添付の図面を参照して、本開示の特定の実施形態について説明する。図面ならびに以下の説明において、同様の符号は同様または同一の要素を示しており、また、「近位(proximal)」という用語は、使用時にオペレータまたはユーザに最も近い装置の端部を指し、「遠位(distal)」という用語は、使用時にオペレータまたはユーザから遠い側の装置の端部を指すものとする。
図1A~1Cを参照すると、通信パッチシステム100は、例えばラックまたはキャビネットなどのハウジング2を備えることができる。ハウジング2によって、長さL、高さH、幅W1を決定することができる。ハウジング2は、1つ以上のパッチパネルデバイス110を支持することができる。各デバイス110はガイドレール2b(図1C)で上下に整列して保持されており、複数のガイドレール2bも、ハウジング2の少なくとも1つの側面に沿って上下に整列して配置されている。ケーブルトラフ4は、ハウジング2の近位角、遠位角、または近位角と遠位角の中間部に配置するなど、ハウジング2に隣接して配置することができる。ケーブルトラフ4は、システム100の(例えば、ポール、壁、および他の支持体を備えることができる)フレームに取り付けることができ、複数のケーブルCがケーブルトラフ4内を上下方向に延びる形でケーブルCを収容することができるように構成することができる。ケーブルトラフ4は、ケーブルを収容し案内するための任意の適切な形態をとることができ、例えば、複数のガイドリング、溝、または他の中空の通路などを備えることができる。
各パッチパネルデバイス110は、複数のアダプタまたはポート7を備え、各ポート7は、ケーブルC(図1B)を内部に固定するためのレセプタクル5を有することができる。ポート7のレセプタクル5には、1本以上のケーブルCを動作可能に連結することができる。例えば、レセプタクル5は、単方向通信が可能な(simplex)構成であっても、双方向通信が可能な(duplex)構成であってもよい。ポート7は、取付部51を備えることができる。取付部51はポート7の骨格をなすものであり、これによりポート7すなわちレセプタクル5を例えば、レール41,43(図2C)などの接続手段に容易に固定することができる。いくつかの実施形態では、ポート7の取付部51は、ポート7と一体に形成されていてよく、あるいはレセプタクル5に連結される別体のコンポーネントであってもよい。また、いくつかの実施形態では、以下に述べるように、取付部51がレセプタクル5を接続する接続手段の一部をなしていてもよい。
パッチパネルデバイス110は、ユーザがパッチパネルデバイス110を容易に掴んだり、取り扱ったりすることができるように、パッチパネルデバイス110のいずれかの端部にタブ11を備えることができる。ハウジング2が支持するポート7の数的密度は、ハウジング2の寸法の関数とすることができる。図1Aに示すように、各々が幅xと高さyを有するポート7は、ポート7の行数が高さHと直接相関し、ポート7の列数が幅W1と直接相関する行列状に配置することができる。
通信パッチシステム100は、第1の状態(図1A)と第2の状態(図1B)との間で移行可能とされている。第1の状態では、1つ以上のパッチパネルデバイス110は、ハウジング2の近位端すなわち近位面Pに対して初期の位置に置かれている。このとき、図1Aに示すように、パッチパネルデバイス110をハウジング2の面Pと略面一の状態とすることができる。第2の状態では、パッチパネルデバイス110うち1つ以上が、ハウジング2の近位端すなわち近位面Pから矢印Zの方向に離れたより近位側の位置にくることができる。パッチパネルデバイス110が近位側に移動すると、ポート7は、隙間すなわち間隔距離dだけ互いに離間した状態に移行することができる(図1B)。
パッチパネルデバイス110は、図2Aに最もよく示されている第1の状態と図2Bに最もよく示されている第2の状態との間で移行可能とされている。パッチパネルデバイス110はバー19を備えることができる。バー19をハウジング2の両側面2aにそれぞれ固定することにより、パッチパネルデバイスをハウジング2内に容易に取り付けることができる。各バー19には、第1のアーム部21と第2のアーム部31とを備えるヒンジ付きアーム部材114が摺動可能に接続されている。第1のアーム部21は、ピン27を貫通させるように構成かつなった長孔25を備えることができる。ピン27によって、第1のアーム部21がバー19に対して長孔25の長さ方向に摺動可能となるように、第1のアーム部21をバー19に固定することができる。ヒンジ付きアーム114の第1のアーム部21と第2のアーム部31とは、ヒンジ33で互いに旋回可能に接続されており、これにより、第2のアーム部31は第1のアーム部21に対して容易に回動することができる。
ポート7は、接続手段16に動作可能に連結することができる。ポート7は、接続手段16が幅W1(図2A)に等しい第1の長さから拡大後の幅W2(図2B)に等しい第2の長さに移行すると、ポート7どうしが互いに離間した位置になるように移動するかあるいは移動可能となることができる。一実施形態では、ポート7は互いに離間する。このとき、ポート7を、等しい隙間すなわち等しい間隔距離dを空けて均等に離間させることができる。ただし、第2の状態において、隣接するポート7間の間隔距離dは異なっていてもよく、すなわち、不均一であってもよい。さらに、各ポート7を個別に、接続手段16の長さ方向に摺動すなわち移動させることもできる。この場合、隣接するポート7間の隙間すなわち間隔距離dの調節をユーザの希望通りに行うことが容易になる。
ヒンジ付きアーム部材114が、バー19の長さ方向の一部または略全長に亘ってバー19内に形成された溝(図示省略)と相互作用するリップ(図示省略)を備えるようにすることも考えられる。これにより、バー19に対するヒンジ付きアーム部材114の安定性の向上とバー19に対するヒンジ付きアーム部材114の動きの制御性の向上を図ることができる。
図2Cに最もよく示されているように、接続手段16は、1つ以上の伸縮レール41,43を備えることができる。この伸縮レール41,43は、摺動させることにより接続手段16の全長を調整可能とするものである。尚、図2Cでは2本の平行レール41,43を有するものとして示されているが、1本のレールを用いてもよい。接続手段16の全長が大きくなるほど、隣接するポート7間の隙間すなわち間隔距離dも大きくとることができる点に留意されたい。平行レール41は交互配列部41a,41bを、平行レール43は交互配列部43a,43bを備えることができる。交互配列部41a,43aは、ポート7を連結することができる交互配列部41b,43b内をそれぞれ摺動するように構成かつ適合されており、これにより、接続手段16を伸縮可能に構成されている。各レール41,43の中空の中心部内に、弾性部材または付勢部材(図示省略)を設けても良い。これにより、接続手段16を第1の寸法W1か第2の寸法W2のいずれかに付勢しておくことができる。
交互配列部41b,43bは開部の外周をなすものであり、これにより、交互配列部41a,41bおよび43a,43bの相互相対的な動きを妨げずに、ポート7どうしが互いにより密に近接するまでポート7を移動させることができる。さらに、交互配列部41a,41bおよび43a,43bの長さは、ポート7を互いに密接させて隣接するポートどうしを当接させることが容易となるように選択することができる。各ポート7は、種々の方法でレール41,43に固定されていてよく、あるいはレール41,43と一体に形成されていてもよい。他の実施形態では、レール41,43に代えて異なる接続手段を用いることも考えられる。一実施形態では、レール41,43に代えて弾性ベルトを用いることができる。ポートに手が届きやすくなるように、パッチパネルデバイスのポート間に、左右の間隔、角度間隔あるいは他の間隔を空けるための構成としては、他にも様々なものが利用できる。例えば、米国特許出願第2014/0355217号や、第2014/0357118号、第2014/0354131号に詳述されている構成が挙げられるが、これらの開示内容はいずれも参照することにより本明細書に組み込まれる。
例として、図3A~3Dを参照して、パッチパネルデバイスの他の実施形態を説明する。パッチパネルデバイス210は、互いに隣接して配置された複数の取付部材232を備えることができる。各取付部材232は、他の取付部材232の可動部材に対して回動可能すなわち旋回可能とされている可動部材246を備えることができる。隣接する部材232の可動部材246は、その一方の可動部材246が他方の可動部材に対して回動可能となるように、動作可能に互いに対して連結され得る。一実施形態では、可動部材246の相互相対的な径方向移動を可能にするスナップ嵌合で、可動部材246を互いに連結することができる。また、少なくとも2つの固定部材244を、複数の取付部材232の両端に固定することができる。この場合、これらの固定部材244で、複数の取付部材232をトレイ231に固定することができる。他の実施形態では、固定部材244を各可動部材246の間にそれぞれ配置することもできる。各可動部材246には、一部のみ図示している1本以上のケーブルC1を動作可能に連結することができる。各可動部材246はケーブルアダプタまたはケーブルコネクタ249を備えることができ、コネクタ249は、1本のケーブルC1を動作可能に連結することができる前面249aと、他の1本のケーブルC1を動作可能に連結することができる背面249bとを備えることができる。可動部材246は、内部にコネクタ249を取り外し可能に固定できるレセプタクル247を備えることができ、これにより、コネクタ249を取付部材232から取り外すことができる。
可動部材246は、トレイ231に対して回動することができるように、トレイ231の縁231aから離間して配置することができる。一実施形態では、トレイ231が可動部材246の位置に切欠(図示省略)を有して、可動部材246がトレイ231に対して動く範囲を広げるようにすることもできる。トレイ231は、その長さ方向に延びる軸zと、その高さ方向に延びる軸yと、その幅方向に延びる軸xとを有することができる。そして、各固定部材244をトレイ231の長さ方向に延びる軸zと同軸に設置し、複数の固定部材244をトレイ231の幅方向に延びる軸xに沿って延在する1列をなすように配置することができる。
図3Cおよび図3Dに示すように、取付部材232の固定部材244と可動部材246とは、可動部材246が固定部材244に対して径方向に移動して固定部材244との間に角度Gをなすことができるように、互いに旋回可能に旋回中心248で接続することができる。特に、可動部材246はy軸とz軸との間で径方向に旋回することができ、これにより固定部材244との間に角度Gをなすことができる。トレイ231に固定されたとき、可動部材246は、反時計回り方向Tへは旋回できるが、反対方向すなわち時計回り方向への旋回はトレイ231によって阻止され得る。ただし、上述のように、トレイ231に切欠を設けることにより、トレイ231と可動部材246との間の相互作用を低減することができ、移動部材246がトレイ231に対して動く範囲を広げることができる。一実施形態では、角度Gを0°~135°の範囲内で調節することができる。他の実施形態では、角度Gを0°~90°の範囲内で調節することができる。例えば、一実施形態では、可動部材246は、パッチパネルデバイス210を第1の状態と第2の状態との間で移行させるような相互相対的な動きが可能とされている。第1の状態では、可動部材246の前面251は互いに略面一の状態となっており、部材246の隣接するものどうしは第1の距離だけ離間しているかあるいは互いに当接している。第2の状態では、隣接する部材246の一方が他方の隣接する部材246に対して旋回すなわち回動する角度Gに応じて、これら隣接する部材246の前面251は互いに異なる平面上にある。尚、第2の状態において、他方の部材246は、第1の状態における位置と同じ位置にあってもよく、あるいは同じ位置になくてもよい。
複数のパッチパネルデバイス210も、やはりハウジング2内部で支持して(図1A~1C参照)、軸zに沿った方向に直線移動させることにより、ハウジング2内に収めたり、取り出したりすることができる。可動部材246をハウジング2から離間させれば、可動部材246を固定部材244に対して旋回させることができるようになり、コネクタ249の面249a,249bを隣接するコネクタ249から浮かせることができる。これにより、ケーブルC1により手が届きやすくなり、ユーザが、ケーブルC1を掴んで、(図3Bに示すように)可動部材246のケーブルアダプタまたはケーブルコネクタ249から取り外すことがより容易にできるようになる。
図1A~1Cに関連して上述したように、特定のパッチパネルデバイスの複数のポート7には、ケーブルトラフ4内を上下方向に延びる複数のケーブルCを連結することができる。以下に、パッチパネルシステムのケーブルCを配線・管理するシステムをいくつか説明する。
図4A~4Dに、ケーブル管理システム300の一実施形態を示す。ケーブル管理システム300、および本明細書に記載のケーブル管理システムの他の実施形態は、本明細書に記載の適切な装置や米国特許公開第2014/0355217号、第2014/0357118号、および第2014/0354131号に記載の適切な装置を含む任意の適切なパッチパネルデバイスと共に用いることができるものであり、これら文献の開示内容はいずれも参照することにより本明細書に組み込まれる。図4A~4Dでは、ケーブル管理システム300をパッチパネルデバイス310と共に使用している状態で示している。このパッチパネルデバイス310は、以下に詳述する一部の相違点を除けばパッチパネルデバイス210と同様である。ケーブル管理システム300は、ハウジング2に対して位置が固定されている1つ以上のケーブルガイド400を備えることができる。図4A~4Dに示す実施形態においては、ケーブル管理システム300が備えるケーブルガイド400は、ハウジング2の両側に取り付けられているが、1つ以上のケーブルガイド400がハウジング2に対して位置が固定されていれば、任意の構成が適切であり得る。ケーブルCは、ポート7からケーブルガイド400を経由させてケーブルトラフ4(または他の任意の適切なケーブル配線先)まで配線されるが、その際、ポート7の取り付けられたトレイ331をハウジング2から引き出した場合に、トレイ331の各所において適切な量のたるみがケーブルCに保たれているように配線することができる。ケーブルガイド400の機能をより詳細に説明する前に、図5A~5Dに関連して、例示的なケーブルガイド400の構造を説明する。
図5Aは、ケーブル管理システム300の側部の部分拡大図である。特にハウジング2内部でポート7を担持する3枚のトレイ331が、ケーブルガイド400に隣接して示されている。図示の実施形態では、ケーブルガイド400は、ハウジング2に固定的に取り付けられる取付アーム410を備えている。さらに、ケーブルガイドは棚ユニットを備えることができる。棚ユニットは、複数の棚420を有しており、ケーブルガイド400の前端部に位置している。尚、棚420は、略平坦な上面と下面とを有することができるが、ケーブルCを棚420の上に載置させることができれば、他の構成も適切であり得る。一実施形態では、ケーブルガイド400は、ケーブルCが接続されている各トレイ331ごとに一対の隣接する棚420を備えることができる。各対の隣接する棚420どうしは、隣接するトレイ331間の上下方向の距離と略同様の距離だけ上下方向に離間している。各対の隣接する棚420の間は、前部および側部が実質的に開口していてよく、後面すなわち遠位面422で繋がっているか、あるいは他の方法によって囲まれていてよい。遠位面422に沿って延びるケーブルCが当該面に沿って所望の最小曲げ半径を有するように、各面422は丸みを帯びることができ、好ましくは凸状の湾曲を有し得る。
図5Bに示すように、取付アーム410は、複数の穴414を有するブラケット412を備えることができる。穴414は、取付アーム410をケーブルトラフ4などのデバイスに連結するため、あるいは取付アーム410をシャーシアセンブリや、ケーブル管理システム300に取り付けて用いることができる他のコンポーネントに取り付けるためのものである。ブラケット412はまた、棚ユニットを取付アーム410に容易に連結できるようにするための、ブラケット412から近位側に延びるボルトまたはピンなどの締結具416を備えることもできる。例えば、隣接する棚420の間の1つ以上の面422に、図5Dに最もよく示されている穴426を設けることができる。穴426は、締結具416が嵌合する形状に形成され、これにより、棚ユニットを迅速かつ確実にブラケット412に連結することができる。また、棚420のうち1つ以上に、フックループファスナなどのアクセサリを棚420に連結するための貫通穴428(図5C参照)を設けることもできる。これらのアクセサリの例については、図6Bに関連して以下により詳細に説明する。尚、取付アーム410と棚420とは別体のコンポーネントとして図示されているが、これらのコンポーネントを一体的なユニットとすることもできる点に留意されたい。同様に、取付アーム410には、3対の隣接する棚420が接続されているが、より多くのまたは少ない数の棚420を支持するために、より大きなまたは小さな取付アームを設けることもできる。さらに、各トレイ331に接続された複数組のケーブルCを適切に案内することができるように、ケーブル管理システム300のトレイ331の数に応じて所望の数のケーブルガイド400を上下に積層することができる。
図4A~4Dを再び参照して、ケーブル管理システム300と組み合わせたケーブルガイド400の使用についてより詳細に説明する。図4Aは、ハウジング2を備えるケーブル管理システム300の上部断面図である。ハウジング2は、上下に積層配置された第1の複数のトレイ331と、第1の複数のトレイ331に隣接配置される上下に積層配置された第2の複数のトレイ331とを有している(図4Aでは、これらトレイ群のうちそれぞれ1つのトレイ331のみが示されている)。図4Aでは、トレイ331が設置位置(格納位置)にある状態を示している。この状態では、トレイ331の全体または略全体がハウジング2の内部に配置されている。トレイ331は、ハウジング2に対して摺動可能であり、図4Bの右側のトレイ331に示すような引出し状態とすると、ポート7にユーザの手がより届きやすい状態となる。図4A~4Dに示す実施形態では、ポート7は、ポート7の後部でトレイ331に旋回可能に接続されており、トレイを引出し状態とすると、ポート7を互いに対して左右に揺動させて(図4C参照)、間隔を広げることができるようになる。1組のケーブルCがポート7の前端すなわち近位端に接続されて、ケーブルガイド400内を経由させてケーブルトラフ4内に配線されている。旋回ポートを有するパッチパネルシステムについては、米国特許第8,939,792号により詳細に説明されており、その開示内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
各ポート7には、前端に連結される前側ケーブルCと、後端に連結される後側ケーブルCとを差し込むことができる。図4A~4Dに示す実施形態では、前側ケーブルの組は、ポート7の近位端に連結され、ケーブルガイド400内を経由させてケーブルトラフ4内に配線されている。一方、後側ケーブルCの組は、ポート7の遠位端に連結され、ハウジング2の後部に回される。これらの後側ケーブルCは、ハウジング2の後側にあるモジュールの電子コンポーネントに接続することができるほか、ハウジング外部の他のケーブルへの接続部となるハウジング2の後壁のコネクタに接続したり、ハウジング2の後側にある開口部に通したりすることもできる。他の実施形態では、前側ケーブルCと同様に後側ケーブルCもハウジング2の前側を通して、ケーブルガイド400内を経由させてケーブルトラフ4内に配線することができる。
一般に、パッチパネル通信式のシステムにおいては、摺動式トレイ上のポートにケーブルを取り付けるとケーブルの管理が難しくなる可能性がある。例えば、1組のポートの前面に連結されたケーブルに関して言うと、トレイを格納位置から引出し位置まで移動させると、これら前側ケーブルのたるみが最小から最大まで増加する。たるみが大きすぎると、ケーブルのたるみが最大となる位置にトレイがあるときに、ケーブルが該システムのコンポーネントに引っ掛かったり、あるいは他の形で妨げとなったりする可能性が高まってしまうことがある。さらに、たるみが大きすぎると、トレイが引出し位置にあるときのケーブルの操作が難しくなりかねない。一方、たるみが小さすぎる場合も、例えばポートを互いから離すように動かす範囲が制限されたりするため、ケーブルの操作が難しくなってしまう場合があり、あるいはまた、ケーブルにストレスがかかって悪影響を及ぼすリスクが高くなってしまうかもしれない。以下により詳細に説明するように、ケーブル管理システム300は、ケーブルガイド400と組み合わせて用いることにより、たるみ管理などのケーブルの管理を簡単かつ効果的に行うことを可能にするものである。
図4Bおよび4Cに示すように、ポート7は、Z方向において最大摺動可能距離D1を有している。このD1は、図4Bの左側のトレイ331によって表される格納位置と、図4Bの右側のトレイ331によって表される引出し位置との間の距離に相当する。ケーブルガイド400の棚420は、最も外側のポート7の側方に配置されている。棚420は、トレイ331が格納位置にあるときのポート7の近位端からZ方向に距離D2だけ離れ、かつトレイ331が引出し位置にあるときのポート7の近位端からZ方向に距離D3だけ離れた位置に配置されている。距離D2と距離D3の和は距離D1に等しいが、図示のシステム300において距離D2は距離D3より大きい。この構成により、ポート7の前面に前側ケーブルCの一端C1が接続され、かつ前側ケーブルの一端C1から所定長の部分が棚420に載置される形で各前側ケーブルがケーブルガイドに支持されている状態で、システム300において前側ケーブルCを管理することができる。このようなケーブル接続構成においては、トレイ331を距離D2だけ移動させてポート7の近位端が棚420と左右に整列するまでトレイ331を引き出している間は、前側ケーブルCのたるみが増加する。距離D2でケーブルのたるみは最大となるが、このときケーブルは依然として一端C1から所定長の部分でケーブルガイドに支持される状態を維持している。そして、ユーザが、図4Bの右側のトレイ331によって表される完全に後退させた位置までトレイ331をさらに近位側に引き出し続けると、ケーブルの張りが強くなってたるみが小さくなり始めるが、ここでもケーブルは依然として一端C1から所定長の部分でケーブルガイドに支持される状態を維持している。尚、他の例では、ケーブルガイド400をZ方向において異なる距離に配置できることを理解されたい。例えば、ケーブルガイド400は、トレイ331が格納位置にあるときのポート7の前面に棚420が近接するように配置されてよく、あるいはトレイ331が引出し位置にあるときのポート7の前面に棚420が近接するように配置されてもよい。
図4A~4Dに示す構成では、トレイ331が格納位置にあるときよりも引出し位置にあるときの方が、前側ケーブルCのたるみは大きい。トレイ331が格納位置にあるとき、ポート7はハウジング2の内部にあるか、あるいはハウジング2の前面と面一の状態にあるため、通常は前側ケーブルCの操作が行われることはない。前側ケーブルCの操作が行われることが通常はないことから、トレイ331が格納位置にあるときには、前側ケーブルCが整線された状態を保ちやすいように前側ケーブルCを比較的張った状態にしておくことができる。一方、前側ケーブルCを操作したい場合には、通常、ユーザはトレイ331を引出し位置まで移動させる。さらに、引出し位置にあるときには、ポート7は、互いから左右に離れるように(図3Aのパッチパネルデバイス210と同様のシステムにおいては上下に離れるように)移動して、図4Cに示すようなユーザの手がより届きやすい状態となることができるようになる。これらの理由から、トレイ331が引出し状態にあるときには、少なくとも若干のたるみが前側ケーブルCに残っていることが望ましい。ただし、この時のたるみは、上述のようなポート7の移動や前側ケーブルCの操作が可能な最小量であることが望ましい。すなわち、前側ケーブルCのたるみは、トレイ331が引出し状態にあるときに最大とはならないことが望ましい。尚、トレイが引出し位置にあるときに、ポート7の1つを、図4Bの左側のトレイに示すような通常の位置から操作した場合に、当該ポート7に接続された前側ケーブルCが移動して、ケーブルガイド内に配置されてケーブルガイドに支持されていた部分が、そのような配置や支持から外れる可能性がある。しかしながら、ポート7が通常の位置に戻れば、この前側ケーブルCの当該部分も、ケーブルガイド内に配置されてケーブルガイドに支持されていた状態に戻ることができる。上述の各状態はいずれも、図4A~4Cに示すケーブル管理システム300とケーブルガイド400とを用いることにより実現することができるが、ケーブルガイド400を別の位置に配置しても効果的なケーブル管理を行うことができることも理解されたい。例えば、ケーブルガイド400の棚420を、トレイ331がいずれの位置にあるときのポート7の前面に近接するように配置したとしても、たるみの管理やケーブルの整線を効果的かつ簡単に行うことができる。この構成では、トレイ331が引出し位置にあるときにケーブルCのたるみが最大となり、トレイ331が格納位置に押し込まれるに従ってたるみが減少する構成とすることができるが、この最大たるみは、ポート7のケーブルCを操作するのに十分な量であることが望ましい。尚、図4A~4Dに関連して説明した構成は、トレイ331の移動中における、ケーブルトラフ4内やさらにはケーブルガイド400とケーブルトラフ4の間でのケーブルCの動きを制限または防止することを支援するものでもある。
上述の利点を得るためには、ユーザがポートや前側ケーブルの操作を行わない場合には、完全に後退させた位置、引出し位置、および格納位置の間でトレイの位置を切り替えても、ケーブルガイド400の棚420の表面上を通過するケーブルCが、棚420に載置される状態を維持しているかあるいは棚420に留まっている、隣接する棚420の領域内にある、あるいはその両方である、のいずれかの状態にあることが望ましい。この結果を得る一助となる方法の1つとして、ケーブルCの動きに対して上下方向の制限を加えるため、ケーブルCが他の動きをする可能性に制約を加えるため、あるいはその両方のための1つ以上の機能をケーブルガイド400に追加することが挙げられる。また、以下に説明する機能は、ケーブルガイド400内でのケーブルCの動きをさらに制限または防止することや、さらには、ケーブルトラフ4内またはケーブルガイド400とケーブルトラフ4の間の各所でのケーブルCの動きを制限または防止することを支援可能なものでもある。
隣接する棚の内部にケーブルCを保持するのを支援することができる構造の1つとして、図6Aに示すフィン430を挙げることができる。図6Aに示す実施形態では、各棚420の開放端に1つ以上のフィン430が配置されている。具体的には、第1の棚420は、隣接する第2の棚に向かって第1の棚の表面に対して略垂直に延在するフィン430を、開放端上に備えることができる。同様に、該隣接する第2の棚420は、第1の棚に向かって第2の棚の表面に対して略垂直に延在するフィン430を、開放端上に備えることができる。本実施形態では、フィン430は十分な剛性を有しているが、以下により詳細に説明するように、可撓性フィンを使用するのが適切な場合もある。フィン430は、隣接する棚420に完全に届くまで延在しない構成とすることができ、互いに向かって延びるフィンどうしは位置をずらして配置されて、これらフィン430の間に開口部432が設けられている。この構成により、ユーザがケーブルCを本システムに取り付けたり、取り外したりすることを望む場合には、隣接する棚420の間の空間にケーブルCを差し込んだり、取り外したりすることが、開口部432から比較的容易にできる。ただし、ケーブル管理システム300の通常の動作中に、ケーブルCが想定外に開口部432を通ってしまうことがないよう、開口部432は十分に小さく、かつケーブルCに対して適切な向きに配置されていることが好ましい。
図では、隣接する棚420の間の空間ごとに2枚のフィン430を示しているが、他の構成も適切であり得る。例えば、1枚のフィンを隣接する棚420にほぼ完全に届くまで延在させて、小さな開口部または長孔を該フィンの端部と隣接する棚420との間に残すようにしてもよい。さらに、1枚の可撓性フィンを隣接する棚420に当接するまで延在させて、ユーザがケーブルCをフィンに向かって押し込むと、フィンが内側に撓んで、ケーブルCを隣接する棚420の間の空間に入れることができるようにしてもよい。この場合、ケーブルCを隣接する棚の間に入れてしまえば、フィンは第1の棚から隣接する棚に当接するまで延びる元の位置に戻って、隣接する棚420の間にケーブルCを閉じ込めるようになる。この可撓性フィンは、ケーブル管理システム300の通常の動作中にケーブルCからフィンに加えられる力ではフィンを大きく撓ませることがない程度の剛性を有することができる。さらに、例えば、隣接する棚420から2枚の可撓性のあるフィン430を互いに向かって当接し合うまで延在させて、ケーブルCをフィンに向かって押し込むと、フィンが撓んで、フィンの奥にケーブルCを通すことができるようにする構成など、他の変形例も適切であり得る。
図6Bは、隣接する棚420の間へのケーブルCの固定を支援する追加的コンポーネントを有しているケーブルガイド400の棚ユニットの棚420の断面を示している。棚420は、上述したものと同一のものであってよく、またフィン430が設けられていても、設けられていなくてもよい。ケーブルCを支持する各棚420ごとに、フックループストラップ434などの締結デバイスを1つ設けることができる。フックループストラップ434としては、例えば、ベルクロ(VELCRO)の商品名で提供されているデバイスが挙げられるが、例えばスナップ留め具、フック留め具、接着性の留め具などを有するストラップなどの他の種類の締結ストラップも適切であり得る。ファスナ434の第1の自由端は、棚420の穴428と位置合わせすることができる穴を有することができ、リベットまたはボルト436などの締結具で、ファスナ434の第1の自由端を棚420に連結することができる。隣接する棚420の間には複数のケーブルCを挿入することができ、ファスナ434の自由端をこれらケーブルCの周りに巻き付けることができる。ケーブルCが所望の位置にある状態で、ファスナ434の第2の自由端を第1の自由端に、例えばフックとループとが嵌合する方式で連結することができる。この構成では、ファスナ434がケーブルCを隣接する棚420の間に固定している状態で、ファスナ434をリベットまたはボルト436で所望の位置に保持している。図6Bでは、ケーブルをよりよく整線できるようにそれぞれが1つのスリーブ内に収められた2つの群のケーブルCを示していることに留意されたい。例えば、前側ケーブルCの組および後側ケーブルCの組がいずれもハウジング2の前側を通して配線される場合などに、2つの群のケーブルCが1対の隣接する棚を通過する可能性がある。
図6Cおよび6Dには、改変したケーブルガイド400’を示している。このケーブルガイド400’は、以下に述べる特徴を除けばケーブルガイド400と同一である。ケーブルガイド400’は、ハウジング2に取り付けるための上述と同一の取付アーム410を備えることができる。さらに、ケーブルガイド400’は、積層状に配置された複数の棚420’を有する棚ユニットを備えることができる。棚420’は、棚420とほぼ同様の形状の略平坦な上面と下面とを有することができ、丸みを帯びた面422で繋がっている構成とすることができる。ただし、棚420とは異なり、各棚420’の近位端には凹部421’が形成され得る。図示の実施形態では、各凹部421’はほぼU字形であるが、矩形などの他の形状も適切であり得る。棚420’の各ユニットにおいて、棚420’の積層(スタック)の一端に位置する棚420e’は穴428を備えることができる。穴428は、締結デバイスの第1の要素を棚420e’に連結するためにボルトまたは他のデバイスを差し込むことができるように構成されている。また、締結デバイスの第2の要素は、棚420’の積層の他端に位置する棚420f’の上面に連結することができる。この構成では、図6Eに関連して以下により詳細に説明するように、隣接する棚420’の対ごとに別体の専用ファスナを設けるのではなく、1つの締結デバイスでユニット内の各対の棚420’の間にケーブルCを固定することができる。
図6Eは、棚420’のユニットの断面を示している。図示の実施形態では、締結デバイスの第1の要素は、棚420f’の上面にボルト留めまたは他の方法で固定されている第1のストラップ434a’の形態をとることができる。第1のストラップ434a’は、ベルクロ(VELCRO)の商品名で提供されているタイプのフックまたはループなどの留め機構を一端に備えることができる。第1のストラップ434a’は、少なくとも棚ユニットの棚420e’から棚420f’までの長さに亘って延在できるだけの長さとすることができる。ただし第1のストラップ434a’は、各棚420’の凹部421’が形成する空間内に配置されることが好ましく、また、留め機構が棚420e’の上面上で少なくとも若干の距離だけ延在できるだけの長さをさらに有することが望ましい。締結デバイスの第2の要素は、第2のストラップ434b’の形態をとることができる。図示の例では、第2のストラップ434b’は比較的短い長さとすることができ、第2のストラップ434b’に大きな動きの自由は許さないように棚420e’の上面に固定することができる。第2のストラップ434b’は、第1のストラップ434a’の一端に設けられた留め機構に対応する留め機構を備えることができる。第2のストラップ434b’は、(第1のストラップ434a’がループをそなえる場合には)フックであってよく、あるいは(第1のストラップ434a’がフックをそなえる場合には)ループであってもよい。なお、第1のストラップ434a’と第2のストラップ434b’の対応し合う留め機構は、スナップ、フック、接着、バックルなどの他の形態をとることもできることを理解されたい。上述の構成により、ユーザは、棚ユニット内に収容されているすべてのケーブルCを1回の動作で固定することができる。すなわち、ケーブルCを隣接する棚420’の所望の対の間に配置した状態で、ユーザは、第1のストラップ434a’を把持して、第1のストラップ434a’の中間部を各棚420’の凹部421’内に確実に導きながら、第1のストラップ434a’の一端の留め機構を第2のストラップに連結することができる。なお、第1のストラップ434a’の長さは、与えられた棚ユニットの端から端までの全長によって主に決まるため、棚ユニット内の棚420’の数は適宜変更することができる点に留意されたい。また、棚ユニット内の端に位置する棚の1つは必ずしも凹部421’を有している必要はなく、棚ユニット内の他の棚420’と同様の形状だがそのような凹部は有していない形状をとることができる点にも留意されたい。この図6C~6Eに関連付けて説明した構成は、ケーブルCを棚ユニットの内部に簡単かつ迅速に固定するための機構となることに加え、各対の棚420a’の間でケーブルCが占めることのできる空間の量を最大化させることもできるものでもある。さらにこの構成のもう1つの利点として、ケーブルCが凹部421’の長さ方向のいずれかの位置にあれば、第1のストラップ434a’がこれらのケーブルCと当接して所定の位置に固定できることも挙げられる。従って、すでに大量のケーブルCが凹部421’の一部に延在するように配置されていたとしても、隣接する2つの棚420’の間の空間内にさらにケーブルCを追加して、第1のストラップ434a’でこれら追加のケーブルCを棚420’の間に固定することができる。
図7は、ケーブル管理システム300の、ケーブルCの整線を支援する追加的機能を示している。図7において、右側の1枚のトレイ331が引出し位置にある状態で示されており、1組の前側ケーブルCがケーブルガイド400内を通して配線されており、1組の後側ケーブルCがハウジング2内を後側に向けて通して配線されている。一般に、前側ケーブルCは、ケーブルガイド400を通す前に、経路に沿って横方向に配線することが望ましい。このような配線を容易にするために、ハウジング2の近位側に延びるハンドル部材350をトレイ331上に設けることができる。ハンドル部材350は、ケーブルCのガイドとして機能する任意の適切な形態をとることができる。例えば、図示のように、ハンドル部材350は、前端で上方に湾曲した略平坦な底面を有することができる。この場合、この底面がケーブルCを載置することができる面となる。また、ハンドル部材350はさらに追加の表面を有することもできるが、ハンドル部材350の面には少なくとも底面と前面とが含まれることが望ましい。また、ハンドル部材350のさらなる機能として、ユーザがトレイ331をハウジング2から引き出したり、ハウジング内に押し戻したりする際に便利な把持部材となることも挙げられる。さらに、トレイ331の最側端に側部ガイド部材360を設けて、ケーブルCがトレイ331から離れて側方に延びる際の追加のガイドとすることもできる。図示では、側部ガイド部材360は凸状のケーブル当接面を有しているが、他の形状の面も適切であり得る。後側ガイド部材370などの追加のガイド部材をトレイ331上に設けて、後側ケーブルを所望の位置に保持することを支援することもできる。ハンドル部材350、ガイド部材360,370、あるいはそのいずれもが係止機能を備えていてもよい。例えば、トレイ331が格納位置にあるときにトレイ331を係止状態または半係止状態に保持して、トレイ331を引き出すように意図的に力を加えない限り、トレイ331が引出し位置に向けて移行し始めることがないようにすることが望ましい場合がある。この係止機能は、例えば、ハウジング2または隣接するトレイ331に戻り止めまたは他の連携構造を設けて、トレイ331が格納位置にあるときに、ハンドル部材350およびガイド部材360,370のうち1つ以上がこの対応する構造と摩擦嵌合する構成とすることによって発揮させることができる。
上述のパッチパネルデバイス310は、ハウジング2またはシャーシの内部に収容され、かつハウジング2またはシャーシに対して摺動可能な摺動式トレイ331の形をとることができる。また他の実施形態では、ほぼ自己完結型のカセットを用いることもできる。このカセットはシャーシから出し入れして交換することができ、このカセットに摺動機能のすべてを備えることができる。例として、図8Aにカセット500の分解図を示す。一般に、カセット500は、前面が開口した略矩形の箱とすることができるカセットハウジング510と、ハウジング510に摺動させて出し入れ可能なカセットヘッド部520とを備える。以下により詳細に説明するように、カセットハウジング510はその両側部に、カセットヘッド520が容易に摺動できるようにするためのレールスロット512を備えることができる。
カセットヘッド520はその前側に、パッチパネル310に関連して説明したポート7と同様または同一の態様で配置された複数のポート7を備えており、例えば、左右に旋回可能なポート7を備えることができる。カセットヘッドの後側の両側部からは、カセットハウジング510のレールスロット512に摺動させて出し入れ可能なレール530が延びている。図8Bは、カセットヘッド520が引出し位置にあるときのカセット500を示しており、このとき、ポート7は手が届きやすい状態とされて、パッチパネル310に関連して上述したのと同様の相互相対的な動きをすることができる。図8Cは、カセットヘッド520が格納状態にあるときのカセット500を示している。このとき、カセットヘッド520は、カセットハウジング510の内部に完全または略完全に収容されている。
図8Dは、カセットハウジング510とカセットヘッド520との間の摺動を可能にする機構を説明するための図であり、カセットヘッド520のレール530を内部に配置した状態のカセットハウジング510の一側面の断面を示している。具体的には、図8Dには、ハウジング510の頂部ハウジング510aおよび底部ハウジング510bの一部と、側壁510cとが示されている。頂部ハウジング510aからは、底部ハウジング510bに向かって延長部511が延在している。ただし、延長部511は、頂部ハウジング510aと底部ハウジング510bの間の全距離に亘って延在するものではない。延長部511と、側壁510cと、頂部ハウジング510aの一部と、底部ハウジング510bの一部とによって、カセットハウジングのレール530が固定されるレールスロット512が形成されている。カセットヘッド520をカセットハウジング510から引き出すか、あるいはカセットハウジング510内に押し込む際には、レールスロット512とレール530との相互作用によって、カセットヘッド520を所望の向きに保ちながら容易に摺動させることができる。必要ならば、ストッパ(stop)を備えてもよい。これにより、レール530が想定外にカセットハウジング510から完全に外れてしまうことを防ぐことができ、ユーザがカセットヘッド520をカセットハウジング510からうっかり取り外して引出し位置に移動させてしまうことを防止することができる。図8Dには、レール530とレールスロット512の一例が示されているが、他の同様のレールとレールスロットの構造を用いて同様の結果を得ることも可能である。図8Eに示すように、インサート513をレールスロット512の内部に配置してもよい。インサート513は、任意の望ましい材料で構成してよく、レールスロットの略全長に亘って延在させることができる。インサート513は、インサート513がレールスロット512から滑り出るのを防止する第1のストッパと、カセットヘッド520のレール530がインサートから滑り出ないように止める第2のストッパとを有することができる。この構成では、インサート513は、カセットヘッド520がカセットハウジング510に対して摺動可能な長さに亘って延在することができる。さらに、インサート513の材料および寸法は、カセットヘッド520とカセットハウジング510とがより滑らかに摺動できるように選択することができる。例えば、レール530とレールスロット512がいずれも金属製である場合、プラスチック製のインサート513を用いることによって滑らかな摺動を実現することができる。カセットヘッド520がカセットハウジング510に対して摺動可能な長さに亘ってインサート513を延在させる場合には、インサート513を硬質金属で形成することが好ましい場合がある。
カセット500はモジュール式とすることができる。ここでの「モジュール式」は、カセット500をシャーシに挿入することができ、かつ例えばあるカセットが破損した場合には、簡単にハウジングから取り外して別のカセットと交換することができるという意味である。例として、図9Aに、複数のカセット500を保持するために使用可能なシャーシ600を示す。図示の実施形態では、シャーシ600は、複数のカセット500を収容することができる上下方向のチャネルを2つ備えており、各チャネルは、カセット500を支持する複数の支持体610を有している。図9Bは、3つのカセット500を設置済でかつ1つのカセット500を設置しようとしている状態のシャーシ600を示している。上述したケーブルガイド400またはその変形例はいずれも、この本システムのカセット版の構成に使用して、上述のパッチパネル版の構成と同様のケーブルのたるみ管理機能を発揮させることができる。例えば、ケーブルガイド400の1つ以上の取付アーム410をシャーシ600に連結して、カセットヘッド520をカセットハウジング510に対して摺動させている間のカセット500のポートに接続されたケーブルの管理ができるようにすることができる。さらに、カセットハウジング510はシャーシ600から動くことがないため、ケーブルガイド400の取付アーム410をカセットハウジング510に直接連結してもよい。カセットハウジング510がシャーシ600から動かないので、ケーブルガイド400をカセットハウジングに固定した場合であっても、カセットヘッド520を摺動させてカセットハウジング510に出し入れしたときにケーブルガイド400が動いてしまうことはない。
図10Aは、本開示の他の実施形態によるパッチパネルシステム1000の斜視図を示している。パッチパネルシステム1000は、側壁と、上壁と、底壁と、遠位壁すなわち後壁と、前面開口すなわち近位面開口とを有する外側ハウジング1002を備えることができる。ただし、図示していないが、外側ハウジング1002の内部に手を入れることを可能にするドアや他のカバーなどの近位側カバーを外側ハウジングに取り付けて用いることもできる。図10Bはパッチパネルシステム1000の上面図である。尚、分かりやすくするため、図10Bでは外側ハウジング1002の上壁を省略して示している。内側ハウジング1003は外側ハウジング1002の内部に配置することができ、好ましくは外側ハウジング1002の領域内に完全に収めることができる。内側ハウジング1003は、側壁と、上壁と、底壁と、後壁とを有することができ、そのいずれもを外側ハウジングの対応する壁と一体とすることができるが、外側ハウジングの壁とは完全に別体とすることもできる。内側ハウジング1003は、図9Aのシャーシ600の支持部610と同様に上下に積層状に配置された複数のスロットを備えることができる。各スロットは、トレイまたはカセット1010がスロットと摺動係合している状態に保持できるように構成されているが、実際には必ずしもすべてのスロットにカセット1010を収容していなくてもよい。各カセット1010は、上述のパッチパネルデバイス110,210,310、カセット500、またはその両方とほぼ同様であってよく、ケーブルを接続するためのポートまたは他のコネクタを備えている。各カセット1010は、近位端から延びるハンドル1012を備えることができる。ハンドル1012は、ユーザがカセット1010を内側ハウジング1003から引き出す際の取手となる。例えば、ハンドル1012を使ってユーザは、カセット1010を図10Gおよび10Hに示す位置まで移動させて、所望の1つ以上のカセット1010に簡単に手が届く状態とすることができる。また、外側ハウジング1002は、ケーブルまたは他の物を外側ハウジングの内側と外側との間に通すことを可能にする1つ以上のアクセスポート1004を備えることができる。図10Aに示すように、アクセスポート1004は、外側ハウジング1002の底壁と一体とすることができる円筒形部材の形態をとることができるが、ケーブルを外側ハウジング1002の外側から内側(またはその逆)に通すことができる任意の開口部が適切であり得る。
一例では、パッチパネルシステム1000は、ケーブル接続業者(cable provider)などのベンダーから集合住宅や各住戸などの顧客までの接続をパッチするために使用することができる。外側ハウジング1002は、外側ハウジング1002内部の内側ハウジング1003などのコンポーネントを風雨から保護することができるため、屋外での使用に特に適切であり得る。そのような用途で用いる場合には、外側ハウジング1002の例えば右側などの一側部にあるアクセスポート1004からベンダーからのケーブルを中に入れて、1つ以上のカセット1010の後側のポートに接続することができる。さらに、別のケーブルを、1つ以上のカセット1010の後側から、例えば外側ハウジング1002の例えば左側にある対応するアクセスポート1004を通して集合住宅内の各住戸まで延ばすことにより、個々の顧客とベンダーとの間を接続することができる。例えば、1本以上のケーブルC2を、内側ハウジング1003内の或るカセット1010の前側すなわち近位側から内側ハウジング内の別のカセットの前側まで延ばしてそれらを接続することができるため、パッチパネルシステム1000は、ベンダーと個々の顧客との間の接続を操作、保守するための利便性の高いシステムとなり得るものである。
図10A~10Hには、2つのカセット1010の前端どうしを接続する1本のケーブルC2のみを示しているが、実際には、多数のケーブルC2で、カセット1010の各対の前側どうしを接続することができる。このような状況でのこれらケーブルC2の管理は困難なものとなる可能性があり、特に、ユーザが特定の1本または複数のケーブルC2を操作する必要がある場合には特に難しくなり得る。そこで、パッチパネルシステム1000に接続されたケーブルの管理を支援するために、パッチパネルシステム1000は、旋回可能なハンガープレートアセンブリ1020を備えることができる。ハンガープレートアセンブリ1020は、ハンガープレート1021を備えることができ、例えば、ハンガープレート1021は、1つ以上のヒンジ1022によって内側ハウジングの側壁に連結される矩形の剛性プレートとすることができる。ハンガープレート1021は、好ましくは、外側ハウジング1002の底壁と上壁との間の距離よりも小さい高さと、ハンガープレート1021が位置している外側ハウジングの側壁と内側ハウジングの側壁との間の距離よりも小さい幅とを有している。この構成では、ハンガープレート1021は1つ以上のヒンジ1022を中心に揺動することができ、図10Aおよび図10Bに示すような外側ハウジング1002の内側に配置されている状態から、図10Eおよび10Fに示す途中位置を経て、図10Gおよび10Hに示すような外側ハウジング1002の外側の位置に至る可動域を有することができる。
図10Cおよび10Dには、ハンガープレートアセンブリ1020の拡大上面図と部分斜視図を示している。ハンガープレート1021の近位面には、複数のハンガー1023を連結することができる。各ハンガー1023は、ケーブルC2を載置することができる略平坦な面を有することができる。また、ハンガー1023の一端に面して、ガイド面1024を配置することができる。図では、ガイド面1024は、円形断面を有するものとして示されている。ガイド面1024は、必ずしも円形断面を有している必要はないが、ケーブルC2が損傷するまで曲がってしまうことがないようにケーブルC2の曲がりを制限する最小曲げ半径を規定する湾曲を有していることが好ましい。図10Gに最もよく示されているように、ガイド面1024は、ハンガープレート1021の略全高に亘って延在する1つの円筒形部材によって形成することができる。ただし、必要に応じて、個々のハンガー1023に対してそれぞれ別体のガイド面1024を設けることもできることを理解されたい。
また、各ハンガー1023を、ケーブルC2がハンガー1023の内部に配置されている状態を保持することを支援する1つ以上の保持部材と関連させることができる。例えば、各ハンガー1023は、該ハンガー1023の平坦面から上方に延びる上延保持部材1025を備えることができる。図10Dに最もよく示されているように、上延保持部材1025は略円筒形であり、上に隣接するハンガー1023に向かって上方に延在し、かつこの上に隣接するハンガー1023と当接しない。同様に、各ハンガー1023は、該ハンガー1023の平坦面から下方に延びる下延保持部材1026を備えることができる。図10Dに最もよく示されているように、下延保持部材1026は略円筒形であり、下に隣接するハンガー1023に向かって下方に延在し、かつこの下に隣接するハンガー1023と当接しない。この構成では、上下に隣接する2つのハンガー1023の間の空間には、2つの保持部材1025,1026が存在し、これら保持部材1025,1026によって、ケーブルC2はこれら上下に隣接する2つのハンガー1023の間の空間から想定外に出てしまうことがないよう保持されている。ただし、図6Aに関連して説明したフィン430と同様に、保持部材1025,1026の端部とハンガー1023の平坦面との間には空間が設けられているため、ユーザは、保持部材1025,1026とハンガー1023の平坦面との間の空間からケーブルC2を手動で取り出す(あるいは入れる)ことによって、ケーブルC2を上下に隣接するハンガー1023の間の空間の外に取り出す(あるいは中に入れる)ことができる。なお、上下に積層された1組のハンガー1023のうち、最下段のハンガー1023は下延保持部材を備える必要がなく、最上段のハンガー1023は上延保持部材を備える必要がないことを理解されたい。
ハンガープレートアセンブリ1020はまた、ハンガープレート1021の後側に連結されてそこからハンガー1023とは反対方向に延びる後側ハンガー1027を備えることができる。ハンガープレート1021の後側には、1つの後側ハンガー1027のみを、その上面が外側ハウジング1002の上面近くに位置するように連結することが好ましい。ただし、例えば、ハンガープレート1021の底部に第2の後側ハンガー1027を備えたり、所望の位置に所望の数の後側ハンガー1027を備えたりするなど、必要に応じてより多くの後側ハンガー1027を備えることもできる。後側ハンガー1027は、上方に延びる2つの面の間に1つの平坦な底面を備え、ほぼU字形のチャネルを形成することができる。カセット1010の後側に接続されて、アクセスポート1004から外に出したケーブルは1つに束ねられ、この後側ハンガー1027のU字形チャネルに一部を沿わせて配線される。これにより、ケーブルを整線状態に保持することを支援して、これらのケーブルが外側ハウジング1002の前部にあるケーブルC2の妨げや、ハンガープレートアセンブリ1020の揺動の妨げとなる可能性を低減することができる。同様の理由から、アクセスポート1004から外側ハウジング1002に入り、1つ以上のカセットの後側に連結されるケーブルもまた、後側ハンガー1027のU字形チャネルに沿わせて配線することができることを理解されたい。また、ハンガープレート1021の後側ハンガー1027とヒンジ1022との間の位置に1つ以上の穴(図示省略)を設けて、後側ハンガー1027の内部に配置されているケーブルの束をハンガープレート1021に貫通させて内側ハウジング1003に入れ、特定のカセット1010の後側にあるポートなどの対応ポートに接続することができるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、ドアまたは他の機構を開けて得られる開口部からカセット1010の後側に手が届くようにすることもできる。この場合、アクセスポート1004から挿入したケーブルを、ハンガープレート1021を貫通させずに直接、所望の位置にあるカセット1010の後側に接続することができる。
ここで、ケーブル整線の観点から、パッチパネルシステム1000の動作を簡単に説明する。格納状態では、外側ハウジング1002の左側にあるアクセスポート1004から外側ハウジングの内側や外側に通してカセットの後側に接続されているケーブルは、後側ハンガー1027のU字形チャネル内に保持されている状態とすることができる。或るカセット1010の前側から別のカセット1010の前側まで延びる各ケーブルC2は、該或るカセット1010に隣接配置された第1のハンガー1023を経由して配線されている。第1のハンガー1023を経由する際には、最小曲げを確保するようにガイド面1024に案内されつつハンガー1023の平坦面に載置され、かつ保持部材1025,1026によって上下に隣接するハンガー1023の間に保持されている。上下に隣接するハンガー1023の間の空間からは、特定のケーブルC2を保持部材1025,1026とハンガープレート1021との間を通して出すことができる。そして、該空間から出たケーブルC2は、ハンガープレート1021に概ね沿って上か下に延びて、別の上下に隣接するハンガー1023の対の間の空間に入り、別のカセット1010の前側に連結され得る。図10Aおよび10Bに示すように、格納位置では、ハンガープレート1021が外側ハウジング1002の後壁に向かって延びるまで、ヒンジ1022を中心にハンガーアセンブリ1020を回動させた状態とすることができる。この位置にあるとき、ケーブルC2にはたるみがほとんどないか、あるいは全くない。そして、ユーザが1つ以上のカセット1010やケーブルC2に手を伸ばして、例えば保守などを行うことを望む場合には、外側ハウジング1002の前側にドアに設けられている場合には、まずそのドアを開けることができる。そして、カセット1010を引き出す前に、ケーブルC2のたるみを大きくすることができる。すなわち、ユーザが、例えばハンガープレート1021や任意のハンガー1023などのハンガープレートアセンブリ1020の一部を把持して、図10Eおよび10Fに示すようにハンガーアセンブリを近位側に引き出し始めると、ケーブルC2のたるみが大きくなり始め得る。ハンガープレートアセンブリ1020がヒンジ1022を中心に回動を続けるに従って、ハンガープレート1021とこれに付随するハンガー1023も回動を続け、最終的には、図10Gおよび10Hに示すような、ハンガープレート1021が外側ハウジング1002の前側から出た状態となる。回動の結果、ハンガープレートアセンブリ1020の少なくとも一部が外側ハウジング1002から出ている状態では、ケーブルC2のたるみがさらに大きくなっている。これで、ユーザは、外側ハウジング1002から1つ以上のカセット1010を近位側に引き出せるようになるが、その際、1つ以上のハンドル1012を使って簡単に引き出すことができる。カセット1010を引き出すとケーブルC2のたるみは大きくなり始め、カセット1010の近位面が保持部材1025,1026と一直線上に並ぶまでは大きくなり得る。そして、カセット1010をハウジング1002から、保持部材1025,1026よりも離れた位置までさらに近位側に引き出すと、ケーブルC2のたるみは再び小さくなり始め得る。尚、カセット1010を最大限まで引き出した場合に、ユーザがケーブルC2を対応ポートで容易に操作できるだけの十分なたるみは残っているが、ケーブルC2の管理が難しくなるほどのたるみは残っていないことが好ましい。このとき、図10Gおよび10Hに示すように、後側ハンガー1027に載置されているケーブルとケーブルC2とのいずれもが整線状態を保ったまま、ケーブルC2やカセット1010に手が届きやすい状態となっている。尚、図10A~10Hにおいて、パッチパネルシステム1000を一定の縮尺では示していないことを理解されたい。
図10Iおよび10Jを参照すると、保持部材1025,1026およびガイド面1024の配置は、ハンガープレートアセンブリ1020やカセット1010がいずれの位置にある場合にもケーブルC2のたるみの管理が所望通りに行えるように選択することができる。例えば、図10Iを参照すると、ハンガープレートアセンブリ1020を外側ハウジング1002から出るまで回動させると、保持部材1025,1026は、内側ハウジング1003の近位面から距離D4だけ離れた位置となることができる。そして、ユーザがカセット1010を引き出すと、初めのうちはケーブルC2のたるみが図10Iに示す状態より大きくなり得る。また、カセット1010の近位面を、保持部材1025,1026の位置よりさらに近位方向に動かすと、たるみは再び小さくなり始め得る。そして図10Jに示すように、各カセット1010が完全な引出し位置まで来ると、カセット1010の近位面が内側ハウジング1003の近位面から最大距離D5だけ離れた状態となる。好ましくは、距離D5は距離D4の約2倍である。この構成では、図10Iおよび10Jに示すようにハンガープレートアセンブリ1020を外側ハウジング1002から出るまで回動させた場合のケーブルC2のたるみは、図10Iに示すカセット1010が格納位置にある場合と図10Jに示すカセット1010が引出し位置にある場合との間でほぼ同一となる。ただし、他の実施形態においては、距離D5はD4の2倍未満であってよく、この場合、カセット1010が格納状態から引出し状態に移行するとケーブルC2の正味のたるみが大きくなる。このようにたるみを大きくすると、ユーザが、ケーブルC2とカセット1010内の対応ポートとの接続をより容易に操作することができるようになる。この機能は、図4Bに関連して上述した関連機能と同様である。
尚、パッチパネルシステム1000は、1つのハンガープレートアセンブリ1020のみを備えるものとして示されているが、内側ハウジング1003の第1のハンガープレートアセンブリ1020とは反対側に、第2のハンガープレートアセンブリをさらに備えることもできることを理解されたい。第2のハンガープレートアセンブリを使用する場合、その各コンポーネントの配置が第1のハンガープレートアセンブリ1020のコンポーネント配置に対してミラー配置となる点を除けば、第2のハンガープレートアセンブリは、第1のハンガープレートアセンブリ1020と同一の構造および同一の機能を有することができる。また、ハンガープレートアセンブリ1020が、各カセット1010に対して1つのハンガー1023を備えるように示されているが、より多くのまたは少ない数のハンガー1023を設けることもできる。さらに、ハンガープレート1021は1つの剛性部材として示され、ハンガープレート1021に取り付けられたすべてのハンガー1023が一斉に動くように示されているが、他の実施形態では、個別に回動可能な複数のハンガープレートを設けることもできる。例えば、ハンガープレートを2つの部分に分けて設けて、上部のハンガーの群を下部のハンガーの群とは別に回動可能とすることができる。さらに、ハンガーの総数以下の任意の数のハンガープレートを用いて、各ハンガーを個別に回動可能とすることもできる。ただし、使い易さの点ではハンガープレート1021を1つとすることが好ましい場合がある。
上述したように、パッチパネルシステム1000は屋外での使用に適切であり得る。パッチパネルシステム1000を屋外で使用する場合には、パッチパネルシステム1000の使用や保守を能動的に行うとき以外は、コンポーネントが外側ハウジング1002の領域内に収められて風雨から保護された状態とすることができることが重要であり得る。従って、上述の通り、ハンガープレート1021が外側ハウジング1002の外にある状態から、外側ハウジング1002の内部に収まって風雨から保護された状態まで揺動することができるように、ハンガープレート1021の幅は、内側ハウジング1003の側壁とこれに対応する外側ハウジングの側壁との間の距離よりも小さくなければならない。ただし、ハンガープレート1021より幅広のハンガープレートを設けることが有益な場合もある。幅広のハンガープレートを設けることによって、ケーブルを或るハンガー1023から出して別のハンガー1023に向けてハンガープレート1021の上または下に送る際などに、ケーブルを急角度で曲げる回数がより少なくなるようにケーブルC2を案内できるようになる。パッチパネルシステム1000で使用するケーブルの中には、非常に硬いために小さく曲げた状態を維持することが難しいものがあるため、これが有益な場合がある。
図11A~11Hに示すパッチパネルシステム1000’は、上述の潜在的な限界に対処するものである。パッチパネルシステム1000’は、ハンガープレートアセンブリ1020’以外のほとんどまたはすべての点において、パッチパネルシステム1000と同一とすることができる。例えば、パッチパネルシステム1000’は、図10A~10Hに関連して説明したものと同一の外側ハウジング1002と、内側ハウジング1003と、アクセスポート1004と、カセット1010とを備えることができる。従って、これらのコンポーネントを改めて詳細に説明することはしない。
パッチパネルシステム1000のハンガープレートアセンブリ1020と同様に、パッチパネルシステム1000’のハンガープレートアセンブリ1020’も、図11Aおよび11Bに示す格納状態と、ケーブルに手が届く図11Gおよび11Hに示す引出し状態とを有しており、これらの状態の間の途中の位置を図11Eおよび11Fに示している。図11Cは、格納状態にあるハンガープレートアセンブリ1020’の上面図を示している。尚、分かりやすくするため、図11Cでは、内側ハウジング1002と外側ハウジング1003の図示を省略している。ハンガープレートアセンブリ1020と同様に、ハンガープレートアセンブリ1020’も、1つ以上のヒンジ1022によって内側ハウジング1003に連結されているほぼ矩形かつ剛性の第1ハンガープレート1021a’を備えることができる。第1のハンガープレート1021a’には、上述したものと同一の複数のハンガー1023が上下に積層して連結されている。また、第1のハンガープレート1021a’は、上述したものと同様または同一の1つ以上の後側ハンガー1027を備えることができる。
第1のハンガープレート1021a’は、ハンガープレート1021と同様の高さとすることができるが、幅はより小さくすることができる。また、ハンガープレートアセンブリ1020’は、第1のハンガープレート1021a’に加えて、第1のハンガープレート1021a’にヒンジ連結されかつ互いにヒンジ連結されている複数の追加のハンガープレートをさらに備えることができる。図示のハンガープレートアセンブリ1020’の特定の実施形態においては、5枚の追加のハンガープレート1021b’~1021f’が連なるようにヒンジで互いに連結され、ハンガープレート1021b’が第1のハンガープレート1021a’にヒンジ連結されている。各ハンガープレート1021a’~1021f’の高さは略同様とすることができるが、各プレートの幅は互いに同様であってもよく、あるいは異なっていてもよい。尚、ハンガープレート1021a’~1021f’は、互いにヒンジ連結された別体の部材として示されているが、ハンガープレート1021a’~1021f’のうち1つ以上を、隣接するプレート間にヒンジ様の部材を設けて一体に形成して同様の機能を発揮させることもできる。
図11Dは、伸張状態すなわち引出し状態にあるハンガープレートアセンブリ1020’を示している。尚、分かりやすくするため、図11Dでは、外側ハウジング1002と内側ハウジング1003の図示を省略している。ハンガープレート1021a’~1021f’のうち一部を選択して、そこにケーブル保持具1030’を設けることができる。各ケーブル保持具1030’は、上延長部1031’と下延長部1032’などの2つの延長部を備えることができる。上延長部1031’は、対応するハンガープレートから離れるようにかつ該対応するハンガープレートと略直交するように延在する第1の部分と、第1の部分から下方に、かつ該第1の部分と直交して該対応するハンガープレートと並行に延在する第2のL字形部分とを備えることができる。下延長部1032’は、対応するハンガープレートから離れるようにかつ該対応するハンガープレートと略直交するように延在する第1の部分と、第1の部分から上方に、かつ該第1の部分と直交して該対応するハンガープレートと並行に延在する第2のL字形部分とを備えることができる。この構成では、各拡張部がほぼU字形のチャネルを形成することができる。上延長部1031’と下延長部1032’の2つのL字形の部分は、これらL字形の部分の間に隙間を有する矩形を形成するような相対位置関係で配置されており、この隙間を通してケーブルC2をU字形チャネルの一方または両方で受容できるように構成されている。図11Dに示すように、2つのケーブル保持具1030’を中間のハンガープレート1021d’と端のハンガープレート1021f’の上側にそれぞれ配置するとともに、2つのケーブル保持具1030’をこれらハンガープレート1021d’,1021f’の下側にそれぞれ配置することができる。尚、図示しているよりも多くのまたは少ない数のケーブル保持具1030’をハンガープレートアセンブリ1020’に使用できることを理解されたい。
カセット1010の前側に連結されたケーブルC2は、図10A~10Hに関連して説明したのと同様の態様で、対応するハンガー1023を通過することができる。その後、ケーブルC2は、一連のハンガープレートに沿って延び、ハンガープレート1021d’などの中間のハンガープレートの1つに設けられた1つのケーブル保持具1030’が形成するU字形チャネルの一方または両方に入る。ケーブルC2はさらに、端のハンガープレート1021f’に設けられたケーブル保持具1030’まで延び、そこでハンガープレートの反対側の端部に設けられたケーブル保持具1030’に向かって上方または下方に延びることができる。ここで、端のハンガープレート1021f’は、ハンガープレート1021f’の略全高に亘ってU字形チャネルを形成する端部1040’を有することができる。端部1040’は、ハンガープレート1021f’の上側のケーブル保持具1030’からハンガープレート1021f’の下側のケーブル保持具1030’まで延びるケーブルC2を受容して通過させることができる。端部1040’は、ケーブルC2が確実に所定の位置に留まりながら方向転換できるようにするとともに、ケーブルC2の付加的な保護部となるものである。端部1040’は、ユーザがハンガープレートアセンブリ1020’を外側ハウジング1002から引き出す際に把持するハンドルとして使用することもできる。
図11Aおよび11Bに示すように、完全な格納位置にあるとき、ハンガープレート1021a’~1021f’は互いに折り畳まれて、内側ハウジング1003の一方の側壁とこれに対応する外側ハウジングの側壁との間の位置で外側ハウジング1002の内部にぴったり収まるU字形状となる。そして、保守のためにユーザがカセット1010やケーブルC2を操作する必要があるときには、ユーザはハンガープレートアセンブリ1020’を外側ハウジング1002から引き出すことができる。ユーザがハンガープレートアセンブリ1020’を近位側に引くと、隣接するハンガープレート1021a’~1021f’の間のヒンジの働きで、ハンガープレートアセンブリ1020’は、直線状に伸張して外側ハウジング1002の外にまで延びる状態に向かって動き始めることができる。そして、ユーザが引き続きハンガープレートアセンブリ1020’を引くと、ハンガープレートアセンブリ1020’は図11Gおよび11Hに示す完全に伸張した状態に移行し、ハンガープレート1021a’~1021f’が略直線状に並ぶ状態となる。この状態になると、ユーザは所望の1つ以上のカセット1010を引き出して、所望のケーブルC2の保守を行うことができるようになる。カセット1010が摺動することができる最大距離に対する保持部材1025,1026およびガイド面1024の位置については、図10Iおよび10Jに関連して上述したのと同一または同様の検討事項に基づいて決めることができる。
ハンガープレートアセンブリ1020と比較すると、内側ハウジング1003の壁と外側ハウジング1002の壁との間で占めることのできる空間の大きさが同じであるにもかかわらず、ハンガープレートアセンブリ1020’では、ケーブルC2を延在させることができる有効長をより長くとることができる。上述の通り、ケーブルC2が硬い場合には、このようにハンガープレートアセンブリ1020’の長さがより大きく構成されていることによって、ケーブルC2の格納と保守をより簡単かつ安全に行うことができる。尚、図では、ケーブル保持具1030’の構造や数、相対的な位置について特定的に示しているが、他の形態のケーブル保持具も適切であり得ることを理解されたい。例えば、ハンガープレート1021a’~1021f’に沿って通るケーブルC2を支持する任意の構造、特に、ケーブルC2を意図的に保持具に挿入したり、取り出したりすることができるとともに、想定外にケーブルC2が出てしまうことは防ぐような構造が、開示された実施形態に代わる適切な形態となり得る。
図では、パッチパネルシステム1000’が、1つのハンガープレートアセンブリ1020’のみを備えるように示されているが、2つのハンガープレートアセンブリを用いることもできることを理解されたい。図12にその一例を示す。図12において、パッチパネルシステム1000’’は、ハンガープレートアセンブリの数を除くすべての点でパッチパネルシステム1000’と同一である。ハンガープレートアセンブリ1020a’’は、構造および機能においてハンガープレートアセンブリ1020’と同一とすることができる。さらに、ミラー配置となる点を除けばハンガープレートアセンブリ1020a’’と同一することができる第2ハンガープレートアセンブリ1020b’’を、内側ハウジング1003の右壁に連結することができる。この追加のハンガープレートアセンブリ1020b’’は、ケーブルC2の追加的な管理、特に、カセット1010の前側の右側近辺に連結されたケーブルC2の追加的な管理となるものである。
上述のシステムおよび概念の一部は、米国特許出願公開第2017/0082815号にも記載されており、その開示内容を参照により本明細書に援用する。ただし、上述のシステムに対する特定の改良および/または追加が望ましい場合もある。
改良されたパッチパネルシステム1100の一例を図13A~図13Fに示す。パッチパネルシステム1100は、パッチパネルシステム1000’’に類似していてもよいが、格納状態のハンガープレートアセンブリの位置だけが異なる。パッチパネルシステム1100は、図10~図12に関連して説明したものと類似の外側ハウジング1102(ドア1102Dの有無は問わず)、内側ハウジング1103、およびカセット1110を具備していてもよい。
図13Aにおいては、アクセスドア1102Dが開放された格納状態のパッチパネルシステム1100を示している。必要に応じて本明細書に記載の他の実施形態の場合は、類似のアクセスドア1102Dが設けられていてもよい。内側ハウジング1103内には、第1および第2のハンガープレートアセンブリ1120a、1120bが実質的に内側ハウジング1103の側壁と外側ハウジング1102の側壁との間において格納状態で、複数のカセット1110が垂直方向の積層構成で配置されている。図13A~図13Fには、2つのハンガープレートアセンブリ1120a、1120bを示しているが、パッチパネルシステム1100には、ハンガープレートアセンブリのうちの1つだけが設けられていてもよいことが了解されるものとする。
図13Bは、ハンガープレートアセンブリ1120a、1120bが設置または保守状態とも称し得る引き出し状態のパッチパネルシステム1100の斜視図である。図13Cは、ハンガープレートアセンブリ1120a、1120bが引き出し状態のパッチパネルシステム1100の上面図であって、外側ハウジング1102を外形のみで示すとともに、ドア1102Dを完全に省略している。ハンガープレートアセンブリ1020’と同様に、ハンガープレートアセンブリ1120a、1120bは、1つまたは複数のヒンジによって内側ハウジング1103に結合された実質的に矩形の第1のハンガープレート1121aを具備していてもよい。ハンガープレートアセンブリ1020’に関連して上述したものと大略同様に、複数の別のハンガープレート1121b~1121eが互いに連続してヒンジ結合されていてもよい。ただし、ハンガープレートアセンブリ1120a、1120bを構成するハンガープレートの特定数および相対サイズは、特定の所望寸法によって異なり得ることが了解されるものとする。さらに、ハンガープレートアセンブリ1120a、1120bの個々のハンガープレート1121a~1121eは、ヒンジ結合された個々の部材として示しているものの、ハンガープレートのうちの1つまたは複数は、稼働中のヒンジ機構がもたらすヒンジ動作によって、隣接するプレートと一体化していてもよい。
各ハンガープレートアセンブリ1120a、1120bのハンガープレート1121cには、複数のハンガー1123が結合されていてもよい。ハンガー1123は、ハンガープレート1020に関連して上述したハンガー1023と実質的に同様または同一であってもよい。ただし、ハンガー1123は、後側ハンガープレート1027に類似し得る別の形態であってもよい。ハンガー1123の形態に関わらず、延伸するケーブル(図示省略)を有し得る各カセット1110と実質的に位置合わせされた状態でハンガーが位置決めされることにより、カセット内またはカセット外に延びるケーブルを各ハンガーが支持および/または固定可能であるのが好ましい。さらに、ハンガー1123は、ハンガープレート1121cに取り付けられたものとして示しているが、ハンガープレートアセンブリ1120a、1120bの他のハンガープレートに取り付けられていてもよい。ハンガー1123は、カセット1110内またはカセット1110外に延びるケーブルの最初の支持点となり得るため、ケーブルが対応するハンガーの支持なく長い距離にわたって延びることのないように、カセットの近位面に近いハンガープレート1121a~1121e上に位置決めされているのが好ましい。
図13Bを参照して、ケーブル(図示省略)が第1のカセット1110の近位端から対応するハンガー1123まで延びて支持されていてもよい。これらのケーブルは、別のケーブル保持器1130まで延び続けていてもよい。各ハンガープレートアセンブリ1120a、1120bのハンガープレート1121e上には、複数の別のケーブル保持器1130が位置決めされていてもよい。図示の実施形態において、各ケーブル保持器1130は、取り付けられるハンガープレートに対して実質的に直交して延びた円形部1131を含んでいてもよい。ケーブルは、円形部1131に巻き付くとともに、異なるカセットに対応する異なる垂直方向高さで別のハンガー1123に向かって戻る方向に延びていてもよい。あるいは、ケーブルは、1つのケーブル保持器1130の円形部1131に巻き付くとともに、別のケーブル保持器の円形部まで延び、その点において、異なるカセット1110に対応する別のハンガー1123に向かって戻る方向に延びていてもよい。円形部1131のサイズは、円形部に巻き付くケーブルの最小曲げ半径を与えるように選定されることで、ケーブルの損傷を最小限に抑えるようになっていてもよい。また、各ケーブル保持器1130は、当該ケーブル保持器が取り付けられたハンガープレート1121eに対して実質的に平行に延び得る平坦部1132を含んでいてもよい。平坦部1132は、ケーブルの整線を維持するとともに、円形部1131からの抜け落ちを回避するのに役立ち得る。図示の実施形態において、各ハンガープレート1121eは、3つのケーブル保持器1131を具備しており、別の平坦部1132がハンガープレートの底部近くにある。ただし、ハンガープレート1121eまたは別のハンガープレートに結合し得るケーブル保持器1130(または、その一部)は、より多くても少なくてもよいことが了解されるものとする。いくつかの実施形態において、平坦部1132は、回転可能であってもよい。図13Bに示す状態において、ケーブル保持器1130の平坦部1132と対応するハンガープレート1121eとの間に位置決めされたケーブルは、当該ケーブルの端部をカセット1110から切り離すことなくケーブル保持器から取り外すのが困難となり得る。このため、ユーザが必要に応じて、ケーブルの端部をカセット1110から切り離すことなく比較的容易にケーブルを円形部1131から外して保守を行えるように、平坦部1132が回転可能である。
さらに図13Bを参照して、ハンガープレート1121eには、カバー1140が結合されていてもよい。カバー1140は、ブラケット1141にヒンジ結合されていてもよい。ブラケット1141は、ハンガープレート1121eの上部、底部、および自由側縁部に近い部分を含んでいてもよく、自由側縁部に近いブラケットの部分にカバー1140がヒンジ結合されている。この構成により、カバー1140は、ケーブル保持器1130により支持されたケーブルにアクセスするため、開放されて図13Bに示す状態となり得る。保守が完了した場合、カバー1140は、ケーブル保持器1130を覆うように閉塞されるようになっていてもよく、これは、ハンガープレートアセンブリ1120a、1120bが以下により詳しく説明する格納状態となった場合に、ケーブルを所望の位置に維持するのにさらに役立つ。別のケーブルの維持に役立つように、1つまたは複数のハンガーがハンガープレート1121a~1121eの後部に設けられていてもよいことが了解されるものとする。たとえば、ハンガープレート1121eは、別の組のケーブル保持器ならびに対応するブラケットおよびカバーを具備していてもよく、これは、当該プレートの後面において、上述と同様または同一の構成であってもよい。さらに、ハンガープレートのうちの1つまたは複数には、1つまたは複数の窓Wが設けられていてもよい。たとえば、図13Bに最もよく示すように、ハンガープレート1121dは、ケーブルが必要に応じて、窓を通じてハンガープレートの一方側からハンガープレートの反対側へと通過し得るように、窓Wを構成する2つの部分を含んでいてもよい。さらに、ハンガープレートアセンブリ1120a、1120b上には、多くの別のハンガー1133が位置決めされていてもよい。たとえば、ケーブルが外側ハウジング1102の床またはその他任意の表面に垂れることのないように、所望のパネルの前部および/または後部の最底部に個々のハンガー1133が配置されていてもよい。個々のハンガー1133の一例は、図13Dに最もよく図示している。
ケーブルの保守が完了したら、図13Cに示すように、カセット1110がすべて内側ハウジング1103へと遠位方向に押し入れられ、ケーブル保持器1130の平坦部1132が回転によって図13Bに示す状態となり、カバー1140が回転により閉塞されるようになっていてもよい。そして、ユーザは、図13D~図13Fに示すように、終端ハンガープレート1121eが内側ハウジング1103および外側ハウジング1102の側壁間に位置決めされた状態で、内側ハウジング1103の外側に巻き付くように、ハンガープレートアセンブリ1120a、1120bを回転させるようにしてもよい。ハンガーアセンブリ1120a、1120bの格納状態をより良く図示するため、外側ハウジング1102が図13Dおよび図13Eから実質的に省略されていることが了解されるものとする。図13D~図13Fから明らかなように、ハンガープレートアセンブリ1120a、1120bの格納状態において、ケーブルは、きれいにしっかりと整線されており、ケーブルの多くの部分は、たとえば外側ハウジング1102およびカバー1140等のシステムの要素によって保護されている。
図13Gは、ハンガープレートアセンブリ1120aを案内して格納状態にロックするのに使用可能なプレートガイド1190を示している。プレートガイド1190は、内側ハウジング1103の長さに沿って延び、ブラケット1191またはその他任意の適当なコネクタによって内側ハウジングに接続されていてもよい。プレートガイド1190は、横方向断面において実質的に「U」字状であってもよく、「U」字の両側がハンガープレート1121e、1121d、および1121cを格納状態へと案内するのに役立つ。ガイドプレート1190の近位端には、当該ガイドプレート1190の近位開口から離れる方向に延びた円形部1192を含んでいてもよい。終端ハンガープレート1121eが最初にプレートガイド1190の開放端へと案内されるため、円形部1192は、終端ハンガープレートをプレートガイドの近位開口の中心へと案内するのに役立ち得る。また、プレートガイド1190は、ハンガープレートアセンブリが格納状態の場合に、ハンガープレートのうちの1つの対応する開口部1194と一致する開口部1193を含んでいてもよい(ここでは、ハンガープレート1121cに示す)。矢印1195で示す方向に、格納状態へとユーザがハンガープレートアセンブリ1120aを摺動させ続けると、結果的に、開口部1193および1194は一致することになる。開口部1193および1194が一致している場合は、両開口部へのロック要素1196の挿通によって、ハンガープレートアセンブリ1120aを格納状態にロックするようにしてもよい。ロック要素1196は、両開口部1193、1194に挿通された場合に、プレートガイド1190に対するハンガープレート1121cの動きを物理的に制限する簡単な円筒状構造体であってもよい。ロック要素1196および/または開口部1193、1194は、ハンガープレートアセンブリ1120aをプレートガイド1190にさらにロックして格納状態とする嵌め合いネジ等の別の構造を含んでいてもよい。上述の実施形態の多くには、格納状態においてカセットの前部が露出するように「後方」に可動のハンガープレートアセンブリ1120a、1120b等のハンガープレートまたはハンガープレートアセンブリを含むが、他の実施形態においては、格納状態においてハンガープレートまたはハンガープレートアセンブリがカセットの前部を覆うように、ハンガープレートまたはハンガープレートアセンブリが「前方」に可動であってもよいことが了解されるものとする。図15A~図15Dおよび図18~図20D等、ドーム留め具を備えた特定のシステムに関連して以下の他の実施形態で説明するこの構成は、たとえば図10A~図14Hに関連して説明する種類のハウジングを備えたシステムに適用されるようになっていてもよい。また、内側ハウジング1103および外側ハウジング1102等の内側ハウジングおよび外側ハウジングを有するものとして上述した実施形態の場合は、内側ハウジングの底部の外側ハウジングの底部へのしっかりとした固定および/または内側ハウジングの上部の外側ハウジングの上部への固定のため、ボルト、コネクタ等の支持部材が設けられていてもよいことが了解されるものとする。
図14Aおよび図14Bはそれぞれ、引き出し状態および格納状態のハンガープレートアセンブリ1120aの模式図であって、システムの他のコンポーネントは省略している。個々のハンガープレートが実質的に直線状に位置合わせされた状態でハンガープレートアセンブリ1120aが引き出し状態の場合は、カセットからハンガープレートアセンブリに沿った最遠位置まで、第1の長さL1を有する経路に沿ってケーブルCが延びている。ハンガープレートアセンブリ1120aが図14Bの格納状態に遷移して、ケーブルCを外側にして湾曲している場合は、カセットからハンガープレートアセンブリに沿った最遠位置まで、第2の長さL2を有する経路に沿ってケーブルCが延びていてもよい。経路長L1およびL2の差の程度は、ハンガープレートアセンブリ1120aのプレートの表面に対してケーブルCが位置決めされた距離D6により異なっていてもよい。ケーブルCが無限に小さい厚さを有し、ハンガープレートアセンブリ1120aのプレートの表面上に直接、効果的に位置決めされた理論的な構成において、第1および第2の経路長L1、L2の差は、ゼロまたは無視できるほどであってもよい。ただし、実際のところ、特に複数のケーブルCが一体的に束ねられている場合は、ケーブルに厚さがあるため、距離D6は無視できない。このため、ハンガープレートアセンブリ1120aから遠位方向に延びたケーブルCの緩んだ長さに応じて、図14Aの引き出し状態から図14Bの格納状態へとハンガープレートアセンブリ1120aが遷移した場合は、第2の経路長L2が第1の経路長L1よりも大きく、ケーブルの張力が増す可能性があるため、ケーブルCに応力が生じている可能性がある。
図14C~図14Hは、ハンガープレートアセンブリが引き出し状態から格納状態に遷移した場合のケーブルCの考え得る張力を抑制または除去するのに役立ち得るハンガープレートアセンブリ1120aのさまざまな改良を示している。
図14Cおよび図14Dはそれぞれ、ケーブル支持部1150がハンガープレートアセンブリのプレートのうちの1つに結合された引き出し状態および格納状態のハンガープレートアセンブリ1120aの非常に模式的な図である。支持部1150は、ハンガープレートのうちの1つに結合された第1の端部および第2の自由端部を有していてもよく、自由端部は、ケーブルCを支持し得る丸みを帯びた先端を含んでいてもよい。図14Cの引き出し状態において、支持部1150の自由端部は、取り付けられたハンガープレートの表面から離れる方向に第1の距離だけ延びていてもよく、図14Aの経路長L1よりも大きいと考えられる長さL1’を有する経路に沿ってケーブルCが延びている。図14Dに示す格納状態へとハンガープレートアセンブリ1120aが遷移した場合、支持部1150の自由端部は、支持部が取り付けられたハンガープレートの表面の近くに移動するようになっていてもよい。たとえば、支持部1150の第1の端部は、自由端部がハンガープレート側に回転し、支持部が取り付けられたハンガープレートに平行に近づくように、ハンガープレートに対して回転可能に結合されていてもよい。別の例において、支持部1150は、ハンガープレートに取り付けられた支持部の端部に向かって支持部の自由端部が摺動するように、伸縮等の平行移動可能な構成を有していてもよい。この機構に関わらず、ケーブルCの引き出し状態から格納状態への遷移時に応力または張力が増加しないように、経路L2’の長さは、経路L1’の長さと同等または略同等であるのが好ましい。
図14Eおよび図14Fはそれぞれ、延伸可能なハンガープレート1160がハンガープレートアセンブリに含まれる引き出し状態および格納状態のハンガープレートアセンブリ1120aの非常に模式的な図である。延伸可能なハンガープレート1160は、図14Eに示す延伸状態および図14Fに示す後退状態を有していてもよい。延伸可能なハンガープレート1160は、第3の中心部によって一体的に結合された2つの端部を含んでいてもよく、これら2つの端部は、中心部上で互いに向かう方向および離れる方向に摺動可能である。ただし、他の機構が適している場合もある。たとえば、延伸可能なハンガープレート1160は、延伸状態まで伸び、解除すると後退状態まで縮み得るように、伸縮可能であってもよい。この機構に関わらず、ケーブルCの引き出し状態から格納状態への遷移時に応力または張力が増加しないように、経路L2’’の長さは、経路L1’’の長さと同等または略同等であるのが好ましい。
図14Gおよび図14Hはそれぞれ、再位置決め可能なケーブル保持器1130’がハンガープレートアセンブリの終端ハンガープレート上に設けられた引き出し状態および格納状態のハンガープレートアセンブリ1120aの非常に模式的な図である。再位置決め可能なケーブル保持器1130’は、取り付けられたハンガープレートの表面に沿って横方向に移動し得る点を除いて、本明細書に記載のケーブル保持器1130またはその他任意のケーブル保持器もしくはハンガーに構造が類似していてもよい。たとえば、再位置決め可能なケーブル保持器1130’が取り付けられたハンガープレート内にスロットが設けられていてもよく、スロットに沿って摺動し得るように、再位置決め可能なケーブル保持器の一部がスロット内に位置決めされている。図14Gに示す引き出し状態において、再位置決め可能なケーブル保持器1130’は、長さL1’’’の経路に沿ってケーブルCが延びるように、ハンガープレートアセンブリ1120aの自由縁部の比較的近くに位置決めされていてもよい。ハンガープレートアセンブリ1120aが格納状態に遷移すると、ケーブルCの張力が任意に増大して、図14Hに示すように、再位置決め可能なケーブル保持器1130’がハンガープレートアセンブリの自由縁部から離れる方向に摺動する可能性がある。図14Hにおいて、再位置決め可能なケーブル保持器1130’の以前の位置は、点線で示していることが了解されるものとする。再位置決め可能なケーブル保持器1130’がハンガープレートアセンブリ1120aの自由縁部に向かう方向または離れる方向に平行移動あるいは移動可能となるには、他の特定の機構が適する場合もあることが了解されるものとする。この機構に関わらず、ケーブルCの引き出し状態から格納状態への遷移時に応力または張力が増加しないように、経路L2’’’の長さは、経路L1’’’の長さと同等または略同等であるのが好ましい。
図14C~図14Hに関連して上述した改良の場合は、使用時に、実際の経路長L1’、L1’’、およびL1’’’が意図した対応する経路長L2’、L2’’、およびL2’’’よりも大きくなる可能性も考えられる。これらの改良は、実質的に等しい経路長になることを意図しているが、経路長L1’、L1’’、およびL1’’’は潜在的に、たとえばユーザエラーによって、対応する経路長L2’、L2’’、およびL2’’’よりも大きくなる可能性がある。一例において、設置ステップにおいては、ユーザが意図せず引き出し状態のケーブル経路に余分な長さを導入してしまい、ユーザエラーに起因する追加長さをXとして、実際の経路長がL1’+X、L1’’+X、またはL1’’’+Xとなる場合もある。この状況において、格納状態に遷移すると、ケーブルは、ユーザによりシステムに導入された余分な長さXのため、不要な緩みを呈する可能性もある。その結果、実際の経路長L1’、L1’’、およびL1’’’は、Xに等しい長さだけ、意図した対応する経路長L2’、L2’’、およびL2’’’よりも大きくなる可能性がある。この格納状態のケーブルCの余分な緩みにより、ケーブルがケーブル保持器1130から滑り落ちる可能性もある。この可能性を防ぐため、支持部1150、延伸可能なハンガープレート1160、およびケーブル保持器1130’に張力または付勢要素が設けられ、支持要素1150が図14Cに示す位置に付勢(たとえば、バネ付勢)され、延伸可能なハンガープレート1160が図14Eに示す位置に付勢(たとえば、バネ付勢)され、ケーブル保持器1130’が図14Gに示す位置に付勢(たとえば、バネ付勢)されるようになっていてもよい。この構成により、図14C、図14E、および図14Gに示す対応する引き出し状態においては、張力がほとんどない状態またはまったくない状態で、ケーブルCがハンガープレートアセンブリ1120aにより支持されていてもよい。図14D、図14F、および図14Hに示す対応する格納状態へとユーザがハンガープレートアセンブリ1120aを移動させると、支持部1150、延伸可能なハンガープレート1160、またはケーブル保持器1130’に与えられた付勢によって、ケーブルに小さな張力が加わり、ケーブルがハンガープレートアセンブリの近くに固定・位置決めされたままとするのに役立ち得る。言い換えると、ハンガープレートアセンブリが引き出し状態の場合の最初にユーザが別のことで形成した可能性があるケーブルCの如何なる緩みも、支持要素1150、延伸可能なハンガープレート1160、またはケーブル保持器1130’の付勢力によって、一部または全部が格納状態で除去されるようになっていてもよい。如何なる緩みも除去され得るが、ケーブルが損傷を受けることのないように、この付勢力は小さいのが好ましいことが了解されるものとする。
潜在的にケーブルの機械的応力または破損となる張力のほか、ケーブルの曲げによって別途、光信号の損失が生じる可能性がある。図15A~図15Dは、本開示のさらに別の態様に係る、パッチパネルシステム1200を示している。以下により詳しく説明する利点の中でもとりわけ、パッチパネルシステム1200は、ケーブル格納時のケーブルへの応力または張力の回避と、光信号の損失を生じ得るケーブルの曲げ量の制限とを同時に行うことができる。
図15Aは、保守状態のハンガープレートアセンブリ1220a、1220bを備えたパッチパネルシステム1200の斜視図である。パッチパネルシステム1200は、ハウジング1202を具備していてもよい。図示の実施形態において、ハウジング1202は、実質的に円筒形状であってもよい。図示のように、ハウジング1202は、完全に閉じた円筒を構成するのではなく、円筒の一部の形状を有する閉塞部を含んでおり、内部に格納されたカセット1210およびケーブルCへのアクセスを可能にする開放近位面を有する。ハウジング1202は、垂直配置で積層された複数のスロットを具備していてもよく、各スロットは、スロットと摺動係合したトレイまたはカセット1210を保持するように構成されているが、実際のところは、すべてのスロットに必ずしもカセット1210が受容されていなくてもよい。カセット1210は、垂直方向に積層された構成で、上述のカセット1010と実質的に類似していてもよいが、図15Aにはカセットを1つだけ図示している。カセット1210は、本明細書に記載の他のカセットとの比較により、円筒形状ハウジング1202により良く嵌合するように改良可能である一方、カセット1010等の他のカセットは、矩形ハウジングに受容されるように構成されている。ただし、カセット1210は、その特定の形状以外にも、上述のカセットと同様または同一であってもよい。
パッチパネルシステム1200は、接続されたケーブルCの管理を補助するため、枢動可能なハンガープレートアセンブリ1220a、1220bを具備する。ハンガープレートアセンブリ1220aは実質的に、ハンガープレートアセンブリ1220bの鏡像であってもよいが、そうではなくて、同一または略同一であってもよい。したがって、以下では、ハンガープレートアセンブリ1220aのみを詳しく説明する。ハンガープレートアセンブリ1220aは、ハンガープレート1221を具備していてもよく、これは、ハウジング1202に枢動可能に結合された第1の縁部および当該第1の縁部の反対の第2の自由縁部を有する単一の湾曲プレートであってもよい。ハンガープレート1221は、単一の湾曲プレートとして示しているが、上述の他のハンガープレートアセンブリと同様に、一体的に結合された複数のプレートで構成されていてもよい。ハウジング1202に結合されたハンガープレート1221の第1の縁部近くのハンガープレートの内側面上には、複数のハンガー1223が位置決めされていてもよい。ハンガー1223は、ケーブルCが載り得る少なくとも1つの実質的に平坦な表面を有することを含めて、上述のハンガーのいずれかに構造が類似していてもよい。各ハンガー1223は、カセット1210(あるいは、ハウジング1202内の対応するスロット)と関連付けられているのが好ましい。例示的なカセット1210を図15Bに示す。ハンガー1223のほか、好ましくは垂直方向に位置合わせされた構成で、ハンガープレート1221の内面上に複数のケーブル保持器1230が位置決めされていてもよい。ケーブル保持器1230は、ケーブル保持器1130と実質的に同様または同一であってもよく、ハンガープレート1221の第2の縁部近くに位置決めされているのが好ましい。また、ハンガープレート1221は、ケーブルCがハンガープレートアセンブリ1220aを通過してパッチパネルシステム1200から退出し得る複数の窓Wを具備していてもよい。図示の実施形態において、各窓Wは、ハンガー1223とハウジング1202に対して枢動可能に結合されたハンガープレートの第1の縁部との間のハンガープレート1221の上縁または底縁において垂直スロットとして形成されている。ただし、窓Wは、他の形状、位置であってもよく、より多くの窓またはより少ない窓が設けられていてもよいことが了解されるものとする。たとえば、図18は、ハンガー1223’とケーブル保持器1230’との間のハンガープレート1221’の上縁および底縁に窓W’が形成された点を除き、すべての点においてパッチパネルシステム1200と同一であるパッチパネルシステム1200’を示している。
図15Aに示すように、ケーブルCは、カセット1210上のコネクタの前方または後方から、対応するハンガー1223上を通ってその上に載り、1つまたは複数のケーブル保持器1230に巻き付き、別のハンガー上を通ってその上に載り、ハウジング1202内の異なる垂直位置のカセットの前方または後方でコネクタに接続されていてもよい。あるいは、一部のケーブルCは、窓Wのうちの1つを通過し、パッチパネルシステム1200の外側の別個のコンポーネントに接続されていてもよい。ハンガープレートアセンブリ1220a、1220bが図15Aに示す開放または保守状態の場合に、ユーザがパッチパネルシステム1200のケーブルCの保守を実行するようにしてもよい。保守が完了した場合、ユーザは、ハウジング1202の開放面に向かってハンガープレートアセンブリ1220a、1220bを回転させるようにしてもよく、これは、格納または設置状態と称する場合もあり、図15Cおよび図15Dに示す。格納状態においては、ハンガープレートアセンブリ1220a、1220bの一方が少なくとも部分的に、他方のハンガープレートアセンブリを覆っていてもよい。これにより、ハウジング1202およびハンガープレートアセンブリ1220a、1220bは一体的に、実質的な円筒形状を有していてもよく、ケーブルCの大部分がハンガープレートアセンブリの一方または両方の背後に隠れて保護されている。2つのハンガープレートアセンブリ1220a、1220bを示しているが、単一のハンガープレートアセンブリでも十分であり、格納状態においては、ハウジング1202の開放面のほとんどまたは全体を覆うように寸法規定されているのが好ましいことが了解されるものとする。
パッチパネルシステム1200のハンガープレートアセンブリ1220a、1220bが図15Aに示す保守または開放状態の場合、ケーブルCには、最大レベルの応力または張力が加わる可能性がある。パッチパネルシステム1200のハンガープレートアセンブリ1220a、1220bが図15Cおよび図15Dに示す設置または格納状態の場合、ケーブルCには、最小レベルの応力または張力が加わる可能性がある。パッチパネルシステム1200のハンガープレートアセンブリ1220a、1220bが格納状態の場合、パッチパネルシステム1200は、ケーブルCへの張力の発生およびケーブルCの折り返しまたは曲げの程度および度合いの制限を行えるのが好都合である。図16Aおよび図16Bは、ハンガープレートが格納/設置状態の場合のパッチパネルシステム1100および1200の要点をそれぞれ示した上面切り欠き図である。特に、パッチパネルシステム1110のハンガープレート1120aが格納状態の場合、ハンガープレートアセンブリ1120aのヒンジの最も近くに接続されたケーブルは、角度α1まで曲がって、0°に近づく可能性がある。ハンガープレートアセンブリ1120aのヒンジから最も遠くに接続されたケーブルは、角度α2まで曲がって、90°に近づく可能性がある。比較上、パッチパネルシステム1200のハンガープレート1220aの格納状態において、ヒンジの最も近くに接続されたケーブルは、およそ45°以上の角度α4まで曲がる可能性があり、ヒンジから最も遠くに接続されたケーブルは、角度α3まで曲がって、135°に近づく可能性がある。パッチパネルシステム1200の格納状態においてケーブルの張力低減および曲げ角度の最小化を可能とすることにより、光信号の損失およびケーブルCの機械適応力が回避可能であると都合が良い。
パッチパネルシステム1200のハンガープレートアセンブリ1220a、1220bと同様にハンガープレートアセンブリが回転するように、パッチパネルシステム1000および1100等、本明細書に記載の他のパッチパネルシステムを改良可能であることが了解されるものとする。言い換えると、図示の通り反対方向にハンガープレートが回転して、格納状態ではハンガープレートアセンブリが少なくとも部分的に各ハウジングの開放面を覆って、ケーブルの応力および/または曲げが少なくなるように、パッチパネルシステム1000および1100を改良可能である。この種の改良の別の利点として、ハンガープレートの格納または設置状態においては、ケーブルCの大部分がユーザに見えない。このような状況は、より直感的であり、ユーザは、(たとえば、ケーブルが露出しているために)各パッチパネルシステムが保守の状態であるタイミングおよび(たとえば、ケーブルが隠れているために)パッチパネルシステムが格納の状態であるタイミングをより簡単に識別し得る。
格納状態の場合にパッチパネルシステム1200を実質的な円筒形状にすることによって、別の利点も考えられる。たとえば、パッチパネルシステム1200は、任意適当な環境で使用することも可能ではあるが、地下環境での使用が特に適している可能性がある。たとえば、さまざまな規制上または環境上の理由により、パッチパネルシステムの地上への位置決めまたは地上構造体への搭載が可能でない場合または許可されない場合がある。このような状況においては、パッチパネルシステムを地下に収容することが許容される可能性がある。パッチパネルシステムが地下に収容された場合は、パッチパネルシステムに損傷を及ぼし得る水分等の環境状態からシステムの内部を封止するのが特に重要と考えられる。パッチパネルシステム1200の円筒形状は、このような保護環境を促進する別の構造体との併用に適する可能性がある。たとえば、図17に示すように、パッチパネルシステム1200は、主カバー1280およびカバーキャップ1290を具備したより大型のシステムの一部であってもよい。図示のように、主カバー1280は、パッチパネルシステム1200のハウジング1202上に摺動可能な中空内部を備えた実質的に中実の円筒状部材であってもよい。カバーキャップ1290は、円筒状で、外部ネジ等の嵌め合い機構を具備することにより、たとえば水密に主カバー1280と結合するようになっていてもよい。この被覆システムであれば、ハンガープレートが設置状態の場合にパッチパネルシステム1200を高度に保護可能であり、ハウジングは、主カバー1280および当該主カバーに固定されたキャップ1290によって覆われる。
図19A~図19Dは、ハンガープレートが開放または保守状態の分解されたパッチパネルシステム1300のさまざまな分解斜視図である。図20A~図20Dは、同じくハンガープレートが保守状態で組み立てられた状態の図19A~図19Dに対応する図である。図19Aのパッチパネルシステムは、パッチパネルシステム1200に大略類似していてもよく、断面厚がおよそ2mm~およそ7mmでアルミニウム等の金属を含み得る支持フレーム1302を具備していてもよい。支持フレーム1302の厚さは、使用する特定の金属によって決まり、支持フレームがアルミニウムで形成されている場合は、およそ3mm~およそ5mmであってもよく、およそ4mmを含む。フレーム1302は、単一の一体片または結合された複数片で形成されていてもよく、1つまたは複数の側壁1304、上部1306、および/または底部1308を含んでいてもよい。フレーム1302は、ハウジングを構成していてもよいし、垂直配置で積層された複数のスロットを具備し、スロットと摺動係合したトレイまたはカセット1310を保持するように各スロットが構成されているが、実際のところは、すべてのスロットに必ずしもカセット1310が受容されていなくてもよいハウジングまたは内側シャーシを覆っていてもよい。カセット1310は、カセット1210または本明細書に記載のその他のカセットのいずれかと実質的に類似していてもよい。一実施形態においては、パッチパネルシステム1300内のすべてのコンポーネントがフレーム1302に搭載および/または結合されていてもよく、フレーム1302は、パッチパネルシステム1300全体の共通接地要素として機能し得るように、パッチパネルシステム1300内のコンポーネントのうちの1つまたは複数の接地要素に対して電気的に結合されていてもよい。フレームは、ハンドルとして作用するとともに、フレーム上でカバー1280に類似する保護キャップを案内するのに役立ち得る上部を含んでいてもよい。
パッチパネルシステム1300は、接続されたケーブルCの管理を補助するため、多くの点においてハンガープレートアセンブリ1220aおよび1220bに類似し得る枢動可能なハンガープレートアセンブリ1320aおよび1320bを具備していてもよい。いくつかの実施形態において、ハンガープレートアセンブリ1320aおよび1320bは、互いに実質的な鏡像であってもよい。ただし、図示の実施形態において、ハンガープレートアセンブリ1320aおよび1320bは、少なくともいくつかの相違点を有していてもよい。
ハンガープレートアセンブリ1320aは、ハンガープレート1321aを具備していてもよく、これは、フレーム1302の第1の側壁1304に枢動可能に結合された第1の縁部および当該第1の縁部の反対の第2の自由縁部を有する単一の湾曲プレートであってもよい。ハンガープレート1321aは、単一の湾曲プレートとして示しているが、上述の他のハンガープレートアセンブリと同様に、一体的に結合された複数のプレートで構成されていてもよい。フレーム1302に結合されたハンガープレート1321aの第1の縁部近くのハンガープレートの内側面上には、複数のハンガー1323aが位置決めされていてもよい。ハンガー1323aは、ケーブルCが載り得る少なくとも1つの実質的に平坦な表面を有することを含めて、上述のハンガーのいずれかに構造が類似していてもよい。各ハンガー1323aは、カセット1310(あるいは、パッチパネルシステム1300内の対応するスロット)と関連付けられているのが好ましい。ハンガー1323aのほか、好ましくは垂直方向に位置合わせされた構成で、ハンガープレート1321aの内面上に複数のケーブル保持器1330aが位置決めされていてもよい。ケーブル保持器1330aは、ケーブル保持器1130と実質的に同様または同一であってもよく、垂直方向に延びた第1の群および水平方向に延びた第2の群を含んでいてもよく、たとえば、第1の群は、第2の群に対しておよそ90°で延びている。また、たとえば図20Bに示すように、ハンガープレート1321aは、ケーブルCがハンガープレートアセンブリ1320aを通過してパッチパネルシステム1300から退出し得る1つまたは複数の凹部または窓Wを具備していてもよい。図示の実施形態において、窓Wは、フレーム1302に対して枢動可能に結合されたハンガープレートの第1の縁部近くのハンガープレート1321aの上縁および底縁において水平凹部として形成されている。ただし、窓Wは、他の形状、位置であってもよく、より多くの窓またはより少ない窓が設けられていてもよいことが了解されるものとする。たとえば、図示の実施形態において、凹部は、ハンガープレート1321aの第2の縁部の上部および底部に設けられていてもよく、窓Wと同一または同様の機能を実行可能であってもよい。
いくつかの実施形態において、ハンガープレートアセンブリ1320bは、ハンガープレートアセンブリ1320aの鏡像であってもよいが、図示の実施形態において、ハンガープレートアセンブリ1320bは、いくつかの相違点を有していてもよい。ハンガープレートアセンブリ1320bは、ハンガープレート1321bを具備していてもよく、これは、フレーム1302の第2の側壁1304に枢動可能に結合された第1の縁部および当該第1の縁部の反対の第2の自由縁部を有する単一のプレートであってもよい。ハンガープレート1321bは、単一のプレートとして示しているが、上述の他のハンガープレートアセンブリと同様に、一体的に結合された複数のプレートで構成されていてもよい。ハンガープレート1321aは(凸状の外面および凹状の内面を有する)湾曲したものとして示しているが、ハンガープレート1321bは、実質的に平面状であってもよい。図示の構成により、動作時には、ハンガープレートアセンブリ1320a、1320bの設置状態において、ハンガープレート1321bがカセット1310とハンガープレート1321aとの間に位置決めされているのが好ましい。言い換えると、パッチパネルシステム1300のハンガープレートアセンブリ1320a、1320bが保守状態から設置状態に遷移する場合は、ハンガープレート1321bが最初に閉じられた後、ハンガープレート1321aが2番目に閉じられる。フレーム1302に結合されたハンガープレート1321bの第1の縁部近くのハンガープレートの内側面上には、複数のハンガー1323bが位置決めされていてもよい。ハンガー1323bは、ケーブルCが載り得る少なくとも1つの実質的に平坦な表面を有することを含めて、上述のハンガーのいずれかに構造が類似していてもよい。各ハンガー1323bは、カセット1310(あるいは、パッチパネルシステム1300内の対応するスロット)と関連付けられているのが好ましい。ハンガー1323bのほか、好ましくは垂直方向に位置合わせされた構成で、ハンガープレート1321bの内面上に複数のケーブル保持器1330bが位置決めされていてもよい。ケーブル保持器1330bは、ケーブル保持器1130と実質的に同様または同一であってもよく、また、垂直方向に延びていてもよい。また、ハンガープレート1321bは、ケーブルCがハンガープレートアセンブリ1320bを通過してパッチパネルシステム1300から退出し得る1つまたは複数の凹部または窓Wを具備していてもよい。図示の実施形態において、窓Wは、側壁1304に結合されたハンガープレート1321bの縁部の上部または底部でスロットとして形成されている。ただし、窓Wは、他の形状、位置であってもよく、より多くの窓またはより少ない窓が設けられていてもよいことが了解されるものとする。ハンガープレート1321bの上部および/または底部は、ユーザが把持してハンガープレート1321bを位置決めするのを容易化するハンドルHとして機能し得る水平スロットを含んでいてもよい。
パッチパネルシステム1300は、1つまたは複数のサイドハンガー1340aおよび1340bをさらに具備していてもよい。サイドハンガー1340aおよび1340bは、金属で形成されているのが好ましいが、他の材料も適していると考えられる。図示の実施形態においては、ハンガーアセンブリ1320aに隣接する第1の側壁1304に一方のサイドハンガー1340aが搭載され、ハンガーアセンブリ1320bに隣接する第2の側壁1304に別のサイドハンガー1340bが搭載されている。サイドハンガー1340aおよび1340bを図21Aおよび図21Bに分けて示す。サイドハンガー1340aおよび1340bはいずれも、対応する側壁1304から離れる方向に実質的に直交して延びる複数の第1の延伸部材1341aおよび1341bを具備するとともに、対応する側壁に対して実質的に平行に延びる先端を含んでいてもよい。第1の延伸部材1341aおよび1341bは、塊状にグループ化されていてもよく、延伸部材の先端が塊の中心から離れる方向に延びている。図示の実施形態においては、サイドハンガー1340aが一塊の4つの延伸部材1341aを含み、サイドハンガー1340bが二塊の4つの延伸部材1341bを含むが、他の実施形態においては、延伸部材の数および位置が異なっていてもよいことが了解されるものとする。また、サイドハンガー1340aおよび1340bはいずれも、対応する側壁1304から離れる方向に実質的に直交して延びる複数の第2の延伸部材1342aおよび1342bを具備するとともに、対応する側壁に対しては実質的に平行であるが、延伸部材1341aおよび1341bの先端と反対方向に延びる先端を含んでいてもよい。この構成により、パッチパネルシステム1300に出入りするケーブルCは、一塊の第1の延伸部材1341aおよび1341bの周りを通って配線されていてもよく、対応する第2の延伸部材1342aおよび1342bによって少なくとも部分的に囲まれていてもよく、たとえば図20Cおよび図20Dに示すように、ケーブルCを適所に保つのに役立つ。
パッチパネルシステム1300は、フレーム1302の底辺1308が搭載されたベース1390を含んでいてもよい。ベース1390は、実質的に円形で、システムが組み立てられた場合にハンガープレートアセンブリ1320aに隣接するフレーム1302の側壁1304に隣接するように位置決めされた1つまたは複数のポート1391aと、システムが組み立てられた場合にハンガープレートアセンブリ1320bに隣接するフレーム1302の側壁1304に隣接するように位置決めされた1つまたは複数のポート1391bとを具備していてもよい。図示の実施形態において、ベース1390は、フレームの両側でパッチパネルシステム1300にそれぞれ出入りするケーブルの2つのポート1391aおよび2つのポート1391bを具備していてもよいが、他のポート数および位置も適していると考えられる。いくつかの実施形態において、ベース1390は、金属で形成されていてもよい。
他の実施形態においては、ベース1390がプラスチックで形成され、金属ボルトによりフレーム1302に取り付けられて、パッチパネルシステム1300の接地を補助するのが好ましいと考えられる。たとえば、図21Cに示すように、ベース1390は、ナット1393等の定着部材によりフレーム1302の底部1308の対応する孔を通って固定可能なボルト1392の形態の複数の雄-雄コネクタを含んでいてもよい。他の実施形態においては、図21Dに示すように、ベース1390は、フレーム1302の底部1308をベース1390に固定するのに利用可能な1つまたは複数の雌-雌コネクタ1394を含んでいてもよい。フレーム1302のベース1390への結合には、他の適当な機構が用いられるようになっていてもよいことが了解されるものとする。たとえば、図21Eに示すように、ナット1393を装着可能な第1のネジ端をボルト1392が有していてもよい。ボルト1392の第2の端部には、図示のようにヘッドを含んでいてもよいし、あるいは、ボルトの第1の端部に類似する別のナットを装着していてもよい。Oリング1399等の1つまたは複数のガスケットがボルト1392とベース1390との間の境界をなしていてもよい。図示の例において、Oリング1399は、ベース1390の凹部内かつボルト1392の軸周りに位置決めされている。Oリング1399等のガスケットは、特にボルトおよびベースの熱膨張係数が異なる場合に、ベース1390、ボルト1392、および/またはフレーム1302間の封止を容易にし得る。このような場合、Oリング1399は、温度変化に際してボルト1392がベース1390と異なる速度で膨張する場合に封止を維持するのに役立ち得る。金属ボルトを使用すると、ボルトがフレーム1302に対して導電結合されるため、パッチパネルシステム1300全体の外部アクセス可能な接地要素がもたらされ得る。
図21Fは、図示の明瞭化のため他のコンポーネントが省略された状態でベース1390に結合されたフレーム1302の部分の拡大図である。いくつかの実施形態において、フレーム1302の底部1308は、フレームの側壁1304と一体化していてもよい。ただし、図示の実施形態において、フレーム1302の底部1308および側壁1304は、別個の部分として形成され、締結具1305で一体的に結合されており、これは、ロックワッシャを備えた金属ボルトであってもよいが、他の締結具も適当と考えられる。側壁1304への取り付けも含めて、カセット1310を支持可能な1つまたは複数のシェルフまたはリブ1307がフレーム1302の内部に設けられていてもよい。また、1つまたは複数のブラケット1312(たとえば、各側壁1304に1つ)がフレーム1302に結合され、出入りするケーブルCまたはケーブル群の固定を補助するとともに、フレーム1302から延びた接地要素を提供していてもよい。ブラケット1312は、フレーム1302と一体化していてもよいし、フレーム1302に別個に取り付けられていてもよい。ブラケット1312には、ポート1391bを通過した外側ケーブルシースCSが圧着あるいは固定されていてもよい。ブラケット1312には、外側ケーブルシースCSの内部のバッファチューブBTが圧着あるいは固定され、また、外側ケーブルシースCS内の内側ケーブルCが別個に、たとえば圧着によって一体的に固定されていてもよい。ケーブルCの束に接地導体GCが含まれる場合、当該接地導体GCは、たとえば圧着によって、ブラケット1312に別個に固定されていてもよい。接地導体GCを使用の場合は、カバー1380が導電性であればそれも含めて、パッチパネルシステム1300を接地するように機能し得る。接地導体GCが用いられる場合、ブラケット1312は、金属または別の導電性材料で形成されるのが好ましい。ケーブルCのブラケット1312への接続は、ベース1390のポート1391bを通過するケーブルCに加わる引っ張り力への対抗に役立ち得る。
図21Gは、図21Fに示すようなケーブルのケーブルシースCS等のケーブルシースからベース1390および/またはポート1391bの他の部分まで延びたシールの形成に使用できる例示的なガスケット6000を示しているが、ガスケット6000は、ケーブルから本明細書に記載の通りケーブルが通過し得るその他任意の構造体まで延びたシールの形成に用いられるようになっていてもよいことが了解されるものとする。図示の実施形態において、ガスケット6000は、ケーブルシースCS中のケーブルを含めて、ケーブルを受容する開口が通過した実質的な円筒状であってもよい。ガスケットは、当該ガスケット6000の長手方向の長さに沿って延びたスリット等の1つまたは複数の側部開口を含むことにより、ガスケットの外側の位置からガスケット内の位置までケーブルをより簡単に通過させるようにしてもよい。ガスケット6000は、軟質ゴムの管類で形成されるのが好ましいものの、他の材料、特にエラストマー材料が使用に適している場合もある。さらに、中心開口およびガスケットの長手方向の長さに沿って延びたスリットを備えた円筒としてガスケット6000を図示しているが、ガスケットが位置決めされることになる容積の形状に応じて、他の形状が適当であってもよい。
図21Hは、ケーブルシースCSがポート1391bを通過するベース1390内に使用したガスケット6000の断面図である。ガスケット6000は、実質的に円筒形状を有していてもよいが、ポート1391b内の位置では、圧縮されて変形することにより、位置決めされた容積を実質的に満たしていてもよいことが了解されるものとする。また、図21Hは、大略円筒状、円錐状、または円錐台状で、ケーブルシースCSが通過可能な中心開口を含み、ポート1391bの雌ネジ6004等の対応する内部嵌め合い機構と係合する雄ネジ6006等の嵌め合い機構を含み得る張力緩和部材6002を示している。張力緩和部材6002は、ケーブルシースが張力緩和部材の隣接または離隔位置で側方に引っ張られた場合または曲げられた場合にケーブルシースCS内のケーブルに作用する張力を防止または抑制するのに役立ち得る。ポート1391bに隣接するベース1390の底面上には、1つまたは複数の回転ストッパまたはロッカー6008が位置決めされ、張力緩和部材6002が意図せず回転してベース1390から隔離または分離してしまう可能性の低減に役立ち得る。ガスケット6000の潜在的な利点として、ガスケット6000が与えるシールは、本明細書に記載の他のシールと比較して、ベース1390とガスケット6000との間の熱膨張係数の差に対する感度が低いと考えられる。たとえば、環境の温度が変化した場合、ベース1390およびガスケット6000の温度の変化によって、ガスケットが与えるシールの有効性が大幅に低下することはないと考えられる。
図21Iは、図21Hに示したものの代替となるポート1391b中のガスケット6000を示している。特に、実質的にポート1391bの長手方向の長さだけ延びて、ケーブルシースCSとベース1390の内部とを良好に封止するのに役立つ長さを有するガスケット6000を提供するのが好ましいと考えられる。ベース1390の雌ネジ6004は、ベース1390の底面のその他の部分の下方に延びた延伸部材上に設けられ、図21Hに示したものよりも長手方向の長さが大きなガスケット6000を使用可能であり、より良好な封止を可能にし得る。
いくつかの状況において、ガスケット6000等のガスケットは、時間とともに弾性を失い、時間とともに封止手段としての有効性が低下する可能性もある。このような弾性の損失を補償するため、ガスケット6000は、1つまたは複数の付勢要素6010と併せて用いられるようになっていてもよい。たとえば、図21Jに示すように、ガスケット6000の底面と張力緩和部材の上面との間には、2つの付勢部材6020が位置決めされていてもよい。最初の載置に際して、付勢部材6020は、大きく圧縮されていてもよい。時間とともに、ガスケット6000が弾性を失い始めると、付勢部材6020が延び始めてガスケット6000への圧力を維持することにより、ガスケット6000が弾性を失っても封止を維持するのに役立ち得る。図21Jには、2つの付勢部材6020を示しているが、使用する付勢部材は、これより多くてもよいし、少なくてもよいことが了解されるものとする。さらに、付勢部材6020は、コイルバネとして示しているが、その他任意の適当な形態であってもよく、また、他の位置に設けられていてもよい。たとえば、図21Kでは、2つの部分に分割されたものとしてガスケット6000を示しており、2つの部分のガスケット6000間に2つの付勢部材6020が位置決めされて、時間とともにガスケット6000の各部分が弾性を失った場合に封止を維持するのに役立つ。一方、図21Lは、ガスケット6000の上部およびポート1391bの上面の内部に接触するように位置決めされた2つの付勢部材6020を示している。図21Lの付勢部材6020の機能は、上述のものと同じである。別の実施形態においては、図21Mに示すように、ガスケット6000の内側に任意所望の配向で1つまたは複数の付勢部材6020が位置決めされているため、時間とともにガスケット6000が弾性を失い始めた場合に、付勢部材6020が損失を補償するとともに、ガスケット6000が与える封止を維持するのに役立ち得る。
図19A~図20D、特に、図19C、図19D、図20C、および図20Dを再び参照して、パッチパネルシステム1300は、電子機器、センサ、および/または別のケーブルコネクタコンポーネントの格納に使用可能な後側筐体またはカートリッジ1314を具備していてもよい。図20Cは、フレーム1302に対する回転によってアクセス可能となるように、後側カートリッジ1314がフレーム1302にヒンジ搭載されていてもよいことを示している。たとえば、後側カートリッジ1314は、上端がフレーム1302の後部から離れる方向D1に回転するように底端近くでヒンジ動作するようになっていてもよいし、底端がフレーム1302の後部から離れる方向D2に回転するように上端近くでヒンジ動作するようになっていてもよい。図20Cを参照して、カートリッジ1314は、実質的に閉じた内部空間がハウジングの後部に規定されるように、ハウジングの後部に対向した格納状態であってもよい。また、カートリッジ1314がフレームに対して回転し、カートリッジ1314の内部にアクセス可能な状態となった場合、カートリッジおよびハウジングの後部は、ハウジングの後部において、実質的に開放された内部空間を規定していてもよい。他の機構によっても、カートリッジの内部にアクセス可能となるようにカートリッジ1314が移動し得ることが了解されるものとする。たとえば、カートリッジが単一平面内で移動しながら左右方向に摺動し得るように、後側カートリッジ1314の上部および/または底部がパッチパネルシステム1300のコンポーネントに摺動接続されていてもよい。他の実施形態においては、カートリッジが単一平面内に残ったまま左右いずれかに回転し得るように、たとえばコーナーヒンジによって、カートリッジ1314がフレーム1302に結合されていてもよい。単一平面における(たとえば、上述の摺動機構またはコーナーヒンジによる)カートリッジ1314の移動または回転は、以下により詳しく説明する二重パッチパネルシステムに特に適すると考えられる。
また、パッチパネルシステム1300は、パッチパネルシステム1200のカバー1280に類似するカバー1380を具備していてもよいが、両カバーはある面で異なっていてもよい。カバー1380は、実質的にドーム状であってもよく、当該カバーの横断面を図22Aに示す。図22Aに示すように、カバー1380は、当該カバー1380の内部の底部からカバーの上部に向かって垂直方向に延びたガイドスロット1382を含んでいてもよい。ガイドスロット1382は、1つだけ示しているが、カバーの内部の直径方向対向部分に2つのガイドスロット1382が含まれるのが好ましいことが了解されるものとする。さらに、ガイドスロット1382は、カバーの内部の上部に向かってある距離だけ延びた狭隘部へと先細りになるカバーの底縁近くに比較的広い窪みを備えた局所凹部の形態であってもよい。ガイドスロット1382は、単一の配向または限定数の配向のうちの1つでフレーム1302上に嵌合するようにカバー1380を制限するのに役立ち得る。たとえば、フレーム1302の上部1306には、内側ハウジングまたはシャーシの上面からある離隔距離の相対的に直線状または平坦状の部分と、フレーム1302の側壁1304を越えて延びた2つの端部とを含んでいてもよい。図22Aに示すように、各ガイドスロット1382は、フレーム1302の上部1306の端部のうちの1つを受け入れるようにサイズ規定されていてもよいため、フレーム1302の上部1306の端部がガイドスロット1382内にある場合は、カバー1380がフレーム1302に対して回転不可能となる。カバー1380の底縁近くのガイドスロット1382の比較的広い部分は、フレーム1302の上部1306の端部に対してガイドスロット1382を適正に配向させることを補助し得る。上述の通り、フレーム1302の上部1306の端部は、フレーム1302の側壁1304を越えて延びていてもよい。この構成により、カバー1380がフレーム1302を囲む場合は、図22Bに示すように、フレーム1302の側壁1304とカバー1380の内部壁との間に間隙空間が維持されることになる。このため、カバー1380の外側に何かが意図せず当たった場合、この間隙空間は、カバー1380により覆われたコンポーネントを付加的に保護し得る。また、フレーム1302の上部1306の直線部は、内側ハウジングまたはシャーシの上部の上方に離隔して、ユーザがフレーム1302の上部1306をハンドルとして利用できるように、便利な把持領域を提供していてもよい。カバー1280およびベース1290と同様に、カバー1380およびベース1390は、以下により詳しく説明するラッチ機構によって促進され得るパッチパネルシステム1300の水密をもたらすようになっていてもよい。特に外部環境状態によってシステム1300の内部コンポーネントが損傷を受ける可能性がない場合は、カバー1280が省略されていてもよく、ハンガープレートアセンブリ1320a、1320bが格納状態の場合に内部コンポーネントを保護するように機能することが了解されるものとする。カバー1380が省略された場合は、システム1300の側部および後部を保護する他の構造体が設けられ、システム1300の前部がハンガープレートアセンブリ1320a、1320bによって保護されるようになっていてもよいことが了解されるものとする。
ハンガー1223に類似するハンガー1323a、1323bを各ハンガープレート1321a、1321bの内側に具備するパッチパネルシステム1300を示したが、この追加または代替として、他種のハンガーが用いられるようになっていてもよい。たとえば、図23Aは、ハンガー1323aおよび/または1323bの追加または代替として使用可能なハンガーユニット1323’を示している。ハンガーユニット1323’は、支持部1324’および当該支持部1324’から延びた複数の個々のハンガー1325’を具備していてもよい。支持部1324’は、対応するハンガープレート1321a、1321bと一体的に形成されていてもよいし、ハンガープレートに取り付けられた別個の部材であってもよい。各ハンガー1325’の自由端部には、たとえば稼働中のヒンジ機構によって当該自由端部にヒンジ結合されたラッチ部材1326’を含んでいてもよい。また、各ハンガー1325’の自由端部には、リップ1327’を含んでいてもよい。図示の例においては、各ハンガー1325’の自由端部の半分がラッチ部材1326’を含み、自由端部の残りの半分がリップ1327’を含む。後述の通り、各ハンガーユニットのラッチ部材は、別のハンガーユニットのリップを係止構成で受容して係合するように成形されている。各ハンガー1325’の自由端部におけるラッチ部材1326’およびリップ1327’の位置は、垂直方向に隣接したハンガー1325’間で逆転している。この構成により、第1のハンガー1325’のラッチ部材1326’は、第1のハンガーの直上に位置決めされた第2のハンガー1325’のリップ1327’に向かって枢動するようになっていてもよい。これにより、各ラッチ部材1326’は、図23Aに示す開放状態から図23Bおよび図23Cに示す係止状態まで枢動して、垂直方向に隣接する2つのハンガー1325’間の閉じた空間または連続境界を形成していてもよい。図示の構成において、リップ1327’は実質的に円筒状であってもよく、各ラッチ部材1326’は、リップ1327’の円筒部に留まる円筒状の窪みを構成する2つの突起またはフランジを含んでいてもよい。ハンガーユニット1323’の最上ハンガー1325’は、ラッチが上方に枢動することになる場合、ラッチ部材を具備する必要がないことが了解されるものとする。他の実施形態においては、ラッチ部材1326’が下方に枢動するようになっていてもよく、この場合は、最上ハンガー1325’がラッチ部材1326’を具備するのが好ましく、最下ハンガー1325’は、ラッチ部材1326’を具備する必要がない。さらに、リップ部1327’が円筒以外の形状を有していてもよく、ラッチ部材1326’がリップ1327’の任意の相補形状を有していてもよいことが了解されるものとする。さらに、支持部1324’は、対応するハンガー1321aまたは1321bと一体になっていない場合、たとえばネジまたはボルトによってハンガーユニット1323’のハンガーへの結合を補助する孔等の特徴を含んでいてもよい。
カバー1380および/またはベース1390は、ベース1390に対してカバー1380をロック状態に引き込むとともにロック状態の維持を補助するロックまたはラッチ機構を含んでいてもよい。図24Aおよび図24Bは、ラッチ機構が係合したパッチパネルシステム1300を覆うカバー1380の底面斜視図であって、ベース1390に固定されたカバー1380を描画したものである。図示の実施形態においては、4つの別個のラッチを示している。図24Aおよび図24Bは、ベース1390が複数のリブ1395を具備し得ることを示している。図24Aの実施形態においては、4対のリブ1395がそれぞれ、ベース1390の下面の内周から中心の円形延伸部1396に向かって延びている。図24Bの実施形態においては、4群のリブ1395がベース1390の下面の内周から中心に向かって延びており、各群のリブが4分円の形状を有し、第1および第2のリブが互いに実質的に90°の角度を成し、第3のリブが第1および第2のリブに対して実質的に45°の角度を成している。両実施形態においては、少なくとも係止状態において、ラッチがベース1390の底部を越えて突出することのないように、各ラッチがリブ間で延びている。ただし、他の実施形態においては、1つまたは複数のラッチがリブ間で延びている必要がなく、ベース1390の底部を越えて突出していてもよい。リブ1395は、カバー1380をベース1390上に引き込むラッチ機構からベース1390が力を受けている場合に、少なくとも部分的にはリブ1395の強度によって、ベース1390が如何なる大きな撓みにも対抗するように、ベース1390を強化するのに役立ち得る。図24Aおよび図24Bに示すのと異なる数および構成のリブ1395を設けて、係止時の撓みに対抗するための意図した強度を与えるようにしてもよいことが了解されるものとする。
図24Cは、カバー1380がベース1390に係止された係止状態の図24Aおよび図24Bのラッチ機構の第1の実施形態の断面図である。図示の実施形態において、ベース1390は、当該ベース1390の外周に延びた凹部1397を含んでいてもよく、Oリング1399(または、ガスケット等の類似シール)が凹部1397内に据え付けられている。カバー1380の底縁には、Oリング1399を含む凹部1397に隣接したベース1390の外側面に接触する上向きフック1381を含んでいてもよい。図示の実施形態において、ラッチは、ベース1390の窪みでレバー1383がベース1390に対して回転可能に結合された中心上ドローラッチの形態であり、下向きフック部1384が、レバー1383に結合された第1の端部と、カバー1380の上向きフック1381に引っ掛かるように構成された第2の端部とを有する。ラッチ機構のレバー1383を図24Cの図で反時計回り(「CCW」)方向に回転させると、下向きフック1384ひいてはカバー1380の上向きフック部1381に対する引っ張りおよび/または引き込みが生じて、ベース1390と密に接触する。レバー1383を反対の時計回り(「CW」)方向に回転させると、下向きフック1384の張力が解除されるとともに、カバー1380の上向きフック1381の張力も解除される。Oリング1399に接触する上向きフック1381の内側面は、垂直に対する角度α(およそ0°(垂直)~およそ45°)で設けられていてもよい。角度αは、およそ15°~およそ30°であるのが好ましい。ベース1390の凹部1397にあるOリング1399によれば、カバー1380とベース1390との間の所望の圧縮シールを実現するのに必要な力が小さくて済み、また、カバー1380をベース1390から容易に取り外せるため、都合が良い。この機能性は、カバー1380のフック部1381の内側面の角度αおよび窪み1397に隣接するベース1390の対応する角度の外側面によって少なくとも部分的にもたらされるようになっていてもよい。ベース1390には複数のラッチ機構が設けられていてもよいが、図24Cにおいては1つだけ示していることが了解されるものとする。
また、図24Cに示したものの代わりに、他のラッチ機構も適していると考えられる。たとえば、図24Dは、図24Cに示したものと類似するラッチ機構の別の選択肢の断面図である。図24Dの実施形態においては、カバー1380が上述と同じフック部1381を具備するとともに、ベース1390が同じ凹部1397およびOリング1399を具備する。このラッチ機構のレバー1383’は、ハンドルとして機能するとともに、レバー1383と若干異なる構造であってもよく、ベース1390と相互作用するとともに、下向きフック1384が結合される実質的に平坦な端部を有する。レバー1383’を回転させる代わりに、ハンドルとして把持され、引き込むことで下向きフック1384に張力を生じるようになっていてもよい。下向きフック1384に張力が印加されている間に、図24Dに示す位置までレバー1383’が移動するようになっていてもよく、レバー1383’の平坦面とベース1390の対応する平坦内側面との接触によって、図示の位置にレバー1383’が維持される。図示の位置においては、下向きフック1384の張力によって、上向きフック1381にも張力が印加され、カバー1380がベース1390と密に接触する。ラッチの解除のため、ユーザが単にレバー1383’を握り、レバーの平坦面を移動させてベース1390の対応する平坦内側面との接触を終わらせ、下向きフック1384の張力を解除するようにレバーを位置決めするようにしてもよい。
図24Eは、任意選択的な2つの位置でカバー1380をベース1390に係止する図24Cのラッチ機構の断面図である。特に、図24Eは、第1の位置1383aにおけるベース1390の底部の近くにラッチ機構のレバー1383を位置決め可能であること、または、ベース1390がレバー1383bの下方に延びるように、第2の位置1383bにおけるベース1390の窪み内にラッチ機構のレバー1383を位置決め可能であることを示している。レバー1383が凹部位置1383bに設けられている場合は、ベース1390に開口1398が設けられて、凹部レバーへのアクセスが容易となっていてもよい。図24Eは、第1のレバー位置選択肢1383aの第2のレバー位置選択肢1383bとの比較の様子および両レバーが単一のラッチ機構として備わっていない様子を示すため、2つのレバー1383a、1383bを示していることが了解されるものとする。ラッチ機構のレバーを(たとえば、位置1383bに対する位置1383aにおいて)カバー1380との接触点からある離隔距離で位置決めすることの潜在的な利点として、ベース1390用に別の材料が用意され、ベースの厚さおよび/または強度が大略大きくなることが考えられる。ベースの強度が増すと、ラッチ機構の係止による力がベース1390に印加された場合に、ベース1390の一部、特に、ラッチ機構に隣接するベースの部分が曲がったり変形したりする可能性が小さくなり得る。
図24Fおよび図24Gはそれぞれ、上述のラッチ機構のいずれかの代替または追加として使用可能なラッチ機構の側面図および断面図である。図24Fおよび図24Gのラッチ機構は、主として、下向きフック1384の代わりに実質的に「U」字状の係合アーム1384’’を具備する点を除いて、図24Cのラッチ機構と大略類似していてもよい。図24Gに示すように、係合アーム1384’’がカバーの上向きフック1381と係合する場合は、レバー1383’’が図24GのCCW方向に回転して、カバー1380をベース1390と密に接触させるようにしてもよい。カバーの張力を解除するには、図24GのCW方向にレバー1383’’を回転させるようにしてもよい。図24Fに示すように、ベース1390は、図24Eに示したものと同様に、ラッチ機構の一部が位置決めされる開口1398を含んでいてもよい。図24Gにおいては、開口1398が見えず、破線で表していることが了解されるものとする。ラッチ機構は、図24Gにおいて点線で示すボルト等の1つまたは複数の締結具によりベース1390に結合されていてもよい。
図24Hおよび図24Iは、カバー1380’’およびベース1390’’の断面図であり、カバー1380’’とベース1390’’との間の接触点を除いて、上述のその他のカバーおよびベースのいずれかと類似し得る。本実施形態において、カバー1380’’の底部には、Oリング1399等のガスケットを収容するように成形された実質的に三角形の窪みを含んでいてもよく、この三角形の窪みの大部分が閉塞または係止状態のベース1390’’のより近くに位置決めされている。一方、ベース1390’’は、カバー1380’’に向かって延びた実質的に三角形または実質的に台形の突起を具備していてもよい。三角形または台形突起の上部には、そこから延びた先端を含んでいてもよく、これは円形であってもよい。図24Iに最もよく示すように、たとえば係止状態でカバー1380’’がベース1390’’に接続されている場合は、ベース1390’’の三角形または台形の突起の先端がOリング1399を収縮させた状態で、突起がカバー1380’’の三角形の窪みに受容される。ベース1390’’の突起の先端は、Oリング1399に対する集力装置として作用することにより、カバー1380’’とベース1390’’との間の良好な封止が容易化されるようになっていてもよい。カバー1380’’の三角形状窪みならびにベース1390’’の三角形状突起および先端はいずれも、カバー1380’’およびベース1390’’の全周にわたって延びていてもよいし、全周未満であってもよいことが了解されるものとする。さらに、図24Hおよび図24Iに示すカバー1380’’およびベース1390’’の構成は、互いに係止可能なものとして、本明細書に記載のカバーおよびベースのいずれかに組み込まれるようになっていてもよいし、本明細書に記載のラッチ機構のいずれかが図24Hおよび図24Iのカバー1380’’およびベース1390’’と併用されるようになっていてもよい。
図24Jおよび図24Kは、図24Hおよび図24Iのカバー1380’’およびベース1390’’と比較して接続特性が大略逆のカバー1380’’’およびベース1390’’’の断面図である。言い換えると、ベース1390’’’は、ガスケットまたはOリング1399ならびにカバー1380’’’の突起および先端を受容する実質的に三角形の窪みを含んでいてもよい。カバー1380’’’は、当該カバー1380’’’がベース1390’’’に係止あるいは結合された場合にOリング1399に対する集力装置として作用する先端を備えた実質的に三角形または実質的に台形の突起を含んでいてもよい。これらの相互作用構造の逆転以外に、上述のカバー1380’’およびベース1390’’の説明は、図24Jおよび図24Kのカバー1380’’’およびベース1390’’’に完全に当てはまることが了解されるものとする。
図24Lは、上述したものに類似するカバー1380’’’’およびベース1390’’’’の斜視図であって、カバーおよびベースに別個に適用されるラッチ機構を備えている。たとえば、図24Fおよび図24Gのカバー1380は、ラッチ機構と係合する一体的な上向きフック1381を具備するものとして示しているが、カバー1380’’’’は、当該カバーに結合された複数のカバーラッチ部CLを含み、図24Fおよび図24Gの上向きフック1381と形状および目的が類似し得る上向きフック1381’’’’を各カバーラッチ部CLが備えている。図示の実施形態においては、カバー1380’’’’の円周の離隔位置において、カバー1380’’’’の底部の近くで複数の個々のカバーラッチ部CLが結合されている。同様に、ベース1390’’’’は、その円周の離隔位置において当該ベース1390’’’’に結合された複数のベースラッチ部BLを含んでいてもよい。各ベースラッチ部BLは、図24Fおよび図24Gに関連して説明したベース1390のラッチと構造および機能が類似していてもよい。たとえば、各ベースラッチ部BLは、レバー1383’’’’に対して動作可能に結合されたU字状係合アーム1384’’’’を具備していてもよく、レバー1383’’’’が回転してU字状係合アーム1384’’’’を対応する上向きフック1381’’’’に係合および/またはロックすることにより、カバー1380’’’’をベース1390’’’’方向に引き込んで封止係合させる。上述の通り、図24Lに示すラッチ機構の機能面は、図24Fおよび図24Gに関連して説明したラッチ機構と同一または実質的に同様であってもよく、図24Lのベースおよびカバーは、図24C、図24H、および/または図24Iに関連して説明したOリングおよび/またはガスケットのいずれかを具備していてもよいことが了解されるものとする。図24Lのラッチ機構の主要な相違点は、たとえばネジ、ボルト、接着剤、またはその他任意の適当な機構によって、カバーラッチ部CLおよびベースラッチ部BLがそれぞれ、カバー1380’’’’およびベース1390’’’’に別個に取り付けられている点である。この変形により、カバー1380’’’’およびベース1390’’’’を構成する材料に関わらず、カバーラッチ部CLおよびベースラッチ部BLを任意所望の材料で構成することができる。たとえば、ベース1390’’’’およびカバー1380’’’’は、ポリエチレンのような硬質プラスチック等のプラスチックあるいは軟質プラスチックまたは金属で形成されていてもよい。一実施形態において、カバーラッチ部CLおよびベースラッチ部BLは、金属等の剛性材料で形成されている。上記特定の構成においては、1つまたは複数のラッチ機構を動作させてカバーをベースへと引き込む行為により、ラッチまたはその隣接位置のカバーおよび/またはベースの部分がいく分撓む可能性がある。ただし、カバーラッチ部CLおよびベースラッチ部BLが金属で形成された図24Lの例において、カバー1380’’’’およびベース1390’’’’は、変形する可能性が低く、カバーラッチ部CLおよびベースラッチ部BLの金属あるいは剛性構造によって、変形がほとんど生じないか、または、効果的に除去されるようになっている。一実施形態において、撓み量を最小限に抑えるには、カバーラッチ部CLおよびベースラッチ部BLが所定の幅を有していてもよいため、全体としては、複数のカバーラッチCLが底部近くでカバー1380’’’’の円周部のかなりの割合に沿って延びる一方、複数のベースラッチBLが上部近くでベース1390’’’’の円周部のかなりの割合に沿って延びる。いくつかの例において、カバーラッチ部CLおよびベースラッチ部BLはそれぞれ、カバー1380’’’’およびベース1390’’’’の円周部の少なくとも80%または少なくとも90%に沿って延びている。図24Mは、カバーラッチ部CLおよびベースラッチ部BLがそれぞれ、カバー1380’’’’およびベース1390’’’’の円周部の100%に沿って延び、それ以外のカバー、ベース、およびラッチ機構が図24Lに示したものと同一である一実施形態を示している。言い換えると、図24Mのカバーラッチ部CLは、カバー1380’’’’の全周に延びた連続構造体である一方、ベースラッチ部BLは、ベース1390’’’’の全周に延びた連続構造体である。この構成は、製造および取り付けの観点から、図24Lの構成と比較して簡単と考えられ、さらに、ラッチ機構を用いてカバーをベース側に引き込む際のカバー1380’’’’および/またはベース1390’’’’の如何なる程度の撓みの可能性をも低減可能である。
いくつかの実施形態において、上述のドローラッチは、完全に除去されていてもよく、カバー1380をベース1390に封止および/またはロックする別個の機構が設けられていてもよい。たとえば、図24Nは、ドローラッチが存在せず、カバー1380に結合されてカバー1380をベース1390にしっかりと取り付ける締結具Fが設けられた一実施形態を示している。図24Nおよび図24Oに示すように、カバー1380がベース1390に結合された場合にカバー1380の開口部と一致する1つまたは複数の開口部をフレーム1302の上部1306が含んでいてもよい。図示の実施形態においては、カバー1380に2つの締結具Fが備わっている。カバー1380がフレーム1302上で摺動した場合は、図22Aおよび図22Bに関連する説明と同様に、フレーム1302の上部1306がカバー1380を案内するようにしてもよい。図24Oに示すように、カバー1380の上部がフレーム1302の上部1306に近づくと、カバー1380の開口部は、フレーム1302の上部1306の対応する開口部と一致する。この点においては、(フレーム1302上に配置された場合にカバー1380を部分的に通過する可能性がある)締結具Fの回転により、カバー1380をベース1390に引き込むようにしてもよい。図示の例において、締結具Fは、フレーム1302の上部1306またはフレーム1302の上部1306に結合されたナット等の受容構造に直接ネジ込み可能なボルトである。ただし、締結具Fは、ボルト以外の適当な形態であってもよく、2つの締結具Fを示しているものの、1つだけ用いられるようになっていてもよいし、3つ以上の締結具が用いられるようになっていてもよい。さらに、図24Oは、図24Jおよび図24Kと類似の構成を有するガスケット1399を示しているが、図24Hおよび図24Iに示したものまたは図24Cに示したもの等、他の構成も適し得ることが了解されるものとする。いずれにしろ、締結具Fを用いてカバー1380をベース1390側に引き込むと、図24A~図24Mに関連して上述した種類のラッチ機構のいずれかを要することなく、カバーとベースとが密封されて好ましい。また、封止状態でカバー1380をベース1390に固定する機構をより良く明確に説明するため、フレーム1302内に存在することになる通信システムの部分を含めて、システムの他のコンポーネントが図24Nおよび図24Oの図から省略されていることがさらに了解されるものとする。
図25Aは、ケーブルCの保守中にハンガープレート1321a、1321bを保守状態に維持する別のアクセサリ部材を備えた図20Aと同じ図のパッチパネルシステム1300を示している。アクセサリ部材は、フレーム1302の側壁1304上のヒンジ近くでハンガープレート1321aの内側面に取り付けられた第1のバー1500aと、フレーム1302の他方の側壁1304上のヒンジ近くでハンガープレート1321bの内側面に取り付けられた第2のバー1500bとを具備していてもよい。図25Aの図において、第2のバー1500bは、ハンガープレート1321bによって大部分が視界から遮られているため、点線で示していることが了解されるものとする。バー1500a、1500bの格納状態において、各バーは、対応するハンガープレート1321a、1321bの底部から上部まで延びていてもよく、格納状態のバーによって、ハンガープレートは、自由に開放または閉塞可能である。2つのバー1500a、1500bが各バーの反対端でヒンジ動作するように、第1のバー1500aは、当該バー1500aの上部および底部の一方でヒンジ1510aによりハンガープレート1321aに接続されていてもよく、第2のバー1500bは、当該バー1500bの上部および底部の他方でヒンジ1510bによりハンガープレート1321bに接続されていてもよい。ハンガープレート1321a、1321bが開放された場合、ユーザは、図25Bに示すように、両バー1500a、1500bをそれぞれのヒンジ1510a、1510b周りに旋回させるようにしてもよい。バー1500a、1500bは、それぞれのヒンジ1510a、1510b周りに回転して保守状態となれば、ハンガープレート1321a、1321bが意図せず閉じることを防止可能である。バー1500a、1500bは、力が印加されていなければ所与の位置(すなわち、格納位置、保守位置)を維持するため、ユーザが意図的に力を印加していない場合の重力によって移動すなわち旋回することはない。
バー1500a、1500bは、その格納状態において、1つまたは複数のケーブルCを覆っていてもよく、ユーザは、バーを保守状態まで旋回させて保守を実行することが必要となる場合がある。これにより、保守の実行が可能となる前にユーザが強制的に開始させられる安全状態がもたらされ得る。バー1500aの背後を通過するケーブルCを図25Aに示す。図25Cは、バー1500a、1500bが格納状態であり、ハンガープレート1321a、1321bが比較として設置(閉塞)および保守(開放)状態であるパッチパネルシステム1300の上面図である。バー1500a、1500bが格納位置の場合にケーブルCを覆っていてもよいという事実は、図25Cにも示している。バー1500a、1500bは、さまざまな形状を有していてもよく、バー1500a、1500bがそれぞれのヒンジ1510a、1510bの周りに回転してパッチパネルシステム1300のハンガープレート1321a、1321bが保守状態である場合に、ハンガープレートが意図せず閉じてしまうことを防止するのに十分な剛性であるのが好ましい。バー1500a、1500bは、実質的に円筒状であってもよく、これにより、バー1500a、1500bがケーブルCを覆ってパッチパネルシステム1300が格納状態の場合に、ケーブルCに対する最小曲げ半径が維持されるようになっていてもよい。バー1500aの円筒形状を図25Dに示す。ただし、上述の通り、他の形状、特に、ケーブルCに対する最小曲げ半径を維持可能な形状も適していると考えられる。たとえば、図25Dは、バー1500aの円筒形状の代替として使用可能なバー1500a’の別の形状を示している。図示のように、バー1500a’は、ケーブルCに接触してケーブルの最小曲げ半径を維持することを意図した弓形の外側面を含む。バー1500a’のように弓形状を有するバーをバー1500bの代わりとして同様に使用可能であることが了解されるものとする。さらに、ハンガープレート1321a、1321bの代わりにバー1500a、1500bがフレーム1302に取り付けられていてもよいことが了解されるものとする。たとえば、フレーム1302の前方開放面の対向隅部近くのフレーム1302の各側壁1304にヒンジ付きブラケットが搭載され、各ブラケットに1つのバーが取り付けられていてもよい。ただし、他の取り付け方法も本開示の範囲内である。
図26Aは、水分センサシステム1600の形態のアクセサリを備えたパッチパネルシステム1300を示している。水分センサシステム1600に使用する場合、フレーム1302の側壁1304は、フレーム1302の底部1308の下方にある離隔距離だけ延びて、フレーム1302の底部1308とベース1390との間に、水分センサシステム1600が配設される凹状空間を形成していてもよい。水分センサシステム1600は、光学時間領域反射率計(「OTDR」)システムの一部であり、少なくとも一対のスポンジ1620等の吸水構造体間の公称軸Aに沿って延びた光ファイバケーブル1610を含むように構成されていてもよい。ケーブル1610は、システム1600の一部であり、システム1300の外部から供給された別のケーブルに結合されるように構成されていてもよいし、システム1300の外部から供給された光ファイバケーブルであってもよい。図26A~図26Cには、ケーブル1610の一部のみを示しており、ケーブル1610は、当技術分野において知られているように、OTDRシステムの他の部分に接続されていてもよいことが了解されるものとする。図示の実施形態において、各スポンジ1620は、ケーブル1610から離れる方向を向いた後部と、ケーブル1610に対向する前部とを含み、前部が円形の最前部1621を含む。
水分センサシステム1600の乾燥状態においては、図26Aおよび図26Bに示すように、乾燥スポンジ1620間の公称軸Aに沿ってケーブル1610が延びていてもよく、ケーブル1610が公称軸に沿って実質的に直線状に延びるように、スポンジの最前部1621が公称軸に対向するとともに、ケーブル1610と接触または直接隣接している。たとえば洪水事象に際して水がパッチパネルシステム1300に入った場合、スポンジ1620は、水を吸収して、図26Cに示すようにサイズが膨張するようになっていてもよい。図示の簡素化のため、図26Cには、2つのスポンジ1620のみを示していることが了解されるものとする。図26Cに示すように、スポンジ1620のサイズが膨張すると、スポンジ1620の最前部1621が公称軸Aを越えて延びるため、ケーブル1610に接触して公称軸から離れる方向に押すが、隣接するスポンジはケーブル1610を反対方向に押すため、スポンジ1620でケーブル1610が曲がり、ケーブル1610を通過する光信号がケーブルの曲がった部分で一部減衰または完全遮断される場合がある。このようなセンサシステムにおいては、2つ、3つ、またはそれ以上のスポンジが用いられるようになっていてもよく、ケーブル1610の反対側に位置決めされた少なくとも2つの隣接するスポンジ1620が好ましいことが了解されるものとする。ケーブル1610によって伝搬される光信号の一部減衰または完全遮断は、特定のパッチパネルシステム1300の特定の位置に損傷が発生したことをユーザに示し得るOTDRシステムによって検出されるようになっていてもよい。したがって、水分センサシステム1600は、パッチパネルシステムの問題を診断するのに役立ち、洪水事象等の水の事象に直面したパッチパネルシステム群から特定のパッチパネルシステム1300を識別する際の補助となり得る。図26Cは、水分センサシステム1600に1つまたは複数のガイド1630が備わっていてもよいことを示している。ケーブル1610は、1つまたは複数のスポンジ1620の膨張に際して、所望の曲げにより信号の途絶または遮断を生じる可能性が高くなるように、1つまたは複数のガイド1630に沿って延びていてもよい。
図27Aは、本開示の別の態様に係る、パッチパネルシステム1300’を示している。パッチパネルシステム1300’は、第1のパッチパネルシステム1300a’および第2のパッチパネルシステム1300b’を具備していてもよく、それぞれ、互いに同様または同一であるとともに、上述のパッチパネルシステム1300と同様または同一であってもよい。パッチパネルシステム1300a’および1300b’の同様または同一のコンポーネントについては、パッチパネルシステム1300に関連して上述したため、ここで別途詳しく説明することはない。パッチパネルシステム1300a’および1300b’は、各パッチパネルシステム1300a’および1300b’の後側カートリッジの後面が互いに対向した状態で背中合わせに位置決めされていてもよい。パッチパネルシステムのうちの一方1300a’からのケーブルC’が他方のパッチパネルシステム1300b’に接続されることで、単一のパッチパネルシステム1300と比較して、組み合わせパッチパネルシステム1300’の容量が効果的に2倍となり得る(逆も同様である)。一例においては、図27Aに示すように、第1のパッチパネルシステム1300a’におけるケーブルC’がハンガープレートとフレームとの間の側路を通って、サイドハンガーに沿って延び、隣接する第2のパッチパネルシステム1300b’まで延びていてもよい。別の実施形態において、ケーブルC’は、一方のパッチパネルシステム1300a’のフレーム上を隣接する第2のパッチパネルシステム1300b’まで延びていてもよい。図27Bは、設置状態の図27Aのパッチパネルシステム1300’のハンガーアセンブリを示している。図示のように、両パッチパネルシステム1300a’、1300b’が単一のベース1390’に取り付けられていてもよく、これは、単一のパッチパネルシステム1300を受容するように構成可能なベース1390と比較して、2つのパッチパネルシステム1300a’、1300b’を受容するように構成可能なベース1390’のサイズおよび形状以外のほとんどの点で、ベース1390に類似していてもよい。同様に、パッチパネルシステム1300’は、両パッチパネルシステム1300a’および1300b’を同時に覆うのに使用可能な単一のカバー1380’により覆われていてもよい。カバー1380’は、サイズおよび形状以外のあらゆる点において、カバー1380と同様または同一であってもよい。カバー1380’が2つのパッチパネルシステム1300a’、1300b’を覆うように構成されている一方、カバー1380が単一のパッチパネルシステム1300を覆うように構成されているためである。たとえば、カバー1380’は、カバー1380に設け得る一対のガイドスロット1382の代わりに、二対の内部ガイドスロットを含んでいてもよい。図27Bに示すパッチパネルシステム1300’の実施形態において、パッチパネルシステム1300’は、取り付け対象の構造体に対して摺動可能なシェルフ1700上に支持されている。シェルフ1700は、取り付けブラケット1710の形態で、当該取り付けブラケット1710に対して摺動する摺動シェルフ部材1720を具備していてもよい。いくつかの実施形態において、ベース1390’は、シェルフ部材1720に対して回転可能となるように、シェルフ部材1720に回転可能に搭載されていてもよい。図示のように、ベース部材1390’およびシェルフ部材1720はいずれも、回転中に互いに平行状態を維持する実質的に平坦な表面を含む。回転の範囲は、たとえば一方向に最大90°または二方向に最大90°(合計180°の回転)等、任意所望であってもよいが、必要に応じてより大きな回転であってもよいし、より小さな回転であってもよい。取り付けブラケット1710は、ポール1730等の任意適当な支持構造に取り付けあるいは固定されていてもよい。図19C、図19D、図20C、および図20Dに関連して上述した通り、パッチパネルシステム1300a’および1300b’の後側カートリッジは、各パッチパネルシステム1300a’または1300b’の後面と大略平行なままとなるように、単一平面内で左または右に回転または摺動するようになっていてもよい。それ以外の場合は、特定のパッチパネルシステムの後面から離れる方向に回転する隙間を後側カートリッジが有していない可能性があることから、パッチパネルシステム1300a’および1300b’の後側カートリッジの他種の回転が除外されていてもよい。
図28Aは、図19A~図20Dのパッチパネルシステム1300の2つのカセット1310a、1310bを示すが、本明細書に記載の他のパッチパネルシステムにも同様の考え方を適用可能である。第1のカセット1310aは、たとえばスプリッタモジュール1810に結合されたサービスプロバイダからの入力ケーブル1800を受容していてもよい。スプリッタ1810は、入力ケーブル1800から供給された信号を複数のケーブル1820間で分割するようにしてもよい。ケーブル1820は、スプリッタモジュール1810から出て、それぞれ格納ラック1840中に位置決めされたコネクタ1830で終端するように配線されていてもよい。格納ラック1840は、スプリッタモジュール1810を出て個々のカセットへと配線されるケーブル1820を整線するように機能し得る。一実施形態において、スプリッタモジュール1810から出ているケーブル1820のうちの1つをオペレータがサービス加入者に接続したい場合は、ケーブル1820’のコネクタ1830’が格納ラック1840から取り外され、パッチパネルシステム1300’の別個のカセット1310b内でコネクタ1850に接続されるようになっていてもよく、ケーブル1860および対応するケーブル1820’を経由して、サービス加入者がサービスプロバイダに接続される。図28Aにおいては、ケーブル1820およびケーブル1820’(ならびに、コネクタ1830およびコネクタ1830’)の構造および機能が同一であってもよく、ケーブルが格納状態(1820、1830)または接続サービス提供状態(1820’、1830’)のいずれであるかという事実だけが異なっていることが了解されるものとする。ケーブル格納ラック1840は、カセット1310aから取り外し可能であってもよく、スプリッタモジュール1810から出ているケーブル1820’がすべてパッチパネルカセット1310b(または、別の類似カセット)内のコネクタ1850に結合され、サービス加入者がサービスプロバイダに接続された後、それ以上のケーブル1820がケーブル格納ラック1840に格納されていないことから、当該ケーブル格納ラック1840をカセット1310aから物理的に取り外せるようになっていてもよい。図28Bおよび図28Cは、ケーブル格納ラック1840の例示的な一実施形態を示している。特に、図28Bは、ケーブル格納ラック1840に隣接して位置決めされ、「ブーツ」1832等の張力緩和部およびコネクタキャップ1834を具備し得るケーブル1820のコネクタ1830の分離図であり、図28Cは、ケーブル格納ラック1840に格納されたケーブル1820のブーツ1832を示している。ケーブル格納ラック1840は、コネクタ1830のブーツ1832がケーブル格納ラック1840内にしっかりと格納され得るように撓み得る隣接壁対1844により囲まれた複数の載置空間1842を含んでいてもよい。ケーブルブーツ1832がケーブル格納ラック1844の1つのスロット1842に格納されている場合、ケーブルブーツ1832が隣接スロット1842に留まっていれば、一方または両方の隣接壁1844の撓みが制限可能となる。図28Dは、2つの行で交互になっている個々の隣接スロット1842a’および1842b’の位置決めを調整するケーブル格納ラック1840’の別の実施形態を示しており、各スロット1842a’および1842b’がそれぞれのスロット壁1844a’および1844b’を有しており、ケーブルブーツ1832が同じ行の隣接するケーブルスロット1842a’、1842b’に格納されているか否かに関わらず、壁1844a’、1844b’が自由に撓み得るように、各行のスロット1842a’、1842b’が同じ行の隣接スロット1842a’、1842b’から離隔している。パッチパネルシステム1300には、複数のスプリッタカセット1310aおよび複数のファイバ分布カセット1310bが備わっていてもよいことが了解されるものとする。たとえば、パッチパネルシステム1300の上半分または下半分にスプリッタカセット1310aを備え、パッチパネルシステム1300の上半分または下半分の他方にファイバ分布カセット1310bを備えていてもよい。この構成は、パッチパネルシステム1300に出入りするケーブルのほか、スプリッタカセット1310aをファイバ分布カセット1310bに接続するケーブルをより良好に整線するのに役立ち得る。ただし、カセット1310をこのように厳密に配置する必要があり、改良も適し得ることが了解されるものとする。
図28Eは、本開示の一態様に係る、積層構成の複数のスプリッタモジュール1810を示している。以下、図28Aに示したものと同様に、スプリッタカセット1310a上に設けられた例示的な一実施形態を参照して、スプリッタモジュール1810の積層構成を説明するが、モジュール1810の積層構成の構成および特徴は、光ファイバの配線および管理と関連付けられた別の実施態様で用いられるようになっていてもよいことが了解されるものとする。図28Eを参照して、各スプリッタモジュール1810は、図28Aに示したものと同様に、コネクタ1830においてそれぞれ終端する複数の個別被覆ケーブル1820を具備していてもよい。図28Eは、複数のコネクタ(図28Aに示す一群の積層ファイバ分布カセット1310bのいずれかのコネクタ1850等)のいずれかに接続可能な複数の個別被覆ケーブル1820をそれぞれ具備する複数の積層スプリッタモジュール1810を光ファイバ分布・配線実施態様が含む場合に、ケーブル1820の過密および/または絡みが問題となり得ることを示している。図28Eの例において、各ケーブル1820は、ケーブルの外部を構成するとともに個々のファイバを収容するケーブルジャケットまたはシースを有していてもよく、ジャケットまたはシースの外面におけるケーブルの外径は、およそ0.9mm~およそ1.6mmである。
図28Fは、少なくとも1つの差異を伴う図28Eに類似の積層構成の複数のスプリッタモジュール1810’を示している。特に、スプリッタモジュール1810から延びた個々のファイバをケーブルのシースまたは外側ジャケット内にそれぞれ含む複数の個々のケーブル1820を当該スプリッタモジュール1810が具備する一方、各スプリッタモジュール1810’は、そこから延びた出力ケーブル1811’を具備していてもよく、出力ケーブル1811’がそのシースまたは外側ジャケット内に複数の個々のファイバ1812’を収容している(図28G参照)。たとえば、各スプリッタモジュール1810がそこから延びた32本の個々のケーブル1820を具備しており、各ケーブルが単一のファイバを収容している場合、各スプリッタモジュール1810’は、当該スプリッタモジュール1810’から出ている出力ケーブル1811’を具備していてもよく、当該出力ケーブル1811’が32本のファイバ1812’を収容している。図28Fおよび図28Gを参照して、出力ケーブル1811’は、カップリング1813’において終端していてもよい。個々のファイバ1812’は、ケーブル1811’を出て、カップリング1813’またはその内部を始点とする個々のケーブル1814’に入っていてもよい。言い換えると、一例においては、32本の個々のファイバ1812’が単一の出力ケーブル1811’に収容された状態でスプリッタモジュール1810’から延びていてもよい。カップリング1813’においては、個々のファイバ1812’が出力ケーブル1811’を出て、対応する個々のケーブル1814’に入っていてもよく、個々のファイバ1812’がカップリング1813’を通って連続している。個々のファイバ1812’および対応する個々のケーブル1814’は、コネクタ1830において終端していてもよく、これは、本明細書に記載の他のコネクタと同様であってもよい。
カップリング1813’は、任意適当な構成であってもよいことが了解されるものとする。たとえば、図28Gは、第1の端部が出力ケーブル1811’の終端を覆う実質的な円筒状としてカップリング1813’を示しているが、カップリング1813’は他の形状を有していてもよく、出力ケーブル1811’の終端がカップリング1813’の一端を覆っていてもよい。一例において、出力ケーブル1811’の終端は、カップリング1813’の第1の端部を覆っていてもよく、カップリング1813’は、第1の端部以上のサイズを有する第2の端部へと延びていてもよい。さらに、図28Gは、カップリング1813’内の対応する3つの個々のケーブル1814’の終端に3つのファイバ1812’が入る様子を示しているが、たとえばカップリング1813’の32本の個々のケーブル1814’にそれぞれ入る32本のファイバ1812’等、任意適当な数のファイバ1812’およびそれぞれ対応する個々のケーブル1814’がカップリング1813’を通じて接続されていてもよいことが了解されるものとする。さらに、図28Gは、個々のケーブル1814’の終端をカップリング1813’に保持する保持器1815’を示しているが、個々のケーブル1814’の終端をカップリング1813’に固定するには、他の機構も適していると考えられる。たとえば、圧着部材の形態の1つまたは複数の保持器1815’が出力ケーブル1811’の終端および/または個々のケーブル1814’の終端をカップリング1813’内に固定していてもよい。
図28Hは、図28Fに類似しており、スプリッタモジュール1810’の入力およびパッチパネルの出力をさらに示している。たとえば、図28Aに関連して図示および説明したのと実質的に同様に、複数のケーブル1860が各パッチパネルカセット1310bを出て、たとえば各加入者に接続されていてもよい。シースまたは外側ジャケット内に少なくとも1つの光ファイバをそれぞれ含む1つまたは複数の個々の入力ケーブル1816’は、各スプリッタモジュール1810’に結合され、サービスプロバイダ等からの入力信号をスプリッタモジュール1810’へと転送するようにしてもよい。図28Hは、入力ケーブルがスプリッタモジュール1810’に入る3つの例を示している。入力ケーブル1816’のうちの2つが実質的に同一であり、入力ケーブルがスプリッタモジュール1810’の異なる面に入ってもよいことを示している。これら実質的に同一の2つの入力ケーブル1816’は、コネクタ1818’とスプリッタモジュール1810’との間の入力ケーブル全体が個々のケーブルであり、言い換えると、1つまたは複数の光ファイバを収容したシースまたは外側ジャケットを有するケーブルとなるように、コネクタ1818’へと延びている。ただし、他の実施形態において、入力ケーブルは、スプリッタモジュール1810’の出力ケーブルと同様に広がるように構成されていてもよい。たとえば、図28Hは、スプリッタモジュール1810’から、コネクタ1818’にそれぞれ取り付けられた2つの付加的な入力ケーブル1817’へと入力ケーブル1816’が分岐または散開するカップリング1819’まで延びた個々の入力ケーブル1816’を示している。この類似性により、スプリッタモジュール1810’に入るケーブルの過密を最小限に抑えられるため、スプリッタモジュール1810’への各入力点は、個々のケーブル1816’である。
さらに図28Hを参照して、個々のケーブル1811’の総数は、そこから延びた個々のケーブル1814‘の総数よりも常に少ないのが好ましいことが了解されるものとする。さらに、ケーブルの外周面により規定された個々のケーブル1811’の横方向断面積(CA)は、そこから延びた個々のケーブル1814’それぞれの外周面により規定された横方向断面積の合計(CA-sum)よりも常に小さいのが好ましい。CAとCA-sumとの相違によって、たとえば所与数のケーブルが2つのポートまたはコネクタ間で延び、これらケーブルの一部がジャケット等の被覆で覆われ、被覆部でケーブルの外周面により規定された当該被覆部の断面積が必然的に、個々のケーブルの外周面により規定された断面積の合計よりも大きくなる従来の実施態様から、本開示が識別される。いくつかの実施形態において、個々のケーブル1811’は、実質的に円形であり、およそ2mm~およそ5mmの直径を有していてもよいが、ケーブル1811’には他の形状およびサイズも適し得ることが了解されるものとする。たとえば、個々のケーブル1811’は、リボンケーブルまたは実質的に平坦な形状であってもよい。個々のケーブル1814’はそれぞれ、実質的に円形であり、およそ0.9mm~およそ1.6mmの直径を有していてもよいが、個々のケーブル1814’には他の形状およびサイズも適していると考えられる。入力ケーブルに関しては、個々の入力ケーブル1816’の総数が常に、対応するコネクタ1818’の総数以下であることが好ましいことが了解されるものとする。言い換えると、入力ケーブル1816’の数は、分岐1817’が存在しない場合、コネクタ1818’の数に等しくてもよい。これに対して、分岐1817’が存在する場合、全分岐1817’の数(および、全コネクタ1818’の数)は、個々の入力ケーブル1816’の数よりも多くする必要がある。この専門用語を用いることにより、分岐なくコネクタ1818’まで延びた単一の入力ケーブル1816’は、単一の「分岐」を有するものとして分類されることが了解されるものとする。さらに、図28Hに示したものと類似するシステムにおいて、分岐1817’の総数(および、コネクタ1818’の総数)は常に、個々のケーブル1814’の総数よりも少ないのが好ましい。
図28F~図28Hは、1つまたは複数のスプリッタモジュール1810’が設けられてファイバ分布ハブのパッチパネルカセット1310bのポートに接続されたシステムのケーブル過密を管理するのに役立つ特定の特徴を包含した特定の実施形態を示しているが、他の構成も可能であることが了解されるものとする。たとえば、スプリッタモジュール1810’は、ファイバ分布ハブのパッチパネルカセット1310bのポートにケーブルを接続するのに使用する必要はないが、ケーブル過密を抑えつつ、1つまたは複数のスプリッタモジュール1810’から任意所望のデバイスにケーブルを接続するのに用いられるようになっていてもよい。同様に、出力ケーブル1811’は、図28Hの特定の入力ケーブル1816’なしに設けられていてもよく、入力ケーブル1816’は、図28Hの特定の出力ケーブル1811’なしに設けられていてもよい。さらに、図28Fは、出力ケーブル1811’が個々のスプリッタモジュール1810’に結合されていてもよいことを示しているが、2つ以上の出力ケーブル1811’が個々のモジュール1810に結合されていてもよく、たとえば、図28Hに示すように、積層の最上スプリッタモジュール1810’に2つの出力ケーブル1811’が結合されていてもよい。さらに、個々のスプリッタモジュール1810’から出力されたファイバ1812’がすべて、1つの出力ケーブル1811’を通過するようになっていてもよいが、他の実施形態においては、一群のファイバ1812’が第1の出力ケーブル1811’を通過する一方、第2群のファイバ1812’が第2の出力ケーブル1811’を通過するようになっていてもよい。たとえば、スプリッタモジュール1810’が32本の出力ファイバ1812’を含む場合は、32本の出力ファイバ1812’がすべて、単一の出力ケーブル1811’を通って配線されていてもよいし、これとは別に、2群の16本のファイバ1812’がそれぞれ、2つの異なる出力ケーブル1811’を通って配線されていてもよい。いずれの場合も、上述の別の例も含めて、上述の関係が依然として当てはまるのが好ましい。たとえば、2群の16本のファイバ1812’が2つの出力ケーブル1811’を通って延びた後、各群が対応するカップリング1813’を通って、対応する2群の16本の個々のケーブル1814’まで延びている場合、各群の16本の個々のケーブル1814’は、対応する出力ケーブル1811’の横方向断面積よりも大きな累積横方向断面積を有する。さらに、図28Aは、スプリッタカセット1310aが単一のスプリッタモジュール1810を具備していてもよいことを示しているが、別のスプリッタモジュール1810が単一のスプリッタカセット1310a上に設けられていてもよいことが了解されるものとする。同様に、スプリッタカセットごとに1つまたは複数のスプリッタモジュール1810’等、図28F~図28Hに関連して説明した1つまたは複数のスプリッタモジュール1810’がスプリッタカセット上に設けられていてもよい。
図29Aおよび図29Bは、記録シート1900の形態のアクセサリを備えたパッチパネルシステム1300を示している。以下、パッチパネルシステム1300は、記録シート1900を除いて、より詳しく説明することはない。ただし、記録シート1900または類似のアクセサリを本明細書に記載の他のパッチパネルシステムとともに使用可能であることが了解されるものとする。図29Aおよび図29Bにおいては、パッチパネルシステム1300のハンガープレート1321a、1321bを開放または保守状態で示しているが、記録シート1900については、図29Aにおいて格納状態で、図29Bにおいて動作可能状態で示している。記録シート1900は、プラスチックシート等の矩形状のシートの形態であり、たとえばペンまたは鉛筆で記録可能なシートの面上に紙または紙状の材料を含んでいてもよい。図示の実施形態において、記録シート1900は、ハンガープレート1321bの自由端部にヒンジ結合された側縁を有する。ただし、記録シート1900は、代替としてハンガープレート1321a上に設けられていてもよいことが了解されるものとする。同様に、2つの記録シート1900が1つずつ、ハンガープレート1321a、1321b上に設けられていてもよい。記録シート1900は、パッチパネルシステム1300の保守を補助する情報をユーザに与える印1910を少なくとも1つの面上に含んでいてもよい。たとえば、印1910は、1つまたは複数の接続図を含んでいてもよい。さらに、印1910は、保守中または保守後にパッチパネルシステム1300に関する情報をユーザが記録可能な空間を含むことにより、たとえば後で参照できる記録を提供するようにしてもよい。記録シート1900は、ハンガープレート1321bの自由端部にヒンジ結合された側縁を有するものとして示しているが、記録シート1900の上縁がパッチパネルシステム1300のフレームまたは内側シャーシの上縁にヒンジ結合され、上方への折り畳みで動作可能状態となるようになっていてもよいし、あるいは、記録シート1900の底縁がパッチパネルシステム1300のフレームまたは内側シャーシの底縁にヒンジ結合され、下方への折り畳みで動作可能状態となるようになっていてもよいことが了解されるものとする。
パッチパネルシステム1200および1300は、環境が関係し、特に水密封止が重要な用途の場合に、特によく適していると考えられる。ただし、天候保護および/または水密封止の必要性が少ないパッチパネルシステムの他の用途においては、別個のカバーなくパッチパネルシステムが用いられるようになっていてもよい。たとえば、図30Aは、本開示の別の実施形態に係る、ハンガープレート2021a、2021bが設置または格納状態のパッチパネルシステム2000を示している。図30Bは、開放または保守状態のパッチパネルシステム2000のハンガープレート2021a、2021bを示している。パッチパネルシステム2000は、図示の実施形態において出入りするケーブル(または、ケーブル束)C用のポートを含み得る側壁2004を備えた実質的に矩形のハウジングまたはフレームを具備していてもよい。ケーブルCは、側壁2004のポートに結合または進入するシース等の保護部材内に位置決めされていてもよく、ポートの数がこれより多くても少なくてもよく、ポートが側壁2004と異なるハウジングの部分に位置決めされていてもよいことが了解されるものとする。パッチパネルシステム2000のポートは、本明細書に記載の他ポートに類似していてもよい。フレームの上壁2006には、1つまたは複数の吊り下げ要素2007が結合されていてもよい。図示の実施形態において、2つの吊り下げ要素2007はそれぞれ、上壁2006に結合された第1の端部およびハウジングの後壁に結合された第2の端部を有する。ただし、1つまたは2つ以上の吊り下げ要素2007が設けられていてもよく、パッチパネルシステム2000のハウジングの他の部分に結合されていてもよいことが了解されるものとする。図示の実施形態において、吊り下げ要素2007はそれぞれ、ワイヤWが通過するとともにパッチパネルシステム2000が吊り下げ要素2007を介してワイヤWからぶら下がり得るように、ハウジングと閉じた境界を構成していてもよい。吊り下げ要素2007は、剛性で、たとえばパッチパネルシステム2000の接地に使用可能な金属等、システム2000のハウジングと同様の材料で形成されていてもよい。他の実施形態において、吊り下げ要素2007は、ワイヤWからぶら下がりつつパッチパネルシステム2000を支持するのに十分な強度を与えるストラップ等の軟質材料であってもよい。さらに他の実施形態において、吊り下げ要素2007は、2つの端部でパッチパネルシステム2000のハウジングに結合されている必要がない。たとえば、吊り下げ要素2007は、パッチパネルシステム2000のハウジングに結合された第1の端部およびワイヤWへの引っ掛かりあるいは固定をもたらすように成形された第2の自由端部を有していてもよい。
図30Bに示すように、システム2000のハンガープレート2021a、2021bの開放または保守状態においては、複数のカセット2010にアクセス可能であってもよく、パッチパネルシステム1200、1300と実質的に同様または同一の様態で、カセット2010が垂直方向に積層された構成である。上記他の実施形態に関連してカセットを説明済みのため、ここでカセット2010について別途詳しく説明することはない。図30Aに示すように、ハンガープレート2021a、2021bの閉塞または設置状態において、ハンガープレート2021a、2021bは、パッチパネルシステム2000のハウジングの他の部分と併せてカセット2010を被覆および/または包囲していてもよい。ハンガープレート2021a、2021bは、ハンガープレート1321a、1321bと実質的に同様または同一であってもよく、以下では、特定の考え得る相違点を説明する以外に別途詳しく説明することはない。たとえば、ハンガープレート2021a、2021bは、上述の実施形態と同様または同一に、内壁上にハンガーおよびケーブル保持器を具備することにより、パッチパネルシステム2000内でのケーブルの整線および配線に役立ち得る。ハンガープレート1321a、1321bは、フレーム1302の内側からフレームの外側のエリア(ただし、依然としてカバー1380内)までのケーブルの通過を容易にする窓等の窪みを含んでいてもよいが、ハンガープレート2021a、2021bは、このような窪みまたは窓を含まないのが好ましいと考えられる。このような窓または窪みを省略することにより、カバーの追加なくパッチパネルシステム2000を使用可能であることから、パッチパネルシステム2000の内部を保護するのに役立ち得る。また、パッチパネルシステム1300と同様に、パッチパネルシステム2000のハンガーが閉塞または設置状態の場合にハンガープレート2021bがカセット2010により近く位置決めされ、閉塞または設置状態においてハンガープレート2021aが外側の環境に面するように、ハンガープレート2021aおよび2021bが構成されているのが好ましいと考えられる。閉塞または設置状態において、ハンガープレート2021が完全または実質的完全にハンガープレート2021bを囲むとともにパッチパネルシステム2000のハウジングと完全または実質的完全な封止を構成するように、ハンガープレート2021aがその縁部上にリップ等の機構を具備するのが好ましいと考えられる。また、ハンガープレート2021aは、図30Aに示す閉塞または設置状態にハンガー2021a、2021bを保つのに役立つ1つまたは複数のラッチ2023を具備していてもよい。いくつかの例において、パッチパネルシステム2000のハウジングには、ハンガープレート2021a上の対応するラッチ機構と相互作用するラッチ機構またはラッチ機構の一部を含んでいてもよい。
図31Aは、ほとんどの点でパッチパネルシステム2000に類似する閉塞または設置状態のハンガープレート2021’を備えたパッチパネルシステム2000’を示している。ただし、主な相違点として、パッチパネルシステム2000’は、水平方向に回転して保守状態となるハンガープレート2021a、2021bに対して、(図31Bに示すように)垂直方向下方に回転して保守状態となるハンガープレート2021’を有する。ただし、上掲の「垂直」および「水平」方向は、パッチパネルシステムの設置の状況によって決まり得ることが了解されるものとする。たとえば、上掲の「垂直」回転および「水平」回転の相違は、図示のようにパッチパネルシステム2000、2000’が吊り下げ設置にて用いられる場合を表すものである。パッチパネルシステム2000’は、図示の実施形態において出入りするケーブル(または、ケーブル束)用のポートを含み得る側壁2004’を備えた実質的に矩形のハウジングまたはフレームを具備していてもよい。ケーブルは、側壁2004’のポートに結合または進入するシース等の保護部材内に位置決めされていてもよいことが了解されるとともに、ポートの数がこれより多くても少なくてもよく、ポートが側壁2004’と異なるハウジングの部分に位置決めされていてもよいことが了解されるものとする。ポートは、一部が側壁2004’に形成され、一部がハンガープレート2021’に形成されていてもよい。パッチパネルシステム2000’のポートは、本明細書に記載の他ポートに類似していてもよい。フレームの上壁2006’には、1つまたは複数の吊り下げ要素2007’が結合されていてもよい。図示の実施形態において、2つの吊り下げ要素2007’はそれぞれ、上壁2006’に結合された第1の端部およびハウジングの後壁に結合された第2の端部を有する。ただし、1つまたは2つ以上の吊り下げ要素2007’が設けられていてもよく、パッチパネルシステム2000’のハウジングの他の部分に結合されていてもよいことが了解されるものとする。図示の実施形態において、吊り下げ要素2007’は、ワイヤWが通過するとともにパッチパネルシステム2000’が吊り下げ要素2007’を介してワイヤWからぶら下がり得るように、ハウジングと閉じた境界を構成していてもよい。吊り下げ要素2007’は、吊り下げ要素2007と実質的に同様または同一であってもよく、本明細書においてより詳しく説明することはない。
図31Bに示すように、ハンガープレート2021’の開放または保守状態においては、複数のカセット2010a’、2010b’にアクセス可能であってもよく、カセットが垂直方向に積層された構成である。図示の実施形態においては、入力ケーブル1800’が1つまたは複数のカセット2010a’に入り、これらのカセットが、図28Aに関連して説明したものと類似のスプリッタを具備していてもよい。カセット2010a’は、第2群の垂直方向に積層されたカセット2010b’に隣接して位置決めされていてもよく、これらは、図28Aのカセット1310bに類似する分布パッチパネルであってもよい。ケーブル2020’は、カセット2010a’内のポートをカセット2010b’内のポートに結合していてもよく、図28Aの構成と同様に、出力ケーブル1860’がカセット2010b’から個々の加入者まで延びている。図31Aに示すように、ハンガープレート2021’の閉塞または設置状態において、ハンガープレート2021’は、パッチパネルシステム2000’のハウジングの他の部分と併せてカセット2010a’、2010b’を被覆および/または包囲していてもよい。ハンガープレート2021’は、垂直方向に積層された1つまたは複数の群において、本明細書に記載の他のハンガーに類似の複数のハンガーを具備することにより、パッチパネルシステム2000’内でケーブルを整線および案内するのに役立ち得る。ハンガープレート2021’は、ハンガープレート2021a、2021bと同様に、窓等の窪みを含んでいないのが好ましい。ハンガープレート2021a、2021bがパッチパネルシステム2000の側壁2004上のヒンジを介してそれぞれのハウジングに結合されている一方、ハンガープレート2021’は、パッチパネルシステム2000’のハウジングの底面にヒンジ結合されているのが好ましいため、ハンガープレート2021’の上部は、パッチパネルシステム2000’の前部から離れる方向に下方へと回転することにより、設置状態から保守状態へと遷移するようになっていてもよい。また、ハンガープレート2021’は、図31Aに示す閉塞または設置状態に当該ハンガープレート2021’を保つのに役立つ1つまたは複数のラッチ2023’を具備していてもよい。いくつかの例において、パッチパネルシステム2000’のハウジングには、ハンガープレート2021’上の対応するラッチ機構2023’と相互作用するラッチ機構またはラッチ機構の一部を含んでいてもよい。システム2000’は、2群の垂直方向に積層されたカセット2010a’、2010b’を備えるものとして示しているが、この代替として、システム2000のカセット2010と類似の構成のカセットまたは本明細書に記載のパッチパネルシステムの他の実施形態と類似の構成のカセットを具備し得ることが了解されるものとする。図31Cに示す開放または保守状態のハンガープレート2021’’を備えたパッチパネルシステム2000’’は、内部のカセットの構成以外のあらゆる点でパッチパネルシステム2000’と同様または同一であってもよい。たとえば、第2群の垂直方向に積層されたカセット2010b’と水平方向に隣接する第1群の垂直方向に積層されたカセット2010a’をシステム2000’が具備するのに対して、システム2000’’は、第2群の水平方向に積層されたカセット2010b’’と水平方向に隣接して位置決めされた第1群の水平方向に積層されたカセット2010a’’を具備していてもよい。これに対して、カセット2010a’’が機能的にカセット2010a’と類似しており、カセット2010b’’が機能的にカセット2010b’と類似していてもよい。パッチパネルシステム2000’のほか、本明細書に記載の他のパッチパネルシステムのいずれについても、ハンガープレート2021’が図31Bに示す保守状態の場合、カセット2010a’、2010b’から延びたケーブルは、ハンガープレートの内面上に位置決めされたままであってもよく、たとえば、ハンガーまたは他のケーブル保持もしくはケーブル整線構造上に維持されていてもよいことが了解されるものとする。
図32Aは、ほとんどの点でパッチパネルシステム1300に類似するものの、図30A~図31Cのパッチパネルシステムと同様にワイヤWからぶら下がるように設計されたパッチパネルシステム2100の一実施形態を示している。たとえば、パッチパネルシステム2100は、ベース1390と同様または同一のベース2190に結合可能なパッチパネルシステム1300のフレームおよび/または内部シャーシと同様または同一のフレームおよび/または内部シャーシを具備していてもよい。また、パッチパネルシステム2100は、パッチパネルシステム1300のカバー1380と同様または同一のカバー2180を具備していてもよい。パッチパネルシステム2100は、パッチパネルシステム1300に関連して説明したラッチ機構または水分センサ等のアクセサリのいずれかを具備していてもよい。パッチパネルシステム2100とパッチパネルシステム1300との主な相違点として、パッチパネルシステム2100は、ワイヤWからぶら下がり得るように、1つまたは複数の吊り下げ要素2107a、2107bを具備していてもよい。たとえば、吊り下げ要素2107aは、カバー2180の一部または全部を囲むとともに、カバーと当該吊り下げ要素2107aとの間にワイヤWが延伸可能な開口を規定することによって、カバーに結合されていてもよい。吊り下げ要素2107bは、ベース2109の終端面に結合され、ワイヤWが通過し得る閉じた境界を構成していてもよい。吊り下げ要素2107a、2107bは、カバー2180およびベース2190をそれぞれワイヤWから吊り下げ可能な他の形状および/または他の形態であってもよいことが了解されるものとする。さらに、図示の実施形態において、パッチパネルシステム2100内のカセットは、パッチパネルシステム2000’’に示したものと同じ構成を有するが、本明細書に記載の他のカセット構成によって図32Aに示す構成を置き換え可能であることが了解されるものとする。いくつかの実施形態において、パッチパネルシステム2100のカバー2180および内部シャーシの一方または両方がデバイスを具備していてもよいし、デバイスに動作可能に結合されていてもよく、カバー2180がベース2190から離れる方向に摺動可能な範囲を限定するようになっていてもよい。たとえば、カバー2180は、内部シャーシから完全に外れることのないように、内部シャーシの上部近くの外部突起に接触し得る開放端近くの内部突起を具備していてもよい。このようなストッパまたはリミッタ構造は、内部シャーシへの十分なアクセスによって保守を実行し得る一方、内部シャーシに結合された状態を維持して両構造が互いから完全に外れることのないように、回転または摺動等によってカバー2180を十分に取り外し可能とするのに役立ち得る。
図32Bは、多くの点で図32Aのパッチパネルシステム2100に類似するパッチパネルシステム2100’の一実施形態を示している。たとえば、パッチパネルシステム2100’は、ベース2190と同様または同一のベース2190’に結合可能なパッチパネルシステム2100と同様のフレームおよび/または内部シャーシを具備していてもよい。また、パッチパネルシステム2100’は、パッチパネルシステム2100のカバー2180と同様または同一のカバー2180’を具備していてもよい。パッチパネルシステム2100’は、パッチパネルシステム1300および2100に関連して説明したラッチ機構または水分センサ等のアクセサリのいずれかを具備していてもよい。図32Bには示していないものの、パッチパネルシステム2100’は、ワイヤからぶら下がり得るように、システム2100の吊り下げ要素2107a、2107bと同様または同一の1つまたは複数の吊り下げ要素を具備していてもよい。図示の実施形態において、パッチパネルシステム2100’内のカセットは、図31Bに示したものと同様の構成で配置されていてもよい。言い換えると、パッチパネルシステム2100’は、互いに水平方向に隣接して位置決めされた2群の垂直方向に積層されたカセットを具備していてもよい。図32Bに関連して使用する用語「垂直」および「水平」は、明瞭化を意図したものであることが了解されるとともに、「垂直」および「水平」方向は実際のところ、グランドまたはシステムがぶら下がるワイヤ等の別の物体に対するシステム2100’の配向によって決まり得ることが了解されるものとする。この特定の実施形態においては、第1群のカセット2110a’が第2群のカセット2110b’に隣接して位置決めされており、両群のカセットが上部および底部フレーム要素2105’間に位置決めされている。カセットの特定の使用は変化し得るが、図示の実施形態において、第1群のカセット2110a’は、複数のスプリッタカセットのほか、サービスプロバイダからの信号を受信するように構成された1つまたは複数のカセットを含み、これらのカセットが1つまたは複数のケーブルを介してスプリッタカセットに連結されている。さらに、この特定の実施形態において、第2群のカセット2110b’は、信号をサービス加入者に伝達するように構成された複数のカセットを含む。図示のように、パッチパネルシステム2100’には、3群ものハンガーアセンブリ2120a’、2120b’、および2120c’が設けられていてもよいが、他の実施形態においては、より多くのハンガーアセンブリが設けられていてもよいし、より少ないハンガーアセンブリが設けられていてもよいことが了解されるものとする。
ハンガーアセンブリ2120a’は、第1群のカセット2110a’に隣接して位置決めされていてもよく(図32Bの図の左側)、カセットごとに、近位面近くで対応するカセットと整列して位置決めされた1つのハンガーを具備していてもよい。ハンガーアセンブリ2120a’は、たとえばサービスプロバイダからの信号を受信するように構成されたカセットにサービスプロバイダから入るケーブルのほか、サービスプロバイダからの信号を受信するように構成されたカセットをスプリッタカセットに接続するケーブル等、ケーブルを支持するように構成されていてもよく、これらはすべて、第1群のカセット2110a’に存在していてもよい。ハンガーアセンブリ2120b’は、ハンガーアセンブリ2120a’と構造的に同様または同一であってもよく、第1群のカセット2110a’および2110b’間に位置決めされ、第1群のカセット2110a’を第2群のカセット2110b’に接続するケーブルを支持するように構成されている。ハンガーアセンブリ2120c’は、ハンガーアセンブリ2120a’および2120b’と構造的に同様または同一であってもよく、第2群のカセット2110b’とベース2190’との間に位置決めされ(図32Bの図の右側)、第2群のカセット2110b’をサービス加入者に接続するケーブルを支持するように構成されている。第1群のカセット2110a’および第2群のカセット2110b’は、たとえば第1群のスプリッタカセット2110a’から第2群のカセット2110b’までケーブルを接続してサービス加入者をサービスプロバイダに接続することにより、ユーザがカバー2180’を取り外してシステム2100’の保守を実行したいと思った後、格納位置(最遠位置)から保守位置(近接位置)まで摺動されるようになっていてもよいことが了解されるものとする。ケーブルの整線を保つため、ハンガーアセンブリ2120a’~2120c’のうちの1つまたは複数も同様に、保守時に遠位格納位置から近接位置まで摺動可能であるのが好ましいと考えられる。このため、図示の実施形態において、各ハンガーアセンブリ2120a’~2120c’は、近位方向および遠位方向に摺動可能である。たとえば上部および底部フレーム要素2105’の対応するトラックによって、摺動機構またはその他任意適当な機構が提供されるようになっていてもよい。一実施形態において、ハンガーアセンブリ2120a’~2120c’は、カバー2180’のベース2190’への接続を可能にする位置に対応する最遠摺動位置と、カセットの最近摺動位置に対応する最近位置とを有する。ハンガーアセンブリ2120a’~2120c’のうちの1つまたは複数には、ハンドル等の他の機構が設けられ、保守中にユーザがハンガーアセンブリを近位方向および/または遠位方向に容易に摺動させ得るようにしてもよい。
図32Cは、1つを除くあらゆる点でパッチパネルシステム2100’と同一のパッチパネルシステム2100’’の一実施形態を示している。特に、システム2100’のハンガーアセンブリ2120a’~2120c’がそれぞれ個々に、近位方向または遠位方向に摺動可能である一方、ハンガーアセンブリ2120a’’~2120c’’は、一体的に摺動可能となるように、結合部材2130’’によって結合されている。言い換えると、ユーザがハンガーアセンブリ2120b’’を近位方向に摺動させる場合は、バーまたはその他任意適当な構造が考えられる結合部材2130’’によって、その他の2120a’’および2120c’’がハンガーアセンブリ2120b’’とともに摺動する。さらに、近位方向および遠位方向に摺動するハンガーアセンブリを含むものとしてパッチパネルシステム2100’および2100’’を示しているが、摺動の代わりに、遠方位置と近接位置との間の枢動点周りに旋回する類似のハンガーアセンブリで上記ハンガーアセンブリのいずれか(または、ハンガーアセンブリのすべて)を置き換えることも可能である。たとえば、図32Dは、パッチパネルシステム2100’および/または2100’’と類似のシステムで使用可能な一群のカセット2110b’’’を示している。ハンガーアセンブリ2120c’’’を遠方位置および近接位置の両者で示しているが、これら2つの位置が同時には実現可能とならないことが了解されるものとする。ハンガーアセンブリ2120c’および2120c’’と同様に、ハンガーアセンブリ2120c’’’は、個々のカセット2110b’’に対応する複数のハンガーを具備するものの、ヒンジまたは枢動点2140’’’でカセット2110b’を収容するシャーシの側壁に結合されていてもよい。格納状態において、カバーがカセットを覆っている状態では、ハンガーアセンブリ2120c’’’が図32Dに示す最遠位置にあるのが好ましい。保守時、ハンガーアセンブリ2120c’’’は、枢動点2140’’’周りに枢動またはヒンジ動作して、図32Dに矢印で示す経路を図示の最近位置まで移動することも可能である。このようなシステムのその他のハンガーアセンブリの一方または両方が図32Bおよび図32Cの摺動機構に代えて、類似の枢動またはヒンジ機構を具備し得ることが了解されるものとする。
図33Aおよび図33Bはそれぞれ、本明細書に記載のパッチパネルシステムに使用可能なケーブル整線器2200の前面図および斜視図である。一般的に、ケーブル整線器2200は、(i)一般的に第1の左右方向(水平方向等)に延びるケーブルをその長さ全体で保つこと、(ii)他のケーブルもしくはケーブル群から層化および/もしくは分離された個々のケーブルもしくはケーブル群を保つこと、(iii)ケーブル整線器の第1の側端でケーブル整線器の第2の側端に向かって比較的大きな距離だけ離隔し、互いに比較的近いケーブルを配線すること、ならびに/または(iv)ケーブル交差の位置を制限すること等、以下により詳しく説明する1つまたは複数の機能を提供するようにしてもよい。
図示の実施形態において、ケーブル整線器2200は、プレートまたは壁2210を具備していてもよい。壁2210は、ハンガープレートの内側面に結合された状態で、複数のリブ2220を当該壁に結合するよう機能し得る。壁2210が備わっている場合は、当該壁のハンガープレートへの締結を容易化する1つまたは複数の開口部等の特徴を含んでいてもよい。他の実施形態においては、壁2210が省略され、リブ2220がハンガープレートに直接結合されていてもよいし、あるいは、ハンガープレートと一体的に形成されていてもよい。説明のみを目的として、図33Aの特定図においては、ケーブル整線器2200の第1の側端がケーブル整線器の右縁部を表す一方、ケーブル整線器の第2の側端がケーブル整線器の左縁部を表す。第1および第2の側端間の方向は、水平方向と称する。図33Aの水平方向と垂直で、ケーブル整線器の底部と上部との間に延びる方向は、説明のみを目的として、垂直方向と称する。図示の実施形態において、各リブ2220は、完全または実質的に水平方向に延びる第1の側端から延びた第1の部分2220aを含む。リブ2220の一部または全部は、垂直方向の成分を有する方向に湾曲あるいは延伸する第2の部分2220bを含んでいてもよい。最上リブ2220は、最底リブ2220に向かって大略下方に湾曲または延伸する第2の部分2220bを含むのが好ましい。一方、最底リブ2220は、最上リブ2220に向かって大略上方に湾曲または延伸する第2の部分2220bを含むのが好ましい。図示のように、最上および最底リブ2220の第2の部分2220bは、垂直方向に最大の曲率または延伸を有していてもよい。一方、ケーブル整線器2200の垂直方向中心またはその近傍に位置決めされたリブ2220は、曲率が最小の第2の部分2220bを有していてもよいし、垂直方向の延伸を含んでいなくてもよい。第2の部分2220bの垂直方向の曲率の程度は、上縁および底縁に近いリブ2220ほど大きくなっていてもよい。リブ2220の一部または全部は、第2の側端で終端し、ケーブル整線器2200の上部に向かってある程度の曲率を有する第3の部分2220cを含んでいてもよい。
図33Cおよび図33Dは、パッチパネルシステム1300と同様または同一のパッチパネルシステムとともに用いられるケーブル整線器2200を示している。図33Cはケーブルを省略しており、図33Dはケーブルの例示的な使用を示している。特に、ケーブル整線器2200は、ハンガープレート1321aの内面に結合されている。図33Cおよび図33Dの実施形態においては、2群の積層ファイバ分布カセット1310bがパッチパネルシステムの底部近くに位置決めされる一方、2群のスプリッタカセット1310aがパッチパネルシステムの上部近くに位置決めされている。一般的には、図28Aに示す構成と同様に、特定のケーブルがスプリッタカセット1310aを出て、ハンガーユニット1323’の対応するハンガーに沿って通過した後、同一または別のスプリッタカセット1310aに再び入るか、または、ファイバ分布カセット1310bに入るようになっていてもよい。図33Dに示すように、同じスプリッタカセット1310aに出入りするケーブルは、ケーブル保持器1330aに巻き付いて、ケーブルの支持および整線に役立ち得る。図28Aに関連して上述した通り、ユーザは必要に応じて、スプリッタカセット1310aからケーブルの端部を取り外し、当該ケーブルをファイバ分布カセット1310bのポートに接続するようにしてもよい。このような遷移において、ケーブルは、ケーブル整線器2200のリブ2220のうちの1つの表面に沿って配線された後、所望のファイバ分布カセット1310bへと導かれるようになっていてもよい。一実施形態においては、各リブ2220の底面に沿ってケーブルが配線され、リブの数は、2つの群のファイバ分布カセット1310bの数と同等または実質的に同等である。各リブ2220または各リブの表面のうちの1つは、対応するファイバ分布カセット1310bと実質的に位置合わせされているのが好ましいため、ケーブル整線器2200の第1の側端と対応するファイバ分布カセット1310bとの間に延びたケーブルの部分は、リブ2220の第1の部分2220aと実質的に平行な方向(水平方向と称し得る)に延びていてもよい。
多くのケーブルがさまざまなスプリッタカセット1310aおよびファイバ分布カセット1310bに対して延入および延出しているため、さまざまなケーブルが互いに交差しており、一般的なケーブル過密によって、たとえばユーザがケーブルの端部をスプリッタカセット1310aからファイバ分布カセット1310bまで再配線したい場合に、そのようなケーブルの容易な再配線が困難になる場合がある。ただし、ケーブル整線器2200は、ケーブルの特定の配線を容易化して、過密を抑えることができる。たとえば、1つのファイバ分布カセット1310bへと配線されたケーブルは一般的に、ケーブル整線器2200のリブ2220によって、他のファイバ分布カセット1310bへと配線された他のケーブルから分離または層化された状態が保たれるようになっていてもよい。さらに、ケーブル整線器2200の第2の側端を通って配線されたケーブルは、第1の側端よりも第2の側端でリブ2220が互いに近く離隔しているという事実によって、より小さなエリアに集約されていてもよい。ケーブル整線器2200の第2の側端を通って配線されたこれらのケーブルは、リブ2220の第1の部分2220aと実質的に垂直な方向(垂直方向と称し得る)に延びていてもよい。この構成により、ケーブルが互いに交差する点は一般的に、ケーブル整線器2200の第2の端部とケーブル保持器1330aとの間で垂直方向に延びたケーブルの部分に制限される。ケーブルの垂直部分は一般的に、ケーブルの他の屈曲部よりも緩く包まれており、結果として、他の隣接ケーブルとの絡みによる大きな妨害なく、個々のケーブルの把持および再位置決めが一般的には、より容易になることが分かっている。
ケーブル整線器2200を用いるいくつかの実施形態においては、ケーブルの保護に役立つ別のカバーが設けられていてもよい。たとえば、一実施形態においては、ハンガープレート1321の自由端部にプレートがヒンジ結合され、回転によって、ハンガープレートの自由端部近くに位置決めされたケーブルの垂直部を覆うように構成されていてもよい。
図34は、本開示の別の実施形態に係る、通信システム3000の一例を示している。システム3000は、当該システム3000のその他のコンポーネントを含み得る筐体またはハウジング3002を具備していてもよい。ハウジング3002は、前方に開放されたものとして示しているが、ドア等のコンポーネントが備えられて、ハウジングが内部のコンポーネントを完全または実質的完全に封止できるようになっていてもよいことが了解されるものとする。システム3000は、前側ベース3010および後側ベース3012を具備していてもよく、互いに一体化していてもよい。後側ベース3012は、第1のシャーシ3100および第2のシャーシ3200が載った状態で、前側ベース3010より高くてもよい。第1のシャーシ3100は、本明細書に記載の他の実施形態と類似の摺動構成の複数のカセットを受容するように構成されていてもよい。図示の実施形態において、第1のシャーシは、第1群のカセット3300、第2群のカセット3400、および第3群のカセット3500を含む少なくとも3種類のカセットを受容するように構成されていてもよい。第1のシャーシ3100からある離隔距離に位置決め可能な第2のシャーシ3200は、1つまたは複数の群の1つまたは複数のスプリッタカセット3600を受容するように構成されていてもよい。
第1群のカセット3300は、本実施形態においては第1のシャーシ3100の上部に2つのカセットを含むものとして示しているが、サービスプロバイダからの信号を受信し、当該信号をスプリッタカセット3600に送信するように構成されていてもよい。たとえば、ハウジング3002の外側の位置から1つまたは複数のケーブル3310が延びて、カセット3300の後部の1つまたは複数のポートに延入していてもよい。ケーブル3310は、カセット3300に予め設置されていてもよいため、たとえば、ユーザは通常、カセット3300の後部に頻繁にアクセスする必要がない。ただし、いくつかの状況においては、カセット3300の後面を通過して後部に接続されるのと対照的に、ケーブル3310がカセット3300の前面を通過して後部に接続されるようになっていてもよいことが了解されるものとする。さらに、以下により詳しく説明する通り、スプリッタカセット3600の設置に際しては、1つまたは複数のカセット3300が第1のシャーシ3100から部分的または完全に摺動して出ることにより、ケーブル3610がスプリッタカセット3600をカセット3300に接続可能となっていてもよい。
第3群のカセット3500は、本実施形態においては後側ベース3012にそれぞれ隣接する3群の6つのカセットを含むものとして示しているが、図28Aのパッチパネルカセット1310bと類似のパッチパネルまたはファイバ分布カセットであってもよい。パッチパネルカセット3500は、スプリッタカセット3600から信号を受信し、当該信号をサービス加入者に伝達するように構成されていてもよい。たとえば、カセット3500の後部の1つまたは複数のポートに1つまたは複数のケーブル3512が結合され、ハウジング3002からサービス加入者まで延びていてもよい。ただし、いくつかの状況においては、カセット3500の後面を通過して後部に接続されるのと対照的に、ケーブル3512がカセット3500の前面を通過して後部に接続されるようになっていてもよいことが了解されるものとする。ケーブル3512は、カセット3500に予め設置されていてもよいため、たとえば、ユーザは通常、カセット3500の後部に頻繁にアクセスする必要がない。さらに、以下により詳しく説明する通り、システム3000の最初の設置後の適当なタイミングで、1つまたは複数のカセット3500が第1のシャーシ3100から部分的または完全に摺動して出ることにより、ストレージカセット3400に格納されたケーブル3410が取り外されてパッチパネルカセット3500のポートに接続可能となっていてもよい。
上記説明に基づいて、システム3000は、第1のカセット3300、第2のカセット3400、および第3のカセット3500が第1のシャーシ3100に設置されるとともに、ケーブル3310および3512もそれぞれカセット3300および3500の後部に結合された状態で、顧客に提供されるようになっていてもよいことが了解されるものとする。ただし、上述の通り、ケーブル3310および3512は、対応するカセット3300、3500の後部まで直接通過するか、あるいは、これらのカセットの前面を通過して、当該カセットの後部のポートにアクセスするようになっていてもよいことが了解されるものとする。システム3000の設置後、1つまたは複数のスプリッタカセット3600が第2のシャーシ3200に設置されるようになっていてもよいが、いくつかの実施形態においては、1つまたは複数のスプリッタカセット3600が予め設置されていてもよい。そして、1つまたは複数のケーブル3610が第1のカセット3300の前部のポートに結合され、スプリッタカセット3600に結合されることにより、サービスプロバイダからの信号をスプリッタカセット3600に伝達するようにしてもよい。ケーブル3610の矢印がスプリッタカセット3600を指しているものの、スプリッタカセット3600が通常、ケーブル3610が接続された状態で提供され得ることから、ユーザは通常、ケーブル3610の端部をカセット3300のポートに結合しさえすればよいことが了解されるものとする。言い換えると、図34のケーブル上の矢印は、サービスプロバイダの始点からサービス加入者の終点までの信号の伝送方向を大略示している。まず、1つまたは複数のケーブル3410がスプリッタカセット3600から第2群のカセット3400のうちの1つまたは複数に接続されていてもよい。第2群のカセット3400は、ストレージカセットとして機能するようになっていてもよく、サービスプロバイダから特定のサービス加入者に信号を伝達するケーブルの接続に先立って、ケーブル3410が整線状態で格納されるようになっていてもよい。ストレージカセット3400は、たとえば格納ラック1840または1840’と類似の構造を含めて、ケーブル3410の端部を保持する任意適当な特徴を含んでいてもよい。図示の実施形態において、システム3000は、第1群のカセット3300と第3群のカセット3500との間に位置決めされた4つのストレージカセット3400を具備する。サービスプロバイダを特定のサービス加入者に接続することが必要となった場合は、ユーザまたは技術者がストレージカセット3400からケーブル3410を取り外して、パッチパネルカセット3500の前部のポートに接続するようにしてもよい。パッチパネルカセット3500に接続されたケーブルは、図34においてケーブル3510と標識しているものの、同じケーブルがストレージカセット3400に接続された場合は、ケーブル3410と標識する。
非常に多くのケーブル3410および3510がスプリッタカセット3600を対応するストレージカセット3400およびパッチパネルカセット3500に結合していてもよく、これらのケーブルがそれぞれ、パッチパネルカセット3500またはストレージカセット3400のいずれかの任意のポートまたは格納位置に接続可能であることが了解されるものとする。その結果、多くのケーブルは通例、対応する大きな質量を有するため、システム3000内で支持する必要があり、簡単なアクセス操作で必要に応じてケーブル位置を変更可能なように支持するのが好ましい。システム3000の図示の実施形態において、ケーブル3410、3510、および3610の大部分は、トラフ3700に位置決めされていてもよい。トラフ3700は、後側ベース3012の前壁、前側ベース3010の上面、およびパネル3800によって形成されていてもよい。パネル3800は、前側ベース3010にヒンジ結合されていてもよく、実質的に平坦であってもよいし、実質的に「L」字状であってもよい。パネル3800は、図34において(たとえば、保守時のアクセスのため)開放状態で示しており、上方および後側ベース3012側への回転によって、(たとえば、保守の完了後に)格納状態へと遷移するようになっていてもよい。トラフ3700を通過するケーブル3410、3510、および3610の部分がパネル3800に固定され得るように、1つまたは複数のハンガー(図示省略)がパネル3800に設けられていてもよい。このため、システム3000は、わずか1つのハンガーでケーブルを固定した状態でケーブル保守が可能であってもよい。
カセット3300、3400、および3500の厳密な数および位置取りは、図示と異なる場合があることが了解されるものとする。たとえば、いくつかの実施形態においては、第1のシャーシ3100の上部にパッチパネルカセット3500を受容した状態で、カセット3300が第1のシャーシ3100の底部近くに位置決めされていてもよい。同様に、第2のシャーシ3200は、第2群の垂直配向スプリッタカセット3600上に積層された第1群の垂直配向スプリッタカセット3600を受容するものとして図示している。第2のシャーシ3200は、当該第2のシャーシ3200内の両方向矢印点線によって表される通り、各群の任意数のスプリッタカセット3600を受容するように構成されていてもよい。第2のシャーシ3200は、スプリッタカセット3600の当該第2のシャーシ3200に対する摺動出入りを容易化するスロット等の構造を含んでいてもよい。ただし、いくつかの実施形態において、第2のシャーシ3200は、図34に示すように、同一または異なる配向の異なる数のスプリッタカセット3600または異なる数のスプリッタカセット3600群を受容するように構成されていてもよいことが了解されるものとする。
図35は、特定の相違点を含む図34のシステム3000と類似の通信システム4000を示している。一般的に、システム3000および4000の同様または同一のコンポーネントには、1000だけ離れた部品番号を付与している。システム4000のコンポーネントは、ハウジング3002と実質的に同等の筐体またはハウジング4002内に設けられていてもよい。第1のシャーシ4100は、第1のシャーシ3100と実質的に同一であり、同様に、第1群のカセット4300、第2群のストレージカセット4400、および第3群のパッチパネルカセット4500を受容するように構成されていてもよい。システム4000のケーブルコンポーネントは、システム3000と機能的に同一であってもよい。たとえば、ケーブル4310がサービスプロバイダからの信号をカセット4300の後部へと伝達し、ケーブル4610がカセット4300の前部からスプリッタカセット4600へと信号を伝達するようにしてもよい。特定の実施形態において、ケーブル4310は、後側ポートに向かってカセット4300へと配線されているため、カセット4300の前部開口を通過するようになっていてもよいことが了解されるものとする。また、ケーブル4410がスプリッタカセット4600の前部からストレージカセット4400内の格納位置まで延びていてもよい。適当なタイミングで、ケーブル4410がパッチパネルカセット4500の前部のポートに結合されていてもよく、図中、接続されたケーブルを4510として標識する。ケーブル4512がパッチパネルカセット4500の後部に結合され、パッチパネルカセット4500からの信号をサービス加入者に伝達するようにしてもよい。ケーブル4310と同様に、ケーブル4512は、パッチパネルカセット4500の後側ポートに向かって配線されているため、当該カセットの前部開口を通過するようになっていてもよいことが了解されるものとする。
システム3000および4000間の主な相違点は、第2のシャーシ4200の位置およびパネル4800a、4800bの構成である。特に、第2のシャーシ4200は、第1のシャーシ4100上に直接設けられていてもよいし、第1のシャーシ4100の上壁からある距離だけ離隔していてもよい。第2のシャーシ4200は、任意数のスプリッタカセット4600を受容するように構成されていてもよい。一例において、第2のシャーシ4200は、第2のシャーシ3200に受容可能なスプリッタカセット3600の総数と同じ単一群のスプリッタカセット4600を受容するように構成されていてもよい。システム3000と同様に、非常に多くのケーブル4410、4510、および4610がスプリッタカセット4600の前部から延びていてもよい。このため、第2のシャーシ4200の前面およびスプリッタカセット4600の前面が第1のシャーシ4100の前面からある離隔距離だけ後退しているのが好ましいと考えられる。これらのケーブルは、第2のシャーシ4200の前方の第1のシャーシ4100上に位置決めされたトレイ、ビン、またはトラフ内に格納されていてもよい。ケーブルトラフ(図35では個別に示さず)がスプリッタカセット4600の第2のシャーシ4200への摺動出入りと干渉しないように、第2のシャーシ4200は、第1のシャーシ4100の上部からある距離だけ離隔している。
第2のシャーシ4200の直接前方のケーブル4410、4510、および4610の部分は、上述のトラフに格納されていてもよいが、ケーブル4410、4510、および4610の付加的な長さは、第1のシャーシ4100の側壁にヒンジ結合可能なパネル4800a、4800b上の付加的なハンガーと整線され得るのが望ましい。パネル4800aおよび4800bは、たとえば図33Cに関連して図示および説明したハンガープレートあるいはこのようなハンガープレートに関連して説明した任意適当なアクセサリ(ケーブル整線器2200等)を含めて、本明細書に記載のさまざまなハンガープレートと同様または同一の特徴を含んでいてもよい。システム3000に関連して説明したカセット3300、3400、3500、および3600の数および相対的な位置取りのさまざまな代替構成は、システム4000のカセット4300、4400、4500、および4600にも同様に当てはまり得ることが了解されるものとする。
図36Aは、特定の相違点を含む図34および図35のシステム3000、4000と類似の通信システム5000を示している。一般的に、システム4000および5000の同様または同一のコンポーネントには、1000だけ離れた部品番号を付与している。システム5000のコンポーネントは、ハウジング4002と実質的に同等の筐体またはハウジング5002内に設けられていてもよい。第1のシャーシ5100は、第1のシャーシ4100と実質的に同一であり、同様に、第1群のカセット5300、第2群のストレージカセット5400、および第3群のパッチパネルカセット5500を受容するように構成されていてもよい。図36Aの図示の実施形態においては、ストレージカセット5400が第1のシャーシ5100上に設けられ、第1群のカセット5300が第2のシャーシ5200に隣接する第1のシャーシ5100の底部上に設けられ、パッチパネルカセット5500が第1群のカセット5300と第2群のストレージカセット5400との間に位置決めされている。システム5000のケーブルコンポーネントは、システム4000と機能的に同一であってもよい。たとえば、ケーブル5310がサービスプロバイダからの信号をカセット5300の後部へと伝達し、ケーブル5610がカセット5300の前部からスプリッタカセット5600へと信号を伝達するようにしてもよい。特定の実施形態において、ケーブル5310は、後側ポートに向かってカセット5300へと配線されているため、カセット5300の前部開口を通過するようになっていてもよいことが了解されるものとする。また、ケーブル5410がスプリッタカセット5600の前部からストレージカセット5400内の格納位置まで延びていてもよい。適当なタイミングで、ケーブル5410がパッチパネルカセット5500の前部のポートに結合されていてもよく、図中、接続されたケーブルを5510として標識する。ケーブル5512がパッチパネルカセット5500の後部に結合され、パッチパネルカセット5500からの信号をサービス加入者に伝達するようにしてもよい。ケーブル5310と同様に、ケーブル5512は、パッチパネルカセット5500の後側ポートに向かって配線されているため、当該カセットの前部開口を通過するようになっていてもよいことが了解されるものとする。
システム5000とシステム3000および4000との間の主な相違点は、第2のシャーシ5200の位置およびパネル5800a、5800bの構成である。特に、第2のシャーシ5200は、第1のシャーシ5100下方に直接設けられていてもよく、ベース5900上に位置決めされていてもよい。第2のシャーシ5200は、任意数のスプリッタカセット5600を受容するように構成されていてもよい。一例において、第2のシャーシ5200は、第2のシャーシ4200と類似の単一群のスプリッタカセット5600を受容するように構成されていてもよい。システム3000および4000と同様に、非常に多くのケーブル5410、5510、および5610がスプリッタカセット5600の前部から延びていてもよい。第2のシャーシ5200の前面およびスプリッタカセット5600の前面がベース5900の前面からある距離だけ後退したものとして示しているが、スプリッタカセット5600から延びているケーブルがトラフ5700へと即座に落ち込むように、第2のシャーシ5200の前面のほか、カセット5600の前面およびベース5900の前面が(たとえば、後退なく)実質的に整列しているのが好ましいと考えられる。これらのケーブルの一部は、トラフ5700に格納されていてもよい。トラフ5700は、ベース5900の前面および「L」字状延伸部材5910によって規定されていてもよい。ケーブルの数が多いと質量が大きくなるが、これらのケーブルの大部分をトラフ5700に格納することによって、パネル5800a、5800b等、システム5000の他のコンポーネントにより支持されるその他のケーブル質量が小さくなり得るため、システム5000の底部にトラフ5700を使用するのが好ましいと考えられる。
パネル5800aおよび5800bは、第1のシャーシ5100の側壁にヒンジ結合された比較的狭いパネルとして示している。他の実施形態においては、一方または両方のパネル5800aおよび5800bがヒンジを用いずに第1のシャーシに固定されていてもよいし、あるいは、45°または90°の回転等、回転量が制限されていてもよいことが了解されるものとする。パネル5800aおよび5800bは、システム4000のパネル4800aおよび4800bと比べて相対的に小さなケーブル質量を支持できればよいため、システム4000のパネル4800a、4800bより大幅に狭くてもよい。図示の実施形態において、各パネル5800aおよび5800bは、図23Aのハンガーユニット1323’と同様または同一の1つまたは複数のハンガーユニットを具備する。
システム4000に関連して説明したカセット4300、4400、4500、および4600の数および相対的な位置取りのさまざまな代替構成は、システム5000のカセット5300、5400、5500、および5600にも同様に当てはまり得ることが了解されるものとする。たとえば、別の実施形態においては、パッチパネルカセット5500が第1のシャーシ5100の上部により近く設けられ、ストレージカセット5400がパッチパネルカセット5500と第1群のカセット5310との間に位置決めされていてもよい。
図36B~図36Eは、特定のコンポーネントを追加するとともに特定のコンポーネントを改良した通信システム5000を示している。特に、図36Bにおいては、第1群のカセット5300、ストレージカセット5400、およびパッチパネルカセット5500の相対的な位置取りが異なっており、最底カセット(図示の3つのカセット)がストレージカセット5400であり、最上カセット(図示の3群の6つのカセット)がパッチパネルカセット5500であり、これら2つの群間のカセットが第1群のカセット5300(ストレージカセット5400の直上に位置決めされた図示の3つのカセット)である。第2のシャーシ5200は、並んで位置決めされた2群のカセットとして配置されたスプリッタカセット5600を含むものとして示している。第2のシャーシ5200は、図36Aに示すベース5900よりわずかに狭いと考えられるベース5900’上に位置決めされていてもよい。トラフ5700は、ベース5900’に接続されたプレートの前面、当該プレートの1つもしくは複数の側部延伸部5910’、ならびに/または側部延伸部5910’の底端間に延びた底部延伸部(図36Eに最もよく示す)間に形成されていてもよい。また、パネル5800aがケーブルガイド5810a’上に位置決めされていてもよく、パネル5800bがケーブルガイド5810b’上に位置決めされていてもよい。ケーブルガイド5810a’および5810b’は、第1のシャーシ5100に対して静的に固定されていてもよいし、第1のシャーシ5100に対してヒンジ動作するとともに回転可能であってもよい。ケーブルガイド5810a’は、システム5000のケーブルを案内および整線する別の手段を提供していてもよい。図示のように、ケーブルガイド5810a’は、パネル5800a’から離れる方向かつトラフ5700に向かって下方に、パネル近くの点からそれぞれ延びた最外フィン5812a’、中間フィン5814a’、および内側フィン5816a’を具備していてもよい。反対のパネル5800b’も同様に、最外フィン5812b’、中間フィン5814b’、および内側フィン5816b’を有するケーブルガイド5810b’上またはケーブルガイド5810b’内に位置決めされていてもよい。ケーブルガイド5810a’および5810b’は、ケーブルガイド5810a’の境界内にケーブルを保つのに役立ち得る保持器5818a’または最小曲げ半径を維持しつつケーブルが巻き付けられるスプール部材5818b’等の別のケーブルガイド構造を含んでいてもよい。
図36Cは、特定のケーブルが接続され、ケーブルガイド5810a’、5810b’のさまざまな部分によって維持されたシステム5000を示している。たとえば、図36Cは、スプリッタカセット5600から第1群のカセット5300まで延びたケーブル5610を示している。このケーブルは、上述の通り、カセット5300からの信号をスプリッタカセット5600に伝達するようにしてもよい。スプリッタカセット5600は、ケーブルがすでに取り付けられたユニットとして設けられていてもよく、矢印で示すように、ケーブル5610の自由端部が第1のカセット5300のうちの1つに取り付けられて2つのカセットを互いに結合しているものの、一般的には、ケーブル5610の矢印と反対方向に信号が伝送されることが了解されるものとする(ただし、多くの光ファイバケーブルにおいては、信号の送信または伝送が双方向に可能であることが了解されるものとする)。いくつかの例において、各スプリッタカセット5600には、それぞれトラフ5700中への格納および/またはトラフ5700による支持が可能な単一のケーブル5610が結合されていてもよい。また、図36Cは、トラフ5700中への格納および/またはトラフ5700による支持がなされた状態でスプリッタカセット5600からストレージカセット5400まで延びたケーブル5410を示している。ケーブル5410は、ユーザが当該ケーブル5410をパッチパネルカセット5500に接続したいと考えるまで、ストレージカセット5400中に一時的に位置決め可能であることを示すため、点線で与えているが、図36Cにおいては、この新たに接続されたケーブルをケーブル5510として示している。ケーブル5510は、トラフ5700中への格納および/またはトラフ5700による支持のほか、ケーブルガイド5810a’の要素によって、さらに整線および案内されるようになっていてもよい。たとえば、すべてのケーブル5510がケーブル保持器5818a’の背後を通過して、ケーブルガイド5810a’の一般的範囲内に保たれるようになっていてもよい。最上群のカセット5500へと配線されたケーブル5510は、最外フィン5812a’と中間フィン5814a’との間を案内されるようになっていてもよい。中間群のカセット5500へと配線されたケーブル5510は、中間フィン5814a’と内側フィン5816a’との間を案内されるようになっていてもよい。最底群のカセット5500へと配線されたケーブル5510は、内側フィン5816a’と内側ケーブル保持器5818a’との間を案内されるようになっていてもよい。一般的に、ケーブル5510(または、パッチパネルカセット5500への接続前のケーブル5410)は、システム5000における最大量のケーブルであってもよいことが了解されるものとする。このため、スプリッタカセット5600からパッチパネルカセット5500まで延びる大量のケーブルの分離および整線には、ケーブルガイド5810a’のさまざまなフィンが役立ち得る。図36Cには、ケーブルを案内および支持するスプール部材5818b’に巻き付けあるいはスプールされた状態で2つのパッチパネルカセット5500を接続する別のケーブル5520を示している。ケーブルガイド5810b’がケーブルガイド5810a’と同様に使用可能であり、図36Cでは、ケーブルガイド5810a’または5810b’に沿って配線されるものとして特定のケーブルを示しているが、ユーザの選好に応じて、ケーブルガイド5810a’、5810b’のいずれかに沿って任意のケーブルを配線することも可能であることが了解されるものとする。さらに、図36Bおよび図36Cに関しては、外側ハウジングを示していないものの、壁マウント、ポールマウント、またはパッドマウント(たとえば、コンクリートパッドへの搭載)として搭載するハウジング等、任意適当な外側ハウジングが用いられるようになっていてもよいことが了解されるものとする。
図36Dは、第1の位置のケーブルガイド5810a’および5810b’を示したシステム5000の斜視図である。図36Dにおいては、筐体またはハウジング5002を別途示していないものの、図示の第1の位置においては、たとえばハウジングのドアが閉まってシステム5000のコンポーネントをハウジング内に完全に含み得るように、ケーブルガイド5810a’および5810b’のいずれもがハウジング内に完全に位置決めされていてもよいことが了解されるものとする。図36Dに見られるように、第1のシャーシ5100の側壁には、サイドハンガー1340aが設けられていてもよく、これは、図21Aのサイドハンガー1340aと同様または同一であってもよい。ただし、図21Bのサイドハンガー1340bを含む他の種類および数のサイドハンガーが第1のシャーシ5100の両側壁に位置決めされて、システム5000と関連付けられたケーブルの格納、案内、および/または整線に役立ち得ることが了解されるものとする。ユーザは、ハウジング5002内のシステム5000の部分の側部または後部にアクセスして、たとえばサイドハンガー1340a上のケーブルにアクセスしたいと考える場合、プレート5800a、5800b上のハンガーユニットが第1のシャーシ5100内のカセット5300、5400、5500の前面に向かって移動する方向に、一方または両方のケーブルガイド5810a’、5810b’(および、関連するプレート5800a、5800b)を回転させるようにしてもよい。図36Eは、プレート5800bと関連付けられたハンガーユニットがカセットの前部に位置決めされるように移動する一方、ケーブルガイド5810a’および関連するプレート5800aが図36Bに示した第1の位置に残るように回転されたケーブルガイド5810b’および関連するプレート5800bを示している。いくつかの実施形態において、ケーブルガイド5810a’および5810b’(ならびに、それぞれと関連するケーブルプレート5800aおよび5800b)の回転範囲は、およそ90°の範囲またはおよそ180°の範囲に制限されていてもよい。本明細書に記載の他の種々実施形態と同様に、ケーブルガイド5810a’および5810b’(ならびに、関連するハンガーユニットおよびケーブルプレート5800aおよび5800b)は、パッチパネルカセット5500の底面と実質的に同一平面上の平面と実質的に直交する軸周りに回転するように、1つまたは複数のヒンジを介して、第1のシャーシ5100に直接または間接的に結合されていてもよい。言い換えると、パッチパネルカセット5500が摺動可能な方向は、ケーブルガイドが回転可能な軸に直交する。
図36Fおよび図36Gは、システム5000をハウジング5002に固定する例示的な一構成を示すハウジング5002の一実施形態におけるシステム5000の図を示している。図示の例において、ハウジング5002は、当該ハウジング5002の上壁の底面に固定された1つまたは複数の上部搭載レール5004を具備していてもよい。同様に、ハウジング5002は、当該ハウジング5002の底壁の上面に固定された1つまたは複数の底部搭載レール5006を具備していてもよい。図示の例において、ハウジング5002は、2つの上部搭載レール5004および2つの底部搭載レール5006を具備するが、必要に応じて、各レールがより多く設けられていてもよいし、より少なく設けられていてもよい。図36Gに最もよく示すように、搭載レール5004、5006はそれぞれ、「L」字形状または「U」字形状を有するブラケットの形態であってもよいが、他の形状も適していると考えられる。図示の例においては、たとえばネジ、ボルト、またはその他任意適当な締結具によって、第1のシャーシ5100の上壁(あるいは、第1のシャーシ5100の上壁に搭載された別個のプレートまたは支持部)が上部搭載レール5004に結合されていてもよい。また、ネジ、ボルト、またはその他任意適当な締結具によって、ベース5900’の底面(あるいは、ベース5900’の底面に搭載された別個のプレートまたは支持部)が同様に、底部搭載レール5006に結合されていてもよい。この構成により、システム5000がハウジング5002内に固定されて、ハウジング5002に対するシステム5000の如何なる意図せざる移動の可能性もが低減可能である。ハウジング5002は、上述のハウジング1002のポート1004と類似のアクセスポートを底部に備えたものとして示しているが、より多くのアクセスポートがハウジング5002の任意所望の位置に設けられていてもよいことに留意するものとする。
図36Hは、システム5000の第2のシャーシ5200の半分の拡大斜視図であって、3つの対応するカセットスロットに挿入された3つのスプリッタカセット5600を具備するものとして示している。ただし、図36Hのスプリッタカセットハウジングは、システム3000および4000を含む本明細書に記載の他のシステムにも使用可能であることが了解されるものとする。図36Hはとりわけ、さまざまなスプリッタカセット5600がそれぞれの所望の位置で整線された状態を維持するのに、シャーシの上壁から底壁まで完全に延びた垂直壁等の分離部材を第2のシャーシ5200が具備する必要がないことを示している。たとえば、第2のシャーシ5200は、スプリッタカセット5600を適所に維持するのに役立つ複数の付勢またはバネ加重部材5210を具備していてもよい。図示の例においては、第2のシャーシ5200に受容可能な各スプリッタカセット5600について、シャーシ5200の上壁は、互いに位置合わせされて下方に突出する2つのバネ部材5210を具備する。一方、底壁は、互いに位置合わせされて上方に突出する別の2つのバネ部材5220を具備する。各バネ部材5210は、第2のシャーシ5200の前部および後部に近い部分がシャーシの上壁に向かって遠くまで延びるように角度がついていてもよい。一方、バネ部材5220は、第2のシャーシ5200の前部および後部に近い部分がシャーシの底壁に向かって遠くまで延びるように角度が同様についていてもよい。ただし、第2のシャーシ5200の前部または後部に最も近いバネ部材5210および5220の部分は、傾斜面を含んでいてもよく、第2のシャーシ5200の前部または後部からある距離だけ離れて、バネ部材の最も突出した部分が位置決めされる。この構成により、カセット5600がシャーシ5200内の各スロットに摺動して入った場合、バネ部材5210、5220のバネが圧縮し始めて、カセット5600がスロットに進入する間隙が与えられる。カセット5600が適所に摺動すると、バネ部材5210、5220のバネがわずかに緩み始めて、前側バネ部材5220のリップ5222が上方に突出するため、カセット5600が意図せず第2のシャーシ5200から取り外されることはない。また、いくつかの実施形態において、前側バネ部材5210は、リップ5222と類似のリップを具備していてもよい。後側バネ部材5210、5220は、特に第2のシャーシ5200の後部が閉じられている場合、同様のリップを必要としないものの、いくつかの状況においては、リップが適当と考えられる。さらに、いくつかの実施形態において、後側バネ部材5210、5220は省略されてもよい。他の実施形態においては、バネ部材5210、5220が突出して入り込むことにより、第2のシャーシ5200内の所望の位置またはスロットへのカセット5600の固定にさらに役立つように、カセット5600が窪み、トラック、溝、または類似の特徴を含んでいてもよい。さらには、スプリッタカセット5600が第2のシャーシ5200に挿入された場合に、シャーシ5200の底壁上に突出するバネ部材の側縁がスプリッタカセットの底部および上部側縁に接触するように構成可能となるように、バネ部材5210、5220が位置決めされていてもよく、バネ部材は、挿入および挿入後の支持中に別のガイドとして機能することが了解されるものとする。
図36Iおよび図36Jはそれぞれ、アンロック状態およびロック状態の別のロックバー5230を示している。ロックバー5230は、カセット5600を第2のシャーシ5200内にさらに固定するように設けられていてもよい。ロックバー5230は、リップ5222の追加または代替として設けられていてもよいことが了解されるものとする。ロックバー5230は、第2のシャーシ5200の対応する1つまたは2つの側壁に対して枢動可能に結合された第1の端部を有する1つまたは2つの側方部材5230aを具備していてもよい。側方部材5230aは、第1の端部から、第2のシャーシ5200の前部に近い第2の端部まで延びていてもよい。側方部材5230aの第2の端部には、バー部材5230bが結合されていてもよい。2つの側方部材5230aが備わっている場合は、これら2つの側方部材5230aの第2の端部間にバー部材5230bが延びていてもよい。図36Iに示すロックバー5230のアンロック位置において、バー部材5230bは、カセット5600の第2のシャーシ5200への摺動出入りを制限または実質的に制限することのないように、カセット5600の上部またはその上方に位置決めされている。図36Jに示すように、ロックバー5230は、側方部材5230aの第1の端部周りに、第2のシャーシ5200の底壁に向かって側方部材5230aの第2の端部を枢動させることにより、ロック状態へと遷移するようになっていてもよい。この動きにより、バー部材5230bも同様に下方へ落ちるため、バー部材5230bがカセット5600の前部と接触または隣接する。図示の例において、ロックバー5230のロック状態においては、以下により詳しく説明する通り、バー部材5230bがカセット5600のハンドル5620に接触または隣接して位置決めされる。図示の例において、側方部材5230aは、第2のシャーシ5200の側壁の外側に位置決めされており、第2のシャーシ5200は、バー部材5230bが延びるスロットを含み、ロックバー5230がロック状態とアンロック状態との間で遷移した場合にバー部材5230bが移動する経路にスロットが大略従う。ただし、他の実施形態においては、側方部材5230aが第2のシャーシ5200の側壁の内側に位置決めされていてもよい。一実施形態において、ロックバー5230は、たとえばバネによって、ロック状態に付勢されていてもよい。別の例において、ロックバー5230は、主にまたは単に当該ロックバー5230を下方に引っ張る重力によって、ロック状態となる傾向にあってもよい。ロックバー5230がロック状態へと能動的に付勢されるか(たとえば、重力によって)受動的に付勢されるかに関わらず、たとえばシステム5000の振動によって、シャーシ5200内の如何なるカセット5600も意図せず摺動して第2のシャーシ5200から出る可能性は非常に低い。ユーザは、摺動によってカセット5600を第2のシャーシ5200に出入りさせたいと考える場合、ロックバー5230を一時的にアンロック状態へと遷移させるようにしてもよく、この点において、カセット5600が摺動によって第2のシャーシ5200に出入り可能となるようにバー部材5230bが位置決めされる。カセット5600が摺動によって第2のシャーシ5200に入るか、または取り出された後、ユーザは、単純にロックバー5230から手を放すようにしてもよく、これにより、能動的または受動的な付勢によってロック状態へと遷移することになる。ただし、他の実施形態においては、ロックバー5230を一切付勢する必要がなく、ユーザによる意図的な力の印加によって、ロックバー5230がロック状態とアンロック状態との間で遷移するのみである。また、ロックバー5230がロック状態とアンロック状態との間で遷移する場合に側方部材5230aの第2の端部が摺動するスロットには、スロットの底端に隣接する凸部5232等の突起を含んでいてもよい。言い換えると、凸部5232は、バー部材5230bの直径と等しいか、またはわずかに大きいスロットの底部からある距離だけ離隔していてもよい。この構成により、凸部5232は、付加的な摩擦係合を与え得るため、アンロック状態へと向かうバー部材5230bの上方への如何なる意図せざる移動にも対抗するのに役立ち得るものの、この摩擦係合は、ロックバー5230に対する上方または下方への意図的な力の印加によって容易に打ち負かされる可能性がある。
図36Kは、スプリッタカセット5600の一例をより詳しく示しているが、図36Kに示すスプリッタカセットは、本明細書の通信システムの他の実施形態に関連して説明した他のスプリッタカセットの代わりに用いられるようになっていてもよいことが了解されるものとする。スプリッタカセットは、ユーザが摺動によって第2のシャーシ5200等のハウジングにカセット5600を出入りさせるのを補助するハンドル5620を具備していてもよい。図示の実施形態において、ハンドル5620の前面は、カセット5600の他の前部と実質的に同一平面上にあり、ハンドル5620に直接隣接するカセット5600の前部は、凹部または窪みによってハンドル5620を構成している。スプリッタカセット5600からは、単一のケーブル5610が延びていてもよく、カセットの前面に結合された張力緩和要素5612を通過していてもよい。図36Kのケーブル5610は、図36Aおよび図36Cのケーブル5610に対応しており、別のケーブルによってサービスプロバイダに結合された別のカセット5300にスプリッタカセット5600を接続することによって、サービスプロバイダからの信号がカセット5300に伝達された後、ケーブル5610を通ってスプリッタカセット5600に達するようにすることを意図したものであってもよい。さらに、スプリッタカセット5600からは、たとえば別の張力緩和要素を介して複数の別のケーブル5410が延びていてもよい。ケーブル5410の数は、特定のスプリッタカセット5600によって決まり、8本、16本、32本等、任意所望の数であってもよい。図36Kのケーブル5410は、ストレージカセット5400に結合された場合の図36Aおよび図36Cのケーブル5410に対応する一方、図36Kのケーブル5410は、パッチパネルカセット5500に結合された場合の図36Aおよび図36Cのケーブル5510に対応することが了解されるものとする。最初に設けられた場合は、スプリッタカセット5600の各ケーブル5410のコネクタ5412が格納プレート5616の保持要素5614に格納されていてもよい。格納プレート5616および保持要素5614は、図28Bおよび図28Cの格納ラック1840または図28Dの格納ラック1840’に類似していてもよい。スプリッタカセット5600の第2のシャーシ5200への最初の設置に際して、格納プレート5616がストレージカセット5400内の対応する受容構造に容易に固定、留止、あるいは結合し得るように、格納プレート5616の保持要素5614にコネクタ5412が予め設置されていてもよい。これにより、ユーザは、コネクタを取り外してパッチパネルカセット5500のポートに接続する前に、各ケーブル5410の各コネクタ5412をストレージカセット5400内の対応するポートに対して個々に結合させて格納する必要がなくなり得る。
システム5000はハンガーユニット1323’を具備していてもよいが、別の種類のハンガーユニット1323’’がシステム5000には好ましいと考えられる。ハンガーユニット1323’’は、支持部1324’’および当該支持部1324’’から延びた複数の個々のハンガー1325’’を具備していてもよい。各ハンガー1325’’の自由端部には、たとえば稼働中のヒンジ機構によって当該自由端部にヒンジ結合されたラッチ部材1326’’を含んでいてもよい。また、各ハンガー1325’’の自由端部には、ハンガーユニット1323’のリップ1327’と類似のリップを含んでいてもよい。ハンガーユニット1323’’は、主として、ハンガー1325’’ひいてはラッチ部材1326’’が支持部1324’’の長手方向軸に対して角度がついていてもよい点を除いて、ハンガーユニット1323’と実質的に同じコンポーネントを具備していてもよいことが了解されるものとする。たとえば、図37Bに示すように、ハンガー1325’’は、支持部1324’’の長手方向軸に対して、およそ30°~およそ60°(およそ45°を含む)の角度α5を成していてもよい。ハンガーユニット1323’がパッチパネルシステムの両側のハンガープレートまたはパネル上で区別なく使用可能であるのに対して、ハンガーユニット1323’’は、パッチパネルシステムの第1の側のハンガープレート上で用いられるように設計されていてもよい。一方、ハンガーユニット1323’’の鏡像がパッチパネルシステムの第2の側のハンガープレート上で使用可能であるのが好ましい。たとえば、図37A~図37Cに示すハンガーユニット1323’’は、システム5000のパネル5800a上での使用が最適と考えられるが、ハンガーユニット1323’’の鏡像は、システム5000のパネル5800b上での使用が最適と考えられる。ハンガーユニット1323’と比較したハンガーユニット1323’’の潜在的な利点として、ハンガー1325’’上のケーブルCがハンガーユニット1323’のハンガー1325’上のケーブルCよりも角度が緩やかとなる可能性があるため、ケーブルCの最小曲げ半径を維持可能な点が挙げられる。たとえば、図37Cに示すように、ハンガー1325’’の各側を越えて延びるケーブルは、α5がおよそ45°である場合に、およそ135°の角度α6およびα7となる。これは、ケーブルに接触するハンガー1325’の部分の縁部に通常作られる円形縁部に加えて、ハンガーユニット1323’のハンガー1325’により支持されたケーブルが取り得る90°よりも緩い角度と考えられる。換言すると、ハンガーユニット1323’のハンガー1325’は、円形縁部または円形延伸部を含むことにより、ハンガー1325’によって支持されたケーブルの最小曲げ半径を維持するのに役立ち得るが、このような特徴では、ハンガー1325’が比較的広いことが必要となる場合がある。ハンガー1325’’がハンガー1325’よりも狭いことから、ハンガーユニット1323’’のハンガー1325’’にこのような円形縁部または円形延伸部を設けるのは困難と考えられる。代わりに、上述の通り、支持部1324’’の長手方向軸に対するある角度でハンガー1325’’を位置決めすることによって、最小曲げ半径を狭い空間で得ることができる。上述の通り、ハンガーユニット1323’’の鏡像構成を有するハンガーユニットを使用することによって、システム5000のパネル5800b上のケーブルにも同じ角度を実現することができる。ハンガーユニット1323’’(および、対応する鏡像構成)は、狭いパネル5800a、5800bを有するシステム5000について特に適すると考えられるが、本明細書に記載の他の通信システムにもハンガーユニット1323’’を使用可能であることが了解されるものとする。
以上、本発明を特定の実施形態を参照して説明してきたが、これらの実施形態は、本発明の原理および用途の単なる例示にすぎないことを理解されたい。従って、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、これらの例示的な実施形態に対して多くの変更を行うことや他の構成を考案することができることを理解されたい。