JP7259665B2 - モータ駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、モータ駆動装置に関する。
従来、コイルが巻回された筒状のステータと、複数の磁極を有しステータの径方向内側に設けられるロータとを備え、コイルへの通電により発生する電磁力によってロータが回転するモータが知られている。また、コイルへの通電を制御部により制御し、モータを駆動させるモータ駆動装置が知られている。
例えば特許文献1に開示された電動モータは、ブレーキシステムにおいて、連動変換機構を介してブレーキディスクを押圧する電動式アクチュエータを構成している。
特開2017-104010号公報
ここで、車両のブレーキシステムにおけるモータ技術の背景に関して説明する。近年、自動運転にともなう自動車補機システムへのニーズや、安全機能の向上として、自動ブレーキシステムの採用が増加している。また、ハイブリッド自動車や電気自動車の増加にともない、以前はエンジン負圧でまかなっていた加圧源を電動モータに置き換えた液圧式の電動ブレーキシステムなどの採用が増大している。
液圧式ブレーキシステムには、モータ回転をボールねじで直線運動に変換することでシリンダ内のピストンを作動させてブレーキ液圧を発生させるタイプや、モータ回転をそのまま歯車機構に伝達し、歯車の歯のかみ合わせ部分で流体を輸送してブレーキ液圧を発生するギヤポンプのタイプがある。
また液圧式ブレーキは、車両停止時のブレーキ力を維持する液圧保持力、及び、ブレーキ動作への高い追従性が求められる。したがって、液圧式の電動ブレーキシステムに用いられるモータには、低回転領域における拘束トルクの高トルク化と、無負荷(又は低負荷)領域における高回転化との両立が求められる。その両立のため、埋込永久磁石式(以下「IPM」)モータやインセット型の表面永久磁石式(以下「SPM」)モータが選定される。
また、モータの駆動制御において、部品削減や省スペースを目的として、ロータ回転角を検出する位置センサを用いないセンサレス駆動方式の技術が知られている。本明細書では、d軸インダクタンスに対するq軸インダクタンスの比(Lq/Ld)を「突極比」という。センサレス駆動では、q軸インダクタンスとd軸インダクタンスとの差が大きく、突極比が1から離れている方が良い。好ましくは、周方向に隣接する磁極同士の間に突極部を設けることにより、突極比が1より大きい場合、突極比をより大きくする作用が得られる。
しかし、突極部を有するモータを、d軸電流が0[A]付近の領域で駆動させる場合、モータ径方向に働く力は、励磁ステータと突極部とが対向する突極対向位置では相対的に弱く、励磁ステータと磁極とが対向する磁極対向位置では相対的に強くなる。そのため、モータの電気角1周期において突極部の数に応じた次数成分の電磁力変動によるハウジングの拡縮力が発生し、NV(すなわち、騒音や振動)の増加要因となっていた。
また、突極部を有するモータをセンサレス駆動させる場合、突極部と励磁ステータとが対向する位置である進角0度付近で通電すると、突極部が磁気飽和しやすく、位置推定に必要な突極比が維持しにいという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、磁極間に突極部が設けられるモータの通電時に、騒音や振動を低減するモータ駆動装置を提供することにある。
本発明のモータ駆動装置は、モータ(80)と、制御部(20)と、を備える。モータは、3相のコイル(68)が巻回された筒状のステータ(60)、及び、周方向に複数の磁極(57)が設けられステータの内側で回転可能なロータ(50)を有する。制御部は、位置センサを用いずにロータの位置を推定するセンサレス駆動により、コイルへの通電を制御しモータを駆動する。ステータは、コアバック(61)から径内方向に突出する複数のティース(62)を有し、隣接するティース同士の間にコイルが巻回されたスロットが形成されている。ロータは、周方向に隣接する磁極同士の間に突極部(53)が形成されている。ティースは、先端部(63)と根元側との周方向幅が同一であるストレート形状に形成されている。
ティースと突極部とが対向する位置を「突極対向位置」とし、ティースと磁極とが対向する位置を「磁極対向位置」とする。モータの回転軸(O)を原点とするxy座標において、ロータの回転によりx軸上で突極対向位置となるとき、y軸上で磁極対向位置となるように、ロータの磁極の数、及び、ステータのスロットの数が設定されている。
突極部の周方向両端間の中心角(θs)を磁極の極対数の2分の1(p/2)で除した値を「突極換算角度(α)」と定義する。制御部は、コイルへの通電に係るdq軸電流指令値を、電流位相(θi)が突極換算角度以上となるように設定する。
電流位相が0[°]から90[°]の範囲で、電流位相が大きくなるほど電磁力変動による拡縮力は小さくなる。そのため、制御部は、電流位相が突極換算角度以上となるようにdq軸電流指令値を設定することで、拡縮力を抑制し、騒音や振動を低減することができる。
また、センサレス駆動方式において、モータ回転数が所定回転数未満の起動時には拡張誘起電圧を使用できないのに対し、突極比を利用した位置推定はモータ回転数に関係なく可能である。ただし、突極部とステータのティースとが対向する進角0度付近の回転位置で通電して起動すると、突極部が磁気飽和しやすく、位置推定に必要な突極比が維持しにくくなる。それに対し本実施形態では、電流位相を突極換算角度以上に設定することで、高トルク時における突極比の低下を軽減し、位置推定精度を維持することができる。
車両のブレーキシステムの模式図。 一実施形態のモータ駆動装置に用いられるモータの軸方向断面図。 図2のIII-III線径方向断面図。 図3のIV部拡大図。 図4のIPMモータにおける、電流位相=0[°]での電磁力分布図。 突極部が磁極と同方向に設けられる比較例のIPMモータの径方向断面図。 比較例のIPMモータにおける電磁力分布図。 一実施形態の制御部の制御ブロック図。 (a)電流位相の使用領域及び不使用領域を示す図、(b)電流位相と拡縮力との関係を示す図。 モータの出力特性を表すトルク-回転数特性図。 その他の実施形態のティース形状を表す径方向拡大断面図。
本明細書において「実施形態」とは本発明の実施形態を意味する。以下、モータ駆動装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態のモータ駆動装置はモータ及び制御部を備え、車両のブレーキシステムに適用され、モータの出力によりブレーキ液圧を発生させる。
図1に車両のブレーキシステム90を模式的に示す。モータ駆動装置10は、モータ80と、モータ80を駆動する制御部20とを含む。モータ80の出力により液圧装置91が発生した液圧が配管92を経由してブレーキキャリパ93に供給される。ブレーキキャリパ93によりパッドがブレーキディスク94に押し付けられ、車輪が制動される。
次に図2~図4を参照し、モータ80の構成について説明する。本実施形態のモータ80は3相ブラシレスモータであって、ハウジング70、ステータ60及びロータ50等が回転軸Oに対して同軸に設けられている。
図2に示すように、ハウジング70は、筒部72及び底部73を含む有底筒状を呈している。筒部72の開口端の周囲には鍔部71が形成されている。底部73の中央には底部側の軸受77を収容する軸受収容部74が形成されている。ハウジング70の開口側に装着されたハウジングカバー75の中央には、開口側の軸受78を収容する軸受収容部76が形成されている。
筒状のステータ60は、ハウジング70の筒部72の内側に収容され、スロットに3相のコイル68が巻回されている。ロータ50は、ステータ60の内側に設けられ、中心にシャフト59が固定されている。シャフト59の両端は、軸受77、78により回転可能に支持されている。図2に示すロータ50は、複数の薄板状ロータコアが軸方向に積層されて構成されているが、一体のロータコアで構成されてもよい。
図3及び図4に示すように、ロータ50は、周方向に複数(例えば10極)の永久磁石の磁極57が設けられ、ステータ60の内側で回転可能である。ロータコア51の径方向の中間部には複数の肉盗み部52が形成されている。本実施形態のロータ50は、複数の磁極57がロータコア51に埋め込まれたIPM構造により構成されている。詳しくは複数の磁極57は、肉盗み部52の径方向外側の環状部分に埋め込まれている。磁極57は径方向外側がフロントヨーク部55により覆われており、周方向に隣接する磁極57同士の間に突極部53が形成されている。
ステータ60は、コアバック61から径内方向に突出する複数(例えば12個)のティース62を有している。隣接するティース62同士の間のスロットには3相のコイル68が巻回されている。図3、図4に例示するステータ60は、周方向に分割された分割コアで構成されているが、一体コアで形成されてもよい。
また、本実施形態のティース62は、先端部63と根元側との周方向幅が同一であるストレート形状に形成されている。この構成は、特許第5862145号公報(対応US公報:US9531222B2)に開示されている。
このような構成のブラシレスモータ80は、コイル68への通電によりステータ60に形成される回転磁界とロータ50の磁極57による磁界との相互作用により回転し、トルクを出力する。ここで、液圧式の電動ブレーキシステムに用いられるモータには、低回転領域における拘束トルクの高トルク化と、無負荷(又は低負荷)領域における高回転化との両立が求められる。本実施形態では、その両立のためにIPMモータが選定される。
IPM構造のモータは、一般にd軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとが異なる。すなわち、d軸インダクタンスに対するq軸インダクタンスの比(Lq/Ld)である「突極比」が1以外の値となる。一般には、突極比が1より大きい値となる場合が多いが、突極比が1より小さくてもよい。後述のように本実施形態の制御部20は、少なくともモータの回転数が所定回転数未満である起動時に、突極比を利用してロータ50の位置を推定し、センサレス駆動を実行する。
センサレス駆動では、q軸インダクタンスとd軸インダクタンスとの差が大きく、突極比が1から離れている方が良い。本実施形態では、ロータ50は、周方向に隣接する磁極57同士の間に突極部53が形成されているため、突極比が1より大きい場合、突極比をより大きくする作用が得られる。
ここで、突極部53の周方向両端間の中心角θsを、磁極の極対数p(10極の場合、5極対)の2分の1(p/2)で除した値を「突極換算角度α」と定義する。すなわち、突極換算角度αは式(1)で算出される。
α=θs×(2/p) ・・・(1)
図3、図4において回転軸Oに対し左右方向の位置では、ステータ60のティース62と突極部53とが対向しており、この位置を「突極対向位置」という。一方、回転軸Oに対し上下方向の位置ではステータ60のティース62と磁極57とが対向しており、この位置を「磁極対向位置」という。ステータ60に通電され励磁した時、モータ径方向に働く力は突極対向位置では相対的に弱く、磁極対向位置では相対的に強くなる。
図5を参照し、モータの電気角1周期における電磁力変動について説明する。図5には、図3、図4に対応する径方向断面をxy座標で表す。回転軸Oから放射状に延びる12方向の破線長円は、各ティース62の中心線上での電磁力変動範囲を示し、長円内の実線円は、図3、図4の回転位置における電磁力を示す。突極対向位置に相当するx方向では電磁力は最小となり、磁極対向位置に相当するy方向では電磁力は最大となる。x軸に対して30[°]、60[°]の方向では、電磁力は変動範囲の中間の値となる。なお、図5には、後述する電流位相θi=0[°]、すなわちd軸電流指令値Id*=0のときの値を示している。
各位置での電磁力の値を結ぶと、ひょうたん形の曲線となる。この曲線の形状は、突極部の数、すなわち磁極の数に応じた次数成分(本実施形態では10次の倍数成分)により決まる。モータが1回転すると、ひょうたん形の曲線も1回転する。それに伴ってハウジング70の拡縮力が発生し、NV(すなわち、騒音や振動)の増加の要因となる。
ここで図6、図7を参照し、一般的な構成のIPMモータを、本実施形態に対する比較例として説明する。図6、図7には、本実施形態の図4、図5に対応する径方向断面図、及び電磁力分布図を示す。図6に示すように、比較例のIPMモータ809では、突極部539の内部に磁極57が埋め込まれている。言い換えれば、突極部539が磁極57と同方向に設けられている。また、ティース62は、図11にその他の実施形態として示す構成のように、先端部639が周方向両側に広がっている。
図7に示すように、比較例のIPMモータ809において、ティース62は、x方向では磁極57及び突極539の両方と対向し、y方向ではいずれとも対向しない。そして、電磁力変動範囲の幅は本実施形態に比べて狭く、ハウジング70の拡縮力は本実施形態に比べて小さい。
要するに、周方向に隣接する磁極57同士の間に突極部53を設けた構成のモータ80は、一般的なIPMモータ809に比べ突極比を大きくしてセンサレス駆動の精度を向上させる反面、通電時の電磁力変動による拡縮力が大きくなり、NVの増加が問題になる。そこで本実施形態のモータ駆動装置10は、磁極57間に突極部53が設けられるモータの通電時にNV性を向上させる、すなわち騒音や振動を低減することを目的とする。
[制御部の構成]
次に図8~図10を参照し、制御部20の構成及び作用について説明する。モータ駆動装置10の制御部20は、コイル68への通電を制御しモータ80を駆動する。図8に示すように、制御部20のインバータ40は、バッテリ15の直流電力を3相交流電力に変換してモータ80に供給する。電流センサ85は、インバータ40からモータ80に通電される2相以上の相電流Iu、Iv、Iwを検出する。また、図8の例では、モータ80のロータ回転角を検出する位置センサが設けられておらず、センサレス駆動される。センサレス駆動方式は、部品削減や省スペースに対して有効である。
制御部20は、ベクトル制御による電流フィードバック制御の構成として、電流指令演算部21、3相2相変換部24、電流偏差算出部25、電流制御器26、2相3相変換部27、変調器28及びインバータ40を有する。また制御部20は、センサレス制御の構成として位置/速度算出部29を有する。
電流指令演算部21は、基本値算出部22及び電流位相下限制限部23を含む。基本値算出部22は、上位の車両制御回路から取得したトルク指令Trq*等に基づいて、コイル68への通電に係るdq軸電流指令値の基本値Id*_0、Iq*_0を演算する。以下、図5ではd軸及びq軸の電流、電圧に関する制御構成をまとめて表す。
電流位相算出部22は、dq軸電流指令値Id*、Iq*について、式(2)によりq軸基準の電流位相θiを算出する。
θi=tan-1(-Id*_0/Iq*_0) ・・・(2)
図9(a)に示すように、電流位相θiが突極換算角度α未満の領域、すなわちd軸電流が0[A]付近の領域は不使用領域と定義される。また、電流位相θiが突極換算角度α以上90[°]以下の領域、すなわち負のd軸電流の絶対値が比較的大きい領域は使用領域と定義される。なお、電流位相θiの進角操作において、技術常識上、q軸電流を負の値とし電流位相θiを90[°]より大きくすることはないため、使用領域における電流位相θiの上限が90[°]であることの記載を省略する。
電流位相算出部22が算出した電流位相θiが突極換算角度α未満の不使用領域にある場合、電流位相下限制限部23は、電流位相θiが突極換算角度α以上の使用領域に入るように基本値Id*_0、Iq*_0を進角補正し、dq軸電流指令値Id*、Iq*を設定する。電流位相算出部22が算出した電流位相θiが突極換算角度α以上の場合、基本値Id*_0、Iq*_0がそのままdq軸電流指令値Id*、Iq*として設定される。
図9(b)に示すように、電流位相θiが0[°]から90[°]の範囲で、電流位相θiが大きくなるほど電磁力変動による拡縮力は小さくなる。そのため、制御部20は、電流位相θiが突極換算角度α以上となるようにdq軸電流指令値Id*、Iq*を設定することで、拡縮力を抑制し、騒音や振動を低減することができる。
図8に戻り、3相2相変換部24は、推定角度θを用いて相電流Iu、Iv、Iwを3相2相変換し、dq軸電流Id、Iqをフィードバックする。電流偏差算出器25は、dq軸電流指令値Id*、Iq*とdq軸電流Id、Iqとの電流偏差ΔId、ΔIqを算出する。dq軸電流制御器26は、電流偏差ΔId、ΔIqをそれぞれ0に近づけるようにPI制御によりdq軸電圧指令値Vd*、Vq*を演算する。2相3相変換部27は、推定角度θを用いてdq軸電圧指令値Vd*、Vq*を3相電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*に変換する。
変調器28は、3相電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*及びインバータ入力電圧Vinv等に基づき、PWM制御等により駆動信号Drを生成し、インバータ40に出力する。インバータ40は、駆動信号Drに基づいて複数のスイッチング素子が動作することにより、バッテリ15の直流電力を3相交流電力に変換し、3相電圧Vu、Vv、Vwをモータ80に印加する。
位置/速度算出部29は、dq軸電流Id、Iq及び外積値opに基づき推定角度θを演算する。この推定演算は特開2009-148017号公報に開示された技術であり、指令電流に重畳させる高周波電流信号ベクトル及び高周波電圧信号ベクトルの外積値opが用いられる。図8には、外積値opを算出するまでの構成の記載を省略する。位置/速度算出部29が演算した推定角度θは、3相2相変換部24及び2相3相変換部27における座標変換演算に用いられる。
続いて、図10のモータ出力特性図を参照する。起動時には低回転高トルクであり、起動後回転数の上昇に伴ってトルクは低下する。ところで、センサレス駆動方式において、モータ回転数が所定回転数未満の起動時には拡張誘起電圧を使用できないのに対し、突極比を利用した位置推定はモータ回転数に関係なく、起動時においても可能である。
ただし、突極部53とステータ60のティース62とが対向する電流位相0[°]付近の回転位置で通電して起動すると、突極部53が磁気飽和しやすく、位置推定に必要な突極比が維持しにくくなる。それに対し本実施形態では、電流位相θiを突極換算角度α以上に設定することで、高トルク時における突極比の低下を軽減し、位置推定精度を維持することができる。したがって、モータ回転数が所定回転数未満のときにのみ、電流位相θiを突極換算角度α以上に設定する制御を実施してもよい。
また、突極部53を有するロータ構造としては、本実施形態のようなIPM構造か、又は、その他の実施形態に示すインセット型のSPM構造が適用可能である。インセット型SPM構造において径方向外側を円弧上に加工した磁極を用いる構成に対し、IPM構造では単純な矩形の磁極を用いることができるため、加工工数を低減することができる。
さらに本実施形態のモータ80は、ティース62の先端部63がストレート形状に形成されているため、図11に示す、ティース先端部が周方向両側に広がっている形状に比べ、ティース先端部の周方向両端からフロントヨーク部55への漏れ磁束を抑制することができる。そのため、突極部53がステータ励磁の影響をより受けにくく、磁気飽和しにくくなる。
(その他の実施形態)
(a)上記実施形態のモータは、ステータ60のティース62はストレート形状に形成されている。これに対し、図11に示すように、ティース62の先端部639が周方向両側に広がっている形状としてもよい。
(b)図3、図4に示す3相ブラシレスモータは10極12スロットの構成であるが、磁極及びスロット(或いはティース)の数はこれに限らない。また、モータの相の数は3相に限らず、4相以上の多相モータであってもよい。
(c)モータのロータは、複数の磁極がロータコア51に埋め込まれたIPM構造に限らず、複数の磁極がロータコアの表面に設置されたSPM構造により構成されてもよい。例えば特開2014-121189号公報の図39、段落[0156]には、ロータコアの外周表面に形成された凹部に磁極が貼り付けられたインセット型SPM構造が開示されている。この構造ではq軸インダクタンスとd軸インダクタンスとが異なり、突極性を有するため、突極比を利用した位置推定によりセンサレス駆動することが可能である。
(d)センサレス駆動による回転角の推定方式は、指令電流に重畳させる高周波電流信号及び高周波電圧信号の外積値を用いる上記の方式に限らず、拡張誘起電圧等を用いる周知の方式を採用してもよい。また、モータの駆動はセンサレス駆動方式に限らず、位置センサにより回転角をフィードバックする方式により駆動されてもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
10 ・・・モータ駆動装置、
20 ・・・制御部、
50 ・・・ロータ、 53 ・・・突極部、 57 ・・・磁極、
60 ・・・ステータ、 68 ・・・コイル、
80 ・・・モータ。

Claims (5)

  1. 3相のコイル(68)が巻回された筒状のステータ(60)、及び、周方向に複数の磁極(57)が設けられ前記ステータの内側で回転可能なロータ(50)を有するモータ(80)と、
    位置センサを用いずに前記ロータの位置を推定するセンサレス駆動により、前記コイルへの通電を制御し前記モータを駆動する制御部(20)と、
    を備えるモータ駆動装置であって、
    前記ステータは、コアバック(61)から径内方向に突出する複数のティース(62)を有し、隣接する前記ティース同士の間に前記コイルが巻回されたスロットが形成されており、
    前記ロータは、周方向に隣接する前記磁極同士の間に突極部(53)が形成されており、
    前記ティースは、先端部(63)と根元側との周方向幅が同一であるストレート形状に形成されており、
    前記ティースと前記突極部とが対向する位置を突極対向位置とし、前記ティースと前記磁極とが対向する位置を磁極対向位置とすると、前記モータの回転軸(O)を原点とするxy座標において、前記ロータの回転によりx軸上で前記突極対向位置となるとき、y軸上で前記磁極対向位置となるように、前記ロータの前記磁極の数、及び、前記ステータの前記スロットの数が設定されており、
    前記突極部の周方向両端間の中心角(θs)を前記磁極の極対数の2分の1(p/2)で除した値を突極換算角度(α)と定義すると、
    前記制御部は、
    前記コイルへの通電に係るdq軸電流指令値を、電流位相(θi)が前記突極換算角度以上となるように設定するモータ駆動装置。
  2. 前記モータは、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスとが異なるモータであり、
    前記制御部は、少なくとも前記モータの回転数が所定回転数未満である起動時に、d軸インダクタンスに対するq軸インダクタンスの比である突極比を利用して前記ロータの位置を推定し、センサレス駆動を実行する請求項に記載のモータ駆動装置。
  3. 前記ロータは、複数の前記磁極がロータコア(51)に埋め込まれたIPM構造により構成されている請求項1または2に記載のモータ駆動装置。
  4. 車両のブレーキシステムに適用され、前記モータの出力によりブレーキ液圧を発生させる請求項1~のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
  5. 前記モータは、前記ロータの前記磁極の数が10であり、前記ステータの前記スロットの数が12である請求項1~のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
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