JP7254452B2 - 操舵制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、操舵制御装置に関する。
車両の操舵機構にモータのトルクを付与することにより、運転者のステアリング操作を補助する電動パワーステアリング装置(以下、「EPS」という。)が知られている。運転者がステアリングホイールを操舵すると、ステアリングシャフトに介在されるトーションバーに捩れが生じる。EPSは、その捩れに基づいて検出される検出トルクに応じて、運転者によるステアリングホイールの操舵を補助するようにモータを駆動させるための指令値を演算する。
特許文献1に開示の技術では、上記のEPSに、先進運転支援システム(Advanced Driver Assistance Systems:以下、「ADAS」という。)などの運転支援制御を実行する運転支援制御システムを搭載している。運転支援制御システムは、運転支援制御が実行されているときには、車両の走行に関する情報である走行情報に基づいて操舵機構を動作させる。
特開2016-7917号公報
運転支援制御システムによって運転支援制御を実行しているとき、運転者がステアリングホイールを操舵することなく、単にステアリングホイールに手を添えて保持する場合がある。この場合、運転者は操舵を意図していないにもかかわらずステアリングホイールを操舵しているときと同様に検出トルクが検出されるおそれがある。操舵制御装置は、その意図せず入力された検出トルクに応じてモータを駆動させる。したがって、運転支援制御を実行しているときには、運転支援指令値に基づいて設定される操舵機構の操舵状態と、実際の操舵機構の操舵状態との間でずれが生じてしまう。
本発明の課題は、操舵制御装置において、運転支援制御の安定した実行を実現することにある。
上記課題を解決する操舵制御装置は、車両の操舵機構に付与されるトルクを発生させるモータを制御する操舵制御装置において、トルクセンサにより検出される検出トルクに基づいて前記モータから前記操舵機構に前記トルクを付与するトルク付与制御を実行するための制御指令値、及び運転者の操舵を支援する運転支援制御を実行するための運転支援指令値の少なくとも一方に基づいて前記モータの制御を実行するための最終指令値を演算する指令値演算部を備え、前記指令値演算部は、前記運転支援指令値が入力され、かつ運転者の意図しない操舵であることを示す大きさの前記検出トルクが検出される場合、前記検出トルクを相殺するべく当該検出トルクに対して逆符号の成分を含むように前記最終指令値を演算するように構成される運転者の意図しない操舵であることを示す大きさの前記検出トルクは、ステアリングホイールに手を添えて保持したときに、前記ステアリングホイールの回転動作に対して遅れて手を追従させる場合、または前記ステアリングホイールの回転動作を見越して早めに手を追従させる場合に、検出されるトルクである。
運転支援制御が実行され、かつ運転者がステアリングホイールを保持している場合、運転者がステアリングホイールを操舵しているときと同様に検出トルクが検出されることがある。ただ、この場合の検出トルクは、運転者による意図したステアリングホイールの操舵に起因するものではなく、検出トルクの絶対値としては、小さな値である。上記構成では、運転支援指令値が入力され、かつ運転者の意図しない操舵であることを示す大きさの検出トルクが検出される場合、検出トルクに対して逆符号の成分を含むように最終指令値を演算している。これにより、検出トルクを相殺するように、モータを駆動させることができる。したがって、運転者の意図しない操舵であることを示す大きさの検出トルクが検出される場合、運転支援指令値に基づいて設定される操舵機構の操舵状態から、実際の操舵機構の操舵状態がずれるといった状況の発生を抑制することができる。このため、運転支援指令値に基づく運転支援制御を安定して実行することができる。
上記の操舵制御装置において、前記指令値演算部は、前記検出トルクに基づいて、前記制御指令値の位相を補償するための補償値を演算する位相補償部を有し、前記位相補償部は、前記制御指令値と同符号の前記補償値を演算することが好ましい。
検出トルクの検出にはタイムラグがあることから、検出トルクの絶対値に基づいて演算される制御指令値について位相補償が行われる。運転支援指令値が入力され、かつ運転者の意図しない操舵であることを示す大きさの検出トルクが検出される場合、制御指令値と同符号の補償値が演算される。このように位相補償部は、制御指令値と同符号の補償値を演算しているため、制御指令値に補償値を反映させる場合における最終指令値の演算を適切なものとすることができる。
上記の操舵制御装置において、前記運転支援指令値が入力され、かつ運転者の意図しない操舵であることを示す大きさの前記検出トルクが検出される場合、前記指令値演算部は、車両の走行速度の値が大きいときには前記走行速度の値が小さいときと比べて、前記最終指令値に含まれる前記検出トルクに対する逆符号の成分を小さくすることが好ましい。
走行速度の値が大きい場合は走行速度の値が小さい場合と比べて、セルフアライニングトルクが大きくなることから、車両の操舵機構を所定の操舵状態にするために必要なモータのトルクは異なることになる。すなわち、検出トルクが同一値であったとしても、走行速度の値の大小により、車両の操舵機構に付与するべきモータのトルクは異なるものとなる。そこで、上記構成では、指令値演算部は、運転支援指令値が入力され、かつ運転者の意図しない操舵であることを示す大きさの検出トルクが検出される場合、車両の走行速度を考慮して最終指令値を演算している。これにより、操舵制御装置は、運転支援制御中における最終指令値の演算を適切なものとすることができる。
上記の操舵制御装置において、前記指令値演算部は、運転者の意図しない操舵であることを示す大きさの前記検出トルクと運転者の意図した操舵であることを示す大きさの前記検出トルクとを切り分ける閾値を、車両の走行速度にかかわらず一定値としていることが好ましい。
上記構成では、運転者の意図しない操舵であることを示す大きさの検出トルクと運転者の意図した操舵であることを示す大きさの前記検出トルクとを切り分ける閾値を車両の走行速度にかかわらず一定値としている。走行速度にかかわらず1つの閾値を設定すればよいことから、設計上容易にこの閾値を決定することができる。
本発明の操舵制御装置によれば、運転支援制御の安定した実行を実現できる。
ステアリング装置の概略構成図。 操舵制御装置の制御ブロック図。 ADAS指令値が入力されていない場合における検出トルクとアシスト制御量との関係を示すグラフ。 ADAS指令値が入力されている場合における検出トルクとアシスト制御量との関係を示すグラフ。 トルク微分値とトルク微分基礎制御量との関係を示すグラフ。 アシスト勾配とアシスト勾配ゲインとの関係を示すグラフ。 他の実施形態のステアリング装置の概略構成図。
以下、操舵制御装置を車両の操舵装置に適用した一実施形態について説明する。
図1に示すように、操舵装置1は、電動パワーステアリング装置(以下、「EPS」という。)2、油圧パワーステアリング装置(以下、「HPS」という。)3、及び操舵制御装置50を備えている。
EPS2はステアリングホイール11が連結されたステアリングシャフト12に設けられている。EPS2は、EPSアクチュエータ20を備えている。EPSアクチュエータ20は、モータ21及び減速機22を有している。
モータ21は、減速機22を介してステアリングシャフト12に連結されている。減速機22はモータ21の回転を減速し、当該減速した回転力をステアリングシャフト12に伝達する。すなわち、減速機22を介して、ステアリングシャフト12にモータ21のトルク(以下、「モータトルク」という。)が付与される。
操舵制御装置50は、各種のセンサの検出結果に基づき、モータ21の駆動を制御する。各種のセンサとしては、たとえばトルクセンサ23、回転角センサ24、及び車速センサ25がある。トルクセンサ23は、ステアリングシャフト12に加わるトルクを検出トルクThaとして検出する。トルクセンサ23はステアリングシャフト12に設けられるトーションバー23aを有している。トルクセンサ23は、ステアリングシャフト12におけるトーションバー23aよりもステアリングホイール11側(図1中の上側)の部分と、ステアリングシャフト12におけるトーションバー23aよりもステアリングホイール11と反対側(図1中の下側)の部分との捩れに基づいて、検出トルクThaを検出する。回転角センサ24は、モータ21に設けられている。回転角センサ24は、モータ21の出力軸21aの回転角θmを検出する。操舵制御装置50は、検出トルクThaに基づいてモータ21からステアリングシャフト12にトルクを付与するトルク付与制御を実行する。モータ21の回転角θmは、ステアリングホイール11の操舵角θsの演算に使用される。なお、モータ21とステアリングシャフト12とは、減速機22を介して連動する。モータ21の回転角θmと、ステアリングシャフト12の回転角には相関がある。また、ステアリングシャフト12の回転角とステアリングホイール11の操舵角θsとにも相関がある。このため、操舵角θsは、回転角センサ24により検出される回転角θmに基づいて求めることができる。操舵制御装置50は、回転角θmに基づいてステアリングホイール11の操舵角θsを演算する。なお、検出トルクTha、回転角θm、及び操舵角θsは、ステアリングホイール11が一方向(本実施形態では右方向)に操舵された場合に正の値、他方向(本実施形態では左方向)に操舵された場合に負の値で検出される。
車両には、運転者の運転操作を支援するADAS(先進運転支援システム)などの協調制御システムが搭載されている。この場合、車両においては、操舵制御装置50と他の車載システムの制御装置との協調制御が行われる。協調制御とは、複数種の車載システムの制御装置が互いに連携して車両の動きを制御する技術をいう。車両には、たとえば各種の車載システムの制御装置を統括制御するADAS制御装置100が搭載される。ADAS制御装置100は、その時々の車両の走行に関する情報である走行情報に基づいて、最適な制御方法を求め、その求められる制御方法に応じて各種の車載制御装置に対して個別の制御を指令する。
ADAS制御装置100は、走行情報に基づいて、たとえば緊急回避制御、レーンキープアシスト制御あるいはパーキングアシスト制御などの運転支援(自動操舵)制御を実行するためのADAS指令値Tad*を生成する。緊急回避制御とは、緊急時の回避操作を促すために操舵を補助する制御をいう。レーンキープアシスト制御とは、走行中の車両が車線を逸脱しそうなとき、運転者の操舵を補助することにより車両の車線に沿った走行を支援するための制御をいう。パーキングアシスト制御とは、車庫入れなどの駐車の際、運転者の操舵を補助するための制御をいう。操舵制御装置50は、ADAS制御装置100から入力されるADAS指令値Tad*を用いてモータ21を制御する。ADAS指令値Tad*は、運転支援制御中におけるモータ21からステアリングシャフト12に付与されるトルクの目標値となるトルク指令値である。
運転支援指令値としてのADAS指令値Tad*は、運転支援制御の内容によって異なる。たとえばADAS指令値Tad*がレーンキープアシスト制御を実行するための指令値である場合、ADAS指令値Tad*は車両を車線に沿って走行させるために必要とされるモータ21のトルクの目標値である。また、ADAS指令値Tad*がパーキングアシスト制御を実行するための指令値である場合、ADAS指令値Tad*は所定の駐車位置に車両を駐車するために必要とされるモータ21のトルクの目標値である。操舵制御装置50では、このトルク指令値に応じた電流指令値が演算される。
また、ADAS制御装置100は、ADAS指令値Tad*が生成されている場合、すなわち運転支援制御が実行されている場合、フラグFを生成し、ADAS指令値Tad*が生成されていない場合、フラグFを生成しない。
油圧アクチュエータとしてのHPS3は、ステアリングシャフト12におけるステアリングホイール11と反対側の端部に設けられている。HPS3はRBS式(リサーキュレーティングボールスクリュー式)のステアリングギヤボックス31、ポンプ32、及びリザーバタンク33を有している。ステアリングギヤボックス31は吐出管34を介してポンプ32に接続されている。また、ステアリングギヤボックス31は排出管35を介してリザーバタンク33に接続されている。吐出管34と排出管35との間はバイパス管36により接続されている。バイパス管36には電動バルブ37が設けられている。ポンプ32はエンジン44により駆動される。ポンプ32の駆動によりリザーバタンク33内の作動油は吐出管34を介してステアリングギヤボックス31へ供給される。ステアリングギヤボックス31から排出される作動油は排出管35を介してリザーバタンク33に戻される。電動バルブ37の開度は操舵制御装置50により制御される。電動バルブ37の開度を大きくするほどポンプ32から吐出される作動油のうちバイパス管36を介して排出管35へ分流する作動油の流量が増大する。
ステアリングシャフト12におけるステアリングホイール11と反対側の端部には、入力軸45が連結されている。入力軸45はステアリングギヤボックス31の上壁を貫通し、かつステアリングギヤボックス31に対して回転可能に支持されている。ステアリングギヤボックス31の内部は図示しないボールナットによって2つの油室に区画されている。2つの油室にはステアリングギヤボックス31の内部に設けられたコントロールバルブ46を介して作動油が供給される。コントロールバルブ46は、入力軸45の回転に応じて2つの油室に対する作動油の供給または排出(給排)を制御するロータリーバルブである。コントロールバルブ46を介して2つの油室の一方に択一的に作動油が供給されることにより2つの油室の間に圧力差が生じ、この圧力差に応じてピットマンアーム41が左右揺動運動する。このように、ステアリングギヤボックス31はステアリングシャフト12の回転運動をピットマンアーム41の左右揺動運動に変換する。ピットマンアーム41の左右揺動運動が左右のタイロッド42,42を介して左右の転舵輪43,43に伝達される。ことにより、ピットマンアーム41を介して転舵輪43,43に油圧による補助力が付与される。この補助力によって、操舵装置1の操舵状態(転舵輪43,43の転舵角)の変更が補助される。
操舵制御装置50の構成について説明する。
図2に示すように、操舵制御装置50は、モータ制御信号Smを生成するマイコン51(マイクロコンピュータ)、モータ制御信号Smに基づいてモータ21に駆動電力を供給する駆動回路52、及び駆動回路52とモータ21との間の給電経路に設けられた電流センサ53を備えている。
マイコン51は、指令値演算部70、電流指令値演算部54、及びモータ制御信号生成部55を備えている。
指令値演算部70は、運転者の操舵があった場合、モータ21に発生させるべきトルク、すなわち目標アシスト力に対応した最終指令値T*を演算する。
電流指令値演算部54は、指令値演算部70により演算された最終指令値T*に基づいて、モータ21の駆動電流の目標値である電流指令値I*を演算する。
モータ制御信号生成部55は、電流センサ53により検出される実電流値Iと、回転角センサ24により検出される回転角θmとに基づいて、電流指令値I*を実電流値Iに追従させるように電流フィードバック制御を実行することにより、モータ制御信号Smを生成する。
指令値演算部70の構成について説明する。
指令値演算部70は、アシスト制御部71、位相遅れ補償部72、システム安定化制御部73、加算器74,75、及び微分器76を有している。
位相遅れ補償部72は、トルクセンサ23により検出された検出トルクThaの位相を遅らせることにより、位相補償後の検出トルクThを演算する。
アシスト制御部71は、制御指令値としてのアシスト制御量Tas*を演算する。アシスト制御部71は、図3に示すマップM1及び図4に示すマップM2を記憶している。アシスト制御部71は、アシスト制御量Tas*を演算する際にマップM1,M2を用いる。アシスト制御部71は、ADAS制御装置100により生成されるフラグFを取得し、フラグFが入力されているか否かに基づいて、マップM1,M2のいずれかを選択し、位相遅れ補償部72による位相補償後の検出トルクTh及び車速Vに基づいて、アシスト制御量Tas*を演算する。また、アシスト制御部71は、検出トルクThの変化に対するアシスト制御量Tas*の変化の割合であるアシスト勾配Ragを位相遅れ補償部72に出力する。
位相遅れ補償部72は、検出トルクTh、車速V、及びアシスト勾配Ragを取得する。位相遅れ補償部72は、位相遅れ補償の特性に関わるアシスト勾配感応ゲインを演算するゲイン演算部を有している。このゲイン演算部は、車速V及びアシスト勾配Ragに基づいてアシスト勾配感応ゲインを演算する。そして、ゲイン演算部は、位相遅れ補償の特性を車速Vに応じて複数の制御領域に分類し、それぞれの制御領域毎に、例えばアシスト勾配Ragの上昇に応じて、検出トルクThaに対する位相補償後の検出トルクThのゲイン(dB)を低減させるように、位相遅れ補償の特性を変更する。また、位相遅れ補償部72は、位相補償後の検出トルクThを演算する演算部を有している。この演算部は、アシスト勾配感応ゲインおよび検出トルクThaに基づいて、位相補償後の検出トルクThを演算する。そして、位相遅れ補償部72は、位相補償後の検出トルクThをアシスト制御部71に出力する。
図3は、マップM1を示している。マップM1は、検出トルクThの絶対値が大きいほど、また車速Vが小さいほど、アシスト制御量Tas*がより大きな絶対値となることを表している。アシスト制御部71は、フラグFが入力されていない(ADAS制御装置100から操舵制御装置50にADAS指令値Tad*が入力されていない)場合、マップM1を用いてアシスト制御量Tas*を演算する。このため、アシスト制御部71は、フラグFが入力されていない場合、すなわち運転者がステアリングホイール11を操舵してトルクを入力する場合、検出トルクThに基づいて、検出トルクThと同符号のアシスト制御量Tas*を演算する。なお、検出トルクThの絶対値が大きいほど、アシスト勾配Ragが大きくなるように設定されている。
図4は、マップM2を示している。マップM2は、入力される検出トルクThの絶対値が閾値Th0未満である場合、すなわち運転者の意図しない操舵であることを示す大きさの検出トルクThが検出される場合、検出トルクThが正であるときには負のアシスト制御量Tas*となり、検出トルクThが負であるときには正のアシスト制御量Tas*となる関係を表している。アシスト制御部71は、フラグFが入力されている(ADAS制御装置100から操舵制御装置50にADAS指令値Tad*が入力されている)場合、すなわち運転支援制御を実行する場合、マップM2を用いてアシスト制御量Tas*を演算する。アシスト制御部71は、検出トルクThの絶対値が閾値Th0未満である場合、検出トルクThと逆符号のアシスト制御量Tas*を演算する。検出トルクThと逆符号のアシスト制御量Tas*を演算することにより、運転者の操舵の意図なく運転者がステアリングホイール11を保持することに基づいて入力された検出トルクThを相殺している。相殺とは、検出トルクThの絶対値を超えない絶対値のアシスト制御量Tas*が演算されることである。
一方、マップM2には、検出トルクThの絶対値が閾値Th0以上である場合、入力される検出トルクThの絶対値が大きいほど、また車速Vが小さいほど、アシスト制御量Tas*が検出トルクThと同符号でより大きな絶対値となる関係が示されている。検出トルクThと同符号のアシスト制御量Tas*を演算することにより、運転者がステアリングホイールを操舵したことに基づいて入力された検出トルクThと同じ方向にモータ21を動作させることができる。
閾値Th0は、車速Vにかかわらず一定値に設定されている。なお、閾値Th0は、運転者がステアリングホイール11を意図的に操舵したと判別できないような小さい検出トルクの値に基づいて設定される。また、閾値Th0は、運転支援制御中に運転者がステアリングホイール11を操舵した際に、どの程度の検出トルクからステアリング操作の補助が開始されるかに基づいて設定される。すなわち、閾値Th0は、操舵の意図をもって運転者がステアリングホイール11を操舵したことによって付与された検出トルクか、操舵の意図なく運転者がステアリングホイール11を保持することに基づいて入力された検出トルクかを切り分ける観点で設定される。閾値Th0未満の検出トルクThは、運転者の意図しない操舵であることを示す大きさの検出トルクである。
アシスト制御部71は、フラグFが入力され、かつ検出トルクThの絶対値が閾値Th0未満である場合、車速Vが大きいほど、同一の検出トルクThの値でも、絶対値の小さいアシスト制御量Tas*を演算する。一方、アシスト制御部71は、フラグFが入力され、かつ検出トルクThの絶対値が閾値Th0以上である場合、検出トルクThが大きいほど、また車速Vが小さいほど、絶対値の大きいアシスト制御量Tas*を演算する。
図2に示すように、位相補償部としてのシステム安定化制御部73は、検出トルクThaを微分器76により微分した値であるトルク微分値dThに基づく補償値として、システム安定化制御量Tdt*を演算する。システム安定化制御部73は、図5に示すマップM3及び図6に示すマップM4を記憶している。システム安定化制御部73は、ADAS制御装置100により生成されるフラグF、検出トルクTh、トルク微分値dTh、及びアシスト勾配Ragを取得する。システム安定化制御部73は、アシスト制御量Tas*の絶対値を増加させるような、すなわちアシスト制御量Tas*の位相を補償するためのシステム安定化制御量Tdt*を演算する。アシスト制御量Tas*にシステム安定化制御量Tdt*が加算されることにより、アシスト制御量Tas*の位相進み補償が行われている。
図5は、マップM3を示している。マップM3は、トルク微分値dThの絶対値が大きいほど、トルク微分基礎制御量εdtがより大きな絶対値となる関係を表している。システム安定化制御部73は、トルク微分値dThが正に大きいほど、正に大きなトルク微分基礎制御量εdtを演算し、トルク微分値dThが負に大きいほど、負に大きなトルク微分基礎制御量εdtを演算する。
図6は、マップM4を示している。マップM4は、アシスト勾配Ragの絶対値が大きいほど、アシスト勾配ゲインKagがより小さな値となる関係を有するマップM4を表している。システム安定化制御部73は、アシスト勾配Ragの絶対値に基づいて、アシスト勾配Ragの絶対値が大きいほど、より小さな絶対値となるように変化するアシスト勾配ゲインKagを演算する。アシスト勾配ゲインKagは、アシスト勾配Ragに対して反比例するように、「0」~「1.0」の範囲で設定される値である。
図2に示すように、システム安定化制御部73は、ADAS制御装置100により生成されるフラグF及び検出トルクThに基づいて、システム安定化制御量Tdt*の演算態様を変更する。システム安定化制御部73は、フラグFが入力されていない場合、あるいはフラグFが入力され、検出トルクThの絶対値が閾値Th0以上である場合、トルク微分基礎制御量εdt及びアシスト勾配ゲインKagを用いて、次式(1)によりシステム安定化制御量Tdt*を演算する。
Tdt*=εdt×Kag …(1)
つまり、システム安定化制御部73は、フラグFが入力されていない場合、あるいはフラグFが入力され、検出トルクThの絶対値が閾値Th0以上である場合、これらトルク微分基礎制御量εdtとアシスト勾配ゲインKagとを乗算した値をシステム安定化制御量Tdt*として出力する。
システム安定化制御部73は、フラグFが入力され、検出トルクThの絶対値が閾値Th0未満である場合、トルク微分基礎制御量εdt及びアシスト勾配ゲインKagを用いて、次式(2)によりシステム安定化制御量Tdt*を演算する。
Tdt*=-εdt×Kag …(2)
つまり、システム安定化制御部73は、フラグFが入力され、検出トルクThの絶対値が閾値Th0未満である場合、これらトルク微分基礎制御量εdtとアシスト勾配ゲインKagとを乗算した値の符号を逆の符号にした値をシステム安定化制御量Tdt*として出力する。
加算器74は、アシスト制御部71により演算されたアシスト制御量Tas*に、システム安定化制御部73により演算されたシステム安定化制御量Tdt*を加算することにより、アシスト指令値Ta*を演算する。
加算器75は、加算器74により演算されたアシスト指令値Ta*に、ADAS制御装置100から操舵制御装置50に入力されたADAS指令値Tad*を加算することにより、最終指令値T*を演算する。
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)運転支援制御を実行しているときに運転者がステアリングホイール11を保持している場合、運転者は操舵の意図がないにもかかわらず、トルクセンサ23のトーションバー23aが捩れる場合がある。運転者に操舵の意図がないにもかかわらず、トルクセンサ23のトーションバー23aが捩れる場合としては、例えば以下の場合が該当する。運転支援制御を実行しているとき、運転者がステアリングホイール11を操舵することなく、単にステアリングホイール11に手を添えて保持する場合がある。この場合、運転支援制御の実行によりステアリングホイール11は自動的に回転するため、運転者は操舵を意図することなく、添えた手をステアリングホイール11の回転動作に追従させることになる。このとき、運転者がステアリングホイール11の回転動作に上手く手を追従させることができず、回転動作に対して遅れて手を追従させる場合、または回転動作を見越して早めに手を追従させる場合、運転者に操舵の意図がないにもかかわらず、トルクセンサ23のトーションバー23aが捩れることになる。
比較例として、フラグFが入力されて、かつ検出トルクThの絶対値が閾値Th0未満の場合に、アシスト制御部71が検出トルクThに基づいて検出トルクThと同符号のアシスト制御量Tas*を演算する場合について説明する。この場合、モータ21はステアリングシャフト12に、ADAS指令値Tad*に応じたトルクに加えて、検出トルクThおよび検出トルクThと同符号のアシスト制御量Tas*を反映したトルクを付与する。例えば、負の値のADAS指令値Tad*に基づいてステアリングシャフト12が左方向に回転されたとき、運転者がステアリングホイール11を保持していると、トーションバー23aが捩られることにより、トルクセンサ23を通じて正の検出トルクThを検出する。そして、操舵制御装置50は、正の検出トルクThに基づいて、正のアシスト制御量Tas*を演算するため、負のADAS指令値Tad*に基づいてステアリングシャフト12を左方向に回転させるのと反対に、正の検出トルクTh及び正のアシスト制御量Tas*に基づいてステアリングシャフト12を右方向に回転させようとする。負のADAS指令値Tad*の方が正の検出トルクTh及び正のアシスト制御量Tas*よりも大きいことから、結果的にステアリングシャフト12は左方向に回転されることになるものの、正の検出トルクTh及び正のアシスト制御量Tas*の分だけ左方向への回転量は小さくなる。この結果、運転支援制御を実行しているときには、実際の転舵輪43,43の転舵角θtは、ADAS指令値Tad*に基づいて設定されるべき転舵輪43,43の転舵角θtからずれてしまう。
この点、本実施形態では、アシスト制御部71は、フラグFが入力されて、かつ検出トルクThの絶対値が閾値Th0未満の場合、検出トルクThと逆符号のアシスト制御量Tas*を演算する。これにより、検出トルクThを相殺するようにモータ21を駆動させることができる。例えば、負のADAS指令値Tad*に基づいてステアリングシャフト12が左方向に回転されたとき、運転者がステアリングホイール11を保持していると、トーションバー23aが捩られることにより、トルクセンサ23を通じて正の検出トルクThを検出する。そして、操舵制御装置50は、正の検出トルクThに基づいて、正の検出トルクThを相殺するべく負のアシスト制御量Tas*を演算する。このため、負のADAS指令値Tad*に基づいてステアリングシャフト12を左方向に回転させるとともに、正の検出トルクTh及び負のアシスト制御量Tas*に基づいてステアリングシャフト12が回転されることになる。したがって、たとえば運転者がステアリングホイール11を保持した状態で、ADAS指令値Tad*に基づいて運転支援制御が実行されている場合、トーションバー23aの捩れに基づいて検出トルクThが検出されたとしても、この検出トルクThは、検出トルクThと逆符号のアシスト制御量Tas*によって相殺されることになる。このため、ADAS指令値Tad*の通りに車両を走行させることができる。つまり、ADAS指令値Tad*に基づく運転支援制御を安定して実行できる。また、運転支援制御中において、運転者がステアリングホイール11を保持する際の負担を軽減することもできるようになる。
(2)トルクセンサ23は、ステアリングシャフト12に設けられるトーションバー23aの捩れに基づいて検出トルクThaを検出するため、運転者によりステアリングホイール11が操舵されてから、あるいはモータ21によってステアリングシャフト12にトルクが付与されてから、検出トルクThaを検出するまでにはタイムラグがある。このため、システム安定化制御部73は、検出トルクThaの微分値であるトルク微分値dThに基づいて、システム安定化制御量Tdt*を演算することにより、アシスト制御量Tas*の位相補償を行う。
フラグFが入力されて、かつ検出トルクThの絶対値が閾値Th0未満の場合、アシスト制御部71は、検出トルクThと逆符号のアシスト制御量Tas*を演算する。比較例として、フラグFが入力されて、かつ検出トルクThの絶対値が閾値Th0未満の場合、システム安定化制御部73が検出トルクThと同符号のシステム安定化制御量Tdt*を演算すると、アシスト制御量Tas*の符号とシステム安定化制御量Tdt*の符号とが逆になる。この比較例の場合、アシスト制御部71が検出トルクThと逆符号のアシスト制御量Tas*を演算したとしても、システム安定化制御量Tdt*が検出トルクThと同符号であると、アシスト制御量Tas*とシステム安定化制御量Tdt*とが打ち消しあう。このため、検出トルクThと逆符号のアシスト制御量Tas*を演算することの効果が低減することになる。
この点、本実施形態では、フラグFが入力されて、かつ検出トルクThの絶対値が閾値Th0未満の場合には、アシスト制御部71は検出トルクThと逆符号のアシスト制御量Tas*を演算し、システム安定化制御部73は検出トルクThと逆符号のシステム安定化制御量Tdt*を演算する。システム安定化制御部73はアシスト制御量Tas*と同じ符号のシステム安定化制御量Tdt*を演算しているため、アシスト制御量Tas*とシステム安定化制御量Tdt*とが打ち消しあうことなく、検出トルクThを相殺するようにモータ21を駆動できる。このように、ADAS指令値Tad*にアシスト制御量Tas*及びシステム安定化制御量Tdt*を反映させる場合において、最終指令値T*の演算を適切なものとすることができる。
(3)車速Vが大きい場合は車速Vが小さい場合と比べて、セルフアライニングトルクが大きくなることから、転舵輪43,43を所定の転舵角にするために必要なモータ21のトルクは異なることになる。すなわち、検出トルクThが同一値であったとしても、車速Vの大小により、車両のステアリングシャフト12に付与するべきモータ21のトルクは異なるものとなる。そこで、本実施形態では、アシスト制御部71は、フラグFが入力され、検出トルクThの絶対値が閾値Th0未満のとき、車速Vが大きいほど、絶対値の小さなアシスト制御量Tas*を演算している。これにより、アシスト制御部71は、運転支援制御中における最終指令値T*の演算を適切なものとすることができる。
(4)検出トルクThが運転者の意図しない操舵であることを示すものか、あるいは運転者の意図した操舵であることを示すものかを切り分ける閾値Th0を、車速Vにかかわらず一定値としている。車速Vにかかわらず1つの閾値Th0を設定すればよいことから、設計上容易にこの閾値Th0を決定することができる。
なお、本実施形態は次のように変更してもよい。また、以下の他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲において、互いに組み合わせることができる。
・本実施形態では、閾値Th0は、車速Vが大きいほど、小さく設定されてもよい。
・アシスト制御部71は、フラグFが入力され、検出トルクThの絶対値が閾値Th0未満である場合、車速Vにかかわらず、検出トルクThの絶対値を減少させるような一定値のアシスト制御量Tas*を演算してもよい。
・システム安定化制御部73は、トルク微分値dThに加えて車速Vなどの他のパラメータも考慮して、システム安定化制御量Tdt*を演算してもよい。
・システム安定化制御部73は、フラグFが入力された場合、検出トルクThの絶対値が閾値Th0未満である場合のシステム安定化制御量Tdt*を、検出トルクThの絶対値が閾値Th0以上である場合のシステム安定化制御量Tdt*と同じ符号にしてもよい。
・操舵制御装置50にシステム安定化制御部73は設けられなくてもよい。また、操舵制御装置50に位相遅れ補償部72は設けられなくてもよい。
・アシスト制御部71は、検出トルクThのみに基づいてアシスト制御量Tas*を演算するようにしてもよいし、検出トルクTh及びその他の要素に基づいてアシスト制御量Tas*を演算するようにしてもよいし、検出トルクTh及び車速Vとこれら以外の要素に基づいてアシスト制御量Tas*を演算するようにしてもよい。すなわち、アシスト制御部71は、少なくとも検出トルクThを用いてアシスト制御量Tas*を演算すればよい。
・回転角センサ24は、モータ21の回転角θmを検出したが、これに限らない。たとえば、回転角センサ24はステアリングシャフト12の回転角を検出するステアリングセンサであってもよい。すなわち、回転角センサ24は、モータ21の回転角θmに換算可能な値を検出するものであれば、どのようなものであってもよい。
・ADAS制御装置100は、フラグFを生成したが、生成しなくてもよい。この場合、フラグFの代わりにADAS指令値Tad*を入力し、ADAS指令値Tad*が生成されているか否かで、運転支援制御中であるか否かを判断してもよい。
・わずかな検出トルクThであっても操舵介入したいと思う運転者もいれば、ある程度大きな検出トルクThでなければ操舵介入したくないと思う運転者もいる。操舵介入とは、運転支援制御を実行しつつも、運転者によるステアリングホイール11の操舵に応じて車両の走行状態を変更するものである。このため、運転者は好みに応じて、運転者が車両に設けられたスイッチの操作を通じて走行状態を変更するモードを選択し、閾値Th0を可変にしてもよい。この場合、選択されたモードに応じた信号が、アシスト制御部71に入力されることにより、変更しても影響のない範囲で閾値Th0が変更される。
・閾値Th0は、検出トルクThの値が小さい場合でも運転者のステアリング操作を補助するのであれば閾値Th0は小さい値に設定され、検出トルクThの値が大きい場合でなければ運転者のステアリング操作を補助しないのであれば閾値Th0は大きい値に設定されてもよい。すなわち、車両の仕様や使用環境等に応じて、閾値Th0は適宜変更可能である。
・ADAS制御装置100からのADAS指令値Tad*は、アシスト制御部71と加算器74との間に入力されるようにしてもよい。この場合、加算器74には、アシスト制御部71により演算されたアシスト制御量Tas*に、ADAS指令値Tad*を加算した値が入力される。
・ADAS制御装置100からのADAS指令値Tad*は、電流指令値演算部54とモータ制御信号生成部55との間に入力されるようにしてもよい。この場合、モータ制御信号生成部55には、電流指令値演算部54により演算された電流指令値I*と、ADAS指令値Tad*を電流指令値に換算した値との総和が入力される。なお、この場合については、電流指令値I*を演算する際に行われることがある角度制御は用いられない。
・ADAS制御装置100は、トルク指令値としてのADAS指令値Tad*を生成したが、これに限らない。たとえば、ADAS制御装置100は、運転支援制御を実行するための指令値として、操舵角θsの目標値となる目標操舵角(角度指令値)を生成してもよい。この場合、操舵制御装置50は、たとえば目標操舵角に実際の操舵角θsを追従させる角度フィードバック制御を実行することにより電流指令値を演算する。
・アシスト制御部71は、フラグFが入力され、かつ検出トルクThの絶対値が閾値Th0未満である場合に演算される検出トルクThと逆符号のアシスト制御量Tas*は、検出トルクThの絶対値と等しい絶対値のアシスト制御量Tas*であってもよいし、検出トルクThの絶対値よりも小さい絶対値のアシスト制御量Tas*であってもよい。
・アシスト制御部71は、フラグFが入力され、かつ検出トルクThの絶対値が閾値Th0未満である場合、検出トルクThと逆符号のアシスト制御量Tas*を演算したが、これに限らない。例えば、アシスト制御部71は、運転支援制御を実行する場合も運転支援制御を実行しない場合も、検出トルクThと同符号のアシスト制御量Tas*を演算し、アシスト制御部71とは別に設けられる補償部により演算される補償値をアシスト制御量Tas*に加算した値を、加算器74に出力するようにしてもよい。この補償値は、フラグFが入力され、かつ検出トルクThの絶対値が閾値Th0未満である場合、検出トルクThと逆符号の値となる。
・本実施形態では、操舵装置1にHPS3を設けたが、HPS3は設けなくてもよい。この場合、EPSアクチュエータ20によって、ステアリングホイール11の操舵を補助する補助力を発生させてもよい。
例えば図7に示すように、操舵装置1をステアリングシャフト12にモータ21のトルクを付与するタイプのEPS2に具体化してもよい。ステアリングシャフト12はラックアンドピニオン機構14を構成し、その下端部はステアリングシャフト12に対して交わる方向へ延びるラックシャフト13に連結されている。ラックアンドピニオン機構14によりラックシャフト13は、往復移動可能に支持されている。ラックシャフト13の両端は、それぞれタイロッド15,15を介して、左右の転舵輪43,43に連結されている。
また、ラックシャフト13に動力伝達機構を介してモータ21のトルクを付与するタイプのEPSに具体化してもよい。また、操舵装置1をステアリングホイール11とラックシャフト13との間がクラッチにより機械的に分離可能なステアバイワイヤ装置に適用してもよいし、ステアリングホイール11とラックシャフト13との間がクラッチにより機械的に分離したステアバイワイヤ装置に適用してもよい。ステアバイワイヤ装置であっても、クラッチによりステアリングホイール11とラックシャフト13との間が機械的に接続される場合のみならず、クラッチによりステアリングホイール11とラックシャフト13との間が機械的に分離される場合にも同様の課題が生じるからである。例えば運転者がステアリングホイール11を保持しているときに、適度な操舵反力を発生させるためのモータからトルクがステアリングシャフト12におけるステアリングホイール11側の部分に付与されると、検出トルクThaが検出される。
1…操舵装置、2…EPS、3…HPS、11…ステアリングホイール、12…ステアリングシャフト、21…モータ、22…減速機、23…トルクセンサ、24…回転角センサ、25…車速センサ、31…ステアリングギヤボックス、32…ポンプ、33…リザーバタンク、34…吐出管、35…排出管、36…バイパス管、37…電動バルブ、41…ピットマンアーム、42…タイロッド、43…転舵輪、44…エンジン、45…入力軸、46…コントロールバルブ、50…操舵制御装置、51…マイコン、52…駆動回路、53…電流センサ、54…電流指令値演算部、55…モータ制御信号生成部、70…指令値演算部、71…アシスト制御部、72…位相遅れ補償部、73…システム安定化制御部、74,75…加算器、76…微分器、100…ADAS制御装置、I…実電流値、I*…電流指令値、εdt…トルク微分基礎制御量、dTh…トルク微分値、Kag…アシスト勾配ゲイン、Rag…アシスト勾配、Sm…モータ制御信号、T*…最終指令値、Ta*…アシスト指令値、Th,Tha…検出トルク、Th0…閾値、Tad*…ADAS指令値、Tas*…アシスト制御量、Tdt*…システム安定化制御量、V…車速、θm…回転角、θs…操舵角、θt…転舵角。

Claims (4)

  1. 車両の操舵機構に付与されるトルクを発生させるモータを制御する操舵制御装置において、
    トルクセンサにより検出される検出トルクに基づいて前記モータから前記操舵機構に前記トルクを付与するトルク付与制御を実行するための制御指令値、及び運転者の操舵を支援する運転支援制御を実行するための運転支援指令値の少なくとも一方に基づいて前記モータの制御を実行するための最終指令値を演算する指令値演算部を備え、
    前記指令値演算部は、前記運転支援指令値が入力され、かつ運転者の意図しない操舵であることを示す大きさの前記検出トルクが検出される場合、前記検出トルクを相殺するべく当該検出トルクに対して逆符号の成分を含むように前記最終指令値を演算するように構成され、
    運転者の意図しない操舵であることを示す大きさの前記検出トルクは、ステアリングホイールに手を添えて保持したときに、前記ステアリングホイールの回転動作に対して遅れて手を追従させる場合、または前記ステアリングホイールの回転動作を見越して早めに手を追従させる場合に、検出されるトルクである操舵制御装置。
  2. 前記指令値演算部は、前記検出トルクに基づいて、前記制御指令値の位相を補償するための補償値を演算する位相補償部を有し、
    前記位相補償部は、前記制御指令値と同符号の前記補償値を演算する請求項1に記載の操舵制御装置。
  3. 前記運転支援指令値が入力され、かつ運転者の意図しない操舵であることを示す大きさの前記検出トルクが検出される場合、前記指令値演算部は、車両の走行速度の値が大きいときには前記走行速度の値が小さいときと比べて、前記最終指令値に含まれる前記検出トルクに対する逆符号の成分を小さくする請求項1または2に記載の操舵制御装置。
  4. 前記指令値演算部は、運転者の意図しない操舵であることを示す大きさの前記検出トルクと運転者の意図した操舵であることを示す大きさの前記検出トルクとを切り分ける閾値を、車両の走行速度にかかわらず一定値としている請求項1~3のいずれか一項に記載の操舵制御装置。
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