JP7247037B2 - 金属張積層板及びパターン化金属張積層板 - Google Patents
金属張積層板及びパターン化金属張積層板 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7247037B2 JP7247037B2 JP2019122332A JP2019122332A JP7247037B2 JP 7247037 B2 JP7247037 B2 JP 7247037B2 JP 2019122332 A JP2019122332 A JP 2019122332A JP 2019122332 A JP2019122332 A JP 2019122332A JP 7247037 B2 JP7247037 B2 JP 7247037B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- metal
- clad laminate
- polyimide layer
- formula
- cte
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
また、電子機器の小型化、軽量化、多機能化に伴い、ICやLSIといった電子部品の高集積化が進み、その形態も多ピン化、小型化へと急速に変化している。そのため、IC等を直接実装するのに用いられる配線基板等に対する要求も高まっており、中でもFPCを構成する絶縁樹脂フィルムの熱膨張係数を低くすることが求められている。
本発明の金属張積層板は、下記の条件(i)~(iii);
(i)前記ポリイミド層は、非熱可塑性ポリイミド層を含んでおり、該非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgが330℃以下であること;
(ii)前記ポリイミド層の熱膨張係数CTEPが15ppm/K以下であること;
(iii)前記金属層の熱膨張係数CTEMと前記CTEPとの差△CTEをX軸、前記金属層のエッチング後における前記ポリイミド層の寸法変化率△LをY軸としたグラフにおいて、以下の式1~4により囲まれた領域にあること;
式1:△L(%)=A×△CTE-B
式2:△L(%)=0.00
式3:△CTE(ppm/K)=CTEM-CTEP=10/3
式4:△CTE(ppm/K)=12
[式1において、Aは0.03%・K/ppm、Bは0.10%である]
を満たすことを特徴とする。
式5:△L(%)=0.15
(1)金属張積層板を、所定の長さに切断して試験片を準備する工程、
(2)前記試験片の縦方向をMD方向、横方向をTD方向としたとき、前記試験片において前記MD方向及び前記TD方向と平行な辺を有する仮想の正四角形を想定し、前記正四角形における4つの角部と、前記正四角形のMD方向及び前記TD方向の4つの辺上とに、当該一辺の端部をなす2つの角部を基準にして等間隔に、直線状の配列をなす複数のマークを形成する工程、
(3)前記複数のマークの位置を計測し、前記正四角形の一辺に位置するマークと、対向する辺に位置するマークとの間の距離L0を算出する第1の計測工程、
(4)前記試験片の前記金属層の一部又は全部をエッチングする工程、
(5)エッチング後に、前記複数のマークの位置を計測し、前記正四角形の一辺に位置するマークと、対向する辺に位置するマークとの間の距離L1を算出する第2の計測工程、及び
(6)前記エッチング前後で同じ2つのマークについて、前記第1の計測工程で得られた距離L0と、前記第2の計測工程で得られた距離L1との差分L1-L0を算出する工程、を含む試験方法によって得られる値から、次の式6によって算出されるものであってもよい。
式6:△L(%)=[(L1-L0)/L0]×100
この場合、前記芳香族テトラカルボン酸残基の全量100モル部に対して、
ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(PMDA残基)を40~65モル部の範囲内、かつ、
3,3’、4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(BPDA残基)及び/又は1,4‐フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物(TAHQ)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(TAHQ残基)を合計で25~60モル部の範囲内で含有していてもよく、
前記芳香族ジアミン残基の全量100モル部に対して、下記の一般式(1A)及び/又は一般式(1B)で表されるジアミン化合物から誘導される芳香族ジアミン残基を合計で90モル部以上含有していてもよい。
[金属張積層板]
本発明の一実施の形態に係る金属張積層板は、ポリイミド層と、該ポリイミド層の少なくとも一方の面に積層された金属層を備えている。
非熱可塑性ポリイミド層は、ポリイミド層における主たる層である。ここで、「主たる層」とは、ポリイミド層の全厚みに対して、60%以上の厚み比率を有する層を意味する。この非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度(Tg)を低下させることで、金属層上での熱処理によってポリアミド酸をイミド化してポリイミド層を形成する際の残留応力が低減すると考えられる。なお、「非熱可塑性ポリイミド」とは、一般に加熱しても軟化、接着性を示さないポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率が1.0×108Pa以上であるポリイミドをいう。また、「熱可塑性ポリイミド」とは、一般にガラス転移温度(Tg)が明確に確認できるポリイミドのことであるが、本発明では、DMAを用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率が1.0×108Pa未満であるポリイミドをいう。
(ポリイミド層に発生する応力)∝ (a)×[(b)×(c)] … (X)
ここで、
a:熱処理温度領域におけるポリイミド層の貯蔵弾性率、
b:金属層とポリイミド層とのCTE差(つまり、金属層のCTE-ポリイミド層のCTE)、
c:熱処理時の温度変化、
を意味する。
上記式(X)においてポリイミド層の貯蔵弾性率はフックの法則におけるバネ定数、CTE差と温度変化の積は変位に相当するパラメータと見なしている。
一般的にポリイミドおいて、ガラス転移温度(Tg)が低いほど、Tg未満の貯蔵弾性率も低下する傾向が見られている。従って、熱処理温度領域における貯蔵弾性率の指標としてTgを下げることで残留応力を低減させることができる。
このため、金属層の熱膨張係数CTEMがポリイミド層の熱膨張係数CTEPより大きく、かつ、両者に一定の差があっても、Tgを下げることでエッチング前後の寸法安定性を高めることができるとともに、ポリイミド層に生じるうねりや弛みが発生しにくくなる。以上の観点から、非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgは、320℃以下が好ましい。
ポリイミド層の寸法変化を小さくするため、ポリイミド層の熱膨張係数CTEPをできるだけ小さくしておくことが有利である。この観点から本実施の形態の金属張積層板は、ポリイミド層の熱膨張係数CTEPが15ppm/K未満であることが好ましく、ポリイミド層の熱膨張係数CTEPは、-5~10ppm/Kの範囲内であることがさらに好ましい。ポリイミド層の熱膨張係数CTEPが上記範囲から外れると、配線等をパターニングした後の寸法精度に影響するため好ましくない。
また、搬送方向(MD方向)と幅方向(TD方向)で熱膨張係数が異なるとパターニングに制限は生じたり、面内における寸法精度が悪化したりする。このような観点から好ましくはMDとTD方向におけるCTE差である以下の式(Y-1);
|(CTEP_MD)-(CTEP_TD)| … (Y-1)
について、2ppm/K未満であることが好ましく、1ppm/K以下がさらに好ましい。
なお、前記式(Y-1)においてCTEP_MDはポリイミド層の搬送方向における熱膨張係数であり、CTEP_TDはポリイミド層の幅方向における熱膨張係数である。また、特に断りの無い場合、本明細書においてCTEP及びCTEMは、MD方向とTD方向の熱膨張係数の平均値を意味する。
ただし△CTE=CTEM-CTEP、CTEM ≧ CTEP
通常、金属層の熱線膨係数CTEMとポリイミド層の熱線膨係数CTEPの差である△CTEが大きいほど、エッチング後寸法変化率△Lは増加する。これは、△CTEが大きいほど、これは前記の式(X)で表される応力が増加することに由来すると考えられる。
応力の影響が顕著となる△CTEが3ppm/Kを超える領域において、△CTEと寸法変化率△Lとの関係を調査した所、実験的に、式(i)のような1次関数の関係に近似できることが分かった。
(△L[%])≒A×(△CTE_MD[ppm/K])-B … (i)
[ただし、△CTE=CTEM-CTEP,A、Bは定数、CTEM ≧ CTEP]
CTEMは基材毎で一定であるので、式(i)より、ポリイミド層の寸法変化を小さくするためにCTEPを小さくすると、△CTEが増大し、寸法変化率△Lは増大する。
本発明においてはポリイミド層のガラス転移温度とプロセス条件を制御することで、△CTEが大きい場合においても寸法変化率△Lを低減可能であることを見出した。よって、△CTEに対して従来よりも寸法変化率△Lが小さいことを示す式(Z)を満たす。なお、式(i)におけるAとBの値は実験値を元に算出している。
(1)金属張積層板を、所定の長さに切断して試験片を準備する工程。
(2)前記試験片において、金属張積層板のMD方向を縦方向、TD方向を横方向としたとき、例えば図2に示すように、前記試験片において前記MD方向及び前記TD方向と平行な辺を有する仮想の正四角形を想定し、前記正四角形における4つの角部と、前記正四角形のMD方向及び前記TD方向の4つの辺上と、に、当該一辺の端部をなす2つの角部を基準にして等間隔に、直線状の配列をなす複数のマークを形成する工程。
(3)前記複数のマークの位置を計測し、前記正四角形の一辺に位置するマークと、対向する辺に位置するマークとの間の距離L0を算出する第1の計測工程。
(4)前記試験片の前記金属層の一部又は全部をエッチングする工程。
(5)エッチング後に、例えば図3に示すように、前記複数のマークの位置を計測し、前記正四角形の一辺に位置するマークと、対向する辺に位置するマークとの間の距離L1を算出する第2の計測工程。(6)前記エッチング前後で同じ2つのマークについて、前記第1の計測工程で得られた距離L0と、前記第2の計測工程で得られた距離L1との差分L1-L0を算出する工程。
上記によって得られたL1とL1-L0について寸法変化率△Lは以下の式6によって計算される。
式6:寸法変化率△L(%)=[(L1-L0)/L0]×100
なお、図2及び図3のように図中の縦方向の測定で得られるエッチング後寸法変化率△LがMD方向のエッチング後寸法変化率△L_MDであり、横方向の測定で得られるエッチング後寸法変化率△LがTD方向のエッチング後寸法変化率△L_TDである。特に断りの無い限り寸法変化率△Lは△L_MDと△L_TDの平均値である。
式1:△L(%)=A×△CTE-B
式2:△L(%)=0.00
式3:△CTE(ppm/K)=10/3
式4:△CTE(ppm/K)=12
[なお、式1において、Aは0.03%・K/ppm、Bは0.10%である]
式5:△L(%)=+0.15
つまり、本発明の金属張積層板は、10/3≦△CTE(ppm/K)≦12の範囲内であり、△L(%)≦A×△CTE-Bであり、かつ、0.00≦△L(%)≦0.15の範囲内に存在することが好ましい。
金属箔上に、ポリアミド酸の溶液を塗布し、80℃~360℃の間で第一の熱処理を行い、その後に80℃~300℃の間で第二の熱処理を行いポリイミド-金属積層体を得る手法。なお第一の熱処理後に続けて第二の熱処理を行っても良いし、第一の熱処理後に一度室温まで冷却した後に第二の熱処理を行っても良い。
第一の熱処理温度は、80℃~360℃の範囲内であり、120℃~360℃の範囲内の温度が好ましい。第一の熱処理の時間は、例えば1分~30分の範囲内が好ましく、5分~20分の範囲内がより好ましい。
第二の熱処理温度は、80℃~300℃の範囲内であり、100℃~250℃の範囲内の温度が好ましい。第二の熱処理の時間は、例えば1分~60分の範囲内が好ましく、10分~30分の範囲内がより好ましい。
金属箔上に、ポリアミド酸の溶液を塗布し、80℃~320℃の間で第一の熱処理を行い、金属積層体を得る手法。なお、第一の熱処理温度は、80℃~320℃の範囲内であり、120℃~300℃の範囲内の温度が好ましい。第一の熱処理の時間は、例えば10分~120分の範囲内が好ましく、30分~120分の範囲内がより好ましい。
手法1と同様に第一の熱処理を行い、金属層のパターニング加工を行った後に、80℃~200℃の間で第二の熱処理を行い、パターニング加工されたポリイミド-金属積層体を得る手法。なお、第二の熱処理温度は、80℃~200℃の範囲内であり、80℃~150℃の範囲内の温度が好ましい。第二の熱処理の時間は、例えば1分~120分の範囲内が好ましく、10分~60分の範囲内がより好ましい。なお、手法3の場合、エッチング後寸法変化率は上記の第二の熱処理後に計測する。
(ア)金属層の熱膨張係数CTEMの変曲点が非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドのTgよりも低い温度に存在すること。
(イ)当該変曲点の温度を基準に、以下の式(α)の関係を満たすこと。
[変曲点以下の温度域でのCTEM]<[変曲点より高い温度でのCTEM] … (α)
なお、上記(ア)、(イ)の関係を満たす金属層としては、例えばインバー箔を挙げることができる。インバー箔は、含まれる鉄元素、ニッケル元素及び微量元素の比率によっても変化するが、例えば200~250℃の温度領域にCTEの変曲点を有している。
ポリイミド層の厚みが上記範囲内である場合に、エッチング前後の寸法安定性の改善効果が十分に発揮される。また、ポリイミド層の厚みが上記下限値に満たないと、電気絶縁性が担保出来ないことや、ハンドリング性の低下により製造工程にて取扱いが困難になるなどの問題が生じることがある。一方、ポリイミド層の厚みが上記上限値を超えると、エッチング前後の寸法変化が大きくなって、ポリイミド層のうねりが発生しやすくなり、生産性低下などの不具合が生じる。
本実施の形態の金属張積層板において、ポリイミド層を構成するポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物と、を反応させて得られるポリアミド酸をイミド化して得られるものである。従って、ポリイミド層は、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含むものである。なお、本発明において、テトラカルボン酸残基とは、テトラカルボン酸二無水物から誘導された4価の基のことを表し、ジアミン残基とは、ジアミン化合物から誘導された2価の基のことを表す。本実施の形態の金属張積層板において、ポリイミド層は非熱可塑性ポリイミド層を含んでおり、さらに、熱可塑性ポリイミド層を含んでいてもよい。
非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基及び芳香族ジアミン化合物から誘導される芳香族ジアミン残基を含むものである。
非熱可塑性ポリイミドは、原料の酸無水物成分として、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基、並びに、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)及び/又は1,4-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物(TAHQ)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(BPDA残基及び/又はTAHQ残基)を含有することが好ましい。
PMDAは、剛直骨格を有するため、他の一般的な酸無水物成分に比べて、ポリイミド中の分子の面内配向性の制御によるポリイミド層の熱膨張係数CTEPの抑制が可能となり、ガラス転移温度(Tg)の向上にも効果がある。
また、BPDA及び/又はTAHQは、PMDAと比較し分子量が大きいため、仕込み比率の増加によりイミド基濃度が低下することで吸湿率の低下に効果がある。一方でBPDA及び/又はTAHQの仕込み比率が増加すると、ポリイミド中の分子の面内配向性が低下し、CTEの増加に繋がる。
以上の観点から、PMDAは、原料の全酸無水物成分の100モル部に対し、好ましくは40~65モル部の範囲内、より好ましくは45~60モル部の範囲内で使用することがよい。原料の全酸無水物成分の100モル部に対し、PMDAの仕込み量が40モル部未満であると、分子の面内配向性が低下し、低CTE化が困難となり、またTgの低下による加熱時におけるフィルムの耐熱性や寸法安定性が低下する。一方、PMDAの仕込み量が65モル部を超えると、Tgが増加するため、金属層とのCTE差に開きがある場合、寸法安定性が低下し、またイミド基濃度の増加により吸湿率が悪化する。
非熱可塑性ポリイミドは、原料のジアミン成分として、一般式(1A)及び一般式(1B)で表される芳香族ジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の芳香族ジアミンを使用することが好ましい。一般式(1A)で表される芳香族ジアミン(以下、「ジアミンI」と記すことがある)及び一般式(1B)で表される芳香族ジアミン(以下、「ジアミンII」と記すことがある)は、ポリイミド中の分子の配向性を制御とCTEの増加を抑制することができ、また吸湿率を低下させることができる。このような観点から、ジアミンI及び/又はジアミンIIは、原料の全ジアミン成分の100モル部に対し、合計で90モル部以上、例えば90~100モル部の範囲内で使用することがよい。
本実施の形態の金属張積層板において、ポリイミド層は、必要に応じて、無機フィラーを含有してもよい。無機フィラーとしては、具体的には、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
ポリアミド酸をイミド化させる方法は、特に制限されず、例えば前記溶媒中で、80~400℃の範囲内の温度条件で1~24時間かけて加熱するといった熱処理が好適に採用される。
本実施の形態の金属張積層板は、主にFPCなどの回路基板材料や、電子部品を製造する過程で使用するマスクなどの部材として有用である。すなわち、本実施の形態の金属張積層板の金属層を常法によってパターン状に加工することによって、パターン化金属張積層板とすることができる。このパターン化金属張積層板は、例えばFPCに代表される回路基板や、トランジスタ、ダイオードなどの能動素子や、抵抗、キャパシタ、インダクタなどの受動デバイスを含む電子回路などの他に、圧力、温度、光、湿度などをセンシングするセンサー素子、発光素子、液晶表示、電気泳動表示、自発光表示などの画像表示素子、無線、有線による通信素子、演算素子、記憶素子、MEMS素子、太陽電池、薄膜トラ
ンジスタなどとして利用可能なものである。
粘度の測定は、E型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV-II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%~90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
3mm×15mmのサイズのポリイミドフィルムを、熱機械分析(TMA:装置名TMA/SS6100)装置にて5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度(10℃/min)、降温速度(5℃/min)で20℃から260℃の温度範囲で昇温・降温させて引張り試験を行い、260℃から25℃への温度変化に対する伸び量の変化から面方向線熱膨張係数(ppm/K)を測定した。
なお、ポリイミドの搬送方向(MD方向)について測定した線熱膨張係数をCTEP_MD、幅方向(TD方向)について測定した線熱膨張係数をCTEP_TDとしている。
3mm×15mmのサイズの金属箔を、熱機械分析(TMA:装置名TMA/SS6100)装置にて5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度(10℃/min)、降温速度(5℃/min)で20℃から360℃の温度範囲で昇温・降温させて引張り試験を行い、降温時の360℃から25℃への温度変化に対する伸び量の変化から面方向線熱膨張係数(ppm/K)を測定した。
なお、金属箔の搬送方向(MD方向)について測定した線熱膨張係数をCTEM_MD、幅方向(TD方向)について測定した線熱膨張係数をCTEM_TDとしている。
ガラス転移温度は、5mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、動的粘弾性測定装置(DMA:ユー・ビー・エム社製、商品名;E4000F)を用いて、30℃から400℃まで昇温速度4℃/分、周波数11Hzで測定を行い、弾性率変化(tanδ)が最大となる温度をガラス転移温度とした。
貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した。30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率が1.0×108Pa以上であるポリイミドを「非熱可塑性ポリイミド」とし、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率の最小値が1.0×108Pa未満であるポリイミドを「熱可塑性ポリイミド」とする。
80mm×80mmのサイズの金属張積層板を準備した。この積層板の金属層の上に、ドライフィルムレジストを設けた後、露光、現像して、図2に示すように、16個の直径1mmのレジストパターンを、全体が正四角形をなすように形成し、縦方向(MD)及び横方向(TD)のそれぞれ50mm間隔で5箇所を測定可能とする位置測定用ターゲットを調製した。
調製したサンプルについて、温度;23±2℃、相対湿度;50±5%の雰囲気中にて、位置測定用ターゲットにおけるレジストパターンの縦方向(MD)及び横方向(TD)におけるターゲット間の距離を測定した後、レジストパターン開孔部の金属層の露出部分をエッチング(エッチング液の温度;40℃以下、エッチング時間;10分以内)により除去し、図3に示すように、16個の金属層残存点を有する評価サンプルを調製した。この評価サンプルを温度;23±2℃、相対湿度;50±5%の雰囲気中にて24±4時間静置後、縦方向(MD)及び横方向(TD)における金属層残存点間の距離を測定した。縦方向及び横方向の各5箇所の常態に対する寸法変化率を算出し、各々の平均値をもって
それぞれMD及びTD方向のエッチング後寸法変化率とした。
各寸法変化率は下記の式6により出した。
式6:エッチング後寸法変化率△L(%)=[(L1-L0)/L0]×100
L0 ; レジスト現像後のターゲット間の距離
L1 ; 金属層エッチング後の金属層残存点間の距離
金属張積層板上の金属箔を金属配線幅1mm、スペース3mmとなるように金属配線6本を回路加工した後に、加工したサンプルの配線間スペースを目視にて確認を行った。この際ポリイミド層のうねりの有無及びうねりが発生しているものについては、うねりのピッチ間距離(隣り合う2つの山の間隔)を確認した。うねりの発生が無い場合を「優良」、周期が3mm以下のうねりが発生した場合を「不良」、周期が3mmを超えるうねりが発生した場合を「可」とした。
PMDA:ピロメリット酸二無水物
s-BPDA:3,3',4,4'‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
m‐TB:2,2'‐ジメチル‐4,4'‐ジアミノビフェニル
TPE-R:1,3-ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン
DMAc:N,N‐ジメチルアセトアミド
窒素気流下で、反応槽に、20.561gのm-TB(0.0969モル)及び重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、10.404gのPMDA(0.0477モル)及び14.035gのs-BPDA(0.0477モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液1を調製した。ポリアミド酸溶液1の溶液粘度は32,400cpsであった。
窒素気流下で、反応槽に、30.390gのm-TB(0.1432モル)及び5.978gのTPE-R(0.0205モル)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、24.480gのPMDA(0.1122モル)及び14.152gのs-BPDA(0.0481モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液2を調製した。ポリアミド酸溶液2の溶液粘度は18,400cpsであった。
厚さ12μmの電解銅箔の片面に、ポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃の間で第一の熱処理を5分間で行い、室温まで冷却した後に、100℃から250℃の間で第二の熱処理を30分間行うことで、金属張積層板1を調製した。更に、金属配線加工後の外観を確認したところ、金属張積層板1の評価結果を表1に示す。
厚さ30μmのインバー箔の片面に、ポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。80℃~320℃の間で30分間熱処理を行い、金属張積層板2を調製した。金属張積層板2の評価結果を表1に示す。
厚さ30μmのインバー箔の片面に、ポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃の間で第一の熱処理を5分間で行い、室温まで冷却した後に、100℃から250℃の間で第二の熱処理を30分間行うことで、金属張積層板3を調製した。金属張積層板3の評価結果を表1に示す。
厚さ30μmのインバー箔の片面に、ポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃の間で第一の熱処理を10分間で行い、金属層のパターニング加工を行った後に、80℃~200℃の間で第二の熱処理を60分間行いパターニング加工されたポリイミド-金属積層体4を調製した。金属張積層板4の評価結果を表1に示す。
厚さ30μmのステンレス箔の片面に、ポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃の間で第一の熱処理を5分間で行い、室温まで冷却した後に、100℃から250℃の間で第二の熱処理を30分間行うことで、金属張積層板5を調製した。更に、金属配線加工後の外観を確認したところ、金属張積層板5の評価結果を表1に示す。
厚さ30μmのインバー箔の片面に、ポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。80℃~360℃の間で30分間熱処理を行い、金属張積層板6を調製した。金属張積層板6の評価結果を表2に示す。
ポリアミド酸溶液2を用いて熱処理温度及び熱処理時間を変更した以外は比較例1と同様にして、金属張積層板7、8を調製した。評価結果を表2に示す。
Claims (6)
- ポリイミド層と、該ポリイミド層の少なくとも一方の面に積層された金属層とを備えた金属張積層板であって、下記の条件(i)~(iii);
(i)前記ポリイミド層は、非熱可塑性ポリイミド層を含んでおり、該非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgが330℃以下であること;
(ii)前記ポリイミド層の熱膨張係数CTEPが15ppm/K以下であること;
(iii)前記金属層の熱膨張係数CTEMと前記CTEPとの差△CTEをX軸、前記金属層のエッチング後における前記ポリイミド層の寸法変化率△LをY軸としたグラフにおいて、以下の式1~4により囲まれた領域にあること;
式1:△L(%)=A×△CTE-B
式2:△L(%)=0.00
式3:△CTE(ppm/K)=CTEM-CTEP=10/3
式4:△CTE(ppm/K)=12
[式1において、Aは0.03%・K/ppm、Bは0.10%である]
を満たすことを特徴とする金属張積層板。 - 前記条件(iii)における前記式1~4に加え、更に次の式5により囲まれた領域にあることを特徴とする請求項1に記載の金属張積層板。
式5:△L(%)=0.15 - 前記ポリイミド層の厚みが2~10μmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属張積層板
- 前記寸法変化率△Lが、下記の工程(1)~(6);
(1)金属張積層板を、所定の長さに切断して試験片を準備する工程、
(2)前記試験片の縦方向をMD方向、横方向をTD方向としたとき、前記試験片において前記MD方向及び前記TD方向と平行な辺を有する仮想の正四角形を想定し、前記正四角形における4つの角部と、前記正四角形のMD方向及び前記TD方向の4つの辺上とに、当該一辺の端部をなす2つの角部を基準にして等間隔に、直線状の配列をなす複数のマークを形成する工程、
(3)前記複数のマークの位置を計測し、前記正四角形の一辺に位置するマークと、対向する辺に位置するマークとの間の距離L0を算出する第1の計測工程、
(4)前記試験片の前記金属層の一部又は全部をエッチングする工程、
(5)エッチング後に、前記複数のマークの位置を計測し、前記正四角形の一辺に位置するマークと、対向する辺に位置するマークとの間の距離L1を算出する第2の計測工程、及び
(6)前記エッチング前後で同じ2つのマークについて、前記第1の計測工程で得られた距離L0と、前記第2の計測工程で得られた距離L1との差分L1-L0を算出する工程、を含む試験方法によって得られる値から、次の式6によって算出されるものであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の金属張積層板。
式6:△L(%)=[(L1-L0)/L0]×100 - 前記非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基及び芳香族ジアミンから誘導される芳香族ジアミン残基を含むものであり、
前記芳香族テトラカルボン酸残基の全量100モル部に対して、
ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(PMDA残基)を40~65モル部の範囲内、かつ、
3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(BPDA残基)及び/又は1,4‐フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物(TAHQ)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(TAHQ残基)を合計で25~60モル部の範囲内で含有し、
前記芳香族ジアミン残基の全量100モル部に対して、下記の一般式(1A)及び/又は一般式(1B)で表されるジアミン化合物から誘導される芳香族ジアミン残基を合計で90モル部以上含有する請求項1~4のいずれか1項に記載の金属張積層板。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の金属張積層板の前記金属層がパターニングされているパターン化金属張積層板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019122332A JP7247037B2 (ja) | 2019-06-28 | 2019-06-28 | 金属張積層板及びパターン化金属張積層板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019122332A JP7247037B2 (ja) | 2019-06-28 | 2019-06-28 | 金属張積層板及びパターン化金属張積層板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021008062A JP2021008062A (ja) | 2021-01-28 |
JP7247037B2 true JP7247037B2 (ja) | 2023-03-28 |
Family
ID=74199203
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019122332A Active JP7247037B2 (ja) | 2019-06-28 | 2019-06-28 | 金属張積層板及びパターン化金属張積層板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7247037B2 (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007062274A (ja) | 2005-09-01 | 2007-03-15 | Shin Etsu Chem Co Ltd | フレキシブル片面銅張積層板及びその製造方法 |
JP2010125793A (ja) | 2008-11-28 | 2010-06-10 | Arisawa Mfg Co Ltd | 2層両面フレキシブル金属積層板及びその製造方法 |
JP2011037157A (ja) | 2009-08-12 | 2011-02-24 | Asahi Kasei E-Materials Corp | 金属箔ポリイミド積層体 |
JP2017200759A (ja) | 2016-04-27 | 2017-11-09 | 新日鉄住金化学株式会社 | ポリイミドフィルム及び銅張積層板 |
WO2018061727A1 (ja) | 2016-09-29 | 2018-04-05 | 新日鉄住金化学株式会社 | ポリイミドフィルム、銅張積層板及び回路基板 |
-
2019
- 2019-06-28 JP JP2019122332A patent/JP7247037B2/ja active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007062274A (ja) | 2005-09-01 | 2007-03-15 | Shin Etsu Chem Co Ltd | フレキシブル片面銅張積層板及びその製造方法 |
JP2010125793A (ja) | 2008-11-28 | 2010-06-10 | Arisawa Mfg Co Ltd | 2層両面フレキシブル金属積層板及びその製造方法 |
JP2011037157A (ja) | 2009-08-12 | 2011-02-24 | Asahi Kasei E-Materials Corp | 金属箔ポリイミド積層体 |
JP2017200759A (ja) | 2016-04-27 | 2017-11-09 | 新日鉄住金化学株式会社 | ポリイミドフィルム及び銅張積層板 |
WO2018061727A1 (ja) | 2016-09-29 | 2018-04-05 | 新日鉄住金化学株式会社 | ポリイミドフィルム、銅張積層板及び回路基板 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021008062A (ja) | 2021-01-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7029006B2 (ja) | ポリイミドフィルム及び銅張積層板 | |
WO2018061727A1 (ja) | ポリイミドフィルム、銅張積層板及び回路基板 | |
JP2019065180A (ja) | ポリイミドフィルム、金属張積層板及び回路基板 | |
KR102635402B1 (ko) | 폴리이미드 필름, 금속장 적층판 및 회로 기판 | |
JP7453432B2 (ja) | 金属張積層板及び回路基板 | |
JP7248394B2 (ja) | ポリイミドフィルム及び金属張積層体 | |
JP7212518B2 (ja) | 金属張積層板、その製造方法及び回路基板 | |
JP7230148B2 (ja) | 金属張積層板及び回路基板 | |
JP7247037B2 (ja) | 金属張積層板及びパターン化金属張積層板 | |
JP7156877B2 (ja) | 金属張積層板及びパターン化金属張積層板 | |
KR20200115243A (ko) | 금속 피복 적층판 및 회로 기판 | |
JP7453433B2 (ja) | 金属張積層板及び回路基板 | |
JP7453434B2 (ja) | 金属張積層板及び回路基板 | |
JP2019119113A (ja) | 金属張積層板及び回路基板 | |
JP7217122B2 (ja) | 金属張積層板及びその製造方法 | |
KR102543928B1 (ko) | 금속장 적층판 및 회로 기판 | |
JP7252728B2 (ja) | 樹脂フィルム及び金属張積層体 | |
KR20220092426A (ko) | 양면 금속박적층판 및 회로기판 | |
JP2020006561A (ja) | パターン化金属張積層板の製造方法 | |
JP2020006562A (ja) | 金属張積層板の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190709 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220510 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230207 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230307 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230315 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7247037 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |