以下、成形装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における成形装置を示す図(図1(a))、および成形装置の金型近傍を示す斜視図(図1(b))である。図1(a)においては、金型の部分を断面で示している。また、図1(b)は、金型を閉じた状態を示している。
以下、本実施の形態においては、成形装置1000が射出成形を行う横型の成形装置である場合を例に挙げて説明する。
成形装置1000は、金型10と、2本の可変伝送手段としての同軸ケーブル20と、マイクロ波照射手段30と、冷却装置60と、冷却媒体の供給用チューブ61と、同じく冷却媒体の排出用チューブ62と、成形用樹脂材料の射出装置70とを備えている。
金型10は、熱硬化性樹脂の成形に用いられる射出成形用の金型である。この金型10は、成形用のキャビティ100を形成する複数の金型部材である第一の金型部材11と第二の金型部材12とを備えている。金型10内には、金型10を閉じた状態で、第一の金型部材11と第二の金型部材12との間に成形用のキャビティ100が形成される。キャビティ100は、通常、第一の金型部材11と第二の金型部材12とが対向する部分に形成される。金型10を閉じた状態とは、例えば、金型10を型締めした状態や、金型10を構成する第一の金型部材11と第二の金型部材12とを、最終的な成形を行う位置関係となるよう配置した状態、第一の金型部材11と第二の金型部材12とを成形のために最も近接させた状態、第一の金型部材11および第二の金型部材12を合せた状態等である。金型10が開かれた状態とは、例えば、金型10が閉じられていない状態であり、例えば、第一の金型部材11と第二の金型部材12とを、成形を行うための最終的な位置関係以外の位置関係となるよう配置した状態である。
キャビティ100は、金型10を用いて成形される成形品のうちの製品となる部分が成形される空間や空洞である。ここでの成形品とは、金型10を用いて成形されたもの全体を意味する。一方、製品は、成形材料を加工して得られる完成品である。より具体的には、成形品は、後述する注入孔221内において成形材料を用いて注入孔221の形状に成形されたもの(例えば、ランナー等)と、キャビティ100内において成形材料を用いてキャビティ100の形状に成形された製品とが接続されたものである。製品は、金型10で成形された成形品から、ランナー等の、後述する注入孔221等のキャビティ100以外の空間等で成形される不要な部分を取り除くこと等により最終的に得られるものである。ここでの製品は、任意の最終製品の一部として用いられる部品等であってもよい。なお、金型10が、成形材料が充填される空間として、キャビティ100のみを有する場合等においては、金型10で成形される成形品がそのまま製品となる場合がある。
本実施の形態においては、成形品の成形を行う際に金型10を閉じてキャビティ100を形成した後に、このキャビティ100内に熱硬化性樹脂を注入し、充填する。第一の金型部材11および第二の金型部材12のキャビティ100側の面を、ここでは、キャビティ100の内面100aと呼ぶ。成形用のキャビティ100の内面100aには、例えば、成形時に成形材料である熱硬化性樹脂が接触することとなる。
ここで、第一の金型部材11はいわゆる可動型と呼ばれる移動可能な金型部材であり、第二の金型部材12はいわゆる固定型と呼ばれる固定された金型部材である。また、金型10の第一の金型部材11および第二の金型部材12が向かい合う部分にキャビティ100が形成される。第一の金型部材11は、第二の金型部材12と対向するするよう、油圧駆動手段等のいわゆる型締め装置(図示せず)に、直接、または着脱可能な可動板や固定板等を介して間接的に取付けられており、この型締め装置を動作させることで、第一の金型部材11を横方向、すなわち第二の金型部材12に近づける方向および離れる方向に移動可能となっている。ただし、第一の金型部材11を移動させる手段は型締め装置に限定されるものではない。また、第一の金型部材11には、移動方向を制限するためのガイド用のロッド(図示せず)やタイバー(図示せず)等が、直接または間接的に取付けられていてもよい。以下、第一の金型部材11の、第二の金型部材12に近づける方向の移動を、金型を閉じる方向の移動と呼び、第一の金型部材11の、第二の金型部材12から離す方向の移動を、金型を開く方向の移動と呼ぶ。
なお、第一の金型部材11および第二の金型部材12は、例えば、互いに近づけたり離したりすることが可能となるように、少なくとも一方が移動可能となっていれば、第一の金型部材11および第二の金型部材12のいずれが移動可能であるかは問わず、例えば、両方が移動可能であってもよい。また、第一の金型部材11と第二の金型部材12の移動方向、第一の金型部材11と第二の金型部材12とが配置される位置は金型10を開閉できれば良く上記に限られない。
第一の金型部材11および第二の金型部材12の材質としては、金属やセラミック等の通常の金型に利用可能な材質が用いられる。なお、第一の金型部材11および第二の金型部材12の材質としては、金属等のマイクロ波の反射性が高い材質を用いることが好ましく、このような材質を用いることで、キャビティ100内に照射されるマイクロ波を、キャビティ100内で反射させて、キャビティ100内に閉じ込めることで、マイクロ波を効率良く利用することができるとともに、キャビティ100外へのマイクロ波の漏洩を低減させることができる。ただし、第一の金型部材11および第二の金型部材12の材質等は、上記に限定されるものではない。また、第一の金型部材11および第二の金型部材12は、複数の材質の組合せで構成されていてもよい。
なお、第一の金型部材11と第二の金型部材12とは、キャビティ100内に照射されたマイクロ波が、キャビティ100から金型10の外部に漏洩しないような形状であることが好ましい。例えば、金型10を閉じた状態において、キャビティ100を除いた第一の金型部材11と第二の金型部材12との間の間隙が、マイクロ波が漏洩しない大きさであることが好ましい。
第二の金型部材12は凹部122を有し、第一の金型部材11はこの凹部122に挿入される凸部121を有しており、第一の金型部材11の凸部121を凹部122に挿入して金型を閉じた状態で、凹部122の底面側において、凸部121と凹部122との間に、キャビティ100が形成される。その際、キャビティ100以外の第一の金型部材11の凸部121と第二の金型部材12の凹部122との間の間隙は、マイクロ波を漏洩しない大きさとなるようになっている。ただし、キャビティ100内に照射されたマイクロ波が、キャビティ100から金型10の外部に漏洩しないようにするための金型10の構造や形状等は上記のような形状や構造等に限定されるものではない。また、第一の金型部材11と第二の金型部材12の形状等は、上記に限定されるものではない。なお、金型10からのマイクロ波の漏洩を防止するために、漏洩が発生する可能性のある部分に、マイクロ波の漏洩を防ぐためのシールド等の漏洩防止部材(図示せず)を適宜設けるようにしてもよい。
キャビティ100内には、熱硬化性樹脂が充填される。ここでの熱硬化樹脂は、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、もしくはメラミン樹脂等等である。ただし、熱硬化性樹脂はこれらの樹脂の2以上の組み合わせであっても良く、また、これらに限定されるものではない。ここでは、熱硬化性樹脂のみで構成されるものも、熱硬化性樹脂とそれ以外のものとを有するものも、いずれも熱硬化性樹脂と考えてもよい。例えば、上記のような熱硬化性樹脂と、ガラス繊維、カーボン繊維、もしくは植物性繊維等の繊維類、炭酸カルシウム粉末、黒鉛粉末、もしくは金属粉末等のフィラー、または、シリカゲル等の増粘剤と、を有する熱硬化性樹脂の樹脂組成物も、ここでは熱硬化性樹脂と考えてもよい。また、ここでは、成形時に発泡する熱硬化性樹脂の樹脂組成物を熱硬化性樹脂と考えてもよく、発泡剤を添加することにより発泡する熱硬化性樹脂と発泡剤とを有する樹脂組成物を、熱硬化性樹脂と考えてもよい。
キャビティ100内に充填される熱硬化性樹脂は、硬化前の低分子量状態の熱硬化性樹脂等の硬化前の熱硬化性樹脂である。ここでは、熱により硬化して熱硬化性樹脂となる熱硬化性組成物や、熱硬化性樹脂の原料や、硬化前の複数種類の熱硬化性樹脂の混合物等も、硬化前の熱硬化性樹脂と考えてもよい。硬化前の熱硬化性樹脂は、硬化前の熱硬化性樹脂以外のものを含んでいてもよい。例えば、硬化前の熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂の硬化に用いられる硬化剤等を更に含んでいてもよい。また、硬化前の熱硬化性樹脂は、例えば、硬化前の上述したような熱硬化性樹脂の樹脂組成物であってもよい。キャビティ100内に充填される熱硬化性樹脂としては、射出装置70等によりキャビティ100内に供給可能な状態のものが用いられる。キャビティ100内に充填される熱硬化性樹脂としては、例えば、流動性を有するものを用いることが好ましい。例えば、液状や流体状(例えば、高粘度の流体状)のものを用いることが好ましい。ただし、キャビティ100内に充填可能であれば、上記以外の状態の熱硬化性樹脂を用いてもよい。
金型10は、金型10の外部とキャビティ100の内面100aとを連通する2つの連通孔111を有している。金型10の外部は、金型10の外側や、連通孔111が設けられている金型部材(ここでは、第一の金型部材11)の外部等と考えてもよい。各連通孔111は、軸方向が直線状に伸びる形状の孔であることが好ましいが、軸方向が曲がっていても良い。連通孔111の軸方向に垂直な断面は、円形であることが好ましいが、円形以外の形状(例えば、多角形等)であっても良い。連通孔111の太さは、一定であっても良く、一定でなくても良い。例えば、連通孔111の太さは、金型10の外部側からキャビティ100の内面100aに向かって、連続的または段階的に変化していてもよく、例えば、内面100aに向かって、太さが連続的または段階的に広がっていてもよい。ここでは、2つの連通孔111が、第一の金型部材11のキャビティ100の内面100aの中心に対して点対称となる位置に配置されている場合を例に挙げて説明する。
金型10が有する連通孔111に対して、それぞれ、同軸ケーブル20の第一の端部20aが取付けられている。ここでは、同軸ケーブル20の第一の端部20a側の部分が、連通孔111内に金型10の外側から挿入されている。これにより、同軸ケーブル20の第一の端部20aは、第一の端部20aがキャビティ100の内面100a側に達しないように連通孔111内に配置されている。ここでの連通孔111は、例えば、キャビティ100内にマイクロ波を照射するための同軸ケーブル20が取付けられる孔である。
連通孔111のキャビティ100の内面100a側には、マイクロ波透過性を有する石英などの栓状部材50がはめ込まれている。栓状部材50のキャビティ100側の表面形状は、その周辺のキャビティ100の内面100aと、同一面を形成するような形状であることが好ましい。栓状部材50は、キャビティ100内の成形材料が成形時に連通孔111内に侵入することを防いでいる。栓状部材50は、石英に限られずマイクロ波透過性が高い材料であれば良く、その厚さは問わない。
連通孔111内に配置された同軸ケーブル20の第一の端部20aと、栓状部材50との間には、同軸ケーブル20の中心導体(図示せず)と接続されたマイクロ波アンテナ40が配置されている。同軸ケーブル20を伝送されたマイクロ波は、マイクロ波アンテナ40から出射される。栓状部材50がマイクロ波透過性を有しているため、出射されたマイクロ波は、栓状部材50を透過して、キャビティ100内に照射される。これにより、同軸ケーブル20を伝送されたマイクロ波が、連通孔111を経てキャビティ100内に照射される。キャビティ100内にマイクロ波が照射できれば、マイクロ波アンテナ40の形状や構造、長さ等は問わない。マイクロ波アンテナ40は、栓状部材50と接していても良く、接していなくても良い。また、マイクロ波アンテナ40のキャビティ100側の部分が、栓状部材50に埋め込まれていても良い。また、マイクロ波アンテナ40の先端は、キャビティ100の内面100a側に露出していても良く、露出していなくても良い。同軸ケーブル20の中心導体と、マイクロ波アンテナ40とは、どのように接続されていても良く、例えば、図示しないコネクタ等により接続されていても良い。なお、同軸ケーブル20の第一の端部20aにおいて中心導体を露出するようにし、この露出した部分をマイクロ波アンテナ40として用いるようにしてもよい。
なお、マイクロ波アンテナ40のキャビティ100側の形状が、面形状等である場合においては、栓状部材50を省略して、このマイクロ波アンテナ40のキャビティ100側の面形状の部分で、連通孔111のキャビティ100側の開口部を塞ぐようにしても良い。
連通孔111のサイズは問わない。ここでは、連通孔111をマイクロ波の導波管として用いていないため、連通孔111のサイズ等は、同軸ケーブル20を伝送されるマイクロ波に直接依存したサイズ等でなくても良い。連通孔111のサイズは、例えば、連通孔111内に同軸ケーブル20が挿入される場合、同軸ケーブル20が挿入可能なサイズであることが好ましい。例えば、同軸ケーブル20よりも大きいサイズであることが好ましい。
なお、連通孔111に対する同軸ケーブル20の第一の端部20aの取付け方法は、上記に限定されるものではない。例えば、同軸ケーブル20は、同軸ケーブル20を伝送されたマイクロ波が、連通孔111を経てキャビティ100内に照射されるよう取付けられていれば、連通孔111に対してどのように取付けられていてもよい。図1(b)に示すように、同軸ケーブル20の第一の端部20aが連通孔111内に位置するように取付けられていてもよく、第一の端部20aが連通孔111内に位置しないように取付けられていてもよい。例えば、第一の端部20aが、連通孔111内に挿入されていても良く、挿入されていなくても良い。例えば、連通孔111内に配置されるマイクロ波アンテナ40の長さが、金型10の外部に突き出る長さである場合、同軸ケーブル20は、第一の端部20aが連通孔111に位置しないように取付けられ、同軸ケーブル20の中心導体が、金型10の外部で、連通孔111内のマイクロ波アンテナ40と接続されても良い。ただし、連通孔111の軸心方向と、同軸ケーブル20の軸心方向とが同じ方向となるように取付けられていることが好ましく、連通孔111の軸心と、同軸ケーブル20の軸心とが同軸となるよう取付けられていることが好ましい。
また、同軸ケーブル20の第一の端部20aは、連通孔111に対して直接取付けられていてもよく、間接的に取付けられていてもよい。例えば、第一の端部20aは連通孔111内にはめ込まれて取付けられていてもよく、第一の端部20aと連通孔111とにそれぞれ設けられた継手等により取付けられていてもよい。このような継手としては、例えば、同軸ケーブルを、他の部材や機器等とに取付ける公知の継手等が利用可能である。
また、同軸ケーブル20は、連通孔111に対して、例えば、着脱可能に継手等を介して取付けられていることが好ましい。
また、同軸ケーブル20は、第一の端部20aを連通孔111に取付けた状態で、連通孔111と、同軸ケーブル20との間の隙間等からマイクロ波が漏洩しないように取付けられることが好ましい。例えば、同軸ケーブル20の第一の端部20aが連通孔111内に挿入される場合であって、同軸ケーブル20の連通孔111内に挿入されている部分の側面と、連通孔111の内面との間に隙間等がある場合、この部分に、金属メッシュ等のシールド材が配置されていることが好ましい。また、同軸ケーブル20の第一の端部20aとマイクロ波アンテナ40とが連通孔111の外側で接続される場合、マイクロ波反射性材料等のカバーを、この接続部分および連通孔111を覆うように配置することが好ましい。例えば、継手がこれらを覆うように配置されていることが好ましい。なお、同軸ケーブル20の第一の端部20a近傍は昇温することから、その金型から露出する部分に例えば円盤状の放熱フィンなどの冷却機構を設けると良い。
同軸ケーブル20とマイクロ波アンテナ40との接続は、上記のような接続に限定されるものではない。例えば、同軸ケーブル20と、マイクロ波アンテナ40とは、同軸管(図示せず)等を介して接続されていても良い。例えば、マイクロ波アンテナ40を、同軸管の中心導体(図示せず)の第一の端部(図示せず)と接続し、この同軸管の中心導体の第二の端部(図示せず)を、同軸ケーブル20の中心導体(図示せず)の第一の端部20a側の部分と接続しても良い。この同軸管は、全体が連通孔111内に配置されていても良く、その一部が連通孔111内に配置されていても良く、全体が連通孔111の外側に取付けられていてもよい。この同軸管は、連通孔111内にはめ込むこと等によって連通孔111に固定されていても良い。この同軸管と同軸ケーブル20とは、例えば、図示しない継手等を介して接続されていても良い。また、同軸管と同軸ケーブル20とは、着脱可能な継手等により、着脱可能となるよう接続されていることが好ましい。かかることは同軸管とマイクロ波アンテナ40との接続についても同様である。
なお、連通孔111の配置は、図1に示すような配置に限定されるものではない。連通孔111は、例えば、キャビティ100の形状や大きさや、照射されるマイクロ波の波長や強度等に応じて、キャビティ100内のマイクロ波の強度分布が所望の強度分布となるような配置とすることが好ましい。なお、マイクロ波の強度は、マイクロ波の電界強度であっても良く、磁界強度であっても良い。かかることは、以下においても同様である。
第二の金型部材12は、注入孔221を有している。注入孔221は射出装置70から射出される成形材料である熱硬化性樹脂を、キャビティ100内に注入するために設けられた孔であり、キャビティ100と、第二の金型部材12aの外部とを連通する孔である。注入孔221の外側は、射出装置70の射出口71と接続されており、射出装置70の射出口71から射出される熱硬化性樹脂が、注入孔221のキャビティ100側の開口部から、キャビティ100内に注入される。注入孔221は、いわゆるスプルーやランナー等の、熱硬化性樹脂をキャビティ100に注入するための流路である。本実施形態では、注入孔221は、その孔内で硬化した熱硬化性樹脂が金型10を開いた際に、成形品の一部として金型10から取り外せるよう、キャビティ100側に向かってテーパー状に広がっている形状を有している。金型10に設けられる注入孔221の形状等については、スプルーやランナー等の形状等として公知技術であるため、説明を省略する。
第一の金型部材11および第二の金型部材12のそれぞれの内部には、冷却媒体の流路(図示せず)が設けられている。冷却媒体は、例えば、水等の、通常の金型の冷却に利用可能な冷媒を利用することができる。第一の金型部材11および第二の金型部材12にそれぞれ設けられている冷却媒体の流路は、それぞれ、供給用チューブ61および排出用チューブ62を介して冷却装置60と接続され、冷却装置60から供給される冷却媒体が、供給用チューブ61を介して冷却媒体の流路に供給されて流路内を循環し、排出用チューブ62を介して冷却装置60に対して排出される。冷却装置60は、例えば、排出用チューブ62を介して排出された媒体を、再度冷却して、供給用チューブ61を介して金型10に供給する。本発明によればそもそも金型は昇温しないが、成形を繰り返すことにより、金型温度が経時的に徐々に昇温することを適宜な冷却によって防止でき、金型全体をヒートシンクとして作用して硬化した成形品を速やかに取り出す温度まで冷却することができる。金型を冷却するための構成については、公知であるため、ここでは詳細な説明は省略する。なお、金型10の冷却はあくまでオプションであり、金型の熱容量や成形速度などを考慮して、不要であれば、冷却媒体の流路や、供給用チューブ61、排出用チューブ62、および冷却装置60を設けないようにしても良い。また、成形装置1000が有する金型を冷却するための構成は、ここで説明したような構成に限定されるものではない。
同軸ケーブル20は、第一の端部20a(一端)と、第二の端部20b(他端)とを有している。一の同軸ケーブル20の第一の端部20aは、一の連通孔111に対して取付けられている。例えば、同軸ケーブル20は、金型10に設けられた1または2以上の連通孔111に対してそれぞれ、一本ずつ取付けられている。ただし、金型10が有する全ての連通孔111に対して、同軸ケーブルが取付けられていなくてもよい。ここでは、2つの連通孔111のそれぞれに対して一つずつ2本の同軸ケーブルが取付けられている場合について説明する。各同軸ケーブル20は、第二の端部20bが、マイクロ波照射手段30と接続され、マイクロ波照射手段30が出力するマイクロ波をそれぞれ伝送する。
同軸ケーブル20の太さ等は問わない。同軸ケーブル20としては、例えば、マイクロ波照射手段30が出力するマイクロ波を伝送可能なものを用いる。同軸ケーブルは形状が固定された一般的な導波管と異なり、一種類のケーブルで複数種類の周波数のマイクロ波を選択的に伝送可能である。なお、後述するフレキシブル導波管を用いても所定の周波数範囲に対応できるが、同軸ケーブルの方がより広い範囲の周波数に対応可能である。例えば、ある周波数のマイクロ波を伝送可能な同軸ケーブルを変更することなく、更に高い周波数のマイクロ波をも伝送することが可能である。このため、同軸ケーブル20を用いることで、金型10に大きな変更を加えることなく、異なる周波数のマイクロ波を伝送して、キャビティ100内に照射することが可能となる。マイクロ波照射手段30が異なる周波数のマイクロ波を照射するものである場合、同軸ケーブル20としては、例えば、マイクロ波照射手段30が照射する異なる周波数のマイクロ波の全ての伝送可能な同軸ケーブルを用いるようにしてもよい。
マイクロ波照射手段30は、同軸ケーブル20の第二の端部20bと接続されており、同軸ケーブル20を介して、金型10のキャビティ100内にマイクロ波を照射する。具体的には、マイクロ波照射手段30が有する2つの異なるマイクロ波発振器300は、それぞれ、第一の端部20aが異なる連通孔111に対して取付けられた異なる2本の同軸ケーブル20の第二の端部20bとそれぞれ接続されており、各マイクロ波発振器300が出力するマイクロ波は、それぞれに接続された同軸ケーブル20を伝送される。各同軸ケーブル20を伝送されたマイクロ波は、各同軸ケーブル20の第一の端部20aに接続された異なる連通孔111内のマイクロ波アンテナ40から出射され、キャビティ100内に照射される。これにより、各マイクロ波発振器300が出力したマイクロ波が、それぞれ、異なる連通孔111を経てキャビティ100内に照射される。
マイクロ波照射手段30は、キャビティ100内に充填された成形材料である熱硬化性樹脂に対してマイクロ波を照射する。マイクロ波照射手段30は、例えば、金型10のキャビティ100内に熱硬化性樹脂が充填されている状態で、キャビティ100内にマイクロ波を照射することで、キャビティ100内の熱硬化性樹脂に対してマイクロ波を照射して、熱硬化性樹脂を加熱する。マイクロ波照射手段30は、キャビティ100内に充填された硬化前の熱硬化性樹脂(流動性を有する熱硬化性樹脂)にマイクロ波を照射して加熱することで、キャビティ100内において該樹脂を硬化させる。
マイクロ波照射手段30は、キャビティ100内に硬化前の熱硬化性樹脂が充填された後にマイクロ波の照射を開始し、この熱硬化性樹脂が加熱されて硬化するまでマイクロ波の照射を行う。マイクロ波照射手段30によるマイクロ波の照射は、連続的に行われてもよく、断続的に行われてもよい。キャビティ100内に熱硬化性樹脂が充填されたことはどのように判断してもよく、例えば、射出装置70が熱硬化性樹脂を射出する時間によって充填の完了を判断してもよく、射出装置70が、キャビティ100を充填するために必要な量の熱硬化性樹脂を射出した場合に、充填の完了を判断してもよい。例えば、マイクロ波照射手段30は、射出装置70が成形材料である熱硬化性樹脂の射出を開始してから、予め決められた充填に必要な時間が経過した場合に、マイクロ波の照射を開始するようにしても良い。上記のようなマイクロ波照射手段30がマイクロ波の照射を行う時期や長さ等の制御は、例えば、成形装置1000が有する制御部(図示せず)等により行われる。また、上記のような充填完了の判断等も、この制御部が行うようにしても良い。この制御部は、マイクロ波照射手段30内に設けられていてもよく、マイクロ波照射手段30の外部に設けられていてもよい。このマイクロ波照射手段30を制御する制御部は、例えば、専用の制御回路や、コンピュータ等を用いて実現可能である。
マイクロ波照射手段30が有する各マイクロ波発振器300は、マイクロ波を発生して出力可能なものであれば、どのような構造のものであるかは問わない。マイクロ波発振器300は、例えば、半導体型発振器または注入同期型発振器である。半導体型発振器または注入同期型発振器をマイクロ波発振器300として用いることで、例えば、出力するマイクロ波の位相を制御することが可能であるため、位相を制御する場合は、半導体型発振器または注入同期型発振器を用いることが好ましい。また、マイクロ波発振器300は、マグネトロンや、クライストロン、ジャイロトロン等のマイクロ波発振器であってもよい。また、各マイクロ波発振器300は、増幅器(図示せず)等を有していても良い。
マイクロ波発振器300が出射するマイクロ波の周波数や、出力等は問わない。各マイクロ波発振器300が出射するマイクロ波の周波数は、例えば、2.45GHzであってもよく、5.8GHzであってもよく、24GHzであってもよく、10GHzであってもよく、その他の300MHzから300GHzの範囲内の周波数であってもよい。
なお、マイクロ波照射手段30は、同軸ケーブル20の第二の端部20bと接続されており、同軸ケーブル20を介して、金型10のキャビティ100内にマイクロ波を照射するものであれば、上記のものに限定されるものではない。
また、マイクロ波照射手段30は、一のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を、分岐して、2本の同軸ケーブル20に伝送させ、各同軸ケーブル20が取付けられた2つの連通孔111からキャビティ100内にマイクロ波を照射するようにしても良い。例えば、一のマイクロ波発振器300を、分岐器(図示せず)や、分配器(図示せず)等の分岐手段等を介して、2つの連通孔111に第一の端部20aが取付けられた2本の同軸ケーブル20の第二の端部20bと接続し、一のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を、2本の同軸ケーブル20を介して伝送させるようにしてもよい。この場合、各同軸ケーブル20の第二の端部20bは、同軸ケーブル20の分岐器等と接続されている部分等と考えても良く、分岐器等の分岐手段がマイクロ波発振器300と接続されている部分と考えてもよい。なお、例えば、マイクロ波発振器300として半導体型発振器または注入同期型発振器を用いる場合であって、一のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を分岐して、分岐した各マイクロ波をそれぞれ異なる増幅器で増幅して、同軸ケーブル20を介して伝送する場合、各増幅器をそれぞれ異なるマイクロ波発振器300と考えるようにしてもよい。
マイクロ波照射手段30は、異なる周波数のマイクロ波を照射するものであっても良い。例えば、マイクロ波照射手段30は、キャビティ100内にマイクロ波を照射する工程において、複数の同軸ケーブル20を介してキャビティ100内に行われるマイクロ波の照射を、異なる周波数で行うようにしてもよい。例えば、マイクロ波照射手段30は、周波数を変更可能な1以上のマイクロ波発振器300を有しており、同軸ケーブル20を介して照射するマイクロ波の周波数を変更しても良い。また、マイクロ波照射手段30は、異なる周波数のマイクロ波を照射する2以上のマイクロ波発振器300を有しており、一の同軸ケーブル20の第二の端部20bに接続するマイクロ波発振器300を、異なる周波数のマイクロ波を照射する2以上のマイクロ波発振器300のいずれか一方に切替えて利用可能なものであっても良い。また、マイクロ波照射手段30は、異なる周波数のマイクロ波をそれぞれ照射する2つのマイクロ波発振器300を有しており、それぞれのマイクロ波発振器300と接続された同軸ケーブル20を介して、異なる連通孔111から異なる周波数のマイクロ波を照射するようにしても良い。この場合、例えば、全てのマイクロ波発振器300から同時に異なるマイクロ波を出力しても良く、同時にマイクロ波を出力しないようにしても良い。
マイクロ波照射手段30は、例えば、成形材料の比誘電損失が高くなるように、異なる周波数のマイクロ波を照射するようにしても良い。本実施の形態においては、異なる周波数のマイクロ波を伝送可能な同軸ケーブル20を用いてマイクロ波照射を行うため、金型10等を作り替えたり、同軸ケーブル20を取り替えたりすることなく、同じ金型10のキャビティ100内に異なる周波数のマイクロ波を照射することができる。かかることは、他の実施の形態においても同様である。マイクロ波照射手段30は、成形材料の比誘電損失の経時的な変化に応じて、経時的に異なる周波数のマイクロ波を照射しても良く、異なる成形材料を用いた成形等の異なる成形を一の金型10を用いて行う際に、異なる周波数のマイクロ波を照射しても良い。これにより、例えば、マイクロ波加熱の効率を、成形材料毎の比誘電損失の違いや、成形材料の温度変化による比誘電損失の変化にあわせて最適化したり、向上させたりすることができる。
例えば、成形品のグレード等にあわせて、一の金型を用いて同じ形状を有する異なる材質の成形品を製造する場合がある。一方、マイクロ波加熱等においては、比誘電損失が最大となるマイクロ波の周波数等が加熱対象となる成形材料等によって異なることが知られている。このことから、一の金型により、異なる成形材料を用いて成形を行う場合、成形材料ごとに、その成形材料に最適な周波数のマイクロ波を照射して成形を行うことが、加熱効率等の点から好ましい。同軸ケーブル20は、異なる周波数のマイクロ波を伝送可能であるため、各実施の形態の成形装置1000においては、同軸ケーブル20を介して異なる周波数のマイクロ波を金型10のキャビティ100内に照射でき、一の金型10を用いた成形において、異なる周波数のマイクロ波照射を行うことができる。これにより、例えば、上記のように、一の金型10により異なる成形材料を用いた成形を行う際に、成形材料に適した周波数のマイクロ波照射を行うことができ、加熱効率等の向上を図ることができる。
また、マイクロ波加熱においては、材料の温度によっても比誘電損失が最大となるマイクロ波の周波数が異なることが知られている。このため、マイクロ波照射を行って、成形材料を加熱する工程においては、成形材料の温度の変化に応じて、照射するマイクロ波の周波数を、その温度における比誘電損失が大きくなるような周波数に変更することが、加熱効率等の点から望まれる。本実施の形態の成形装置1000においては、同軸ケーブル20を用いてマイクロ波を照射するため、異なる周波数のマイクロ波照射を金型のキャビティ100内に行うことができ、例えば、マイクロ波照射によって成形材料を加熱している際に、マイクロ波照射手段30が出力するマイクロ波の周波数を変更して、成形材料の現在の温度に適した周波数のマイクロ波照射を行うことできる。なお、成形時の成形材料の温度は、金型10に図示しない温度センサ等を取付けて検出しても良く、予め、実験等を行って、マイクロ波照射時の温度の経時的な変化を示す情報を取得し、この情報を用いて、経過時間から温度を取得しても良い。
なお、例えば、上記実施の形態の成形装置において、同軸ケーブル20の第一の端部20aを取付ける連通孔111を金型に設ける代わりに、形状が固定された一般的な導波管等を金型に取付けて、キャビティ100内にマイクロ波照射を行うことも考えられるが、導波管は、伝送するマイクロ波の波長毎に、その断面形状や断面のサイズ、長さ等が決まってしまう。このため、このような一般的な導波管を用いた場合、同軸ケーブルを用いた場合に比べて、伝送可能な周波数の範囲が狭く、同軸ケーブルほどには、周波数を大きく変更することはできない。このため、導波管と取付けられた金型で周波数が大きく異なるマイクロ波を照射するためには、金型を作り替える必要がある。また、同軸ケーブルを用いた場合のように、一の金型を用いて成形を行っている途中に周波数を大きく変更することが同軸ケーブルを用いた場合に比べて困難となる。したがって、周波数を変更する場合、同軸ケーブル20を利用することが好ましい。
マイクロ波照射手段30は、例えば、複数の同軸ケーブル20を介して、異なる出力のマイクロ波を照射しても良い。例えば、マイクロ波照射手段30は、キャビティ100内にマイクロ波を照射する工程において、複数の同軸ケーブル20を介してキャビティ100内に行われるマイクロ波の照射を、異なる出力で行うようにしてもよい。例えば、マイクロ波照射手段30は、同軸ケーブル20毎に異なる出力のマイクロ波を照射しても良い。ここでのマイクロ波の出力とは、マイクロ波の強度や電力と考えてもよい。例えば、マイクロ波照射手段30は、強度が異なるマイクロ波を照射する2以上のマイクロ波発振器300を有しており、一の同軸ケーブル20の第二の端部20bに接続するマイクロ波発振器300を、強度が異なるマイクロ波を照射する2以上のマイクロ波発振器300のいずれか一方に切替えて利用可能なものであっても良い。また、一のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を分岐して、分岐した各マイクロ波をそれぞれ異なる増幅器で増幅して、同軸ケーブル20を介して伝送する場合、各増幅器の増幅率を変化させることで、出力を同軸ケーブル20毎に変更してもよい。この場合、各増幅器をそれぞれ異なるマイクロ波発振器300と考えるようにしてもよい。また、マイクロ波照射手段30が有するマイクロ波発振器300は、個別に出力のオンとオフとを制御可能なものであっても良い。
なお、マイクロ波照射手段30が、異なる同軸ケーブル20を介して伝送するマイクロ波の位相は、同位相であってもよく、異なる位相であってもよい。例えば、マイクロ波照射手段30は、キャビティ100内にマイクロ波を照射する工程において、複数の同軸ケーブル20を介してキャビティ100内に行われるマイクロ波の照射を、同軸ケーブル毎に位相を制御して行うようにしてもよい。
例えば、マイクロ波照射手段30は、2本の同軸ケーブル20を介して2つの連通孔111からそれぞれ照射するマイクロ波の位相を制御するようにしてもよい。2本の同軸ケーブル20を介してキャビティ100内にそれぞれ照射するマイクロ波の位相を制御することで、例えば、マイクロ波同士の干渉等によって、キャビティ100内にマイクロ波を均等に照射させたり、キャビティ100内の1以上の所望の箇所において、マイクロ波を集中させたり、マイクロ波の強度を強めあうようにすることができる。これにより、例えば、キャビティ100内のマイクロ波の強度の分布を所望の分布となるように制御することができる。なお、マイクロ波照射手段30は、2つのマイクロ波発振器300が出射するマイクロ波の位相を同位相となるよう制御して良い。ここでの位相の制御は、例えば、初期位相の制御と考えてもよい。マイクロ波照射手段30が出力する位相が異なるマイクロ波は、例えば、同じ周波数の位相が異なるマイクロ波である。
例えば、2本の同軸ケーブル20にそれぞれ接続されたマイクロ波照射手段30が有する2つのマイクロ波発振器300として、出力するマイクロ波の位相が制御可能なものを用いるようにし、これらが出力するマイクロ波の位相を個別に制御することで、それぞれに接続された異なる同軸ケーブル20から照射されるマイクロ波の位相を個別に制御できるようにしても良い。位相を制御可能なマイクロ波発振器300は、例えば、位相器または位相制御器(図示せず)等を備えたマイクロ波発振器である。位相を制御可能なマイクロ波発振器300は、例えば、半導体型発振器(または注入同期型発振器)と、この半導体型発振器(または注入同期型発振器)が出力するマイクロ波の位相を変更する位相器または位相制御器とを有するマイクロ波発振器である。各マイクロ波発振器300の位相は、例えば、図示しない制御手段等により制御される。位相を制御する制御手段は、例えば、マイクロ波照射手段30が有していてもよい。なお、2つのマイクロ波発振器300のうちの、いずれか一方のみを、位相を制御可能なものとしても良い。なお、一のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を分岐し、分岐した各マイクロ波の位相をそれぞれ異なる位相器または位相制御器(図示せず)で変更して同軸ケーブル20を介して伝送する場合、各位相器または位相制御器をそれぞれ、位相を制御可能な異なるマイクロ波発振器300と考えるようにしてもよい。なお、例えば、マイクロ波発振器300としてマグネトロンを用いる場合においても、一のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を、分岐手段等を用いて分岐して、分岐したマイクロ波をそれぞれ同軸ケーブル20を介して伝送させるようにしてもよい。また、この場合、分岐したマイクロ波の少なくとも1以上については、位相を位相器または位相制御器を用いて変更して同軸ケーブルに伝送させるようにしても良く、分岐したマイクロ波の少なくとも1以上については、増幅器で増幅して同軸ケーブルに伝送させるようにしても良い。
また、例えば、マイクロ波照射手段30が、1本の同軸ケーブル20と接続されるマイクロ波発振器300として、異なる位相のマイクロ波を出力する2以上のマイクロ波発振器300を有するようにして、同軸ケーブル20と接続されるマイクロ波発振器300を、異なる位相のマイクロ波を出力するマイクロ波発振器300に切替えることで、異なる位相のマイクロ波を1本の同軸ケーブル20を介して照射できるようにしても良い。
マイクロ波照射手段30は、例えば、複数のマイクロ波発振器300を備えたものであって、そのマイクロ波発振器300のうちの少なくとも一部が、他のマイクロ波発振器300とは異なる位相のマイクロ波を発生するよう制御可能であるものであってもよい。なお、マイクロ波照射手段30は、複数のマイクロ波発振器300が出射するマイクロ波の位相が同位相となるよう制御可能なものであっても良い。位相の制御は、例えば初期位相の制御と考えてもよい。
なお、マイクロ波照射手段30は、キャビティ100内におけるマイクロ波の強度分布が所望の強度分布となるように、2本の同軸ケーブル20を介して2つの連通孔111からキャビティ100内にマイクロ波を照射するものであることが好ましい。例えば、マイクロ波照射手段30は、キャビティ100内にマイクロ波を照射する工程において、複数の同軸ケーブル20を介してキャビティ100内に行われるマイクロ波の照射を、キャビティ100内のマイクロ波が所望の強度分布となるよう行うようにしてもよい。このようなマイクロ波照射が行われるよう、上述した制御部(図示せず)等がマイクロ波照射手段30を制御してもよい。かかることは、他の実施の形態においても同様である。例えば、マイクロ波照射手段30は、キャビティ100内におけるマイクロ波が所望の強度分布となるよう、2本の同軸ケーブル20を介してそれぞれキャビティ100内に照射するマイクロ波を異なる強度や同じ強度等となるように個別に設定しても良い。また、それぞれの連通孔111から照射される強度を経時的に変更しても良い。
また、例えば、マイクロ波照射手段30は、キャビティ100内におけるマイクロ波が所望の強度分布となるよう、2本の同軸ケーブル20を介してそれぞれキャビティ100内に照射されるマイクロ波の位相を制御しても良い。例えば、第一の金型部材11が有する2つの連通孔111からそれぞれ照射されるマイクロ波の位相を制御することで、干渉等によって、マイクロ波同士が強度を強めあう位置や、打ち消しあう位置、マイクロ波が集中する位置等を変更することができるため、照射するマイクロ波の位相をそれぞれ制御することで、マイクロ波を所望の強度分布となるようにすることができる。照射されるマイクロ波の位相は、経時的に変化させても良い。
また、マイクロ波照射手段30は、2本の同軸ケーブル20をそれぞれ介してマイクロ波を照射する期間を異なる期間としても良い。例えば、マイクロ波照射手段30は、キャビティ100内にマイクロ波を照射する工程において、複数の同軸ケーブル20を介してキャビティ100内に行われるマイクロ波の照射を、異なる期間に行うようにしてもよい。例えば、マイクロ波照射手段30は、同軸ケーブル20毎に、マイクロ波を照射する期間を異なる期間としても良い。例えば、マイクロ波照射手段30は、2本の同軸ケーブル20を介してマイクロ波を照射する期間を、異なる期間としてもよく、同じ期間としてもよい。異なる期間とは、例えば、期間同士の終了時刻と開始時刻との少なくとも一方が異なる期間である。例えば、異なる同軸ケーブル20を介して行われるマイクロ波照射の期間を異なる期間とすることで、キャビティ100内のマイクロ波の強度分布を、経時的に異なるように変更できる。また、キャビティ100の形状と、連通孔111の位置との関係等から、成形材料に対して、最適な加熱を行うことが可能となる。例えば、キャビティ100の厚さ(例えば、第一の金型部材11と、第二の金型部材12との距離)が厚い部分に位置する連通孔111からのマイクロ波照射を、厚さの薄い部分に位置する連通孔111からのマイクロ波照射よりも早く開始したりすることで、キャビティ100内の熱硬化性樹脂を均等に加熱したり、場合によっては、不均一に加熱することが可能となる。なお、マイクロ波照射手段30が有する一のマイクロ波発振器300の出力が分岐手段等で分岐されて、2本の同軸ケーブル20と接続されている場合、少なくとも一本の同軸ケーブル20に、伝送されるマイクロ波を遮断する遮断手段等を設けるようにし、この遮断手段を適宜操作、あるいは図示しない制御手段等により制御して、分岐されて2本の同軸ケーブル20をそれぞれ伝送されるマイクロ波を異なるタイミングで遮断すること等によって、2本の同軸ケーブル20を介して照射されるマイクロ波の照射期間を異なる期間とするようにしてもよい。
射出装置70は、成形材料である硬化前の熱硬化性樹を射出する装置であり、熱硬化性樹脂を射出する射出口71を有している。射出装置70や射出口71の構造等は問わない。射出装置70については、公知技術であるため、説明を省略する。また、射出口71の構造等についても、公知技術であるため、説明は省略する。なお、ここでは、成形装置1000が、射出装置70を含む場合について説明したが、成形装置1000は、射出装置70を含むと考えてもよく、含まないと考えてもよい。含まない場合、例えば、成形装置1000の外部の射出装置70等を用いるようにすればよい。
図2は、成形装置1000を用いた成形品の製造方法を説明するための断面図(図2(a)~図2(d))である。図2において、冷却装置60、供給用チューブ61、および排出用チューブ62等は省略している。
以下、成形装置1000を用いた熱硬化性樹脂の成形品の製造方法の具体例について、図2を用いて説明する。
(ステップS101)まず、図2(a)に示すように、図示しない型締め装置等を動作させて、第一の金型部材11を成形時の位置まで、第二の金型部材12に近づける方向に移動させて、凸部121を凹部122に挿入して、金型10を閉じた状態とする。第一の金型部材11と第二の金型部材12との間には成形用のキャビティ100が形成される。具体的には凸部121と凹部122とに挟まれた部分に成形用のキャビティ100が形成される。
(ステップS102)つぎに、キャビティ100内に熱硬化性樹脂80を充填する。ここでは、ステップS101のように金型10を閉じた状態で、注入孔221から、金型10が有するキャビティ100内に成形材料である熱硬化性樹脂80を注入して、キャビティ100内を熱硬化性樹脂80で充填する。具体的には、図2(b)に示すように、射出装置70の射出口71から流動性を有する硬化前の熱硬化性樹脂80を射出して、第二の金型部材12aの注入孔221を介してキャビティ100内に硬化前の熱硬化性樹脂80を注入する。この注入を、キャビティ100が熱硬化性樹脂で充填されるまで行う。なお、硬化しない温度に射出装置70で予備的に加熱した熱硬化性樹脂を射出装置70から注入するようにしてもよい。
なお、キャビティ100内に熱硬化性樹脂80を充填する、ということは、例えば、キャビティ100内の成形に必要な位置に、成形に必要な量の熱硬化性樹脂80を配置する(例えば、注入する)ことであり、例えば、キャビティ100を熱硬化性樹脂80で満たすことであってもよく、キャビティ100の設計等によっては、キャビティ100内の、予め決められた部分だけを熱硬化性樹脂で満たすことであってもよい。例えば、熱硬化性樹脂80で充填された状態のキャビティ100内には、熱硬化性樹脂80が隙間なく入っていてもよく、その製品仕様によっては熱硬化性樹脂とキャビティ100とに間に積極的に空隙等が存在している部分を設けるようにしても良い。かかることは、他の実施の形態においても同様である。
(ステップS103)図2(c)に示すように、キャビティ100内への熱硬化性樹脂80の充填が終了した後、マイクロ波照射手段30から、金型10の複数の連通孔111にそれぞれ取付けられた同軸ケーブル20を介してキャビティ100内に充填された熱硬化性樹脂80に対してマイクロ波を照射して、キャビティ100内で熱硬化性樹脂80を硬化させる。例えば、マイクロ波照射手段30の2つのマイクロ波発振器300がそれぞれマイクロ波を発生し出力すると、出力されたマイクロ波は、それぞれ、同軸ケーブル20を介して伝送され、同軸ケーブル20の第一の端部20aに接続されたマイクロ波アンテナ40からそれぞれ出射され、栓状部材50を透過してキャビティ100内に照射される。これにより、各連通孔111からマイクロ波がキャビティ100内に照射される。キャビティ100内に照射されたマイクロ波は、キャビティ100内に充填された硬化前の熱硬化性樹脂80に照射される。マイクロ波の照射によって、充填された熱硬化性樹脂80が加熱されて硬化する。
ここでのマイクロ波の照射は、例えば、キャビティ100内に充填された熱硬化性樹脂80が硬化するまで行う。例えば、マイクロ波の照射は、硬化に必要な予め設定された時間だけ行う。例えば、マイクロ波の照射時間等は、キャビティ100のサイズや、照射されるマイクロ波の強度に応じて設定される。照射するマイクロ波の波長等は、使用する熱硬化性樹脂の種類等に応じて設定する。なお、金型10等に取付けた温度センサ等のセンサ(図示せず)を利用して、温度の変化から熱硬化性樹脂の硬化の終了を検出し、硬化の終了を検出した場合に、マイクロ波の照射を終了してもよい。
ここでは、上述したように、金型10が、キャビティ100内に照射されたマイクロ波を漏洩しない構造を有しているため、マイクロ波のロスが少ない。また、金型10からのマイクロ波漏洩を防ぐための構成(例えば、成形装置1000の金型10部分全体を覆うシールド等)が不要である。
(ステップS104)キャビティ100内の熱硬化性樹脂80の硬化が終了すると、マイクロ波照射手段30からのマイクロ波の出力を停止する。マイクロ波の照射を停止した後、金型10を冷却して、キャビティ100内の硬化した熱硬化性樹脂を冷却する。ここでは、冷却装置60から供給用チューブ61および排出用チューブ62を介して第一の金型部材11aと第二の金型部材12aとにそれぞれ設けられた冷却媒体用の流路に冷却媒体を循環させて、硬化した熱硬化性樹脂80を冷却する。マイクロ波の照射を停止した際の金型10の温度が、加熱により硬化した熱硬化性樹脂80をキャビティ100から取り外し可能な温度である場合のように、冷却装置60を用いた冷却等が不要であれば、上記したように冷却装置60は不要であり、かつこの工程は行わなくてもよい。
(ステップS105)図2(d)に示すように、図示しない型締め装置を用いて、第一の金型部材11aを、金型10を開く方向、すなわち、第二の金型部材12aから離れるよう横方向に移動させて金型10を開く。そして、成形品81を取り出す。ここでは、キャビティ100内で硬化した熱可塑性樹脂と、注入孔221内で硬化した熱硬化樹脂とで構成される成形品81が取り出される。
なお、ステップS103において、複数の同軸ケーブル20を介してキャビティ100内に行われるマイクロ波の照射を、上記で説明したように、キャビティ100内におけるマイクロ波の強度分布が所望の強度分布となるように行うようにしてもよい。また、複数の同軸ケーブル20を介してキャビティ100内に行われるマイクロ波の照射を、上記で説明したように、同軸ケーブル20毎に位相を制御して行うようにしてもよい。また、複数の同軸ケーブル20を介してキャビティ100内に行われるマイクロ波の照射を、上記で説明したように、異なる周波数で行うようにしてもよい。例えば、時間の経過応じて、照射するマイクロ波の周波数を変更してもよい。また、複数の同軸ケーブル20を介してキャビティ100内に行われるマイクロ波の照射を、上記で説明したように、異なる出力で行うようにしてもよい。例えば、各同軸ケーブル20を介して照射されるマイクロ波を異なる出力(例えば、異なる電力)としてもよい。また、複数の同軸ケーブル20を介してキャビティ100内に行われるマイクロ波の照射を、上記で説明したように、異なる期間に行うようにしてもよい。かかることは、後述する他の実施の形態におけるキャビティ内にマイクロ波を照射する工程においても同様である。
以上、本実施の形態においては、金型10のキャビティ100内に、硬化前の熱硬化性樹脂を充填した後、金型10の連通孔111に第一の端部20aが取付けられた同軸ケーブル20を介して、金型10のキャビティ100内にマイクロ波を照射して、熱硬化性樹脂を硬化させるようにしたから、マイクロ波により、金型10をほとんど昇温させずに、キャビティ10内に充填された熱硬化性樹脂のみを加熱して硬化させることができる。これにより、金型10は冷えたままなので、この金型10と硬化した熱硬化性樹脂との温度差により、マイクロ波の照射を終了して即座に、成形品が冷えて型外し可能となり、成形時間が著しく短縮される。また、マイクロ波による加熱のため、成形材料である熱硬化性樹脂は、その内部から硬化するため、従来の金型からの加熱のように外側から硬化する場合とは異なり、成形品に内部応力が蓄積されることがなく、硬化・冷却後に変形することがない。これにより、射出成形においても、高品質な成形品を効率良く製造することができる。
また、金型10の連通孔111に第一の端部20aが取付けられた同軸ケーブル20を介して、金型10のキャビティ100内に充填された成形材料にマイクロ波を照射するため、金型10を開いた際に、熱硬化性樹脂にマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段30等を連通孔111が設けられた第1の金型部材11等とともに移動させたりする必要がなく、容易にかつ迅速にマイクロ波照射を行うことができる。
また、本実施の形態においては、同軸ケーブル20を用いてキャビティ100内にマイクロ波を照射することができるため、一の金型10を用いて、異なる周波数のマイクロ波を照射した成形を行うことができる。また、マイクロ波照射手段30が出力するマイクロ波の伝送路としてフレキシブルに曲げたり伸したりすることができる同軸ケーブル20を用いることで、伝送路の取り回し等が容易となり、成形装置1000の設計等が容易になる。
なお、同軸ケーブル20が取付けられる連通孔111は、固定型である第二の金型部材12に設けるようにしてもよいが、上記実施の形態のように、可動型である第一の金型部材11に設けることが好ましい。通常の金型においては、可動型が成形品の裏面側に接する金型部材となるため、連通孔111の跡等が、成形品に残っても成形品の品質に影響が少ないと考えられるからである。なお、上記実施の形態の成形装置において、仮に、マイクロ波の伝送路として同軸ケーブル20ではなく、形状が固定された一般的な導波管(図示せず)を用いた場合、このような導波管はフレキシブルに曲げたり伸したりすることができず、また、導波管の長さ等も、伝送するマイクロ波の周波数によって制限されることから、導波管によりマイクロ波照射手段30と接続された金型部材を可動型として用いるためには、例えば、マイクロ波照射手段30と導波管とを可動型とともに移動させることが必要となり、構成が複雑化し、可動型である金型部材からマイクロ波照射を行えるようにする構成は容易に得られないと考えられる。これに対し、本実施の形態においては、可変伝送手段としてフレキシブルな同軸ケーブル20によってマイクロ波を伝送して照射するため、マイクロ波照射手段30の配置等を移動させたりすることなく、同軸ケーブル20を取付けた金型部材だけを移動させることができる。このため、可動部である金型部材から容易にマイクロ波照射を行えるようにすることができる。また、比較的軽量で薄い可動型に連通孔を設けることで金型に対する加工も固定型に設けるよりも容易になる。なお、かかることは、他の実施の形態においても同様である。
なお、上記実施の形態においては、金型10内に注入される熱硬化性樹脂をキャビティ100に流し込むための注入孔221を一つ有している場合について説明したが、注入孔221は、一以上の分岐部(図示せず)により、熱硬化性樹脂をキャビティ100に流し込むための複数の流路(図示せず)に分岐した構造を有していてもよい。例えば、注入孔221は、射出口71と接続されるスプルー(図示せず)と、スプルーとキャビティとを接続する複数のランナー(図示せず)とを有していてもよい。この場合、複数のランナーが分岐した流路に相当する。また、注入孔221は、多階層に分岐していてもよく、例えば、一の分岐部により分岐した流路の一以上が、更に他の分岐部により分岐していてもよい。注入孔221の分岐構造については問わない。
注入孔221がこのような分岐構造を有している場合、分岐した流路内で硬化する熱硬化性樹脂を、金型10を開いたときに取り外せるように、この分岐構造を有する注入孔221を有する一の金型部材を、複数の金型部材で構成するようにしてもよい。この複数の金型部材は、組み合わせた状態で、分岐した構造を有する注入孔221を有する金型部材となるとともに、分解した状態で、注入孔221内で硬化した熱硬化性樹脂を、キャビティ100内で硬化した熱硬化性樹脂とともに取り外せるような構造となるようにする。
図3は、2つの金型部材12b1および12b2により構成された金型部材であって、分岐構造を有する注入孔221を備えている金型部材である金型部材12bを示す斜視図(図3(a))、および、金型部材12bを二つの金型部材12b1および12b2に分解した状態を示す斜視図(図3(b))である。図3(a)は、金型部材12bを射出口71と接続される側から見た斜視図である。この金型部材12bは、上記実施の形態の第二の金型部材12に相当する金型部材であり、第二の金型部材12の代わりに金型10の一部として利用可能な金型部材であるとする。
図3(a)に示すように、金型部材12bは、分岐部222においてキャビティ100の内面100a側に向かって3方向に分岐して、キャビティ100の内面100a側にそれぞれ接続された注入孔221を有している。例えば、この注入口221の、外部に開口している端部から分岐部222までの部分がいわゆるスプルーに相当し、分岐部222からキャビティ100と接続される部分がいわゆるランナーに相当する。この注入孔221は、分岐した部分も含めて、軸心が仮想の同一平面上に位置しているものとする。図3(a)に示すように、金型部材12bが形成されている状態では、キャビティ100内で硬化した熱硬化性樹脂と、注入孔221内で硬化した熱硬化性樹脂とを、開いた金型10から取り外すことができない。しかしながら、この金型部材12bは、この金型部材12bを、注入孔221の分岐した部分も含めた全ての部分の軸心を通る平面で2つに分割した形状を有する金型部材12b1および12b2を組み合わせたものであるため、金型10を開いて第一の金型部材11を取り外したあと、金型部材12bを、図3(b)に示すように金型部材12b1および12b2に分解することで、キャビティ100内で硬化した熱硬化性樹脂と、注入孔221内で硬化した熱硬化性樹脂とを、開いた金型10から取り外すことができる。
なお、金型部材を金型部材片に分解することで、注入孔221内で硬化した熱硬化性樹脂を、取り外すことが可能であれば、注入孔221を形成する金型部材の数や、各金型部材の形状等は問わない。また、注入孔221が分岐していない場合においても、注入孔221内で硬化した熱硬化性樹脂を取り外せる、あるいは取り外しやすくなるように、注入孔221が形成される金型部材を複数の金型部材で構成するようにしてもよい。例えば、注入孔221が曲がっている場合においても、注入口221を有する金型部材を複数の金型部材で構成するようにして、曲がった注入孔221内で硬化した熱硬化性樹脂を上記のように取り外せるようにしてもよい。なお、注入孔221内で硬化した樹脂を取り出せるよう、注入口221を有する金型部材を複数の金型部材で構成する技術は、金型のスプルーやランナーで硬化した樹脂を取り外せるように、金型部材を、複数の金型部材で構成する技術と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
(実施の形態2)
上記実施の形態においては、射出成形を行う成形装置に本発明を適用した例について説明したが、本実施の形態においては、上記実施の形態において説明した成形装置と同様の構成を、プレス成形を行う縦型の成形装置に適用した場合について説明する。
図4は、本実施の形態における成形装置を示す斜視図(図4(a))、および、図4(a)のIVb-IVb線による断面図(図1(b))である。ここでは、成形装置の金型10aを閉じた状態を示している。
成形装置2000は、金型10aと、2本の可変伝送手段としての同軸ケーブル20と、マイクロ波照射手段30と、冷却装置60と、供給用チューブ61と、排出用チューブ62と、射出装置70とを備えている。2本の同軸ケーブル20と、マイクロ波照射手段30と、冷却装置60と、供給用チューブ61と、排出用チューブ62とについては、上記実施の形態と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
金型10aは、第一の金型部材11aと、第二の金型部材12aとを備えている。金型10aは、例えば、プレス成形用の金型である。成形装置2000が縦型の成形装置であるため、ここでは、金型10aの第一の金型部材11aおよび第二の金型部材12aとは、縦方向に並ぶよう配置されており、金型10aを閉じた状態で、第一の金型部材11aの下面と、第二の金型部材12aの上面との間にキャビティ100が形成される。ここでは、上記実施の形態と同様に、金型10aを閉じた状態で、第一の金型部材11aの下面の凸部121が、第二の金型部材12aの上面の凹部122内に挿入され、凹部122の底面側において、凸部121と凹部122との間にキャビティ100が形成される。ここでは、第一の金型部材11aが第二の金型部材12aの上方に配置されて用いられる例を示している。
第一の金型部材11aは、上述した第一の金型部材11を、キャビティ100の内面100aを有する面が第二の金型部材12aと対向する面(ここでは下面)となるように配置したものであり、第一の金型部材11と同様の構成を有しているため、ここでは詳細な説明は省略する。なお、ここでは、第一の金型部材11aが可動型であり、第二の金型部材12aに近づける方向および離れる方向、すなわち、上下方向に移動するよう型締め装置(図示せず)等に直接、または間接的に取付けられているものとする。なお、成形装置2000は、第一の金型部材11aの移動方向を制限するガイドロッドやタイバー等を有していても良い。
第二の金型部材12aは、上述した第二の金型部材12を、キャビティ100の内面100aとなる面を有する面が、第一の金型部材11aと対向する面(ここでは上面)となるように配置し、注入孔221を設けないようにしたものであり、注入孔221以外の構成については、第二の金型部材12と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施の形態においても、キャビティ100内には熱硬化性樹脂が充填される。キャビティ100内に充填される熱硬化性樹脂は、上記実施の形態において説明した熱硬化性樹脂と同様のものが利用可能である。また、キャビティ100内に充填される熱硬化性樹脂は、キャビティ100内に充填可能な状態ものであればよい。例えば、キャビティ100内に充填される熱硬化性樹脂は、例えば、液状、ペースト状、流体状(例えば、高粘度の流体状)等の流動性を有するものや、シート状のものが用いられる。
なお、本実施の形態においては、金型10を閉じた状態においては、キャビティ100内に硬化前の熱硬化性樹脂を注入することができないため、例えば、金型10を閉じる前(すなわち、金型10を開いた状態)の、金型10のキャビティ100が形成される位置に、キャビティ100を充填する量の硬化前の熱硬化性樹脂を配置した後、金型10を閉じてキャビティ100を形成することで、結果的に、キャビティ100内を熱硬化性樹脂で充填するようにすればよい。
図5は、成形装置2000を用いた成形品の製造方法を説明するための断面図(図5(a)~図5(d))である。図5において、マイクロ波照射手段30、冷却装置60、供給用チューブ61、および排出用チューブ62等は省略している。
以下、成形装置2000を用いた熱硬化性樹脂の成形品の製造方法の具体例について、図5を用いて説明する。
(ステップS201)まず、金型10aを開いた状態で、キャビティ100内となる部分に熱硬化性樹脂80を配置する。キャビティ100内となる部分とは、例えば、金型10aの、金型10aを閉じた場合にキャビティ100内となる部分である。キャビティ100内となる部分とは、金型10aを閉じた場合に、配置された熱硬化性樹脂80がキャビティ100内に配置されるようになる部分と考えてもよく、金型10aを閉じた場合に、配置された熱硬化性樹脂80が、キャビティ100内に押しやられる位置や領域や空間と考えてもよい。ここでは、図5(a)に示すように、第一の金型部材11を、第二の金型部材12の上方に移動させて保持して、金型10aを開いた状態で、第二の金型部材12aの凹部122の底面上に、硬化前の熱硬化性樹脂80を配置する。凹部122の底面は、ここでは、キャビティ100の内面100aであり、この内面100a上が、金型10aを閉じた場合にキャビティ100内となる。配置する熱硬化性樹脂の量は、金型10aを閉じた場合に、配置された熱硬化性樹脂80によってキャビティ100が充填される量とする。ここでは、配置する硬化前の熱硬化性樹脂80として、例えば、柔らかいシート状の熱硬化性樹脂80を配置する。なお、硬化しない温度で予備的に加熱しておいた熱硬化性樹脂を配置してもよい。
(ステップS202)つぎに、金型10aを閉じて、上記のステップS101でキャビティ100内となる部分に配置された熱硬化性樹脂80を、キャビティ100内に充填させる。ここでは、図5(b)に示すように、図示しない型締め装置等を動作させて第一の金型部材11aを下方向に移動させ、第一の金型部材11aの凸部121を、第二の金型部材12aの凹部122内に挿入していくことで、金型10aを閉じる。金型10aを閉じる際に、キャビティ100となる部分である凹部122の底面上に配置された硬化前の熱硬化性樹脂80が、第一の金型部材11aと第二の金型部材12aとの間、具体的には凸部121と凹部122との間に挟まれて押圧されて変形し、金型10aを閉じ終えた時点で、図5(c)のように、キャビティ100内に硬化前の熱硬化性樹脂80が充填される。キャビティ100は、成形時の状態、すなわち成形時の形状となる。金型10aが閉じられると、第一の金型部材11aの凸部121と、第二の金型部材12aの凹部122との間の、キャビティ100以外の部分の間隙がほぼ0となり、この間隙がマイクロ波を通過させないサイズとなる。なお、ここでは、ステップS201のように、金型10aを開いた状態で、キャビティ100となる部分に硬化前の熱硬化性樹脂を配置し、ステップS202のように金型102を閉じることによって、結果的に、キャビティ100内に熱硬化性樹脂80が充填されることから、この一連の工程を、キャビティ100内に熱硬化性樹脂80を充填する工程の一態様と考えてよい。
(ステップS203)図5(c)のように、キャビティ100内に熱硬化性樹脂80が充填された後、マイクロ波照射手段30から、キャビティ100内に充填された硬化前の熱硬化性樹脂80に対し、金型10の複数の連通孔111にそれぞれ取付けられた複数の同軸ケーブル20を介してマイクロ波を照射して、キャビティ100内で熱硬化性樹脂80を硬化させる。例えば、マイクロ波照射手段30の2つのマイクロ波発振器300がそれぞれマイクロ波を発生し出力すると、出力されたマイクロ波は、それぞれ、同軸ケーブル20を介して伝送され、同軸ケーブル20の第一の端部20aに接続されたマイクロ波アンテナ40からそれぞれ出射され、栓状部材50を透過してキャビティ100内に照射される。これにより、各連通孔111からマイクロ波がキャビティ100内に照射される。キャビティ100内に照射されたマイクロ波は、キャビティ100内に充填された硬化前の熱硬化性樹脂80に照射され、マイクロ波の照射によって、充填された熱硬化性樹脂80が加熱されて硬化する。マイクロ波の照射時間等は、上記実施の形態においてステップS103等で説明した照射時間等と同様に設定するようにすればよい。
上記のように、第一の金型部材11aの凸部121と、第二の金型部材12aの凹部122との間の、キャビティ100以外の部分の間隙からは、マイクロ波が漏洩しないため、マイクロ波のロスが少なく、また、金型10aからのマイクロ波漏洩を防ぐための構成(例えば、成形装置2000の金型10全体を覆うシールド等)が不要である。
(ステップS204)キャビティ100内の熱硬化性樹脂80の硬化が終了すると、上記実施の形態1のステップS104と同様に、マイクロ波照射手段30からのマイクロ波の出力を停止し、冷却装置60を用いて、金型10を冷却して、キャビティ100内の硬化した熱硬化性樹脂80を冷却する。冷却装置60を用いた冷却等が不要であれば、上記したように冷却装置60は不要であり、かつこの工程は省略してもよい。
(ステップS205)図5(d)に示すように、型締め装置により、第一の金型部材11を金型10aが開く方向、すなわち、上方に移動させ、金型10aを開く。そして、成形品81を取り出す。
以上、本実施の形態においては、金型10aのキャビティ100内に、熱硬化性樹脂を充填した後、金型10aの連通孔111に第一の端部20aが取付けられた同軸ケーブル20を介して、金型10aのキャビティ100内にマイクロ波を照射して、熱硬化性樹脂を硬化させるようにしたから、プレス成形を行う場合においても、上記実施の形態と同様の効果を奏する。
また、本実施の形態においても金型10aの連通孔111に第一の端部20aが取付けられた同軸ケーブル20を介して、金型10aのキャビティ100内に充填された成形材料にマイクロ波を照射するため、金型10aを開く際に、マイクロ波照射手段30等を連通孔111が設けられた金型部材とともに移動させたりする必要がなく、上記実施の形態と同様の効果を奏する。
また、本実施の形態においては、同軸ケーブル20を用いてキャビティ100内にマイクロ波を照射することができるため、一の金型10aを用いて、異なる周波数のマイクロ波を照射した成形を行うことができるとともに、マイクロ波の伝送路としてフレキシブルに曲げたり伸したりすることができる同軸ケーブル20を用いることで、伝送路の取り回し等が容易となり、成形装置2000の設計等が容易になる。
なお、上記各実施の形態において、閉じた状態の金型10および10aのキャビティ100内に、熱硬化性樹脂の充填が完了するまでは、キャビティ100内の熱硬化性樹脂にマイクロ波を照射しないようにすることが好ましい。例えば、上記実施の形態1のステップS102で説明された工程や、上記実施の形態2のステップS201およびS202で説明された工程等の、金型10および10aを閉じた状態のキャビティ100内に熱硬化性樹脂を充填する工程においては、キャビティ100内に注入される熱硬化性樹脂80や、キャビティ100となる部分に配置された熱硬化性樹脂80等に対してマイクロ波の照射が行われないようにすることが好ましい。なお、キャビティ100内に熱硬化性樹脂を充填する工程は、例えば、キャビティ100内に熱硬化性樹脂の充填が完了するまでの工程と考えてもよい。キャビティ100内に充填される熱硬化性樹脂とは、例えば、キャビティ100内に充填中の熱硬化性樹脂や、充填が完了する前のキャビティ100内やキャビティ100となる部分に配置される熱硬化性樹脂である。例えば、充填が完了するまえに、マイクロ波を照射すると、一部の熱硬化性樹脂が硬化したり、流動性が悪くなってしまい、充填が正常に行われず、正常な成形が行えなくなる場合があることから、上記のように、充填が完了するまでは、マイクロ波を照射しないことが好ましい。
なお、上記各実施の形態においては、金型10および10aが、2つの金型部材、すなわち、第一の金型部材と、第二の金型部材とにより構成されている場合について説明したが、金型10および10aを構成する金属部材の数は、2つに限定されるものでなく、2以上であれば良い。例えば、金型10および10aは、3以上の金型部材で構成されていても良い。また、金型10および10aが複数の金型部材で構成されている場合において、例えば、どの金型部材を固定型とし、どの金型部材を可動型として用いるかは問わない。例えば、上記実施の形態1において、図3(a)および図3(b)に示した場合のように、第二の金型部材12bが2つの金型部材12b1および12b2により構成されている金型10は、三つの金型部材で構成されている金型10の一例と考えてもよい。金型10および10aが複数の金型部材で構成されている場合、例えば、各実施の形態における第一の金型部材と第二の金型部材とについての説明は、適宜、複数の金型部材についての説明に読み替えるようにすればよい。例えば、金型10および10aが複数の金型部材で構成されている場合、各実施の形態等における第一の金型部材についての説明を、適宜、複数の金型部材のうちの可動型として用いられる金型部材や、同軸ケーブル20が取付けられる連通孔111を有する金型部材についての説明に読み替え、第二の金型部材についての説明を、適宜、複数の金型部材のうちの固定型として用いられる金型部材や、同軸ケーブル20が取付けられない金型部材についての説明に読み替えるようにしてもよい。
また、金型10および10aは2以上の連通孔111を有していればよく、例えば、連通孔111が設けられている金型部材や位置等は問わない。例えば、同軸ケーブル20の第一の端部20aが取付けられる連通孔111を有する金型部材は、一つに限定されるものではなく、金型10および10aが有する複数の金型部材のうちの1以上であればよい。例えば、連通孔111を有する金型部材は、金型10および10aが有する複数の金型部材のうちの一部であっても良く、全てであっても良い。例えば、上記各実施の形態において、1以上の連通孔111を、第二の金型部材に設けてもよい。また、連通孔111が、金型を構成する2以上の金型部材のうちの、固定型に設けられていてもよく、可動型に設けられていてもよく、固定型と可動型との両方に設けられていてもよい。また、第一の金型部材等の、連通孔111を有する金型部材がそれぞれ有している連通孔111の数は2つに限定されるものではなく、例えば、1以上の連通孔111を有していればよい。例えば、上記実施の形態1の第一の金型部材11および実施の形態2の第一の金型部材11aが有する連通孔111の数は、1または2以上であればよく、3以上であってもよい。また、金型10および10aの複数の金型部材が連通孔111を有する場合、各金型部材が有する連通孔111の数は、同じであっても異なっていても良い。また、各金型部材に配置されている連通孔111の配置や、連通孔111のサイズ(例えば、径や、長さ等)は、同じであっても良く、異なっていても良い。また、金型10および10aが有する1または2以上の連通孔111の配置は問わない。1または2以上の連通孔111は、例えば、キャビティ100内におけるマイクロ波の強度分布が所望の強度分布となるような位置に配置することが好ましい。
なお、マイクロ波照射手段30は、金型10および10aが有する1または2以上の連通孔111に対してそれぞれ取付けられた同軸ケーブル20を介して、マイクロ波を照射可能なものであれば、どのような構成であっても良く、例えば、上記各実施の形態で説明したように、マイクロ波照射手段30は、1または2以上の連通孔111と同数のマイクロ波発振器300を有していてもよい。また、例えば、マイクロ波照射手段30は、1以上のマイクロ波発振器300の出力を分岐して、2以上の同軸ケーブル20を介してそれぞれマイクロ波を出力してもよい。なお、金型10および10aが有する連通孔111とは、金型10および10aを構成する複数の金型部材が有する連通孔111である。
また、金型10および10aが2以上の連通孔111を有する場合において、マイクロ波照射手段30が、金型10および10aの複数の連通孔111を介してそれぞれ照射するマイクロ波の周波数は、上記各実施の形態と同様に、同じ周波数であってもよく、異なる周波数であってもよく、周波数が可変であっても良く、周波数が固定であっても良い。例えば、マイクロ波照射手段30は、上記実施の形態1と同様に、熱硬化性樹脂の比誘電損失が高くなるように、キャビティ100内に異なる周波数のマイクロ波を照射するようにしても良い。
また、金型10および10aが、同軸ケーブル20が取付けられる2以上の連通孔111を有する場合において、マイクロ波照射手段30が、2以上の連通孔111から同軸ケーブル20を介して出射するマイクロ波の強度は、上記各実施の形態と同様に、同じであってもよく、異なっていてもよく、マイクロ波の強度が可変であっても良く、強度が固定であってもよい。
また、金型10および10aが、同軸ケーブル20が取付けられる2以上の連通孔を有する場合において、マイクロ波照射手段30は、上記各実施の形態と同様に、同軸ケーブル20を介して複数の連通孔111のうちの1以上から照射するマイクロ波の位相を制御しても良い。
なお、金型10および10aが、3以上の金型部材で構成されている場合においても上記各実施の形態と同様に、同軸ケーブル20が取付けられる連通孔111は、金型10および10aを構成する複数の金型部材のうちの、移動可能な金型部材、すなわち可動型に設けられていることが好ましい。
また、金型10および10aが、同軸ケーブル20が取付けられる2以上の連通孔111を有する場合、マイクロ波照射手段30は、キャビティ100内におけるマイクロ波の強度分布が所望の強度分布となるよう、キャビティ100内に2以上の同軸ケーブル20を介してそれぞれマイクロ波を照射してもよい。例えば、マイクロ波照射手段30は、上記実施の形態1と同様に、複数の同軸ケーブル20を介してそれぞれキャビティ100内に照射するマイクロ波の強度を異なる強度や同じ強度等となるように個別に設定したり、複数の同軸ケーブル20を介してそれぞれキャビティ100内に照射されるマイクロ波の位相を制御したり、複数の同軸ケーブル20をそれぞれ介してマイクロ波を照射する期間を異なる期間としたりして、キャビティ100内におけるマイクロ波の強度分布が所望の強度分布となるようにマイクロ波照射をしてもよい。なお、位相を制御して、マイクロ波の強度を局所的に高くなるようにする場合には、同軸ケーブル20が取付けられる連通孔111の数が3以上であることがより好ましい。例えば、3以上の連通孔111から照射されるマイクロ波が、キャビティ100内の所望の位置において干渉によって強めあうように、それぞれのマイクロ波の位相を制御することで、所望の位置を局所的に加熱すること等が可能となる。
(実施の形態3)
なお、上記各実施の形態において、マイクロ波照射手段30が出力するマイクロ波を伝送する伝送手段として同軸ケーブル20を用いる代わりに、フレキシブル導波管を用いるようにしてもよい。
図6(a)は、本発明の実施の形態3にかかる成形装置の第一の例を示す図であり、図において、金型部分を断面で表している。この成形装置1000aは、上記実施の形態1において説明した射出成形を行う成型装置において、同軸ケーブル20の代わりに、フレキシブル導波管25を用いたものである。
フレキシブル導波管25は、例えば、可撓性を有する導波管である。フレキシブル導波管25は、例えば、蛇腹状の金属箔等を側面に有して筒形状に形成された導波管である。フレキシブル導波管の一例については、例えば、以下の非特許文献1を参照されたい。非特許文献1:"方形長尺可とう導波管"、[online]、古川C&B株式会社、[平成30年12月7日検索]、インターネット<URL:https://www.furukawa-fcb.co.jp/product/micro/longpipe.htm>。ただし、本実施の形態において用いられるフレキシブル導波管25は、上記のような構造を有するものに限定されるものではない。ここでは、フレキシブル導波管25として、長手方向に垂直な断面形状が矩形形状であるものを用いた例を示している。ただし、フレキシブル導波管25の断面形状は矩形に限定されるものではなく、例えば、断面形状が角丸の矩形や、楕円形や円形等であってもよい。ここでの断面形状は、例えば、フレキシブル導波管の開口部の断面形状である。フレキシブル導波管25の断面形状と連通孔111の断面形状とは、同形状であることが好ましい。例えば、上記のようにフレキシブル導波管25の断面形状が矩形である場合、連通孔111の断面形状も矩形であることが好ましい。ただし、フレキシブル導波管25と連通孔111との断面形状は異なる形状であってもよい。
フレキシブル導波管25は、同軸ケーブル20と同様に、第一の端部25aが金型10の連通孔111に対して取付けられ、第二の端部25bがマイクロ波照射手段30と接続される。ここでは、第一の端部25aが、金型10の外側の連通孔111により開口している部分を覆うように取付けられている例を示している。これにより、連通孔111とフレキシブル導波管25の第一の端部25aの開口部とが連通している。ただし、フレキシブル導波管25の第一の端部25aの連通孔111への取付け方は、フレキシブル導波管25内を伝送されるマイクロ波が、連通孔111を介して、金型10のキャビティ100内に照射可能となるよう取付けられるものであれば、上記の取付け方に限定されるものではない。例えば、第一の端部25aの連通孔111への取付け方としては、連通孔111への同軸ケーブル20の第一の端部20aの取付け方と同様の取付け方が適宜利用可能である。例えば、同軸ケーブル20の第一の端部20aと同様に、フレキシブル導波管25の第一の端部25aが、連通孔111内に挿入されるよう取付けられていてもよい。また、フレキシブル導波管25の第一の端部25aが、継手(図示せず)等を介して間接的に連通孔111に取付けられていてもよい。また、同軸ケーブル20の第一の端部20aと同様に、フレキシブル導波管25の第一の端部25aに、アンテナ(図示しない)を取付けるようにし、このアンテナが連通孔111内に配置されるようにしてもよい。フレキシブル導波管25は、金型10の可動型に設けられた連通孔111に対して取付けることが好ましい。連通孔111やアンテナ(図示せず)を比較的軽量で薄い可動型に連通孔111を設けるようにすることで金型に対する加工も固定型に設けるよりも容易になる。また、フレキシブル導波管25の第一の端部25aは、連通孔111に対して着脱可能に取付けられることが好ましい。ここでは、第一の端部25aには、フランジ26が設けられており、このフランジ26が、連通孔111により開口している部分の周囲に、ボルト(図示せず)で着脱可能に取付けられているものとする。また、ここでは、フレキシブル導波管25の開口部と、連通孔111の第一の端部25a側の開口部とは、同形状かつ同サイズであり、開口部同士が重なり合うよう取付けられているものとする。とする。この開口部同士は同形状でなくても良く、同サイズでなくても良い。また、フレキシブル導波管25を着脱可能に取付けるための構造等は、上記に限定されるものではない。
なお、連通孔111のキャビティ100側に、栓状部材50を設ける代わりに、フレキシブル導波管25の第一の端部25aの開口部が、キャビティ100の内面と同じ高さ、あるいはほぼ同じ高さとなるように、第一の端部25aを連通孔111内に挿入して取付けるようにし、第一の端部25aの開口部を、栓状部材50と同様の材料の部材で塞ぐようにしても良い。
フレキシブル導波管25の第二の端部25bと、マイクロ波照射手段30とは、マイクロ波照射手段30が出力するマイクロ波が、フレキシブル導波管25内に伝送されるよう接続されれば、どのように接続されるかは問わない。例えば、フレキシブル導波管25の第二の端部25bは、形状を変形させることができない導波管(図示せず)や、同軸ケーブル等を介して、マイクロ波照射手段30と接続されいてもよい。ここでのフレキシブル導波管25の第二の端部25bと、マイクロ波照射手段30との接続は、例えば、マイクロ波照射手段30が有するマイクロ波発振器300の接続と考えてもよい。
なお、金型10に設けられた2以上の連通孔111のそれぞれに対して、2以上のフレキシブル導波管25がそれぞれ取付けられている場合において、上記各実施の形態と同様に、マイクロ波照射手段30が、2以上のフレキシブル導波管25のそれぞれに対して接続された複数のマイクロ波発振器300を有しているようにしても良い。これにより、マイクロ波照射手段30が、各マイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を、各マイクロ波発振器300と接続されたフレキシブル導波管に伝送させて、各フレキシブル導波管25が取付けられた2つの連通孔111からキャビティ100内にマイクロ波を照射するようにしても良い。
また、金型10に設けられた2以上の連通孔111のそれぞれに対して、2以上のフレキシブル導波管25がそれぞれ取付けられている場合において、上記各実施の形態と同様に、マイクロ波照射手段30が有するマグネトロンや半導体型発振器等の一のマイクロ波発振器300が、導波管用の分岐器(図示せず)や分配器(図示せず)等の分岐手段等を介して、2以上のフレキシブル導波管25に接続されるようにしてもよい。これにより、マイクロ波照射手段30が、一のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を分岐して、2以上のフレキシブル導波管25に伝送させて、各フレキシブル導波管25が取付けられた2つの連通孔111からキャビティ100内にマイクロ波を照射するようにしても良い。なお、分岐手段と、マイクロ波発振器300とは、直接接続されていても良く、導波管等を介して接続されていても良く、その接続がどのような接続であるかは問わない。
なお、例えば、入力されるマイクロ波から異なる強度のマイクロ波をそれぞれ取り出す分岐器を用いてマグネトロンや半導体型発振器等のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を分岐することで、分岐されたマイクロ波の強度を異なる強度としてもよい。また、マグネトロンや半導体型発振器等の一のマイクロ波発振器300と分岐手段(図示せず)等を介して接続された2以上のフレキシブル導波管25の長さを異なる長さとすることで、分岐後に各フレキシブル導波管25を伝送されてキャビティ100内に照射されるマイクロ波の位相を異なる位相としてもよい。また、マグネトロンや半導体型発振器等の一のマイクロ波発振器300が出力するマイクロ波を分岐手段等を用いて分岐してそれぞれをフレキシブル導波管25に伝送させるようにするとともに、分岐したマイクロ波の少なくとも1以上については、位相を導波管型の位相器または位相制御器を用いて変更してフレキシブル導波管25に伝送させるようにすることで、キャビティ100内に照射されるマイクロ波の位相を異なる位相としてもよい。また、同様に分岐したマイクロ波の少なくとも1以上については増幅器で増幅してフレキシブル導波管25に伝送させることで、分岐されたマイクロ波の強度を異なる強度としてもよい。また、マグネトロンや半導体型発振器等の一のマイクロ波発振器300と分岐手段等を介して接続された2以上のフレキシブル導波管25の少なくとも一方に、マイクロ波の伝送を必要に応じて遮断できる遮断手段を設けることで、各フレキシブル導波管25からキャビティ100内にマイクロ波を照射する期間を異なる期間としてもよい。
なお、上記においては、実施の形態1において説明した成形装置1000の同軸ケーブル20の代わりにフレキシブル導波管25を用いた場合について説明したが、実施の形態2において説明したプレス成形を行う成形装置2000において、同軸ケーブル20の代わりにフレキシブル導波管25を用いるようにしてもよい。
図6(b)は、本発明の実施の形態3にかかる成形装置の第二の例を示す図であり、図において、金型部分を断面で表している。この成形装置1000aは、上記実施の形態2において説明したプレス成形を行う成型装置において、同軸ケーブル20の代わりに、フレキシブル導波管25を用いたものである。フレキシブル導波管25の金型10aへの取付け方や、フレキシブル導波管25のマイクロ波照射手段30への取付け方等については、上記の第一の例と同様であるため、ここでは説明は省略する。
上記の第一の例や第二の例に示したような、同軸ケーブル20の代わりにフレキシブル導波管25を用いた成形装置においても、上記実施の形態1および2と同様に、マイクロ波照射手段30が、キャビティ内におけるマイクロ波の強度分布が所望の強度分布となるよう、複数のフレキシブル導波管25を介してそれぞれキャビティ100内にマイクロ波を照射するようにしてもよい。また、マイクロ波照射手段30が、複数のフレキシブル導波管25を介して、位相を制御したマイクロ波をそれぞれキャビティ100内に照射するようにしてもよい。なお、キャビティ内の所望の強度分布は、例えば、キャビティの形状および複数の連通孔111の配置等によって設定してもよく、複数のフレキシブル導波管25を介してそれぞれ照射されるマイクロ波の位相を制御して設定しても良い。また、複数のフレキシブル導波管25を介して、異なる出力のマイクロ波をキャビティ100内に照射するようにしてよい。また、複数の同軸ケーブルを介して、照射する期間がそれぞれ異なるマイクロ波の照射をキャビティ100内に行うようにしてもよい。
以上、本実施の形態の成形装置においては、フレキシブル導波管25を介して、金型のキャビティ100内にマイクロ波を照射することにより、同軸ケーブルを用いた場合と同様に、金型を用いてマイクロ波を照射した熱硬化性樹脂の成形を適切に行うことができる。また、フレキシブル導波管は同軸ケーブルに比較してマイクロ波の減衰が小さいことから、高いエネルギー効率で成形が可能である。
また、成型を行なう際や、成型の前後には、金型を構成する1以上の金型部材を移動させる必要があるが、本実施の形態においては、マイクロ波照射手段30が出力するマイクロ波の伝送路として、同軸ケーブル20と同様に、フレキシブルに曲げたり伸したりすることができるフレキシブル導波管25を用いることにより、形状が固定された形状を変更させることができない導波管を伝送路として用いる場合とは異なり、例えば、連通孔111が設けられた金型部材を動かす際に、金型部材とともに、マイクロ波照射手段30を動かさなくても、フレキシブル導波管25を曲げたり伸したりすることで、金型部材を動かすことが可能となり、利便性が向上するとともに、マイクロ波照射手段30を移動させるための手段等が不要となり、成形装置を備えたシステム全体を小型化することができる。
なお、本実施の形態においても、上記実施の形態1および2と同様に金型10および10aが有する連通孔111が2以上であれば良いことはいうまでもない。また、マイクロ波照射手段30が2以上のマイクロ波発振器300を有するようにし、各マイクロ波発振器300が、それぞれ、2以上の連通孔111に取付けられた2以上のフレキシブル導波管25と接続されていてもよい。また、マイクロ波照射手段30が有する1以上のマイクロ波発振器300が、分岐手段等を介して、2以上の連通孔111にそれぞれ取付けられたフレキシブル導波管25と接続されていてもよい。また、複数のマイクロ波発振器300の一部が、分岐手段等を介して2以上のフレキシブル導波管25と接続されるようにし、他のマイクロ波照射手段30が、それぞれ一のフレキシブル導波管25と接続されるようにしても良い。また、マイクロ波照射手段30が2以上のマイクロ波発振器300を有し、各マイクロ波発振器300が、分岐手段等を介してそれぞれ2以上のフレキシブル導波管25と接続されている場合において、各マイクロ波発振器300がマイクロ波を出力する期間を異なる期間となるようにしても良い。
また、上記実施の形態においては、マイクロ波照射手段30が出力するマイクロ波を伝送するための手段が、フレキシブル導波管25である成形装置について説明したが、マイクロ波照射手段30が出力するマイクロ波を伝送するための手段は、可変導波管であればよい。可変導波管は、例えば、上述したフレキシブル導波管20や、導波管の長さを伸縮するためのスライド機構を有するスライド式導波管(図示せず)等の、マイクロ波が伝送可能で、マイクロ波の伝送路の形状が変形可能な導波管である。マイクロ波の伝送路の形状が変更可能であるということは、例えば、伝送路の形状が可撓性を有するということや、伸縮性を有するということである。例えば、フレキシブル導波管25は、可撓性を有する可変導波管である。また、スライド式導波管(図示せず)は、伸縮性を有する可変導波管である。スライド式導波管のスライド機構は、例えば、ズームレンズや望遠鏡等と同様の、管や筒の伸縮機構であっても良い。スライド式導波管については、特許文献である特開平8-288710号公報を参照されたい。このような可変導波管を、マイクロ波照射手段30が出力するマイクロ波を伝送する手段として用いることで、上記各実施の形態と同様に、例えば、連通孔111が設けられた金型部材を動かす際に、金型部材とともにマイクロ波照射手段30を動かさなくても、可変導波管を、曲げたり伸したり、金型部材の移動方向においてスライド機構をスライドさせて伸縮させたりすることで、金型部材を動かすことが可能となり、利便性が向上するとともに、マイクロ波照射手段30を移動させるための手段等が不要となり、成形装置を備えたシステム全体を小型化することができる。なお、可変導波管は、第一の端部が金型の連通孔に取付けられ、第二の端部がマイクロ波出力手段に接続に接続される。例えば、可変導波管の第二の端部が、マイクロ波出力手段が有するマイクロ波発振器と接続される。また、金型と接続される2以上の可変導波管は、分配器等の分岐手段(図示せず)で分岐したものであっても良い。
また、上記各実施の形態においては、マイクロ波照射手段30が出力するマイクロ波を伝送するための手段が、同軸ケーブル20や、フレキシブル導波管等の可変導波管である成形装置について説明したが、マイクロ波照射手段30が出力するマイクロ波を伝送するための手段は、可変伝送手段であれば上記の構成に限定されるものではない。可変伝送手段は、例えば、同軸ケーブル20や可変導波管等の、マイクロ波が伝送可能で、マイクロ波の伝送路の形状が変形可能な手段である。マイクロ波の伝送路の形状が変更可能であるということは、上記と同様に、例えば、伝送路の形状が可撓性を有するということや、伸縮性を有するということである。例えば、この可変伝送手段の第一の端部が金型の連通孔に取付けられ、第二の端部がマイクロ波出力手段に接続に接続される。例えば、可変伝送手段の第二の端部が、マイクロ波出力手段が有するマイクロ波発振器と接続される。
このような可変伝送手段を、マイクロ波照射手段30が出力するマイクロ波を伝送する手段として用いることで、上記各実施の形態と同様に、例えば、連通孔111が設けられた金型部材を動かす際に、金型部材とともにマイクロ波照射手段30を動かさなくても、可変伝送手段を、曲げたり伸したり、金型部材の移動方向においてスライド機構をスライドさせて伸縮させたりすることで、金型部材を動かすことが可能となり、利便性が向上するとともに、マイクロ波照射手段30を移動させるための手段等が不要となり、成形装置を備えたシステム全体を小型化することができる。
このような可変伝送手段を用いた成形装置においても、上記各実施の形態と同様に、マイクロ波照射手段30が、キャビティ内におけるマイクロ波の強度分布が所望の強度分布となるよう、複数の可変伝送手段を介してそれぞれキャビティ100内にマイクロ波を照射してもよい。また、上記各実施の形態と同様に、マイクロ波照射手段30が、複数の可変伝送手段を介して、位相を制御したマイクロ波をそれぞれキャビティ100内に照射するようにしてもよい。なお、キャビティ内の所望の強度分布は、例えば、キャビティの形状および複数の連通孔111の配置等によって設定してもよく、複数の可変伝送手段を介してそれぞれ照射されるマイクロ波の位相を制御して設定しても良い。また、上記各実施の形態と同様に、複数の可変伝送手段を介して、異なる出力のマイクロ波をキャビティ100内に照射するようにしてもよい。また、上記各実施の形態と同様に、複数の可変伝送手段を介して、照射する期間がそれぞれ異なるマイクロ波の照射をキャビティ100内に行うようにしてもよい。
なお、金型10および10aと接続される2以上の可変伝送手段は、上述した同軸ケーブル20やフレキシブル導波管25等と同様に、分配器等の分岐手段(図示せず)で分岐したものであっても良い。また、分岐した可変伝送手段にそれぞれ伝送されるマイクロ波の少なくとも一方を、上述したような同軸ケーブル20やフレキシブル導波管25の場合と同様に増幅して異なる強度のマイクロ波が出力されるようにしても良い。また、分岐した可変伝送手段にそれぞれ伝送されるマイクロ波の少なくとも一方の位相を、上記の同軸ケーブル20やフレキシブル導波管25の場合と同様に位相器等を用いて制御してキャビティ100内に出力されるマイクロ波の位相を異なる位相としても良い。また、分岐した可変伝送手段にそれぞれ伝送されるマイクロ波の少なくとも一方を、予め決められた一定または不定のタイミング等で遮断したりすること等により、マイクロ波が照射される期間を異なる期間としても良い。
なお、可変伝送手段は、異なる構造の可変伝送手段(例えば、同軸ケーブルとフレキシブル導波管)を、マイクロ波が伝送可能となるよう接続したものであっても良い。また、可変伝送手段は、伝送路の形状が可変である部分と、形状が可変でない部分とを有する手段であっても良い。ただし、このような可変伝送手段は、形状が可変である部分の形状が変形すること(例えば、曲がったり、伸縮したりすること)によって、可変伝送手段を取り外すことなく、連通孔111が設けられた金型部材等を移動させることが可能となるようになっているものであることが好ましい。例えば、同軸ケーブルおよび可変導波管の少なくとも一方と、可変導波管以外の形状が可変ではない導波管等の、形状が固定された伝送手段とを、マイクロ波が伝送可能となるよう接続したものを、伝送路の形状が可変である部分と、形状が可変でない部分とを有する可変伝送手段と考えてもよい。
なお、上記各実施の形態においては、マイクロ波のキャビティ100への伝送に、可変伝送手段を用いることが好ましいが、通常の形状を変更できない導波管等の可変伝送手段以外の伝送手段を用いてもよい。例えば、通常の形状を変更できない導波管を伝送手段として用いた場合においても、マイクロ波を照射する際等には上記各実施の形態と同様の機能を果たすことができる。つまり、マイクロ波照射手段が出力するマイクロ波を伝送するための手段は、伝送手段であればよく、上記のような可変伝送手段に限定されるものではない。なお、通常の形状を変更できない導波管は、例えば、上述したフレキシブル導波管25と同様に、金型10または10aと、マイクロ波照射手段30との間に取付けるようにすればよい。
なお、上記各実施の形態においては、成形装置が、縦型のプレス成形を行う成形装置である場合や、射出成形を行う成形装置である場合を例に挙げて説明したが、成形装置は、金型を利用して成形を行う装置であって、従来においては金型を加熱することで熱硬化性樹脂を加熱して硬化させていた成形装置であれば、これらの装置に限定されるものではない。例えば、成形装置は、例えば、トランスファー成形を行う成形装置であってもよく、積層成形を行う成形装置であってもよく、シートモールドコンパウンド成形を行う成形装置等であってもよい。つまり、成形装置は、キャビティ内に熱硬化性樹脂を充填する工程と、キャビティ内に充填された熱硬化性樹脂に対し、金型の複数の連通孔にそれぞれ取付けられた複数の可変伝送手段を介してマイクロ波を照射して、キャビティ内で熱硬化性樹脂を硬化させる工程とを行うことで熱硬化性樹脂の成形が可能な成形装置であればよい。
なお、キャビティ内に熱硬化性樹脂を充填する工程は、結果的に、金型10および10aが閉じられた状態において、熱硬化性樹脂がキャビティ100内に充填されているようになる工程であればよく、この工程がどのように行われるかは問わない。例えば、上記実施の形態1のように、金型を閉じた後に、キャビティ内に硬化前の熱硬化性樹脂を注入することで充填するようにしてもよく、上記実施の形態2のように、金型を開いた状態で、キャビティとなる部分に硬化前の熱硬化性樹脂を配置した後、金型を閉じることで、結果的にキャビティ内が熱硬化性樹脂で充填されるようにしてもよい。
なお、上記各実施の形態において、金型10および10aが有する連通孔111が2以上である場合について説明したが、1以上の連通孔111で実現可能な場合においては、連通孔111は1以上であればよい。この1以上の連通孔111の配置等は問わない。連通孔111を1以上とした場合、連通孔111に取り付けられる同軸ケーブル20やフレキシブル導波管25等の伝送手段も、連通孔111にあわせて1以上としてもよい。また、マイクロ波照射手段30等は、この1以上の伝送手段を介してマイクロ波を照射可能なものであればよい。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。