JP2022173783A - 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム - Google Patents

硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム Download PDF

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さやか 脇岡
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Abstract

【課題】熱膨張率が低くガラス転移温度が高い硬化物及びそれを与える硬化性樹脂組成物、並びに、該樹脂組成物を用いてなる接着剤及び接着フィルムを提供する。【解決手段】硬化性樹脂と、硬化剤と、下記式(1)で表される構造を有するポリイミドとを含有する硬化性樹脂組成物。TIFF2022173783000018.tif46156式(1)中、*は、結合位置であり、R1~R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、又は、置換されていてもよい芳香族基である。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化物が低い熱膨張率及び高いガラス転移温度を有する硬化性樹脂組成物に関する。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物の硬化物、並びに、該硬化性樹脂組成物を用いてなる接着剤及び接着フィルムに関する。
近年、フレキシブルプリント配線板(FPC)は、用途が車載用途にまで拡大しており、FPCやFPCを保護するカバーレイフィルムに用いられる接着剤には、高温での耐熱性が求められている。このような接着剤には、低収縮であり、接着性、絶縁性、及び、耐薬品性に優れるエポキシ樹脂等の硬化性樹脂を用いた硬化性樹脂組成物が使用されており、特に、短時間の耐熱性に関するはんだリフロー試験や長期耐熱性試験において良好な結果が得られる硬化性樹脂組成物が求められている。耐熱性や接着性に優れる硬化性樹脂組成物として、例えば、特許文献1、2には、エポキシ樹脂と硬化剤としてイミド化合物とを含有する硬化性樹脂組成物が開示されている。
特開昭61-270852号公報 特表2004-502859号公報
従来の硬化性樹脂組成物は、初期接着性や短期間の耐熱性には優れるものの、より厳しい環境下における信頼性が充分ではなかった。特に、高温下での高信頼性の実現のため、硬化物が低い熱膨張率及び高いガラス転移温度を有する硬化性樹脂組成物が求められていた。
本発明は、硬化物が低い熱膨張率及び高いガラス転移温度を有する硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物の硬化物、並びに、該硬化性樹脂組成物を用いてなる接着剤及び接着フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、硬化性樹脂と、硬化剤と、下記式(1)で表される構造を有するポリイミドとを含有する硬化性樹脂組成物である。
Figure 2022173783000001
式(1)中、*は、結合位置であり、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、又は、置換されていてもよい芳香族基である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、硬化性樹脂組成物に特定の構造を有するポリイミドを配合することを検討した。その結果、硬化物が低い熱膨張率及び高いガラス転移温度を有する硬化性樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記式(1)で表される構造を有するポリイミド(以下、「本発明にかかるポリイミド」ともいう)を含有する。本発明にかかるポリイミドを含有することにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物が低い熱膨張率及び高いガラス転移温度を有するものとなる。
上記式(1)中、R~Rのうち少なくとも1つは置換されていてもよい芳香族基であることが好ましく、R~Rのうち1つ又は2つが置換されていてもよい芳香族基であることがより好ましい。また、上記式(1)中、少なくともR又はRが置換されていてもよい芳香族基であることが好ましい。
上記芳香族基が置換されている場合の置換基としては、例えば、アルキル基、フルオロ基、クロロ基、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホン酸基等が挙げられる。
上記芳香族基としては、具体的には例えば、フェニル基、トリル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジエチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、クロルフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ジエトキシフェニル基、ベンジル基、メトキシベンジル基、ジメトキシベンジル基、エトキシベンジル基、ジエトキシベンジル基、アミノフェニル基、アミノベンジル基、ニトロフェニル基、ニトロベンジル基、シアノフェニル基、シアノベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビフェニル基、ナフチル基、フェニルナフチル基、ジフェニルナフチル基、アントリル基、アントリルフェニル基、フェニルアントリル基、ナフタセニル基、フェナントリル基、フェナントリルフェニル基、フェニルフェナントリル基、ピレニル基、フェニルピレニル基、フルオレニル基、フェニルフルオレニル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基、アントラセニルエチル基、フェナントリルエチル基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、フラン基、チオフェン基、トリアゾール基、ピラゾール基、イソオキサゾール基、イソチアゾール基、ピリジン基、ピリミジン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、イソキノリン基、インドリル基、ベンゾチアゾリル基、カルバゾリル基等が挙げられる。なかでも、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、ベンジルオキシ基が好ましい。
式(1)中、R~Rに置換されていてもよいアルキル基を含む場合、該アルキル基の炭素数は、1~10であることが好ましく、1~3であることがより好ましい。
上記アルキル基が置換されている場合の置換基としては、例えば、フルオロ基、クロロ基、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホン酸基等が挙げられる。
上記アルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、sec-ペンチル基、n-へキシル基、シクロへキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシルプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、n-へキシルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、n-へプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、トリメチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基等が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチル基が好ましい。
また、
本発明にかかるポリイミドの数平均分子量の好ましい下限は2万、好ましい上限は11万である。本発明にかかるポリイミドの数平均分子量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が硬化前における可撓性及び加工性により優れるものとなり、かつ、硬化物がより低い熱膨張率及びより高いガラス転移温度を有するものとなる。本発明にかかるポリイミドの数平均分子量のより好ましい下限は2.5万、より好ましい上限は10万である。
なお、本明細書において上記「数平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による数平均分子量を測定する際に用いるカラムとしては、例えば、JAIGEL-2H-A(日本分析工業社製)等が挙げられる。
本発明にかかるポリイミドを製造する方法としては、例えば、下記式(2)で表されるジアミンと、酸二無水物とを反応させる方法等が挙げられる。
Figure 2022173783000002
式(2)中、R~Rは、上記式(1)におけるR~Rと同じ原子又は基である。
本発明にかかるポリイミドの原料となる上記酸二無水物としては、例えば、オキシジフタル酸無水物、ピロメリット酸二無水物、3-フルオロピロメリット酸二無水物、3,6-ジフルオロピロメリット酸二無水物、3,6-ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’’,4,4’’-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’’’,4,4’’’-クァテルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,1-エチニリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、2,2-プロピリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-トリメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,4-テトラメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,5-ペンタメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-ビス(2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン二無水物、ビス(3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル)メタン二無水物、ビス(4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル)メタンニ無水物、2,2-ビス(3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物、ジフルオロメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,1,2,2-テトラフルオロ-1,2-エチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、オキシ-4,4’-ジフタル酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エ-テル二無水物、チオ-4,4’-ジフタル酸二無水物、スルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カルボニル-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、メチレン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、オキシ-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、チオ-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、スルホニル-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、3,3’,5,5’-テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ-4,4’-ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’-テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ-4,4’-ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’-テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ-4,4’-ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’-ヘキサキス(トリフルオロメチル)オキシ-4,4’-ジフタル酸二無水物、3,3’-ジフルオロスルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、5,5’-ジフルオロスルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、6,6’-ジフルオロスルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’-ヘキサフルオロスルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、3,3’-ビス(トリフルオロメチル)スルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、5,5’-ビス(トリフルオロメチル)スルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、6,6’-ビス(トリフルオロメチル)スルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’-テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’-テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’-テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’-ヘキサキス(トリフルオロメチル)スルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、3,3’-ジフルオロ-2,2-パーフルオロプロピリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、5,5’-ジフルオロ-2,2-パーフルオロプロピリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、6,6’-ジフルオロ-2,2-パーフルオロプロピリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’-ヘキサフルオロ-2,2-パーフルオロプロピリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、3,3’-ビス(トリフルオロメチル)-2,2-パーフルオロプロピリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物等が挙げられる。なかでも、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、オキシ-4,4’-ジフタル酸二無水物が好ましい。
本発明にかかるポリイミドの含有量は、硬化性樹脂と硬化剤(後述する硬化促進剤を含有する場合は更に上記硬化促進剤)との合計100重量部に対して、好ましい下限が10重量部、好ましい上限が40重量部である。本発明にかかるポリイミドの含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が硬化前における可撓性及び加工性により優れるものとなり、かつ、硬化物がより低い熱膨張率及びより高いガラス転移温度を有するものとなる。本発明にかかるポリイミドの含有量のより好ましい下限は15重量部、より好ましい上限は35重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂と硬化剤とを含有する。特に、本発明の硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物であることが好ましく、硬化性樹脂と硬化剤として熱硬化剤とを含有することがより好ましい。
上記硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、マレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。なかでも、上記硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。また、これらの硬化性樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が混合して用いられてもよい。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、2,2’-ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、トリアジン型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アルキルポリオール型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、グリシジルエステル化合物等が挙げられる。
上記硬化剤としては、例えば、主鎖にイミド骨格、末端に架橋性官能基を有するイミドオリゴマー、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、チオール系硬化剤、アミン系硬化剤、シアネート系硬化剤、活性エステル系硬化剤等が挙げられる。なかでも、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物の初期接着性、冷熱サイクル後の接着性、及び、長期耐熱性の観点から、上記硬化剤は、イミドオリゴマーを含むことが好ましい。
上記イミドオリゴマーは、上記架橋性官能基として主鎖の末端に酸無水物基又はフェノール性水酸基を有することが好ましく、主鎖の両末端に酸無水物基又はフェノール性水酸基を有することがより好ましい。
上記イミドオリゴマーは、下記式(3-1)若しくは下記式(3-2)、又は、下記式(4-1)若しくは下記式(4-2)で表される構造を有することが好ましい。下記式(3-1)若しくは下記式(3-2)、又は、下記式(4-1)若しくは下記式(4-2)で表される構造を有することにより、上記イミドオリゴマーは、上記硬化性樹脂との反応性及び相溶性により優れるものとなる。
Figure 2022173783000003
式(3-1)及び式(3-2)中、Aは、酸二無水物残基であり、Bは、脂肪族ジアミン残基又は芳香族ジアミン残基であり、式(3-2)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基である。
Figure 2022173783000004
式(4-1)及び式(4-2)中、Aは、酸二無水物残基であり、Bは、脂肪族トリアミン残基又は芳香族トリアミン残基であり、式(4-2)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基である。
上記酸二無水物残基は、下記式(5-1)又は下記式(5-2)で表される4価の基であることが好ましい。
Figure 2022173783000005
式(5-1)及び式(5-2)中、*は、結合位置であり、式(5-1)中、Zは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である。式(5-1)及び式(5-2)中における芳香環の水素原子は置換されていてもよい。
上記式(5-1)中のZが、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である場合、これらの基は、置換されていてもよい。
上記結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、上記結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基が置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、脂環式基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
上記酸二無水物残基の由来となる酸二無水物としては、例えば、後述する式(11)で表される酸二無水物等が挙げられる。
上記式(3-1)、上記式(3-2)、上記式(4-1)、又は、上記式(4-2)中のBが上記脂肪族ジアミン残基及び/又は上記脂肪族トリアミン残基である場合の該脂肪族ジアミン残基及び該脂肪族トリアミン残基の炭素数の好ましい下限は4である。上記脂肪族ジアミン残基及び上記脂肪族トリアミン残基の炭素数が4以上であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が、硬化前における可撓性及び加工性、及び、硬化後の誘電特性により優れるものとなる。上記脂肪族ジアミン残基及び上記脂肪族トリアミン残基の炭素数のより好ましい下限は5、更に好ましい下限は6である。
また、上記脂肪族ジアミン残基及び上記脂肪族トリアミン残基の炭素数の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は60である。
上記脂肪族ジアミン残基の由来となる脂肪族ジアミンとしては、例えば、ダイマー酸から誘導される脂肪族ジアミンや、直鎖若しくは分岐鎖脂肪族ジアミンや、脂肪族エーテルジアミンや、脂肪族脂環式ジアミン等が挙げられる。
上記ダイマー酸から誘導される脂肪族ジアミンとしては、例えば、ダイマージアミン、水添型ダイマージアミン等が挙げられる。
上記直鎖若しくは分岐鎖脂肪族ジアミンとしては、例えば、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、1,20-エイコサンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2-メチル-1,9-ノナンジアミン、2,7-ジメチル-1,8-オクタンジアミン等が挙げられる。
上記脂肪族エーテルジアミンとしては、例えば、2,2’-オキシビス(エチルアミン)、3,3’-オキシビス(プロピルアミン)、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン等が挙げられる。
上記脂肪族脂環式ジアミンとしては、例えば、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
なかでも、上記脂肪族ジアミン残基は、上記ダイマー酸から誘導される脂肪族ジアミン残基であることが好ましい。
上記脂肪族トリアミン残基の由来となる脂肪族トリアミンとしては、例えば、トリマー酸から誘導される脂肪族トリアミンや、直鎖若しくは分岐鎖脂肪族トリアミンや、脂肪族エーテルトリアミンや、脂肪族脂環式トリアミン等が挙げられる。
上記トリマー酸から誘導される脂肪族トリアミンとしては、例えば、トリマートリアミン、水添型トリマートリアミン等が挙げられる。
上記直鎖若しくは分岐鎖脂肪族トリアミンとしては、例えば、3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、3,3’-ジアミノジプロピルアミン、ジエチレントリアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、2,2’-ビス(メチルアミノ)-N-メチルジエチルアミン等が挙げられる。
なかでも、上記脂肪族トリアミン残基は、上記トリマー酸から誘導される脂肪族トリアミン残基であることが好ましい。
また、上記脂肪族ジアミン及び/又は上記脂肪族トリアミンとして、上記ダイマージアミン及び上記トリマートリアミンの混合物を用いることもできる。
上記ダイマー酸及び/又は上記トリマー酸から誘導される脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミンの市販品としては、例えば、BASF社製の脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミンや、クローダ社製の脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミン等が挙げられる。
上記BASF社製の脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミンとしては、例えば、バーサミン551、バーサミン552等が挙げられる。
上記クローダ社製の脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミンとしては、例えば、プリアミン1071、プリアミン1073、プリアミン1074、プリアミン1075等が挙げられる。
上記式(3-1)、上記式(3-2)、上記式(4-1)、又は、上記式(4-2)中のBが上記芳香族ジアミン残基である場合の該芳香族ジアミン残基は、下記式(6-1)又は下記式(6-2)で表される2価の基であることが好ましい。
Figure 2022173783000006
式(6-1)及び式(6-2)中、*は、結合位置であり、式(6-1)中、Yは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である。式(6-1)及び式(6-2)中における芳香環の水素原子は置換されていてもよい。
上記式(6-1)中のYが、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である場合、これらの基は、置換されていてもよい。
上記結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、上記結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基が置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、脂環式基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
上記芳香族ジアミン残基の由来となる芳香族ジアミンとしては、例えば、後述する式(12)で表されるジアミンが芳香族ジアミンである場合のもの等が挙げられる。
また、上記イミドオリゴマーは、構造中にシロキサン骨格を有する場合、硬化後のガラス転移温度を低下させたり、被着体を汚染し接着不良の原因となり得ることから、構造中にシロキサン骨格を有さないイミドオリゴマーであることが好ましい。
上記イミドオリゴマーの重量平均分子量は、500以上5000以下であることが好ましい。上記イミドオリゴマーの重量平均分子量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物が長期耐熱性により優れるものとなる。上記イミドオリゴマーの重量平均分子量のより好ましい下限は1000、より好ましい上限は4000である。
なお、本明細書において上記「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定する際に用いるカラムとしては、例えば、JAIGEL-2H-A(日本分析工業社製)等が挙げられる。
上記イミドオリゴマーは、具体的には、下記式(7-1)、下記式(7-2)、下記式(7-3)、下記式(7-4)、若しくは、下記式(7-5)で表されるイミドオリゴマー、又は、下記式(8-1)、下記式(8-2)、下記式(8-3)、下記式(8-4)、若しくは、下記式(8-5)で表されるイミドオリゴマーであることが好ましい。
Figure 2022173783000007
式(7-1)~(7-5)中、Aは、上記酸二無水物残基であり、式(7-1)~(7-5)中、Aは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(7-1)~(7-4)中、Bは、上記脂肪族ジアミン残基若しくは上記芳香族ジアミン残基であり、式(7-3)及び式(7-4)中、Bは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(7-5)中、Bは、上記脂肪族トリアミン残基若しくは上記芳香族トリアミン残基である。式(7-2)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基であり、式(7-4)中、Wは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基である。式(7-3)及び式(7-4)中、nは、繰り返し数である。
Figure 2022173783000008
式(8-1)~(8-5)中、Aは、上記酸二無水物残基であり、式(8-1)~(8-5)中、Aは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(8-1)~(8-5)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基であり、式(8-1)、式(8-3)、及び、式(8-5)中、Rは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(8-2)及び式(8-4)中、Wは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基である。式(8-1)~(8-4)中、Bは、上記脂肪族ジアミン残基若しくは上記芳香族ジアミン残基であり、式(8-3)及び式(8-4)中、Bは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(8-5)中、Bは、又は、上記脂肪族トリアミン残基若しくは上記芳香族トリアミン残基である。
上記式(7-1)~(7-5)、及び、上記式(8-1)~(8-5)中のAは、下記式(9-1)又は下記式(9-2)で表される4価の基であることが好ましい。
Figure 2022173783000009
式(9-1)及び式(9-2)中、*は、結合位置であり、式(9-1)中、Zは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である。式(9-1)及び式(9-2)中における芳香環の水素原子は置換されていてもよい。
上記式(7-1)~(7-4)、及び、上記式(8-1)~(8-4)中のBは、下記式(10-1)又は下記式(10-2)で表される2価の基であることが好ましい。
Figure 2022173783000010
式(10-1)及び式(10-2)中、*は、結合位置であり、式(10-1)中、Yは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である。式(10-1)及び式(10-2)中における芳香環の水素原子は置換されていてもよい。
上記式(3-1)で表される構造を有するイミドオリゴマーを製造する方法としては、例えば、下記式(11)で表される酸二無水物と下記式(12)で表されるジアミンとを反応させる方法等が挙げられる。また、下記式(12)で表されるジアミンに代えて脂肪族トリアミン又は芳香族トリアミンを用いることにより、上記式(4-1)で表される構造を有するイミドオリゴマーを製造することができる。
Figure 2022173783000011
式(11)中、Aは、上記式(3-1)中のAと同じ4価の基である。
Figure 2022173783000012
式(12)中、Bは、上記式(3-1)中のBと同じ2価の基であり、R~R12は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基である。
上記式(11)で表される酸二無水物と上記式(12)で表されるジアミンとを反応させる方法の具体例を以下に示す。
まず、予め上記式(12)で表されるジアミンを、反応により得られるアミック酸オリゴマーが可溶な溶媒(例えば、N-メチルピロリドン等)に溶解させ、得られた溶液に上記式(11)で表される酸二無水物を添加して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得る。次いで、加熱や減圧等により溶媒を除去し、更に、約200℃以上で1時間以上加熱してアミック酸オリゴマーを反応させる方法等が挙げられる。上記式(11)で表される酸二無水物と上記式(12)で表されるジアミンとのモル比、及び、イミド化条件を調整することにより、所望の重量平均分子量を有し、両末端に上記式(3-1)で表される構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。
また、上記式(11)で表される酸二無水物の一部を下記式(13)で表される酸無水物に置き換えることにより、所望の重量平均分子量を有し、一方の末端に上記式(3-1)で表される構造を有し、他方の末端に下記式(13)で表される酸無水物に由来する構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。この場合、上記式(11)で表される酸二無水物と下記式(13)で表される酸無水物とは、同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。
更に、上記式(12)で表されるジアミンの一部を下記式(14)で表されるモノアミンに置き換えることにより、所望の重量平均分子量を有し、一方の末端に上記式(3-1)で表される構造を有し、他方の末端に下記式(14)で表されるモノアミンに由来する構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。この場合、上記式(12)で表されるジアミンと下記式(14)で表されるモノアミンとは、同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。
Figure 2022173783000013
式(13)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基である。
Figure 2022173783000014
式(14)中、Arは、置換されていてもよい1価の芳香族基であり、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基である。
上記式(3-2)で表される構造を有するイミドオリゴマーを製造する方法としては、例えば、上記式(11)で表される酸二無水物と上記式(12)で表されるジアミンと下記式(15)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとを反応させる方法等が挙げられる。また、上記式(12)で表されるジアミンに代えて脂肪族トリアミン又は芳香族トリアミンを用いることにより、上記式(4-2)で表される構造を有するイミドオリゴマーを製造することができる。
Figure 2022173783000015
式(15)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基であり、R15及びR16は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基である。
上記式(11)で表される酸二無水物と上記式(12)で表されるジアミンと上記式(15)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとを反応させる方法の具体例を以下に示す。
まず、予め上記式(15)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミン及び上記式(12)で表されるジアミンを、反応により得られるアミック酸オリゴマーが可溶な溶媒(例えば、N-メチルピロリドン等)に溶解させ、得られた溶液に上記式(11)で表される酸二無水物を添加して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得る。次いで、加熱や減圧等により溶媒を除去し、更に、約200℃以上で1時間以上加熱してアミック酸オリゴマーを反応させる方法等が挙げられる。上記式(11)で表される酸二無水物と上記式(12)で表されるジアミンと上記式(15)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとのモル比、及び、イミド化条件を調整することにより、所望の重量平均分子量を有し、両末端に上記式(3-2)で表される構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。
また、上記式(15)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンの一部を上記式(14)で表されるモノアミンに置き換えることにより、所望の重量平均分子量を有し、一方の末端に上記式(3-2)で表される構造を有し、他方の末端に上記式(14)で表されるモノアミンに由来する構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。この場合、上記式(15)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンと上記式(14)で表されるモノアミンとは、同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。
上記式(11)で表される酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸無水物、3,3’-オキシジフタル酸無水物、3,4’-オキシジフタル酸無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテルの酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリテート無水物)、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
なかでも、溶解性及び耐熱性により優れるものとなることから、上記イミドオリゴマーの原料に用いる酸二無水物としては、融点が240℃以下の芳香族性酸二無水物が好ましく、融点が220℃以下の芳香族性酸二無水物がより好ましく、融点が200℃以下の芳香族性酸二無水物が更に好ましく、3,4’-オキシジフタル酸二無水物(融点180℃)、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(融点190℃)が特に好ましい。
なお、本明細書において上記「融点」は、示差走査熱量計を用いて、10℃/minにて昇温した際の吸熱ピークの温度として測定される値を意味する。上記示差走査熱量計としては、例えば、EXTEAR DSC6100(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)等が挙げられる。
上記式(12)で表されるジアミンのうち、芳香族ジアミンとしては、例えば、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフォン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)メタン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,4-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシフェニルメタン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシフェニルエーテル、ビスアミノフェニルフルオレン、ビストルイジンフルオレン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシフェニルエーテル、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジヒドロキシビフェニル等が挙げられる。なかでも、入手性に優れることから、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,4-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンが好ましく、更に溶解性及び耐熱性に優れることから、1,3-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,4-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンがより好ましい。
上記式(13)で表される酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、3-メチルフタル酸無水物、4-メチルフタル酸無水物、1,2-ナフタル酸無水物、2,3-ナフタル酸無水物、1,8-ナフタル酸無水物、2,3-アントラセンジカルボキシ酸無水物、4-tert-ブチルフタル酸無水物、4-エチニルフタル酸無水物、4-フェニルエチニルフタル酸無水物、4-フルオロフタル酸無水物、4-クロロフタル酸無水物、4-ブロモフタル酸無水物、3,4-ジクロロフタル酸無水物等が挙げられる。
上記式(14)で表されるモノアミンとしては、例えば、アニリン、o-トルイジン、m-トルイジン、p-トルイジン、2,4-ジメチルアニリン、3,4-ジメチルアニリン、3,5-ジメチルアニリン、2-tert-ブチルアニリン、3-tert-ブチルアニリン、4-tert-ブチルアニリン、1-ナフチルアミン、2-ナフチルアミン、1-アミノアントラセン、2-アミノアントラセン、9-アミノアントラセン、1-アミノピレン、3-クロロアニリン、o-アニシジン、m-アニシジン、p-アニシジン、1-アミノ-2-メチルナフタレン、2,3-ジメチルアニリン、2,4-ジメチルアニリン、2,5-ジメチルアニリン、3,4-ジメチルアニリン、4-エチルアニリン、4-エチニルアニリン、4-イソプロピルアニリン、4-(メチルチオ)アニリン、N,N-ジメチル-1,4-フェニレンジアミン等が挙げられる。
上記式(15)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとしては、例えば、3-アミノフェノール、4-アミノフェノール、4-アミノ-o-クレゾール、5-アミノ-o-クレゾール、4-アミノ-2,3-キシレノール、4-アミノ-2,5-キシレノール、4-アミノ-2,6-キシレノール、4-アミノ-1-ナフトール、5-アミノ-2-ナフトール、6-アミノ-1-ナフトール、4-アミノ-2,6-ジフェニルフェノール等が挙げられる。なかでも、入手性及び保存安定性に優れ、硬化後に高いガラス転移温度が得られることから、4-アミノ-o-クレゾール、5-アミノ-o-クレゾールが好ましい。
上述した製造方法で上記イミドオリゴマーを製造した場合、上記イミドオリゴマーは、上記式(3-1)で表される構造を有する複数種のイミドオリゴマー又は上記式(3-2)で表される構造を有する複数種のイミドオリゴマーと、各原料との混合物(イミドオリゴマー組成物)に含まれるものとして得られる。上記式(12)で表されるジアミンに代えて脂肪族トリアミン又は芳香族トリアミンを用いた場合は、上記イミドオリゴマーは、上記式(4-1)で表される構造を有する複数種のイミドオリゴマー又は上記式(4-2)で表される構造を有する複数種のイミドオリゴマーと、各原料との混合物(イミドオリゴマー組成物)に含まれるものとして得られる。該イミドオリゴマー組成物は、イミド化率が70%以上であることにより、硬化剤として用いた場合に高温での機械的強度及び長期耐熱性により優れる硬化物を得ることができる。
上記イミドオリゴマー組成物のイミド化率の好ましい下限は75%、より好ましい下限は80%である。また、上記イミドオリゴマー組成物のイミド化率の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は98%である。
なお、上記「イミド化率」は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いて全反射測定法(ATR法)にて測定を行い、アミック酸のカルボニル基に由来する1660cm-1付近のピーク吸光度面積から下記式にて導出することができる。上記フーリエ変換赤外分光光度計としては、例えば、UMA600(Agilent Technologies社製)等が挙げられる。なお、下記式中における「アミック酸オリゴマーのピーク吸光度面積」は、酸二無水物とジアミン又はフェノール性水酸基含有モノアミンとを反応させた後、イミド化工程を行わずに溶媒をエバポレーション等により除去することで得られるアミック酸オリゴマーの吸光度面積である。
イミド化率(%)=100×(1-(イミド化後のピーク吸光度面積)/(アミック酸オリゴマーのピーク吸光度面積))
上記イミドオリゴマー組成物は、硬化性樹脂組成物中における溶解性の観点から、25℃においてテトラヒドロフラン10gに対して3g以上溶解することが好ましい。
上記硬化性樹脂と上記硬化剤(後述する硬化促進剤を含有する場合は更に硬化促進剤)との合計100重量部中における上記イミドオリゴマーの含有量の好ましい下限は20重量部、好ましい上限は80重量部である。上記イミドオリゴマーの含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が、硬化前における可撓性及び加工性、及び、硬化後の耐熱性により優れるものとなる。上記イミドオリゴマーの含有量のより好ましい下限は25重量部、より好ましい上限は75重量部である。
なお、上記イミドオリゴマーが上述したイミドオリゴマー組成物に含まれるものである場合、上記イミドオリゴマーの含有量は、該イミドオリゴマー組成物(更に他のイミドオリゴマーを併用する場合は該イミドオリゴマー組成物と他のイミドオリゴマーとの合計)の含有量を意味する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含有することが好ましい。上記硬化促進剤を含有することにより、硬化時間を短縮させて生産性を向上させることができる。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、3級アミン系硬化促進剤、ホスフィン系硬化促進剤、リン系硬化促進剤、光塩基発生剤、スルホニウム塩系硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、保存安定性に優れることから、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。
上記硬化促進剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記硬化剤と上記硬化促進剤との合計100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が10重量部である。上記硬化促進剤の含有量がこの範囲であることにより、優れた接着性等を維持したまま、硬化時間を短縮させる効果により優れるものとなる。上記硬化促進剤の含有量のより好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は5重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲において、無機充填剤を含有してもよい。
上記無機充填剤は、シリカ及び硫酸バリウムの少なくともいずれかであることが好ましい。上記無機充填剤としてシリカ及び硫酸バリウムの少なくともいずれかを含有することにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、耐リフロー性、めっき耐性、及び、加工性により優れるものとなる。
上記シリカ及び上記硫酸バリウム以外のその他の無機充填剤としては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、ガラスパウダー、ガラスフリット、ガラス繊維、カーボンファイバー、無機イオン交換体等が挙げられる。
上記無機充填剤としては、平均粒子径が50nm以上4μm未満のものが好適に用いられる。
上記無機充填剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記硬化剤(上記硬化促進剤を含有する場合は更に上記硬化促進剤)との合計100重量部に対して、好ましい上限が200重量部である。上記無機充填剤の含有量がこの範囲であることにより、優れたタック性等を維持したまま、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物が耐リフロー性やめっき耐性により優れるものとなる。上記無機充填剤の含有量のより好ましい上限は150重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、被着体への短時間での塗れ性と形状保持性とを向上させる等の目的で流動調整剤を含有することが好ましい。
上記流動調整剤としては、例えば、アエロジル等のヒュームドシリカや層状ケイ酸塩等が挙げられる。
また、上記流動調整剤としては、平均粒子径が100nm未満のものが好適に用いられる。
上記流動調整剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記硬化剤(上記硬化促進剤を含有する場合は更に上記硬化促進剤)との合計100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が50重量部である。上記流動調整剤の含有量がこの範囲であることにより、被着体への短時間での塗れ性と形状保持性とを向上させる等の効果により優れるものとなる。上記流動調整剤の含有量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は30重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、応力緩和、靭性付与等を目的として有機充填剤を含有してもよい。
上記有機充填剤としては、例えば、シリコーンゴム粒子、アクリルゴム粒子、ウレタンゴム粒子、ポリアミド粒子、ポリアミドイミド粒子、ポリイミド粒子、ベンゾグアナミン粒子、及び、これらのコアシェル粒子等が挙げられる。なかでも、ポリアミド粒子、ポリアミドイミド粒子、ポリイミド粒子が好ましい。
上記有機充填剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記硬化剤(上記硬化促進剤を含有する場合は更に上記硬化促進剤)との合計100重量部に対して、好ましい上限が300重量部である。上記有機充填剤の含有量がこの範囲であることにより、優れた接着性等を維持したまま、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物が靭性等により優れるものとなる。上記有機充填剤の含有量のより好ましい上限は200重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で難燃剤を含有してもよい。
上記難燃剤としては、例えば、ベーマイト型水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水和物、ハロゲン系化合物、りん系化合物、窒素化合物等が挙げられる。なかでも、ベーマイト型水酸化アルミニウムが好ましい。
上記難燃剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記硬化剤(上記硬化促進剤を含有する場合は更に上記硬化促進剤)との合計100重量部に対して、好ましい上限が200重量部である。上記難燃剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が優れた接着性等を維持したまま、難燃性に優れるものとなる。上記難燃剤の含有量のより好ましい上限は150重量部である。
上記硬化性樹脂組成物は、塗工性等の観点から溶剤を含有してもよい。
上記溶剤としては、塗工性や貯蔵安定性等の観点から、沸点が200℃未満の溶剤が好ましい。
上記沸点が200℃未満の溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、ハロゲン系溶剤、エーテル系溶剤、含窒素系溶剤等が挙げられる。
上記アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ノルマルブチルアルコール、ターシャリーブチルアルコール、2-エチエルヘキサノール等が挙げられる。
上記ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
上記エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸アミル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が挙げられる。
上記炭化水素系溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、イソオクタン、ノルマルデカン、ノルマルヘプタン等が挙げられる。
上記ハロゲン系溶剤としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン等が挙げられる。
上記エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、3-メトキシブタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、4-メチルアニソール等が挙げられる。
上記含窒素系溶剤としては、例えば、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
なかでも、取り扱い性やイミドオリゴマーの溶解性等の観点から、沸点が60℃以上200℃未満のケトン系溶剤、沸点が60℃以上200℃未満のエステル系溶剤、及び、沸点が60℃以上200℃未満のエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。このような溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール等が挙げられる。
なお、上記「沸点」は、101kPaの条件で測定される値、又は、沸点換算図表等で101kPaに換算された値を意味する。
上記溶剤を含む硬化性樹脂組成物100重量部中における上記溶剤の含有量の好ましい下限は20重量部、好ましい上限は90重量部である。上記溶剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が塗工性等により優れるものとなる。上記溶剤の含有量のより好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は80重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で反応性希釈剤を含有してもよい。
上記反応性希釈剤としては、接着信頼性の観点から、1分子中に2つ以上の反応性官能基を有する反応性希釈剤が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、カップリング剤、分散剤、貯蔵安定化剤、ブリード防止剤、フラックス剤、レベリング剤等の添加剤を含有してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、混合機を用いて、硬化性樹脂と、硬化剤と、本発明にかかるポリイミドと、必要に応じて添加する硬化促進剤等とを混合する方法等が挙げられる。上記混合機としては、例えば、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物のシリコンチップに対する初期接着力の好ましい下限が5.0N/mmである。上記硬化物のシリコンチップに対する初期接着力が5.0N/mm以上であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、電子部品の接着に好適に用いることができるものとなる。上記硬化物のシリコンチップに対する初期接着力のより好ましい下限は5.1N/mm、更に好ましい下限は5.2N/mmである。
上記硬化物のシリコンチップに対する初期接着力の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は10.0N/mmである。
上記硬化物のシリコンチップに対する初期接着力は、以下の方法で測定することができる。
即ち、まず、ポリイミド基板に硬化性樹脂組成物を塗布し、シリコンチップを重ねる。次いで、190℃で1時間加熱することにより硬化性樹脂組成物を硬化させ、試験片を得る。得られた試験片について、ダイシェアテスターを用いて、100μm/sの速度、テスト高さ100μmで25℃におけるダイシェア強度を測定する。得られたダイシェア強度を硬化物のシリコンチップに対する初期接着力とする。上記ポリイミド基板としては、カプトン200H(東レ・デュポン社製、表面粗さ0.03~0.07μm)を用いることができ、上記シリコンチップとしては、グローバルウェーハ社製のシリコンチップ(表面粗さ0.5~1.0nm)を用いることができる。また、上記ダイシェアテスターとしては、DAGE4000(Nordson社製)を用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力の好ましい下限が5.0N/mmである。上記150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力が5.0N/mm以上であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、高温環境で使用される電子部品の接着に好適に用いることができるものとなる。上記150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力のより好ましい下限は5.1N/mm、更に好ましい下限は5.2N/mmである。
上記150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は7.0N/mmである。
上記150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力は、以下の方法で測定することができる。
即ち、まず、上述した「硬化物のシリコンチップに対する初期接着力」と同様にして得られた試験片を150℃のオーブンで1000時間保管する。次いで、保管後の試験片について、ダイシェアテスターを用いて、100μm/sの速度、テスト高さ100μmで25℃におけるダイシェア強度を測定する。得られた接着力を150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力とする。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物のガラス転移温度の好ましい下限が170℃である。上記硬化物のガラス転移温度が170℃以上であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物が機械的強度及び耐熱性により優れるものとなる。上記硬化物のガラス転移温度のより好ましい下限は160℃である。
また、上記硬化物のガラス転移温度の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は200℃である
なお、本明細書において上記「ガラス転移温度」とは、動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の極大のうち、ミクロブラウン運動に起因する極大が現れる温度を意味する。具体的には、動的粘弾性測定装置を用い、歪振幅10μm、測定周波数10Hz、昇温速度10℃/minの条件で25℃から250℃の温度範囲で測定した際に得られるtanδカーブのピーク温度として求めることができる。上記動的粘弾性測定装置としては、例えば、EXSTAR6000(SII社製)等が挙げられる。
上記ガラス転移温度を測定する硬化物は、硬化性樹脂組成物を基材フィルム上に塗工した後、乾燥させることにより得られる厚さ約15μmの硬化性樹脂組成物フィルムを厚さ約300μmとなるように積層し、幅3mm、長さ5cmに切り出し、190℃で1時間加熱することにより得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物の80℃から150℃の温度範囲における平均線膨張係数が100ppm以下であることが好ましい。上記平均線膨張係数が100ppm以下であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物が接着信頼性により優れるものとなる。上記平均線膨張係数は、小さいほど好ましい。
なお、上記平均線膨張係数は、熱機械分析装置を用いて測定することができる。具体的には、荷重5g、昇温速度10℃/分の条件でサンプル長1cmの硬化物を0℃から300℃まで昇温した後、一旦冷却し、再度同じ条件で0℃から300℃まで昇温し、2回目の測定において得られた温度と寸法変化のデータをもとに、80℃から150℃の温度範囲における平均線膨張係数を求めることができる。上記熱機械分析装置としては、例えば、TMA/SS-6000(日立ハイテクサイエンス社製)等が挙げられる。
上記平均線膨張係数を測定する硬化物は、硬化性樹脂組成物を基材フィルム上に塗工した後、乾燥させることにより得られる厚さ約15μmの硬化性樹脂組成物フィルムを厚さ約300μmとなるように積層し、幅3mm、長さ5cmに切り出し、190℃で1時間加熱することにより得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物の30℃における貯蔵弾性率の好ましい下限が1.6GPa、好ましい上限が4.0GPaである。上記硬化物の30℃における貯蔵弾性率がこの範囲であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物が接着性及び機械的強度により優れるものとなる。上記硬化物の30℃における貯蔵弾性率のより好ましい下限は1.8GPa、より好ましい上限は3.5GPaである。
また、上記貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置を用いて、歪振幅10μm、測定周波数10Hz、昇温速度10℃/minの条件で測定することができる。上記動的粘弾性測定装置としては、例えば、EXSTAR6000(SII社製)等が挙げられる。
なお、貯蔵弾性率を測定する硬化物は、硬化性樹脂組成物を基材フィルム上に塗工した後、乾燥させることにより得られる厚さ約15μmの硬化性樹脂組成物フィルムを厚さ約300μmとなるように積層し、幅3mm、長さ5cmに切り出し、190℃で1時間加熱することにより得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、広い用途に用いることができるが、特に高い耐熱性が求められている電子材料用途に好適に用いることができる。例えば、航空、車載用電気制御ユニット(ECU)用途や、SiC、GaNを用いたパワーデバイス用途におけるダイアタッチ剤等に用いることができる。また、例えば、パワーオーバーレイパッケージ用接着剤、封止剤、フレキシブルプリント基板又はカバーレイフィルム用接着剤、銅張積層板、半導体接合用接着剤、層間絶縁膜、プリプレグ、LED用封止剤、構造材料用接着剤等にも用いることができる。なかでも、フレキシブルプリント基板又はカバーレイフィルムの接着に好適に用いられる。
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物もまた、本発明の1つである。
本発明の硬化性樹脂組成物を用いてなる接着剤もまた、本発明の1つである。本発明の接着剤をフィルム上に塗工した後、乾燥させる等の方法により、接着フィルムを得ることができる。本発明の接着剤を用いてなる接着フィルムもまた、本発明の1つである。
本発明によれば、硬化物が低い熱膨張率及び高いガラス転移温度を有する硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物の硬化物、並びに、該硬化性樹脂組成物を用いてなる接着剤及び接着フィルムを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(イミドオリゴマー組成物の作製)
4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(東京化成工業社製)104重量部をN-メチルピロリドン(富士フイルム和光純薬社製、「NMP」)300重量部に溶解させた。得られた溶液にダイマージアミンであるプリアミン1074(クローダ社製)28重量部をN-メチルピロリドン100重量部で希釈した溶液を添加し、25℃で2時間撹拌して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得た。得られたアミック酸オリゴマー溶液からN-メチルピロリドンを減圧除去した後、300℃で2時間加熱することにより、イミドオリゴマー組成物(イミド化率93%)を得た。
なお、得られたイミドオリゴマー組成物は、H-NMR、GPC、及び、FT-IR分析により、上記式(7-1)又は(7-3)で表される構造を有する脂肪族ジアミン残基含有イミドオリゴマー(Aは4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物残基、Bはダイマージアミン残基)を含むことを確認した。また、該イミドオリゴマー組成物の重量平均分子量は2200であった。
(実施例1~6、比較例1、2)
表1に記載された配合比に従い、各材料を撹拌混合し、実施例1~6、比較例1、2の各硬化性樹脂組成物を作製した。
なお、実施例にて用いた本発明にかかるポリイミドA~Cは、いずれも、上記式(2)で表されるジアミンと酸無水物との反応により得られたポリイミドであり、上記式(1)で表される構造を有するポリイミド(R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、又は、置換されていてもよい芳香族基)である。また、ポリイミドAの数平均分子量は9万、ポリイミドBの数平均分子量は4万、ポリイミドCの数平均分子量は2万である。
<評価>
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(貯蔵弾性率及びガラス転移温度)
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を厚みが約15μmとなるように基材PETフィルム上に塗工し、乾燥させることにより、基材PETフィルム上に硬化性接着フィルムを作製した。得られた各硬化性接着フィルムを厚さ約300μmとなるように積層し、幅3mm、長さ5cmに切り出し、190℃で1時間加熱することにより硬化させ、硬化物を作製した。
得られた各硬化物について、動的粘弾性測定装置(SII社製、「EXSTAR6000」)を用いて、変形モード:引っぱり、歪振幅10μm、測定周波数10Hz、昇温速度10℃/minの条件で25℃~250℃の範囲で動的粘弾性を測定し、30℃における貯蔵弾性率を求めた。また、損失正接(tanδ)の極大値の温度をガラス転移温度として求めた。
(線膨張係数)
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を厚みが約15μmとなるように基材PETフィルム上に塗工し、乾燥させることにより、基材PETフィルム上に硬化性接着フィルムを作製した。得られた各硬化性接着フィルムを厚さ約300μmとなるように積層し、幅3mm、長さ5cmに切り出し、190℃で1時間加熱することにより硬化させ、硬化物を作製した。
得られた硬化物について、熱機械分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、「TMA/SS-6000」)を用いて、荷重5g、昇温速度10℃/分、サンプル長1cmで0℃から300℃まで昇温した後、一旦冷却し、再度同じ条件で0℃から300℃まで昇温した。2回目の測定において得られた温度と寸法変化のデータを基に、80℃から150℃の温度範囲における平均線膨張係数を求めた。
(初期接着力)
得られた各硬化性樹脂組成物を、長さ10mm、幅10mmのポリイミド基板に塗布し、長さ50μm、幅3mm、厚さ3mmのシリコンチップを重ねた。次いで、190℃で1時間加熱することにより硬化性樹脂組成物を硬化させ、試験片を得た。得られた試験片について、ダイシェアテスターを用いて、100μm/sの速度で25℃におけるダイシェア強度を測定し、得られたダイシェア強度を硬化物のシリコンチップに対する初期接着力とした。上記ポリイミド基板としては、カプトン200H(東レ・デュポン社製、表面粗さ0.03~0.07μm)を用い、上記シリコンチップとしては、グローバルウェーハ社製のシリコンチップ(表面粗さ0.5~1.0nm)を用い、上記ダイシェアテスターとしては、DAGE4000(Nordson社製)を用いた。
(冷熱サイクル試験後の接着力)
上記「(硬化物のシリコンチップに対する初期接着力)」と同様にして得られた試験片について、-55℃/30分、200℃/30分を1サイクルとして1000サイクル実施する冷熱サイクル試験を行った。冷熱サイクル試験後の試験片について、ダイシェアテスターを用いて、100μm/sの速度でダイシェアを実施し、接着力を測定した。上記ダイシェアテスターとしては、DAGE4000(Nordson社製)を用いた。
(リフロー試験後の接着力)
上記「(硬化物のシリコンチップに対する初期接着力)」と同様にして得られた試験片について、260℃で20秒間加熱するリフロー試験を行った。リフロー試験後の試験片について、ダイシェアテスターを用いて、100μm/sの速度でダイシェアを実施し、接着力を測定した。上記ダイシェアテスターとしては、DAGE4000(Nordson社製)を用いた。
(150℃で1000時間保管した後の接着力)
上記「(硬化物のシリコンチップに対する初期接着力)」と同様にして得られた試験片を150℃のオーブンで1000時間保管した。次いで、保管後の試験片について、ダイシェアテスターを用いて、100μm/sの速度でダイシェアを実施し、接着力を測定した。上記ダイシェアテスターとしては、DAGE4000(Nordson社製)を用いた。
Figure 2022173783000016
本発明によれば、硬化物が低い熱膨張率及び高いガラス転移温度を有する硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物の硬化物、並びに、該硬化性樹脂組成物を用いてなる接着剤及び接着フィルムを提供することができる。

Claims (9)

  1. 硬化性樹脂と、硬化剤と、下記式(1)で表される構造を有するポリイミドとを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
    Figure 2022173783000017
    式(1)中、*は、結合位置であり、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、又は、置換されていてもよい芳香族基である。
  2. 前記硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含む請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記硬化剤は、イミドオリゴマーを含む請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記イミドオリゴマーは、重量平均分子量が500以上5000以下である請求項3記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 硬化物のシリコンチップに対する初期接着力が5.0N/mm以上であり、かつ、
    150℃で1000時間保管した後の硬化物のシリコンチップに対する接着力が5.0N/mm以上である請求項1、2、3又は4記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 硬化物のガラス転移温度が170℃以上である請求項1、2、3、4又は5記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
  8. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の硬化性樹脂組成物を用いてなる接着剤。
  9. 請求項8記載の接着剤を用いてなる接着フィルム。
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