以下、本発明の各実施形態に係る作業車両の一態様として、例えば露天掘り鉱山等において、土砂や鉱物等を掘削してダンプトラック等へ積み込む荷役作業を行うホイールローダについて説明する。
<ホイールローダ1の構成>
まず、ホイールローダ1の構成について、図1および図2を参照して説明する。
図1は、本発明の各実施形態に係るホイールローダ1の外観を示す側面図である。図2は、ホイールローダ1の駆動システム構成の概略を示す回路図である。
ホイールローダ1は、複数の車輪11を備え、車体が中心付近で中折れすることにより操舵されるアーティキュレート式の作業車両である。具体的には、車体の前部となる前フレーム1Aと車体の後部となる後フレーム1Bとが、センタジョイント10によって左右方向に回動自在に連結されており、前フレーム1Aが後フレーム1Bに対して左右方向に屈曲する。本実施形態では、ホイールローダ1は、左右一対の前輪11および左右一対の後輪11の計4つの車輪11を備えている。なお、図1では、4つの車輪11のうち、左側の前輪11および左側の後輪11のみを示している。
前フレーム1Aの前部には、荷役作業に用いる油圧駆動の荷役作業機2が取り付けられている。荷役作業機2は、前フレーム1Aに基端部が取り付けられたリフトアーム21と、リフトアーム21を駆動する2つのリフトアームシリンダ22と、リフトアーム21の先端部に取り付けられたバケット23と、バケット23を駆動するバケットシリンダ24と、リフトアーム21に回動可能に連結されてバケット23とバケットシリンダ24とのリンク機構を構成するベルクランク25と、2つのリフトアームシリンダ22やバケットシリンダ24へ圧油を導く複数の配管(不図示)と、を有している。
なお、2つのリフトアームシリンダ22およびバケットシリンダ24はそれぞれ、荷役作業機2を駆動する油圧シリンダに相当し、以下の説明において、2つのリフトアームシリンダ22およびバケットシリンダ24をまとめて「油圧シリンダ22,24」とする場合がある。
2つのリフトアームシリンダ22はそれぞれ、作動油が流出入してロッド220が伸縮することにより、リフトアーム21を前フレーム1Aに対して上下方向に回動させる。リフトアーム21は、2つのリフトアームシリンダ22それぞれのボトム室に作動油が供給されてロッド220が伸びることにより上方向に回動し、2つのリフトアームシリンダ22それぞれのロッド室に作動油が供給されてロッド220が縮むことにより下方向に回動する。なお、図1では、車体の左右方向に並ぶ2つのリフトアームシリンダ22のうち、左側に配置されたリフトアームシリンダ22のみを破線で示している。
バケットシリンダ24は、作動油が流出入してロッド240が伸縮することにより、バケット23をリフトアーム21に対して上下方向に回動させる。バケット23は、バケットシリンダ24のボトム室に作動油が供給されてロッド240が伸びることによりチルト(リフトアーム21に対して上方向に回動)し、バケットシリンダ24のロッド室に作動油が供給されてロッド240が縮むことによりダンプ(リフトアーム21に対して下方向に回動)する。なお、バケット23は、例えばブレード等の各種アタッチメントに交換することができ、バケット23を用いた掘削作業の他に、押土作業や除雪作業等の各種作業を行うことが可能である。
後フレーム1Bには、オペレータが搭乗する運転室12と、ホイールローダ1の駆動システムを構成する各機器が内部に収容された機械室13と、車体が傾倒しないように荷役作業機2とのバランスを保つためのカウンタウェイト14と、が設けられている。後フレーム1Bにおいて、運転室12は前部に、カウンタウェイト14は後部に、機械室13は運転室12とカウンタウェイト14との間に、それぞれ配置されている。
ホイールローダ1は、トルクコンバータ式の走行駆動システムによって車体の走行が制御されており、図2に示すように、エンジン30と、エンジン30の出力軸に連結されたトルクコンバータ31(以下、「トルコン31」とする)と、トルコン31の出力軸に連結されたトランスミッション32と、を備えている。
エンジン30は、運転室12内においてオペレータがイグニッションスイッチ121をONに操作することにより始動し、さらにアクセルペダル122を踏み込むことにより回転する。エンジン30の回転数(以下、単に「エンジン回転数」とする)はアクセルペダル122の踏込量に比例しており、アクセルペダル122の踏込量が大きくなるにつれてエンジン回転数も増加する。エンジン回転数は、エンジン30に取り付けられた回転数センサ30Aにより検出される。
エンジン30の冷却水は、ラジエータ40へ流れ込み、ラジエータ40で冷却された後、再びエンジン30へ戻る。エンジン30の冷却水の温度Tc(以下、単に「冷却水温Tc」とする)は、ラジエータ40の入口側に設けられた冷却水温センサ40Aで検出されてコントローラ5に入力される。
トルコン31は、インペラ、タービン、およびステータで構成された流体クラッチであり、作動流体としてのトルコン油を介してエンジン30の駆動力をトランスミッション32に伝達する。トルコン31は、入力トルクに対して出力トルクを増大させる機能、すなわちトルク比(=出力トルク/入力トルク)を1以上とする機能を有する。このトルク比は、トルコン31の入力軸の回転速度と出力軸の回転速度の比であるトルコン速度比(=出力軸回転速度/入力軸回転速度)が大きくなるにつれて小さくなる。これにより、エンジン30の回転力は、トルコン31を介して回転速度が変速された上でトランスミッション32に伝達される。
トルコン31のトルコン油は、トルコン31から作動流体クーラとしてのトルコン油クーラ41へ流れ込み、トルコン油クーラ41で冷却された後に、再びトルコン31へ戻る。トルコン油の温度(作動流体温)Tb(以下、単に「トルコン油温Tb」とする)は、トルコン油クーラ41の入口側に設けられた作動流体温センサとしてのトルコン油温センサ41Aで検出されてコントローラ5に入力される。
トランスミッション32は、前進クラッチおよび後進クラッチと、複数の速度段クラッチと、これらのクラッチを制御する複数の電磁弁と、を有しており、前進走行および後進走行のそれぞれにおいてトルコン31の出力軸の回転速度を1~4速度段のいずれかに対応した速度に変速する自動変速機である。複数の電磁弁は、コントローラ5から出力された指令信号に基づいて前進クラッチおよび後進クラッチと複数の速度段クラッチとの係合状態(組合せ)を制御する。トランスミッション32で変速された回転力は、プロペラシャフト15、およびアクスル16を介して複数の車輪11にそれぞれ伝達され、これによりホイールローダ1が走行する。
ホイールローダ1の進行方向、すなわち前進または後進の切り換えは、運転室12内に設けられた前後進切換装置としての前後進切換レバー123を操作することにより行われる。前後進切換レバー123は、車体を前進させる前進位置F、車体を停止させる中立位置N、および車体を後進させる後進位置Rのそれぞれに切り換わる。前後進切換レバー123が前進位置Fに切り換わるとトランスミッション32の前進クラッチが係合状態となり、前後進切換レバー123が後進位置Rに切り換わるとトランスミッション32の後進クラッチが係合状態となる。また、前後進切換レバー123が中立位置Nに切り換わると前進クラッチおよび後進クラッチはいずれも解放状態となる。
ホイールローダ1では、前後進切換レバー123が後進位置Rに切り換わると、すなわちトランスミッション32の後進クラッチが係合状態になると、バックブザー17が作動する。このバックブザー17は、前後進切換レバー123が後進位置Rに切り換えられた場合に車体が後進していることに対応づけられた報知音を車外にいる作業員等に報知する報知装置の一態様であり、車体の後部に取り付けられている。
また、車体の後部には、ホイールローダ1の後方にいる作業員等(検知対象)を検知する後方監視装置としての後方カメラ18が設けられている。なお、後方監視装置として必ずしもカメラを用いる必要はなく、例えばミリ波レーダを用いることも可能である。
ホイールローダ1は、エンジン30により駆動される荷役用油圧ポンプ20と、荷役用油圧ポンプ20と油圧シリンダ22,24との間に設けられた方向制御弁26と、を備える。
荷役用油圧ポンプ20は、作動油タンク27から吸入した作動油を油圧シリンダ22,24のそれぞれに供給する。図2では、荷役用油圧ポンプ20は、傾転角に応じて押し退け容積が制御される斜板式あるいは斜軸式の可変容量型の油圧ポンプであるが、必ずしも可変容量型の油圧ポンプである必要はなく、固定容量型の油圧ポンプを用いてもよい。方向制御弁26は、荷役用油圧ポンプ20から吐出されて油圧シリンダ22,24に流入する作動油の流れ(方向および流量)を制御する。
荷役作業機2を駆動するための作動油は、作動油タンク27から荷役用油圧ポンプ20で吸い上げられて吐出され、方向制御弁26を経由してオイルクーラ42へ流れ込み、オイルクーラ42で冷却された後、再び作動油タンク27へ戻る。作動油の温度Ta(以下、単に「作動油温Ta」とする)は、オイルクーラ42の入口側に設けられた作動油温センサ42Aで検出されてコントローラ5に入力される。
機械室13内には、走行駆動システムや荷役作業機2の駆動システムといったホイールローダ1の駆動システムを構成する機器の他に、エンジン30の冷却水やトルコン31のトルコン油、荷役作業機2の作動油、および運転室12に設けられた空調装置の冷媒を冷却するための冷却ユニット400が後側に搭載されている(図1において破線で示す)。
冷却ユニット400は、熱交換器ユニット4と、外気を取り込んで熱交換器ユニット4に送風する冷却ファン44と、冷却ファン44を駆動する冷却ファン駆動装置45と、を備えている。
熱交換器ユニット4は、前述したラジエータ40、トルコン油クーラ41、およびオイルクーラ42の他に、空調装置の冷媒を冷却するコンデンサ43を含んで構成されている。なお、空調装置の冷媒の圧力Pb(以下、単に「冷媒圧Pb」とする)は、コンデンサ43の上流側に取り付けられた冷媒圧センサ43Aで検出されてコントローラ5に入力される。
冷却ファン駆動装置45は、エンジン30により駆動されるファン用油圧ポンプ451と、冷却ファン44を回転させるファン用油圧モータ452と、ファン用油圧モータ452の回転速度を制御するリリーフ弁453と、エンジン30の回転速度の変化によりファン用油圧ポンプ451とファン用油圧モータ452とを接続する接続管路45Aが負圧になった場合のキャビテーションを防止するチェック弁454と、を備えている。
ファン用油圧ポンプ451は、ファン用油圧モータ452に作動油を供給する。図2では、ファン用油圧ポンプ451は、固定容量型の油圧ポンプを用いているが、これに限らず、可変容量型の油圧ポンプを用いてもよい。ファン用油圧ポンプ451の吐出側管路、すなわち接続管路45A上には、ファン用油圧ポンプ451の吐出圧を検出する吐出圧センサ451Aが取り付けられている。吐出圧センサ451Aで検出された吐出圧は、コントローラ5に入力されてファン用油圧モータ452の回転速度を制御する際に用いられる。
リリーフ弁453は、電磁式の可変リリーフ弁であり、接続管路45Aと、ファン用油圧モータ452と作動油タンク27とを接続する排出管路45Bとの間に設けられている。リリーフ弁453は、コントローラ5から出力された制御信号にしたがって、ファン用油圧ポンプ451からファン用油圧モータ452へ供給される作動油の最高圧を規定し、接続管路45Aの圧力(ファン用油圧ポンプ451の吐出側の圧力)を制御する。これにより、ファン用油圧モータ452の回転速度が制御されて、冷却ファン44の回転速度を調整することを可能としている。
コントローラ5は、冷却ファン駆動装置45を制御して、熱交換器ユニット4の冷却性能が確保されるように冷却ファン44の回転速度を調整している。以下、コントローラ5の機能構成について実施形態ごとに説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るコントローラ5の機能構成について、図3~8を参照して説明する。
(コントローラ5の構成)
まず、コントローラ5の構成について、図3~5を参照して説明する。
図3は、第1実施形態に係るコントローラ5が有する機能を示す機能ブロック図である。図4は、第1実施形態に係るコントローラ5の機能の一部を説明する説明図である。図5は、連続後進時間特性テーブルY1を示すグラフである。
コントローラ5は、CPU、RAM、ROM、HDD、入力I/F、および出力I/Fがバスを介して互いに接続されて構成される。そして、イグニッションスイッチ121および前後進切換レバー123といった各種の操作装置、および冷却水温センサ40A、トルコン油温センサ41A、作動油温センサ42A、冷媒圧センサ43A、および回転数センサ30Aといった各種のセンサ等が入力I/Fに接続され、リリーフ弁453やバックブザー17等が出力I/Fに接続されている。
このようなハードウェア構成において、ROMやHDD若しくは光学ディスク等の記録媒体に格納された制御プログラム(ソフトウェア)をCPUが読み出してRAM上に展開し、展開された制御プログラムを実行することにより、制御プログラムとハードウェアとが協働して、コントローラ5の機能を実現する。
なお、本実施形態では、コントローラ5をソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成されるコンピュータとして説明しているが、これに限らず、例えば他のコンピュータの構成の一例として、ホイールローダ1の側で実行される制御プログラムの機能を実現する集積回路を用いてもよい。
図3に示すように、コントローラ5は、データ取得部50と、エンジン状態判定部51と、進行方向判定部52と、連続後進時間計測部53と、回転速度演算部54と、記憶部55と、最大値選択部56と、最小値選択部57と、信号出力部58と、を含む。
データ取得部50は、イグニッションスイッチ121から出力された操作信号、前後進切換レバー123から出力された切換信号、冷却水温センサ40Aで検出された冷却水温Tc、トルコン油温センサ41Aで検出されたトルコン油温Tb、作動油温センサ42Aで検出された作動油温Ta、冷媒圧センサ43Aで検出された冷媒圧Pb、および回転数センサ30Aで検出されたエンジン回転数NEに関するデータをそれぞれ取得する。
エンジン状態判定部51は、データ取得部50で取得されたイグニッションスイッチ121からの操作信号に基づいて、イグニッションスイッチ121のON状態またはOFF状態、すなわちエンジン30の動作状態を判定する。
進行方向判定部52は、データ取得部50で取得された前後進切換レバー123からの切換信号に基づいて、前後進切換レバー123が前進位置F、中立位置N、および後進位置Rのうちのいずれの位置に切り換わっているかを判定する。
連続後進時間計測部53は、進行方向判定部52において前後進切換レバー123が後進位置Rに切り換わったと判定されると、すなわち車体が後進すると、車体が後進を続けている時間である連続後進時間Tの計測を行う。
回転速度演算部54は、進行方向判定部52において前後進切換レバー123が前進位置Fまたは中立位置Nに切り換わったと判定されると、図4に示す第1~第5通常時特性テーブルX1~X5にしたがった冷却ファン44の目標回転速度N1~N5を演算する。
第1通常時特性テーブルX1は、冷却水温と冷却ファン目標回転速度との関係を規定しており、冷却水温が上昇するにつれて冷却ファン目標回転速度が比例して速くなる。回転速度演算部54は、データ取得部50で取得された冷却水温Tcをこの第1通常時特性テーブルX1にあてはめて冷却ファン44の第1目標回転速度N1を演算する。すなわち、第1目標回転速度N1は、冷却水温に対応づけられた冷却ファン目標回転速度である。
第2通常時特性テーブルX2は、作動油温と冷却ファン目標回転速度との関係を規定しており、作動油温が上昇するにつれて冷却ファン目標回転速度が比例して速くなる。回転速度演算部54は、データ取得部50で取得された作動油温Taをこの第2通常時特性テーブルX2にあてはめて冷却ファン44の第2目標回転速度N2を演算する。すなわち、第2目標回転速度N2は、作動油温に対応づけられた冷却ファン目標回転速度である。
第3通常時特性テーブルX3は、トルコン油温と冷却ファン目標回転速度との関係を規定しており、トルコン油温が上昇するにつれて冷却ファン目標回転速度が比例して速くなる。回転速度演算部54は、データ取得部50で取得されたトルコン油温Tbをこの第3通常時特性テーブルX3にあてはめて冷却ファン44の第3目標回転速度N3を演算する。すなわち、第3目標回転速度N3は、トルコン油温に対応づけられた冷却ファン目標回転速度である。
第4通常時特性テーブルX4は、冷媒圧と冷却ファン目標回転速度との関係を規定しており、冷媒圧が大きくなるにつれて冷却ファン目標回転速度が比例して速くなる。回転速度演算部54は、データ取得部50で取得された冷媒圧Pbをこの第4通常時特性テーブルX4にあてはめて冷却ファン44の第4目標回転速度N4を演算する。すなわち、第4目標回転速度N4は、冷媒圧に対応づけられた冷却ファン目標回転速度である。
第5通常時特性テーブルX5は、エンジン回転数と冷却ファン目標回転速度との関係を規定しており、エンジン回転数が増加するにつれて冷却ファン目標回転速度が比例して速くなる。回転速度演算部54は、データ取得部50で取得されたエンジン回転数NEをこの第5通常時特性テーブルX5にあてはめて冷却ファン44の第5目標回転速度N5を演算する。すなわち、第5目標回転速度N5は、エンジン回転数に対応づけられた冷却ファン目標回転速度である。
また、回転速度演算部54は、進行方向判定部52において前後進切換レバー123が後進位置Rに切り換わったと判定されてバックブザー17が報知を行う場合に、図5に示す連続後進時間特性テーブルY1に対応した冷却ファン44の連続後進時間基準回転速度NCを演算する。
連続後進時間特性テーブルY1は、連続後進時間と冷却ファン回転速度との関係を規定しており、冷却ファン回転速度が下限回転速度NL以上であって上限回転速度NF未満の範囲内で、連続後進時間が経過するにつれて冷却ファン回転速度が比例して速くなる。すなわち、連続後進時間基準回転速度NCは、下限回転速度NL以上であって上限回転速度NF未満の範囲内で、連続後進時間が経過するにつれて大きくなる冷却ファン回転速度である第1回転速度に相当する。
ここで、「下限回転速度NL」とは、熱交換器ユニット4の冷却性能が確保される必要最小限の冷却ファン回転速度であって、最低限バックブザー17が報知を行っている時間内であれば熱交換器ユニット4の冷却性能が発揮されるように、熱交換器ユニット4に対応して設定された冷却ファン回転速度である。冷却ファン44がこの下限回転速度NLで回転している場合、冷却ファン44の騒音は最小限に抑えられ、車体後方にいる作業員等はバックブザー17の報知音を十分に聞き取ることができる。
また、「上限回転速度NF」とは、車体の前進時に設定される冷却ファン回転速度であって、熱交換器ユニット4の冷却性能が継続して確保されるように、熱交換器ユニット4に対応して設定された冷却ファン回転速度である。冷却ファン44がこの上限回転速度NFで回転している場合、熱交換器ユニット4の冷却性能が維持されるため、ホイールローダ1は、走行加速性能や荷役作業機2の動作速度が低下しにくく、作業を効率よく行うことができる。
連続後進時間特性テーブルY1は、冷却ファン回転速度が下限回転速度NL以上であって上限回転速度NF未満の範囲内に制限されている点が、第1~第5通常時特性テーブルX1~X5と大きく異なる。したがって、連続後進時間特性テーブルY1では、図5に示すように、冷却ファン回転速度が取り得る最小値Nminは、下限回転速度NLと同じ値か、または下限回転速度NLよりも大きい値であり(Nmin≧NL)、冷却ファン回転速度が取り得る最大値Nmaxは、上限回転速度NFよりも小さい値である(Nmax<NF)。なお、図5では、冷却ファン回転速度が取り得る最小値Nminは、下限回転速度NLと同じ値としている(Nmin=NL)。
記憶部55はメモリであって、このメモリには第1~第5通常時特性テーブルX1~X5および連続後進時間特性テーブルY1がそれぞれ記憶されている。
最大値選択部56は、図4に示すように、回転速度演算部54において演算された第1~第4目標回転速度N1~N4のうち最も大きい目標回転速度を選択する。例えば、最大値選択部56で第1目標回転速度N1が選択された場合、車体が前進または停止の状態において、冷却水温、作動油温、トルコン油温、および冷媒圧のそれぞれに対応づけられた冷却ファン目標回転速度のうち冷却水温に対応づけられた冷却ファン目標回転速度が最も大きいことから、冷却水温が最も上昇していることを示す。すなわち、ラジエータ40、トルコン油クーラ41、オイルクーラ42、およびコンデンサ43の中でラジエータ40が最も冷却されなければならない熱交換器の対象となっていることを示している。したがって、最大値選択部56では、最も上昇している冷却水温を冷却するために対応づけられた冷却ファン目標回転速度である第1目標回転速度N1が最大値として選択される。
最小値選択部57は、最大値選択部56で選択された目標回転速度と第5目標回転速度N5のうち小さい方の目標回転速度を選択する。これは、第5目標回転速度N5が、車体が前進または停止の状態における目標回転速度の制限値となっていることを意味しており、最大値選択部56で選択された目標回転速度が当該制限値を超えないように目標回転速度が補正される。
信号出力部58は、進行方向判定部52において前後進切換レバー123が後進位置Rに切り換えられたと判定されると、報知を行う旨の報知指令信号をバックブザー17に対して出力し、回転速度演算部54で演算された連続後進時間基準回転速度NCに基づく制限信号をリリーフ弁453に対して出力する。
また、信号出力部58は、進行方向判定部52において前後進切換レバー123が前進位置Fまたは中立位置Nに切り換わったと判定された場合には、図4に示すように、最小値選択部57で選択された目標回転速度に基づく制御信号をリリーフ弁453に対して出力する。
(コントローラ5内での処理)
次に、コントローラ5内で実行される具体的な処理の流れについて、図6~8を参照して説明する。
図6は、第1実施形態に係るコントローラ5で実行される全体処理の流れを示すフローチャートである。図7は、第1実施形態に係るコントローラ5で実行される通常時制御処理(ステップS503)の流れを示すフローチャートである。図8は、第1実施形態に係るコントローラ5で実行される後進時制限処理(ステップS505)の流れを示すフローチャートである。
図6に示すように、まず、エンジン状態判定部51は、データ取得部50で取得されたイグニッションスイッチ121からの操作信号に基づいて、エンジン30が始動したか否かを判定する(ステップS501)。
ステップS501においてエンジン30が作動したと判定されると(ステップS501/YES)、進行方向判定部52は、前後進切換レバー123が後進位置Rに切り換わったか否かを判定する(ステップS502)。なお、ステップS501においてエンジン30が始動したと判定されなかった場合(ステップS501)は、エンジン30が始動するまでステップS502以降に進まない。
ステップS502において前後進切換レバー123が後進位置Rに切り換わっていない、すなわち前進位置Fまたは中立位置Nに切り換わったと判定された場合(ステップS502/NO)、通常時制御処理(ステップS503)に進む。
一方、ステップS502において前後進切換レバー123が後進位置Rに切り換わったと判定された場合(ステップS502/YES)、信号出力部58は、報知指令信号をバックブザー17に対して出力し(ステップS504)、後進時制限処理(ステップS505)に進む。
通常時制御処理(ステップS503)または後進時制限処理(ステップS505)が終了すると、エンジン状態判定部51は、エンジン30が停止したか否かを判定する(ステップS506)。ステップS506においてエンジン30が停止したと判定されると(ステップS506/YES)、コントローラ5は処理を終了する。ステップS506においてエンジン30が停止していない、すなわち作動中であると判定されると(ステップS506/NO)、ステップS502に戻ってエンジン30が停止するまで処理を繰り返す。
図7に示すように、通常時制御処理(ステップS503)では、まず、データ取得部50が、回転数センサ30Aで検出されたエンジン回転数NE、冷却水温センサ40Aで検出された冷却水温Tc、作動油温センサ42Aで検出された作動油温Ta、トルコン油温センサ41Aで検出されたトルコン油温Tb、および冷媒圧センサ43Aで検出された冷媒圧Pbをそれぞれ取得する(ステップS531)。
次に、回転速度演算部54は、ステップS531で取得した冷却水温Tcに基づき第1通常時特性テーブルX1に対応した第1目標回転速度N1を、ステップS531で取得した作動油温Taに基づき第2通常時特性テーブルX2に対応した第2目標回転速度N2を、ステップS531で取得したトルコン油温Tbに基づき第3通常時特性テーブルX3に対応した第3目標回転速度N3を、ステップS531で取得した冷媒圧Pbに基づき第4通常時特性テーブルX4に対応した第4目標回転速度N4を、ステップS531で取得したエンジン回転数NEに基づき第5通常時特性テーブルX5に対応した第5目標回転速度N5を、それぞれ演算する(ステップS532)。
次に、最大値選択部56は、ステップS532で演算された第1~第4目標回転速度N1~N4のうち最大値を選択する(ステップS533)。続いて、最小値選択部57は、ステップS533で選択された最大値およびステップS532で演算された第5目標回転速度N5のうち小さい方を選択する(ステップS534)。
そして、信号出力部58は、ステップS534で選択された小さい方の回転速度に基づく制御信号をリリーフ弁453に対して出力し(ステップS535)、コントローラ5における通常時制御処理が終了する。
図8に示すように、後進時制限処理(ステップS505)では、まず、連続後進時間計測部53が、連続後進時間Tの計測を開始する(ステップS551)。次に、回転速度演算部54は、ステップS551で計測された連続後進時間Tに基づき連続後進時間特性テーブルY1に対応した連続後進時間基準回転速度NCを演算する(ステップS552)。
そして、信号出力部58は、ステップS552で演算された連続後進時間基準回転速度NCに基づく制限信号をリリーフ弁453に対して出力し(ステップS553)、コントローラ5における後進時制限処理(ステップS505)が終了する。
このように、コントローラ5は、車体の後進時において、冷却ファン44の回転速度を制限することにより冷却ファン44の騒音を低減することができるため、車体の後方にいる作業員等はバックブザー17から報知される注意喚起の報知音が聞き取りやすい。また、本実施形態では、コントローラ5は、冷却ファン44の回転速度を、下限回転速度以上上限回転速度未満の範囲内において連続後進時間Tの経過に応じて大きくなるように可変に制限することにより、バックブザー17の報知音を聞き取りやすくしながらも、熱交換器ユニット4の冷却性能を確保している。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るコントローラ5Aの機能構成について、図9~11を参照して説明する。図9~11において、第1実施形態に係るホイールローダ1について説明したものと共通する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図9は、第2実施形態に係るコントローラ5Aが有する機能を示す機能ブロック図である。図10は、第2実施形態に係るコントローラ5Aの機能の一部を説明する説明図である。図11は、第2実施形態に係るコントローラ5Aで実行される後進時制限処理の流れを示すフローチャートである。
本実施形態に係るコントローラ5Aでは、後方カメラ18(図2参照)が入力I/Fに接続されており、データ取得部50Aは、後方カメラ18から出力された検知信号に関するデータを取得する。また、コントローラ5Aは、開始条件判定部59をさらに含んで構成されている。
開始条件判定部59は、データ取得部50Aで取得された後方カメラ18からの検知信号に基づいて、車体の後方に作業員等の検知対象を検知したか否かを判定する。また、開始条件判定部59は、データ取得部50Aで取得された冷却水温Tcがラジエータ40の冷却が不足する温度である冷却水温閾値Tc1よりも低いか否か、データ取得部50Aで取得された作動油温Taがオイルクーラ42の冷却が不足する温度である作動油温閾値Ta1よりも低いか否か、データ取得部50Aで取得されたトルコン油温Tbがトルコン油クーラ41の冷却が不足する温度であるトルコン油温閾値(作動流体温閾値)Tb11よりも低いか否か、およびデータ取得部50Aで取得された冷媒圧Pbがコンデンサ43の冷却が不足する圧力である冷媒圧閾値Pb1よりも低いか否かについて、それぞれ判定する。
すなわち、本実施形態では、コントローラ5Aは、後進時制限処理を開始(実行)する際、車体の後方に作業員等がいるか、ならびに冷却水温Tc、作動油温Ta、トルコン油温Tb、および冷媒圧Pbがそれぞれ、熱交換器ユニット4の冷却性能を維持した値になっているかについて条件を加えている(開始条件)。
回転速度演算部54Aは、開始条件判定部59において車体の後方に検知対象を検知したと判定されると共に、冷却水温Tcが冷却水温閾値Tc1よりも低く(Tc<Tc1)、かつ作動油温Taが作動油温閾値Ta1よりも低く(Ta<Ta1)、かつトルコン油温Tbがトルコン油温閾値Tb1よりも低く(Tb<Tb1)、かつ冷媒圧Pbが冷媒圧閾値Pb1よりも低い(Pb<Pb1)と判定された場合、すなわち開始条件を満たすと判定された場合、図10に示す連続後進時間特性テーブルY1に対応した連続後進時間基準回転速度NC、冷却水温特性テーブルY2に対応した冷却水温基準回転速度NW、作動油温特性テーブルY3に対応した作動油温基準回転速度NH、トルコン油温特性テーブルY4に対応したトルコン油温基準回転速度NT、および冷媒圧特性テーブルY5に対応した冷媒圧基準回転速度NPをそれぞれ演算する。
冷却水温特性テーブルY2は、冷却水温と冷却ファン回転速度との関係を規定しており、冷却ファン回転速度が下限回転速度NL以上であって上限回転速度NF未満の範囲内において、冷却水温が上昇するにつれて冷却ファン回転速度が比例して速くなる。すなわち、冷却水温基準回転速度NWは、下限回転速度NL以上であって上限回転速度NF未満の範囲内で、エンジン30の冷却水温が上昇するにつれて大きくなる冷却ファン回転速度である第2回転速度に相当する。
作動油温特性テーブルY3は、作動油温と冷却ファン回転速度との関係を規定しており、冷却ファン回転速度が下限回転速度NL以上であって上限回転速度NF未満の範囲内において、作動油温が上昇するにつれて冷却ファン回転速度が比例して速くなる。すなわち、作動油温基準回転速度NHは、下限回転速度NL以上であって上限回転速度NF未満の範囲内で、荷役作業機2の作動油温が上昇するにつれて大きくなる冷却ファン回転速度である第3回転速度に相当する。
トルコン油温特性テーブルY4は、トルコン油温と冷却ファン回転速度との関係を規定しており、冷却ファン回転速度が下限回転速度NL以上であって上限回転速度NF未満の範囲内において、トルコン油温が上昇するにつれて冷却ファン回転速度が比例して速くなる。すなわち、トルコン油温基準回転速度NTは、下限回転速度NL以上であって上限回転速度NF未満の範囲内で、トルコン31のトルコン油温が上昇するにつれて大きくなる冷却ファン回転速度である第4回転速度に相当する。
冷媒圧特性テーブルY5は、冷媒圧と冷却ファン回転速度との関係を規定しており、冷却ファン回転速度が下限回転速度NL以上であって上限回転速度NF未満の範囲内において、冷媒圧が大きくなるにつれて冷却ファン回転速度が比例して速くなる。すなわち、冷媒圧基準回転速度NPは、下限回転速度NL以上であって上限回転速度NF未満の範囲内で、空調装置の冷媒圧が高くなるにつれて大きくなる冷却ファン回転速度である第5回転速度に相当する。
記憶部(メモリ)55Aには、第1~第5通常時特性テーブルX1~X5および連続後進時間特性テーブルY1に加えて、冷却水温閾値Tc1、作動油温閾値Ta1、トルコン油温閾値Tb11、および冷媒圧閾値Pb1、ならびに冷却水温特性テーブルY2、作動油温特性テーブルY3、トルコン油温特性テーブルY4、および冷媒圧特性テーブルY5がそれぞれ記憶されている。
最大値選択部56Aは、図10に示すように、回転速度演算部54Aで演算された連続後進時間基準回転速度NC、冷却水温基準回転速度NW、作動油温基準回転速度NH、トルコン油温基準回転速度NT、および冷媒圧基準回転速度NPのうち最も大きい回転速度を選択する。
信号出力部58Aは、最大値選択部56Aで最大値として選択された冷却ファン回転速度にしたがった制限信号をリリーフ弁453に対して出力する。
図11に示すように、コントローラ5Aにおける後進時制限処理では、ステップS551において連続後進時間計測部53が連続後進時間Tの計測を開始すると、データ取得部50Aは、後方カメラ18からの検知信号、冷却水温センサ40Aで検出された冷却水温Tc、作動油温センサ42Aで検出された作動油温Ta、トルコン油温センサ41Aで検出されたトルコン油温Tb、および冷媒圧センサ43Aで検出された冷媒圧Pbをそれぞれ取得する(ステップS550)。
次に、開始条件判定部59は、ステップS550で取得された検知信号に基づいて、車体の後方に検知対象を検知したか否かを判定する(ステップS554)。ステップS554において検知対象を検知したと判定された場合(ステップS554/YES)、続いて、開始条件判定部59は、ステップS550で取得された冷却水温Tcが冷却水温閾値Tc1よりも低いか否かを判定する(ステップS555)。
ステップS555において冷却水温Tcが冷却水温閾値Tc1よりも低い(Tc<Tc1)と判定された場合(ステップS555/YES)、続いて、開始条件判定部59は、ステップS550で取得された作動油温Taが作動油温閾値Ta1よりも低いか否かを判定する(ステップS556)。
ステップS556において作動油温Taが作動油温閾値Ta1よりも低い(Ta<Ta1)と判定された場合(ステップS556/YES)、続いて、開始条件判定部59は、ステップS550で取得されたトルコン油温Tbがトルコン油温閾値Tb1よりも低いか否かを判定する(ステップS557)。
ステップS557においてトルコン油温Tbがトルコン油温閾値Tb1よりも低い(Tb<Tb1)と判定された場合(ステップS557/YES)、続いて、開始条件判定部59は、ステップS550で取得された冷媒圧Pbが冷媒圧閾値Pb1よりも低いか否かを判定する(ステップS558)。
ステップS558において冷媒圧Pbが冷媒圧閾値Pb1よりも低い(Pb<Pb1)と判定された場合(ステップS558/YES)、回転速度演算部54Aは、連続後進時間Tに基づき連続後進時間特性テーブルY1に対応した連続後進時間基準回転速度NC、冷却水温Tcに基づき冷却水温特性テーブルY2に対応した冷却水温基準回転速度NW、作動油温Taに基づき作動油温特性テーブルY3に対応した作動油温基準回転速度NH、トルコン油温閾値Tb1に基づきトルコン油温特性テーブルY4に対応したトルコン油温基準回転速度NT、および冷媒圧Pbに基づき冷媒圧特性テーブルY5に対応した冷媒圧基準回転速度NPをそれぞれ演算する(ステップS552A)。
次に、最大値選択部56Aは、ステップS552Aで演算された連続後進時間基準回転速度NC、冷却水温基準回転速度NW、作動油温基準回転速度NH、トルコン油温基準回転速度NT、および冷媒圧基準回転速度NPのうち最大値を選択する(ステップS559)。
そして、信号出力部58Aは、ステップS559において選択された回転速度(最大値)に基づく制限信号を出力し(ステップS553A)、コントローラ5Aにおける後進時制限処理が終了する。
このように、コントローラ5Aが、連続後進時間基準回転速度NCに加えて、冷却水温基準回転速度NW、作動油温基準回転速度NH、トルコン油温基準回転速度NT、および冷媒圧基準回転速度NPを演算し、これらのうちから最大値を選択して制限信号を出力することにより、冷却ファン44の回転速度を下限回転速度以上上限回転速度未満の範囲内に制限したとしても、最も冷却不足になっている機器に合わせて冷却ファン44の回転速度を可変に制限可能であるため、冷却ファン44の騒音対策を講じつつも熱交換器ユニット4の冷却性能が確保される。
ステップS554において車体の後方に検知対象を検知しないと判定された場合(ステップS554/NO)、ステップS555において冷却水温Tcが冷却水温閾値Tc1以上である(Tc≧Tc1)と判定された場合(ステップS555/NO)、ステップS556において作動油温Taが作動油温閾値Ta1以上である(Ta≧Ta1)と判定された場合(ステップS556/NO)、ステップS557においてトルコン油温Tbがトルコン油温閾値Tb1以上である(Tb≧Tb1)と判定された場合(ステップS557/NO)、およびステップS558において冷媒圧Pbが冷媒圧閾値Pb1以上である(Pb≧Pb1)と判定された場合(ステップS558/NO)はいずれも、通常時制御処理(ステップS503)に進み、車体の後進時における冷却ファン44の回転速度の制限が解除される。
ステップS554においてNOの場合については、車体の後方に作業員等がいないときにはバックブザー17の報知音を聞き取りやすくする必要がないためである。また、ステップS555~S558においてNOの場合については、熱交換器ユニット4の冷却が不足している状態であるため、前後進切換レバー123が後進位置Rに切り換わっていたとしても、オーバーヒートを防ぐために熱交換器ユニット4の冷却を優先するためである。なお、この場合に、運転室12(図1参照)内にいるオペレータに対して、前後進切換レバー123が後進位置Rに切り換わっているが、コントローラ5Aは通常時制御処理(ステップS503)を実行している旨をモニター等で表示すると好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、本実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、本実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。またさらに、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
例えば、上記実施形態では、作業車両の一態様としてホイールローダ1について説明したが、これに限らず、例えばホークリフトやダンプトラック等の他の作業車両についても本発明を適用することが可能である。
また、上記実施形態では、ホイールローダ1は、トルコン駆動式の走行駆動システムが搭載されていたが、これに限らず、例えばHST駆動式の駆動システム等であってもよく、走行駆動システムの方式については特に制限はない。
また、上記実施形態では、冷却ファン駆動装置45は油圧駆動式であったが、これに限らず、電動モータを用いてコントローラ5,5Aが直接的に電動モータに制御信号および制限信号を出力して回転速度を調整してもよい。
また、上記第2実施形態では、開始条件判定部59は、冷却水温、作動油温、トルコン油温、および冷媒圧のすべてについてそれぞれの閾値と比較しているが、少なくとも冷却水温を冷却水温閾値と比較すれば足りる。また、比較する順番(図11におけるステップS555~S558の順番)については特に制限はない。