JP7250071B2 - 電子部品の製造方法及び電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品及び電子部品の製造方法に関する。
基板を有する電子部品は、支持部材上に搭載される基板に、例えばはんだなどによって、端子が接合される。例えば特許文献1には、基板に形成されたスルーホールに接続端子を挿入し、スルーホールの部分をはんだ接合することで、基板と端子とを接続する旨が記載されている。
特開2015-26820号公報
ここで、基板と端子を接合する際には、端子は加熱されるが、支持部材への伝熱量は小さいため、端子は支持部材と比べて熱膨張の度合いが大きくなり、端子は、熱膨張された状態で基板に対して固定された後に、収縮する。そのため、例えば基板が支持部に固定された状態で端子と基板とが接合されると、端子の収縮に基板が追従できずに、端子や基板などに応力が発生して、端子の接合部が破損するおそれが懸念される。一方、支持部を基板に固定しない場合には、端子の収縮に基板が追従できるが、電子部品の使用時に基板が振動して破損するおそれがある。従って、破損のおそれを抑制することが求められている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、端子の接合部が破損するおそれを抑制可能な電子部品の製造方法及び電子部品を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る電子部品の製造方法は、支持部材の一方の表面に電子基板を配置するステップと、前記電子基板が前記支持基板に対して固定されていない状態で、前記電子基板と端子部とを接合するステップと、前記端子部が接合された電子基板と前記支持基板とを、接着剤で固定するステップと、を含み、前記接着剤で固定するステップは、前記電子基板と前記支持部材が前記接着剤と接するように、前記電子基板と前記支持部材との少なくとも一方に接着剤を塗布する塗布ステップと、前記電子基板と前記支持部材とが接着剤と接した状態で、前記支持部材の一方の表面側から前記電子基板を覆うように、カバー部材を前記接着剤と接するように取り付けるカバー部材取り付けステップと、前記接着剤を硬化させることで、前記カバー部材と前記電子基板と前記支持部材とを固定する固定ステップと、をさらに含み、前記電子基板には、一方の表面から他方の表面まで開口する孔部が形成されており、前記塗布ステップにおいては、前記孔部から、前記支持部材の開口部と重なる第1接着領域に前記接着剤を塗布し、前記カバー部材取り付けステップにおいては、前記カバー部材の前記電子基板側の表面に形成される第2接着領域を、前記第1接着領域と重なる位置に配置することで、前記第1接着領域に塗布された接着剤が、前記第2接着領域に接する
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る電子部品は、支持部材と、前記支持部材の一方の表面上に設けられ、一方の表面から他方の表面まで開口する孔部が形成された電子基板と、前記電子基板に接合される端子部と、前記電子基板を覆うように前記支持部材の一方の表面に取り付けられるカバー部材と、を有し、前記支持部材には、前記一方の表面から突出する第1接着領域が設けられており、前記カバー部材には、表面から突出する第2接着領域が設けられており、前記支持部材と前記電子基板と前記カバー部材とが、前記第1接着領域と前記第2接着領域とが対向した状態で、前記第1接着領域と前記第2接着領域との間であって前記孔部の上側と内側と下側にわたって設けられた接着剤を介して固定されている。
本発明によれば、端子の接合部が破損するおそれを抑制することが可能となる。
図1は、本実施形態に係る電子部品の模式的な断面図である。 図2は、基板ユニットの模式的な斜視図である。 図3は、本実施形態に係る支持部材の模式的な上面図である。 図4は、カバー部材の模式図である。 図5は、カバー部材が取り付けられた状態における電子部品の模式的な上面図である。 図6は、本実施形態に係る電子部品の製造方法を説明する模式図である。 図7は、本実施形態に係る電子部品の製造方法を説明する模式図である。 図8は、本実施形態に係る電子部品の製造フローを説明するフローチャートである。
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
(電子部品の全体構成)
図1は、本実施形態に係る電子部品の模式的な断面図である。図2は、基板ユニットの模式的な斜視図である。本実施形態に係る電子部品1は、回転電機である。具体的には、電子部品1は、基板とモータとを有するモータユニット、さらに言えばブラシレスモータユニットである。電子部品1は、例えば車両の電動ステアリング装置に用いられ、車両のステアリングシャフトに操舵補助力を付与する。ただし、電子部品1の用途はそれに限られない。さらに言えば、電子部品1は、回転電機にも限られず、任意の電子機器であってよい。
図1に示すように、電子部品1は、ケーシング10と、ステータ20と、ロータ30と、バスバーユニット40と、保持部材50と、基板ユニット60と、支持部材100と、カバー部材110と、ベアリングB1、B2とを備える。図2は、電子部品1から基板ユニット60のみを抜き出した図である。図1及び図2に示すように、基板ユニット60は、複数の基板を有するユニットであり、制御基板62と、電子基板70と、コネクタ部80と、接続部材90とを含む。以下、電子部品1の座標系における所定方向をZ方向とし、Z方向に沿った方向のうちの一方の方向を、Z1方向(第1方向)とし、Z方向に沿った方向のうちの他方の方向を、すなわちZ1方向の反対の方向を、Z2方向(第2方向)とする。
(ケーシング)
図1に示すように、ケーシング10は、ステータ20、ロータ30、バスバーユニット40、保持部材50、及び制御基板62を内部に収納する筐体である。ケーシング10は、Z1方向側が開口する中空の部材であり、本実施形態ではZ方向から見て円形となる円筒状の部材である。ケーシング10は、底部12と側部14とを含む。底部12は、ケーシング10のZ2方向側の底面を構成する。底部12には、後述の駆動軸32が挿通される開口12Aが形成されている。また、底部12には、軸受けであるベアリングB1が設けられている。ベアリングB1は、底部12に対して固定されている。側部14は、ケーシング10の側面を構成する。側部14は、底部12の外縁を囲うように設けられ、底部12の外縁からZ1方向に延在する。ケーシング10は、底部12と側部14とで囲われる空間SPに、ステータ20、ロータ30、バスバーユニット40、保持部材50、及び制御基板62を収納する。
ケーシング10は、アルミニウム合金の部材で構成される。より詳しくは、ケーシング10は、JISで規格されるADC12の部材で構成される。ただし、ケーシング10の材料は任意であってよい。
(モータ)
ステータ20は、電子部品1の固定子であり、ロータ30は、電子部品1の回転子である。ケーシング10とステータ20とロータ30とバスバーユニット40と保持部材50とで、モータ16を構成しているといえる。
ステータ20は、ケーシング10の空間SP内に設けられる。ステータ20は、ステータコア22と、ステータコイル24とを含む。ステータコア22は、ステータ20のコアであり、Z方向から見た中央位置に、Z方向に貫通する貫通孔22Aが形成されている。ステータコア22は、磁性体で構成されており、さらに言えば、鉄系の部材で構成される。鉄系の部材とは、鉄を主成分とする部材である。より詳しくは、本実施形態に係るステータコア22は、電磁鋼板で構成されている。ステータコア22は、電磁鋼板製の部材がZ方向に積層されて構成されている。ただし、ステータコア22は、電磁鋼板で構成されることに限られず、部材がZ方向に積層されて構成されることにも限られない。
ステータコイル24は、ステータ20のコイルである。ステータコイル24は、U相、V相、及びW相の電磁コイルを含む。ステータコイル24は、ステータコア22に巻回されている。
(ロータ)
ロータ30は、ケーシング10の空間SP内に設けられる。ロータ30は、駆動軸32と、ロータコア34とを備える。ロータコア34は、ロータ30のコアである。ロータコア34は、周方向に並ぶ複数の磁極を備える。ロータコア34は、Z方向から見た中央位置に、Z方向に貫通する貫通孔が形成されている。駆動軸32は、シャフトであり、ロータコア34の貫通孔に挿入されて、ロータコア34に対して固定されている。ロータ30は、ロータコア34の外周面が、ステータコア22の貫通孔22A内に設けられる。ロータ30は、駆動軸32がZ方向に沿って延在するように、貫通孔22A内に設けられる。本実施形態では、駆動軸32が、Z方向に向かって延在することが好ましく、駆動軸32の軸方向がZ方向に沿っていることがより好ましい。
ロータ30は、ステータ20に対して回転可能に、貫通孔22A内に設けられる。ロータ30は、ステータ20との電磁作用により、駆動軸32のZ方向に沿った中心軸を回転軸として、回転する。
(バスバーユニット)
バスバーユニット40は、ケーシング10の空間SP内において、ステータコイル24のZ1方向側に設けられる。バスバーユニット40は、複数のバスバーとバスバーホルダとを備える板状(ここでは円板状)の部材である。バスバーは、導電性の部材であり、ステータコイル24のU相、V相、W相のそれぞれに接続されている。バスバーホルダは、絶縁性の部材であり、バスバーを覆う。
(保持部材)
保持部材50は、ケーシング10の空間SP内において、バスバーユニット40のZ1方向側に設けられる。保持部材50は、ベアリングB2を保持する、板状(ここでは円板状)の部材である。なお、ロータ30の駆動軸32は、ベアリングB1、B2に回転可能に支持されている。すなわち、駆動軸32は、Z2方向側の部分が、ベアリングB1内に回転可能に挿入され、ベアリングB1に挿入された部分よりもZ1方向側の部分が、ベアリングB2内に回転可能に挿入されている。
(基板ユニット)
(制御基板)
図1に示すように、制御基板62は、ケーシング10の空間SP内において、保持部材50のZ1方向側に設けられる。すなわち、制御基板62は、ケーシング10の空間SP内において、モータ16のZ1方向側に設けられているといえる。制御基板62は、バスバーユニット40のバスバーに電気的に接続されている。
制御基板62は、電子部品1のECU(Electronic Control Unit)の回路が設けられる回路基板である。制御基板62は、コネクタ部80に入力される駆動電流と制御信号とが、電子基板70及び接続部材90を介して入力される。駆動電流は、モータ16を駆動するための電流であり、制御信号は、モータ16の駆動を制御するための電気信号である。制御基板62は、駆動電流をモータ16に印加して、制御信号に応じてモータ16を駆動させる。
(電子基板)
図1に示すように、電子基板70は、制御基板62のZ1方向側に設けられる。電子基板70は、ケーシング10の空間SPの外部に設けられている。電子基板70は、一方の端部70Aから他方の端部70Bまで延在している。端部70Aは、Z方向から見た場合に、制御基板62と重なる位置にあり、ケーシング10と重なる位置にあるともいえる。一方、端部70Bは、Z方向から見た場合に、制御基板62と重ならない位置にあり、ケーシング10と重ならない位置にあるともいえる。すなわち、電子基板70は、駆動軸32を中心軸(Z方向に沿うモータ16の中心軸)とした場合の径方向外側に向けて、制御基板62やケーシング10と重なる位置から制御基板62やケーシング10と重ならない位置まで延在している。
電子基板70は、接続部材90を介して制御基板62に電気的に接続されており、コネクタ部80にも電気的に接続される。具体的には、電子基板70は、Z方向から見てケーシング10と重なる箇所において、接続部材90に接続される。電子基板70は、端部70Aが接続部材90に接続されてもよいし、端部70Aと端部70Bとの間の箇所が接続部材90に接続されてもよい。また、電子基板70は、Z方向から見てケーシング10と重ならない箇所において、コネクタ部80に接続されている。電子基板70は、端部70Bがコネクタ部80に接続されてもよいし、端部70Aと端部70Bとの間の箇所がコネクタ部80に接続されてもよい。
図2に示すように、電子基板70は、駆動電流を導通する電流導通部72Aと、制御信号を導通する信号導通部72Bとを有する。電流導通部72A及び信号導通部72Bは、電流を導通する配線であるといえ、本実施形態ではシート状の配線パターンである。電子基板70は、電流導通部72Aと信号導通部72B以外の電子部品(実装部品)が搭載されていないことが好ましい。また、本実施形態では、電流導通部72Aの面積が、信号導通部72Bの面積より大きい。これにより駆動電流を適切に導通できるが、電流導通部72Aと信号導通部72Bとの面積の大小関係はこれに限られず任意であってよい。なお、ここでの面積とは、電流導通部72A及び信号導通部72Bの、電流が流れる方向に直交する断面の面積といってもよいし、配線パターンであるため、Z方向から見た場合の電流導通部72A及び信号導通部72Bの面積といってもよい。
本実施形態では、電子基板70は、複数の層が積層されて構成されており、言い換えれば、複数層の電流導通部72Aを有している。電子基板70は、複数の層構成となることで、電流導通部72Aの面積を確保して、駆動電流を適切に流すことができる。また、図2に示すように、電子基板70は、各層にわたって貫通する、複数の接続穴CH1と複数の接続穴CH2と複数の接続穴CH3とが形成されている。接続穴CH1は、端部70B側に、すなわち、Z方向から見た場合に制御基板62(ケーシング10)と重ならない位置に形成されている。接続穴CH1には、後述するコネクタ部80の端子部82が挿入される。接続穴CH2は、端部70A側に、すなわち、Z方向から見た場合に制御基板62(ケーシング10)と重なる位置に形成されている。接続穴CH2には、後述する接続部材90の電流接続部92が挿入される。接続穴CH3は、端部70A側に、すなわち、Z方向から見た場合に制御基板62(ケーシング10)と重なる位置に形成されている。接続穴CH3には、後述する接続部材90の信号接続部94が挿入される。
電流導通部72Aは、接続穴CH1のうちの一部と、接続穴CH2とに電気的に接続されている。また、信号導通部72Bは、接続穴CH1のうちの他の一部と、接続穴CH3とに電気的に接続されている。
なお、電子基板70の層の数や各層の配線パターンは、任意であってよい。また、電子基板70は、複数の層が積層された構成であることにも限られず、電流導通部72Aと信号導通部72Bとを有する任意の構成であってよい。例えば、電子基板70は、基板上に電流導通部72Aと信号導通部72Bが形成された構成であることに限られず、電流導通部72Aと信号導通部72Bを有する配線であってもよい。
また、図2に示すように、電子基板70には、一方の表面から他方の表面まで貫通する孔部74が形成されている。孔部74は、電子基板70を支持部材100やカバー部材110と固定する接着剤を塗布するための穴である。孔部74は、接続穴CH1が設けられる箇所と、接続穴CH2、CH3が設けられる箇所の間に形成されている。孔部74は、複数形成されており、図2の例では、2つ形成されている。ただし、孔部74の数は任意であってよい。
(コネクタ部)
図1に示すように、コネクタ部80は、複数の端子部82と、複数の端子部82を収納するカバー部84とを有する。端子部82は、一方の端部82aから他方の端部82bまで、Z1方向に向けて延在する。端子部82は、端部82aが、電子部品1以外の機器に電気的に接続される。端子部82は、端部82aよりもZ1方向側の箇所で、電子基板70の、Z方向から見た場合に制御基板62(ケーシング10)と重ならない箇所に接続される。本実施形態では、端子部82は、端部82aよりもZ1方向側の箇所が、電子基板70の接続穴CH1に挿入されることで、制御基板62に電気的に接続される。端子部82は、電子基板70の接続穴CH1に挿入された状態で、電子基板70と接合されることで、電子基板70に固定されている。端子部82は、このように電子基板70に接続されているため、ケーシング10の空間SPの外部に設けられ、Z方向に向けて、すなわち駆動軸32の軸方向に向けて延在しているといえる。端子部82は、Z方向に沿って延在することがより好ましい。
図2に示すように、複数の端子部82は、駆動電流が入力される電流端子部82Aと、制御信号が入力される信号端子部82Bとを含む。すなわち、複数の端子部82のうちの一部が電流端子部82Aであり、複数の端子部82のうちの他の一部が信号端子部82Bである。電流端子部82Aは、接続穴CH1のうちで電流導通部72Aに電気的に接続されている接続穴CH1に挿入された状態で電子基板70と接合されている。信号端子部82Bは、接続穴CH1のうちで信号導通部72Bに電気的に接続されている接続穴CH1に挿入された状態で電子基板70と接合されている。
本実施形態では、端子部82は、はんだによって電子基板70に接合されており、言い換えれば、端子部82と電子基板70とがはんだ層で接合されているが、端子部82と電子基板70と接合方式ははんだ付けに限られず任意であってよく、言い換えれば、端子部82の接合部は、はんだに限られず任意の材質で構成されていてよい。
(接続部材)
図1に示すように、接続部材90は、制御基板62と電子基板70とを電気的に接続する。接続部材90は、本実施形態ではピンヘッダである。接続部材90は、一方の端部90aから他方の端部90bまで、Z1方向に向けて延在する。接続部材90は、端部90aが、制御基板62に電気的に接続される。接続部材90は、端部90aが制御基板62に接続された状態で、制御基板62に対して固定されている。また、接続部材90は、端部90aよりもZ1方向側の箇所で、電子基板70の、Z方向から見た場合に制御基板62(ケーシング10)と重なる箇所に電気的に接続される。接続部材90は、端部90aよりもZ1方向側の箇所が電子基板70に接続された状態で、すなわち電子基板70の接続穴CH2又は接続穴CH3に挿入された状態で、電子基板70と接合されることで、電子基板70に固定されている。
接続部材90は、電流接続部92と、信号接続部94とを含む。すなわち、本実施形態の接続部材90は、駆動電流用のピンヘッダである電流接続部92と、制御信号用のピンヘッダである信号接続部94とを含むといえる。ただし、接続部材90はピンヘッダであることに限られない。
電流接続部92は、端部90aが、制御基板62の駆動電流が流れる箇所に電気的に接続され、端部90aよりもZ1方向側の箇所が、電子基板70の電流導通部72Aに電気的に接続される。本実施形態では、電流接続部92は、電子基板70の接続穴CH2に挿入された状態で電子基板70に接合されており、電流導通部72Aに電気的に接続される。また、信号接続部94は、端部90aが、制御基板62の制御信号が流れる箇所に電気的に接続され、端部90aよりもZ1方向側の箇所が、電子基板70の信号導通部72Bに電気的に接続される。本実施形態では、信号接続部94は、電子基板70の接続穴CH3に挿入された状態で電子基板70に接合されており、信号導通部72Bに電気的に接続される。
本実施形態では、接続部材90は、はんだによって電子基板70及び制御基板62に接合されており、言い換えれば、接続部材90と電子基板70、及び接続部材90と制御基板62とがはんだ層で接合されているが、接合方式ははんだ付けに限られず任意であってよい。
(基板ユニットの電気的接続)
基板ユニット60は、以上のような構成となっている。そのため、本実施形態では、コネクタ部80の電流端子部82Aと、電子基板70の電流導通部72Aと、接続部材90の電流接続部92と、制御基板62の駆動電流が流れる箇所とが、電気的に接続される。従って、コネクタ部80の電流端子部82Aからの駆動電流は、電流導通部72A、及び電流接続部92を経て、制御基板62に供給される。また、本実施形態では、コネクタ部80の信号端子部82Bと、電子基板70の信号導通部72Bと、接続部材90の信号接続部94と、制御基板62の制御信号が流れる箇所とが、電気的に接続される。従って、コネクタ部80の信号端子部82Bからの制御信号は、電流導通部72A、及び電流接続部92を経て、制御基板62に供給される。
(支持部材)
図3は、本実施形態に係る支持部材の模式的な上面図である。支持部材100は、表面100Aに電子基板70が取り付けられる板状の部材である。図1に示すように、本実施形態では、支持部材100は、Z方向において制御基板62と電子基板70との間に設けられて、制御基板62と電子基板70とを放熱(冷却)する。本実施形態では、支持部材100は、Z1方向側の表面100Aが、電子基板70に、直接的に又は他の部材を介して間接的に、接触している。本実施形態では、支持部材100は、Z2方向側の表面100Bが、制御基板62に、直接的に又は他の部材を介して間接的に、接触している。支持部材100は、ケーシング10と同じ材料であってよく、例えばアルミニウム合金で構成され、本実施形態ではJISで規格されるADC12の部材で構成される。ただし、支持部材100の材料は任意であってよい。
支持部材100は、ケーシング10のZ1方向側の開口を閉塞する蓋である。支持部材100は、フランジ部100Cと、挿入部100Dと、突出部100Eとを含む。フランジ部100Cは、Z方向から見てケーシング10の空間SPよりも大きく、ケーシング10の空間SPの外側に、より詳しくは空間SPよりもZ1方向側に、位置している。フランジ部100Cは、Z方向から見てケーシング10や制御基板62に重なる位置にある。
挿入部100Dは、フランジ部100CからZ2方向側に突出する部分である。挿入部100Dは、支持部材100の、ケーシング10に挿入される部分である。挿入部100Dは、ケーシング10の空間SP内において、制御基板62よりもZ1方向側に位置するように、ケーシング10内に挿入される。本実施形態では、挿入部100Dの外周面とケーシング10の側部14の内周面とがシールされることで、空間SP内への水や異物の侵入が抑制される。挿入部100Dの外周面とケーシング10の側部14の内周面とは、例えばO-リングなどの弾性部材でシールされてよいが、シールの方式は任意であってよい。
図3に示すように、突出部100Eは、フランジ部100Cから、駆動軸32を中心軸(Z方向に沿うモータ16の中心軸)とした場合の径方向外側に向けて突出する部分である。すなわち、支持部材100の空間SP外に位置している部分のうちで、Z方向から見てケーシング10と重なる部分が、フランジ部100Cであり、Z方向から見てケーシング10と重ならない部分が、突出部100Eといえる。突出部100EのZ1方向側の表面とフランジ部100CのZ1方向の表面とは、同一面であり(すなわち連続しており)、突出部100EのZ1方向側の表面とフランジ部100CのZ1方向の表面とが、支持部材100の表面100Aとなるといえる。
図3に示すように、支持部材100の表面100Aには、電子基板70が設けられる。以下、表面100Aのうちで電子基板70が設けられる領域を、すなわちZ方向から見て電子基板70と重なる領域を、領域AR1とする。領域AR1は、表面100Aの、Z方向から見てケーシング10と重なる位置から、Z方向から見てケーシング10と重ならない位置までにわたっているため、電子基板70は、表面100Aの、Z方向から見てケーシング10と重なる位置から、Z方向から見てケーシング10と重ならない位置までにわたって設けられているといえる。
図3に示すように、支持部材100の表面100Aには、固定領域101が形成されている。固定領域101は、後述するカバー部材110の固定領域118に接着される領域である。固定領域101は、領域AR1を囲うように周状に形成されている。固定領域101は、表面100Aの、Z方向から見てケーシング10と重なる位置から、Z方向から見てケーシング10と重ならない位置までにわたって形成されている。固定領域101は、本実施形態では溝状であるが、それに限られず、例えば表面100Aから突出する凸形状であってもよいし、表面100Aから窪んだり突出したりせずに、表面100Aと同一面に形成されてもよい。
なお、固定領域101よりも内側の領域は、領域AR1よりも広くなっている。すなわち、固定領域101の内周よりも内側の領域は、電子基板70と重なる領域AR1と、電子基板70と重ならない領域AR2とを含むといえる。固定領域101よりも内側の領域とは、Z方向から見て固定領域101に囲われる領域を指し、言い換えれば、固定領域101の中心を通るZ方向に沿った軸を軸方向とした場合に、固定領域101の内周よりも径方向内側の領域を指す。
支持部材100の表面100Aには、開口部102が形成されている。開口部102は、支持部材100の表面100Aから表面100Bまで貫通する開口である。開口部102は、領域AR1に形成されており、領域AR1の、Z方向から見てケーシング10(制御基板62)と重なる位置に形成されている。さらに言えば、開口部102は、Z方向から見て、接続部材90や、電子基板70の接続穴CH2、CH3と重なる位置に形成されている。接続部材90は、開口部102内に位置し、開口部102内を通って電子基板70と制御基板62とに接続される。開口部102は、領域ARに形成されるため、Z1方向側が電子基板70に覆われる。
支持部材100の表面100Aには、窪み104が形成されている。窪み104は、支持部材100の表面100Aに形成されて表面100B側に凹む窪みであり、表面100Bまで貫通しない。窪み104は、固定領域101よりも内側であって、Z方向から見てケーシング10(制御基板62)と重ならない位置に形成されている。窪み104は、領域AR1から領域AR2にわたって形成されている。なお、窪み104は、必須の構成ではなく、形成されていなくてもよい。
支持部材100の表面100Aには、開口部105が形成されている。開口部105は、支持部材100の表面100Aから表面100Bまで貫通する開口である。開口部105は、領域AR1に形成されており、領域AR1の、Z方向から見てケーシング10(制御基板62)と重ならない位置に形成されている。さらに言えば、開口部105は、Z方向から見て、コネクタ部80の端子部82や電子基板70の接続穴CH1と重なる位置に形成されている。端子部82は、開口部105内に位置し、開口部105内を通って電子基板70に接続される。開口部105は、Z1方向側が電子基板70に覆われる。なお、本実施形態では、開口部105は、窪み104内に形成されるが、窪み104内に形成されることに限られない。
支持部材100の表面100Aには、穴部106が形成されている。穴部106は、後述するカバー部材110の圧入部128が圧入される開口である。穴部106は、固定領域101よりも内側であって、Z方向から見て電子基板70に重ならない位置に、すなわち領域AR2に、形成される。本実施形態では、穴部106は、複数形成され、図3の例では3つが形成されている。穴部106は、支持部材100の表面100Aから表面100Bまで貫通する。穴部106が表面100Bまで貫通することで、表面100Bから穴部106を加工できるため、加工の手間が抑制できる。ただし、穴部106は、表面100Bまで貫通されることに限られない。また、穴部106の数や設けられる位置は、以上の説明に限られず任意であってよい。
支持部材100の表面100Aには、コネクタ部80や電子基板70に固定されるボルトが挿通される開口107が形成される。また、支持部材100は、表面100Aの、Z方向から見てケーシング10と重なる位置に、窪みGRが形成されている。窪みGRは、カバー部材110に覆われない位置に形成される窪みであり、表面100Bまでは貫通していない。ただし、開口107、窪みGRなどは必須の構成ではない。
支持部材100の表面100Aには、第1接着領域108が形成されている。第1接着領域108は、支持部材100を電子基板70やカバー部材110と固定するための接着剤が塗布される領域であり、第1接着領域108の表面に接着層(硬化した接着剤の層)が形成されるといえる。第1接着領域108は、固定領域101よりも内側であって、Z方向から見て電子基板70に重なる位置に、すなわち領域AR1に、形成される。さらに言えば、第1接着領域108は、Z方向から見て、電子基板70の孔部74に重なる位置に形成される。
第1接着領域108は、表面100AからZ1方向に向けて突出する凸形状となっている。第1接着領域108は、孔部74と同じ数(本例では2つ)設けられている。ただし、第1接着領域108は、凸形状であることに限られず、例えば表面100Aと同一面であるなど、任意の形状であってよい。また、第1接着領域108の設けられる数も任意であってよい。例えば、Z方向から見て一方の孔部74と重なる位置から他方の孔部74に重なる位置までにわたって、1つの第1接着領域108が形成されていてもよい。
第1接着領域108のZ1方向側の先端部は、本実施形態では平面状であるが、例えばZ2方向側に窪んでいてもよい。先端部が平面状であったり窪んでいたりすることにより、接着剤を適切に塗布できる。ただし、第1接着領域108の先端部の形状は任意であってよい。
(カバー部材)
図4は、カバー部材の模式図である。カバー部材110は、Z2方向側の表面110A(対向面)が、支持部材100の表面100Aに対向するように、表面100Aに取り付けられて、電子基板70を覆うカバーである。図4に示すように、カバー部材110は、カバー部112と、側部114と、固定部116とを含む。カバー部112は、板状の部材であり、支持部材100に取り付けられた際に、Z方向から見て電子基板70と重なるカバー部材110の上面部分である。側部114は、支持部材100の外縁からZ2方向側に突出する、カバー部材110の側面部分である。固定部116は、側部114のZ2方向側の先端に形成されて、支持部材100に固定される、カバー部材110のフランジ部分である。
固定部116のZ2方向側の表面116Aには、固定領域118が形成される。固定領域118は、支持部材100の固定領域101に接着される領域である。固定領域118は、カバー部112の外縁の全区間にわたって周状に形成されている。固定領域118は、支持部材100に取り付けられた際に、固定領域101と対向する位置に設けられる。本実施形態では、固定領域118は、表面116AからZ2方向側に突出する凸形状であるが、それに限られず、例えば表面116AからZ1方向側に窪む溝形状であってもよいし、表面100Aから窪んだり突出したりせずに、表面116Aと同一面に形成されてもよい。
カバー部材110の表面110Aには、第2接着領域120が形成されている。第2接着領域120は、カバー部材110を電子基板70や支持部材100と固定するための接着剤が塗布される領域であり、第2接着領域120の表面に接着層が形成されるといえる。第2接着領域120は、カバー部112の表面112Aに形成されており、固定領域118の内側(Z方向から見て固定領域118に囲われる領域)に設けられているといえる。さらに言えば、第2接着領域120は、カバー部材110が支持部材100に取り付けられた状態において、Z方向から見て、電子基板70の孔部74、及び支持部材100の第1接着領域108に重なる位置に形成される。
第2接着領域120は、表面110AからZ2方向に向けて突出する凸形状となっている。本実施形態では、第2接着領域120は、側部114の1つの内面から、その内面に対向する側部114の内面まで延在する梁状となっている。第2接着領域120は、カバー部材110が支持部材100に取り付けられた状態において、Z方向から見て一方の孔部74及び第1接着領域108と重なる位置から、他方の孔部74及び第1接着領域108に重なる位置までにわたって延在するといえる。ただし、第1接着領域108は、凸形状や梁形状であることに限られず、任意の形状であってよい。また、第2接着領域120の設けられる数も任意であってよい。また、カバー部材110の表面110Aには、第2接着領域120と平行な方向に延在する梁部122や、第2接着領域120と交差する方向に延在する梁部124が形成されているが、梁部122、124は必須の構成ではない。
カバー部材110の表面110Aには、第3接着領域126が形成されている。第3接着領域126は、カバー部材110を電子基板70と固定するための接着剤が塗布される領域であり、第3接着領域126の表面に接着層が形成されるといえる。第3接着領域126は、カバー部112の表面112Aに形成されており、固定領域118の内側に設けられているといえる。さらに言えば、第3接着領域126は、カバー部材110が支持部材100に取り付けられた状態において、電子基板70の表面に重なる位置に形成される。
第3接着領域126は、表面110AからZ2方向に向けて突出する凸形状となっている。本実施形態では、第3接着領域126は、梁状となっている。ただし、第3接着領域126は、凸形状や梁形状であることに限られず、任意の形状であってよい。
なお、第3接着領域126は、必須の構成ではなく、カバー部材110は少なくとも1つの接着領域を有するものであってよい。また、カバー部材110は、第2接着領域120及び第3接着領域126以外にも、接着層を介して電子基板70や支持部材100に固定される領域を有していてもよい。この場合例えば、梁部122を接着領域として、梁部122と電子基板70の表面とが、接着層を介して固定されていてよい。
カバー部材110の表面110Aには、圧入部128が形成されている。圧入部128は、表面110AからZ2方向側(支持部材100側)に突出する軸状の部材である。圧入部128は、支持部材100の穴部106に圧入される。圧入部128は、カバー部材110が支持部材100に取り付けられた際に、穴部106に圧入可能な位置(Z方向から見て穴部106と重なる位置)に設けられる。本実施形態では、圧入部128は、複数形成され、図3の例では3つが形成されている。ただし、圧入部128の数や位置は、任意であってよい。
(カバー部材の取付状態)
カバー部材110は、以上説明したような構造となっている。以下、カバー部材110が支持部材100に取り付けられた状態を説明する。
図5は、カバー部材が取り付けられた状態における電子部品の模式的な上面図である。図1及び図5に示すように、カバー部材110は、表面110Aが支持部材100の表面100Aに対向し、支持部材100上の電子基板70を覆うように、支持部材100に取り付けられている。すなわち、図5に示すように、カバー部材110は、支持部材100の固定領域101より内側の領域(領域AR1及び領域AR2)を覆い、Z方向から見て、カバー部112の表面112Aが、電子基板70に重なる。
より詳しくは、支持部材100の第1接着領域108と、電子基板70の孔部74と、カバー部材110の第2接着領域120とは、Z方向から見て重なっており、孔部74の上側と内側と下側にわたって形成された接着層(硬化した接着剤)を介して、支持部材100と電子基板70とカバー部材110とが固定されている。すなわち、第1接着領域108と第2接着領域120とが、孔部74を介して対向し、第1接着領域108と第2接着領域120との間に形成された接着層によって、支持部材100と電子基板70とカバー部材110とが固定されている。また、カバー部材110の第3接着領域126と、Z方向から見て第3接着領域126と重なる電子基板70の表面上の領域である基板接着領域76とが、接着層を介して固定されることで、電子基板70とカバー部材110とが固定されている。基板接着領域76は、電子基板70の表面上における孔部74と異なる位置に形成されており、端子部(ここでは接続部材90の電流接続部92及び信号接続部94)の近傍にある。ここでの近傍とは、例えば、端子部(ここでは接続部材90の電流接続部92及び信号接続部94)に対して、3cm以内の位置にあることを指す。
また、カバー部材110の圧入部128が、支持部材100の穴部106に圧入され、カバー部材110の固定領域118が、支持部材100の固定領域101に接着層(硬化した接着剤)を介して固定(接着)されることで、カバー部材110と支持部材100とが固定されている。本実施形態では、凸形状の固定領域118が、溝形状の固定領域101内に挿入されて、固定領域118と固定領域101との間にある接着層を介して固定されている。ただし、固定領域118と固定領域101とは、それぞれ凸形状及び溝形状であることに限られない。例えば、固定領域101と固定領域118との一方が溝状であり、固定領域101と固定領域118とのとの他方が凸状であり、固定領域101と固定領域118とのうちの一方の溝内に、固定領域101と固定領域118とのうちの他方が挿入された状態で固定されていてもよい。
このように、カバー部材110が電子基板70を覆うことで、電子基板70や、電子基板70のZ2方向側の開口部102、105への水や異物の侵入が抑制される。なお、本実施形態では、カバー部材110は、Z方向から見て、支持部材100の全域にわたって重なっておらず、支持部材100の固定領域101の外側の少なくとも一部には重ならない。従って、電子基板70は、表面100Aのうち、電子基板70と重ならない領域の少なくとも一部が、カバー部材110に覆われずに露出している。ただし、カバー部材110は、Z方向から見て、支持部材100の一部のみに重なることに限られず、支持部材100の全域に重なっていてもよい。
(電子部品の製造方法)
以上説明した電子部品1の製造方法(組み立て方法)を説明する。図6及び図7は、本実施形態に係る電子部品の製造方法を説明する模式図である。図6のステップS1に示すように、本製造方法においては、支持部材100の表面100A側に電子基板70を配置する。より詳しくは、電子基板70の接続穴CH1が形成される領域が支持部材100の開口部105に重なり、電子基板70の接続穴CH2、CH3が形成される領域が支持部材100の開口部102に重なり、電子基板70の孔部74が支持部材100の第1接着領域108に重なるように、支持部材100の表面100A側に電子基板70を配置する。また、本製造方法においては、支持部材100の表面100A側に電子基板70を配置するが、電子基板70を支持部材100に対して固定しない状態(接続されていない状態)に保つ。そして、コネクタ部80の端子部82を、支持部材100の表面100B側から、開口部105内を通して、電子基板70の接続穴CH1に挿入する。また、接続部材90を、支持部材100の表面100B側から、開口部102内を通して、電子基板70の接続穴CH2、CH3に挿入する。図6の例では、制御基板62に接合済みの接続部材90が、接続穴CH2、CH3に挿入されている。従って、接続部材90を接続穴CH2、CH3に挿入することで、制御基板62を支持部材100の表面100B側に配置しているといえる。ただし、制御基板62と接合前の接続部材90を、接続穴CH2、CH3に挿入してもよい。この場合、接続部材90を接続穴CH2、CH3に挿入した後に、制御基板62を支持部材100の表面100B側に配置して、接続部材90を制御基板62に接合してもよい。
その後、図6のステップS2に示すように、電子基板70を支持部材100に対して固定しない状態で、電子基板70と端子部82とを接合する。すなわち、開口部105内を通って電子基板70の接続穴CH1に挿入された端子部82を、電子基板70と接合する。本実施形態では、接続穴CH1の周囲に加熱したはんだを塗布することで、電子基板70と端子部82とを接合する。また、電子基板70を支持部材100に対して固定しない状態で、電子基板70と接続部材90とを接合する。すなわち、開口部102内を通って電子基板70の接続穴CH2、CH3に挿入された接続部材90を、電子基板70と接合する。本実施形態では、接続穴CH2、CH3の周囲に加熱したはんだを塗布することで、電子基板70と接続部材90とを接合する。ただし、電子基板70と端子部82との接合方法、及び電子基板70と接続部材90との接合方法は、はんだ接合に限られず、任意の方法を用いてもよい。
電子基板70と端子部82、及び電子基板70と接続部材90とを接合する際には、端子部82や接続部材90が加熱されることにより、熱膨張する。その後、端子部82や接続部材90は、自然冷却又は強制冷却により冷却されて、収縮して元の大きさに戻る。
その後、図7のステップS3に示すように、電子基板70の孔部74を介して露出している支持部材100の第1接着領域108に、接着剤Aを塗布する。これにより、電子基板70と支持部材100とが硬化前の接着剤Aに接する。また、支持部材100の固定領域101と、電子基板70の基板接着領域76とにも、接着剤Aを塗布する。
その後、図7のステップS4に示すように、カバー部材110の表面110Aが支持部材100の表面100Aに対向し、カバー部材110が支持部材100の表面100A上の電子基板70を覆うように、カバー部材110を支持部材100に取り付ける。具体的には、カバー部材110の固定領域118が支持部材100の固定領域101内に配置され、カバー部材110の第2接着領域120が支持部材100の第1接着領域108上に配置され、カバー部材110の第3接着領域126が電子基板70の基板接着領域76上に配置されるように、カバー部材110を支持部材100に取り付ける。これにより、固定領域101と固定領域118とが、固定領域101内の未硬化の接着剤Aにより接して、第2接着領域120と電子基板70の孔部74の箇所と第1接着領域108とを、第1接着領域108上の未硬化の接着剤Aにより接して、第3接着領域126と基板接着領域76とを、基板接着領域76上の未硬化の接着剤Aにより接する。その後、接着剤Aを硬化させて接着層Aaとする。これにより、支持部材100とカバー部材110とが、固定領域101と固定領域118とにおいて、接着層Aaを介して固定される。また、支持部材100と電子基板70とカバー部材110とが、第2接着領域120と電子基板70の孔部74の箇所と第1接着領域108とにおいて、接着層Aaを介して固定される。同様に、電子基板70とカバー部材110とが、第3接着領域126と基板接着領域76とにおいて、接着層Aaを介して固定される。
その後、例えば支持部材100をケーシング10に取り付けることで、電子部品1の製造は終了する。
以上説明した電子部品1の製造方法のフローを、フローチャートに基づき説明する。図8は、本実施形態に係る電子部品の製造フローを説明するフローチャートである。図8に示すように、本製造方法においては、支持部材100の表面100A側に電子基板70を配置する(ステップS10)。そして、電子基板70の接続穴CH1に端子部82を挿入して、電子基板70が支持部材100に固定されていない状態で、電子基板70と端子部82とを接合し(ステップS12)、電子基板70の接続穴CH2、CH3に接続部材90を挿入して、電子基板70が支持部材100に固定されていない状態で、電子基板70と接続部材90とを接合する(ステップS14)。なお、ステップS12、S14の実行順は任意であってよい。
その後、支持部材100に接着剤Aを塗布し(ステップS16;塗布ステップ)、カバー部材110を取り付ける(ステップS18;カバー部材取り付けステップ)。具体的には、支持部材100の第1接着領域108及び固定領域101と、電子基板70の基板接着領域76とに、接着剤Aを塗布する。そして、カバー部材110の固定領域118が支持部材100の固定領域101内に配置され、カバー部材110の第2接着領域120が支持部材100の第1接着領域108上に配置され、カバー部材110の第3接着領域126が電子基板70の基板接着領域76上に配置されるように、カバー部材110を支持部材100に取り付ける。なお、ここでは、支持部材100や電子基板70に接着剤Aを塗布したが、それに限られず、カバー部材110に接着剤を塗布してよい。すなわち、第1接着領域108と第2接着領域120との少なくとも一方に接着剤Aを塗布してよく、固定領域101と固定領域118との少なくとも一方に接着剤Aを塗布してよく、基板接着領域76と第3接着領域126との少なくとも一方に接着剤Aを塗布してよい。
その後、接着剤Aを硬化させて、支持部材100と電子基板70とカバー部材110とを固定する(ステップS20;固定ステップ)。
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品1の製造方法は、支持部材100の一方の表面100Aに電子基板70を配置するステップと、電子基板70が支持部材100に対して固定されていない状態で、電子基板70と端子部82とを接合するステップと、端子部82が接合された電子基板70と支持部材100とを、接着剤Aで固定するステップと、を含む。
このように電子基板70と端子部82を接合する際には、端子部82は支持部材100と比べて熱膨張の度合いが大きくなり、端子部82は、熱膨張された状態で基板に対して固定された後に、収縮する。そのため、端子部82の収縮に電子基板70が追従できずに、端子部82や電子基板70などに応力が発生して、端子部82の接合部が破損するおそれが懸念される。それに対し、本実施形態においては、電子基板70が支持部材100に対して固定されていない状態で、電子基板70と端子部82とを接合するため、端子部82の収縮に電子基板70を追従させることが可能となり、端子部82の接合部が破損するおそれを抑制できる。一方、電子基板70が支持部材100に対して固定しない場合には、電子部品1の使用時に、電子基板70が振動して、端子部82の接合部が破損するおそれもある。それに対し、本実施形態においては、電子基板70と端子部82とを接合した後に、電子基板70を支持部材100に固定する。従って、電子部品1の使用時における電子基板70の振動も抑制され、端子部82の接合部が破損するおそれを適切に抑制できる。
電子基板70には、接続穴CH1が形成されており、本実施形態の製造方法は、接続穴CH1に端子部82を挿入するステップをさらに含む。電子基板70と端子部82とを接合するステップにおいては、電子基板70が支持部材100に対して固定されていない状態で、接続穴CH1に挿入された端子部82と電子基板70とを接合する。本実施形態においては、電子基板70が支持部材100に対して固定されていない状態で、接続穴CH1に挿入された端子部82と電子基板70とを接合するため、端子部82と電子基板70とを適切に接続しつつ、端子部82の接合部が破損するおそれを抑制できる。
支持部材100には、一方の表面100Aから他方の表面100Bまで貫通する開口部105が形成されており、端子部82を挿入するステップにおいては、支持部材100の他方の表面100B側から、開口部105を通して、接続穴CH1に端子部82を挿入する。本実施形態においては、開口部105を通して端子部82を挿入するため、コンパクトな構成としつつ、端子部82の接合部が破損するおそれを抑制できる。
接着剤Aで固定するステップは、塗布ステップと、カバー部材取り付けステップと、固定ステップとを含む。塗布ステップにおいては、電子基板70と支持部材100とが接着剤Aと接するように、電子基板70と支持部材100との少なくとも一方に接着剤Aを塗布する。カバー部材取り付けステップにおいては、電子基板70と支持部材100とが接着剤Aと接した状態で、支持部材100の一方の表面100A側から電子基板70を覆うように、カバー部材110を接着剤Aと接するように取り付ける。固定ステップにおいては、接着剤Aを硬化させることで、カバー部材110と電子基板70と支持部材100とを固定する。本製造方法においては、カバー部材110で電子基板70を覆いつつ、カバー部材110と電子基板70と支持部材100とを固定するため、電子基板70に水や異物などが付着することを抑制しつつ、端子部82の接合部が破損するおそれを抑制できる。
電子基板70には、一方の表面から他方の表面まで開口する孔部74が形成されており、塗布ステップにおいては、孔部74から、支持部材100の孔部74と重なる第1接着領域108に接着剤Aを塗布する。また、カバー部材取り付けステップにおいては、カバー部材110の電子基板70側の表面110Aに形成される第2接着領域120を、第1接着領域108と重なる位置に配置することで、第1接着領域108に塗布された接着剤Aが、第2接着領域120に接する。これにより、カバー部材110と電子基板70と支持部材100とを1つの箇所で固定することが可能となり、端子部82の接合部が破損するおそれを適切に抑制できる。
第1接着領域108は、支持部材100の一方の表面100Aから突出する凸部であり、第2接着領域120は、カバー部材110の電子基板70側の表面110Aから突出する凸部である。第1接着領域108、第2接着領域120を凸部とすることで、カバー部材110と電子基板70と支持部材100とを適切に固定でき、端子部82の接合部が破損するおそれを適切に抑制できる。
塗布ステップにおいては、電子基板70のカバー部材110側の表面であって、端子部(ここでは接続部材90の電流接続部92及び信号接続部94)の近傍(基板接着領域76)にも接着剤Aを塗布し、カバー部材取り付けステップにおいては、基板接着領域76に塗布された接着剤Aが、カバー部材110の第2接着領域120とは異なる位置(第3接着領域126)に接する。電子基板70とカバー部材110とを、端子部の近傍でも接着させることで、カバー部材110と電子基板70とを適切に固定して、端子部82の接合部が破損するおそれを適切に抑制できる。
本製造方法は、電子基板70が支持部材100に対して固定されていない状態で、電子基板70とは別の基板である制御基板62に接続される接続部材90を、電子基板70に接合するステップをさらに含む。本製造方法によると、接続部材90を接合する場合にも、応力の発生を抑制して、端子部82の接合部が破損するおそれを適切に抑制できる。
本実施形態に係る電子部品1は、支持部材100と、支持部材100の一方の表面上に設けられ、一方の表面から他方の表面まで開口する孔部74が形成された電子基板70と、電子基板70に接合される端子部82と、電子基板70を覆うように支持部材100の一方の表面100Aに取り付けられるカバー部材110と、を有し、支持部材100と電子基板70とカバー部材110とが、孔部74の上側と内側と下側にわたって設けられた接着剤(接着層Aa)を介して固定されている。本実施形態に係る電子部品1は、支持部材100と電子基板70とカバー部材110とが接着層Aaを介して固定されているため、使用時における電子基板70の振動が抑制され、端子部82の接合部が破損するおそれを適切に抑制できる。
以上、本発明の実施形態及び実施例を説明したが、これら実施形態等の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
1 電子部品
10 ケーシング
16 モータ
32 駆動軸
62 制御基板
70 電子基板
74 孔部
82 端子部
90 接続部材
100 支持部材
108 第1接着領域
120 第2接着領域
A 接着剤
Aa 接着層

Claims (3)

  1. 支持部材の一方の表面に電子基板を配置するステップと、
    前記電子基板が前記支持部材に対して固定されていない状態で、前記電子基板と端子部とを接合するステップと、
    前記端子部が接合された電子基板と前記支持部材とを、接着剤で固定するステップと、
    を含み、
    前記接着剤で固定するステップは、
    前記電子基板と前記支持部材が前記接着剤と接するように、前記電子基板と前記支持部材との少なくとも一方に接着剤を塗布する塗布ステップと、
    前記電子基板と前記支持部材とが接着剤と接した状態で、前記支持部材の一方の表面側から前記電子基板を覆うように、カバー部材を前記接着剤と接するように取り付けるカバー部材取り付けステップと、
    前記接着剤を硬化させることで、前記カバー部材と前記電子基板と前記支持部材とを固定する固定ステップと、
    をさらに含み、
    前記電子基板には、一方の表面から他方の表面まで開口する孔部が形成されており、
    前記塗布ステップにおいては、前記孔部から、前記支持部材の開口部と重なる第1接着領域に前記接着剤を塗布し、
    前記カバー部材取り付けステップにおいては、前記カバー部材の前記電子基板側の表面に形成される第2接着領域を、前記第1接着領域と重なる位置に配置することで、前記第1接着領域に塗布された接着剤が、前記第2接着領域に接する、電子部品の製造方法。
  2. 前記第2接着領域は、前記カバー部材の前記電子基板側の表面から突出する凸部である、請求項1に記載の電子部品の製造方法。
  3. 前記塗布ステップにおいては、前記電子基板の前記カバー部材側の表面であって、前記端子部の近傍にも接着剤を塗布し、
    前記カバー部材取り付けステップにおいては、前記端子部の近傍に塗布された接着剤が、前記カバー部材の前記第2接着領域とは異なる位置に接する、請求項1又は請求項2に記載の電子部品の製造方法。
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