JP7252234B2 - 皮膜材及びその製造方法、複合材、並びに電気接点用端子 - Google Patents

皮膜材及びその製造方法、複合材、並びに電気接点用端子 Download PDF

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Description

本発明は、金属自体が本来有する導電性の低下をできる限り抑制しつつ、摺動特性の向上を図ることができる皮膜材及びその製造方法、並びに該皮膜材を有する複合材及び電気接点用端子に関する。
一般に、金属材料は、導電性等の材料特性が優れていることから、様々な用途で幅広く使用されている。例えば、銅板に、銀(Ag)をはじめとする貴金属類、錫(Sn)などからなるめっき層を設けた金属材料は、基材の優れた導電性及び強度と、めっき金属の良好な電気接触特性とを兼ね備えた高性能導体として各種の接点、スイッチ、端子などの電気接点材に広く用いられている。
一方、繰返しの挿抜、摺動を伴う電気接点材料は、摺動特性(耐摩耗性)に優れることが望ましい。このような電気接点材料の摺動特性を大きく向上させるため、金属組織中にカーボンナノチューブ(CNT)などの高い強度を有する異種材料を取り込んだ複合材が知られている(特許文献1)。しかしながら、CNTを含む複合材の表面には、アスペクト比の大きいCNTが突起物として露出してしまう。そのため、このような複合材を電気接点材料として用いる場合、接触面積が小さいことに起因する電流集中による局所的な温度上昇を引き起こす可能性がある。
さらに、CNTは疎水性であるため、複合材を作製するに当たり、表面改質処理を行わなければ、複合材を構成する他の物質、溶媒等と均一に混合分散させるのが難しい場合が多い。加えて、このようなCNTを含む複合材を高温に加熱すると発癌性のある有毒物質を排出するとの報告もあり、環境上の問題もある。
特許文献2には、めっきで形成された金属材料中に有機高分子繊維が分散されている導電性物品について開示されている。しかしながら、特許文献2には、この導電性物品の用途としてリチウム二次電池の負極材料は開示されているものの、電気接点材料としての用途は挙げられておらず、また、摺動特性に関しても言及されていない。さらに、導電性物品中に含まれる有機高分子の質量割合は20~90質量%と非常に高く、電気接点材料として重要な導電率が小さくなるため、このような複合材は接点材料として適さないと考えられる。
特許文献3には、セルロースと複合化した金属材料のサイズを制御する方法が開示されている。しかしながら、この方法では電気接点材料として必要な形状に加工するのに耐え得る強度を兼ね備えた複合材を得ることはできない。
特開2007-009333号公報 特開2008-293883号公報 国際公開第2015/170613号
上記事情に鑑み、本発明は、金属自体が本来有する導電性の低下をできる限り抑制しつつ、摺動特性が向上した皮膜材及びその製造方法、並びにこれを有する複合材及び電気接点用端子を提供することを目的とする。
本発明者らは、炭素と酸素を有する有機物の繊維、特に、セルロース繊維を分散させためっき液中で電気めっき(分散めっき)を行うと、有機物の繊維を、熱分解等の特性変化を生じることなくマトリックス金属中に分散配置させることができるとの知見を得た。そして、一定量の有機物の繊維をマトリックス金属中に分散させ、材料表面に露出する有機物の繊維の割合を制御することにより、材料表面の動摩擦係数を低減させて摺動特性を向上させると共に、導電率の低下をできる限り抑制できることを見出した。
本発明の態様は、電気めっき可能な金属と、前記金属中に分散状態で配置された、炭素と酸素とを有する有機物の繊維と、を有する皮膜材であって、前記皮膜材の任意の表面において、100000μmの範囲で区画した観察視野内に占める前記有機物の繊維の平均面積割合が、2.5%以上35%以下の範囲である、皮膜材である。
本発明の態様は、前記皮膜材の任意の表面において、前記有機物の繊維が、10000μm以下の範囲内に少なくとも1つ存在する、皮膜材である。
本発明の態様は、前記平均面積割合が2.5%以上25%以下である、皮膜材である。
本発明の態様は、前記皮膜材中に含まれる前記有機物の繊維の平均質量割合が、0.02質量%以上10質量%以下である、皮膜材である。
本発明の態様は、前記皮膜材の平均厚さが500μm以下である、皮膜材である。
本発明の態様は、前記金属が、Cu、Ag、Au、Sn、Ni又はPdである、皮膜材である。
本発明の態様は、前記有機物の繊維がセルロース繊維である、皮膜材である。
本発明の態様は、前記金属がCu、Ag又はSnであり、前記平均面積割合が2.5%以上25%以下であり、前記有機物の繊維がセルロース繊維であり、かつ、前記皮膜材の任意の表面において、1000μm以下の範囲内に少なくとも1つ存在する、皮膜材である。
本発明の態様は、前記皮膜材の表面に100gfの荷重で鋼球を摺動子として使用する往復摺動試験において、摺動回数20~50回の範囲内の条件下での動摩擦係数の最大値が金属そのものを基準として0.8以下である、皮膜材である。
本発明の態様は、基材と、該基材の表面に形成された前記皮膜材と、を有する、複合材である。
本発明の態様は、前記基材が導電性基材である、複合材である。
本発明の態様は、前記基材が絶縁性基材である、複合材である。
本発明の態様は、前記皮膜材を備える電気接点用端子である。
本発明の態様は、電気めっき法によって形成する前記皮膜材の製造方法である。
本発明によれば、電気めっき可能な金属と、該金属中に分散状態で配置された炭素と酸素とを有する有機物の繊維と、を有する皮膜材の任意の表面において、所定の観察領域内を占める有機物の繊維の平均面積割合を特定の範囲に制御することによって、金属自体が本来有する導電性の低下をできる限り抑制しつつ、摺動特性(耐摩耗性)が向上した皮膜材及びこれを有する複合材を提供することが可能である。また、このような特性を示す皮膜材は、電気めっき法により作製することができるため、容易かつ廉価に製造することができる。さらに、このような皮膜材を電気接点用端子に用いることにより、金属材料の高い電気伝導性を保ちながら、摺動特性を向上させた電気接点を形成することができ、その結果、接点の摺動により生じる故障を抑制し、製品寿命を向上させることができる。
図1は、本発明に従う皮膜材が、複合材の表面処理膜として形成された場合における、金属膜中に含まれる有機物の繊維の分布を示す概略断面斜視図である。 図2は、実施例4で得られた皮膜材に対して元素マッピングを行った際に得られたデータの一例であり、図2(a)は、取得した炭素、酸素の元素分布を表し、図2(b)は、さらに判別分析法により二値化して得られた炭素、酸素の画像データを表す。
以下、図面を参照しながら、本発明に従う皮膜材及び複合材の実施形態について詳細に説明する。
図1に、本発明の皮膜材及び複合材の実施形態の一例を示す。図1に示されるように、本実施形態の皮膜材3は、金属(マトリックス金属)5と、金属5中に分散状態で配置された有機物の繊維2とを有し、所定量の有機物の繊維2が皮膜材3の表面に露出して存在している。また、本実施形態の複合材1は、基材4と、基材4の表面に形成された皮膜材3とを有している。尚、図1において、有機物の繊維2は、便宜上、円状、楕円状の形状で示している。
<有機物の繊維>
有機物の繊維は、炭素と酸素を有する有機物の繊維であり、生体由来の繊維であることが好ましい。ここで、有機物とは、炭素と酸素を含む化合物のうち、単位構造の複数回の繰り返しによって得られる高分子材料を意味し、好ましくは生体由来の高分子材料である。生体由来の繊維としては、セルロース繊維、キチン繊維又はキトサン繊維を使用することが好ましい。このような繊維の中でも、環境負荷が少なくかつ材料コストが安価であることから、工業的には、セルロース繊維を使用することが好ましく、セルロースミクロフィブリル又はその誘導体を使用することがより好ましい。セルロースミクロフィブリルは、セルロース分子鎖が数十本束となってできた微細な繊維であり、セルロース繊維は、このセルロースミクロフィブリルがさらに束となって構成されている。セルロース繊維の直径は、数十μmであるのに対し、セルロースミクロフィブリルの直径は、数nm~0.1μmである。セルロースミクロフィブリル又はその誘導体は、分散性(親水性)、他物質との親和性、微粒子の捕捉・吸着などに優れる特性を有している。また、キチン繊維又はキトサン繊維は、吸着能に優れるだけでなく、誘導体の形成により親水化処理を容易に行うことができる。
有機物の繊維は短繊維であることが好ましく、マトリックス金属中に短繊維が分散状態、特に均一な分散状態で配置されていることがより好ましい。これにより、皮膜材は、安定した高い強度を得ることができる。また、短繊維のサイズとしては、直径が4~10nm、長さが5~10μmであることが好ましい。
さらに、特定方向の強度(特に引張強度)を有効に高める場合には、有機物の繊維、特に短繊維は、マトリックス金属中に一方向に揃った状態で分散されていることが好ましい。一方、強度(特に引張強度)を異方性なく均一に高める場合には、有機物の繊維、特に短繊維は、マトリックス金属中にランダム方向に配列した状態で分散されていることが好ましい。
有機物の繊維、特にセルロース繊維は、軟化温度(220~230℃)が金属の融点よりも低い。そのため、従来の公知の加圧鋳造法または焼結法によって、金属が溶融する温度まで有機物の繊維、特に、セルロース繊維を加熱する場合、セルロース繊維が熱分解してしまい、マトリックス金属中に、セルロース繊維が取り込まれた皮膜材を製造することができない。一方、セルロース繊維は、親水性であるため、水溶液(特に酸性水溶液)からなる各種金属のめっき液にセルロース繊維を添加すると、セルロース繊維は、めっき液中において凝集することなく分散させることが可能である。次いで、セルロース繊維が分散されているめっき液中で電気めっき(分散めっき)を行うことにより、セルロース繊維が、特に熱分解等の特性変化を生じることなく、マトリックス金属中に分散状態で配置させることができる。このため、皮膜材は電気めっき法によって形成することができる。
また、皮膜材の任意の表面において、100000μmの範囲で区画した観察視野内に占める有機物の繊維の平均面積割合が、2.5%以上35%以下の範囲であり、好ましくは2.5%以上25%以下の範囲である。有機物の繊維の平均面積割合が2.5%未満では、皮膜材の表面の動摩擦係数を低減させる作用が小さく、優れた摺動特性を得ることができない。一方、有機物の繊維の平均面積割合が35%を超えると、マトリックス金属中に含まれる有機物の繊維の割合の増大に起因して、導電率の低下率が大きくなり過ぎてしまう。このように、皮膜材の表面に露出する有機物の繊維の割合を特定の範囲に制御することにより、皮膜材の表面の動摩擦係数を低減させ摺動特性を向上させると共に、導電率の低下をできる限り抑制することができる。
皮膜材の表面に露出する有機物の繊維の割合を測定する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、作製した皮膜材の任意の表面において、所定の範囲で区画した観察視野内に対し、オージェ電子分光法により元素マッピングを行い、さらに得られた元素マッピングデータを判別分析法により2値化することにより、観察視野内に占める有機物の繊維の平均面積割合を算出することができる。その際、平均面積割合は、所定の範囲で区画した観察視野の領域を任意に複数選択し、各観察視野で得られた面積割合の平均値から算出できる。観察視野内に有機物の繊維が複数存在する場合、平均面積割合は、観察視野内に占める各有機物の繊維の面積の合計で算出する。また、100000μmの範囲の観察視野内に占める有機物の繊維の平均面積割合は、所定の範囲で区画した観察視野の範囲を100000μmに換算して得た値を用いて算出してもよい。
皮膜材の任意の表面において、有機物の繊維が、10000μm以下の範囲内に少なくとも1つ存在することが好ましく、特に、セルロース繊維が、1000μm以下の範囲内に少なくとも1つ存在することがより好ましい。有機物の繊維が、10000μm以下の範囲内に少なくとも1つ存在することにより、摺動特性をより向上させることができる。
また、皮膜材中に含まれる有機物の繊維の平均質量割合は、0.02質量%以上10質量%以下の範囲であることが好ましく、平均質量割合の下限値は0.025質量%以上であることがより好ましく、平均質量割合の上限値は9質量%以下であることがより好ましい。平均質量割合が0.02質量%未満だと、有機物の繊維による金属の補強効果が十分ではない。そのため、有機物の繊維を含有させていない皮膜材に比べて、皮膜材の摺動特性が顕著な向上を示さない傾向にある。また、皮膜材を電気めっき法で形成する場合、一定量以上の不純物(ここでは有機物の繊維)がめっき液に含まれると、めっき液の組成が崩れ、金属の析出ができなくなるおそれがある。特に、平均質量割合が10質量%超えである場合、電気めっき法での皮膜材の製造が困難になる傾向にある。また、マトリックス金属中に含まれる有機物の繊維の割合の増大に起因して、導電率の低下率が大きくなり過ぎてしまうことを抑制する観点から、有機物の繊維の平均質量割合は9質量%以下であることが好ましい。
<金属>
金属は、電気めっき可能な金属であり、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、錫(Sn)、金(Au)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)又はこれらの合金等が挙げられ、特に、ニッケル、銅、パラジウム、錫、銀又は金であることが好ましい。この中でも、電気接点用材料として、優れた導電率と接触抵抗・製造コストをバランスよく実現できる、銅、銀又は錫を用いることがさらに好ましい。特に、これらの金属の中でも、高導電率と高強度の双方を備える銅が最適である。参考として、表1~表6に、ニッケル、銅、パラジウム、銀、錫及び金のめっき浴組成並びにめっき条件の例を示す。
Figure 0007252234000001
Figure 0007252234000002
Figure 0007252234000003
Figure 0007252234000004
Figure 0007252234000005
Figure 0007252234000006
<導電率>
皮膜材は、電気接点におけるジュール熱による材料の温度上昇を低減するため、皮膜材の導電率として、金属そのものの導電率に対する低下率が35%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、25%以下であることがさらに好ましい。
<皮膜材の製造方法>
皮膜材は、例えば、電気めっき法によって形成することが好ましい。皮膜材を、電気めっき法によって形成する場合、複合材は、皮膜材と、皮膜材が形成された表面をもつ基材とで構成された表面処理材として機能する。このような表面処理材において、皮膜材は、基材上に積層された表面処理被膜であることが好ましく、例えば、基材上に電気めっきにより形成しためっき被膜であることがより好ましい。
一方、上述の実施形態では、皮膜材を、電気めっき法により製造した場合について説明してきたが、有機物の繊維の材料特性が変化しない温度(例えば200℃以下)で皮膜材を製造できる方法であれば特に限定されるものではない。皮膜材の他の製造方法として、例えば、無電解めっき法、ゾルゲル法、各種塗布法、低融点はんだなどの低融点金属の溶湯との混合などが挙げられる。
<基材>
基材は、表面処理材の用途に応じて、導電性基材であってもよく、絶縁性基材であってもよい。基材が導電性基材である場合、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、炭素鋼、ステンレス合金などの金属、又はその金属を主成分とする合金の他、炭素、導電性樹脂、或いは導電性セラミックスを含む導電性基材が挙げられる。一方、基材が絶縁性基材である場合、表面に皮膜材が形成可能であればよく、例えば、ガラス、セラミックス、エラストマのような絶縁性基材であってもよい。
<摺動特性>
複合材を表面処理材として構成する場合、電気接点摺動時の摩耗による表面処理膜の厚さの減少を低減するため、摺動特性をあらわす動摩擦係数が低いことが好ましい。このような複合材の動摩擦係数として、例えば、皮膜材の表面に100gfの荷重で鋼球を摺動子として使用する往復摺動試験において、摺動回数20~50回の範囲内の条件下での動摩擦係数の最大値が、金属(皮膜材が有する金属)そのものを基準として0.8以下、すなわち、動摩擦係数比が0.8以下であること好ましく、0.3~0.65の範囲であることがより好ましい。
<皮膜材の平均厚さ>
皮膜材の平均厚さについては特に制限はないが、皮膜材の平均厚さが厚すぎると生産コストが大きくなりすぎるため、平均厚さの上限値は500μm以下であることが好ましい。また、複合材を表面処理材として構成する場合には、基材上にわずかに表面処理されていれば摺動特性が向上する。そのため、耐久性の観点から、皮膜材の平均厚さの下限値は、0.1μm以上が好ましい。皮膜材の平均厚さは、皮膜材を樹脂包理させた後、皮膜材の厚さ方向の断面の形成、研磨による断面加工を経て、走査型電子顕微鏡を用いて測定できる。測定は、断面の任意の3ヶ所で行い、その平均値を平均厚さとして算出する。
<皮膜材の形状>
皮膜材の形状については、特に制限はなく、例えば、箔、薄板又は厚板のような板材、線材、棒材、管材、角材等のような種々の形状が挙げられる。
<金属結晶粒の平均粒子径>
また、皮膜材中の金属結晶粒の平均粒子径は、皮膜材の厚み方向の平均粒子径に対して、皮膜材の表面に平行な方向(長手方向)の平均粒子径の方が小さいことで、より高強度化の効果が得られる。皮膜材の表面に平行な方向の金属結晶粒の平均粒子径は、0.2μm以上5.0μm以下であることが好ましい。
<皮膜材及び複合材の用途>
本実施形態の皮膜材は、用途に応じて適した金属を選択することによって、金属自体が本来有する導電性等の優れた材料特性の低下をできる限り抑制しつつ、摺動特性の向上の実現を図ることができるため、様々な技術分野で種々の製品に適用することができる。
例えば銅板(導電性基板)上に、銅と有機物の繊維とで表面処理被膜(皮膜材)を形成した表面処理銅板(複合材)は、コネクタの構成部品である電気接点用端子として使用できる。このような複合材を備える電気接点用端子は、導電性を低下させることなく、電気接点用端子としての摺動特性の向上を図ることができる。さらに、コネクタの小型化に対応した、電気接点用端子の小型化、薄肉化、高強度化を図ることもできる。
また、錫と有機物の繊維とで一体形成した皮膜材も、コネクタの構成部品である電気接点用端子として使用できる。このような皮膜材を備える電気接点用端子は、導電率を低下させることなく、摺動特性の向上を図ることができる。また、端子同士の接点の摺動による故障を抑制し、製品寿命の向上を図ることもできる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
次に、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1~7)
厚さ0.3mmの銅板(C1100)上に、表7に示す金属と、有機物の繊維としてセルロース繊維とを表7に示す平均質量割合で一体形成し、皮膜材(表面処理被膜)の形成が可能か否かの確認を行った。なお、セルロース繊維は、直径が約20nm、長さが数μmのスギノマシン社製のセルロース繊維を使用した。表2に示す銅めっき浴に、セルロース繊維を銅めっき浴に対して0.01~30体積%程度添加し、攪拌して銅めっき浴中に分散させた後、セルロース繊維が分散した状態の銅めっき浴中で、表2に示すめっき条件で電気銅めっきを行い、平均厚さが5μmになるように皮膜材を作製した。
皮膜材の平均厚さの測定は、皮膜材を樹脂包理させた後、皮膜材の厚さ方向の断面の形成、研磨による断面加工を経て、走査型電子顕微鏡を用いて皮膜材の厚さを測定した。測定は断面の任意の3ヵ所で行い、その平均値を平均厚さとして算出した。
皮膜材中に含まれるセルロース繊維の平均質量割合については、皮膜材の質量に対する、皮膜材を硝酸にて溶解した後に残る残留物の質量の比率から求めた。皮膜材の質量は、45cm×15cmの区画で皮膜材試料片を3つ採取し、各片の質量を測定することで算出した。残留物の質量は、45cm×15cmの区画で採取された各皮膜材試料片を、20質量%硝酸溶液中に浸漬して金属を十分に溶解し、次いで、残留物を含む硝酸溶液を2500rpmにて10分間遠心分離することで残留物を分離・回収し、さらに回収物を乾燥させ、その質量を測定することで算出した。なお、皮膜材を硝酸にて溶解した後の残留物は、フーリエ変換赤外分光分析によりセルロースであると同定した。測定は、皮膜材の任意の3ヵ所から採取した皮膜材試料片を用いて行い、その平均値を平均質量割合として算出した。
また、皮膜材(表面処理被膜)の表面におけるセルロース繊維の平均面積割合については、下記1.の平均面積割合に記載した測定方法によって、各表面の100000μmの面積当たりの面積割合を任意の3ヵ所の表面について取得し、その平均値を平均面積割合として算出した。
(実施例8)
有機物の繊維として、セルロース繊維の代わりにキトサン繊維を表7に示す平均質量割合で使用した皮膜材を作製したこと以外は、実施例1~7と同様の方法で作製した。
(比較例1)
皮膜材(表面処理被膜)の表面における100000μm当たりのセルロース繊維の平均面積割合が1.8%になるように皮膜材を作製したこと以外は、実施例1~7と同様の方法で作製した。
(比較例2)
皮膜材(表面処理被膜)の表面における100000μm当たりのセルロース繊維の平均面積割合が38.4%になるように皮膜材を作製したこと以外は、実施例1~7と同様の方法で作製した。
(従来例1)
厚さ0.3mmの銅板(C1100)上に、表2に示す銅めっき浴およびめっき条件で電気銅めっきを行い、厚さ5μmの銅めっき被膜を形成し、銅めっき銅板を作製した。
(実施例9)
厚さ0.3mmの銅板(C1100)上に、表7に示す金属と、セルロース繊維とを表7に示す平均質量割合で一体形成し、皮膜材(表面処理被膜)の形成が可能か否かの確認を行った。なお、セルロース繊維は、直径が約20nm、長さが数μmスギノマシン社製のセルロース繊維を使用した。皮膜材は、表5に示す錫めっき浴に、セルロース繊維を、錫めっき浴に対して、0.01~30体積%程度添加し、攪拌して錫めっき浴中に分散させた後、セルロース繊維が分散した状態の錫めっき浴中で、表5に示すめっき条件で電気錫めっきを行い、皮膜材の平均厚さが5μmになるように作製した。また、皮膜材の平均厚さ、皮膜材中に含まれるセルロース繊維の平均質量割合、及び皮膜材の表面におけるセルロース繊維の平均面積割合は、実施例1~7と同様の方法で測定した。
(従来例2)
厚さ0.3mmの銅板(C1100)上に、表5に示す錫めっき浴およびめっき条件で電気錫めっきを行い、厚さ5μmの錫めっき被膜を形成し、錫めっき銅板を作製した。
(実施例10)
表1に示すニッケルめっき条件、および表7に示す平均質量割合以外は、実施例1~7と同様の方法で、厚さ0.3mmの銅板(C1100)上に、金属と、セルロース繊維とを一体形成し、皮膜材(表面処理被膜)の形成が可能か否かの確認を行った。また、皮膜材の平均厚さ、皮膜材中に含まれるセルロース繊維の平均質量割合、及び皮膜材の表面におけるセルロース繊維の平均面積割合は、実施例1~7と同様の方法で測定した。
(従来例3)
厚さ0.3mmの銅板(C1100)上に、表1に示すニッケルめっき浴およびめっき条件で電気ニッケルめっきを行い、厚さ5μmのニッケルめっき被膜を形成し、ニッケルめっき銅板を作製した。
(実施例11)
表3に示すパラジウムめっき条件、および表7に示す平均質量割合以外は、実施例1~7と同様の方法で、厚さ0.3mmの銅板(C1100)上に、金属と、セルロース繊維とを一体形成し、皮膜材(表面処理被膜)の形成が可能か否かの確認を行った。また、皮膜材の平均厚さ、皮膜材中に含まれるセルロース繊維の平均質量割合、及び皮膜材の表面におけるセルロース繊維の平均面積割合は、実施例1~7と同様の方法で測定した。
(従来例4)
厚さ0.3mmの銅板(C1100)上に、表3に示すパラジウムめっき浴およびめっき条件で電気パラジウムめっきを行い、厚さ5μmのパラジウムめっき被膜を形成し、パラジウムめっき銅板を作製した。
(実施例12)
表4に示す銀めっき条件、および表7に示す平均質量割合以外は、実施例1~7と同様の方法で、厚さ0.3mmの銅板(C1100)上に、金属と、セルロース繊維とを一体形成し、皮膜材(表面処理被膜)の形成が可能か否かの確認を行った。また、皮膜材の平均厚さ、皮膜材中に含まれるセルロース繊維の平均質量割合、及び皮膜材の表面におけるセルロース繊維の平均面積割合は、実施例1~7と同様の方法で測定した。
(従来例5)
厚さ0.3mmの銅板(C1100)上に、表4に示す銀めっき浴およびめっき条件で電気銀めっきを行い、厚さ5μmの銀めっき被膜を形成し、銀めっき銅板を作製した。
(実施例13)
表6に示す金めっき条件、および表7に示す平均質量割合以外は、実施例1~7と同様の方法で、厚さ0.3mmの銅板(C1100)上に、金属と、セルロース繊維とを一体形成し、皮膜材(表面処理被膜)の形成が可能か否かの確認を行った。また、皮膜材の平均厚さ、皮膜材中に含まれるセルロース繊維の平均質量割合、及び皮膜材の表面におけるセルロース繊維の平均面積割合は、実施例1~7と同様の方法で測定した。
(従来例6)
厚さ0.3mmの銅板(C1100)上に、表6に示す金めっき浴およびめっき条件で電気金めっきを行い、厚さ5μmの金めっき被膜を形成し、金めっき銅板を作製した。
各実施例及び比較例で作製した表面処理被膜及び各従来例で作製しためっき被膜について、皮膜材(表面処理被膜)の表面における有機物の繊維の平均面積割合、さらには、特性として、導電率及び動摩擦係数を以下の方法で測定した。
皮膜材(表面処理被膜)の表面における有機物の繊維の平均面積割合
図2を参照しながら、有機物の繊維の平均面積割合の測定方法を説明する。尚、図2は実施例4の皮膜材に対して評価を行った際の一例であり、その他の実施例及び比較例についても同様に測定を行った。まず、皮膜材を評価に供する大きさ(3cm×3cm)に切り出し、アセトン中に浸漬させて超音波洗浄により皮膜材の表層の油分を除去した。その後、10%硫酸中へ30秒間浸漬して表層の酸化被膜を除去した。さらに、イオン交換水にて水洗の後、乾燥させて評価用の試験片を得た。このように準備した評価材を走査型オージェ電子分光装置(「PH1680」、アルバック・ファイ社製)を用いて、倍率:300倍、観察視野:400μm×280μm、走査線数512本にて、水洗処理した試験片の任意の表面の3ヵ所について、炭素、酸素の元素分布を取得(評価)した(図2(a)参照)。なお、前述の水洗処理は、オージェ電子顕微鏡へ評価材を導入する直前の2時間以内に行った。この元素分布画像を、画像寸法計測ソフト(「Pixs2000 Pro」、イノテック社製)を用いて、下限閾値を150、上限閾値を255にそれぞれ設定し、二値化の設定にて、分離点は除く一方で内部は塗りつぶしを行い、画像処理後の画像を作成した。(図2(b)参照)。
さらに、得られた画像を解析し、処理後の画像から黒塗り部の面積が占める割合と観察範囲(400μm×280μm:112000μm)から面積割合を算出し、さらに100000μm当たりの面積割合(面積率)に換算した。また、処理後の画像から黒塗り部の各領域の面積を算出し、画像の端部に設定している黒塗り部の数値と1μm以下となっている黒塗り部の数値を除いた後、各領域の面積の平均を求めることで、少なくとも1つの有機物の繊維が存在する範囲(1ヵ所当たりの面積)を算出した。このように同一箇所を炭素と酸素でそれぞれ算出し、画像処理後の画像(図2(b)参照)において、炭素、酸素の検出箇所がほぼ同一であることを確認し有機物が検出されているとみなし、これらの検出箇所のうち、酸化による誤差が出にくい炭素による算出値を有機物の面積値として用いた。このように、各面積割合及び1ヵ所当たりの面積の算出を、任意の表面の3ヵ所から取得した元素分布に対して行い、その平均値を、皮膜材の各平均面積割合及び1ヵ所当たりの平均面積とした。
尚、本評価法においては、厳密には元素分布像の信号強度とノイズレベルを常に一定にし、画像処理をしなければ普遍的な測定はできない。しかしながら、試料の状態、測定環境等様々な変動要因が存在するため、像の信号強度を常に一定にすることが現実的に不可能である。そこで、例えば上記のような観察手法で各平均面積割合及び1ヵ所当たりの平均面積を算出した場合において、実施例4の皮膜材について算出した値が、本実施例の値(表7に示す値)から±20%の範囲内にあれば、適切な評価が行われているものと判断し、それと同時に取得および解析した他の試料についても、適切な評価が行われたものと判断する。
また、皮膜材の表面(表層部)に、皮膜材全体の平均的な割合よりも多くの有機物の繊維が含まれるような皮膜材を作製する方法として、例えば、実施例1~8のような例においては、皮膜材を全体厚さの80%まで形成した後、電気めっきの電流密度を小さくして表層部の形成を行う方法が好ましい。この場合、例えば表2に記載のめっき条件で4μmの平均厚さの皮膜材を作成した後、電流密度を2A/dmに変更して残りの1μmを形成することにより、表層部により多くの有機物の繊維を露出させることができる。
導電率の測定
カソード電極(チタン板)上に、厚さ10μmの表面処理被膜(めっき被膜)を形成した後に、チタン板から表面処理被膜(めっき被膜)を剥離し、表面処理被膜(めっき被膜)の供試材をそれぞれ3枚作製した。作製した各3枚の供試材について、20℃(±0.5℃)に保持した恒温漕中で、四端子法により、比抵抗値を測定した。測定した比抵抗値から導電率を算出し、それらの平均値を求めた。なお、端子間距離は200mmとした。
動摩擦係数の測定
厚さ0.3mmの銅板(C1100)上に、表7に示す皮膜材(表面処理被膜)が形成された複合材(表面処理材)をそれぞれ3枚作製した。作製した各3枚の複合材(供試材)において、摺動試験装置(HEIDON Type:14FW、新東科学社製)を用いて、動摩擦係数測定を行った。測定条件は、R=3.0mm 鋼球プローブ、摺動距離:10mm、摺動速度:100mm/分、摺動回数:往復50回、荷重100gfである。動摩擦係数は、摺動回数20~50回の範囲における動摩擦係数の最大値を有機物の繊維を含有しない元の金属膜(従来例のめっき被膜)との比(動摩擦係数比)で評価した。
Figure 0007252234000007
表7の結果から、金属が銅めっきの場合(実施例1~8、従来例1及び比較例1~2)で比較すると、平均面積割合が2.5%未満である比較例1の動摩擦係数は従来例1と比べて優位性が認められなかった。一方、平均面積割合が2.5%以上35%以下の範囲である実施例1~6は、いずれも導電率の低下率に比べて動摩擦係数比が顕著に小さい。その中でも、平均面積割合が2.5%以上25%以下の範囲であり、且つ、1ヵ所当たりの平均面積が1000μm以下の範囲である実施例1~5は、動摩擦係数比が0.65より小さく、導電率の低下率が25%以下で、特に優れていた。
平均面積割合が30.4%である実施例7は、平均面積割合が2.5%以上25%以下の範囲の実施例1~5に比べると導電率の低下率は若干大きかったものの、動摩擦係数比は極めて小さかった。
皮膜材(表面処理被膜)中に含まれる有機物の繊維がキトサン繊維である実施例8は、導電率の低下率に比べて動摩擦係数比が顕著に小さかった。
一方、平均面積割合が38.4%であり、且つ1ヵ所当たりの平均面積が10000μmより大きい比較例2は、動摩擦係数比に比べて導電率の低下率が顕著に大きかった。
金属が錫めっきである実施例9と従来例2とを比較すると、実施例9は、導電率の低下率に比べて、動摩擦係数比が顕著に小さかった。
金属がニッケルめっきである実施例10と従来例3とを比較すると、実施例10は、導電率の低下率に比べて、動摩擦係数比が顕著に小さかった。
金属がパラジウムめっきである実施例11と従来例4とを比較すると、実施例11は、導電率の低下率に比べて、動摩擦係数比が顕著に小さかった。
金属が銀めっきである実施例12と従来例5とを比較すると、実施例12は、導電率の低下率に比べて、動摩擦係数比が顕著に小さかった。
金属が金めっきである実施例13と従来例6とを比較すると、実施例13は、導電率の低下率に比べて、動摩擦係数比が顕著に小さかった。
(実施例14~16)
表8に示す平均面積割合以外は、実施例1~7と同様の方法で、厚さ0.3mmの銅板(C1100)上に、銅と、セルロース繊維とを一体形成し、平均厚さの異なる表面処理被膜(皮膜材)を形成した。また、皮膜材の平均厚さ、皮膜材中に含まれるセルロース繊維の平均質量割合、及び皮膜材の表面におけるセルロース繊維の平均面積割合は、実施例1~7と同様の方法で測定した。
(従来例7)
厚さ0.3mmの銅板(C1100)上に、表2に示す銅めっき浴およびめっき条件で電気銅めっきを行い、厚さ30μmの銅めっき被膜を形成し、銅めっき銅板を作製した。
実施例14~16、従来例7は、実施例1~7と同様の方法で各平均面積割合、一ヵ所当たりの平均面積、導電率、動摩擦係数を測定した。
Figure 0007252234000008
表8の結果から、皮膜材の平均厚さが0.1μm以上500μm以下の範囲でも、実施例1~7と同様に、導電率、動摩擦係数比が優れていた。
本発明によれば、金属自体が本来有する導電性の低下をできる限り抑制しつつ、摺動特性が向上した皮膜材及びその製造方法、並びにこれを有する複合材及び電気接点用端子を提供することが可能になった。
1 複合材
2 有機物の繊維
3 皮膜材
4 基材
5 金属(マトリックス金属)

Claims (13)

  1. 電気めっき可能な金属と、
    前記金属中に分散状態で配置された、炭素と酸素とを有する有機物の繊維と、
    を有する皮膜材であって、
    前記有機物の繊維がセルロース繊維であり、
    前記皮膜材の任意の表面において、100000μmの範囲で区画した観察視野内に占める前記有機物の繊維の平均面積割合が、2.5%以上35%以下の範囲であることを特徴とする皮膜材。
  2. 前記皮膜材の任意の表面において、前記有機物の繊維が、10000μm以下の範囲内に少なくとも1つ存在する、請求項1に記載の皮膜材。
  3. 前記平均面積割合が2.5%以上25%以下である、請求項1又は2に記載の皮膜材。
  4. 前記皮膜材中に含まれる前記有機物の繊維の平均質量割合が、0.02質量%以上10質量%以下である、請求項1~3までのいずれか1項に記載の皮膜材。
  5. 前記皮膜材の平均厚さが500μm以下である、請求項1~4までのいずれか1項に記載の皮膜材。
  6. 前記金属が、Cu、Ag、Au、Sn、Ni又はPdである、請求項1~5までのいずれか1項に記載の皮膜材。
  7. 前記金属がCu、Ag又はSnであり、
    前記平均面積割合が2.5%以上25%以下であり、
    前記有機物の繊維がセルロース繊維であり、かつ、前記皮膜材の任意の表面において、1000μm以下の範囲内に少なくとも1つ存在する、請求項1~までのいずれか1項に記載の皮膜材。
  8. 前記皮膜材の表面に100gfの荷重で鋼球を摺動子として使用する往復摺動試験において、摺動回数20~50回の範囲内の条件下での動摩擦係数の最大値が金属そのものを基準として0.8以下である、請求項1~までのいずれか1項に記載の皮膜材。
  9. 基材と、該基材の表面に形成された請求項1~までのいずれか1項に記載の皮膜材と、を有する、複合材。
  10. 前記基材が導電性基材である、請求項に記載の複合材。
  11. 前記基材が絶縁性基材である、請求項に記載の複合材。
  12. 請求項1~までのいずれか1項に記載の皮膜材を備える電気接点用端子。
  13. 電気めっき法によって形成する請求項1~までのいずれか1項に記載の皮膜材の製造方法。
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