このような従来の棚と仕切り板との組み合わせによれば、提供する商品のサイズ(長さ)に応じた横幅の商品コラムを形成することができる。しかしながら、提供する商品のサイズが変わるたびに、仕切り板の設置位置を変更する必要がある。この変更作業は、仕切り板を棚から取り外して、取り付けなおすことを伴うものであり、オペレーターにとって面倒である。また、仮に、仕切り板の設置位置を変更せず、商品コラムの横幅を商品のサイズよりも広いままで使用すると、商品がまっすぐに転がらず、棚の途中で斜めになって詰まってしまう。加えて、従来の棚構造では、仕切板の数を増やすことができず、提供する商品のサイズの組合せに制約がある。
本発明は、既存の棚とは全く異なる概念・アプローチで商品を収容する新しい自動販売機及び商品収容棚、並びにそのような新しい収容形式に適した商品搬出装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る自動販売機は、第1の商品を前後方向に一列に収容するための第1の商品収容レーンと、第2の商品を前後方向に一列に収容するための第2の商品収容レーンと、を含む複数の商品収容レーンを左右方向に形成可能に構成された商品収容棚を備える。商品収容棚は、互いに隙間をあけて左右方向に並び、各々が、前後方向に延在して、第1の姿勢と第2の姿勢との間で可動可能に構成された複数の棚構成部材を有する。複数の棚構成部材では、第1の商品を載せられることによって第1の姿勢から第2の姿勢に移行した一つ又は隣り合う二以上の棚構成部材が、第1の商品収容レーンを形成し、第2の商品を載せられることによって第1の姿勢から第2の姿勢に移行した一つ又は隣り合う二以上の棚構成部材が、第2の商品収容レーンを形成し、第1の商品収容レーンと第2の商品収容レーンとの間に位置する、第1の姿勢にある一以上の棚構成部材が、第1の商品収容レーン及び第2の商品収容レーンに対する仕切りとして機能する。
この態様によれば、可動式の複数の棚構成部材を利用して商品収容棚を構成している。かかる棚構成部材の一つ又は隣り合う二つ以上に商品を載せることで、棚構成部材が第2の姿勢に移行する。この第2の姿勢に移行した棚構成部材が当該商品に対して棚として機能し、一つの商品収容レーンを形成する。そして、第2の姿勢に移行した棚構成部材の隣にある、商品が載っていない第1の姿勢にある棚構成部材が、商品収容レーンに対する仕切りとして機能する。したがって、このような商品収容棚によれば、商品によって、仕切りを自動的に設定することができる。これにより、従来のような仕切り板を不要とすることができ、しかも、その設置位置の変更作業をせずとも、商品のサイズに適した幅の商品収容レーンを自動的に形成することができる。また、複数の棚構成部材を選択的に利用して仕切りを自動設定できるため、収容する商品の組合せ(商品の収容パターン)の自由度を高めることができる。
一実施態様においては、第2の姿勢は、棚構成部材の前後方向の第1の端部が先下がりとなる傾斜姿勢であってもよい。
こうすることで、前後方向の一方側に傾斜した商品収容レーンを形成することができる。これにより、例えば商品収容レーンの傾斜を利用して、商品を前後方向の一方側に向けて転がし又は滑らせながら収容することができたり、また、商品を取り出した場合にはその後に続く商品を同様に転がし又は滑らせながら前出しすることができる。
一実施態様においては、各棚構成部材は、第1の端部に、当該棚構成部材上の商品の落下を阻止する返し部を有してもよい。
こうすることで、棚構成部材とは別に落下防止構造を設置しなくとも、傾斜した棚構成部材からの商品の自由落下を、棚構成部材自身によって阻止することができる。
一実施態様においては、各棚構成部材は、第1の端部側から1つの商品が取り出されると、その商品に続く残りの商品が、傾斜姿勢にある棚構成部材上を転がり又は滑りながら第1の端部側に移動するように構成されていてもよい。
こうすることで、商品収容レーンの傾斜を利用して、商品を取り出した際の後続商品の自動的な前出しをすることができる。
一実施態様においては、商品収容棚は、各棚構成部材が第1の姿勢と傾斜姿勢との間で回動するように複数の棚構成部材を回動可能に支持する単一の軸部材と、複数の棚構成部材ごとに設けられて各棚構成部材を第1の姿勢に向かって付勢する複数の付勢部材と、をさらに有してもよい。
こうすることで、棚構成部材を二つの姿勢の間で簡単に可動させることができる。とりわけ、商品が載っていない棚構成部材は第1の姿勢に向かって付勢されているので、仕切りとして機能する場合に、その仕切りを適切に維持することができる。また、複数の棚構成部材に対して軸部材を単一としている。これにより、棚構成部材を回動させるための構成を共通化して、部品点数を削減することができる。
一実施態様においては、商品収容棚は、第1の姿勢から傾斜姿勢に回動した棚構成部材に接触し、当該棚構成部材のさらなる回動を規制する単一の規制部材を、さらに有してもよい。
こうすることで、傾斜姿勢に移行した棚構成部材を所定の傾斜角度で保つことができる。
一実施態様においては、第1の姿勢は、水平姿勢であってもよい。
こうすることで、棚構成部材が水平姿勢と傾斜姿勢との間で可動することになる。これにより、例えば、商品収容棚において、棚構成部材が棚として機能しているのか、仕切りとして機能しているのかが視覚的にもわかりやすくなる。
一実施態様においては、各商品収容レーンは、棚構成部材の第1の端部側に商品出口側を、また、棚構成部材の第1の端部と反対側の第2の端部側に商品入口側を構成してもよい。
こうすることで、棚構成部材の前後方向の一方側から商品が補充され、他方側から商品が搬出される。これにより、商品収容レーンでは、先に入れた商品から先に出すことができる。
一実施態様においては、自動販売機は、複数の商品収容レーンの各々にアクセスして、各商品収容レーンの商品出口側から1つ目の商品を取り出す商品搬出装置を、さらに備えてもよい。
こうすることで、商品収容棚における各商品収容レーンの商品を、その商品出口側から1つずつ取り出すことができる。
一実施態様においては、商品搬出装置は、棚構成部材間の隙間を上下方向に通り抜け可能に構成された櫛状の商品受取部と、櫛状の商品受取部の基端部を支持する商品トレイ部と、を有する商品取出しユニットと、商品取出しユニットを上下方向及び左右方向に移動させる移動機構と、を備え、移動機構は、取り出すべき商品が収容されている商品収容レーンの左右方向の対応位置に商品取出しユニットを移動させ、商品取出しユニットを上昇させることにより、棚構成部材間の隙間を下側から通り抜けた櫛状の商品受取部で商品出口側から1つ目の商品をすくい上げ、すくい上げた商品が、その自重により、櫛状の商品受取部から商品トレイ部に移動するようにしてもよい。
かかる態様によれば、商品取出しユニットの商品受取部が、左右方向に隙間をあけて並んだ棚構成部材間の当該隙間に対応して櫛状になっていて、当該隙間を下側から上側へと通り抜けることによって、商品収容棚上の商品出口側から1つ目の商品をすくい上げることができる。こうすることで、棚構成部材間の隙間を有効に利用して、商品収容棚上の商品を1つずつ取り出すことができる。
一実施態様においては、櫛状の商品受取部は、商品トレイ部に支持される基端部と、基端部と反対側の先端部と、基端部と先端部との間で延在する本体部と、を有しており、櫛状の商品受取部は、先端部が商品出口側から2つ目の商品を商品入口側に向かって押さえながら、本体部が商品出口側から1つ目の商品をすくい上げてもよい。
こうすることで、櫛状の商品受取部に、1つ目の商品を取り出す(すくいあげる)機能と2つ目の商品を止めておく機能とを持たせることができる。これにより、そのような2つ目の商品を止めておくための機構(例えば、1本目の商品の払い出しの際に2本目の商品の直下に差し込む従来のストッパー)が不要になる。
一実施態様においては、櫛状の商品受取部の先端部は、本体部から上向きに延びていてもよい。
こうすることで、商品受取部の先端部が、1つ目の商品と2つ目の商品との間に挿入され易くなると共に、櫛状の商品受取部の上昇の際に2つ目の商品を止めておき易くなる。
一実施態様においては、櫛状の商品受取部は、基端部が先端部よりも低い位置となるように、本体部が傾斜していてもよい。
こうすることで、商品受取部の本体部がすくいあげた商品が、その自重により、商品受取部の基端部側に移動しやすくなる。これにより、商品受取部から商品トレイ部への商品の移動がされやすくなる。
一実施態様においては、商品取出しユニットは、櫛状の商品受取部で商品をすくい上げる際のすくい上げ姿勢と、商品が商品トレイ部に移動した際の受取り姿勢と、の間で回動可能に構成されており、受取り姿勢では、すくい上げ姿勢よりも、櫛状の商品受取部の先端部が上方に回動していてもよい。
かかる態様によれば、商品受取部が商品をすくい上げた後、商品受取部の先端部が上方に回動し、商品受取部上の商品が商品受取部の基端部側の商品トレイ部に移動する。これにより、商品受取部から商品トレイ部への商品の移動がスムーズにされやすくなる。
一実施態様においては、商品取出しユニットは、商品をすくい上げた状態において移動機構によって上昇される際に、商品の自重によりすくい上げ姿勢から受取り姿勢に回動してもよい。
このように、商品の自重を利用することで、商品取出しユニットを回動させるための動力源を不要とすることができる。
一実施態様においては、移動機構は、商品を取り出す際、まず、商品が収容されている商品収容レーンの左右方向の対応位置の上方に櫛状の商品受取部を位置させるように、商品取出しユニットを移動させ、次いで、商品取出しユニットを下降させることにより、櫛状の商品受取部を商品出口側から1つ目の商品に接触させながら商品取出しユニットをすくい上げ姿勢から受取り姿勢の方向に回動させ、櫛状の商品受取部を、棚構成部材間の隙間を上側から通り抜けさせて商品収容レーンの下方に位置させ、それにより商品取出しユニットをすくい上げ姿勢へと回動させ、その後、商品取出しユニットを上昇させることにより、棚構成部材間の隙間を下側から通り抜けた櫛状の商品受取部で商品出口側から1つ目の商品をすくい上げ、商品取出しユニットの上昇を続けさせ、その上昇が続いている間に、すくい上げた商品が、その自重により、櫛状の商品受取部から商品トレイ部に移動し、商品取出しユニットを受取り姿勢に回動させるようにしてもよい。
こうすることで、商品取出しユニットの左右方向及び上下方向の移動並びに回動の一連の動作の際に、取り出すべき商品がある商品収容レーンに関係しない商品及び棚構成部材に干渉することなく、商品を取り出すことができる。
一実施態様においては、商品トレイ部は、櫛状の商品受取部から移動してきた商品が載置される商品載置部と、櫛状の商品受取部と商品載置部との間に形成され、櫛状の商品受取部から商品載置部に移動する商品が通る商品移行部と、を有し、商品取出しユニットは、商品トレイ部における商品載置部と商品移行部との境界を中心として、すくい上げ姿勢と受取り姿勢との間で回動してもよい。
こうすることで、商品受取部から商品載置部への商品の移動がスムーズになされるようになる。
一実施態様においては、移動機構は、商品トレイ部に移動した商品を商品取出し口に搬送するように、商品取出しユニットを移動させてもよい。
こうすることで、商品収容棚から商品を取り出すための移動機構を有効に利用して、商品収容棚から取り出した商品を商品取出し口に搬送することができる。
一実施態様においては、第1の商品収容レーンを形成する棚構成部材の数は、第2の商品収容レーンを形成する棚構成部材の数と異なってもよい。
こうすることで、例えば、互いにサイズが異なる第1の商品と第2の商品とが収容される。すなわち、色々なサイズの商品を二列にわたって収容することができる。
別の実施態様においては、第1の商品収容レーンを形成する棚構成部材の数は、第2の商品収容レーンを形成する棚構成部材の数と同じであってもよい。
こうすることで、例えば、互いにサイズが同じ第1の商品と第2の商品とが収容される。すなわち、同じサイズの異なる商品を二列にわたって収容できたり、あるいは、同じ商品を二列にわたって収容できたりすることができる。
一実施態様においては、仕切りとして機能する棚構成部材の数は、一つであってもよい。
こうすることで、商品収容レーン同士を仕切る棚構成部材を一つとすることができる。これにより、例えば、商品収容レーンのための棚構成部材の数を増やすことができ、できるだけ多くの商品収容レーンを形成することが可能となる。
一実施態様においては、第1の商品は、飲料容器であり、第1の商品収容レーンは、飲料容器を横向きにした状態で収容してもよい。
こうすることで、自動販売機に飲料容器を横向きにした状態で収容させることができるので、飲料容器を収容する際のオペレーションがしやすくなる。また、横向きの飲料容器を載せた棚構成部材が第2の姿勢(例えば傾斜姿勢)になっているため、飲料容器が棚構成部材上を滑り又は転がりやすい一方で、第2の姿勢の棚構成部材が、すべる又は転がる飲料容器の姿勢を制御することができる。
本発明の一態様に係る商品収容棚は、互いに隙間をあけて左右方向に並び、各々が、商品を載せられることによって第1の姿勢から第2の姿勢へと移行するように可動可能に構成された複数の棚構成部材を備え、複数の棚構成部材では、商品を載せられることによって第2の姿勢に移行した一つ又は隣り合う二以上の棚構成部材が、当該商品に対して棚として機能し、第2の姿勢に移行した一つ又は隣り合う二以上の棚構成部材の隣に位置する、第1の姿勢にある棚構成部材が、当該商品に対して仕切りとして機能する。
この態様によれば、可動式の複数の棚構成部材を利用して商品収容棚を構成し、かかる棚構成部材の一つ又は隣り合う二つ以上に商品を載せることで、棚構成部材が第2の姿勢に移行する。この第2の姿勢に移行した棚構成部材が当該商品に対して棚として機能する。そして、第2の姿勢に移行した棚構成部材の隣にある、商品が載っていない第1の姿勢にある棚構成部材が、当該商品に対して仕切りとして機能する。したがって、このような商品収容棚によれば、商品によって、仕切りを自動的に設定することができる。これにより、従来のような仕切り板そのものやその設置位置の変更作業が不要となり、しかも、収容する商品の組合せ(商品の収容パターン)の自由度を高めることができる。
本発明の一態様に係る商品搬出装置は、上記した商品収容棚において隣り合う二以上の棚構成部材にわたって載っている商品を取り出すための商品搬出装置であって、棚構成部材間の隙間を上下方向に通り抜け可能に構成された櫛状の商品受取部と、櫛状の商品受取部の基端部を支持する商品トレイ部と、を有する商品取出しユニットと、商品取出しユニットを上下方向及び左右方向に移動させる移動機構と、を備え、移動機構は、商品を取り出す際、商品がある左右方向の対応位置に商品取出しユニットを移動させ、商品取出しユニットを上昇させることにより、棚構成部材間の隙間を下側から通り抜けた櫛状の商品受取部で商品をすくい上げ、すくい上げた商品が、その自重により、櫛状の商品受取部から商品トレイ部に移動する。
この態様によれば、商品取出しユニットの商品受取部が、左右方向に隙間をあけて並んだ棚構成部材間の当該隙間に対応して櫛状になっていて、当該隙間を下側から上側へと通り抜けることによって、商品収容棚上の商品をすくい上げることができる。これにより、棚構成部材間の隙間を有効に利用して、商品収容棚上の商品を取り出すことができる。
本発明の自動販売機及び商品収容棚によれば、可動式の複数の棚構成部材を利用することで仕切りを自動的に設定することができるなど、既存の棚とは全く異なる概念・アプローチで商品を収容することができる。
本発明の商品搬出装置によれば、本発明の新規な商品収容棚に載っている商品を取り出すのに適したものとすることができる。
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
図1に示すように、自動販売機1は、前扉2と、前扉2を開閉可能に連結した自販機本体3と、を備えている。前扉2は、公知の自動販売機におけるものと同様に、例えば、上半部全面に商品サンプル展示室10を有するほか、金銭投入口11、金銭払出口12、商品取出し口13などを有している。商品サンプル展示室10では、自販機本体3に収納される商品のサンプルが複数示されており、各サンプルの下側に商品選択ボタン14が設けられている。商品選択ボタン14は、商品と1対1対応で設けられており、購入者によって押される。ボタンに代えて、タッチパネルなどの構成を採用して商品選択できるようにしてもよい。また、金銭投入口11及び金銭払出口12に加えて、または、これらとは別に、電子式のリーダーを設け、金銭に相当する電子マネーやクレジットカードなどからも商品の購入が可能となるようにしてもよい。商品取出し口13は、自販機本体3から送り出された商品をとどめておくことができ、購入者は、商品取出し口13にアクセスすることで、購入した商品を手にすることができる。
図2に示すように、自販機本体3は、キャビネット構造からなり、前面が開口した筐体を有する。この筐体の内部には、商品を収納するためのラック15が設けられている。ラック15は、複数段、例えば図2では10段の商品収容棚20(20a~20j)を上下方向に有している。
ラック15内は、断熱板21により、複数、例えば3つに横割りされた3つの温度管理領域22-1、22-2、22-3が形成されている。温度管理領域22-1、22-2、22-3には、商品収容棚20を少なくとも一つ配置することができる。ここでは、それぞれ、2つの商品収容棚20(20a、20b)、3つの商品収容棚20(20c、20d、20e)及び5つの商品収容棚20(20f、20g、20h、20i、20j)が配置されている。温度管理領域22-1、22-2、22-3は、温度調整装置24により、それぞれの領域単位で温度管理される。例えば、温度管理領域22-1、22-2では、商品が所定のコールド状態又はホット状態となるように温度管理される一方、温度管理領域22-3では、商品が過冷却状態となるように温度管理される。温度調整装置24は、一般的な冷熱装置、例えば冷却機能と加熱機能を有するヒートポンプ技術が用いられてもよい。この場合、例えば圧縮機が自販機本体3の下部に配置され、各温度管理領域にヒートポンプ回路が配設されるようにしてもよい。
各商品収容棚20は、左右方向に複数の商品収容レーン30(商品収容コラム)を有しており、複数の商品収容レーン30は、それぞれ、互いに同じサイズの商品を前後方向に一列に収容可能に構成されている。各商品収容棚20は、商品のサイズに適した幅の商品収容レーン30を、左右方向に任意の数だけ、自動的に形成可能に構成されている(詳細は後述する。)。例えば図2では、一番上の商品収容棚20aは、左右方向に8個の商品収容レーン30(30a1~30a8)を有し、そのうち、右の3つの商品収容レーン30a1、30a2、30a3は、それぞれ、比較的小さいサイズの第1の商品A1を前後方向に一列に収容可能に構成され、また、左の5つの商品収容レーン30a4、30a5、30a6、30a7、30a8は、それぞれ、比較的中ぐらいのサイズの第2の商品A2を前後方向に一列に収容可能に構成されている。同様に、上から3つ目の商品収容棚20cは、左右方向に7個の商品収容レーン30(30c1~30c7)を有し、そのうち、右の3つの商品収容レーン30c1、30c2、30c3は、それぞれ、比較的小さいサイズの第1の商品A1を前後方向に一列に収容可能に構成され、真ん中の2つの商品収容レーン30c4、30c5は、それぞれ、比較的中ぐらいのサイズの第2の商品A2を前後方向に一列に収容可能に構成され、また、左の3つの商品収容レーン30c6、30c7は、それぞれ、比較的大きいサイズの第3の商品A3を前後方向に一列に収容可能に構成されている。また、一番下の商品収容棚20jは、左右方向に5個の商品収容レーン30(30j1~30j5)を有しており、そのそれぞれが、比較的大きいサイズの第3の商品A3を前後方向に一列に収容可能に構成されている。
各商品収容レーン30は、前後方向に延在し、かつ、前方が後方よりも高くなるように(すなわち後ろ下がりに)傾斜している。各商品収容レーン30は、前方側が前扉2に面しており、この前方側が商品収容レーン30への商品入口側を構成している。各商品収容レーン30に商品を補充する場合、オペレーターは、前扉2を開き、各商品収容レーン30の前方側から商品を入れる。各商品収容レーン30は、後方側が自販機本体3の内部の背面に面しており、この後方側が商品収容レーン30の商品出口側を構成している。各商品収容レーン30では、商品出口側の商品が取り出されると、それに続く残りの商品が自重により順次商品出口側に移動するようになっている。このように、各商品収容レーン30では、先入れ先出しで商品を収容可能に構成されている。
また、自動販売機1には、各商品収容棚20に載っている商品を取り出すための商品搬出装置40が設けられている。商品搬出装置40は、個々の商品収容棚20の複数の商品収容レーン30の各々にアクセスして、各商品収容レーン30の商品出口側から1つ目の商品を取り出す(詳細は後述する)。その後、商品搬出装置40は、取り出した商品を商品取出し口13に直接搬出するか、あるいは、取り出した商品を自販機本体3内のシューター(図示省略)の上に落下させ、商品をシューター上を転がすことにより商品取出し口13に導く。
ここで、商品は、商品収容棚20に載せることができる限り、その種類は限定されない。例えば、商品は、飲料容器であってもよいし、タバコなどであってもよい。商品の形状は、飲料容器などの筒状(円筒状又は角筒状)であってもよいし、タバコなどの直方体形状であってもよいし、あるいは、アイテムを内部に収容した球状のものであってもよい。飲料容器は、例えば缶又はプラスチックボトルであり、その径が飲料容器の高さ方向で変化するものであってもよい。缶は、ストレート缶及びボトル缶のいずれであってもよい。プラスチックボトルは、代表的にはPETボトルであり、円形の横断面及び方形の横断面並びにその他の横断面のいずれであってもよい。
商品収容棚20への商品の載せ方は、商品によって決定することができる。例えば、商品が飲料容器である場合、商品を横向きにした状態で載せることもできるし、あるいは、商品を縦向きにした状態で載せることもできる。商品の形状及び載せ方によって、商品収容棚20上の商品の移動の仕方が異なる。例えば、円形の横断面を有する飲料容器を横向きにした状態で載せた場合、飲料容器は商品収容棚20上を転がりながら商品出口側に移動する。方形の横断面を有する飲料容器を横向きにした状態で載せた場合や、飲料容器を縦向きにした状態で載せた場合には、飲料容器は商品収容棚20上を滑りながら商品出口側に移動する。以下では、簡便な記載のため、商品収容棚20に載せる商品として、円形の横断面を有する飲料容器とし、また、商品収容棚20への商品の載せ方として、飲料容器を横向きにした状態で載せる例を説明する。
次に、図3~8Bを参照して、一つの商品収容棚20について説明する。
図3に示すように、商品収容棚20は、互いに隙間をあけて左右方向に並ぶ複数の棚構成部材50を有している。複数の棚構成部材50の数は、任意であるが、ここでは12本となっている。各棚構成部材50は、前後方向に延在している。また、各棚構成部材50は、商品の一部を載せる上面(載置面)52を有している。
各棚構成部材50は、第1の姿勢と第2の姿勢との間で可動可能に構成されている。具体的には、各棚構成部材50は、図3に示す自由状態(商品が載せられていない状態)では第1の姿勢となっており、図4に示すように、商品を載せられることによって第1の姿勢から第2の姿勢へと移行するように可動可能に構成されている。
第1の姿勢は、例えば、棚構成部材50の上面52が水平方向と平行となる水平姿勢である。第2の姿勢は、例えば、棚構成部材50の上面52が前後方向の一方から他方にかけて下り勾配に傾斜する傾斜姿勢である。換言すると、傾斜姿勢は、棚構成部材50の前後方向の第1の端部54(図3の手前側の端部)が先下がりとなる傾斜姿勢である。以下では、簡便な記載のため、第1の姿勢を水平姿勢とし、第2の姿勢を傾斜姿勢として説明する。
棚構成部材50では、第1の端部54側が、棚構成部材50に対する商品の出口側となる。また、第1の端部54と反対側の第2の端部55側が、棚構成部材50に対する商品の入口側となる。
商品収容棚20における複数の棚構成部材50は、使用時、主として、棚として機能するものと、仕切りとして機能するものとに分けられる。具体的には、複数の棚構成部材50では、商品を載せられることによって傾斜姿勢に移行した一つ又は隣り合う二以上の棚構成部材が、当該商品に対して棚として機能し、また、傾斜姿勢に移行した一つ又は隣り合う二以上の棚構成部材の隣に位置する水平姿勢の棚構成部材が、当該商品に対して仕切りとして機能する。この一例について図4を参照して説明する。
図4に示す商品収容棚20では、左右方向に3つの商品収容レーン30(30B1、30B2、30B3)が形成されている。複数の棚構成部材50では、(1)第1の商品B1を載せられることによって、水平姿勢から傾斜姿勢に移行した隣り合う3つの棚構成部材50(50a、50b、50c)が第1の商品収容レーン30B1を形成し、(2)第2の商品B2を載せられることによって、水平姿勢から傾斜姿勢に移行した隣り合う3つの棚構成部材50(50e、50f、50g)が第2の商品収容レーン30B2を形成し、(3)第3の商品B3を載せられることによって、水平姿勢から傾斜姿勢に移行した隣り合う3つの棚構成部材50(50i、50j、50k)が第3の商品収容レーン30B3を形成し、(4)第1の商品収容レーン30B1と第2の商品収容レーン30B2との間に位置する水平姿勢にある棚構成部材50(50d)が、第1の商品収容レーン30B1及び第2の商品収容レーン30B2に対する仕切りとして機能し、また、(5)第2の商品収容レーン30B2と第3の商品収容レーン30B3との間に位置する水平姿勢にある棚構成部材50(50h)が、第2の商品収容レーン30B2及び第3の商品収容レーン30B3に対する仕切りとして機能している。
ここで、第1の商品B1は、第1の商品収容レーン30B1を形成する3つの棚構成部材50(50a、50b、50c)の各々の上面52にわたって載っている。この点、第2の商品B2及び第3の商品B3も同様である。また、仕切りとして機能する棚構成部材50(50d、50h)は、この隣に位置する棚構成部材50上の商品の左右方向の一方又は両方の端部に対向する。
第1~第3の商品B1~B3は、同じ種類の商品であってもよいし、異なる種類の商品であってもよい。また、第1~第3の商品B1~B3は、互いに同じサイズのものであってもよいし、異なるサイズのものであってもよい。商品のサイズによって、一つの商品収容レーン30を形成する棚構成部材50の数が決まり、その数は一つ又は二以上である。
例えば、図5に示すように、第1~第3の商品B1~B3よりも大きい(例えば全長が長い)第4の商品B4及び第5の商品B5を商品収容棚20に載せる場合、第1~第3の商品B1~B3の場合よりも、使用する棚構成部材50の数が増える。一例を挙げると、第4の商品収容レーン30B4及び第5の商品収容レーン30B5は、それぞれ、隣り合う5つの棚構成部材50(50b~50fと、50h~50l)によって形成される。そして、第4の商品収容レーン30B4及び第5の商品収容レーン30B5との間に位置する水平姿勢にある棚構成部材50gが、第4の商品収容レーン30B4及び第5の商品収容レーン30B5に対する仕切りとして機能する。
このように、商品収容棚20においては、収容する商品のサイズによって、一つの商品に対して棚として機能する棚構成部材50の数が可変されると共に、形成できる商品収容レーン30の数も可変される。なお、仕切りとして機能する棚構成部材50の数は一つに限らず、複数とすることもできる。
続いて、棚構成部材50の構成及び可動式構造について説明する。
図6及び7に示すように、棚構成部材50は、細長いブロックに形成されている。別の見方をすると、棚構成部材50は、前後方向に長くて左右方向の厚みが薄い、鍵盤の鍵のような形状を有している。棚構成部材50は、樹脂又は金属などの材料に形成することができる。
棚構成部材50は、前後方向の第1の端部54に返し部56を有している。返し部56は、棚構成部材50の前後方向に水平に延びる本体部57の先端から斜め上向きに、本体部57から離れる方向に延びている。返し部56は、傾斜姿勢に移行した棚構成部材50上の商品が第1の端部54側から落下するのを阻止する。また、棚構成部材50は、第1の端部54側の本体部57の部分に、本体部57を下側から切り欠いたガイド部58を有している。ガイド部58は、例えば、上下方向に延びる溝として形成されている。ガイド部58には、後述の規制部材64が左右方向に挿通されている。
商品収容棚20は、複数の棚構成部材50を回動可能に支持する軸部材60と、複数の棚構成部材50を付勢する付勢部材62と、複数の棚構成部材50の回動を規制する規制部材64と、を有している。軸部材60及び規制部材64は、複数の棚構成部材50あたり一つが設けられる一方、付勢部材62は、複数の棚構成部材50ごとに設けられている。
軸部材60は、各棚構成部材50の第2の端部55側の本体部57の部分を挿通してこれを軸支しており、各棚構成部材50が水平姿勢と傾斜姿勢との間で回動する際の回動中心を構成している。軸部材60の両端は、商品収容棚20を設置するフレーム66に固定されている。
付勢部材62は、棚構成部材50の第2の端部55に連結されており、棚構成部材50を水平姿勢に向かって付勢する。すなわち、付勢部材62は、常時、棚構成部材50の第2の端部55を下方に向かって引っ張っており、それにより第1の端部54が上向きに指向されるように、棚構成部材50を水平姿勢に向かって付勢する。付勢部材62は、例えば引張りコイルばねであり、一端が棚構成部材50の第2の端部55に係止され、他端がフレーム66に係止される。
規制部材64は、各棚構成部材50のガイド部58に挿通されている。規制部材64は、軸部材60と同様に、両端をフレーム66に固定されている。棚構成部材50が水平姿勢にあるとき、規制部材64はガイド部58の下部に位置する。棚構成部材50が水平姿勢から傾斜姿勢に回動すると、規制部材64はガイド部58の上部の奥部に接触する。これにより、棚構成部材50のさらなる回動が規制される。すなわち、棚構成部材50が、商品の重みによって、所定の傾斜姿勢を超えて、さらに傾斜することを規制することができる。
このような構成により、商品収容棚20では、棚構成部材50は、商品を載せられるまでは、付勢部材62による付勢力により、初期姿勢である水平姿勢を維持される。商品を載せられると、その商品の重みにより、棚構成部材50は、付勢部材62による付勢力に抗しながら第1の端部54側が下がっていき、傾斜姿勢に移行する。このとき、商品は棚構成部材50の第2の端部55側から載せられ、本体部57上を転がって、第1の端部54側の返し部56に到達し、そこで商品の移動が止まる。傾斜姿勢に移行した棚構成部材50は、ガイド部58が規制部材64に関わり合い、使用姿勢である傾斜姿勢を維持される。
商品収容棚20では、商品を載せることで、その商品のサイズに応じた数(一つ又は隣り合う二以上)の棚構成部材50によって、商品が収容される商品収容レーン30が形成される。商品収容レーン30に次の商品を収容させる場合には、同様に、棚構成部材50の第2の端部55側から商品を載せ、斜め下がりの本体部57上を転がして、第1の端部54側の最初の商品に到達させる。この間、棚構成部材50は傾斜姿勢を維持される。
他方、傾斜姿勢に移行した棚構成部材50の隣に位置する別の棚構成部材50は、水平姿勢のままであり、傾斜姿勢に移行した棚構成部材50上の商品に対して仕切りとして機能する。仕切りとして機能する棚構成部材50は、その左右方向の一方又は両方の側部が、横向きにした商品の頂部及び底部の少なくとも一方に対向する。このとき、棚構成部材50の側部が商品の頂部又は底部に接触してもよいし、接触しなくてもよい。
二以上の商品が商品収容レーン30に前後方向において一列に収容されている場合、棚構成部材50の第1の端部54側から1つの商品が取り出されると、その商品に続く残りの商品が、斜め下がりの本体部57上を転がって、第1の端部54側に移動する。そして、列の先頭の商品が返し部56に到達し、そこで商品の移動が止まる。列のすべての商品が取り出されると、棚構成部材50は、付勢部材62による付勢力により、水平姿勢に戻る。
図8A及び8Bは、他の実施態様における商品収容棚20を示している。図3~7の商品収容棚20と異なるのは、棚構成部材50の数である。図8Aに示すように、例えば500mlの比較的大きいプラスチックボトルC1用の商品収容レーン30C1では、隣り合う9つの棚構成部材50が使用され、例えば190mlの比較的小さいストレート缶C2及びC3用の商品収容レーン30C2及び30C3では、それぞれ、隣り合う5つの棚構成部材50が使用される。プラスチックボトルC1は、最も径が大きい高さ方向の中間部C1a及び下部C1bのみならず、最も径が小さいネック部C1cやキャップ部C1dについても棚構成部材50に支持されている。これは、棚構成部材50が付勢部材62によって水平姿勢に向かって付勢されているからである。図8Bに示すように、図8Aの場合と同じ数の棚構成部材50を用いて、例えば190mlの比較的小さいストレート缶D1~D4を4種類並べて収容することも可能である。
以上説明した本実施形態の商品収容棚20によれば、従来の商品収容棚とは全く異なるフレキシブルなスラント式商品収容棚を提供することができる。この商品収容棚20は、可動式の複数の棚構成部材50を用いて構成しているため、載せる商品によって、その商品のサイズに応じた商品収容レーン30及び仕切りを自動的に形成することができる。これにより、従来のような仕切り板が不要となり、その結果、商品に応じて、仕切り板の位置を変更するような作業も不要となる。また、仕切りが自動的に形成されるため、仕切りを設定するための電気的な動力も不要となる。さらに、従来のような仕切り板の数を考慮する必要がないため、収容する商品の組合せ(商品の収容パターン)の自由度を高めることができる。
加えて、商品を載せた棚構成部材50は、その商品の通路ガイドとなり、そのすぐ隣の水平姿勢のままの棚構成部材50は、仕切りとなるため、商品は、その棚構成部材50上をまっすぐに転がるようになる。すなわち、商品の姿勢制御も行える。
さらに、複数の棚構成部材50同士の間は隙間となっているため、プレートタイプの棚に比べて、商品収容棚20に対する空気の出入りの自由度が飛躍的に向上する。すなわち、商品収容棚20上の商品を冷却又は加温するための空調が向上し、短時間で冷却又は加温することができるなど、エネルギー効率が高くなる。
他の実施態様では、商品収容棚20における各要素を適宜変更してもよい。例えば、隣り合う棚構成部材50間の隙間をすべて同じにするのではなく、一部の隙間を大きく又は小さくしてもよい。棚構成部材50自体を左右方向に薄く形成し、多くの棚構成部材を小さい間隔で並べてもよい。こうすることで、多種多様なサイズの商品に対応し易くなる。また、複数の棚構成部材50について、すべて同じものを使用するのではなく、一部の棚構成部材について、左右方向の幅を大きく又は小さくしてもよい。さらに、棚構成部材50が仕切りとして機能した際に、前後方向に一列に並ぶ商品の全てに対して仕切りとして機能するように、棚構成部材50の高さを設定してもよい。その際、例えば、棚構成部材50の高さ(本体部57の高さ)が前後方向において変化するものであってもよい。
別の実施態様では、第1の姿勢は、水平姿勢ではなく、第2の姿勢の傾斜姿勢とは異なる傾斜角度の傾斜姿勢であってもよい。この場合、例えば、第2の姿勢は、棚構成部材50の前後方向の第1の端部54が先下がりとなる傾斜姿勢である一方で、第1の姿勢は、棚構成部材50の前後方向の第1の端部54が先上がりとなる傾斜姿勢であってもよい。
別の実施態様では、商品収容棚20における棚構成部材50の位置を検出することによって、商品の売り切れを検知することもできる。上記のとおり、商品が載っているときの棚構成部材50は傾斜姿勢にあるが、商品がすべて取り出されると、棚構成部材50は水平姿勢に戻る。棚構成部材50が傾斜姿勢から水平姿勢に戻った旨を検知するセンサを商品収容棚20に設けることで、商品の売り切れを検知することができる。これにより、従来のような専用の売切れ検知レバー等を設ける必要もなくなる。
次に、図9~13Gを参照して、商品搬出装置40について説明する。
図9に示すように、商品搬出装置40は、商品収容棚20の複数の商品収容レーン30の各々にアクセスして、隣り合う二以上の棚構成部材50にわたって載っている商品(B1、B2、B3)を取り出す。商品搬出装置40は、商品取出しユニット410と、商品取出しユニット410を左右方向及び上下方向に移動させる移動機構420と、を備えている。商品搬出装置40は、移動機構420により商品取出しユニット410を移動させることで、商品収容棚20の複数の商品収容レーン30の各々の商品出口側から1つ目の商品をすくうように取り出す。
移動機構420は、左右方向の一軸と上下方向の一軸との計二軸で、商品取出しユニット410を移動させることができるものである。この種の移動機構420は、公知のX-Y搬送機構を利用することができる。例えば、移動機構420は、商品取出しユニット410を搭載したキャリッジ70と、左右方向に延びる水平スライドレール71と、キャリッジ70を水平スライドレール71に沿って移動させるための駆動モータ73と、上下方向に延びる鉛直スライドレール74と、キャリッジ70を鉛直スライドレール74に沿って移動させるための駆動モータ75と、を備えることができる。
図10~12に示すように、商品取出しユニット410は、棚構成部材50間の隙間を上下方向に通り抜け可能に構成された櫛状の商品受取部80と、櫛状の商品受取部80を支持する商品トレイ部82と、を有している。商品受取部80と商品トレイ部82とは、別体で形成することもできるが、ここでは一体に形成されている。商品取出しユニット410は、商品受取部80で商品をすくい上げる際のすくい上げ姿勢(図10に示す姿勢)と、商品Sが商品トレイ部82に移動した際の受取り姿勢(図11に示し姿勢)と、の間で回動可能に構成されている。
商品受取部80は、複数(ここでは4つ)のつめ90からなる。複数のつめ90は、商品トレイ部82から商品収容棚20に向かって延びており、各々が互いに間隔を存して左右方向に並んでいる。複数のつめ90が並ぶ間隔は、複数の棚構成部材50が並ぶに対応しており、それにより、個々のつめ90が、隣り合う棚構成部材50、50同士の間の隙間を上下方向に通り抜けることができるようになっている。つめ90の数は、複数の棚構成部材50間の隙間の数よりも格段に少ない。一例を示すと、12個の棚構成部材50間の隙間の数が11つであるのに対し、つめ90の数はその1/3程度の4つである。
なお、複数のつめ90の全体の左右方向の長さは、商品収容棚20が収容することを想定する商品の最小サイズを考慮したものであるとよく、例えば、そのような商品サイズよりも少し短いとよい。過剰に長いと、商品を取り出す際に、つめ90の一部が、当該商品がある商品収容レーンとは隣の商品収容レーンにある商品に干渉する可能性があるからである。
櫛状の商品受取部80では、各つめ90が、商品トレイ部82に支持される基端部92と、基端部92と反対側の先端部93と、基端部92と先端部93との間で前後方向に直線的に延在する本体部95と、を有している。各つめ90は、基端部92が先端部93よりも低い位置となるように(すなわち先端部93が先上がりとなるように)、本体部95が傾斜している。本体部95は、商品に接触する上面96を有している。先端部93は、本体部95から上向きに延びている。具体的には、先端部93は、本体部95の先端から斜め上向きに、本体部95から離れる方向に延びている。商品取出しの際、図12に示すように、先端部93が商品収容レーン30の商品出口側から2つ目の商品210を商品入口側に向かって押さえながら、本体部95が商品出口側から1つ目の商品200をすくい上げる。
商品トレイ部82は、商品載置部100及び商品移行部102を有する。商品移行部102は、商品受取部80と商品載置部100との間に形成されており、商品受取部80から商品載置部100に移動する商品が通る部分を構成する。商品移行部102は、板状に形成されている。商品移行部102は、商品受取部80の本体部95の上面96とほぼ面一な上面104を有している。商品載置部100は、商品受取部80から商品移行部102を経由して移動してきた商品を載置する。商品載置部100は、それ単体で商品を載置するものであってもよいし、例えば移動機構420のキャリッジ70と一緒に商品を載置するものであってもよい。商品載置部100は、板状に形成されており、前後方向の途中で鈍角に屈曲している。
商品取出しユニット410は、商品載置部100と商品移行部102との境界を中心として、図10のすくい上げ姿勢と図11の受取り姿勢との間で回動するように構成されている。具体的には、商品載置部100と商品移行部102との境界には、商品取出しユニット410を回動可能に支持する回動軸110が挿通されている。回動軸110は、移動機構420のキャリッジ70に固定されている。
図10のすくい上げ姿勢では、商品受取部80の本体部95が棚構成部材50と同程度の傾斜角度となる。このすくい上げ姿勢が維持されるように、すなわち商品受取部80の先端部93の下方への回動が規制されるように、商品移行部102の下面106がキャリッジ70の第1規制部77に接触する。商品取出しユニット410は、その自重により(すなわち、回動軸110の一方側である商品受取部80側が、回動軸110の他方側である商品載置部100側よりも重いという重量バランスにより)、自由状態では、すくい上げ姿勢となるように構成されている。ただし、他の実施態様では、ねじりコイルバネなどにより、商品取出しユニット410をすくい上げ姿勢に向かって付勢するようにしてもよい。
図11の受取り姿勢では、すくい上げ姿勢よりも、商品受取部80の本体部95が急傾斜となり、商品受取部80の先端部93が上方に回動している。この受取り姿勢が維持されるように、すなわち商品受取部80の先端部93の上方への回動が規制されるように、商品載置部100の下面108がキャリッジ70の第2規制部78に接触する。
続いて、図13A~13Gを参照して、商品を取り出す際の商品搬出装置40の一連の動作を説明する。
図13Aに示すように、まず、移動機構420は、商品取出しユニット410を移動させることにより、取り出すべき商品が収容されている商品収容レーン30の左右方向の対応位置の上方に商品受取部80を位置させる。このとき、商品取出しユニット410は、すくい上げ姿勢となっている。
次いで、図13Bに示すように、移動機構420は、すくい上げ姿勢にある商品取出しユニット410を下降させる。すると、商品受取部80の先端部93又は本体部95が、商品収容レーン30の商品出口側から1つ目の商品200に上側から接触する。商品取出しユニット410の下降を続けると、図13Cに示すように、商品受取部80の先端部93又は本体部95が商品200に接触しながら、商品取出しユニット410が受取り姿勢の方向(矢印300の方向)に回動する。そして、商品取出しユニット410の下降をさらに続けると、図13Dに示すように、商品受取部80が棚構成部材50間の隙間を上側から通り抜け、商品収容レーン30の下方に位置する。この通り抜ける際に、商品受取部80の先端部93が商品200から離れ、商品取出しユニット410が、自重又はねじりコイルバネにより、すくい上げ姿勢に回動する。
次いで、図13Eに示すように、移動機構420は、すくい上げ姿勢にある商品取出しユニット410を上昇させる。すると、商品受取部80が棚構成部材50間の隙間を下側から通り抜け、商品受取部80が商品200をすくい上げる。このとき、商品受取部80の先端部93が商品出口側から1つ目の商品200と2つ目の商品210との間に進入し、先端部93が2つ目の商品210を商品入口側に向かって押さえながら(参照:図12)、商品受取部80の本体部95が1つ目の商品200に接触して、これをすくい上げる。このすくい上げの際、商品受取部80の先端部93の下方への回動が規制され、すくい上げ姿勢が維持される。これは、商品移行部102の下面106が、キャリッジ70の第1規制部77に接しているからである。
そして、商品取出しユニット410の上昇を続けると、その上昇中に、図13Fに示すように、商品受取部80上の商品200が、その自重により商品受取部80の本体部95上を動いて(すなわち転がって又は滑って)、商品トレイ部82に移動する。この移動によって、図13Gに示すように、商品取出しユニット410が受取り姿勢に回動し、商品200が商品載置部100に載る。これにより、商品取出しユニット410への商品200の取り出しが完了する。商品収容棚20では、2つ目の商品210が、それに続く残りの商品とともに棚構成部材50上を転がり、棚構成部材50の返し部56に到達し、止まる。
その後、商品搬出装置40は、商品200を載せた商品取出しユニット410を移動機構420により移動させ、商品200を自販機本体3内のシューターの上に落下させ、商品取出し口13に導く。あるいは、商品取出し口13が、商品取出しユニット410が移動機構420により到達できる位置にある場合には、商品取出しユニット410上の商品200を商品取出し口13に搬出させてもよい。上記の実施形態のように、商品取出し口13が自動販売機1の前側にあり、商品搬出装置40が自動販売機1の後側にある場合には、商品取出しユニット410を前後方向にも移動できるように移動機構420を構成すれば、商品搬出装置40は、商品取出しユニット410上の商品200を商品取出し口13に搬出させることができる。
以上説明した本実施形態の商品搬出装置40によれば、商品取出しユニット410の商品受取部80が、左右方向に隙間をあけて並んだ棚構成部材50間の当該隙間に対応して櫛状に構成されている。そして、商品搬出装置40は、この隙間を有効に利用して、商品収容棚20上の商品出口側から1つ目の商品をすくい上げるようにして取り出す。したがって、上記の商品収容棚20に載っている商品を取り出すのに適した商品搬出装置40を提供することができる。また、すくい上げるようにして取り出す構成であるため、商品取出しユニット410自体に駆動源を設ける必要がなく、全体として機構を簡素化することができる。
とりわけ、櫛状の商品受取部80に、1つ目の商品を取り出す(すくいあげる)機能と2つ目の商品を止めておく機能とを持たせることができる。これにより、そのような2つ目の商品を止めておくための機構(例えば、1本目の商品の払い出しの際に2本目の商品の直下に差し込む従来のストッパー)が不要になる。
加えて、商品収容棚20における商品の移動速度(1つ目の商品が取り出された際に後続の商品が先方に移動する速度)が、従来のサーペンタイン式のラックに比べるとゆっくりとなる。このため、2つ目の商品を止めておく際に、商品受取部80が受ける荷重的負荷が小さくなる。これにより、商品取出しユニット410の精密さを緩和することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状、サイズ及び個数等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
例えば、商品収容棚20は、自動販売機1以外に適用してもよいし、それ単体で用いてもよい。一例を挙げると、コンビニエンスストアなどのお店の棚として、商品収容棚20を用いてもよい。
また、付勢部材62は、一つの商品収容棚20における複数の棚構成部材50のそれぞれに対応して設けるのではなく、一つの商品収容棚20に対して一つ(すなわち複数の棚構成部材50あたり一つ)を設けるものであってもよい。この場合、付勢部材62として、例えば1枚の板ばねを用いてもよい。また、付勢部材62は、このような板ばねや上述の引張りコイルばねなどのばねでなくてもよい。例えば、付勢部材として磁石などを用い、その吸着力を利用することにより、棚構成部材50の第2の端部55を下方に向かって引っ張り、それにより第1の端部54が上向きに指向されるように、棚構成部材50を水平姿勢に向かって付勢するようにしてもよい。
また、他の実施態様では、付勢部材62に代わる別の構成によって、第1の姿勢(例えば水平姿勢)と第2の姿勢(例えば傾斜姿勢)との間での棚構成部材50の可動、より具体的には、商品を載せられるまでは第1の姿勢の維持を、商品を載せられることで第2の姿勢への移行を、達成することも可能である。一例を挙げると、棚構成部材50自体を、商品を載せられることでしなる材料で形成してもよい。この場合、棚構成部材50は、載っていた商品がなくなると、自身の材料特性により、元の形状(第1の姿勢)に復帰する(すなわち、しなりがなくなる。)。別の例では、棚構成部材50自体の重量バランスを工夫し、シーソーのように姿勢を変えるようにしてもよい。この場合、棚構成部材50は、載っていた商品がなくなると、自重により、第1の姿勢に復帰する。