JP7258061B2 - 変性ポリオレフィン樹脂 - Google Patents
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Description
従って、ポリオレフィン樹脂と金属との接着には、非水系ディスパーションタイプの酸変性したポリオレフィン系樹脂をベースとしたものが一般的に使用されている。
即ち、本発明者らは、下記の〔1〕~〔3〕を提供する。
〔1〕ポリオレフィン樹脂の変性物であり、下記条件(A)及び(B)を満たす変性ポリオレフィン樹脂。
条件(A):変性成分が、環状構造を有するα,β-不飽和カルボン酸誘導体を含むこと。
条件(B):下記式(1)で表される開環度が40以上であること。
(1):開環度=変性度K×開環率R
(前記式(1)中、前記変性度Kは、前記α,β-不飽和カルボン酸誘導体のグラフト重量(重量%)を表し、前記開環率Rは、前記α,β-不飽和カルボン酸誘導体における環状構造の開環率(%)を表す。)
〔2〕融点が50℃以上である上記〔1〕に記載の変性ポリオレフィン樹脂。
〔3〕重量平均分子量が10,000以上である上記〔1〕又は〔2〕に記載の変性ポリオレフィン樹脂。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂の変性物であり、下記条件(A)及び(B)を満たす。
条件(A):変性成分が、環状構造を有するα,β-不飽和カルボン酸誘導体を含むこと。
条件(B):下記式(1)で表される開環度が40以上であること。
(1):開環度=変性度K×開環率R
(式(1)中、変性度Kは、α,β-不飽和カルボン酸誘導体のグラフト重量(重量%)を表し、開環率Rは、α,β-不飽和カルボン酸誘導体における環状構造の開環率(%)を表す。)
変性ポリオレフィン樹脂は条件(B)を満たすので、ポリオレフィン樹脂に導入された環状構造を有するα,β-不飽和カルボン酸誘導体の少なくとも一部が開環された構造をとる。本発明において、α,β-不飽和カルボン酸誘導体の環状構造は、水分子により開環される。そのため、開環構造は、カルボキシ基を有する。即ち、本発明の変性ポリオレフィン樹脂において、開環度は、変性ポリオレフィン樹脂におけるカルボキシ基の存在量に関連するパラメータといえる。
一方、本発明の変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂に導入したα,β-不飽和カルボン酸誘導体の環状構造の開環度を所定の数値以上に設定する、即ち、開環度を高くする。
なお、開環度は、変性度Kと開環率Rの積として定義される。変性度Kと開環率Rの詳細を下記に示す。
変性度Kは、ポリオレフィン樹脂を変性成分で変性する際の、変性成分及びラジカル発生剤の使用量、反応温度、反応時間等によって調整し得る。
K={B×f×F/(S×1000)}×100
ここで、Kは、変性度(重量%)を表し、Bは、水酸化カリウム-エタノール溶液の滴定量(ml)を表し、fは、0.1mol/L水酸化カリウム-エタノール溶液のファクターを表し、Fは、α,β-不飽和カルボン酸誘導体の式量×1/10であり、Sは、変性ポリオレフィン樹脂の重量(g)を表す。
開環率Rは、例えば、温度や時間を種々変更しつつ、変性ポリオレフィン樹脂を水に浸漬する、変性ポリオレフィン樹脂を恒湿条件下に置く、等の処理を行うことで調整し得る。
先ず、変性ポリオレフィン樹脂を有機溶剤に溶解して溶液を得る。次に、KBr板に該溶液を塗布、乾燥して薄膜を形成し、FT-IR(例、「FT/IR-4100」、日本分光社製)にて、400~4000cm-1の赤外吸光スペクトルを観測する。解析は、付属ソフトウェア(例、「Spectro Manager」、日本分光社)によって行う。
波数1700~1750cm-1に現れるピークを、開環したα,β-不飽和カルボン酸誘導体のカルボニル基由来のピークに帰属し、ピーク高さをAとする。波数1750~1820cm-1に現れるピークを、開環していないα,β-不飽和カルボン酸誘導体のカルボニル基由来のピークに帰属し、ピーク高さをBとする。そして、開環率R(%)は、(A/(A+B)×100)の式から算出し得る。後述の実施例における開環率は、この方法で算出した値である。
融点は、例えば、ポリオレフィン樹脂のベース樹脂の種類により調整し得る。
重量平均分子量は、例えば、ポリオレフィン樹脂のベース樹脂の重量平均分子量や変性成分の使用量等により調整し得る。
測定機器:HLC-8320GPC(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム:TSKgel(東ソー社製)
標準物質;ポリスチレン(東ソー製、GLサイエンス製)
検出器;示差屈折計(東ソー製)
ポリオレフィン樹脂は、特に限定されるものではない。ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィンとしては、α-オレフィンが好適に用いられる。α-オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテンが挙げられる。
ポリオレフィン樹脂は、1種単独のオレフィン重合体であってもよく、2種以上のオレフィン重合体の共重合体であってもよい。ポリオレフィン樹脂が共重合体である場合、ポリオレフィン樹脂はランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
ここで、「ポリプロピレン」とは、基本単位がプロピレン由来の構成単位である重合体を表す。「エチレン-プロピレン共重合体」とは、基本単位がエチレン及びプロピレン由来の構成単位である共重合体を表す。「プロピレン-1-ブテン共重合体」とは、基本単位がプロピレン及びブテン由来の構成単位である共重合体を表す。「エチレン-プロピレン-1-ブテン共重合体」とは、基本単位がエチレン、プロピレン及びブテン由来の構成単位である共重合体を表す。これらの(共)重合体は、基本単位以外の他のオレフィン由来の構成単位を少量含有していてもよい。この含有量は、樹脂本来の性能を著しく損なわない量であればよい。
メタロセン触媒としては、公知のものを使用できる。メタロセン触媒は、下記成分(1)及び成分(2)と、さらに必要に応じて成分(3)とを組み合わせて得られるものが好ましい。
成分(1);共役五員環配位子を少なくとも一個有する周期律表4~6族の遷移金属化合物であるメタロセン錯体;
成分(2);イオン交換性層状ケイ酸塩;
成分(3);有機アルミニウム化合物。
なお、ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、上記と同様に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、標準物質:ポリスチレン)によって測定した値である。また、測定条件は、上記と同じである。
ポリオレフィン樹脂の融点の一実施形態としては、50~120℃が好ましく、60~110℃がより好ましい。
変性成分は、環状構造を有するα,β-不飽和カルボン酸誘導体を含む。環状構造を有するα,β-不飽和カルボン酸誘導体としては、例えば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、及び無水アコニット酸等の環状構造を有するα,β-不飽和カルボン酸無水物が挙げられる。中でも、無水マレイン酸が好ましい。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂の製造方法は、特に限定されるものではない。一例を以下に示す。
まず、ポリオレフィン樹脂を用意する。ポリオレフィン樹脂は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等のα-オレフィンを、チーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒等の触媒の存在下、重合することにより調製し得る。ポリオレフィン樹脂は、市販品を用いてもよい。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂は、通常、変性ポリオレフィン樹脂を含む組成物として利用される。組成物は、変性ポリオレフィン樹脂の他に、溶液、硬化剤、及び接着成分からなる群より選択される少なくとも1種の成分をさらに含むことが好ましい。
上記組成物の一実施態様は、変性ポリオレフィン樹脂と溶液を含む樹脂組成物である。溶液としては、有機溶剤が挙げられる。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、エチルシクロヘキサノン等のケトン溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ノナン、デカン等の脂肪族又は脂環式炭化水素溶剤が挙げられる。環境問題の観点から、芳香族溶剤以外の有機溶剤が好ましく、脂環式炭化水素溶剤とエステル溶剤又はケトン溶剤との混合溶剤がより好ましい。
有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
上記組成物の他の実施態様は、変性ポリオレフィン樹脂と硬化剤を含む組成物である。硬化剤としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、ポリアミン化合物、ポリオール化合物、或いはそれらの官能基が保護基でブロックされた架橋剤が例示される。
硬化剤は1種単独であってもよく、複数種の組み合わせであってもよい。
上記組成物の更に他の実施態様は、変性ポリオレフィン樹脂と接着成分を含む組成物である。接着成分としては、所望の効果を阻害しない範囲でポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤等の公知の接着成分を用いることができる。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂又は上記の組成物は、プライマー、塗料用バインダー又はインキ用バインダーとして利用し得る。本発明の変性ポリオレフィン樹脂又はそれを含む組成物は、付着性、溶液安定性、耐熱性に優れており、自動車のバンパー等ポリオレフィン基材への上塗り塗装時のプライマー、上塗り塗料やクリアーとの付着性に優れる塗料用バインダーとして好適に利用し得る。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂又はそれを含む組成物は、積層体としても利用し得る。積層体は、通常、変性ポリオレフィン樹脂又は上記の組成物を含む層、金属層及び樹脂層を有する。積層体における層の配置は特に限定されないが、金属層及び樹脂層が変性ポリオレフィン樹脂又は組成物を含む層を挟んで位置する態様、金属層を挟んで第1の樹脂層と第2の樹脂層が存在し、金属層と各樹脂層の間に変性ポリオレフィン樹脂又は組成物を含む層が挟持されている態様が例示される。積層体は、リチウムイオン二次電池、コンデンサー、電気二重層キャパシター等の外装材として用いられるものであってもよい。
K={B×f×9.806/(S×1000)}×100
Kは、変性度(重量%)を表し、Bは、水酸化カリウム-エタノール溶液の滴定量(ml)を表し、fは、0.1mol/L水酸化カリウム-エタノール溶液のファクターを表し、9.806は、無水マレイン酸の式量×1/10であり、Sは、変性ポリオレフィン樹脂の重量(g)を表す。
波数1700~1750cm-1に現れるピークを、開環したα,β-不飽和カルボン酸誘導体のカルボニル基由来のピークに帰属し、そのピーク高さをAとした。波数1750~1820cm-1に現れるピークを、開環していないα,β-不飽和カルボン酸誘導体のカルボニル基由来のピークに帰属し、そのピーク高さをBとした。そして、開環率R(%)は、(A/(A+B)×100)に各ピーク高さA及びBを代入して算出した。
測定機器:HLC-8320GPC(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム:TSKgel(東ソー社製)
標準物質;ポリスチレン(東ソー製、GLサイエンス製)
検出器;示差屈折計(東ソー製)
温度;40℃
流速;1.0mL/分
攪拌機、冷却管、及び滴下漏斗を取り付けた四つ口フラスコ中で、プロピレン-ブテンランダム共重合体〔P-B〕(プロピレン成分80モル%、ブテン成分20モル%、Tm=85℃)100部をトルエン400g中に加熱溶解した。系内の温度を110℃に保持して撹拌しながら、無水マレイン酸4.5部、ラウリルメタクリレート4.0部、ジ-t-ブチルパーオキサイド1.0部をそれぞれ3時間かけて滴下し、さらに1時間反応を行った。
反応終了後、室温まで冷却し、重量平均分子量が160,000、Tm=82℃の反応物を得た。該反応物を大過剰のアセトン中に投入することで精製して、無水マレイン酸及びラウリルメタクリレートのグラフト重量を測定したところ、各々4.0重量%、3.0重量%であった。
該反応物を、恒温・恒湿下(50℃、100%RH)に5時間静置し、開環率が24.1%、すなわち開環度が96.4の変性ポリオレフィン樹脂を得た。
無水マレイン酸2.0部、ラウリルメタクリレート2.0部、ジ-t-ブチルパーオキサイド0.8部とした以外は、実施例1と同様に反応を行い、分子量150,000、Tm=83℃、無水マレイン酸及びラウリルアクリレートのグラフト量が各々1.9重量%、1.8重量%の反応物を得た。
該反応物を、恒温・恒湿下(50℃、100%RH)に16時間静置し、開環率が54.3%、すなわち開環度が103.2の変性ポリオレフィン樹脂を得た。
プロピレン-ブテンランダム共重合体〔P-B〕(プロピレン成分80モル%、ブテン成分20モル%、Tm=75℃)100部、無水マレイン酸2.0部、ジ-t-ブチルパーオキサイド1.0部を、170℃に設定した二軸押出機を用いて混練して反応を行った。押出機内にて減圧脱気を行い、残留する未反応物を除去し、重量平均分子量が140,000、Tm=73℃の反応物を得た。反応物を大過剰のアセトン中に投入することで精製して、無水マレイン酸のグラフト重量を測定したところ、1.8重量%であった。
該反応物を、恒温・恒湿下(50℃、100%RH)に48時間静置し、開環率が70.4%、すなわち開環度が126.7の変性ポリオレフィン樹脂を得た。
実施例2で得られた開環率調整前の反応物を、恒温・恒湿下(50℃、100%RH)に48時間静置し、開環率が71.3%、すなわち開環度が135.5の変性ポリオレフィン樹脂を得た。
実施例1で得られた開環率調整前の反応物を、恒温・恒湿下(50℃、100%RH)に18時間静置し、開環率が49.8%、すなわち開環度が199.2の変性ポリオレフィン樹脂を得た。
実施例1で得られた開環率調整前の反応物を、恒温・恒湿下(50℃、100%RH)に48時間静置し、開環率が68.6%、すなわち開環度が274.4の変性ポリオレフィン樹脂を得た。
プロピレン-エチレンランダム共重合体〔P-E〕(プロピレン成分89モル%、エチレン成分11モル%、Tm=65℃)、無水マレイン酸4.0部、ラウリルメタクリレート4.0部、ジ-t-ブチルパーオキサイド2.0部を、170℃に設定した二軸押出機を用いて混練して反応を行った。押出機内にて減圧脱気を行い、残留する未反応物を除去し、重量平均分子量が130,000、Tm=64℃の反応物を得た。反応物を大過剰のアセトン中に投入することで精製して、無水マレイン酸及びラウリルメタクリレートのグラフト重量を測定したところ、各々3.3重量%、2.5重量%であった。
該反応物を、恒温・恒湿下(50℃、100%RH)に5時間静置し、開環率が23.4%、すなわち開環度が77.2の変性ポリオレフィン樹脂を得た。
攪拌機、冷却管、及び滴下漏斗を取り付けた四つ口フラスコ中で、プロピレン-エチレンランダム共重合体〔P-E〕(プロピレン成分87モル%、エチレン成分13モル%、Tm=70℃)100部をトルエン400g中に加熱溶解した。系内の温度を110℃に保持して撹拌しながら、無水マレイン酸4.0部、ジラウリルパーオキサイド2.0部をそれぞれ3時間かけて滴下し、さらに1時間反応を行った。
反応終了後、室温まで冷却し、重量平均分子量が65,000、Tm=65℃の反応物を得た。反応物を大過剰のアセトン中に投入することで精製して、無水マレイン酸のグラフト重量を測定したところ、3.8重量%であった。
該反応物を、恒温・恒湿下(50℃、100%RH)に5時間静置し、開環率が25.3%、すなわち開環度が96.1の変性ポリオレフィン樹脂を得た。
実施例7で得られた開環率調整前の反応物を、恒温・恒湿下(50℃、100%RH)に17時間静置し、開環率が52.0%、すなわち開環度が171.6の変性ポリオレフィン樹脂を得た。
実施例7で得られた開環率調整前の反応物を、恒温・恒湿下(50℃、100%RH)に48時間静置し、開環率が72.8%、すなわち開環度が240.2の変性ポリオレフィン樹脂を得た。
攪拌機、冷却管、及び滴下漏斗を取り付けた四つ口フラスコ中で、プロピレン-エチレンランダム共重合体〔P-E〕(プロピレン成分87モル%、エチレン成分13モル%、Tm=70℃)100部をトルエン400g中に加熱溶解した。系内の温度を110℃に保持して撹拌しながら、無水マレイン酸10.0部、オクチルメタクリレート9.0部、ジラウリルパーオキサイド3.0部をそれぞれ3時間かけて滴下し、さらに1時間反応を行った。
反応終了後、室温まで冷却し、重量平均分子量が100,000、Tm=63℃の反応物を得た。反応物を大過剰のアセトン中に投入することで精製して、無水マレイン酸及びオクチルメタクリレートのグラフト重量を測定したところ、各々8.7重量%、6.0重量%であった。
該反応物を、恒温・恒湿下(50℃、100%RH)に5時間静置し、開環率が18.8%、すなわち開環度が163.6の変性ポリオレフィン樹脂を得た。
実施例11で得られた開環率調整前の反応物を、恒温・恒湿下(50℃、100%RH)に48時間静置し、開環率が70.5%、すなわち開環度が613.4の変性ポリオレフィン樹脂を得た。
実施例2で得られた開環率調整前の反応物を、恒温・恒湿下(50℃、100%RH)に3時間静置し、開環率が14.9%、すなわち開環度が28.3の変性ポリオレフィン樹脂を得た。
実施例3で得られた開環率調整前の反応物を、恒温・恒湿下(50℃、100%RH)に3時間静置し、開環率が14.5%、すなわち開環度が26.1の変性ポリオレフィン樹脂を得た。
実施例7で得られた開環率調整前の反応物を、恒温・恒湿下(50℃、100%RH)に1時間静置し、開環率が8.9%、すなわち開環度が29.4の変性ポリオレフィン樹脂を得た。
また、実施例7~12の結果からわかる通り、変性度K(重量%)が大きくなる(即ち、グラフト重量が増加する)と、ヒートシール強度の値が低くなるけれども、開環度を所定の範囲に調整することで、付着性を向上し得ることがわかる。
Claims (3)
- ポリオレフィン樹脂の変性物であり、下記条件(A)~(D)を満たす変性ポリオレフィン樹脂(但し、以下のポリオレフィン(1)~(6)を除く:
コンデンサー及び攪拌機が付設された内容積300mLのフラスコに、下記(A1)成分15重量部、メチルシクロヘキサン68重量部及びメチルエチルケトン17重量部を仕込み、60℃で30分間撹拌して(A1)成分を溶解した後、水1200重量部を添加して60℃でさらに8時間攪拌し、室温まで冷却後に得られる溶液aに含まれるポリオレフィン(1);
溶液aに硬化触媒1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7を0.08重量部を添加して十分に混合し、得られる液状の樹脂組成物にイソシアネート化合物として1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアヌレート体3.3重量部及びヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体2.0重量部を配合し混合して得られる組成物中のポリオレフィン(2);
(A1)の代わりに下記(A2)成分を用いたこと、及び水の添加量を377重量部としたこと、以外はポリオレフィン(1)と同様の製造方法により得られる溶液bに含まれるポリオレフィン(3);
溶液aの代わりに溶液bを用いたこと、イソシアネート化合物として4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)及び異性体の混合物のイソシアヌレート体3.0重量部とヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体0.6重量部を用いること以外はポリオレフィン(2)と同様の製造方法により得られるポリオレフィン(4);
(A1)の代わりに下記(A3)成分を用いたこと、及び水の添加量を3281重量部としたこと、以外はポリオレフィン(1)と同様の製造方法により得られる溶液cに含まれるポリオレフィン(5);並びに
溶液aの代わりに溶液cを用いたこと、イソシアネート化合物として4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)及び異性体の混合物6.0重量部とヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート体3.0重量部を用いたこと以外は、ポリオレフィン(2)と同様の製造方法により得られるポリオレフィン(6)。
条件(A):変性成分が、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、及び無水アコニット酸からなる群より選ばれる環状構造を有するα,β-不飽和カルボン酸誘導体を含むこと。
条件(B):下記式(1)で表される開環度が40以上であること。
(1):開環度=変性度K×開環率R
(前記式(1)中、前記変性度Kは、前記α,β-不飽和カルボン酸誘導体のグラフト重量(重量%)を表し、前記開環率Rは、前記α,β-不飽和カルボン酸誘導体における環状構造の開環率(%)を表し60を超えて80以下である。)
条件(C):変性成分が、(メタ)アクリル酸エステルをさらに含むこと。
条件(D):ポリオレフィン樹脂が、構成単位100モル%中、プロピレン由来の構成単位を50モル%以上含む、ポリプロピレン(プロピレン単独共重合体)、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-1-ブテン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むこと。
(A1)成分:二軸押出機(L/D=42、φ=58mm)に、プロピレン-1-ブテン共重合体(プロピレン成分79モル%、1-ブテン成分21モル%、重量平均分子量180,000、Tm=85℃)100重量部、無水マレイン酸2.8重量部、メタクリル酸ラウリル2重量部、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン0.8重量部を投入し、滞留時間10分、バレル温度180℃(第1バレル~第7バレル)として反応し、第7バレルにて脱気を行い、残留する未反応の無水マレイン酸、及びメタクリル酸ラウリルを除去して得られる反応物。
(A2)成分:攪拌機、冷却管、及び滴下漏斗を取り付けた四つ口フラスコ中で、プロピレン-エチレン共重合体(プロピレン成分97モル%、エチレン成分3モル%、重量平均分子量250,000、Tm=125℃)100重量部をトルエン400重量部中に加熱溶解させた後、系内の温度を110℃に保持して撹拌しながらジクミルパーオキサイド1重量部を滴下し、その後1時間減成処理し、次に、無水アコニット酸1.5重量部、アクリル酸オクチル3重量部、過酸化ベンゾイル0.5重量部をそれぞれ3時間かけて滴下し、さらに1時間反応させ、反応後、室温に冷却した後、粗反応物を大過剰のアセトン中に投入して未反応の無水アコニット酸及びアクリル酸オクチルを除去して得られる反応物。
(A3)成分:(A1)の製造時に用いたのと同様の二軸押出機に、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体(プロピレン成分68モル%、エチレン成分8モル%、1-ブテン成分24モル%、重量平均分子量50,000、Tm=70℃)100重量部、無水イタコン酸8重量部、アクリル酸トリデシル5重量部、ラウロイルパーオキサイド2重量部を投入し、滞留時間10分、バレル温度170℃(第1バレル~第7バレル)として反応し、第7バレルにて脱気を行い、残留する未反応の無水イタコン酸及びアクリル酸トリデシルを除去し、得られる反応物。 - 融点が50℃以上である請求項1に記載の変性ポリオレフィン樹脂。
- 重量平均分子量が10,000以上である請求項1又は2に記載の変性ポリオレフィン樹脂。
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WO2020090818A1 (ja) | 2018-10-29 | 2020-05-07 | 東亞合成株式会社 | 接着剤組成物及びそれを用いた熱融着性部材 |
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WO2020090818A1 (ja) | 2018-10-29 | 2020-05-07 | 東亞合成株式会社 | 接着剤組成物及びそれを用いた熱融着性部材 |
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