JP7253219B2 - 難水溶性物質の可溶化剤 - Google Patents

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Description

本発明は、難水溶性基質等の難水溶性物質を簡便且つ高濃度で安定に可溶化できる可溶化剤に関する。また、本発明は、当該可溶化剤を使用した基質溶液に関する。
抗原-抗体反応を利用した組織染色や、抗体を利用したELISAのような高感度検出法において、可視化や定量に使われる標識酵素用の発色基質及び発光基質(標識酵素であるペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等の基質)が数多く開発されている。このような発色基質及び発光基質の多くは可視領域に鮮やかな色調を呈すように、広いπ共役系を有している。また同時に、そのような広いπ共役系を有する化合物は検査に使用される媒体である水に極めて溶けにくい性質を持っている。例えば、がん組織染色に利用されている発色基質である3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)は、アミノ基を塩酸や酢酸でプロトン化すれば酸性水溶液に対して1g/50mL程度の溶解度を示すが、中性水溶液にはほとんど溶解性を示さない。しかし、溶解に適した酸性水溶液でも、保存するとDABは速やかに酸化されてしまう。半日~数日、酸性水溶液中にDABを放置すれば、基質として使用することは不可能となる。
このような発色基質及び発光基質は、細胞染色、組織染色、ELISA等の抗体を介した生体微量成分の高感度検出等のために、医療や研究開発の現場で多く使用されているが、発色基質及び発光基質の溶解が不十分であれば、基質不在のため標識酵素による発色又は発光反応が起こらずに偽陰性の結果を、逆に標識酵素による反応を経ずに発色基質及び発光基質が空気酸化してしまえば偽陽性の結果をもたらしてしまう。医療現場にせよ、研究開発の現場にせよ、難水溶性の発色基質及び発光基質を必要とされる濃度で溶解させ、安定に実験、検査に供せられる手法が強く望まれている。
そこで、従来、難水溶性物質の溶解性の向上を図るべく、例えば、界面活性を有する脂質類や界面活性剤を使った可溶化法等が提案されている(特許文献1、非特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1が開示する手法では難水溶性物質を脂質が形成するミセルやリポソームに内包させる必要があるために、難水溶性物質を事前に有機溶剤に可溶化させ、水溶液にインジェクションすることが不可欠となる。更に、このような有機溶剤の混入は、標識酵素等のタンパク質の変性を招いたり、可溶化に用いる脂質類や非特許文献1に記載の界面活性剤もタンパク質を変性させたり、その活性を低下させる可能性もある。
そのため、市販の界面活性剤等に可溶化、分散させた基質溶液を消費期限内に使うか、実験の都度、基質を酢酸緩衝溶液に溶解させて速やかに使うかのいずれかの方法がとられているのが現状である。このような従来技術を背景として、標識酵素等のタンパク質の変性を招くことのない成分を使用して、難水溶性物質を簡便且つ高濃度で安定に可溶化できる可溶化技術の開発が切望されている。
日本油化学会誌、第49巻、第1号、11-16頁(2000年)
国際公開第01/068139号
本発明は、前記従来技術の問題点を鑑みて為されたものであり、その目的は、標識酵素等のタンパク質の変性を招くことがない成分を使用して、難水溶性物質を簡便且つ高濃度で安定に水性溶媒に可溶化できる可溶化技術を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、特定のベタイン誘導体及び特定のテトラアルキルアンモニウム塩には、難水溶性基質等の難水溶性物質を簡便且つ高濃度で安定に水性溶媒に可溶化させる作用があり、難水溶性物質の可溶化剤として有効であることを見出した。当該特定のベタイン誘導体及びテトラアルキルアンモニウム塩は、タンパク質の変性を招くことがないため、従来技術の問題点を総合的に解決できる可溶化として有効である。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 一般式(1)に示すベタイン誘導体、及び/又は一般式(2)に示すテトラアルキルアンモニウム塩を含む、難水溶性物質の可溶化剤。
Figure 0007253219000001
[一般式(1)中、R1~R3は、同一又は異なって、炭素数3~5の直鎖又は分岐状のアルキル基を示す。]
Figure 0007253219000002
[一般式(2)中、R4~R7は、同一又は異なって、炭素数3~5の直鎖又は分岐状のアルキル基を示す。X-は、対アニオンを示す。]
項2. 前記一般式(1)中、R1~R3は、同一又は異なって、n-ブチル基及び/又はn-ペンチル基である、項1に記載の可溶化剤。
項3. 前記一般式(2)中、R4~R7は、同一又は異なって、n-ブチル基及び/又はn-ペンチル基である、項1に記載の可溶化剤。
項4. 前記難水溶性物質が、難水溶性基質である、項1~3のいずれかに記載の可溶化剤。
項5. 前記難水溶性基質が、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン、3-アミノ-9-エチルカルバゾール、3,3’-ジアミノベンジジン、5-ブロモ-4-クロロ-2-インドリルホスフェート、及びニューフクシンよりなる群から選択される少なくとも1種である、項1~4のいずれかに記載の可溶化剤。
項6. 項1~5のいずれかに記載の可溶化剤と、難水溶性物質とを水性溶媒中で共存させる、難水溶性物質の可溶化方法。
項7. 項1~5のいずれかに記載の可溶化剤と、難水溶性基質とを含む、基質溶液。
本発明の可溶化剤によれば、難水溶性基質等の難水溶性物質を簡便且つ高濃度に水性溶媒に溶解させて可溶化させることができる。
また、難水溶性基質は、保存中に酸化等を受けると、基質としての機能を喪失してしまうが、本発明の可溶化剤によれば、難水溶性基質を溶解させた状態で長期間保存しても、酸化等による機能喪失を抑制し、難水溶性基質長期間安定な状態を維持させることもできる。更に、界面活性剤を利用した難水溶性物質の可溶化では、溶液の泡立ちや粘性が生じ、取り扱い難いという欠点があるが、本発明の可溶化剤は、このような従来の界面活性剤の欠点を克服しており、取り扱いが容易という利点もある。
更に、本発明の可溶化剤は、酵素活性を向上させる効果をも有しているので、本発明の可溶化剤を利用した基質溶液を用いて酵素反応を行うと、酵素反応の促進、酵素反応を利用した目的物質の検出感度の向上等を実現することもできる。
試験例1において、ベタイン5(一般式(1)においてR1~R3がn-ペンチル基のベタイン誘導体)を含むベタイン誘導体水溶液による難水溶性基質(TMB、AEC、及びDAB)溶解性を評価した結果を示す図である。 試験例2において、各種可溶化剤を含む水溶液による難水溶性基質(TMB)の溶解性を評価した結果を示す図である。 試験例3において、ベタイン4(一般式(1)においてR1~R3がn-ブチル基のベタイン誘導体)又はベタイン5を含むベタイン誘導体水溶液に難水溶性基質(TMB)が溶解するのに要する時間を測定した結果を示す図である。 試験例4において、各種濃度のベタイン4又はベタイン5を含むベタイン誘導体水溶液による難水溶性基質(TMB)の溶解性を評価した結果を示す図である。 試験例5において、各種濃度のテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラプロピルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、又はテトラペンチルアンモニウムクロライドを含むテトラアルキルアンモニウム塩水溶液による難水溶性基質(TMB)の溶解性を評価した結果を示す図である。 試験例6において、2000mMのベタイン4又はベタイン5を含むベタイン誘導体水溶液1mLが溶解可能な難水溶性基質(TMB)の重量を評価した結果を示す図である。 試験例7において、2000mMのテトラプロピルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、又はテトラペンチルアンモニウムクロライドを含むテトラアルキルアンモニウム塩水溶液1mLが溶解可能な難水溶性基質(TMB)の重量を評価した結果を示す図である。 試験例8において、蒸留水、酢酸緩衝溶液、及びベタイン5を含むベタイン誘導体水溶液において、難水溶性基質(TMB)の保存安定性を評価した結果を示す図である。 試験例9において、1年間保存後のTMB溶液(ベタイン5含有)と調製直後のTMB溶液(ベタイン5含有)を用いて、GOD/HRPを利用したグルコース測定での検量線を比較した結果を示す図である。 試験例10において、ベタイン5を含むTMB溶液と、酢酸緩衝溶液を使用したTMB溶液を用いて、HRPを利用した過酸化水素濃度測定での検量線を比較した結果を示す図である。 試験例11において、ベタイン5を含むベタイン誘導体水溶液、又はテトラペンチルアンモニウムクロライドを含むテトラアルキルアンモニウム塩水溶液による各種難水溶性基質(AEC、DAB、BCIP、及びNF)の溶解性を評価した結果を示す図である。 試験例12において、ベタイン5を含むベタイン誘導体水溶液に溶解させた基質(DAB)溶液と、酢酸緩衝溶液に溶解させた基質溶液とを用いて、マウス皮膚切片中のMn SODを染色した場合における染色度を評価した結果を示す図である。
1.難水溶性物質の可溶化剤
本発明の可溶化剤は、難水溶性物質を水性溶媒に可溶化させるために使用される添加剤であり、一般式(1)に示すベタイン誘導体及び/又は一般式(2)に示すテトラアルキルアンモニウム塩からなることを特徴とする。以下、本発明の可溶化剤について詳述する。
[ベタイン誘導体]
本発明の可溶化剤として使用されるベタイン誘導体の構造は、下記一般式(1)に示す通りである。
Figure 0007253219000003
一般式(1)において、R1~R3は、同一又は異なって、炭素数3~5の直鎖又は分岐状のアルキル基を示す。難水溶性物質をより一層効果的に高濃度で安定に可溶化させるという観点から、一般式(1)において、R1~R3は、同一又は異なって、好ましくは炭素数3~5の直鎖状のアルキル基であり、更に好ましくはn-ブチル基及び/又はn-ペンチル基、特に好ましくはn-ペンチル基が挙げられる。
一般式(1)に示すベタイン誘導体は、例えば、特開2009-96766号公報等に記載の有機合成法等によって得ることができる。
[テトラアルキルアンモニウム塩]
本発明の可溶化剤として使用されるテトラアルキルアンモニウム塩の構造は、下記一般式(2)に示す通りである。
Figure 0007253219000004
一般式(2)において、R4~R7は、同一又は異なって、炭素数3~5の直鎖又は分岐状のアルキル基を示す。難水溶性物質をより一層効果的に高濃度で安定に可溶化させるという観点から、一般式(2)において、R4~R7は、同一又は異なって、好ましくは炭素数3~5の直鎖状のアルキル基であり、更に好ましくはn-ブチル基及び/又はn-ペンチル基、特に好ましくはn-ペンチル基が挙げられる。
一般式(2)において、X-は、対アニオンを示す。当該対アニオンの種類については、特に制限されないが、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ物イオン、フッ化物イオン等のハロゲン化物イオン;水酸化物イオン;酢酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、過臭素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン等の有機酸又は無機酸のイオン等が挙げられる。これらの対アニオンの中でも、好ましくはハロゲン化物イオン、更に好ましくは塩化物イオンが挙げられる。
[ベタイン誘導体及びテトラアルキルアンモニウム塩の組み合わせ態様]
本発明の可溶化剤として、一般式(1)に示すベタイン誘導体又は一般式(2)に示すテトラアルキルアンモニウム塩のいずれか一方のみを使用してもよく、また、これらを組み合わせて使用してもよい。また、一般式(1)に示すベタイン誘導体を使用する場合、一般式(1)に示すベタイン誘導体の内、1種の構造のものを単独で使用してもよく、また2種以上の構造のものを組み合わせて使用してもよい。また、一般式(1)に示すベタイン誘導体を使用する場合、一般式(2)に示すテトラアルキルアンモニウム塩の内、1種の構造のものを単独で使用してもよく、また2種以上の構造のものを組み合わせて使用してもよい。
[難水溶性物質]
本発明の可溶化剤の可溶化対象は、難水溶性物質である。ここで、「難水溶性物質」とは、20℃において、1g又は1mLを溶かすに要する水の量10000mL以上である溶質を意味する。
本発明の可溶化剤の可溶化対象となる難水溶性物質の種類については、水への可溶化が求められるものであることを限度として特に制限されないが、好ましくは、標識酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等)の作用を受けて発色又は発光する難水溶性基質が挙げられる。難水溶性基質は、保存中に酸化等を受けると、基質としての機能を喪失してしまうが、本発明の可溶化剤は、難水溶性基質の酸化等による機能喪失を抑制し、可溶化した状態で長期間安定に維持させることもできる。
本発明の可溶化剤の可溶化対象として使用される難水溶性基質は、難水溶性である限り、発色基質又は発光基質のいずれであってもよい。ここで、「発色基質」とは、過酸化水素や脱リン酸化を伴う還元的なカップリング反応に伴って酸化される性質を有する基質であり、「発光基質」とは、酸素分子やアデノシン三リン酸等の化学結合エネルギーを光エネルギーに変換して発光する性質を有する基質や、リン酸エステルの加水分解反応等によって、蛍光分子の量子収率が上昇し、蛍光発光が増す性質を有する基質である。
本発明の可溶化剤の可溶化対象となる難水溶性の発色基質については、具体的には、ペルオキシダーゼの作用を受けて発色するものとして、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)、4-アミノアンチピリン/N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-m-トルイジンナトリウム塩、2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンズチアゾリン)-6-スルホン酸、o-フェニレンジアミン、o-ジアニシジン、5-アミノサリサイクリックアシッド、3-アミノ-9-エチルカルバゾール、4-クロロ-1-ナフトール等;アルカリホスファターゼの作用を受けて発色するものとして、5-ブロモ-4-クロロ-2-インドリルホスフェート(BCIP)、ニューフクシン(NF)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、ニトロフェニルホスフェート、PermaRed、PermaBlue等が挙げられる。
本発明の可溶化剤の可溶化対象となる難水溶性の発光基質については、具体的には、ペルオキシダーゼの作用を受けて発光するものとして、ルミノール等;アルカリホスファターゼの作用を受けて発光するものとして、ヒドロキシ-3-ナフトニックアシッド-2’フェニルアニリドホスフェート、ジオキセタン等が挙げられる。
これらの難水溶性基質の中でも、本発明の可溶化剤の可溶化対象として、好ましくは難水溶性の発色基質、更に好ましくはTMB、AEC、DAB、BCIP、及びNFが挙げられる。
[使用態様]
本発明の可溶化剤は、難水溶性物質を可溶化させる水性溶媒に添加して使用される。
本発明において、難水溶性物質を可溶化させる溶媒は、水性溶媒である。ここで、「水性溶媒」とは、水を必須として含む溶媒である。水性溶媒は、具体的には、水、水溶液(各種緩衝液等)であってもよく、また必要に応じて水溶性の有機溶剤等の他の成分を含んでいてもよい。
本発明の可溶化剤を用いて難水溶性物質を水性溶媒に可溶化させるには、本発明の可溶化剤と難水溶性物質とを水性溶媒中で共存させればよい。具体的には、水性溶媒に本発明の可溶化剤と難水溶性物質とを任意の順で添加して混合すればよいが、好適な方法として、水性溶媒に本発明の可溶化剤を添加して溶解させた後に、難水溶性物質を添加して混合する方法が挙げられる。
難水溶性物質を可溶化させる水溶液への本発明の可溶化剤の添加濃度については、可溶化させる難水溶性物質の種類や濃度、使用する可溶化剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば250~3000mM、好ましくは250~2000mMが挙げられる。より具体的には、本発明の可溶化剤の構造毎の水溶液への添加量の好適な範囲は以下に示す通りである。
1~R3が炭素数3のアルキル基である一般式(1)に示すベタイン誘導体の場合:通常1000mM以上、好ましくは1000~3000mM、更に好ましくは1000~2000mM。
1~R3が炭素数4のアルキル基である一般式(1)に示すベタイン誘導体の場合:通常500mM以上、好ましくは500~3000mM、更に好ましくは500~2000mM。
1~R3が炭素数5のアルキル基である一般式(1)に示すベタイン誘導体の場合:通常250mM以上、好ましくは250~3000mM、更に好ましくは250~2000mM。
4~R7が炭素数3のアルキル基である一般式(2)に示すテトラアルキルアンモニウム塩の場合:通常500mM以上、好ましくは500~3000mM、更に好ましくは500~2000mM。
4~R7が炭素数4のアルキル基である一般式(2)に示すテトラアルキルアンモニウム塩の場合:通常250mM以上、好ましくは250~3000mM、更に好ましくは250~2000mM。
4~R7が炭素数5のアルキル基である一般式(2)に示すテトラアルキルアンモニウム塩の場合:通常250mM以上、好ましくは250~3000mM、更に好ましくは250~2000mM。
また、本発明の可溶化剤によって、溶解可能な難水溶性物質の濃度については、使用する難水溶性物質の種類によって異なり、一律に規定することはできないが、例えば、TMB、AEC、DAB、BCIP、及びNFの場合であれば、以下の範囲が例示される。
TMBの場合:288nmの吸光度(1cmセルを使用した場合、吸光度1は10.3μg/mLの溶解度と換算される)として0.01~20000程度、好ましくは0.01~12000程度、更に好ましくは0.01~9000程度。
AECの場合:270nmの吸光度(1cmセルを使用した場合、吸光度1は11.4μg/mLの溶解度と換算される)として0.01~5000程度、好ましくは0.01~25000程度、更に好ましくは0.01~1500程度。
DABの場合:280nmの吸光度(1cmセルを使用した場合、吸光度1は14.1μg/mLの溶解度と換算される)として0.01~6000程度、好ましくは0.01~3000程度、更に好ましくは0.01~1600程度。
BCIPの場合:292nmの吸光度(1cmセルを使用した場合、吸光度1は75.8μg/mLの溶解度と換算される)として0.01~1500程度、好ましくは0.01~500程度、更に好ましくは0.01~240程度。
NFの場合:554nmの吸光度(1cmセルを使用した場合、吸光度1は3.8μg/mLの溶解度と換算される)として0.01~50000程度、好ましくは0.01~35000程度、更に好ましくは0.01~17000程度。
2.基質溶液
本発明は、更に、前記可溶化剤と難水溶性基質を含む基質溶液を提供する。本発明の基質溶液は、前記可溶化剤によって難水溶性基質を高濃度に可溶化できるので、標識酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等)の基質溶液として提供できる。また、本発明の基質溶液は、標識酵素を利用した測定キットの付属品として提供することもできる。
本発明の基質溶液で使用される可溶化剤の種類や濃度、難水溶性基質の種類や濃度、溶媒等については、前記「1.可溶化剤」の欄に記載の通りである。
以下、試験例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
ベタイン誘導体の準備
以下に示す構造のベタイン誘導体(ベタイン1~5)を準備した。ベタイン1は、市販のグリシンベタイン(型番023-10862、和光純薬工業製)を使用し、ベタイン2~5は特開2010-220607号公報等に記載の公知の合成方法を用いて合成した。
Figure 0007253219000005
テトラアルキルアンモニウム塩の準備
テトラアルキルアンモニウム塩は、市販のテトラメチルアンモニウムクロライド(型番T0136、東京化成工業製)、テトラエチルアンモニウムクロライド(型番T0095、東京化成工業製)、テトラプロピルアンモニウムクロライド(型番T2106、東京化成工業製)、テトラブチルアンモニウムクロライド(型番T0055、東京化成工業製)、テトラアミルアンモニウムクロライド(型番T1433、東京化成工業製)を使用した。本実験では対アニオンとしてクロライド(塩化物イオン)を用いた。
試験例1:難水溶性物質の溶解試験(1)
ベタイン誘導体水溶液に対する難水溶性物質の溶解挙動を調べるために次の実験を行った。難水溶性物質としては難水溶性基質であるTMB、AEC、及びDABを用い、ベタイン誘導体としてはベタイン5を用いた。
ミクロチューブに難水溶性基質(TMB、AEC、及びDAB)を乳鉢ですり潰して使用した)を20mgずつ量り取り、蒸留水又は2000mMのベタイン5を含むベタイン誘導体水溶液をそれぞれ1.0mLずつ加えた。その後、ボルテックスミキサーで2分間撹拌し、粉末を溶解させた。
その結果を図1に示す。図1から明白に分かるように、蒸留水ではこれらの基質は溶解性をほとんど示さず、難水溶性基質が固体状態として沈殿、浮遊していたが、ベタイン5を含むベタイン誘導体水溶液では、難水溶性基質が完全に溶解していた。
試験例2:難水溶性物質の溶解試験(2)
一般式(1)に示すベタイン誘導体が難水溶性物質を簡便、且つ高濃度で溶解させることができる効果を実証するために比較化合物を用いて溶解実験を行った。比較化合物としては、包接分散剤として使われるα-シクロデキストリン(α-CDx)、β-シクロデキストリン(β-CDx)、γ-シクロデキストリン(γ-CDx)、イオン性、非イオン性界面活性剤として難水溶性基質の可溶化にも使われるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化ベンザルコニウム(BKCl)、N-ドデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンサルフェート(DDAP)、TritonX、ベタイン1、及びベタイン2を用いた。また、難水溶性物質としては難水溶性基質であるTMBを用いた。
1.5mLのプラスチックチューブに予め乳鉢ですり潰しておいたTMBを1.0mg量り取り、可溶化剤水溶液を1.0mLずつ加え、ボルテックスミキサーで1分間混合、撹拌した後、サンプル溶液を48時間遮光下、静置した。なお、可溶化剤水溶液は、α-CDx、β-CDx及びγ-CDxの場合は10mM、SDSの場合は100mM、TritonXの場合は10重量%、BKClの場合は100mM、DDAPの場合は100mM、ベタイン1~5の場合は1000mMの濃度でそれぞれ溶解したものを使用した。静置後に、不溶物を遠心分離(KUBOTA3740(Kubota社製)、15,000rpm、120分間)によって取り除き、マイクロプレートリーダー(Variposkan(サーモサイエンティフィック社製))で288nmの吸光度を測定した。吸光度が高すぎる場合は、水:エタノール(容量比)=1:9の組成で希釈した。その際の吸光度は、測定値に希釈倍率を掛けた値としている。吸光度が高いほど、より多くのTMBが溶解していることを意味する。
結果を図2に示す。この結果から、ベタイン5では、包接相互作用によって可溶化できるシクロデキストリンと比較して6~25倍高い溶解性を、ミセル形成によって可溶化できる界面活性剤と比較して2倍高い溶解性を示した。また、ベタイン誘導体の構造によって可溶化できる能力に違いがあることも示された。可溶化に最も適したベタイン誘導体は、ベタイン5であるが、シクロデキストリンや界面活性剤と同程度の溶解性を示すベタイン3及びベタイン4も可溶化剤として有効であることが確認された。更に、この実験においてベタイン5は難水溶性基質であるTMBを完全に溶解させていたため、粉末量を1.0mgから10mgに増やして同様の実験操作を行ったところ(図2右図)(溶け残りが生じ、上清は飽和溶解度となっている)、その上清の吸光度は555となり、非特許文献1において難水溶性基質に対する可溶化能があるとされるBKCl、DDAP、及びTritonXとその飽和溶解度を比較して13~22倍も高い溶解性を示すことが確認された。
試験例3:難水溶性物質の溶解に要する時間の評価
一般式(1)に示すベタイン誘導体による難水溶性物質の溶解にどの程度の時間がかかるか検討するため、時間変化測定を行った。ベタイン誘導体としてはベタイン4及びベタイン5を1000mMの濃度で用い、難水溶性物質としては難水溶性基質であるTMBを用いた。
1.5mLのプラスチックチューブに予め乳鉢ですり潰しておいたTMBを1.0mg量り取り、1000mMのベタイン4又はベタイン5を含むベタイン誘導体水溶液を1.0mLずつ加え、ボルテックスミキサーで1分間混合、撹拌した後、サンプル溶液を0時間、24時間、48時間遮光下で静置した。静置後、それぞれ不溶物を遠心分離(KUBOTA3740(Kubota社製)、15,000rpm、120分間)によって取り除き、マイクロプレートリーダー(Variposkan(サーモサイエンティフィック社製))で288nmの吸光度を測定した。吸光度が高すぎる場合は、水:エタノール=1:9の組成で希釈した。その際の吸光度は、測定値に希釈倍率を掛けた値としている。吸光度が高いほど、より多くのTMBが溶解していることを意味する。
結果を図3に示す。この結果、ベタイン4及びベタイン5を使用した場合は共に、ボルテックスミキサーによる撹拌後、1時間から48時間の範囲では288nmの吸光度に差はほとんどなく、1分間のボルテックスミキサーによる撹拌だけでTMBが飽和濃度まで達していることが明らかとなった。
試験例4:難水溶性物質の溶解に要するベタイン誘導体濃度の評価
一般式(1)に示すベタイン誘導体の濃度が難水溶性物質の溶解性に及ぼす影響を評価するために、難水溶性物質の添加量は10mgに固定し、ベタイン誘導体水溶液におけるベタイン誘導体の濃度を100~2000mMに変化させ、難水溶性物質に対する溶解実験を行った。ベタイン誘導体としてはベタイン4及びベタイン5を用い、難水溶性物質としては難水溶性基質であるTMBを用いた。
1.5mLのプラスチックチューブに予め乳鉢ですり潰しておいたTMBを10mg量り取り、ベタイン4及びベタイン5を100~2000mMの濃度に調整したベタイン誘導体水溶液を1.0mLずつ加え、ボルテックスミキサーで1分間混合、撹拌した後に、24時間遮光下、静置した。次いで、不溶物を遠心分離(KUBOTA3740(Kubota社製)、15,000rpm、120分間)によって取り除き、マイクロプレートリーダー(Variposkan(サーモサイエンティフィック社製))で288nmの吸光度を測定した。吸光度が高すぎる場合は、水:エタノール=1:9の組成で希釈した。希釈した場合の吸光度は、希釈溶液の吸光度に希釈倍率を掛けた値としている。吸光度が高いほど、より多くのTMBが溶解していることを意味する。
結果を図4に示す。この結果、ベタイン4を使用した場合には、TMBの溶解性は、500mM以上の濃度域で認められ、1000mM以上の濃度域では緩やかな変化となった。一方、ベタイン5を使用した場合では、TMBの溶解性は、250mM以上の濃度域で高くなっており、1000mM以上の濃度域で変化は緩やかとなるが、2000mMの濃度域までは濃度依存的に高まっていった。2000mMの濃度のベタイン4及びベタイン5の溶解度(288nmの吸光度)はそれぞれ154、630であり、蒸留水のみの溶解度と比較すると、453倍、1850倍に上昇していた。また、同濃度(2000mM)のベタイン誘導体水溶液において、TMBのベタイン5に対する溶解度は、ベタイン4のものよりも4倍高い値となった。
試験例5:難水溶性物質の溶解に要するテトラアルキルアンモニウム塩濃度の評価
一般式(2)に示すテトラアルキルアンモニウム塩によって溶解可能になる難水溶性物質量を評価するために、難水溶性物質の添加量は10mgに固定し、テトラアルキルアンモニウム塩水溶液におけるテトラアルキルアンモニウム塩の濃度を100~2000mMに変化させ、難水溶性物質に対する溶解実験を行った。テトラアルキルアンモニウム塩としてはテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラプロピルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、又はテトラペンチルアンモニウムクロライドを100~2000mMの濃度で用い、難水溶性物質としては難水溶性基質であるTMBを用いた。
1.5mLのプラスチックチューブに予め乳鉢ですり潰しておいたTMBを10mg量り取り、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラプロピルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、又はテトラペンチルアンモニウムクロライドを100~2000mMの濃度に調整したテトラアルキルアンモニウム塩水溶液を1.0mLずつ加え、ボルテックスミキサーで1分間混合、撹拌した後に、24時間遮光下、静置した。次いで、不溶物を遠心分離(KUBOTA3740(Kubota社製)、15,000rpm、120分間)によって取り除き、マイクロプレートリーダー(Variposkan(サーモサイエンティフィック社製))で288nmの吸光度を測定した。吸光度が高すぎる場合は、水:エタノール=1:9の組成で希釈した。希釈した場合の吸光度は、希釈溶液の吸光度に希釈倍率を掛けた値としている。吸光度が高いほど、より多くのTMBが溶解していることを意味する。
結果を図5に示す。この結果、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライドの場合は、2000mMに濃度を上昇させても溶解度の上昇はほとんど確認されなかった。テトラプロピルアンモニウムクロライドの場合では、TMBの溶解度の向上は、1000mM以上の濃度域で認められた。テトラブチルアンモニウムクロライドの場合では、TMBの溶解度の向上は、250mM以上の濃度域で認められた。一方、テトラペンチルアンモニウムクロライドを使用した場合では、TMBの溶解性は、250mM以上の濃度域で急激に高くなり、500mM以上の濃度域で変化は緩やかとなった。2000mMの濃度のテトラプロピルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラペンチルアンモニウムクロライドの溶解度(288nmの吸光度)はそれぞれ174、519、643であり、蒸留水のみの溶解度と比較すると、511倍、1520倍、1890倍に上昇していた。また、アンモニウム基に同じペンチル基を持つテトラペンチルアンモニウムクロライドとベタイン5は、同等の溶解度を示すことが確認された。
試験例6:一定濃度のベタイン誘導体による難水溶性物質の飽和溶解濃度の評価
一般式(1)に示すベタイン誘導体によって溶解可能になる難水溶性物質量を評価するために、ベタイン誘導体水溶液におけるベタイン誘導体の濃度を固定し、難水溶性物質に対する溶解実験を行った。ベタイン誘導体としてはベタイン4、又はベタイン5を2000mMの濃度で用い、難水溶性物質としては難水溶性基質であるTMBを用いた。
1.5mLのプラスチックチューブに予め乳鉢ですり潰しておいたTMBをそれぞれ10mg、50mg、100mg、125mg、150mg量り取り、2000mMのベタイン4、又はベタイン5を含むベタイン誘導体水溶液を1.0mLずつ加え、ボルテックスミキサーで1分間混合、撹拌した後、24時間遮光下、静置した。不溶物を遠心分離(KUBOTA3740(Kubota社製)、15,000rpm、120分間)によって取り除き、マイクロプレートリーダー(Variposkan(サーモサイエンティフィック社製))で288nmの吸光度を測定した。吸光度が高すぎる場合は、水:エタノール=1:9の組成で希釈した。希釈した場合の吸光度は、希釈溶液の吸光度に希釈倍率を掛けた値としている。吸光度が高いほど、より多くのTMBが溶解していることを意味する。
結果を図6に示す。ベタイン4を使用した場合では、TMBの重量が10mg以上でほとんど飽和溶解度に変化はないが(吸光度が100-270程度)、ベタイン5を使用した場合では、TMBが100mg以上でようやく飽和状態に達した(吸光度が4600-6000程度)。ベタイン5ではベタイン4の22倍の量のTMBを溶解させた。また、蒸留水のみの溶解度(吸光度)と比較すると、ベタイン4は790倍、ベタイン5は17600倍も高く、ベタイン4及びベタイン5は、TMBに対して極めて高い可溶化能を有していた。
試験例7:一定濃度のテトラアルキルアンモニウム塩による難水溶性物質の飽和溶解濃度の評価
一般式(2)に示すテトラアルキルアンモニウム塩によって溶解可能になる難水溶性物質量を評価するために、テトラアルキルアンモニウム塩水溶液におけるテトラアルキルアンモニウム塩の濃度を固定し、難水溶性物質に対する溶解実験を行った。テトラアルキルアンモニウム塩としてはテトラプロピルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、又はテトラペンチルアンモニウムクロライドを2000mMの濃度で用い、難水溶性物質としては難水溶性基質であるTMBを用いた。
1.5mLのプラスチックチューブに予め乳鉢ですり潰しておいたTMBをそれぞれ50mg、100mg、125mg、150mg量り取り、2000mMのテトラアルキルアンモニウム塩水溶液を1.0mLずつ加え、ボルテックスミキサーで1分間混合、撹拌した後、24時間遮光下、静置した。不溶物を遠心分離(KUBOTA3740(Kubota社製)、15,000rpm、120分間)によって取り除き、マイクロプレートリーダー(Variposkan(サーモサイエンティフィック社製))で288nmの吸光度を測定した。吸光度が高すぎる場合は、水:エタノール=1:9の組成で希釈した。希釈した場合の吸光度は、希釈溶液の吸光度に希釈倍率を掛けた値としている。吸光度が高いほど、より多くのTMBが溶解していることを意味する。
結果を図7に示す。その結果、テトラプロピルアンモニウムクロライドを使用した場合では、TMBの重量が50mg以上でほとんど飽和溶解度に変化はないが(吸光度が540~700程度)、テトラブチルアンモニウムクロライドを使用した場合では、TMBが100mg以上でようやく飽和状態に達した(吸光度が3600~3800程度)。更にテトラペンチルアンモニウムクロライドを使用した場合では、125mg以上で飽和状態に達した(吸光度が8500~8800程度)テトラペンチルアンモニウムクロライドではテトラプロピルアンモニウムクロライド13倍、テトラブチルアンモニウムクロライドの2倍もTMBを溶解させた。ベタイン5と同様にアンモニウム基にn-ペンチル基を有するテトラペンチルアンモニウムクロライドは、TMBに対して極めて高い可溶化能を有していた。
試験例8:保存安定性の評価
難水溶性物質の内、酸化反応を触媒する標識酵素に使用される難水溶性基質は、保存中に空気酸化等を受けると基質としての機能を失ってしまう。そこで、一般式(1)に示すベタイン誘導体が難水溶性基質をどの程度酸化等から保護しながら長期間安定に保存できるか検討した。ベタイン誘導体としてはベタイン5を1000mMの濃度で用い、難水溶性基質としてはTMBを用いた。また、比較として、蒸留水のみにTMBを懸濁させたもの、及び一般的なTMB溶液の調製法である酢酸緩衝溶液にTMBを溶解させたものを用いた。
5.0mLのプラスチックチューブに予め乳鉢ですり潰しておいたTMBを12mg量り取り、蒸留水、もしくは1000mMのベタイン5を含むベタイン誘導体水溶液を5.0mL加え、ボルテックスミキサーで1分間混合、撹拌した後、得られたTMB溶液を遮光下、室温(10℃から30℃)で静置した。比較例として用いた酢酸緩衝溶液に溶解させたTMB溶液は、以下のように調製した。5.0mLのプラスチックチューブに予め乳鉢ですり潰しておいたTMBを12mg量り取り、氷酢酸480μLの酢酸に溶解させた後、蒸留水を少し加え、pHを3.3に調整した後、蒸留水で5mLに調製し、同様に遮光下、室温(10℃~30℃)で静置した。
すべてのサンプルは2016年1月4日に調製し、酢酸緩衝溶液は2016年1月11日(調製1週間後)、他の2つ(蒸留水及びベタイン誘導体水溶液)は2017年1月5日(調製1年後)にそれぞれ写真撮影を行った。
結果を図8に示す。この結果、蒸留水を使用した場合には、調製直後にTMBが溶解せず、底に沈殿しているのが確認された。また、その沈殿も1年後には黄色く着色していた。一方、酢酸緩衝溶液及びベタイン誘導体水溶液を使用した場合には、調製直後は、TMBは完全に溶解し、透明な溶液となっていた。しかしながら、酢酸緩衝溶液を使用した場合では、1週間経過すると、TMBが酸化され、変色が認められた。これに対して、ベタイン誘導体水溶液を使用した場合では1年経っても変色は全く確認されなかった。以上の結果から、一般式(1)に示すベタイン誘導体は、難水溶性基質を安定に溶解させるだけでなく、難水溶性基質の酸化等も抑制し、保存安定性を向上させる作用があることが明らかとなった。
試験例9:長期保存基質溶液が酵素反応に及ぼす影響の評価
試験例8において長期的な保存安定性が確認された長期保存TMB溶液(1000mMのベタイン5及びTMBを含む水溶液の1年間保存後のもの)が、酵素反応の基質溶液として使用可能かどうかを評価するため、グルコースオキシダーゼ(GOD、和光純薬工業製、カタログ番号:074-02401)と西洋わさび由来ペルオキシダーゼ(HRP、和光純薬工業製、カタログ番号:165-10793)を利用したグルコースの定量における検量線を作成した。比較例として、新しく調製した同組成のTMB溶液を使用した。
100mMリン酸緩衝溶液(pH7.0)2250μLに、GOD溶液(2.4mg/mLのGODを含有)300μL、HRP溶液(0.24mg/mLのHRPを含有)300μL、及びTMB溶液150μLを混合し、酵素・基質溶液([GOD]=0.24mg/mL、[HRP]=0.024mg/mL、[TMB]=0.05mg/mL、[ベタイン5]=50mM、95mMリン酸緩衝pH7.0)を得た。96穴マルチプレートに定量されている各グルコースサンプル30μL加え、酵素・基質溶液を150μL加えた。シェイキングインキュベータを用いて、37℃、700rpmで10秒間撹拌した後、37℃で10分間遮光し、恒温静置した。1M硫酸水溶液を180μL加えて反応を終了させた後、マイクロプレートリーダー(Thermo Scientific)で波長450nmの吸光度を測定した。
結果を図9に示す。この結果、室温(10℃~30℃)で1年間保存していたTMB溶液を用いて作成した検量線は、調製直後のTMB溶液を用いて作成した検量線は重なっており、ベタイン5を含むTMB溶液では、1年間保存していても酸化を受けず、酵素の基質として機能することが示された。
試験例10:ペルオキシダーゼを用いた過酸化水素濃度の検出限界に及ぼす影響の評価
一般式(1)に示すベタイン誘導体は、低濃度では標識酵素の活性化にも寄与することが明らかとなっている(特開2012-100654号公報)。そこで、難水溶性の基質溶液に含まれるベタイン誘導体が、最終的に酵素反応溶液に添加され、希釈された際に酵素反応の促進にも寄与するか評価するために、西洋わさび由来ペルオキシダーゼ(HRP、和光純薬工業製、カタログ番号:165-10793)の過酸化水素濃度に対する検出限界を比較した。基質溶液としては1.0mg/mLのTMB及び1000mMのベタイン4を含むTMB溶液を使用した。また、比較例として、酢酸緩衝溶液にTMBを溶解させたTMB溶液(組成及び調製法は、試験例6に記載の通り)についても基質溶液として使用した。
1000mMリン酸緩衝溶液(pH7.0)300μL、HRP溶液(0.24mg/mLのHRPを含有)300μL、TMB溶液150μL、及び蒸留水2250μLを混合し、酵素・TMB溶液([HRP]=0.024mg/mL、[TMB]=0.05mg/mL、[ベタイン4]=50mM含む)、100mMリン酸緩衝溶液(pH7.0))を得た。96穴マルチプレートに、酵素・TMB溶液を179μL加えた。各ウェルの淵へ過酸化水素水溶液(反応液中での過酸化水素の最終濃度が0~20μMとなるように設定)を1μL付着させ、シェイキングインキュベータを用いて700rpmで10秒間、過酸化水素と酵素・TMB溶液を混合、撹拌後、37℃で10分間遮光し、恒温静置した。次いで、1M硫酸水溶液を180μL加え、反応を終了させ、マイクロプレートリーダー(Thermo Scientific)で波長450nmの吸光度を測定し、以下の式に従って過酸化水素の検出限界を算出した。
Figure 0007253219000006
求められた検量線を図10に示す。この結果、酢酸緩衝溶液を使用したTMB溶液とベタイン4を含むTMB溶液では、いずれも、良好な直線関係の検量線が得られ、誤差(9回の測定より算出、グラフに記載)も小さい値であった。一方、過酸化水素の検出限界は、酢酸緩衝溶液を使用したTMB溶液では168nM、ベタイン4を含むTMB溶液では86nMであり、ベタイン4を含むTMB溶液は、酢酸緩衝溶液を使用したTMB溶液に比べて、検出限界が1/2低濃度になっていた。
試験例11:溶液の粘度の評価
界面活性剤を利用した可溶化では、溶液の泡立ちや粘性が生じ、溶液をはかりとる際には取り扱いに注意が必要となる。一方で、本発明で使用されるベタイン誘導体は、界面活性が低く、粘度も低い。そこで、最も高い溶解性を示したベタイン5水溶液(1000mM)と界面活性剤として、SDS水溶液(1000mM)を調製し、その溶液の粘度を比較した。各溶液の粘度は、音叉型振動式粘度計(エーアンドディー社、SV-10)を用い、溶液を20℃に恒温して測定した。その結果、ベタイン5水溶液の粘度は6.56mPa・sであったのに対し、SDS水溶液では、その3倍高い21.0mPa・sとなった。基質溶液とした際に、本発明で使用されるベタイン誘導体水溶液の方が扱い易いことが示された。
試験例12:TMB以外の難溶性基質に対する溶解性の評価
試験例1~11で示したように、一般式(1)に示すベタイン誘導体は難水溶性基質に対して高い溶解性を示した。標識酵素として汎用されるペルオキシダーゼでは、難水溶性の発色基質として、TMB、AEC、及びDABが広く使用されており、標識酵素として汎用されるアルカリホスファターゼでは、難水溶性の発色基質として、BCIP、及びNFが広く使用されている。これらの難水溶性の発色基質は、難水溶性の点で共通性質があるが、構造上の類似性は見当たらない。TMBについては、試験例1~11において、一般式(1)に示すベタイン誘導体、及び一般式(2)に示すテトラアルキルアンモニウム塩による溶解性の向上効果を示したので、本試験例では、AEC、DAB、BCIP、及びNFについて、一般式(1)に示すベタイン誘導体、及び一般式(2)に示すテトラアルキルアンモニウム塩による溶解性の向上効果を評価した。ベタイン誘導体としてはベタイン5を、テトラアルキルアンモニウム塩としてはテトラペンチルアンモニウムクロライドを使用し、それぞれ1000mMの濃度で使用した。
1.5mLのプラスチックチューブに予め乳鉢ですり潰しておいた難水溶性基質(DAB、AEC、BCIP、NFのいずれか)を所定量量り取り(所定量とは一般的に標識酵素に使用される基質濃度の10倍、DAB:20mg/mL、AEC:20mg/mL、BCIP:12mg/mL、NF:100mg/mL)、1000mMのベタイン5を含むベタイン誘導体水溶液、1000mMのテトラペンチルアンモニウムクロライドを含むテトラアルキルアンモニウム塩水溶液、又は蒸留水を0.5mLずつ加え、ボルテックスミキサーで1分間混合、撹拌した。その後、不溶物を遠心分離(KUBOTA3740(Kubota社製)、15,000rpm、120分間)によって取り除き、マイクロプレートリーダー(Variposkan(サーモサイエンティフィック社製))でそれぞれの色素の極大吸収波長(DAB:280nm、AEC:270nm、BCIP:292nm、NF:554nm)の吸光度を測定した。吸光度が高すぎる場合は、水:エタノール=1:9の組成で希釈した。希釈した場合の吸光度は、希釈溶液の吸光度に希釈倍率を掛けた値としている。吸光度が高いほど、より多くの難水溶性基質が溶解していることを意味する。
結果を図11に示す。この結果、全ての難水溶性基質に対してベタイン5及びテトラペンチルアンモニウムクロライドが共に高い溶解性を示すことが明らかとなった。吸光度で換算したところ、ベタイン5を使用した場合には、蒸留水に対してDABで30倍、AECで491倍、BCIPで41倍、NFで131倍であった。また、テトラペンチルアンモニウムクロライドを使用した場合には、蒸留水に対してDABで27倍、AECで630倍、BCIPで24倍、NFで81倍であった。以上の結果から、一般式(1)に示すベタイン誘導体、及び一般式(2)に示すテトラアルキルアンモニウム塩、特にアルキル基にn-ペンチル基をもつものは、実際の臨床試薬として使用される構造の異なる様々な難水溶性基質の可溶化剤として使用可能であることが示された。
試験例13:マウス切片を用いた組織染色実験
試験例1~12で示したように、一般式(1)に示すベタイン誘導体、及び一般式(2)に示すテトラアルキルアンモニウム塩は、難水溶性物質に対して高い溶解性を示した。本発明に従って調製される基質溶液が実際の免疫染色についても有効に機能しうることを確かめるために、マウスの切片を使った免疫染色実験を行った。染色対象としたのは、ミトコンドリア内に局在するMn SOD(Mnスーパーオキシドディスムターゼ)である。一次抗体として、抗Mn SOD抗体(rabbit)(StressMarq Biosciences製、カタログ番号:SPC-117)をブロッキングワン(ナカライテスク製、カタログ番号:03953-95)で40倍に希釈したものを用い、二次抗体として、HRP標識抗rabbit抗体(American Qualex製、カタログ番号:A102PS)を超純水で2000倍に希釈したものを用いた。
コントロールとなる発色基質溶液として、DAB1mgを酢酸20μLに溶解させ、PBS2mLを加えた。発色反応の直前に30%過酸化水素水溶液1μLを加え、最終濃度がDAB0.05%、過酸化水素0.015%となるように調製した。
一方、本発明に従う発色基質溶液として、2000mMのベタイン5にDABを20mg/mLの濃度で可溶化させたストック溶液を50μLはかりとり、PBS2mLを加えた。発色反応の直前に30%過酸化水素水溶液1μLを加え、最終濃度がDAB0.05%、ベタイン50mM、過酸化水素0.015%となるように調製した。
パラフィンにより固定化したマウス皮膚組織をマイクロトームで10μmにスライスし、カバーガラス上に接着させた。そのカバーガラスをキシレン溶液に浸漬させ(10分間×2回)、パラフィンを除去した。続いて、カバーガラスを99.5%エタノール(10分間×2回)、70%エタノール(10分間×1回)、PBS(10分間×3回)の順に浸漬させ、洗浄した。一次抗体の溶液に1時間浸漬させた後、ガラス基板をPBS(10分間×2回)で洗浄し、二次抗体の溶液に1時間浸漬した。ガラス基板をPBS(10分間×2回)で洗浄し、発色基質溶液へ2分間浸漬後、PBS(10分間×2回)で洗浄し、エンテランニュー(メルク製、カタログ番号:107961)でスライドガラス上に封入、固定した。得られた切片は、偏向顕微鏡(オリンパス製、BX-51)で観察した。
結果を図12に示す。この結果、無染色のものと比較して、酢酸緩衝溶液で調製したDABとベタイン5水溶液で調製したDABとでは、同等の染色度(図中の丸い細胞内で茶色に染まっている)を示すことが明らかとなった。

Claims (4)

  1. 緩衝剤を含まない水性溶媒中で難水溶性基質を可溶化させるために使用され、
    一般式(1)に示すベタイン誘導体を含む、難水溶性物質の可溶化剤。
    Figure 0007253219000007
    [一般式(1)中、R1~R3はn-ペンチル基を示す。]
  2. 前記難水溶性基質が、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン、3-アミノ-9-エチルカルバゾール、3,3’-ジアミノベンジジン、5-ブロモ-4-クロロ-2-インドリルホスフェート、及びニューフクシンよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の可溶化剤。
  3. 請求項1又は2のいずれかに記載の可溶化剤と、難水溶性基質とを水性溶媒(但し、緩衝剤を含む場合を除く)中で共存させる、難水溶性物質の可溶化方法。
  4. 請求項1又は2のいずれかに記載の可溶化剤と、難水溶性基質とを含み、緩衝剤を含まない、基質溶
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