる。(B)成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
芳香族ジアミンとしては、例えば、1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、o-フェニレンジアミン、3-メチル-1,4-ジアミノベンゼン、2,5-ジメチル-1,4-ジアミノベンゼン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチル-ジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-ジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルケトン、ベンジジン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、及び9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレンが挙げられる。芳香族ジアミンは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
反応性及び耐熱性の点から、1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチル-ジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-ジフェニルメタン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、又は2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパンが好ましい。廉価性及び溶解性の点から、1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-ジフェニルメタン、又は2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパンが好ましい。低熱膨張性及び誘電特性の点から、1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-ジフェニルメタン、又は2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパンが好ましい。高弾性の点から、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、3-メチル-1,4-ジアミノベンゼン、又は2,5-ジメチル-1,4-ジアミノベンゼンが好ましい。
1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼンは、別名「ビスアニリン-M」として購入可能である。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、2-メチル-1,3-プロパンジアミン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,2-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、及び4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)が挙げられる。脂肪族ジアミンは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
アルキレンオキシド構造を有する脂肪族ジアミンは、より柔軟性が増し高伸度化できる。脂肪族ジアミンは、-S-、-SO-、-SO-、-NH-、-NCH-、-N(CHCH)-、-N(CHCHCH)-、-N(CH(CH)-、-COO-、-CONH-、-OCONH-、-NHCONH-等の結合を有してもよい。
脂肪族ジアミンの市販品として、例えば、HUNTSMAN社製の商品名「KH-511」、「ED-600」、「ED-900」、「ED-2003」、「EDR-148、EDR-176」、「D-200」、「D-400」、「D-2000」、「THF-100」、「THF-140」、「THF-170」、「RE-600」、「RE-900」、「RE-2000」、「RP-405」、「RP-409」、「RP-2005」、「RP-2009」、「RT-1000」、「HE-1000」、「HT-1100」、「HT-1700」等が挙げられる。
ジアミン変性シリコーン化合物としては、市販品を用いることができる。ジアミン変性シリコーン化合物の市販品として、例えば、信越化学工業株式会社製の商品名「KF-8010」(アミノ基当量430)、「X-22-161A」(アミノ基当量800)、「X-22-161B」(アミノ基当量1500)、「KF-8012」(アミノ基当量2200)、「KF-8008」(アミノ基当量5700)、「X-22-9409」(アミノ基当量700)、「X-22-1660B-3」(アミノ基当量2200)、東レ・ダウコーニング株式会社製の商品名「BY-16-853U」(アミノ基当量460)、「BY-16-853」(アミノ基当量650)、「BY-16-853B」(アミノ基当量2200)等が挙げられる。ジアミン変性シリコーン化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、反応性及び低誘電性の点から「X-22-161A」、「X-22-161B」、「KF-8012」、「X-22-1660B-3」又は「BY-16-853B」が好ましく、相溶性の点から「X-22-161A」又は「X-22-161B」が好ましい。
感光性樹脂組成物における(B)成分の含有割合は、感光性樹脂組成物の保存安定性及び密着性の点から、(A)成分1.0molに対して0.1mol以上が好ましく、0.15mol以上がより好ましく、0.2mol以上が更に好ましい。(B)成分の含有割合は、感光性樹脂組成物の保存安定性、耐熱性及び絶縁信頼性の点から、(A)成分1molに対して0.9mol以下が好ましく、0.8mol以下がより好ましく、0.7mol以下が更に好ましい。
((C)成分)
(C)成分は、2つ以上の炭素-炭素二重結合を有する化合物と2つ以上のアミノ基を有する化合物とを反応させて得られるプレポリマーである。本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、(A)成分及び(B)成分に代えて(C)成分を含有することができる。
(C)成分は、(A)成分と(B)成分とを溶媒中で加熱しながら反応させることで、合成することができる。溶媒は、(A)成分と(B)成分との反応を阻害しない溶媒であれば特に限定されない。溶媒として、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、リモネン等の芳香族炭化水素を用いることができる。反応温度は、80~160℃程度であってよく、反応時間は、0.5~6時間程度であってよい。
(C)成分を合成する際の(B)成分の配合割合は、他の成分との相溶性の点から、(A)成分1.0molに対して0.1mol以上が好ましく、0.15mol以上がより好ましく、0.2mol以上が更に好ましい。(B)成分の配合割合は、感光性樹脂組成物の保存安定性及び耐熱性の点から、(A)成分1.0molに対して0.9mol以下が好ましく、0.8mol以下がより好ましく、0.7mol以下が更に好ましい。
((D)成分)
(D)成分である光重合開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、分子内水素引き抜き型光重合開始剤、及びオキシムエステル系光重合開始剤が挙げられる。
アルキルフェノン系光重合開始剤は、例えば、IGM Resins B.V.製のOmnirad 651、Omnirad 184、Omnirad 1173、Omnirad 2959、Omnirad 127Omnirad 907、Omnirad 369、Omnirad 379EG等として購入可能である。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤は、例えば、IGM Resins B.V.製のOmnirad 819、Omnirad TPO H等として購入可能である。分子内水素引き抜き型光重合開始剤は、例えば、IGM Resins B.V.製のOmnirad MBF、Omnirad 754等として購入可能である。オキシムエステル系光重合開始剤は、例えば、BASFジャパン株式会社製のIrgacure OXE01、Irgacure OXE02等として購入可能である。光反応を促進するために、チタノセン系の光重合開始剤(例えば、BASFジャパン株式会社製のIrgacure 784)を併用してもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、感度の点から、Omnirad 907、Omnirad 369、Omnirad 379EG、Irgacure OXE01又はIrgacure OXE02が好ましい。溶解性の点から、Omnirad 907、Omnirad 379EG又はIrgacure OXE02が好ましい。光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量又は(C)成分の総量100質量部に対して0.1~10質量部が好ましい。(D)成分の含有量は、優れた解像性が得られ易いことから、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上が更に好ましく、3質量部以上が特に好ましい。(D)成分の含有量は、未反応物が残存し難いことから、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましく、7質量部以下が更に好ましく、6質量部以下が特に好ましい。
(その他の成分)
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、密着助剤としてカップリング剤を更に含有してもよい。カップリング剤は、例えば、シランカップリング剤であってよい。シランカップリング剤は、例えば、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、メルカプト基等の基を有していてよい。
ビニル基を有するシランカップリング剤としては、KBM-1003、KBE-1003(信越化学工業株式会社製の商品名。以下同様。)等が挙げられる。エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、KBM-303、402、403、KBE-402、403、X-12-981S、X-12-984S等が挙げられる。スチリル基を有するシランカップリング剤としては、KBM-1403等が挙げられる。メタクリロイル基を有するシランカップリング剤としては、KBM-502、503、KBE-502、503等が挙げられる。アクリロイル基を有するシランカップリング剤としては、KBM-5103、X-12-1048、X-12-1050等が挙げられる。アミノ基を有するシランカップリング剤としては、KBM-602、603、903、573、575、KBE-903、9103P、X-12-972F等が挙げられる。ウレイド基を有するシランカップリング剤としては、KBE-585等が挙げられる。イソシアネート基を有するシランカップリング剤としては、KBE-9007、X-12-1159L等が挙げられる。イソシアヌレート基を有するシランカップリング剤としては、KBM-9659等が挙げられる。メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、KBM-802、803、X-12-1154、X-12-1156等が挙げられる。シランカップリング剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の含有量は、感光性樹脂組成物の総量を100質量部としたときに、ガラス、シリカ等との密着性を向上させる観点から、0.01質量部以上であってもよく、5質量部以下であってもよく、未反応物が更に残存し難い観点から、0.1質量部以上であってよく、2質量部であってもよい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を更に含有してもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、及びメラミン樹脂が挙げられる。ただし、熱硬化性樹脂には、上述した(A)~(C)成分は包含されない。熱硬化性樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。熱硬化性樹脂は、耐熱性及び電気絶縁性の観点から、好ましくは、エポキシ樹脂又はシアネート樹脂である。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能フェノール類及びアントラセン等の多環芳香族類のジグリシジルエーテル化合物並びにこれらにリン化合物を導入したリン含有エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂は、耐熱性及び難燃性の点から、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂又はナフタレン型エポキシ樹脂である。エポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シアネート樹脂としては、例えば、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂及びこれらが一部トリアジン化したプレポリマーが挙げられる。シアネート樹脂は、耐熱性及び難燃性の観点から、好ましくはノボラック型シアネート樹脂である。シアネート樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、その他の硬化剤を更に含有してもよい。その他の硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-ジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、フェニレンジアミン、キシレンジアミン等の芳香族アミン;ヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン;メラミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン化合物が挙げられる。その他の硬化剤は、良好な反応性及び耐熱性が得られる観点から、好ましくは芳香族アミンである。
感光性樹脂組成物がシアネート樹脂を含有する場合、硬化剤として、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、アミノトリアジンノボラック樹脂等の多官能フェノール化合物、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、無水マレイン酸共重合体等の酸無水物を更に含有してもよい。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、低吸湿性及び低透湿性を付与する観点から、フィラー(充填材)を更に含有してもよい。フィラーは、無機材料からなる無機フィラーでもよく、有機材料からなる有機フィラーでもよい。これらのフィラーは、好ましくは絶縁性のフィラーである。
無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、及びセラミックが挙げられる。有機フィラーとしては、例えば、カーボン、及びゴム系フィラーが挙げられる。フィラーは、種類、形状等にかかわらず、特に制限なく使用することができる。
フィラーは、所望する機能に応じて使い分けてもよい。例えば、無機フィラーは、絶縁部に熱伝導性、低熱膨張性、低吸湿性等を付与する目的で添加される。有機フィラーは、例えば、絶縁部に靭性等を付与する目的で添加される。フィラーは、無機フィラー及び有機フィラーの少なくともいずれかを含んでいればよい、フィラーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。フィラーは、絶縁部に求められる熱伝導性、低吸湿特性、絶縁性等を付与できる観点から、好ましくは無機フィラーであり、樹脂ワニスに対する分散性が良好である観点と、加熱時に高い接着力を付与できる観点とから、より好ましくは、シリカフィラー及びアルミナフィラーの少なくともいずれかである。
フィラーの平均粒子径は、例えば、10μm以下であり、フィラーの最大粒子径は、例えば、30μm以下である。フィラーの平均粒子径が5μm以下であり、フィラーの最大粒子径が20μm以下であることが好ましい。平均粒子径が10μm以下であり、かつ最大粒子径が30μm以下であることにより、絶縁部の破壊靭性向上の効果を良好に発揮できると共に、絶縁部の接着強度の低下及びばらつきの発生を抑えることができ、また、絶縁部の表面が粗くなり、接着強度が低下することも抑制できる。フィラーの平均粒子径の下限、及び最大粒子径の下限は、特に制限はないが、どちらも0.001μm以上であってよい。
フィラーの平均粒子径及び最大粒子径の測定方法としては、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、20個程度のフィラーの粒径を測定する方法等が挙げられる。SEMを用いた測定方法としては、例えば、フィラーが含まれた感光性樹脂組成物を硬化させたサンプルを作製し、このサンプルの中心部分を切断して、その断面をSEMで観察する方法等が挙げられる。このとき、断面における粒子径30μm以下のフィラーの存在確率が、全フィラーの80%以上であることが好ましい。
フィラーの含有量は、付与する特性、又は機能に応じて適宜決められる。フィラーの含有量は、例えば、感光性樹脂組成物の総量を基準として、1~70質量%、2~60質量%又は5~50質量%であってよい。フィラーの含有量を増加させることにより、絶縁部の高弾性率化が図られる。これにより、ダイシング性(ダイサー刃による切断性)、ワイヤボンディング性(超音波効率)、及び加熱時の接着強度を有効に向上できる。熱圧着性の低下を抑制する観点から、フィラーの含有量は、上記の上限値以下であることが好ましい。求められる特性のバランスをとるべく、最適なフィラー含有量を決定してもよい。フィラーの混合及び混練は、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜組み合わせて行ってよい。
感光性樹脂組成物は、保存安定性、エレクトロマイグレーション防止、及び金属導体回路の腐食防止の観点から、酸化防止剤を更に含有してもよい。酸化防止剤としては、特に制限はなく、例えばベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ヒンダートアミン系、ベンゾトリアゾール系、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤の含有量は、添加による効果及び耐熱性、コスト等の観点から、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは0.01質量部~10質量部である。
感光性樹脂組成物は、硬化を更に促進させるために、触媒を更に含有してもよい。触媒としては、例えば、過酸化物、イミダゾール系化合物、有機リン系化合物、第二級アミン、第三級アミン及び第四級アンモニウム塩が挙げられる。触媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。触媒は、反応性の観点から、好ましくは、過酸化物、イミダゾール系化合物及び有機リン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種であり、特にマレイミド基の自己重合性及びマレイミド基とアクリロイル基との反応に寄与する観点から、より好ましくは過酸化物である。
感光性樹脂組成物は、難燃剤を更に含有してもよい。難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤等の含ハロゲン系難燃剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、赤リン等のリン系難燃剤、スルファミン酸グアニジン、硫酸メラミン、ポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤、シクロホスファゼン、ポリホスファゼン等のホスファゼン系難燃剤、三酸化アンチモン等の無機系難燃剤が挙げられる。難燃剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
感光性樹脂組成物は、紫外線吸収剤を更に含有してもよい。紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が挙げられる。感光性樹脂組成物は、蛍光増白剤を更に含有してもよい。蛍光増白剤としては、特に限定されないが、例えば、スチルベン誘導体が挙げられる。
感光性樹脂組成物は、取り扱い性の観点から、フィルム状であってよく、各成分が溶媒中に溶解又は均一に分散されたワニス(液状)であってもよい。
ワニスの調製手段、条件等は、特に限定されない。例えば、所定配合量の各主成分をミキサー等によって十分に均一に撹拌及び混合した後、ミキシングロール、押出機、ニーダー、ロール、エクストルーダー等を用いて混練し、得られた混練物を更に冷却及び粉砕する方法が挙げられる。混練方法は、特に限定されない。
溶媒は、有機溶媒であってよい。有機溶媒は、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン;トルエン、キシレン、メシチレン、リモネン等の芳香族炭化水素;メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、ブトキシエチルアセテート、酢酸エチル等のエステル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等の含窒素化合物が挙げられる。有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。有機溶媒は、溶解性の点で、好ましくは、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、リモネン又はメシチレンであり、毒性が低い点で、より好ましくは、シクロペンタノン、リモネン又はメシチレンである。
有機溶媒は、例えば、ワニスの固形分量が5~90質量%となるような量で使用することが好ましく、ワニスの取り扱い性及び塗布・塗工性を良好に保つ点から、当該固形分量が10~60質量%となるような量で使用することがより好ましい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物の硬化物(絶縁部)は、配線間のクロストークを抑制できる点から3.0以下であることが好ましく、電気信号の信頼性を更に向上させることができる点から2.9以下であることがより好ましく、より配線を微細化、絶縁樹脂層を薄膜化できる点から2.8以下であることが更に好ましい。また、10GHzでの誘電正接は、0.01以下であることが好ましく、0.009以下であることがより好ましく、0.008以下であることが更に好ましく、0.007以下であることが特に好ましい。誘電率及び誘電正接は、感光性樹脂組成物の硬化膜を用いて、実施例に記載の方法で測定することができる。
感光性樹脂組成物を熱硬化した後の破断伸びは、反りを低減できる点から30%以上であることが好ましく、配線への応力を緩和できる点から35%以上であることがより好ましく、配線層間の温度サイクル信頼性を向上できる点から40%以上であることが更に好ましい。破断伸びは、配線層の変形を抑制できる点で200%以下であることが好ましい。
以上説明した感光性樹脂組成物は、低誘電特性を示すと共に絶縁信頼性に優れる配線層間絶縁層を形成可能であるため、以下で説明するような半導体パッケージの配線層間絶縁層に好適に用いられる。
図1は、半導体パッケージの一実施形態を示す模式断面図であり、図2は、図1の半導体パッケージが有する配線層積層体を示す模式断面図である。図1に示されるように、半導体パッケージ100は、基板1と、基板1上に設けられた配線層積層体10と、配線層積層体10上に搭載された半導体チップ2A,2Bとを備える。
基板1は、半導体チップ2C,2Dと電極5A,5Bとを絶縁材料4で封止して形成された封止体である。基板1内の半導体チップ2C,2Dは、絶縁材料4から露出した電極を介して外部装置と接続可能になっている。電極5A,5Bは、例えば、配線層積層体10と外部装置とが互いに電気的接続するための導電路として機能する。半導体チップ2A,2Bは、対応するアンダーフィル3A,3Bによって配線層積層体10上にそれぞれ固定されており、配線層積層体10内に設けられる表面配線(図示しない)を介して互いに電気的接続されている。半導体チップ2A~2Dのそれぞれは、配線層積層体10内の配線のいずれかに電気的に接続される。
半導体チップ2A~2Dのそれぞれは、例えば、グラフィック処理ユニット(GPU:Graphic Processing Unit)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)若しくはSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリ、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、RFチップ、シリコンフォトニクスチップ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、センサーチップなどである。半導体チップ2A,2Bの厚さは、例えば、30μm以上であってよく、200μm以下であってよい。
アンダーフィル3A,3Bは、例えば、キャピラリーアンダーフィル(CUF)、モールドアンダーフィル(MUF)、ペーストアンダーフィル(NCP)、フィルムアンダーフィル(NCF)、又は感光性アンダーフィルである。アンダーフィル3A,3Bは、それぞれ液状硬化型樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を主成分として構成される。絶縁材料4は、例えば、絶縁性を有する硬化性樹脂である。
配線層積層体10は、図2に示されるように、有機絶縁層21,22、有機絶縁層21,22内に埋め込まれた銅配線13,14、及び銅配線13,14と有機絶縁層21,22との間に設けられたバリア金属膜15,16をそれぞれ含む複数の配線層41,42と、配線層41,42に隣接する配線層間絶縁層17,18と、有機絶縁層21,22、及び配線層間絶縁層17,18を貫通するスルー配線19とを備える。有機絶縁層21,22と配線層間絶縁層17,18が基板11上に交互に積層されている。銅配線13,14の表面の一部が配線層41,42の一方の主面側に露出し、露出した銅配線13,14の表面に配線層間絶縁層17,18が接している。配線層間絶縁層17,18は、上述した組成物の硬化物である。有機絶縁層21,22は、感光性絶縁樹脂から形成された層であることができる。銅配線は、配線層の両方の主面側に露出し、露出した銅配線の表面に配線層間絶縁層が接していてもよい。
基板11は、配線層積層体10を支持する支持体である。基板11の平面視における形状は、例えば、円形状又は矩形状である。円形状である場合、基板11は、例えば、200mm~450mmの直径を有する。矩形状である場合、基板11の一辺は、例えば、300mm~700mmである。
基板11は、例えば、シリコン基板、ガラス基板、又はピーラブル銅箔であってよい。基板11としてシリコン基板又はガラス基板等が用いられる場合、配線層積層体10と基板11とを仮固定する図示しない仮固定層が設けられてもよい。この場合、仮固定層を除去することによって、配線層積層体10から基板11を容易に剥離できる。ピーラブル銅箔とは、支持体、剥離層、及び銅箔が順に重なった積層体である。ピーラブル銅箔においては、支持体が基板11に相当し、銅箔がスルー配線19の一部を構成することができる。
有機絶縁層21(第1の有機絶縁層)は、基板11側に位置する第3の有機絶縁層23と、第2の有機絶縁層22側に位置する第4の有機絶縁層24とを含んでいる。第1の有機絶縁層21は、対応する銅配線13が配置された複数の溝部21a(第1の溝部)を有する。第4の有機絶縁層24は、溝部21aに対応する複数の開口部が設けられている。これらの開口部によって露出する第3の有機絶縁層23の表面が、溝部21aの内面における底面を構成している。溝部21aの側面は、第4の有機絶縁層24によって構成されている。
第3の有機絶縁層23及び第4の有機絶縁層24の厚さは、例えば、それぞれ0.5μm~10μmであってよい。第1の有機絶縁層21の厚さは、例えば、1μm~20μmであってよい。
複数の溝部21aは、第1の有機絶縁層21において基板11と反対側の表面に設けられている。溝部21aの延在方向に直交する方向に沿った断面において、溝部21aのそれぞれは略矩形状を有している。溝部21aの内面は、側面及び底面を有している。複数の溝部21aは、所定のライン幅L及びスペース幅Sを有している。ライン幅L及びスペース幅S、それぞれ独立に、例えば0.5μm~10μmであってよい。ライン幅Lは、平面視にて溝部21aの延在方向に直交する方向における溝部21aの幅に相当する。スペース幅Sは、隣り合う溝部21a同士の距離に相当する。溝部21aの深さは、例えば、第4の有機絶縁層24の厚さに相当する。
有機絶縁層22(第2の有機絶縁層)は、配線層間絶縁層17(第1の配線層間絶縁層)を挟んで第1の有機絶縁層21上に積層されている。第2の有機絶縁層22は、対応する銅配線14が配置された複数の溝部22a(第2の溝部)を有する。
第2の有機絶縁層22の厚さは、例えば、1μm~10μmであってよい。第2の有機絶縁層22の一部には、溝部22aに対応する複数の開口部が設けられている。これらの開口部によって露出する第1の配線層間絶縁層17の表面が、溝部22aの内面における底面を構成している。溝部22aの各側面は、第2の有機絶縁層22によって構成されている。複数の溝部22aのライン幅及びスペース幅は、溝部21aのライン幅L及びスペース幅Sと一致している。
銅配線13は、上述したように対応する溝部21a内に設けられ、配線層積層体10内部における導電路として機能する。銅配線13の幅は、溝部21aのライン幅Lと略一致しており、隣り合う銅配線13同士の間隔は、溝部21aのスペース幅Sと略一致している。銅配線14は、上述したように対応する溝部22a内に設けられ、配線層積層体10内部における導電路として機能する。このため、銅配線13の幅は、溝部22aのライン幅と略一致しており、隣り合う銅配線14同士の間隔は、溝部22aのスペース幅と略一致している。銅配線14は、銅配線13と同様の金属材料を含有している。
バリア金属膜15(第1のバリア金属膜)は、銅配線13と第1の有機絶縁層21(すなわち、溝部21aの内面)とを仕切るように設けられる金属膜である。第1のバリア金属膜15は、銅配線13からの第1の有機絶縁層21への銅の拡散を防止するための膜であり、溝部21aの内面に沿って形成されている。このため、第1のバリア金属膜15は、有機絶縁層へ拡散しにくい金属材料(例えば、チタン、クロム、タングステン、パラジウム、ニッケル、金、タンタル又はこれらを含む合金)を含んでいる。
第1のバリア金属膜15の厚さは、溝部21aの幅の半分未満且つ溝部21aの深さ未満である。銅配線13同士の導通を防ぐ観点及び銅配線13の抵抗上昇を抑制する観点から、第1のバリア金属膜15の厚さは、例えば、0.001μm~0.5μmであってよい。
第2のバリア金属膜16は、銅配線14と第2の有機絶縁層22(すなわち、溝部22aの内面)とを仕切るように設けられる金属膜である。第2のバリア金属膜16は、銅配線14からの第2の有機絶縁層22への銅の拡散を防止するための膜であり、溝部22aの内面に沿って形成されている。このため、第2のバリア金属膜16は、第1のバリア金属膜15と同様に、有機絶縁層へ拡散しにくい金属材料を含んでいる。第2のバリア金属膜16の厚さは、第1のバリア金属膜15と同様に、溝部22aの幅の半分未満且つ溝部22aの深さ未満であり、例えば、0.001μm~0.5μmであってよい。
第1の配線層間絶縁層17は、銅配線13からの第1の有機絶縁層21及び第2の有機絶縁層22への銅の拡散を防止するための絶縁膜である。第1の配線層間絶縁層17は、配線層41(第1の配線層)と配線層42(第2の配線層)との間に、銅配線13と第2の有機絶縁層22とを仕切るように設けられている。第1の配線層間絶縁層17は、第1の配線層41の基板11とは反対側の主面に露出した銅配線13の表面と接している。配線層積層体10を薄くできる観点から、第1の配線層間絶縁層17の厚さは、例えば50μm以下であってよい。
第2の配線層間絶縁層18は、銅配線14からの第2の有機絶縁層22への銅の拡散を防止するための絶縁膜である。第2の配線層間絶縁層18は、第2の配線層42の基板11とは反対側の主面に露出した銅配線14の表面と接しながら、第2の配線層42上に設けられている。第2の配線層間絶縁層18は、第1の配線層間絶縁層17と同様の材料を含んでおり、且つ、第1の配線層間絶縁層17と同様の特性を有している。
スルー配線19は、配線層41,42、及び配線層間絶縁層17,18を貫通するビア31に埋め込まれる配線であり、外部装置への接続端子として機能する。
半導体パッケージにおける銅配線は、上述したように、トレンチ工法により形成されてもよく、他の一実施形態においては、SAP(Semi Additive Process)により形成されてもよい。いずれの場合であっても、本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、配線層間絶縁層の形成に好適に用いられる。
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例では、以下の各成分を用いた。
(A)成分:2つ以上の炭素-炭素二重結合を有する化合物
(A-1):下記式で表されるマレイミド化合物(n=1~10の混合物、重量平均分子量:15000~20000程度、日立化成株式会社製、商品名「SFR2300」)
Figure 0007263879000011

(A-2):下記式で表されるアクリレート化合物(新中村化学工業株式会社製、商品名「A-DCP」)
Figure 0007263879000012

(A-3):下記式(3-1)で表されるアリルナジイミド化合物(丸善石油化学株式会社製、商品名「BANI-X」)
Figure 0007263879000013

(A-4):マレイン酸変性ポリブタジエン化合物(分子量:4700、酸無水物当量:1981、クレイバレー社製、商品名「Ricon131MA5」)
(B)成分:2つ以上のアミノ基を有する化合物
(B-1):下記式で表されるジアミン(三井化学ファイン株式会社製、商品名「ビスアニリン-M」)
Figure 0007263879000014

(B-2):ジアミノ変性シリコーン化合物(信越化学工業株式会社製、商品名「X-22-161B」)
(B-3):脂肪族ポリアミン(三菱ケミカル株式会社製、商品名「ST-11」)
(C)成分:プレポリマー
(C-1)
温度計、攪拌機、冷却管、及び窒素流入管を装着した300mLフラスコ中に、「SFR2300」50g(0.0033mol)、「ビスアニリン-M」0.34g(0.001mol)及びメシチレン100gを加え、撹拌して各成分を溶解させることにより混合液を得た。窒素ガスを吹き込みながら混合液を130℃で2時間加熱することにより、プレポリマー(C-1)の溶液を得た。
(C-2)
「A-DCP」50g(0.165mol)、「ビスアニリン-M」17g(0.05mol)及びメシチレン100gの混合液を用いた以外は、プレポリマー(C-1)の合成と同様にして、プレポリマー(C-2)の溶液を得た。
(C-3)
「BANI-X」50g(0.10mol)、「ビスアニリン-M」10.4g(0.03mol)及びメシチレン100gの混合液を用いた以外は、プレポリマー(C-1)の合成と同様にして、プレポリマー(C-3)の溶液を得た。
(C-4)
「Ricon131MA5」50g(0.011mol)、「ビスアニリン-M」1.1g(0.0032mol)及びメシチレン100gの混合液を用いた以外は、プレポリマー(C-1)の合成と同様にして、プレポリマー(C-4)の溶液を得た。
(C-5)
「SFR2300」50g(0.0033mol)、「X-22-161B」3.0g(0.0011mol)及びメシチレン100gの混合液を用いた以外は、プレポリマー(C-1)の合成と同様にして、プレポリマー(C-5)の溶液を得た。
(C-6)
「A-DCP」25g(0.083mol)、「X-22-161B」74.3g(0.025mol)及びメシチレン100gの混合液を用いた以外は、プレポリマー(C-1)の合成と同様にして、プレポリマー(C-6)の溶液を得た。
(D)成分:光重合開始剤
(D-1):エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(BASFジャパン株式会社製、商品名「Irgacure OXE02」)
(D-2):光酸発生剤(サンアプロ株式会社製、商品名:CP1310B)
(E)その他の成分
(E-1):液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名:jER828)
(E-2):「jER828」50g(0.135mol)、「ST-11」30g及びメシチレン100gの混合液を用いた以外は、プレポリマー(C-1)の合成と同様にして、プレポリマー(E-2)の溶液を得た。
(E-3):「jER828」50g(0.135mol)、「ビスアニリン-M」13.9g(0.041mol)及びメシチレン100gの混合液を用いた以外は、プレポリマー(C-1)の合成と同様にして、プレポリマー(E-3)の溶液を得た。
[感光性樹脂組成物の調製]
上記の各成分を表1、表2又は表3に示す配合比(質量部)で混合して、実施例及び比較例の感光性樹脂組成物をそれぞれ作製した。
<評価>
(誘電特性)
感光性樹脂組成物をピーラブル銅箔上にスピンコート(Step.1:1000rpm/5秒、Step.2:2000rpm/30秒、SLOPE:5秒)した後、乾燥(90℃、3分間)、露光(露光量:1000mJ/cm、ブロードバンド露光)及び露光後ベーク(100℃、1分間)を行って樹脂膜を形成した。これを複数回重ねることで、30~100μm程度の厚みを有する樹脂膜を得た後、樹脂膜を220℃で2時間硬化させた。続いて、銅箔を剥離し、銅箔を過硫酸アンモニウムにて溶解除去して硬化膜を得た。
硬化膜を長さ60mm、幅2mmのサイズに切り出した後に30℃で6時間真空乾燥した評価サンプルを作製した。評価サンプルを用いて、SPDR法にて誘電特性(誘電率Dk及び誘電正接Df)を測定した。SPDRにはアジレントテクノロジー社製のSPDR誘電体共振器を、測定器にはアジレントテクノロジー社製ベクトル型ネットワークアナライザE8364Bを、測定プログラムにはCPMA-V2をそれぞれ使用した。条件は、周波数10GHz、測定温度25℃とした。
(伸び率)
ピーラブルコア銅箔上に感光性樹脂組成物をスピンコートし、乾燥して樹脂膜層を形成した後、長さ30mm、幅5mmのマスクを介して露光(1000mJ/cm)した。露光後の樹脂膜を現像液としてシクロペンタノンを用いて25℃で20秒間の条件で現像し、220℃で2時間硬化させた。続いて、銅箔を過硫酸アンモニウムにて溶解除去して樹脂フィルムを得た。樹脂フィルムを、小型卓上試験機(株式会社島津製作所製、商品名:EZ-S)にて送り速度5mm/分にて測定したときの破断伸びを測定した。この方法で作製した樹脂フィルムは、端部がなめらかであるため、カッターなどの刃物を用いて切り出したサンプルと比較して、より高い伸び率が得られた。
(解像性)
シリコンウェハ上に、感光性樹脂組成物をスピンコートして、90℃で3分加熱乾燥して、厚さ2μmの樹脂膜を形成した。次いで、樹脂膜を高精度平行露光機(オーク製作所製、商品名「EXM-1172-B-∞」)を用いて200mJ/cmの条件で露光処理した後、100℃で2分の条件で加熱し、更に220℃で1時間の条件で加熱硬化して第1の絶縁層を形成した。その後、第1の絶縁層上に厚さ2μmの樹脂膜を更に形成した後、ウシオ電機製投影露光機UX-74101SCを用いて、フォーカス±0μm、露光量1000mJ/cmの条件で露光した。その後、現像液にシクロペンタノンを用いて25℃で20秒間の条件でパドル現像を実施し、ビア(開口)を有する第2の絶縁層を第1の絶縁層上に形成した。顕微鏡によって3μm、5μm及び10μm径のビアの解像性を評価した。ビアが良好に形成された最小の径を評価した。
(絶縁信頼性(b-HAST耐性))
セミアディティブプロセス(SAP)を用いて作製されたLine(配線幅)/Space(配線間)が2/2μmの櫛状配線上に、感光性樹脂組成物をスピンコートした後、乾燥、露光及び露光後ベーク(PEB)を経て、評価サンプルを作製した。なお、スピンコート、乾燥、露光及びPEBの条件は、誘電特性の評価サンプルの条件と同じとした。湿度85%、130℃の条件下において、作製した櫛状配線に3.3Vの電圧を印加した状態で静置した。陽極と陰極との間の抵抗値を予定の時間ごとに測定し、当該抵抗値が、300時間以上1×10Ω以上であったもの「A」(絶縁信頼性(b-HAST耐性)あり)とし、そうでなかったものを「B」(絶縁信頼性(b-HAST耐性)なし)として評価した。
Figure 0007263879000015
Figure 0007263879000016
Figure 0007263879000017
1…基板、2A~2D…半導体チップ、3A,3B…アンダーフィル、4…絶縁材料、10…配線層積層体、11…基板、13…銅配線、14…銅配線、15,16…バリア金属膜、17,18…配線層間絶縁層、21…有機絶縁層、21a…溝部、22…有機絶縁層、22a…溝部、100…半導体パッケージ、L…ライン幅、S…スペース幅。

Claims (5)

  1. 開口を有する絶縁部と、前記開口の内部に配置された配線と、を備える配線層における前記絶縁部を形成するための感光性樹脂組成物であって、
    2つ以上の炭素-炭素二重結合を有する化合物と、2つ以上のアミノ基を有する化合物と、光重合開始剤とを含有し、
    前記2つ以上の炭素-炭素二重結合を有する化合物が、ビスマレイミド化合物、アリル化合物及びポリブタジエン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、
    前記2つ以上のアミノ基を有する化合物が、芳香族ジアミン及びジアミン変性シリコーン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、感光性樹脂組成物。
  2. 開口を有する絶縁部と、前記開口の内部に配置された配線と、を備える配線層における前記絶縁部を形成するための感光性樹脂組成物であって、
    2つ以上の炭素-炭素二重結合を有する化合物と2つ以上のアミノ基を有する化合物との反応物であるプレポリマーと、光重合開始剤とを含有し、
    前記2つ以上のアミノ基を有する化合物が芳香族ジアミンを含む、感光性樹脂組成物。
  3. 前記2つ以上の炭素-炭素二重結合を有する化合物が、ビスマレイミド化合物、(メタ)アクリロイル化合物、アリル化合物及びポリブタジエン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 開口を有する絶縁部と、前記開口の内部に配置された配線と、を備え、
    前記絶縁部が、請求項1~のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物又はその硬化物を含む、配線層。
  5. 請求項に記載の配線層を備える、半導体装置。
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