JP7255795B2 - 歯科用重合硬化性組成物及び歯科用重合硬化性組成物調製用キット - Google Patents
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Description
従って、本発明の歯科用重合硬化性組成物中における(B1)は、特願第2018-165582号における(B1)の中で、イオン性の界面活性剤及び疎水化処理剤で処理されたもので限定されている点で異なっており、更に特願第2018-165582号における(B1)の中でイオン性界の面活性剤以外の界面活性剤(非イオン性の界面活性剤)及び疎水化剤で処理されたものは、本発明の歯科用重合硬化性組成物中における(B2)の範疇に属するものとなっている。
重合単量体(以下、「モノマー」ともいう。)としては、従来の歯科用重合硬化性組成物で使用されるものが特に制限なく使用できる。本発明で使用できる重合性単量体を例示すれば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリジジル(メタ)アクリレート、2-シアノメチル(メタ)アクリレート、ベンジルメタアクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリルモノ(メタ)アクリレート等の単官能性重合性単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’-ビス[4-(メタ)アクリオイルオキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’-ビス[4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシエトキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’-ビス{4-[2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}プロパン、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン、1,6-ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)-2,4,4-トリメチルヘキサン、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等の多官能性重合性単量体;フマル酸モノメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル化合物;スチレン、ジビニルベンゼン、α-メチルスチレン、α-メチルスチレンダイマー等のスチレン、α-メチルスチレン誘導体;ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルカーボネート、アリルジグリコールカーボネート等のアリル化合物などを挙げることができる。
本発明の歯科用硬化性組成物は、従来の歯科用重合硬化性組成物と同様に無機充填材(B)を含む。当該無機充填材(B)の配合量は、重合性単量体(A)100質量部に対して通常、100質量以上500質量部以下、好ましくは150質量以上400質量部以下である。特に、本発明の歯科用硬化性組成物を歯科支台築造用コンポジットレジン等の支台築造用材料として使用する場合には、硬化体の機械的強度の観点から、重合性単量体(A)100質量部に対して200質量以上400質量部以下配合することが好ましい。
無機粒子(B1)の処理では、イオン性の界面活性剤が使用される。当該イオン性の界面活性剤としては、分子内に水になじみやすい部分(親水基)と、油になじみやすい部分(親油基・疎水基)を持つ物質であれば特に限定されず、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性界面活性剤が特に制限なく使用できるが、効果が高いという理由から、アニオン系界面活性剤を使用することが好ましい。
無機粒子(B1)は疎水化処理剤で処理されている必要がある。無機粒子(B2)において疎水化処理は任意であるが、効果の観点から、疎水化処理剤で処理されていることが好ましい。疎水化剤としては、被処理無機粒子の表面に存在する水酸基と反応して当該表面に疎水性を付与できるものであれば特に限定されないが、反応性の高さの観点からは、シランカップリング剤及び/又はチタネート系カップリング剤が好適に使用される。好適に使用される疎水化剤を例示すれば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルートリス(β―メトキシエトキシ)シラン、γ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、κ-メタクリロイルオキシドデシルトリメトキシシラン、β-(3、4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピル-トリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピル-トリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピル-トリエトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
y=100X/Y
なお、Y(m2/g)は、シランカップリング剤1分子当りの被覆面積である13×10-20(m2)と、アボガドロ定数:AN(=6.02×1023/mol)と、シランカップリング剤1モルの質量:SmW(g/mol)に基づき、下記式により求めることができる。
Y=(13×10-20)×AN/SmW
<被処理無機粒子>
無機粒子(B1)及び無機粒子(B2)に使用される被処理無機粒子としては、平均粒子径が0.05μm以上、1μm以下である無機粒子が使用される。ここで、平均粒子径とは、粒子が独立粒子である場合には、当該粒子径の平均値を意味し、粒子が1次粒子の凝集粒子である場合には、1次粒子の粒子径の平均値を意味する。この点は、処理後に得られる無機粒子(B1)及び無機粒子(B2)についても同様であり、(処理剤の分子は粒子径に比べて非常に小さいので)被処理無機粒子の平均粒子径と無機粒子(B1)又は無機粒子(B2)の平均粒子径は実質的に同一となる。したがって、被処理無機粒子及び無機粒子(B1)又は無機粒子(B2)が、それぞれ1次粒子が凝集した凝集粒子である場合には当該凝集粒子の粒子径及び平均粒子径は上記範囲を越えることもあり得る。
1.前記無機粒子(B1)の処理方法(製造方法):
被処理無機粒子をイオン性の界面活性剤及び疎水化処理剤で処理する方法は、被処理無機粒子の表面にこれら処理剤が化学的又は物理的に作用して固定化(化学反応により形成された化学結合による固定化の他、付着又は吸着による固定化も含む)し、当該表面を質された状態とすることができる方法であれば、特に限定されない。操作が簡便で、表面改質効果も高いという理由から、被処理無機粒子、イオン性の界面活性剤及び水を含む第一分散液を準備する工程(第一分散液準備工程)、加水分解性基を有する疎水化剤及び水を含み、前記疎水化剤の少なくとも一部が加水分解した状態で溶解又は分散してなる第二分散液を準備する工程(第二分散液準備工程)、並びに前記第一分散液と前記第二分散液とを混合した後、得られた混合液を噴霧乾燥する工程(混合・噴霧乾燥工程)を含んでなる方法を採用することが好ましい。
被処理無機粒子を疎水化処理剤で処理する方法は、従来知られている方法を何ら制限なく用いることができる。もちろん、前記した無機粒子(B1)を製造する方法のイオン性の界面活性剤を用いること以外、同じ方法を用いることもできる。
無機充填材(B)は、「その他無機粒子」を含むことが好ましい。当該「その他無機粒子」は無機粒子(B1)及び無機粒子(B2)以外の無機粒子であり、(1次粒子の)平均粒子径及び表面処理の少なくとも一点においてこれら無機粒子(B1)及び(B2)とは異なるものである。「その他無機粒子」は、このような条件を満足するものであれば特に限定されないが、平均粒子径1μm以上1000μm以下、1μm以上100μm以下である不定形無機粒子(B3)であることが好ましい。当該(B3)は、本発明の歯科用硬化性組成物を歯科支台築造用コンポジットレジン等の支台築造用材料として使用する場合には、臨床(歯科用ポストと歯質との隙間)を鑑みて、は1μm以上50μm以下の不定形無機粒子(B3´)であることがより好ましい。さらに、硬化体の機械的・物理的強度、深い窩洞に対しても隅々まで容易に行き渡るような流動性、及び浅い窩洞を修復したときの審美性などの観点から、平均粒子径が1μm以上6μm以下の不定形無機粒子(B3´´)であることが特に好ましい。
本発明の歯科用重合硬化性組成物では、重合開始剤(C)として、第三級アミン(C1)及び有機過酸化物(C2)を主要成分とする化学重合開始剤を使用する。当該化学重合開始剤の配合量は、従来の化学重合硬化型歯科用コンポジットレジンやデュアルキュア型歯科用コンポジットレジンにおけるものと特に変わる点はなく、化学重合開始剤の合計質量で表して、通常、重合性単量体(A)100質量部に対して0.01~10質量部の割合で、好ましくは0.1~5質量部の割合で使用される。
前記したように重合性単量体(A)、無機充填材(B)及び複数の成分からなる化学重合開始剤を含む硬化性組成物は、全ての成分が共存すると重合硬化が始まるため、上記化学重合開始剤を、夫々単独では化学重合開始剤として機能しないように分割し、当該分割された成分を夫々重合性単量(A)及び/又は無機充填材(B)と混合し、複数の組成物として分包して保管するのが一般的である。そして、化学重合開始剤が第三級アミン(C1)及び有機過酸化物(C2)を主要成分とする化学重合開始剤である場合には、通常、第三級アミン(C1)を含む第一の組成物と、有機過酸化物(C2)を含む第二の組成物に分包して保管する。発明の歯科用重合硬化性組成物調製用キットは、このような二つの組成物をキット化したものである。なお、本発明おいてキットとは、広義には、剤或いは材(剤或いは材となる組成物等を含む)をシリンジ等の容器に予め充填し、保管可能としたものを意味し、狭義には、複数の剤を組み合わせて単一の容器内にセットし、用事コネクターを介して混合可能としたものを意味する。
・第二の組成物(II)に「イオン性の界面活性剤及び疎水化処理剤で処理された、平均粒子径が0.05μm以上、1μm以下である無機粒子(B1)」を実質的に含まないようにしたことにより、当該(B1)と「有機過酸化物(C2)」とが実質的に共存しないで保管できるようにした点、および、
・そうした場合には第一の組成物(I)と第二の組成物(II)とに配合する無機充填材(B)の粒子性状が大きく異なってしまい、それに伴ってペースト性状も異なり、混錬性が低下してしまうという状況に鑑み、効果と効果の持続性については劣るものの、(B1)と同様にペースト(組成物)の粘度を著しく高めることなく形態保持性を高めるという効果を奏する「疎水化処理剤で処理され、イオン性の界面活性剤で処理されていない平均粒子径0.05以上、1μm以下の無機粒子(B2)」を、第一の組成物(I)に配合し、このような効果を落とすことなくペースト性状の同質化を図った点に主たる特徴を有する。
第一の組成物(I); (A):100質量部、(B1):60質量部以上、280質量部以下、(B3´´):60質量部以上、280質量部以下、及び(C1):(C2)1モルに対して0.05モル以上3モル以下
第二の組成物(II); (A):100質量部、(B2):60質量部以上、280質量部以下、(B3´´):60質量部以上、280質量部以下、及び(C2):(C1)と(C2)の合計で0.1質量部以上5質量部以下
なお、(C3)を含む場合、(C3)を構成する各成分は、それぞれ(I)及び/又は(II)に配合される。
製造実施例1(無機粒子(B1)であるB1-01の製造)
原料(被処理無機粒子、界面活性剤及び疎水化処理剤)として以下に示すものを使用し、下記操作手順に従って無機粒子(B1)であるB1-01の製造を行った。
〔原料〕
被処理無機粒子:平均(1次)粒子径が0.2μmで、比表面積が15m2/gである球状シリカジルコニア粉体
イオン性の界面活性剤:重量平均分子量2000のポリアクリル酸ナトリウム(ポリサイエンス社製、以下、「SA1」と略記することもある。)
疎水化処理剤としてのγ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(「MPS」と略記することもある。)
〔操作手順〕
前記被処理無機粒子:100g及びSA1:0.5gをイオン交換水:200mlと混合し、循環型粉砕機SCミルを用いて分散させて第一分散液を調製した。次いで、MPS:4.8gをpH4.0に調整した酢酸水溶液:80mlと混合・撹拌して1時間30分かけて加水分解を行い、MPSの部分加水分解物を含む第二分散液を調製した。その後、前記第一分散液と第二分散液とを混合し、1時間撹拌機にて撹拌した後、得られた混合液を手動で軽く撹拌しながら、高速で回転するディスク上に供給して噴霧乾燥を行った。
なお、噴霧乾燥は、回転するディスクを備え、遠心力で噴霧化する噴霧乾燥機(スプレードライヤー「TSR-2W」、商品名;坂本技研(株)製)を用いて行った。ディスクの回転速度は10000rpm、乾燥雰囲気空気の温度は200℃で行った。噴霧乾燥により得られた白色固体を、真空下80℃で18時間乾燥し、無機粒子B1であるB1-01を得た。参考までに当該製造実施例における原料及び各原料の使用量を表1に示す。
原料及び各原料の使用量を表1に示すように変更した以外は製造実施例1と同様にして、無機粒子(B1)に該当する表面処理無機粒子B1-02乃至B1-14、B1の条件を満足しない比較例(Comparative Example)の無機粒子に該当するCB1-01乃至CB1-02を得た。
なお、表中の界面活性剤、種類の欄の略号であるSA2及びSA3は、夫々以下のイオン性の界面活性剤を意味する。
・SA2:重量平均分子量6000のポリアクリル酸ナトリウム(ポリサイエンス社製)
・SA3:重量平均分子量500万のポリアクリル酸ナトリウム(東亜合成社製「アロンビス‐SX」)
製造実施例15(無機粒子(B2)であるB2-01の製造)
原料(被処理無機粒子及び疎水化処理剤)として以下に示すものを使用し、下記操作手順に従って無機粒子(B2)であるB2-01の製造を行った。
〔原料〕
被処理無機粒子:平均(1次)粒子が0.1μmで、比表面積が40m2/gである球状シリカジルコニア粉体
疎水化処理剤としてのγ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(「MPS」と略記することもある。)
〔操作手順〕
前記被処理無機粒子:100gをイオン交換水:200mlと混合し、循環型粉砕機SCミルを用いて分散させて第一分散液を調製した。次いで、MPS:12.8gをpH4.0に調整した酢酸水溶液:80mlと混合・撹拌して1時間30分かけて加水分解を行い、MPSの部分加水分解物を含む第二分散液を調製した。その後、前記第一分散液と第二分散液とを混合し、1時間撹拌機にて撹拌した後、得られた混合液を手動で軽く撹拌しながら、高速で回転するディスク上に供給して噴霧乾燥を行った。
なお、噴霧乾燥は、回転するディスクを備え、遠心力で噴霧化する噴霧乾燥機(スプレードライヤー「TSR-2W」、商品名;坂本技研(株)製)を用いて行った。ディスクの回転速度は10000rpm、乾燥雰囲気空気の温度は200℃で行った。噴霧乾燥により得られた白色固体を、真空下80℃で18時間乾燥し、無機粒子B2であるB2-01を得た。参考までに当該製造実施例における原料及び各原料の使用量を表2に示す。
製造例16~19及び製造比較例3
原料及び各原料の使用量を表1に示すように変更した以外は製造実施例15と同様にして、無機粒子(B2)に該当する表面処理無機粒子B2-02乃至B2-05、B2の条件を満足しない比較例(Comparative Example)の無機粒子に該当するCB2-01を得た。
後述の実施例及び比較例で使用した各種原料化合物の略号及びその名称等を「・略号:名称等」の形式で以下に示す。
〔重合性単量体(A)〕
・3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
・GMA:2,2-ビス[(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン
・D2.6E:下記式で示される化合物(但し、式中における(11+12)の平均が2.6の混合物である。)
・不定形シリカ-ジルコニア、平均粒径;5μm、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPS)で処理したもの
〔チキソ性調整用微粒子:B4〕
・微粉末シリカ、平均粒径;0.015μm、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPS)で処理したもの
〔重合開始剤(C)〕
第三級アミン(C1)
・DMPT:N,N-ジメチル-p-トルイジン
・DEPT:N,N-ジヒドロキシエチル-p-トルイジン
・DMBE:4-ジメチルアミノ安息香酸エチル
有機過酸化物(C2)
・BPO:過酸化ベンゾイル
光重合開始剤
・CQ:カンファーキノン
・TCT:2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン
〔その他成分〕
・HQME:ハイドロキノンモノメチルエーテル
実施例1
GMA:10質量部、3G:40質量部及びD2.6E:50質量部の混合物から成る重合性単量体(A)100質量部にHQMEを0.15質量部、重合開始剤(C)の第三級アミン(C1)としてDEPT:2重量部を配合し、更に無機粒子としてB1-02:30質量部及びB3:180質量部と、を、乳鉢を用いて均一になるまで攪拌混合してペースト状の第一の組成物:PA-1を調整した。また、これとは別に、重合単量体組成物を調整する際において、重合開始剤(C)の有機過酸化物(C2)としてBPO:3質量部配合し、更に無機粒子としてB2-02:30質量部及びB3:180質量部を配合するように変更した他は第一の組成物と同様にして第二の組成物:PB-1を調整した。その後、これらPA-1及びPB―1を夫々ダブルシリンジの各(異なる1つの)シリンジに充填し、吐出力及びフロー性、硬化開始時間の評価を行った。結果を表4示す。
ダブルシリンジ(ミックスパック社製 SDL X05-01-78)にペーストPA-1及びPA-2を充填し、プランジャー(ミックスパック社 PLH X05-01-46)をセットし、ダブルシリンジ先端にミキシングチップ(ミックスパック社製 ML 2.5-08-D)及び先端ノズル(ミックスパック社製 IOR 209-20)を装着する。これを試験機(島津製作所製、商品名「オートグラフAG5000D」)にセットして、プランジャーをクロスヘッドスピード5mm/分の試験条件で押し、ノズルからペーストが吐出されるときに必要となる力(吐出力)を測定した。シリンジ5本について評価し、その平均値を吐出力とした。
スライドガラス上にノズルを介してペースト0.1g±0.01gを円筒または円錐状に盛り上げて、それを37℃±1のインキュベーターに2分間静置し、その際のペーストの広がり(直径)を測定した。試験は2度行い、その平均を求め、フロー性とした。数値が小さいほどフロー性は低くペーストの形状保持性は良好となる。
K型熱電対が装着されたモールドへノズルを介してペーストを充填し、練和開始から硬化発熱が開始するまでの時間(硬化開始時間)を測定した。試験は5回行い、その平均を求め、硬化開始時間とした。
※ ・実施例21については、無機粒子としてB4(3質量部)をPB-21に添加した。
・実施例22については、光重合開始剤としてCQ(0.2質量部)及びTCT(0.2質量部)をPB-22に添加した。
配合する無機充填材(B)として配合する無機粒子の種類及び量を表3に示すように変えた他は実施例1と同様にして歯科用重合硬化性組成物キットのペーストを調製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。
本比較例は、イオン性の界面活性剤を無機粒子の表面処理に使用するのではなく、第一の組成物および第二の組成物に直接配合した例である。すなわち、実施例1における第一の重合性単量体組成物および第二の重合性単量体組成物にSA2:2質量部を添加した組成物に、表2に示す無機充填材を表4に示す量で(具体的には、イオン性の界面活性剤処理を行っていないB2-02:120質量部及びB3:180質量部)配合する他は実施例1と同様にして第一の組成物:PA‐23及び第二の組成物:PB‐23を調製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表6に示す。
本比較例は、第一の組成物に配合されている無機粒子B1に代えて、疎水化剤による処理は行っているがイオン性の界面活性剤による処理を行っていない無機粒子(B2-02)を配合した例である。すなわち、実施例1における第一の組成物及び第二の組成物にB2-02:120質量部及びB3:180質量部配合する他は実施例1と同様にして第一の組成物:PA‐24及び第二の組成物:PB-24調製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表6に示す。
本比較例は、第二の組成物に配合されている無機粒子B2に代えて、イオン性の界面活性剤と疎水化処理剤で処理された無機粒子(B1-02)を配合した例である。すなわち、実施例1における第二組成物にB1-02:120質量部及びB3:180質量部を配合する他は、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表6に示す。
本比較例は、第一の組成物に配合されている無機粒子B1に代えて、イオン性の界面活性剤による処理は行っているが疎水化処理剤による処理を行っていない無機粒子(CB1-01)を配合した例である。すなわち、実施例1における第一の組成物にCB1-01:120質量部及びB3:180質量部配合する他は実施例1と同様にして第一の組成物:PA‐26及び第二の組成物:PB‐26を調製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表6に示す。
本比較例は、第一の組成物に配合されている無機粒子B1と第二の組成物に配合されている無機粒子B2に代えて、疎水化剤による処理及びイオン性の界面活性剤による処理は行っているが平均粒子径が1μmを越える無機粒子(CB1-02またはB2-01)を配合した例である。すなわち、実施例1における第一の組成物にCB1-02:120質量部及びB3:60質量部配合し、第二の組成物にCB2-01:120質量部及びB3:60質量部配合する他は実施例1と同様にして第一の組成物:PA-27及び第二の組成物:PB-27を調製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表6に示す。
Claims (8)
- 重合性単量体(A):100質量部、無機充填材(B):100質量部以上、500質量部以下及び重合開始剤(C)を含有してなる歯科用重合硬化性組成物において、
前記無機充填材(B)が、重量平均分子量が2000以上、2000万以下であるイオン性高分子界面活性剤及び疎水化処理剤で処理された、平均粒子径が0.05μm以上、1μm以下である無機粒子(B1)、及び疎水化処理剤で処理され、イオン性の界面活性剤で処理されていない平均粒子径0.05以上、1μm以下の無機粒子(B2)を、これら(B1)及び(B2)の合計で10質量%以上90質量%以下含み、
前記重合開始剤(C)が、第三級アミン(C1)及び有機過酸化物(C2)を主要成分とする化学重合開始剤を含有してなる、
ことを特徴とする前記歯科用重合硬化性組成物。 - 前記無機充填材(B)が、前記無機粒子(B1)及び無機粒子(B2)以外の無機粒子として、平均粒子径が1μm以上50μm以下の不定形無機粒子(B3´)を更に含んでなり、当該(B)における前記(B1)及び(B2)以外の残部の90質量%以上が前記(B3´)である、請求項1に記載の歯科用重合硬化性組成物。
- 前記重合開始剤(C)が、光重合開始剤(C3)を含有してなる請求項1又は2に記載の歯科用重合硬化性組成物。
- 請求項1乃至3の何れか一に記載の歯科用重合硬化性組成物を調製するための歯科用重合硬化性組成物調製用キットであって、
それぞれ独立して保管される第一の組成物と第二の組成物との組合せを含んでなり、
前記第一の組成物は、前記(A)、前記(B1)及び前記(C1)を含有して、前記(C2)を実質的に含まず、
前記第二の組成物は、前記(A)、前記(B2)及び前記(C2)を含有して、前記(B1)及び前記(C1)を実質的に含まない、
ことを特徴とする前記歯科用重合硬化性組成物調製用キット。 - 請求項2に記載の歯科用重合硬化性組成物を調製するための請求項4に記載の歯科用重合硬化性組成物調製用キットであって、前記第一の組成物及び前記第二の組成物は、共に前記(B3´)を更に含んでなる、ことを特徴とする、前記歯科用重合硬化性組成物調製用キット。
- 請求項3に記載の歯科用重合硬化性組成物を調製するための請求項4に記載の歯科用重合硬化性組成物調製用キットであって、前記第一の組成物、前記第二の組成物の少なくとも一方は、光重合開始剤(C3)を更に含んでなる、ことを特徴とする前記歯科用重合硬化性組成物調製用キット。
- 歯科用支台築造材料として使用される歯科用重合硬化性組成物を調製するための、請求項5に記載の歯科用重合硬化性組成物調製用キットからなることを特徴とする、歯科用支台築造材料用キット。
- 第一シリンジと、当該第一シリンジと並列に配置された第二シリンジ内に、前記第一の組成物及び前記第二の組成物が夫々充填されて保管されてなることを特徴とする、請求項7に記載の歯科用支台築造材料用キット。
Priority Applications (1)
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