本出願は、米国特許法第120条の下で、2018年11月27日出願の米国公開特許第16/201,465号「ガラス管の連続製造のための装置及び方法」、2018年11月27日出願の米国公開特許第16/201,472号「ガラス管の連続製造のための装置及び方法」、及び2017年11月30日出願の米国仮特許出願第62/592,736号「ガラス管の連続製造のための装置及び方法」の優先権の利益を主張するものであり、これらの内容は参照によりその全体が本出願に援用される。
これより、複合ガラス管を連続製造するための装置、システム、及び方法の実施形態について詳細に言及する。上記実施形態の例は、添付の図面に図示されている。可能な限り、図面全体を通して、同一又は同様の部分を指すために同一の参照番号を使用する。
特段の記載がない限り、本明細書に記載のいずれの方法が、その複数のステップを特定の順序で実施することを必要とするものと解釈されることは、全く意図されておらず、またいずれの装置も、特定の配向を必要とすることは全く意図されていない。従って、方法クレームが、その複数のステップが従うべき順序を実際に記載していない場合、又はいずれの装置クレームが、個々の構成部品に関する順序若しくは配向を実際に記載していない場合、又は複数のステップをある特定の順序に限定するべきであることが、特許請求の範囲若しくは本説明中で具体的に言明されていない場合、又は装置の構成部品に関するある特定の順序若しくは配向が記載されていない場合、いかなる点においても、ある順序又は配向が推定されることは全く意図されていない。これは:ステップの構成、動作フロー、構成部品の順序、又は構成部品の配向に関する論理の問題;文法的な構成又は句読点から導出される明らかな意味;及び本明細書に記載の実施形態の数又はタイプを含む、解釈のためのいずれの可能な非明示的基礎についても当てはまる。
本明細書中で使用される方向に関する用語、例えば「上方(up)」、「下方(down)」、「右(right)」、「左(left)、「前方(front)」、「後方(back)」、「上部(top)」、「底部(bottom)」は、図面中に図示されている状態、及び図面において提供されている座標軸に関するものでしかなく、絶対的な配向を含意することを意図したものではない。
本明細書中で使用される場合、単数形「ある(a、an)」及び「上記(the)」は、文脈がそうでないことを明らかに指示していない限り、複数の指示対象を含む。従って例えば、「ある」構成部品に関する言及は、文脈がそうでないことを明らかに指示していない限り、2つ以上の上記構成部品を有する態様を含む。
本明細書中で使用される場合、用語「サイディング(siding)」は、ガラス管の最小壁厚さと最大壁厚さとの間の差、又は複合ガラス管のガラス層の最小層厚さと最大層厚さとの間の差を指し、ここで最小及び最大壁厚さ、又は最小及び最大ガラス層厚さは、ガラス管の断面から決定される。
本明細書中で使用される場合、「軸方向(axial)」は、図面において提供されている座標軸の±Z方向を指す。
複数のガラス層を備える積層ガラス管を製造するための、いくつかのガラス管製造プロセスが開発されている。これらのプロセスでは、複合管材の各ガラス層に異なるガラス組成物を使用することによって、ガラス管に様々な特性を提供できる。例えば、外側ガラス層のためのガラス組成物は、ガラス管に更なる強度及び/又は化学的耐久性を提供するように選択できる。しかしながら、これらの複合ガラス製造プロセスは、概ね固定されたガラス層厚さを有する積層ガラス管の製造に限定されている。よって、従来の積層ガラス管製造プロセスは、各ガラス層の様々な厚さを製造できない。更にこれらの従来の積層ガラス管製造プロセスは、ガラス流の周方向分布を制御できない。これらの複合ガラス製造プロセスはまた、ガラス管成形プロセスへのガラス組成物の不均一な供給によって発生する、ガラス管の外周を巡る厚さ(即ちサイディング)の変動により、複合ガラス管のバッチ加工に限定される場合がある。
本明細書で開示される、複数のガラス層を含む複合ガラス管を製造するための装置100の実施形態を、図1A~1C及び図2に示す。装置100は、同心に配設されて静止している、内寸が増大する複数の円筒状コンテナ102を含んでよい。本開示において使用される場合、円筒状コンテナに適用される用語「静止している(stationary)」は、円筒状コンテナ102が他の円筒状コンテナ102それぞれに対して固定位置にあることを指す。各円筒状コンテナ102は、円筒状の側壁104(図2)と、側壁104から送達リング108(図2)へと半径方向内向きに延在する底部壁106(図2)とを有し、送達リング108は、底部壁106から下向きに延在する。隣接する円筒状コンテナ102の側壁104は、間に環状チャンバを画定する。隣接する円筒状コンテナ102の側壁104、底部壁106、又はこれら両方の組み合わせは、側壁104の間又は底部壁106の間の距離が減少している流れ制御領域を画定してよい。隣接する円筒状コンテナ102の底部壁106は、上記流れ制御領域から上記隣接する円筒状コンテナ102の送達リング108へと内向きに延在する環状流れチャネルを画定する。上記環状チャンバのうちの1つに導入された溶融ガラスは、環状チャンバを通り、流れ制御領域を通り、環状流れチャネルを通って、送達リングまで下向きに流れることができる。溶融ガラスを送達リング108から分離すると、溶融ガラスの環状層が形成され、これを、他の円筒状コンテナ102からの溶融ガラスの他の環状層と組み合わせることで、複数のガラス層を含む複合ガラス管を製造できる。ブローチューブ120を最内部円筒状コンテナ110内に配置してよく、複合ガラス管の内寸を維持するためのガス流を送達するよう位置決めしてよい。
装置100はまた、隣接する円筒状コンテナ102間に画定された流れ制御領域内に位置決めされる、少なくとも1つの流れ制御弁170を含んでよい。流れ制御弁170は、これらの隣接する円筒状コンテナ102に対して並進移動可能であってよい。隣接する円筒状コンテナ102に対する流れ制御弁170の並進移動は、流れ制御領域を通る溶融ガラスの流れに対するインピーダンスを変更でき、これにより、流れ制御領域及び環状流れチャネルを通る溶融ガラスの流量を変更できる。溶融ガラスの流量の変更により、環状チャンバに関連する環状ガラス層の厚さを変更できる。複数の流れ制御弁170を個別に位置決めすることによって、円筒状コンテナからのガラス流の周方向分布を制御でき、これにより、複合ガラス管又はある特定のガラス層の周方向厚さプロファイルを制御できる。
本明細書で開示される装置100は、複合ガラス管の1つ若しくは複数のガラス層の厚さ、又は複合ガラス管の層間の厚さの比を制御できるものであってよい。よって、異なる複数の厚さ及び/又は異なる複数のガラス組成物を含む異なる複合ガラス管製品を製造するために、上記装置を様々な構成の間で容易に切り替えることができる。これにより、単一の装置及び製造ラインを用いて、複合ガラス管の異なるSKUの製造が可能となる。更に上記装置により、特定のガラス層の周方向ガラス流分布(即ちサイディング)の制御が可能となり、これにより、複合ガラス管の外周の1つ以上の部分の厚さを、複合ガラス管の他の部分に対して変化させることができる。よって上記装置及び上記方法により、外径、内径、厚さ、及びサイディングといったガラス管の寸法を厳密に制御して、特定の用途で要求される厳密な寸法公差を満たすガラス管を製造できる。周方向ガラス流分布を制御することにより、各環状チャンバ内での溶融ガラスの高さの周方向変動を補償することもできる。よって上記装置により、各ガラス組成物を、単一の供給チューブから、上記装置の各環状チャンバに連続的に供給できる。
また上記装置により、複合ガラス管の各ガラス層に、異なる特性を有する異なるガラス組成物を使用できることによって、化学的耐久性及び機械的強度が改善された複合ガラス管の製造が可能となる。従って上記装置は、イオン交換による強化、熱テンパリング、又は製造後にガラス管を強化するための他のテンパリングプロセスといった追加のプロセスステップの必要を排除できる。更に、いくつかのガラス組成物は、イオン交換による強化又は他のテンパリングプロセスに適していない場合がある。例えば、いくつかのガラス組成物は、イオン交換プロセス中に大きなイオンによって置換される小さなアルカリ金属イオンを含有していない場合がある。よって上記装置により、イオン交換又は熱テンパリングに適していないガラス組成物から、強化された複合ガラス管を製造できる。
本明細書では、複合ガラス管を連続製造するための装置、システム、及び方法の、図1A~1Cの実施形態及び他の様々な実施形態を、添付の図面を具体的に参照して説明する。本明細書では、複数の層を有する複合ガラス管の製造の文脈において、これらの装置及びシステムを説明するが、上記装置の実施形態を、単一のガラス層を有するガラス管の製造に適合させることもできることを理解されたい。
ここで図1A~1Cを参照すると、上述のように、複数の層を有する複合ガラス管を製造するための装置100は、内寸が増大する複数の円筒状コンテナ102を含む。各円筒状コンテナは、複数のガラス層のうちの1つと関連し得る。複数の円筒状コンテナ102は同心に配設されていてよく、また互いに対して固定されていてよい。例えば装置100は、最内部円筒状コンテナ110、第1の外側円筒状コンテナ130、及び第2の外側円筒状コンテナ150を含んでよい。図1A~1Cでは3個の円筒状コンテナ102を有するものとして図示されているが、いくつかの実施形態では、装置100は、4個以上の円筒状コンテナ102、例えば4個、5個、6個、7個、8個、又は9個以上の円筒状コンテナ102を有してよい。例えば、図2は、5個の円筒状コンテナ102を有する装置100の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、装置100は、2個の円筒状コンテナ102、又は単一の円筒状コンテナ102を含んでよい。例えば、2個の円筒状コンテナを有する装置が図19に図示されており、これについては本開示中で後に説明する。
いくつかの実施形態では、円筒状コンテナ102、例えば図1A~1Cの最内部円筒状コンテナ110、第1の外側円筒状コンテナ130、及び第2の外側円筒状コンテナ150は、導電性かつ耐火性の金属で構成されていてよい。導電性かつ耐火性の金属は、白金、又は白金‐ロジウム、白金‐イリジウム、分散硬化白金材料、及びこれらの組み合わせといった白金含有金属を含んでよい。例えばいくつかの実施形態では、円筒状コンテナ102は白金を含んでよい。いくつかの実施形態では、円筒状コンテナ102は分散硬化白金を含んでよい。他の耐火性金属としては、モリブデン、パラジウム、レニウム、タンタル、チタン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、ジルコニウム、及びこれらの合金、並びに/又は二酸化ジルコニウムが挙げられる。あるいは他の実施形態では、円筒状コンテナ102は、限定するものではないがジルコン(例えばジルコニア)、シリコンカーバイド、ゼノタイム、アルミナ系耐火性セラミック、アルミノシリケート耐火性セラミック、他の耐火性材料、又はこれらの組み合わせといった、他の耐火性材料を含んでよい。いくつかの実施形態では、円筒状コンテナ102は、耐火性金属でクラッディングされた耐火性セラミック材料を含んでよい。
再び図1A~1Cを参照すると、最内部円筒状コンテナ110は側壁112を有する。側壁112は円筒状の形状であってよい。本開示中で使用される場合、用語「円筒状(cylindrical)」は、細長い中空形状を指し、いずれの特定の断面形状を含意しない。例えば上面図で見た場合、側壁112は、円形、楕円形、多角形、又は他の形状を有してよい。側壁112は、限定するものではないが内径又は内幅といった内寸D1を有してよい。いくつかの実施形態では、側壁112の内寸D1は、側壁112の上部から流れ制御領域128まで、垂直方向(即ち図1A~1Cの座標軸の±Z方向)において概ね一定であってよい。あるいは他の実施形態では、側壁112の内寸D1は、最内部円筒状コンテナ110の上部から流れ制御領域128までに変動してもよい。本開示中で使用される場合、用語「円筒状」は、円筒体が概ね円筒状であるものの、この円筒体の内寸が軸方向に沿って変動し得る実施形態を含むことを意図しており、従って円筒状コンテナの側壁は、傾斜したり、湾曲したり、又は不規則形状であったりする。いくつかの実施形態では、最内部円筒状コンテナ110の側壁112はベル形状であってよい。
流れ制御領域128では、側壁112又は側壁112の内側表面114は、最内部送達リング116に向かって内向きに(即ち図1A~1Cの座標軸の、rが減少する方向に)傾斜していてよい。最内部送達リング116は、最内部円筒状コンテナ110の側壁112から最内部送達リング116の遠位端117へと、垂直方向下向きに(即ち図1Cの座標軸の-Z方向に)延在してよい。
最内部円筒状コンテナ110は、側壁112から最内部送達リング116へと、半径方向内向きに(即ち図1A及び1Cの座標軸のrが減少する方向に)延在する、底部壁113を有してよく、最内部送達リング116は、底部壁113から下向きに(即ち図1A及び1cの座標軸の-Z方向に)延在する。例えばいくつかの実施形態では、最内部円筒状コンテナ110の側壁112の外側表面115は、外向きに(即ち図1A~1Cの座標軸のrが増大する方向に)傾斜してよく、底部壁113は、側壁112の外側表面115と内側表面114との間に延在してよい。いくつかの実施形態では、底部壁113は、側壁112の外側表面115から内側表面114に向かって、内向きかつ垂直方向下向きに傾斜してよい。最内部送達リング116は、最内部円筒状コンテナ110の底部壁113に中央開口129を画定してよい。側壁112の内側表面114は、最内部円筒状コンテナ110の中心軸Aに向かって、最内部送達リング116へと集束してよい。最内部送達リング116は環状リングであってよく、これは、最内部送達リング116の表面から流れ落ちる溶融ガラスに環状の形状を提供できる。
図1A及び1Cを参照すると、装置100はブローチューブ120を含んでよい。ブローチューブ120は、ブローチューブ120の近位端121に位置決めされたヘッド122を含む中空の管であってよい。ブローチューブ120の遠位端は、ガス源416(図11)に流体接続されていてよい。ガス制御弁418(図11)は、ブローチューブ120の近位端121に送達されるガスの流れを制御するために、ガス源416とブローチューブ120の遠位端との間に位置決めされてよい。ブローチューブ120は、最内部送達リング116にガス流を送達するよう動作可能であってよい。ブローチューブ120のヘッド122はテーパ加工されていてよく、従ってブローチューブ120のヘッド122はベル形状である。ブローチューブ120の少なくとも一部分は、最内部円筒状コンテナ110内に配置されていてよい。ブローチューブ120の近位端121は最内部円筒状コンテナ110内に位置決めされていてよく、またブローチューブ120は、近位端121にあるヘッド122が最内部送達リング116に向かって下向きに(即ち-Z方向に)位置決めされた状態で、垂直に(即ち図1A及び1Cの座標軸の±Z方向に)配向されていてよい。換言すれば、ブローチューブ120の近位端121は、最内部送達リング116の近傍に位置決めされていてよい。
図1Aに示すように、ブローチューブ120及び最内部円筒状コンテナ110は、ブローチューブ120と最内部円筒状コンテナ110の内側表面114との間に、内側環状チャンバ124を画定してよい。溶融ガラス組成物は、少なくとも1つの供給管118を通って内側環状チャンバ124に供給できる。いくつかの実施形態では、溶融ガラス組成物は、単一の供給管118から内側環状チャンバ124に導入できる。
ブローチューブ120のヘッド122、及び最内部円筒状コンテナ110の流れ制御領域128内の側壁112の内側表面114は、ヘッド122と、流れ制御領域128内の側壁112の内側表面114との間に、環状流れチャネル126を画定してよい。環状流れチャネル126は、最内部円筒状コンテナ110の流れ制御領域128から最内部送達リング116へと延在してよい。最内部円筒状コンテナ110の内側環状チャンバ124に導入された溶融ガラスは、流れ制御領域128から環状流れチャネル126内へ、そして環状流れチャネル126を通って最内部送達リング116へと流れてよい。
ブローチューブ120は、最内部円筒状コンテナ110に対して並進移動可能であってよい。例えばいくつかの実施形態では、ブローチューブ120は、最内部円筒状コンテナ110に対して垂直方向に(即ち図1A及び1Cの座標軸の±Z方向に)並進移動可能であってよい。あるいはいくつかの実施形態では、ブローチューブ120は、垂直方向においては固定されていてよいが、最内部円筒状コンテナ110に対して水平方向に並進移動可能(即ち図1A及び1Cの座標軸の±r又は±θ方向に並進移動可能)であってよい。更に他の実施形態では、ブローチューブ120は、最内部円筒状コンテナ110に対して垂直及び水平方向に並進移動可能であってよい。
最内部円筒状コンテナ110に対するブローチューブ120の並進移動は、最内部円筒状コンテナ110の内側環状チャンバ124から最内部送達リング116への溶融ガラスの流量、周方向分布、又はこれら両方を制御できる。垂直方向の(即ち図1A及び1Cの座標軸の±Z方向の)ブローチューブ120の並進移動は、ブローチューブ120のヘッド122と、流れ制御領域128内の最内部円筒状コンテナ110の内側表面114との間の間隙G1の平均幅を変化させる。ブローチューブ120の垂直方向の並進移動は、図1Cにおいて、ブローチューブ120の上方に位置決めされた垂直な双方向矢印188で示されている。垂直方向のブローチューブ120の並進移動によって、間隙G1の幅を変更することにより、環状流れチャネル126を通る溶融ガラスの流れに対するインピーダンスを変更でき、これにより、最内部送達リング116に向かって環状流れチャネル126を通る溶融ガラスの流量を変更できる。最内部送達リング116に向かって環状流れチャネル126を通る溶融ガラスの流量を変更することにより、最内部円筒状コンテナ110に関連するガラス層の厚さを変更できる。
更に、最内部円筒状コンテナ110の固定位置に対して水平な(即ち図1A及び1Cの座標軸の±r又は±θ方向の)ブローチューブ120の並進移動は、ブローチューブ120のヘッド122の外周の周りの間隙G1の幅を変更できる。ブローチューブ120の水平方向の並進移動は、図1Cにおいて、ブローチューブ120の上方に位置決めされた水平方向の双方向矢印189で示されている。換言すれば、最内部円筒状コンテナ110に対するブローチューブ120の水平方向の並進移動は、最内部円筒状コンテナ110の中心軸Aからブローチューブ120をオフセットさせることができ、これによりブローチューブ120は、110に対して同心でなくなる。こうして、間隙G1の幅は、ブローチューブ120のヘッド122の外周の周りで変動する。最内部円筒状コンテナ110に対して水平なブローチューブ120の並進移動により、環状流れチャネル126を通って流れる溶融ガラスの周方向分布を制御できる。換言すれば、環状流れチャネル126のある外周領域は、環状流れチャネル126の別の外周領域とは異なる溶融ガラスの流量を有してよい。
環状流れチャネル126を通って最内部送達リング116へと流れる溶融ガラスの周方向分布を制御することにより、最内部円筒状コンテナ110によって形成されるガラス層の周方向厚さを制御できる。ブローチューブ120のヘッド122と最内部円筒状コンテナ110の内側表面114との間を流れる溶融ガラスの周方向分布を制御することにより、装置100は、単一の供給管118が最内部円筒状コンテナ110に対して中心をずらして位置決めされていることによって発生する、最内部円筒状コンテナ110内の溶融ガラスの液位の差を補償できる。
図1A~1Cを参照すると、第1の外側円筒状コンテナ130は、側壁132及び底部壁133を含んでよい。第1の外側円筒状コンテナ130の側壁132は、限定するものではないが内径又は内幅等の内寸D2を有してよく、これは最内部円筒状コンテナ110の内寸D1より大きい。いくつかの実施形態では、側壁132の内寸D2は、最内部円筒状コンテナ110の外寸より大きくてよい。第1の外側円筒状コンテナ130は、最内部円筒状コンテナ110の周りに同心に配設されていてよい。いくつかの実施形態では、第1の外側円筒状コンテナ130は最内部円筒状コンテナ110全体を取り囲んでよい。第1の外側円筒状コンテナ130は、最内部円筒状コンテナ110の中心軸Aに関して同心であってよい。第1の外側円筒状コンテナ130の位置は、最内部円筒状コンテナ110の位置に対して固定されていてよい。第1の外側円筒状コンテナ130の側壁132は、円筒状であってよい。上面図で見た場合、側壁132は、円形、楕円形、多角形、又は他の形状を有してよい。いくつかの実施形態では、側壁132の内寸D2は、側壁132の上部から第1の外側円筒状コンテナ130の流れ制御領域144まで、垂直方向(即ち図1A~1Cの座標軸の±Z方向)において概ね一定であってよい。あるいは他の実施形態では、側壁132の内寸D2は、第1の外側円筒状コンテナ130の側壁132の上部から第1の外側円筒状コンテナ130の流れ制御領域144までに、わずかに変化してよい。
第1の外側円筒状コンテナ130は、側壁132から第1の外側送達リング136へと延在してよい底部壁133を有してよい。いくつかの実施形態では、底部壁133は、側壁132から第1の外側送達リング136へと半径方向内向きに(即ち図1A及び1Cの座標軸のrが減少する方向に)延在してよい。あるいはいくつかの実施形態では、底部壁133は、側壁132から第1の外側送達リング136へと、半径方向内向きかつ垂直方向下向きに(即ち図1A及び1Cの座標軸の±Z方向に)延在してよい。
図1A及び1Cを参照すると、第1の外側送達リング136は、第1の外側円筒状コンテナ130の底部壁133から垂直方向下向きに(即ち-Z方向に)延在して、第1の外側円筒状コンテナ130の底部壁133に中央開口を画定してよい。第1の外側送達リング136は環状リングであってよく、これは、第1の外側送達リング136の表面及び第1の外側送達リング136と最内部送達リング116との間を流れ落ちる溶融ガラスに環状の形状を提供する。第1の外側送達リング136は、第1の外側送達リング136の遠位端において終端してよい。第1の外側送達リング136は最内部送達リング116より大きくてよく、これにより第1の外側送達リング136は、最内部送達リング116を取り囲むことができる。第1の外側送達リング136は、溶融ガラスが第1の外側送達リング136と最内部送達リング116との間を流れることができるようにするために、最内部送達リング116から離間していてよい。
いくつかの実施形態では、第1の外側円筒状コンテナ130から延在する送達リング136又は第2の外側円筒状コンテナ150から延在する送達リング156等の連続する外側送達リングはそれぞれ、最内部送達リング116に対して更に下向きに(即ち図4Aの座標軸の-Z方向に)延在してよい。例えば図1Cを参照すると、いくつかの実施形態では、第1の外側送達リング136の遠位端137は、第1の外側円筒状コンテナ130の底部壁133から延在してよく、従って第1の外側送達リング136の遠位端137は、最内部円筒状コンテナ110から延在する最内部送達リング116の遠位端117の垂直方向下方にある。
装置100の隣接する円筒状コンテナ102の側壁、例えば最内部円筒状コンテナ110の側壁112及び第1の外側円筒状コンテナ130の側壁132は、これらの側壁の間に環状チャンバを画定できる。図1Cを参照すると、最内部円筒状コンテナ110の側壁112及び第1の外側円筒状コンテナ130の側壁132は、環状チャンバ140を画定できる。環状チャンバ140は、側壁132の内側表面134と側壁112の外側表面115との間に画定されていてよい。環状チャンバ140は、最内部円筒状コンテナ110及び第1の外側円筒状コンテナ130の上端から流れ制御領域144へと、垂直方向下向きに(即ち図1Cの座標軸の-Z方向に)延在してよい。環状チャンバ140は、複合ガラス管のガラス層を製造するための溶融ガラスの量を受承するための、環状容積を提供する。第1の外側円筒状コンテナ130の側壁132は、最内部円筒状コンテナ110の側壁112から、側壁132の内側表面134と側壁112の外側表面115との間で測定される距離C1だけ離間していてよい。いくつかの実施形態では、側壁132の内側表面134と側壁112の外側表面115との間の距離C1は、環状チャンバ140の垂直方向寸法に沿って、略一定であってよい。
隣接する円筒状コンテナ102、例えば最内部円筒状コンテナ110及び第1の外側円筒状コンテナ130の、側壁又は底部壁は、環状チャンバ140の下端(即ち環状チャンバの、-Z方向の端部)に、流れ制御領域144を画定できる。例えば、最内部円筒状コンテナ110の側壁112及び第1の外側円筒状コンテナ130の側壁132は、集束して流れ制御領域144を形成でき、この流れ制御領域144は、側壁又は底部壁の間の距離が環状チャンバ140の側壁間の距離より小さくなった、幅狭セクションを備える。いくつかの実施形態では、流れ制御領域144内において、側壁又は底部壁間の距離C1は、図1Cに示すように、流れ制御領域144を通して変動してよい。あるいは他の実施形態では、側壁又は底部壁間の距離C1は、図5A~5Cに示すように、流れ制御領域144全体を通して一定であってよい。
図1Cを参照すると、いくつかの実施形態では、最内部円筒状コンテナ110の側壁112及び第1の外側円筒状コンテナ130の側壁132は、流れ制御領域144を画定する。流れ制御領域144は、環状チャンバ140から、第1の外側円筒状コンテナ130の底部壁133と最内部円筒状コンテナ110の底部壁113との間に画定される環状流れチャネル142へと、延在してよい。流れ制御領域144内において、側壁132の内側表面134と側壁112の外側表面115との間の距離C1は、環状チャンバ140近傍の流れ制御領域144への入口における最大距離C1から、流れ制御領域144の環状流れチャネル142への出口における最小距離C2へと減少していてよい。
いくつかの実施形態では、流れ制御領域144内において、側壁132の内側表面134は、側壁112の外側表面115に向かって内向きに(即ち図1Cの座標軸のrが減少する方向に)傾斜してよい。あるいは他の実施形態では、流れ制御領域144内において、側壁112の外側表面115は、側壁132の内側表面134に向かって外向きに(即ち図1Cの座標軸のrが増大する方向に)傾斜してよい。更に他の実施形態では、側壁132の内側表面134は内向きに傾斜し、側壁112の外側表面115は外向きに傾斜し、従って側壁132の内側表面134及び側壁112の外側表面115は、側壁112及び側壁132が環状流れチャネル142に向かって垂直方向下向きに延在するに従って、互いに向かって集束する。いくつかの実施形態では、側壁132の内側表面134の傾斜、側壁112の外側表面115の傾斜、又はこれら両方は、流れ制御領域144を通して一定であってよい。あるいは他の実施形態では、側壁132の内側表面134の傾斜、側壁112の外側表面115の傾斜、又はこれら両方は、流れ制御領域144を通して、環状チャンバ140から環状流れチャネル142までに変動してもよい。例えば、側壁132の内側表面134、側壁112の外側表面115、又はこれら両方は、流れ制御領域144内で湾曲していても、又は不規則形状であってもよい。いくつかの実施形態では、側壁132の内側表面134の傾斜は、側壁112の外側表面115の傾斜の鏡像(即ち符号が反対になった同一の傾斜)であってよい。あるいは、側壁132の内側表面134の傾斜と側壁112の外側表面115とは、異なる形状を有してよい。いくつかの実施形態では、側壁132の内側表面134又は側壁112の外側表面115は、略垂直(即ち装置100の中心軸Aに対して平行)であってよい。
図5A~5Cを参照すると、いくつかの実施形態では、流れ制御領域144内において、側壁132の内側表面134及び側壁112の外側表面115は、流れ制御領域144全体を通して平行であってよい。これらの実施形態では、側壁132の内側表面134と側壁112の外側表面115との間の距離C1は、流れ制御領域144内において一定であってよい。他の代替実施形態では、第1の外側円筒状コンテナ130の底部壁133及び最内部円筒状コンテナ110の底部壁113は、流れ制御領域144を画定してよい。これらの実施形態では、最内部円筒状コンテナ110の底部壁113と第1の外側円筒状コンテナ130の底部壁133との間の距離は、底部壁113及び底部壁133が装置100の中心軸Aに向かって半径方向内向きに延在するにつれて、減少してよい。更に他の実施形態では、最内部円筒状コンテナ110の底部壁113と第1の外側円筒状コンテナ130の底部壁133との間の距離は、底部壁113と底部壁133との間に画定される流れ制御領域144全体を通して一定であってよい。
隣接する円筒状コンテナ102の底部壁は、流れ制御領域から隣接する円筒状コンテナの送達リングへと内向きに延在する、環状流れチャネルを画定してよい。図1Cを参照すると、最内部円筒状コンテナ110の底部壁113及び第1の外側円筒状コンテナ130の底部壁133は、環状流れチャネル142を画定してよい。環状流れチャネル142は、流れ制御領域144から第1の外側円筒状コンテナ130の第1の外側送達リング136へと内向きに(即ち図1Cの座標軸のrが減少する方向に)延在するよう、画定できる。いくつかの実施形態では、環状流れチャネル142の少なくとも一部分は、環状流れチャネル142を通って流れる溶融ガラスが流れ制御領域144から垂直方向下向きに(即ち-Z方向に)流れることができ、またその後、装置100及び第1の外側円筒状コンテナ130の第1の外側送達リング136の中心軸Aに向かって内向きに流れることができるように、最内部円筒状コンテナ110の側壁112と第1の外側円筒状コンテナ130の側壁132との間に画定できる。
図1A~1Cを参照すると、装置は、第2の外側円筒状コンテナ150も有してよい。第2の外側円筒状コンテナ150は、側壁152及び底部壁153を含んでよい。第2の外側円筒状コンテナ150の側壁152は、限定するものではないが内径又は内幅等の内寸D3を有してよく、これは第1の外側円筒状コンテナ130の内寸D2より大きい。いくつかの実施形態では、側壁152の内寸D3は、第1の外側円筒状コンテナ130の外寸より大きくてよい。第2の外側円筒状コンテナ150は第1の外側円筒状コンテナ130の周りに同心に配設されていてよい。いくつかの実施形態では、第2の外側円筒状コンテナ150は第1の外側円筒状コンテナ130全体を取り囲んでよい。第2の外側円筒状コンテナ150は、最内部円筒状コンテナ110及び第1の外側円筒状コンテナ130の中心軸Aに関して同心であってよい。第2の外側円筒状コンテナ150の位置は、最内部円筒状コンテナ110及び第1の外側円筒状コンテナ130の位置に対して固定されていてよい。第2の外側円筒状コンテナ150の側壁152は、側壁132に関して上述されている形状と同様の形状を有してよい。
第2の外側円筒状コンテナ150は、側壁152から第2の外側送達リング156へと延在してよい底部壁153を有してよい。いくつかの実施形態では、底部壁153は、側壁152から第2の外側送達リング156へと半径方向内向きに(即ち図1A及び1Cの座標軸のrが減少する方向に)延在してよい。あるいはいくつかの実施形態では、底部壁153は、側壁152から第2の外側送達リング156へと、半径方向内向きかつ垂直方向下向きに(即ち図1A及び1Cの座標軸の±Z方向に)延在してよい。
図1A及び1Cを参照すると、第2の外側送達リング156は、第2の外側円筒状コンテナ150の底部壁153から垂直方向下向きに(即ち-Z方向に)延在して、第2の外側円筒状コンテナ150の底部壁153に中央開口を画定してよい。第2の外側送達リング156は環状リングであってよく、これは、第2の外側送達リング156の表面及び第2の外側送達リング156と第1の外側送達リング136との間を流れ落ちる溶融ガラスに環状の形状を提供する。第2の外側送達リング156は、第2の外側送達リング156の遠位端157において終端してよい。第2の外側送達リング156は第1の外側送達リング136より大きくてよく、これにより第2の外側送達リング156は、第1の外側送達リング136を取り囲むことができる。第2の外側送達リング156は、溶融ガラスが第2の外側送達リング156と第1の外側送達リング136との間を流れることができるようにするために、第1の外側送達リング136から離間していてよい。
第2の外側円筒状コンテナ150の側壁152の内側表面154、及び第1の外側円筒状コンテナ130の側壁132の外側表面135は、環状チャンバ160、及び環状チャンバ160と環状流れチャネル162との間の流れ制御領域164を画定してよい。第2の外側円筒状コンテナ150の底部壁153、及び第1の外側円筒状コンテナ130の底部壁133は、環状流れチャネル162を画定してよい。環状チャンバ160、環状流れチャネル162、及び流れ制御領域164は、第1の外側円筒状コンテナ130と最内部円筒状コンテナ110との間に画定される環状チャンバ140、環状流れチャネル142、及び流れ制御領域144に関して上述されている特徴又は属性のいずれを有してよい。
装置100は、内寸が増大する、第2の外側円筒状コンテナ150の周りに同心に配設された、更なる円筒状コンテナ102を有してよい。例えばいくつかの実施形態では、装置100は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、又は8個以上の円筒状コンテナ102を有してよい。図2を参照すると、一実施形態では、装置100は5個の円筒状コンテナ102を有してよく、これらは、最大で5つのガラス層を有する複合ガラス管を製造するために利用できる。図19を参照すると、装置100は、2つのガラス層を有する複合ガラス管を製造するために、2個の円筒状コンテナ102を有してよい。連続する円筒状コンテナそれぞれの側壁、底部壁、送達リング、環状チャンバ、環状流れチャネル、及び流れ制御領域は、第1の外側円筒状コンテナ130に関して本開示中で上述されているような特徴及び属性を含んでよい。
各円筒状コンテナ102、例えば最内部円筒状コンテナ110、第1の外側円筒状コンテナ130、及び第2の外側円筒状コンテナ150の位置は、他の円筒状コンテナ102に対して固定されている。例えば各円筒状コンテナ102は、複数の支柱180を用いて円筒状コンテナ102を互いに連結することにより、他の円筒状コンテナ102に対して固定されていてよい。再び図1A~1Cを参照すると、最内部円筒状コンテナ110、第1の外側円筒状コンテナ130、及び第2の外側円筒状コンテナ150の位置を互いに対して固定することにより、装置100の昇温及び動作中に、最内部円筒状コンテナ110、第1の外側円筒状コンテナ130、及び第2の外側円筒状コンテナ150それぞれの形状を維持できる。様々な円筒状コンテナ102を互いに対して構造的に固定することにより、円筒状コンテナ及び円筒状コンテナ102間に画定される体積の元の形状の変形を最小限に抑えるための熱膨張のガイドが支援される。装置100の通常動作中、円筒状コンテナ102は機械的応力及び熱応力を受け、これは形状を変形させる可能性がある。通常動作中の円筒状コンテナ102の変形は、円筒状コンテナ102に構造的剛性を提供することによって、例えばこれらを互いに対して固定することによっても低減される。最内部円筒状コンテナ110、第1の外側円筒状コンテナ130、及び第2の外側円筒状コンテナ150の位置を互いに対して固定することにより、他のいずれのガラス層の厚さを乱したり変化させたりすることのない、第1の外側円筒状コンテナ130又は第2の外側円筒状コンテナ150に関連するガラス層の厚さの独立した制御を可能とすることもできる。
図1A及び1Cを参照すると、装置100は、溶融ガラスを各円筒状コンテナ102に送達するための複数の供給管118を含んでよい。いくつかの実施形態では、装置100は、複数の円筒状コンテナ102それぞれに対して1つの供給管118を含んでよい。例えば図1A及び1Cでは、最内部円筒状コンテナ110、第1の外側円筒状コンテナ130、及び第2の外側円筒状コンテナ150はそれぞれ1つの供給管118を有する。各供給管118は、溶融ガラスシステム424(図11)に流体接続されていてよい。いくつかの実施形態では、供給管118は、溶融ガラスシステム424を円筒状コンテナ102のうちの1つに流体接続する流体導管であってよい。供給管118は、溶融ガラス組成物を円筒状コンテナ102に連続的に導入することを可能とし、これにより装置100の連続動作を可能とする。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の供給管118を、別個の溶融ガラスシステムに流体接続してよく、これにより、異なるガラス組成物を、円筒状コンテナ102のうちの1つ又は2つ以上に導入できる。
各円筒状コンテナ102に対する別個の供給管118により、各円筒状コンテナ102内の溶融ガラスの液位を、他の各円筒状コンテナ102内の溶融ガラスの液位とは独立させることができる。各円筒状コンテナ102に1つの供給管118を位置決めすることにより、各円筒状コンテナ102内の溶融ガラスの液位の周方向分布を生成できる。円筒状コンテナ102の外周の周りでの溶融ガラスの液位の変動は、円筒状コンテナ102に関連する他の流れ制御弁170に対する各流れ制御弁170の位置を変更することによって補償できる。制御弁170の動作については本明細書中で更に説明する。
図1Aを参照すると、装置100は、1つ又は複数の円筒状コンテナ102の間に連結された複数の支柱180を含んでよい。支柱180は、各円筒状コンテナ102の固定位置を維持でき、また円筒状コンテナ102に対する構造的支持を提供でき、これにより、動作中の円筒状コンテナ102に対する歪みを低減できる。図1Aに示すように、支柱180は、最内部円筒状コンテナ110と第1の外側円筒状コンテナ130との間、及び第1の外側円筒状コンテナ130と第2の外側円筒状コンテナ150との間に、水平に(即ち半径方向に、又は図1A及び1Bの座標軸の±r方向に)延在してよい。いくつかの実施形態では、支柱180は垂直に分布してよく、従って異なる垂直方向位置(即ち図1A及び1Cの座標軸の±Z方向の位置)にある複数の支柱180が、最内部円筒状コンテナ110と第1の外側円筒状コンテナ130との間、及び第1の外側円筒状コンテナ130と第2の外側円筒状コンテナ150との間に、水平に延在する。更に、支柱180は、装置100の周りに周方向に分布してよい。支柱180は、円筒状コンテナ102の周りにおいて、本明細書中で更に説明されるような円筒状コンテナ102に対する流れ制御弁170の移動を妨害しない位置に分布してよい。
図1A~1Cを参照すると、装置100は、1つ又は複数の環状流れチャネル(例えば環状流れチャネル142及び環状流れチャネル162)内に配置された、複数の流れガセット182を含んでよい。例えば流れガセット182は、環状流れチャネル142内に配置されていてよい。各流れガセット182は、各流れガセット182が、最内部円筒状コンテナ110と第1の外側円筒状コンテナ130との間に画定された環状流れチャネル142を二分するように、最内部円筒状コンテナ110及び第1の外側円筒状コンテナ130に連結されていてよい。流れガセット182は、流れ制御領域144から環状流れチャネル142を通って、第1の外側円筒状コンテナ130の送達リング136へと延在してよい。いくつかの実施形態では、各流れガセット182は、送達リング136の遠位端137まで延在してよい。いくつかの実施形態では、流れガセット182は、流れ制御領域144の少なくとも一部分の中まで延在してよい。更に他の実施形態では、流れガセット182は、流れ制御領域144の全体を通って延在してよい。流れガセット182は、いずれの断面形状を有してよい。いくつかの実施形態では、流れガセット182は概ね平坦であってよい。あるいは他の実施形態では、流れガセット182は、流れ制御領域144から送達リング136までに変動する断面プロファイルを有してよい。例えばいくつかの実施形態では、流れガセット182の厚さは、環状流れチャネル142に沿って、流れ制御領域144から送達リング136までに変動してよい。流れガセット182に関する他の形状も考えられる。
流れガセット182は、環状流れチャネル142、及び任意に流れ制御領域144を、複数の角度セクタ184に分割してよい。いくつかの実施形態では、流れガセット182は、環状流れチャネル142全体にわたって均等に、周方向に分布してよい。あるいは他の実施形態では、流れガセット182は、環状流れチャネル142全体にわたって不規則に離間していてよく、従って異なる角度寸法を有する角度セクタ184を形成する。
流れガセット182は、各角度セクタ184を流れる溶融ガラスを物理的に分割することにより、各角度セクタ184からの溶融ガラスが、流れガセット182が終端する送達リング136において集束するまで、各流れ制御弁170によって生成される流れに対するインピーダンスを維持できる。流れガセット182は、流れ制御弁170によって生成される溶融ガラスの周方向流れ分布を維持できる。溶融ガラスの流れは、流れガセット182の末端183において、融合して単一の溶融ガラスの環状流れとなる。流れガセット182の末端183は、送達リング136の遠位端137に近接していてよい。
流れガセット182はまた、環状流れチャネル162、及び任意に第1の外側円筒状コンテナ130と第2の外側円筒状コンテナ150との間に画定される流れ制御領域164内にも配置してよい。同様に、流れガセット182は、環状チャネル、及び任意にいずれの2つの隣接する円筒状コンテナ102の間に画定される流れ制御領域内に配置してよい。
図1A及び1Cを参照すると、装置100は、環状チャンバ140から流れ制御領域144及び環状流れチャネル142を通る溶融ガラスの流量を制御するための、少なくとも1つの流れ制御弁170を含んでよい。流れ制御弁170については、本開示では、第1の外側円筒状コンテナ130、並びに第1の外側円筒状コンテナ130と最内部円筒状コンテナ110との間に画定される環状チャンバ140、環状流れチャネル142、及び流れ制御領域144の文脈で説明される。しかしながら、他の円筒状コンテナ102、例えば第2の外側円筒状コンテナ150内に位置決めされた流れ制御弁170は、第1の外側円筒状コンテナ130に関連して本明細書中で説明されるものと同一の特徴及び動作を含んでよいことを理解されたい。
図3A~3Cを参照すると、各流れ制御弁170は、シャフト174に連結された制御要素172を含んでよい。制御要素172は、第1の外側円筒状コンテナ130の内側表面134又は最内部円筒状コンテナ110の外側表面115の外形に対して相補的な形状を有してよい。いくつかの実施形態では、制御要素172は、角度方向に(即ち図3A~3Cの座標軸の±θ方向に)細長く、また少なくとも1つの制御表面176を有する、プラグであってよく、上記制御表面176は、第1の外側円筒状コンテナ130と最内部円筒状コンテナ110との間に画定される流れ制御領域144内において、第1の外側円筒状コンテナ130の内側表面134、最内部円筒状コンテナ110の外側表面115、又はこれら両方に適合するような形状である。図3Bを参照すると、第1の外側円筒状コンテナ130と最内部円筒状コンテナ110との間の流れ制御領域144内に配置された制御要素172の一実施形態の断面図が概略図で示されている。いくつかの実施形態では、制御要素172は、下向きに(即ち図3Bの座標軸の-Z方向に)延在してある一点で集束する、2つの制御表面176を含んでよい。制御表面176は傾斜していてよく、制御表面176の傾斜は、流れ制御領域144内における、第1の外側円筒状コンテナ130の内側表面134及び最内部円筒状コンテナ110の外側表面115に対して相補的であってよい。あるいは他の実施形態では、制御要素172は、第1の外側円筒状コンテナ130と最内部円筒状コンテナ110との間に画定された流れ制御領域144と係合可能であってよい、ウェッジ、フラップ、ゲート、又は他の構造を含んでよい。
図5A~5Cを参照すると、他の実施形態では、制御要素172は、半径方向において(即ち図5Aの座標軸の±r方向において)測定された、垂直方向(即ち±Z方向)に対して一定の幅を有してよい。例えばいくつかの実施形態では、流れ制御弁170の制御要素172の制御表面は、流れ制御領域144内における、最内部円筒状コンテナ110の外側表面115及び第1の外側円筒状コンテナ130の内側表面134に対して平行であってよい。制御要素172に関する他の形状も、流れ制御領域144を通る溶融ガラスの流れに対するインピーダンスの変更のために好適なものとなり得る。
再び図3A及び3Cを参照すると、いくつかの実施形態では、第1の外側円筒状コンテナ130の断面形状は概ね円形であってよく、また制御要素172は弓状(即ち装置100の中心軸Aに対して一定の半径方向寸法を有する形状)であってよく、流れ制御領域144に対応する半径方向寸法及び角度寸法を含んでよい。図3Cを参照すると、例えば、流れ制御弁170の制御要素172は、装置100の中心軸Aから測定される半径R1、及び装置の中心軸Aに対する角度寸法βを有してよい。制御要素172の半径R1は、制御要素172の正中矢状面Pが、制御要素の角度寸法β全体にわたって、流れ制御領域144の中央と垂直方向に(即ち図3A~3Cの座標軸の±Z方向に)整列されることを補償するために、十分なものであってよい。制御要素172を、角度セクタ184を画定する流れガセット182の間に位置決めできるよう、制御要素172の角度寸法βは、角度セクタ184の角度寸法αより小さくてよい。角度セクタ184の角度寸法αと制御要素172の角度寸法βとの間の差は、制御要素172を流れガセット182の間で自由に移動させることができる程度に十分なものであってよいが、相当な量の溶融ガラスが、制御要素172と第1の外側円筒状コンテナ130の内側表面134又は最内部円筒状コンテナ110の外側表面115との間を流れることなく、制御要素172の端部と流れガセット182の端部との間を流れることができるほど、大きなものではない。
シャフト174は、制御要素172に連結されていてよく、また垂直方向上向きに(即ち図3A~3Bの座標軸の+Z方向に)延在してよい。いくつかの実施形態では、シャフト174は、制御要素172の中点173において、制御要素172に連結されていてよい。各流れ制御弁170は、単一のシャフト174を有するものとして図示及び説明されているが、制御要素172に連結されて制御要素172から上向きに延在する複数のシャフト174を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、制御要素172及び/又はシャフト174を含む流れ制御弁170は、導電性かつ耐火性の金属で構成されていてよい。導電性かつ耐火性の金属は、白金、又は白金‐ロジウム、白金‐イリジウム、分散硬化白金材料、及びこれらの組み合わせといった白金含有金属を含んでよい。例えばいくつかの実施形態では、流れ制御弁170は白金を含んでよい。いくつかの実施形態では、流れ制御弁170は分散硬化白金を含んでよい。他の耐火性金属としては、モリブデン、パラジウム、レニウム、タンタル、チタン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、ジルコニウム、及びこれらの合金、並びに/又は二酸化ジルコニウムが挙げられる。あるいは他の実施形態では、流れ制御弁170は、限定するものではないがジルコン(例えばジルコニア)、シリコンカーバイド、ゼノタイム、アルミナ系耐火性セラミック、アルミノシリケート耐火性セラミック、他の耐火性材料、又はこれらの組み合わせといった、他の耐火性材料を含んでよい。いくつかの実施形態では、流れ制御弁170は、耐火性金属でクラッディングされた耐火性セラミック材料を含んでよい。
図4A~4Cを参照すると、各流れ制御弁170は、制御要素172が第1の外側円筒状コンテナ130と最内部円筒状コンテナ110との間に画定される流れ制御領域144の近傍に位置決めされた状態で、第1の外側円筒状コンテナ130内に配置されていてよい。シャフト174は、環状チャンバ140を通って、第1の外側円筒状コンテナ130及び最内部円筒状コンテナ110の上部の上方に、垂直方向上向きに(即ち図4A~4Cの座標軸の+Z方向に)延在してよい。制御要素172が流れ制御領域144の近傍に位置決めされることにより、制御要素172の制御表面176と、第1の外側円筒状コンテナ130の内側表面134、最内部円筒状コンテナ110の外側表面115、又はこれら両方とは、制御要素172の制御表面176と第1の外側円筒状コンテナ130の内側表面134及び/又は最内部円筒状コンテナ110の外側表面115との間に、間隙G2を画定してよい。
いくつかの実施形態では、装置100は複数の流れ制御弁170を含んでよい。いくつかの実施形態では、各円筒状コンテナ、例えば第1の外側円筒状コンテナ130に関連する流れ制御弁170の個数は、円筒状コンテナ102によって画定される環状流れチャネル内に配置された流れガセット182の個数に等しくてよい。いくつかの実施形態では、第1の外側円筒状コンテナ130に関連する流れ制御弁170の個数は、第1の外側円筒状コンテナ130と最内部円筒状コンテナ110との間に画定される環状流れチャネル142内に位置決めされる流れガセット182の個数に等しくてよい。装置100は、2つの隣接する円筒状コンテナ、例えば最内部円筒状コンテナ110と第1の外側円筒状コンテナ130との間に配置される、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、又は13個以上の流れ制御弁170を有してよい。例えば図6Aを参照すると、いくつかの実施形態では、第1の外側円筒状コンテナ130は、2個の流れガセット182及び2個の流れ制御弁170を含んでよく、これら2個の流れ制御弁170はそれぞれ、流れガセット182が画定する2つの角度セクタ184のうちの1つと関連する。図6Bを参照すると、他の実施形態では、第1の外側円筒状コンテナ130は3個の流れ制御弁170を有してよく、各流れ制御弁170は、流れガセット182が画定する角度セクタ184のうちの1つに位置決めされる。図1Bを参照すると、第1の外側円筒状コンテナ130は、4個の流れ制御弁170を有してよい。図6C及び6Dを参照すると、他の実施形態では、第1の外側円筒状コンテナ130は、それぞれ6個の流れ制御弁170又は8個の流れ制御弁170を有してよい。更に他の実施形態では、第1の外側円筒状コンテナ130は、9個以上の流れ制御弁170を有してよい。流れ制御弁170は、第1の外側円筒状コンテナ130の周りに均等に、周方向に分布していてよい。第1の外側円筒状コンテナ130に関する流れガセット182及び流れ制御弁170の個数が増大するにつれて、第1の外側円筒状コンテナ130に関連するガラス層の周方向ガラス流の分布を調整する能力を増大させることもできる。同様に、円筒状コンテナ102のいずれに関する流れガセット182及び流れ制御弁170の個数が増大すると、円筒状コンテナ102に関連するガラス層の周方向ガラス流の分布を調整する能力を改善できる。
図4A~4Cを参照すると、上述のように、複数の流れ制御弁170はそれぞれ、最内部円筒状コンテナ110及び第1の外側円筒状コンテナ130に対して並進移動可能であってよく、これにより、流れ制御領域144を通る溶融ガラスの流れに対するインピーダンスを変更できる。複数の流れ制御弁170は、垂直方向に(即ち±Z方向に)、半径方向に(即ち図4A~4Cの座標軸の±r方向に)、角度方向に(即ち、装置100の軸A(図1C)の周りで流れ制御弁170を回転させること等によって、図4A~4Cの座標軸の±θ方向に)、又はこれらの組み合わせで、並進移動させることができる。第1の外側円筒状コンテナ130に対する流れ制御弁170の並進移動により、制御要素172と側壁132の内側表面134及び側壁112の外側表面115との間に画定される間隙G2の形状を変更できる。例えば、第1の外側円筒状コンテナ130に対する流れ制御弁170の垂直方向、半径方向、及び/又は角度方向の並進移動により、間隙G2の半径方向の幅、垂直方向の長さ、及び/又は角度方向の長さを変更でき、これにより、流れ制御領域144を通る溶融ガラスの流れに対するインピーダンスを変更できる。
例えば図4A~4Cを参照すると、いくつかの実施形態では、流れ制御弁170は、最内部円筒状コンテナ110及び第1の外側円筒状コンテナ130に対して垂直方向に(即ち±Z方向に)並進移動可能であってよい。第1の外側円筒状コンテナ130に対する流れ制御弁170の垂直方向の並進移動は、図4A~4Cにおいて、流れ制御弁170の隣の垂直方向の双方向矢印198によって示されている。最内部円筒状コンテナ110及び第1の外側円筒状コンテナ130に対する流れ制御弁170の並進移動により、制御要素172を流れ制御領域144内で最内部円筒状コンテナ110及び第1の外側円筒状コンテナ130に対して移動させることができ、これにより、制御要素172の制御表面176と、第1の外側円筒状コンテナ130の内側表面134及び/又は最内部円筒状コンテナ110の外側表面115との間に画定される間隙G2の幅を減少又は増大させることができる。各流れ制御弁170はまた、第1の外側円筒状コンテナ130に関連する他の流れ制御弁170それぞれに対して独立して並進移動可能であってよく、これにより、第1の外側円筒状コンテナ130の流れ制御弁170毎に、間隙G2を変動させることができる。
ここで図5A~5Cを参照すると、他の実施形態では、距離C1は流れ制御領域144を通して一定であってよく、流れ制御弁170の制御要素172は、流れ制御領域144内において側壁132の内側表面134及び側壁112の外側表面115に対して概ね平行である制御表面を有してよい。これらの実施形態では、第1の外側円筒状コンテナ130に対する流れ制御弁170の垂直方向の並進移動により、制御要素172と側壁132の内側表面134及び側壁112の外側表面115との間の間隙G2の長さLを増大させることができる。間隙G2の半径方向の幅は、第1の外側円筒状コンテナ130に対する流れ制御弁170の垂直方向の並進移動時にも一定であってよい。
図4Bは、溶融ガラス組成物から複合ガラス管のガラス層を製造するための、装置100の第1の外側円筒状コンテナ130及び流れ制御弁170の動作の概略図である。図4Bを参照すると、溶融ガラス組成物を、供給管118を通して第1の外側円筒状コンテナ130に導入してよい。溶融ガラス組成物は重力によって、第1の外側円筒状コンテナ130と最内部円筒状コンテナ110との間に画定される環状チャンバ140を通って下向きに(即ち図4Bの座標軸の-Z方向に)流れることができる。更に溶融ガラス組成物は、環状チャンバ140の周りで周方向に(即ち図4Bの座標軸の±θ方向に)流れることにより、溶融ガラス組成物を、環状チャンバ140全体を通るように分散させることができる。流れ制御領域144内では、溶融ガラス組成物は、各流れ制御弁170の制御要素172の周りを、制御要素172の制御表面176と第1の外側円筒状コンテナ130の内側表面134及び/又は最内部円筒状コンテナ110の外側表面115との間に画定される間隙G2を通って、流れることができる。
溶融ガラス組成物は、間隙G2を通過した後、環状流れチャネル142内へ、そして環状流れチャネル142を通って流れ制御領域144から第1の外側送達リング136へと流れることができる。上述のように、溶融ガラス組成物が環状流れチャネル142を通って流れる際に、流れガセット182によって画定される環状流れチャネル142の各角度セクタ184内の溶融ガラス組成物を、環状流れチャネル142の他の角度セクタ184それぞれの中の溶融ガラス組成物から物理的に分離できる。よって、環状流れチャネル142を通る溶融ガラス組成物の流れは、第1の外側送達リング136に向かって概ね半径方向内向きのものであってよい。環状流れチャネル142内の溶融ガラス組成物の周方向の流れは、流れガセット182によって略防止できる。
図7Aを参照すると、流れガセット182の末端183では、各角度セクタ184からの溶融ガラス組成物の流れを、第1の外側送達リング136において再結合できる。次に溶融ガラス組成物は、環状形状の流れとして、第1の外側送達リング136の内側表面に沿って概ね下向きに(即ち図7Aの座標軸の-Z方向に)流れる。第1の外側送達リング136の遠位端137では、溶融ガラス組成物を第1の外側送達リング136から分離して、溶融ガラス組成物204のガラス層214を形成でき、これを他のガラス層と共に集束させることにより、複合ガラス管200を形成できる。
再び図4A~4Bを参照すると、第1の外側円筒状コンテナ130及び最内部円筒状コンテナ110に対して流れ制御弁170を並進移動させて、間隙G2の幅を増大又は減少させることにより、流れ制御領域144を通り、第1の外側円筒状コンテナ130と最内部円筒状コンテナ110との間に画定される環状流れチャネル142内への、溶融ガラスの流れに対するインピーダンスを増大又は減少させることができる。例えば図4Aでは、制御要素172を流れ制御領域144の付近に位置決めすることにより、間隙G2が小さくなり、制御要素172と第1の外側円筒状コンテナ130及び/又は最内部円筒状コンテナ110との間の溶融ガラスの流れに対するインピーダンスが、図4Bの流れ制御弁170の位置に比べて大きくなる。図4Bでは、制御要素172は、流れ制御領域144から離して位置決めされ、これにより間隙G2の幅が大きくなり、溶融ガラスの流れに対するインピーダンスが減少する。図4Cでは、流れ制御弁170は流れ制御領域144からの最大距離に位置決めされ、これにより間隙G2は最大幅まで増大し、制御要素172と第1の外側円筒状コンテナ130及び/又は最内部円筒状コンテナ110との間の溶融ガラスの流れに対するインピーダンスが最小となる。第1の外側円筒状コンテナ130及び/又は最内部円筒状コンテナ110に対して流れ制御弁170を並進移動させることによって、流れ制御領域144を通る溶融ガラスの流れに対するインピーダンスを増大又は減少させることにより、流れ制御領域144を通って環状流れチャネル142に入る溶融ガラスの流量をそれぞれ増大又は減少させることができる。
所与のガラス液位に関して、流れ制御領域144を通る溶融ガラスの最大流量は、間隙G2が最大幅となるように、流れ制御弁170をその最高位置に位置決めした場合に得られる。流れ制御弁170の最小位置は、その位置よりも下方では、流れ制御領域144を通る溶融ガラスの流れが、例えば環状流れチャネル142を通って第1の外側送達リング136までの、流れ制御領域144の下流における溶融ガラスの流量を持続させるためには不十分となる位置であってよい。図9A及び9Bを参照すると、第1の外側円筒状コンテナ130によって画定される流れ制御領域144及び環状流れチャネル142を通る、溶融ガラスの2D軸対称流れモデルの結果が提供されている。2D軸対称流れモデルは、COMSOLから入手可能な、市販の流体力学モデリングソフトウェアを用いて構築された。図9Aは、第1の外側円筒状コンテナ130の流れ制御領域144及び環状流れチャネル142を通る、溶融ガラスの速度プロファイルのグラフである。図9Aでは、溶融ガラスの速度は、濃灰色から薄灰色に向かって増大する。図9Aが示すように、溶融ガラスの速度は、溶融ガラスが送達リング136に到達するまで、流れ制御領域144及び環状流れチャネル142を通して概ね一定のままである。図9Bは、第1の外側円筒状コンテナ130の流れ制御領域144及び環状流れチャネル142内の溶融ガラスの圧力プロファイルのグラフである。図9Bでは、圧力は濃灰色から薄灰色に向かって増大するため、濃い灰色ほど圧力が低い領域を表し、薄い灰色ほど圧力が高い領域を表す。図9Bに示すように、圧力は、溶融ガラスが、流れ制御弁170と第1の外側円筒状コンテナ130及び/又は最内部円筒状コンテナ110との間に画定される間隙G2に入る地点である、流れ制御領域144の始点において、最高となる。図10は、流れ制御弁170の位置の関数としての、流れ制御領域144を通る溶融ガラスの質量流量のグラフである。図10では、x軸上のゼロ位置は、流れ制御弁170の最小位置に対応する。図9A及び9Bに示されているモデルにおける装置100の幾何学的設計に関して、流れ制御領域144を通る溶融ガラスの質量流量は、図10に示すように、流れ制御弁170の位置に対して非線形に変動し、流れ制御弁170の最大開放位置において最大の質量流量が得られる。
図3A~3Cを参照すると、第1の外側円筒状コンテナ130に対して独立して移動可能な各流れ制御弁170の位置を変更することにより、環状流れチャネル142を通る溶融ガラスの流量を変更でき、これにより、この円筒状コンテナに関連するガラス層の厚さを変更できる。例えば、独立して並進移動可能な全ての流れ制御弁170を一斉に並進移動させることにより、第1の外側円筒状コンテナ130に関連するガラス層の全ての厚さを増大又は減少させることができる。
流れ制御弁170を用いない場合、各円筒状コンテナ102から製造されるガラス層の厚さは、各円筒状コンテナ102内の溶融ガラスの液位を制御することによって、又は各円筒状コンテナ102内の溶融ガラスの粘度を制御することによって、調整できる。しかしながら、円筒状コンテナ102内のガラスの液位を制御すること、又はガラスの粘度を制御することによって、ガラス層の周方向厚さ分布を制御する、これらの方法は、限定的であり非現実的である場合がある。例えば、広範囲のガラス層厚さに適応するためには、円筒状コンテナ102は、各ガラス層に関する望ましい正味流量範囲を達成するために、広範囲の動作ガラス液位を有していなければならない。ガラスのラインが画定されていない場合(即ちガラスの液位が可変である場合)、溶融ガラスの上方の気体雰囲気のための加熱ゾーンと、下方のガラスのための加熱ゾーンとを画定することが困難となり得るため、装置の設計及び動作は非現実的なものとなり得る。また、各ガラス層に関する粘度を独立して制御することは、特にガラス流が互いに近接し、ガラス層が類似した温度を有する傾向がある、円筒状コンテナ102の底部に向かうほど、極めて困難である。
溶融ガラスの流量を制御するための流れ制御弁170を含むことにより、装置100は、第1の外側円筒状コンテナ130等の円筒状コンテナ102内において同一のガラス液位を維持したまま、各ガラス層の厚さの調整を提供する。よって、流れ制御弁170を含む装置100により、溶融ガラスの液位又は粘度を変更することによって厚さを制御することに比べて、溶融ガラスの上方の気体空間及び円筒状コンテナ102の外側表面を加熱するための、比較的単純な設計の加熱システムを実現できる。更に、流れ制御弁170は、流れ制御弁170の制御応答が、熱的なものではなく機械的なものとなるため、円筒状コンテナ102内の溶融ガラスの液位又は粘度の変更に比べて迅速な制御応答時間を提供できる。
更に、各流れ制御弁170は、第1の外側円筒状コンテナ130に関連する他の流れ制御弁170それぞれに対して独立して並進移動可能であってよく、これにより、流れ制御領域144及び環状流れチャネル142を通る溶融ガラスの周方向流れ分布を修正して、第1の外側円筒状コンテナ130に関連するガラス層に関する周方向厚さ分布を修正できる。例えばいくつかの実施形態では、第1の外側円筒状コンテナ130内の流れ制御弁170の相対位置を調整することにより、単一の供給管118、及び供給管118に関連する角度セクタ184から、第1の外側円筒状コンテナ130の他の角度セクタそれぞれへの、溶融ガラスの周方向の流れによる、第1の外側円筒状コンテナ130内のガラス液位の差を補償できる。更に、他の実施形態では、第1の外側円筒状コンテナ130の1つ又は複数の流れ制御弁170を、他の流れ制御弁170に対して独立して並進移動可能とすることにより、ガラス層214及び/又は複合ガラス管200のサイディングを修正できる。
流れ制御領域144の形状は、円筒状コンテナに対する流れ制御弁の位置の変更に対する装置100の感度に影響し得る。特に、流れ制御領域144の形状の変更は、流れ制御領域144に対する流れ制御弁170の位置の変更に対する、流れ制御領域144を通る溶融ガラスの流量の変化の応答の感度に影響し得る。例えば図4A~4Cを参照すると、側壁132の内側表面134及び側壁112の外側表面115は、流れ制御領域144内において、互いに向かって徐々に傾斜していてよい。側壁132の内側表面134及び側壁112の外側表面115それぞれの傾斜は、流れ制御領域144に対する流れ制御弁170の位置の変更に対する、装置の感度に影響し得る。例えば、傾斜が大きな流れ制御領域144ほど、感度が低くなり得る。というのは、流れ制御弁170の垂直方向位置がある単位だけ変化した場合にもたらされる、流れ制御弁170と側壁132及び側壁112との間に形成されるチャネルの断面積の変化が、傾斜が小さな流れ制御領域144に比べて小さくなるためである。流れ制御領域144の形状は、例えば所望のスループットといった他の考慮事項によっても制限される場合がある。
装置100の、流れ制御弁170のシャフト174の±r位置及び±θ位置の偏差に対する感度は、最内部円筒状コンテナ110内に配置されたブローチューブ120に比べて、又は最内部円筒状コンテナ110に対する第1の外側円筒状コンテナ130の並進移動に比べて低くてよい。ブローチューブ120に関して、ブローチューブ120の±r位置又は±θ位置の偏差は、溶融ガラスの周方向流れ分布に直接影響し得、また同様に、ヘッド122と最内部円筒状コンテナ110の側壁112との間の溶融ガラスの流量に対する二次変化を生成できる。同様に、最内部円筒状コンテナ110に対する第1の外側円筒状コンテナ130の並進移動もまた、溶融ガラスの周方向流れ分布に直接影響し得、また溶融ガラスの全体的な流量に対する二次変化を生成し得る。対照的に、第1の外側円筒状コンテナ130に関連する流れ制御弁170は、±Z方向に並進移動して、正味流量及び周方向流れ分布の両方を変更できる。よって、個々の流れ制御弁170のシャフト174の±r位置又は±θ位置の偏差は、周方向流れ分布に対する直接的な影響を有さず、溶融ガラスの新たな流量に対して比較的小さな二次的影響のみを有する。従って流れ制御弁170は、ブローチューブ120の±r位置又は±θ位置の変化に比べて、流れ制御弁170のシャフト174の±r位置又は±θ位置の変化に対する感度が低い。
第1の外側円筒状コンテナ130の文脈で説明を行ったが、第2の外側円筒状コンテナ150等の更なる円筒状コンテナ102の、更なるガラス層を製造するための動作も、第1の外側円筒状コンテナ130の動作に関して上述したものと同様となり得ることを理解されたい。
図7Aを参照すると、溶融ガラス組成物202を最内部円筒状コンテナ110に導入してよく、そして溶融ガラス組成物202で構成された内側ガラス層212を、最内部送達リング116の遠位端117において製造できる。内側ガラス層212を製造するための最内部円筒状コンテナ110及びブローチューブ120の動作は、最内部円筒状コンテナ110に関して上述されている。別の溶融ガラス組成物204を、第1の外側円筒状コンテナ130の環状チャンバ140に導入してよく、そして上述のように、溶融ガラス組成物204で構成された中間ガラス層214を、第1の外側送達リング136の遠位端137において製造できる。また、更に別の溶融ガラス組成物206を、第2の外側円筒状コンテナ150の環状チャンバ160に導入してよく、そして溶融ガラス組成物206で構成された外側ガラス層216を、第2の外側送達リング156の遠位端157において製造できる。溶融ガラス組成物202、溶融ガラス組成物204、及び溶融ガラス組成物206は、同一のガラス組成物であっても異なるガラス組成物であってもよい。
内側ガラス層212、中間ガラス層214、及び外側ガラス層216は、送達リング116、136、156の遠位端117、137、157の下流で集束して複合ガラス管200を形成できる。特に、溶融ガラス組成物202がブローチューブ120のヘッド122の底部に到達すると、内側ガラス層212の内側表面は、固体の壁で境界を定められた状態から、自由表面へと遷移する。内側ガラス層212は、最内部送達リング116との接触を維持したまま、下向きに(即ち図7Aの座標軸の-Z方向に)流れ続けることができる。最内部送達リング116の遠位端117では、内側ガラス層212を最内部送達リング116から分離して中間ガラス層214と融合させることにより、第1の複合流を形成できる。内側ガラス層212及び中間ガラス層214を含む第1の複合流は、中間ガラス層214が第1の外側送達リング136に接触した状態で、第1の外側送達リング136に沿って下向きに流れ続けることができる。第1の外側送達リング136の遠位端137では、中間ガラス層214を第1の外側送達リング136から分離でき、そして第1の複合流を外側ガラス層216と融合させることにより、内側ガラス層212、中間ガラス層214、及び外側ガラス層216を含む第2の複合ガラス流を形成できる。依然として溶融状態又は部分溶融状態である第2の複合ガラス流は、外側ガラス層216が第2の外側送達リング156に接触した状態で、第2の外側送達リング156に沿って垂直方向下向きに流れ続けることができる。第2の外側送達リング156の遠位端157では、外側ガラス層216を第2の外側送達リング156から分離して、ガラスの懸垂線状の又は垂直なドロー加工物を形成でき、これは最終的に、複数のガラス層を含む複合ガラス管200となる。ブローチューブ120によって送達されるガス流は、ガラス層212、214、216がそれぞれの送達リング116、136、156から順次分離される際に、内側ガラス層212の内径を決定できる。第2の外側送達リング156からの分離後、複合ガラス管200は装置100から下向きに移動し続けることができ、ここで複合ガラス管200は冷却されて、複数のガラス層を含む固体の複合ガラス管を形成できる。
複合ガラス管200を形成するための装置100の動作について、3つのガラス層、即ち内側ガラス層212、中間ガラス層214、及び外側ガラス層216を有する複合ガラス管200の製造の文脈で説明した。しかしながら、それより多数又は少数のガラス層を有する複合ガラス管200を製造するために装置100を構成してもよいことを理解されたい。例えばいくつかの実施形態では、複合ガラス管200は、単一の層のみを含んでよい。他の実施形態では、複合ガラス管200は2つのガラス層、即ち内側ガラス層212及び外側ガラス層216を有してよい。更に他の実施形態では、複合ガラス管200は、4つ以上のガラス層を有してよく、これらのガラス層には、複数の内側ガラス層212、複数の中間ガラス層214、及び/又は複数の外側ガラス層216が含まれていてよい。各ガラス層のガラス組成物は、同一であっても異なっていてもよい。
図4A~4Cを参照すると、各流れ制御弁170は、各流れ制御弁170を第1の外側円筒状コンテナ130又は他の円筒状コンテナ102に対して独立して位置決めするよう動作可能な、位置決め器178を含んでよい。いくつかの実施形態では、各流れ制御弁170に関する位置決め器178は、単一の自由度を有してよい。例えば図4Aに示すように、位置決め器178は、図4Aの座標軸の±Z方向に、流れ制御弁170を並進移動させてよい。図8を参照すると、位置決め器178は、複数の直線位置決め用ステージ179を含んでよい。いくつかの実施形態では、位置決め器は手動位置決め器であってよい。あるいは他の実施形態では、位置決め器178は自動位置決め器を含んでよい。いくつかの実施形態では、自動位置決め器は例えば、電動直線ステージを含んでよい。流れ制御弁170及び位置決め器178の単純な機構により、管材の製造の大幅な遅延を伴わない、流れ制御弁170又は位置決め器178の主要構成部品の交換又は修理が可能となる。
これより、図7A~7Dを参照して、最内部円筒状コンテナ110の様々な実施形態について説明する。図7Aに図示され、また上述されているように、最内部円筒状コンテナ110はブローチューブ120を有してよく、これはブローチューブ120の近位端121に、ベル形状のヘッド122を有する。上述のように、最内部円筒状コンテナ110から製造される内側ガラス層212の周方向分布及び厚さは、最内部円筒状コンテナ110の中央開口129に対するブローチューブ120の位置を修正することによって制御できる。ブローチューブ120を垂直方向に(即ち図7Aの座標軸の±Z方向に)並進移動させることにより、ブローチューブ120のベル形状のヘッド122と最内部円筒状コンテナ110の内側表面114との間の間隙G1を変化させることができる。ブローチューブ120の垂直方向の並進移動によって間隙G1を修正することにより、間隙G1を通る溶融ガラス組成物202の流量を変更でき、これにより、最内部円筒状コンテナ110から製造される内側ガラス層212の厚さを変更できる。更に、ブローチューブ120を最内部円筒状コンテナ110に対して水平方向に(即ち図7Aの円筒状の座標軸の±r方向又は±θ方向に)並進移動させることによって、ブローチューブ120のベル形状のヘッド122と最内部円筒状コンテナ110との間を流れる溶融ガラス組成物202の周方向分布を変更でき、これにより、最内部円筒状コンテナ110によって製造される内側ガラス層212の周方向厚さ分布を修正できる。
図7Aを参照すると、送達リング116、136、156は、第1の外側送達リング136の遠位端137が最内部送達リング116の遠位端117の垂直方向下方に位置決めされ、また第2の外側送達リング156の遠位端157が第1の外側送達リング136の遠位端137の垂直方向下方に位置決めされるように、配設されていてよい。図7Aに示されているこのような構成では、内側ガラス層212を、最内部送達リング116の遠位端117から分離して、中間ガラス層214と融合することにより、第1の複合流を形成できる。次に、内側ガラス層212及び中間ガラス層214を含む第1の複合流を、第1の外側送達リング136の遠位端137から分離し、外側ガラス層216と融合することにより、第2の複合ガラス流を形成できる。次に、依然として溶融状態又は部分溶融状態であってよい第2の複合ガラス流を、第2の外側送達リング156の遠位端157から分離することにより、ガラスの懸垂線状の又は垂直なドロー加工物を形成でき、これは最終的に、複数のガラス層を含む複合ガラス管200となる。図7Aの装置について、3つのガラス層を有する複合ガラス管200の製造の文脈で説明しているが、図7Aの装置100の動作の原理を大幅に変更することなく、追加の円筒状コンテナ102を含めることにより、複合ガラス管200に更なるガラス層を追加できる。
ここで図7Bを参照すると、いくつかの実施形態では、ブローチューブ120は、最内部円筒状コンテナ110の底部壁113の中央開口129を通り、また内側送達リング116を通って延在してよい。この実施形態では、ブローチューブ120の近位端121のベル形状のヘッド122は、内側送達リング116の遠位端117の垂直方向下方に(即ち図7Bの座標軸の-Z方向に)位置決めされていてよい。ブローチューブ120のヘッド122と内側送達リング116の遠位端117との間に、間隙G3を画定してよい。垂直方向の(即ち図7Bの座標軸の±Z方向の)ブローチューブ120の並進移動により、間隙G3の幅を変更でき、これにより、間隙G3を通る溶融ガラス組成物202の流れに対するインピーダンスを変更でき、これにより、溶融ガラス組成物202の流量を増大又は減少させることができる。例えば図7Bに示されている実施形態では、ブローチューブ120を垂直方向下向きに並進移動させることにより、間隙G3の幅を増大させることができ、これにより、間隙G3を通る溶融ガラス組成物202の流量を増大させることができる。反対に、図7Bのブローチューブを垂直方向上向きの方向(即ち図7Bの座標軸の+Z方向)に並進移動させることにより、間隙G3の幅を減少させることができ、これにより、間隙G3を通る溶融ガラス組成物202の流量を低減できる。他の実施形態では、ブローチューブ120のヘッド122又は内側送達リング116の遠位端117は、図7Bの座標軸の+Z方向のブローチューブ120の並進移動によって間隙G3の幅を増大させることができ、これによって間隙G3を通る溶融ガラス組成物202の流量を増大させることができるように、成形されていてよい。
これもまた図7Bに示されているように、いくつかの実施形態では、内側送達リング116は、他の送達リング136、156よりも垂直方向下向きに大きく延在してよく、外方向に連続して位置決めされている各送達リング136、156の垂直方向(即ち図7Bの座標軸の±Z方向)の寸法は短くなる。この構成では、第1の外側送達リング136の遠位端137は、第2の外側送達リング156の遠位端157の垂直方向下方に(即ち-Z方向に)位置決めされていてよく、また最内部送達リング116の遠位端117は、第1の外側送達リング136の遠位端137の垂直方向下方に位置決めされていてよい。図7Bに示されている実施形態では、外側ガラス層216は、第2の外側送達リング156から最初に引き離されるガラス層であってよい。外側ガラス層216は、第2の外側送達リング156の遠位端157から分離できる。第2の外側送達リング156からの分離後、外側ガラス層216の片側の境界を、第1の外側送達リング136の外側表面によって定めることができる。第1の外側送達リング136の遠位端137では、外側ガラス層216及び中間ガラス層214を第1の外側送達リング136から分離して1つに融合することにより、中間ガラス層214及び外側ガラス層216を含む第1の複合流を生成できる。中間ガラス層214及び外側ガラス層216を含む第1の複合流は、最内部送達リング116の外側表面によってその境界を定められたままであってよい。最内部送達リング116の遠位端117では、第1の複合流の中間ガラス層216と、内側ガラス層212とを、最内部送達リング116から分離して、又は引き離して、1つに融合することによって、第2の複合ガラス流を生成できる。依然として溶融状態又は部分溶融状態であってよい、内側ガラス層212、中間ガラス層214、及び外側ガラス層216を含む第2の複合ガラス流は、第2の複合ガラス流がブローチューブ120の近位端121から分離されるまで、ブローチューブ120のヘッド122に沿って下向きに流れ続けることができ、上記近位端121において、第2の複合ガラス流は、ガラスの懸垂線状の又は垂直なドロー加工物を形成し、これは複合ガラス管200となる。ブローチューブ120の近位端121から送達されるガス流は、第2の複合ガラス流がブローチューブ120の近位端121から分離される際に、内側ガラス層212の内寸(例えば直径)を決定できる。ブローチューブ120の近位端121からの分離後、複合ガラス管200は装置100から下向きに移動し続けることができ、ここで複合ガラス管200を冷却することによって、複数のガラス層を含む固体複合ガラス管を形成できる。図7Bの装置100について、3つのガラス層を有する複合ガラス管200の製造の文脈で説明しているが、図7Bの装置100の動作の原理を大幅に変更することなく、追加の円筒状コンテナ102を含めることにより、複合ガラス管200に更なるガラス層を追加できる。
図7Cを参照すると、いくつかの実施形態では、最内部円筒状コンテナ110は少なくとも1つの内側流れ制御弁190を含んでよい。内側流れ制御弁190は、シャフト194に連結されていてよい制御要素192を含んでよい。制御要素192は、制御要素192の制御表面196と最内部円筒状コンテナ110の内側表面114との間に間隙G4を形成するように成形されていてよい。内側流れ制御弁190の制御要素192は、流れ制御弁170の制御要素172に関して上述されている特徴のいずれを有してよい。いくつかの実施形態では、最内部円筒状コンテナ110は、1つの内側流れ制御弁190を含んでよい。内側流れ制御弁190の制御要素192は環状の形状であってよく、従って制御要素192はブローチューブ120の一部分を取り囲む。制御要素192の制御表面196は、最内部円筒状コンテナ110の内側表面114の形状に一致するように成形されていてよい。例えば、制御要素192の制御表面196は、最内部円筒状コンテナ110の内側表面114の形状の鏡像であってよい。いくつかの実施形態では、制御表面196は、制御要素192の上部から制御要素192の下部に向かって、下向きかつ内向きに(即ち図7Cの座標軸の-Z方向、及びrが減少する方向に)傾斜していてよい。
内側流れ制御弁190のシャフト194は、流れ制御弁170のシャフト174に関して上述されている特徴のいずれを有してよい。図7Cに示すように、ブローチューブ120は最内部送達リング116を通って下向きに延在してよく、従って、ブローチューブ120のヘッド122が最内部送達リング116の遠位端117の垂直方向下方に位置決めされる。いくつかの実施形態では、内側流れ制御弁190のシャフト194は、ブローチューブ120の少なくとも一部分を取り囲む中空円筒状の管であってよい。内側流れ制御弁190は、最内部円筒状コンテナ110に対して垂直方向(即ち図7Cの座標軸の±Z方向)に並進移動可能であってよい。いくつかの実施形態では、内側流れ制御弁190は、ブローチューブ120に対して垂直方向に並進移動可能であってよい。例えばいくつかの実施形態では、ブローチューブ120は、垂直方向において(即ち図7Cの座標軸の±Z方向において)固定されていてよく、内側流れ制御弁190はブローチューブ120に対して垂直方向に並進移動可能であってよい。内側流れ制御弁190の垂直方向の並進移動により、間隙G4の幅を変更でき、これにより、最内部円筒状コンテナ110から内側送達リング116への溶融ガラス組成物202の正味流量を変更でき、これにより、最内部円筒状コンテナ110に関連する内側ガラス層212の平均厚さを変更できる。
いくつかの実施形態では、ブローチューブ120も垂直方向に(即ち±Z方向に)並進移動可能であってよい。ブローチューブ120の垂直方向の並進移動は、内側流れ制御弁190の垂直方向の並進移動とは独立していてよい。ブローチューブ120の垂直方向の並進移動により、最内部円筒状コンテナ110からの溶融ガラス組成物202の正味流量を変更することなく、ブローチューブ120のヘッド122におけるガラス送達粘度の調整が可能となる。ガラス送達粘度の調整により、懸垂線の形状、着地温度(landing temperature)、及び/又は必要なブロー空気の圧力の修正が可能となる。
いくつかの実施形態では、内側流れ制御弁190は、ブローチューブ120と共に、半径方向及び/又は角度方向に(即ち図7Cの座標軸の±r方向及び/又は±θ方向に)並進移動可能であってよい。ブローチューブ120及び内側流れ制御弁190の半径方向及び/又は角度方向の並進移動により、最内部円筒状コンテナ110からの溶融ガラス組成物202の周方向流量分布を決定できる。図7Cのブローチューブ120及び内側流れ制御弁190を半径方向及び角度方向に並進移動させて、溶融ガラス組成物202の周方向流量分布を変更することにより、最内部円筒状コンテナ110に関連する内側ガラス層212の周方向厚さプロファイルの修正が可能となる。更に、ブローチューブ120及び内側流れ制御弁190を半径方向及び角度方向に並進移動させることによって、溶融ガラス組成物202の周方向流量分布を修正することにより、供給管118(図1A)から最内部円筒状コンテナ110への溶融ガラス組成物202の単一点での連続供給を補償できる。あるいは、内側流れ制御弁190は、ブローチューブ120とは独立して、半径方向及び/又は角度方向に(即ち図7Cの座標軸の±r方向及び/又は±θ方向に)並進移動可能であってよい。
あるいは他の実施形態では、最内部円筒状コンテナ110は、複数の内側流れ制御弁190を有してよい。これらの実施形態では、ブローチューブ120は、垂直方向、半径方向、及び角度方向において固定されていてよく、溶融ガラス組成物202の周方向流量分布を、各内側流れ制御弁190の、最内部円筒状コンテナ110、及び複数の流れ制御弁190のうちの他のものそれぞれに対する並進移動によって制御してよい。
図7Cに示されている実施形態では、送達リングは、図7Bに示されている構成と同一の構成を有する。よって、関連する送達リング116、136、156からの各ガラス層212、214、216の分離、及び複合ガラス管200を形成するためのガラス層212、216、216の合流は、図7Bに関連して上述されているものと同一である。
図7Dを参照すると、更に他の実施形態では、最内部円筒状コンテナ110は、図7Cに図示され、また図7Cを参照して説明されている内側流れ制御弁190のうちの少なくとも1つを含んでよい。しかしながら、図7Dの実施形態は、送達リング116、136、156の構成、及び複合ガラス管200を形成するための異なる複数のガラス層の合流に関して、図7Cの実施形態とは異なる。図7Dに示されている実施形態では、ブローチューブ120の近位端121は、ブローチューブ120のヘッド122が最内部送達リング116の遠位端117の垂直方向下方に(即ち図7Dの座標軸の-Z方向に)位置決めされるように、最内部送達リング116を通って延在してよい。図7Dでは、第1の外側送達リング136は、第1の外側送達リング136の遠位端137が最内部送達リング116の遠位端117の垂直方向下方に位置決めされるよう、垂直方向下向きに延在し、また第2の外側送達リング156は、第2の外側送達リング156の遠位端157が第1の外側送達リング136の遠位端137の垂直方向下方に位置決めされるよう、垂直方向下向きに延在する。図7Dの送達リング116、136、156の構成は、図7Aに図示され、また図7Aに関連して説明されている送達リング116、136、156の構成と同様である。
図7Dを参照すると、動作時、内側ガラス層212を最内部送達リング116から分離して中間ガラス層214と融合することにより、内側ガラス層212及び中間ガラス層214を含む第1の複合流を形成できる。内側ガラス層212を中間ガラス層214と融合する時点では、内側ガラス層212は、中間ガラス層214とは反対側の側部においてその境界をブローチューブ120によって定められた固体の壁であってよく、中間ガラス層214は、内側ガラス層212とは反対側の中間ガラス層214の側部においてその境界を第1の外側送達リング136によって定められた固体の壁であってよい。内側ガラス層212及び中間ガラス層214を含む第1の複合流は、第1の外側送達リング136及びブローチューブ120に付着したまま、垂直方向下向きに(即ち-Z方向に)流れ続けることができる。第1の外側送達リング136の遠位端137では、第1の複合流の中間ガラス層214を第1の外側送達リング136から分離でき、続いて外側ガラス層216と融合することによって、第2の複合ガラス流を形成できる。第1の複合流を外側ガラス層216と融合する時点では、第1の複合流の内側ガラス層212は、引き続き、ブローチューブ120によってその境界を定められた固体の壁であってよく、また外側ガラス層216は、第2の外側送達リング156によってその境界を定められた固体の壁であってよい。内側ガラス層212、中間ガラス層214、及び外側ガラス層216を含む第2の複合ガラス流は、第2の外側送達リング156及びブローチューブ120に付着したまま、垂直方向下向きに流れ続けることができる。第2の外側送達リング156の遠位端157では、第2の複合ガラス流の外側ガラス層216を第2の外側送達リング156から引き離す、又は分離することによって、外側ガラス層216の外側表面の自由表面を形成できる。依然として溶融状態又は部分溶融状態であってよい、内側ガラス層212、中間ガラス層214、及び外側ガラス層216を含む第2の複合ガラス流は、ブローチューブ120のヘッド122に沿って垂直方向下向きに流れ続けることができる。第2の複合ガラス流を、ブローチューブ120の近位端121から分離してよく、ここで第2の複合ガラス流は、ガラスの懸垂線状の又は垂直なドロー加工物を形成し、これは最終的に、複数のガラス層を含む複合ガラス管200となる。ブローチューブ120の近位端121から送達されるガス流は、第2の複合ガラス流をブローチューブ120の近位端121から分離する際に、内側ガラス層212の内寸(例えば直径)を決定できる。ブローチューブ120の近位端121からの分離後、複合ガラス管200は装置100から下向きに移動し続けることができ、ここで複合ガラス管200は冷却されて、複数のガラス層を含む固体の複合ガラス管200を形成できる。
図7Dの装置100について、3つのガラス層を有する複合ガラス管の製造の文脈で説明しているが、図7Bの装置100の動作の原理を大幅に変更することなく、追加の円筒状コンテナを含めることにより、複合ガラス管に更なるガラス層を追加できる。
図8を参照すると、複数のガラス層を含む複合ガラス管を製造するための装置100の別の実施形態が図示されている。図8に示されている装置100は、同心に配設されて互いに対して固定された、3個の円筒状コンテナ102を含む。これら3個の円筒状コンテナ102は、最内部円筒状コンテナ110、第1の外側円筒状コンテナ130、及び第2の外側円筒状コンテナ150を含む。3個の円筒状コンテナ102を含むものとして図示されているが、装置100は4個以上又は3個未満の円筒状コンテナ102を有してもよいことを理解されたい。合計8個の流れガセット182が最内部円筒状コンテナ110と第1の外側円筒状コンテナ130との間に位置決めされ、環状流れチャネル142を8個の角度セクタ184に分割する(図6Dを参照)。合計8個の流れガセット182が第1の外側円筒状コンテナ130と第2の外側円筒状コンテナ150との間に位置決めされ、環状流れチャネル162を8個の角度セクタ184に分割する。8個の流れ制御弁170が最内部円筒状コンテナ110と第1の外側円筒状コンテナ130との間に配置され、また、各流れ制御弁170の制御要素172が、角度セクタ184のうちの1つの中の流れ制御領域144に近接して位置決めされるように、位置決めされる。別の8個の流れ制御弁170を第1の外側円筒状コンテナ130と第2の外側円筒状コンテナ150との間に配置して、各角度セクタ184に対して位置決めしてよい。
図8を参照すると、装置100は更に、耐火性組立体300を含んでよい。耐火性組立体300は、複数の円筒状コンテナ102を取り囲んでよい。耐火性組立体300はまた、複数の円筒状コンテナ102を支持してよい。耐火性組立体300は、耐火性材料で構成された1つ以上の断熱層302を含んでよい。上記耐火性材料は、溶融ガラスと化学的に適合しており、またガラス管成形プロセスに関連する高温に耐えることができる、耐火性セラミック材料であってよい。断熱層302を形成できる典型的な耐火性セラミック材料としては、ジルコン(例えばジルコニア)、シリコンカーバイド、ゼノタイム、アルミナ系耐火性セラミック、及び/又はアルミノシリケート耐火性セラミックが挙げられる。断熱層302は、複数の円筒状コンテナ102を完全に取り囲んでよい。いくつかの実施形態では、耐火性組立体300、特に耐火性組立体300の断熱層302は、複数の円筒状コンテナ102の送達リングの垂直方向下方に(即ち図8の座標軸の-Z方向に)位置決めされるオリフィス303を画定できる。断熱層302は、円筒状コンテナ102からの熱伝達を低減するように動作可能であってよい。
いくつかの実施形態では、耐火性組立体300は、断熱層302の耐火性材料に埋め込まれた1つ又は複数の加熱素子304を含んでよい。加熱素子304は、図8に示すように、複数の円筒状コンテナ102を取り囲む白金巻線等の電気的加熱素子を含んでよい。いくつかの実施形態では、誘導加熱システムによって円筒状コンテナ102に加熱を提供してよい。円筒状コンテナ102の加熱に関して、他の加熱素子304も考えられる。加熱素子304と断熱層302との組み合わせにより、複数の円筒状コンテナ102の周り及び外側、例えば第2の外側円筒状コンテナ150の外側表面の温度の制御が可能となる。耐火性組立体300は更に、複数の円筒状コンテナ102の上部及び/又は耐火性組立体300の断熱層302上に位置決めされたカバーブロック306を含んでよい。
装置100は、円筒状コンテナ102内に配置された溶融ガラスの上方の気体空間を加熱するための、内部加熱システム310も含んでよい。いくつかの実施形態では、内部加熱システム310は、耐火性組立体300の内側、例えばカバーブロック306と複数の円筒状コンテナ102との間に位置決めされる、内部加熱素子312を含んでよい。内部加熱素子312は、各円筒状コンテナ102内の溶融ガラスの上方の気体空間を加熱できるように位置決めされていてよい。内部加熱素子312としては、バーナー、白金巻線等のラジエントヒーター、又は他のタイプの加熱素子若しくはシステムが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、内部加熱システム310は、誘導加熱システムを含んでよい。内部加熱システム310は、環状チャンバに熱を供給して、ガラス組成物を溶融状態に維持できる。
図8を参照すると、いくつかの実施形態では、装置100は、耐火性組立体300の上方、例えばカバーブロック306の上方に位置決めされた、支持構造体320を含んでよい。支持構造体320は、複数の流れ制御弁170のための位置決め器178に対する支持を提供できる。図8に図示され、かつ上述されているように、位置決め器178は、静止した円筒状コンテナ102に対する各流れ制御弁170の並進移動を可能とする、複数の垂直位置決め用ステージ179を含んでよい。
図11を参照すると、複数のガラス層を含む複合ガラス管200を製造するためのシステム400が示されている。システム400は、装置100、制御システム402、及びセンサ410を含んでよい。装置100は、本明細書中で上述されている特徴のいずれを有してよい。特に装置100は、複数の流れ制御弁170及び複数の位置決め器178を含んでよく、各位置決め器178は、流れ制御弁170を装置100の円筒状コンテナ102に対して並進移動させるよう、流れ制御弁170のうちの1つに動作可能に連結される。位置決め器178は自動化されていてよい。例えば位置決め器178は、1つ以上の位置決め用モータを含んでよい。他の自動の機械式、電気機械式、空気圧式、油圧式、又は磁気式位置決めデバイスも、位置決め器178に含まれ得る。各位置決め器178は、制御システム402に通信可能に連結されていてよい。
本明細書中で使用される場合、用語「通信可能に連結される(communicatively coupled to)」は、システム400等の制御システムの構成部品間の、全ての実用的な通信形態を含む。これらの通信形態としては、例えば電気的ケーブル又は光ファイバケーブルを通した通信等の、有線通信が挙げられる。有線通信は、互いに対して回転する構成部品間の通信のためのスリップリングを通した通信を含んでよい。通信は、電波、光、放射線、他の無線通信方法、又はこれらの組み合わせによる通信等の、無線通信も含むことができる。制御システム402は、モータ、アクチュエータ、制御弁、センサ、バーナー、加熱素子、又は本明細書で開示されているシステム400の他の構成部品に、通信可能に連結されていてよい。
センサ410は、装置100の下流に位置決めされていてよい。センサ410は、装置によって製造される複合ガラス管200の1つ以上の寸法又は特性を測定又は決定するよう動作可能であってよい。例えばセンサ410は、複合ガラス管200全体の厚さ、複合ガラス管200の1つ若しくは2つ以上のガラス層の平均厚さ、複合ガラス管200の周方向厚さプロファイル(即ちサイディング)、複合ガラス管200のガラス層のうちの1つ若しくは2つ以上の周方向厚さプロファイル、複合ガラス管200若しくは特定のガラス層の内径、複合ガラス管200若しくは特定のガラス層の外径、又は複合ガラス管の他の寸法を測定するよう動作可能であってよい。センサ410としては、光学撮像システム、レーザ反射率計、レーザゲージ、光学マイクロメータ、又はガラス管の1つ以上の寸法の測定に適した他のセンサが挙げられる。センサ410は、制御システム402に通信可能に連結できる。
図11を参照すると、制御システム402は、プロセッサ404、プロセッサ404に通信可能に連結された少なくとも1つのメモリモジュール406、及び上記少なくとも1つのメモリモジュールに保存された機械可読命令を含んでよい。制御システム402はまた、システム400のオペレータからの情報を入力及び出力するための、プロセッサ404に通信可能に連結されたディスプレイ408及び/又は入力デバイス409を含んでよい。機械可読命令は、プロセッサ404によって実行されたときに、システム400に少なくとも:複合ガラス管200の寸法の測定;複合ガラス管200の上記寸法と、複合ガラス管200の目標寸法との比較;及び上記比較に基づいて、複合ガラス管200の寸法を変更するための、複数の流れ制御弁170のうちの1つ又は2つ以上の位置決めを実施させることができる。いくつかの実施形態では、メモリモジュール406は、複合ガラス管200の目標寸法及び/又は目標特性に関する情報を含むデータベース及び/又は保存データを含んでよい。いくつかの実施形態では、機械可読命令は、プロセッサ404によって実行されたときに、制御システム402に:複合ガラス管200の測定寸法及び/又は測定特性の、センサ410からの受信又は取得;上記センサ410から受信又は取得した上記測定寸法及び/又は測定特性と、メモリモジュール406に保存された目標寸法又は目標特性との比較;測定寸法又は測定特性と目標寸法又は目標特性との上記比較に基づく、1つ又は複数の制御応答の計算;並びに複数の位置決め器178への上記制御応答の送信を実施させることができる。
図11を参照すると、いくつかの実施形態では、装置100は、装置100の最内部円筒状コンテナ110内に配置されたブローチューブ120に動作可能に連結された、ブローチューブ位置決め器414を含んでよい。ブローチューブ位置決め器414は、最内部ガラス層(即ち図7Aの内側ガラス層212)の厚さ又は最内部ガラス層の周方向厚さプロファイルを制御するために、最内部円筒状コンテナ110に対してブローチューブを並進移動させるよう動作可能であってよい。制御システム402は、ブローチューブ位置決め器414に通信可能に連結されていてよい。システム400は、メモリモジュール406に保存された機械可読命令を含んでよく、この機械可読命令は、プロセッサ404によって実行されたときに、システム400に:複合ガラス管200の最内部ガラス層の寸法の測定;複合ガラス管200の最内部ガラス層の測定寸法と、最内部ガラス層の目標寸法との比較;及び上記比較に基づいて、複合ガラス管200の最内部ガラス層の寸法を変更するための、最内部円筒状コンテナ110(図1A)に対するブローチューブ120の位置決めを実施させることができる。目標寸法は、メモリモジュール406に保存されていてよい。
いくつかの実施形態では、上記測定寸法は、最内部層の平均厚さであってよく、1つ以上のメモリモジュール406に保存された機械可読命令は、プロセッサ404によって実行されたときに、システム400に、最内部円筒状コンテナ110に対するブローチューブ120の垂直方向の位置決めを実施させることができる。ブローチューブ120を垂直方向に位置決めするために、システム400は、ブローチューブ120に動作可能に連結されたブローチューブ位置決め器414に、制御信号を送信してよい。制御信号は、ブローチューブ位置決め器414に、ブローチューブ120を最内部円筒状コンテナ110に対して垂直方向、半径方向、又は角度方向に並進移動させることができる。
図11を参照すると、いくつかの実施形態では、ブローチューブ120は、ガス源416及びガス制御弁418を備えるガスシステムに流体接続されていてよい。ガス制御弁418は、ブローチューブ120を通るガラスの流量を変更するよう動作可能であってよい。ガス制御弁418は、制御システム402に通信可能に連結されていてよい。メモリモジュール406に保存された機械可読命令は、プロセッサ404によって実行されたときに、システム400に:複合ガラス管200の測定寸法、例えば内径の受信;複合ガラス管200の測定寸法と目標寸法との比較;及びガス制御弁418に制御信号を送信してガス制御弁418を開放又は閉鎖することによる、ブローチューブ120を通るガスの流量の変更を実施させることができる。
図11を参照すると、システム400は、1つ又は複数の溶融ガラス供給弁420も含んでよい。各溶融ガラス供給弁420は、溶融ガラスシステム424から円筒状コンテナ102のうちの1つへと延在する、供給管118のうちの1つの中に配置されていてよい。溶融ガラスシステム424は、原材料成分から溶融ガラス組成物を製造するための、当該技術分野において公知のいずれのシステムであってよい。システム400は、図11では単一の溶融ガラス供給弁420及び単一の溶融ガラスシステム424を含むものとして図示されているが、複数の円筒状コンテナ102を有する装置100を備えるシステム400は、複数の溶融ガラスシステム424を有してよく、そのそれぞれが供給管118及び溶融ガラス供給弁420を備えることを理解されたい。いくつかの実施形態では、溶融ガラス供給弁420は、溶融ガラス供給弁420を位置決めするよう動作可能であってよいアクチュエータ422に、動作可能に連結されていてよい。アクチュエータ422は、制御システム402に通信可能に連結されていてよい。メモリモジュール406に保存された機械可読命令は、プロセッサ404によって実行されたときに、システム400に、溶融ガラス供給弁420の位置を変更するためにアクチュエータ422に制御信号を送信することによる、円筒状コンテナ102のうちの1つ以上への溶融ガラスの流量の変更を実施させることができる。
図1A~1C及び7Aを参照すると、複数のガラス層を備える複合ガラス管200を製造する方法は、第1の溶融ガラス組成物を装置100に導入するステップを含んでよい。装置100は、装置100の上述の特徴のいずれを有してよい。第1の溶融ガラス組成物は、最内部円筒状コンテナ110と第1の外側円筒状コンテナ130との間に画定される第1の環状チャンバ(即ち環状チャンバ140)に導入してよい。上記方法は更に、第2の溶融ガラス組成物を、第1の外側円筒状コンテナ130と第2の外側円筒状コンテナ150との間に画定される第2の環状チャンバ(即ち環状チャンバ160)に、又は最内部円筒状コンテナ110によって画定される内側環状チャンバ124に、導入するステップを含んでよい。上記方法は:第1の溶融ガラス組成物を、第1の環状流れチャネルを通して第1の外側送達リング136へと移動させて、第1の環状ガラス層を製造するステップ;第2のガラス組成物を、第2の環状流れチャネルを通して第2の外側送達リング156又は最内部送達リング116へと移動させて、第2の環状ガラス層を製造するステップ;並びに第1の環状ガラス層と第2の環状ガラス層とを接触させて及び/又は融合して、複合ガラス管200を製造するステップを含む。上記方法は更に、複数の流れ制御弁のうちの少なくとも1つを、複数の円筒状コンテナに対して並進移動させることによって、複合ガラス管200、第1の環状ガラス層、及び第2の環状ガラス層のうちの少なくとも1つの、平均厚さ又は周方向厚さプロファイルを調整するステップを含んでよい。
いくつかの実施形態では、上記方法は、ガスの流れをブローチューブ120の近位端121から複合ガラス管200の内部容積に導入することにより、複合ガラス管200の内径を決定するステップを含んでよい。いくつかの実施形態では、第1の溶融ガラス組成物は、第2の溶融ガラス組成物とは異なる熱膨張係数(CTE)を有する。いくつかの実施形態では、第1の溶融ガラス組成物は、第2の溶融ガラス組成物のヤング率とは異なるヤング率を有してよい。
いくつかの実施形態では、上記方法は、第2の環状チャンバ160、第2の外側円筒状コンテナ150と第3の外側円筒状コンテナとの間に画定される第3の環状チャンバ(図2を参照)、及び最内部円筒状コンテナ110のうちの1つに、第3の溶融ガラス組成物を導入するステップを含んでよい。上記方法は更に:第3のガラス組成物を、第2の環状流れチャネルを通して第2の外側送達リング156へ、第3の環状流れチャネルを通して第3の外側送達リングへ、又は最内部送達リング116へと移動させて、第3の環状ガラス層を製造するステップ;及び第3の環状ガラス層を第1の環状ガラス層又は第2の環状ガラス層と接触させて、又は融合して、複合ガラス管200を製造するステップを含んでよい。上記方法は更に、複数の流れ制御弁170のうちの少なくとも1つを、複数の円筒状コンテナ102、例えば第1の外側円筒状コンテナ130、第2の外側円筒状コンテナ150、又は他の円筒状コンテナに対して並進移動させることによって、第3の環状ガラス層の平均厚さ又は周方向厚さプロファイルを調整するステップを含んでよい。
いくつかの実施形態では、第2の溶融ガラス組成物を最内部円筒状コンテナ110に導入してよく、上記方法は更に:第3の溶融ガラス組成物を第2の環状チャンバ160に導入するステップ;第3のガラス組成物を、第2の環状流れチャネル162を通して第2の外側送達リング156へと移動させて、第3の環状ガラス層を製造するステップ;及び第3の環状ガラス層を第1の環状ガラス層と接触させて、又は融合して、複合ガラス管200を製造するステップを含んでよく、第1の環状ガラス層を、第2の環状ガラス層と第3の環状ガラス層との間に配置できる。第1の環状ガラス層は、第2の環状ガラス層のCTE及び第3の環状ガラス層のCTEとは異なるCTEを含んでよい。いくつかの実施形態では、上記方法は、ブローチューブ120を最内部円筒状コンテナ110に対して半径方向、角度方向、又はその両方に並進移動させることによって、第2の溶融ガラス組成物の周方向分布を調整するステップを含んでよい。上記方法は更に、ブローチューブ120を最内部円筒状コンテナ110に対して垂直方向に並進移動させることによって、第2の溶融ガラス組成物の厚さを調整するステップを含んでよい。いくつかの実施形態では、最内部円筒状コンテナ110は、最内部円筒状コンテナ110に対して並進移動可能な内側流れ制御弁190を含んでよく、上記方法は、内側流れ制御弁190を最内部円筒状コンテナ110に対して並進移動させることによって、第2の環状ガラス層の厚さを調整するステップを含んでよい。
装置100及び/又はシステム400(図11)を用いて、各ガラス層に対して異なるガラス組成物を選択することにより、強化された複合ガラス管200を製造できる。いくつかの実施形態では、複合ガラス管200は、少なくとも1つの中間ガラス層(例えば図7Aの中間ガラス層214)、内側ガラス層(例えば図7Aの内側ガラス層212)、及び外側ガラス層(例えば図7Aの外側ガラス層216)を含んでよい。内側ガラス層及び外側ガラス層は、中間ガラス層とは異なる特性、例えば熱膨張係数(CTE)、ヤング率、又は他の特性を有するガラス組成物から作製されていてよい。例えば内側ガラス層及び外側ガラス層は、中間ガラス層のCTEとは異なるCTEを有するガラス組成物から作製されていてよい。溶融ガラス組成物を冷却して複合ガラス管200へと固化させる際、中間ガラス層のガラスと、内側及び外側ガラス層のガラスとの間のCTEの差により、内側及び外側ガラス層内に圧縮応力を生成でき、また中間ガラス層内に引張応力を生成できる。複合ガラス管200は、内側及び外側ガラス層への圧縮応力の導入によって強化される。これらの圧縮応力は、ガラス内に閉じ込められている傷が伝播に十分な張力を受ける前に、最初に克服されなければならない。装置100は、内側ガラス層、外側ガラス層、及び中間ガラス層のうちの1つ以上の厚さを制御することによって、内側ガラス層及び外側ガラス層内に生成される圧縮応力を制御することが可能であってよい。従って装置100は、例えばイオン交換又は熱テンパリングといった二次的なテンパリングプロセスを必要とすることなく、ガラス管を強化できる。
いくつかの実施形態では、装置100及び/又はシステム400により、琥珀色のガラス等の色付きガラスから作製された、単一のガラス又は複合ガラス管の断面形状及び厚さを、より良好に制御できる。色付きガラス、特に琥珀色のガラスは、例えば紫外光又は他の波長の光に対する感受性を有する医薬組成物のための医薬品包装といった特定の用途に望ましい場合がある光学特性を有する。溶融状態であるこれらの着色されたガラス組成物内に、及びこれらの色付きガラス組成物を通して、エネルギを伝達することは、困難である場合が多い。従って、装置100内に配置された加熱システム及び加熱素子は、円筒状コンテナ102内において色付きガラス組成物の均一の温度を維持するには十分でない場合がある。よって、溶融色付きガラス組成物は、円筒状コンテナ102内で温度が変動する場合があり、これは、これらの色付きガラス組成物から作製されるガラス管の、楕円形又は長円形の断面をもたらし得る。
従来のガラス管製造プロセスでは、楕円形若しくは長円形の送達リング、又は楕円形若しくは長円形の円筒状コンテナを用いることにより、この温度勾配の影響を補償できる。しかしながら、楕円形又は長円形の円筒状コンテナ及び送達リングを設置すると、装置を他のガラス組成物に使用することはできなくなる。製造プロセス中に溶融ガラスの周方向分布を制御するための複数の流れ制御弁170を含む装置100により、装置100及び/又はシステム400は、楕円形又は長円形の円筒状コンテナ102又は送達リングの設置に頼ることなく、円筒状コンテナ102内の温度差を補償できるようになる。よって、装置100により、装置100の構成部品のいずれを交換することなく、透明なガラス管の製造から色付きガラス管の製造へ、そしてその逆への変更が可能となる。
本明細書に記載の装置100、システム400、及び方法によって製造された複合ガラス管200は、瓶、ガラスコンテナ等といったガラス物品に成形してよい。装置100、システム400、及び方法を用いて、上述のように異なる特性を有する複数のガラス層を組み込むことにより、物理的に強化された複合ガラス管200を製造できる。また、装置100、システム400、及び方法により、各ガラス層に対して異なるガラス組成物を使用することによって、複合ガラス管200の化学的耐久性を改善することもできる。よって、本明細書で開示されている装置100、システム400、又は方法を用いて作製された複合ガラス管200は、強度及び化学的耐久性が向上されていることにより、液体、粉体等の医薬組成物を内包するための医薬品包装の形成における使用に特に好適となり得る。例えば、本明細書に記載の装置100、システム400、及び/又は方法によって作製された複合ガラス管200を用いて、バイアル、アンプル、カートリッジ、シリンジ本体、及び/又は医薬組成物を保存するための他のいずれのガラスコンテナを形成してよい。
本開示は、ハードウェアで、及び/又は(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)ソフトウェアで実現してよい。システム400(図11)又は制御システム402は、本明細書中で上述したように、少なくとも1つのプロセッサ404、及びコンピュータ可読媒体(即ちメモリモジュール406)を含んでよい。コンピュータで使用可能な媒体若しくはメモリモジュール、又はコンピュータ可読媒体若しくはメモリモジュールは、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって使用するための、又は命令実行システム、装置、若しくはデバイスに関連するプログラムを、内包、保存、通信、伝播、又は伝送できる、いずれの媒体であってよい。
コンピュータで使用可能な媒体若しくはメモリモジュール、又はコンピュータ可読媒体若しくはメモリモジュールは例えば、限定するものではないが、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体式の、システム、装置、デバイス、又は伝播媒体であってよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例(非包括的なリスト)には、以下が含まれる:1つ以上の配線を有する電気的接続、ポータブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、及びポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD‐ROM)。なお、コンピュータで使用可能な媒体又はコンピュータ可読媒体は、プログラムが印刷された紙又は別の好適な媒体でさえあってもよい。というのは、このプログラムは、例えば紙又は別の媒体の光走査によって電子的にキャプチャして、必要に応じてコンパイル、解釈、又はその他の処理を好適な方法で実施した後、コンピュータメモリに保存できるためである。
本開示の操作を実施するためのコンピュータプログラムコードは、開発の利便性のために、C又はC++といった高次プログラミング言語で書くことができる。更に、本開示の操作を実施するためのコンピュータプログラムコードは、限定するものではないが解釈言語等の他のプログラミング言語で書くこともできる。一部のモジュール又はルーチンは、性能及び/又はメモリ使用量を改善するために、アセンブリ言語又はマイクロコードで書くことができる。しかしながら、本開示のソフトウェア実施形態は、特定のプログラミング言語による実装に依存しない。更に、いずれの又は全てのプログラムモジュールの機能は、個別のハードウェア構成部品、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、又はプログラムされたデジタルシグナルプロセッサ若しくはマイクロコントローラを用いて、実装してもよいことが理解されるであろう。
以下の実施例は、複数のガラス層を含む複合ガラス管を連続製造するための本開示の装置100の設計及び動作を説明する。以下の仮想例は、COMSOLから入手可能な市販の流体力学モデリングソフトウェアで展開され、上記ソフトウェアを用いてモデル化された。
実施例1
実施例1では、最内部円筒状コンテナと第1の外側円筒状コンテナとの間に画定される環状空間を通る溶融ガラスの3次元(3D)流れモデルを提示する。図1A及び12を参照すると、実施例1の流れモデルは、最内部円筒状コンテナ110(図1A)及び第1の外側円筒状コンテナ130(図1A)を含む装置100に基づくものである。最内部円筒状コンテナ110及び第1の外側円筒状コンテナ130は円形の断面を有し、これらの間に環状チャンバ140、流れ制御領域144、及び環状流れチャネル142を画定する。流れ制御領域144及び環状流れチャネル142は、図12に示されている4つの流れガセット182によって、4つの均等なサイズの角度セクタ184に分割される。流れガセット182は、垂直方向距離H(即ち図12の座標軸の±Z方向の距離)をカバーし、各流れ制御弁170に対応する角度セクタ184を分割する。流れガセット182は、流れ制御領域144から下流に、環状流れチャネル142を通って、送達リング116、136の遠位端に向かって延在し(図1A)、流れ制御弁170によって得られる周方向流れ分布の維持を補助する。このモデルは、流れ制御領域144内に位置決めされた流れ制御弁170、特に流れ制御弁170の制御要素を含む。このモデルは、最内部円筒状コンテナ110及び第1の外側円筒状コンテナ130の外周全体の半分を表し、流れガセット182によって画定された4つの均等なサイズの角度セクタ184のうち、(図12においてセクタA、B、及びCとして示されている)3つの角度セクタ184の一部分を包含する。この簡略化されたモデルは、0°の平面及び90°の平面における対称性を仮定しており、装置100の動作に関連する重要な3次元の流れの影響の一部を例示するために十分なものである。
図12~14は、正味流量及び周方向流れ分布の調整のために流れ制御弁170を用いた、実施例1の3D流れモデルから得られる結果を示す。実施例1では、角度セクタA及びCの流れ制御弁170のz軸位置は、角度セクタBの流れ制御弁170に対して下方に下げられている。よって、角度セクタBの流れ制御弁170は、角度セクタA及びCの流れ制御弁170の位置に比べて、角度セクタBを通るガラスの比較的大きな質量流量に対応する位置にある。図12は、環状チャンバ140、流れ制御領域144、及び環状流れチャネル142内の溶融ガラスの流体圧力の分布を示す。図12のグレースケールに関して、濃灰色の影ほど圧力が低い領域を示し、薄灰色の影ほど圧力が高い領域を示し、圧力は濃灰色から薄灰色に向かって増大する。図13は、環状チャンバ140、流れ制御領域144、及び環状流れチャネル142中の溶融ガラスの流体速度分布を示す。図13では、濃灰色の影ほど溶融ガラスの速度が低い領域を示し、薄灰色の影ほど溶融ガラスの速度が高い領域を示し、溶融ガラスの速度は濃灰色から薄灰色に向かって上昇する。図14は、溶融ガラスの平均流量からの溶融ガラスの流量のパーセント偏差を、角度の関数として示す。図12~14に示すように、ガラス流に対するインピーダンスが上昇するに従って、セクタBを通るガラス流が優先される。
図12を参照すると、セクタBの流体圧力は、流れ制御弁170の下流の領域におけるセクタA及びCの流体圧力とは異なる。角度セクタBの圧力はセクタA及びCの圧力より高く、これは、角度セクタBを通る溶融ガラスの流量が比較的多いことを示している。角度セクタBと角度セクタA及びCとの間の圧力差は、流れガセット182の長さに沿って維持される。流れガセット182は、送達リングの遠位端から距離Dにおいて終端する。流れガセット182の終点では、流れガセット182の下流における角度セクタBと角度セクタA及びCとの間の圧力の正規化によって示されるように、各角度セクタからのガラスが融合して単一の流れとなる。
図13は、流れ制御領域144及び環状流れチャネル142内における、角度セクタA、B、及びCを通る溶融ガラスの平均速度を示す。図13は、流れガセット182の終端における角度セクタBの溶融ガラスの速度が、セクタA及びCの溶融ガラスの速度に比べて高いことを示す。これは、セクタA及びCに比べて角度セクタBの溶融ガラスの圧力が高いことと一致している。図14は、モデル化領域を通る、角度の関数としての溶融ガラスの相対質量流量を示す。参照番号1301は、モデル化領域内の流れガセットの角度位置を示す。図14に示すように、溶融ガラスの相対流量は、角度セクタBの角度の中央において最大値1302に達し、位置が角度セクタA及びCそれぞれに向かって移動するに従って減少する。これは、角度セクタA及びCに関する流れ制御弁170を、角度セクタBの流れ制御弁170の位置に対して、流れ制御領域144内において円筒状コンテナの側壁に近づくように垂直方向下方に(即ち-Z方向に)位置決めすることによって、セクタA及びCに対して、角度セクタBを通る溶融ガラスの優先的な流れが生成されることを示す。
図15及び16は、実施例1の流れモデルの送達領域における溶融ガラスの圧力及び流速を示す。図15及び16の送達領域は、最内部送達リング116と第1の外側送達リング136との間の、環状流れチャネル142の端部から最内部送達リング116の遠位端までの領域を表す。図15のグレースケールに関して、濃灰色の影ほど圧力が低い領域を示し、薄灰色の影ほど圧力が高い領域を示し、圧力は濃灰色から薄灰色に向かって増大する。図16のグレースケールに関して、濃灰色の影ほど溶融ガラスの流速が低い領域を示し、薄灰色の影ほど溶融ガラスの流速が高い領域を示し、溶融ガラスの流速は濃灰色から薄灰色に向かって上昇する。図15及び16に示すように、角度セクタA、B、及びCからの溶融ガラスの流れは、流れガセット182の端部で合流して、単一のガラス流を形成する。角度セクタBとセクタA及びCとの間の圧力差は、流れガセット182の端部の下流(即ち図15及び16の座標軸の-Z方向)において散逸し、セクタA、B、及びCの間でのある程度の流れの再分布が生じ得る。流れガセット182の端部から最内部送達リング116の遠位端117までの距離D、並びにガセットの厚さ及び端部プロファイルを制御することにより、セクタ間での溶融ガラスの再分布を制御して、流れの再分配に対する流れガセット182の局所的な影響に、影響を及ぼすことができる。装置の所与のジオメトリに関して、流れガセットの位置、及び流れの分布に対する影響は、溶融ガラスの流量及び粘度とは独立していてよい。
実施例2
実施例2では、最内部円筒状コンテナと第1の外側円筒状コンテナとの間に画定される環状空間を通る溶融ガラスの3次元(3D)流れモデルを提示する。実施例2に関して、最内部円筒状コンテナ110及び第1の外側円筒状コンテナ130の上部1701がいずれも多角形の断面を有することを除いて、実施例1において説明したものと同一の、装置100に関するパラメータを使用する。具体的には、最内部円筒状コンテナ110及び第1の外側円筒状コンテナ130は八角形の断面を有する。流れガセット182は、八角形の上部1701の8個の頂点1702それぞれに近接して位置決めされる。流れ制御弁170は、流れガセット182の各ペアの間に延在し、弓状ではなく直線状である。このモデルは、最内部円筒状コンテナ110及び第1の外側円筒状コンテナ130の外周全体の1/4を表し、流れガセット182によって画定された8つの均等なサイズの角度セクタ184のうち、(図12においてセクタA、B、及びCとして示されている)3つの角度セクタ184を包含する。この簡略化されたモデルは、0°の平面及び90°の平面における対称性を仮定しており、装置100の動作に関連する重要な3次元の流れの影響の一部を例示するために十分なものである。実施例2は、角度セクタを通る溶融ガラスの流量の制御において有効となるために、流れ制御弁170が弓状の形状である必要はないことを実証する。
図17及び18は、実施例2の3D流れモデルの結果を示す。実施例1と同様、角度セクタA及びCの流れ制御弁170のz軸位置は、角度セクタBの流れ制御弁170に対して下方に下げられている。図17は、環状チャンバ140、流れ制御領域144、及び環状流れチャネル142内の溶融ガラスの流体圧力の分布を示す。図18は、環状チャンバ140、流れ制御領域144、及び環状流れチャネル142中の溶融ガラスの流体速度分布を示す。図17のグレースケールに関して、濃灰色の影ほど圧力が低い領域を示し、薄灰色の影ほど圧力が高い領域を示し、圧力は濃灰色から薄灰色に向かって増大する。図18のグレースケールに関して、濃灰色の影ほど溶融ガラスの流速が低い領域を示し、薄灰色の影ほど溶融ガラスの流速が高い領域を示し、溶融ガラスの流速は濃灰色から薄灰色に向かって上昇する。図17~18に示すように、図17のセクタA及びCの流れ制御領域144内の圧力の上昇が示すように、セクタA及びCにおいてガラス流に対するインピーダンスが上昇すると、セクタA及びCの環状流れチャネルを通る溶融ガラスの流速に比べてセクタBの環状流れチャネル142を通る溶融ガラスの流速が高いことによって示されるように、セクタBを通るガラス流が優先される。
実施例3
実施例3では、流れ制御領域144を通る材料の全体的な流量を制御するためのオイルモデル装置を用いて、複数の円筒状コンテナ及び流れ制御弁を含む装置の性能及び動作を評価した。図19は、流れ制御弁の動作をモデル化するために使用される実験装置600を示す。実験装置600は、2つの円筒状コンテナ、即ち最内部円筒状コンテナ110及び第1の外側円筒状コンテナ130を含んでいた。最内部円筒状コンテナ110及び第1の外側円筒状コンテナ130は円形の断面を有し、これらの間に環状チャンバ140、流れ制御領域144、及び環状流れチャネル142を画定する。流れ制御領域144及び環状流れチャネル142は、4つの流れガセット182によって4つの均等なサイズの角度セクタ184に分割され、各角度セクタ184は流れ制御弁170を含んでいた。実験装置600は、1つ又は2つのオイル流によって動作させることができる。最内部円筒状コンテナ110は、図7Bに示され、またこれに関連して上述した構成と同様の構成を含んでいた。
実験装置600を用いて、流れ制御弁を用いた正味流量の修正に関して、流れ制御弁170を備えるマルチ円筒状コンテナ装置を検証した。最初の実行では、4つの流れ制御弁170を、最小動作位置の上方0.5インチ(1.27cm)である第1のZ位置に位置決めした。オイル材料を、最内部円筒状コンテナ110と第1の外側円筒状コンテナ130との間に画定された環状チャンバ140に導入し、外側送達リング136から排出された流れるオイルの自由表面の速度を測定した。最内部円筒状コンテナ110にはオイル材料を導入しなかった。2回目の実行では、4つの流れ制御弁170を、最小動作位置の上方2インチ(5.08cm)である第1のZ位置に位置決めした。オイル材料を再び環状チャンバ140に導入し、外側送達リング136から排出された流れるオイルの自由表面の速度を測定した。
図20を参照すると、外側送達リングにおけるオイル流の速度(y軸)が、度を単位として与えられる外側送達リングの角度位置(x軸)の関数として示されている。0.5インチ(1.27cm)のZ位置1901において、外側送達リング136におけるオイル流の速度は、外側送達リングの外周の周りで比較的一定であった。流れ制御弁のZ位置を2インチ(5.08cm)(1902)まで増大させると、外側送達リング136における、流れるオイルの自由表面の平均速度は、約0.01インチ(0.254mm)/秒だけ増大した。よって、流れ制御弁のZ位置を変更することにより、装置を通る材料の平均流速が変化し、これにより平均流量が変化する。
実施例4
実施例4では、装置からの材料の流れの周方向分布を制御するための図19のオイルモデル装置を用いて、複数の円筒状コンテナ及び流れ制御弁を含む装置の性能及び動作を評価した。流れ制御弁の動作をモデル化するために使用した実験装置600は、図19に図示されており、実施例3において既に説明されている。実施例4の最初の実行では、第1の流れ制御弁を、流れ制御弁の最小動作位置から0.5インチ(1.27cm)に位置決めし、第2、第3、及び第4の制御弁を、流れ制御弁の最小動作位置から2インチ(5.08cm)に位置決めした。オイル材料を環状チャンバ140に導入し、外側送達リング136から排出された流れるオイルの自由表面の速度を測定した。実施例4の2回目の実行では、第1の流れ制御弁を、最小動作位置から1.2インチ(3.048cm)に位置決めし、第2、第3、及び第4の制御弁を再び、最小動作位置から2インチ(5.08cm)に位置決めした。オイル材料を再び環状チャンバ140に導入し、外側送達リング136から排出された流れるオイルの自由表面の速度を測定した。
図21を参照すると、外側送達リングにおけるオイル流の速度(y軸)が、度を単位として与えられる外側送達リングの角度位置(x軸)の関数として示されている。図21では、第1の流れ制御弁の中心はx軸上の0°に対応する。第2、第3、及び第4の流れ制御弁の中心線は、それぞれ90°、180°、及び240°のx位置に発生する。最初の実行2001に関して、外側送達リング136におけるオイル流の速度は、x=0°の第1の流れ制御弁の位置から、第3の流れ制御弁の領域に対応するx=150°における最大流速まで増大した。これは、第1の流れ制御弁を他の流れ制御弁からオフセットして位置決めすることによって引き起こされる、材料の流れの周方向分布を示す。第1の流れ制御弁のZ位置を、2回目の実行2002において1.2インチ(3.048cm)まで増大させると、外側送達リング136における流速はここでも、x=0からx=150まで増大した。しかしながら、第1の流れ制御弁と他の流れ制御弁との間の位置の差は、2回目の実行2002では最初の実行2001より小さいため、2回目の実行2002でのx=約25°における最小流速は、最初の実行2001に関する最小流速より大きい。図22A~22Eを参照すると、外側送達リング136の遠位端137から流れるオイル材料の一連の写真は更に、第1の流れ制御弁を第2~第4の流れ制御弁よりも最小位置に近接して位置決めすることによる流量の差を示す。図22A~22Eに示すように、オイル材料(濃色の領域)のメニスカスの形状は、第1の流れ制御弁に対応する図22A~22Eの左側のオイル材料の流れが、図22A~22Eの右側のオイル材料の流れより少ないことを示し、この右側は、第2~第4の流れ制御弁によって生成される、流れがより多い領域に対応する。これは、流れ制御弁によって、装置100の円筒状コンテナ102からの材料の流量の周方向分布(サイディング)に対する制御が可能となることを実証している。
装置100、及び装置100を用いて複数のガラス層を含む複合ガラス管200を連続製造する方法の、様々な実施形態を本明細書中で説明したが、これらの実施形態及び技法はそれぞれ、別個に、又は1つ以上の実施形態及び技法と組み合わせて使用することが考えられることを理解されたい。
請求対象の主題の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に対して様々な修正及び変形を実施できることは、当業者には明らかであろう。従って、本明細書は、本明細書に記載の様々な実施形態の修正及び変形が、添付の請求項及びその均等物の範囲内にある限りにおいて、このような修正及び変形を包含することが意図されている。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
ガラス管を製造するための装置であって、上記装置は:
内側円筒状コンテナであって、上記内側円筒状コンテナの底部から延在する内側送達リングを含み、上記内側送達リングは、上記内側円筒状コンテナの上記底部に中央開口を画定する、内側円筒状コンテナ;
上記内側円筒状コンテナを取り囲むように同心に配設された、外側円筒状コンテナであって、上記外側円筒状コンテナは、側壁及び底部壁を備え、上記底部壁は、上記側壁から、上記底部壁から下向きに延在する外側送達リングへと、半径方向内向きに延在し、上記外側送達リングは、上記外側円筒状コンテナの上記底部壁に中央開口を画定し、上記外側円筒状コンテナは、環状チャンバ、上記環状チャンバの下流の流れ制御領域、及び上記流れ制御領域から上記外側送達リングへと延在する環状流れチャネルを画定するよう、上記内側円筒状コンテナから離間する、外側円筒状コンテナ;
上記環状チャンバ内に配置され、上記外側円筒状コンテナに対して並進移動可能である、少なくとも1つの流れ制御弁であって、上記少なくとも1つの流れ制御弁の並進移動は、上記流れ制御領域を通る溶融ガラス組成物の流れに対するインピーダンスを変更するために操作可能である、少なくとも1つの流れ制御弁;並びに
上記内側円筒状コンテナ内に配置され、上記内側送達リングに近接してガス流を送達するよう操作可能な、ブローチューブ
を備える、装置。
実施形態2
上記少なくとも1つの流れ制御弁は、上記流れ制御領域に近接して位置決めされた制御要素と、上記制御要素に連結され、上記環状チャンバを通って上向きに延在するシャフトとを備える、実施形態1に記載の装置。
実施形態3
上記制御要素は、上記流れ制御領域内において、上記内側円筒状コンテナ又は上記外側円筒状コンテナの上記側壁又は上記底部壁のうちの一方又は両方の形状に対して相補的な形状を有する、外側表面を備える、実施形態2に記載の装置。
実施形態4
上記流れ制御弁のシャフトに連結されたアクチュエータを更に備え、
上記アクチュエータは、上記少なくとも1つの流れ制御弁を、上記外側円筒状コンテナ、上記内側円筒状コンテナ、又は上記外側円筒状コンテナ及び上記内側円筒状コンテナの両方に対して並進移動させるように動作可能である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の装置。
実施形態5
上記環状流れチャネル内に配置された複数の流れガセットを更に備え、上記複数の流れガセットはそれぞれ、上記内側円筒状コンテナと上記外側円筒状コンテナとの間に、上記流れ制御領域から上記内側送達リングへと延在し、
上記複数の流れガセットは、上記流れ制御領域、上記環状流れチャネル、又は上記流れ制御領域及び上記環状流れチャネルの両方を、複数のセクタに分割し、また上記装置は複数の上記流れ制御弁を備え、各上記流れ制御弁は、上記複数のセクタのうちの1つに位置決めされる、実施形態1~4のいずれか1つに記載の装置。
実施形態6
上記内側円筒状コンテナの上記底部から上記外側送達リングの遠位端までの軸方向距離は、上記内側円筒状コンテナの上記底部から上記内側送達リングの遠位端までの軸方向距離より大きい、実施形態1~5のいずれか1つに記載の装置。
実施形態7
上記内側円筒状コンテナの上記底部から上記外側送達リングの上記遠位端までの軸方向距離は、上記内側円筒状コンテナの上記底部から上記内側送達リングの上記遠位端までの軸方向距離より小さい、実施形態1~5のいずれか1つに記載の装置。
実施形態8
上記ブローチューブは、上記内側円筒状コンテナ内に配置されるヘッドを備え;
上記ブローチューブは、上記内側円筒状コンテナに対して並進移動可能であり;
上記内側円筒状コンテナに対する上記ブローチューブの並進移動は、上記内側円筒状コンテナから上記内側送達リングへの溶融ガラスの流れに対するインピーダンスを修正するために操作可能である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の装置。
実施形態9
上記ブローチューブは、上記内側円筒状コンテナに対して垂直に、水平に、又は垂直及び水平の両方に並進移動可能である、実施形態8に記載の装置。
実施形態10
上記ブローチューブは上記ヘッドを備え、上記ブローチューブは、上記ブローチューブの上記ヘッドが上記内側送達リングの垂直方向下側に位置決めされるように、上記内側送達リングを通って延在し;
上記ブローチューブは、上記内側送達リングに対して並進移動可能であり;
上記ブローチューブの並進移動は、上記ブローチューブの上記ヘッドと上記内側送達リングの上記遠位端との間の溶融ガラスの流れに対するインピーダンスを修正するために操作可能である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の装置。
実施形態11
上記ブローチューブは、上記内側円筒状コンテナの上記内側送達リングを通って延在し;
上記装置は更に、上記内側円筒状コンテナ内に配設され、上記内側円筒状コンテナに対して並進移動可能な、少なくとも1つの内側流れ制御弁を備え;
上記内側円筒状コンテナに対する上記内側流れ制御弁の並進移動は、上記内側円筒状コンテナから上記内側送達リングへの溶融ガラスの流れに対するインピーダンスを変更する、実施形態1~9のいずれか1つに記載の装置。
実施形態12
上記内側流れ制御弁は、上記ブローチューブに対して垂直に並進移動可能である、実施形態11に記載の装置。
実施形態13
上記内側流れ制御弁は、上記内側円筒状コンテナに対して上記ブローチューブと共に水平に並進移動可能である、実施形態11又は12に記載の装置。
実施形態14
上記内側円筒状コンテナの周りの固定位置に同心に配設された、内寸が増大する複数の上記外側円筒状コンテナであって、各上記外側円筒状コンテナは、側壁、上記側壁から半径方向内向きに延在する底部壁、及び上記底部壁から下向きに延在する外側送達リングを有し、上記外側円筒状コンテナのうち隣接するペアはそれぞれ、上記環状チャンバ、上記流れ制御領域、及び上記環状流れチャネルを画定する、複数の上記外側円筒状コンテナ;並びに
複数の上記流れ制御弁であって、上記複数の流れ制御弁のうちの少なくとも1つは、上記外側円筒状コンテナの隣接するペアの間に画定される各上記環状チャンバ内に位置決めされる、複数の上記流れ制御弁
を備える、実施形態1~13のいずれか1つに記載の装置。
実施形態15
ガラス管を製造するための方法であって、上記方法は:
第1の溶融ガラス組成物を、内側円筒状コンテナと外側円筒状コンテナとの間に画定された環状チャンバへと導入するステップであって、上記外側円筒状コンテナの底部壁は、環状流れチャネルを画定するように、上記内側円筒状コンテナから離間している、ステップ;
上記第1の溶融ガラス組成物を、外側送達リングに向かって上記環状流れチャネルに通すステップであって、上記外側送達リングは、上記外側円筒状コンテナの上記底部壁に連結され、上記外側円筒状コンテナの上記底部壁に中央開口を画定する、ステップ;
上記環状チャンバ内に配置された少なくとも1つの流れ制御弁を並進移動させるステップであって、上記外側円筒状コンテナに対する上記少なくとも1つの流れ制御弁の並進移動は、上記環状流れチャネル内への上記溶融ガラスの流れのインピーダンスを変更し、これによって上記ガラス管の厚さを変更する、ステップ;及び
上記第1の溶融ガラス組成物を上記外側送達リングの遠位端から分離することによって、上記ガラス管の第1の溶融ガラス層を製造するステップ
を含む、ガラス管を製造するための方法。
実施形態16
上記外側送達リングに近接してガス流を生成するステップを更に含む、実施形態15に記載の方法。
実施形態17
複数の流れ制御弁が、上記内側円筒状コンテナと上記外側円筒状コンテナとの間に画定された上記環状チャンバ内に配置され、上記複数の流れ制御弁はそれぞれ、上記外側円筒状コンテナに対して独立して並進移動可能であり、
上記方法は、上記複数の流れ制御弁のうちの1つ以上を、上記複数の流れ制御弁のうちの他のものに対して並進移動させることによって、上記第1の溶融ガラス層のサイディングを調整することにより、上記環状流れチャネルを通って流れる上記第1の溶融ガラス組成物の周方向分布を変更するステップを更に含む、実施形態15又は16に記載の方法。
実施形態18
第2の溶融ガラス組成物を上記内側円筒状コンテナに導入するステップであって、上記内側円筒状コンテナは上記内側円筒状コンテナ内に配置されたブローチューブを備える、ステップ;
上記第2の溶融ガラス組成物を、内側送達リングに向かって、上記ブローチューブと上記内側円筒状コンテナとの間に画定される内側環状流れチャネルに通すステップであって、上記内側送達リングは、上記内側円筒状コンテナに連結され、上記内側円筒状コンテナの中央開口を画定する、ステップ;及び
上記第2の溶融ガラス組成物を上記内側送達リングから分離することによって、上記ガラス管の第2の溶融ガラス層を製造するステップ
を更に含む、実施形態15~17のいずれか1つに記載の方法。
実施形態19
上記ブローチューブを上記内側円筒状コンテナに対して垂直又は水平に並進移動させることによって、上記第2の溶融ガラス組成物の厚さ又はサイディングを調整することにより、上記ブローチューブと上記内側円筒状コンテナとの間の上記第2の溶融ガラス組成物の流れに対するインピーダンスを変更するステップを更に含む、実施形態18に記載の方法。
実施形態20
上記内側円筒状コンテナは、上記内側円筒状コンテナ内に配置され、上記内側円筒状コンテナに対して並進移動可能な、内側流れ制御弁を備え、
上記方法は、上記内側流れ制御弁を上記内側円筒状コンテナに対して垂直又は水平に並進移動させることによって、上記第2の溶融ガラス層の厚さ又はサイディングを調整することにより、上記内側円筒状コンテナから上記内側送達リングへの上記第2の溶融ガラス組成物の流れに対するインピーダンスを変更するステップを更に含む、実施形態18又は19に記載の方法。