JP2023118258A - 硬化性樹脂組成物及び層間絶縁材料 - Google Patents

硬化性樹脂組成物及び層間絶縁材料 Download PDF

Info

Publication number
JP2023118258A
JP2023118258A JP2022021113A JP2022021113A JP2023118258A JP 2023118258 A JP2023118258 A JP 2023118258A JP 2022021113 A JP2022021113 A JP 2022021113A JP 2022021113 A JP2022021113 A JP 2022021113A JP 2023118258 A JP2023118258 A JP 2023118258A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
curable resin
resin composition
solvent
inorganic filler
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022021113A
Other languages
English (en)
Inventor
良平 増井
Ryohei Masui
さやか 脇岡
Sayaka Wakioka
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2022021113A priority Critical patent/JP2023118258A/ja
Publication of JP2023118258A publication Critical patent/JP2023118258A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】硬化後の誘電特性及び接着性に優れる硬化性樹脂組成物を提供する。また、該硬化性樹脂組成物を用いてなる層間絶縁材料を提供する。【解決手段】硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填剤と、溶剤とを含有し、前記硬化性樹脂と前記無機充填剤との溶解度パラメータの差の絶対値、前記硬化性樹脂と前記溶剤との溶解度パラメータの差の絶対値、及び、前記無機充填剤と前記溶剤との溶解度パラメータの差の絶対値の合計が10.0未満である硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物に関する。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物を用いてなる層間絶縁材料に関する。
低収縮であり、接着性、絶縁性、及び、耐薬品性に優れるエポキシ樹脂等の硬化性樹脂は、多くの工業製品に使用されている。特に、プリント配線板の層間絶縁材料等に用いられる硬化性樹脂組成物には、低誘電率、低誘電正接といった誘電特性が必要となる。このような誘電特性に優れる硬化性樹脂組成物として、例えば、特許文献1、2には、硬化性樹脂と、硬化剤として特定の構造を有する化合物とを含有する硬化性樹脂組成物が開示されている。
特開2017-186551号公報 国際公開第2016/114286号
硬化性樹脂組成物について、硬化後の誘電正接を低くするためには、シリカ等の無機充填剤を多量に配合することが考えられるが、無機充填剤を多量に配合した場合、銅等の金属からなる被着体に剥がれが生じることがあった。
本発明は、硬化後の誘電特性及び接着性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物を用いてなる層間絶縁材料を提供することを目的とする。
本発明は、硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填剤と、溶剤とを含有し、上記硬化性樹脂と上記無機充填剤との溶解度パラメータの差の絶対値、上記硬化性樹脂と上記溶剤との溶解度パラメータの差の絶対値、及び、上記無機充填剤と上記溶剤との溶解度パラメータの差の絶対値の合計が10.0未満である硬化性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、無機充填剤を多量に配合した場合に被着体に剥がれが生じる原因が、硬化性樹脂組成物中の硬化性樹脂と無機充填剤との親和性が低く、無機充填剤が不均一に分散していることにあると考えた。そこで本発明者らは、硬化性樹脂と無機充填剤との溶解度パラメータの差の絶対値を小さくすることを検討したが、それだけでは充分に被着体の剥がれを抑制することができなかった。そこで本発明者らは、更に溶剤の溶解度パラメータも考慮し、硬化性樹脂と無機充填剤との溶解度パラメータの差の絶対値、硬化性樹脂と溶剤との溶解度パラメータの差の絶対値、及び、無機充填剤と溶剤との溶解度パラメータの差の絶対値の合計が特定値以下となるようにすることを検討した。その結果、得られる硬化性樹脂組成物中の無機充填剤の分散状態を均一にすることができ、誘電特性及び接着性に優れる硬化物を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂と無機充填剤との溶解度パラメータ(以下、「SP値」ともいう)の差の絶対値、硬化性樹脂と溶剤とのSP値の差の絶対値、及び、無機充填剤と溶剤とのSP値の差の絶対値の合計が10.0未満である。上記硬化性樹脂と無機充填剤とのSP値の差の絶対値、上記硬化性樹脂と溶剤とのSP値の差の絶対値、及び、上記無機充填剤と溶剤とのSP値の差の絶対値の合計が10.0未満であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、無機充填剤の分散状態が均一となって、硬化後の誘電特性及び接着性に優れるものとなる。上記硬化性樹脂と無機充填剤とのSP値の差の絶対値、上記硬化性樹脂と溶剤とのSP値の差の絶対値、及び、上記無機充填剤と溶剤とのSP値の差の絶対値の合計の好ましい上限は9.9、より好ましい上限は9.4である。上記硬化性樹脂と無機充填剤とのSP値の差の絶対値、上記硬化性樹脂と溶剤とのSP値の差の絶対値、及び、上記無機充填剤と溶剤とのSP値の差の絶対値の合計は小さいほど好ましく、0であることが最も好ましい。
なお、本明細書において上記SP値は、Fedorsの推算法により算出される値である。ただし、Fedorsの推算法では算出できない材料の場合、そのSP値は、良溶媒及び貧溶媒を決定し、これらについてFedorsの推算法により算出されるSP値から求められる値である。また、硬化性樹脂や硬化剤や無機充填剤や溶剤が2種以上の構成成分を含む場合、SP値の差の絶対値の導出に用いるSP値としては、各構成成分の体積分率によるSP値の平均値を用いる。例えば、上記硬化性樹脂が2種以上の構成成分を含む場合、上述した無機充填剤とのSP値の差の絶対値及び溶剤とのSP値の差の絶対値や、後述する硬化剤とのSP値の差の絶対値の導出に用いる硬化性樹脂のSP値としては、各硬化性樹脂構成成分の体積分率によるSP値の平均値を用いる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂と硬化剤とのSP値の差の絶対値の好ましい上限は8.0である。上記硬化性樹脂と硬化剤とのSP値の差の絶対値が8.0以下であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性及び硬化後の接着性により優れるものとなる。上記硬化性樹脂と硬化剤とのSP値の差の絶対値のより好ましい上限は7.1である。上記硬化性樹脂と硬化剤とのSP値の差の絶対値は小さいほど好ましく、0であることが最も好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含有する。
上記硬化性樹脂は、上記硬化性樹脂と無機充填剤とのSP値の差の絶対値、上記硬化性樹脂と溶剤とのSP値の差の絶対値、及び、上記無機充填剤と溶剤とのSP値の差の絶対値の合計が8.0以下となるように、種類を選択したり、2種以上用いる場合はその含有割合を調整したりして用いられる。
上記硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、マレイミド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。なかでも、上記硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、及び、マレイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、エポキシ樹脂を含むことがより好ましい。上記硬化性樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、2,2’-ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アルキルポリオール型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、グリシジルエステル化合物等が挙げられる。
上記硬化性樹脂が2種以上の構成成分を含む場合、上記硬化性樹脂は、無機充填剤とのSP値の差の絶対値及び溶剤とのSP値の差の絶対値の合計が10.0以上となる化合物を含まないことが好ましい。上記硬化性樹脂が無機充填剤とのSP値の差の絶対値及び溶剤とのSP値の差の絶対値の合計が10.0以上となる化合物を含む場合は、上記硬化性樹脂100重量部中における当該化合物の含有量が10重量部以下であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含有する。
上記硬化剤としては、例えば、主鎖にイミド骨格、末端に架橋性官能基を有するイミドオリゴマー、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、チオール系硬化剤、アミン系硬化剤、シアネート系硬化剤、活性エステル系硬化剤等が挙げられる。なかでも、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物の接着性及び長期耐熱性の観点から、上記硬化剤は、上記イミドオリゴマーを含むことが好ましい。
上記イミドオリゴマーは、上記架橋性官能基を含む構造として、下記式(1-1)若しくは下記式(1-2)、又は、下記式(2-1)若しくは下記式(2-2)で表される構造を有することが好ましい。下記式(1-1)若しくは下記式(1-2)、又は、下記式(2-1)若しくは下記式(2-2)で表される構造を有することにより、上記イミドオリゴマーは、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂との反応性及び相溶性により優れるものとなる。
Figure 2023118258000001
式(1-1)及び式(1-2)中、Aは、酸二無水物残基であり、Bは、脂肪族ジアミン残基又は芳香族ジアミン残基であり、式(1-2)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基である。
Figure 2023118258000002
式(2-1)及び式(2-2)中、Aは、酸二無水物残基であり、Bは、脂肪族トリアミン残基又は芳香族トリアミン残基であり、式(2-2)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基である。
上記酸二無水物残基は、下記式(3-1)又は下記式(3-2)で表される4価の基であることが好ましい。
Figure 2023118258000003
式(3-1)及び式(3-2)中、*は、結合位置であり、式(3-1)中、Zは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、芳香環を有する2価の基である。Zが炭化水素基である場合、該炭化水素基と式(3-1)中の各芳香環との間に酸素原子を有していてもよく、Zが芳香環を有する2価の基である場合、該芳香環を有する2価の基と式(3-1)中の各芳香環との間に酸素原子を有していてもよい。式(3-1)及び式(3-2)中における芳香環の水素原子は置換されていてもよい。
上記式(3-1)中のZが、直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、芳香環を有する2価の基である場合、これらの基は、置換されていてもよい。
上記直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、上記芳香環を有する2価の基が置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、脂環式基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
上記酸二無水物残基の由来となる酸二無水物としては、例えば、後述する式(9)で表される酸二無水物等が挙げられる。
上記式(1-1)、上記式(1-2)、上記式(2-1)、又は、上記式(2-2)中のBが上記脂肪族ジアミン残基又は上記脂肪族トリアミン残基である場合の該脂肪族ジアミン残基及び該脂肪族トリアミン残基の炭素数の好ましい下限は4である。上記脂肪族ジアミン残基及び上記脂肪族トリアミン残基の炭素数が4以上であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が、硬化前における可撓性及び加工性、及び、硬化後の誘電特性により優れるものとなる。上記脂肪族ジアミン残基及び上記脂肪族トリアミン残基の炭素数のより好ましい下限は5、更に好ましい下限は6である。
また、上記脂肪族ジアミン残基及び上記脂肪族トリアミン残基の炭素数の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は60である。
上記脂肪族ジアミン残基の由来となる脂肪族ジアミンとしては、例えば、ダイマー酸から誘導される脂肪族ジアミンや、直鎖状若しくは分岐鎖状脂肪族ジアミンや、脂肪族エーテルジアミンや、脂肪族脂環式ジアミン等が挙げられる。
上記ダイマー酸から誘導される脂肪族ジアミンとしては、例えば、ダイマージアミン、水添型ダイマージアミン等が挙げられる。
上記直鎖状若しくは分岐鎖状脂肪族ジアミンとしては、例えば、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、1,20-エイコサンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2-メチル-1,9-ノナンジアミン、2,7-ジメチル-1,8-オクタンジアミン等が挙げられる。
上記脂肪族エーテルジアミンとしては、例えば、2,2’-オキシビス(エチルアミン)、3,3’-オキシビス(プロピルアミン)、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン等が挙げられる。
上記脂肪族脂環式ジアミンとしては、例えば、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
なかでも、上記脂肪族ジアミン残基は、上記ダイマー酸から誘導される脂肪族ジアミン残基であることが好ましい。
上記脂肪族トリアミン残基の由来となる脂肪族トリアミンとしては、例えば、トリマー酸から誘導される脂肪族トリアミンや、直鎖状若しくは分岐鎖状脂肪族トリアミンや、脂肪族エーテルトリアミンや、脂肪族脂環式トリアミン等が挙げられる。
上記トリマー酸から誘導される脂肪族トリアミンとしては、例えば、トリマートリアミン、水添型トリマートリアミン等が挙げられる。
上記直鎖状若しくは分岐鎖状脂肪族トリアミンとしては、例えば、3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、3,3’-ジアミノジプロピルアミン、ジエチレントリアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、2,2’-ビス(メチルアミノ)-N-メチルジエチルアミン等が挙げられる。
なかでも、上記脂肪族トリアミン残基は、上記トリマー酸から誘導される脂肪族トリアミン残基であることが好ましい。
また、上記脂肪族ジアミン及び/又は上記脂肪族トリアミンとして、上記ダイマージアミン及び上記トリマートリアミンの混合物を用いることもできる。
上記ダイマー酸及び/又は上記トリマー酸から誘導される脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミンの市販品としては、例えば、BASF社製の脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミンや、クローダ社製の脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミン等が挙げられる。
上記BASF社製の脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミンとしては、例えば、バーサミン551、バーサミン552等が挙げられる。
上記クローダ社製の脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミンとしては、例えば、プリアミン1071、プリアミン1073、プリアミン1074、プリアミン1075等が挙げられる。
上記式(1-1)、上記式(1-2)、上記式(2-1)、又は、上記式(2-2)中のBが上記芳香族ジアミン残基である場合の該芳香族ジアミン残基は、下記式(4-1)又は下記式(4-2)で表される2価の基であることが好ましい。
Figure 2023118258000004
式(4-1)及び式(4-2)中、*は、結合位置であり、式(4-1)中、Yは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、芳香環を有する2価の基である。Yが炭化水素基である場合、該炭化水素基と式(4-1)中の各芳香環との間に酸素原子を有していてもよく、Yが芳香環を有する2価の基である場合、該芳香環を有する2価の基と式(4-1)中の各芳香環との間に酸素原子を有していてもよい。式(4-1)及び式(4-2)中における芳香環の水素原子は置換されていてもよい。
上記式(4-1)中のYが、直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、芳香環を有する2価の基である場合、これらの基は、置換されていてもよい。
上記直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、上記芳香環を有する2価の基が置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、脂環式基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
上記芳香族ジアミン残基の由来となる芳香族ジアミンとしては、例えば、後述する式(10)で表されるジアミンが芳香族ジアミンである場合のもの等が挙げられる。
また、上記イミドオリゴマーは、構造中にシロキサン骨格を有する場合、構造中にシロキサン骨格を有する場合、硬化後のガラス転移温度を低下させたり、被着体を汚染し接着不良の原因となり得ることから、構造中にシロキサン骨格を有さないイミドオリゴマーであることが好ましい。
上記イミドオリゴマーの数平均分子量は、5000以下であることが好ましい。上記イミドオリゴマーの数平均分子量が5000以下であることにより、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物が長期耐熱性により優れるものとなる。上記イミドオリゴマーの数平均分子量のより好ましい上限は4000、更に好ましい上限は3000である。
特に、上記イミドオリゴマーの数平均分子量は、上記式(1-1)、上記式(2-1)で表される構造を有する場合は900以上5000以下であることが好ましく、上記式(1-2)、上記式(2-2)で表される構造を有する場合は550以上4000以下であることが好ましい。上記式(1-1)、上記式(2-1)で表される構造を有する場合の数平均分子量のより好ましい下限は950、更に好ましい下限は1000である。上記式(1-2)、上記式(2-2)で表される構造を有する場合の数平均分子量のより好ましい下限は580、更に好ましい下限は600である。
なお、本明細書において上記「数平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による数平均分子量を測定する際に用いるカラムとしては、例えば、JAIGEL-2H-A(日本分析工業社製)等が挙げられる。
上記イミドオリゴマーは、具体的には、下記式(5-1)、下記式(5-2)、下記式(5-3)、下記式(5-4)、若しくは、下記式(5-5)で表されるイミドオリゴマー、又は、下記式(6-1)、下記式(6-2)、下記式(6-3)、下記式(6-4)、若しくは、下記式(6-5)で表されるイミドオリゴマーであることが好ましい。
Figure 2023118258000005
式(5-1)~(5-5)中、Aは、上記酸二無水物残基であり、式(5-1)、(5-3)~(5-5)中、Aは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(5-1)~(5-4)中、Bは、上記脂肪族ジアミン残基若しくは上記芳香族ジアミン残基であり、式(5-3)及び式(5-4)中、Bは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(5-5)中、Bは、上記脂肪族トリアミン残基若しくは上記芳香族トリアミン残基である。式(5-2)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基であり、式(5-4)中、Wは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基である。式(5-3)及び式(5-4)中、nは、繰り返し数である。
Figure 2023118258000006
式(6-1)~(6-5)中、Aは、上記酸二無水物残基であり、式(6-1)~(6-5)中、Aは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(6-1)~(6-5)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基であり、式(6-1)、式(6-3)、及び、式(6-5)中、Rは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(6-2)及び式(6-4)中、Wは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基である。式(6-1)~(6-4)中、Bは、上記脂肪族ジアミン残基若しくは上記芳香族ジアミン残基であり、式(6-3)及び式(6-4)中、Bは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(6-5)中、Bは、上記脂肪族トリアミン残基若しくは上記芳香族トリアミン残基である。
上記式(5-1)~(5-5)、及び、上記式(6-1)~(6-5)中のAは、下記式(7-1)又は下記式(7-2)で表される4価の基であることが好ましい。
Figure 2023118258000007
式(7-1)及び式(7-2)中、*は、結合位置であり、式(7-1)中、Zは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、芳香環を有する2価の基である。Zが炭化水素基である場合、該炭化水素基と式(7-1)中の各芳香環との間に酸素原子を有していてもよく、Zが芳香環を有する2価の基である場合、該芳香環を有する2価の基と式(7-1)中の各芳香環との間に酸素原子を有していてもよい。式(7-1)及び式(7-2)中における芳香環の水素原子は置換されていてもよい。
上記式(5-1)~(5-5)、及び、上記式(6-1)~(6-5)中のBは、下記式(8-1)又は下記式(8-2)で表される2価の基であることが好ましい。
Figure 2023118258000008
式(8-1)及び式(8-2)中、*は、結合位置であり、式(8-1)中、Yは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、芳香環を有する2価の基である。Yが炭化水素基である場合、該炭化水素基と式(8-1)中の各芳香環との間に酸素原子を有していてもよく、Yが芳香環を有する2価の基である場合、該芳香環を有する2価の基と式(8-1)中の各芳香環との間に酸素原子を有していてもよい。式(8-1)及び式(8-2)中における芳香環の水素原子は置換されていてもよい。
上記式(1-1)で表される構造を有するイミドオリゴマーを製造する方法としては、例えば、下記式(9)で表される酸二無水物と下記式(10)で表されるジアミンとを反応させる方法等が挙げられる。また、下記式(10)で表されるジアミンに代えて脂肪族トリアミン又は芳香族トリアミンを用いることにより、上記式(2-1)で表される構造を有するイミドオリゴマーを製造することができる。
Figure 2023118258000009
式(9)中、Aは、上記式(1-1)中のAと同じ4価の基である。
Figure 2023118258000010
式(10)中、Bは、上記式(1-1)中のBと同じ2価の基であり、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基である。
上記式(9)で表される酸二無水物と上記式(10)で表されるジアミンとを反応させる方法の具体例を以下に示す。
まず、予め上記式(10)で表されるジアミンを、反応により得られるアミック酸オリゴマーが可溶な溶媒(例えば、N-メチルピロリドン等)に溶解させ、得られた溶液に上記式(9)で表される酸二無水物を添加して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得る。次いで、加熱や減圧等により溶媒を除去し、更に、約200℃以上で1時間以上加熱してアミック酸オリゴマーを反応させる方法等が挙げられる。上記式(9)で表される酸二無水物と上記式(10)で表されるジアミンとのモル比、及び、イミド化条件を調整することにより、所望の数平均分子量を有し、両末端に上記式(1-1)で表される構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。
また、上記式(9)で表される酸二無水物の一部を下記式(11)で表される酸無水物に置き換えることにより、所望の数平均分子量を有し、一方の末端に上記式(1-1)で表される構造を有し、他方の末端に下記式(11)で表される酸無水物に由来する構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。この場合、上記式(9)で表される酸二無水物と下記式(11)で表される酸無水物とは、同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。
更に、上記式(10)で表されるジアミンの一部を下記式(12)で表されるモノアミンに置き換えることにより、所望の数平均分子量を有し、一方の末端に上記式(1-1)で表される構造を有し、他方の末端に下記式(12)で表されるモノアミンに由来する構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。この場合、上記式(10)で表されるジアミンと下記式(12)で表されるモノアミンとは、同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。
Figure 2023118258000011
式(11)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基である。
Figure 2023118258000012
式(12)中、Arは、置換されていてもよい1価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基である。
上記式(1-2)で表される構造を有するイミドオリゴマーを製造する方法としては、例えば、上記式(9)で表される酸二無水物と上記式(10)で表されるジアミンと下記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとを反応させる方法等が挙げられる。また、上記式(10)で表されるジアミンに代えて脂肪族トリアミン又は芳香族トリアミンを用いることにより、上記式(2-2)で表される構造を有するイミドオリゴマーを製造することができる。
Figure 2023118258000013
式(13)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基である。
上記式(9)で表される酸二無水物と上記式(10)で表されるジアミンと上記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとを反応させる方法の具体例を以下に示す。
まず、予め上記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミン及び上記式(10)で表されるジアミンを、反応により得られるアミック酸オリゴマーが可溶な溶媒(例えば、N-メチルピロリドン等)に溶解させ、得られた溶液に上記式(9)で表される酸二無水物を添加して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得る。次いで、加熱や減圧等により溶媒を除去し、更に、約200℃以上で1時間以上加熱してアミック酸オリゴマーを反応させる方法等が挙げられる。上記式(9)で表される酸二無水物と上記式(10)で表されるジアミンと上記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとのモル比、及び、イミド化条件を調整することにより、所望の数平均分子量を有し、両末端に上記式(1-2)で表される構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。
また、上記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンの一部を上記式(12)で表されるモノアミンに置き換えることにより、所望の数平均分子量を有し、一方の末端に上記式(1-2)で表される構造を有し、他方の末端に上記式(12)で表されるモノアミンに由来する構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。この場合、上記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンと上記式(12)で表されるモノアミンとは、同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。
上記式(9)で表される酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸無水物、3,3’-オキシジフタル酸無水物、3,4’-オキシジフタル酸無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシルフェノキシ)ジフェニルエーテルの酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリテート無水物)、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
なかでも、溶解性及び耐熱性により優れるものとなることから、上記イミドオリゴマーの原料に用いる酸二無水物としては、融点が240℃以下の芳香族性酸二無水物が好ましく、融点が220℃以下の芳香族性酸二無水物がより好ましく、融点が200℃以下の芳香族性酸二無水物が更に好ましく、3,4’-オキシジフタル酸二無水物(融点180℃)、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(融点190℃)が特に好ましい。
なお、本明細書において上記「融点」は、示差走査熱量計を用いて、10℃/minにて昇温した際の吸熱ピークの温度として測定される値を意味する。上記示差走査熱量計としては、例えば、EXTEAR DSC6100(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)等が挙げられる。
上記式(10)で表されるジアミンのうち、芳香族ジアミンとしては、例えば、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフォン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)メタン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,4-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシフェニルメタン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシフェニルエーテル、ビスアミノフェニルフルオレン、ビストルイジンフルオレン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシフェニルエーテル、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジヒドロキシビフェニル等が挙げられる。なかでも、入手性に優れることから、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,4-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンが好ましく、更に溶解性及び耐熱性に優れることから、1,3-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,4-ビス(2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンがより好ましい。
上記式(11)で表される酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、3-メチルフタル酸無水物、4-メチルフタル酸無水物、1,2-ナフタル酸無水物、2,3-ナフタル酸無水物、1,8-ナフタル酸無水物、2,3-アントラセンジカルボキシ酸無水物、4-tert-ブチルフタル酸無水物、4-エチニルフタル酸無水物、4-フェニルエチニルフタル酸無水物、4-フルオロフタル酸無水物、4-クロロフタル酸無水物、4-ブロモフタル酸無水物、3,4-ジクロロフタル酸無水物等が挙げられる。
上記式(12)で表されるモノアミンとしては、例えば、アニリン、o-トルイジン、m-トルイジン、p-トルイジン、2,4-ジメチルアニリン、3,4-ジメチルアニリン、3,5-ジメチルアニリン、2-tert-ブチルアニリン、3-tert-ブチルアニリン、4-tert-ブチルアニリン、1-ナフチルアミン、2-ナフチルアミン、1-アミノアントラセン、2-アミノアントラセン、9-アミノアントラセン、1-アミノピレン、3-クロロアニリン、o-アニシジン、m-アニシジン、p-アニシジン、1-アミノ-2-メチルナフタレン、2,3-ジメチルアニリン、2,4-ジメチルアニリン、2,5-ジメチルアニリン、3,4-ジメチルアニリン、4-エチルアニリン、4-エチニルアニリン、4-イソプロピルアニリン、4-(メチルチオ)アニリン、N,N-ジメチル-1,4-フェニレンジアミン等が挙げられる。
上記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとしては、例えば、3-アミノフェノール、4-アミノフェノール、4-アミノ-o-クレゾール、5-アミノ-o-クレゾール、4-アミノ-2,3-キシレノール、4-アミノ-2,5-キシレノール、4-アミノ-2,6-キシレノール、4-アミノ-1-ナフトール、5-アミノ-2-ナフトール、6-アミノ-1-ナフトール、4-アミノ-2,6-ジフェニルフェノール等が挙げられる。なかでも、入手性及び保存安定性に優れ、硬化後に高いガラス転移温度が得られることから、4-アミノ-o-クレゾール、5-アミノ-o-クレゾールが好ましい。
上述した製造方法で上記イミドオリゴマーを製造した場合、上記イミドオリゴマーは、上記式(1-1)で表される構造を有する複数種のイミドオリゴマー又は上記式(1-2)で表される構造を有する複数種のイミドオリゴマーと、各原料との混合物(イミドオリゴマー組成物)に含まれるものとして得られる。上記式(10)で表されるジアミンに代えて脂肪族トリアミン又は芳香族トリアミンを用いた場合は、上記イミドオリゴマーは、上記式(2-1)で表される構造を有する複数種のイミドオリゴマー又は上記式(2-2)で表される構造を有する複数種のイミドオリゴマーと、各原料との混合物(イミドオリゴマー組成物)に含まれるものとして得られる。該イミドオリゴマー組成物は、イミド化率が70%以上であることにより、硬化剤として用いた場合に高温での機械的強度及び長期耐熱性により優れる硬化物を得ることができる。
上記イミドオリゴマー組成物のイミド化率の好ましい下限は75%、より好ましい下限は80%である。また、上記イミドオリゴマー組成物のイミド化率の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は98%である。
なお、上記「イミド化率」は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いて全反射測定法(ATR法)にて測定を行い、アミック酸のカルボニル基に由来する1660cm-1付近のピーク吸光度面積から下記式にて導出することができる。上記フーリエ変換赤外分光光度計としては、例えば、UMA600(Agilent Technologies社製)等が挙げられる。なお、下記式中における「アミック酸オリゴマーのピーク吸光度面積」は、酸二無水物とジアミン又はフェノール性水酸基含有モノアミンとを反応させた後、イミド化工程を行わずに溶媒をエバポレーション等により除去することで得られるアミック酸オリゴマーの吸光度面積である。
イミド化率(%)=100×(1-(イミド化後のピーク吸光度面積)/(アミック酸オリゴマーのピーク吸光度面積))
上記イミドオリゴマー組成物は、硬化性樹脂組成物中における溶解性の観点から、25℃においてテトラヒドロフラン10gに対して3g以上溶解することが好ましい。
上記硬化性樹脂と上記硬化剤(後述する硬化促進剤を含有する場合は更に硬化促進剤)との合計100重量部中における上記硬化剤の含有量の好ましい下限は20重量部、好ましい上限は80重量部である。上記硬化剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が、硬化性及び保存安定性により優れるものとなる。上記硬化剤の含有量のより好ましい下限は25重量部、より好ましい上限は75重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、無機充填剤を含有する。
上記無機充填剤を含有することにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物が誘電特性に優れるものとなる。
上記無機充填剤は、上記硬化性樹脂と無機充填剤とのSP値の差の絶対値、上記硬化性樹脂と溶剤とのSP値の差の絶対値、及び、上記無機充填剤と溶剤とのSP値の差の絶対値の合計が10.0未満となるように、種類を選択したり、2種以上用いる場合はその含有割合を調整したりして用いられる。
上記無機充填剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、ベーマイト等が挙げられる。なかでも、シリカが好ましい。
上記無機充填剤の平均粒子径の好ましい下限は0.2μm、好ましい上限は5μmである。上記無機充填剤の平均粒子径がこの範囲であることにより、塗工性等を悪化させることなく、硬化性樹脂組成物中における分散性により優れるものとなり、硬化物の誘電特性と接着性とを両立する効果により優れるものとなる。上記無機充填剤の平均粒子径のより好ましい下限は0.5μm、より好ましい上限は2μmである。
なお、上記無機充填剤の平均粒子径は、粒度分布測定装置を用いて、上記無機充填剤を溶媒(水、有機溶媒等)に分散させて測定することができる。上記粒度分布測定装置としては、例えば、NICOMP 380ZLS(PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)等が挙げられる。
上記硬化性樹脂組成物の固形分全体100重量部中における上記無機充填剤の含有量の好ましい下限は65重量部である。上記無機充填剤の含有量が65重量部以上であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が硬化後の誘電特性により優れるものとなる。上記無機充填剤の含有量のより好ましい下限は70重量部である。
また、塗工性及び接着性の観点から、上記硬化性樹脂組成物の固形分全体100重量部中における上記無機充填剤の含有量の好ましい上限は73重量部、より好ましい上限は71重量部である。
なお、本明細書において、上記「硬化性樹脂組成物の固形分全体」とは、硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤以外の成分全体を意味する。
上記硬化性樹脂組成物は、溶剤を含有する。
上記溶剤は、上記硬化性樹脂と無機充填剤とのSP値の差の絶対値、上記硬化性樹脂と溶剤とのSP値の差の絶対値、及び、上記無機充填剤と溶剤とのSP値の差の絶対値の合計が10.0未満となるように、種類を選択したり、2種以上用いる場合はその含有割合を調整したりして用いられる。
上記溶剤としては、塗工性や貯蔵安定性等の観点から、沸点が200℃未満の溶剤が好ましい。
上記沸点が200℃未満の溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、ハロゲン系溶剤、エーテル系溶剤、含窒素系溶剤等が挙げられる。
上記アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ノルマルブチルアルコール、ターシャリーブチルアルコール、2-エチエルヘキサノール等が挙げられる。
上記ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
上記エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸アミル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が挙げられる。
上記炭化水素系溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、イソオクタン、ノルマルデカン、ノルマルヘプタン等が挙げられる。
上記ハロゲン系溶剤としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン等が挙げられる。
上記エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、3-メトキシブタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、4-メチルアニソール等が挙げられる。
上記含窒素系溶剤としては、例えば、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
なかでも、取り扱い性やイミドオリゴマーの溶解性等の観点から、沸点が60℃以上200℃未満のケトン系溶剤、沸点が60℃以上200℃未満のエステル系溶剤、及び、沸点が60℃以上200℃未満のエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。このような溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール等が挙げられる。
なお、上記「沸点」は、101kPaの条件で測定される値、又は、沸点換算図表等で101kPaに換算された値を意味する。
上記溶剤を含む硬化性樹脂組成物100重量部中における上記溶剤の含有量の好ましい下限は20重量部、好ましい上限は90重量部である。上記溶剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が塗工性等により優れるものとなる。上記溶剤の含有量のより好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は80重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含有することが好ましい。上記硬化促進剤を含有することにより、硬化時間を短縮させて生産性を向上させることができる。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、3級アミン系硬化促進剤、ホスフィン系硬化促進剤、リン系硬化促進剤、光塩基発生剤、スルホニウム塩系硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、保存安定性に優れることから、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。上記硬化促進剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記硬化促進剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記硬化剤と上記硬化促進剤との合計100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が10重量部である。上記硬化促進剤の含有量がこの範囲であることにより、優れた接着性等を維持したまま、硬化時間を短縮させる効果により優れるものとなる。上記硬化促進剤の含有量のより好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は5重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、応力緩和、靭性付与等を目的として有機充填剤を含有してもよい。
上記有機充填剤としては、例えば、シリコーンゴム粒子、アクリルゴム粒子、ウレタンゴム粒子、ポリアミド粒子、ポリアミドイミド粒子、ポリイミド粒子、ベンゾグアナミン粒子、及び、これらのコアシェル粒子等が挙げられる。なかでも、ポリアミド粒子、ポリアミドイミド粒子、ポリイミド粒子が好ましい。
上記有機充填剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記硬化剤(上記硬化促進剤を含有する場合は更に上記硬化促進剤)との合計100重量部に対して、好ましい上限が300重量部である。上記有機充填剤の含有量がこの範囲であることにより、優れた接着性等を維持したまま、得られる硬化物が靭性等により優れるものとなる。上記有機充填剤の含有量のより好ましい上限は200重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲でポリマー成分を含有してもよい。上記ポリマー成分は、造膜成分としての役割を果たす。
上記ポリマー成分の数平均分子量の好ましい下限は3000、好ましい上限は10万である。上記ポリマー成分の数平均分子量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が硬化前における可撓性及び加工性、及び、硬化後の耐熱性により優れるものとなる。上記ポリマー成分の数平均分子量のより好ましい下限は5000、より好ましい上限は8万である。
上記ポリマー成分としては、例えば、ポリイミド、フェノキシ樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリマレイミド、シアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル等が挙げられる。なかでも、耐熱性の観点から、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリマレイミドが好ましく、ポリイミドがより好ましい。
上記ポリマー成分の含有量は、上記硬化性樹脂と上記硬化剤(上記硬化促進剤を含有する場合は更に上記硬化促進剤)との合計100重量部に対して、好ましい下限が0.5重量部、好ましい上限が20重量部である。上記ポリマー成分の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物が耐熱性により優れるものとなる。上記ポリマー成分の含有量のより好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は10重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で難燃剤を含有してもよい。
上記難燃剤としては、例えば、ベーマイト型水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水和物、ハロゲン系化合物、りん系化合物、窒素化合物等が挙げられる。なかでも、ベーマイト型水酸化アルミニウムが好ましい。
上記難燃剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記硬化剤(上記硬化促進剤を含有する場合は更に上記硬化促進剤)との合計100重量部に対して、好ましい上限が200重量部である。上記難燃剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が優れた接着性等を維持したまま、難燃性に優れるものとなる。上記難燃剤の含有量のより好ましい上限は150重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で反応性希釈剤を含有してもよい。
上記反応性希釈剤としては、接着信頼性の観点から、1分子中に2つ以上の反応性官能基を有する反応性希釈剤が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、分散剤、カップリング剤、貯蔵安定化剤、ブリード防止剤、フラックス剤、レベリング剤等の添加剤を含有してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、混合機を用いて、硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填剤と、溶剤と、必要に応じて用いられるポリマー成分等とを混合する方法等が挙げられる。上記混合機としては、例えば、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、90℃、歪5%、1rad/secにおける複素粘度の好ましい上限が8000Pa・sである。上記90℃、歪5%、1rad/secにおける複素粘度が8000Pa・s以下であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、無機充填剤の分散状態がより均一となって、硬化後の接着性により優れるものとなる。上記90℃、歪5%、1rad/secにおける複素粘度のより好ましい上限は7500Pa・s、更に好ましい上限は7000Pa・sである。
また、上記90℃、歪5%、1rad/secにおける複素粘度の好ましい下限は特にないが、実質的な下限は500Pa・sである。
なお、上記90℃、歪5%、1rad/secにおける複素粘度は、硬化性樹脂組成物フィルムについて、回転式レオメーターを用いて、周波数0.01Hzから1Hz、90℃の条件で測定することができる。上記硬化性樹脂組成物フィルムは、硬化性樹脂組成物を基材フィルム上に塗工し、乾燥させることにより得ることができる。上記回転式レオメーターとしては、例えば、HAAKE MARSシリーズ(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、VAR-100(レオロジカ社製)、ARES(TAインスツルメント社製)等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物を基材フィルム上に塗工し、乾燥させることにより、本発明の硬化性樹脂組成物からなる硬化性樹脂組成物フィルムを得ることができ、該硬化性樹脂組成物フィルムを硬化させて硬化物を得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物の23℃における誘電正接の好ましい上限が0.0045である。上記硬化物の23℃における誘電正接がこの範囲であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、多層プリント配線板等の層間絶縁材料に好適に用いることができる。上記硬化物の23℃における誘電正接のより好ましい上限は0.0040、更に好ましい上限は0.0035である。
なお、上記「誘電正接」は、誘電率測定装置及びネットワークアナライザーを用いて1.0GHzの条件で測定される値である。なお、上記「誘電正接」を測定する硬化物は、厚さを40~200μmとした上記硬化性樹脂組成物フィルムを190℃で90分間加熱することにより得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、広い用途に用いることができる。例えば、プリント配線基板用接着剤、フレキシブルプリント回路基板のカバーレイ用接着剤、銅張積層板、半導体接合用接着剤、層間絶縁材料、プリプレグ、LED用封止剤、構造材料用接着剤等に用いることができる。
特に、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化物が低誘電率、低誘電正接であり、誘電特性に優れるため、多層プリント配線板等の層間絶縁材料に好適に用いることができる。本発明の硬化性樹脂組成物を用いてなる層間絶縁材料もまた、本発明の1つである。
本発明によれば、硬化後の誘電特性及び接着性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物を用いてなる層間絶縁材料を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(合成例1(イミドオリゴマー組成物の作製))
4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(東京化成工業社製)104重量部をN-メチルピロリドン(富士フイルム和光純薬社製、「NMP」)300重量部に溶解させた。得られた溶液にダイマージアミンであるプリアミン1074(クローダ社製)28重量部をN-メチルピロリドン100重量部で希釈した溶液を添加し、25℃で2時間撹拌して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得た。得られたアミック酸オリゴマー溶液からN-メチルピロリドンを減圧除去した後、300℃で2時間加熱することにより、イミドオリゴマー組成物(イミド化率93%)を得た。
なお、得られたイミドオリゴマー組成物は、H-NMR、GPC、及び、FT-IR分析により、上記式(5-1)又は(5-3)で表される構造を有するイミドオリゴマー(Aは4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物残基、Bはダイマージアミン残基)を含むことを確認した。また、該イミドオリゴマー組成物の数平均分子量は2200、SP値は27.1であった。
(合成例2(ポリイミド樹脂溶液の作製))
撹拌機、分水器、及び、窒素ガス導入管を備えた反応容器に4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(東京化成工業社製)54.6重量部、及び、シクロヘキサノン200重量部を仕込み、溶解させた。得られた溶液に、ダイマージアミンであるプリアミン1074(クローダ社製)56.1重量部とシクロヘキサノン55.0重量部の混合溶液を滴下した後、150℃で8時間かけてイミド化反応を行い、ポリイミド樹脂溶液を得た。なお、得られたポリイミド樹脂溶液の固形分濃度は30重量%、ポリイミド樹脂の数平均分子量は25000であった。
(実施例1~5、比較例1、2)
表1に記載された配合比に従い、各材料を撹拌混合し、実施例1~5、比較例1、2の各硬化性樹脂組成物を作製した。
得られた各硬化性樹脂組成物を厚みが約20μmとなるように基材PETフィルム上に塗工し、乾燥させることにより、基材PETフィルム上に硬化性樹脂組成物フィルムを作製した。得られた硬化性樹脂組成物フィルムからPETフィルムを剥離し、厚み500μmになるようにラミネーターにより積層し、積層体を得た。得られた積層体について、回転式レオメーターを用いて、周波数0.01Hzから1.0Hzの条件で90℃まで加熱し、90℃、歪5%、1rad/secにおける複素粘度を測定した。上記回転式レオメーターとしては、ARES(TAインスツルメント社製)を用いた。複素粘度の測定結果を表1に示した。
<評価>
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(誘電特性)
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を基材PETフィルム上に塗工し、乾燥させることにより、基材PETフィルムと、該基材PETフィルム上に厚さが40μmの硬化性樹脂組成物層とを有する未硬化積層フィルムを得た。得られた未硬化積層フィルムを幅2mm、長さ80mmの大きさに裁断した。裁断後の未硬化積層フィルムの硬化性樹脂組成物層から基材PETフィルムを剥離し、ラミネーターを用いて硬化性樹脂組成物層を5層重ね合わせて厚さ約200μmの積層体を得た。得られた積層体を190℃で90分間加熱して、硬化体を得た。得られた硬化体について、空洞共振摂動法誘電率測定装置CP521(関東電子応用開発社製)及びネットワークアナライザーN5224A PNA(キーサイトテクノロジー社製)を用いて、空洞共振法で23℃、周波数1.0GHzにて誘電正接を測定した。
誘電正接が0.0035以下であった場合を「◎」、誘電正接が0.0035を超え0.0040以下であった場合を「○」、誘電正接が0.0040を超え0.0045以下であった場合を「△」、誘電正接が0.0045を超えた場合を「×」として誘電特性を評価した。
(銅箔に対する接着性)
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を、厚みが約20μmとなるようにポリイミド基材(東レ・デュポン社製、「カプトン100H」、厚さ25μm)上に塗工し、乾燥させることにより、ポリイミド基材上に硬化性樹脂組成物フィルムを有する積層体を得た。得られた積層体を1cm幅にカットし、硬化性樹脂組成物面側に厚さ35μmの銅箔(福田金属箔粉工業社製、電解銅箔の光沢面、「CF-T8G-UN-35」)を積層して、190℃、3MPa、1時間の条件で熱プレスを行い、硬化性樹脂組成物層を硬化させ試験片を得た。作製後24時間以内の試験片について、引張試験機(ORIENTEC社製、「UCT-500」)により、25℃において剥離速度50mm/minで90°ピール試験を行って剥離強度(初期接着力)を測定した。
初期接着力が6N/cm以上であった場合を「◎」、3N/cm以上6N/cm未満であった場合を「○」、3N/cm未満であった場合を「×」として銅箔に対する接着性を評価した。
Figure 2023118258000014
本発明によれば、硬化後の誘電特性及び接着性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物を用いてなる層間絶縁材料を提供することができる。

Claims (6)

  1. 硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填剤と、溶剤とを含有し、
    前記硬化性樹脂と前記無機充填剤との溶解度パラメータの差の絶対値、前記硬化性樹脂と前記溶剤との溶解度パラメータの差の絶対値、及び、前記無機充填剤と前記溶剤との溶解度パラメータの差の絶対値の合計が10.0未満である
    ことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 前記硬化性樹脂と前記硬化剤との溶解度パラメータの差の絶対値が8.0以下である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記無機充填剤は、シリカである請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記硬化性樹脂組成物の固形分全体100重量部中における前記無機充填剤の含有量が65重量部以上である請求項1、2又は3記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 更に、ポリマー成分を含有する請求項1、2、3又は4記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1、2、3、4又は5記載の硬化性樹脂組成物を用いてなる層間絶縁材料。
JP2022021113A 2022-02-15 2022-02-15 硬化性樹脂組成物及び層間絶縁材料 Pending JP2023118258A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022021113A JP2023118258A (ja) 2022-02-15 2022-02-15 硬化性樹脂組成物及び層間絶縁材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022021113A JP2023118258A (ja) 2022-02-15 2022-02-15 硬化性樹脂組成物及び層間絶縁材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023118258A true JP2023118258A (ja) 2023-08-25

Family

ID=87663080

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022021113A Pending JP2023118258A (ja) 2022-02-15 2022-02-15 硬化性樹脂組成物及び層間絶縁材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023118258A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7184641B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、及び、接着剤
TWI823848B (zh) 硬化性樹脂組成物、硬化物、接著劑、接著膜、覆蓋膜、可撓性覆銅積層板、及電路基板
JP7305315B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、接着剤、接着フィルム、カバーレイフィルム、及び、フレキシブル銅張積層板
JP7171365B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム
WO2021241548A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、接着剤、接着剤ワニス、接着フィルム、及び、硬化物
JP7265474B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、接着剤、接着フィルム、カバーレイフィルム、及び、フレキシブル銅張積層板
JP2023118258A (ja) 硬化性樹脂組成物及び層間絶縁材料
WO2023032723A1 (ja) 硬化性樹脂組成物及び層間絶縁材料
JP7563988B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム
JP2020200413A (ja) 硬化性樹脂組成物、接着剤、接着剤ワニス、接着フィルム、及び、硬化物
WO2021193437A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、接着剤、及び、接着フィルム
JP7168326B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、接着フィルム、及び、回路基板
JP7168325B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、接着フィルム、カバーレイフィルム、フレキシブル銅張積層板、及び、回路基板
JP7207863B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム
JP2021155493A (ja) 熱硬化性接着フィルム
JP2022188991A (ja) 熱硬化性樹脂組成物、接着剤、接着剤ワニス、接着フィルム、及び、硬化物
WO2023136098A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム
WO2022220253A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム
JP2021155494A (ja) 硬化性樹脂組成物、接着剤、及び、接着フィルム
JP2023067452A (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム
JP2022173783A (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム