JP2021155493A - 熱硬化性接着フィルム - Google Patents

熱硬化性接着フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2021155493A
JP2021155493A JP2020054440A JP2020054440A JP2021155493A JP 2021155493 A JP2021155493 A JP 2021155493A JP 2020054440 A JP2020054440 A JP 2020054440A JP 2020054440 A JP2020054440 A JP 2020054440A JP 2021155493 A JP2021155493 A JP 2021155493A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adhesive film
thermosetting adhesive
weight
examples
glass transition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020054440A
Other languages
English (en)
Inventor
さやか 脇岡
Sayaka Wakioka
さやか 脇岡
健太郎 北條
Kentaro Hojo
健太郎 北條
幸平 竹田
Kohei Takeda
幸平 竹田
良平 増井
Ryohei Masui
良平 増井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2020054440A priority Critical patent/JP2021155493A/ja
Publication of JP2021155493A publication Critical patent/JP2021155493A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

【課題】硬化前はハンドリング性及び貯蔵安定性に優れ、硬化後は接着性及び耐熱性に優れる熱硬化性接着フィルムを提供する。【解決手段】硬化前のガラス転移温度が−10℃以上25℃未満であり、硬化前における、初期ガラス転移温度と、25℃で72時間保管した後のガラス転移温度との差が10℃未満であり、かつ、硬化物の5%重量減少温度が350℃以上である熱硬化性接着フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化前はハンドリング性及び貯蔵安定性に優れ、硬化後は接着性及び耐熱性に優れる熱硬化性接着フィルムに関する。
低収縮であり、接着性、絶縁性、及び、耐薬品性に優れるエポキシ樹脂等の硬化性樹脂は、多くの工業製品に使用されている。特に電子機器用途では、短時間の耐熱性に関するはんだリフロー試験や繰り返しの耐熱性に関する冷熱サイクル試験において良好な結果が得られる硬化性樹脂組成物が多く用いられている。
例えば、特許文献1、2には、エポキシ樹脂と硬化剤としてイミド化合物とを含有する硬化性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、一般的にイミド化合物は常温で硬くて脆い性質があるため、特許文献1、2に開示された硬化性樹脂組成物は、常温での可撓性、加工性、流動性等に問題があった。
加工性や流動性等を向上させた硬化性樹脂組成物として、特許文献3には、液状エポキシ樹脂と、特定の反応性官能基を有するイミド化合物とを含有する硬化性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、特許文献3に開示された硬化性樹脂組成物でも流動性が充分とはいえず、流動性を更に向上させるために液状エポキシ樹脂の含有割合を増やした場合、耐熱性や接着性が低下するという問題があった。
また、特許文献4には、特定の反応性官能基を有するイミド化合物、エポキシ樹脂、及び、ビスマレイミド−トリアジン樹脂を含有する樹脂混合物にニトリルゴム成分を分散させることにより、硬化前の硬化性樹脂組成物の可撓性を向上させる方法が開示されている。しかしながら、特許文献4に開示された方法では、ニトリルゴム成分により硬化物の耐熱性が悪化するという問題があった。
特開昭61−270852号公報 特表2004−502859号公報 特開2007−91799号公報 特開平7−224269号公報
本発明は、硬化前はハンドリング性及び貯蔵安定性に優れ、硬化後は接着性及び耐熱性に優れる熱硬化性接着フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、硬化前のガラス転移温度が−10℃以上25℃未満であり、硬化前における、初期ガラス転移温度と、25℃で72時間保管した後のガラス転移温度との差が10℃未満であり、かつ、硬化物の5%重量減少温度が350℃以上である熱硬化性接着フィルムである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、熱硬化性樹脂組成物をフィルム化した熱硬化性接着フィルムについて、硬化前のガラス転移温度を特定の温度範囲内とし、硬化前における、初期ガラス転移温度と、25℃で72時間保管した後のガラス転移温度との差を特定の温度未満とし、かつ、硬化物の5%重量減少温度を特定の温度以上とすることを検討した。その結果、得られた熱硬化性接着フィルムは、硬化前(Bステージ)はハンドリング性及び貯蔵安定性に優れ、硬化後は接着性及び耐熱性に優れるものとなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の熱硬化性接着フィルムは、硬化前のガラス転移温度が−10℃以上25℃未満である。上記硬化前のガラス転移温度がこの範囲であることにより、本発明の熱硬化性接着フィルムは、硬化前のハンドリング性に優れるものとなる。上記硬化前のガラス転移温度の好ましい下限は−8℃、好ましい上限は23℃、より好ましい下限は−5℃、より好ましい上限は20℃である。
なお、硬化前の熱硬化性接着フィルムのガラス転移温度は、示差走査熱量計を用いて、昇温速度10℃/分で測定を行った際のガラス転移に伴う吸熱ピークの変曲点より求めることができる。上記示差走査熱量計としては、例えば、DSC7000シリーズ(日立ハイテクサイエンス社製)等が挙げられる。
本発明の熱硬化性接着フィルムは、硬化前における、初期ガラス転移温度と、25℃で72時間保管した後のガラス転移温度との差が10℃未満である。上記初期ガラス転移温度と上記25℃で72時間保管した後のガラス転移温度との差が10℃未満であることにより、本発明の熱硬化性接着フィルムは、硬化前の貯蔵安定性に優れるものとなる。上記初期ガラス転移温度と上記25℃で72時間保管した後のガラス転移温度との差の好ましい上限は9℃、より好ましい上限は8℃である。
なお、本明細書において上記初期ガラス転移温度は、熱硬化性接着フィルムを製造してから常温(15℃〜25℃)保管で6時間以内に測定されたガラス転移温度を意味する。熱硬化性接着フィルムを製造してから即座に冷蔵又は冷凍保管されたものについては、常温に戻してから6時間以内に測定されたガラス転移温度を意味する。
また、本明細書において上記25℃で72時間保管した後のガラス転移温度は、熱硬化性接着フィルムを製造してから25℃で72時間保管した後に測定されたガラス転移温度を意味する。熱硬化性接着フィルムを製造してから即座に冷蔵又は冷凍保管されたものについては、常温に戻してから25℃で72時間保管した後に測定されたガラス転移温度を意味する。なお、繰り返し冷解凍(冷蔵と常温との繰り返しも含む)の場合は、25℃での保管時間の合計が72時間に到達した時点で測定されたガラス転移温度を意味する。
本発明の熱硬化性接着フィルムは、硬化物の5%重量減少温度が350℃以上である。上記硬化物の5%重量減少温度が350℃以上であることにより、本発明の熱硬化性接着フィルムは、硬化後の耐熱性に優れ、車載用等の耐熱接着フィルムとして好適に用いることができる。上記硬化物の5%重量減少温度の好ましい下限は360℃、より好ましい下限は370℃である。
また、上記硬化物の5%重量減少温度の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は450℃である。
なお、上記5%重量減少温度は、熱重量測定装置を用いて、昇温速度10℃/minで30℃から500℃までの昇温条件で熱重量測定を行うことにより導出することができる。上記熱重量測定装置としては、例えば、TG/DTA6200(日立ハイテクサイエンス社製)等が挙げられる。
本発明の熱硬化性接着フィルムは、硬化性樹脂と硬化剤と硬化促進剤とを含有する熱硬化性樹脂組成物のフィルム化物であることが好ましい。
上記硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、マレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。なかでも、上記硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。これらの硬化性樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
また、上記硬化性樹脂は、常温でのタック性や、フィルム加工する場合等の加工性をより良好にするために、25℃において液状又は半固形状であることが好ましく、25℃において液状であることがより好ましく、25℃において液状のエポキシ樹脂を含むことが更に好ましい。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、トリアジン型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アルキルポリオール型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、グリシジルエステル化合物等が挙げられる。なかでも、粘度が低く、得られる熱硬化性樹脂組成物の加工性をより調整しやすくなることから、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、トリアジン型エポキシ樹脂が好ましい。
上記硬化剤としては、例えば、主鎖にイミド骨格、末端に架橋性官能基を有するイミドオリゴマー、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、チオール系硬化剤、アミン系硬化剤、シアネート系硬化剤、活性エステル系硬化剤等が挙げられる。なかでも、得られる熱硬化性接着フィルムの硬化物の接着性及び長期耐熱性の観点から、上記硬化剤は、上記イミドオリゴマーを含むことが好ましい。
上記イミドオリゴマーは、上記架橋性官能基を含む構造として、下記式(1−1)若しくは下記式(1−2)、又は、下記式(2−1)若しくは下記式(2−2)で表される構造を有することが好ましい。下記式(1−1)若しくは下記式(1−2)、又は、下記式(2−1)若しくは下記式(2−2)で表される構造を有することにより、上記イミドオリゴマーは、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂との反応性及び相溶性により優れるものとなる。
Figure 2021155493
式(1−1)及び式(1−2)中、Aは、酸二無水物残基であり、Bは、脂肪族ジアミン残基又は芳香族ジアミン残基であり、式(1−2)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基である。
Figure 2021155493
式(2−1)及び式(2−2)中、Aは、酸二無水物残基であり、Bは、脂肪族トリアミン残基又は芳香族トリアミン残基であり、式(2−2)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基である。
上記酸二無水物残基は、下記式(3−1)又は下記式(3−2)で表される4価の基であることが好ましい。
Figure 2021155493
式(3−1)及び式(3−2)中、*は、結合位置であり、式(3−1)中、Zは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である。式(3−1)及び式(3−2)中における芳香環の水素原子は置換されていてもよい。
上記式(3−1)中のZが、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である場合、これらの基は、置換されていてもよい。
上記結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、上記結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基が置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、脂環式基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
上記酸二無水物残基の由来となる酸二無水物としては、例えば、後述する式(9)で表される酸二無水物等が挙げられる。
上記式(1−1)、上記式(1−2)、上記式(2−1)、又は、上記式(2−2)中のBが上記脂肪族ジアミン残基及び/又は上記脂肪族トリアミン残基である場合の該脂肪族ジアミン残基及び該脂肪族トリアミン残基の炭素数の好ましい下限は4である。上記脂肪族ジアミン残基及び上記脂肪族トリアミン残基の炭素数が4以上であることにより、得られる熱硬化性接着フィルムが、硬化前におけるハンドリング性、及び、硬化後の誘電特性により優れるものとなる。上記脂肪族ジアミン残基及び上記脂肪族トリアミン残基の炭素数のより好ましい下限は5、更に好ましい下限は6である。
また、上記脂肪族ジアミン残基及び上記脂肪族トリアミン残基の炭素数の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は60である。
上記脂肪族ジアミン残基の由来となる脂肪族ジアミンとしては、例えば、ダイマー酸から誘導される脂肪族ジアミンや、直鎖若しくは分岐鎖脂肪族ジアミンや、脂肪族エーテルジアミンや、脂肪族脂環式ジアミン等が挙げられる。
上記ダイマー酸から誘導される脂肪族ジアミンとしては、例えば、ダイマージアミン、水添型ダイマージアミン等が挙げられる。
上記直鎖若しくは分岐鎖脂肪族ジアミンとしては、例えば、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、1,20−エイコサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2−メチル−1,9−ノナンジアミン、2,7−ジメチル−1,8−オクタンジアミン等が挙げられる。
上記脂肪族エーテルジアミンとしては、例えば、2,2’−オキシビス(エチルアミン)、3,3’−オキシビス(プロピルアミン)、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン等が挙げられる。
上記脂肪族脂環式ジアミンとしては、例えば、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
なかでも、上記脂肪族ジアミン残基は、上記ダイマー酸から誘導される脂肪族ジアミン残基であることが好ましい。
上記脂肪族トリアミン残基の由来となる脂肪族トリアミンとしては、例えば、トリマー酸から誘導される脂肪族トリアミンや、直鎖若しくは分岐鎖脂肪族トリアミンや、脂肪族エーテルトリアミンや、脂肪族脂環式トリアミン等が挙げられる。
上記トリマー酸から誘導される脂肪族トリアミンとしては、例えば、トリマートリアミン、水添型トリマートリアミン等が挙げられる。
上記直鎖若しくは分岐鎖脂肪族トリアミンとしては、例えば、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、3,3’−ジアミノジプロピルアミン、ジエチレントリアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、2,2’−ビス(メチルアミノ)−N−メチルジエチルアミン等が挙げられる。
なかでも、上記脂肪族トリアミン残基は、上記トリマー酸から誘導される脂肪族トリアミン残基であることが好ましい。
また、上記脂肪族ジアミン及び/又は上記脂肪族トリアミンとして、上記ダイマージアミン及び上記トリマートリアミンの混合物を用いることもできる。
上記ダイマー酸及び/又は上記トリマー酸から誘導される脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミンの市販品としては、例えば、BASF社製の脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミンや、クローダ社製の脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミン等が挙げられる。
上記BASF社製の脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミンとしては、例えば、バーサミン551、バーサミン552等が挙げられる。
上記クローダ社製の脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族トリアミンとしては、例えば、プリアミン1071、プリアミン1073、プリアミン1074、プリアミン1075等が挙げられる。
上記式(1−1)、上記式(1−2)、上記式(2−1)、又は、上記式(2−2)中のBが上記芳香族ジアミン残基である場合の該芳香族ジアミン残基は、下記式(4−1)又は下記式(4−2)で表される2価の基であることが好ましい。
Figure 2021155493
式(4−1)及び式(4−2)中、*は、結合位置であり、式(4−1)中、Yは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である。式(4−1)及び式(4−2)中における芳香環の水素原子は置換されていてもよい。
上記式(4−1)中のYが、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である場合、これらの基は、置換されていてもよい。
上記結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、上記結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基が置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、脂環式基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
上記芳香族ジアミン残基の由来となる芳香族ジアミンとしては、例えば、後述する式(10)で表されるジアミンが芳香族ジアミンである場合のもの等が挙げられる。
また、上記イミドオリゴマーは、構造中にシロキサン骨格を有する場合、硬化後のガラス転移温度を低下させたり、被着体を汚染し接着不良の原因となり得ることから、構造中にシロキサン骨格を有さないイミドオリゴマーであることが好ましい。
上記イミドオリゴマーの数平均分子量は、5000以下であることが好ましい。上記イミドオリゴマーの数平均分子量が5000以下であることにより、得られる熱硬化性接着フィルムの硬化物が長期耐熱性により優れるものとなる。上記イミドオリゴマーの数平均分子量のより好ましい上限は4000、更に好ましい上限は3000である。
特に、上記イミドオリゴマーの数平均分子量は、上記式(1−1)、上記式(2−1)で表される構造を有する場合は900以上5000以下であることが好ましく、上記式(1−2)、上記式(2−2)で表される構造を有する場合は550以上4000以下であることが好ましい。上記式(1−1)、上記式(2−1)で表される構造を有する場合の数平均分子量のより好ましい下限は950、更に好ましい下限は1000である。上記式(1−2)、上記式(2−2)で表される構造を有する場合の数平均分子量のより好ましい下限は580、更に好ましい下限は600である。
なお、本明細書において上記「数平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による数平均分子量を測定する際に用いるカラムとしては、例えば、JAIGEL−2H−A(日本分析工業社製)等が挙げられる。
上記イミドオリゴマーは、具体的には、下記式(5−1)、下記式(5−2)、下記式(5−3)、下記式(5−4)、若しくは、下記式(5−5)で表されるイミドオリゴマー、又は、下記式(6−1)、下記式(6−2)、下記式(6−3)、下記式(6−4)、若しくは、下記式(6−5)で表されるイミドオリゴマーであることが好ましい。
Figure 2021155493
式(5−1)〜(5−5)中、Aは、上記酸二無水物残基であり、式(5−1)〜(5−5)中、Aは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(5−1)〜(5−5)中、Bは、上記脂肪族ジアミン残基若しくは上記芳香族ジアミン残基、又は、上記脂肪族トリアミン残基若しくは上記芳香族トリアミン残基であり、式(5−3)及び式(5−4)中、Bは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(5−2)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基であり、式(5−4)中、Wは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基である。式(5−3)及び式(5−4)中、nは、繰り返し数である。
Figure 2021155493
式(6−1)〜(6−5)中、Aは、上記酸二無水物残基であり、式(6−1)〜(6−5)中、Aは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(6−1)〜(6−5)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基であり、式(6−1)、式(6−3)、及び、式(6−5)中、Rは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(6−2)及び式(6−4)中、Wは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基である。式(6−1)〜(6−5)中、Bは、上記脂肪族ジアミン残基若しくは上記芳香族ジアミン残基、又は、上記脂肪族トリアミン残基若しくは上記芳香族トリアミン残基であり、式(6−3)及び式(6−4)中、Bは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(5−1)〜(5−5)、及び、上記式(6−1)〜(6−5)中のAは、下記式(7−1)又は下記式(7−2)で表される4価の基であることが好ましい。
Figure 2021155493
式(7−1)及び式(7−2)中、*は、結合位置であり、式(7−1)中、Zは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である。式(7−1)及び式(7−2)中における芳香環の水素原子は置換されていてもよい。
上記式(5−1)〜(5−5)、及び、上記式(6−1)〜(6−5)中のBは、下記式(8−1)又は下記式(8−2)で表される2価の基であることが好ましい。
Figure 2021155493
式(8−1)及び式(8−2)中、*は、結合位置であり、式(8−1)中、Yは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である。式(8−1)及び式(8−2)中における芳香環の水素原子は置換されていてもよい。
上記式(1−1)で表される構造を有するイミドオリゴマーを製造する方法としては、例えば、下記式(9)で表される酸二無水物と下記式(10)で表されるジアミンとを反応させる方法等が挙げられる。また、下記式(10)で表されるジアミンに代えて脂肪族トリアミン又は芳香族トリアミンを用いることにより、上記式(2−1)で表される構造を有するイミドオリゴマーを製造することができる。
Figure 2021155493
式(9)中、Aは、上記式(1−1)中のAと同じ4価の基である。
Figure 2021155493
式(10)中、Bは、上記式(1−1)中のBと同じ2価の基であり、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基である。
上記式(9)で表される酸二無水物と上記式(10)で表されるジアミンとを反応させる方法の具体例を以下に示す。
まず、予め上記式(10)で表されるジアミンを、反応により得られるアミック酸オリゴマーが可溶な溶媒(例えば、N−メチルピロリドン等)に溶解させ、得られた溶液に上記式(9)で表される酸二無水物を添加して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得る。次いで、加熱や減圧等により溶媒を除去し、更に、約200℃以上で1時間以上加熱してアミック酸オリゴマーを反応させる方法等が挙げられる。上記式(9)で表される酸二無水物と上記式(10)で表されるジアミンとのモル比、及び、イミド化条件を調整することにより、所望の数平均分子量を有し、両末端に上記式(1−1)で表される構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。
また、上記式(9)で表される酸二無水物の一部を下記式(11)で表される酸無水物に置き換えることにより、所望の数平均分子量を有し、一方の末端に上記式(1−1)で表される構造を有し、他方の末端に下記式(11)で表される酸無水物に由来する構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。この場合、上記式(9)で表される酸二無水物と下記式(11)で表される酸無水物とは、同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。
更に、上記式(10)で表されるジアミンの一部を下記式(12)で表されるモノアミンに置き換えることにより、所望の数平均分子量を有し、一方の末端に上記式(1−1)で表される構造を有し、他方の末端に下記式(12)で表されるモノアミンに由来する構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。この場合、上記式(10)で表されるジアミンと下記式(12)で表されるモノアミンとは、同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。
Figure 2021155493
式(11)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基である。
Figure 2021155493
式(12)中、Arは、置換されていてもよい1価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基である。
上記式(1−2)で表される構造を有するイミドオリゴマーを製造する方法としては、例えば、上記式(9)で表される酸二無水物と上記式(10)で表されるジアミンと下記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとを反応させる方法等が挙げられる。また、上記式(10)で表されるジアミンに代えて脂肪族トリアミン又は芳香族トリアミンを用いることにより、上記式(2−2)で表される構造を有するイミドオリゴマーを製造することができる。
Figure 2021155493
式(13)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基である。
上記式(9)で表される酸二無水物と上記式(10)で表されるジアミンと上記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとを反応させる方法の具体例を以下に示す。
まず、予め上記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミン及び上記式(10)で表されるジアミンを、反応により得られるアミック酸オリゴマーが可溶な溶媒(例えば、N−メチルピロリドン等)に溶解させ、得られた溶液に上記式(9)で表される酸二無水物を添加して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得る。次いで、加熱や減圧等により溶媒を除去し、更に、約200℃以上で1時間以上加熱してアミック酸オリゴマーを反応させる方法等が挙げられる。上記式(9)で表される酸二無水物と上記式(10)で表されるジアミンと上記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとのモル比、及び、イミド化条件を調整することにより、所望の数平均分子量を有し、両末端に上記式(1−2)で表される構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。
また、上記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンの一部を上記式(12)で表されるモノアミンに置き換えることにより、所望の数平均分子量を有し、一方の末端に上記式(1−2)で表される構造を有し、他方の末端に上記式(12)で表されるモノアミンに由来する構造を有するイミドオリゴマーを得ることができる。この場合、上記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンと上記式(12)で表されるモノアミンとは、同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。
上記式(9)で表される酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸無水物、3,3’−オキシジフタル酸無水物、3,4’−オキシジフタル酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物、4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシルフェノキシ)ジフェニルエーテルの酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリテート無水物)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
なかでも、溶解性及び耐熱性により優れるものとなることから、上記イミドオリゴマーの原料に用いる酸二無水物としては、融点が240℃以下の芳香族性酸二無水物が好ましく、融点が220℃以下の芳香族性酸二無水物がより好ましく、融点が200℃以下の芳香族性酸二無水物が更に好ましく、3,4’−オキシジフタル酸二無水物(融点180℃)、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(融点190℃)が特に好ましい。
なお、本明細書において上記「融点」は、示差走査熱量計を用いて、10℃/minにて昇温した際の吸熱ピークの温度として測定される値を意味する。上記示差走査熱量計としては、例えば、EXTEAR DSC6100(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)等が挙げられる。
上記式(10)で表されるジアミンのうち、芳香族ジアミンとしては、例えば、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)メタン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシフェニルメタン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、ビスアミノフェニルフルオレン、ビストルイジンフルオレン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシビフェニル等が挙げられる。なかでも、入手性に優れることから、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンが好ましく、更に溶解性及び耐熱性に優れることから、1,3−ビス(2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンがより好ましい。
上記式(11)で表される酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、3−メチルフタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、1,2−ナフタル酸無水物、2,3−ナフタル酸無水物、1,8−ナフタル酸無水物、2,3−アントラセンジカルボキシ酸無水物、4−tert−ブチルフタル酸無水物、4−エチニルフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、4−フルオロフタル酸無水物、4−クロロフタル酸無水物、4−ブロモフタル酸無水物、3,4−ジクロロフタル酸無水物等が挙げられる。
上記式(12)で表されるモノアミンとしては、例えば、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,4−ジメチルアニリン、3,4−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン、2−tert−ブチルアニリン、3−tert−ブチルアニリン、4−tert−ブチルアニリン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセン、1−アミノピレン、3−クロロアニリン、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、1−アミノ−2−メチルナフタレン、2,3−ジメチルアニリン、2,4−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、3,4−ジメチルアニリン、4−エチルアニリン、4−エチニルアニリン、4−イソプロピルアニリン、4−(メチルチオ)アニリン、N,N−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン等が挙げられる。
上記式(13)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとしては、例えば、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、4−アミノ−o−クレゾール、5−アミノ−o−クレゾール、4−アミノ−2,3−キシレノール、4−アミノ−2,5−キシレノール、4−アミノ−2,6−キシレノール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、6−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−2,6−ジフェニルフェノール等が挙げられる。なかでも、入手性及び保存安定性に優れ、硬化後に高いガラス転移温度が得られることから、4−アミノ−o−クレゾール、5−アミノ−o−クレゾールが好ましい。
上述した製造方法で上記イミドオリゴマーを製造した場合、上記イミドオリゴマーは、上記式(1−1)で表される構造を有する複数種のイミドオリゴマー又は上記式(1−2)で表される構造を有する複数種のイミドオリゴマーと、各原料との混合物(イミドオリゴマー組成物)に含まれるものとして得られる。上記式(10)で表されるジアミンに代えて脂肪族トリアミン又は芳香族トリアミンを用いた場合は、上記イミドオリゴマーは、上記式(2−1)で表される構造を有する複数種のイミドオリゴマー又は上記式(2−2)で表される構造を有する複数種のイミドオリゴマーと、各原料との混合物(イミドオリゴマー組成物)に含まれるものとして得られる。該イミドオリゴマー組成物は、イミド化率が70%以上であることにより、硬化剤として用いた場合に高温での機械的強度及び長期耐熱性により優れる硬化物を得ることができる。
上記イミドオリゴマー組成物のイミド化率の好ましい下限は75%、より好ましい下限は80%である。また、上記イミドオリゴマー組成物のイミド化率の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は98%である。
なお、上記「イミド化率」は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いて全反射測定法(ATR法)にて測定を行い、アミック酸のカルボニル基に由来する1660cm−1付近のピーク吸光度面積から下記式にて導出することができる。上記フーリエ変換赤外分光光度計としては、例えば、UMA600(Agilent Technologies社製)等が挙げられる。なお、下記式中における「アミック酸オリゴマーのピーク吸光度面積」は、酸二無水物とジアミン又はフェノール性水酸基含有モノアミンとを反応させた後、イミド化工程を行わずに溶媒をエバポレーション等により除去することで得られるアミック酸オリゴマーの吸光度面積である。
イミド化率(%)=100×(1−(イミド化後のピーク吸光度面積)/(アミック酸オリゴマーのピーク吸光度面積))
上記イミドオリゴマー組成物は、硬化剤として熱硬化性樹脂組成物に用いた場合における溶解性の観点から、25℃においてテトラヒドロフラン10gに対して3g以上溶解することが好ましい。
硬化性樹脂と硬化剤と硬化促進剤との合計100重量部中における上記イミドオリゴマーの含有量の好ましい下限は20重量部、好ましい上限は80重量部である。上記イミドオリゴマーの含有量がこの範囲であることにより、得られる熱硬化性接着フィルムが、硬化前におけるハンドリング性、及び、硬化後の耐熱性により優れるものとなる。上記イミドオリゴマーの含有量のより好ましい下限は25重量部、より好ましい上限は75重量部である。
なお、上記イミドオリゴマーが上述したイミドオリゴマー組成物に含まれるものである場合、上記イミドオリゴマーの含有量は、該イミドオリゴマー組成物(更に他のイミドオリゴマーを併用する場合は該イミドオリゴマー組成物と他のイミドオリゴマーとの合計)の含有量を意味する。
上記硬化促進剤は、得られる熱硬化性接着フィルムの硬化前のガラス転移温度、硬化前における、上記初期ガラス転移温度と上記25℃で72時間保管した後のガラス転移温度との差、及び、上記5%重量減少温度を上述した範囲とすることがより容易となることから、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、及び、りん系化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、上記硬化促進剤は、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、及び、りん系化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含むマイクロカプセル型の硬化促進剤であってもよい。
上記熱硬化性樹脂組成物100重量部中における上記硬化促進剤の含有量の好ましい上限は1.8重量部である。上記硬化促進剤の含有量が1.8重量部以下であることにより、得られる熱硬化性接着フィルムの硬化前のガラス転移温度、硬化前における、上記初期ガラス転移温度と上記25℃で72時間保管した後のガラス転移温度との差を上述した範囲とすることがより容易となる。
また、得られる熱硬化性接着フィルムの硬化性、及び、上記5%重量減少温度を上述した範囲とする観点から、上記硬化促進剤の含有量のより好ましい下限は0.2重量部、より好ましい下限は0.3重量部である。
なお、上記「熱硬化性樹脂組成物100重量部」は、後述する溶剤を有する場合は該溶剤を除く熱硬化性樹脂組成物の構成成分の含有量の合計100重量部を意味する。
上記熱硬化性樹脂組成物は、ポリマー成分を含有することが好ましい。上記ポリマー成分は造膜成分としての役割を果たし、更に、上記ポリマー成分を用いることにより、本発明の熱硬化性接着フィルムの硬化物が耐熱性により優れるものとなる。
上記ポリマー成分の数平均分子量の好ましい下限は3000、好ましい上限は10万である。上記ポリマー成分の数平均分子量がこの範囲であることにより、得られる熱硬化性接着フィルムが硬化前のハンドリング性及び硬化物の耐熱性により優れるものとなる。上記ポリマー成分の数平均分子量のより好ましい下限は5000、より好ましい上限は8万である。
上記ポリマー成分としては、例えば、ポリイミド、フェノキシ樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリマレイミド、シアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。なかでも、耐熱性の観点から、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、及び、ポリマレイミドからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、ポリイミドを含むことがより好ましい。
上記ポリマー成分は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記ポリマー成分の含有量は、硬化性樹脂と熱硬化剤と硬化促進剤との合計100重量部に対して、好ましい下限が0.5重量部、好ましい上限が20重量部である。上記ポリマー成分の含有量がこの範囲であることにより、得られる熱硬化性接着フィルムの硬化前のハンドリング性及び硬化物の耐熱性がより優れるものとなる。上記ポリマー成分の含有量のより好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は15重量部である。
上記熱硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲において、無機充填剤を含有してもよい。
上記無機充填剤は、シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、及び、炭酸バリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、シリカ及び硫酸バリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。上記無機充填剤としてシリカ及び硫酸バリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含有することにより、本発明の熱硬化性接着フィルムは、吸湿リフロー耐性、めっき耐性、及び、硬化前のハンドリング性により優れるものとなる。
上記シリカ及び上記硫酸バリウム以外のその他の無機充填剤としては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、ガラスパウダー、ガラスフリット、ガラス繊維、カーボンファイバー、無機イオン交換体等が挙げられる。
上記無機充填剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記無機充填剤の平均粒子径の好ましい下限は50nm、好ましい上限は4μmである。上記無機充填剤の平均粒子径がこの範囲であることにより、得られる熱硬化性樹脂組成物が塗布性や加工性により優れるものとなる。上記無機充填剤の平均粒子径のより好ましい下限は100nm、より好ましい上限は3μmである。
上記無機充填剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記硬化剤と上記硬化促進剤との合計100重量部に対して、好ましい下限が10重量部、好ましい上限が200重量部である。上記無機充填剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる熱硬化性接着フィルムが硬化物の吸湿リフロー耐性、めっき耐性、及び、硬化前のハンドリング性により優れるものとなる。上記無機充填剤の含有量のより好ましい下限は20重量部、より好ましい上限は150重量部である。
上記熱硬化性樹脂組成物は、被着体への短時間での塗れ性と形状保持性とを向上させる等の目的で流動調整剤を含有することが好ましい。
上記流動調整剤としては、例えば、アエロジル等のヒュームドシリカや層状ケイ酸塩等が挙げられる。
上記流動調整剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
また、上記流動調整剤としては、平均粒子径が100nm未満のものが好適に用いられる。
上記流動調整剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記硬化剤と上記硬化促進剤との合計100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が50重量部である。上記流動調整剤の含有量がこの範囲であることにより、被着体への短時間での塗れ性と形状保持性とを向上させる等の効果により優れるものとなる。上記流動調整剤の含有量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は30重量部である。
上記熱硬化性樹脂組成物は、応力緩和、靭性付与等を目的として有機充填剤を含有してもよい。
上記有機充填剤としては、例えば、シリコーンゴム粒子、アクリルゴム粒子、ウレタンゴム粒子、ポリアミド粒子、ポリアミドイミド粒子、ポリイミド粒子、ベンゾグアナミン粒子、及び、これらのコアシェル粒子等が挙げられる。なかでも、ポリアミド粒子、ポリアミドイミド粒子、ポリイミド粒子が好ましい。
上記有機充填剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記有機充填剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記硬化剤と上記硬化促進剤との合計100重量部に対して、好ましい上限が300重量部である。上記有機充填剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる熱硬化性接着フィルムの硬化物が優れた接着性等を維持したまま、靭性等により優れるものとなる。上記有機充填剤の含有量のより好ましい上限は200重量部、更に好ましい上限は150重量部である。
本発明の熱硬化性接着フィルムは、難燃剤を含有してもよい。
上記難燃剤としては、例えば、ベーマイト型水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水和物、ハロゲン系化合物、りん系化合物、窒素化合物等が挙げられる。なかでも、ベーマイト型水酸化アルミニウムが好ましい。
上記難燃剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記難燃剤の含有量は、上記硬化性樹脂と上記硬化剤と上記硬化促進剤との合計100重量部に対して、好ましい下限が5重量部、好ましい上限が200重量部である。上記難燃剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる熱硬化性接着フィルムの硬化物が優れた接着性等を維持したまま、難燃性に優れるものとなる。上記難燃剤の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は150重量部である。
上記熱硬化性樹脂組成物は、塗工性等の観点から溶剤を含有してもよい。
上記溶剤としては、塗工性や貯蔵安定性等の観点から、沸点が200℃未満の溶剤が好ましい。
上記沸点が200℃未満の溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、ハロゲン系溶剤、エーテル系溶剤、含窒素系溶剤等が挙げられる。
上記アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ノルマルブチルアルコール、ターシャリーブチルアルコール、2−エチエルヘキサノール等が挙げられる。
上記ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
上記エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸アミル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が挙げられる。
上記炭化水素系溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、イソオクタン、ノルマルデカン、ノルマルヘプタン等が挙げられる。
上記ハロゲン系溶剤としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン等が挙げられる。
上記エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、3−メトキシブタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、4−メチルアニソール等が挙げられる。
上記含窒素系溶剤としては、例えば、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
なかでも、取り扱い性やイミドオリゴマーの溶解性等の観点から、沸点が60℃以上200℃未満のケトン系溶剤、沸点が60℃以上200℃未満のエステル系溶剤、及び、沸点が60℃以上200℃未満のエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。このような溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール等が挙げられる。
なお、上記「沸点」は、101kPaの条件で測定される値、又は、沸点換算図表等で101kPaに換算された値を意味する。
上記溶剤を含む熱硬化性樹脂組成物100重量部中における上記溶剤の含有量の好ましい下限は20重量部、好ましい上限は90重量部である。上記溶剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる熱硬化性樹脂組成物が塗工性等により優れるものとなる。上記溶剤の含有量のより好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は80重量部である。
上記熱硬化性樹脂組成物は、反応性希釈剤を含有してもよい。
上記反応性希釈剤としては、接着信頼性の観点から、1分子中に2つ以上の反応性官能基を有する反応性希釈剤が好ましい。
上記熱硬化性樹脂組成物は、更に、カップリング剤、分散剤、貯蔵安定化剤、ブリード防止剤、フラックス剤、レベリング剤等の添加剤を含有してもよい。
上記熱硬化性樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、混合機を用いて、硬化性樹脂と、硬化剤と、硬化促進剤と、ポリマー成分等とを混合する方法等が挙げられる。上記混合機としては、例えば、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂組成物を基材フィルム上に塗工し、乾燥させることにより、硬化前の本発明の熱硬化性接着フィルムを得ることができる。
本発明の熱硬化性接着フィルムは、広い用途に用いることができるが、特に高い耐熱性が求められている電子材料用途に好適に用いることができる。例えば、航空、車載用電気制御ユニット(ECU)用途や、SiC、GaNを用いたパワーデバイス用途におけるダイアタッチフィルム等に用いることができる。また、例えば、パワーオーバーレイパッケージ用接着フィルム、プリント配線基板用接着フィルム、フレキシブルプリント配線板のカバーレイフィルム用接着フィルム、銅張積層板、半導体接合用接着フィルム、層間絶縁膜、プリプレグ、LED用封止フィルム、構造材料用接着フィルム等にも用いることができる。
本発明によれば、硬化前はハンドリング性及び貯蔵安定性に優れ、硬化後は接着性及び耐熱性に優れる熱硬化性接着フィルムを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(合成例1(イミドオリゴマー組成物Aの作製))
4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(東京化成工業社製)104重量部をN−メチルピロリドン(富士フイルム和光純薬社製、「NMP」)300重量部に溶解させた。得られた溶液に1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(セイカ社製、「TPE−R」)29.2重量部をN−メチルピロリドン100重量部で希釈した溶液を添加し、25℃で2時間撹拌して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得た。得られたアミック酸オリゴマー溶液からN−メチルピロリドンを減圧除去した後、300℃で2時間加熱することにより、イミドオリゴマー組成物A(イミド化率93%)を得た。
なお、H−NMR、GPC、及び、FT−IR分析により、イミドオリゴマー組成物Aは、上記式(5−1)又は(5−3)で表される構造を有するイミドオリゴマー(Aは4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物残基、Bは1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン残基)を含むことを確認した。また、該イミドオリゴマー組成物Aの数平均分子量は2010であった。
(合成例2(イミドオリゴマー組成物Bの作製))
4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(東京化成工業社製)104重量部をN−メチルピロリドン(富士フイルム和光純薬社製、「NMP」)300重量部に溶解させた。得られた溶液にダイマージアミンであるプリアミン1074(クローダ社製)28重量部をN−メチルピロリドン100重量部で希釈した溶液を添加し、25℃で2時間撹拌して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得た。得られたアミック酸オリゴマー溶液からN−メチルピロリドンを減圧除去した後、300℃で2時間加熱することにより、イミドオリゴマー組成物B(イミド化率93%)を得た。
なお、H−NMR、GPC、及び、FT−IR分析により、イミドオリゴマー組成物Bは、上記式(5−1)又は(5−3)で表される構造を有するイミドオリゴマー(Aは4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物残基、Bはダイマージアミン残基)を含むことを確認した。また、該イミドオリゴマー組成物Bの数平均分子量は2200であった。
(合成例3(ポリイミド樹脂溶液A)の作製)
撹拌機、分水器、及び、窒素ガス導入管を備えた反応容器に4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(東京化成工業社製)54.6重量部、及び、シクロヘキサノン200重量部を仕込み、溶解させた。得られた溶液に、ダイマージアミンであるプリアミン1074(クローダ社製)56.1重量部とシクロヘキサノン55.0重量部の混合溶液を滴下した後、150℃で8時間かけてイミド化反応を行い、ポリイミド樹脂溶液Aを得た。なお、得られたポリイミド樹脂溶液Aの固形分濃度は30重量%、ポリイミド樹脂の数平均分子量は25000であった。
(実施例1〜8、比較例1〜3)
表1に記載された配合比に従い、各材料を撹拌混合し、各熱硬化性樹脂組成物を作製した。
得られた各熱硬化性樹脂組成物を厚みが約20μmとなるように基材PETフィルム上に塗工し、乾燥させることにより、基材PETフィルム上に実施例1〜8、比較例1〜3の熱硬化性接着フィルムを作製した。得られた各熱硬化性接着フィルムから基材PETフィルムを剥離し、ラミネーターを用いて積層して厚さ約400μmの熱硬化性接着フィルム積層体を作製した。また、得られた各熱硬化性接着フィルムを190℃で1時間加熱することにより硬化させ、硬化物を作製した。
得られた熱硬化性接着フィルム積層体について、製造後常温保管で6時間以内の初期ガラス転移温度、及び、製造後25℃で72時間保管した後のガラス転移温度を測定した。ガラス転移温度は、示差走査熱量計(日立ハイテクサイエンス社製、「DSC7000シリーズ」)を用いて、昇温速度10℃/分で測定を行った際のガラス転移に伴う吸熱ピークの変曲点から求めた。結果を表1に示した。
また、得られた硬化物について、熱重量測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、「TG/DTA6200」)を用いて、30℃から500℃までの温度範囲、10℃/minの昇温条件で5%重量減少温度を測定した。結果を表1に示した。
<評価>
実施例及び比較例で得られた各熱硬化性接着フィルムについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(ハンドリング性)
実施例及び比較例で得られた各熱硬化性接着フィルムを、25℃で5mm径の円柱に巻きつける5mm径の巻きつけ試験を行い、熱硬化性接着フィルムの割れや欠けを確認した。また、得られた接着フィルムを180度折り曲げる180度折り曲げ試験を行い、熱硬化性接着フィルムの割れや欠けを確認した。
5mm径の巻きつけ試験、及び、180度折り曲げ試験ともに割れや欠けが無かった場合を「○」、5mm径の巻きつけ試験では割れや欠けが無かったものの、180度折り曲げ試験では割れや欠けがあった場合を「△」、両試験において割れや欠けがあった場合を「×」としてハンドリング性を評価した。
(貯蔵安定性)
実施例及び比較例で得られた各熱硬化性接着フィルムを製造後25℃で72時間保管した後、上記「(ハンドリング性)」の評価と同様の方法で5mm径の巻きつけ試験及び180度折り曲げ試験を行った。
5mm径の巻きつけ試験、及び、180度折り曲げ試験ともに割れや欠けが無かった場合を「○」、5mm径の巻きつけ試験では割れや欠けが無かったものの、180度折り曲げ試験では割れや欠けがあった場合を「△」、両試験において割れや欠けがあった場合を「×」として貯蔵安定性を評価した。
(接着性)
実施例及び比較例で得られた各熱硬化性接着フィルムから基材PETフィルムを剥離し、ラミネーターを用いて、80℃に加熱しながら熱硬化性接着フィルムの両面に厚さ50μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、「カプトン200H」)を貼り合わせた。190℃、3MPa、1時間の条件で加熱して熱硬化性接着フィルムを硬化させた後、1cm幅に切り出して試験片を得た。作製後24時間以内の試験片について、引張試験機(ORIENTEC社製、「UCT−500」)により、25℃において剥離速度20mm/minでT字剥離を行って剥離強度を測定した。
剥離強度が6.0N/cm以上であった場合を「○」、3.4N/cm以上6.0N/cm未満であった場合を「△」、3.4N/cm未満であった場合を「×」として接着性を評価した。
(長期耐熱性)
上記「(接着性)」の評価と同様にして得られた試験片について、175℃で1000時間熱処理を行った。熱処理後の試験片について、引張試験機を用いて、剥離速度20mm/minでT字剥離を行い、接着力を測定した。引張試験機としては、UCT−500(ORIENTEC社製)を用いた。
剥離強度が6.0N/cm以上であった場合を「○」、3.4N/cm以上6.0N/cm未満であった場合を「△」、3.4N/cm未満であった場合を「×」として長期耐熱性を評価した。
Figure 2021155493
本発明によれば、硬化前はハンドリング性及び貯蔵安定性に優れ、硬化後は接着性及び耐熱性に優れる熱硬化性接着フィルムを提供することができる。

Claims (8)

  1. 硬化前のガラス転移温度が−10℃以上25℃未満であり、
    硬化前における、初期ガラス転移温度と、25℃で72時間保管した後のガラス転移温度との差が10℃未満であり、かつ、
    硬化物の5%重量減少温度が350℃以上である
    ことを特徴とする熱硬化性接着フィルム。
  2. 前記熱硬化性接着フィルムは、硬化性樹脂と硬化剤と硬化促進剤とを含有する熱硬化性樹脂組成物のフィルム化物であり、
    前記熱硬化性樹脂組成物100重量部中における前記硬化促進剤の含有量が1.8重量部以下である請求項1記載の熱硬化性接着フィルム。
  3. 前記硬化促進剤は、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、及び、りん系化合物からなる群より選択される少なくとも1種である請求項2記載の熱硬化性接着フィルム。
  4. 前記硬化性樹脂は、25℃で液状のエポキシ樹脂を含む請求項2又は3記載の熱硬化性接着フィルム。
  5. 前記硬化剤は、イミドオリゴマーを含む請求項2、3又は4記載の熱硬化性接着フィルム。
  6. 前記イミドオリゴマーは、下記式(1−1)又は下記式(1−2)で表される構造を有する請求項5記載の熱硬化性接着フィルム。
    Figure 2021155493
    式(1−1)及び式(1−2)中、Aは、酸二無水物残基であり、式(1−1)中、Bは、脂肪族ジアミン残基又は芳香族ジアミン残基であり、式(1−2)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基である。
  7. 前記熱硬化性樹脂組成物は、更に、ポリマー成分を含有する請求項2、3、4、5又は6記載の熱硬化性接着フィルム。
  8. 前記ポリマー成分は、ポリイミドを含む請求項7記載の熱硬化性接着フィルム。
JP2020054440A 2020-03-25 2020-03-25 熱硬化性接着フィルム Pending JP2021155493A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020054440A JP2021155493A (ja) 2020-03-25 2020-03-25 熱硬化性接着フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020054440A JP2021155493A (ja) 2020-03-25 2020-03-25 熱硬化性接着フィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021155493A true JP2021155493A (ja) 2021-10-07

Family

ID=77917218

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020054440A Pending JP2021155493A (ja) 2020-03-25 2020-03-25 熱硬化性接着フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021155493A (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019081892A (ja) * 2017-10-27 2019-05-30 積水化学工業株式会社 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム
WO2019188436A1 (ja) * 2018-03-28 2019-10-03 積水化学工業株式会社 硬化性樹脂組成物、接着剤、接着フィルム、回路基板、層間絶縁材料、及び、プリント配線板
JP2020007397A (ja) * 2018-07-03 2020-01-16 積水化学工業株式会社 硬化性樹脂組成物、イミド化合物、接着剤、接着フィルム、カバーレイフィルム、及び、フレキシブル銅張積層板

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019081892A (ja) * 2017-10-27 2019-05-30 積水化学工業株式会社 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム
WO2019188436A1 (ja) * 2018-03-28 2019-10-03 積水化学工業株式会社 硬化性樹脂組成物、接着剤、接着フィルム、回路基板、層間絶縁材料、及び、プリント配線板
JP2020007397A (ja) * 2018-07-03 2020-01-16 積水化学工業株式会社 硬化性樹脂組成物、イミド化合物、接着剤、接着フィルム、カバーレイフィルム、及び、フレキシブル銅張積層板

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102467955B1 (ko) 경화성 수지 조성물, 접착제, 이미드 올리고머, 이미드 올리고머 조성물, 및 경화제
TWI823848B (zh) 硬化性樹脂組成物、硬化物、接著劑、接著膜、覆蓋膜、可撓性覆銅積層板、及電路基板
JPWO2019188436A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、接着剤、接着フィルム、回路基板、層間絶縁材料、及び、プリント配線板
JP7305315B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、接着剤、接着フィルム、カバーレイフィルム、及び、フレキシブル銅張積層板
WO2021241548A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、接着剤、接着剤ワニス、接着フィルム、及び、硬化物
TWI805715B (zh) 硬化性樹脂組成物、接著劑、接著膜、覆蓋膜、及可撓性覆銅積層板
JP7563988B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム
JP2021155493A (ja) 熱硬化性接着フィルム
JP2020200413A (ja) 硬化性樹脂組成物、接着剤、接着剤ワニス、接着フィルム、及び、硬化物
WO2021193437A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、接着剤、及び、接着フィルム
JP7168326B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、接着フィルム、及び、回路基板
WO2023032723A1 (ja) 硬化性樹脂組成物及び層間絶縁材料
JP2021155494A (ja) 硬化性樹脂組成物、接着剤、及び、接着フィルム
JP7168325B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、接着フィルム、カバーレイフィルム、フレキシブル銅張積層板、及び、回路基板
JP2023067452A (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム
JP2023118258A (ja) 硬化性樹脂組成物及び層間絶縁材料
WO2023136098A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム
WO2022220253A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム
JP2022188991A (ja) 熱硬化性樹脂組成物、接着剤、接着剤ワニス、接着フィルム、及び、硬化物
JP2022173783A (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230816

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230829

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240305