JP7247037B2 - 金属張積層板及びパターン化金属張積層板 - Google Patents

金属張積層板及びパターン化金属張積層板 Download PDF

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Description

本発明は、例えば回路基板材料などとして有用な金属張積層板及びパターン化金属張積層板に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化、省スペース化の進展に伴い、薄く軽量で、可撓性を有し、屈曲を繰り返しても優れた耐久性を持つフレキシブルプリント配線板(FPC;Flexible Printed Circuits)の需要が増大している。FPCは、限られたスペースでも立体的かつ高密度の実装が可能であるため、例えば、HDD、DVD、スマートフォン等の電子機器の可動部分の配線や、ケーブル、コネクター等の部品にその用途が拡大しつつある。
上述した高密度化に加えて、機器の高性能化が進んだことから、これまで以上に吸湿や熱膨張の影響による寸法変化が小さい材料が求められている。例えば、特許文献1では面内リタデーションを制御することで、高温加工時での寸法変化を低減させることができるポリイミドフィルムが提案されている。
また、電子機器の小型化、軽量化、多機能化に伴い、ICやLSIといった電子部品の高集積化が進み、その形態も多ピン化、小型化へと急速に変化している。そのため、IC等を直接実装するのに用いられる配線基板等に対する要求も高まっており、中でもFPCを構成する絶縁樹脂フィルムの熱膨張係数を低くすることが求められている。
ところで、金属張積層板に対するフォトリソグラフィ工程や、金属張積層板を使用するFPC実装の過程では、金属張積層板に設けられたアライメントマークを基準に接合、切断、露光、エッチング等のさまざまな加工が行われる。これらの工程での加工精度を維持するためには、金属箔と樹脂層との熱膨張係数(CTE)の違いを考慮し、エッチング前後の寸法安定性を高めることが必要である。
特開2017-200759号公報
金属層とポリイミド層とが積層された金属張積層板においては、金属層の熱膨張係数CTEよりもポリイミド層の熱膨張係数CTEが大きいことが通常である。一方、金属張積層板を回路基板に加工した後、例えば半導体デバイス実装時の加熱加工工程では、ポリイミド層の寸法変化を小さくするため、ポリイミド層の熱膨張係数CTEをできるだけ小さくしておくことが有利である。しかし、金属層の熱膨張係数CTEよりもポリイミド層の熱膨張係数CTEを小さく設計すると、金属層をエッチングした後の寸法変化が大きくなって寸法安定性が低下したり、うねりが発生したりして、例えばFPCなどの回路基板の信頼性を低下させてしまうことが懸念される。
本発明の目的は、金属層の熱膨張係数CTEよりもポリイミド層の熱膨張係数CTEを小さく設定しながら、エッチング前後の寸法変化が小さく、ポリイミド層のうねりの発生が抑制された金属張積層板を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、金属層とポリイミド層とが積層された金属張積層板において、金属層の熱膨張係数CTEよりもポリイミド層の熱膨張係数CTEを小さく設計する場合であっても、ポリイミド層を構成するポリイミドのガラス転移温度を低下させると共に、ポリイミド形成時の熱量を制御することによって、エッチング前後の寸法安定性を改善することが可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の金属張積層板は、ポリイミド層と、該ポリイミド層の少なくとも一方の面に積層された金属層とを備えた金属張積層板である。
本発明の金属張積層板は、下記の条件(i)~(iii);
(i)前記ポリイミド層は、非熱可塑性ポリイミド層を含んでおり、該非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgが330℃以下であること;
(ii)前記ポリイミド層の熱膨張係数CTEが15ppm/K以下であること;
(iii)前記金属層の熱膨張係数CTEと前記CTEとの差△CTEをX軸、前記金属層のエッチング後における前記ポリイミド層の寸法変化率△LをY軸としたグラフにおいて、以下の式1~4により囲まれた領域にあること;
式1:△L(%)=A×△CTE-B
式2:△L(%)=0.00
式3:△CTE(ppm/K)=CTE-CTE=10/3
式4:△CTE(ppm/K)=12
[式1において、Aは0.03%・K/ppm、Bは0.10%である]
を満たすことを特徴とする。
本発明の金属張積層板は、前記条件(iii)における前記式1~4に加え、更に次の式5により囲まれた領域にあってもよい。
式5:△L(%)=0.15
本発明の金属張積層板は、前記ポリイミド層の厚みが2~10μmの範囲内であってもよい。
本発明の金属張積層板は、前記寸法変化率△Lが、下記の工程(1)~(6);
(1)金属張積層板を、所定の長さに切断して試験片を準備する工程、
(2)前記試験片の縦方向をMD方向、横方向をTD方向としたとき、前記試験片において前記MD方向及び前記TD方向と平行な辺を有する仮想の正四角形を想定し、前記正四角形における4つの角部と、前記正四角形のMD方向及び前記TD方向の4つの辺上とに、当該一辺の端部をなす2つの角部を基準にして等間隔に、直線状の配列をなす複数のマークを形成する工程、
(3)前記複数のマークの位置を計測し、前記正四角形の一辺に位置するマークと、対向する辺に位置するマークとの間の距離L0を算出する第1の計測工程、
(4)前記試験片の前記金属層の一部又は全部をエッチングする工程、
(5)エッチング後に、前記複数のマークの位置を計測し、前記正四角形の一辺に位置するマークと、対向する辺に位置するマークとの間の距離L1を算出する第2の計測工程、及び
(6)前記エッチング前後で同じ2つのマークについて、前記第1の計測工程で得られた距離L0と、前記第2の計測工程で得られた距離L1との差分L1-L0を算出する工程、を含む試験方法によって得られる値から、次の式6によって算出されるものであってもよい。
式6:△L(%)=[(L1-L0)/L0]×100
本発明の金属張積層板は、前記非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基及び芳香族ジアミンから誘導される芳香族ジアミン残基を含むものであってもよい。
この場合、前記芳香族テトラカルボン酸残基の全量100モル部に対して、
ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(PMDA残基)を40~65モル部の範囲内、かつ、
3,3’、4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(BPDA残基)及び/又は1,4‐フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物(TAHQ)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(TAHQ残基)を合計で25~60モル部の範囲内で含有していてもよく、
前記芳香族ジアミン残基の全量100モル部に対して、下記の一般式(1A)及び/又は一般式(1B)で表されるジアミン化合物から誘導される芳香族ジアミン残基を合計で90モル部以上含有していてもよい。
Figure 0007247037000001
式(1A)において、連結基Xは単結合又は-COO-を示し、Yは独立にフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~3の1価の炭化水素もしくはアルコキシ基を示し、nは1~2の整数を示し、pおよびqは独立して0~4の整数を示す。
本発明のパターン化金属張積層板は、上記いずれかの金属張積層板の前記金属層がパターニングされている。
本発明の金属張積層板ポリイミドフィルムは、エッチング前後の寸法変化が小さく、ポリイミド層のうねりの発生が抑制されているため、例えばFPCなどの回路基板材料や、電子部品を製造する過程で使用する部材として有用である。本発明の金属張積層板を利用することによって、電子部品、電子機器の信頼性と歩留まりの向上を図ることができる。
ポリイミド層の寸法変化率△Lと、金属層とポリイミド層の熱膨張係数の差△CTEとの関係において、式1~式4で囲まれる範囲を示す説明図である。 寸法変化率の測定に使用した位置測定用ターゲットの説明図である。 寸法変化率の測定に使用した評価サンプルの説明図である。
次に、本発明の実施の形態について説明する。
[金属張積層板]
本発明の一実施の形態に係る金属張積層板は、ポリイミド層と、該ポリイミド層の少なくとも一方の面に積層された金属層を備えている。
また、前記ポリイミド層は、非熱可塑性ポリイミド層を含んでおり、該非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgが330℃以下である。
非熱可塑性ポリイミド層は、ポリイミド層における主たる層である。ここで、「主たる層」とは、ポリイミド層の全厚みに対して、60%以上の厚み比率を有する層を意味する。この非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度(Tg)を低下させることで、金属層上での熱処理によってポリアミド酸をイミド化してポリイミド層を形成する際の残留応力が低減すると考えられる。なお、「非熱可塑性ポリイミド」とは、一般に加熱しても軟化、接着性を示さないポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であるポリイミドをいう。また、「熱可塑性ポリイミド」とは、一般にガラス転移温度(Tg)が明確に確認できるポリイミドのことであるが、本発明では、DMAを用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa未満であるポリイミドをいう。
ポリイミド層の残留応力は、熱処理時の金属層とポリイミド層とのCTE差によって蓄積する。この時にポリイミド層に発生する応力はバネのようなモデルで考えると、応力は以下の式(X)と相関関係があると考えることができる。
(ポリイミド層に発生する応力)∝ (a)×[(b)×(c)] … (X)
ここで、
a:熱処理温度領域におけるポリイミド層の貯蔵弾性率、
b:金属層とポリイミド層とのCTE差(つまり、金属層のCTE-ポリイミド層のCTE)、
c:熱処理時の温度変化、
を意味する。
上記式(X)においてポリイミド層の貯蔵弾性率はフックの法則におけるバネ定数、CTE差と温度変化の積は変位に相当するパラメータと見なしている。
一般的にポリイミドおいて、ガラス転移温度(Tg)が低いほど、Tg未満の貯蔵弾性率も低下する傾向が見られている。従って、熱処理温度領域における貯蔵弾性率の指標としてTgを下げることで残留応力を低減させることができる。
このため、金属層の熱膨張係数CTEがポリイミド層の熱膨張係数CTEより大きく、かつ、両者に一定の差があっても、Tgを下げることでエッチング前後の寸法安定性を高めることができるとともに、ポリイミド層に生じるうねりや弛みが発生しにくくなる。以上の観点から、非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgは、320℃以下が好ましい。
また、非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドのTgは、280℃以上であることが好ましい。Tgが280℃未満であると、FPCを製造した際に樹脂層の膨れや配線からの剥がれといった問題が生じやすくなる。
なお、前記の式(X)に示すように熱処理時の温度も応力に影響するため、ポリイミドを形成するプロセス条件も重要である。熱処理時の温度設定に加えて、高温時ではポリイミド層の応力が緩和されると考えられるため、熱処理を行う時間も応力に影響を及ぼすと考えられる。応力を低減させるためには、ポリイミド層が受ける熱履歴を低減したプロセス条件が好ましい。
また、本発明の一実施の形態に係る金属張積層板は、前記金属層の熱膨張係数をCTE、前記絶縁層の熱膨張係数をCTE、寸法変化率を△Lとした際に、下記式(Y)及び式(Z)の関係をいずれも満たすものである。
CTE≦15ppm/K … (Y)
ポリイミド層の寸法変化を小さくするため、ポリイミド層の熱膨張係数CTEをできるだけ小さくしておくことが有利である。この観点から本実施の形態の金属張積層板は、ポリイミド層の熱膨張係数CTEが15ppm/K未満であることが好ましく、ポリイミド層の熱膨張係数CTEは、-5~10ppm/Kの範囲内であることがさらに好ましい。ポリイミド層の熱膨張係数CTEが上記範囲から外れると、配線等をパターニングした後の寸法精度に影響するため好ましくない。
また、搬送方向(MD方向)と幅方向(TD方向)で熱膨張係数が異なるとパターニングに制限は生じたり、面内における寸法精度が悪化したりする。このような観点から好ましくはMDとTD方向におけるCTE差である以下の式(Y-1);
|(CTE_MD)-(CTE_TD)| … (Y-1)
について、2ppm/K未満であることが好ましく、1ppm/K以下がさらに好ましい。
なお、前記式(Y-1)においてCTE_MDはポリイミド層の搬送方向における熱膨張係数であり、CTE_TDはポリイミド層の幅方向における熱膨張係数である。また、特に断りの無い場合、本明細書においてCTE及びCTEは、MD方向とTD方向の熱膨張係数の平均値を意味する。
(△L[%])≦0.03×(△CTE[ppm/K])-0.10 … (Z)
ただし△CTE=CTE-CTE、CTE ≧ CTE
通常、金属層の熱線膨係数CTEとポリイミド層の熱線膨係数CTEの差である△CTEが大きいほど、エッチング後寸法変化率△Lは増加する。これは、△CTEが大きいほど、これは前記の式(X)で表される応力が増加することに由来すると考えられる。
応力の影響が顕著となる△CTEが3ppm/Kを超える領域において、△CTEと寸法変化率△Lとの関係を調査した所、実験的に、式(i)のような1次関数の関係に近似できることが分かった。
(△L[%])≒A×(△CTE_MD[ppm/K])-B … (i)
[ただし、△CTE=CTE-CTE,A、Bは定数、CTE ≧ CTE
CTEは基材毎で一定であるので、式(i)より、ポリイミド層の寸法変化を小さくするためにCTEを小さくすると、△CTEが増大し、寸法変化率△Lは増大する。
本発明においてはポリイミド層のガラス転移温度とプロセス条件を制御することで、△CTEが大きい場合においても寸法変化率△Lを低減可能であることを見出した。よって、△CTEに対して従来よりも寸法変化率△Lが小さいことを示す式(Z)を満たす。なお、式(i)におけるAとBの値は実験値を元に算出している。
ここで、式(Z)における、寸法変化率△Lは下記の工程(1)~(6)を含む試験方法によって得られる値である。
(1)金属張積層板を、所定の長さに切断して試験片を準備する工程。
(2)前記試験片において、金属張積層板のMD方向を縦方向、TD方向を横方向としたとき、例えば図2に示すように、前記試験片において前記MD方向及び前記TD方向と平行な辺を有する仮想の正四角形を想定し、前記正四角形における4つの角部と、前記正四角形のMD方向及び前記TD方向の4つの辺上と、に、当該一辺の端部をなす2つの角部を基準にして等間隔に、直線状の配列をなす複数のマークを形成する工程。
(3)前記複数のマークの位置を計測し、前記正四角形の一辺に位置するマークと、対向する辺に位置するマークとの間の距離L0を算出する第1の計測工程。
(4)前記試験片の前記金属層の一部又は全部をエッチングする工程。
(5)エッチング後に、例えば図3に示すように、前記複数のマークの位置を計測し、前記正四角形の一辺に位置するマークと、対向する辺に位置するマークとの間の距離L1を算出する第2の計測工程。(6)前記エッチング前後で同じ2つのマークについて、前記第1の計測工程で得られた距離L0と、前記第2の計測工程で得られた距離L1との差分L1-L0を算出する工程。
上記によって得られたL1とL1-L0について寸法変化率△Lは以下の式6によって計算される。
式6:寸法変化率△L(%)=[(L1-L0)/L0]×100
なお、図2及び図3のように図中の縦方向の測定で得られるエッチング後寸法変化率△LがMD方向のエッチング後寸法変化率△L_MDであり、横方向の測定で得られるエッチング後寸法変化率△LがTD方向のエッチング後寸法変化率△L_TDである。特に断りの無い限り寸法変化率△Lは△L_MDと△L_TDの平均値である。
また、搬送方向(MD方向)と幅方向(TD方向)で寸法変化率が異なるとパターニングに制限が生じたり、又は面内における寸法精度が悪化したりする等、不具合が生じる。このような観点から、好ましくは△L_MDと△CTE_MD及び△L_TDと△CTE_TDのいずれにおいても式(Z)を満たすことが好ましい。
本実施の形態の金属張積層板を、回路基板材料やパターニング基板などの用途に使用する場合、金属層のエッチング後におけるポリイミド層の寸法変化率△Lを極力小さくすることが好ましく、MD方向、TD方向のいずれにおいても0.00%以上+0.15%以下であることが好ましく、0.00%以上+0.10%以下であることがより好ましい。寸法変化率△Lが+0.15%を超えると、例えばFPC等の回路基板に加工した場合の寸法信頼性が低下する。
ポリイミド層の熱膨張係数CTEと、金属層の熱膨張係数CTEの差であるΔCTE(CTE-CTE)については、3ppm/Kを超え、10/3ppm/K以上がよく、4ppm/K以上が好ましく、5ppm/K以上がより好ましく、5.5ppm/K以上がさらに好ましい。上限値については、12ppm/K以下が好ましい。12ppm/Kを超える場合には、エッチング前後の寸法安定性を改善する効果が十分に得られない。△CTEが好ましい範囲にある場合に、エッチング前後の寸法変化が小さくなり、ポリイミド層のうねりの発生を抑制する効果が十分に発揮される。
以上の事項をまとめると、本発明の金属張積層板は、図1に示すように、金属層の熱膨張係数CTEと前記CTEとの差△CTEをX軸、金属層のエッチング後におけるポリイミド層の寸法変化率△LをY軸としたグラフにおいて、△CTEと△Lは以下の式1~式4により囲まれた領域に存在する。この領域を図1において太実線で示す。
式1:△L(%)=A×△CTE-B
式2:△L(%)=0.00
式3:△CTE(ppm/K)=10/3
式4:△CTE(ppm/K)=12
[なお、式1において、Aは0.03%・K/ppm、Bは0.10%である]
さらに、本発明の金属張積層板は、上記式1~式4に加え、さらに、次の式5により囲まれた領域に存在することが好ましい。
式5:△L(%)=+0.15
つまり、本発明の金属張積層板は、10/3≦△CTE(ppm/K)≦12の範囲内であり、△L(%)≦A×△CTE-Bであり、かつ、0.00≦△L(%)≦0.15の範囲内に存在することが好ましい。
なお、前述したように△CTEが大きくなるほど、寸法変化率△Lを抑制することが難しくなることからプロセス条件の重要性も増す。△CTEが4ppm/K以上となった際の好ましいプロセス条件としては、例えば下記のような手法1~3が例示される。
(手法1)
金属箔上に、ポリアミド酸の溶液を塗布し、80℃~360℃の間で第一の熱処理を行い、その後に80℃~300℃の間で第二の熱処理を行いポリイミド-金属積層体を得る手法。なお第一の熱処理後に続けて第二の熱処理を行っても良いし、第一の熱処理後に一度室温まで冷却した後に第二の熱処理を行っても良い。
第一の熱処理温度は、80℃~360℃の範囲内であり、120℃~360℃の範囲内の温度が好ましい。第一の熱処理の時間は、例えば1分~30分の範囲内が好ましく、5分~20分の範囲内がより好ましい。
第二の熱処理温度は、80℃~300℃の範囲内であり、100℃~250℃の範囲内の温度が好ましい。第二の熱処理の時間は、例えば1分~60分の範囲内が好ましく、10分~30分の範囲内がより好ましい。
(手法2)
金属箔上に、ポリアミド酸の溶液を塗布し、80℃~320℃の間で第一の熱処理を行い、金属積層体を得る手法。なお、第一の熱処理温度は、80℃~320℃の範囲内であり、120℃~300℃の範囲内の温度が好ましい。第一の熱処理の時間は、例えば10分~120分の範囲内が好ましく、30分~120分の範囲内がより好ましい。
(手法3)
手法1と同様に第一の熱処理を行い、金属層のパターニング加工を行った後に、80℃~200℃の間で第二の熱処理を行い、パターニング加工されたポリイミド-金属積層体を得る手法。なお、第二の熱処理温度は、80℃~200℃の範囲内であり、80℃~150℃の範囲内の温度が好ましい。第二の熱処理の時間は、例えば1分~120分の範囲内が好ましく、10分~60分の範囲内がより好ましい。なお、手法3の場合、エッチング後寸法変化率は上記の第二の熱処理後に計測する。
また、本実施の形態の金属張積層板における金属層の熱膨張係数CTEは、20ppm/K未満であることが好ましく、0~18ppm/Kの範囲内であることがより好ましい。金属層の熱膨張係数CTEが上記範囲から外れると、配線等をパターニングした後の寸法精度に影響するため好ましくない。
本実施の形態の金属張積層板における金属層は、熱膨張係数CTEが上記のとおりであればその材質に特に制限はないが、例えば、銅、ステンレス、鉄、ニッケル、ベリリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、銀、金、スズ、ジルコニウム、タンタル、チタン、鉛、マグネシウム、マンガン及びこれらの合金等が挙げられる。この中でも、低熱膨張の観点から鉄、ニッケル、ステンレス及びこれらの合金が好ましい。金属層の厚みは特に限定されるものではないが、破断や変形を抑制できる厚みにするのがよく、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは10~50μmの範囲内がよい。生産安定性及びハンドリング性の観点から、金属層の厚みの下限値は5μmとすることが好ましい。
また、本実施の形態の金属張積層板における金属層は、以下の(ア)及び(イ)の関係を満たすことが好ましい。
(ア)金属層の熱膨張係数CTEの変曲点が非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドのTgよりも低い温度に存在すること。
(イ)当該変曲点の温度を基準に、以下の式(α)の関係を満たすこと。
[変曲点以下の温度域でのCTE]<[変曲点より高い温度でのCTE] … (α)
ポリイミド層における主たる層を構成する非熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度(Tg)よりも高い温度域では、金属層とポリイミド層とのCTE差による歪みが生じにくい。従って、上記(ア)、(イ)の関係を満たす場合には、仮に変曲点より高い温度域で金属層の熱膨張係数CTEの大幅な増加が生じても、非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度(Tg)よりも高い温度域であるため、金属層とポリイミド層とのCTE差による歪みが生じにくくなる。
なお、上記(ア)、(イ)の関係を満たす金属層としては、例えばインバー箔を挙げることができる。インバー箔は、含まれる鉄元素、ニッケル元素及び微量元素の比率によっても変化するが、例えば200~250℃の温度領域にCTEの変曲点を有している。
本発明の実施の形態の金属張積層板におけるポリイミド層の厚みは、2~10μmの範囲内であることが好ましく、3~9μmの範囲内にあることがより好ましい。
ポリイミド層の厚みが上記範囲内である場合に、エッチング前後の寸法安定性の改善効果が十分に発揮される。また、ポリイミド層の厚みが上記下限値に満たないと、電気絶縁性が担保出来ないことや、ハンドリング性の低下により製造工程にて取扱いが困難になるなどの問題が生じることがある。一方、ポリイミド層の厚みが上記上限値を超えると、エッチング前後の寸法変化が大きくなって、ポリイミド層のうねりが発生しやすくなり、生産性低下などの不具合が生じる。
<ポリイミド>
本実施の形態の金属張積層板において、ポリイミド層を構成するポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物と、を反応させて得られるポリアミド酸をイミド化して得られるものである。従って、ポリイミド層は、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含むものである。なお、本発明において、テトラカルボン酸残基とは、テトラカルボン酸二無水物から誘導された4価の基のことを表し、ジアミン残基とは、ジアミン化合物から誘導された2価の基のことを表す。本実施の形態の金属張積層板において、ポリイミド層は非熱可塑性ポリイミド層を含んでおり、さらに、熱可塑性ポリイミド層を含んでいてもよい。
(非熱可塑性ポリイミド)
非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基及び芳香族ジアミン化合物から誘導される芳香族ジアミン残基を含むものである。
<酸無水物>
非熱可塑性ポリイミドは、原料の酸無水物成分として、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基、並びに、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)及び/又は1,4-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物(TAHQ)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(BPDA残基及び/又はTAHQ残基)を含有することが好ましい。
PMDAは、剛直骨格を有するため、他の一般的な酸無水物成分に比べて、ポリイミド中の分子の面内配向性の制御によるポリイミド層の熱膨張係数CTEの抑制が可能となり、ガラス転移温度(Tg)の向上にも効果がある。
また、BPDA及び/又はTAHQは、PMDAと比較し分子量が大きいため、仕込み比率の増加によりイミド基濃度が低下することで吸湿率の低下に効果がある。一方でBPDA及び/又はTAHQの仕込み比率が増加すると、ポリイミド中の分子の面内配向性が低下し、CTEの増加に繋がる。
以上の観点から、PMDAは、原料の全酸無水物成分の100モル部に対し、好ましくは40~65モル部の範囲内、より好ましくは45~60モル部の範囲内で使用することがよい。原料の全酸無水物成分の100モル部に対し、PMDAの仕込み量が40モル部未満であると、分子の面内配向性が低下し、低CTE化が困難となり、またTgの低下による加熱時におけるフィルムの耐熱性や寸法安定性が低下する。一方、PMDAの仕込み量が65モル部を超えると、Tgが増加するため、金属層とのCTE差に開きがある場合、寸法安定性が低下し、またイミド基濃度の増加により吸湿率が悪化する。
また、BPDA及び/又はTAHQは、イミド基濃度の低下による吸湿率低下に効果があるが、イミド化後のポリイミド層のCTEを増大させる。このような観点から、BPDA及び/又はTAHQは、原料の全酸無水物成分の100モル部に対し、合計で、好ましくは25~60モル部の範囲内、より好ましくは35~55モル部の範囲内で使用することがよい。
以上のように、本実施の形態の金属張積層板において、ポリイミド層を構成するポリイミドは、テトラカルボン酸残基の全量100モル部に対して、PMDAから誘導される残基を好ましくは40~65モル部の範囲内、より好ましくは45~60モル部の範囲内、BPDA及び/又はTAHQから誘導される残基を、合計で、好ましくは25~60モル部の範囲内、より好ましくは35~55モル部の範囲内で含有するように制御されることがよい。
また、CTE制御と低Tg化の両立の観点から、非熱可塑性ポリイミドに含まれるPMDA残基と、BPDA残基及びTAHQ残基の合計量とのモル比[PMDA残基/(BPDA残基+TAHQ残基)]が0.5~2.5の範囲内であることが好ましく、0.7~1.5の範囲内がより好ましい。
ポリイミドの原料として使用可能な、上記PMDA、BPDA、TAHQ以外のテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、2,3',3,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
<ジアミン>
非熱可塑性ポリイミドは、原料のジアミン成分として、一般式(1A)及び一般式(1B)で表される芳香族ジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の芳香族ジアミンを使用することが好ましい。一般式(1A)で表される芳香族ジアミン(以下、「ジアミンI」と記すことがある)及び一般式(1B)で表される芳香族ジアミン(以下、「ジアミンII」と記すことがある)は、ポリイミド中の分子の配向性を制御とCTEの増加を抑制することができ、また吸湿率を低下させることができる。このような観点から、ジアミンI及び/又はジアミンIIは、原料の全ジアミン成分の100モル部に対し、合計で90モル部以上、例えば90~100モル部の範囲内で使用することがよい。
Figure 0007247037000002
式(1A)において、連結基Xは単結合又は-COO-を示し、Yは独立にフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~3の1価の炭化水素もしくはアルコキシ基を示し、nは1~2の整数を示し、pおよびqは独立して0~4の整数を示す。
ジアミンIとしては、例えば、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)、2,2’-ジ-n-プロピル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-NPB)、4,4‘’-ジアミノ-p-テルフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、4-アミノフェニル-4’-アミノベンゾエート(APAB)などを挙げることができる。
また、ジアミンIIとしては、例えば、5-アミノ-2-(p-アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(APBO)、6-アミノ-2-(p-アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、5-アミノ-2-(m-アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6-アミノ-2-(m-アミノフェニル)ベンゾオキサゾールなどを挙げることができる。
以上のように、非熱可塑性ポリイミドは、ジアミン残基の全量100モル部に対して、ジアミンI及び/又はジアミンIIから誘導される残基を合計で90モル部以上、好ましくは90~100モル部の範囲内で含有するように制御することがよい。
非熱可塑性ポリイミドの原料として使用可能な、他のジアミンとしては、例えば、2,6-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン、2,4-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン、2,4-ジアミノ-3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチルジフェニルメタン、1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,4-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,4ビス(4-アミノフェノキシ)-2,5-ジ-tert-ブチルベンゼン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-メチレンジ-o-トルイジン、4,4’-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4’-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、3,3’-ジアミノジフェニルエタン、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシベンジジン、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル、4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン、2'-メトキシ-4,4'-ジアミノベンズアニリド、4,4'-ジアミノベンズアニリド等の芳香族ジアミン化合物が挙げられる。
ポリイミドにおいて、上記テトラカルボン酸及びジアミンの種類や、2種以上のテトラカルボン酸又はジアミンを適用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、フィルム化したときの熱膨張係数、貯蔵弾性率、引張弾性率、伸度、誘電特性等を制御することができる。なお、ポリイミドの構造単位は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在していてもよい。
ポリイミドの重量平均分子量は、例えば10,000~400,000の範囲内が好ましく、50,000~350,000の範囲内がより好ましい。重量平均分子量が10,000未満であると、ポリイミド層の強度が低下して脆化しやすい傾向となる。一方、重量平均分子量が400,000を超えると、過度に粘度が増加して塗工作業の際にフィルム厚みムラ、スジ等の不良が発生しやすい傾向になる。
<フィラー>
本実施の形態の金属張積層板において、ポリイミド層は、必要に応じて、無機フィラーを含有してもよい。無機フィラーとしては、具体的には、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
一般にポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物を溶媒中で反応させ、ポリアミド酸を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0~100℃の範囲内の温度で30分~24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5~30重量%の範囲内、好ましくは10~20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、2-ブタノン、ジメチルスホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホルアミド、N-メチルカプロラクタム、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、クレゾール等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶媒の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液の濃度が5~30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。
合成されたポリアミド酸は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、ポリアミド酸は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。ポリアミド酸の溶液の粘度は、500cps~100,000cpsの範囲内であることが好ましい。この範囲を外れると、コーター等による塗工作業の際にフィルムに厚みムラ、スジ等の不良が発生し易くなる。
ポリアミド酸をイミド化させる方法は、特に制限されず、例えば前記溶媒中で、80~400℃の範囲内の温度条件で1~24時間かけて加熱するといった熱処理が好適に採用される。
本実施の形態の金属張積層板の製造方法の態様として、例えば、[1]金属箔に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥した後、イミド化してポリイミド層を形成する方法(キャスト法)、[2]金属箔に、ポリイミドフィルムをラミネートする方法(ラミネート法)などが知られているが、キャスト法が好ましい。また、ポリイミド層を、複数層のポリイミド層からなる多層とする場合、その製造方法の態様としては、例えば[3]金属箔に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥することを複数回繰り返した後、イミド化を行う方法、[4]多層押出により、金属箔上に同時にポリアミド酸を多層に積層した状態で塗布・乾燥した後、イミド化を行う方法(以下、多層押出法)などが挙げられる。ポリイミド溶液(又はポリアミド酸溶液)を金属箔上に塗布する方法としては特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。多層のポリイミド層の形成に際しては、ポリイミド溶液(又はポリアミド酸溶液)を金属箔に塗布、乾燥する操作を繰り返す方法が好ましい。
キャスト法では、ポリアミド酸の樹脂層が金属箔に固定された状態でイミド化されるので、イミド化過程におけるポリイミド層の伸縮変化を抑制して、厚みや寸法精度を維持することができる。また、ポリイミド層を、複数層のポリイミド層からなる多層とする場合、イミド化のための熱処理を例えば120℃から360℃の範囲内の温度で段階的に行うとともに、熱処理時間を5分以上、好ましくは10分~120分の範囲内に制御することによって、発泡を効果的に抑制し、ポリイミド層の膨れなどの不具合を防止できる。
本実施の形態の金属張積層板の態様として、銅張積層板を例示することができる。銅張積層板は、単層又は複数層からなるポリイミド層と、該ポリイミド層の少なくとも一方の面に銅箔を備えていればよい。また、ポリイミド層と銅箔の接着性を高めるために、ポリイミド層における銅箔に接する層は、熱可塑性ポリイミド層であってもよい。銅箔は、絶縁層の片面又は両面に設けることができる。つまり、本実施の形態の銅張積層板は、片面銅張積層板(片面CCL)でもよいし、両面銅張積層板(両面CCL)でもよい。本実施の形態の銅張積層板は、銅箔をエッチングするなどして配線回路加工して銅配線を形成し、例えばFPCとして使用することができる。
[パターン化金属張積層板]
本実施の形態の金属張積層板は、主にFPCなどの回路基板材料や、電子部品を製造する過程で使用するマスクなどの部材として有用である。すなわち、本実施の形態の金属張積層板の金属層を常法によってパターン状に加工することによって、パターン化金属張積層板とすることができる。このパターン化金属張積層板は、例えばFPCに代表される回路基板や、トランジスタ、ダイオードなどの能動素子や、抵抗、キャパシタ、インダクタなどの受動デバイスを含む電子回路などの他に、圧力、温度、光、湿度などをセンシングするセンサー素子、発光素子、液晶表示、電気泳動表示、自発光表示などの画像表示素子、無線、有線による通信素子、演算素子、記憶素子、MEMS素子、太陽電池、薄膜トラ
ンジスタなどとして利用可能なものである。
以上のように、本実施の形態の金属張積層板は、加熱による寸法変化の問題が生じにくく、エッチング前後の寸法安定性が高いため、FPC等の回路基板の信頼性と歩留まりの向上を図ることができる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[粘度の測定]
粘度の測定は、E型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV-II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%~90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
[ポリイミド層の面方向線熱膨張係数(CTE)の測定]
3mm×15mmのサイズのポリイミドフィルムを、熱機械分析(TMA:装置名TMA/SS6100)装置にて5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度(10℃/min)、降温速度(5℃/min)で20℃から260℃の温度範囲で昇温・降温させて引張り試験を行い、260℃から25℃への温度変化に対する伸び量の変化から面方向線熱膨張係数(ppm/K)を測定した。
なお、ポリイミドの搬送方向(MD方向)について測定した線熱膨張係数をCTE_MD、幅方向(TD方向)について測定した線熱膨張係数をCTE_TDとしている。
[金属箔の面方向線熱膨張係数(CTE)の測定]
3mm×15mmのサイズの金属箔を、熱機械分析(TMA:装置名TMA/SS6100)装置にて5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度(10℃/min)、降温速度(5℃/min)で20℃から360℃の温度範囲で昇温・降温させて引張り試験を行い、降温時の360℃から25℃への温度変化に対する伸び量の変化から面方向線熱膨張係数(ppm/K)を測定した。
なお、金属箔の搬送方向(MD方向)について測定した線熱膨張係数をCTE_MD、幅方向(TD方向)について測定した線熱膨張係数をCTE_TDとしている。
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
ガラス転移温度は、5mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、動的粘弾性測定装置(DMA:ユー・ビー・エム社製、商品名;E4000F)を用いて、30℃から400℃まで昇温速度4℃/分、周波数11Hzで測定を行い、弾性率変化(tanδ)が最大となる温度をガラス転移温度とした。
[貯蔵弾性率の測定]
貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した。30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であるポリイミドを「非熱可塑性ポリイミド」とし、30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率の最小値が1.0×10Pa未満であるポリイミドを「熱可塑性ポリイミド」とする。
[エッチング後寸法変化率の測定]
80mm×80mmのサイズの金属張積層板を準備した。この積層板の金属層の上に、ドライフィルムレジストを設けた後、露光、現像して、図2に示すように、16個の直径1mmのレジストパターンを、全体が正四角形をなすように形成し、縦方向(MD)及び横方向(TD)のそれぞれ50mm間隔で5箇所を測定可能とする位置測定用ターゲットを調製した。
調製したサンプルについて、温度;23±2℃、相対湿度;50±5%の雰囲気中にて、位置測定用ターゲットにおけるレジストパターンの縦方向(MD)及び横方向(TD)におけるターゲット間の距離を測定した後、レジストパターン開孔部の金属層の露出部分をエッチング(エッチング液の温度;40℃以下、エッチング時間;10分以内)により除去し、図3に示すように、16個の金属層残存点を有する評価サンプルを調製した。この評価サンプルを温度;23±2℃、相対湿度;50±5%の雰囲気中にて24±4時間静置後、縦方向(MD)及び横方向(TD)における金属層残存点間の距離を測定した。縦方向及び横方向の各5箇所の常態に対する寸法変化率を算出し、各々の平均値をもって
それぞれMD及びTD方向のエッチング後寸法変化率とした。
各寸法変化率は下記の式6により出した。
式6:エッチング後寸法変化率△L(%)=[(L1-L0)/L0]×100
L0 ; レジスト現像後のターゲット間の距離
L1 ; 金属層エッチング後の金属層残存点間の距離
[外観評価]
金属張積層板上の金属箔を金属配線幅1mm、スペース3mmとなるように金属配線6本を回路加工した後に、加工したサンプルの配線間スペースを目視にて確認を行った。この際ポリイミド層のうねりの有無及びうねりが発生しているものについては、うねりのピッチ間距離(隣り合う2つの山の間隔)を確認した。うねりの発生が無い場合を「優良」、周期が3mm以下のうねりが発生した場合を「不良」、周期が3mmを超えるうねりが発生した場合を「可」とした。
実施例及び比較例に用いた略号は、以下の化合物を示す。
PMDA:ピロメリット酸二無水物
s-BPDA:3,3',4,4'‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
m‐TB:2,2'‐ジメチル‐4,4'‐ジアミノビフェニル
TPE-R:1,3-ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン
DMAc:N,N‐ジメチルアセトアミド
(合成例1)
窒素気流下で、反応槽に、20.561gのm-TB(0.0969モル)及び重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、10.404gのPMDA(0.0477モル)及び14.035gのs-BPDA(0.0477モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液1を調製した。ポリアミド酸溶液1の溶液粘度は32,400cpsであった。
(合成例2)
窒素気流下で、反応槽に、30.390gのm-TB(0.1432モル)及び5.978gのTPE-R(0.0205モル)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、24.480gのPMDA(0.1122モル)及び14.152gのs-BPDA(0.0481モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液2を調製した。ポリアミド酸溶液2の溶液粘度は18,400cpsであった。
[実施例1]
厚さ12μmの電解銅箔の片面に、ポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃の間で第一の熱処理を5分間で行い、室温まで冷却した後に、100℃から250℃の間で第二の熱処理を30分間行うことで、金属張積層板1を調製した。更に、金属配線加工後の外観を確認したところ、金属張積層板1の評価結果を表1に示す。
[実施例2]
厚さ30μmのインバー箔の片面に、ポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。80℃~320℃の間で30分間熱処理を行い、金属張積層板2を調製した。金属張積層板2の評価結果を表1に示す。
[実施例3]
厚さ30μmのインバー箔の片面に、ポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃の間で第一の熱処理を5分間で行い、室温まで冷却した後に、100℃から250℃の間で第二の熱処理を30分間行うことで、金属張積層板3を調製した。金属張積層板3の評価結果を表1に示す。
[実施例4]
厚さ30μmのインバー箔の片面に、ポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃の間で第一の熱処理を10分間で行い、金属層のパターニング加工を行った後に、80℃~200℃の間で第二の熱処理を60分間行いパターニング加工されたポリイミド-金属積層体4を調製した。金属張積層板4の評価結果を表1に示す。
[実施例5]
厚さ30μmのステンレス箔の片面に、ポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃の間で第一の熱処理を5分間で行い、室温まで冷却した後に、100℃から250℃の間で第二の熱処理を30分間行うことで、金属張積層板5を調製した。更に、金属配線加工後の外観を確認したところ、金属張積層板5の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
厚さ30μmのインバー箔の片面に、ポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが約6μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。80℃~360℃の間で30分間熱処理を行い、金属張積層板6を調製した。金属張積層板6の評価結果を表2に示す。
[比較例2~3]
ポリアミド酸溶液2を用いて熱処理温度及び熱処理時間を変更した以外は比較例1と同様にして、金属張積層板7、8を調製した。評価結果を表2に示す。
Figure 0007247037000003
Figure 0007247037000004
表1及び表2から、条件(i)~(iii)を満たす実施例1~5では、うねりが発生しないか、発生したうねりも4mm周期以上の弱いうねりに抑えられていた。一方、条件(iii)を満たしていない比較例1~3では、いずれも3mm周期以下のやや強いうねりが発生した。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。

Claims (6)

  1. ポリイミド層と、該ポリイミド層の少なくとも一方の面に積層された金属層とを備えた金属張積層板であって、下記の条件(i)~(iii);
    (i)前記ポリイミド層は、非熱可塑性ポリイミド層を含んでおり、該非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgが330℃以下であること;
    (ii)前記ポリイミド層の熱膨張係数CTEが15ppm/K以下であること;
    (iii)前記金属層の熱膨張係数CTEと前記CTEとの差△CTEをX軸、前記金属層のエッチング後における前記ポリイミド層の寸法変化率△LをY軸としたグラフにおいて、以下の式1~4により囲まれた領域にあること;
    式1:△L(%)=A×△CTE-B
    式2:△L(%)=0.00
    式3:△CTE(ppm/K)=CTE-CTE=10/3
    式4:△CTE(ppm/K)=12
    [式1において、Aは0.03%・K/ppm、Bは0.10%である]
    を満たすことを特徴とする金属張積層板。
  2. 前記条件(iii)における前記式1~4に加え、更に次の式5により囲まれた領域にあることを特徴とする請求項1に記載の金属張積層板。
    式5:△L(%)=0.15
  3. 前記ポリイミド層の厚みが2~10μmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属張積層板
  4. 前記寸法変化率△Lが、下記の工程(1)~(6);
    (1)金属張積層板を、所定の長さに切断して試験片を準備する工程、
    (2)前記試験片の縦方向をMD方向、横方向をTD方向としたとき、前記試験片において前記MD方向及び前記TD方向と平行な辺を有する仮想の正四角形を想定し、前記正四角形における4つの角部と、前記正四角形のMD方向及び前記TD方向の4つの辺上とに、当該一辺の端部をなす2つの角部を基準にして等間隔に、直線状の配列をなす複数のマークを形成する工程、
    (3)前記複数のマークの位置を計測し、前記正四角形の一辺に位置するマークと、対向する辺に位置するマークとの間の距離L0を算出する第1の計測工程、
    (4)前記試験片の前記金属層の一部又は全部をエッチングする工程、
    (5)エッチング後に、前記複数のマークの位置を計測し、前記正四角形の一辺に位置するマークと、対向する辺に位置するマークとの間の距離L1を算出する第2の計測工程、及び
    (6)前記エッチング前後で同じ2つのマークについて、前記第1の計測工程で得られた距離L0と、前記第2の計測工程で得られた距離L1との差分L1-L0を算出する工程、を含む試験方法によって得られる値から、次の式6によって算出されるものであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の金属張積層板。
    式6:△L(%)=[(L1-L0)/L0]×100
  5. 前記非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基及び芳香族ジアミンから誘導される芳香族ジアミン残基を含むものであり、
    前記芳香族テトラカルボン酸残基の全量100モル部に対して、
    ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(PMDA残基)を40~65モル部の範囲内、かつ、
    3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(BPDA残基)及び/又は1,4‐フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物(TAHQ)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(TAHQ残基)を合計で25~60モル部の範囲内で含有し、
    前記芳香族ジアミン残基の全量100モル部に対して、下記の一般式(1A)及び/又は一般式(1B)で表されるジアミン化合物から誘導される芳香族ジアミン残基を合計で90モル部以上含有する請求項1~4のいずれか1項に記載の金属張積層板。
    Figure 0007247037000005
    [式(1A)において、連結基Xは単結合又は-COO-を示し、Yは独立にフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~3の1価の炭化水素もしくはアルコキシ基を示し、nは1~2の整数を示し、pおよびqは独立して0~4の整数を示す。]
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の金属張積層板の前記金属層がパターニングされているパターン化金属張積層板。

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