以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態のドア開閉システム1は、ドアの施解錠(施錠や解錠)、さらにはドアの開閉を自動で行うシステムである。以下の説明においては、本実施形態のドア開閉システム1が、例えば、家屋の玄関ドア(以下、単に、「ドア」という)に適用されたものとする。
図1は、実施形態のドア開閉システム1の構成および各構成要素の配置の一例を示す図である。図1に示したドア開閉システム1は、例えば、携帯キーリモコン(Portable key remote controller)100と、第1のドア施解錠装置200-1と、第2のドア施解錠装置200-2と、ドア開閉制御装置300と、ドア開閉装置400と、を備える。図1に示したドア開閉システム1の構成は、例えば、二つの錠が設置されているドアDに対応する構成である。ドア開閉システム1は、携帯キーリモコン100により送信された無線信号に応じて、ドアDの施解錠および開閉を行う。例えば、施錠(ロック)された状態(以下、「施錠状態」という)のドアDを開ける場合、ドア開閉システム1では、まず、ドアDを解錠(アンロック)された状態(以下、「解錠状態」という)に移行させた後にドアDを開ける。例えば、ドアDを閉める場合、ドア開閉システム1では、まず、ドアDが解錠状態であるか否かを確認し、ドアDが解錠状態となった場合にドアDを閉め、その後ドアDを施錠状態に移行させる。図1に示したドア開閉システム1の構成要素の配置はあくまで一例であり、それぞれの構成要素は、適切な位置に配置されればよい。
携帯キーリモコン100は、ドアDから離れた位置でドアDの開閉を要求する際に操作される電子鍵(電子キー)である。携帯キーリモコン100は、例えば、家屋の住人など、ドア開閉システム1を利用するユーザーにより携帯される。携帯キーリモコン100は、ドアDを開ける要求をする際に操作(押下)されるドア開釦OBと、ドアDを閉める要求をする際に操作(押下)されるドア閉釦CBと、後述する無線信号の送信器とを備える。携帯キーリモコン100は、ドア開釦OBやドア閉釦CBが押下されたことを表す無線信号、つまり、ユーザーによるドアDの開閉の要求を表す無線信号を、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれに送信する。携帯キーリモコン100は、特許請求の範囲における「携帯機器」の一例であり、無線信号は、特許請求の範囲における「第1の無線信号」の一例である。
第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれは、同じ構成である。以下の説明において第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれを区別せずに表すときには、符号として含まれる「-」とそれに続く数字を示さず、単に「ドア施解錠装置200」という。
それぞれのドア施解錠装置200は、携帯キーリモコン100により送信された無線信号に表されたドアDの開閉の要求に基づいてドアDの扉部分(以下、単に「ドアD」ともいう)に設置されている対応する施解錠機構を操作することにより、ドアDを施錠状態または解錠状態に移行させる。施解錠機構は、例えば、サムターンSやデットボルトDBを備え、ドアDの施錠状態または解錠状態にする機構である。ドアDでは、例えば、ラッチ(不図示)などの係止機構が、少なくともドアDを閉めた状態ではドアD内に収められている状態となっていてもよい。それぞれのドア施解錠装置200は、対応する施解錠機構が備えるサムターンSを操作可能な位置(例えば、サムターンSを覆う位置)に取り付けられる。サムターンSは、例えば、ドアDの室内側に配置され、回動(例えば、図1における左右方向に90°回転)されることによりデットボルトDBを進退(例えば、図1における左右方向に所定の距離だけ移動)させるツマミである。デットボルトDBは、例えば、ドアDの側面側の内部に配置され、サムターンSにより進退させられることによって突出状態または退避状態にされる部材、いわゆる、かんぬき部分の部材である。デットボルトDBは、サムターンSの回動によって退避状態にされると、ドアD内に収まり、ドアDの扉部分を開閉させることができる状態となる。一方、デットボルトDBは、ドアDが閉めた状態(閉状態)のときにサムターンSの回動によって突出状態にされると、突出した部分がドアDの枠(ドア枠(不図示))に設けられた受座に係合され、ドアDの扉部分を開けることができない状態となる。以下の説明においては、デットボルトDBの退避状態をドアDの解錠状態ともいい、デットボルトDBの突出状態をドアDの施錠状態ともいう。ただし、ドアDを開けた状態(開状態)においてもデットボルトDBは突出状態にされることもあるため、デットボルトDBが突出状態になっていることは、必ずしもドアDを施錠(ロック)して扉部分を開けることができない状態であるとは限らない。それぞれのドア施解錠装置200は、携帯キーリモコン100により送信された無線信号に表されたドアDの開閉の要求に基づいて、ドアDの開状態または閉状態への移行を指示する開閉指示信号を、ドア開閉制御装置300に送信する。ドア開閉システム1における携帯キーリモコン100とそれぞれのドア施解錠装置200との間の通信や、それぞれのドア施解錠装置200とドア開閉制御装置300との間の通信は、既存の通信技術によって行うことができるため、詳細な説明は省略する。ドア施解錠装置200は、特許請求の範囲における「施解錠装置」の一例であり、開閉指示信号は、特許請求の範囲における「第2の無線信号」の一例である。
図1に示したドア開閉システム1の構成要素の配置では、第1のドア施解錠装置200-1が、例えば、ドアDにおけるメインの施解錠機構を操作し、第2のドア施解錠装置200-2が、例えば、ドアDにおけるサブの施解錠機構を操作する。図1では、それぞれのドア施解錠装置200が対応する施解錠機構を区別するため、ドア施解錠装置200の符号に続いて付与した「-」とそれに続く数字を、施解錠機構が備えるサムターンSとデットボルトDBとのそれぞれにも付与している。
ドア開閉制御装置300は、それぞれのドア施解錠装置200により送信された開閉指示信号に応じて、例えば、ドアDの扉部分に設置されているドア開閉装置400を制御することにより、ドアDを開状態または閉状態に移行させる。言い換えれば、ドア開閉制御装置300は、ドア開閉装置400を制御することにより、ドアDを、携帯キーリモコン100により送信された無線信号に表された(ユーザーにより要求された)状態に移行させる。ドア開閉制御装置300は、例えば、ドアDの室内側の任意の位置に取り付けられる。ドア開閉制御装置300は、ドア開閉装置400に組み込まれて、ドア開閉装置400と同じ位置に取り付けられてもよい。ドア開閉制御装置300は、それぞれのドア施解錠装置200により操作された施解錠機構の状態(施錠状態または解錠状態)に応じて、ドアDを開状態または閉状態に移行させるための開閉制御信号を、ドア開閉装置400に出力する。ドア開閉制御装置300は、特許請求の範囲における「開閉制御装置」の一例である。
ドア開閉装置400は、ドアDの扉部分を開閉させるための装置、いわゆる、ドアクローザーである。ドア開閉装置400は、例えば、ドアDの室内側において扉の蝶番(ヒンジ)側の上部の位置に取り付けられる。ドア開閉装置400は、ドア開閉制御装置300により出力された開閉制御信号に応じてアーム400Aを動作させることにより、自動でドアDを開状態または閉状態に移行させる。ドア開閉装置400は、特許請求の範囲における「開閉装置」の一例である。
次に、ドア開閉システム1を構成するそれぞれの構成要素の構成について説明する。図2は、実施形態のドア開閉システム1を構成する各構成要素の概略構成を示すブロック図である。携帯キーリモコン100は、例えば、ドア開釦OBと、ドア閉釦CBと、送信部101と、を備える。それぞれのドア施解錠装置200は、例えば、受信部201と、施解錠制御部202と、施解錠操作機構203と、通信部204と、を備える。ドア開閉制御装置300は、例えば、通信部301と、開閉制御部302と、を備える。ドア開閉装置400は、例えば、ドア開閉操作機構401を備える。図2では、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれが備える構成要素を区別するため、ドア施解錠装置200の符号に続いて付与した「-」とそれに続く数字を、ドア施解錠装置200が備えるそれぞれの構成要素の符号にも同様に付与している。以下の説明において第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれが備える構成要素を区別せずに表すときには、符号として含まれる「-」とそれに続く数字を示さずに説明する。
携帯キーリモコン100が備える送信部101や、それぞれのドア施解錠装置200が備える受信部201、施解錠制御部202、通信部204、ドア開閉制御装置300が備える通信部301、開閉制御部302などの構成要素は、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより各種機能が実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、専用のLSIによって実現されてもよい。プログラムは、フラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよい。
まず、携帯キーリモコン100の構成について説明する。ドア開釦OBおよびドア閉釦CBは、例えば、ユーザーがドアDの開閉を要求する際に押下する釦である。ドア開釦OBは、ユーザーにより押下されると、ドアDを開ける要求がされたことを送信部101に通知する。ドア閉釦CBは、ユーザーにより押下されると、ドアDを閉める要求がされたことを送信部101に通知する。
送信部101は、ドア開釦OBおよびドア閉釦CBからの通知に従って、ユーザーからのドアDの開閉を要求する無線信号を送信する。送信部101は、例えば、ZigBee(登録商標)や、RF4CE(Radio Frequency for Consumer Electronics)など、RF(Radio Frequency:無線)リモコンに適用される近距離無線通信の送信器やアンテナ(不図示)を備える。近距離無線通信は、例えば、Wi-FiやBluetooth(登録商標)などであってもよい。送信部101は、無線信号をそれぞれのドア施解錠装置200が備える受信部201に送信する。送信部101が受信部201に送信する無線信号には、例えば、それぞれのドア施解錠装置200が携帯キーリモコン100を認証するための認証信号が含まれている。ドア開閉システム1における携帯キーリモコン100の認証は、送信部101と受信部201との間の近距離無線通信における既存の技術によって行うことができるため、詳細な説明は省略する。
次に、ドア施解錠装置200の構成について説明する。受信部201は、送信部101により送信された無線信号を受信する。受信部201は、送信部101との間で近距離無線通信を行うための受信器やアンテナ(不図示)を備える。受信部201は、受信した無線信号に示されたユーザーからの要求内容(ドアDを開ける要求またはドアDを閉める要求)を表す要求信号(以下、「開閉要求信号」という)を、施解錠制御部202に出力する。受信部201は、送信部101により送信された無線信号に含まれる認証信号を認証し、認証がされた無線信号に示されたユーザーからの要求内容を表す開閉要求信号を、施解錠制御部202に出力する。
施解錠制御部202は、受信部201により出力された開閉要求信号に基づいて、施解錠操作機構203を制御する。より具体的には、受信部201により出力された開閉要求信号が、ドアDを開ける要求であることを表している場合、施解錠制御部202は、ドアDを解錠状態にさせる方向にサムターンSを回動させるための施解錠制御信号(以下、「解錠制御信号」という)を施解錠操作機構203に出力する。受信部201により出力された開閉要求信号が、ドアDを閉める要求であることを表している場合、施解錠制御部202は、ドアDを施錠状態にさせるための施解錠制御信号(以下、「施錠制御信号」という)を施解錠操作機構203に出力する。
施解錠制御部202は、受信部201により出力された開閉要求信号に基づいて、ドアDの開閉を指示する開閉指示信号を通信部204に出力してドア開閉制御装置300に送信させる。より具体的には、受信部201により出力された開閉要求信号が、ドアDを開ける要求であることを表している場合、施解錠制御部202は、ドアDを開状態に移行させる指示をするための開閉指示信号を通信部204に出力してドア開閉制御装置300に送信させる。受信部201により出力された開閉要求信号が、ドアDを閉める要求であることを表している場合、施解錠制御部202は、ドアDを閉状態に移行させる指示をするための開閉指示信号を通信部204に出力してドア開閉制御装置300に送信させる。施解錠制御部202は、出力した施解錠制御信号に基づいてドアDの現在の状態が施錠状態であるか解錠状態であるかを判定し、この判定結果に基づいた開閉指示信号を通信部204に出力する。
施解錠操作機構203は、施解錠制御部202により出力された施解錠制御信号に応じてサムターンSを回動させることにより、デットボルトDBを突出状態または退避状態にさせる機構である。施解錠操作機構203は、例えば、サムターンSを固定するための固定機構と、施解錠制御信号に応じて固定機構を回動させることによりサムターンSを回動させるためのモータやアクチュエータなどの駆動部を備える。施解錠操作機構203は、現在のサムターンSの状態、つまり、デットボルトDBが突出状態であるか退避状態であるかを表すサムターン状態信号を、施解錠制御部202に出力する。これにより、施解錠制御部202は、施解錠制御信号の代わりに、サムターン状態信号に基づいてドアDが施錠状態であるか解錠状態であるかを判定(検出)することができる。デットボルトDBが突出状態であるか退避状態であるかは、例えば、デットボルトDBの進退を検出するスイッチなどにより判定することができる。この場合、サムターン状態信号は、スイッチの状態(例えば、スイッチのオン/オフ)を表す信号である。
通信部204は、ドア開閉制御装置300が備える通信部301との間で無線信号の送受信を行う。通信部204とドア開閉制御装置300が備える通信部301との間の無線通信の方式は、送信部101と受信部201との間で行う近距離無線通信と同様の方式である。つまり、通信部204と通信部301とは、RFリモコンに適用される近距離無線通信の通信規格の無線信号を送受信する。特に、本実施形態では、各信号の送信周波数も同じにしている。通信部204と通信部301とは、送受信する無線信号に含まれている認証信号に基づいて、互いに認証がされている。通信部204は、通信部301との間で近距離無線通信を行うための送受信器やアンテナ(不図示)を備える。通信部204のアンテナ(不図示)は、受信部201のアンテナ(不図示)と共用であってもよい。通信部204は、施解錠制御部202により出力された開閉指示信号を通信部301に送信する。通信部204は、通信部301により送信された後述するドア閉完了通知を受信し、受信した後述するドア閉完了通知が表す通知内容を施解錠制御部202に出力する。通信部204は、施解錠制御部202により出力された開閉指示信号を、近距離無線通信の無線規格の無線信号に変換して通信部301に送信する。通信部204は、通信部301から受信した後述するドア閉完了通知の無線信号を、施解錠制御部202が扱う形式の信号や情報に変換して出力する。
次に、ドア開閉制御装置300の構成について説明する。通信部301は、それぞれのドア施解錠装置200が備える通信部204との間で無線信号の送受信を行う。通信部301は、通信部204との間で近距離無線通信を行うための送受信器やアンテナ(不図示)を備える。通信部301は、通信部204により送信された開閉指示信号の無線信号を受信し、受信した開閉指示信号が表す指示内容を開閉制御部302に出力する。より具体的には、通信部301は、開閉指示信号の無線信号がドアDを開状態に移行させる指示であるか、ドアDを閉状態に移行させる指示であるかを表す指示内容を開閉制御部302に出力する。通信部301は、開閉制御部302により出力された後述するドア閉完了通知を通信部204に送信する。通信部301は、通信部204から受信した開閉指示信号の無線信号を、開閉制御部302が扱う形式の信号や情報に変換して出力する。通信部301は、開閉制御部302により出力されたドア閉完了通知を、近距離無線通信の無線規格の無線信号に変換して通信部204に送信する。
開閉制御部302は、通信部301により出力された開閉指示信号が表す指示内容に基づいて、ドア開閉装置400を制御する。より具体的には、通信部301により出力された開閉指示信号が表す指示内容が、ドアDを開状態に移行させる指示であることを表している場合、開閉制御部302は、ドアDを開状態に移行させるための開閉制御信号をドア開閉装置400に出力する。通信部301により出力された開閉指示信号が表す指示内容が、ドアDを閉状態に移行させる指示であることを表している場合、開閉制御部302は、ドアDを閉状態に移行させるための開閉制御信号をドア開閉装置400に出力する。開閉制御部302は、ドアDを閉状態に移行させるための開閉制御信号をドア開閉装置400に出力した場合、例えば、ドア開閉装置400によりドアDが閉状態になるまでに要する時間が経過した後に、ドア閉完了通知を通信部301に出力する。これにより、通信部301は、開閉制御部302により出力されたドア閉完了通知を通信部204に送信する。ドア閉完了通知は、特許請求の範囲における「第5の無線信号」の一例である。
次に、ドア開閉装置400の構成について説明する。ドア開閉操作機構401は、ドア開閉制御装置300が備える開閉制御部302により出力された開閉制御信号に応じてアーム400Aを動作させることにより、ドアDを開状態または閉状態にさせる機構である。ドア開閉操作機構401は、例えば、開閉制御信号に応じてアーム400Aの本体側の軸を回動してアーム400Aを伸縮させことによりドアDを開状態または閉状態に移行させるためのモータやアクチュエータなどの駆動部や、伸縮されたアーム400Aの状態を維持させることによりドアDの開状態や閉状態を維持させるためのバネなどの保持機構などを備える。ドア開閉操作機構401は、ドアDの開閉状態、つまり、ドアDが開状態であるか閉状態であるかを表すドア状態信号を、開閉制御部302に出力する。これにより、開閉制御部302は、ドアDを閉状態に移行させるための開閉制御信号をドア開閉装置400に出力したときからの経過時間の代わりに、ドア状態信号に基づいてドアDが開状態であるか閉状態であるかを判定(検出)して、ドア閉完了通知を通信部301に出力することができる。ドアDが開状態であるか閉状態であるかは、例えば、アーム400Aの伸縮角度や、アーム400Aの本体側の軸の回転量が所定値以上であるか否かを検出するスイッチなどにより判定することができる。この場合、ドア状態信号は、スイッチの状態(例えば、スイッチのオン/オフ)を表す信号である。
このような構成によって、ドア開閉システム1では、携帯キーリモコン100を操作することによりユーザーが要求した状態(開状態または閉状態)に、ドアDの扉部分を移行させる。
ここで、ドア開閉システム1では、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2との二つのドア施解錠装置200を備えている。ドア開閉システム1においては、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とが関連することなく、互いに独立して対応する施解錠機構を操作する。そして、ドア開閉システム1では、それぞれのドア施解錠装置200とドア開閉制御装置300との間の近距離無線通信は、携帯キーリモコン100とそれぞれのドア施解錠装置200との間の近距離無線通信と同じ、RFリモコンに適用される近距離無線通信である。このため、ドア開閉システム1では、携帯キーリモコン100とそれぞれのドア施解錠装置200との間の近距離無線通信、およびそれぞれのドア施解錠装置200とドア開閉制御装置300との間の近距離無線通信におけるそれぞれの無線信号の混信が懸念される。このため、ドア開閉システム1では、それぞれの無線信号が混信してしまうことがないように、ドア施解錠装置200が無線信号を送信する際に、予め所定の待ち時間を設定している。
より具体的には、ドア開閉システム1では、それぞれのドア施解錠装置200がドア開閉制御装置300に送信する無線信号である開閉指示信号が、携帯キーリモコン100が送信している無線信号に混信してしまうことがないように、それぞれのドア施解錠装置200には、開閉指示信号をドア開閉制御装置300に送信するまでの待ち時間(以下、「送信待ち時間」という)を予め設定している。この所定の送信待ち時間は、例えば、それぞれのドア施解錠装置200が携帯キーリモコン100により送信された無線信号を受信した時間から、携帯キーリモコン100が無線信号を送信する期間に所定の余裕時間を加えた時間である。所定の送信待ち時間は、特許請求の範囲における「第1の所定時間」の一例である。
さらに、ドア開閉システム1では、それぞれのドア施解錠装置200がドア開閉制御装置300に送信する開閉指示信号が互いに混信してしまうことがないように、一方のドア施解錠装置200に対して、開閉指示信号のドア開閉制御装置300への送信を送信待ち時間に加えてさらに待つための別の送信待ち時間(以下、「混信回避待ち時間」という)を予め設定している。この所定の送信待ち時間は、最初に開閉指示信号を送信するドア施解錠装置200による開閉指示信号の送信が終了する時間、つまり、最初に開閉指示信号を送信するドア施解錠装置200とドア開閉制御装置300との間で行う無線通信の期間に所定の余裕時間を加えた時間である。所定の混信回避待ち時間は、特許請求の範囲における「第2の所定時間」の一例である。
このように、ドア開閉システム1では、他の構成要素が無線信号を送信している期間に所定の余裕時間を加えた時間だけ待ってから、自身が無線信号を送信することにより、同じ時間に複数の無線信号の送受信が行われないようにすることによって、ドア開閉システム1におけるそれぞれの動作において、それぞれの無線信号が混信してしまうのを回避する。
次に、ドア開閉システム1における動作について説明する。まず、ドア開閉システム1においてドアDを開状態に移行させる場合の動作(処理)について説明する。図3は、実施形態のドア開閉システム1においてドアDを開状態にさせる動作の流れの一例を示すシーケンス図である。図4は、実施形態のドア開閉システム1においてドアDを開状態にさせる場合に各構成要素が通信するタイミングの一例を模式的に示す図である。以下の説明においては、図4に示したタイミングの一例を適宜参照する。
図3には、閉状態であるドアDを開状態に移行させる場合における携帯キーリモコン100、第1のドア施解錠装置200-1、第2のドア施解錠装置200-2、ドア開閉制御装置300、およびドア開閉装置400のそれぞれの動作の一例を示している。図4には、携帯キーリモコン100、第1のドア施解錠装置200-1、第2のドア施解錠装置200-2、およびドア開閉制御装置300のそれぞれが無線信号を送受信するタイミングの一例を示している。以下の説明においては、第1のドア施解錠装置200-1および第2のドア施解錠装置200-2が、すでに携帯キーリモコン100を認証しているものとする。第1のドア施解錠装置200-1、第2のドア施解錠装置200-2、およびドア開閉制御装置300は、互いに認証しているものとする。
以下に説明するドア開閉システム1におけるドアDを開状態に移行させる動作(処理)では、第1のドア施解錠装置200-1を最初に開閉指示信号を送信するドア施解錠装置200とし、第2のドア施解錠装置200-2を次に開閉指示信号を送信するドア施解錠装置200とする。
ドア開閉システム1が備えるそれぞれの構成要素は、現在の状態(閉状態)を維持しながら、対応する構成要素からの要求や指示があるのを待機している状態である。この状態において携帯キーリモコン100を携帯しているユーザーがドア開釦OBを押下する(ステップS100)と、ドア開釦OBは、ドアDを開ける要求がされたことを送信部101に通知する。この通知により送信部101は、ドアDの開状態への移行を要求する無線信号(以下、「ドア開要求信号」という)を、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれに送信する(ステップS101)。
図4には、携帯キーリモコン100が、時刻t0からドア開要求信号を第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれに送信する場合を示している。このとき、送信部101は、それぞれのドア施解錠装置200がより確実に送信したドア開要求信号を受信することができるように、所定期間の間、ドア開要求信号を送信する。図4には、携帯キーリモコン100(より具体的には、送信部101)が、時刻t0~時刻t3までの間、ドア開要求信号を送信する場合の一例を示している。
それぞれのドア施解錠装置200では、受信部201が、送信部101により送信される無線信号(ドア開要求信号)の受信を待機している(ステップS102-1およびステップS102-2)。この状態でそれぞれの受信部201は、送信部101により送信されたドア開要求信号を受信すると、受信したドア開要求信号が表すドアDを開ける要求内容であることを表す開閉要求信号を、対応する施解錠制御部202に出力する。それぞれの施解錠制御部202は、対応する受信部201により出力された開閉要求信号に基づいて、ドアDを解錠状態にさせる、つまり、デットボルトDBを退避状態にさせるためにサムターンSを回動させるための施解錠制御信号(解錠制御信号)を、対応する施解錠操作機構203に出力する。それぞれの施解錠操作機構203は、対応する施解錠制御部202により出力された解錠制御信号に応じてドアDを解錠状態にさせる(ステップS103-1およびステップS103-2)。
図4には、第1のドア施解錠装置200-1が、時刻t1のときに携帯キーリモコン100により送信されたドア開要求信号を受信して、ステップS103-1においてドアDを解錠させる動作(解錠動作)の実行を開始し、時刻t2においてドアDの解錠動作が完了した場合の一例を示している。図4には、同様に、第2のドア施解錠装置200-2が、時刻t1のときに携帯キーリモコン100により送信されたドア開要求信号を受信して、ステップS103-2における解錠動作の実行を開始し、時刻t2においてドアDの解錠動作が完了した場合の一例を示している。このように、ドア開閉システム1では、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とが独立して対応する施解錠機構を操作するため、同時期に解錠動作の実行を開始し、同時期に解錠動作が完了する場合もある。
その後、それぞれの施解錠制御部202は、ドアDを開状態に移行させる指示をするための開閉指示信号(以下、「ドア開指示信号」という)を対応する通信部204に出力して、ドア開閉制御装置300に送信させる。ただし、ドア開閉システム1では、上述したように、それぞれのドア施解錠装置200に送信待ち時間が予め設定されている。図4では、それぞれのドア施解錠装置200がドア開要求信号を受信した時刻t1から、携帯キーリモコン100がドア開要求信号を送信する期間に所定の余裕時間Te1を加えた時間、つまり、時刻t1~時刻t4までの時間を送信待ち時間として予め設定している。このため、それぞれの施解錠制御部202は、図4に示した時刻t2においてドアDの解錠動作が完了した後、送信待ち時間が経過するのを待つ(ステップS104-1およびステップS104-2)。従って、図4においては、それぞれのドア施解錠装置200がドア開要求信号を受信した時刻t1から解錠動作の実行を開始している場合を示したが、時刻t4までに完了すれば、それぞれの施解錠制御部202は、いずれの時刻から解錠動作の実行を開始してもよい。
その後、所定の送信待ち時間が経過すると、最初に開閉指示信号を送信する第1のドア施解錠装置200-1が備える施解錠制御部202-1は、通信部204-1に、出力したドア開指示信号をドア開閉制御装置300に送信させる(ステップS105)。図4には、第1のドア施解錠装置200-1が、所定の送信待ち時間が経過した時刻t4からドア開指示信号をドア開閉制御装置300に送信している場合を示している。
ドア開閉制御装置300では、通信部301が、それぞれの通信部204(ここでは、通信部204-1)により送信される開閉指示信号の受信を待機している(ステップS106)。この状態で通信部301は、通信部204-1により送信されたドア開指示信号を受信すると、受信したドア開指示信号が表すドアDを開ける指示内容を、開閉制御部302に出力する。開閉制御部302は、通信部301により出力された指示内容に基づいて、ドアDを開状態に移行させる、つまり、ドアDを開けて開放させるための開閉制御信号(以下、「ドア開制御信号」という)をドア開閉装置400に出力する準備をする。そして、開閉制御部302は、この時点ではドア開制御信号をドア開閉装置400に出力せずに、ドア開制御信号の出力を待機する。このとき、開閉制御部302は、ドア開制御信号をドア開閉装置400に出力する準備として、例えば、第1のドア施解錠装置200-1により送信されたドア開指示信号を受信したことを一時記憶する動作のみをしてもよい。
図4には、ドア開閉制御装置300が、時刻t5のときに第1のドア施解錠装置200-1により送信されたドア開指示信号を受信して、ドアDを開状態に移行させる動作(ドア開動作)の実行を待機し、その後、第2のドア施解錠装置200-2(より具体的には、通信部204-2)により送信される開閉指示信号の受信を待機している状態を示している。
一方、次に開閉指示信号を送信する第2のドア施解錠装置200-2が備える施解錠制御部202-2は、所定の送信待ち時間が経過した後、さらに予め設定されている混信回避待ち時間が経過するのを待つ(ステップS107)。図4では、所定の送信待ち時間が経過した時刻t4から、第1のドア施解錠装置200-1によるドア開指示信号の送信が終了する時刻t6までの期間に、所定の余裕時間Te2を加えた時間、つまり、時刻t4~時刻t7までの時間を混信回避待ち時間として予め設定している。従って、施解錠制御部202-2は、図4に示した時刻t4において所定の送信待ち時間が経過した後、さらに時刻t7までの間、ドア開指示信号のドア開閉制御装置300への送信を待つ。
その後、所定の混信回避待ち時間が経過すると、施解錠制御部202-2は、通信部204-2に、出力したドア開指示信号をドア開閉制御装置300に送信させる(ステップS108)。図4には、第2のドア施解錠装置200-2が、所定の混信回避待ち時間が経過した時刻t7からドア開指示信号をドア開閉制御装置300に送信している場合を示している。
ドア開閉制御装置300では、上述したように、通信部301が、第2のドア施解錠装置200-2が備える通信部204-2により送信される開閉指示信号の受信を待機している(ステップS109)。この状態で通信部301は、通信部204-2により送信されたドア開指示信号を受信すると、受信したドア開指示信号が表すドアDを開ける指示内容を、開閉制御部302に出力する。開閉制御部302は、通信部301により出力された指示内容に基づいて、ドア開制御信号をドア開閉装置400に出力する(ステップS110)。
図4には、ドア開閉制御装置300が、時刻t8のときに第2のドア施解錠装置200-2により送信されたドア開指示信号を受信して、ドアDを開状態に移行させるドア開動作の実行を開始している状態を示している。
ドア開閉装置400は、ドア開閉制御装置300(より具体的には、開閉制御部302)により出力されたドア開制御信号に応じてアーム400Aを動作させ、ドアDを開ける(ステップS111)。
このような動作(処理)によって、ドア開閉システム1は、携帯キーリモコン100を操作することによりユーザーが要求した開状態に、ドアDの扉部分を移行させる。より具体的には、ドア開閉システム1では、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれが、携帯キーリモコン100により送信された同じ無線信号(ドア開要求信号)を受信する。これにより、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれは、受信したドア開要求信号に表されたユーザーからのドアDを開ける要求に基づいて、それぞれが対応する施解錠機構を操作して対応するサムターンSを回動させ、ドアDを解錠状態に移行させる。そして、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれは、受信したドア開要求信号に表されたドアDを開ける要求に基づいて、ドアDの開状態への移行を指示する開閉指示信号(ドア開指示信号)を、一つのドア開閉制御装置300に出力する。これにより、ドア開閉制御装置300が、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれからドアDを開状態に移行させるドア開指示信号を受信した後に、受信したドア開指示信号により指示された開状態にドアDを移行させる。
その後、開閉制御部302は、図3に示したように、ドアDの開状態への移行が完了したことを表す通知(以下、「ドア開完了通知」という)をそれぞれのドア施解錠装置200に送信してもよい。この場合、開閉制御部302は、ドアDの開状態への移行が完了したか否か、つまり、ドアDが開放された状態となったか否かを判定する(ステップS112)。このステップS112における判定は、例えば、ドア開制御信号をドア開閉装置400に出力したときからの経過時間が、ドア開閉装置400によりドアDが開状態になるまでに要する時間が経過したことにより判定してもよいし、ドア開閉操作機構401により出力されたドア状態信号に基づいて判定(検出)してもよい。ステップS112において、ドアDが開状態となったと判定した場合、開閉制御部302は、ドア開完了通知を通信部301に出力して、それぞれのドア施解錠装置200に送信させる(ステップS113)。図4には、ドア開閉制御装置300が、時刻t9のときに、ドア開完了通知をそれぞれのドア施解錠装置200に送信している場合を示している。
次に、ドア開閉システム1においてドアDを閉状態に移行させる場合の動作(処理)について説明する。図5は、実施形態のドア開閉システム1においてドアDを閉状態にさせる動作の流れの一例を示すシーケンス図である。図6は、実施形態のドア開閉システム1においてドアDを閉状態にさせる場合に各構成要素が通信するタイミングの一例を模式的に示す図である。以下の説明においては、図6に示したタイミングの一例を適宜参照する。
図5には、開状態であるドアDを閉状態に移行させる場合における携帯キーリモコン100、第1のドア施解錠装置200-1、第2のドア施解錠装置200-2、ドア開閉制御装置300、およびドア開閉装置400のそれぞれの動作の一例を示している。図6には、携帯キーリモコン100、第1のドア施解錠装置200-1、第2のドア施解錠装置200-2、およびドア開閉制御装置300のそれぞれが無線信号を送受信するタイミングの一例を示している。以下の説明においても、第1のドア施解錠装置200-1および第2のドア施解錠装置200-2が、すでに携帯キーリモコン100を認証しているものとする。第1のドア施解錠装置200-1、第2のドア施解錠装置200-2、およびドア開閉制御装置300は、互いに認証しているものとする。
以下に説明するドア開閉システム1におけるドアDを閉状態に移行させる動作(処理)でも、第1のドア施解錠装置200-1を最初に開閉指示信号を送信するドア施解錠装置200とし、第2のドア施解錠装置200-2を次に開閉指示信号を送信するドア施解錠装置200とする。
ドア開閉システム1が備えるそれぞれの構成要素は、現在の状態(開状態)を維持しながら、対応する構成要素からの要求や指示があるのを待機している状態である。この状態において携帯キーリモコン100を携帯しているユーザーがドア閉釦CBを押下する(ステップS200)と、ドア閉釦CBは、ドアDを閉める要求がされたことを送信部101に通知する。この通知により送信部101は、ドアDの閉状態への移行を要求する無線信号(以下、「ドア閉要求信号」という)を、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれに送信する(ステップS201)。
図6には、携帯キーリモコン100が、時刻t0からドア閉要求信号を第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれに送信する場合を示している。このとき、送信部101は、ドアDを開状態に移行させる動作(処理)と同様に、それぞれのドア施解錠装置200がより確実に送信したドア閉要求信号を受信することができるように、所定期間の間、ドア閉要求信号を送信する。図6には、携帯キーリモコン100が、時刻t0~時刻t2までの間、ドア閉要求信号を送信する場合の一例を示している。
それぞれのドア施解錠装置200では、ドアDを開状態に移行させる動作(処理)と同様に、受信部201が、送信部101により送信される無線信号(ドア閉要求信号)の受信を待機している(ステップS202-1およびステップS202-2)。この状態でそれぞれの受信部201は、送信部101により送信されたドア閉要求信号を受信すると、受信したドア閉要求信号が表すドアDを閉める要求内容であることを表す開閉要求信号を、対応する施解錠制御部202に出力する。それぞれの施解錠制御部202は、対応する受信部201により出力された開閉要求信号に基づいて、ドアDを閉状態に移行させる指示をするための開閉指示信号(以下、「ドア閉指示信号」という)を通信部204に出力する。そして、それぞれの施解錠制御部202は、送信待ち時間が経過するのを待つ(ステップS203-1およびステップS203-2)。図6では、それぞれのドア施解錠装置200がドア閉要求信号を受信した時刻t1から、携帯キーリモコン100がドア閉要求信号を送信する期間に所定の余裕時間Te1を加えた、時刻t1~時刻t3までの時間を送信待ち時間として予め設定している。このため、それぞれの施解錠制御部202は、図6に示した時刻t1において対応する受信部201により出力された開閉要求信号が入力された後、送信待ち時間が経過するのを待つ。
その後、所定の送信待ち時間が経過すると、最初に開閉指示信号を送信する第1のドア施解錠装置200-1が備える施解錠制御部202-1は、通信部204-1に、出力したドア閉指示信号をドア開閉制御装置300に送信させる(ステップS204)。その後、施解錠制御部202-1は、ドア開閉制御装置300(より具体的には、通信部301)により送信されるドア閉完了通知の受信を待機する。図6には、第1のドア施解錠装置200-1が、所定の送信待ち時間が経過した時刻t3~時刻t5までの間、ドア閉指示信号をドア開閉制御装置300に送信し、その後、ドア開閉制御装置300により送信されるドア閉完了通知の受信を待機している状態を示している。
ドア開閉制御装置300では、通信部301が、ドアDを開状態に移行させる動作(処理)と同様に、それぞれの通信部204(ここでは、通信部204-1)により送信される開閉指示信号の受信を待機している(ステップS205)。この状態で通信部301は、通信部204-1により送信されたドア閉指示信号を受信すると、受信したドア閉指示信号が表すドアDを閉める指示内容を、開閉制御部302に出力する。開閉制御部302は、通信部301により出力された指示内容に基づいて、ドアDを閉状態に移行させる、つまり、ドアDを閉じて閉鎖させるための開閉制御信号(以下、「ドア閉制御信号」という)をドア開閉装置400に出力する準備をする。そして、開閉制御部302は、この時点ではドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力せずに、ドア閉制御信号の出力を待機する。このとき、開閉制御部302は、ドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力する準備として、例えば、第1のドア施解錠装置200-1により送信されたドア閉指示信号を受信したことを一時記憶する動作のみをしてもよい。
図6には、ドア開閉制御装置300が、時刻t4のときに第1のドア施解錠装置200-1により送信されたドア閉指示信号を受信して、ドアDを閉状態に移行させる動作(ドア閉動作)の実行を待機し、その後、第2のドア施解錠装置200-2(より具体的には、通信部204-2)により送信される開閉指示信号の受信を待機している状態を示している。
一方、次に開閉指示信号を送信する第2のドア施解錠装置200-2が備える施解錠制御部202-2は、所定の送信待ち時間が経過した後、さらに予め設定されている混信回避待ち時間が経過するのを待つ(ステップS206)。図6では、所定の送信待ち時間が経過した時刻t3から、第1のドア施解錠装置200-1によるドア閉指示信号の送信が終了する時刻t5までの期間に、所定の余裕時間Te2を加えた時間、つまり、時刻t3~時刻t6までの時間を混信回避待ち時間として予め設定している。従って、施解錠制御部202-2は、図6に示した時刻t3において所定の送信待ち時間が経過した後、さらに時刻t6までの間、ドア閉指示信号のドア開閉制御装置300への送信を待つ。
その後、所定の混信回避待ち時間が経過すると、施解錠制御部202-2は、通信部204-2に、出力したドア閉指示信号をドア開閉制御装置300に送信させる(ステップS207)。その後、施解錠制御部202-2は、ドア開閉制御装置300(より具体的には、通信部301)により送信されるドア閉完了通知の受信を待機する。図6には、第2のドア施解錠装置200-2が、所定の混信回避待ち時間が経過した時刻t6~時刻t8までの間、ドア閉指示信号をドア開閉制御装置300に送信し、その後、ドア開閉制御装置300により送信されるドア閉完了通知の受信を待機している状態を示している。
ドア開閉制御装置300では、上述したように、通信部301が、第2のドア施解錠装置200-2が備える通信部204-2により送信される開閉指示信号の受信を待機している(ステップS208)。この状態で通信部301は、通信部204-2により送信されたドア閉指示信号を受信すると、受信したドア閉指示信号が表すドアDを閉める指示内容を、開閉制御部302に出力する。開閉制御部302は、通信部301により出力された指示内容に基づいて、ドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力する(ステップS209)。
図6には、ドア開閉制御装置300が、時刻t7のときに第2のドア施解錠装置200-2により送信されたドア閉指示信号を受信して、ドアDを閉状態に移行させるドア閉動作の実行を開始している状態を示している。
ドア開閉装置400は、ドア開閉制御装置300(より具体的には、開閉制御部302)により出力されたドア閉制御信号に応じてアーム400Aを動作させ、ドアDを閉める(ステップS210)。
その後、開閉制御部302は、ドアDの閉状態への移行が完了したか否か、つまり、ドアDが閉鎖された状態となったか否かを判定する(ステップS211)。このステップS211における判定は、例えば、ドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力したときからの経過時間が、ドア開閉装置400によりドアDが閉状態になるまでに要する時間が経過したことにより判定してもよいし、ドア開閉操作機構401により出力されたドア状態信号に基づいて判定(検出)してもよい。ステップS211において、ドアDが閉状態となったと判定した場合、開閉制御部302は、ドア閉完了通知を通信部301に出力して、それぞれのドア施解錠装置200に送信させる(ステップS212)。図6には、ドア開閉制御装置300が、時刻t9のときに、ドア閉完了通知をそれぞれのドア施解錠装置200に送信している場合を示している。
それぞれのドア施解錠装置200では、通信部204が通信部301により送信されたドア閉完了通知を受信し、受信したドア閉完了通知が表す通知内容(ドアDの閉状態への移行が完了したことを表す内容)を、対応する施解錠制御部202に出力する。それぞれの施解錠制御部202は、対応する通信部204により出力された通知内容に基づいて、ドアDを施錠状態にさせる、つまり、デットボルトDBを突出状態にさせるためにサムターンSを回動させるための施解錠制御信号(施錠制御信号)を、対応する施解錠操作機構203に出力する。それぞれの施解錠操作機構203は、対応する施解錠制御部202により出力された施錠制御信号に応じてドアDを施錠状態にさせる(ステップS213-2およびステップS213-2)。
図6には、第1のドア施解錠装置200-1が、時刻t10のときにドア開閉制御装置300により送信されたドア閉完了通知を受信して、ステップS213-1においてドアDを施錠させる動作(施錠動作)の実行を開始した場合の一例を示している。図6には、同様に、第2のドア施解錠装置200-2が、時刻t10のときにドア開閉制御装置300により送信されたドア閉完了通知を受信して、ステップS213-2における施錠動作の実行を開始した場合の一例を示している。このように、ドア開閉システム1では、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とが独立して対応する施解錠機構を操作するため、同時期に施錠動作の実行を開始し、同時期に施錠動作が完了する場合もある。
一方、ステップS211において、ドアDが閉状態となっていないと判定した場合、開閉制御部302は、ドアDが閉状態にならないこと(ドア閉の不可能)をユーザーに通知する。開閉制御部302がドア閉の不可能をユーザーに通知する場合の一例としては、例えば、荷物によってドアDを閉めることができない状態になったことにより、ドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力したときからの経過時間が、ドア開閉装置400によりドアDが閉状態になるまでに要する所定時間が経過しても、ドア開閉操作機構401からドアDが閉状態であるかを表すドア状態信号が出力されてこない場合などが考えられる。この通知は、例えば、ドア開閉制御装置300が備える不図示の通知手段を用いて行う。通知手段(不図示)としては、例えば、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)などのように光によって通知をするものや、ブザーなどのように音によって通知をするものなどが考えられる。
このような動作(処理)によって、ドア開閉システム1は、携帯キーリモコン100を操作することによりユーザーが要求した閉状態に、ドアDの扉部分を移行させる。より具体的には、ドア開閉システム1では、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれが、携帯キーリモコン100により送信された同じ無線信号(ドア閉要求信号)を受信する。そして、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれは、受信したドア閉要求信号に表されたドアDを閉める要求に基づいて、ドアDの閉状態への移行を指示する開閉指示信号(ドア閉指示信号)を、一つのドア開閉制御装置300に出力する。これにより、ドア開閉制御装置300が、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれからドアDを閉状態に移行させるドア閉指示信号を受信した後に、受信したドア閉指示信号により指示された閉状態にドアDを移行させる。そして、ドア開閉制御装置300は、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれに、ドア閉完了通知を送信する。これにより、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれは、受信したドア閉完了通知の通知内容に基づいて、それぞれが対応する施解錠機構を操作して対応するサムターンSを回動させ、ドアDを施錠状態に移行させる。
ところで、ドア開閉システム1においてドアDを閉状態に移行させる場合、現在のドアDの状態を閉状態に移行させるのに支障がない解錠状態である必要がある。しかし、例えば、ユーザーによって意図的に、または意図せずに、サムターンSが回動され、ドアDが施錠状態、つまり、デットボルトDBが突出状態に変更されてしまっていることも考えられる。仮に、ドアDの状態を閉状態に移行させる際にドアDが施錠状態であると、突出状態のデットボルトDBがドアDのドア枠に衝突し、ドアDを閉めることができなくなってしまう。このため、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれは、ドア開閉制御装置300がドアDを閉状態に移行させる前に、ドアDを解錠状態に移行させる。ドア開閉制御装置300がドアDを閉状態に移行させる前にドアDを解錠状態に移行させる方法としては、例えば、第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれが、ドア閉指示信号をドア開閉制御装置300に送信する前にドアDを解錠状態に移行させてもよい。この方法は、それぞれのドア施解錠装置200が主、いわゆる、マスターとなって、ドアDの現在の状態を確認し、ユーザーにより要求された状態にドアDの状態を移行させる方法であるともいえる。ドア開閉制御装置300がドアDを閉状態に移行させる前にドアDを解錠状態に移行させる方法としては、例えば、ドア閉指示信号を受信したドア開閉制御装置300が、ドアDの現在の状態が施錠状態であるか解錠状態であるかを確認してもよい。この方法は、ドア開閉制御装置300が主(マスター)となって、ドアDの現在の状態を確認し、ユーザーにより要求された状態にドアDの状態を移行させる方法であるともいえる。このドア開閉制御装置300が主(マスター)となる方法の場合、それぞれのドア施解錠装置200(いずれか一方のドア施解錠装置200であってもよい)が、携帯キーリモコン100により送信されたドア閉要求信号をドア開閉制御装置300に送信(転送)する構成にしてもよいし、ドア開閉制御装置300が携帯キーリモコン100により送信されたドア閉要求信号を受信する構成にしてもよい。この構成は、ドア開閉システム1においてドアDを閉状態に移行させる場合のみではなく、ドア開閉システム1においてドアDを開状態に移行させる場合でも同様に適用することができる。
第1のドア施解錠装置200-1と第2のドア施解錠装置200-2とのそれぞれがドア閉指示信号をドア開閉制御装置300に送信する前にドアDを解錠状態に移行させる、ドア施解錠装置200が主(マスター)となった方法の場合、例えば、図5のステップS203-1とステップS203-2とにおいて送信待ち時間が経過するのを待っている間に、それぞれの施解錠制御部202が、現在のドアDの状態を判定する。つまり、それぞれの施解錠制御部202は、図4に示したタイミングの一例における時刻t1~時刻t3の期間中に、現在のドアDの状態が閉状態に移行させるのに支障がない解錠状態であるか否かを判定する。より具体的には、それぞれの施解錠制御部202は、現在のデットボルトDBの状態がドアD内に退避され、ドアを閉めたときにドアDのドア枠に衝突することがない退避状態であるか否かを判定する。この判定は、例えば、ドアDを解錠状態にさせる解錠制御信号を出力した履歴によりデットボルトDBが退避状態であると判定してもよい。それぞれの施解錠制御部202は、対応する施解錠操作機構203により出力された現在のサムターンSの状態(デットボルトDBが突出状態であるか退避状態であるか)を表すサムターン状態信号に基づいて、デットボルトDBが退避状態であるか否かを判定(検出)してもよい。そして、それぞれの施解錠制御部202は、判定(検出)した結果が、現在のドアDが施錠状態(デットボルトDBが突出状態)である場合には、対応する施解錠操作機構203に解錠制御信号を出力してドアDを解錠状態(デットボルトDBを退避状態)にさせる。その後、それぞれの施解錠制御部202は、所定の送信待ち時間(所定の混信回避待ち時間を含んでもよい)が経過した後、対応する通信部204に、出力したドア閉指示信号をドア開閉制御装置300に送信させる(ステップS204またはステップS207)。このようにすれば、ドア開閉制御装置300がドアDを閉状態に移行させる前に、ドアDを解錠状態に移行させることができる。これにより、例えば、ユーザーによって意図的に、または意図せずに、サムターンSが回動されてドアDが施錠状態(デットボルトDBが突出状態)に変更されてしまっている場合であっても、事前にドアDを解錠状態にして、ドア開閉制御装置300がドアDを閉状態に移行させた後に、より確実にドアDを施錠状態にさせることができる。この場合におけるドア開閉システム1の動作(処理)は、上述した説明から容易に理解することができるため、詳細な説明は省略する。
ドア開閉制御装置300がドア閉指示信号を受信した際にドアDの現在の状態が施錠状態であるか解錠状態であるかを確認する、ドア開閉制御装置300が主(マスター)となった方法の場合、例えば、図5のステップS208の後に、つまり、図4の時刻t7においてドアDを閉状態に移行させるドア閉動作の実行を開始する前に、現在のドアDの状態が閉状態に移行させるのに支障がない解錠状態であるか否かを判定する。より具体的には、開閉制御部302は、通信部301により出力された指示内容に基づいたドア閉制御信号を出力してドア開閉装置400を制御する前に、デットボルトDBが突出状態であるか退避状態であるかの情報、つまり、ドアDにおける現在のサムターンSの状態を表す情報(以下、「施解錠状態情報」という)を入手して、入手した施解錠状態情報に基づいて、ドアDの現在の状態が施錠状態であるか解錠状態であるかを確認する。例えば、開閉制御部302は、施解錠状態情報を要求する要求信号(以下、「施解錠状態要求信号」という)を通信部301に出力して、それぞれのドア施解錠装置200に送信させる。そして、開閉制御部302は、施解錠状態要求信号に応じてそれぞれのドア施解錠装置200により送信され、通信部301が受信した施解錠状態情報に表されたサムターンSの状態に基づいて、ドアDの現在の状態が施錠状態であるか解錠状態であるかを確認する。開閉制御部302は、確認したドアDの現在の状態が施錠状態である場合には、それぞれのドア施解錠装置200に、ドアDを解錠状態に移行させる指示をするための施解錠指示信号を通信部301に出力してそれぞれのドア施解錠装置200に送信させる。その後、開閉制御部302は、それぞれのドア施解錠装置200により送信され、通信部301が受信した解錠完了通知が表す通知内容が、ドアDの解錠状態への移行が完了したことを表す内容である場合に、ドア開閉装置400を制御してドアDを閉状態に移行させる。一方、開閉制御部302は、確認したドアDの現在の状態が解錠状態である場合には、施解錠指示信号をそれぞれのドア施解錠装置200に送信せずに、ドア開閉装置400を制御してドアDを閉状態に移行させる。このようにすれば、ドア開閉制御装置300は、ドアDを閉状態に移行させる前に、ドアDを解錠状態に移行させることができる。これにより、ドア開閉制御装置300は、例えば、ユーザーによって意図的に、または意図せずに、サムターンSが回動されてドアDが施錠状態(デットボルトDBが突出状態)に変更されてしまっている場合であっても、事前にドアDを解錠状態にして、ドアDを閉状態に移行させた後に、より確実にドアDを施錠状態にさせることができる。施解錠指示信号は、特許請求の範囲における「第3の無線信号」の一例であり、解錠完了通知は、特許請求の範囲における「第4の無線信号」の一例である。
ここで、ドア開閉システム1において、ドア開閉制御装置300がドアDの現在の状態を確認してからドアDを閉状態に移行させる場合の動作について説明する。図7は、実施形態のドア開閉システム1においてドアDを閉状態にさせる場合に各構成要素が通信するタイミングの別の一例を模式的に示す図である。図7には、携帯キーリモコン100、第1のドア施解錠装置200-1、第2のドア施解錠装置200-2、およびドア開閉制御装置300のそれぞれが無線信号を送受信するタイミングの一例を示している。図7に示したタイミングの一例において、時刻t0~時刻t6までの期間の動作は、図6に示したタイミングの一例における時刻t0~時刻t6までの期間の動作と同様である。従って、以下の説明においては、図7に示したタイミングの一例における時刻t0~時刻t6までの期間の動作に関する詳細な説明は省略し、時刻t6以降の動作について説明する。そして、以下の説明においては、説明を容易にするため、携帯キーリモコン100、それぞれのドア施解錠装置200、およびドア開閉制御装置300のそれぞれが動作するものとする。
以下に説明するドア開閉システム1におけるドアDを閉状態に移行させる動作(処理)でも、第1のドア施解錠装置200-1を最初に開閉指示信号を送信するドア施解錠装置200とし、第2のドア施解錠装置200-2を次に開閉指示信号を送信するドア施解錠装置200とする。
時刻t6以降、ドア開閉制御装置300は、第1のドア施解錠装置200-1により送信されたドア閉指示信号を受信し、ドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力する準備をして待機している。この状態でドア開閉制御装置300は、第2のドア施解錠装置200-2により送信されたドア閉指示信号を受信すると、同様にドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力する準備をした状態で待機し、それぞれのドア施解錠装置200から施解錠状態情報を入手する。図7には、ドア開閉制御装置300が、時刻t7のときに第2のドア施解錠装置200-2により送信されたドア閉指示信号を受信し、ドアDを閉状態に移行させるドア閉動作の実行を待機し、時刻t9において、施解錠状態情報を要求する施解錠状態要求信号をそれぞれのドア施解錠装置200に送信している状態を示している。
それぞれのドア施解錠装置200では、図6に示したタイミングの一例と同様に、ドア開閉制御装置300により送信されるドア閉完了通知の受信を待機している。この状態のときにドア開閉制御装置300により送信された施解錠状態要求信号を受信すると、それぞれのドア施解錠装置200は、対応する施解錠操作機構203からサムターン状態信号を取得する。このとき、それぞれのドア施解錠装置200における施解錠状態要求信号の受信は、時刻t0において携帯キーリモコン100により送信されたドア閉要求信号を受信する場合と同様に考えることができる。つまり、それぞれのドア施解錠装置200は、ドア開閉制御装置300により送信された施解錠状態要求信号を、同時期に受信する。そして、それぞれのドア施解錠装置200は、取得したサムターン状態信号に基づいた施解錠状態情報を、ドア開閉制御装置300に送信する。このとき、それぞれのドア施解錠装置200における施解錠状態情報の送信は、ドア閉指示信号を送信する場合と同様に、それぞれのドア施解錠装置200とドア開閉制御装置300との間で無線通信を行う施解錠状態情報の無線信号が混信してしまうのを回避する。つまり、最初に第1のドア施解錠装置200-1が施解錠状態情報をドア開閉制御装置300に送信し、第2のドア施解錠装置200-2が、所定の混信回避待ち時間が経過した後に、施解錠状態情報をドア開閉制御装置300に送信する。
ドア開閉制御装置300は、それぞれのドア施解錠装置200により送信された施解錠状態情報を受信すると、受信した施解錠状態情報に基づいて、ドアDの現在の状態が施錠状態であるか解錠状態であるかの確認を実行する。
図7には、それぞれのドア施解錠装置200が、時刻t10のときにドア開閉制御装置300により送信された施解錠状態要求信号を受信し、対応する施解錠操作機構203からサムターン状態信号を取得する場合の一例を示している。そして、図7には、第1のドア施解錠装置200-1が時刻t11から施解錠状態情報をドア開閉制御装置300に送信し、ドア開閉制御装置300が、時刻t12のときに第1のドア施解錠装置200-1により送信された施解錠状態情報を受信して、施解錠状態情報に基づいてドアDの現在の状態の確認を実行する場合の一例を示している。図7では、第1のドア施解錠装置200-1による施解錠状態情報の送信が完了した時刻t13から、所定の余裕時間Te2を加えた時刻t11~時刻t14までの時間を混信回避待ち時間として予め設定している。そして、図7には、第2のドア施解錠装置200-2が、所定の混信回避待ち時間が経過した時刻t14から施解錠状態情報をドア開閉制御装置300に送信し、ドア開閉制御装置300が、時刻t15のときに第2のドア施解錠装置200-2により送信された施解錠状態情報を受信して、施解錠状態情報に基づいてドアDの現在の状態の確認を実行する場合の一例を示している。
その後、開閉制御部302は、それぞれのドア施解錠装置200から入手した施解錠状態情報に基づいてドアDの現在の状態を確認した結果、現在のドアDの状態が解錠状態である場合に、ドアDを閉状態に移行させるドア閉動作を実行する。図7には、ドア開閉制御装置300が、時刻t16のときに現在のドアDの状態が解錠状態であることを確認し、ドアDを閉状態に移行させるドア閉動作の実行を開始している状態を示している。
そして、図7には、ドア開閉装置400によってドアDが閉状態に移行された時刻t17のときに、ドア開閉制御装置300が、それぞれのドア施解錠装置200にドア閉完了通知を送信し、時刻t18のときから、それぞれのドア施解錠装置200が施錠動作の実行を開始した場合の一例を示している。
図7には、ドア開閉制御装置300がドアDの現在の状態を確認した結果、現在のドアDの状態が解錠状態である場合を示した。一方、確認の結果がドアDの状態が施錠状態である場合、ドア開閉制御装置300は、上述したように、ドアDを解錠状態に移行させるための施解錠指示信号をそれぞれのドア施解錠装置200に送信させる。この場合におけるドア開閉制御装置300による施解錠指示信号の送信は、図7に示した施解錠状態要求信号をそれぞれのドア施解錠装置200に送信する場合と同様に考えることができ、それぞれのドア施解錠装置200による施解錠指示信号に応じた解錠完了通知の送信は、図7に示した施解錠状態情報をドア開閉制御装置300に送信する場合と同様に考えることができる。従って、ドア開閉制御装置300がドアDの現在の状態を確認した結果が施錠状態である場合の動作に関する詳細な説明は省略する。
このような動作(処理)によって、ドア開閉システム1では、ドア開閉制御装置300がドアDの現在の状態を確認した後、携帯キーリモコン100を操作することによりユーザーが要求した閉状態に、ドアDの扉部分を移行させる。このような動作(処理)にすると、ドア開閉制御装置300は、現在のドアDの状態が解錠状態であることが確認された場合には、それぞれのドア施解錠装置200がドアDを解錠状態に移行させるのを待たずに、ドアDを閉状態に移行させるためのドア閉制御信号をドア開閉装置400に出力することができる。
上記に述べたとおり、実施形態のドア開閉システム1によれば、ユーザーが携帯キーリモコン100を操作することによりドアDから離れた位置から送信された無線信号を、複数のドア施解錠装置200のそれぞれが受信する。そして、実施形態のドア開閉システム1では、ドア開閉制御装置300が、それぞれのドア施解錠装置200からドアDを同じ状態に移行させる開閉指示信号を受信した場合に、ドアDの扉部分をユーザーが要求した状態(開状態または閉状態)に移行させる。これにより、実施形態のドア開閉システム1は、複数の錠(例えば、二つの錠)が設置されているドアDに対しても適用することができる。このことにより、実施形態のドア開閉システム1が適用された家屋(建物)のユーザーは、手動による錠(施解錠機構)の施解錠やドアDの開閉を行わずに、容易に家屋(建物)への出入りをすることができる。
さらに、実施形態のドア開閉システム1では、それぞれのドア施解錠装置200とドア開閉制御装置300とが、携帯キーリモコン100とそれぞれのドア施解錠装置200との間の近距離無線通信と同様の無線通信によってそれぞれの信号のやり取りを行う。このとき、実施形態のドア開閉システム1では、それぞれのドア施解錠装置200がドア開閉制御装置300に無線信号を送信するタイミングをずらすことにより、無線信号を送信する際に懸念されるそれぞれの無線信号の混信を回避することができる。これにより、実施形態のドア開閉システム1は、それぞれのドア施解錠装置200とドア開閉制御装置300との間の配線の無線化を実現し、新たに建設する家屋(建物)のドアDのみならず、すでに建設されて設置されている家屋(建物)のドアDに対しても、容易に適用することができる。
実施形態のドア開閉システム1において説明したドアDを閉状態にさせる動作(処理)では、ドア開閉制御装置300により送信されたドア閉完了通知を受信すると、それぞれのドア施解錠装置200がすぐにドアDを施錠状態にさせる、いわゆる、オートロックの場合の一連の動作(処理)の一例について説明した。しかし、ドア開閉システム1においてドアDを閉状態にさせる際の動作(処理)は、上述した一連の動作(処理)に限定されない。例えば、それぞれのドア施解錠装置200がドア閉完了通知を受信した後、例えば、それぞれのドア施解錠装置200(いずれか一方のドア施解錠装置200であってもよい)が備える不図示の通知手段や、携帯キーリモコン100が備える不図示の通知手段を用いてドアDが閉状態になったことをユーザーに通知し、ユーザーにより再度ドア閉釦CBが押下された場合に、つまり、二回目のドア閉釦CBの押下に応じて、ドアDを施錠状態にさせるようにしてもよい。このような動作(処理)にすると、毎回ドアDが自動で施錠状態にされてしまうのを回避することができ、例えば、家屋に複数人が出入りする場合や、外出する準備のために家屋に複数回出入りする場合などにおいて、利便性を向上させることができる。ドア施解錠装置200が備える通知手段(不図示)としては、例えば、LEDなどのように光によって通知をするものや、ブザーなどのように音によって通知をするものなどが考えられる。携帯キーリモコン100が備える通知手段(不図示)としては、例えば、LEDなどのように光によって通知をするものや、ブザーなどのように音によって通知をするもの、バイブレータなどのように振動によって通知をするものなどが考えられる。携帯キーリモコン100が備える不図示の通知手段を用いてドアDが閉状態になったことをユーザーに通知する場合は、携帯キーリモコン100とそれぞれのドア施解錠装置200との間の近距離無線通信は、双方向の通信とする。この双方向の近距離無線通信は、既存の技術によって行うことができるため、詳細な説明は省略する。
実施形態のドア開閉システム1においては、上述したドアDを閉状態にさせる動作の流れのような、ドア閉完了通知に応じてドアDを施錠状態にさせるオートロックのモードと、上述したドア閉完了通知に応じてドアDを閉状態にし、二回目のドア閉釦CBの押下(例えば、二回目のドア閉完了通知)によってドアDを施錠状態にさせるモード(以下、「2段施錠モード」という)とを切り替えられるようにしてもよい。つまり、実施形態のドア開閉システム1においては、一回目のドア閉釦CBの押下に応じてドアDを施錠状態にさせるオートロックのモードと、一回目のドア閉釦CBの押下に応じてドアDを閉状態にまで移行させ、二回目のドア閉釦CBの押下に応じてドアDを施錠状態にさせる2段施錠モードとを切り替えられるようにしてもよい。
さらに実施形態のドア開閉システム1では、例えば、ドアDを閉状態にさせる動作において、それぞれのドア施解錠装置200またはドア開閉制御装置300がドアDを閉状態に移行させる前にドアDの現在の状態が施錠状態であるか解錠状態であるかを確認したか結果、現在のドアDの状態が施錠状態である場合においても、上述した2段施錠モードの考え方を用いてもよい。より具体的には、それぞれのドア施解錠装置200またはドア開閉制御装置300が現在のドアDの状態が施錠状態であることを確認した場合、上述した不図示の通知手段を用いてドアDが施錠状態であることをユーザーに通知し、ユーザーにより再度ドア閉釦CBが押下された場合には、自動でデットボルトDBを退避状態にして、その後の動作をするようにしてもよい。これにより、ドア開閉システム1では、ドアDが施錠状態であることを通知した際に、ユーザーが手動で錠(施解錠機構)を解錠状態にすることなく、ドアDを施錠状態にまで移行させることができる。
以上説明した実施形態のドア開閉システム1によれば、ドアの開閉を要求する第1の無線信号(ドア開要求信号やドア閉要求信号)を送信する携帯キーリモコン(例えば、携帯キーリモコン100)と、第1の無線信号に表された要求に基づいてドアに設置されている施解錠機構(錠)を操作することによりドアを施錠状態または解錠状態に移行させるとともに、第1の無線信号に応じたドアの開閉を指示する第2の無線信号(開閉指示信号:ドア開指示信号やドア閉指示信号)を送信する施解錠装置(例えば、ドア施解錠装置200)と、第2の無線信号に応じて、ドアを開状態または閉状態に移行させる開閉制御信号(ドア開制御信号やドア閉制御信号)を出力する開閉制御装置(例えば、ドア開閉制御装置300)と、ドアに設置され、開閉制御信号に応じてドアを開状態または閉状態に移行させる開閉装置(例えば、ドア開閉装置400)と、を備える。そして、実施形態のドア開閉システム1では、第1の無線信号と第2の無線信号とは、同じ無線通信規格の無線信号であり、施解錠装置は、少なくとも第1の無線信号を受信したときから第1の所定時間が経過した後に第2の無線信号を開閉制御装置に送信する。これにより、実施形態のドア開閉システム1は、それぞれの施解錠装置と開閉制御装置との間の配線の無線化を実現し、新たに建設する家屋(建物)のドアDのみならず、すでに建設されて設置されている家屋(建物)のドアDに対しても、容易に適用することができる。このことにより、実施形態のドア開閉システム1では、ドア開閉システムが適用された家屋(建物)のユーザーが手動による錠(施解錠機構)の施解錠やドアの開閉を行わずに、容易に家屋(建物)への出入りをすることができる。
上述した実施形態のドア開閉システム1では、ドア施解錠装置がドアの室内側に配置されている場合を説明した。しかし、実施形態のドア開閉システム1においてドア施解錠装置を配置する位置は、ドアの室内側に限定されない。ドア施解錠装置は、例えば、ドアの室外側に配置されてもよい。この場合のドア開閉システムにおいても、上述した実施形態のドア開閉システム1と同様の効果を得ることができる。
上述した実施形態のドア開閉システム1では、二つのドア施解錠装置を備える構成を説明した。しかし、実施形態のドア開閉システム1が備えるドア施解錠装置の数は、二つに限らず、一つであってもよいし、三つ以上であってもよい。ドア施解錠装置が一つの場合、携帯キーリモコンとドア施解錠装置との間の近距離無線通信において送信待ち時間が適用され、ドア施解錠装置が三つ以上である場合、さらに、それぞれのドア施解錠装置に対して適宜、混信回避待ち時間が適用される。例えば、ドア開閉システムが三つのドア施解錠装置を備える場合、最初にドア開閉制御装置との間で近距離無線通信を行うドア施解錠装置には送信待ち時間のみが適用される。そして、次にドア開閉制御装置との間で近距離無線通信を行うドア施解錠装置には送信待ち時間と1回分の混信回避待ち時間が適用される。さらにその次にドア開閉制御装置との間で近距離無線通信を行うドア施解錠装置には送信待ち時間と2回分の混信回避待ち時間が適用される。実際にドア施解錠装置を製造する際には、同じ構成にすることが考えられる。このため、それぞれのドア施解錠装置に適用される混信回避待ち時間の回数は、例えば、不図示のスイッチなどによって切り替える構成が考えられる。
上述した実施形態のドア開閉システム1では、ドアが備える不図示のラッチなどの係止機構が常にドア内に収められている状態であるものとして説明した。しかし、ドアの係止機構も、実施形態のドア開閉システム1において操作する構成にしてもよい。例えば、実施形態のドア開閉システム1では、ドアDの係止機構を操作するための係止操作機構をそれぞれのドア施解錠装置200(いずれか一方のドア施解錠装置200であってもよい)に備え、この係止操作機構が、施解錠制御部202により出力された係止制御信号に応じて、ドアDに付勢されているラッチを回動させる構成が考えられる。この構成のドア開閉システム1においてドアDを開状態に移行させる動作(処理)は、係止操作機構を備えるドア施解錠装置200における図3のステップS103-1およびステップS103-2のうち一方または両方の後(ドアDを解錠状態にさせた後)に、施解錠制御部202が係止制御信号を係止操作機構に出力してラッチを退避状態に移行させてから、以降の動作(処理)においてドアDを開状態に移行させるドア開指示信号をドア開閉制御装置300に送信する動作(処理)となる。一方、この構成のドア開閉システム1においてドアDを閉状態に移行させる動作(処理)は、図5を用いて説明した動作(処理)と同様である。これは、ラッチは、バネなどによって突出状態に付勢されているため、例えば、ドアノブやドアレバーを操作して退避状態にしていないときには常に突出状態になっており、ドアDが閉められて枠内に収まるときには一旦退避状態になり、最終的にドアDが閉じられたときに再び突出状態となるからである。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。