JP7260475B2 - 網膜前駆体、網膜色素上皮細胞及び神経網膜細胞を得るフィーダーフリーの方法 - Google Patents

網膜前駆体、網膜色素上皮細胞及び神経網膜細胞を得るフィーダーフリーの方法 Download PDF

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Description

光受容体細胞(photoreceptor cells:視細胞)又は支持網膜色素上皮(RPE)の機能の障害又は完全な損失は、遺伝性網膜症及び加齢黄斑変性(AMD)等の網膜疾患における不可逆的失明の主な原因である。緑内障における網膜神経節細胞(RGC)の死滅もまた、視力の不可逆的損失を引き起こす。多能性幹細胞の細胞誘導体を使用した細胞置換戦略は、変性した網膜を回復させる非常に有望なアプローチである。段階的な分化プロトコルは、網膜分化を模倣して、ヒト胚幹(hES)細胞及びヒト人工多能性幹(hiPS)細胞からRPE細胞、RGC及び光受容体を首尾よく生成するよう設計された[1~14]。最近のプロセスにより、hES又はhiPSは、胚様体から[15~18]、又は単にコンフルエントなhiPS培養物から[19、20]、3D網膜構造を効率的に形成することができることが実証された。網膜前駆体細胞、RPE細胞及び神経網膜細胞を含む或る特定のヒト神経上皮系譜細胞の実質的に純粋な培養物を得るin vitroでの方法は、例えば特許文献1にすでに記載されている。
これらのアプローチの大部分が、培地中の動物由来の構成成分及び動物由来の基質又はin vitroでの培養物中でのフィーダー細胞の存在に依存している。基本的に、フィーダー細胞は、細胞外分泌物、特に増殖因子を提供する、分裂することができない細胞(それにより「成長停止細胞」とも称される)の層で構成されて、通常は細胞増殖及び分化を促進するのに使用される。
しかしながら、多能性幹細胞の細胞誘導体の臨床的応用は、かかる細胞誘導体を得ることを実際に可能にする培養パラメーターの幾つかによって妨げられている。これらの最大の障害は、マウス/ヒト由来のフィーダー細胞の要件である。実際に、フィーダー細胞は、多能性幹細胞の成長及び分化に必須であるにもかかわらず、動物/ヒトウイルスを細胞に、最終的には患者に移行させる現実的なリスクを課す未知の因子群を生み出す。
したがって、hESC又はhiPSCに由来する移植可能な網膜細胞型の生成に関する現行の適正製造基準(GMP)ガイドラインに従って、好適にはゼノフリーの(xeno-free:異種成分非含有)(XF、即ち、細胞培養培地の構成成分は全て、同じ生物に由来する)フィーダーフリー(feeder-free:フィーダー非含有)(FF)の方法(即ち、フィーダー細胞の使用を包含しない方法)を確立することが、将来の臨床的応用に必要とされる。
既知組成培地(chemically defined media)を有するフィーダーフリーの(FF)系の使用は、培養物hES細胞及びhiPS細胞に関して記載されている[21]。しかしながら、XF/FF培養条件は、網膜ニューロンに対する分化に関してはあまり文書化されていない[26、27]。
以下の実験の部で開示するように、本発明者らは、ここで、iPS細胞を、フィーダーフリーの培養系に基づいて、好適には異種産物の非存在下で、新たな網膜分化プロトコルに付した。このプロトコルは、胚様体又は細胞凝集塊の形成を回避して、マトリゲル又は血清の非存在下で実施することができる。本発明者らは、幹細胞特異的な神経促進培地中で培養した接着hiPS細胞が、3週~5週以内で眼野のアイデンティティを有する神経上皮様構造を生成することができ、3D培養に切り替えると、主要な網膜細胞型に分化できることを実証した。これらの条件下では、hiPS細胞は、発達的に適切な時間枠で網膜マーカーを迅速に発現しながら、神経網膜様組織に自己組織化して、RGC及び光受容体等の種々の網膜細胞型を生じた。
国際公開第2014/174492号
したがって、本発明の第1の目的は、ヒト網膜前駆体を得るin vitroでの方法であって、
(i)ヒト多能性幹細胞の接着培養物を、幹細胞特異的な神経促進培地に入れる工程であって、上記培養物は、フィーダー細胞を欠如している、工程と、
(ii)色素細胞及び/又は神経上皮様構造が出現するまで、この培養物を、上記幹細胞特異的な神経促進培地中で維持する工程と、
を含む、方法である。
本文中で、「網膜前駆体細胞」とも呼ばれる「網膜前駆体」は、光受容体の前駆体及びRPEに分化することができる細胞を含む、神経網膜の全ての細胞型を生成するのに適格な細胞を包含する。
「ヒト多能性幹細胞」は、ヒト胚幹(hES)細胞及びヒト人工多能性幹(hiPS)細胞を含む。かかる細胞は、当該技術分野で既知の方法、例えば、Chungらによって詳述される胚の破壊を伴わない方法を使用して、容易に得られ得る[45]。上記方法は好適には、ヒト人工多能性幹細胞を用いて実施される。
本明細書中の「フィーダー細胞」は、成長停止細胞を指す。「フィーダー細胞」は、線維芽細胞、特に、当該技術分野において幹細胞の培養に一般的に使用されるヒト包皮線維芽細胞、成体皮膚線維芽細胞及び初代マウス胚線維芽細胞を包含する。
上述するように、本発明の方法は、フィーダーフリーであり、したがって、フィーダー細胞の使用を必要としない。
上記方法の好ましい実施の形態において、ヒト多能性幹細胞の培養物及び幹細胞特異的な神経促進培地は、フィーダー細胞を欠如している。更に好ましい実施の形態において、ヒト多能性幹細胞の培養物及び幹細胞特異的な神経促進培地は、線維芽細胞を欠如しており、好適にはヒト包皮線維芽細胞、成体皮膚線維芽細胞及び初代マウス胚線維芽細胞を欠如している。好適には、ヒト多能性幹細胞の培養物及び幹細胞特異的な神経促進培地は、ヒト多能性幹細胞に由来しない如何なる細胞も欠如している。
好適には、上記方法は、異種産物の非存在下で実施され得る。上記方法の好ましい実施の形態によれば、幹細胞特異的な神経促進培地の構成成分は全て、同じ生物に由来し、好適には、幹細胞特異的な神経促進培地の構成成分は全て、ヒト起源に由来する。上記方法の更に好ましい実施の形態によれば、幹細胞特異的な神経促進培地のタンパク質は全て、ヒト起源に由来する。本発明において、この定義は、ヒト試料から単離される構成成分、より詳細にはタンパク質、及び組換えタンパク質等の組換えヒト構成成分の両方を包含すると理解されるべきである。組換えヒトタンパク質が使用される場合、使用する核酸配列がヒト起源であるか、又はヒト起源の配列に由来するならば、組換えヒトタンパク質は、ヒト細胞以外の生物において産生されてもよい。
「神経促進培地」は概して、ニューロン細胞の維持及び/又は成長を支持する培養培地を指す。神経促進培地は通常、栄養培地で構成され、該栄養培地には、下記要素:炭素供給源、ビタミン、無機塩、アミノ酸及びタンパク質消化物の少なくとも一部を含む神経促進サプリメントが補充されている。
しかしながら、本発明者らは、ヒト多能性幹細胞のヒト網膜前駆体への分化は、フィーダーフリーのin vitro系を使用する場合に、幹細胞に適応させた特異的な神経促進培地の使用を必要とすることを実証した。
本発明において、「幹細胞特異的な神経促進培地」は、幹細胞特異的な栄養細胞培地、並びに下記要素:炭素供給源、ビタミン、無機塩、アミノ酸及びタンパク質消化物の少なくとも一部を含む神経促進サプリメントを含む。当業者は、幹細胞特異的な栄養細胞培地及び神経促進サプリメントの相対比率を容易に規定し得る。好ましくは、神経促進サプリメントの容量は、幹細胞特異的な神経促進培地の最終容量の1%~2%に相当する。
Thermo Fischer ScientificによってEssential 8(商標)培地として商品化されたE8培地と呼ばれる適切な幹細胞特異的な栄養細胞培地は、Chenらによって記載されている[21]。E8培地は、NaHCOでpHを調節したDMEM/F12中においてインスリン、セレン、トランスフェリン、L-アスコルビン酸、FGF2、及びTGFβ(又はNODAL)で構成される。より正確には、この培地は、下記の通りにChenらに規定されている:E8培地は、DMEM/F12、L-アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウム(64mg/l)、セレン酸ナトリウム(14μg/l)、FGF2(100μg/l)、インスリン(19.4mg/l)、NaHCO(543mg/l)及びトランスフェリン(10.7mg/l)、TGFβ1(2μg/l)又はNODAL(100μg/l)を含有し、ここで、培地のオスモル濃度は、pH7.4で340mOsmに調節される。
Essential 7(商標)(Thermo Fischer Scientific)として商品化されたE7培地又はEssential 6(商標)(Thermo Fischer Scientific)として商品化されたE6培地等のE8/Essential 8(商標)培地に由来する幹細胞特異的な栄養細胞培地もまた、使用され得る。E7培地は、E8培地の組成と類似した組成を有するが、如何なるTGFβも含有しない(即ち、TGFβを欠如している)。E7培地は、NaHCOでpHを調節したDMEM/F12中においてインスリン、セレン、トランスフェリン、L-アスコルビン酸、FGF2で構成される。E6培地は、E8培地の組成と類似した組成を有するが、TGFβを欠如しており、FGF2を欠如している。E6培地は、NaHCOでpHを調節したDMEM/F12中においてインスリン、セレン、トランスフェリン、L-アスコルビン酸で構成される。
好ましくは、幹細胞特異的な栄養細胞培地は、NaHCOでpHを調節したDMEM/F12中においてインスリン、セレン、トランスフェリン、L-アスコルビン酸で構成され、任意選択でTGFβ及び/又はFGF2を更に含む。
TeSR(商標)-E8(STEMCELL Technologies)、TeSR(商標)-E7(STEMCELL Technologies)、TeSR(商標)-E6(STEMCELL Technologies)、NutriStem(STEMGENT)及びiPS-Brew等の市販の幹細胞特異的な栄養細胞培地、特に、StemMACS iPS-Brew XF基本培地(Miltenyi)として商品化された培地もまた、使用され得る。
幹細胞特異的な神経促進培地を得るのに適した神経促進サプリメントは、N2、B27、G5及びBIT9500サプリメント等の既知のサプリメント、並びにこれらに由来する任意のサプリメントの中から選択され得る。これらのサプリメント中に存在する構成成分を以下の表1に概要する。
Figure 0007260475000001
しかしながら、上記方法が、「ゼノフリー」で、即ち、異種産物の非存在下で実施されるべきである場合、神経促進サプリメントは、同じ生物に由来する構成成分のみで配合されるべきであり、本明細書中で「ゼノフリーの神経促進サプリメント」とも呼ばれる。したがって、上記方法の或る実施の形態において、神経促進サプリメントの構成成分は全て、同じ生物に由来し、好ましくは、神経促進サプリメントの構成成分は全て、ヒト起源に由来する。好ましくは、かかる実施の形態において、神経促進サプリメントは、N2サプリメント及びB27サプリメントの中から選択され、ここで、神経促進サプリメントの構成成分は全て、同じ生物に由来し、更に好ましくはヒト起源に由来する。
適切なゼノフリーの神経促進サプリメントは、例えば、組換え構成成分又はヒト化構成成分のみで配合された完全B-27(商標)無血清サプリメントであるB-27(商標)Supplement XenoFree CTS(商標)(Thermo Fisher Scientific)、及び組換え構成成分及びヒト化構成成分のみで配合された完全N2(商標)無血清サプリメントであるN2(商標)Supplement XenoFree CTS(商標)(Thermo Fisher Scientific)である。
上記方法の或る実施の形態において、幹細胞特異的な神経促進培地は、血清アルブミンを欠如している。したがって、かかる実施の形態において、N2等の神経促進サプリメントの使用は、幹細胞特異的な神経促進培地の調製に好ましい。
好ましくは、本発明の方法で使用する幹細胞特異的な神経促進培地は、上記で列挙した培地の1つ等の幹細胞特異的な栄養細胞培地、及びN2サプリメントを含み、ここで、更に好ましくは、神経促進サプリメントの構成成分は全て、同じ生物に由来し、好適にはヒト起源に由来する。
或る実施の形態において、本発明の方法で使用する幹細胞特異的な神経促進培地は、NaHCOでpHを調節したDMEM/F12中においてプロゲステロン、プトレシン、亜セレン酸ナトリウム、インスリン、セレン、トランスフェリン、L-アスコルビン酸を含むか、又はそれらからなり、任意選択でTGFβ及び/又はFGF2を更に含み、更に好ましくは、幹細胞特異的な神経促進培地の構成成分は全て、同じ生物に由来し、好適にはヒト起源に由来する。
FGF2は、多能性状態で多能性幹細胞を維持することにより分化の防止に寄与することは既知である。したがって、好ましくは、使用する幹細胞特異的な神経促進培地は、FGF2を欠如している。好適には、本発明の方法で使用する幹細胞特異的な神経促進培地は、E6の組成を有する栄養培地とN2サプリメントとを含む。かかる実施の形態において、本発明の方法で使用する幹細胞特異的な神経促進培地は、NaHCOでpHを調節したDMEM/F12中においてプロゲステロン、プトレシン、亜セレン酸ナトリウム、インスリン、セレン、トランスフェリン、L-アスコルビン酸を含むか、又はそれらからなり、ここで、更に好ましくは、幹細胞特異的な神経促進培地の構成成分は全て、同じ生物に由来し、好適にはヒト起源に由来する。
好適には、上記方法は、分化因子を使用せずに実施することができる。上記方法の好ましい実施の形態によれば、使用する幹細胞特異的な神経促進培地は、下記の分化因子:ノギン、Dkk-1及びIGF-1の少なくとも1つを欠如している。特に、神経促進培地は、これらの3つの因子を欠如し得る。
工程(i)で使用するヒト多能性幹細胞は、任意の種類の接着培養系で培養することができる。この培養に使用することができる表面の非限定的な例は、ガラス、プラスチック(場合によっては処理される)、ビトロネクチン、アラニン、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、Geltrex(商標)、Cellstart(商標)、Matrigel(商標)、ポリL-リジン、栄養細胞、又はCorning Synthemax(商標)等の市販の任意の合成表面である。好ましくは、in vitroでの系で使用する表面は、例えば、ビトロネクチン、アラニン、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、又はポリL-リジン等の少なくともヒト起源のタンパク質を含むか、又はそれらのみからなる。本発明において、培養物がゼノフリーであるべきである場合、in vitroの系で使用する表面は、好ましくは、例えば、ヒトビトロネクチン、ヒトコラーゲン、ヒトラミニン、ヒトフィブロネクチン等の少なくともヒト起源のタンパク質を含むか、又はそれらのみからなる。「ヒト起源の分子」とは、本明細書中では、ヒトに見られる相当する分子のペプチド配列を有する分子を指す。かかる「ヒト起源の分子」は、ヒト試料由来の分子の単離によって、又は組換え分子の産生によって、容易に得ることができる。本発明において、機能性切断型タンパク質又は機能性タンパク質変異体もまた、使用され得る。「機能性切断型タンパク質」及び「機能性タンパク質変異体」とは、本明細書中では、総タンパク質の、多能性幹細胞の接着を促進する能力を保持する切断型タンパク質又はタンパク質変異体を指し、それは、当業者によって容易に検証することができる。
ビトロネクチンは特に、多能性細胞の培養を促進することが示されている。したがって、好適には、本発明において、工程(i)で使用するヒト多能性幹細胞は、ビトロネクチン、好ましくはヒトビトロネクチン、更に好ましくは切断型ヒトビトロネクチンの存在下で培養される。好適には、工程(i)で使用するヒト多能性幹細胞は、ヒトビトロネクチンのアミノ酸断片62~478に相当する組換え切断型ヒトビトロネクチンの存在下で培養される。Thermo Fischer Scientific又はSTEMCELL技術によって商品化された製品VTN-Nは、例えば当該目的で使用され得る。
実験の部で記載するように、またこれは、必須ではないが、本発明による方法は、工程(i)が、1日~4日間、好ましくは2日間の多能性幹細胞の維持用の培養培地中での上記多能性幹細胞の接着培養の工程に先行されるように、実施することができる。好ましくは、多能性幹細胞の維持用の培養培地中での上記多能性幹細胞の接着培養の上記工程は、1日~4日間、好ましくは2日間の塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF/FGF2)を欠如するように改変された、多能性幹細胞の維持用の培養培地を使用して実現される。この更なる工程に関する塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF/FGF2)を欠如している適切な培地の非限定的な例は、Essential 6(商標)培地、TeSR(商標)-E6培地及びMiltenyi BiotechによってStemMACS iPS-Brew XF基本培地として商品化された培地である。或いは、多能性幹細胞の維持用の培養培地における上記多能性幹細胞の接着培養の上記工程は、1日~4日間、好ましくは2日間の塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF/FGF2)を含む多能性幹細胞の維持用の培養培地を使用して実現される。この更なる工程に関する塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF/FGF2)を含む適切な培地の非限定的な例は、Essential 8(商標)培地、TeSR(商標)-E8培地、及びStemMACS iPS-Brew XF完全培地(StemMACS iPS-Brew XFサプリメントを補充したStemMACS iPS-Brew XF基本培地)である。
本発明によれば、工程(ii)は、色素細胞及び/又は神経上皮様構造が出現するまで実施される。
上記において、以下の実験の部で「神経網膜様構造」とも呼ばれる「神経上皮様構造」は、神経促進培地中での培養の数日後に出現し始める明位相(phase-bright)構造を指す。これらの構造は、OCT4等の多能性関連遺伝子を著しく発現せず、LHX2、RAX、PAX6及びSIX3等の眼野指定(specification)と関連付けられる転写因子を発現する細胞で本質的に作製される。実験の部で開示するように、上記方法を実施する場合、色素細胞がまず出現し、神経上皮様構造は、ほとんどの場合で、色素細胞のパッチの近傍に出現する。
当然のことながら、本発明による方法を実施する場合、当業者は、各種マーカーの発現を検出することができる(各種マーカーの発現、又は各種マーカーが、もはや発現されないという事実のいずれかを調べるために、及び/又は各種マーカーの発現レベルを定量的に測定するために)。例えば、定量的RT-PCR及びイムノアッセイ等の当該技術分野で既知の任意の技法をこの目的に使用することができる。多能性に関するマーカーの例は、OCT4、SOX2及びNANOGであり、眼野に関するマーカーの例は、RAX、PAX6、OTX2、LHX2及びSIX3であり、最初の2つが好ましい。
本発明者らは、本発明の接着培養における細胞のコンフルエンスが、生存可能な色素細胞及び/又は神経上皮様構造を得るのに役割を果たし得ることを観察した。実際に、接着培養が、80%コンフルエンスに達すると、得られる色素細胞及び/又は神経上皮様細胞は、品質が劣り、それらの生存度は影響を受ける。細胞培養生物学において、コンフルエンスは、培養皿又はフラスコ中の接着細胞の数の推定として一般的に使用される用語であり、細胞によって覆われる表面の比率を指す。当業者は、接着細胞に関するコンフルエンスの概念に精通しており、このコンフルエンスを評価することが可能であり、特にコンフルエンスが、培養表面全体上で均一ではない場合に、局所的に、即ち受容器(recipient)の1つの区域でのみ認めることができる。コロニー型の単層の場合、「80%コンフルエンス」は、必要に応じて、幾つかのコロニーが、一定時間内で(punctually)他のコロニーと接触するようになる一方で、これらのコロニー間に幾らかの自由空間(表面の10%~30%に相当する)が残存する状況として定義することができる。
好ましい実施の形態において、工程(ii)は、接着培養物が、60%~80%、好適には70%~80%コンフルエンスに達するまで実施される。好ましくは、本発明の方法において、細胞のコンフルエンスは、80%に満たない。
上記方法の好ましい特定の実施の形態において、工程(ii)は、少なくとも16日間、好ましくは19日~33日間実施され、その結果、十分量の神経上皮様構造が出現する。当然のことながら、培養方法は、工程(ii)を短縮することができるように発展させることができる。上述するように、神経上皮様構造は、OCT4等の多能性関連遺伝子を著しく発現せず、眼野指定と関連付けられる転写因子を発現する細胞で本質的に作製される。したがって、培養系に応じて、当業者は、少なくとも幾つかの細胞がOCT4を発現するのを止め、及び/又はRAX及びPAX6を発現し始める時間として、工程(ii)の終了を規定することを選択することができる。上述するように、この特性化は、qRT-PCR又は免疫染色等の任意の既知の技法によって実施することができる。
別の態様によれば、本発明は、RPE細胞を得る方法であって、
(i)ヒト多能性幹細胞の接着培養物を、幹細胞特異的な神経促進培地に入れる工程であって、上記培養物は、フィーダー細胞を欠如している、工程と、
(ii)色素細胞が出現するまで、この培養物を、上記幹細胞特異的な神経促進培地中で維持する工程と、
(iiiRPE)工程(ii)で得られた培養物から、少なくとも1つの色素細胞を収集する工程と、
(ivRPE)工程(iiiRPE)で得られた該色素細胞を培養する工程と、
を含む、方法に関する。
この方法を実施する場合、当業者は、工程(iiiRPE)で収集される細胞が、小眼球症関連転写因子(MITF)及び/又はZO-1を発現することを調べることができる。上述するように、当該技術分野で既知の任意の技法(例えば、qRT-PCR及び免疫染色)をこの目的に使用することができる。
RPE細胞を得る上記方法の好ましい実施の形態によれば、工程(ivRPE)における培養は、接着培養系で実行される。上述するように、任意の接着培養系を使用することができる。
RPE細胞を得る本発明の方法を実施する場合、細胞は、少なくとも5日間、工程(ivRPE)で増幅される。好適には、工程(ivRPE)の培養物は、数週間、維持及び増幅させて、大量のRPE細胞を得ることができ、例えば、色素細胞の約10個のパッチが工程(iiiRPE)で収集され、3cmの新たな皿に一緒に蒔いて、2週~4週後に、又はFGF2を培養培地に添加する場合には(2日~3日毎に10ng/ml)、10日~14日後に、RPE細胞の実質的に純粋な(99%)コンフルエントな接着培養物が得られる。
工程(iiiRPE)で得られる色素細胞を培養する工程(ivRPE)は、任意のタイプの神経促進培地を使用して実施されてもよく、上述する幹細胞特異的な神経促進培地に限定されず、幹細胞特異的な神経促進培地もまた使用され得る。この工程を実施するのに適切な神経促進培地の非限定的な例は、Dulbeco’s Modified Eagle Medium:Nutrient Mixture F-12 (DMEM/F12)又はNeurobasal(商標)Medium(Gibco(商標))等の栄養培地で構成される任意の培地であり、上記栄養培地に、N2、B27、G5及びBIT9500サプリメント等の上記で規定するような神経促進サプリメント、並びにこれらに由来する任意のサプリメントを補充する。
好ましくは、工程(iiiRPE)で得られる色素細胞を培養する工程(ivRPE)は、N2サプリメントを補充した、好適には1%MEM非必須アミノ酸を更に補充したDulbeco’s Modified Eagle Medium:Nutrient Mixture F-12(DMEM/F12)を使用して実施される。好ましくは、工程(iiiRPE)で得られる色素細胞を培養する工程(ivRPE)において、神経促進培地の構成成分は全て、同じ生物に由来し、好適にはヒト起源に由来する。
本発明の別の態様は、神経網膜細胞を得る方法であって、
(i)ヒト多能性幹細胞の接着培養物を、幹細胞特異的な神経促進培地に入れる工程であって、上記培養物は、フィーダー細胞を欠如している、工程と、
(ii)神経上皮様構造が出現するまで、この培養物を、上記幹細胞特異的な神経促進培地中で維持する工程と、
(iiiNR)工程(ii)で得られた培養物から、少なくとも1つの神経上皮様構造由来の細胞を収集する工程と、
(ivNR)工程(iiiNR)で得られた該細胞を培養する工程と、
を含む、方法である。
本明細書中の「神経網膜細胞」は、RGC、双極細胞、水平細胞、アマクリン細胞、光受容体細胞(桿体及び錐体)、ミュラーグリア細胞並びにこれらの細胞型のいずれかの前駆体を含む。
工程(iiiNR)で得られる細胞を培養する工程(ivNR)は、任意のタイプの神経促進培地を使用して実施されてもよく、上述する幹細胞特異的な神経促進培地に限定されず、幹細胞特異的な神経促進培地もまた使用され得る。この工程を実施するのに適切な神経促進培地の非限定的な例は、Dulbeco’s Modified Eagle Medium:Nutrient Mixture F-12 (DMEM/F12)又はNeurobasal(商標)Medium(Gibco(商標))等の栄養培地で構成される任意の培地であり、上記栄養培地に、N2、B27、G5及びBIT9500サプリメント等の神経促進培地を得るのに適したサプリメント、並びにこれらに由来する任意のサプリメントを補充する。
好ましくは、工程(iiiNR)で得られる細胞を培養する工程(ivNR)は、B27サプリメントを補充した、好適には1%MEM非必須アミノ酸を更に補充したDulbeco’s Modified Eagle Medium:Nutrient Mixture F-12(DMEM/F12)を使用して実施される。好ましくは、工程(iiiNR)で得られる細胞を培養する工程(ivNR)において、神経促進培地の構成成分は全て、同じ生物に由来し、好適にはヒト起源に由来する。
重要なことに、各種神経網膜細胞は、工程(ivNR)中の同じ時間に出現せず、その間に、培養細胞は分化する。したがって、工程(ivNR)の持続期間に応じて、異なる細胞型が形成する。出現の順序は、下記の通りである:まず、神経節細胞が出現した後、アマクリン細胞及び水平細胞が出現し、その後、光受容体が出現する。したがって、必要とされる細胞型に応じて、当業者は、必要な限り、最大およそ9ヵ月(およそ290日)間、培養工程(ivNR)を実施する。
以下の実験の部で例示するように、本発明のこの態様による方法は、工程(iiiNR)において、少なくとも1つの神経上皮様構造を収集することによって実施され得る。これは、例えば、この構造を、接着細胞の層と機械的に分離することによって行われ得る。続いて、この構造を、マルチウェルプレートのウェル、ペトリ皿、フラスコ等の別の培養受容器において、単独で、又は他の神経上皮様構造と一緒に入れることができる。
この方法を実施する場合、当業者は、好適には、工程(iiiNR)で収集される細胞が、眼野細胞に特徴的なPAX6及びRAXを同時発現することを調べることができる。或いは、又はさらに、工程(iiiNR)で収集される細胞による細胞増殖マーカーKi67の発現を測定することができる。
特に好適な態様によれば、本発明は、上記工程(i)~工程(ivNR)を含む光受容体前駆体を得る方法に関し、ここで、工程(ivNR)は、少なくとも21日間、好ましくは少なくとも28日間実施される。当然のことながら、培養条件の将来の発展に応じて、この工程を更に短縮してもよい。
工程(ivNR)中のいかなる時間でも、当業者は、培養細胞におけるNRL及び/又はCRXの発現を測定することによって、例えばqRT-PCRによって、光受容体系譜への分化を調べることができる。或いは、又はさらに、光受容体前駆体は、以下の実験の部で開示するように、リカバリン免疫染色を用いて同定することができる。本発明者らはまた、光受容体前駆体の細胞選別用の細胞表面マーカーとして使用することができるCD73が、リカバリンとともに同時発現されることを実証した。これは、好適には、工程(ivNR)後に光受容体前駆体の細胞選別の更なる工程を追加することによって、例えば、抗CD73抗体を使用することによって使用され得る。光受容体前駆体に富んだ得られた細胞集団を、例えば、細胞移植又はスクリーニングアプローチに使用することができる。
任意選択で、DAPT等のノッチ阻害剤を、工程(ivNR)において、少なくとも1日間、好ましくは5日間以上、培養培地に添加することができる。DAPTは、γ-セクレターゼ阻害剤、間接的にはノッチの阻害剤であり、本発明者らは、工程(ivNR)における数日間のその添加が、光受容体前駆体の生成を支持することを示した。
上記で開示する神経網膜細胞を得る方法の好ましい実施の形態によれば、工程(ivNR)における培養は、非接着培養系で実行される。例えば、工程(iiiNR)で収集される神経上皮様構造は、浮遊構造として培養される。特定の実施の形態によれば、工程(iiiNR)で収集される各神経上皮様構造はそれぞれ、個々の受容器/ウェルにおいて、浮遊構造として培養される。
非接着系の非限定的な例として、細胞が培地中で活発に懸濁された状態で保たれる磁気回転スピナーフラスコ又は振盪フラスコ又は皿、並びに細胞が攪拌された状態で保たれないが、基板に堅く結合することができない静置培養容器又はT-フラスコ及び瓶が挙げられる。
実験の部で記載するように、細胞又は神経上皮様構造は、好適には、振盪条件下で工程(ivNR)を実施することによって、培地中で活発に懸濁された状態で保たれ得る。例えば、三次元の培養物を攪拌する回転器等の任意の振盪機をこの目的で使用することができる。
神経網膜細胞を得る本発明の方法の別の好ましい実施の形態によれば、工程(ivNR)で使用する培養培地に、少なくとも5日間、FGF2が補充される。この培養培地は、好ましくは、上記で規定するようなニューロン促進培地である。
本発明の利点の1つは、第1の接着培養物から、RPE細胞(第1の培養、好ましくは接着)及び神経網膜の前駆体(第2の培養、好ましくは非接着)の両方を得るように、2つの異なる培養を並行して実施することができることである。したがって、本発明は、上記で規定するような工程(i)及び工程(ii)、続いて上記で同様に開示する工程(iiiNR)及び工程(ivNR)と並行して実施される上記で規定する工程(iiiRPE)及び工程(ivRPE)を含む、RPE細胞及び神経網膜の前駆体の両方を得る方法に関する。
最も重要なことに、本発明は、高い純度で、主要なタイプ(RPE、RGC、アマクリン細胞、水平細胞、ミュラーグリア細胞及び光受容体)の何れかの大量の網膜細胞を、容易にかつ迅速に得る信頼性の高い方法を提供する。
これらの方法、及びそれらから得られる実質的に純粋な細胞培養物は、下記の領域で有用であると想定される:
移植/細胞療法:非限定的な例として、すでに失われた視力を回復するのを助長する失われた細胞の置換療法における、RPE細胞及び/又は網膜前駆体細胞又はそれらから分化した細胞の使用が挙げられる。
RGC、桿体、錐体及びRPE細胞を含む全ての細胞の機能を保護又は増強することが可能な作用物質を同定するための薬物スクリーニング。「作用物質」とは、本明細書中では、任意の種類の分子又は組成物を意味するが、任意の電磁放射線又は粒子線(UV、可視光、電離放射線等)等の非化学的物質も意味する。
幹細胞又はそれらの誘導体を使用して、病態生理学を研究するのに、また薬物スクリーニング又は特注療法にも使用することができる多能性細胞、特にhiPS細胞からヒト網膜疾患モデルを産生すること。
網膜発達、組織形成、及びシナプス形成を含むが限定されない様々なプロセスを研究するのに有用な資源であるヒト神経発達の特有のモデル。
本発明は、下記図面及び実施例によって更に説明される。
ゼノフリーかつフィーダーフリーの条件での接着hiPSCからの網膜オルガノイドの生成の図である。(A)hiPSCからの網膜オルガノイド産生に関するプロトコルを示す模式図。(B)D0、D14及びD28の分化中のDKK1及びノギンのRT-qPCR分析。データは、D0のhiPSC-2に対して正規化される。(C)D28の接着hiPSCに由来する自己形成性神経網膜様構造。スケールバー=100μm。(D)D29で単離した代表的な浮遊網膜オルガノイドの形態。スケールバー=100μm。(E)D28の網膜オルガノイドにおける眼野転写因子NRL、CRX、NEUROD1及び多能性マーカーPOU5F1のRT-qPCR分析。データは、D0のhiPSC-2に対して正規化される。(F~G)D28~D56の網膜オルガノイドにおける眼野及び網膜特異的な転写因子及び前脳マーカーFOXG1のRT-qPCR時間経過分析。データは、D28の網膜オルガノイドに対して正規化される。(H~O)PAX6、RAX、VSX2、MITF及びKi67に関するD35の網膜オルガノイド分泌の免疫染色。パネルNの写真は、網膜オルガノイドの横断面に相当する。スケールバー=100μm。 浮遊培養中の網膜オルガノイドにおける光受容体分化の図である。(A~B)D35~D175の分化中の光受容体マーカーのRT-qPCR分析。データは、D35(A)又はD56(B)の網膜オルガノイドに対して正規化される。(C~N)指定の分化時間でのCRX(C、E、N)、OTX2(C)、CD73(D、F、J)、リカバリン(D~F、I、L)、ロドプシン(G、H、K、M)、R/Gオプシン(H)、青オプシン(K)、アセチル化チューブリン(I)及び錐体アレスチン(J、N)に関する網膜オルガノイド切片の免疫染色。核は、DAPI(青色)で対比染色した。スケールバー=50μm(C、D、G~I)又は100μm(E、F、J~N)。 hiPSC由来の光受容体の成熟及び電気生理学的分析の図である。(A~D)D195網膜オルガノイドのロドプシン(A~D)、リカバリン(A、C)又は錐体アレスチン(B)に関する免疫標識及び3DISCO透明化。スケールバー=200μm(A~C)及び25μm(D)。(E~L)外境界膜()、基底小体(BB)、結合繊毛(CC)、中心小体(CT)、ミトコンドリア(MT)、内節(IS)及び乳頭スタック(DS)の存在を伴うD112及びD196の網膜オルガノイドの透過型電子顕微鏡法分析。光受容体特異的な微小管配置により、明らかに同定可能な9×3+0基底小体複合体BB及び9×2+0結合繊毛(CC)の存在が明らかとなった。スケールバー=1μm(E、G、H);500nm(F、I、L);100nm(J、K)。(M)D175の解離網膜細胞に関するカルシウムイメージング。8-Br-cGMPの適用前(左)及び適用中(右)に得られる2光子Fura2-AM蛍光画像の例(例1及び例2)。1及び2と表示した例1に関する白矢印は、それぞれ、応答性細胞及び非応答性細胞を表す。例2に関して、矢印は、別の応答性細胞を表す。蛍光画像は、疑似色で表され、刺激前又は刺激中の20秒の活性の平均である。cGMPベースのカルシウム流入は、Fura2-AM蛍光の減少に反映され、かかる応答は、両方の例において、隣接する細胞に影響を及ぼすことなく、1つの細胞で観察される。スケールバー=5μm。(N)ベースライン蛍光からの変化パーセント(Δf/f%)として表される、例1に関して表示される細胞1及び細胞2に対するcGMP類似体の適用の蛍光生トレース及び影響。(O)3つの別個の試料由来の11個の応答性細胞の蛍光振幅の平均減少を表すボックスプロット。 浮遊網膜オルガノイドからの網膜神経節細胞、水平細胞、アマクリン細胞、ミュラーグリア細胞及び双極細胞の順次生成の図である。(A)Ki67及びVSX2に関するD28の凍結切片化した網膜オルガノイドの免疫蛍光染色。(B~F)RGC(BRN3A、PAX6)、水平細胞(LIM1、PAX6)、アマクリン細胞(AP2、PAX6)及び光受容体(OTX2)に関するマーカーを使用したD35~D84の網膜オルガノイドの免疫組織化学的分析。スケールバー=100μm。(G~J)増殖性細胞に関するマーカー(Ki67)、及び後期網膜細胞型であるミュラーグリア細胞に関するマーカー(GS、SOX9)、及び双極細胞に関するマーカー(VSX2、PKCα)を用いたD140以降の網膜オルガノイドの免疫組織化学的分析。核をDAPI(青色)で対比染色した。スケールバー=100μm(H、I)及び50μm(G、J)。(K~M)種々の時間での網膜オルガノイドにおける選択した神経網膜細胞型のRT-qPCR分析:RGC(BRN3A、BRN3B)、水平細胞(LIM)、アマクリン細胞(GAD2)、ミュラーグリア細胞(GLAST1、RLBP1)及び双極細胞(PKCα)。データは、D28(K、L)又はD56(M)の網膜オルガノイドに対して正規化される。 総網膜オルガノイドにおける、又は解離細胞としての光受容体前駆体の効率的な凍結保存の図である。(A~D)D100の網膜オルガノイドに対するCRX(A、B)、CD73(C、D)及びリカバリン(A~D)に関する免疫染色。スケールバー=100μm。(E~H)D84で凍結保存して、解凍後に更に16日間培養した網膜オルガノイドに対するCRX(E、F)、CD73(G、H)及びリカバリン(E~H)に関する免疫染色。スケールバー=100μm。(I~P)網膜オルガノイドを、D84(I~L)又はD100(M~P)で解離させて、網膜細胞を、5日間in vitro(DIV)で培養した(I、J、M、N)か、又は解凍後に5DIVで培養した(K、L、O、P)後、CD73(I~L)、CRX(M~P)及びリカバリン(I~P)に関して免疫染色した。スケールバー=100μm(I、K、M、O)及び25μm(J、L、N、P)。(Q)非凍結網膜オルガノイド(対照、N=7、81450個の細胞に相当するオルガノイド切片)又はD84で凍結保存した網膜オルガノイド(N=11、119339個の細胞に相当するオルガノイド切片)におけるCRX陽性細胞のD100の定量分析。(R)新鮮な細胞集団(対照、n=31303個の細胞)又はD100網膜オルガノイド由来の凍結保存した解離細胞集団(n=13958個の細胞)における二重CRX/リカバリン陽性細胞の5DIV後の定量分析。 ゼノフリーかつフィーダーフリーの条件でのhiRPE細胞の生成及び特性化の図である。(A)iPSCの接着培養由来のRPE細胞の生成、増幅及び保管に関する種々の工程を示す模式図。()色素パッチの採取時間。(B)D42のhiPSC-2からのhiRPE細胞の色素パッチの位相差画像。スケールバー=3cm。(C~E)それぞれ、採取後の6週(W6)及び継代培養後のW2又はW14での、継代数0のhiRPE細胞(hiRPEp0)及び継代数3のhiRPE細胞(hiRPEp3)の位相差画像。スケールバー=100μm。(F)解凍後の培養物における2週のhiRPEp3細胞のMITF及びZO-1免疫染色。スケールバー=100μm。(G、H)hiRPEp3細胞におけるBEST1及びERZINの典型的な分極発現を示すZ-スタック共焦点画像。スケールバー=10μm。(I、J)解凍後に2週(W2)、6週(6W)又は14週(W14)培養したhiRPEp3細胞における成熟RPE関連マーカーのRT-qPCR分析。データは、2WのhiRPEp3細胞に対して正規化される。(K)RPE細胞食作用活性の評価:FITC/DAPI蛍光の比を、FITCで標識したPOSとの3時間のインキュベーション後にhiRPEp3細胞、ARPE-19細胞系統及び線維芽細胞において評価して、機能阻止抗体抗αvβ5インテグリンの非存在下(青色バー)又は存在(赤色バー)下でのPOSの結合及び取込みを決定した。値は、3つの別々の実験からの平均値±SDを表す(:p<0.05;**:p<0.01;***:p<0.005、****:p<0.001)。(L~Q)抗αvβ5インテグリン阻止抗体の非存在下又は存在下でのhiRPEp3、ARPE-19及び線維芽細胞(核を青色で対比染色した)によるFITCで標識したPOS(緑色)の内部移行の定量表示。スケールバー=25μm。 種々のhiPSC系統を用いた網膜オルガノイド形成の再現性の図である。3つの異なる、遺伝子挿入のない(integration-free)hiPSC:エピソームアプローチによって初期化された成体皮膚線維芽細胞に由来するhiPSC-2(A~D);エピソームアプローチによって初期化された新生児包皮線維芽細胞に由来するhiPSC-3(E、F)及びセンダイウイルス法によって初期化された成体皮膚線維芽細胞に由来するhiPSC-4(G、H)から生成されるD28の自己形成性神経網膜様構造(A、E、G)並びにD28(B、F)、D35(C、H)及びD42(D)の誘導された網膜オルガノイドの形態。スケールバー=100μm。網膜オルガノイド形成の効率は、3つの異なるhiPSC系統に関するD28の1cm当たりの構造数を算出することによって決定された(I)。別個の分化実験の数を、各hiPSC系統に関して記録する。
実施例1:フィーダーフリー、ゼノフリーの方法を使用した、遺伝子挿入のないヒト人工多能性幹細胞の、網膜ニューロン及び網膜色素上皮細胞への信頼性の高い効率的な分化
1.1 実験手順
ヒト線維芽細胞及びiPS細胞培養
マイトマイシン不活性化マウス胚線維芽細胞に関して予め培養した樹立hiPSC-2クローン[19]を、フィーダーフリーの条件に適応させた。hiPSC-2クローン細胞由来のiPSコロニーを、酵素非含有のGentle細胞解離試薬(STEMCELL Technologies)2ml中で、室温にて7分~10分インキュベートした。解離溶液を吸引した後、フィーダー細胞を剥離させずに、iPSコロニーの中心を上下にピペッティングすることによって、予め加温した既知組成Essential 8(商標)培地(Thermo Fischer Scientific)2ml中に、剥離した細胞凝集体を再懸濁した。ヒトiPSCを、Essential 8(商標)培地の入った切断型組換えヒトビトロネクチン(rhVTN-N)でコーティングした皿上に移した。標準的な5%CO/95%エアーインキュベーター中で、毎日培地を交換しながら、細胞を37℃にて日常的に培養した。iPS細胞を、週に1回、酵素非含有のGentle細胞解離試薬を用いて(2ml、室温にて7分間)継代培養した。剥離した細胞凝集体をEssential 8(商標)培地中に収集して、慎重に上下にピペッティングして、コンフルエンスに応じて、1/10~1/60の比で再度蒔く細胞凝集体の一様な懸濁液を得た。フィーダーフリーの適応させたhiPSCを、継代数3~5後に網膜分化させた。hiPSC-2クローンを、継代数16(p16)で適応させて、p20~p40で特性化及び分化に使用した。
網膜分化及びhiPSC由来の網膜細胞培養
網膜細胞分化は、幾つかの変更を伴って、これまでに確立されたプロトコル[28]に基づいた。ヒトiPSCを、rhVTN-N(Thermo Fischer Scientific)でコーティングした直径6cmの皿において、Essential 8(商標)培地中で70%~80%コンフルエンスに増殖させた。0日目(D0)として定義されるこの時点で、hiPSCを、既知組成Essential 6(商標)培地(Thermo Fischer Scientific)中で培養した。2日後、培地を、Essential 6(商標)培地、1%CTS(商標)(Cell Therapy Systems)N2サプリメント(Thermo Fischer Scientific)、10ユニット/mlのペニシリン及び10mg/mlのストレプトマイシン(Thermo Fischer Scientific)で構成されるE6N2培地に切り替えた。培地を2日~3日毎に交換した。D28で、同定された自己形成網膜オルガノイドを、針を使用して、周囲細胞とともに単離して、10ng/mlの動物由来成分非含有の(animal-free)組換えヒトFGF2(Peprotech)を補充したProB27培地中で、浮遊構造として6ウェルプレート(ウェル1つ当たり8個~12個のオルガノイド)において培養して、培地の半分を2日~3日毎に交換した。ProB27培地は、既知組成DMEM:Nutrient Mixture F-12(DMEM/F12、1:1、L-グルタミン)、1%MEM非必須アミノ酸、2%CTS(商標)B27サプリメント(Thermo Fischer Scientific)、10ユニット/mlのペニシリン及び10mg/mlのストレプトマイシンで構成される。D35で、FGF2を除去して、「ProB27培地」の半分を、次の数週間、2日~3日毎に交換した。
hiPSC由来のRPE(hiRPE)細胞培養に関して、同定された色素パッチをおよそD42で切り出して、CTS(商標)CELLStart(商標)(Thermo Fischer Scientific)でコーティングしたプレート上へ移して、継代数0(P0)として記録した。hiRPE細胞を、DMEM/F12、1%MEM非必須アミノ酸、1%CTS(商標)N2サプリメント、10ユニット/mlのペニシリン及び10mg/mlのストレプトマイシンで構成されるProN2培地中で増殖させて、培地を2日~3日毎に交換した。コンフルエンスで、トリプシンを使用して、hiRPE細胞を解離させて、バンキング前の増殖用に、T-25cmのCTS(商標)CellStart(商標)でコーティングした皿上へ、5×10個の細胞/cmで再度蒔いた。
hiPSC由来の網膜細胞の凍結保存
D84の3個~5個の網膜オルガノイドを、冷Cryostem冷凍培地(Clinisciences)250μl中に懸濁して、イソプロパノールベースのMr Frosty冷凍容器(Thermo Fischer Scientific)に入れた1.5ml容の低温チューブ(Nunc)中で、-80℃にて最低4時間冷凍した。冷凍したチューブを、-150℃の冷凍庫中で長期間保管した。冷凍容器を用いた場合と同じ方法を使用して、hiRPE細胞を、継代数1で、Cryostem冷凍培地中で(1.5×10個の細胞/250μl)冷凍して、-150℃で長期保管した。冷凍した網膜構造又はhiRPEp1細胞を、水浴中で、37℃にて迅速に解凍して、下流の研究用に予め加温した専用培地中に再懸濁させた。
網膜オルガノイド免疫染色-透明化及びイメージング
網膜オルガノイドをまず、回転振盪機上で、0.2%ゼラチン、0.5%Triton X-100及び0.01%チメロサール(Sigma-Aldrich)を含有するPBS 1Xの溶液(PBSGT)中でRTにて3時間インキュベートした。次に試料を、選択した一次抗体(データは示していない)を含有するPBSGTに移し、100rpmで回転しながら、37℃にて3日間置いた。この後、RTにてPBSGT中で30分間、6回洗浄した。次に、試料を、PBSGT中に1:600で希釈したCy3又はAlexa Fluor 594(Interchim)のいずれかとコンジュゲートさせた適切な二次抗体をともに一晩インキュベートした。PBSGT中でRTにて6回の30分洗浄後、溶媒で透明化した器官の3Dイメージング(3DISCO)透明化手順[29]まで、試料をPBS中4℃で保管した。
試料をまず、HO中に希釈したテトラヒドロフラン(Sigma-Aldrich)の段階系列(50%、80%及び100%)において、各工程に関して1時間脱水させた。この後、ジクロロメタン(Sigma-Aldrich)中で少なくとも20分間、脱脂して、最終的に、試料をジベンジルエーテル(Sigma-Aldrich)中で一晩透明化した。これまでに記載されるように[29]、ImspectorProソフトウェア(LaVision BioTec)を使用した限外顕微鏡(LaVision BioTec)又は高解像度イメージング用の数値10倍の対物レンズを用いた正立共焦点顕微鏡(Olympus FV1000)のいずれかを用いて、3Dイメージングを実施した。3Dボリュームの画像は、Imaris x64ソフトウェア(バージョン7.6.1、Bitplane)を使用して作成した。
1.2 結果
コンフルエントなhiPSCからのゼノフリー/フィーダーフリーの条件での自己形成性網膜オルガノイドの生成
エピソームアプローチ[19]によって予め生成された遺伝子挿入のないiPS細胞系統2(hiPSC-2)由来のヒトiPSCコロニーを、合成基質として切断型組換えヒトビトロネクチン(rhVTN-N)及び既知組成Essential 8(商標)培地を使用したXF/FF培養系に適応させた[21]。これらの新たな条件下で、qRT-PCRにより、hiPSC-2における多能性遺伝子の発現が、hESCで観察される発現と依然として同等であることが明らかとなった(データは示していない)。XF/FF条件で増殖させたhiPSC-2は、多能性マーカーOCT4及びSSEA4又はSOX2及びTRA1-60を発現し(データは示していない)、正常な核型を示した(データは示していない)。およそ70%コンフルエンスで、Essential 8(商標)培地中で培養したhiPSCコロニーを、Essential 6(商標)培地(FGF2及びTGFβを含まないEssential 8(商標)培地)中に2日間入れて、自己再生機構を遮断して、自発的分化を促進した。N2サプリメント単独は、フィーダー層上で培養したhiPSCを網膜の運命へと誘導するのに十分であり得ることが報告されている[19]ため、1%のCTS(商標)N2サプリメントを含有する種々の既知組成培地を試験した(図1A)。このXF/FF環境において、フィーダー層上のhiPSC[19]を用いて確証したProN2培地の使用は、残念にも細胞死を引き起こした(データは示していない)。それにも関わらず、1%のCTS(商標)N2サプリメントを含有するEssential 6(商標)培地に相当する新たな網膜分化培地(E6N2培地)を開発し、28日で接着hiPSCから神経上皮様構造の自己形成を可能にした(図1A)。このXF/FF条件において、分化中のiPSCは、14日(D14)以内に、神経分化に必須である重要なBMP及びWNTアンタゴニストである、それぞれDKK1及びノギンを内因的に発現し始めた(図1B)。分化の開始の約4週後に、自己形成性神経上皮様構造が、培養皿に出現した(図1C)。D28のこれらの単離構造のRT-qPCR分析(図1D)により、多能性マーカーPOU5F1(OCT4)の発現を損失するとともに、SIX3、MITF、VSX2、PAX6、RAX及びLHX2等の特異的なマーカーの頑強な発現を伴う眼野指定が明らかとなった(図1E)。D28の免疫染色は、これらの構造が、VSX2及びKi67を同時発現する有糸分裂網膜前駆体細胞(RPC)の集団を含むことを示した(図4A)。CRX、NRL、及びNEUROD1等の光受容体系譜に関与する転写因子の発現もまた、早ければD28で検出された(図1E)。網膜オルガノイドは、D28で周囲細胞と一緒に単離した後、浮遊構造として(図1D)、CTSTM B27サプリメントを含有する培地(ProB27培地)中でヒトFGF2とともに1週間培養して(図1A)、神経網膜の分化を支持した[30]。球状オルガノイドは、サイズが増大し、神経上皮の遠位部分は、およそD42で着色するようになった(図7B~図7D)。分化プロセスの再現性を確認するために、2つの他のhiPSC系統を、分化プロセスの再現性に付して、2つの他のhiPSC系統を、XF/FF分化プロセスに付した。本発明者らの結果により、類似した網膜オルガノイドが、エピソームアプローチによって初期化された包皮線維芽細胞に由来するhiPSC(図7E~図7F)又はセンダイウイルスを用いたXF/FF条件で初期化された成体皮膚線維芽細胞に由来するhiPSC(図7G~図7H)から差がなく得ることができることが実証された。D28でこれらの3つのhiPSC系統に関して1cm当たりの発達した構造の数の評価により、効率の観点で幾つかの予測される細胞系統間の可変性が明らかとなった(図7I)。網膜指定及び分化に関与する転写因子は、D35後にRAX、SIX3及びVSX2発現の顕著な増加を伴って、ProB27培地における浮遊培養中に、網膜オルガノイドにおいて依然として発現されたのに対して、非網膜前脳マーカーFOXG1の発現は減少した(図1F)。D35で、網膜オルガノイドを形成する細胞は、RAX及びPAX6を同時発現し(図1H及び図1I)、それらの眼野のアイデンティティを確認した[31]。この時点では、VSX2細胞は、発達中の神経上皮の外側部分に主に位置し(図1J~図1L)、同様にPAX6も発現した(図1J及び図1K)。MITF細胞は、RPE細胞に相当するオルガノイドの遠位部分に主に見られた(図1L及び図1M)。D35で、PAX6/VSX2細胞集団は、第1の有糸分裂後の分化中の網膜ニューロンに相当する神経上皮の内側部分で濃縮され(図1J及び図1K)、Ki67増殖マーカーを発現しなかった(図1N及び図1O)。同じ位置の幾つかの細胞は、RGC、BRN3Aの特異的マーカーにとって免疫反応性であることがわかった(図4B)。それにも関わらず、D35で、網膜オルガノイドの外側部分は、VSX2及びKi67の同時発現によって同定される増殖性RPCを依然として含有していた(図1O)。興味深いことに、RT-qPCR分析により、光受容体前駆体の出現は、VSX2及びRAX発現の減少を伴って(図1F)、NRL、CRX及びNEUROD1発現のアップレギュレーションによってD42後に検出することができることが示された(図1G)。
hiPSC由来の網膜オルガノイドからのRPCの分化
オルガノイドRNA抽出物に関するRT-qPCR分析により、RPCは、浮遊培養全体にわたってCRX(図1G)、リカバリン(RCVRN)及び錐体アレスチン(CAR)発現(図2A)の増加を伴って、光受容体系譜に関係し得ることが示された。ロドプシン(RHO)、青又は赤/緑(R/G)オプシン(OPS)等の成熟光受容体に特異的な遺伝子の発現は、100日後のみに出現する(図2B)。CRX、OTX2、及びRCVRNにとって免疫反応性である未熟光受容体をD49で同定することができ(図2C及び図2D)、これらのマーカーのより強力な発現が、D84で観察された(図2E)。桿体及び錐体は、D281(およそ9ヵ月)まで長期間維持された培養におけるRHO又はR/G OPS、青OPS及びCAR免疫染色のいずれかによって明らかに同定することができる(図2G~図2N)。興味深いことに、40日~50日後に、外側核層に似ている外部細胞層が、幾つかのiPSC由来の網膜オルガノイドにおいて観察することができる(図2H、図2I)にもかかわらず、分化中の光受容体は、多くの場合、ロゼットの内側に見られた(図2C~図2G)。細胞表面マーカーCD73は、分化の種々の時点で分化中のRCVRN光受容体において特異的に発現される(図2D、図2F)。光受容体によるCD73の発現は、RCVRN、CAR、青OPS及びR/G OPSとの同時発現によって、D140後に確認された(図2J)。逆に、CD73は、ロゼット周辺に位置するPAX6細胞(RGC及び水平/アマクリン細胞に相当する)によっては発現されなかった。効率的な光受容体分化はまた、D77~D175に、RCVRN、CAR、CRX、RHO、青OPS及びR/G OPSを発現する細胞を示す2つの他のhiPSC系統に由来する網膜オルガノイドでも観察された。175日齢の網膜オルガノイドでは、結合繊毛マーカーであるアセチル化チューブリンにより、RCVRN細胞に並置された非常に薄い構造の存在が明らかとなり(図2I)、繊毛及び光受容体外側セグメント(POS)の形成を示唆した。桿体及び錐体を含有するロゼットの空間分布を分析するために、本発明者らは、D195の網膜オルガノイドに対して、光受容体特異的なマーカー及び3DISCO透明化手順を用いた全載免疫染色を実施した。この技術は、免疫組織化学と組み合わせると、区分する必要なく、透明な試料全体をイメージングすることを可能にする[29]。RCVRN/RHO及びCAR/RHOの発現を特徴とする光受容体の空間配置が、3D再構築画像で観察された(図3A、図3B)。RHO桿体又はCAR錐体を含有するロゼットの正確な3Dパターンは、網膜オルガノイドの外側部分で可視化された(図3C)。透明化したD195のオルガノイドのRHO染色の高解像度共焦点イメージングにより、ロゼットの中心において出現するPOSを暗示する強烈な紡錘染色が明らかとなった(図3D)。同様の染色が、種々の網膜オルガノイドにおいて錐体を同定するCAR抗体を用いた場合に観察された。195日齢のオルガノイドに関して実施したTUNELアッセイにより、ロゼットにおけるRCVRN、RHO又は青OPS染色によって同定される光受容体が、アポトーシスを受けないようであることが実証された。透過型電子顕微鏡法分析により、D112で光受容体特異的な微小管配置を伴う基底小体及び結合繊毛等の光受容体超微細構造の存在が確認された(図3E~図3K)。幾つかの光受容体はまた、発達中のPOSに相当する膜状材料を提示して、D196で明らかに同定された(図3L)。hiPSC由来の光受容体が、機能成熟を達成することが可能であるかどうかを試験するために、本発明者らは、内向きの暗電流(IDC)を示すそれらの能力を試験した。環状ヌクレオチド感受性(CNG)チャネルの活性化によるNa及びCa2+の流入に相当するIDCは、光受容体のcGMP濃度の増加の結果である。この「暗状態」を模倣するために、本発明者らは、これまでに記載されるように[18]、膜浸透性cGMP類似体(8-Br-cGMP)を使用して、陽イオン性CNGチャネルを開放させて、IDCを導いた。Ca2+流入は、D175の網膜オルガノイド由来の解離細胞における細胞内蛍光Ca2+指示薬Fura-2の生2光子イメージングを用いてモニタリングした。播種の48時間後に、幾つかのFura-2を負荷した網膜細胞は、細胞内蛍光の減少によって観察されるように、8-Br-cGMPに曝露されるとカルシウム流入を示した(図3M~図3N)。11個の応答性光受容体の読取り中の最大蛍光変動の平均値は、-22.52%±10.63%である(分析した細胞151個、N=4)(図3O)。細胞内蛍光の減少は、cGMP類似体に代わってAMESパフに曝露した網膜細胞では観察されなかった(分析した細胞150個、N=4)。これらの機能観察は、本明細書で報告するXF/FF培養条件が、或る特定レベルの光受容体成熟を可能にするという本発明者らの形態学的データを支持する。網膜オルガノイド内のRPCは、他の網膜細胞型を生じることが可能である。RTqPCR及びBRN3マーカーを使用した免疫染色によって、本発明者らは、分化の35日後に、RGCの早期出現を確認した(図4C及び図4K)。興味深いことに、OTX2光受容体を含有するロゼット周辺に局在化されたBRN3ARGCは、ProB27培地を使用した場合に、84日齢のオルガノイドにおいて依然として観察することができる(図4F)。類似した免疫蛍光分析により、2つの他のhiPSC系統に由来する網膜オルガノイドにおけるRGCの分化が確認され、分化プロセスの再現性を確認した。分化中のアマクリン細胞及び水平細胞は、RT-qPCRによって、それぞれGAD2及びLIM発現の誘導を伴って(図4L)、また免疫組織化学によって、それぞれAP2/PAX6及びLIM1/PAX6細胞の存在を伴って(図4D及び図4E)検出された。RT-qPCRにより、PKCα発現によって同定される双極細胞が後に出現することが実証され(図4M)、D281の免疫染色により、VSX2及びPKCαを同時発現する完全に分化した双極細胞の存在が確認された(図4I、図4J)。ミュラーグリア細胞の出現もまた、RT-qPCRによって、特異的なマーカーGLAST1及びRLBP1の誘導を伴って(図4M)、またグルタミンシンテターゼ(GS)及びSOX9を同時発現する細胞の同定によって(図4G)示されるように、後になって観察された。D140で、非常に稀なKi67細胞(1セクション当たり5個未満の陽性細胞)により、網膜オルガノイドが、有糸分裂RPCの非存在によって確認される「成熟状態」に達したことが示される(図4H)。
網膜オルガノイド由来の光受容体前駆体の凍結保存
将来の細胞移植用の光受容体前駆体の潜在的使用[32、33]及び分化の長さを考慮して、本発明者らは、細胞を分化プロセスと平行して保管することが可能な種々の凍結保存アプローチを開発しようとした。第1の戦略は、CD73が十分に発現される発達の段階で(D100に近い、免疫蛍光によって示されるように)、総網膜オルガノイドを凍結保存することであった。D84まで懸濁液中で培養した網膜オルガノイドを、冷Cryostem(商標)冷凍培地を使用して凍結保存して、光受容体の存在を、浮遊培養において、解凍の16日後にD100にオルガノイドにおいて検査した。冷凍した網膜オルガノイドは、同じ段階の冷凍していないオルガノイド(図5A、図5B)に類似して、CRX及びRCVRN光受容体前駆体を含有する無傷のロゼットの存在を示した(図5E、図5F)。興味深いことに、移植可能な細胞集団とみなされるCD73細胞[34~36]は、依然として明らかに同定された。実際に、冷凍していないオルガノイド(図5C、図5D)と同様に、CD73は、RCVRN細胞において特異的に発現され(図5G、図5H)、光受容体におけるそれらの特異的な発現が確認される。D100のCRX細胞の定量化(図5Q)は、対照(冷凍していない)網膜オルガノイドと、冷凍した網膜オルガノイドにおいて、細胞の数間の如何なる有意な差も明らかにしなかった(p=0.1344;n=81450及び計数した細胞119339個)。第2のアプローチでは、本発明者らは、オルガノイド由来の解離網膜細胞を凍結保存することができるかどうかを検査した。この場合、D84又はD100まで培養した網膜オルガノイドを、パパインを使用して解離させて、網膜細胞を冷Cryostem(商標)冷凍培地を使用して凍結保存した。解凍後、細胞をポリ-D-リジン/ラミニン処理したカバーガラス上に蒔いて、更に5日間in vitro(DIV)で培養した。免疫染色により、冷凍したRCVRN光受容体が、冷凍していない解離細胞と同様に、それらの強力なCD73発現を維持したことが明らかとなった(図5I~図5L)。二重CRX及びRCVRN細胞集団に関して、同様の観察を行った(図5M~図5P)。したがって、定量化により、冷凍した細胞と対照細胞との間で、二重CRX及びRCVRN細胞数の有意な差は観察されないことが示された(図5R)(p=0.5839、n=31303及び計数した細胞23958個)。
hiPSC由来のRPE細胞の生成、増幅及びバンキング
ヒトiPS由来のRPE(hiRPE)細胞を、D28までCTSTM N2サプリメントを2日後に連続添加しながら、Essential 6(商標)培地で培養したコンフルエントなhiPSCから網膜オルガノイドへと同時に生成させた(図6A)。自己形成性網膜オルガノイドを除去した後、細胞培養物をProN2培地に切り替えた。およそD42に、細胞の色素パッチを採取して、hiRPE細胞をこれらのパッチから増幅させた(図6B、図6C)。2週後、継代数1のhiRPE細胞(hiRPEp1)を、細胞バンキング用に凍結保存して、継代数3の解凍したhiRPE細胞(hiRPEp3)を完全な特性化に使用した(図6D、図6E)。生成した上皮細胞は、重要なRPE特異的な転写因子MITF及びタイトジャンクションマーカーZO-1にとって免疫反応性であった(図6F)。MITF+細胞の数を計数することにより、陽性細胞99.83%±0.31%(n=208259個の細胞)の細胞培養物の純度を確認した。ベストロフィン(BEST1)及びエズリンに関する免疫染色は、それぞれ、細胞の側底膜及び頂端側でこれらのタンパク質の発現を伴う培養物中のhiRPE細胞の正確な分極を示した(図6G、図6H)。また、RT-qPCR分析により、細胞が、凍結後に少なくとも更に継代数3で、PEDF、VEGF、MERTK及びBEST1等の成熟RPE関連マーカーの発現を保持したことが実証される(図6I)。hiRPEp3細胞の長期培養物は、特にRPE65に関して、ヒト初代培養物により近いRPE表現型を表し、成体ヒトRPE細胞において強力に発現される(図6J)。本発明者らは、バンキング後のhiRPE細胞が、典型的な自然RPE機能を依然として示すかどうかを検討した。ELISAを使用して、本発明者らは、各々の値12.4ng/ml+0.5ng/ml及び80.5ng/ml+8.8ng/ml(n=3)で、hiRPEp3細胞による血管内皮増殖因子(VEGF)及び色素上皮由来因子(PEDF)分泌を示した。本発明者らはまた、hiRPEp3細胞が、ヒト不死化RPE細胞系統ARPE-19に類似して、FITC標識POSの特異的な食作用を実行することができることを実証した(図6K~図6Q)。線維芽細胞とは逆に、hiRPE細胞及びARPE-19細胞の両方によるPOS食作用は、これまでに実証されるように[37、38]、インテグリンαvβ5に対する抗体によって阻止されて、RPE細胞によるこの受容体に関連するPOS食作用の特異性を実証した。
この研究において、本発明者らは、将来の臨床グレードの産生に適した規定のXF/FF培養系を使用して、接着hiPSCから網膜オルガノイド及びRPE細胞を生成する新たなプロトコルを提唱する。異種条件でこれまでに記載されるように[19、28]、EB形成及びMatrigel等の基板の使用を回避するプロトコルを簡素に維持するために、XF/FF培養条件での網膜分化は、臨界点の評価を必要とした。本発明者らは、接着hiPSCの分化を開始する正しい時点を決定し、新たな既知組成分化培地を開発して、出現する網膜オルガノイドを収集する最適なタイミングを確立させた。XF限定培地においてhESC及びhiPSCの多能性を支持するヒトビトロネクチンによるフィーダーの置換[21]は、増殖させたiPSCコロニーを、動物由来成分非含有のCTS(商標)サプリメント(ThermoFischer Scientific)を有する連続既知組成神経促進培地中に入れると、自己形成性神経網膜構造及びRPE細胞の生成を可能にする。神経及び網膜指定の2つの誘導物質であるDKK1及びノギンのhiPSCによる内因性産生は、これまでに報告されるように[19]、これらの構造の自己形成を説明することができた。CTS(商標)N2サプリメントにおける組換えヒトインスリンの存在は、一般的に網膜系譜を促進するように添加されるIGF-1の役割[9、12]に類似した役割を果たすことができた。ProB27培地中で浮遊網膜オルガノイドとして培養される単離構造は、本発明者らが、異種条件でこれまでに報告したもの[19]に類似して、一連の重複した順序で、網膜細胞型全てにおいて複能性RPCの分化を可能にした。RGCは、早ければD35で検出され、続いて水平細胞及びアマクリン細胞が検出された一方で、オプシン又はロドプシンを発現する成熟光受容体、及び双極細胞又はミュラーグリア細胞は、D100後に明らかに同定された。興味深いことに、本発明者らの培養条件により、D281(9ヵ月を超える)まで、網膜オルガノイドにおける成熟S及びL/Mの桿体及び錐体の両方の維持が可能となった。特異的なPR超微細構造の存在により、本発明者らのXF/FF条件が、発達中のヒト網膜で観察される構造[39]に類似した構造を有する光受容体の成熟を可能にすることが確認される。上級レベルの成熟の更なる証拠は、自然光受容体に類似した様式で、cGMP刺激に対する或る比率のhiPSC由来光受容体の感受性である。さらに、本発明者らは、網膜オルガノイドに対する組織透明化手順3DISCO[29]の適応が、元の形状及び構造を保存しながら、透明なオルガノイドにおける蛍光標識した網膜細胞の分析を可能にすることを実証した。このアプローチは、網膜細胞型の開発、空間配置及びオルガノイド内での連結の全体的な見解を提供する。この技法は、高解像度顕微鏡法と組み合わせると、患者特異的なiPSCから生成される無傷の網膜オルガノイドにおける正常な特色及び病理学的特色の迅速で効率的な分析に使用することができる。
精製した光受容体前駆体に基づく将来の細胞療法戦略のために、本発明の方法は、100日未満で、マウスにおける移植適合性細胞集団として記載される[34~36]CD73陽性光受容体前駆体の生成を可能にする。本発明者らは、CD73が、光受容体前駆体のマーカーであり、稀な青オプシン錐体がCD73を発現しないマウス[40]と対比して、分化した光受容体、特にR/G又は青オプシンを発現する錐体で発現され続けることを実証してきた。ONL変性宿主網膜の移植も考慮すべきであるため、XF/FF条件でのhiPSCに由来する網膜オルガノイドの無傷の神経網膜組織は、hESC由来の網膜組織に関して最近提唱されているように[41]、臨床的に有用であり得る。網膜シート移植のこの状況で、hESC又はhiPSC由来の分化組織の個体発生段階は、首尾よい移植に関して明確に規定されるべきである。それにも関わらず、これらの細胞の治療的移植は、細胞量及び新鮮な細胞療法製品(CTP)を用いて達成される可能性が低いという一貫性の観点で、一定の産生を必要とする。したがって、CTPの適正な凍結保存の開発は、所定の細胞集団の継続的な送達を保証する重大な局面である。総網膜オルガノイドの凍結保存により、冷凍-解凍構造で、CD73光受容体前駆体集団が保存されることが実証された。これにより、特定の段階で網膜オルガノイドの大規模なストックを準備して、必要に応じて純粋な移植に適格なCD73細胞を送達することが可能となるはずである。さらに、本発明者らの冷凍方法により、CD73の膜発現を損失せずに、光受容体前駆体を含む解離網膜細胞の凍結保存が可能となる。この観察は、解凍した解離網膜細胞、及び潜在的に、細胞移植用のCD73細胞の解凍した同種集団を代替的に使用することができることを強調している。しかしながら、どの種類の凍結保存プロセス及び精製方法が、より少ない細胞ストレスを誘導し、網膜下移植に最も有効であるかどうかを決定することは重要である。
光受容体前駆体の他に、本発明者らのXF/FF条件でのhiPSC由来のRGCの産生は、緑内障等のRGCに影響を及ぼす網膜ジストロフィーの治療にとって重要な意味合いを有し得る。オルガノイドにおけるRGCの素早い出現及びN2含有培地[19]と比較して、より長くそれらを生存したまま維持するCTS(商標)B27含有培地の使用により、hiPSC由来のRGCを使用した細胞ベースの療法アプローチの開発が促進されるはずである。本発明者らの凍結保存技法は、比較的初期段階で(50日目よりも前に)網膜オルガノイドを冷凍させて、必要に応じて送達することができるRGC前駆体の冷凍ストックを作製するのに有用である。
本発明者らのプロトコルは、神経網膜に付随して、適正なRPE表現型並びにPOS食作用及び栄養因子分泌等のRPE特異的な機能を保持しながら、容易に増幅させて、継代培養して、冷凍することができるhiPSCからのRPE細胞の生成を可能にする。遺伝子発現アッセイにより、hiRPE細胞成熟は、培養時間の長さを延長することによって達成することができることが示された。6cmの皿1つが、継代数3後に最大5億個のhiRPE細胞を産生することができるため、hiRPE細胞の大規模産生は、本発明者らのXF/FF条件を用いて達することができる。これまでの報告に基づいて、懸濁液中のhESC由来のRPE細胞[25]又はhiPSC由来のRPE細胞のシート[42]のいずれかを使用して、本発明者らは、本明細書で報告するXF/FF分化プロトコルが、数千回の注入を実施するのに十分量の細胞を送達することができたと考える。これらの細胞の大規模産生は、全体的なハプロタイプhiPSCバンキングの将来の開発とともに必要とされる可能性があり、ここで、共通のHLAハプロタイプを有する限定数の細胞系統が、患者集団のかなりの部分に適合するように得られる[43、44]。
データは、接着hiPSCの簡素で効率的な網膜分化が、最小でGMP適合性の原材料を使って、臨床条件に近いXF/FF環境で、本発明の方法を遂行することができることを示している。上記実施例によって示される本発明の方法は、hiPSC由来の網膜細胞及び組織の大規模産生並びにバンキングを可能にするin vitroでのGMP準拠の網膜細胞製造プロトコルの開発に適している。このデータで使用するヒトiPSCは、非統合的なアプローチによって産生されており、したがって、統合的な送達系から産生されるhiPSCの将来の臨床的応用にとっての主要な制限の1つに対処している。
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Claims (10)

  1. ヒト網膜前駆体を得るin vitroでの方法であって、
    (i)ヒト多能性幹細胞の接着培養物を、幹細胞特異的な神経促進培地に入れる工程であって、前記培養物は、フィーダー細胞を欠如している、工程と、
    (ii)色素細胞及び/又は神経上皮様構造が出現するまで、この培養物を、前記幹細胞特異的な神経促進培地中で維持する工程と、
    を含
    前記幹細胞特異的な神経促進培地が、NaHCO でpHを調節したDMEM/F12中においてプロゲステロン、プトレシン、亜セレン酸ナトリウム、インスリン、セレン、トランスフェリン、及びL-アスコルビン酸を含む、
    方法。
  2. 前記幹細胞特異的な神経促進培地は、TGFβ及び/又はFGF2を更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 記幹細胞特異的な神経促進培地の構成成分は全て、同じ生物に由来する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程(ii)は、前記接着培養物が、60%~80%コンフルエンスに達するまで実施される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 工程(ii)は、少なくとも16日間実施される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 網膜色素上皮細胞(RPE細胞)を得るための、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法であって、
    (iiiRPE)工程(ii)で得られた前記培養物から、少なくとも1つの色素細胞を収集する工程と、
    (ivRPE)工程(iiiRPE)で得られた該色素細胞を培養する工程と、
    を更に含む、方法。
  7. 工程(ivRPE)における前記培養する工程は、接着培養物系中で実行される、請求項6に記載の方法。
  8. 神経網膜細胞を得るための、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法であって、
    (iiiNR)工程(ii)で得られた前記培養物から、少なくとも1つの神経上皮様構造由来の細胞を収集する工程と、
    (ivNR)工程(iiiNR)で得られた該細胞を培養する工程と、
    を更に含む、方法。
  9. 少なくとも1つの神経上皮様構造は、工程(iiiNR)において収集される、請求項8に記載の方法。
  10. 工程(ivNR)において、前記培養培地に、少なくとも5日間、FGF2が補充される、請求項8又は9に記載の方法。
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